ドル円、約6週間ぶりの円高水準に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上値を重くし、130円割れを試す展開が続く。
昨日の東京時間午後には130円42銭までドルが売られ、約
6週間ぶりの円高に。NYでも同水準を試したが跳ね返される。
◆ユーロドルも底堅く推移。1.09台に乗せる場面もあったが、
上値ではやや警戒感も。
◆前日大きく売られた株式は、イエレン長官の発言もあり、
3指数が揃って反発。S&P500は小幅高、ナスダックは
117ポイント上昇。
◆債券は続伸。長期金利は3.42%台に低下。
◆金は大幅に続伸し、引け値で2000ドルに迫る。原油は
4日ぶりに反落。
◆新規失業保険申請件数 → 19.1万件
◆経常収支(10-12月) → -206.8b
◆2月新築住宅販売件数 → 64.0万戸
本日の注目イベント
◆日 2月消費者物価指数
◆独 独2合PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏3月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏3月総合PMI(速報値)
◆英 英3月製造業PMI(速報値)
◆英 英3月サービス業PMI(速報値)
◆英 英2月小売売上高
◆米 3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米 3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米 3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米 2月耐久財受注
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
前日のFOMC会合で、予想通りインフレ抑制を優先する形で0.25
ポイントの利上げを決めました。パウエル議長は会見で、「利上げの一
時停止も検討した」と述べましたが、シリコンバレー銀行(SVB)の
破綻については、「米銀行システムは健全かつ強靭で、金融システムに
十分な資本があり、流動性は潤沢だ」と語っていました。
また、FRBとして銀行システムの安全性と健全性、効率を維持するた
め、「われわれのツール全てを活用する」と説明しています。0.25
ポイントの利上げと、パウエル議長のこの様な発言を受けて前日の金融
市場では、株価が大きく売られ、同時に、売られると思っていた債券が
買われ、金利が大きく低下。ドル円は金利低下に反応し、132円台前
半から130円台後半まで売られ、その流れで昨日の東京時間でもドル
の上値が抑えられた格好でした。
もっとも、株価の大幅な下げは前日の上院での証言でイエレン財務長官
が、「米国の銀行システムを安定させるために、全面的な預金保険を提
供することを規制当局が検討していることはない」と発言したことが、
トリガーとなった側面もありました。
イエレン財務長官は昨日の下院での証言では、最近の政府の措置は「米
国民の預金の安全性を確実にするために講じられた」と繰り返し述べま
したが、その後に、「もちろん、正当化される場合は追加措置を講じる
用意があるだろう」と説明しています。
この発言から昨日のNY株式市場では、金融不安への懸念が依然として
くすぶりながらも株価の反発を誘っていました。
結局、先週のECBの0.5ポイントの利上げを皮切りに、前日のFR
B、昨日のBOEとスイス中銀、さらにはノルウェー中銀と台湾中銀も
利上げを決めています。
特にスイス中銀は、クレディスイスの経営危機問題がある中でも、0.
