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UBS、クレディスイス買収で合意 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場では133円台で推移していたドル円はNYで
再び大きく下落。経営危機にある米ファーストリパブリックバンクの
株価が急落し、米長期金利も低下したことで、131円56銭まで
ドル売りが進む。
◆ユーロドルでもドル高が進む。水準を切り上げ、終始1.06台で
推移。
◆株式市場は3指数が揃って大幅安。金融不安は収まらず、銀行株を
中心に下落。ダウは384ドル、S&P500も43ポイント下げる。
◆債券は急騰。長期金利は3.42%台まで低下。
◆金は50ドルを超える大幅上昇。原油は続落し、2021年
12月以来となる65ドル台まで売られる。

◆2月鉱工業生産                →  0.0%
◆2月設備稼働率                →  78.0%
◆2月景気先行総合指数             →  -0.3%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   →  63.4

本日の注目イベント

◆独   独2月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏1月貿易収支
◆欧   ラガルドECB総裁、議会証言

今朝の話題は、「UBSによるクレディスイス買収」一色です。
スイス最大手の銀行UBSが経営危機に揺れるクレディスイスを30億スイスフラン
(約4300億円)で買収することで合意しました。
当初、UBS側は10億ドル(約1300億円)で買収交渉を進めていましたが、ク
レディスイスの時価総額は1兆円を大幅に上回ることもあり、買収額が注目されてい
ましたが、結局30億スイスフランで決着したようです。
これには、スイス政府とスイス中銀の強い意向が働いたと思われます。
金融立国スイスとして、同国発の金融不安は何としても避けたいところで、
仮にクレディスイスが破綻したとなれば、同行一行の問題だけでは済まず、世界にお
けるスイスの金融機関全体の地位の低下にもつながるおそれがあるからです。
なにしろ、あの「ゴルゴ13」でさえも、受けた仕事は絶対に失敗しないということ
で、報酬は高額ですが、その全てを「スイス銀行」への振り込みを指定するほど、安
全性と匿名性が抜きん出ていたわけです。

同行は1856年に設立され、世界50カ国以上で国際業務を行っている、
世界でも有名なインターナショナル銀行でした。
筆者も、同行のジュネーブ支店を表敬訪問したことがありますが、その建物の重厚さ
と、営業室が日本のそれと大きく異なることに驚いた記憶があります。
時価総額を大幅に下回る金額でクレディスイスを手に入れたUBSは、結局、かつ
てのスイス3大銀行を「UBS1行」に仕立て上げたことになります。この買収が成
功するようだと、欧州ではドイツ銀行を始め、バークレーズ、HSBC、BNPパリ
バなど、競合する銀行から頭一つ抜けることになるかもしれません。
スイス政府はUBSに対し、クレディスイス買収に関連して発生し得る損失をカバー
するため90億スイスフランの保証を付与することを発表しています。

クレディスイスよりも先に経営危機に陥り、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)
を巡っては、受け皿銀行の入札期限は当初3月19日でしたが、適切な買い手が見つ
からず、期限が24日に延期されています。
ただ、連邦預金保険公社(FDIC)は現在、同行を少なくとも2つに分割して売却
することを模索している模様ですが、24日までに買い手が出て来ない場合には「解
体」の可能性もあるようです。
そんな中、「オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏」がバイデン政権高官と接触
していると、ブルームバーグは事情に詳しい関係者の話として伝えています。
話し合いでは、バフェット氏が米地銀セクターに何らかの方法で投資する可能性が議
論の中心となっているようで、また、同氏は現在の混乱全般についても勧告や助言を
行っていると報じています
バフェット氏はリーマン・ショックの影響から経営危機に瀕したゴールドマンを50
億ドル(当時の価値で約5000億円)を拠出し、同行を救済したことはあまりにも
有名ですが、同時のその救済は、「投資」としても極めて成功でした。
ゴールドマン株を格安で買うオプションをもらい、さらに投じた優先株の金額には1
0%という高金利が得られるという「破格の条件」でしたが、それでも当時はバフェ
ット氏以外に「火中の栗」を拾う投資家はいなかったということでしょう。バフェッ
ト氏の「慧眼」には驚くばかりです。

