日銀追加緩和にもドル円下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 日銀が2ヵ月連続となる追加緩和を決定したものの、市場の
期待値が高かったこともあり、失望のドル売りが優勢。
ドル円は追加緩和発表直後80円台に乗せる場面があったがその後
急落。一時79円28銭を付けたが、NYではハリケーンの影響から
株式、債券の両市場が休場だったことで取引は低調。79円60銭
近辺で取引を終える。 - ユーロドルは1.29台前半から反発。スペインの7-9月GDP
が、先週発表された推計値程縮小していなかったことを好感。
ユーロは対ドルで1.29台後半まで続伸し、対円でも102円台から
103円台前半までユーロ高が進む。 - 株式、債券市場はハリケーンのため前日に続き休場。
- 金、原油は小幅に反発。
- 8月ケース・シラー住宅価格指数 → +2.03%
本日の注目イベント- 豪 豪9月住宅建設許可件数
- 独 独9月小売売上高
- 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏9月失業率
- 欧 イタリア9月失業率
- 米 10月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演
- 加 カナダ8月GDP
昨日の日銀決定会合結果発表には、かなり待たされたことで「疲労感」が
残った印象です。
通常なら11時~昼ごろにかけて決定内容が発表されるものが、
2時を過ぎても発表はなく、結局2時50分頃発表されました。
これまでになく会合が長時間にわたったため、「会議は相当紛糾している」
との連想を掻き立てましたが、実際に発表された内容は、これまでにない
「新制度」も盛り込まれたものでした。
資産買い入れ基金は11兆円増額し、91兆円に。
さらに、金融機関を通じた融資を拡大するために「貸出支援基金」を
創設しました。
そして、新たに政府と日銀が「共同文書」を公表し、一体となってデフレ
からの脱却を目指していることをアピールした文書も作成しました。
ドル円は決定内容発表直後に80円台に乗せる場面もありましたが、
直後に急落し、一気に79円36銭までドル安円高が進みました。
事前の緩和期待が強かったこともあり、11兆円の増額では「失望感」の
方が勝り、これまで買っていたドルを手放したということです。
昨日の朝方発表された鉱工業生産が大きく落ち込んでいたことも、一層
日銀の緩和姿勢に期待を高めたと言えます。
確かに事前の期待値は相当高かったとは思いますが、市場予想の10兆円は
わずかですが上回り、さらに9月に引き続き2ヵ月連続で大規模な緩和に
踏み切ったことは評価されてもいいと思います。
前回の決定会合から、民間エコノミストが2名加わったことや、前原経済
財政担当相も会合に出席したことの効果は確実に出ていると判断されます。
それでも日銀が目指した2014年までにインフレ1%の目標は、実現の
可能性がほとんどなくなったことからさらに追加の緩和策が必要です。
市場は既に12月の決定会合を意識し始めています。
ドル円は79円前半まで下落しましたが、その後は下げ渋っています。
NYでは8月のケース・シラー住宅価格指数が前年比で2年ぶりの
大きな伸びを示したことで、住宅市場の回復を印象づけ、ドル円は徐々に
買い戻されています。
下値の重要なメドは79円08銭ですが、79円台が維持できるかどうかが
今後のドル円の動きにも影響を与えそうです。
決定会合という大きなイベントが終わったことで、今度は週末の米雇用統計に
焦点が移ります。
今回の雇用統計の結果は、金融市場だけではなく、11月6日の大統領選にも
影響を与えると言われています。
前回発表された9月の失業率では、市場予想を0.4%も下回る7.8%でした。
共和党支持派の重鎮からは「大統領選を有利にするために数字を操作した」などと
非難されました。
これに対してオバマ陣営は当然反論していますが、もし今回の失業率も改善して
いるようだと、オバマ陣営に極めて有利に働くと見られています。
因みに今回の事前予想は7.9%で、非農業部門雇用者数は12万5千人と
予想されています。
明日は雇用統計の前哨戦と言われている「ADP雇用者数」が発表されます。
こちらの事前予想は13万5千人ですが、余程この予想を外れない限り、
ドル円は79-80円のレンジ内で推移すると思われます。
上述のように、79円はテクニカル上サポートされていますが、一方で
80円台も徐々に重くなりつつあります。
週末の雇用統計がどちらかに大きくブレれば、上記レンジを抜け、今後の
トレンドを決めていくように思います。
- 豪 豪9月住宅建設許可件数
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- [2012/10/31 10:58]
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