ドル円150円台に乗せた後急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はNYで150円台に乗せ、150円16銭まで買われたが
その後急落し、147円30銭近辺まで売られる。「介入」だったのでは
との観測も有る中、当局は「ノーコメント」。
◆ユーロドルは続落し、1.0448まで売られる。昨日記録した
年初来安値を再び更新。
◆株式市場は金利が一段と上昇したことを受け3指数が大幅安。
ダウは430ドル下げ、一時は3万3000ドルを割り込む。
◆債券は大幅続落。長期金利は一時2007年8月以来となる
4.81%まで上昇し、4.79%台で引ける。
◆金は7日続落。原油は反発。
◆9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 →961万件
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏8月卸売物価指数
◆欧 ユーロ圏8月小売売上高
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
◆米 9月ADP雇用者数
◆米 8月製造業受注
◆米 9月ISM非製造業景況指数
◆米 ボウマン・FRB理事、会議で挨拶
◆米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、シンポジウムで挨拶
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
引き続き介入警戒感が強まる中、昨日の東京時間ではほとんど動きのなかった
ドル円でしたが、それでも午後には149円93銭までドルが買われ、前日の
ドルの高値をわずかですが上回り、年初来高値を更新しています。そしてNY
では「8月雇用動態調査(JOLTS)求人件数」が961万件と、市場予想
を上回り、さらに全てのエコノミストの予想を上回る結果に、米高金利の長期
化観測から債券が大きく下落。10年債利回りは一時4.81%近辺まで上昇
し、およそ16年ぶりの高水準を付けました。9月初めでは4.1%程度で推
移していた米長期金利は1カ月余りで70ベーシスポイントも上昇し、株式と
債券が大きく売られる異例の展開になっています。
ドル円はこの直後、150円台に乗せ150円16銭まで上昇しましたが、そ
の後急落しています。150円台に乗せたことで「ひとまず達成感が出た」こ
とも事実でしょうが、
わずか、2秒ほどで3円弱の下落は通常考えられません。いずれ分かることで
すが、少なくとも介入の前段階と言われる「レートチェック」はあったものと
思われます。
「実弾介入」であれば、この程度の下落では収まらないと思われ、さらにその
後149円近辺まで直ぐに反発することもないかと思います。
当局はこの件については「ノーコメント」としています。
筆者は昨日の本欄で、「ジリジリと150円に迫ってきたドル円ですが、水準
からすると今日にも150円台が見られる可能性もありそうです。もちろん、
それだけに介入警戒感も高まってきているわけですが、昨日も鈴木財務大臣は
ドルの年初来高値更新を受けて、『注視しながら見ている』と述べていました
。鈴木財務相はこれで、5営業日連続で円安けん制を行っています。」とコメ
ントし、さらにブルームバーグの、「口先介入の頻度を見る限り、変動幅を伴
った大きな値動きが見られ次第、実弾介入が発動される可能性は高そうだ」と
いった記事も紹介しました。
やはり「ステルス介入」も含めて、行動を起すのであれば、より効果の見込め
る方法で行うことは、容易に想像できることです。
これで150円台ではますます介入警戒感が強まることになります。ただこれ
で流れが変わるわけでもなく、再び150円台に乗せさらにドルが買われるよ
うであれば、「実弾介入」の出番となることでしょう。
土壇場で米政府機関閉鎖回避の「英断」を行ったマッカーシー下院議長が解任
されました。驚きです。
マッカーシー氏の議長解任動議の採択結果は、賛成216、反対210で可決
されています。米国で下院議長が解任されるのは史上初めてのこととなり、マ
ッカーシー氏は約9カ月で議長の座を去ることになります。なお暫定議長には
現在、下院金融委員会の委員長を務めるマクヘンリー議員が指名されています
。つなぎ予算の猶予は1カ月半で、このように米議会の混迷が続くようなら、
11月中旬過ぎには再び政府機関閉鎖の危機が訪れ、次回はその可能性がさら
に高まると予想されます。
アトランタ連銀のポスティック総裁はイベントで、「利上げを急ぐつもりはな
いが、利下げを急ぐつもりもない。米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻
すため、政策金利を高水準で長期にわたり据え置くことを望む」と述べていま
す。
またクリーブランド連銀のメスター総裁も電話会見で、「次回会合でも、最近