5ポイントの利上げを決定し、今後の追加利上げの可能性も示唆してい
ます。
UBSによるクレディスイス買収を完了させたことで、ひとまず同国の
信用不安は峠を越えたと判断した模様です。
ここでもインフレ対応を優先させた形になっています。
今後もFRBの金融政策の行方が大きな焦点であることは変わりません。
今回の利上げで、「9会合連続」で利上げを決めたことになり、これで
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.75~5.0
0%になりました。
パウエル議長は会見でさらなる追加利上げの可能性にも言及していまし
たが、これまでの大幅な累積的な利上げでも、今後銀行システムの安全
性には問題はなく、銀行危機をこれ以上深刻化させることはないといっ
た自信を示したのかもしれません。
一方で、今回も利上げに踏み切ったことで、米経済のリセッション入り
の可能性はさらに高まってきたと予想されます。
利上げを理由に買われてきたドル円が今後、利上げによる景気後退が本
格化し、
それを理由にドル売りが進むことも予想されます。
先ずは130円台が維持されるのかどうかといった点と、もしその水準
を割り込んだ場合、今年1月16日に記録した、今年のドルの最安値で
ある127円22銭を下回るのかどうかが焦点になります。
やや注目度が低下している「植田日銀」のYCC修正や金融政策の変更
も
春から夏場にかけては再びスポットライトを浴びることとなり、「円高
要因」になると思われます。
本日のドル円は129円50銭~131円50銭程度を予想します。
- [2023/03/24 09:38]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
足元の金融不安ひとまず後退
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上昇。欧米の金融システムに対する不安が後退し、
米長期金利は大きく上昇。ドル円も引っ張られる形で買われ、
132円63銭までドル高が進む。
◆UBSによるクレディスイス買収が決まり、ユーロは上昇。
1.0789まで買われ、約1カ月ぶりの高値を付ける。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。ダウは316ドル上げ、
S&P500も30ポイント上昇し、4000の大台を回復。
◆債券は大幅安。長期金利は3.60台へと上昇。
◆前日約1年ぶりに2000ドルの大台を記録した金は
大幅に反落。一方原油は大幅に続伸。
◆2月中古住宅販売件数 → 458万件
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏1月経常収支
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆英 英2月消費者物価指数
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
◆米 イエレン財務長官、上院小委で証言
欧米の金融システム不安が後退し、市場にはやや安堵感が広がったことで、
恐怖指数の「VIX指数」が急低下。今回の混乱では一時「30」を超えた
同指数は「21.38」で取り引きを終えています。
破綻したシリコンバレー銀行(SVB)と、シグネチャーバンクの預金は全
額保護されることが決まり、預金流失が続いているファーストリパブリック
バンク(FRC)を巡っては、米大手行が預金という形で資金供与すること
で合意し、さらに同行には政府支援が行われる可能性も報じられています。
また信用不安を払拭するため、イエレン財務長官は21日、中小規模の金融
機関が経営難に陥った場合、保険で保護される金額を超える部分についても
保障する意向を示したことも好感されています。
イエレン氏は米銀行協会の会議で講演し、「われわれの介入は米国の銀行シ
ステムを保護するために必要だった。中小規模の金融機関が取り付け騒ぎに
見舞われ、波及のリスクが生じるような場合は、同様な行動が正当化され得
る」と説明しています。
講演後の質疑応答では、「国民は銀行システムに信頼を置いて良い」と答え
ています。(ブルームバーグ)
偶然のことだったようですが、中国の習近平国家主席がロシアを訪れ、プー
チン氏と首脳会談を行うタイミングで、わが岸田首相は電撃的にウクライナ
を訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を行いました。岸田首相のウクライナ
訪問は、G7首脳としては唯一訪問していないことと、G7広島サミットも
控えていることで「対面上の問題を払拭する」ためのようにも思え、それほ
