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日銀金融政策会合待ち 

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場


  • ドル円は日銀政策会合を控え小動き。長期金利が上昇したことで

    ややドルが買われたが、111円13銭止まり。111円00-05銭近辺で

    取引を終える。

  • ユーロドルは反発。1.1719前後までユーロ買いが進み、ユーロ円も

    130円台を回復する場面も。

  • 株式市場は続落。特にハイテク株の売りが止まらず、ナスダックは

    3日続落。ダウも144ドル下げ2日続落

  • 債券相場も軟調。長期金利は2.97%台まで上昇。

  • 金は続落。原油は大幅高となり、70ドル台を回復。サウジが原油輸送を

    停止したとの報道が材料に。


  • 6月中古住宅販売件数成約指数 →  0.9%

    本日の注目イベント

  • 日   6月失業率

  • 日   6月鉱工業生産

  • 日   日銀金融政策決定会合

  • 日   日銀経済・物価情勢の展望(展望リポート)

  • 日   黒田日銀総裁記者会見

  • 中   7月製造業PMI(速報値)

  • 中   7月非製造業PMI(速報値)

  • 独   独7月失業率

  • 欧   ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)

  • 欧   ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)

  • 欧   ユーロ圏6月失業率

  • 米   6月個人所得

  • 米   6月個人支出

  • 米   6月PCEコアデフレー

  • 米   4-6月雇用コスト指数

  • 米   5月ケース・シラ-住宅価格指数

  • 米   7月消費者信頼感指数

  • 米  企業決算 → アップル、P&G、ファイザー


    米国ではハイテク株に売りが続き、FANG銘柄を中心に続落し、ナスダック指数は

    1%余り下落しました。株式市場はそれなりに動きがありましたが、為替は小動きで

    した。本日、早ければ午前中にも発表される日銀金融政策の結果待ちという

    ところで、米長期金利がやや上昇したことで、111円台前半での動きが続いていま

    す。

    ただ債券市場では依然として日銀が政策修正を行うとの見方は強く、昨日も10年物

    国債が売られ、長期金利は一時0.11%まで上昇しました。

    日銀は今月3回目となる「指し値オペ」を実施し、引き続き金利上昇を警戒していま

    す。日銀は本日、会合終了後に当面の運営方針を発表しますが、ブルームバーグの調

    査によると、エコノミスト44人全員が金融政策の現状維持を予想しています。

    それでも、債券市場の動きを見ると、持ち高調整の売りが出るなど、何らかの修正が

    あると見る向きは根強いようです。基本政策は維持しながらも、金融機関への悪影響

    や市場機能低下などの副作用を軽減する方針が打ち出されるのかが注目点でしょうか。

    ドル円は上値が徐々に重くなってはいるものの、111円台を維持しています。

    上値を切り下げてはいますが、日足では重要な「200日線」の上で推移しており、

    その下には一目均衡表の「雲」もあり、かなり強力なサポートであることを示唆して

    いるようです。

    本日で7月も終わり、明日からは8月です。今朝の経済紙では、8月は円高になる傾

    向があると伝えています。記事によると、過去20年で14回「ドル安円高」だった

    とか。また同じように、ブルームバーグニュースでは「VIX指数」に着目し、「V

    IX指数」が1年のうち、何月に最も高くなったかを集計しています。

    それによると、1990年1月~2018年6月までの28年間で、8月と10月が

    5回で、最も回数が多い月になっています。

    「VIX指数」は別名「恐怖指数」とも呼ばれ、市場で不安が高まると上昇します。

    円は安全通貨と見られており、こちらも不安が高まると買われる傾向があります。

    そう考えると、8月が「ドル安円高」に振れる傾向があるという上記記事との整合性

    はとれると言えます。因みに、7月に「VIX指数」が最も高かった年はゼロでした。

    では、この先ドルショートでいいのかというと、必ずしもそうとは限りません。

    これはあくまでも過去の結果であって、今年も同じように円高に振れるかどうかは

    わかりません。昨日もこの欄で述べましたが、貿易問題など、周りを見ると「円高材

    料」が多いのも事実で、これらが米景気に悪影響を与えるようだと、今後円高が進む

    可能性は十分あると考えますが、ここは慎重にいきたいところです。

    本日の予想レンジは110円30銭~111円50銭程度と見ます。


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    米GDP大幅な伸びながらも予想を下回る 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • 米第2四半期GDPの発表でドル円は110円80銭まで下げたが、

    今週発表の日米の金融会合を控え動きは小幅。111円近辺まで

    反発して越週。

  • ユーロドルは小幅に下落。この日は終始1.16台で推移し、一時は

    1.1620まで売られたが、1.16台半ばまで戻す。

  • 株式市場は下落。ダウは4日ぶりに反落。ナスダックはインテルの

    決算発表をきっかに急落した。結局IT関連銘柄が大きく売られことで、

    114ポイントの大幅安。

  • 債券相場は反発。長期金利は2.95%台へと低下。

  • 金、原油はともに下落。


  • 4-6月期GDP(速報値)            →  4.1%

  • 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)  →  97.9

    本日の注目イベント

  • 独   独7月消費者物価指数(速報値)

  • 欧   ユーロ圏7月景況感指数

  • 欧   ユーロ圏7月消費者信頼感(改定値)

  • 米   6月中古住宅販売件数成約指数


    ドル円は先週、一時110円台半ばまで売られる場面があり、これまで緩やかに

    上昇を続けていたトレンドにやや変化が出てきました。きっかけはトランプ大統

    領が、利上げは「うれしくない」とツイッターをしたことや、「中国とEUは通

    貨を操作している」といった、通常、大統領といえども言及することがない金融

    政策や通貨問題にまで「つぶやいた」ことでした。

    さらにドル円の先行きに懸念を生じさせたのが、日銀の金融政策の修正観測が高

    まったことでした。一部の新聞や通信社が、本日から開催される決定会合で、緩

    和政策の見直しを検討すると報じたことでした。

    債券市場では、この報道を受け長期金利が急騰し、1年ぶりに0.1%まで上昇

    し、さらに先週末には一時0.105%まで上昇しました。日銀は「指し値オペ」

    を実施し、金利高を容認しない強い姿勢を見せましたが、依然として不透明感は

    払拭できていません。仮に、金融機関への副作用に配慮して「ゼロ金利解除」や

    「長期金利の上昇」を容認すれば円が買われ、かなりのスピードで円高が進む可

    能性が高いと見られます。

    ただ、現時点では金融政策の変更は考えづらく、あるとすれば、現行の緩和姿勢

    を維持しながら、その副作用に配慮するコメントを発する程度ではないかと予想

    しています。2%の物価上昇が達成できていない中、円高が進めばさらに輸入物

    価を押し下げることになり、「逆風」となります。さらに、9月には自民党総裁

    選もあり、安倍現首相の3選が濃厚と見られており、そうなれば、「アベノミク

    スよ、もう一度」と考えるのは自然なことです。また、円高が進み株価の下落に

    つながれば、来年10月からの消費税引き上げにも影響を与えることになります。

    このような「思惑」や「期待」も入り混じった中で、本日から金融政策決定会合

    が行われ、明日その結果が発表され、その後いつものように黒田総裁の記者会見

    が行われます。久しぶりに注目を浴びる日銀会合ですが、今週は米国でもFOM

    Cがあり、さらに英国でも金融政策会合があり、さしずめ今週は「中銀ウイーク」

    の様相です。

    米4-6月期のGDP速報値は4.1%と発表されました。前期の2.0%に比

    べ倍の結果でしたが、予想より低かったため、市場はドル売りで反応しました。

    GDPの7割を占める個人消費がけん引したものと思われますが、これは昨年末

    の大型減税による影響かと思います。焦点は、この勢いが来期以降も続くのかど

    うかという点です。好調な米経済指標にも、住宅関連指標にはぼちぼち、スロー

    ダウンを示す数字も出てきています。トランプ政権の強硬な保護主義政策の行方

    とも関係しますが、この先、「米国一人勝ち」がどこまで続くのかをしっかり見

    極めていく必要があります。その結果次第では、現時点では「FRBによる利上

    げは年内あと2回」というシナリオが下方修正される可能性もないとは言えない

    からです。

    本日のドル円は110円50銭~111円30銭程度を予想していますが、

    どちらかと言えば「下方リスク」の方が高いと見ていますが、本日は、日本の1

    0年物国債の動きにも注意したいところです。


  • トルコリラ再び大幅下落 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は反発。東京市場の夕方、日銀の金融政策修正の思惑から
      110円58銭前後まで売られたが、その後海外市場が参入するに連れ上昇。
      NYでは111円台を回復し、111円25銭までドル高が進み、この日の
      高値圏で引ける。

    • ECBは理事会で政策維持を決定。量的緩和の年内終了と、2019年
      夏以降の利上げ見通しに変わりはなく、ユーロドルは1.1641まで
      売られる。

    • 株式市場はまちまち。ダウは3日連続で大幅に上昇する一方、
      ナスダックはフェイスブック株の歴史的下落が重石となりマイナス80ポイント。

    • 債券相場は小動き。長期金利は若干上昇したが、3%を目前に足踏み。

    • 金は反落し、原油は続伸。

    • 新規失業保険申請件数  →  21.7万件

    • 6月耐久財受注     →  1.0%

    本日の注目イベント

    • 豪  豪第2四半期生産者物価指数
    • 日  7月東京都区部消費者物価指数
    • 中  中国 6月工業利益
    • 米  4-6月期GDP(速報値)
    • 米  7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

    ドル円は昨日の夕方には110円58銭前後まで売られ、海外市場では110円台前半辺りのテストがあるかもしれないとの期待もありましたが、欧州からNYにかけてはドルが反発。111円25銭までドル高が進み、結局前日の水準で戻ってきました。

    昨日のドル下落の引き金は、再び日銀の金融政策を巡る思惑でした。債券市場では10年物国債の利回りが急上昇し、1年ぶりに0.1%まで上昇しました。来週30、31日の決定会合で、政策の修正があるだろうとの見方が依然としてくすぶっており、これが長期金利を押し上げました。物価目標の2%は達成できず、緩和を導入して5年が経過しており、低金利による金融機関への「副作用」にも配慮するのではないかといった観測が強まっています。

