ドル全面安で円も81円台半ばに。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドルが全面安の展開となり、円は再び81円台半ばまで
上昇。重要な経済指標の発表は無かったものの、米長期金利の
下落がドル売りを誘った。 - ユーロも反発。1.31台前半から1.32台半ばまで
ドル売りユーロ買いが進む。欧州財政危機に対する懸念があるものの
ドル安に反応。1.30台後半が重要なサポートとして意識される。 - 豪ドルも大幅に上昇。対ドルで一時1.0184を記録し、
11月5日に記録した史上最高値を更新。 - 株式市場も続伸。来年に向けて先高観が優勢となりダウは
9ドル高で、1万1585ドルで引け。引け値ベースでは2008年
8月以来の高値を記録。 - 債券相場は上昇。7年債入札が好調だったことから買い物を
集め価格は上昇し、長期金利は大幅下落。 - 金価格は3日続伸し高値を更新。一方原油価格は反落。
本日の注目イベント
- 米 週間失業保険申請件数
- 米 12月シカゴ購買部協会景況指数
- 米 11月仮契約住宅販売指数
ドルが主要通貨に対して全面安の中、円も再び81円台まで買われています。
昨日の東京時間では82円台前半で推移していたものの、欧州市場に入ると
ユーロが反発しドルが下落すると、円も82円を割り込み81円台に入りました。
NY市場では米長期金利の大幅下落を背景にさらにドルが下落。円も前日の
高値である81円81銭を抜け、81円61銭まで上昇しています。
欧州勢も市場に戻り通常の取引環境になった途端の円高ドル安で、どうやら
先週まで続いていたドル先高観も修正を迫られる展開になってきました。
米景気の緩やかな回復基調と、長期金利の上昇を手掛かりにドルが徐々に
反発してきましたが、結局85円には届かず、84円半ばで折り返してきたと
観られます。
昨日も述べましたが、81円台半ばまでドルが下落したことで、これまでドルサ
ポートとして機能してきた一目均衡表の「雲」を完全に下抜けし、さらに「遅
行スパン」も下抜けを完了しています。「日足」ベースで下抜けが完了したこ
とでドル円は80円台を目指す可能性が高まってきたと思われます。
市場は再び「80円割れは時間の問題」と言われた11月初めのころの雰囲
気になってきました。
野田財務大臣は「過度な変動がある場合には、断固たる措置を取るという姿
勢に変わりはない」とのコメントを28日には残しており、再び11月のあのころ
の状況に似てきています。
昨日はユーロも対ドルで反発しドル安に推移しています。
「日足」の200日移動平均線が1.3085辺りにあり、これが強力に機能して
います。8営業日連続でこの水準突破を試みていますが全て押し戻されてお
り、これがユーロの買い戻しにも繋がっていると思われます。
反発のメドは1.3290-1.3300が重要な水準となります。
この水準を抜けるようだと1.35程度まで上昇する可能性も出て来ますが、個
人的には欧州財政問題が根強く残っていることから、ユーロの上昇には限界
があると観ています。しかし、「ドル安傾向」がさらに進む様だとその可能性も
否定できません
円も81円台、ユーロも1.32台。さらに豪ドルも1.01台と、ドルサイドからの
視点で観れば非常に重要な水準にいると言えます。
足元ではドル安がもう少し進むと予想しますが、日本勢が年末年始で市場
から離れる中、再び80円台突入があるのかどうか注目されます。
本日も注目度の高い経済指標の発表がありますが、メインはやはり1月7日
に発表される「12月の米雇用統計」です。
11月分の様なサプライズがあると、市場は再びドル売り一色となり、野田財
務大臣も「断固たる・・・」とのコメントを繰り返す事態になりそうです。
下値のメドは11月1日の80円21銭から84円51銭までの上昇分の76.4%
にあたる81円22銭近辺です。
この水準を抜けると、再び「80円割れ」を意識する展開になりそうです。
今年1年のご愛読ありがとうございました。
来年は1月4日(火)からスタートする予定です。
良いお年を・・・。
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- [2010/12/30 09:51]
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円、1ヵ月半ぶりに81円台後半に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドルはアジア市場から主要通貨に対して軟調に推移。
- NY市場では米経済指標の予想外の悪化に円が急騰。
ドル円は約1ヵ月半ぶりに81円台後半まで円が買われ、
対ユーロ、対ポンドでも大幅に上昇。その後米長期金利が
上昇したことからドルは82円台半ばまで反発。 - ユーロはこのところのショートポジションの買い戻しから
上昇し、1.32台後半まで反発したものの、買い戻しが終わると
下落に転じ1.31台前半で引け。スイスフランや豪ドルに対しても
大きく下落。 - 株式市場は住宅関連株が売られたものの、ダウは小幅に上昇し、
ナスダックは下落。 - 米マスターカード子会社の調査会社によれば、11月5日から
12月24日までの小売売上高は前年同期比5.5%増とのこと。
ただ、このところのNYを中心とする大雪の影響を懸念する声も。 - 債券は5年物債入札が不調だったことから下落し、長期金利は
大幅に上昇。 - 金はドル安を受け大幅上昇。11月中旬以来の1400ドル台を
回復。原油価格も小売売上高の大幅な増加を好感し上昇。 - 10月ケース・シラー住宅価格指数 → -0.8%
- 12月消費者信頼感指数 → 52.5
- 12月リッチモンド連銀製造業指数 → 25
本日の注目イベント
- 欧 11月ユーロ圏マネーサプライ
- 独 12月消費者物価指数(速報値)
82円台の前半を割り込み、82円を突破した円は、
11月12日以来の81円台後半まで急騰しました。
84円半ばから上値が重い展開が続いていた中でも、
下値も82円台後半と82円30銭辺りでしっかりサポートされて
いたドル円でしたが、今週に入り82円台後半でのもみ合いに変わり、
昨日、米経済指標の悪化をきっかけに大きく下落しました。
ロンドンなど一部の市場がクリスマス後の休暇だったこともあり、
市場参加者が少ない中で円が急騰したとの指摘もありますが、
円が上昇する際は概ね昨日のように一気に円高が加速するのが常です。
円は一時、81円81銭まで買われた後、82円台後半まで反落していますが、
これはNYの午後に入ると米長期金利が大幅に上昇したことで、
ドル買い戻しが優勢となったことによります。
これで、今月に入り続いていた82円半ば-84円半ばのレンジを
下に抜けたように思えます。
テクニカルで観ても、日足の遅行スパンはローソク足だけではなく、
「雲」の下限も下抜けしており今後のドルの下落を示しています。
ケース・シラー住宅価格指数の前年比マイナスは今年の1月以来ということで、
米住宅市場の2番底懸念から市場はドル売りで反応しましたが、
一方でユーロの先安観測は依然として根強く、ショートカバーが終われば下落しています。
そのため円やスイス・フラン、豪ドルなどの通貨に資金が集まりやすい状況になっています。
「ユーロ・スイス」や「ユーロ・豪ドル」は過去最安値を記録しています。
テクニカル面で一つ気になるのは、昨日81円81銭まで下落したドル円は、
その後82円55銭まで反発し、「長い下ヒゲ」を形成したことです。
通常、底値から70銭を超える反発を見せ、
「長い下ヒゲ」を示現させたことは「相場の底固さ」を表し、
「底値」を記録する場合があるからです。
ケース・シラー住宅価格指数が9ヵ月ぶりにマイナスに転じたことで、
米景気回復は「雇用と住宅」が依然として足かせとなっていることを示しています。
「差し押さえられた多くの住宅が再び市場で売り出されることを考えると、
2011年も住宅価格には下押し圧力がかかるとみられる。」(ブルームバーグ)
との見方が支配的で、先月から緩やかな回復傾向を示してきている米景気が
「本格的な回復」に向かうには相当な時間が必要と観るべきでしょう。
特に失業率については、バーナンキFRB議長が最近のテレビ番組のインタビューの中で
「正常な基準(5~6%)に戻るまでには4~5年かかる可能性がある」
と述べていたことが頭から離れません。
さて、今日から欧米勢は長いクリスマス休暇から戻ってきます。
本邦勢が年末年始入りしますが、市場は通常の状況に近いとみておくべきでしょう。
82円台後半から82円に掛けての重要なサポートを次々に突破したドル円ですが、
上記「長い下ヒゲ」が気になるところですが、
しばらくは、ドルの戻りが売られる上値の重い展開を予想します。
一目均衡表の「雲」を下抜けしたことで、今度は「雲」の下限が頭を押さえそうな気配です。
現在、83円08銭にある「雲」の下限(先行スパン2)を抜けるまでは
ドルの戻り売り(Sell on rally)でいいのではないかと思います。
ユーロだけではなく、円もにわかに動き始めたことで、
年末年始も気の抜けない状況になりそうです。
- [2010/12/29 09:30]
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値動き限定的、テクニカル中心の取引に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 主要通貨は終始、狭い値幅での取引に。
欧米ではまだ休暇中の市場参加者がいるのが背景。 - 株式市場も閑散としており、方向性も無く4営業日ぶりに小幅に反落。
- 債券市場は米2年債入札が好調だったことから3営業日ぶりに反発。
長期金利は下落。 - 金は小幅に反発。原油は小幅に反落。
本日の注目イベント
- 豪 シドニー休場(ボクシングデー)
- 日 11月失業率
- 日 11月全国消費者物価指数
- 日 11月鉱工業生産
- 英 ロンドン休場(ボクシングデー)
- 米 10月ケース・シラー住宅価格指数
- 米 12月消費者信頼感指数
- 米 12月リッチモンド連銀製造業指数
欧米ではクリスマス休暇が終了したものの、市場参加者は少なく、
NYでは大雪の影響もあり、依然として取引は閑散としておりました。
ドル円では20銭程、ユーロ円さえも30銭程、ユーロドルは25ポイント程度と
値動きの乏しい、静かなもみ合い相場となりました。
また、昨日に引き続き、シドニー、ロンドンは休場となっております。
本日はいくつか米経済指標の発表がありますが、特に注目度の高い指標では
ないと思われますので影響も限定的ではないでしょうか。
強いて言えば、ケース・シラー住宅価格指数に注目しております。
同指数の市場予想は-0.18%となっており、
予想と乖離する結果となれば市場も反応すると思いますが、
大きな値動きは期待出来ないでしょう。
本日は材料に乏しい相場となっておりますので、やはりテクニカルを重視したいと思います。
まず、ドル円では「30分足」の100日移動平均線(SMA)が82円90銭にあり、
上値を抑えているようです。
NYでも丁度この抵抗線に抑えられており、さらには「1時間足」で一目均衡表の
雲が分厚い抵抗帯としてあるのが見受けられます。
この雲の下限が東京タイムの間、82円90銭に存在し、欧州~NYタイムにかけては
82円80銭辺りまで下げてきています。
下値としては「8時間足」の200日移動平均線(SMA)が82円60銭前後に
ありますので約30銭程度の値幅で推移するものと予想します。
次にユーロドルは、「1時間足」の200日移動平均線が1.3160にあり
今朝方、同水準を抜けて来ています。しかしながら、「4時間足」の一目均衡表の
分厚い雲の下限が1.3175-80付近に存在する為、上限は1.32台後半と
ドル円と同様、上値は重たいことが伺えます。この雲の中に100日移動平均線が
1.32台前半にありますので上げても限定的かと思われます。
今朝から材料に乏しい中でユーロ買いが優勢となっておりますが、
ストップロスを巻き込んだ買い戻しという見方が有力ではないでしょうか。
下値支持線は「1時間足」100日移動平均線の1.3120近辺、また
「日足」200日移動平均線の1.3090前後にあり、先週1週間全て
サポートされているほど強固なサポートラインというのが確認できます。
最後にユーロ円は110円付近まで特に抵抗するものがありません。
しかしながら、ユーロドルと同様に方向性が明確ではない為、
戻りだしたら早いということも気を付けなければいけません。
- [2010/12/28 10:16]
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中国再利上げで豪ドル軟化。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 海外市場はクリスマス休暇のため閑散な動き。
- NY市場では債券市場、株式市場などの休場から
円は82円台後半で推移。値幅も10銭以下と動かず。 - ユーロも1.31台を挟む狭いレンジでの取引に終始。
- 先週末、中国が今年2回目の利上げを発表。
その影響で、早朝の取引では豪ドルが「窓」を開けて下落。