の会合と同じような経済状況であれば、私なら追加利上げを行うだろう」と述
べ、やはりタカ派寄りの発言を行っています。
FOMCメンバーの中には「ハト派寄りの」発言を行う委員も増えてはきまし
たが、前日のボウマンFRB理事もそうでしたが、マジョリティは依然として
、インフレ見通しには慎重な見方を維持した「タカ派」のようです。
イエレン財務長官は3日、ワシントンで開催された「フォーチュンCEOイニ
シアチブ」会議で、「人々は、インフレ減速に何が必要かを正確に見極めよう
としている。目にしている経済の底堅さは金利がより高くより長く維持される
ことを示唆しているのかもしれないが、それは今後分かるだろう。決して既定
路線ではないと思う」と述べ、債券利回りが長期に高止まりするかどうかは「
分からないというのが回答だ。重要な疑問であり、私も政権もかなり気にして
いる」と発言しています。(ブルームバーグ)
ドル円は、今朝は再び149円台前半で推移しています。
150円台では今度は輸出など実需のドル売りがより持ち込まれることになり
そうですが、
流れは変わりません。日米金利差はさらに拡大しており、通貨ドルに対する魅
力がさらに高まっているのが現状です。
今度再び150円台に乗せた後の展開が見ものです。今度は日銀の出番との見
方も出来そうです。
本日のドル円は147円80銭~149円80銭程度を予想します。
- [2023/10/04 09:47]
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米10年債利回り4.7%に迫る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小動きの中着実に上昇し、この日は149円88銭まで
買われた。FOMCメンバーのタカ派的な発言や、経済指標の
上振れが材料に。
◆ユーロドルは反落し、一時は1.0477前後まで下落。米長期金利が
上昇しドル買いユーロ売りが活発に。
◆株式市場ではダウは続落したものの、ナスダックは88ポイント上昇。
◆債券は大幅安。長期金利は4.7%台に迫る水準まで上昇し、
2007年10月以来となる高水準に。
◆金は6日続落し、約半年ぶりの安値を付ける。原油も続落し90ドルを
大きく割り込む。
◆9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.8
◆9月ISM製造業景況指数 → 49.0
本日の注目イベント
◆豪 豪8月住宅建設許可件数
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆独 独9月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏9月サービスPMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月小売売上高
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米 9月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
◆米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
◆米 8月製造業受注
◆米 9月ISM非製造業景況指数
◆米 9月自動車販売台数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
ドル円は小動きながら、しかし着実に上値を追う動きを続け、NYでは149円88銭ま
で買われています。いよいよ150円台に手の届く水準までドル高が進んできました。
すでに昨日から10月に入りましたが、振り返って見れば、日足チャートでは9月中の営
業日21日のうち、実に15日で寄り付きよりも引け値の方が高い「陽線」を示現してい
ます。「陰線」を記録したのはわずか6回です。如何にドルがジワジワと着実に買われて
きたのかを示すいい例かと思います。
9月のISM製造業景況指数が市場予想を上回り、およそ1年ぶりの高水準でした。
米製造業にとって最悪期が終わったかもしれないとの期待を抱かせる内容でしたが、一方
で米景気の底堅さは高金利の長期間維持につながるとの見方から、債券が大きく売られ金
利は急騰しました。
10年債利回りは一時4.7%に迫る水準まで上昇し、2007年10月以来となる水準
を記録。30年債も一時4.81%を抜け、こちらも2010年以来となる高水準でした
。日米金利差が開く一方で、ドル買い円売りが加速するのも止むなしといった状況ですが
、昨日は円よりもユーロドルでのユーロ安の方が際立っていました。円は介入警戒感が急
激な円売りを抑制しています。
ユーロドルは1.05を大きく抜け、昨年12月以来の1.0477までドル高が進みま
した。ドル高が続いていることからNY商品先物市場では金利の付かない「金」が6日続
