ドル円続伸できず反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
輸入品に2000億ドル相当の関税を発動したいとの考えを示したことや、
アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び値下がりしたことで、
円が買われた。ドル円は一時110円95銭まで下げる。
まで売られる。
売りものが優勢となる。ダウは137ドル下落し、その他の主要株価指数も
揃って反落。
まで低下。
本日の注目イベント
昨日のコメントでドル円に上昇の余地が出てきたと予想しましたが、結果は真逆
の動きでした。東京時間では堅調だったドル円は、NY市場に入ると111円台
半ばを頂点にジリジリと下げ、111円を割り込む水準までドル安が進行しまし
た。前日111円83銭までドル高が示現したことで、111円台半ばのレジス
タンスゾーンを抜け、日足で「雲抜け」も完成させていましたが、MACDでは
「シグナル」が依然としてマイナス圏に留まっていることに警戒感はありました
が、指摘していたように、MACDに収れんされる形でドル円が押し戻されまし
た。111円台半ばでは、もう少し踏ん張れるものと予想していましたが、ここ
は見事に外してしまいました。
ドル売りのドライバーになったのが、今回もトランプ大統領の発言でした。
既に手続きが進行中でもあり、周知のことではありましたが、トランプ氏が改め
て中国への追加関税を発動したいと考えていると、一部の報道が伝えたことが円
買いを促しました。またメキシコとの貿易協定には大筋合意しましたが、その協
定文書には、輸入自動車に対する数量規制が盛り込まれていることが判明し、こ
れも円買い材料になっています。
メキシコからの輸入自動車が一定の数量を超えた場合には25%の関税を適用す
るというものです。
一定数とは240万台と見られており、今すぐに適用されるものではありません
が、メキシコからの自動車輸入は着実に増加しており、数年後には240万台に
達すると見られています。
問題は、トランプ政権が同じことを日本に対しても行ってくると見られているこ
とです。米国の自動車販売台数は今年に入ってからは伸びず、やや頭打ちです。
それでも昨年日本からは170万台もの自動車が米国に輸出されています。
日本の自動車メーカーが、軸足を米国から中国にシフトしているとはいえ、今後
この問題が公にテーブルに載るようだと、円が買われることになりそうです。
アルゼンチンペソなど、新興国通貨が再び下落基調を強めてきました。昨日は、
アルゼンチンペソと、インドルピーが過去最安値を更新しており、ブラジルレア
ルも大きく下げています。
一旦6.00近辺まで上昇したトルコリラも、再び下げ足を早め、6.90近辺
まで売られています。
このように、新興国通貨が下落すると、それらの国に対するエクスポージャーが
多い欧州の銀行などの株が売られ、ユーロなどの下落にも波及します。
ドル円は再び元のレンジに戻った可能性もありますが、ここから先は上述の米中
貿易問題と自動車関税の動向次第です。
円が買われたとはいえ、まだ111円前後での動きです。
依然として、明確な方向を見つけるのに苦労する展開は変わりません。
本日のレンジは110円60銭~111円50銭程度を予想します。

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- [2018/08/31 08:53]
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ドル円111円台後半まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
米株式市場が堅調なことに加え、4-6月期のGDP改定値が
4.2%と上方修正されたことでドルが買われた。
ユーロ円が130円台後半まで上昇したことも、ユーロドルの下落を
支えた。
との観測が広がり、対ドルで1.28台後半から1.30台に乗せる。
合意が近いとの見方が広がり、ダウは60ドル高。S&P500は3日連続で
最高値を更新。
取り引きを終える
本日の注目イベント
ドル円は堅調に推移し、レンジ相場の上値のメドであった111円台半ばを上抜けし、
111円83銭までドル高が進みました。この水準は約1カ月ぶりの水準となり、現
時点で断定はできないものの、しばらく続いていたレンジ相場を上抜けした可能性が
出て来ました。
前日までは一目均衡表(日足)の雲の上限で上昇を抑えられていたドル円は、昨日の
続伸で、今朝は雲の上からローソク足が出現しており、雲抜けを完成させた形になっ
ています。
ただ、日足のMACでは「シグナル」が依然として「マイナス圏」に留まっているこ
とから、今後MACDに収れんされる形でドル円も落ちてくる可能性もありますが、
クロス円全般で「円売り」が進んでいることから、この水準でのもみ合いを経て上昇
する可能性があると予想します。
トランプ政権は、メキシコとの貿易協定大筋合意を完了させたことで、今度はカナダ
とのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉に乗り出しました。カナダとは、自動車
に関する協定は受け入れられる可能性がありますが、
乳製品ではまだ大きな溝があると伝えられています。カナダのトルドー首相も、「適
切な取引」を結ぶという目標を犠牲にすることはないと述べてはいるものの、週内の
合意を目指して取り組んでいることを明らかにしています。(ブルームバーグ)
4-6月期米GDP改定値が発表されました。速報値の「4.1%」から上方修正され、
2014年第3四半期以来の高い伸びとなる「4.2%」でした。個人消費の伸びは予
想を下回ったものの、知的財産投資が大きく伸び、全体を牽引した格好です。
これらを材料に好調な米株式市場はさらに買われ、これで4日続伸です。S&P500
とナスダックは最高値を更新し、ダウも最高値は更新してはいないものの、連日上昇が
続き、最高値更新も視野に入ってきたようです。
米長期金利も、先週2.81%台まで低下しましたが、ジリジリと上昇に転じ、昨日は
2.88%台半ばまで金利高が戻ってきました。
懸念された「逆イールドカーブ」も、やや遠のいた状況です。活況な株式市場に比べ、
ドル円は盛り上がりません。それでも昨日のNYでの動きは、今後の変動率の上昇を予
感させるようなところもありました。
来週からは9月です。米中貿易問題も、米国が第3弾の追加関税引き上げを発動させる
可能性が高まっており、中国側の出方がさらに注目されます。また9月開催のFOMC