    「出口戦略を検討するには時期尚早」と、黒田総裁はこれまでに何度も繰り返してきたことから、現在の状況で政策変更を行う理由は見つけにくいと思われます。現行金融政策を維持しながらも、低金利継続による副作用を徐々に改善して行くといったコメントが発せられるのではないかと予想しています。会合は来週ですが、少なくとも黒田総裁の口から「修正」といった言葉やニュアンスが出るだけで、ドル円の下押し材料になると思われます。今回の会合は、久々に注目される金融政策決定会合になりそうです。

    ドル円は再び111円台を回復してきましたが、昨日はドル円を買う目立った材料があったわけではありません。ユーロドルでドル買いユーロ売りが強まったことで、ドル円にも波及したものと見られますが、トルコリラが対ドルで大きく売られました。トルコで米国人牧師アンドルー・ブランソン氏が拘束されていることに関して、トランプ大統領は26日、トルコに対して「大型制裁」を科す考えを示しました。大統領は、「ブランソン氏は立派なキリスト教徒であり、家族思いの素晴らしい人物だ」とツイートし、「彼はひどく苦しんでいる。この信心深い無実の男性を直ちに釈放すべきだ!」と抗議しました。ブルームバーグによると、同氏はトルコで未遂に終わったクーデターを支援したとしてスパイ行為やテロ集団との共謀の罪で起訴され、2年近く収監されていましたが、25日に自宅軟禁に移されています。

    110円台半ばを2度試し111円台まで反発したドル円は、短いチャートでは「ダブルボトム」を形成してきました。仮に110円台が底堅いとすれば、今後は110-112円のレンジ内で推移する可能性も出てきます。米中貿易問題の終息が見えないことや、上記日銀金融政策の修正観測もあり、足元ではドルの上値が重い展開が継続しています。上記2つの材料が極めて不透明なことから、動きにくい状況です。本日の予想レンジは110円60銭~111円60銭程度を予想します。

    =====================================
    スイスは生活費が高いことで有名です。このほどスイス最大の銀行であるUBSの調査でも、その実態が明らかになりました。調査によると、世界77都市で食費の最も高いのはジュネーブで、同時に住民の所得水準が最も高いのもジュネーブでした。そして2位に付けたのも同じくスイスのチューリヒです。高賃金と強い通貨、政治の安定、整備されたインフラ、そして豊かな自然があり、国連(UN)、世界銀行(WB)、世界保健機関(WHO)に赤十字など、国際機関が集まるスイスは、生活費は高いですが、豊かのようです。東京オリンピックまで2年を切りましたが、国際オリンピック委員会(IOC)本部があるのも、スイスのローザンヌです。確かに、レマン湖を望みながら飲んだシャンパンの味は、優雅なひと時でした。

    良い週末を・・・・・。

    米EU貿易戦争回避で合意 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場

        
    • 米EU首脳会談でのリスクが意識され、ドル円はジリジリと値を
      下げる。110円66銭までドル安が進んだが、貿易戦争回避で合意した
      との報道から111円手前まで反発して取引を終える。

    • ユーロドルも朝方は売られ、1.1664までユーロ安が進んだが、
      貿易戦争回避で合意との報に急伸。1.1738前後まで買い戻しが進む。

    • 株式市場はひとまずリスク回避が後退したことで大幅に続伸。
      ダウは172ドル上昇し、2万5400ドル台を回復。ナスダックも91ポイント
      上昇する。

    • 債券相場は続落し、長期金利は上昇。長期金利は6月6日以来となる
      2.97%台まで上昇。

    • 金は3日ぶりに反発。原油は続伸。

    • 6月新築住宅販売件数  → 63.1万件

    本日の注目イベント

      独  独8月GFK消費者信頼感
      欧  ECB政策金利発表
      欧  ドラギ・ECB総裁記者会見
      米  新規失業保険申請件数
      米  6月耐久財受注
      米  企業決算 → マクドナルド、インテル、アマゾン、スターバックス

    注目されたトランプ大統領とユンケル欧州委員会委員長との会談は、ひとまず貿易戦争回避で合意しました。これにより、トランプ大統領が輸入自動車への関税導入の意向を示して高まっていた緊張が緩和され、一時110円66銭近辺まで売られたドル円は111円近辺まで値を戻し、NYダウは172ドル上昇。さらに米長期金利も2.97%台へ上昇するなど、「リスクオフ」が後退しています。

    首脳会談終了後、トランプ大統領とユンケル委員長はホワイトハウスで共同会見を行い、EUが米国産液化天然ガス(LNG)と大豆の輸入を拡大するほか、双方が工業製品の関税を引き下げることで合意したと語っています。トランプ大統領は会見で、「非常に重要な記念すべき日となった」と発言し、米国とEUの関係が「新たな局面」に入ったと成果を強調していました。(ブルームバーグ)

    ドル円は、米EU首脳会談前にもかかわらず、トランプ大統領が「関税はすばらしい」とツイートするなど、不穏な雰囲気があったためジリジリと円が買われる展開でした。会談終了前までには110円66銭前後までドル安が進み、今週月曜日に記録したドルの安値を下回る場面もありましたが、ひとまず貿易戦争は回避できたとの報道で急速に「リスクオン」に傾いています。EUとの通商関係のさらなる悪化は避けられましたが、最大の懸念は対中国との貿易問題です。すでに米中ともに340億ドル(約3兆7700億円)の関税引き上げは発動されており、現在は160億ドル相当の追加関税を巡る公聴会が開かれているところです。この追加関税も来月早々に発動されると見られています。そして、その先には2000億ドル相当規模の引き上げや、場合によっては5000億ドル規模までトランプ氏は口にしています。今回のEUとの合意が前例となって、今後の貿易戦争拡大を回避できればいいのですが、まだまだ楽観できない状況が続きます。

    ドル円は昨日110円台半ばまで売られた後、111円近辺まで反発したことで、このまま111円台を回復して上昇基調に戻れば、「Wボトム」を完成させますが、現時点ではまだ予断を許しません。気になるのが、ドル円と米長期金利との相関関係がやや崩れてきたことです。米長期金利は先週まで2.84~2.86%の間で、極めて静かな動きを続けていましたが、トランプ大統領の「(金融当局の利上げは)うれしくない」発言以来、急速に上昇してきました。従来ならば、これに連動する形で「ドル買い円売り」が見られましたが、今回はドル高を懸念する発言もあったため、「リスク回避」の流れというよりも、トランプ発言に各市場がそれぞれ反応したというふうに理解できます。ただ、米長期金利がこの先緩やかに上昇し、3%に向かうようであれば、ドル円の下支えにはなろうかと思います。

    本日のレンジは110円50銭~111円50銭程度を予想しますが、まだ上値が重い展開は変わっていないと見られます。明日発表予定の米第2QのGDP速報値が、かなり力強いものになると予想されていますが、果たしてドル上昇のきっけになるのか、注目されます。

    ドル円111円を挟んでもみ合い 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は東京時間の夕方から下落し、NYでは再び111円を割り込む。
      中国の景気刺激策を受け、カナダや南アランドなど資源国通貨が対ドルで
      買われたことで、円も対ドルで上昇。その後やや戻して、111円台に乗せて
      引ける。

    • ユーロドルは前日と同じく、1.17を挟んでもみ合い、方向感も
      掴めない。良好なドイツのPMIも材料にはならず。

    • 株式市場は上昇。好決算を発表したテクノロジー株やヘルスケア関連が
      買われた。ダウは197ドル上昇、一方ナスダックは小幅に下落。

    • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は2.95%を若干下回る。

    • 金は小幅に続落し、原油は反発。

    • 7月リッチモンド連銀製造業指数  → 20

    • 5月FHFA住宅価格指数       → +0.2%

    本日の注目イベント

    • 豪  豪第2四半期消費者物価指数
    • 独  独7月ifo景況感指数
    • 欧  ユーロ圏6月マネーサプライ
    • 米  6月新築住宅販売件数
    • 米  米欧首脳会談(ワシントン)
    • 米  企業決算 → コカコーラ、GM、ボーイング、VISA、フェイスブック

    ドル円は再び111円を割り込む場面がありましたが、今回の下げは浅く、111円台前半でNYの取引を終えています。中国が貿易戦争による影響を軽減するため、国内景気を刺激する姿勢を鮮明にしたことや、トランプ政権が国内の農家に対して120億ドル(約1兆3300億円)規模の支援を実施することを発表したことが好感され、ダウが200ドル近く上昇。これが、ドルの下支えになったようです。

    一方で、トランプ大統領の予測不能の「つぶやき」は止まりません。本日25日にはホワイトハウスで、トランプ大統領とEUのユンケル欧州委員長が貿易戦争阻止を目指して会談を行うことになっていますが、その前にも関わらず、「関税は最高にすばらしい」と述べ、米国の貿易相手国・地域が「公正な取引」の交渉をしない場合はさらなる関税を課す、と警告しています。(ブルームバーグ)
    ユンケル委員長は「大きな取引ないし提案は用意せずにホワイトハウスでの会談に臨み、問題解決のアプローチに関してトランプ氏の本心を探ろうとする見込み」とブルームバーグは伝えています。

    ドル円は110円台では、そこそこの抵抗を見せますが、まだドルの上値は重いと見られます。ただ一部には、今週末の米4-6月期GDP速報値が再びドルの上昇材料になるといった見方もあります。アトランタ連銀が公表する「GDPNOW」では、直近の数値が「4.5%」と1-3月期の確定値「2.0%」を大きく上回っています。個人消費や投資分野が伸びていると、アトランタ連銀は分析していますが、すでに6月の小売売上高も「0.5%」と好調さを示しており、5月にいたっては「1.3%」と、絶好調でした。もし予想通りの結果であれば、米景気はさらに拡大していることになり、FRBの今後の利上げが正当化されることにつながります。その結果ドル買い材料となり、ドル円が再び112-113円程度まで上昇するきっかけになる可能性もありそうです。

    ドル円は先週月曜日に、「週足」のレジスタンスラインを上抜けして始まったことはこの欄でも述べましたが、結局先週末のドル急落で「長い上ひげ」をつけて終わった形になりました。また、同時に113円18銭で直近高値をつけたことで、結局、2015年6月の
    125円86銭を頂点としたレジスタンスラインで上昇を抑えられたことにもなります。「日足」では依然として上昇傾向は保たれていますが、このまま下げるようだとこの「週足のレジスタンスライン」は非常に強い抵抗線だと改めて意識されることになり、上値を抜けるにはさらに時間を要することになります。

