ドル円3週間ぶりに110円を付けた後反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は株価の上昇や日銀による緩和策維持が支えとなり
110円まで上昇。ただその後はポンドがドルに対して急上昇
したことでドル円でも円買いが加速し、109円台半ばまで下落。 - ユーロドルは前日から大きな動きはなく、1.13台半ば
から後半で推移。 - 合意なき離脱が避けられるとの見方が強まったことから
ポンドドルが急伸。1.29台半ばから1.3080までポンド高に。 - 株式市場は良好な企業決算を好感し反発。IBMやP&G
などが上昇を牽引しダウは171ドル高。 - 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.74%台でやや上昇。
- 金は続伸し、原油価格は続落。
本日の注目イベント
- 豪 12月雇用統計
- 欧 ユーロ圏1月総合PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏11月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ECB政策金利発表
- 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 12月景気先行指標総合指数
- 米 企業決算 → スターバックス、インテル
昨日の東京時間でのドル円は粘り越しを見せ堅調な動きでした。前日のNYでは株価が大きく下落し、日経平均株価も大幅な下げで追随するのではと予想していましたが、ザラ場ではプラスに転じる場面もあり、ドル円もじり高の展開でした。日銀が政策会合で、予想通り金融政策据え置きを決めると、ドル円は上昇を強め、109円77銭前後まで買われました。海外でもその流れは続き、NY時間には110円ワンタッチまでドルが買われ、昨年末以来となる110円を示現しています。
ただそこからはドルが急速に下げ足を早め、109円台半ばまで売られ、結局「往って来い」の展開になっています。米政府機関の一部閉鎖や中国経済の鈍化などが重石となり、さらにドルがポンドに対して大きく売られたことでドル円も連れ安したものと思われます。大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は「米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期は経済成長がゼロになる可能性がある」と警告を発しています。またJPモルガンのダイモンCEOは、「米政府機関の一部閉鎖は政治的な
問題以外の何者でもなく、閉鎖が長引けば成長がゼロになる恐れがある」と、こちらもハッセット委員長と同じ論調で警告しています。ダイモン氏はさらに「閉鎖が続くかどうかはわからないが、見通しは楽観視できない」と電話インタビューで答えています。(ブルームバーグ)
スイスで開催されている「ダボス会議」は、トランプ大統領やマクロン仏大統領、さらにメイ英首相などが参加を取りやめたことで、いまひとつ盛り上がりに欠けていますが、中国から参加した王岐山副主席は講演でトランプ大統領の経済政策を批判する発言を行いました。トランプ大統領の名前には触れることはなかったものの、「単独行動主義と保護主義、ポピュリズムに脅かされている」とし、「弱いものいじめや、自国至上主義に基づく行動は拒絶する」と発言し、ブルームバーグは、「これはトランプ氏の米国第一主義を指しているのは明らかだ」と報じています。
メキシコ国境での壁建設資金を巡って混迷が続いている米議会ですが、ブルームバーグにとると、本日24日に上院では2つの異なる採決を実施するとのことです。1つは、国境の壁建設資金57億ドル(約6250億円)を盛り込んだトランプ大統領の計画に関する採択で、2つ目は、国境警備を強化する方法について両党がコンセンサスを模索する間、2月8日まで政府機関を再開するという民主党の法案のようです。ただ、トランプ氏はこれまで十分な壁建設資金を含まない予算案には拒否権を行使すると警告しています。政府機関一部閉鎖はすでに1カ月を超えており、市民生活や実態経済にも影響が出始めています。それでも壁建設にこだわるトランプ氏・・・・常識ではなかなか理解できない状況になっています。
昨日のNYで110円まで上昇したものの、結局昨日の水準に戻ってきたドル円です。ドルにとって悪材料が多い中、健闘していると言えます。この状況で、仮に米政府機関閉鎖解除のニュースが飛び込んできたらドル円は再び110円台に乗せ、110円50銭程度まで上昇する余地はありそうです。ただその可能性については上述のように、全く不透明です。
本日は109円~110円程度のレンジを予想します。

- [2019/01/24 09:37]
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【ジョージソロスの話】Vol:3
第三話:ソロスの相場に対する考え
前回の話の中で「群衆心理」という言葉が出てきましたが、相場で財をなしたソロスの優れている所いくつもありますが、その中でも特徴的なのは「投資家の心理」を読むことに長けていることを挙げたいと思います。
相場は人間が動かしている以上市場参加者の心理状態を知ることは当然重要です。
市場参加者の心理を的確に読んで相場の転換点を探る。これがソロスの基本的な投資方法です。彼はその上、緻密に市場を分析し、彼の本質的な「本能」と「直感」で相場を張るのです。