では利上げが確実視されており、国内に目を向ければ自民党総裁選も20日に予定され
ています。ドル円も今のような「だんまり」を決め込むわけにはいかないでしょう。
本日の予想レンジは111円30銭~112円程度とします。

- [2018/08/30 08:50]
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ドル円水準変わらず111円台前半
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は前日と同じような展開が続き、111円を割り込んだものの
勢いはなく反発。8月の消費者信頼感指数が予想を大きく上回った
ことや、米長期金利が上昇したことで111円24銭までドルが上昇。 - ユーロドルはさらに水準を切り上げ、1.1734まで買われ、
約1カ月ぶりのユーロ高水準をつける。 - 米国株は上昇の勢いは衰えたものの主要3指数ともに揃って続伸。
メキシコとの貿易協定の合意や、経済指標の上振れが支援材料となり、
ダウは14ドル高。S&P500は3日連続で最高値を更新。 - 債券相場は続落。消費者信頼感指数が2000年以来の高水準だった
ことで売られた。長期金利は2.88%台まで上昇。 - 金と原油は揃って反落。
- 6月ケース・シラ-住宅価格指数 → 6.3%
- 8月消費者信頼感指数 → 133.4
- 8月リッチモンド連銀製造業指数 → 24
本日の注目イベント
- 独 独9月GFK消費者信頼感
- 米 4-6月GDP(改定値)
- 米 7月中古住宅販売件数成約指数
ドル円は前日と同じような展開が続き、111円を割り込んでも直ぐに切り返して、結局昨日と同じ水準で戻って来ました。午前中は、貿易や為替操作を巡る米当局者の発言を受けてドルは軟調に推移していましたが、その後、8月の消費者信頼感指数が「133.4」と発表されたことで、ドルは徐々に上昇に転じました。同指数は2000年以来となる高水準を記録しましたが、好調な個人消費に支えられ、ドルが堅調な理由の一つになっています。
消費者信頼感指数が予想を上回ったことで、このところ低下傾向だった米10年債利回りも上昇し、こちらは2週間ぶりに2.88%台まで上昇し、ドルを支えています。米中貿易問題では一向に解決の糸口が見えず、このままでは2000億ドル(約22兆円)の制裁関税第3弾も発動される可能性が高まっています。また米朝問題でも、ポンペオ国務長官の訪朝が突然中止されるなど、ややリスク回避を促す材料も溜まってきました。それでもドル円が堅調に推移しているのは、上述のように、米経済の好調さであり、日米金利差が縮小しないことにあるようです。
米中貿易問題の交渉を巡って、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は昨日FOXテレビとのインタビューで、「ノーとばかり言う人は交渉できない」、「中国から肯定な言葉は聞いたことがない」などと述べ、中国との協議では全く成果がないと述べています。
貿易問題では、メキシコとの間で新たな貿易協定を締結し、カナダに圧力をかけています。トランプ大統領は「カナダとも協議するが、自動車に関税を課すことになるのか、ディールを結ぶのかどちらかだ」と語っており、カナダは選択を迫られている状況
です。
ユーロの戻しが予想以上に進んでいる印象です。ユーロドルは昨日、1.1734まで買われ、直近安値から既に400ポイント以上
値を戻しています。またユーロ円も124円台後半から一方的に上昇し、昨日は130円台前半までユーロ高が進んでいます。ドイツの経済指標が好転してきてはいますが、いずれもショートカバーが主因だと思われます。ユーロの難しいところは、一旦トレンドが出ると、予想以上にその傾向が続いてしまうところです。上昇する時も、下落する時もその傾向が強く、ドル円と同じような感覚で
取り引きを行っていると、損失が急速に膨らむことがあるので注意が必要です。
本日は、米GDP改定値以外は重要な経済指標はありません。ドル円はストレスの溜まる展開が続いていますが、いましばらくは我慢が必要です。本日のレンジは110円70銭~111円50銭程度を予想します。

- [2018/08/29 10:31]
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ユーロドル1.16台後半まで反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はこの日も小動き。111円を挟む水準で一進一退。米国が
メキシコとの間で貿易協定を締結するとの報道でドル売りが強まり、
110円95銭までドルが売られたが勢いはなく、111円台に押し戻され
て引ける。 - ユーロドルは続伸し、1.17手前までユーロ高が進む。独ifo景況感
指数が予想を上回ったことがユーロ買いにつながった。 - 株式市場は米国がメキシコとの貿易協定締結を発表したことを好感し
大幅に続伸。ダウは259ドル上昇し、2万6000ドルの大台に乗せ、ナスダックは
初の8000ポイント達成。S&P500も連日で最高値を更新。 - 債券相場は反落。長期金利は2.85%台まで上昇し、2.84%台で引ける。
- 金は続伸。原油価格も小幅ながら続伸。
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏7月マネーサプライ
- 米 6月ケース・シラ-住宅価格指数
- 米 8月消費者信頼感指数
- 米 8月リッチモンド連銀製造業指数
トランプ大統領は昨日、急遽ホワイトハウスの大統領執務室でメキシコとの間で新たな貿易協定に署名すると発表しました。大統領はNAFTA(北米自由貿易協定)という名称は印象が悪いとして、新たな協定にはNAFTAの名称は用いないと発言し、「米メキシコ貿易協定と呼ぶことにする」とし、NAFTAには「悪い意味合いがある。米国が何年にもわたってNAFTAにひどく痛めつけられたためだ」と説明しています。(ブルームバーグ)
ドル円は、この発表後にやや売られ、111円を割り込んでいますが、大きな動きはなかったようです。この発表に反応したのは株式市場でした。ダウは259ドル上昇し、2万6000ドルの大台を回復し、ナスダックは初の8000ポイントに乗せました。また前日史上最高値を更新したS&P500はこの日も上昇し、連日の最高値更新でした。先週末のパウエルFRB議長の講演では、利上げを急がないとの発言があり、市場には、利上げ政策の停止も近いのではとの観測が広がったことも株価に有利に働いているようです。