    本日のドル円は110円70銭~111円70銭程度を予想しますが、ホワイトハウスでの会談で、貿易戦争阻止の具体的な合意がないようだと、再び下値を試すことも予想されます。

    ドル円米長期金利の上昇で小反発 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は東京時間の午前中に110円75銭まで売られたが、
      NY時間では米長期金利が急上昇したことから円を売る動きが
      強まった。一時111円54銭までドル高が進み、111円30-40銭で
      取引を終える。

    • ユーロドルは前日と同じ水準で推移し、1.17を挟んでもみあう。

    • 株式市場はまちまち。ダウは3日続落したが、ナスダックとS&P500は
      上昇。アルファベットが好決算を発表し、IT株をけん引。

    • 債券相場は大幅に続落。日本の長期金利が上昇したことで
      その影響を受けたとの指摘。長期金利は約1カ月ぶりに2.96%
      台まで急上昇。

    • 金と原油はともに反落。

    • 6月中古住宅販売件数  → 538万件

    本日の注目イベント

    • トルコ トルコ中銀、政策金利発表
    • 独   独7月製造業PMI(速報値)
    • 独   独7月サービス業PMI(速報値)
    • 欧   ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
    • 欧   ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
    • 欧   ユーロ圏7月総合PMI(速報値)
    • 米   7月リッチモンド連銀製造業指数
    • 米   5月FHFA住宅価格指数
    • 米   企業決算 → ロッキード、ベライゾン

    ドル円は昨日の東京時間に111円を割り込み、110円75銭前後まで売られました。今回のドル上昇局面では、久しぶりの大幅下落でした。トランプ大統領が金利高を批判し、中国とEUは通貨操作を行っていると主張し、さらに中国への追加関税5000億ドル(約55兆5000億円)の「用意がある」とツイートしたことでドル安が進んだところに、一部新聞が、日銀は30、31日の金融政策決定会合で、政策の見直しを行う見込みだと報道したことで、円高が加速したものです。

    今このタイミングで、異次元緩和の見直しを行うとも思えませんが、債券市場では昨日の朝方から10年債利回りが上昇し、一時は0.09%まで急騰しました。その後日銀が「指し値オペ」を実施することを通知したことで、金利は低下しましたが、日銀の「指し値オペ」も、約半年ぶりのことです。また、マイナス金利の解除や物価目標の修正も予想されることから、昨日の日経平均株価は300円下げましたが、その中でも3メガバンクなどの金融株は「逆行高」を演じており、市場は日銀の次の一手には非常に敏感になっていることが伺え、来週の日銀会合はこれまでになく注目されることになります。

    ドル円は、昨日のこの欄でも述べた様に、「日足」のサポートラインでしっかり下げ止まっています。正直あの勢いでは、NY市場でもう一段の下落を想定していましたが、上で述べた様に、米10年債が売られ長期金利が急上昇したことで、円が売られる展開に
    なり、一段のドル下落が回避されたという状況です。トランプ大統領が、これまでになく激しく市場を「口撃」してきたことで、やや
    ドル高の流れが一服ですが、まだ上昇傾向が終わったとは判断できません。米国の一人勝ちが続き、米長期金利が上昇し、「年内あと2回の利上げ観測」が変わらないのであれば、いずれドルが再び上昇基調に戻ると予想しています。予断を許さないのはトランプ大統領の「口先介入」ではなく、米中貿易問題の行方です。そして、最大の懸念材料である輸入自動車への関税引き上げまで、保護主義が強化されるのかどうかです。

    日銀の金融政策の修正を巡っては様々な見方が紹介されていますが、個人的には、物価目標の下方修正はあっても、このタイミングで出口に向けた変更はないと予想しています。今この段階で変更があれば、円が買われ、急激に円高が進むことは容易に想像できます。安倍首相は9月の自民党総裁選への出馬を決めています。できれば円高は避けたく、再び「アベノミクスをもう一度」と声高に叫びたいところでしょう。今回の西日本を襲った豪雨による被害で、景気の減速も想定され、2019年10月の消費税引き上げが再び怪しくなってきたところに急激な円高は、景気の足を引っ張ることになります。このように考えると、このタイミングでの政策変更は避けたいところでしょう。

    一方で、マイナス金利による金融機関への「副作用」も大きく、長期運用をメインとする生命保険会社の運用も厳しい状況です。先週、生保協会の会長が「長期金利は市場の需給にまかせるべきだ」との意見も発表していました。日銀は難しい選択を迫られています。

    ドル円は下値を攻めるのも厳しそうですが、上値が重くなっているのも事実です。神経質な展開を予想しながら、111円~112円程度のレンジを見ています。

    「トランプリスク」でドル円111円台前半に 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は大幅に下落し、一時は111円38銭まで円高が進む。
      トランプ大統領が、中国とEUは通貨を操作してきたとツイート
      したことや、米利上げを懸念していると発言したことが材料に。

    • ドルが下落したことでユーロドルも上昇。1.1739まで上昇した
      が、ユーロ円の売りが重石となり、勢いは限定的。

    • 株式市場は続落したが、3市場とも下落幅は小幅に。ダウは
      6ドル下落したが、2万5000ドルの大台はキープ。

    • 債券は大幅に売られる。長期金利も2.89%台へと上昇し、
      約1カ月ぶりの高水準に。

    • ドル安が進み金は反発。原油も続伸し70ドル台を回復。

    本日の注目イベント

    • 欧  ユーロ圏7月消費者信頼感(速報値)
    • 米  6月中古住宅販売件数
    • 米  企業決算 → アルファベット

    金融市場は再びトランプ大統領の自由奔放な発言に揺れています。前日の「利上げはうれしくない」発言に続いて、今度は「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」とツイートし、さらに「米国は不正な通貨操作や不利な貿易協定で失われたものを奪還していいはずだ」と批判しました。ドル円はこのツイートを受けて、112円台前半から111円38銭まで円高が進み、113円18銭まで上昇した分を僅か2日で吐き出した格好になっています。まさに「トランプリスク」です。

    また、トランプ氏は「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」と、FRBの政策に対しても批判した形になりました。これまで市場はトランプ氏が「金利高やドル高を望まない」ことは理解していましたが、それを簡単には口にしないだろうと考えていましたが、ここにきて貿易戦争を仕掛けただけではなく、金融政策や通貨の水準にまで「介入」してきました。残り4カ月を切った、11月の中間選挙を意識しての行動かと思われますが、FRBの独立性にも波紋を広げることになってきました。そのFRBは、自らが選んだパウエル議長がけん引しています。

    貿易問題もまだ解決の糸口が見つかりません。米商務省は19日、トランプ政権が検討している自動車の関税引き上げを巡って
    公聴会を開きました。この公聴会には、国内外の企業や外国政府代表者が招かれたようですが、日本からも在米日本大使館の相川特命全権公使が出席し、「日本からの輸入は米国の自動車産業を損なってはいない」と述べ、「日本からの輸入は米国の安全保障を脅かしていないし、今後もそうならない」と説明しました。自動車の輸入制限に関しては、メキシコや韓国などの外国政府も反対を表明した他、米自動車業界も反対を表明しています。またロス商務長官は、「調査結果が最終的に(輸入制限の)提案につながるか、現時点で言うのは時期尚早だ」と述べるに留まっています。

    カギを握るのは、やはり米中貿易問題です。2000億ドル(約22兆4000億円)規模の中国製品に対する関税引き上げが今回の公聴会の主題ですが、トランプ氏は先のCNBCとのインタビューでは、米国に輸入される中国製品5000億ドル相当に追加関税をかける「用意がある」とも発言しており、「われわれはいいように利用されており、私はそれが気に入らない」とも語っていました。(ブルームバーグ)中国から米国への年間輸出額が約5000億ドルですから、中国からの輸入全てに対して関税をかけるという意味合いになります。

    ドル円は111円台まで売られてきました。ドルが下落する時のいつものパターンですが、上昇は緩やかですが、下落時は一気に落ちてきます。ドル円は現時点ではまだ上昇傾向が崩れたとは言い切れません。もちろん今後のトランプ氏のつぶやき次第というところですが、3月の104円台から引くことの出来るサポートラインは、110円86銭前後にあり、ここが目先の重要な下値となりそうです。また、その他にも日足の「200日線」や「雲の上限」などのサポートが110円から、110円台前半にあることから、「110円が維持できるかどうか」が極めて重要なポイントになろうかと思います。本日は急激な円高から、日経平均株価は輸出株を中心に売られそうです。予想レンジは110円60銭~111円60銭程度とします。

    ドル円トランプ発言に急落 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は良好な経済指標を受け、113円18銭まで上昇したが、
      その後に急落。トランプ大統領がCNBCのインタビューでFRBの利上げに
      批判的な発言をしたことで112円05銭まで円高が進み、112円40-50銭
      で取引を終える。

    • ユーロドルは1.15台後半まで売られた後反発。1.1679まで上昇したが
      その後は再び軟調に。

    • 株式市場は反落。決算が予想を下回った銘柄を中心に売られ、
      ダウは134ドル安と、6日ぶりに下落。

    • 債券相場はトランプ発言を受け上昇。長期金利は低下し、10日ぶりに
      2.83%台に。

    • 金は約1年ぶりに1210ドル台まで下落し、その後やや反発。
      1224ドルで引ける。原油は続伸。

    • 新規失業保険申請件数         →   20.7万件

    • 6月景気先行指標総合指数       →   0.5%

    • 6月フィラデルフィア連銀景況指数   →   25.7

    本日の注目イベント

    • 日 6月消費者物価指数
    • 独 独6月生産者物価指数
    • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
    • 米 企業決算 → GE
    • 加 カナダ5月小売売上高
    • 加 カナダ6月消費者物価指数

    「トランプリスク」が再び顕在化し、ドル円はこの日の高値から1円以上も急落し、一時は112円05銭までドル安が進みました。週間失業保険申請件数が20.7万件と、実に1969年10月以来となる低水準を記録したことや、フィラデルフィア連銀景況指数も、予想を大きく上回ったことで、ドル円はNY時間朝方には113円18銭まで上昇しました。前日の高値である113円14銭を、僅かですが上回ったことで、重要な移動平均線である「200週線」をテストするのではないかという期待もありましたが、トランプ大統領の発言に1円以上ものドル安が進み、一気にセンチメントが変わり、冷や水を浴びせられました。