本日の注目イベント
- 豪 シドニー休場(ボクシングデー)
- 中 11月中国の工業利益
- 英 ロンドン休場(クリスマス)
先週25日の土曜日に中国人民銀行は10月に続いて2度目の利上げに踏み切りました。
金融機関への貸出と、預金の基準金利を0.25%引き上げ、5.81%にしました。
今回の引き上げは、前回10月の利上げと比べそれほど「意外感」はなく
「サプライズ」もありませんでした。
先日発表された中国の11月の消費者物価指数(CPI)は5.1%だったことから、
「利上げは時間の問題」と観られていたためです。
また、先週後半には上海インターバンク市場の短期金利が上昇し、
利上げを織り込む状況にもなっていました。
人民銀行としても、「預金準備率」の度重なる引き上げにもかかわらず、
国内の物価上昇の勢いは止まらず、不動産価格の上昇にも歯止めがかからないことから、
市場は「追加利上げ」をある程度読んでいました。
今月12日の中央経済工作会議では既に金融引き締めへの転換が確認されており、
年に3-4回程度の利上げを行う可能性があることが伝えられていました。
ただ、タイミングとして欧米がクリスマス休暇中のこの時期に実施したということは、
やや以外だったかもしれません。
中国の利上げ→中国経済成長の鈍化→中国経済の恩恵を受けている豪州経済への影響、
という連想から、豪ドルが売られるとの観測がありました。
実際、今朝の豪ドルはNY市場での対ドル引け値1.0041から下落し、
対円でも「窓開き」を見せ下落して始まっています。
豪ドルは先週から対ドルではパリティ(1.0)を回復し、
対円でも83円台前半から半ばで底堅く推移しており、資源高の追い風もあることから、
もう一段の上昇を予想していましたが、今後の影響を見極めたいと思います。
足元では豪ドルが下落して始まっていますが、
本当の影響は欧米が休暇明けする29日以降になると思われます。
個人的には、利上げによる豪ドルの下落は限定的と観ています。
中国政府はインフレがさらに拡大することを懸念し、利上げを継続するものと思われますが、
同時に来年度のGDPの伸びを9%程度と見込んでいます。
今年度の二ケタ成長ほどではないとしても、二ケタに近い成長を目指しており、
利上げによって経済成長を大幅に鈍化させる政策は採らないと観られるからです。
今後も利上げが続くものと思われますが、その影響は軽微と、個人的には観ています。
「13億人を超える人口を養うには8%程度の経済成長が必要である」
ことは以前から指摘されています。
間もなく日本を抜き「世界第2位の経済大国」になる
中国は突き進むしか無いようにも思えます。
中国の利上げとともに、もう一つ考えなくてはならないのが人民元相場の行方です。
来年には米国からの人民元切り上げ圧力がさらに強くなるものと観られます。
利上げにより、今や「高金利通貨」として位置づけられる
人民元は今後さらに資金流入が見込まれます。
上昇圧力の掛かる人民元にブレイキをかけるため
人民銀行は「ドル買い人民元売り」の市場介入を繰り返すことになりますが、
結果的に市場に投機資金を供給することに繋がり、
これがさらにバブルを拡大させることから難しい選択を迫られます。
人民元の上昇スピードはさらに早まる可能性があると考える方が無難かと思われますが、
その場合、円に与える影響もあると観られます。
年内82円台で終わるような状況になると、
年明けからはやや円高傾向で始まるのではないでしょうか。
- [2010/12/27 09:15]
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ユーロ円108円台半ばまで下落。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はアジア市場で83円台半ばから下落し、NY市場では
約2週間ぶりに83円台を割り込み、82円87銭まで円高に。
クロス円での円買いも目立った。 - 円は対ドルだけではなく、対ユーロでも続伸。ユーロ円は
108円台半ばまで売られ、3週間ぶりの水準に。 - ユーロドルの上値が重く、欧州市場では売られ易い状況が続く。
- 格付け会社フィッチはポルトガル国債を「AA-」から「A+」に
格付けを引き下げると発表。 - アイルランド政府が同国大手銀行のアライド・アイリッシュ銀行を
国有化すると発表したこともユーロ売りに繋がった。 - NYダウは3日続伸。ナスダックは小幅に反落。このところの
株価の上昇で割高観が強まったとの指摘も。 - 債券は続落。米経済指標が概ね好調だったことから米景気拡大
見通しが優勢。債券は売られ長期金利は小幅に上昇。 - 金は続落。原油は5日続伸し91ドル台に。
- 12月ミシガン大学消費者信頼感指数(確定値) → 74.5
- 週間失業保険申請件数 → 42.0万件
- 11月新築住宅販売件数 → +5.5%
- 11月個人所得 → +0.3%
- 11月個人支出 → +0.4%
本日の注目イベント
- 米 株式、債券市場は休場
昨日は東京市場が休場だったことから「静かな展開」を予想していましたが、
ドル円は比較的値幅を伴った動きを見せました。
83円台半ばでの取引から徐々に下落が進むと、ユーロも対ドルでは買われ、
主要通貨に対しては「ドル安」が進行。
しかし、ユーロは上昇するものの、上値が重くその後反落し、
結果としてユーロ円が大幅に下落。
ユーロ円が109円台を割り込んだことで、
ユーロの先安観からさらにユーロが売られる展開となりました。
ユーロドルはこのところ、アジア市場では買い戻しが優勢になるものの、
欧州市場に入ると売られる展開が続いています。
南欧諸国の格下げが相次いでおり、内容が伝えられる度にユーロ売りに繋がっています。
そのため、1.30台は維持しているものの連日下値を切り下げており、
昨日は1.30台半ばまで下落しています。
市場参加者が減少していることから、
ユーロ売りに追随する向きが少なく足元では下落は限定的ですが、
来週から再び通常のマーケットに戻った時に
どのような反応を示すか興味のあるところです。
ドル円は昨日触れたように、
83円08銭に「雲」の上限がありサポートされるかに見えましたが、
一旦割り込んだことで現在は「雲」の中にいます。
「雲」を完全に抜けるには82円台前半まで下落する必要があり、
ここからの下落はかなりスピードが弱まると観ています。
84円台半ばを5度ほどテストしたものの、
抜け切れなく反落し82円台まで円が上昇してことで
やや円先高観が優勢になって来ましたが、まだレンジは下抜けしていません。
上記82円台前半を完全に抜けきって初めて、「レンジ抜け」したと判断すべきでしょう。
ユーロの上値が重い展開が続いているにもかかわらず、
豪ドル、スイスなどは逆に上昇しています。
ドルに対する主要通貨の動きに変化が出てきており、「ユーロの全面安」が背景です。
円、豪ドル、スイスなどはドルに対して上昇傾向を強めている
一方、ユーロは財政懸念からドルに対して下落を続けています。
ユーロの先安観が支配的なことで、その受け皿としてドルだけではなく、
比較的安全な通貨群に資金が流れている、といった状況かと思います。
豪ドルはパリティ(1.0)を回復し、海外の引け値でも1.0台を維持しています。
上記「安全通貨群」を買い、
ユーロ、ドルなどを売る戦略が最も収益的に機能してくるものと思われます。
アイルランド、ポルトガルなどの格下げが相次ぎ、フランスの国債まで売られ始めている中、
S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)はフランス国債の格付けを
「AAA」の最上級に据え置くことを発表しました。
これにより、欧州財政危機の最悪の事態は免れましたが、
今後も欧州情報からは目が離せないことにかわりはありません。
米景気に対する楽観的な見方が支配的ですが、
住宅、雇用については予想通りまだ不透明な状況が続いています。
昨日発表された新築住宅販売件数は市場予想を下回っていました。
個人消費など米景気の回復が住宅、雇用の拡大に繋がる様な力強さを見せるには、
まだ相当な時間が必要です。
その意味から、来年そうそうに発表される12月の雇用統計は今から注目度を増しています。
また、同じ日にバーナンキFRB議長が上院予算委員会で証言を行うことも決まりました。
米経済見通しや財政見通しなどについての意見が聞かれるものと思われ、
こちらも注目されます。
Merry Chiristmas!!
良い週末を・・・・。
- [2010/12/24 09:45]
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豪ドル堅調。対円は83円台半ばで底堅い。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はやや下落し、83円50銭を割り込む場面があったものの
米長期金利が上昇したことを受けドルが反発。値幅も約30銭と、依然として
動意は観られず。 - ユーロも比較的静かな取引となり、1.31台を割り込んだが、
クリスマス休暇前ということもあり商いは閑散。 - 米7-9月期GDP確定値が上方修正されたものの、市場への影響は軽微。
- 豪ドルが底堅い動きを続け、対ドルでは1週間ぶりにパリティー(1.0)を
回復する場面も。 - 株式市場は続伸。7-9月期GDP確報値が上方修正されたことを好感し、
銀行株などが上昇。ダウは26ドル高と2年4ヵ月ぶりの高値まで上昇。 - 債券は米経済指標が改善し、景気拡大が示されたことから下落し、長期金利は
小幅に上昇。 - 金価格は反落。原油は4日続伸し、引け値でも90ドル台に。
原油在庫が予想外に減少していたことが背景。 - 7-9月期GDP(確定値) → 2.6%
- 11月中古住宅販売件数 → 468万件
- 10月FHFA住宅価格指数 → +0.7%
本日の注目イベント- 日 休場(天皇誕生日)
- 米 11月耐久財受注
- 米 12月ミシガン大学消費者信頼感指数(確定値)
- 米 週間失業保険申請件数
- 米 11月新築住宅販売件数
- 米 11月個人所得
- 米 11月個人支出
ドル円は連日値幅も限られ小動きですが、ややドル安円高方向へとシフトしています。
今週月曜日に84円台を割り込んで以来、83円台での取引が続いています。
米長期金利の上昇傾向にブレイキが掛かったことが主な理由かと思いますが、一部
には年末を控え、海外にある本邦企業が利益を本国に送金するためにドルを売って
円を買っている、との報道もあります。
しかし、下落したとは言っても明確な下落傾向を示しているわけでもありません。
テクニカルでは「100日移動平均線」(日足)が83円46銭にあり、昨日はこの線に
絡んだものの、明確に割り込んではいません。
さらに、その下値には一目均衡表の「雲」があることは以前にも指摘した通りです。
「雲」を完全に抜け切るには82円台前半まで円が買われる必要があります。
逆に、84円台に戻すことがあれば上記「100日移動平均線」がしっかりサポートし
たことになり、再び84円を挟む展開になりそうです。
昨日もこの欄で触れましたが、ユーロの対豪ドルレートが着実に下落しています。
対ドルでユーロは売られ、豪ドルが買われていることから、ユーロ円も下落し、豪ド
ル円は83円台で底堅い動きを見せています。
これまではユーロが対ドルで下落すると、豪ドルも同様に下落していましたが、欧
州財政危機の拡大懸念からユーロの先安が見込まれる一方、国内景気が良好
で資源価格も上昇している豪ドルに先高観があり、これが豪ドル買いに繋がって
いるものと思われます。
さらにこの時期は通常、通貨のボラティリティが低下します。
相対的に高金利の豪ドルをキャリーすると「金利収入」が見込めることも背景に
ありそうです。豪ドル円では84円台はひとまず決済をし、利益を確定する水準
かと思われます。
現在、85円12銭にある「200日移動平均線」(週足)は2008年のリーマンショ
ック以来一度も上抜けしていない重要な抵抗線です。
今年も3月末から5月に掛けて5回も突破を試みて全て押し戻されていることから、
非常に強い抵抗線と観られます。
本日は東京が休場で、明日は海外のクリスマス休暇のピークです。
市場参加者が減少し、流動性が徐々に失われる中、今日のNYでは耐久財受
注など、比較的重要な経済指標の発表が
あります。
発表される結果が事前予想をと大きく乖離しているようだとレートが飛び、思わ
ぬ値幅が出てくることもないとは言えません。
ポジションと資金の管理には十分注意していただきたいと思います。 - 日 休場(天皇誕生日)
- [2010/12/23 10:04]
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欧州国債格下げでユーロに下落圧力。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 中国副首相の欧州債務支援発言から、アジア市場ではユーロが
1.31台後半まで買い戻されたが、海外市場では一段と売られ、
約3週間ぶりに1.30台後半まで下落。 - 格付け会社による南欧諸国の格下げが続き、この日もムーディーズが
ポルトガル国債の格付けを2段階引き下げる可能性を示唆したことで、ユーロ
