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6月会合での利上げを巡り意見分かれる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は140円台を回復する場面があったものの、買いは続かず
上値の重い展開に。求人件数が上振れしたことで140円42銭まで
ドル高が進んだが、FRB高官のハト派発言に139円台前半まで反落。
◆ユーロドルは続落し、およそ2カ月ぶりに1.0635まで売られる。
中国のPMIが予想を下回ったことが影響。
◆株式市場では3指数とも売られる。ダウは3日続落となる134ドル安。
◆債券は続伸。長期金利は3.64%台に低下。
◆金は続伸。原油は続落し68ドル台に。こちらも中国の経済指標の
低下が影響。

◆5月シカゴ購買部協会景気指数       →  40.4
◆4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数  →  1010.3万件

本日の注目イベント

◆中   5月財新製造業PMI
◆独   独5月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏5月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏4月失業率
◆欧   ECB議事要旨(5月会合分)
◆米   5月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米   5月ADP雇用者数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月ISM製造業景況指数
◆米   5月自動車販売台数
◆米   労働生産性(1-3月、確定値)
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、ウェビナーで講演


米債務上限の合意案を巡っては、共和党強硬派らが強く反対していることで
採決に不透明感が漂うなか、共和党強硬派はマッカーシー下院議長の解任を
求めることも辞さない構えを見せています。しかし、議長は脅しをはねつけ
た上で、「議会が法案を可決し、米国がデフォルトを回避できると確信して
いる」と述べています。
同法案は、米東部時間31日夜には可決する見込みのようで、可決後は上院
に回され再び審議されることになりますが、「Xデー」が6月5日とみられ
ていることから、厳しい状況が続いていることに変わりはなく、残された時
間は限定的です。米財務省の発表によると、同省の現金残高は30日時点で
374億ドル(約5兆2100億円)まで減少し、2017年以来の低水準
を更新しています。
バイデン大統領はコロラド州への訪問を前に、「計画通りに進んでいるよう
だ」と話し、共和党のエマー下院院内幹事はこれより先、「賛成票は確保し
た」と確信を示し、「法案は成立する」と述べています。一方、民主党のク
ラーク下院院内幹事は、「共和党が賛成票を確保したかどうかまだ分からな
い」と話しているとブルームバーグは伝えています。

ドル円は先週と打って変わって上値を徐々に重くしてきました。米金利の上
昇がドルを支えて来ましたが、その金利が低下傾向を見せていることがドル
売りを誘引している形です。
昨日のNYでは4月の求人件数が予想外に増加しており、1010.3万件
と3カ月ぶりの高水準だったことで発表直後、ドル円は140円台前半まで
買われましたが、勢いはなく、その後はFOMCメンバーによるハト派寄り
の発言に139円24銭までドル売りが進みました。昨日のコメントでも「
ブラックアウト」前のFOMCメンバーの発言に注目したいと書きました
が、昨日の発言を経て、やはりメンバーの意見が分かれていることがあらた
めて確認されました。6月の会合では0.25ポイントの利上げが確実視さ
れてはいますが、今週末の雇用統計と5月のCPIの結果いかんでは、「分
からなくなる」可能性もありそうです。筆者は依然、利上げ見送りを予想し
ています。

ジェファーソンFRB理事は「次回会合で政策金利の据え置きを決定しても
、今サイクルのピーク金利に達したと解釈すべきではない」と指摘し、「実
際には、次回会合で利上げを見送ることは、追加引き締めの程度について決
定する前に委員会がより多くのデータを見ることを可能にするだろう」と述
べ、利上げ見送りを示唆しながらも、それが利上げの停止を意味するわけで
はないとしています。
またフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、「一度様子を見ていいだろう
と思う」と述べ、「6月会合では、私は利上げ見合わせを検討する陣営に確
実に入っている」と、かなりハト派的な発言を行っています。
一方、ボウマンFRB理事は、家賃の下落や不動産価格が横ばいで推移して
いることを例に挙げ、「これはインフレ率の低下を目指す当局の闘いに影響
を及ぼし得る」と発言。ボストン連銀のコリンズ総裁も、「米金融当局は実
に高すぎるインフレの抑制に努めている」と述べており、両総裁はニュート
ラルと見られます。
ただ、FOMCメンバーではありませんが、ブラックロックのフィンクCE
Oは会合で、「インフレは依然として高過ぎであり、あまりに根強い。米金
融当局の仕事はまだ終わっていない」と指摘しています。(ブルームバーグ)
パウエル議長も先のイべントでは据え置きを示唆していました。まだ利上げ
の確率の方が高いと思われますが、今回はまさに「データ・ディペンデント
」と言えるでしょう。