ど意味はないと思いますが、習近平氏のロシア訪問はそれなりに大きな意味
を持つのではないかと考えます。
もともと、このロシアとウクライナの停戦があるとすれば、それは中国がそ
のカギを握っているのではないかと思っていましたが、習近平氏はプーチン
氏と4時間にも及ぶ非公開の会談を行ったと伝えられています。
詳しい内容は分かっていませんが、その中で「和平協議」についても話合わ
れたようです。
仮に停戦についてロシアとウクライナが今後話し合うとしても、現時点では
双方の主張に大きな隔たりがあり簡単でありませせん。直ぐに停戦が実現す
る可能性は低いとみられます。
ただ、プーチン氏としては、いまさら「振り上げた刀はおろせない」状況で
あるのは明らかで、ここに、中国との「友好関係を維持するため」といった
大義名分があれば、その可能性もまったくないわけではありません。
一方で、トップ会談では中国のロシアへの武器供与について話し合いが行わ
れた可能性もあり、ブリンケン米国務長官は厳しく批判しています。
いずれにしても、中国が動いたことで、ウクライナ情勢は新たな段階に入る
とみています。
欧米の素早い対応が功を奏し、株価が上昇し、債券も買われ金利が低下。
131円前後まで売られたドル円もやや戻っています。
このまま金融不安が完全に消え去ることはないと思われますが、峠は越した
可能性が高いと思われます。
さて、明日朝のFOMC会合の結果ですが、祝日の前のコメントで筆者は、
0.25ポイントの利上げを予想していましたが、月曜、火曜の海外市場の
動きからすると、その可能性は高まってきたようです。
パウエル議長は仮に0.25ポイントの利上げを行ったとしても、「金融不
安に対しては断固とした対応で臨む」といった、市場の混乱を払拭する形の
コメントも同時に発するのではないかと予想しています。
もちろんまだ結果はわかりません。予断のないよう構える必要があります。
本日のドル円は131円~134円といったレンジを予想します。
明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。
ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願
い申し上げます。
- [2023/03/22 09:24]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
UBS、クレディスイス買収で合意
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京市場では133円台で推移していたドル円はNYで
再び大きく下落。経営危機にある米ファーストリパブリックバンクの
株価が急落し、米長期金利も低下したことで、131円56銭まで
ドル売りが進む。
◆ユーロドルでもドル高が進む。水準を切り上げ、終始1.06台で
推移。
◆株式市場は3指数が揃って大幅安。金融不安は収まらず、銀行株を
中心に下落。ダウは384ドル、S&P500も43ポイント下げる。
◆債券は急騰。長期金利は3.42%台まで低下。
◆金は50ドルを超える大幅上昇。原油は続落し、2021年
12月以来となる65ドル台まで売られる。
◆2月鉱工業生産 → 0.0%
◆2月設備稼働率 → 78.0%
◆2月景気先行総合指数 → -0.3%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 63.4
本日の注目イベント
◆独 独2月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏1月貿易収支
◆欧 ラガルドECB総裁、議会証言
今朝の話題は、「UBSによるクレディスイス買収」一色です。
スイス最大手の銀行UBSが経営危機に揺れるクレディスイスを30億スイスフラン
(約4300億円)で買収することで合意しました。
当初、UBS側は10億ドル(約1300億円)で買収交渉を進めていましたが、ク
レディスイスの時価総額は1兆円を大幅に上回ることもあり、買収額が注目されてい
ましたが、結局30億スイスフランで決着したようです。
これには、スイス政府とスイス中銀の強い意向が働いたと思われます。
金融立国スイスとして、同国発の金融不安は何としても避けたいところで、
仮にクレディスイスが破綻したとなれば、同行一行の問題だけでは済まず、世界にお
けるスイスの金融機関全体の地位の低下にもつながるおそれがあるからです。
なにしろ、あの「ゴルゴ13」でさえも、受けた仕事は絶対に失敗しないということ
で、報酬は高額ですが、その全てを「スイス銀行」への振り込みを指定するほど、安
全性と匿名性が抜きん出ていたわけです。
同行は1856年に設立され、世界50カ国以上で国際業務を行っている、