落し、一時は1842ドル台まで売られています。株も債券も金も、この日は原油も売ら
れ、「通貨ドルの独歩高」の様相でした。
この日のドル高を演出したのは金利だけではありません。
FOMCメンバーから出たタカ派発言も一役買っています。
ボウマンFRB理事は講演で、「インフレ率を適宜にかなって目標の2%に戻すには、さ
らなる利上げが必要になる可能性が高いとの予想を変えていない」と述べ、「エネルギー
価格の高騰により、ここ数ケ月におけるインフレ抑制に向けた進展の一部が損なわれるリ
スクがくすぶっている」と発言しています。
また、ペンシルベニア州で開かれたラウンドテーブルで発言したパウエル議長は、金融政
策に関する発言は控え、「米金融当局は良好な労働市場を持続的な期間にわたって実現す
ることに注力している」と述べるにとどめていました。
一方、バーFRB副議長はややハト派寄りの発言を行いましたが、市場への影響はほとん
どなかったようです。バー氏は、「インフレ率を長期的に2%に戻すのに十分な景気抑制
的水準に達しているか、極めて接近している可能性が高いと思う」と語り、「われわれは
長期的な金利の道筋を考えることにますます重点を置くようになると思う。インフレ率を
2%まで下げるために金利をしばらくの間高止まりする必要がある。2%に到達すると私
は確信している」と述べています。この発言は昨日紹介したウィリアムズNY連銀総裁の
発言と足並みを揃えており、注目に値します。
今後他のメンバーの発言にも影響を与えそうです。
ジリジリと150円に迫ってきたドル円ですが、水準からすると今日にも150円台が見
られる可能性もありそうです。もちろん、それだけに介入警戒感も高まってきているわけ
ですが、昨日も鈴木財務大臣はドルの年初来高値更新を受けて、「注視しながら見ている
」と述べていました。鈴木財務相はこれで、5営業日連続で円安けん制を行っています。
ブルームバーグは、「口先介入の頻度を見る限り、変動幅を伴った大きな値動きが見られ
次第、実弾介入が発動される可能性は高そうだ」とコメントしています。
ここでも「変動幅を伴った大きな値動き」といった言い回しをしている点がポイントの一
つになりそうです。
本日のドル円は148円80銭~150円80銭程度を予想します。
- [2023/10/03 09:35]
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米政府閉鎖土壇場で回避
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間の午後148円台半ばまで売られたが
その後反転。NYでは米金利高観測を背景に149円48銭
までドルが買い戻される。
◆ユーロドルは小幅に反発し1.06台に載せる場面も。
◆株式市場はまちまち。ダウは反落し、ナスダックは小幅高。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は4.57%台で推移。
◆金は5日続落。原油も売られる。
◆8月個人所得 → 0.4%
◆8月個人支出 → 0.4%
◆8月PCEデフレータ(前月比) → 0.4%
◆8月PCEデフレータ(前年比) → 3.5%
◆8月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
◆8月PCEコアデフレータ(前年比) → 3.9%
◆9月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 68.1
◆9月シカゴ購買部協会景気指数 → 44.1
本日の注目イベント
◆日 7ー9月期日銀短観・大企業製造業業況判断
◆日 7ー9月期日銀短観・大企業製非造業業況判断
◆独 独9月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月失業率
◆欧 ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
◆英 英9月製造業PMI(改定値)
◆米 9月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米 9月ISM製造業景況指数
◆米 パウエル・FRB議長とハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、円卓会議に参加
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会で司会
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米政府機関の閉鎖がほぼ確実と見られていましたが、閉鎖は急転直下回避されました。
連邦議会の上下両院は30日、土壇場で予算執行を11月中旬まで継続できるつなぎ予算案
を超党派で可決し、バイデン大統領が署名し成立しました。