ドル円が円高方向に向きを変えてきたことで、クロス円も概ね下げてきまし
た。昨年からの傾向とも言えますが、ドル円のボラティリティーが急速にあ
がっていることから、投機筋やディーラーがドル円の取り引きを増やしてい
ると思われ、それがまたボラティリティー上昇につながっています。
ユーロ円などのクロス円は、ほぼドル円の方向と一致しており、ドル円の動
きをどのように読むのかにかかっています。

本日のドル円は138円50銭~140円30銭程度と予想します。


ドル円は介入警戒感から141円手前より急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間に141円目前まで買われたドル円は、午後3時半頃
急落。財務省など金融当局が3者会合を行うとの情報に140円
前半まで下げる。NYでは上値が重く、米金利が大きく低下したことで
139円57銭までドル売りが進む。
◆ユ-ロドルは1.07台前半から半ばで小動き。
◆債務上限問題の法案採決への準備が行われたが、共和党保守強硬派
から批判が続出。ダウは50ドル下げ、ナスダックはテスラ株などの
上昇もありプラスで引ける。
◆債券は急騰。長期金利は大幅に低下し3.68%台に。
◆金は反発。原油は大きく下げ70ドルを割り込む。

◆1-3月期四半期住宅価格指数      →  0.5%
◆3月ケース・シラ-住宅価格指数     →  -1.15%
◆3月FHFA住宅価格指数        →  0.6%
◆6月コンファレンスボード消費者信頼感指数→  102.3

本日の注目イベント

◆豪   豪4月消費者物価指数
◆日   4月鉱工業生産
◆日  4月小売売上高
◆中   5月中国製造業PMI
◆中   5月中国サービス業PMI
◆独   独5月雇用統計
◆独   独5月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ECB金融安定報告
◆英   英4月消費者信用残高
◆米   5月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   4月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   コリンズ・ボストン連銀総裁とボウマンFRB理事、イベント開会の挨拶
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   ジェファーソン・FRB理事講演
◆加   カナダ1-3月期GDP


債務上限問題の基本合意が発表され、NYとLDNが休場だったにもかかわらず、
ドル円は荒っぽい動きを見せ、乱高下しています。昨日の朝方は140円台で始ま
りましたが、140円台は維持し、その後植田日銀総裁が参議院財政金融委員会で
、「賃金が継続的に上昇していく中での持続的・安定的な2%の物価上昇の達成に
はまだ時間があると考えているので、粘り強く金融緩和をというスタンスだ」と述
べたことが材料となり円が売られました。この発言を好感した株式市場でもマイナ
ス圏で推移していた日経平均株価が、一時120円を超える上昇を見せたこともあ
り、ドル円は午後3時過ぎには140円92銭前後まで買われています。

ただその後ドル円は急落しています。財務省、金融庁、日銀が3者会合を開くとい
った報道が引き金でした。会合後財務省の神田財務官は、「為替相場はファンダメ
ンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度の変動は好ましくない」
と、先週から続く足元の円安をけん制する発言を行いました。神田氏はその上で、
「為替市場の動向をしっかり注視し、必要があれば適切に対応していく考えに変わ
りはない」と語っていました。
日銀総裁による金融緩和政策継続発言で円安が進み、あわてて「過度の変動には対
応する」とコメントする財務省。この構図は昨年からずーと続いています。
植田総裁からは、市場が想定していた以上のハト派寄りの発言が相次ぎ、これが円
安と株高を加速させている面があることは、市場の一致した見方かと思われます。