売りが止まらず。 - 円は小動き。83円台半ばまで上昇したが、83円50銭を割り込むこと
はできずに反落し、83円台後半で引け。 - ユーロが売られる展開にも豪ドルは底堅く推移。ユーロ売りオージー買い
がうまく機能し、ポジション作りも進んでいる模様。10月初旬の高値から
約1200ポイントの下落を継続中。 - 日米欧の中央銀行はドル資金供給2011年8月1日まで延長することを
決定。欧州財政危機に対応した措置と観られる。 - 株式市場は上昇。中国が欧州支援に乗り出したことを好感。
ダウ、S&P500など主要指標はリーマン破綻前の水準を回復。 - 債券相場はもみ合い。FRBが94億ドル相当の国債とインフレ連動債を
購入したが影響は限定的。クリスマス休暇前でもあり商いは閑散。 - 金、原油はともに続伸。原油価格は90ドル近くまで上昇し、
2年2ヵ月ぶりの高値を記録。
本日の注目イベント
- 日 11月貿易統計
- 英 BOE金融政策委員会議事録
- 英 第3四半期GDP(確報値)
- 米 7-9月期GDP(確定値)
- 米 11月中古住宅販売件数
- 米 10月FHFA住宅価格指数
中国とEUの閣僚級で経済問題を話し合う「ハイレベル経済・貿易対話」の中で、
中国の王副首相は「中国は実際の行動を起こす」と語り、
財政問題で困難な局面に立たされている
南欧諸国の国債購入を拡大することを示唆しました。
この報道が伝わるとユーロ買い戻しが進み、
昨日のアジア時間では1.32台目前まで上昇しました。
しかし、その効果も長くは続かず、
海外市場ではさらに売り込まれ1.30台後半まで下落し、
約3週間ぶりの安値をつけています。
今朝の経済紙の一面トップにも報じられていましたが、
南欧諸国の国債格付けが軒並み引き下げられており、
さらにそれらの国の銀行の格付け引き下げにまで及んでいます。
特にこれまで南欧諸国の中でも比較的安全と観られていた
ポルトガル、スペインの国債が引き下げられたことで、
両国の国債の利回りは上昇し、
欧州財政危機の拡大懸念からユーロ売りに繋がっています。
前日にはフランスのCDSに対するリスクプレミアムも拡大し、
債券市場には驚きとも取れる波紋が広がっています。
ユーロの下落はクリスマス休暇明けの来週以降に本格化するのではないかと観られます。
既に短い「1時間足」では、はっきりと下落傾向を示しており、
昨日までは上値を「雲」の下限で抑えられていましたが、
1.31台を割り込んだことで「雲」を下放れ、
下落に拍車がかかりそうな形態を示しています。
また昨日の安値の1.3073は「200日移動平均線」(日足)があるため、
しっかりサポートされています。
重要なサポートレベルであるため簡単には突破できない可能性もありますが、
それだけにこの水準を抜けると1.30割れも見えてきそうです。
そうなると、さらに長期のトレンドを示す「週足」では、
雲の上限である1.29台前半まで目立ったサポートはありません。
欧州の財政危機が来年はさらに拡大するとの見通しもあり、
年末にかけてはユーロの底値を探る展開になるのではないかと予想します。
特に来年4月からはスペインだけでも、
半年間で310億ユーロ(約3兆4千億円)の国債の償還を控えています。
借り換えに成功したとしても調達コストの上昇は避けられません。
来年にかけてもユーロ売りの圧力は続くものと観ておく必要があります。
現在、欧州は大寒波に見舞われ、
主要空港ではクリスマス休暇で移動する人たちが大混乱に陥っています。
大寒波はユーロ売りの嵐の前触れに思えてなりません。
ユーロは主要通貨に対して大きく下落していますが、
対円でもその傾向は読み取れます。
「日足」までのテクニカルでは既に下抜けしており、
現在「週足」での「遅行スパン」がローソク足に絡んでいる状況です。
この線が下抜けを完了すると、
今年8月に記録した105円台半ばが意識されます。
ドル円は「蚊帳の外」の感があり明確な方向感はありません。
やや円高方向を試しているようには見えますが、勢いはありません。
ユーロが対ドルで下落すると観れば、再び84円台に乗せてくると思いますが、
それでも84円20銭-40銭を明確に抜けるイメージはありません。
その水準は、一旦は利益を確定するレベルかと思われ、
84円50銭を抜けてきたら再びロングで攻める、
そんな見方でいいのではないでしょうか。
- [2010/12/22 09:43]
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ユーロ再び下落。対円では109円台に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ユーロが下落。アイルランドの銀行2行の優先債格付けが引き下げられた
ことや、フランス国債に対するCDSの保証料が過去最高になるなど、欧州
ソブリンリスクが再び台頭。 - ユーロは対ドルだけではなく、スイスフランや豪ドル、円に対しても
下落し、ユーロ独歩安の様相。特にユーロスイスは1.2634まで下落し、
1991年のユーロ創設以来の安値を記録。 - ドル円は84円台から徐々に下落し、一時83円63銭まで売られたが
依然としてレンジ内での取引に終始。 - 株式は先週末同様まちまち。ダウは13ドル下落し、ナスダックや
S&P500は小幅上昇。S&P500は2年ぶりの高値となった。 - 債券相場はFRBが米国債を146億ドル購入したものの、上昇は続かず
長期金利は横ばい。 - 金、原油は続伸。原油は89ドル台に迫る水準まで上昇。欧州が寒波に
見舞われていることも材料に。
本日の注目イベント
- 豪 RBA議事録
- 独 1月独GFK消費者信頼感調査
- 加 11月カナダ消費者物価指数
円は83円63銭まで上昇しましたが、
依然として参加者が減少していることもあるせいか、勢いは観られません。
NY市場は83円台で取引が始まったものの、値幅は20銭強と、
ドル円については既にクリスマス休暇入りした様な値動きでした。
下値を試したドル円でしたが、
「1時間足」で観ると「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を形成し、
どちらに抜けてもおかしくない状況です。
「日足」では83円10銭あたりにトレンドラインのサポートがあり、
この水準が抜けるかどうかが注目されます。
日増しに参加者が少なくなる状況から、
下値を抜き切ることも簡単ではないように思われますが、逆に、
値動きが荒くなる可能性もありますので、
ポジションをキープしている以上注意は必要です。
ユーロが再び下げ足を早目そうな展開になってきました。
EUは先週、欧州安定メカニズム(ESM)の創設を決め、
ユーロ安にも一旦歯止めがかかった様にも
見えましたが、EU諸国の足並みの乱れもあり「小康状態」だっただけの様でした。
昨日は欧州のソブリンリスクが再び意識されユーロがほぼ全通貨に対して下落しました。
アイルランドの銀行2行の優先債格付けが引き下げられたことで、
欧州の一部の国が資金調達難に見舞われるとの観測が強まったり、
スペインの銀行も格下げ見通しと報道されたことでユーロ下落に拍車をかけました。
さらに、ユーロ圏第2位の大国、フランスの国債に対するCDS保証料率が急騰し、
過去最高を記録しました。
引けでも「111bp」と先週末に比べ「約7bp」上昇し、
ギリシャから始まった財政危機は、アイルランド、ポルトガル、スペインを経て、
「ついにフランスにまで波及してきた」との印象を投げかけています。
この先フランスが「PIIGS」諸国の仲間入りをするとも思えませんが、
市場では「リスク回避」の動きに過敏になっており、
通常観られない動きに同調し易い状況が続いているものと思われます。
この結果、ユーロドルは約3週間ぶりとなる1.31台を割り込み、
対円でも109円台半ばまで下落しています。
昨日は特にユーロの下落が際立っており、
ユーロ以外の通貨は総じて対ドルで上昇している中、
ユーロ独歩安の状況でした。
対スイスフランではユーロ創設以来の安値を記録し、
「リスク回避」の動きが加速していると理解することができます。
このような状況でクリスマス休暇明けを迎えると、
ユーロがさらに売られる可能性が高まると観られます。
テクニカルで観ても、「日足」ではユーロ下落を示しており、
昨日の1.30台後半は「200日移動平均銭」で
サポートされたことで下げ止まっていますが、
この水準を割り込むと今月2日に記録した1.29台後半がターゲットとなってきます。
景気がやや上向きになっており長期金利が上昇傾向にある米国と、
依然として財政問題が払拭されずにソブリンリスクが高まる
欧州を、単純に眺めるだけでユーロドルの動きが読めそうな状況です。
来年、年明け後もユーロが下落するリスクは高いと考えるのが自然かと思います。
短い「30分足」では1.3150近辺に厚い「雲」があることから、
この水準で頭を抑えられるのでないかと観ます。
また、「雲」に入った場合も1.3193に「100日移動平均平均線」が構えています。
上昇もこの辺りが限界かと思われますが、何が起こるか分からないのも相場です。
- [2010/12/21 09:44]
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円、84円挟み膠着。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は前日同様、84円を挟む展開で小動き。
ユーロ円が110円台半ばまで売られ、ドル円でもドル売り円買いが
観られたものの、83円80銭辺りにあるサポートを割り込めず
レンジ内での展開が続く。 - ユーロはアイルランドの格下げを受け急落。一時1.31第前半まで
売られ、約2週間ぶりの安値を示現。その後は独経済指標の好転にやや
買い戻しが入り上昇。 - 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはアイルランドの
格付けを5段階引き下げると発表。アイルランドの財政力は一段と低下する
可能性があると指摘。 - オバマ大統領はブッシュ減税を2年間延長する法案に署名。
- 株式市場はまちまち。ダウは小幅安ながらナスダックは小幅高。
- 債券相場は急伸し、長期金利は低下。3.5%前後の10年債利回りが
長期投資の水準として魅力的との見方から買い物を集める。FRBが米国債を
20億3千万ドル買い入れたことも手がかりに。 - 金、原油はともに反発。
- 11月景気先行指数 → +1.1%
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合(12/21まで)
- 日 10月景気動向指数(改定値)
- 欧 10月ユーロ圏経常収支
- 欧 12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
ドル円はレンジを抜けません。
ここ1週間は83円ー84円台半ばでの展開が続いており、
最近はさらに値幅を縮小する傾向があります。
特に今週は海外市場が本格的にクリスマス休暇入りすることもあり、
値動きが一段と膠着することが見込まれます。
レンジ内取引と割り切れば、84円台前半から半ばにかけてはドル売りで攻めて、
ストップの逆指値は84円50銭超えに置く。
下値では83円80銭辺りでドル買いで攻め、ストップは83円50銭以下に設定する。
そんな展開でしょうか。
ただし、それほど鞘が抜けるとも思えず、ここは、
来年を睨んでレンジを抜けた方向について行くスタンスの方が賢明かと思います。
今年も余すところあと10日程になってきました。
書店には「2011年を大予測」などの見出しの本が目につくようになりました。
先週末、オバマ大統領はブッシュ減税の2年延長に署名し、正式に法案が成立しました。
オバマ大統領は「これは米国民にとって良い法律だ」と述べ、
景気と雇用にプラス効果があると指摘していました。
同法案は所得税の減税だけではなく、
長期失業者向けの失業給付金の2011年までの延長も含んでおり、
規模としては8580億ドル(約72兆円)にもなると観られています。
この影響で、調査会社などの推計では
2011年のGDPを0.5%~1.0%押し上げると試算されています。
年末商戦も好調なことから同法案成立を受けて、
個人消費が盛り上がり景気の底上げには一定の効果が見込まれることは
間違いないところでしょうが、果たしてどこまで雇用の増大に繋がるかは未知数です。
一方で、米国の財政赤字は一段と加速すると観られています。
この結果米国は、国債の増発は避けられず長期金利を上昇させます。
金利の上昇は調達コストの増加に繋がり、さらに財政を悪化させるという、
いわゆる「悪い金利上昇」に陥ることは避けられないと観られます。
現状では「米金利上昇はドル高」に繋がりドル買い円売りを誘発しますが、
今後は米金利の上昇が必ずしもドル高には繋がらず、
むしろ「ドル売り材料」とみなされる時がくる可能性もあります。
事実先週、格付け会社のムーディーズは
米国の格付けを「ネガティブ」に見直すことを発表し、
将来の格下げの可能性を示唆しました。
今後市場が「財政赤字拡大」と「景気拡大」の、
二つの相反する材料をどのように消化して行くのかについては、
十分に注視したいところです。