    今回のドル上昇局面で、ドル円が「1円以上の深い下落」を見せたのは、約1カ月ぶりのことになります。昨日のこの欄でも、ドルの急落に「注意するにこしたことはありません」と書きましたが、今後もこういった予想外の動きはあると考えておくべきでしょう。

    トランプ大統領はCNBCとのインタビューで、金融当局が借り入れコストを引き上げ、経済を減速させている可能性があるとして、「うれしくない」と述べました。また、「景気は上向いている。上向くたびに、彼らはまた金利を引き上げたいと考える。それに関して私は不満だ。だが同時に、彼らが最善と考える行動を私は容認している」と続けました。ブルームバーグ・ニュースは、このことに関して、「ホワイトハウスは長年にわたり、金融当局の独立性を尊重する立場から金融政策にコメントすることを避けてきたが、トランプ氏はこの伝統を破った」と、手厳しく批判しています。

    トランプ大統領は、FRBのパウエル議長についても、「とても良い人物」と評価しています。ホワイトハウスは、トランプ氏の発言の後、「当然ながら、トランプ大統領はFRBの独立性を尊重している。大統領は自分で述べたように、パウエル議長をとても良い人物だと考えており、金融当局の政策決定に干渉しているのではない」との声明をメールで発表し、火消しに躍起になっていました。
    この発言に為替だけではなく、株式も債券も反応しましたが、発言のタイミングは予想できないとしても、トランプ氏は不動産業がなりわいで、多くの不動産を所有しています。そもそも多くの借入金がある不動産業は、金利高を嫌うものです。

    ドル円は現時点では重要な水準である、113円30銭前後を越えることはできませんでしたが、まだドルの上昇基調は崩れていないと考えます。「日足」の200日線は110円12銭前後にあるため、この水準を上回っている限り、ドルの再上昇があると見ています。ただ、上で述べたように今後も「トランプリスク」は残っています。最大のリスクは「自動車の輸入制限」かと思いますが、米商務省は19日、国家安全保障を根拠とする自動車輸入制限を巡る調査に関して、公聴会を開きました。ロス商務長官は、自動車の輸入制限は既定ではないとしながらも、「トランプ大統領は米自動車業界が(輸入制限の必要性を)どれほど不可欠であるかを理解している」と発言しています。自動車輸入制限措置を本格的に検討したら、ドル円の下落は1円程度では済まないと予想されます。

    ドル円は112円05銭から若干戻してはいますが、今日のところは戻りも限定的かと思います。下値は112円を維持できるかどうかでしょう。予想レンジは112円~112円80銭程度と見ています。

    ドル円113円台を示現後上昇一服 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • 東京時間に113円台乗せまで続伸したドル円だったが、
      NY時間では112円台での取引に終始。住宅関連指標が予想を
      下回ったことで112円71銭まで売られたが、小幅に戻して引ける。
      パウエル議長の議会証言にも前日ほど反応せず。

    • ドルが小幅に下落したことでユーロドルは上昇。1.16近辺から
      1.16台半ばまでユーロ買いが進む。

    • 株式市場は続伸。モルガンスタンレーの好決算が金融セクターを
      けん引し、ダウは5日続伸。一方ナスダックは前日とほぼ同水準。

    • 債券相場は引き続き動きが見られず。長期金利は小幅に上昇。

    • 金と原油も小幅に上昇。

    • 6月住宅着工件数  →  117.3万件

    • 6月建設許可件数  →  127.3万件

    本日の注目イベント

    • 豪  豪6月雇用統計
    • 日  6月貿易収支
    • 英  英6月小売売上高
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  6月景気先行指標総合指数
    • 米  6月フィラデルフィア連銀景況指数
    • 米  クオールズ・FRB副議長講演
    • 米  企業決算 → ブラックストーン、マイクロソフト

    ドル円は昨日の東京時間に113円台に乗せ、113円14銭前後までドル高が進み、約半年ぶりの水準まで上昇しました。ただNY市場では113円台には届かず、112円台後半での推移に留まっています。それにしてもドル円は、大幅な上昇はないものの、ゆっくりと着実に上昇を続けています。株価は日米ともに戻り基調ですが、債券相場はどうゆわけか動意がなく、従って長期金利も2.84~2.87%程度で一進一退。一時ほどの上昇傾向は見られません。それでも113円台まで円安が進んだ背景には、クロス円の上昇が挙がられます。昨日のユーロ円は上昇が一服でしたが、前日には132円近辺まで上昇しています。最近では、未曾有の被害をもたらした西日本の集中豪雨で、景気が冷え込むといった見方や、国の予算を投じて支援する必要があるため、財政が悪化するなどといった見方が「円売りにつながっている」という説も出ています。

    昨日も前日に引き続きパウエルFRB議長の証言が下院でありましたが、市場へのインパクトはほとんどなく、ベージュブックでも、景気は拡大を続けている一方、関税の影響により製造業者の間では懸念が強まったとありましたが、為替への影響はほとんどなかったようです。市場の関心は結局「貿易戦争の行方」ということのようです。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は18日、「われわれが知る限り、習主席は現時点において取引を成立させることは望んでいない」と、米中の貿易対立緩和を目指した通商協議を足止めしていると、中国を批判しました。これに対し中国商務省は、米国が関税を引き上げたことに中国が対抗した措置は正当だと主張しています。(ブルームバーグ)

    米中貿易戦争は終息の糸口が見えず、小康状態です。米国は2000億ドル(約22兆6000億円)規模の制裁関税を発表していますが、これは公聴会や一般からの意見を聞く作業があり、発動されるのは早くても9月の予定です。また、その先に見えるのが米国への輸入車に対する関税引き上げです。トランプ政権は、米国に輸入される自動車及び部品に最大25%の関税をかけることを検討しています。この問題を巡っては米自動車工業会も反対しており、そう簡単ではないのかもしれませんが、トランプ大統領はこれまで口にしてきたことはほぼ全て実行しています。いつ発表されるか判りません。

    この問題に関して、世耕経済産業相がブルームバーグのインタビューに答えています。世耕氏は、自動車の場合は「日本経済に対する影響は非常に大きい」として、鉄鋼・アルミニウム製品への関税とは「違う対応になるだろう」と述べ、米国が輸入制限措置を日本に発動した場合、何らかの対抗措置を取る可能性を示唆しています。

    ドル円は、113円台は維持できず小幅に反落してはいますが、それでも112円台後半です。これまでも「一歩後退、二歩前進」といった動きが続いて、結局113円までドル高が進んできました。市場参加者もこの動きに慣れてきており、「ドルが下がれば買い」との姿勢を強めています。ドルが急落する状況にはないとしても、つい4カ月前には104円台半ばで取引されていたことを考えると、すでに約9円もドル高が進んだことになります。注意するにこしたことはありません。本日の予想レンジは112円50銭~113円30銭程度を見ていますが、この予想自体、足元のドル高に慣らされているところもあります。

    ドル円早朝に113円台に乗せる 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円はパウエルFRB議長が議会証言で、米景気に対する
      楽観的な見方を示したことや、株価が続伸したことで上昇。
      一時は112円93銭までドル高が進み、ほぼこの日の高値圏で
      引ける。

    • ユーロドルではややドル高が進んだものの、下げ幅は限定的。
      1.1650までユーロ安が進む。ユーロ円は小幅に上昇し、132円に迫る。

    • 株式市場は続伸。ダウは55ドル高と4日続伸し、ハイテク株が
      買われたことからナスダックは最高値を更新。

    • 債券相場は動かず。長期金利も2.86%と、ほぼ変わらず。

    • 金はドル高の影響もあり続落。引け値では12ドル40セント売られ、
      1227ドル台と、昨年7月以来の安値に。
      原油は小幅に続伸。

    • 6月鉱工業生産         →  0.6%

    • 6月設備稼働率         →  78.0%

    • 7月NAHB住宅市場指数   →  68

    本日の注目イベント

    • 欧  ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
    • 英  英6月消費者物価指数
    • 米  6月住宅着工件数
    • 米  6月建設許可件数
    • 米  ベージュブック(地区連銀経済報告)
    • 米  パウエル・FRB議長、下院金融サービス委員会で証言
    • 米  企業決算 → IBM、モルガンスタンレー

    注目されたパウエルFRB議長の上院での証言は、改めて米景気に対する楽観的な見方を示したことからややリスクオンが強まり、ドル円は113円に迫る水準まで買われ、約半年ぶりのドル高水準をつけています。

    議長は米労働市場は力強いと述べ、インフレ率を目標付近で維持するため金融当局は「当面」、金利政策の漸進的な引き上げを継続するとの方針を示しました。「当面は、フェデラルファンド(FF)金利の漸進的な引き上げ継続が最善策だと考えている」と述べ、利上げペースは速すぎても、遅すぎても弊害があるとの認識も示しました。

    一方、貿易問題については「最近の財政政策変更が経済にもたらす影響の規模と時期が、経済見通しにどう影響するかは、予想が困難だ」と述べています。(ブルームバーグ)ただ、これらの一連の発言からは保護貿易主義に対する否定的な見方も含まれておらず、全体としてはこれまで通り緩やかな利上げを継続していくとの姿勢が強調されました。

    トランプ政権の仕掛けた貿易問題では終息の兆しは見えないものの、堅調な米景気が続き、「米国一人勝ち」の様相になっています。具体的な成果が見えなかった米ロ首脳会談や、行き過ぎた通商政策には与党の重鎮からも批判の声が上がっていますが、トランプ大統領にとっては、何処吹く風。同盟国であるEUに対して「EUは敵だ」とまで言うなど、独善的ではあるがリーダーシップがあると見られている部分もあるようです。11月の中間選挙に向けて、すでに予備選挙は始まっていますが、女性では民主党支持者が増えており、男性では共和党支持者が増えているとの調査もあります。