彼は自分の著書の中で「通常、市場参加者の価値判断は常にバイアスに満ちており、一般的にバイアスが市場価格に影響を与える」と記しています。そして、彼はこの点に関してのインタヴューで「私が主張したい点は、バイアスは市場価格だけではなく、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)といわれるものにも影響を与えることだ。そこで再帰現象が重要となる。常に起こるわけではないが、起こるときは、市場価格は別のパターンをたどる。それは、また別の役割を果たす。
それは単にファンダメンタルズと言われるものを反映するだけではない。それ自体がファンダメンタルズの一つとなり、価格の変動を形成するのだ。」と述べています。
市場参加者のバイアスが相場を大きく変動させ、それを読むのが重要だというわけです。
ソロスが学生のころ哲学者になろうと思っていたことと、相場の心を読むことは無関係ではないということでしょうか。
ソロスの友人の一人はソロスの成功の理由を率直にこう指摘しています。
「彼の成功の最大の要因は、人の心理を読むのがうまいことだ。彼には、群衆心理がよく理解できる。彼は、マーケッティングの達人のように、大勢の人があることに集中することをうまく見抜くことができる。」
相場にはトレンドがあり、トレンドは行き過ぎた場合には必ず転換する。
ソロスはその転換点を見抜くことにかけては天才と言えるかもしれない。しかし、その天才でも当然相場に負けることもある。彼はそのことについて「人々は、わたしが間違いなど犯さないだろうと誤った認識をもっている。これは、特に強調しておきたいのだが、私は、隣の住人と同じぐらい間違いを犯す。しかし、私が自分でも優れていると思うところは、それを認めていることだ。
それが私の成功の秘密だ。私は、人間の認識は、生まれながらに過ちを犯すものだと確信している。」
- [2008/10/03 11:10]
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ジョージソロスの話
ジョージソロスの話
第一話:神の子
「デュードゥ・シュロッシュ」・・・・・。
この名をご存知だろうか?
世界で最も著名な個人投資家である。
1930年、ハンガリーのブダペストで生まれで、現在はNY在住の投資家である。
英語的に発音すると、「ジョージ・ソロス」と発音する。
1992年、イングランド銀行を打ち負かしたと言われておるあの、ジョージ・ソロスです。
今回から彼のこれまで歩んで来た道を辿って、彼の市場に対する見方、相場に対する考え方など、少しでもわれわれの投資に役立つところがあれば参考にしたいと思い取り上げました。
なにしろ世界最大の投資家であり、世界最大の慈善活動家であるわけですから。
彼は1930年8月12日ブダペストでハンガリー系ユダヤ人の中産階級の家庭に生まれました。
当時のハンガリーはファシスト、反ユダヤ主義が広まっており、ナチスドイツとソ連との熾烈な戦いが繰り広げられていた時代です。
少年時代の彼は普通の子供と同じように、たくさんの友達に囲まれ、スポーツ好きな少年でした。
父は弁護士でしたが、経済的にはそれほど裕福な家庭ではなかったようです。
幼い子供はよく、自分自身を主人公にした空想にふけるものです。
大きくなったら「パイロット」になる、あるいは「医者」になりたい。
そんな夢を持つものですが彼は、「自分は神」だと思い込んでいたそうです。
1987年に発表された彼の著書「相場の心を読む」にこんな文章があります。
「私が、いつも自分がかけがえのない人間だと過大評価してきたことを認めたとしても、
読者は少しも驚かないだろう。率直に言えば、私は自分のことを、神のような存在、
あるいはケインズのような経済学者、いや、もっとひいき目でみればアインシュタイン
のような科学者だと想像していた。」
普通の子ジョージ・ソロスはこの点では普通ではなかったようです。
この「神の子」という子供の頃の夢想は、彼が大人になっても続く猛烈な自信を説明
するのに役に立つかもしれません。
1943年、ソロスが13歳のころになると、ブダペストの街はナチスによってほとんど
破壊され、ユダヤ人の身にも危険が迫ってきました。
アウシュビッツにおける大量虐殺があったのもこの頃です。ソロスの父は、彼がユダヤ人
では危険だということで、キリスト教徒の役人の子供にしたて、偽の身分証明書を手に
入れたりして難を逃れました。
ソロスは戦争を通じて一つの教訓を得たそうです。
それは「現実と認識の間には、溝が存在する。」ということです。
人間はみな先入観(バイアス)を持っているが、それは必ずしも実際に世の中の動きと
一致するわけではない。この「溝」こそが、彼が後に人間の知識、そして金融市場に
関する理論を作りあげていくにつれて探求していくものです。
1947年にソロスはイギリスに渡ります。ほとんど無一文で、彼の人生の中で一番
貧しい時代だったそうです。そして、1947年、彼はロンドン・スクール・オブ・エコノ
ミクスに入学しました。ここでソロスは「経済学」の勉強をすることになります。
To be continued・・・
次回は、9/16(火)の予定です。
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- [2008/09/09 18:12]
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第四話:お金の未来
お金の話
「現金その場限り」・・・銀行でよく使われる言葉だそうです。
現金はたとえ落としても必ず戻ってくるわけではありません。