先週2日間にわたって行われたEU首脳会議が終了し、
2013年に恒久的な危機管理メカニズムを創設することで合意しました。
しかし、今回の会議では意見の対立も目立っており、
今後の政策運営が軌道に乗るかどうかは予断を許しません。
ドイツは依然として現行の「欧州金融安定化基金」の規模を
7500億ユーロ(約83兆円)から拡大することや、
ポルトガルやスペインに早期の支援を提供することに反対の立場を取っています。
格付け会社による格下げ見直しが相次ぎ、足元では火種が着火しそうな状況です。
欧州の大国独仏の柔軟な対応が見込まれないとすると、
ユーロがさらに売られることになりそうです。
- [2010/12/20 09:27]
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ドル円、84円台半ばが抜けず。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 前日のNY市場で84円台半ばまで上昇し、この日もほぼ同水準まで
買われたドル円は、依然として上値が重く、引けにかけては下落する展開に。
一方、下値では84円を割り込む場面があったものの、勢いはなく
84円前後でのもみ合いに。 - ユーロ、豪ドルなどもこの日は小動き。
EUは「欧州安定メカニズム」の創設を正式に決定するとともに、
ECB(欧州中銀)の自己資本も倍増することを決定。 - スペインでは今年最後の国債入札が行われ、応札は無難に消化されたものの
利回りは上昇し調達コストの拡大に。
30億ユーロ(約3400億円)の調達を行った模様。 - 格付け会社ムーディーズ・インベスターズはギリシャ国債の格付けを
引き下げ方向で見直すと発表。 - 一方、格付け会社S&Pは中国の国債格付けを1段引き上げると発表。
新らしい格付けは「AA-」と、日本の格付け「AA」との差は1ノッチに縮小。 - 朝方軟調だった米株式市場はフィラデルフィア連銀景況指数などの
改善を受け上昇。ダウは41ドル上昇し、2008年のリーマンショック前の
水準を回復。 - 債券は売られ、長期金利も一時3.56%台に乗せたが、その後株価が上昇
したことで債券価格は上昇。長期金利は小幅下落。 - 金は大幅に続落し、原油も反落。
- 11月住宅着工件数 → 55.5万件
- 同許可件数 → 53.0万件
- 12月フィラデルフィア連銀景況指数 → 24.3(2004年3月以来の水準)
- 週間失業保険申請件数 → 42.0万件
本日の注目イベント
- 欧 10月ユーロ圏貿易収支
- 独 12月独ifo景況指数
- 米 11月景気先行指数
84円台半ばが抜けきれません。
これで5度突破を試しましたが、全て押し戻されています。
市場参加者のなかにも
「84円半ばは結局抜けずに、ドルは反落する」との見方も増えて来ました。
この水準から上には、本邦からのドル売りが並んでいるとの情報もありますが、
重要なテクニカルポイントでもない割には突破できません。
逆に、突破できないことで「重要なポイント」になりつつあります。
しかし一方では、下値ではドル買い意欲も強く深押しは観られません。
84円台半ばから83円台後半まで下落したことで、
「1時間足」などの短期的なテクニカル指標では、ドル売りに傾いていますが、
「日足」では83円10銭あたりで、一目均衡表の「雲」がしっかりとサポートしており、
重要な指標である「遅行スパン」はむしろ「雲」の上限を抜けそうな構えを見せています。
この「遅行スパン」が完全に上抜けを完了すれば、
「好転」することからドルの上昇モメンタム(勢い)が高まり
85円を目指すものと思われます。
結局、足元では短期的なドル下落を示しながらも、
中長期的には上昇傾向が維持されており、相場観も混在している状況です。
ドル円の明確な方向を決めるカギはユーロの今後の動きと、米長期金利の行方です。
昨日発表された米経済指標も良好なものでした。
住宅着工件数は3ヵ月連続の改善を見せ、
フィラデルフィア連銀景況指数は市場予想を大きく上回り、
2004年3月以来6年半ぶりの高水準でした。
同指数は「ゼロ」が拡大と縮小の境目で、市場予想の15を大きく上回っています。
項目別では、新規受注と週平均就業時間指数が高水準であった一方、
雇用指数は前月よりも悪化しています。
米景気は拡大基調にあるものの、
依然としてその影響が雇用にまで繋がっていないことを表しています。
米景気が緩やかな改善傾向にあるとは言っても、
雇用の増大、失業率の大幅低下に繋がるまでには相当な時間が
必要であることは異論のないところでしょうが、
その前に米景気の回復が息切れしてしまうシナリオも考えられます。
年末商戦も好調なことから、ここしばらくは米経済指標の改善傾向は続くと予想されますが、
来年4月以降についてはその保証もありません。
上述のように、ドル円が今後85円台に乗せる可能性も残っています。
円がここからさらに売られるのか、あるいは反転して80円を目指すのかは、
ユーロの動きに掛かっています。
欧州財政危機がさらに拡大し、
スペインが資金支援を要請するようならドル高ユーロ安の影響を受け、
円も売られ易い流れになります。
スペイン国債の利回りが上昇し、
CDS保証料率がリスクを徐々に織り込みつつあるようにも見えます。
また、EUは「その時のために」欧州安定メカニズム(ESM)の創設を決めています。
さらに、加盟国の国債が売り浴びせられた際に買い出動できるよう、
ECB(欧州中銀)の資本増強にも踏み切りました。
ついこの間まで、増額には反対していた独仏首脳の合唱は今や聞かれません。
「欧州財政危機が新しい段階に入ったのでは」と勘ぐるのは考え過ぎでしょうか。
良い週末を・・・・。
- [2010/12/17 09:38]
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ドル円84円半ばを示現、正念場に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 格付け会社大手ムーディーズがスペイン国債の格下げ見通しを
発表したことでユーロが下落。ドルは主要通貨に対して上昇。 - ユーロドルは前日の1.35台に迫る水準から1.32台前半まで
大幅に下落。 - ドル円はドル高に引っ張られる形で84円51銭まで上昇。
これまで何度か試したが押し戻されている、84円40-50銭の水準
までドル高が進んだが、完全には抜けきれず84円35銭で引け。
米長期金利が3.5%台に乗せ、日米金利差が拡大していることが背景。 - 株式市場は小幅反落。ダウは一時1万1500ドル台に乗せたものの、
長期金利が上昇したことで売られ前日比マイナスに。 - 債券は米景気の回復見通しから続落。10年債利回りは7ヵ月ぶり
となる3.5%台まで上昇し、ドル高をアシスト。 - 金は大幅下落。1400ドル台では利益確定の売りが優勢。
原油は小幅に続伸。 - 12月消費者物価指数(CPI) → +0.1%
- 12月NY連銀製造業景気指数 → 10.57
- 11月鉱工業生産 → +0.4
- 12月NAHB住宅市場指数 → 16
本日の注目イベント
- 欧 EU首脳会議(12/17まで)
- 欧 11月ユーロ圏消費者物価指数(CPI)
- 米 11月住宅着工件数・同許可件数
- 米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 週間失業保険申請件数
ドル全面高の展開に、円もNYでは重要な水準である
84円50銭をわずかに超えるドル高円安に振れています。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペインの国債を格下げ方向で見直す、
と発表したことでユーロが大きく売られ、主要通貨に対してドルが買われる展開でした。
スペインの現在の格付けは上から2番目の「Aa1」ですが、
ムーディーズは、スペイン政府は来年1700億ユーロ(約19兆円)を
調達する必要があると指摘し、さらに地方自治体や銀行などにも大規模な資金需要があり、
調達が困難になる可能性があることから今回の格付け見直しを行ったと指摘しています。
ギリシャの財政問題から端を発した欧州危機は、
アイルランドへ飛び火し、ついにスペインにまで迫ってきた様です。
独仏首脳は、スペインへが資金救済を求める可能性について全面的に否定していますが、
格下げによってスペインの国債は売られ、長期金利は急上昇しています。
来年4月から始まる国債の大量償還では、
借り換えのための調達コストの上昇は避けられず場合によっては
EU、IMFへの資金要請も考えられる事態になってきました。
本日から始まるEU首脳会議では、
ECBの資本増強も議論される見通しで、資本を倍増するとの報道もあります。
これまでの財政危機は欧州の「小国」での出来事でしたが、
今度は欧州の「大国」での話となり、統一通貨「ユーロ」にとっても
2012年は最大の試練の年となりそうです。
ドル円も前日の82円台後半から上昇に転じ、NY市場では84円51銭を記録しました。
この水準は9月以来約3ヵ月ぶりの水準で、
11月初旬の80円21銭から1ヵ月半かかったことになります。
この欄でも何度か触れましたが、
84円40銭ー50銭がレジスタンスとなり何度かテストしては押し戻されてきました。
昨日も84円半ばをつけていますが、まだ完全には抜け切れてはいません。
一目均衡表(日足)を観ると、
遅行スパンが「雲」の中にあり、上昇傾向は示していますが「雲」は抜けていません。
この遅行スパンが「雲」を抜けきれば、いよいよ85円台も視野に入ってくると思われます。
84円50銭から上値には輸出筋のドル売りがかなり並んでいるとも指摘されています。
逆に、85円台に乗せるような展開になれば、ストップロスのドル買いもでてきそうです。
ユーロがもう一段売られれば、その可能性も高まるとみられ、
ユーロの今日明日の動きに注目したいと思います。
ドル高を引っ張っているのが米長期金利の上昇です。
背景にあるのが、米景気の回復基調を示す経済指標と、
財政赤字拡大に伴う国債の増発懸念です。
昨日発表された11月の米鉱工業生産も市場予想を上回る内容で、
設備稼働率も2年ぶりの高水準でした。
足元では製造業を中心に回復基調が続いており、
当面はこの傾向が継続されるものと観られますが、
注目すべき点は最終的に雇用の増大に繋がるかどうかというところです。
前日のFOMCの声明文は、雇用の増大に繋がるには成長が緩慢だと指摘しています。
ブッシュ減税の延長は昨日、正式に米上院で可決されました。
これによる減税規模は8580億ドル(約72兆円)で、
財政悪化懸念から米債券が売られる展開が続いています。
このため長期金利は今月に入って0.7%も上昇しており、
日本の長期金利も上昇していますが、日米金利は拡大しドル高に繋がっています。
今後さらに米長期金利が上昇するようだと、
住宅ローン金利の一段高にも繋がり、
必ずしもドル買い要因として捉えられるとは限りません。
市場がこのあたりをどのように読むか不透明ですが、
このままドル高が継続される保証はないということは
頭の片隅に入れておきたいと思います。
- [2010/12/16 09:48]
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円、82円台を試すも米金利高に反落。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- アジア市場では動かなかった円は、欧州市場で83円を割り込み
ドル安円高にはずみ。ただ、NY市場では小売売上高など経済指標の改善に
ドル買い戻しが進み、83円台後半までドルが上昇。 - ユーロドルも欧州市場では1.35目前まで買われ、約3週間ぶりの
水準に。その後米経済指標発表を境に下落。 - 豪ドルも上昇。1ヵ月ぶりにパリティー(1.0)を回復。
対円でも83円台半ばまで上昇し、83円台値固めの気配。 - 注目のFOMC声明文では景気の回復は続いているとの認識。
ただ、失業率は「高すぎる」との認識は変えておらず、低下させるには
経済成長が遅すぎると指摘。 - 株式市場は続伸。小売売上高が市場予想を上回ったことで、ダウは一時
80ドルを超える上昇を見せたが、長期金利の大幅上昇を嫌気して
上げ幅を縮小。それでも年初来高値を更新。 - 債券相場は続落。小売売上高の改善や生産者物価指数の上昇を受け、
インフレ懸念が台頭。10年債利回りは3.4%台と約7ヵ月ぶりの水準。 - 金は続伸し、引け値で1400ドル台を回復。原油は小幅安。
- 格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)はベルギーの
国債を6ヵ月以内に格下げ方向で見直すと発表。 - 11月生産者物価指数(PPI) → +0.8%
- 11月小売売上高 → +0.8%
- 10月企業在庫 → +0.7%
本日の注目イベント
- 日 日銀短観
- 英 11月英失業率
- 米 12月消費者物価指数(CPI)
- 米 12月NY連銀製造業景気指数
- 米 11月鉱工業生産
- 米 12月NAHB住宅市場指数
- 米 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演(アトランタ)