ドル円は、先週末には111円台半ばまでドル高が進みましたが、今回も今のところレジスタンスゾーンである111円台半ばは抜け切れずに110円台後半まで落ちてきました。なかなか明確な方向性が見つけられずに、やりにくい相場展開が続いています。110-112円のレンジ内取り引きと割り切って、「逆張り」も有効なのかもしれませんが、このレンジが何かをきっかけに上下に大きく抜けることもないとは言えません。そのため、レンジの外ではストップを入れておく必要があります。
最近のドル円の動きは、「有事の円買いではなく、有事のドル買い」に傾いています。昨日も、米国がNAFTAに変わる新しい貿易協定をメキシコとの間で結んだことがドル売り円買いにつながっていました。この流れがどこまで続くのか、今後も注意して見ていく必要があります。本日のドル円は110円70銭~111円50銭程度を予想します。

- [2018/08/28 09:41]
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パウエル講演で、株高、債券高進む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
今後の緩やかな利上げを維持しながらも、利上げを急がない
姿勢を見せたことで、ドル円は若干売られ、111円10銭を付ける。
ドルの高値は111円45銭。
ユーロドルの上昇に伴い、ユーロ円も129円台半ばまで買われ、
2週間ぶりの高値を記録。
ダウは133ドル上昇し高値に迫り、S&P500は17ポイント
上昇し、今年1月以来となる最高値を更新。
債券価格は上昇。長期金利は2.81%台に低下。
本日の注目イベント
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演は、「ハト派的」と受け止められ、
ドル円は講演後やや売られましたが、それでも111円台はしっかり維持していま
す。講演で議長は「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」
と述べ、「利上げを急げば景気後退のリスクを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱
を招く」と指摘。さらに、物価上昇については「2%を超えて加速する明確な兆し
はみえず、加熱するリスクの高まりもない」と述べています。
この発言から一部には、FRBは2019年にも利上げ路線を停止するのではない
かとの見方が浮上しています。今回ジャクソンホールのシンポジュームに参加した
ダラス連銀のカプラン総裁も、「あと3、4回の追加利上げは適切だが、その後は
いったん離れて、さまざまな経済指標を点検すべきだ」と語っています。
(ブルームバーグ)
FRBの政策金利であるFF金利の誘導目標は現在、1.75%~2.00%で、
仮に、9月に利上げを断行しても2.00%~2.25%になります。
かつて、この政策金利は8%だったこともあり、カプラン総裁の予想に従えば、
2.75%~3.00%で、政策金利は一旦落ち着くことになり、ドルにとって
は買い材料の一つがなくなることにもなります。
見方によっては今回のパウエル議長の発言は、先週のトランプ大統領の圧力を考
慮した発言だったと捉える向きもあるようですが、「利上げは嬉しくない」と発
言する以前から市場には、FF金利の適正水準は過去の水準に比べて、かなり低
く留まるといった見方もありました。今回の発言の趣旨が、パウエル議長がトラ
ンプ氏を「忖度」した結果であるとは思えませんが、この講演を受けて、米国株
は急伸し、S&P500は史上最高値を更新し、ダウも再び最高値に迫ってくる
など、株価は堅調に推移しています。
債券市場でも、債券が買われ、長期金利も3%から緩やかな低下傾向を見せてい
ます。先週末の長期金利は2.81%台まで低下し、一方で政策金利の影響を受
けやすい2年もの金利は上昇し、2年と10年の金利差はさらに縮小して、20
bp程度にまでなって来ました。
イールドカーブの長短逆転が起これば、過去の事例では景気の後退を示しており、
今後そう遠くない時期に米景気がピークアウトすることも予想されます。
ドル円は111円台で堅調に推移しています。上記、「ハト派的」な発言もあり、
さらには今週予定されていたポンペオ国務長官の訪朝が突然中止されたことも、
円買い材料になりますが、今の所大きな影響はないようです。
今回の突然の中止は、「朝鮮半島の非核化が十分な進展が見られないと感じてい
る」ことを理由に、トランプ大統領がポンペオ氏に求めたものとされていますが、
一方で「金正恩委員長との再会を楽しみにしている」ともツイートしています。
ドル円は111円台をしっかりとキープしていますが、111円台半ば前後が
抜け切れない展開が続いています。テクニカルでも、一目均衡表の「雲の上限」
(日足)が111円60銭前後にあり、これが意識されている面もあろうかと思
います。やはり111円80銭辺りが抜けるかどうかが、今後の展開にとっても
重要だと思われます。
本日は、先ずは111円台が維持されるかどうかと、上値は上記111円50銭~
111円80銭辺りのレジスタンスゾーンを抜けるかどうかが焦点になります。
予想レンンジは110円80銭~111円70銭程度を見ています。

- [2018/08/27 08:54]
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ドル円続伸し111円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続伸し、111円32銭までドル高が進む。豪ドル/米ドルで
米ドルが買われたことや、今夜のパウエルFRB議長の講演も「タカ派的」に
落ち着くとの見方が広がりドルを押し上げた。 - ユーロドルは1.15台でもみ合い。1.16台に近付くと高値警戒感も
出て、上値を抑えた。 - 株式市場は続落。米中間の貿易対立に緩和の兆しが見えない
ことを嫌気し、ダウは76ドル下げる。 - 債券相場は引き続き小動き。前日比やや軟調だったことで、
長期金利は小幅に上昇。 - 金と原油は小幅に反落。
- 新規失業保険申請件数 → 21.0万件
- 6月FHFA住宅価格指数 → 0.2%
- 7月新築住宅販売件数 → 62.7万件
本日の注目イベント
- 日 7月消費者物価指数
- 独 独4-6月期GDP(改定値)
- 米 7月耐久財受注
- 米 パウエル・FRB議長講演(ジャクソンホール)