世界でも有名なインターナショナル銀行でした。
筆者も、同行のジュネーブ支店を表敬訪問したことがありますが、その建物の重厚さ
と、営業室が日本のそれと大きく異なることに驚いた記憶があります。
時価総額を大幅に下回る金額でクレディスイスを手に入れたUBSは、結局、かつ
てのスイス3大銀行を「UBS1行」に仕立て上げたことになります。この買収が成
功するようだと、欧州ではドイツ銀行を始め、バークレーズ、HSBC、BNPパリ
バなど、競合する銀行から頭一つ抜けることになるかもしれません。
スイス政府はUBSに対し、クレディスイス買収に関連して発生し得る損失をカバー
するため90億スイスフランの保証を付与することを発表しています。
クレディスイスよりも先に経営危機に陥り、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)
を巡っては、受け皿銀行の入札期限は当初3月19日でしたが、適切な買い手が見つ
からず、期限が24日に延期されています。
ただ、連邦預金保険公社(FDIC)は現在、同行を少なくとも2つに分割して売却
することを模索している模様ですが、24日までに買い手が出て来ない場合には「解
体」の可能性もあるようです。
そんな中、「オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏」がバイデン政権高官と接触
していると、ブルームバーグは事情に詳しい関係者の話として伝えています。
話し合いでは、バフェット氏が米地銀セクターに何らかの方法で投資する可能性が議
論の中心となっているようで、また、同氏は現在の混乱全般についても勧告や助言を
行っていると報じています
バフェット氏はリーマン・ショックの影響から経営危機に瀕したゴールドマンを50
億ドル(当時の価値で約5000億円)を拠出し、同行を救済したことはあまりにも
有名ですが、同時のその救済は、「投資」としても極めて成功でした。
ゴールドマン株を格安で買うオプションをもらい、さらに投じた優先株の金額には1
0%という高金利が得られるという「破格の条件」でしたが、それでも当時はバフェ
ット氏以外に「火中の栗」を拾う投資家はいなかったということでしょう。バフェッ
ト氏の「慧眼」には驚くばかりです。
UBSによるクレディスイス買収で、金融不安もやや落ち着きを取り戻すかもしれま
せんが、明日からはFOMC会合が始まります。
パウエル議長の判断は依然として簡単ではなく、「利上げ見送りか、0.25ポイン
トの利上げか」で非常に悩ましいところです。どちらの可能性もありそうですが、こ
こはあえて「FRBはインフレ抑制を優先する」と予想したいと思います。先週のE
CBの例もあり、さらにUBSによる買収も、小幅利上げを後押しする材料かと思わ
れます。
本日のドル円は131円~133円程度を予想します。
- [2023/03/20 09:20]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ドル円131円台から133円台と乱高下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はNYの朝方に131円72銭前後まで売られたが、その後
米金利の上昇に133円台後半まで上昇するなど、荒っぽい動きが
続く。
◆ユーロドルはECBが0.5ポイントの利上げを決めたことで
底堅く推移。
◆株式市場は3指数が揃って大きく上昇。スイス中銀がクレディスイスに
最大7兆円の支援を決めたことなどが材料に。
◆債券は大きく売られ、長期金利は3.57%台に上昇。
◆金は反落し、原油は小幅に上昇。
◆新規失業保険申請件数 → 19.2万件
◆2月輸入物価指数 → -0.1%
◆2月輸出物価指数 → 0.2%
◆2月住宅着工件数 → 145.0万件
◆2月建設許可件数 → 152.4万件
◆3月フィラデルフィア連銀景況指数 → -23.2
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
◆欧 OECD経済見通し
◆米 2月鉱工業生産
◆米 2月設備稼働率
◆米 2月景気先行総合指数
◆米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
ドル円は荒っぽい動きが続いています。
NYではこれまでサポートと見られていた132円20銭辺りが下抜けすると、
ドル円は131円70銭台まで売られましたが、その後は大きく反発し、何と、
133円82銭辺りまで上昇するなど、なかなか落ち着き所が見つけにくい動き
が続いています。
131円台後半まで売られたドル円が値を戻したのは、米長期金利が大きく上昇