東京市場でのドル円は連日「固定相場化」してきましたが、
海外市場ではそれなりの値幅が観られます。
83円台半ばで推移していたドル円は、欧州市場に入るとユーロ、豪ドルなどが上昇し、
ドル安が進んだことから下落し、83円を試す展開となりました。
この水準には一目均衡表の「雲」の上限があり、
前日には見事にはね返されていた水準でしたが、もみ合い後83円を割り込み、
82円82銭までドル安が進みました。
その後NY市場では11月小売売上高が市場予想のプラス0.6%を上回る、
プラス0.8%と発表されると、
ドル買い戻しが進み83円台後半まで一気にドル高に振れています。
結局、82円50銭ー84円50銭のレンジ内に収まる動きで、
レンジブレイクには至っていません。
83円の大台は突破したものの、下値は「雲」の中でサポートされた格好となりましたが、
ドル買いを促したのはやはり「米長期金利の上昇」でした。
注目のFOMC声明文では特にサプライズはなかったものの、
景気認識では引き続き回復基調にあるとの内容から米債券は下落し、
10年債利回りは5月17日以来の3.4%台乗せまで上昇しました。
このところの市場は米金利への「感応度」が強く、
この日は11月の生産者物価指数(PPI)がプラス0.8%と、
こちらも約8ヵ月ぶりの大幅な伸びを記録したことで、
気の早い市場は「インフレ懸念」を意識し始めたということの様です。
さらに米経済指標の回復は小売売上高にも現れ、
11月の同指数は市場予想を上回っています。
復活祭後の「ブラックフライデー」も好調で、クリスマス商戦も好調と伝えられています。
既に、12月の同指数も大きく伸びるとの予想もあるようです。
一方で、失業率については「高すぎる」として、
低下させるには現在の成長率では「残念ながら遅い」との認識から、
政策金利を「長期にわたり」低位にとどめる方針を改めて示しました。(ブル-ムバーグ)
このため、非伝統的な政策運営はしばらく継続されるとの観測から、
米国が「出口戦略」のタイミングを模索する時期はかなり先になることが予想され、
米長期金利が上昇傾向だとは言え、このままドル高が続くと考えるのは
まだ、時期尚早ということになろうかと思います。
また今回の声明文は、
これまでバーナンキFRB議長が繰り返してきた「雇用の創出が最優先課題」との言葉と
合致するもので、FRBは今後「失業率」の改善に最も腐心することが伺えます。
豪ドルが底固い動きとなっています。
昨日もこの欄で取り上げましたが、
対ドルではパリティー(1.0)をちょうど1か月ぶりに回復し、
欧州市場では1.0029まで上昇しています。
中国が利上げを回避したことと、
足元では資源高が続いていることが追い風となっています。
豪ドルは11月に入るとパリティーを上回り、
11月5日には史上最高値の1.0182まで買われました。
その後、米金利の上昇に伴いドル高が始まり「調整」を余儀なくされましたが、
高値からの下落幅は約600ポイントと、
ユーロの約1300ポイントなどに比べ小幅にとどまっています。
これはやはり上記理由に加え、政策金利の高さが影響しているものと思われます。
市場で豪ドルの先安を見込み、豪ドルショートを仕掛けても、
その後のロールオーバーに掛かるコストは少なくはありません。
利上げ観測は遠のいたとは言え、資源価格がさらに上昇するようだと、
来年の早い時期に利上げ観測が台頭してくる可能性もあります。
対ドルの0.95台、対円での80円割れは当面「底値」を確認したと言えそうです。
- [2010/12/15 09:34]
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米金利下落で円83円台前半に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は84円台から反落。格付け会社ムーディーズ・インベスターズが
米国の格付け見通しを「ネガティブ」としたことがきっかけ。 - 円は欧州市場で一時84円35銭まで売られたものの、上記発表に
83円前半まで急騰。 - ユーロも対ドルではアジア市場の1.31台後半からドル安の流れを受け
1.34台前半まで約250ポイントの上昇。 - EU首脳会議で欧州版IMFの創設にイギリスなども参加し、2013年の
発効を目指すとの概要が決まり、ユーロ高に繋がる。 - 株式市場は朝方中国の利上げがなかったことを好感し、続伸したものの
消費関連株を中心に売りが優勢。資源株などが上昇したことでダウは小幅高。 - 債券相場は反発。アジア市場で売られ、金利が上昇したものの、NYではFRBが
債券購入に動いたことから相場は上昇、長期金利は下落。 - 金、原油は反発。金は2週間ぶりに1400ドル台を回復する場面があったが、
引けは大台を維持できず。
本日の注目イベント
- 日 10月鉱工業生産(確報)
- 独 12月独ZEW景況感指数
- 欧 10月ユーロ圏鉱工業生産
- 英 11月英消費者物価指数(CPI)
- 米 FOMC
- 米 生産者物価指数(PPI)
- 米 11月小売売上高
- 米 10月企業在庫
ドル円は4度(よたび)84円40銭ー50銭の重要なレジスタンス抜けに失敗しています。
アジア市場から欧州市場にかけてドル円は緩やかに上昇したものの、勢いはなく、
NY市場に入ると再び83円台に下落。
その後大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国債の格付けを、
2年以内に「安定的」から「ネガティブ」に引き下げる見通しを発表。
この報道をきっかけにドルは下げ足を速め、円は83円10銭まで買い戻されています。
米国の格付けは現在最上級の「AAA]を維持していますが、
今回のブッシュ減税の2年間延長で、景気へのメリットよりも、
財政への悪影響の方が深刻との判断が働いたようです。
しかし、現実的には米国債は世界で最も安全な金融商品であり、
流動性、利便性などを考えても米国債券市場は
世界最大の投資先であることに変わりはありません。
ドルは円だけではなく、ユーロ、豪ドル、カナダなどに対しても売られています。
特に豪ドルは、中国が利上げではなく、預金準備率の引き上げに留(とど)めたことや、
資源価格の上昇を材料に0.9984まで上昇し、
パリティーが視野に入ってくる水準まで値を戻しています。
この水準は約1ヵ月ぶりの水準で今後、
ドル安が継続されれば1.0台に乗せてくるものと思われます。
また、対円でもしっかり83円台に乗せてきています。
これまでなら「売りゾーン」と観られていた水準でしたが、
83円33銭まで上昇したことで上抜けの可能性も出てきました。
約半年ぶりのレベルですから、売り意欲も強いと推測されますが、
この水準抜けに成功すれば、久々の85円が見えてきそうです。
豪ドルにとっては正念場と言えます。
それにしても中国の「利上げの回避」の影響の大きさには驚きます。
先週末の中国経済指標の内容は利上げを決断するには十分なものでした。
中国人民銀行は利上げではなく預金準備率の引き上げで対応したことで、
昨日、週明けの上海を含むアジアの株式市場は軒並み上昇しました。
日経平均株価も約7ヵ月ぶりの高値となる1万300円に迫る水準です。
今朝の経済紙の論調も「株式よこんにちは、債券よさようなら」といった趣(おもむき)で、
つい2ヵ月前に言われていた、
「日本の長期金利が上昇する材料は見当たらない」
といった債券に対する強気の意見は既に観られません。
市場はいつの間にか株価に強気になり、
実際、昨日の日経平均株価は銀行、証券などの大型株の上昇が目立ち、
やや「金融相場」の様相でした。
菅総理の英断による「法人税の5%引き下げ」も株式市場にはプラスに働きそうですが、
この結果「雇用を拡大し、給料を増やして、景気の拡大につなげる」
との菅総理の期待は理解できますが、
「デフレ脱却」への道のりはそう簡単ではないと思われます。
むしろ、今後はその財源をどこに求めるかによっては、
消費が落ち込み、景気後退に繋がる可能性も否定できません。
ドル円は83円10銭まで下落しましたが、
それでも82円50銭ー84円50銭のレンジを抜ける勢いはありません。
日足では「100日移動平均線」を下抜けしたものの、
83円10銭前後には一目均衡表の「雲」の上限(先行スパン2)があり、
昨日のNYでもドル円が下落したものの、まさにこの位置で止められました。
この「雲」は比較的厚さもあり、下落時には抵抗しそうです。
依然としてレンジ内取引が続いていますが、本日はFOMCが予定されています。
追加緩和の拡大などに触れた声明文が出されると
ドルが軟調に推移する可能性がありますが、
引き続き米長期金利の動きがカギを握っているものと思われます。
- [2010/12/14 09:51]
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中国11月CPIはプラス5.1%。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は、米貿易収支の改善や、長期金利の上昇を受けて堅調に推移。
週末で取引が手控えられるなか、83円台半ばから84円にかけての
取引となり、84円に迫る水準で引ける。 - ユーロは独仏首脳が欧州救済基金の拡大に反対したことで1.31台半ばま
で売られたものの、勢いはなく1.32台半ばで引け。 - 先週土曜日に、中国の複数の経済指標が発表され、注目されていた11月
消費者物価指数(CPI)は5.1%と、市場予想を大きく超えた。 - 中国人民銀行は先月に続き預金準備率の引き上げを決定。こうした事態を睨んだ
措置とみられ、市場は利上げのタイミングに注目。 - 株式市場は貿易赤字の縮小や消費者マインド指数の改善などを好感し反発。
ダウは40ドル高。 - 株高から債券は売られ金利は上昇。10年債利回りは約半年ぶりに
3.3%まで上昇。 - 金、原油は共に高値警戒感から反落。
- 10月貿易収支 → 387億ドルの赤字(事前予想は438億ドルの赤字)
- 12月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) → 74.2(事前予想は72.5)
本日の注目イベント
- 特に重要な経済指標等は無し
ドル円はこのところの取引レンジとされる
83円50銭-84円をどちらも大きく抜けません。
ユーロが対ドルで売られる場面もありましたが、ドル円でのドル高は長く続かず、
84円台の定着には至っていません。
そろそろクリスマスホリデーの雰囲気も漂ってきており、
おおきな材料がないと動きにくい展開が続いています。
今週は明日FOMCが控えており、今年最後の重要イベントになる可能性があります。
FRBの最優先課題は「雇用の創出」であることは確認されています。
11月の雇用統計では予想外の悪化が示されましたが、
FRBが改めて雇用の見通しに慎重な見方を示す様だと、
追加緩和第3弾(QE3)も意識され、市場はドル売りに傾く可能性もあります。
一方で、雇用と住宅以外の経済指標は改善傾向を示しており、
これがブッシュ減税の延長とともに、
米長期金利の上昇と株高に繋がっていると観られます。
景気回復に自信を示す声明文が出る様だとドル高に繋がり、
上記取り引きレンジの上放れすることも考えられます。
いずれにしても今年最後の重要な材料だけに期待したいと思います。
中国人民銀行が先月に続き預金準備率の引き上げを決めました。
先週土曜日に発表された11月の消費者物価指数が5.1%と、
事前の予想を超えたばかりではなく、5%超えは2年4ヵ月ぶりの高水準でした。
中国政府としては、物価上昇率を3%以内に抑えたいという目標がありますが、
この数字を大きく超えるインフレが進行していることになります。
特に国民生活に関係の深い「食品」については11%の上昇率を記録しており、
将来国民の不満につながる恐れがあることから早目に手を打ちたいところですが、
「利上げ」はさらなる投機資金を呼び込むことにも繋がることから、
中国政府としては難しい舵取りを迫られています。
また、年間を通じた経済成長を、悪くとも8%以上に維持したいこともあり、
急激な金融引き締めは成長を続けている景気にブレイキをかけることになり、
さらに難しい選択となっています。
このため中国人民銀行は、市場に溢れた資金を吸収するという目的から、
市中銀行が中央銀行に預ける預金額の増額に繋がる
「預金準備率」を引き上げることで対応しています。
「預金準備率」の引き上げは10月以来4回を数えています。
市場の注目は「利上げ」のタイミングです。
年内利下げの可能性もまだ残っていることから、
米経済指標以上に注目しなければならないかもしれません。
今朝のオセアニア市場ではユーロや豪ドルが対ドルで「窓」を開けて取引されています。
上記、先週末の中国経済指標の発表を受けての反応かと思われますが、
中国の利上げが焦点になっていることが伺えます。
ユーロは上値が重い展開が続いていますが、それでも1.30台には下落してきません。
日足の「200日移動平均線」が1.3111に位置しており、
この水準が抜けるとユーロ売りが加速すると観ていますが、やや時間がかかりそうです。
同様に、豪ドルも上値が徐々に切り下がってきており、