今週火曜日には、2カ月ぶりに110円を割り込み、一時109円77銭までドル安が進みましたが、その後は現在まで一度も109円台を覗くことはなく、昨日のNYでは111円32銭までドルが買い戻されています。再び元の鞘に戻ったドルですが、「底堅い」という印象です。個人的には、一時的とはいえ、110円を割り込んだ意味合いは大きいと考えていましたが、どうやらそれは「杞憂」に終わる気配になってきました。
昨日のドル高の背景は、オーストラリアのタンブル首相に辞任圧力が高まり、豪ドルが対米ドルで大きく売られたことで、ドル高の流れがドル円にも波及した形でした。さらに今夜のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を巡って、ダラス連銀のカプラン総裁は「われわれの仕事は、政治的影響に関係なく、金融政策と監督に関する決定を下すことだ。それを続けていくと私は確信する」と述べ、今週トランプ大統領がFRBの利上げ政策に「不満」を述べたことで、議長の講演内容にも圧力がかかるのではないかとする市場の懸念を一蹴しました。さらにカプラン総裁は「私がそうすべきと思うように当局が金利を中立水準に引き上げるなら、向こう9カ月から12カ月で、3-4回の利上げが必要になるという意味だと思う」(ブルームバーグ)とも語り、今後も緩やかな利上げスタンスは変わらないことに改めて言及した形になりました。
トランプ大統領自身が指名したパウエルFRB議長が、意に反して利上げを続けていることに「嬉しくない」と述べ、異例の批判をしたこともあり、今夜の議長の講演内容が注目されていましたが、今回のカプラン総裁の「援護射撃」で、トランプ大統領に対する「忖度」は最早考えられないと思います。もっとも、カプラン総裁の発言がなくても、FRBの独立性が揺るぐことはなく、パウエル議長は毅然とした姿勢を示すものと予想していました。
ワシントンでは米中通商協議が行われている中、両国は関税引き上げ合戦第2弾となる、160億ドル(約1兆8000億円)の関税引き上げを発動しました。通商協議からは現時点では成果は見られず、出口の見えない貿易戦争へと突入しそうな気配です。昨日のホワイトハウスでの会議でも、トランプ大統領は「米国は長い間中国に対して甘すぎた」と述べ、強硬姿勢を崩していません。
このままいけば2000億ドルという大規模な追加関税も来月9日以降には発動される可能性が高まってきました。貿易戦争に勝者がいないのは事実ですが、足元の米中貿易の実態を見ると、このままエスカレートすれば、中国に不利なことは明らかです。これがトランプ氏の強気姿勢の背景の一つになっていると見られますが、それだけにこれ以上の悪化を避けるには、中国側の譲歩が不可欠と言えます。
今週最後のレポートもトランプ大統領に関する記事で終わりたいと思います。トランプ氏はFOXテレビとのインタビューで、自身が議会に弾劾される理由は見当たらないとしながらも、「もし自分が弾劾されるようなことになれば、(株式)市場は崩壊すると思う。国民全員が非常に貧しくなる。弾劾されなければその逆の、信じられないような数字が実現するのだから」と述べています。(ブルームバーグ)皆さんはこの発言を聞いてどのように感じるでしょうか?
ドル円は元の水準に戻っては来ましたが、今後上昇するには、ここからが正念場です。これまでにも述べてきたように、111円半ばを中心に上下30銭がレジスタンスゾーンになっています。今夜のパウエル講演でこの水準を上抜けできるのかどうかが、非常に興味深いところです。
予想レンジは110円70銭~111円70銭程度とします。

- [2018/08/24 09:50]
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ユーロ円128円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は110円台で一進一退。トランプ大統領の政治的リスクが
意識され売られる場面があったものの、FOMC議事録では、今後の利上げ
スタンスが確認されたことでドルはしっかり。110円62銭まで上昇したが
取り引きは不活発だった。 - ユーロドルは引き続き堅調に推移。1.1623までユーロ高が進む。
- 株式市場はまちまち。ダウは5日ぶりに反落したが、ナスダックは
続伸。FOMCで利上げペースに変更がないことが示されたことが重石に。 - 債券価格は上昇。10年債利回りは小幅に低下し、2.82%近辺に。
- 金は4日続伸。原油は在庫が大幅に減少していたことで2ドルを
超える上昇に。 - 7月中古住宅販売件数 → 534万件
本日の注目イベント
- 独 独8月製造業PMI(速報値)
- 独 独8月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏8月消費者信頼感(速報値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 6月FHFA住宅価格指数
- 米 7月新築住宅販売件数
ドル円は、トランプ大統領の個人弁護士を努めていたマイケル・コーエン被告が有罪答弁を行ったことで、トランプ政権の政治的リスクが意識されドルが売られる場面がありました。ただ、それでも110円台前半で下げ止まり、その後は公表されたFOMC議事録で今後の利上げペースが変わらないことが示唆されたことを材料に110円62銭までドルが買われましたが、上値の方も限定的な1日でした。
議事録では、「入手するデータが引き続き現在の経済見通しを支えれば、政策緩和をもう一歩解除するのが近く適切になる可能性が高いことを多くの参加者が示唆した」と記されています。また議事録では、「声明での金融スタンスに関する委員会の表現を見直すことがそう遠くない将来に適切になる可能性が高い」と述べ、政策スタンスを緩和的と表現するのは、「かなり近いうちに適切でなくなる」と予想しています。そして、足元の貿易問題についても「現在の貿易面での対立や提案されている貿易関連措置について、不確実性ならびにリスクの重要な要素だと全参加者が指摘した」とあります。(ブルームバーグ)これまでも、保護貿易問題を懸念する文言が記されたことはありましたが、「全参加者」という文言が使われたことはなく、FOMCメンバーの多くがトランプ政権の通商政策の行方に懸念を抱いていることが理解できます。これで、明日のジャクソンホールで行われるパウエルFRB議長の講演でも、貿易問題に触れる可能性が出てきたと考えます。