    ドル円はジリジリと上昇しています。113円は目前となっており、注目は「週足」の200週線がある113円30銭前後が抜けるかどうかです。仮にしっかり抜けるようだと、その上には昨年7月に記録した114円74銭辺りまで目立ったレジスタンスは見あたりません。貿易問題が依然としてリスク要因であることは変わりませんが、市場は、需給面からドル不足だとか、貿易戦争がこれ以上悪化しないことがドル買い要因だとか、あるいは貿易問題がさらに深刻化すると日本の貿易黒字額が減り、これがドル売り圧力の後退になるなど、様々な「後講釈」を探していますが、なかなか決定的な説明にはなっていないようです。結局は「ドルを売る人よりも買う人が多い」ということでしょうか。本日のドル円は112円50銭~113円30銭程度を予想しています。

    ドル円112円台前半に下落 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は112円台前半から半ばで小動き。経済指標が好調で
      ドルが買われる場面があったものの、112円44銭まで。
      112円台半ばは抜け切れず下落。

    • ユーロドルは小幅に上昇したが、1.17を挟む展開に終始。
      ユーロ円は131円70銭近辺まで続伸。

    • 株式市場はまちまち。ダウは3日続伸したものの、ネットフリックス株が
      急落したことで、ナスダックは20ポイント下落。

    • 債券相場は下落。長期金利は2.85%台を回復。

    • 金は続落し、1240ドル台を割り込む。原油価格も、サウジや米国の
      供給が増えるとの見方から大幅に反落し68ドル台に。

    • 6月小売売上高          →   0.5%

    • 7月NY連銀製造業景況指数  →   22.6

    本日の注目イベント

    • 豪  豪第2四半期消費者物価指数
    • 豪  RBA議事録
    • 英  英6月雇用統計
    • 英  カーニー・BOE総裁講演
    • 米  6月鉱工業生産
    • 米  6月設備稼働率
    • 米  7月NAHB住宅市場指数
    • 米  パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言
    • 米  企業決算 → ゴールッドマン、ジョンソン&ジョンソン

    ドル円は112円台後半がやや重くなり、緩やかに下落してはいるものの、依然として112円台は維持しており、底堅い動きです。
    米長期金利が上昇し、小売売上高も、6月分は予想通りでしたが、5月分が「0.8%」から「1.3%」へと大きく上方修正され、米経済の好調さを物語っていました。

    約1年ぶりに米ロ首脳会談がフィンランドのヘルシンキで行われました。両首脳の表情は硬く、和やかな雰囲気とはいえませんでしたが、今回の会談は冷戦終了後最悪の状況となっている米ロ関係の修復と、同盟国のEUとの関係が悪化している中で、あえてロシアとの関係を強化することで、EUをけん制したと見ることができるようです。11月の中間選挙にむけて、「実績」を作ることに全力を注いでいる印象です。最悪だったロシアとの関係を改善することが出来たとしても、一方で良好だったEUとの関係は、今や最悪と言えます。

    本日はパウエルFRB議長が半期に1度の議会証言を行います。本日は上院銀行委員会で行い、明日は、下院金融サービス委員会で行うことになっています。依然として米景気は好調で、FRBの利上げ回数は、年内あと2回というシナリオは維持されると見られますが、中国を始め、EU、カナダなどとの貿易摩擦のリスクをどの程度反映した証言になるのかが注目されます。この問題に全く触れないことはないと思いますが、思いのほかリスクとして捉えていないようだと、ドルが再び買われ、113円方向に向かう可能性があります。

    IMFは16日、世界経済見通しを発表しました。その中で、今年と来年の世界成長率を3.9%で据え置きましたが、貿易問題を巡る緊張の激化で世界的な景気拡大局面が腰折れしかねないと警告しています。すでに欧州や日本での成長が予想を下回り勢いが失われつつあるが、金融市場はリスクの高まりに油断しているようだとも指摘しています。(ブルームバーグ)貿易問題では米国が孤立しており、その割にはドル円も緩やかに上昇し、株価の方は戻り基調にあり、長期金利は高止まりしています。さらに安全資産の金も1240ドルを下回り、昨年12月以来の安値に沈んでいます。これらの市場の動きが楽観的すぎるとの指摘と受け止められます。

    本日は昨日のNY市場と同じように、FRB議長の議会証言を控え動きにくいところでしょう。ただ、NY時間では証言内容次第では動きが出ることもあり得ますので、注意が必要です。予想レンジは112円~112円80銭程度とします。

    ドル円続伸し112円台半ばに  

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • ドル円は続伸し、欧州時間に112円62銭まで上昇し、

    NYでも112円58銭までドル高が進む。貿易戦争で新たな

    悪材料が出なかったことが「好材料」との地合い。株価の大幅

    反発もドル高材料に。

  • ユーロドルは1.16台半ばから後半で推移し堅調。

    ユーロは対円でも131円台半ばまで買われ、約1カ月ぶりの

    高水準に。

  • 株式市場は大幅に反発し、前日の下落分を埋める。

    ダウは224ドル上昇し、ナスダックは107ポイント上昇し、

    最高値を更新。

  • 債券は引き続き小動き。長期金利も2.84%台でほぼ変わらず。

  • 金は3日ぶりに反発、原油は小幅ながら続落。

  • 6月消費者物価指数       →   0.1%

  • 新規失業保険申請件数     →  21.4万件

  • 6月財政収支           →  -749億ドル

    本日の注目イベント

  • 中   中国6月貿易収支

  • 米 6月輸入物価指数

  • 米   7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

  • 米   FRB半期に一度の金融政策報告

  • 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

  • 米  企業決算 → JPモルガン、シティグループ、ウェルズファーゴ

      

    市場は相変わらずトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の行方に一喜一憂しており、

    動かす材料もそこに集中している状況です。昨日は悪材料が出なかったことが

    「好材料」と受け止められ、NY株式市場では株価が大幅に反発し、ドル円も欧

    州市場では112円62銭までドルが買われています。クロス円でも全般的に円

    売りが進んでおり、ユーロ円は約1カ月ぶりに131円台半ばまで円安が進みま

    した。

    中国国務省の王受文次官はジュネーブでの記者会見で、トランプ政権による一方

    的な関税賦課に他国が追随するようになれば、WTOは崩壊すると述べ、「こう

    した一方的な貿易の保護主義的措置がもたらす結果を、極めて深刻に受け止め必

    要がある。世界経済の成長にも悪影響が及びかねない」との見方を示しましたが、

    市場ではこの発言がソフトだと受け止められ、中国が直ちに報復手段に出ること

    はないと判断し、株価の上昇につながったようです。

    昨日の市場全体を眺めると、安全通貨の円やスイスフランが、ドルなど主要通貨

    に対して売られ、上記発言がややリスクオンに傾いたとも見られます。

    ただ、このまま中国が米国からの大規模な関税引き上げに対して傍観していると

    は思えず、いずれ報復措置を発表してくると見られます。

    そうなると、再び株価が大きく売られ、ドル円も下落に転じることになりますが、

    そうこうしている間に、ドル円は112円台半ばまで円安が進行しています。

    「円は最早安全通貨ではない」と考えれば、足元の状況は説明がつきますが、ど

    うでしょうか?

    ドル円は112円62銭をつけたことで、昨日もここで触れましたが、「週足」の

    トレンドラインを上抜けしてきました。

    正確に言えば、「週足」であるため、来週の寄付きが今の水準レベルで取引が始ま

    れば、上抜け完成ということになります。

    もし、111円台まで押し戻されれば、抵抗線にあたって反落したということにな

    り、今後のドル円の展開にとっては重要な意味を持つかもしれません。

    このレジスタンスラインは、2015年6月に黒田日銀総裁が国会での質問に答え、

    「ドル円は、ここからさらに大幅には上昇しないだろう」という見通しを示し、

    その後実際にジリジリと下落した、そのドルの最高値からスタートしています。

    当時ドル円は130円を目指して緩やかに上昇していましたが、この発言をきっか

    けに下落に転じたことから、このレベルを「黒田ライン」と呼んでいました。

    足元の動きは、そのレジスタンスラインを3年ぶりに上抜けするかどうかの状況で

    す。

    本日もドル円は堅調に推移すると見られますが、短期的な「1時間足」や「30分

    足」ではローソク足の波形と「MACD」の波形が逆行しており、いわゆる「ダイ

    バージェンス」を見せています。

    もしかしたら、「トピッシュ」ということで、反落のきっかけになるかもしれない

    ため、注意が必要です。

    予想レンジは112~113円程度とします。


  • ドル円半年ぶりに112円台に 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は続伸し、半年ぶりに112円台までドルが急伸。
      米中貿易戦争がさらに激化したことで、新興国通貨が対ドルで
      大きく売られたことで、対円にも波及。111円台半ばを超えた
      ことからストップのドル買いも巻き込んで上昇したものと見られる。

    • ユーロドルではドル高が進まず、1.1758までユーロが
      上昇。ユーロ円も、131円目前まで続伸。

    • 株式市場は大幅に反落。米中貿易戦争の激化でキャタピラーなど、
      中国関連銘柄を中心に幅広く売られる。ダウは219ドル下げ、
      2万4700ドル台に。

    • 債券相場は変わらず。長期金利も2.84%台で動かず。

    • 金はドル高により続落。原油は米中の貿易摩擦の激化で、世界経済の下押し要因に
      なるとの懸念から大幅に反落。またOPECが6月は増産していたことも嫌気され前日比約5%下げ、
      一気に70ドル台に。

    • 6月生産者物価指数   →  0.3%

    本日の注目イベント

    • 独  独6月消費者物価指数(改定値)
    • 欧  ユーロ圏5月鉱工業生産
    • 米  6月消費者物価指数
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  6月財政収支 
    • 米  カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
    • 米  ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演

    トランプ政権は昨日の朝方、中国製品に対する追加関税を発表し、あらたに2000億ドル(約22兆4000億円)、6031品目に対して10%の関税をかけることを発表しました。実際の発動は、今後、公聴会や一般からの意見を聞く作業があるため9月になる見込みですが、もし実施されれば、中国からの輸入の半分に高関税をかけることになり、米中貿易戦争は新たな局面に入ってきたと
    いえます。

    中国はこれに対し対抗措置を講じる構えで、米国の「脅しには屈しない」と攻撃に出ています。中国商務省の王受文次官は11日、「当事者の一方が、言ったことを守らないならば、話し合いは成功しない」と述べ、交渉が成功するには「当事者が他の当事者に銃を突きつけることがあってはならない」と語っています。(ブルームバーグ)この発言から、米国商務省と中国の窓口である商務省が水面下では、妥協案を模索するための交渉を行っていたことが理解できます。