UBSによるクレディスイス買収で、金融不安もやや落ち着きを取り戻すかもしれま
せんが、明日からはFOMC会合が始まります。
パウエル議長の判断は依然として簡単ではなく、「利上げ見送りか、0.25ポイン
トの利上げか」で非常に悩ましいところです。どちらの可能性もありそうですが、こ
こはあえて「FRBはインフレ抑制を優先する」と予想したいと思います。先週のE
CBの例もあり、さらにUBSによる買収も、小幅利上げを後押しする材料かと思わ
れます。

本日のドル円は131円~133円程度を予想します。


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ドル円131円台から133円台と乱高下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はNYの朝方に131円72銭前後まで売られたが、その後
米金利の上昇に133円台後半まで上昇するなど、荒っぽい動きが
続く。
◆ユーロドルはECBが0.5ポイントの利上げを決めたことで
底堅く推移。
◆株式市場は3指数が揃って大きく上昇。スイス中銀がクレディスイスに
最大7兆円の支援を決めたことなどが材料に。
◆債券は大きく売られ、長期金利は3.57%台に上昇。
◆金は反落し、原油は小幅に上昇。

◆新規失業保険申請件数          →  19.2万件
◆2月輸入物価指数            →  -0.1%
◆2月輸出物価指数            →  0.2%
◆2月住宅着工件数            →  145.0万件
◆2月建設許可件数            →  152.4万件
◆3月フィラデルフィア連銀景況指数    →  -23.2

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
◆欧   OECD経済見通し
◆米   2月鉱工業生産
◆米   2月設備稼働率
◆米   2月景気先行総合指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

ドル円は荒っぽい動きが続いています。
NYではこれまでサポートと見られていた132円20銭辺りが下抜けすると、
ドル円は131円70銭台まで売られましたが、その後は大きく反発し、何と、
133円82銭辺りまで上昇するなど、なかなか落ち着き所が見つけにくい動き
が続いています。

131円台後半まで売られたドル円が値を戻したのは、米長期金利が大きく上昇
したことが一因です。
今週に入っては「リスクオフ」の流れが加速し、金利が大きく低下しましたが、
その「リスクオフ」が少しでも和らぐと債券は売られ、金利は急上昇します。
連日10~20ベーシスポイントも上下するなど、通常の何倍もの値動きです。
投機的な取引が全体を支配していることの裏返しと見られますが、昨日はクレデ
ィスイスへの資金供給や、資金流出が続いていた米ファースト・リパブリックバ
ンクへの複数銀行による預金預け入れが決まったことなどが緊張緩和につながっ
ています。
また、ECBが理事会で政策金利を0.5ポイント引き上げることを決定したこ
とも、米債券売りにつながった面もありそうです。

ECBは0.25ポイントの利上げに収めると見込んでいましたが、0.5ポイ
ントの利上げ決定は「インフレ抑制」を優先した結果かと思われます。
クレディスイス問題が表面化し、「金融システムの安定かインフレ阻止か」との
選択でしたが、ECBは後者を採択し、銀行の混乱には触れていません。
ラガルド総裁は、政策発表後の記者会見で次の動きに関する質問に、「現時点で
決定することは不可能だ」と答え、「われわれが想定する基本シナリオが確認さ
れ、それが持続するならば、さらなる行動が必要だ」と述べるにとどめています
。金融機関の健全性についてラガルド氏は、「銀行セクターは2008年に比べ
てはるかに堅固な状態にある」と述べ、リーマン・ショック時に比べ、セーフテ
ィ・ネットなどの安全性がはるかに高まっていると説明しています。