マッカーシー下院議長が民主党案に歩み寄り、つなぎ予算案は国境警備を外し、災害支援の
増強など民主党の要望を受け入れたことで、下院の採決では民主党のほぼ全員が賛成票を投
じたことで成立しました。ただ、今回のつなぎ予算案にはウクライナ支援が含まれていない
ため、「少なくとも当面、ゼレンスキー大統領にとっては痛手だ」(ブルームバーグ)と見
られ、バイデン大統領は、「ウクライナに対する米国の支援が中断されることは、いかなる
状況においても許されない」と述べ、「マッカーシー下院議長がウクライナ支援を別途可決
することを約束した」と付け加えていました。
土壇場で米政府機関の閉鎖は回避されることになりましたが、本つなぎ予算案は1カ月半の
時間的猶予しかありません。10月から1年間の2024年度会計年度はまだ成立のメドが
立っておらず、政府が閉鎖に陥るリスクは依然として残っています。
また、マッカーシー議長が政府機関閉鎖を避けるため民主党との妥協に動いたことを受け、
共和党の保守強硬派からは議長解任を目指す動きも出てきたようです。ゲーツ下院議員はC
NNの番組で、「私はマッカーシー議長の解任動議を今週出すつもりだ。われわれは思い切
って行動しなければならないと思う。信頼の置けるリーダーと共に前進する必要がある」と
語っています。
同議員は、今回のつなぎ予算案には共和党の保守強硬派が要求してきた大幅な歳出削減が盛
り込まれていないと指摘し、それが解任動議提出の方針につながったと説明しています。
一方、最終的に民主党案に妥協したマッカーシー議長の判断には、「世論調査では政府閉鎖
になれば、『責任は共和党にある』との見方が多かった。共和党が政権奪還をめざす202
4年大統領選を控え、批判の矛先が共和に向う事態は避けたかった」(日経新聞)と、見ら
れています。もはや年中行事化してきた債務上限問題ですが、今後もこのような事態を繰り
返すようだと、格下げの可能性は極めて高いと思われます。
先週末に発表された8月の個人消費支出(PCE)価格指数は、食品とエネルギーを除くコ
ア指数ベース(前月比)で「0.1%」と、2020年終盤以来の小幅な伸びにとどまって
いました。キャピタル・エコノミクスのエコノミストは「米金融当局のインフレ見通しが悲
観的すぎるとの当社の見方を裏付ける内容だ」と指摘し、「PCEコアインフレ率は当局の
年末予想である3.7%を大幅に下回るとなお予想している」とコメントしています。この
結果は、今月末から開催されるFOMCでの利上げを見送る根拠に組みしそうな内容でした。
NY連銀のウィリアムズ総裁は9月29日にNY州のイベントで講演する予定でしたが、都
合により中止となりました。ただ、講演原稿は公表されており、それによると、
「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジはピークかそれに近い水準にあるとい
うのが、現在の私の判断だ」と述べ、「しばらくの間、景気抑制的な金融政策スタンスを維
持する必要があるとみている」と述べ、米金融当局の利上げは完了した可能性があることを
示唆していました。
FOMCでの重鎮の一人であるNY連銀総裁がこのような発言を予定していたことは、今回
の利上げ局面では初めてのことで、今週も多くのメンバーの発言が予定されていますが、他
のメンバーの発言にも注目したいと思います。米金利の頂点も見えて来るのかもしれません。
本日のドル円は148円70銭~150円50銭程度を予想します。
- [2023/10/02 09:35]
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WTI原油価格一時94ドル台に急騰
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は連日同じような展開が続き、NYでは149円71銭まで
ドル高が進み、150円テストの機運が高まる。
◆ユーロドルも続落し、一時は1.0488まで売られる。
今年1月6日以来となるユーロ安水準に。
◆株式市場は米金利がさらに上昇したが、まちまちの展開。
ダウは続落し、他の2指数は小幅高。
◆債券は続落し、長期金利は一時4.64%台まで上昇。
◆金は大幅に続落し、今年3月以来となる1890ドル台に。
一方原油価格は急騰。米国内最大の原油貯蔵拠点であるオクラハマ州
クッシングの在庫水準が2022年7月以来の水準に低下したことが
材料に。
◆8月耐久財受注 → 0.2%
本日の注目イベント
◆豪 豪8月小売売上高
◆独 独9月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏9月消費者信頼感(改定値)
◆欧 ユーロ圏9月景況感指数
◆欧 ECB経済報告
◆独 独9月消費者物価指数(速報値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 4-6月GDP(確定値)