    トランプ政権の留まるところをしらない保護主義政策の暴走は、米国内や身内の共和党内からも批判の声が高まり、ブレイディ米下院歳入委員長は、大きな犠牲を伴う中国との貿易戦争を停止するためトランプ大統領に貿易協議を再開するよう求めるとしています。同委員長は、貿易戦争の一段の激化が複数年の戦いになる恐れがあり、それは「世界のますます多くを巻き込む」と警告しています。また、上院財政委員会のハッチ委員長も、関税リストを批判し、「見境がないようで、的を絞ったアプローチではない」と声明を発表しています。(ブルームバーグ)

    トランプ政権の新たな追加関税の内容が伝わった昨日の朝方、ドル円は111円台から110円76銭前後まで下落しましたが、昼前には再び111円台を回復しており、ドルの底堅さを確信した格好でしたが、まさかその後のNYで112円台までドル高が進むとは予想出来ず、さらにドル高がそこまで進んだ理由も、正直まだしっくりきません。貿易戦争の拡大懸念から、株価は大きく下落しましたが、安全資産の債券は特に買われてはいません。また恐怖指数と言われる「VIX指数」は「13.63」と、前日よりも上昇はしているものの恐怖が高まってはいません。しかし、だからといってこれだけではドル円が112円台まで上昇した説明には、「説得力」が欠けているように思えます。トルコリラなど「新興国通貨」が対ドルで大きく売られ、ドル高が進んだことによりドル円でも円売りが波及したという説明です。この欄でも何度も触れていますが、やはり111円40銭という、直近高値を抜けたことと、111円台半ばから上にはストップロスのドル買いがあり、それを巻きこみながら上昇したと考えるのが妥当かと思われます。

    注目したいのはドル円の「週足チャート」です。2015年6月の125円86銭を頂点に引くことが出来る「レジスタンス・ライン」はかなり強い抵抗線で、これまでに何度も上抜けを試みましたが、抜け切れていません。昨日112円17銭までドル高が進んだことで、この抵抗線に再び挑んだ形になっています。まだ完全に抜け切れたとは言えませんが、完全に抜け切れるかどうかに着目する必要があります。ここを完全に抜け切れれば、114円程度までドル高が進む可能性も出てくるからです。

    今後は、2000億ドルの追加関税実施の可能性と、それに対する中国の出方が非常に重要になってきます。中国側はこれまで、米国の制裁関税が発動されるとすかさず、同規模の報復関税で対抗してきました。しかし今回は、米国が2000億ドルという大規模な内容を発表しましたが、そもそも中国の米国からの輸入総額は1300億ドル程度で、物理的に2000億ドル規模の対抗措置を発表することは不可能です。そうなると、「金額」ではなく「質」での対応を見せるのか、あるいは「関税以外」で報復をちらつかせることが考えられます。こうなると正に、「貿易戦争の泥沼化」ということになります。本日は、112円まで上昇したものの、東京時間にドル円を買い上げる動きはそれほど強くはないと予想しており、下値がどこまであるかという点が焦点でしょう。予想レンジは111円60銭~112円40銭程度と見ていますが、海外市場ではドルの上昇にも気をつけたいところです。

    ドル円111円35銭を記録後反落 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • 東京時間に111円台に乗せたドル円は欧州時間でも
      続伸し、111円35銭まで上昇。NYではじり安となり、111円を
      割り込む水準まで下落。

    • ユーロドルは小幅に反落。独ZEW景況感指数が予想を大きく
      下回ったことを手掛かりに1.1697まで下落する。

    • 株式市場は4日続伸。ダウは143ドル上昇し、2万5000ドルが
      視野に。決算発表の時期に入り、個別銘柄への選別が強まる。

    • 債券相場は小幅に反発。長期金利は2.84%へとやや低下。

    • 金は反落し、原油は3日続伸。

    本日の注目イベント

    • 米  6月生産者物価指数
    • 英  カーニー・BOE総裁講演
    • 米  ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
    • 加  カナダ中銀政策金利発表

    昨日の東京時間、日経平均株価が300円近い上昇を見せると、ドル円もゆっくりと上昇し、111円台に乗せました。株価の方は引け際に上げ幅を縮小し、結局前日比144円高で取引を終えましたが、ドル円は欧州時間に111円35銭まで上昇。NYでは再び「トランプリスク」に見舞われ反落し、111円を割り込んでいます。結局5月21日に記録した直近の高値である111円40銭が意識され、今回も現時点では上回ることが出来ていません。

    「トランプ大統領は追加関税の対象となる中国製品2000億ドル(約22兆2000億円)のリストを公表する準備を行っており、リストは早ければ10日に公表され、今週中に公表の見通し。リストは公表後の公聴会や一般からの意見を求める、と関係者が匿名で語った。」(ブルームバーグ)先週、米中がお互い3400億ドル相当の関税を発動したものの、市場はこれを冷静に受け止め、市場への影響はほとんどありませんでした。これ以上過激化することはないだろうという読みと、ここまでは織り込んでいたことで市場へのインパクトがなかったと思われます。ただ、今度は規模が違います。発動までは内外から反対もあり、そう簡単ではないと見られますが、トランプ大統領はこれまで、口にしたことはほぼ実行しているのも事実、安心は出きません。仮にそうなれば、中国も再び報復措置を講じるのは目に見えており、『貿易戦争』の様相がさらに深まることになります。

    ドル円は上記トランプ大統領の貿易問題を巡る動きで111円割れまで落とされましたが、緩やかな上昇基調は崩れていないと見られます。3月26日の104円64銭を底値に引くことの出来るサポートライン(日足)は、まだ機能していると見ます。現在その水準は110円40銭前後に位置しており、この水準を割り込むようだと、再び下値を探る展開に転じる可能性があります。トランプ政権の保護貿易主義がさらに過激になるようだと、市場の楽観的なムードが一変するリスクがあることは意識しておくべきです。

    日米とも株価の動きは堅調です。NYダウは今月に入り700ドル近く上昇しており、先行しているナスダック指数に追いつく勢いです。今週金曜日からはJPモルガンなど金融機関の決算発表があり、決算発表本番を迎えます。その結果、業績相場の色合いを濃くするものと見られますが、ここでも貿易問題から避けては通れません。株式関係者からは「これ以上悪材料が出ないことが好材料」との言葉が聴かれます。足元の楽観的な雰囲気がどこまで継続されるのかも、ドル円にとっては「材料」になりそうです。本日は下値も底固いと見られますが、上値も昨日の下落で若干重く感じられます。予想レンジは110円60銭~111円40銭といったところでしょうか。

    ドル円111円35銭を記録後反落 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • 東京時間に111円台に乗せたドル円は欧州時間でも

    続伸し、111円35銭まで上昇。NYではじり安となり、111円を

    割り込む水準まで下落。

  • ユーロドルは小幅に反落。独ZEW景況感指数が予想を大きく

    下回ったことを手掛かりに1.1697まで下落する。

  • 株式市場は4日続伸。ダウは143ドル上昇し、2万5000ドルが

    視野に。決算発表の時期に入り、個別銘柄への選別が強まる。

  • 債券相場は小幅に反発。長期金利は2.84%へとやや低下。

  • 金は反落し、原油は3日続伸。


    本日の注目イベント

  • 米   6月生産者物価指数

  • 英   カーニー・BOE総裁講演

  • 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

  • 加   カナダ中銀政策金利発表


    昨日の東京時間、日経平均株価が300円近い上昇を見せると、ドル円もゆっくりと

    上昇し、111円台に乗せました。株価の方は引け際に上げ幅を縮小し、結局前日比

    144円高で取引を終えましたが、ドル円は欧州時間に111円35銭まで上昇。

    NYでは再び「トランプリスク」に見舞われ反落し、111円を割り込んでいます。

    結局5月21日に記録した直近の高値である111円40銭が意識され、今回も現時

    点では上回ることが出来ていません。


    「トランプ大統領は追加関税の対象となる中国製品2000億ドル(約22兆200

    0億円)のリストを公表する準備を行っており、リストは早ければ10日に公表され、

    今週中に公表の見通し。リストは公表後の公聴会や一般からの意見を求める、と

    関係者が匿名で語った。」(ブルームバーグ)

    先週、米中がお互い3400億ドル相当の関税を発動したものの、市場はこれを冷静

    に受け止め、市場への影響はほとんどありませんでした。これ以上過激化することは


    いだろうという読みと、ここまでは織り込んでいたことで市場へのインパクトがなか

    ったと思われます。ただ、今度は規模が違います。

    発動までは内外から反対もあり、そう簡単ではないと見られますが、トランプ大統領

    はこれまで、口にしたことはほぼ実行しているのも事実、安心は出きません。

    仮にそうなれば、中国も再び報復措置を講じるのは目に見えており、『貿易戦争』の

    様相がさらに深まることになります、

    ドル円は上記トランプ大統領の貿易問題を巡る動きで111円割れまで落とされまし

    たが、緩やかな上昇基調は崩れていないと見られます。3月26日の104円64銭

    を底値に引くことの出来るサポートライン(日足)は、まだ機能していると見ます。

    現在その水準は110円40銭前後に位置しており、この水準を割り込むようだと、

    再び下値を探る展開に転じる可能性があります。

    トランプ政権の保護貿易主義がさらに過激になるようだと、市場の楽観的なムードが

    一変するリスクがあることは意識しておくべきです。

    日米とも株価の動きは堅調です。

    NYダウは今月に入り700ドル近く上昇しており、先行しているナスダック指数に

    追いつく勢いです。

    今週金曜日からはJPモルガンなど金融機関の決算発表があり、決算発表本番を迎え

    ます。

    その結果、業績相場の色合いを濃くするものと見られますが、ここでも貿易問題から

    避けては通れません。株式関係者からは「これ以上悪材料が出ないことが好材料」と

    の言葉が聴かれます。足元の楽観的な雰囲気がどこまで継続されるのかも、ドル円に

    とっては「材料」になりそうです。

    本日は下値も底固いと見られますが、上値も昨日の下落で若干重く感じられます。

    予想レンジは110円60銭~111円40銭といったところでしょうか。


  • ドル円再び111円をテストか? 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • ドル円は上昇し、110円90銭まで買われた。米長期金利の