金融機関の混乱が続くなか、ECBがインフレ抑制を優先し、0.5ポイントの
利上げを決めたことで、来週のFRBの政策決定にも影響を及ぼす可能性は
ありますが、現時点では会合での大幅利上げの可能性は低いようです。
多くの米金融機関が来週のFOMC会合での利上げ見送りを予想する中、JPモ
ルガンアセットも、同様に「見送り」を予想しています。
その理由として、「長期にわたって変動し、累積かつ遅れて表れる影響が市場に
さらに波及するだろう。これは氷山の一角だと思う」、「今後、さらに多くの整
理が行われ、もっと多くの痛みが生じる」(同社、マイケルCIO)とし、FR
Bは金融の安定を最優先課題にすべきだと語っています。

混乱が続いているクレディスイスを巡っては、スイス金融当局は同国最大手のU
BSとの統合を狙っているようですが、UBS側は「強制的な統合」には反対し
ているようです。
また資金流出が続いているファースト・リパブリックバンクについては、バンク
・オブ・アメリカやシティなど大手行が、財務の安定化を図る米政府の要請で、
300億ドル(約4兆円)を同行に預け、流動性を確保する見通しです。

130-135円のレンジ内で推移しているドル円ですが、なかなか明確な方向
性を見いだせません。
この動きは為替に限らず、株、債券でも同様です。
来週のFOMCでは「据え置きか、0.25か」との選択かと思いますが、筆者
は0.25にやや分があると考えています。
米金利が急激に低下しており、利上げをし易いという環境になってきたことと、
米金融機関の混乱はそう長くは続かないと見ているからです。
インフレ抑制を後回しにし、その後インフレが再燃した際の経済的損出の方が、
足下の金融不安の拡大によるものよりも大きいと予想しています。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。


今度はクレディ・スイスか? 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はNY時間朝方、2月のPPIやNY連銀製造業景況指数
が下振れしたことを受け急落。132円21銭前後までドル売りが
進んだが、その後133円台後半まで戻る荒っぽい動きに。
◆クレディ・スイス(CS)の経営危機が表面化したことで、
ユーロドルは大きく下落。1.0517まで売られ、対円でも
139円台半ばまで下落。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたものの、
ナスダックは小幅高。CS株の大幅安を受け、NYでも銀行株が
大きく売られる。
◆債券は急騰。長期金利は大きく低下し3.45%台に。
◆金は反発。原油は一段と下げ、前日比3ドル72セント安。
2021年12月以来、1年3カ月ぶりの安値を付ける。
世界景気の鈍化を織り込む動きが続き、一時は65ドル台まで下げる。

*******************(何もない時は空欄のままにします)

◆2月小売売上高             →  -0.4%
◆3月NY連銀製造業景況指数       →  -24.6
◆2月生産者物価指数           →  -0.1%
◆3月NAHB住宅市場指数屋       →  44

本日の注目イベント

◆豪   豪2月雇用統計
◆日   11月鉱工業生産(確定値)
◆日   2月貿易統計
◆日   尹韓国大統領が来日
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧  ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   新規失業保険申請件数
◆米 2月輸入物価指数
◆米 2月輸出物価指数
◆米   2月住宅着工件数
◆米   2月建設許可件数
◆米   3月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   イエレン財務長官、上院財政委員会で証言

クレディ・スイスよ、お前もか・・・・。

スイス大手銀行のクレディ・スイス(CS)が経営危機に陥っています。
筆頭株主が追加出資の可能性を否定したことを受け、同行の株価は24%安と、
過去最大の下落率を記録し、上場来安値を更新しました。CSはスイス中銀に同
行に対する支援を公に示すことを要請し、スイス中銀も必要なら流動性を供給す
ると発表しています。
もっとも、CSの経営危機が表面化したのは今に始まったことではなく、これま
でにも何度もニュースに取り上げられています。
もともとスイスでは、UBS、SBC、CSの「3大銀行」の時代が長く続いて
いましたが、その上位2行が合併し、現在のUBSが誕生しました。そのためU
BSとCSとの差はさらに拡大し、スイス国内での地位も低下が歴然でした。
同行は日本でも不祥事を起こしています。CSのプライベートバンクの日本支店
に、当局の検査が入った際、証拠隠滅を図るため多くの書類を段ボール箱に入れ
て持ち出したことが発覚。結局、「銀行免許取り消し」という厳しい処分が下さ
れ、日本からの撤退を余儀なくされました。
この処分に、スイスと日本の金融当局の関係が悪化する事態もありました。
フランス最大の銀行BNPパリバは一部の顧客に対し、CSグループがカウンタ
ーパーティーのデリバティブ契約でBNPパリバに当事者交替を求める契約を今
後受け付けないと通知しました。CSに対するカウンターパーティーリスクを削
減する動きです。米財務省も、CSグループの状況を監視していると、同省報道
官が述べています。
エコノミストのルービニ氏は、「CSは、一部の基準からすると、大き過ぎてつ
ぶせないが、大き過ぎて救済できないかもしれないという問題もある」と述べて
います。