◆米 8月中古住宅販売成約件数
◆米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
◆米 パウエル・FRB議長。タウンホール会議を主宰
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米 クック・FRB理事、フォーラム開会の挨拶
ドル円は連日同じような展開を見せ、「一歩後退・二歩前進」の歩みを続けて
います。昨日のNYでは149円71銭まで緩やかにドル高が進行しましたが
、昨日は円よりもむしろユーロで「ドル高・ユーロ安」が加速した印象です。
ユーロドルは今年1月初旬以来となる1.05台割れまで売られ、テクニカル
的にも重要な値位置に来ています。ECBは次回理事会でも追加利上げの可能
性を残してはいますが、景気減速が確認される状況の中、理事会内部ではさら
なる利上げは回避すべきとの意見も高まっています。
フランス中銀のビルロワドガロー総裁はパリでの講演で、「これからはやり過
ぎのリスクと、引き締めが十分でないことのリスクのバランスを取る必要があ
る」と指摘し、「『壊れるまでテストする』というのは金融政策を調整する上
で賢明な方法ではない」と述べ、利上げを望まない姿勢を示しています。
また、スペイン中銀のデコス総裁も、「現行水準を長く維持すれば、インフレ
率は2%目標に速やかに到達できる公算が極めて高い」と述べ、利上げには慎
重な見方を示しています。一方、ドイツ連銀やオランド中銀総裁はタカ派的な
スタンスを維持し、追加利上げを主張しています。
ECBを率いるラガルド総裁は25日の講演では、「景気が厳しい中でもイン
フレ抑制に必要な限り、金利を高水準に維持する」と改めて述べたものの、利
上げの有無については「長いレースだ」と述べるにとどめています。
不動産バブルの崩壊に伴い中国景気が急速に悪化しており、その中国との経済
的結びつきが強いユーロ圏では、その影響がジワジワと及んで来る気配があり
、これ以上の利上げには慎重になるべきだとする声も大きくなっている状況で
す。
米債券が売られ、長期金利は4.64%近辺まで上昇し、これがドルを押し上
げる展開になっています。米長期金利の上昇は、昨日発表された米戦略的石油
備蓄の在庫水準が予想を超える低水準だったことで買いが殺到したようです。
米最大の原油貯蔵拠点であるクッシングの在庫は2200万バレル弱と、貯蔵
能力の25%まで落ち込んだ(ブルームバーグ)と報告されており、他の地域
での在庫も減少が続いているとのことです。
原油価格の高騰は米インフレの抑制には逆風となり、これが債券と株の下落を
誘いドル買いへと伝播した格好でした。
一方、原油価格の高騰は言うまでもなく日本の貿易赤字を拡大させ、ドル買い
需要につながり、円安要因と見られることにもなります。日本の消費者物価指
数(CPI)の上昇にも影響を及ぼしやすく、年末には2%を割り込むと予測
する日銀にとっても政策変更圧力が高まることにもなります。「原油価格は1
00ドルを目指す」といった声も多くあります。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、政府機関の閉鎖や自動車労組のストラ
イキに触れ、「このような下振れシナリオが米経済を直撃した場合、インフレ
率を2%に下げるための金融政策を縮小する必要が生じるかもしれない。政府
機関の閉鎖や自動車ストライキはわれわれに代わって景気を鈍化させる恐れが
あるからだ」とCNNのインタビューで述べています。同時に、「利上げが期
待通りに景気を減速させられないのでれば、金利をもっと引き上げなければな
らないかもしれない」とも話し、今後の展開と発表されるデータ次第との立場
を示しました。
ブルームバーグは、政府機関が閉鎖に追い込まれ、新会計年度が始まる10月
1日までに予算が手当てできなければ、連邦ビルの清掃業者など、政府請負業
者が直面する売上げ高の損出や遅延は1日当たり最大で19億ドル(約280
0億円)に上り、閉鎖期間中は約130万人の現役軍人に加え、民間部門では
200万人の連邦政府職員が給与を受け取れなくなると試算しています。
本日はいよいよ150円テストの可能性があります。「実弾介入」があるのか
、ないのか、焦点はそこだけです。
ドル円は148円~150円50銭程度を見ています。
- [2023/09/28 09:49]
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ドル円149円台に乗せる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間の午後3時過ぎに149円台に乗せ、149円18銭
まで上昇。ただNYでは長期金利がやや低下する場面もあり、高値は
149円10銭止まり。
◆ユーロドルは続落。1.0562まで売られ、前日の安値を下回る。
◆株式市場は3指数が揃って大幅反落。消費者マインドなどの悪化を嫌気し、