したことが一因です。
今週に入っては「リスクオフ」の流れが加速し、金利が大きく低下しましたが、
その「リスクオフ」が少しでも和らぐと債券は売られ、金利は急上昇します。
連日10~20ベーシスポイントも上下するなど、通常の何倍もの値動きです。
投機的な取引が全体を支配していることの裏返しと見られますが、昨日はクレデ
ィスイスへの資金供給や、資金流出が続いていた米ファースト・リパブリックバ
ンクへの複数銀行による預金預け入れが決まったことなどが緊張緩和につながっ
ています。
また、ECBが理事会で政策金利を0.5ポイント引き上げることを決定したこ
とも、米債券売りにつながった面もありそうです。
ECBは0.25ポイントの利上げに収めると見込んでいましたが、0.5ポイ
ントの利上げ決定は「インフレ抑制」を優先した結果かと思われます。
クレディスイス問題が表面化し、「金融システムの安定かインフレ阻止か」との
選択でしたが、ECBは後者を採択し、銀行の混乱には触れていません。
ラガルド総裁は、政策発表後の記者会見で次の動きに関する質問に、「現時点で
決定することは不可能だ」と答え、「われわれが想定する基本シナリオが確認さ
れ、それが持続するならば、さらなる行動が必要だ」と述べるにとどめています
。金融機関の健全性についてラガルド氏は、「銀行セクターは2008年に比べ
てはるかに堅固な状態にある」と述べ、リーマン・ショック時に比べ、セーフテ
ィ・ネットなどの安全性がはるかに高まっていると説明しています。
金融機関の混乱が続くなか、ECBがインフレ抑制を優先し、0.5ポイントの
利上げを決めたことで、来週のFRBの政策決定にも影響を及ぼす可能性は
ありますが、現時点では会合での大幅利上げの可能性は低いようです。
多くの米金融機関が来週のFOMC会合での利上げ見送りを予想する中、JPモ
ルガンアセットも、同様に「見送り」を予想しています。
その理由として、「長期にわたって変動し、累積かつ遅れて表れる影響が市場に
さらに波及するだろう。これは氷山の一角だと思う」、「今後、さらに多くの整
理が行われ、もっと多くの痛みが生じる」(同社、マイケルCIO)とし、FR
Bは金融の安定を最優先課題にすべきだと語っています。
混乱が続いているクレディスイスを巡っては、スイス金融当局は同国最大手のU
BSとの統合を狙っているようですが、UBS側は「強制的な統合」には反対し
ているようです。
また資金流出が続いているファースト・リパブリックバンクについては、バンク
・オブ・アメリカやシティなど大手行が、財務の安定化を図る米政府の要請で、
300億ドル(約4兆円)を同行に預け、流動性を確保する見通しです。
130-135円のレンジ内で推移しているドル円ですが、なかなか明確な方向
性を見いだせません。
この動きは為替に限らず、株、債券でも同様です。
来週のFOMCでは「据え置きか、0.25か」との選択かと思いますが、筆者
は0.25にやや分があると考えています。
米金利が急激に低下しており、利上げをし易いという環境になってきたことと、
米金融機関の混乱はそう長くは続かないと見ているからです。
インフレ抑制を後回しにし、その後インフレが再燃した際の経済的損出の方が、
足下の金融不安の拡大によるものよりも大きいと予想しています。
本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。
- [2023/03/17 09:44]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
今度はクレディ・スイスか?
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はNY時間朝方、2月のPPIやNY連銀製造業景況指数
が下振れしたことを受け急落。132円21銭前後までドル売りが
進んだが、その後133円台後半まで戻る荒っぽい動きに。
◆クレディ・スイス(CS)の経営危機が表面化したことで、
ユーロドルは大きく下落。1.0517まで売られ、対円でも
139円台半ばまで下落。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたものの、
ナスダックは小幅高。CS株の大幅安を受け、NYでも銀行株が
大きく売られる。
◆債券は急騰。長期金利は大きく低下し3.45%台に。
◆金は反発。原油は一段と下げ、前日比3ドル72セント安。
2021年12月以来、1年3カ月ぶりの安値を付ける。
世界景気の鈍化を織り込む動きが続き、一時は65ドル台まで下げる。
*******************(何もない時は空欄のままにします)
◆2月小売売上高 → -0.4%
◆3月NY連銀製造業景況指数 → -24.6