米国の2行が破綻したタイミングで今度はCSの危機が一気に表面化し、金融市
場では再び「リスク回避」の動きが強まってきました。
代表的な安全資産である米国債は大きく買われ、長期金利は前日比で20ベーシ
スポイント以上も低下しています。1週間前は4%近かった同金利は3.45%
まで一気に低下しており、この動きが続けばシリコンバレー銀行(SVB)も破
綻せずに済んだ可能性もあり、皮肉な事態になっています。もっとも、債券が上
昇した直接の原因は同行の破綻ですが・・・・。
乱高下したのは米国債だけではなく、ドル円もNYの朝方には132円21銭前
後まで売られ、その後133円台後半まで上昇し、前日144円台で推移してい
たユーロ円は139円台半ばまで急落しています。
また、前日小幅安だった「金」は再び上昇を加速させ、2000ドルを目指して
いるとの声も出ています。
WTI原油価格は連日大きく売られ、1年3カ月ぶりの安値を記録しています。
世界景気の鈍化で原油消費量が減るといった見通しに加え、昨日は米国の原油在
庫が拡大していたことや、国際エネルギー機関(IEA)が月報で、世界石油市
場が供給過剰に見舞われていると指摘したことが下落に拍車をかけています。

米銀2行の破綻とCSの経営危機がここ1週間で一気に表面化してきました。
「寝耳に水」といった印象でしたが、筆者はSVBの破綻の影響は限定的と見
ていましたが、FRBの金融政策に与える影響は別の問題を提起しています。
世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターを創設したダリオ氏は、「
SVBの破綻は 『Canary in the Coal Mine』(炭鉱のカナリア)だ」と表現
し、「もっと多くの問題が顕在化する可能性が高い。今はターニングポイント
に近づいている」と指摘しています。(ブルームバーグ)

ドル円は何とも予想しづらい局面ですが、下値では132円20銭辺りがサポ
ーとなっていると見られます。ここが抜けるかどうかが焦点です。日経平均は
大きく下げると思われますが、その際に、ドル円がどのように動くのか。

レンジは132円~135円といったところでしょうか。


NY市場の金融不安やや収まる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆前日132円30銭まで売られたドル円は反発。
米金利の上昇もあり、NYでは134円90銭まで上昇
◆ユーロは底堅く推移し、1.0750まで上昇。
◆株式市場は3指数が反発。信用不安の最悪期は過ぎたとの
見方もあり、ダウは6日ぶりに上昇。
◆債券も巻き戻しが入り反落。長期金利は3.68%台に上昇。
◆連日大きく買われていた金は小幅に反落。原油は大幅に続落し、
一時は70ドル台後半まで売られる。昨年12月以来の安値に。

◆2月消費者物価指数  → 0.4%(前月比)

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(1月17日、18日分)
◆中   中国2月小売売上高
◆中   中国2月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏1月鉱工業生産
◆米   2月小売売上高
◆米   3月NY連銀製造業景況指数
◆米   2月生産者物価指数
◆米   3月NAHB住宅市場指数
◆加   カナダ2月住宅着工件数


シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻にともなって急速に高まった金融不安から、
米国だけではなく日本でもその影響は大きく、昨日の日経平均株価は銀行株が下げをけ
ん引し、600円を超える下落でした。ドル円は前日のNYで132円30銭を付けた
後は、落ち着いた動きとなり緩やかなドル買い戻しが優勢の展開でした。NYでは今回
の混乱も「最悪期は過ぎた」といった声も聞かれ、前日までの巻き戻しの動きが優勢で
した。

ドル円は米長期金利が大きく上昇したことで134円90銭前後まで買われ、NY株式
市場でも3指数は揃って大幅に反発して取引を終えています。リスク回避の強まりから
大幅に買われた金も昨日は反落しましたが、下げ幅は小幅でした。一方、WTI原油価
格は前日比3ドル47セント(4.6%)下げ、71ドル台で引けています。
潤沢な供給と米経済の先行き不安の高まりで売られたようですが、一時は70ドル台ま
で売られ、昨年12月以来となる安値に沈んでいます。
原油価格についてはゴールドマンなど、多くのビッグ・プレイヤーは夏辺りまでに10
0ドル台を回復すると予想しています。

注目された米2月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数では前月比「0.4%」、
前年同月比「6.0%」と、今回は市場予想と一致していました。ただ、コア指数の前
月比では「0.5%」上昇しており、予想の「0.4%」を上回っています。
この結果に、おそらくパウエル議長もほっと胸をなでおろしたことでしょう。
インフレ率が予想を上回ったとすれば、利上げ圧力は続く一方、SVBの経営破綻を受
けて金融安定へのリスクが増大するなか、利上げと利下げとの板挟みとなり、FRBに
とっても難しい判断を迫られる状況になります。
このような背景もあり、来週行われるFOMC会合での金融政策を巡っては、市場の見
方も大きく振らされています。
パウエル議長の議会証言を境に、「0.5ポイントの利上げ」確率が一気に高まり、金
融市場も「0.5」を織り込む形で動きましたが、SVB破綻をきっかけにその見方が
大きく後退。欧米の大手金融機関数行は「3月会合では利上げ見送り」に見方を変え、
ノムラ・インターナショナルに至っては、「利下げ」まで予想していました。
そして、昨日のNYではやや落ち着きを取り戻したこともあり、「0.25ポイントの
利上げ」と、再び元の鞘に戻った状況です。
この後会合までには、輸入物価指数、ミシガン大学消費者マインド、景気先行指数など
の発表も控えており、再び予想が変るかもしれませんが、個人的には「0.25」の可
能性が高いと予想しています。

黒海上空で哨戒活動中の米空軍無人機が、ロシアの戦闘機に衝突されて墜落したと米欧
軍が明らかにしました。
それによると、米軍の「MQ-9」無人機はロシアの戦闘機「Su-27」2機から数
回にわたってインターセプト(進路妨害)を受け、そのうち1機はMQ-9のプロペラ
に接触したようです。(ブルームバーグ)
偶発事故とはいえ、やや不穏な雰囲気もあります。中国の習近平国家主席はプーチン氏
との会談を予定しており、その後ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談も予定
されています。中国が停戦への仲介を担う可能性もある中、事態が悪化しないか懸念さ
れます。

ドル円は132円台前半から反発したことで、日足ではローソク足が再び雲の上に顔を
出した格好です。日足チャートを軸に見る限り、ドル円のトレンドはまだ変わっていな
いと判断できます。
ただ来週にはFOMCを控えており、上記ロシアと懸念材料もあり、さらに米国発の金
融不安もまだ完全に払拭されたわけではありません。まだまだどちらに動くのか、手探
りの状況は続きます。

本日のドル円は133円~135円程度を予想します。


ドル円続落し132円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し、一時は132円30銭までドル安が進む。
信用不安が収まらず、安全資産の債券が大きく買われ、金利が
一段と低下したことでドル売りが加速。
◆ドル安の流れからユーロドルも上昇し、1.0748を記録。
◆株式市場はやや落ち着きを取り戻したが指数はまちまち。
ダウは90ドル下げ、5日続落。ナスダックは小幅に上昇。
◆債券は大幅に続伸。長期金利は連日で大幅に低下し3.57%
台で引ける。
◆金は大幅に続伸し、原油は大幅に反落し74ドル台に。