筆者は、先週末とさらに今週に入っても、債務上限問題の基本的合意が株高、債券
高、金利低下に伴いドル円が売られるリスクに言及してきました。
連休明けのNY市場ではナスダック指数は上昇しましたが、ダウは下落し、債券は
大きく買われたことから金利が大幅に低下し、利益確定のドル売りを誘発した格好
です。ある程度想定通りの動きだったと言えます。
NY株が思ったほど買われなかった理由は、債務上限問題を巡る議会での法案採決
に不透明感が出て来たからです。
共和党強硬派議員らは、デフォルト回避を目指したホワイトハウスとマッカーシー
下院議長の合意に対し、「報復」すると息まいています。
テキサス州選出のロイ下院議員は、「たとえ何が起きようとも、報いを受けること
になるだろう」と過激な言葉を用いて批判しています。
同議員の他、共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」のメンバ
ーらもマッカーシー議長を非難しています。(ブルームバーグ)
今回の基本的合意は「妥協の産物」との批判はあるものの、合意に至らず、万が一
米国がデフォルトに陥った場合の世界的な影響は、計り知れないものがあります。
主義主張がどうであれ、現時点での選択肢は「合意」以外にはありません。
もし、この先議会が法案を否決するようなら、彼らの名前は歴史に「汚名」として
残ることになるでしょう。

リッチモンド連銀のバーキン総裁はオンラインイベントで、「需要を低下させるこ
とでインフレ率を押し下げる必要があると考える」と述べ、その上で、「どのよう
な見方をしても、インフレ率は高すぎるようにしか見えない」と発言しています。
来週から「ブラックアウト」に入るため、今週はFOMCメンバーによる発言機会
が多くあり、今日も多くの発言が聞かれそうです。
6月会合では0.25ポイントの利上げ確率が高まっていますが、今週末の雇用統
計と
会合期間中に発表される5月のCPIの結果次第ではどうなるか分かりません。
多くのメンバーが「タカ派寄り」の発言を行うとみられますが、メンバーの中でも
意見が分かれているのも事実です。注目したいと思います。

本日のドル円は139円~140円80銭程度を予想します。


ドル円140円台で推移 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆ドル円は東京時間に140円92銭近辺まで上昇したが、
その後じり安の展開となり、欧州時間には140円12銭まで下げる。
◆ユーロドルはやや買い戻しが優勢となり、1.0729前後
まで上昇。LDN、NY市場が休みのため、小動きのなか薄商い。

本日の注目イベント

◆豪   豪4月住宅建設許可件数
◆日   4月失業率
◆欧   ユーロ圏5月消費者信頼感指数(確定値)
◆欧   ユーロ圏5月景況感指数
◆米   1-3月期四半期住宅価格指数
◆米   3月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   3月FHFA住宅価格指数
◆米   5月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、インタビュー

ドル円は昨日の朝方、ドル高の流れが続き140円92銭前後まで買われる
場面がありました。米債務上限問題が基本合意したことで、朝方には日経平
均株価が600円を超える上昇を見せたことで、「リスクオン」が強まり、
低金利の円が売られた格好でした。
ただ、その後ドル円はじり安の流れとなり、欧州時間では140円12銭ま
で下げています。基調としては依然ドル高の流れは変わっていないと見られ
ますが、今夜の米債券市場が債務上限問題の合意を受けどのように反応する
のかが重要なポイントになろうかと考えます。NY株式市場は、合意を見越
して先週金曜日に大幅高を見せましたが、この流れが続き、先物市場でも若
干上昇しているようです。
株安、債券安が、ドル円を押し上げて来たことを考えると、株高、債券高は
ドル円を押し下げるのか、見極めたいところです。