    上昇に加え、「ポンド安ドル高」に牽引される格好でドル高が進む。

  • ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.17台半ばから

    後半で取引され、ユーロ円は約1カ月ぶりに130円台に乗せる。

  • 株式市場は大幅に続伸。貿易問題や海外の政治情勢の不透明憾

    にも関わらず、ダウは320ドルと大幅高。S&P500も1カ月ぶりの高値を

    記録。

  • 債券相場は反落。株価の上昇を受けて売られる。長期金利は

    2.85%台まで上昇。

  • 金、原油は小幅に上昇。

  •  5月消費者信用残高 → 24、559b

    本日の注目イベント

  • 中   中国6月消費者物価指数

  • 中   中国6月生産者物価指数

  • 独   独7月ZEW景気期待指数

  • 英   英5月貿易収支

  • 英   英5月鉱工業生産

  • 加   カナダ6月住宅着工件数

  • 加   カナダ5月建設許可件数


    ドル円は値動きが少ない中、昨日のNY市場では110円90銭までドル高が進み

    ました。NY株が3日続伸し、特に昨日はダウが320ドル上昇し、2万4700

    ドル台を回復し、S&P500は1カ月ぶりの高値を記録しました。

    長期金利も2.85%台まで上昇したことで、円売り、ドル買いにつながりやすか

    った面もあります。

    加えて、英国ではジョンソン外相がEU離脱政策を巡って辞任したことから、メイ

    首相に退陣圧力が高まる可能性が出てきました。政治的混乱を嫌気してポンドが対

    ドルで売られたことで、ドル円でも「ドル買い円売り」が出て、ドルを押し上げた

    ものと見られます。

    ドル円は111円には届かなかったものの、再び上値を試す雰囲気です。

    市場全体で円売りが進み、ポンド以外の主要通貨では軒並み「円安」が進んでおり、

    ユーロや豪ドル、NZドルなどでは約1カ月ぶりの円安水準に至っています。

    米中の貿易問題を巡る状況に歯止めがかからず、今後はさらにエスカレートする可

    能性も残っています。本来なら円が買われてものおかしくはない状況ですが、むし

    ろ円は売られる傾向です。

    今朝の経済紙にも、ドル安円高が進まない理由に触れていましたが、確かに、需給

    による『ドル不足』はあるのでしょう。日本は原油消費量のほぼ100%を海外か

    らの輸入に依存しています。WTI原油価格は直近では74ドル台まで上昇し、2

    014年11月以来の原油高となっています。

    原油取引はドル建てのため、その分ドルを調達する必要が出てきます。これが、市

    場でのドル需要を高める一因にはなっているはずです。

    ドル円はNY市場で一時110円90銭をつけた後、ほぼ同水準で戻ってきました。

    NY株高と円安が若干進んだことで、本日の日経平均株価もそこそこの上昇が見込

    まれます。日経平均株価が予想以上に上昇するようだと、ドル円も111円台に乗

    せ、111円台前半を試す可能性があると予想します。

    そうなると再び意識されるのが、5月21日に記録した111円40銭です。

    この水準をしっかりと上抜けできるようだと、110円を中心に上下1円と見てい

    たレンジも、上抜けしたと判断できそうです。

    もちろん、111円前後は何度も試しては押し戻されている水準で、手ごわい水準

    でもありますが、ここ2週間ほどは110円さえ割り込んでいないのも事実です。

    ここは注目したいと思います。

    予想レンジは110円50銭~111円40銭程度とします。


  • ユーロドル雇用統計を受け1.17台半ばへ 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場


  • 6月の雇用統計では、雇用者数は予想を上回ったものの、

    失業率が上昇し、賃金の伸びが予想に届かなかったことでドル円は

    下落。110円38銭まで売られ、110円40-50銭で越週。

  • ユーロドルはドル安に押され上昇。1.1768までユーロ高が進み、

    約3週間ぶりの高値をつける。

  • 株式市場は続伸。ハイテク株を中心に買われ、ナスダックは

    101ポイント上昇。ダウも100ドル余り上昇し、2万4400ドル台に。

  • 債券相場は小動きの中、小幅に買われる。長期金利は2.82%台

    へとやや低下。

  • 金は反落し、原油は反発。

  • 8月失業率              →   4.0%

  • 8月非農業部門雇用者数   →   21.3万人

  • 8月平均時給 (前月比)     →   0.2%

  • 8月平均時給 (前年比)     →   2.7%

  • 8月労働参加率          →   62.9%

  • 米5月貿易収           →   -431億ドル


    本日の注目イベント

  • 日   5月国際収支

  • 日  6月景気ウオッチャー調査

  • 中   中国6月外貨準備高

  • 独   独5月貿易収支

  • 米   5月消費者信用残高
      

    6月の雇用統計は内容も盛り上がらなかっただけではなく、米中貿易戦争の影響で

    指標そのものへの注目度も低下していた印象でした。

    そのため値動きも鈍く、値幅も僅か40銭程度と、昨年までの雇用統計発表日とは

    大きく状況が異なっています。今回の雇用統計では非農業部門雇用者数は予想を4

    万人上回る、23.5万人で、これで2カ月連続で20万人の大台を大きく超えて

    います。

    一方失業率は4.0%で、低下傾向が続いていた失業率にもブレイキがかかった感

    じですが、これは一時的との見方が強く、いずれ3.5%に近付いていくと見られ

    ています。ドル円が下がったのは、やはり賃金の上昇鈍化が主因でした。

    平均時給は前月比で0.2%、前年比で2.7%と、いずれも予想を下回っていま

    した。ちょうどこの日から米中が関税引き上げを発動し、今後さらにエスカレ-ト

    するようだと、労働市場にも影響が及び、その結果、年内あと2回と見られている

    FRBによる利上げにも影響してくるかもしれません。

    どこかで妥協点を探るのではないかと見られていた米中の関税引き上げは、時間切

    れのまま発動されることになりました。お互い340億ドル(約3兆4000億円)

    相当の製品に対する関税引き上げになりますが、問題はさらに制裁が進み、報復合

    戦へと進んでいくのかどうかです。

    ここまでは為替市場も、株式市場も大きな反応を見せず、織り込済みだという見方

    が多いようですが、今後の状況次第では大きな影響も考えられます。6日、同時に

    発表された5月の貿易収支には、既にその影響も表れていました。

    5月の米貿易収支は431億ドルの赤字と、前月の461億ドルの赤字から6.6

    %も赤字額が縮小していました。ブルームバーグによると、輸出額が1.9%増加

    し、なかでも大豆の輸出がほぼ2倍の41億ドルと急増していました。

    6日から中国が輸入大豆の関税を引き上げることへの対応で、米国からの輸出が急

    増したと見られます。既に貿易収支の改善も見られたことから、トランプ大統領が

    さらに過激な政策を取ることも考えられなくもありません。

    本日は特段材料もないことから、大きな動きはないものと思われます。

    予想レンジは110円20銭~110円90銭程度でしょうか。

    ドル円はここ10日間ほど110円を割り込んではいません。

    110円台を徐々に固めているようにも思えますが、この傾向が続くのかという点

    にも注意して見たいと思います。


  • 時間切れで米中関税発動か? 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • 米中関税発動期限を控え、ドル円は動意もなく小動き。

    株価が上昇しドルが買われたものの、110円74銭までで

    上げ止まり、110円65銭前後で取引きを終える。

  • ユーロドルは続伸。M&Aの動きやECBの当局者によるタカ派

    的発言からユーロが買われ、1.1721まで上昇。

  • 株式市場は大幅に上昇。関税発動期限が迫る中でも、ハイテク株を

    中心に買われる。ダウは181ドル上昇し、ナスダックも83ポイント上昇。

  • 債券相場は横ばい。長期金利はほぼ変わらずの2.82%台に。

  • 金は反発し、原油は続落。


  • 新規失業保険申請件数      →   23.1万件

  • 6月ADP雇用者数         →   17.7万人

  • 6月ISM非製造業景況指数   →   59.1

    本日の注目イベント

  • 日   5月景気動向指数

  • 独   独5月鉱工業生産

  • 米   6月雇用統計

  • 米  5月貿易収支

  • 加   カナダ5月貿易収支

  • 加   カナダ6月就業者数

  • 加   カナダ6月失業率
      

    本稿執筆時、米東部時間が6日の0時を迎えるまで残り7時間ほどしかありません。

    そして現時点では米中どちらも歩み寄りの姿勢を見せてはおらず、このままでいけ

    ばまず、米国が340億ドル(約3兆8000億円)相当の関税引き上げを発動し、

    その後中国も直ちに同規模の報復関税を発動することになります。

    世界がその前に何らかの進展があるのかどうかを固唾を呑んで見守っている状況で

    す。

    米通商代表部(USTR)は5日に電子メールで、340億ドル相当の中国製品を

    対象とする関税を、米東部夏時間6日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)

    に発動すると確認した。(ブルームバーグ)

    トランプ政権は現時点でも振り上げた刀を下ろすつもりはないようです。

    今朝の情報によると、一旦は時間切れで米中が発動した後も、交渉の余地は残り、

    妥協点を見い出す交渉もあり得るとの見方を紹介していますが、一方で世界貿易戦

    争の幕が切って落とされるとの見方もあります。既にEUとカナダが同様の措置を

    発動しており、EUはさらに鉄鋼輸入制限(セーフガード)を今月中旬にも発動す

    る計画があるようです。

    またトランプ大統領は、中国が報復関税を発動したら、さらに2000億ドル(約

    22兆1000億円)相当の中国製品に追加関税を課すとも語っています。

    それにしても、このような状況にも関わらず、市場は冷静さを保っており、このと

    ころ売られ過ぎていたとはいえ、昨日ダウは181ドルの上昇で取引きを終えてい

    ます。

    本来ならリスク回避の円買いが起きてもおかしくはないドル円は、昨日の朝方は売

    られても110円台前半までで、その後は110円74銭近辺まで「円売り」が進

    む場面もありました。

    市場は、「米中が関税引き上げを発動しても、最終的には世界的な貿易戦争にはな

    らないと見ている」、そう考える以外に今の状況は説明できないと思います。

    最新の報道では、トランプ大統領は大統領専用機の機内で記者団に、中国製品への

    関税を6日午前0時過ぎに発動するとした上で、別の160億ドル相当の中国製品

    への関税は2週間以内に発動し得ると述べたと、ブルームバーグは伝えています。

    ここ1週間、110円さえ割り込まないドル円ですが、このまま米東部時間0時を

    迎える可能性が高くなったことを考えると、上値も重いと予想します。

    レンジは110円から111円程度でしょうか。

    米中貿易問題に忙殺され、本日雇用統計があることも忘れてしまいそうです。


  • 米中関税発動期限迫る 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    欧州市場


    • 東京時間には110円28銭までドル安が進んだものの、NY市場
      祝日の影響もありその後は小動き。110円台半ば前後で一進一退。

    • ユーロドルも1.16台半ばを中心にもみ合い。ECBの高官が
      「2019年末の利上げは遅すぎる」との認識を示したとのニュースにも
      反応せず。