本日の注目イベント

◆豪   豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪   豪2月NAB企業景況感指数
◆英   英ILO失業率(11-1月)
◆米   2月消費者物価指数

シリコンバレー銀行(SVB)に次いでシグネチャーバンクの破綻も決まり、
市場ではリーマン・ショックほどの大きな影響はないとしながらも、信用不安
は払しょくできず、この日も安全資産が大きく買われています。
米債券市場では10年債が大きく低下しただけではなく、政策金利の影響を受
けやすい2年債利回りも大きく低下しています。10年債利回りは連日の低下
で、3.57%台と、今年1月初旬の水準まで下げてきました。ドル円もこの
動きに連動するかのようにドル売りが進み、一時は132円30銭を記録して
います。
また、リスク回避の際に買われる「金」も連日で大きく上昇し、ここ2日間で
80ドルを超える上昇をみせています。

米金融当局は金融システムの不安防止のため、SVBとシグネチャーバンクの
2行について預金を全額保護すると発表し、信用不安の拡大防止に踏み切って
います。13日から支払に応じたSVBの支店では早朝から多くの預金者が預
金の引き出しに列を作ったと報道されています。
米国では預金保険で保護される上限は、1口座当たり最大25万ドル(約34
00万円)ですが、連邦預金保険公社(FDIC)は2行への預金について、
「預金保険の対象外も含めて、顧客は13日以降いかなる損出も納税者が負う
ことはない」と発表しました。
バイデン大統領も、2行の破綻を受けてホワイトハウスで演説を行い、「銀行
システムは安全で、必要な時に預金は口座にあると国民は安心して大丈夫だ」
とし、さらに、「これら顧客は全員、預金が保護され、今日現在において預金
にアクセスできる。安心して欲しい」と国民に訴えました。
同時に、「議会に対し銀行規制強化のほか、両行破綻を巡りしかるべき人の責
任を明確化させる」ことを指示しています。

今夜は2月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。2行の破綻でFRB
の政策余地にも制限がかかる可能性が出てきました。
先週まであった0.5ポイントの利上げ観測は、すっかり後退してしまい、市
場では「0.25ポイントの利上げ」、もしくは「利上げ見送り」を織り込み
つつあります。
2月のCPIは、前月比で「0.4%」、前年同月比で「6.4%」と予想さ
れています。予想を上回る強い数字になれば、インフレ阻止を目指し利上げを
しなければならない状況下でも、簡単に利上げをできない可能性もあり、パウ
エル議長は難しい判断を迫られます。
サマーズ元財務長官は2行の破綻を受けたなかでも、「インフレを抑制すると
いう目標に米金融当局が注力し続けないのは、重大な誤りだと私は判断してい
る」と述べ、「来週の会合で0.25ポイントの利上げが適切だとなお推測さ
れるが、状況はいつも変化する可能性がある」と説明しています。
また、次回会合で0.5ポイント利上げを検討対象から外すべきかとの質問に
対して、「今は何も外さない。ただ、13日の時点で決定が下されるならば、
0.5ポイントは理にかなっていない」と答えています。
2行の破綻で、足元では金融市場に混乱が広がっているが、長期化はしないと
考えていることが背景になっていると思われます。

今後、第3、第4のSVBが出ないとも言えませんが、米金融当局が素早く対
応策を発表したことや、2行ともローカルの銀行でグローバルな国際業務を行
っていないことなどを考えると、時間はかかるものの落ち着きを取り戻すと考
えています。
FRBの政策が一段と難しくなるとの観測もあり、米長期金利は急低下してい
ますが、足元のインフレ状況を考えると、このまま金利低下が続くとは予想で
きません。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想しますが、CPI
の結果次第では乱高下もありそうです。


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