一目均衡表(日足)の遅行スパンはローソク足を下抜けしていることから
大雑把にいえば0.95台を維持できるかどうかだと思われます。
仮にその水準が抜ける様だと、かなりの下落を意識せざるを得ません。
- [2010/12/13 09:26]
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ドル円動かず。83円台半ばで膠着。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 上昇を続けてきた米長期金利が一服したことで、ドルは反落。
ドル円は84円前半まで買われたものの、維持できず83円台
に反落。クロス円の売りにも押され83円75銭付近で引ける。 - 格付け会社フィッチ・レーティングスがアイルランドの信用格付けを
3段階引き下げ「BBB+」としたことで、ユーロ売りを誘った。
一時1.31台半ばまで下落したものの1.32台まで反発。 - ECB月例報告では、全体的な経済・金融の状況は依然として不安定
であると指摘。長期失業者対策が必要と報告。 - 株式市場は連日小動き。ダウは小幅下落し、ナスダックは小幅高。
週間失業保険申請件数の減少を好感し上昇する場面もあったが続かず。 - 債券相場は反発。30年債入札が好調だったことから長期金利は3日
ぶりに下落。 - 金、原油は反発。金は1390ドル台を回復。
- 週間失業保険申請件数 → 42.1万件(市場予想より減少)
本日の注目イベント
- 中 11月中国貿易収支
- 欧 トリシェECB総裁会見
- 米 10月貿易収支
- 米 12月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
- 米 ボルカー元FRB議長講演(ワシントン)
日経平均株価が5ヵ月ぶりに1万200円台後半まで上昇した昨日、
ドル円も84円台で推移し、上値を試すかにも見えましたが、
これまでと同様に84円台は維持できず反落。84円台の定着はなりませんでした。
昨日もこの欄で書きましたが、
米金利上昇という材料だけでは85円の水準までドル円を押し上げるには力不足で、
NYではその長期金利も3日ぶりに反落しています。
クリスマスホリデーも控えていることから、
しばらくは82円ー85円のレンジ内で動く可能性が高くなってきたように思えます。
来週1週間が今年最後の「通常取引」の週となりそうです。
NY株式市場では既にその兆候もでており、市場は徐々に閑散になっています。
ダウは今週に入り極端に値幅が限られてきました。
引け値でも最大で20ドル程度の上げ下げとなっています。
ブッシュ減税の延長合意から実質的な個人所得は増え、消費に繋がっています。
昨日の報道では米国人の6割は
年末に向けての買い物をまだ終えてないとの報告もありました。
米大手資産運用会社PIMCOは
2010年10-12月期の経済成長を従来見通しから1%上方修正しています。
本来なら、もう少し株価が反応してもいいはずですが・・・。
昨日の朝方オーストラリアの11月雇用統計の発表をきっかけに豪ドルが大きく動きました。
雇用者数が市場予想の2倍を超え、
改めて同国の景気が好調であることを示した格好になりました。
資源価格の高騰を背景にインフレ懸念から今年だけでも4回の利上げを実施し、
景気をややスローダウンさせていますが、
金利上昇を吸収しながら順調に経済成長を遂げているようです。
同国の政策金利は伝統的に高く設定されてきたことから、
来年春ごろまでには5%台まで引き上げられるものと予想しています。
そして、政策金利の決定に最も影響を与えるのが、
資源価格の行方と中国の経済成長であることは衆目の一致するところです。
本日から明日にかけて中国の経済指標が多く発表され、注意が必要です。
本日は11月の貿易収支が発表されますが、問題は明日の土曜日です。
生産者物価指数、消費者物価指数、小売売上高、
そして鉱工業生産が11時に発表される予定です。
もちろん最も重要な指標は「消費者物価指数」です。
10月の同指数はプラス4.4%で中国政府が目標としている3%を大きく超え、
その後預金準備率の引き上げに繋がったことは記憶に新しいところです。
一部には、この経済指標を確認してから
「利上げ」を決定するのではないかという見方もあります。
実際、昨日の上海株式市場では「利上げ観測」から株価が下落しています。
事前の予想では11月の同指数はプラス4.7%と、前月を上回るものと観ています。
仮に利上げが決定されれば豪ドルへの影響は避けられません。
土日は為替市場はありません。
そのため、来週月曜日には、
今週末のNY市場の引け値から大きくかい離して取引が始まる、
いわゆる「窓開き」が起こることも予想されます。
ポジションの縮小や、余裕資金の確保など
「リスクコントロール」を十分意識することが必要です。
良い週末を・・・・。
- [2010/12/10 09:35]
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米金利続伸でドル円84円台乗せ。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米金利の上昇を背景にドルは主要通貨に対して堅調に推移。
円は一時84円31銭まで売られ、先週末の雇用統計前の水準まで
ドル高円安が進む。午後には米長期金利がやや下げに転じたことで
円も買い戻され、84円を挟む水準で引ける。 - ドル高にもかかわらずユーロは買い戻しが入り上昇。
ドイツの経済指標が市場予想を大幅に上回ったことなども
ユーロ買いをサポートし、1.31台後半から1.32台後半まで反発。 - 株式市場は小幅上昇。S&P500は続伸し約2年ぶりの高値をつけ、
ダウは13ドル高。AIGが債務返済を発表したことも好感された。 - 債券相場は続落。10年債利回りは約半年ぶりに3.3%台まで上昇し、
ドル買いを誘った。引けは3.2%台に。 - ホームデポなど小売大手は売上見通しを上方修正。クリスマス商戦
の好調さを象徴し、個人消費に対する楽観的な見方も台頭。 - ドル高から、金、原油はともに利益確定の売りが優勢となり続落。
金は大幅に下落し1400ドルの大台割れ。
本日の注目イベント
- 豪 11月雇用統計
- 英 BOE政策金利発表
- 独 11月消費者物価指数(確報値)
- 米 週間失業保険申請件数
ドルが堅調に推移しています。
特に対円では84円31銭まで上昇し、先週末の雇用統計で急落し、
82円台半ばまで売られた水準からじりじりと切り返してきています。
ただそれでも、これまでに3回テストして抜け切れていない
84円40-50銭の水準は突破できず、昨日も一歩手前でUターンした感があります。
ドル堅調の背景は米金利の上昇につきます。
とりわけここ2日間はブッシュ減税の延長を材料に、
10年債が売られ長期金利は急騰しています。
米国債の入札が軟調なことも債券相場を押し下げていますが、
昨日の10年債入札はある程度順調に消化されたにもかかわらず債券は売られ、
10年債利回りは一時3.3%台に乗せ、約半年ぶりの水準まで上昇しました。
ドル円の相場と相関度の高い米2年債利回りも上昇し、
2年債の日米金利差は0.4%台まで拡大しドル高円安を演出しています。
雇用統計の発表も終え、重要な経済指標も見当たらないことから
「米金利の行方」が相場の行方を決定する「金利相場」の様相です。
欧州財政問題も小康状態であることから、市場参加者の眼は米金利に集中しており、
米金利が動かなければ為替相場も動かない状況になってきそうです。
まだクリスマス相場には早いものの、値動きを観ると既にその気配も感じられます。
ドル円は84円40銭辺りで頭を抑えられていますが、
再び84円台に乗せたことでテクニカルではドルの上昇傾向を示しています。
日足のローソク足は「100日移動平均線」を上回っており、
上記水準を上抜けすれば85円が見えて来る可能性もあります。
一方、下値では83円10銭前後に「雲」の上限があり、
この水準では一旦サポートされそうです。
84円半ばからは実需のドル売りも観測され、
米金利の上昇だけでこれらの売りをこなして85円台に乗せられるかどうかは
疑問が残るところです。
豪ドル円を観ると、82円50-83円の水準では何度も上昇を止められています。
やはりこの水準では一旦利益を確定する方が得策かと思います。
下値は80円を割り込むとすぐに反発することから、
しばらく80円-83円のレンジが続き、ドル円が85円を超えてくる展開になれば、
豪ドル円の83円超えも考えられそうです。
オーストラリアの再利上げは今のところ封印されていますが、
「資源高」とう追い風もあり国内景気は堅調と観られます。
本日は9時半にオーストラリアの雇用統計が発表されます。
このところ指標発表直後にレートが大きく飛ぶ傾向があります。
ポジション管理には注意が必要です。
市場予想は、雇用者数で2万人のプラスと、前月(2.7万人のプラス)よりも弱めの数字。
失業率は5.2%で、前月の5.4%よりも改善すると予想しています。
- [2010/12/09 09:38]
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米長期金利上昇でドル円再び83円台に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 円は再び下落し、83円台半ばまでドル高円安が進む。
ブッシュ減税の延長が正式に合意され、米長期金利が急騰したことや、
ユーロが対ドルで軟調だったことが材料に。 - ユーロはアイルランドで2011年予算の審議が議会で始まり
成立するとの見通しがあるものの、依然として不透明感を払拭できず下落。 - EU財務相会合は基金の拡大には至らず2日間の会議を終了。
- 株式市場はブッシュ減税延長を好感し上昇したものの、引けにかけては
上げ幅を縮小。前日と同様にダウは小幅安、ナスダックは小幅高で取引を終える。 - 債券相場は上記減税の2年間の延長や、2年債利回りの上昇を受け大幅に下落。
長期金利は5ヵ月半ぶりに3.13%台に上昇。 - 金はドル高から反落。原油は米東部の寒波の影響もあり一時91ドルに
迫る場面もあったが、利益確定の売りに押され小幅反落。
本日の注目イベント
- 日 景気ウォッチャー調査
- 独 10月独貿易収支
- 独 10月独鉱工業生産
海外市場でドル円は再び83円台半ばまでドル高円安が進みました。
昨日のアジア時間では82円36銭まで円買いが進む場面もありましたが、
NYの円高値を完全に抜けなかったことや、
値ごろ感からドルは82円台後半まで買い戻され、
海外市場ではさらに一段のドル買いに繋がっています。
特にNY市場では、いわゆるブッシュ減税の2年間の延長が正式に決まり、
米財政赤字の拡大に繋がるとの見方から、
債券が大きく売られ長期金利が急上昇し、ドルが買い戻されています。
今回の減税の延長は富裕層も対象になり、
米ゴールドマンサックスなどは、減税措置の廃止を睨んで、来年に支払う社員の
ボーナスを年内に支払うことまで検討していると報じられていました。
減税延長の合意は株式市場には「好材料」として受け止められ、
NYダウは朝方から上昇しましたが、結果的にはそれほど効果はありませんでした。
大きく反応したのは債券市場です。
減税の財源確保のため国債の発行額がさらに増えるとの観測から、
財政赤字の拡大→債券市場の軟調→長期金利の上昇と、素直に反応し、
10年債利回りは一気に3.13%台に乗せました。
これは7月13日以来の水準となり金利差拡大からドル全面高に繋がりました。
財政赤字の拡大は、米国債の格付け引き下げに繋がるのではとの懸念もありますが、
これについては大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが
「米国債格付け引き下げにはつながらない」との見解を素早く示しています。
余りにも迅速な対応で何か、
「周到に準備されていたのではないか」と勘ぐってしまいたくなります。
円は先週末の雇用統計の発表をきっかけに82円台半ばまで買われましたが、
ひとまず目先の円の高値も確認した様に思えます。
少なくとも「80円を割り込むのは時間の問題」といった
相場観はかなり遠くなってきたと感じます。
もちろん、年末から来年に向け「80円を試す展開」はあろうかと思いますが、
それにはまだ時間が必要ではないかと観ます。
依然として不安定な「雇用と住宅」の回復基調が
明確な鈍化傾向を示すなどのドル売り材料が必要になります。
来週末辺りまでに82円半ばから84円半ばのレンジをどちらかに抜けないと、
しばらくはこの取引レンジ、もう少し広めに言えば
81円台後半から84円台後半で推移する可能性が高くなるのではないでしょうか。
円の方向性を決めるに重要なのは、やはりユーロの動きです。
1.30割れは回避しているものの、1.35から上値に大きく上昇するとも思えません。
EU財務相会合では
現在7500億ユーロ(約83兆円)の救済基金は増額されませんでした。
EU首脳は財政危機はポルトガル、スペインまでは波及しないと観ているようです。
しかし、市場の見方は異なっているようです。
長期金利やCDSの保証料率の高止まりがそれを如実に表しています。
昨日のCDSの保証料率を観ると、