    本日の注目イベント

    • 英  カーニー・BOE総裁講演
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  6月ADP雇用者数
    • 米  6月ISM非製造業景況指数
    • 米  FOMC議事録(6月12、13日分)

    今朝の時点ではまだ米中の貿易関税問題を巡る進展は何もありません。中国財務省は4日遅く声明を出し、「われわれが最初の一発を打つことは決してなく、米国より早く関税を発動させることはない」と発表しています。(ブルームバーグ)ただ、時差の関係で、中国が米国より早く発動させる可能性否定できないとも報じており、6日の北京時間午前0時(日本時間午前1時)に追加関税が発動されることも考えられます。

    昨日は米国が独立記念日で祝日でした。この時間、米国は4日の夜ですが、残された時間は30時間を切ったということになります。水面下では、ロス商務長官を中心に交渉作業が行われているものと思われますが、はたしてトランプ政権がどこまで譲歩してくるのかが焦点です。あるいは時間切れという事態も考えられます。

    仮にこのまま進展がないとすれば、貿易戦争に突入する可能性は高く、メルケル独首相は昨日連邦議会での演説で、米国が欧州の自動車に高関税を賦課すれば鉄鋼やアルミニウムに対するものより、「はるかに深刻」になるとの認識を示し、貿易戦争になった場合の影響を警告し、世界的な金融危機のような事態が再来する恐れがあると語っています。

    6日の米中の追加関税の内容を確認しておくと、米国側はまず自動車、産業用ロボットなど818品目(340億ドル相当)の関税を発動し、中国側も同規模の報復関税を大豆や自動車を対象に発動します。中国側の対象品目は、トランプ大統領の支持基盤である農業やエネルギーに的を絞っているところは、今週1日から発動されているEUの対抗措置と同じ手法です。さらにカナダも166億カナダドル(約1兆4000億円)規模の報復複関税を決め、既に7月1日から発動しています。まさに貿易戦争の様相が色濃くなり、「貿易戦争に勝者はない」という言葉が改めて意識されます。

    ドル円はこのような状況下でも110円台半ばで推移しています。リスク回避の動きが強まり、円高が進むのではないかとの見方は根強くありますが、反応はいまいちです。ただ、注意するにこしたことはありません。明日は関税発動期限であることに加え、恒例の雇用統計発表日でもあり、久々に大きな値動きがあるかもしれません。本日のドル円は110円~111円程度を予想しますが、上記関税問題の進展次第では、どちらにも抜ける可能性はありそうです。

    ドル円111円台を試すも反落 

    ひと目で分かる昨晩の動き
    NY市場


    • ドル円は110円台半ばから後半で推移し、東京時間で111円台まで
      ドル高が進んだものの、NYでは上値を追う動きとはならず。
      株安と、長期金利の低下で110円台半ばまでドルが売られる。

    • ユーロドルは1.16台半ばで無風状態。EUのユンケル欧州委員長が
      7月遅くにトランプ大統領と貿易問題で協議を行うとの報道も材料にならず。

    • 株式市場は反落。ボーイングなど、中国商戦の割合が高い銘柄が
      売られ、ダウは132ドル安。他の主要指数も揃って反落。

    • 不透明な米中貿易問題を背景に、債券相場は切り返す。長期金利は
      2.83%台まで低下。

    • 金は反発。原油はカナダとリビアの減産見通しを材料に上昇。
      一時は3年7カ月ぶりとなる75ドル台に乗せたが、引け値は74ドル14セント。

    • 5月自動車販売台数 → 1738万台

    本日の注目イベント

    • 豪  豪5月貿易収支
    • 豪  豪5月小売売上高
    • 中  中国 6月財新サービス業PMI
    • 中  中国 6月財新コンポジットPMI
    • 欧  ユーロ圏6月総合PMI(改定値)
    • 欧  ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
    • 英  英6月サービス業PMI
    • 米  株式、債券市場休場(独立記念日)

    昨日の東京時間では111円台に乗せ、何度か上値を試す動きを見せたドル円でしたが、結局111円13銭前後を天井に押し戻されています。NY市場では、トランプ政権の保護主義と、米中貿易問題への懸念から株価が下落し、長期金利も低下したことで、ドル円は110円51銭近辺まで売られ、111円には届いていません。ただ、昨日は独立記念日の前日で、株式と債券が短縮取り引きだったことからドルが売られたといっても限定的でした。

    中国の裁判所が米半導体大手のマイクロン・テクノロジーの販売に仮差し止め命令出したことで、中国の対米報復の始まりとの見方も出て、NY株式市場では売りが膨らみ、安全通貨への需要が高まり、小幅に円高が進みました。また中国人民銀行の幹部が、米国との通商問題で人民元を武器として活用することはないと言明したことで、軟調な地合いが続いていた人民元は急反発しています。本日を含め、あと3日に迫った米中貿易関税発動期限ですが、現時点でも先行きが読めません。昨日米国が、中国の通信機メーカーZTEの米国内での一部業務活動の暫定的な再開を認めたことから、米国側が制裁内容を緩和してくる姿勢も見えそうですが、最後の最後まで予断を許しません。

    ドル円は110円を挟み、上下1円のどちらが抜けるかに注目していましたが、昨日の東京時間には3度ほど111円台前半を試す場面がありました。いずれも直ぐに110円台に押し戻された展開で、111円台に乗せたとは言えない状況でした。ここでも述べましたが、貿易戦争への懸念が広がる中、ドル円がジリジリと上昇するところをみると、やはり上に行きたがっているように思えます。ただ、111円を確認した後110円を割り込むようだと、今度は下値を試す局面があるかもしれません。

    本日の米国は独立記念日です。基本的には大きな動きはないと思われますが、関税発動期限が迫る中、どんなニュースが出て来るのかわかりません。「1時間足」ではMACDが久しぶりに「マイナス圏」に入ってきました。目先はやや上値は重くなったと見ていいと思います。レンジは110円10銭~110円90銭程度を予想します。

    ドル円底堅く推移 

    ひと目で分かる昨晩の動き

    NY市場

  • 東京時間に日経平均株価が急落したことで110円60銭

    前後まで売られたドル円は、NY市場では堅調に推移。

    NY株が堅調だったことで110円92銭まで上昇。

  • ユーロドルは1.16割れを試したものの下げ切れずに、

    1.16台前半まで戻す。

  • 株式市場は朝方には軟調に始まったが、トランプ大統領が

    「公正」な貿易取引に向けて合意が近いと述べたことで株価は

    上昇。ダウは3日続伸となる35ドル高で引ける。

  • 債券相場は小幅に続落。長期金利もやや上昇し、2.87%台に

  • 金は12ドル下げ直近安値を更新。原油も小幅に下落。



  • 6月ISM製造業景況指数    → 60.2

    本日の注目イベント

  • 豪   豪5月住宅建設許可件数

  • 豪   RBA、キャッシュターゲット

  • 日   6月マネタリーベース

  • 欧   ユーロ圏5月小売売上高

  • 米 独立記念日の前日のため株式、債券市場は短縮取り引き

  • 米   5月自動車販売台数
     

    昨日の午後には、日経平均株価がジリジリと下げ、一時は515円ほどの下落を

    記録しました。ドル円もそれに合わせるように円が買われ、109円60銭前後

    まで円高が進んでいます。

    人民元が大きく売られ、上海株が下げたことが主因でしたが、朝方発表された日

    銀短観も株式市場の地合いを悪くしたようです。このままの流れでは、NY時間

    にもう一段の円高も予想されましたが、NYではドルは小反発。堅調な動きでし

    た。

    米国株がプラスで引けたことで、一応「負の連鎖」は避けられた形ですが、米中

    の貿易問題が、世界の株式や為替市場にも大きな影響を及ぼす可能性があること

    を、改めて知らされた感じです。その貿易問題について、トランプ大統領は、

    「公正」な貿易取引に向けて合意が近いと述べ、さらにロス商務長官は「米国の

    WTO脱退について議論するのはやや尚早だ」と語っています。(ブルームバーグ)

    米国は、鉄鋼・アルミニウム関税に対する報復措置を計画しているEUと通商合

    意に向けて協議をしていることを明らかにしています。

    ドル円は底堅く推移していますが、昨日の東京時間では111円台に乗せたもの

    の、直ぐに押し戻されており、原状は一進一退の状況です。

    株価は日米ともにやや軟調ですが、金価格は昨日も12ドル下げ、1241ドル

    で取り引きを終え、約半年振りの安値を記録しています。

    また、米長期金利も3%台では押し戻されるものの、リスク回避の急低下は見ら

    れません。総じて見ると、多くの市場関係者が、米国の強硬な貿易問題もそれほ

    ど深刻な状況にはならないと考えているとみられます。

    本日は、昨日のドル円下落の主因だった人民元の動きや上海や東京株式市場の動

    きが注目されます。

    NY株が堅調だったことに影響され上昇するようなら、ひとまずドル円も111

    円に迫ることになるかもしれませんが、午後の引け値まで気は緩められません。

    今週末の米中報復関税発動期限も迫っています。

    トランプ大統領はポジティブな見方を示していますが、今日明日にも何らかの進

    展があるかもしれません。

    ドル円は再び111円台に乗せ、5月に記録した111円40銭が抜けるかどう

    かがポイントの一つです。

    貿易問題が大きく改善するようなら、その可能性もあると予想していますが、引

    き続きドルの急落にも注意が必要です。

    本日は110円40銭~111円20銭程度を予想します。


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