昨日から行われている米中事務レベルでの通商協議では、これまでに特段成果は出ていないようです。ホワイトハウスのサンダース報道官も「特段成果はない」と述べています。既に日本時間23日の午前0時1分に米中が同時に160億ドル(約1兆8000億円)の関税引き上げを発動しています。協議では中国側は米国から追加関税措置を取り下げることを条件に、農産物やエネルギーの輸入拡大を提示すると見られていますが、米国側もそう簡単には条件を受け入れない姿勢を示すと予想されます。
結局今回の2日間の協議では両国の溝は埋まらず、焦点はこの次の2000億ドル規模の追加関税が実施されるのかどうかに移ってきます。2000億ドルの追加関税案については、20日から6日間の日程で公聴会が開かれています。ブルームバーグによれば、パブリックコメント期間が終了する9月6日以降に実施される可能性があるとの見方を伝えています。既に500億ドル相当の関税引き上げが実施されていますが、中国としても2000億ドル相当の関税引き上げは何としても回避したいところ。トランプ大統領と習近平主席とのトップ会談実現の可能性も模索されているようですが、日程的に間に合いそうもありません。相手がトランプ氏だけに、このまま行けば実施してくる可能性は高く、中国側がどのような譲歩案を提示してくるのか、注目したいと思います。
110円台半ばで戻ってきたドル円は、東京時間では109円台も111円台もなさそうです。2日前に109円台まで下落した後は、110円台で一進一退の動きが続いていますが、クロス円が戻り基調になっているのが、これまでとはやや異なる変化です。クロス円の買いは、ドル円のサポート材料になります。本日のレンジは110円10銭~110円90銭程度を予想します。

- [2018/08/23 09:32]
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ユーロドル買い戻され1.16台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
反発し、110円55銭まで上昇。その後、トランプ大統領の中国とEUが
為替操作を行っているとの発言が材料視され、110円15銭まで反落。
まで反発。トランプ大統領の為替操作を行っているとの発言がユーロ
買い戻しにつながった。
上昇、S&P500も取引時間内に最高値を更新。
本日の注目イベント
昨日の東京時間にドル円は109円77銭前後まで売られ、約2カ月ぶりに110円割れを
示現しました。トランプ大統領がロイター通信とのインタビューで、利上げに対する「不満」
を表明したことで、来月のFOMCでの利上げは揺るがないものの、それ以降の利上げス
タンスに影響が出るのではないかといった懸念が強まったことが背景でした。
ただ、昨日の午後からは再び110円台を回復し、NY市場では朝方に110円55銭までド
ル買いが進みましたが、上値は重く、110円台前半で折り返してきました。
今回の109円台での滞空時間は短かったですが、今後の米中貿易問題やトルコへの追
加制裁を考えると、まだドル円の上値は重いと考えざるを得ません。本日からワシントンで
実務者レベルの米中通商協議が再開されますが、これについてもトランプ氏は「多くの進展
を期待していない」と述べ、貿易戦争に「期限はない」と語っており、「貿易問題に対するトラ
ンプ大統領の強い意志を侮るべきではない」とロス商務長官が述べていたように、トランプ氏
が強気の姿勢を崩すことはないと予想されます。協議は明日まで行われることになっていま
すが、この協議から両国が貿易戦争回避への糸口をまったく見出せないようだと、市場は再
びドル売りで反応する可能性があります。協議に関する情報には注意したいところです。
ドル円は109円77銭前後で下げ止まりましたが、これは「週足」の「120週線」に支えら
れた格好になっています。
一方でその後の上昇は「1時間足」の雲の下限で抑えられ、現在はその雲に沿って上値を徐
々に切り下げてきているところです。「週足」では長期の「三角保ち合い」(さんかくもちあい)
を下抜けしており、チャートからは下げを示唆しているように見えます。それでも『雲の形』を
見ると、細長く、余り明確な方向性は掴めません。
110~113円のレンジをやや下方にシフトし、110円を挟んだレンジに移行する途中かも
しれませんが、もうしばらくは動きを注意深く見極める必要があります。
本日は7月のFOMC議事録が公表される他、それほど重要な指標もありません。日中は、
日本株の動きに左右される展開でしょう。好調な米国株に比べ、日本株の動きは冴えませ
ん。為替がやや円高に振れているとしても、企業の想定レートをかなり上回っています。
第1四半期決算でも、多くの企業は「増収増益」でした。日本株の動きはなかなか理解でき
ません。
本日のレンジは109円70銭~110円60銭程度を予想します。

- [2018/08/22 09:04]
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ドル円早朝に110円を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
FRB議長に対して不満を漏らし、政策金利引き上げに批判的だと伝えたことで
ドル売りが加速。一時は110円02銭まで円高が進み、この日の安値圏で引ける。
ドル売りが優勢だったことで、ユーロドルも反発。ユーロドルは1.1485
まで買い戻される。
ベネズエラ政府は、急激なインフレに対応するため、同国の
通貨ボリバルの通貨単位を5ケタ切り下げるデノミを実施。
3日続伸し、2万5700ドル台を回復。
ポジションは将来の痛みにつながる可能性があると指摘したことが
材料視された、長期金利は2.81%台まで低下。
本日の注目イベント
今朝も話題の中心はやはり「トランプ大統領」です。
昨日のNY市場では、特に重要な経済指標の発表も無く、大きな動きはないと
予想していましたが、ドル円は一時110円02銭まで円高が進み、今月13
日に記録した直近のドル安値である110円11銭を若干ですが、下回ってい
ます。トランプ大統領が、自身が指名したパウエルFRB議長に不満を抱き、
低金利期待が外れた、と共和党支持者に不満を漏らしていることをブルームバ
ーグが伝えました。
ブルームバーグの記事によると、トランプ大統領は、パウエル議長について、
低金利政策を取ると見込んでいたが逆に金利を引き上げていると、NY州の
ハンプトン地区で開かれた資金集めのイベントで共和党支持者に不満を漏らし
たとあります。トランプ大統領はこれまでも、最近の利上げについて公に不満
を漏らしてはいますが、「今回の非公開のイベントでの発言は、パウエル議長
に対する最も直接的な批判にあたる」と、ブルームバーグは論じています。