アイルランドは5.39%と先週から少し改善はしているものの依然高水準です。
ポルトガルは4.35%でスペインは3.08%になっています。
日経ヴェリタス紙はCDSに詳しい専門家の意見として
「経験則で言えば、2%超えはPIIGS並みの信用不安。
6%超えは救済が意識される水準」と報じています。
失業率に至ってはポルトガルは10.7%ですが、スペインは19.9%と、高水準です。
スペインでは5人に1人が失業しているという計算になります。
緊縮財政から税収の増加は望めません。
歳入不足を補うには国債の増発に頼らざる得ません。
スペインの財政赤字の対GDP比は現在11.9%です。
財政赤字をGDP比3%以内に抑えるよう求めている
EUの財政規律は相当厳しものになると思われます。
さらにスペインは来年4月からの半年間で
310億ユーロ(約3兆3千億円)もの国債償還を控えています。
今後さらに金利が上昇したら借り換えコストにも影響し、
さらに財政を悪化させる可能性もあります。
このように観てくると、来年2011年も通貨ユーロの火種は尽きないと思われ、
欧州からの情報に一喜一憂させられそうです。
ユーロが対ドルで1.30を目指すのであれば、
ドル円もやや円安方向に振れる可能性があります。
あるいは、今年8月の時の様に円が全面高となり、
ユーロ円が105円を目指すことになるのかもしれません。
- [2010/12/08 09:38]
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ユーロ圏首脳の意見の違いからユーロ下落。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 注目される経済指標の発表もなく取引は閑散。円は82円台半ばから
後半での動きに終始。 - ユーロが下落し、1.32台半ばまで売られる。EU財務相会合が開催され
欧州財政問題を話合うも、当局者の間で意見の相違が目立ちユーロ売りを誘った。 - メルケル独首相は欧州の救済基金の拡大に反対の立場を示す。
- 格付け会社ムーディーズはハンガリー国債の格付けを2段階引き下げると発表。
新しい格付けは「Baa3」と、投資適格の最も低い水準に。 - 株式市場も小動き。先週末の引け値を挟んで一進一退後ダウは小幅安、
ナスダックは小幅高。 - 債券相場は堅調に推移。FRBが国債購入プログラムを拡大する可能性が
あるとの観測が背景。長期金利は小幅に下落。 - 金、原油はともに続伸。金は史上最高値を更新。
原油価格も2008年10月以来の高値に。
本日の注目イベント
- 豪 RBA(豪中銀)キャッシュターゲット
- 日 10月景気動向指数
- 欧 EU財務相理事会
- 欧 アイルランド2011年予算案議会提出
- 加 カナダ中銀政策金利発表
海外市場では特に経済指標の発表もなく静かな一日でした。
そんな中、目立ったのはユーロの下落です。
欧州財政問題をめぐる当局者の意見が分かれていることが
嫌気されユーロ下落に繋がりました。
ユーロ圏財務相会合に先立ちベルギーの財務相は、
基金の拡大はあり得ると発言しましたが、
ドイツのメルケル首相はこれを退けています。
同首相は「現時点で基金を拡大する必要性を認識していない」と述べるとともに、
ユーロ圏共通の債券の発行もEUの条約で認められないと指摘しました。(ブルームバーグ)
ユーロ圏共通債「Eボンド」については、ユンケル議長が提唱しており、
イタリアなどは賛成しているものの、ドイツなどが反対の立場をとっており、
この足並みの乱れがユーロ安に繋がっています。
特に救済基金の拡大には独仏のユーロ圏をけん引する2大国が
反対の立場をとっています。
今後財政危機が拡大しポルトガル、スペインなどにも波及した場合、
現在の7500億ユ-ロ(約83兆円)では資金が不足すると観られていますが、
EU首脳の意見の違いは今後もユーロ売りに繋がることを否定できません。
ユーロは対ドルで1.33台半ばから1.32台半ばまで約100ポイント下落し、
昨日の朝方の高値からは約200ポイント売られたことになります。
このところユーロ圏首脳の間での意見の違いが時折報じられます。
ECB内部でもドイツ連銀のウエーバー総裁とECBのトリシェ総裁との
意見の違いも報じられています。
ユーロ圏内での覇権争いとの見方が有力ですが、トリシェ総裁の任期は来年10月までで、
後任にはウエーバー総裁が就任すると観られています。
ユーロ圏にとっては財政問題だけではなく、両国の足並みの乱れも懸念材料になります。
アイルランドの2011年予算が今日議会に提出されます。
承認されるとの見方が優勢ですが、否決されると、
EU、IMFからの資金援助も受けられなくなる可能性があることから、
市場での注目度は高い様です。
依然として上値の重いユーロですが、
再び1.3台を割り込むと長期的な下落パターンに入る可能性があります。
上値は1.35を抜けずに、しばらくは1.30-1.35でのもみ合いが続きそうですが、
「日足」までの短期的なテクニカルでは既に下落傾向を示しています。
1.3を割り込むと「週足」でも売りシグナルが点灯することになりそうです。
今日は豪ドルにも注目が集まります。
午後12時半に政策金利の発表を控えているからです。
前回の11月初旬には予想外の利上げを行ったばかりで、
その後RBA(オーストラリア準備銀行)のスティーブンス総裁は
「現在の金利水準は適切」と発言したことから、
市場はここ数カ月の利上げの可能性は無くなったと判断し豪ドル売りに繋がりました。
今日の政策会合では金利据え置きでほぼ間違いないものと思われますが、
同総裁の景気に関するコメントには注目です。
ユーロが大きく下落する中、豪ドルは比較的堅調です。
資源価格が高騰していることが背景ですが、
価格がさらに上昇するようだとインフレ懸念から、
市場はもう一段の利上げを読み始めることも考えられます。
ドル円は82円50-83円00でのレンジ内取引に終始すると思われます。
ユーロが対ドルでもう一段売り込まれれば、
83円台テストの可能性もあるのではないかと観ています。
- [2010/12/07 09:43]
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雇用統計の悪化を受け、円82円台に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米11月の雇用統計は予想外の悪化を示し、これまで買い戻されていた
ドルが急落。 - 円は発表前の83円台後半から一気に上昇し、82円52銭と
約3週間ぶりに82円台半ばを示現。 - ドルは他の主要通貨に対しても売られ、ユーロは1.34台前半、豪ドルも
0.99台まで上昇。 - バーナンキFRB議長はCBSのテレビ番組で、先の追加緩和の正当性を説明。
さらに、さらなる国債購入の可能性を否定しなかった。 - この報道を受けて株式市場は急反発。商品市況の上昇なども加わり、エネルギー関連株などが上昇。ダウは19ドル高と3日続伸。
- 債券は小幅に上昇。一時3.04%まで金利は上昇したものの、
引けでは3%を維持。 - ドルが売られたことで金は大幅上昇し、初の1400ドル台乗せ。
原油価格も89ドル台に乗せた。 - 米 ISM非製造業景況指数 → 55.0
- 米 11月非農業部門雇用者数 → +3.9万人
同失業率 → 9.8%
本日の注目イベント
- 欧 EU財務相会合
- 欧 ファンロンパイEU大統領講演
- 米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演(ノースカロライナ)
注目の米雇用統計は予想外の落ち込みでした。
前日発表されたADP雇用者数が2007年11月以来の高水準だったこともあり、
市場は強気の見方が優勢で、
「今回の雇用統計は大幅に改善するのでは・・・。」との期待がありました。
しかし、内容は非農業部門雇用者数で事前予想を10万人ほど下回り、
失業率も0.2%の悪化でした。
この結果、これまでドルは反発局面にあるとの見方に傾いていた市場は、
「予想外の結果」にドル売りに回り、主要通貨は軒並み上昇しました。
これまで、ドル円は84円40-50の水準が重く上抜けできなかったとはいえ、
下値も一目均衡表の「雲」もあり、83円台半ばでしっかりサポートされていました。
しかし、82円台半ばまで下落したことで、
現在の値位置は雲の中ほどまで押し戻されています。
短期的なテクニカルでは上値の重い展開になるこを示唆しており、
「100日移動平均線」のある83円台後半が、
今度は抵抗線として機能してくると観られます。
また、ユーロも欧州の財政不安から下落した直近の安値、
1.29台後半から1.32台前半まで買い戻され、雇用統計発表後は
200ポイントほど反発して1.34台に乗せています。
さらに豪ドルも商品市況の高騰もあり、0.99台まで回復しています。
雇用統計に対する期待感が大きかっただけに、
失望感からドル売りへの反応も大きかったようです。
相場見通しが不透明になってきましたが、
今後のポイントは2つに絞られてくると考えられます。
1つは今回の雇用統計に観られた経済指標の悪化が
一時的なものなのかどうかということです。
11月の米経済指標はフィラデルフィア連銀製造業指数など製造業だけでなく、
個人消費支出なども明らかに改善傾向を示しています。
今年の春先まで順調だった米景気の回復が6月あたりからブレイキがかかり、
秋口から再び改善傾向を示すようになった矢先の今回の雇用統計でした。
先週の地区連銀経済報告(ベージュブック)でも
「雇用の創出」が最優先課題であることは確認され、
FRBは景気の先行きに対して慎重な見方を崩してはいません。
今後発表される経済指標が注目されます。
2つめは欧州財政問題の行方です。
アイルランドに対する850億ユーロの緊急融資でアイルランド政府の資金繰りは確保され、
財政問題もひとまずは落ち着きを取り戻したかには見えますが、
「PIIGS」諸国の国債の利回りは依然高止まりしています。
欧州経済は「緊縮財政」を決めたばかりです。
このため欧州委員会は2011年度の経済成長見通しを下方修正しています。
独仏の2大国に牽引される構図のユーロ圏ですが、
どこまで全体の景気を牽引できるかは不透明です。
今後も事あるごとに売り浴びせられる「PIIGS」諸国の
国債やCDSの動きを睨みながらユーロの相場の落ち着きどころを探っていく
展開になろうかと思います。
雇用統計の発表も終え、今週はそれほど重要な米経済指標の発表はありません。
今月も第4週目に入ると欧米はクリスマス休暇に入ります。
相場に活気があるのも今週、来週の2週間ということになりそうです。
今年最後の「ふんばりどころ」とも言えます。
- [2010/12/06 09:37]
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ECB資金供給延長でユーロ下落一服。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 円は再び84円台を割り込み、83円台半ばまで上昇。
ユーロが対ドルで買い戻されたことから、円も対ドルで
連れ高に推移。ただ値幅は限定的だった。 - トリシェECB総裁の記者会見をきっかけにユーロは乱高下。
結局、1.32台半ばまで買い戻され、この日の値幅も約200ポイント。 - 注目のECB理事会では政策金利は据え置き。しかし、アイルランドなど
域内での財政不安から、資金の無制限供給を継続すると発表。ユーロ
買い戻しに繋がる。 - 欧州問題の改善を手掛かりに、NY株式市場は大幅続伸。住宅関連指標の
改善と年末商戦の予想以上の好調も伝えられ、ダウは前日の250ドル高
に続きこの日も100ドルを超える大幅高に。 - 債券相場は続落し、長期金利は約4ヵ月ぶりに3%の大台乗せ。
米景気の回復期待や株式市場の活況が背景。 - 金は小幅続伸。原油は景気回復見通しから大幅続伸し、
引けでも88ドル台に乗せた。 - 週間失業保険申請件数 → 43.6万件
- 10月仮契約住宅販売件数 → +10.4%
本日の注目イベント
- 中 11月非製造業PMI
- 欧 10月ユーロ圏小売売上高
- 米 ISM非製造業景況指数
- 米 11月雇用統計
- 加 11月失業率
引き続きユーロが買い戻され、値幅も大きく、昨日は売り買いが交錯し乱高下しています。
ECBの理事会を睨み、資産購入額の増額を予想する声や、
「出口戦略」に言及するのではとの観測もありましたがECBは、
政策金利は据え置き、短期資金の供給を延長することを決定。
また、域内金融機関への資金供給を円滑にする目的から、
無制限流動性供給を2011年1-3月まで継続することを発表しました。
発表直後は、ECBが欧州諸国の国債購入に言及しかったことから
ユーロは急落したものの、その後市場で国債を購入したとの報道から反発し、
対ドルで1.32台半ばまで上昇しました。
ECBは新たな対策を打ち出さなかったものの、
ユーロ圏財政問題は深刻だとの認識から資金供給の継続を決めたことで
ユーロ下落に一旦歯止めが掛かりましたが、
まだ暗雲が立ち込めておりすっきりとはしません。
しばらくは「PIIGS」諸国の国債の売買動向、