ブルームバーグによると、米連邦議会の下院規制委員会は米東部時間30日
午後3時(日本時間31日午前4時)から会合を開き、債務上限の関連法に
ついて協議を行う模様です。
バイデン政権の閣僚やホワイトハウスの上級スタッフは既に29日早朝まで
に、民主党の下院議員少なくとも60人に電話などで個別に接触し、法案に
賛成票を投じるよう求めています。バイデン大統領は、「この合意は想定し
得る最悪の危機を防ぐ」と述べ、「この法案を通過させるよう上下両院に強
く求める」と語っています。また、共和党のマコネル上院院内総務も、法案
に賛成するよう上院共和党議員に呼び掛けています。
法案は承認される見込みで、法案では法定債務上限の効力を2025年1月
まで停止することになっています。これはバイデン大統領の残りの任期と期
間を合わせており、これでバイデン大統領は任期中には同問題で頭を悩ます
ことはなくなりますが、2024年の大統領選にも出馬する意向を示してい
ることから、その先は分かりません。

28日に行われたトルコ大統領選の決選投票で、エルドアン氏が再選されま
した。
ロシアのプーチン大統領はエルドアン氏に対して「親愛なる友人よ」と祝辞
を送っています。勝利したエルドアン氏は支援者を前に、「金利を引き下げ
ることで、インフレも下がる」と述べ、相変らず「経済原則」とは真逆の政
策を採る意向を示していました。
エルドアン氏が勝利したことを受け、再び「ドル買いリラ売り」が加速し、
一時は0.7%安の「20.1リラ」を付け、過去最安値近辺まで売られま
した。
リラは対円でも先週末には6円近辺まで売られ、最安値圏までリラ安が進ん
でいました。トルコでは一時の猛烈なインフレは収まってきたものの、直近
4月の消費者物価指数は年率で「43.68%」と依然として高水準です。
2月に起きた大地震の影響もあり失業率は「10%」です。また財政も、貿
易収支も赤字が続き、トルコ経済は浮上のきっかけさえつかめない状態が続
いています。エルドアン氏のこれからの経済立て直しも、これまで通り困難
が待ち受けています。

本日のドル円は139円50銭~141円程度を予想します。


米債務上限問題基本合意に達する 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸。発表されたPCEデータが市場予想を超え米金利も
上昇したことから、ドルは朝方から買われ、140円73銭まで上昇。
◆ユーロドルでもドル高が進み、1.0702まで売られたが、
1.07台はキープ。
◆株式市場は大幅反発。債務上限問題で合意の観測が強まり、リスク
資産が買われた。ダウは328ドル上げ、S&P500も54ポイント
買われ、4200の大台を回復。
◆債券は朝方には続落して始まったがその後買われる。
長期金利は3.79%台に低下。
◆金はほぼ横ばい。原油も小幅ながら反発。

◆4月個人所得                 →  0.4%
◆4月個人支出                 →  0.8%
◆4月PCEデフレータ(前月比)        →  0.4%
◆4月PCEデフレータ(前年比)        →  4.4%  
◆4月PCEコアデフレータ(前月比)      →  0.4%   
◆4月PCEコアデフレータ(前年比)      →  4.7%
◆4月耐久財受注                →  1.1%
◆5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  59.2

本日の注目イベント

◆日  3月景気一致指数
◆日  3月景気先行指数(CI)(改定値)
◆英   休場(バンクホリデー)
◆米   休場(メモリアルデー)


米債務上限問題を巡っては、先週末金曜日のコメントで、「交渉が今週末に合意し、
来週にも議会の承認を経てぎりぎり6月1日にはバイデン大統領が署名を行い、な
んとか最悪の事態を回避するのではないかと、個人的には予想していますが、どう
でしょう」と書きましたが、ほぼ予想通りの展開でした。
マッカーシー下院議長はメディアに向けて、「 After few weeks negotiation ,we
have come to the agreement in principal」(基本合意に達した)と述べ、31
日には議会で採決され、その後バイデン大統領の署名が行われる見通しです。