ホワイトハウスのギドリー報道官は、「非公開イベントでの発言だ」としてコ
メントを控えていると同記事は伝えています。
トランプ氏の本日の登場はこれだけではありません。
貿易問題で対立している中国とEUに対して、為替操作をしていると非難して
います。
ロイター通信は20日、トランプ大統領とのインタビューで、「私は中国が為
替操作をしているのは間違いないと思う。ユーロも操作されていると見ている」
と述べたと報じています。
さらにトランプ氏はトルコに関しても言及しています。
トランプ大統領は、米国人牧師の釈放を実現するためにトルコに「譲歩するこ
とはない」と言明するとともに、米国の報復関税が欧州経済に打撃を与えるこ
とを懸念していないと発言したと、こちらもロイター通信が伝えています。
まさに「カラスが鳴かない日はあっても、トランプ大統領が本欄に登場しない
日はない」状況です。
今週の市場の眼は、明日から始まる米中次官級通商協議の行方と、トルコに対
する追加制裁の発動、そして今週末のジャクソンンホールでのパウエル議長の
講演です。
上でも述べたように、トランプ氏は露骨に自身が指名したパウエル議長の金融
政策を批判しています。
9月のFOMCでの利上げは先ず間違いないと思われますが、その後の利上げ
に対するニュアンスがどのようになるのか、注目されます。
トランプ氏が中央銀行の独立性に介入するとすれば、これは暴挙で、トルコの
エルドアン大統領と何ら変わりません。まさか世界で最も金融秩序が守られて
いる米国で、金融政策が国のトップの影響を受けるとは思えませんが、週末の
講演には注目したいと思います。
ドル円は朝方の取り引きでついに110円を割り込み、109円台後半に突入
しています。
先週にもこの欄で、ドル円を取り巻く環境を見ると、「円高材料」の方が多い
と述べてきました。
110円割れは、6月下旬以来約2カ月ぶりのことです。
110円割れは非常に重要な意味合いを持つと考えています。
輸出企業の想定レートは概ね105~107円程度ですが、110円を割り込
んだことで、早めの予約を取る動きも出てくるでしょう。これは、ドルの戻り
を抑える要因になります。注目すべきは、「日足」で、雲を下抜けし、さらに
MACDでも「マイナス圏」に沈んできたという事実です。
トレンドが変わってきたという意味で、この点には注意が必要です。
本日のレンジは109円50銭~110円40銭程度を予想します。

- [2018/08/21 09:01]
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ドル円110円台半ばで推移
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
長期金利の低下に、110円32銭までドル安が進み、110円半ばで
越週。
が優勢となり、1.1445まで上昇。
可能性があり、貿易問題改善への期待から、ダウは110ドル上昇。
2万5669ドル台に乗せ、2月以来の高値に。
は上昇分を削る。長期金利は2.86%台で推移。
本日の注目イベント
先週前半までは111円を挟む展開を見せていたドル円は、110円台で推移し、
やや上値が切り下がってき来た印象です。「トルコショック」をきっかに、ユー
ロなども売られ、主要通貨に対して円が全面高になるなど、クロス円売りがドル
円の上値を押し下げたように思います。
一方で110円も底堅く、先週は110円11銭近辺までドル売りが進みました
が、110円割れには至っていません。
結局、110-113円のレンジは維持されており、足元の動きはその下限をテ
ストしている状況です。
米中貿易問題では、お互い譲歩する気配はなく、焦点は来月米国が2000億ド
ル(約22兆1000億円)の追加関税発動に踏み切るのかどうかという点で、
現時点ではその可能性が高い状況です。そこに、米中首脳会談実現の可能性が出
て来ました。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、貿易問題での行き詰まりを打
開するため、両国の当局者は交渉の工程表をまとめようとしており、最終的には
11月の多国間首脳会議でトランプ大統領と習近平国家主席の会談を実現させる
ことを視野に進めていると、両国の当局者の話として伝えています。
(ブルームバーグ)
今週22日からは米中次官級の通商協議がワシントンで行われるとの報道が先週
あり、先行きが見えない米中貿易問題の、解決の糸口になればとの期待がありま
したが、両国首脳が直接対話の場を持つことになれば、さらに期待値が高まりま
す。同時に今週22日には、米中それぞれが160億ドル(約1兆7700億円)
相当の関税引き上げが発動されます。
市場もここまでは織り込んでいると思われ、先ずは次官級の協議で、関税報復合
戦がさらにエスカレートする事態を回避する道筋が見い出せるのかどうかが焦点
になります。
今週はこのように、米中貿易問題の行方が最大の注目点ですが、同じく22日に
は毎年恒例の『ジャクソンホールでのシンポジューム』も開催されます。
このシンポジュームは、カンザスシティー連銀が毎年主催するもので、
世界中から多くの中銀総裁や企業のトップ、経済学者などが集うことで有名です
が、今回もパウエルFRB議長の講演が予定されています。
9月のFOMCでは、今年3回目となる利上げが有力視されていますが、米中貿
易問題の拡大や、トルコなどの新興国通貨の急落など、利上げにはアゲンストの
風がふいている現状に対して、議長がどのような認識を持っているのかが確認で
きるかもしれません。講演は24日(金)に行われる予定です。
本日は110円台半ばを中心に、小動きになるものと思われます。
レンジは110円20銭~110円90銭程度を予想します。

- [2018/08/20 08:59]
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NYダウ400ドルに迫る上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
米中貿易問題で対話の場が持たれるとの報道でドル円は
反発。111円12銭までドル高が進み、その後やや押され、
110円80-90で銭引ける。
1.14台まで買い戻しが優勢に。トルコ情勢がやや好転したことで
対円でも買い戻しが進んだ。
再開を好感し、ダウは400ドルに迫る上昇を記録。他の主要株価指数も
軒並み上昇し、ほぼ全面高で取り引きを終える。
2.866%程度で推移。
1184ドル前後まで値を戻す。原油価格は反発。
本日の注目イベント