◆2月生産者物価指数 → -0.1%
◆3月NAHB住宅市場指数屋 → 44
本日の注目イベント
◆豪 豪2月雇用統計
◆日 11月鉱工業生産(確定値)
◆日 2月貿易統計
◆日 尹韓国大統領が来日
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 2月輸入物価指数
◆米 2月輸出物価指数
◆米 2月住宅着工件数
◆米 2月建設許可件数
◆米 3月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 イエレン財務長官、上院財政委員会で証言
クレディ・スイスよ、お前もか・・・・。
スイス大手銀行のクレディ・スイス(CS)が経営危機に陥っています。
筆頭株主が追加出資の可能性を否定したことを受け、同行の株価は24%安と、
過去最大の下落率を記録し、上場来安値を更新しました。CSはスイス中銀に同
行に対する支援を公に示すことを要請し、スイス中銀も必要なら流動性を供給す
ると発表しています。
もっとも、CSの経営危機が表面化したのは今に始まったことではなく、これま
でにも何度もニュースに取り上げられています。
もともとスイスでは、UBS、SBC、CSの「3大銀行」の時代が長く続いて
いましたが、その上位2行が合併し、現在のUBSが誕生しました。そのためU
BSとCSとの差はさらに拡大し、スイス国内での地位も低下が歴然でした。
同行は日本でも不祥事を起こしています。CSのプライベートバンクの日本支店
に、当局の検査が入った際、証拠隠滅を図るため多くの書類を段ボール箱に入れ
て持ち出したことが発覚。結局、「銀行免許取り消し」という厳しい処分が下さ
れ、日本からの撤退を余儀なくされました。
この処分に、スイスと日本の金融当局の関係が悪化する事態もありました。
フランス最大の銀行BNPパリバは一部の顧客に対し、CSグループがカウンタ
ーパーティーのデリバティブ契約でBNPパリバに当事者交替を求める契約を今
後受け付けないと通知しました。CSに対するカウンターパーティーリスクを削
減する動きです。米財務省も、CSグループの状況を監視していると、同省報道
官が述べています。
エコノミストのルービニ氏は、「CSは、一部の基準からすると、大き過ぎてつ
ぶせないが、大き過ぎて救済できないかもしれないという問題もある」と述べて
います。
米国の2行が破綻したタイミングで今度はCSの危機が一気に表面化し、金融市
場では再び「リスク回避」の動きが強まってきました。
代表的な安全資産である米国債は大きく買われ、長期金利は前日比で20ベーシ
スポイント以上も低下しています。1週間前は4%近かった同金利は3.45%
まで一気に低下しており、この動きが続けばシリコンバレー銀行(SVB)も破
綻せずに済んだ可能性もあり、皮肉な事態になっています。もっとも、債券が上
昇した直接の原因は同行の破綻ですが・・・・。
乱高下したのは米国債だけではなく、ドル円もNYの朝方には132円21銭前
後まで売られ、その後133円台後半まで上昇し、前日144円台で推移してい
たユーロ円は139円台半ばまで急落しています。
また、前日小幅安だった「金」は再び上昇を加速させ、2000ドルを目指して
いるとの声も出ています。
WTI原油価格は連日大きく売られ、1年3カ月ぶりの安値を記録しています。
世界景気の鈍化で原油消費量が減るといった見通しに加え、昨日は米国の原油在
庫が拡大していたことや、国際エネルギー機関(IEA)が月報で、世界石油市
場が供給過剰に見舞われていると指摘したことが下落に拍車をかけています。
米銀2行の破綻とCSの経営危機がここ1週間で一気に表面化してきました。
「寝耳に水」といった印象でしたが、筆者はSVBの破綻の影響は限定的と見
ていましたが、FRBの金融政策に与える影響は別の問題を提起しています。
世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターを創設したダリオ氏は、「
SVBの破綻は 『Canary in the Coal Mine』(炭鉱のカナリア)だ」と表現
し、「もっと多くの問題が顕在化する可能性が高い。今はターニングポイント
に近づいている」と指摘しています。(ブルームバーグ)
ドル円は何とも予想しづらい局面ですが、下値では132円20銭辺りがサポ
ーとなっていると見られます。ここが抜けるかどうかが焦点です。日経平均は
大きく下げると思われますが、その際に、ドル円がどのように動くのか。
レンジは132円~135円といったところでしょうか。
- [2023/03/16 09:43]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