ただ、合意は「妥協の産物」で、両者とも晴れ晴れとした姿勢を見せてはいません
。結局、「デフォルトを避ける」ことを最優先した格好で、バイデン大統領も、(
合意したが)「誰もが望むわけではないことを意味する」と、奥歯に物の挟まった
言い方で、「妥協」であったことを認めた格好です。
低所得層向けの支援策では、支給要件を厳しくする共和党の要求に、民主党から反
発があったとブルームバーグは報じています。
マッカーシー下院議長も28日、FOXテレビの番組で、「皆が全てにおいて満足
しているわけではないだろうが、正しい方向への一歩だ」と発言し、民主党議員の
一部に加えて、「共和党議員の過半数がこの法案に賛成票を投じると思う」と話し
ています。
基本合意に達する前には、早ければ6月1日とされていた「Xデー」は、資金繰り
の観点から6月5日まで延期されたようですが、これでようやく「米債務上限問題
」は落ち着きます。
現行の債務上限額を超えても、2025年までの2年間は、時限措置として法案に
盛り込まれるようです。従って、来年はこの「年中行事」も見られないかもしれま
せん。

ドル円は、それでも先週の流れを引き継ぎ、週明け早朝には140円86銭前後ま
で買われ、ドル高の流れが続いています。
先週は、債務上限問題の不透明さから株式と債券が売られ、金利上昇に伴ってドル
円はほぼ一貫して買われました。
「基本合意」したということで、今週はその逆の動きが想定されますが、今のとこ
ろその気配は感じられません。
今日は米国が「メモリアルデー」のため、NY市場は休場ですが、焦点は米債券市
場が明日、どのような反応を見せるのかという点です。教科書的に考えれば株と債
券が買われ、金利低下に伴ってドルが売られ易いとみます。。今日の日経平均株価
も大幅高になると予想していますが、一方で、株高は「リスクオン」につながり、
低金利の円が売られ易い面も意識しないといけないのかもしれません。

底堅い動きを見せているドル円の、この上方のターゲットは、昨年11月に付けた
141円台半ばから142円台前半ということになります。
円はドル以外の主要通貨に対しても売られており、円全面安の展開がさらに続くよ
うだと、貿易収支の赤字幅拡大につながり、それがドル需要を増加させ、さらに円
安が進むといった、昨年と同様な「悪循環」に陥る可能性もなくはありません。
いずれにしても明日の米債券市場を見極めたいと思います。

本日のドル円は139円80銭~141円50銭程度を予想します。


ドル円140円台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し、およそ半年ぶりに140円台に乗せる。
GDP改定値が上振れるなど、インフレ鎮静化に歯止めがかからない指標
が出たことや、米金利がさらに上昇したことを受け、140円23銭まで
「ドル高円安」が進む。
◆ユーロドルでもドルが買われ、一時1.0708まで売られ、
およそ2カ月ぶりの安値に。
◆株式市場はエヌビディアが急伸し、ハイテク株をけん引。ナスダックは
213ポイント上昇。一方ダウは小幅ながら5日続落とまちまち。
◆債券は続落し、長期金利は3.81%台に上昇。
◆金はドル高を受け4日続落。原油も「OPECプラス」が追加減産には
否定的との報道から大きく下げ71ドル台に。
*******************(何もない時は空欄のままにします)

◆新規失業保険申請件数      →  22.9万件
◆7-9月GDP(改定値)    →  1.3%
◆4月中古住宅販売成約件数    →  0.0%


本日の注目イベント

◆豪   豪4月小売売上高
◆日  5月東京都区部消費者物価指数
◆英   英4月小売売上高
◆米   4月個人所得
◆米   4月個人支出
◆米 4月PCEデフレータ(前月比)
◆米 4月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 4月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 4月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   4月耐久財受注
◆米   5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

ドル円は先週から「一歩後退、二歩前進」の動きを見せ、昨日のNYでは
およそ半年ぶりとなる140円台に乗せ、一時は140円23銭までドル
高が進みました。ドル高が進む一方、まだしばらく金融緩和が継続される
とみられる円は、ドル以外の主要通貨に対しても売られ「最弱通貨」の位
置に追い込まれています。