ダウは388ドル安。
◆債券は引けにかけて買われたが、長期金利はほぼ横ばい。
◆金は続落し原油は反発。
◆7月ケース・シラ-住宅価格指数 → 0.138%
◆7月FHFA住宅価格指数 → 0.8%
◆8月新築住宅販売件数 → 67.5万件
◆9月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 103
本日の注目イベント
◆豪 豪8月消費者物価指数
◆日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月27日、28日分)
◆日 7月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日 7月景気一致指数(CI)(改定値)
◆独 独10月GFK消費者信頼調査
◆米 8月耐久財受注
◆米 共和党大統領候補者の第2回討論会(カリフォルニア州)
ドル円は、昨日の東京株式市場が引けた直後の午後3時過ぎにスルスルと
上昇し、149円02銭近くまで買われ、149円台を示現しました。
一旦は148円台に押し戻されましたが、その後再び上昇に転じ149円
18銭辺りまで買われています。
この日、鈴木財務大臣はいつもながらの「定型コメント」を述べ、「高い
緊張感を持って見ている。過度の変動に対して、あらゆる選択肢を排除せ
ず適切に対応していく」と語っていました。
ドル円はそのコメントをあざ笑うかのように円売りが「緩やかに、しかし
確実に」進んでいます。ただ、NYではドルの上値は限られ、149円1
0銭止まりでしたが、149円台に入ったことで市場介入の有無を確かめ
ながらドルを買っている印象です。
結局昨日も149円台載せまでドル高が進みましたが一気に高値を追うこ
ともなく、これまでと同じように極めて緩やかな上昇でした。まるで、「
このスピードなら介入できまい」と、金融当局の裏をかいているような動
きです。このような動きが続き150円台まで上昇するような展開であれ
ば、実際、なかなか介入に踏み切れないのではないでしょうか。
ボウマンFRB理事はFRB主催のオンラインイベントで講演し、「イン
フレ率が賃金の伸びを上回る中で、賃借人のコスト負担増がFRBによる
物価上昇圧力を抑制する行動も重要性を明確にしている」と述べ、「この
取り組みは、賃貸住宅の供給増
加など賃貸料に影響する他の要因に対処する施策を補完し得る」と指摘し
ています。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も同連銀のウェブサ
イトで、「年内に恐らくあと1回、政策金利を0.25ポイント引き上げ
た後で、FOMCは政策金利をその水準で十分に長く、妥当な時間をかけ
てインフレ率を目標まで低下させる」と具体的に説明し、「われわれがイ
ンフレ対策で達成してきた実際の進展と労働市場の動向を理由に、私は現
在、60%の確率でこの結果になると予想している」と、米経済のソフト
ランディングについて述べています。(ブルームバーグ)
バイデン大統領は26日、全米自動車労組(UAW)がストライキを実施
しているデトロイト郊外にあるGMの工場を訪問し、組合員らの大幅賃金
上げ要求を支持することを表明しました。バイデン氏は黒いUAWの帽子
をかぶり、手にはメガホンを持ち、「皆さん頑張れ、あなた達は著しい昇
給や他の福利厚生を受けるに値するのだから」と述べ、「あなた方は、も
らっているサラリーよりも働いている」などと労働者を励ましました。
もちろんこれは、2024年大統領選を意識しての行動ですが、急速にガ
ソリン車からEVにシフトしている米自動車業界では今後従事している労
働者が削減される可能性が高く、バイデン氏は一方ではEVシフトを推進
しながらも、今回は自身の大統領選を優先した格好になっています。27
日にはトランプ氏もミシガン州を訪れることになっています。
余談ですが、先日ある会合で米国の選挙に詳しい早稲田大学公共政策研究
所招聘研究員の渡瀬裕哉氏と話しをする機会があり、その時渡瀬氏はこっ
そり、「2024年大統領選ではほぼトランプ氏が勝つ」と耳元でささや
いていた声が印象的でした。渡瀬氏は、ここ10年程の米選挙では議会選
挙も含め、ほぼ全ての予想を的中させているだけに「ギクッ」とする瞬間
でした。
ジリジリとドルが買われ、今朝も149円台前半で推移しています。
もはや「口先介入」は何の効果もありません。
昨日も述べましたが、150円に載せる前に介入に踏み切るのか、あるい
は150円台でも動かず、投資家が安心し切ったところで一気に行動に出
るのか、いよいよ佳境に入った感があります。
本日のドル円は148円~149円80銭程度を予想しますが、当局が行
動を起した場合には、本予想は全く意味を持ちません。
- [2023/09/27 09:29]
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