昨日の東京の朝方には日経平均株価が300円を超える下げを見せ、ドル円も
歩調を合わせるかのように、110円46銭前後まで円高が進みました。
ところがその直後に、「中国商務次官が月内に通商協議のため訪米する」と
ブルームバーグが一報を伝えると、ドル円は110円台後半までドル買いが進
み、株価は一時プラスに転じました。
米中貿易問題の行方が如何に市場に大きな影響を与えているのかが分かる瞬間
でした。
NY市場でもこのニュースが好感され、ダウは400ドル近い上昇を記録し、ほ
ぼ全面高の展開でした。ただその割にはドル円の上昇は111円12銭止まりで、
物足りない印象です。
トルコに対する支援を、中東オマーンが申し出たのに加え、昨日はドイツの援助の
報道もありましたが、トランプ政権の強気の姿勢は変わらず、ムニューシン財務長
官は「トルコが(米牧師を)即時釈放しない場合、さらなる制裁を計画している」
と述べています。
中国商務省がウェブサイトで掲載した声明によると、王次官率いる中国代表団は米
国の招請に応じ、マルパス財務次官ら米当局者と会談するとあります。
また協議の日程は今月22日と23日に予定されているとウォール・ストリート・
ジャーナル(WSJ)は伝えています。(ブルームバーグ)
米中貿易戦争は、両国が相手国製品に対してそれぞれ500億ドル(約5兆500
0億円)の関税をかけるところまでエスカレートしています。
さらに米国は2000億ドル(約22兆円)の追加関税を検討しており、その内容
も発表しており、中国側もそれに対する報復措置を検討している状況で、終息の道
筋が見えません。
トランプ大統領が振り上げた刀を納める可能性は低く、結局中国側が何らかの譲歩
案を示すしかありません。
これに関してクドロー国家経済会議(NEC)委員長は16日、「中国が代表団を
送ってくることは良いことだ。しばらく、こういったことはなかった」と語り、
「知的財産権侵害と技術の移転強要の阻止を図り、関税と非関税障壁、割り当ての
撤廃を目指すこの戦いを続けるトランプ大統領のタフさと意志を、中国当局は決し
て侮るべきではない」(ブルームバーグ)と、通商協議再開を歓迎しながらも、釘
を刺しています。
この協議で、中国側が米国をある程度納得させる、具体的な方策を示すことができ
るのかが焦点ですが、協議が平行線で終わることも頭にいれておくべきでしょう。
中国銀行のアナリストも、「予断を許さないだろう。仮に高官クラスが合意に達し
たとしても、トランプ大統領がひっくり返す可能性があり、合意内容が変わり得る」
と述べています。
ドル円はほぼ昨日の予想した上限で止まりました。
110円がかなりしっかりしているものの、111円台半ばから上下30銭程度の
エリアが重くなっているのも事実です。
材料的にはまだ円高に振れる材料の方が多いと思われます。それでもドル円が思っ
たほど下げないのは、先月の日銀金融会合でまだしばらく超低金利政策が継続され
ることが確認されたことで、日米金利差に着目した「円キャリー取り引き」が行わ
れていることが指摘されます。
米長期金利は3%台がなかなか定着しないとは言え、足元でも2.8~2.9%
程度で推移しており、かつての「高金利通貨の代表」であった、豪ドル、NZドル
に比べても魅力的です。
加えて、今回の「トルコショック」に代表されるように、「あまり高金利過ぎても」
新興国通貨特有の流動性の問題もあります。
「それならば、米ドルでも」といったところかもしれません。
本日は米国株の大幅高を受けて、日本株も200~300円程度の上昇を見込んで
いますが、ドル円も底堅い動きが予想されます。
レンジとしては、110円50銭~111円50銭程度と見ています。

- [2018/08/17 09:08]
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ユーロ円125円割れまで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
さらに悪化するとの見方からドル円は110円44銭前後まで下落。
その後株価がマイナス幅を縮小したことで、110円70-80銭
近辺までドルの買い戻しが進む。
ユーロ安が進む。ユーロは対円でも125円を割り込む。
ダウは一時300ドルを超える下落幅を記録したが、トルコが米国との
対話にやや柔軟な姿勢を見せたことで下げ幅を縮小。ダウは前日比
137ドル下げ、他の主要株価指数も揃って下落。
まで低下。
売られ、前日比2.03ドル下げる。
本日の注目イベント
米国は対中国だけではなく、対トルコとの関係も泥沼化しそうな勢いです。
トランプ政権がトルコ産の鉄鋼・アルミニウムに対して関税を引き上げたことに
対して、トルコは一歩も引かず報復措置を発表しました。22品目の関税引き上
げを発表し、コメに50%、アルコール飲料に140%、乗用車や他の自動車に
120%、さらに化粧品に対しても60%の関税をかけることを決めました。
この報道を受け、ドル円は再び110円41銭前後まで売られ、NYダウも一時
は300ドルを超える下落を見せ、2万5000ドルの大台を割り込む場面もあ
りました。
ただその後、トルコは、米国からの脅しがなければ、話し合う用意があると、
ロイター通信が伝えたことから、株価が下落幅を縮小し、結局ダウは前日比13
7ドル安で取り引きを終えています。ドル円も歩調を合わせるように、110円
70-80銭近辺まで値を戻しています。
これ事体は米国への影響はそれ程大きいとは思えませんが、今後中国やロシアと
歩調を合わせ、「アメリカ包囲網」につながる可能性は懸念されます。
実際トルコは米国との関係を清算し、他の同盟国を探しているとも報じられてい
ます。
昨日もこの欄で111円台半ば前後が重くなって来たと述べましたが、昨日は米
長期金利が約1カ月ぶりの低水準となる、2.86%台まで低下し、ドルの上値を
抑える役割を演じています。さらに昨日は金利の低下だけではなく、金も売られ、
こちらも一時は1年7カ月ぶりの安値に沈んでいます。
また原油も大幅に売られ、前日比2ドルを超える下げを記録しました。
ドルが大幅に買われたのであれば、このような動きも理解できますが、円は買われ
ています。ドルに対してはユーロの下落が目立った程度でした。あえて言えば、
「ドル高、円高」が進んだ状況です。米国の孤立感がさらに強まったことで、リス
ク回避の円買いが強まる一方、「米国の一人勝ち」が、ユーロも含めた上記商品の
下落にもつながったと考えられます。
ドル円は現時点では依然として110-113円のレンジ内で推移しており、足元
ではレンジの下限を試していると見られます。