米1-3月期のGDP改定値が速報値の「1.1%」から「1.3%」に
上方修正され、リセッション入りと見られている米景気が底堅い動きを見
せていることで、インフレの鈍化には逆風となっており、6月会合では0
.25ポイントの利上げを徐々に織り込む形となり、ドルを押し上げる格
好になっています。
ただ、国内総所得(GDI)は「2.3%」減少し、2四半期連続でマイ
ナスを記録しています。
ボストン連銀のコリンズ総裁は、「インフレ率はまだ高過ぎるが、緩和を
示す有望な兆候もいくつかある」と講演で述べ、「われわれは利上げを一
時停止できる地点、あるいはその近くにいるのではないかと考える」とハ
ト派寄りの発言を行いましたが、ドル高傾向が支配的な市場にはほとんど
影響はなかったようです。

債務上限問題は残された時間が刻々失われていく中、依然として合意には
至っていません。
与野党の相違点も明らかになり、合意に近づいているのは確かかと思われ
ますが、マッカーシー下院議長は、「ある程度は進展があったと思うが、
未解決の問題がある。この問題を解決するため、われわれのチームには2
4時間体制で働くよう指示した」と述べ、その上で、「最終的に全員がハ
ッピーになるとは思わない。それが現在、このシステムの仕組みだ」と述
べています。一方バイデン大統領は、共和党に対して歳出額の2年凍結案
を提示したとし、「連邦債務上限と歳出を巡り生産的な協議が行われてお
り、交渉は妥結するだろう」と、引き続き楽観的な見方を示しています。
(ブルームバーグ)
共和党の有力議員は、交渉は26日にも合意に達する可能性があると話し
ています。交渉が今週末に合意し、来週にも議会の承認を経てぎりぎり6
月1日にはバイデン大統領が署名を行い、なんとか最悪の事態を回避する
のではないかと、個人的には予想していますが、どうでしょう。

ドル円は約半年ぶりに140円台を回復しました。
昨年10月21日の151円94銭から、今年1月16日の127円22
銭まで下げた下落分(24円72銭)の「半値戻し」を達成したことにな
ります。
米利上げ観測がなかなか消えないことに加え、新たに就任した植田日銀総
裁のYCCの修正局面も、思った以上に後ずれするとの見方からドルが買
われ、圧倒的低金利の円が売られていると考えます。
植田氏は就任前から長期間にわたる大規模緩和継続による「副作用も出て
いる」ことに言及しており、早期に「YCCを含む何らかの修正」に踏み
切るとの観測がありましたが、国会等での発言を聞くと、ややトーンが変
化してきたような印象も受けます。

日経新聞は植田氏とのインタビューの内容を今朝の紙面で明らかにしてい
ます。
総裁は、物価上昇が続き、「国民全員にかなり大きな負担になっている」
との認識を示し、「サービス部門での価格上昇も進んでいる。原料価格が
低下しても、需要面の高まりから物価高が継続する可能性が高い」と述べ
ています。
日本の直近の消費者物価指数(CPI)は総合で「3.5%」、コアコア
では「4.1%」といずれも前月よりも上昇し、再び騰勢傾向を強めてい
ます。
総裁は、それでも現行の大規模緩和政策を止めない理由を「基調適な物価
上昇率はすこしずつ上がってきているのは事実だが、持続的・安定的(な
達成)には届いていない」と語っていました。日銀は、物価上昇率は20
23年後半には2%を下回ると予想しています。
また拙速な金融政策の変更は避けたいとしながらも、「政策の継続、修正
については効果と副作用をみて判断する。(効果と副作用の)バランスに
変化があれば修正はあり得る」とも話しています。
筆者の記憶が正しけば、黒田前総裁は昨年の決定会合後の会見では、「物
価上昇は2023年第2四半期辺りには1.5%程度まで下がる」と述べ
ていたようでしたが、実質金利が大きくマイナスとなっている中、「国民
全員」ではなく、大幅な賃上げも出来ない中小企業で働いている人にとっ
ては、毎月の生活を維持するのは大変なことなのでしょう。

140円台を示現して、やや達成感が出ることで一旦上昇が止まるのか、
あるいは引き続き上値を試す動きになるのか、やはり債務上限問題が気に
なります。

本日のドル円は139円~140円80銭程度を予想します。


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決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。