CDS保証料率の動きなどに左右される展開が続くと思われます。
米経済指標の改善傾向が続いています。
週間失業保険申請件数は市場予想を若干下回ったものの、
11月の仮契約住宅販売指数はプラス10.4%と、
市場のマイナス予想を大きく上回りました。
この数字は2001年に全米不動産協会(NAR)が記録を開始して以来最大となりました。
指数は全米4地域のうち3地域で上昇し、特に中西部の伸びが27%と最大でした。
この指数は契約が交わされた時点での統計であるため、
中古住宅市場の先行指標とみられています。
今後発表される中古住宅がどこまで改善を示すのか注目されます。
ドル円は再び83円台に押し戻されています。
一目均衡表(日足)の「雲」を上抜けし上昇傾向を示してはいますが、
84円半ばが抜けずに反落しています。
この値位置には「100日移動平均線」があり、
ローソク足は絡んではいますが完全に抜け切るには至っていません。
足元では、下値は「雲」の上限に支えられ、
上値は「100日移動平均線」で抑えられる展開でややもみ合いが続いています。
明確な方向感が観られないだけに、
今夜の雇用統計でどちらかに方向づけられることを期待したいと思います。
明確の方向感はないと書きましたが、
米長期金利が約4ヵ月ぶりに3%の大台の乗せていることを考えると
もう少しドル高に振れる可能性の方が高いと観てもいいのではないかと思います。
昨日は焦点がユーロに集まっていたため、
米金利の高騰はそれほど意識されなかった様です。
これまで長期金利の上昇傾向は確認されてはいたものの、3%の壁は破れませんでした。
米株高を背景に資金が債券から株式市場へ徐々にシフトしているものと思われますが、
改善傾向を示す米経済指標に支えられこの流れは継続しそうに見えます。
日本の長期金利も1.2%に乗せてきていますが、
上昇余地と言う点では米金利の方が大きいと思われます。
東京地方は夜半から激しい雨でしたがそろそろ止みそうな気配です。
今夜は今年最後の雇用統計の発表です。
よい週末を・・・・。
- [2010/12/03 09:44]
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米雇用指標を受け円、一転して反落。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 円はアジア市場で高値を試し83円38銭まで上昇したが、前日の
NY市場での高値を抜けず反落。NY市場では雇用情勢の改善を示す
指標に反応しドル高に。 - 一時84円40銭まで円売りが進んだものの、この水準は11月の
円の最安値と同水準であり、警戒感から円はやや買い戻される。 - ユーロが前日の1.29台後半から急反発。スペインなど南欧諸国の
国債が反発したことでユーロを買い戻す動きが活発となり、1.31台
後半まで約200ポイント上昇。 - ユーロ高が進んだことで、クロス円もユーロ円を中心に急反発。
108円台から上昇を続け110円台の大台を回復。 - ADP雇用者数が大幅な改善を見せたことで米株式市場は全面高。
ダウは約250ドル高、SP500は3ヵ月ぶりの大幅高に。 - 株高から債券は売られ長期金利は上昇。10年債は2.97%と
3%に迫る水準に。 - 金はドル高にも関わらず続伸、原油は大幅反発。
- 11月ADP雇用者数 → +9.3万人
- 11月ISM製造業景況指数 → 56.6
本日の注目イベント
- 豪 10月貿易収支
- 豪 10月小売売上高
- 欧 ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)
- 欧 ECB理事会
- 米 週間失業保険申請件数
- 米 10月仮契約住宅販売件数
- 米 11月小売各社の既存店売上高
- 米 プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演(NY州ロチェスター)
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演(ワシントン)
- 米 デューク・FRB理事講演(フィラデルフィア)
ドル安円高は「一日」で終わった様です。
前日の円全面高から昨日は一転して逆の動きをし、円の全面安でした。
NY市場では米経済指標の改善に素直に反応し、円は84円40銭まで下落しましたが、
この水準は二日前にも記録し、抜けずに反発した値位置です。
株価と長期金利の大幅上昇というドルサポート要因に、
水準が押し上げられた格好でしたが、
84円台半ばは抜け切れていないことから、この水準が抜けるかどうかを引き続き注目したい
と思います。
円はユーロ、豪ドル、ポンドなど主要通貨に対しても下落し、
ほぼ前日の上昇分は吐き出した格好です。
昨日の流れから、もうしばらくは円上昇の展開が続くかと思われましたが、
ECB理事会を控え、南欧諸国の国債が買い戻され、
ユーロがひとまず落ち着きを取り戻したことが要因でした。
拡大基調にあった「PIIGS」諸国のCDS保証料率も同様に下げ、
財政不安はやや後退しています。
さらに米経済指標の改善が続いています。
昨日発表のADP雇用者数は市場予想の6~7万人増加を
大きく超え9.3万人の増加でした。
この数字は2007年11月以来3年ぶりの高水準となりました。
特に、中小企業の雇用は前月比5.4万人の増加と急速に伸びており、
雇用全体の増加をけん引しています。
業種別では建設業では減少していますが、製造業での増加が目立ちます。
先日、再上場を果たしたGMが電気自動車「ボルト」の出荷を開始し、
今後2年間で従業員を1000人増やす、
と語っていた同社CEOの言葉が思い出されます。
地区連銀経済報告(ベージュブック)でも米景気は改善しているとの認識が示されました。
12地区連銀のうち、10地区で経済活動は拡大しているとし、
フィラデルフィアとセントルイスでは「区々」(まちまち)と報告されていますが、
総じて雇用はやや改善したほか、製造業も拡大、
さらに小売業も好調な年末商戦を予想したものでした。
しかし、住宅市場については
「引き続き低迷しており、いくつかの地区では、この6週間で一段の軟化が観られる」
と報告され、引き続き改善傾向を示さない住宅関連指標と一致する内容でした。
住宅市場の改善は、まず雇用の安定があって、そのうえで成り立つものです。
足元では雇用の改善を示す指標も徐々に出始めていることから、
いずれ住宅と失業率の改善に繋がる可能性も出て来ました。
明日の雇用統計がますます注目されます。
このところ豪ドルの値動きが大きくなっています。
特に指標発表時のプライスは40~50ポイントも値が跳ぶこともあります。
昨日の朝方9時半に7-9月期GDPの発表があり、市場予想より悪化していたことから、
発表と同時にプライスが跳んでいました。
特に下落時の反応には注意が必要です。
高金利通貨の宿命とも言えますが、
多くの市場参加者がロングのため悪材料には敏感ということでしょうか。
その豪ドルも、このところ厳しい売り圧力に下げ基調が続いていますが、
対ドルで0.95台半ば、対円で79円台がしっかりサポートされ、
目先の底値を確認した格好です。
今後再び欧州財政問題が蒸し返されると
ユーロに引っ張られる形で下落することも考えられますが、
上記水準からの下値リスクはそれほど大きくないように思われます。
ただ売りゾーンも、対円では82-83円であることは変わっていないと観てます。
- [2010/12/02 09:33]
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ユーロ大幅下落。対円で108円台に。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 円はアジア、欧州の流れを受け83円台後半で取引が始まり
欧州財政不安を背景にしたクロス円の売りや、米長期金利の下落など
から円買いが加速、一時83円42銭までドル安円高が進む。
この日の円は主要通貨全てに対して上昇した。 - ユーロが節目である1.30台を割り込み、依然としてユーロ売りの
勢いが止まらない。スペイン、イタリアなどの国債が売られ、ドイツ国債との
利回り格差が拡大していることが材料に。 - 対ドルで、円が買われユーロが売られたことからユーロ円は
2ヵ月半ぶりに108円台前半まで下落。 - 債券は欧州債から、比較的安全とされる米国債へ乗り換える動きもあり
続伸。長期金利は下落。 - 株式市場はハイテク株などを中心に利益確定の売りが優勢。オバマ大統領が
減税措置の延長を示唆したことで、引けにかけてはやや戻したものの続落。
ダウは46ドル安で3日続落。。 - 金はドル円でドルが売られこともあり大幅高。原油価格は大幅下落し
前日の上昇分が帳消しに。 - 9月S&Pケース・シラー住宅価格指数 → +0.59%
- 11月シカゴ購買部協会景況指数 → 62.5
- 11月消費者信頼感指数 → 54.1
本日の注目イベント
- 豪 7-9月期GDP
- 中 11月製造業PMI
- 米 11月ADP雇用者数
- 米 11月ISM製造業景況指数
- 米 地区連銀報告(ベージュブック)
- 米 イエレン・FRB副議長講演(NY)
- 米 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演(ダラス)
昨日の昼すぎ、中国の利上げの可能性に関する報道をきっかけに円は対ドルだけではなく
豪ドルなどに対しても買われ、全面高の展開になりました。
この流れは海外市場でも加速し、ドル円は83円42銭まで買い進まれ、
11月のドル高円安の流れの中では久々の円高でした。
前日のNY市場での円安値(84円41銭)からほぼ1円の値幅で円が買われ、
クロス円ではさらに円が強含み「円高、ドル高」の様相でした。
11月初めの円最高値から徐々に円安が始まり、昨日の84円台半ばまでで、
約4円幅の円安でした。
昨日1日で約1円、円が上昇したことになりますが相変わらず
円高方向への反応はスピードが速く、
しかも主要通貨全てに対して買われるという円の特徴がよく出た1日だったと思います。
しかし、これでドル反発の局面が終わったかどうかはまだ判断できません。
欧州財政問題、朝鮮半島の緊張、さらには中国の利上げの可能性など、
不確定要素が多すぎます。
また、NY株式市場が軟調で米債券が買われ、
その結果長期金利の下落に繋がっていますが、
それでも10年債利回りは現在2.8%台です。
NY株式市場がこのまま下落基調に入るかどうかも不透明です。
昨日の消費者信頼感指数などの米経済指標も市場予想を上回っています。
さらに、先月からのドル高傾向の流れは「昨年の相場展開」に酷似しています。
昨年は12月にドル買い戻しがさらに進み、
今年1月の第2週あたりまではドル高が続いていました。
いずれにしても今週末の米雇用統計も含め、
いましばらく外部環境の変化を注意深く観る必要がありそうです。
ユーロの下落が止まりません。
もともとユーロは、一度方向が決まるとかなりの値幅を持って
同方向に動く傾向がありますが、それにしても動きが急で値幅が大きいことには驚きます。
結局、先月11月だけでも1.4281のユーロ高値から
昨日の1.2969まで1300ポイント以上も動いたことになり、
値幅としては円の3倍以上になります。
ユーロの今年の最安値は5月のギリシャ危機の際に記録した1.1877でした。
そこを底値とすると、上昇幅は2404ポイントにもなり、
昨日1.3の大台を割り込んだことで半値戻しは達成し、
次のターゲットは61.8%にあたる1.2795前後ということになります。
欧州財政問題はアイルランドへの850億ユーロ(約9兆4千億円)の支援で
一旦収まりそうにも見えましたが、
財政懸念はポルトガル、スペインなどにも波及するという見方が根強く、
その場合の影響の大きさからユーロ売りが止まらない状況です。
昨日は、イタリアやベルギーの国債も売られ、
安全とされるドイツ国債との利回りは急拡大しています。
また、格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は
ポルトガルの格付けを「ネガティブ」としたことを発表し、
現在「A-」(Aマイナス)の同国長期債の格付けが下がる可能性を示唆しています。
前日EUの欧州委員会が財政再建のため、
ユーロ圏諸国では歳出の抑制を進めていることから2011年の
GDPを下方修正しています。
ユーロ安からドイツなどの輸出が伸びる可能性はありますが、
今後欧州の景気鈍化は避けられない状況です。
そうなると、現在1%の政策金利の引き下げの可能性すら出て来そうです。
明日のトリシェECB総裁のコメントにますます注目が集まりそうです。
昨日の動きを観ると、市場は米経済指標の結果よりも欧州財政問題に、
より注目しているように思えます。
足元ではソブリンリスクが高まり、リスク回避の動きがさらに加速しそうな気配です。
ユーロドルでは上記1.28台割れ、
ユーロ円では8月に記録した105円台が意識される展開かと思われますが、
突っ込みすぎには注意したいところです。
いよいよ12月が始まりました。
- [2010/12/01 09:32]
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