従って、日常生活の中ではそれほど多くの現金を持ち歩くことはありません。
やや値の張るものを買うときには大抵クレジットカードで支払います。
クレジットカードを所有している限り、多額の現金を持ち歩く必要はないわけです。
それどころか、最近では小銭さえ、現金を使わず、EdyやSuicaあるいは携帯電話で
支払う若者が増えています。
キーワードは「電子マネー」ということになります。
朝起きて通勤するのはSuica(関西ではIcoca,東海ではToicaと言うそうですが)があれば
会社までいけます。コンビにでコーヒーやお茶を買うのであればケイタイでもOKです。
お昼にランチを食べるときはやはり小銭が必要ですが、コンビニで弁当を買うのであれば
やはりケイタイです。
仕事帰りに飲みに行っても場所によっては電子マネーで支払えます。
われわれのポケットから小銭が消える日はそう遠くないのかも知れません。
電子マネーがもう少し進化すると、クレジット機能が付加され、現金を事前にデポジット
しなくても一定の限度額までは電子マネーとして使えるようになります。
(既に一部は始まっているようですが。)
そして、代金の支払いだけに限定すれば日立製作所が来年からの実用化を目指している
「指静脈マネー」です。これは静脈や手のひらの認証の判断するキャッシュカードさへ
も通さず、直接指を読み取り装置にかざすだけで本人かどうかを判断し、認証されれば
自分の口座から代金が引き落とされる仕組みです。
ホテルやスポーツクラブ、ゴルフ場で実用化される予定になっています。
携帯性、利便性、安全性、などで優れているこのような現金以外のマネーは今後ますます
拡大して行くものと思われますが、同時に実物の貨幣の発行額は激減していくと考えられ
ています。法人用の電子マネーが開発されれば、決済、振込み、振り替えなどの資金移動も
可能になり、手形、小切手も無くなるかも知れません。
そうなると街角の銀行店舗もその姿を消し、「新しい」マネーのための発行、修理、メンテ
などの手続きをやる店舗などに替わっているかもしれません。
参考文献:日本経済新聞社編「マネーの経済学」
To be continued・・・
次回は、9/9(火)の予定です。
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- [2008/09/02 11:00]
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【お金の話】Vol:3
お金の話
前回、世界で最も古い中央銀行はスウェーデンのリクスバンクであると書きました。
1668年の設立です。しかし、イングランド銀行も古さでは負けていません。1694年には
設立されています。ただイングランド銀行の場合は当初、中央銀行として設立されたの
ではなく国家財政と関わって行きながら中央銀行に進化して行ったようです。
王国政府の銀行であったイングランド銀行は国の債権債務の管理や、発達していく商工業
の貨幣、信用供与、などを行っていく中で中央銀行になります。
1844年にイングランド銀行のみ銀行券発行の独占権が与えられ、唯一の発券銀行になり
1946年に国有化されました。国の通貨はその国の中央銀行が発行することは、われわれ
日本人にとって当たり前のことです。
しかし、国によっては複数の銀行が発行するところもあります。いい例が香港です。
皆さん行かれたことがあるのでお分かりかもしれませんが、香港には発券銀行が三行あり
ます。Bank of China(中国銀行)、HSBC(香港上海銀行)、Standard Chartered Bank
(スタンダード・チャータード銀行)の3行です。
もちろん同じ価値を持つ香港ドルですが、紙幣を観ると印刷されている背景が異なります。
金融に詳しい方には失礼な話になってしまいますが、一見、中央銀行っぽい名前の
民間銀行がいくつかありますので観てみましょう。
代表的(?)なのが 中国銀行です。この銀行は外国為替専門銀行で、中央銀行ではありま
せん。中国の中央銀行は「中国人民銀行」です。もっとも、「中国銀行」を日本の岡山に
本店のある「中国銀行」と間違える方もいるようですが・・・・・。
ドイツの中央銀行はDeutsche Bundes bank(ドイツ連邦銀行)であって、Deutsche Bankと
間違えやすいです。
では、米国の中央銀行はどうでしょう?
Bank of America(アメリカ銀行)ではありません。実は、中央銀行という制度はなく、
FRB(連邦制度準備理事会)が金融政策を司っていて、中央銀行の役割を果たしています。
米国では州の権限が強く、州単位の制度も発達しています。全ての州を統括する中央銀行が
存在しないのもそのあたりに理由があるのかも知れません。
FRBを構成するメンバーに、各地区の連銀総裁がいます。
12の地区連銀がありますが、その代表格はニューヨーク連銀で(Federal Reserve Bank
of New York)で、やはりFRBということになります。
ユーロ圏には、各国の中央銀行の他にユーロ圏全体の中央銀行であるECB
(European Central Bank)がフランクフルトに置かれているのはご存知の通りです。
次回は、9/2(火)の予定です。
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- [2008/08/26 12:10]
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