それでも今週は110円11銭前後までドル売りが進みましたが、110円割れに
は至っていません。
しかし、ドル円ではそれ程円高が進んではいませんが、ユーロ円などのクロス円を
良く見ると景色がやや異なります。
ポンド円は140円台を割り込み、1年ぶりの水準まで円高が進んでいます。
また豪ドル円の80円台割れも、実に2016年11月以来の水準です。
このように、クロス円の売りがじわじわと進んでおり、これがドル円の上値を抑え
ることにもつながっていると見られます。
結局米中の貿易問題に加え、対トルコとの関係悪化も、安全通貨の円を買う動き
を、ゆっくりですが促していると見られます。既にEUやカナダとは制裁関税は発動
されており、今後、ロシアやメキシコとも同じような事態が想定されます。
トランプ大統領はあのような性格であり、途中で刀を引っ込めることは考えられま
せん。
少なくとも11月の中間選挙で、ある程度勝利が見えてくるまでは、強気姿勢を維
持することでしょう。
今後、米国に輸入されるかなりの商品や原材料が値上がりすると予想されます。
インフレ率の上昇は、米利上げ観測の高まりにつながり、ドル高要因ですが、同時
に消費が急即に冷え込むことも考えられ、こちらはすぐにGDPの下振れという形
で表れてきます。
この辺りは今後ともしっかりと見ていく必要があろうかと思います。
本日の予想レンジは110円10銭~111円10銭程度というところでしょうか。

- [2018/08/16 09:37]
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ドル円急反発し111円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
トルコリラの下落が一服し、株価も上昇したことで、111円31銭
までドル高が進む。
ユーロを売る姿勢が優勢。一時は1.1330まで売られ、1年1カ月ぶりの
安値を記録。
6日ぶりに反発。ダウは前日比112ドル上昇し、他の主要指数も揃って上昇。
本日の注目イベント
トルコに端を発した新興国通貨売りの波は一服となりました。トルコリラは
6.85近辺の水準まで買い戻され、市場にはやや安心感が広がっています。
ただ、それでも同国のエルドアン大統領の高姿勢は変わりません。
同大統領は14日、テレビで放映された演説で「トルコに攻撃を仕掛ける者
はコストを支払うことになる」と述べ、米国製の電子機器をボイコットする
と発表しています。
大統領はさらに、「米国にiPhoneがあるなら、他方にはサムスンもある」と
し、トルコにもスマートフォンがあると続けています。(ブルームバーグ)
トルコリラは昨日買い戻され、ここ2営業日で約2割下げた急落は一旦下げ
止まりました。
この日、トルコの主要経済団体が、政府に対して危機収拾を要請し、トルコ
中銀に通貨危機による経済への打撃を抑えるよう働き掛けを強めたことが、
リラ買い戻しを誘ったようですが、エルドアン大統領は米国に対する強気の
姿勢を崩しておらず、トランプ大統領も、トルコへの最新鋭のステルス戦闘
機の売却を凍結したように、さらにトルコに対する圧力を強める可能性もあ
ります。
米中貿易戦争に加え、これまで比較的米国寄りだったトルコとも厳しい関係に
突入しました。トランプ政権のこれら一連の強気外交は、11月の中間選挙ま
では変わらないと予想されます。
ドル円は前日110円目前まで円高が進みましたが、そこから1円以上も円
が売られる展開となり、昨日は111円31銭までドルが買い戻され、また
「元の水準」に戻って来ました。個人的には「上値が重い」と見ていますが、
トルコリラの急落が一服すると、すかさず、良好な米経済に市場の目が移っ
て行くということでしょうか。
チャートの基本である「日足」に目を向けると、確かに、ドル円は下げたと
はいえ、「雲の上」で推移しています。
少なくとも、この「日足チャート」では売りのサインは出ていません。
結局、110-113円のレンジ内での動きが続いていることになりますが、
それでも上記トルコの混乱や米中貿易問題は、いつ円の急騰につながるかわ
かりません。そのため、依然としてドルの戻りを売るスタンスでいいのでは
ないかと考えます。
その水準は、現時点では111円50銭を挟んで上下30銭程度と見ていま
す。
本日のドル円は110円70銭~111円60銭程度を予想します。

- [2018/08/15 08:55]
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ドル円110円台まで売られるも勢いなし
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
までドル安が進む場面があり、NY市場でも110円90銭までドルが売られた。
米中の貿易摩擦が一段とエスカレートしたことや、英国のEU離脱問題で
リスク回避の流れが進んだことが背景。
買われたものの、切り返して1.1574まで売られる。
発動することが発表されたが、影響は軽微。原油価格が大幅に下げたことで、
石油株が売られ、ダウは45ドル安。一方ナスダックは7日続伸。
激化すれば原油消費量も減るとの見通しから大幅安。前日比2.23ドル安の
66.94ドルで引ける。
本日の注目イベント
ドル円はこれまでより若干上値を抑えられている状況です。昨日も朝方の111円35銭
近辺からドルが緩やかに下落し、欧州時間には110円84銭までドル安が進んでいます。
前日よりはやや深押ししましたが、それでも売り方に勢いはなく、懸念材料があるものの、
依然として110-113円の「基本レンジ」は維持していると考えられます。
米国が160億ドル(約1兆7800億円)の追加関税を23日に発動することを受けて、
中国は新たに同額の米国製品を対象に今月23日から25%の報復関税を課すことを発表
しました。
この事態は予想されていたため、市場への影響はありませんでしたが、これにより先にト
ランプ政権が発表した追加関税と同規模な500億ドル相当の関税額にまで膨れ上がって
きました。中国政府は発表文で、中国製品160億ドル相当に25%の追加関税をかける
という米国の決定は「非常に理不尽だ」とし、正当な利益と多国間貿易体制を守るため報
復せざるを得ないと表明しました。この声明文の内容を読むと、米中どちらが、かつての
西側諸国か東側諸国か、判らなくなってきます。
問題はこの後、トランプ政権が現在検討している2000億ドル相当の追加関税までエス
カレートしてしまうのか、そして場合によっては5000億ドルという、中国からの
輸入額全てに高関税を課すところまで行くのかどうかです。2000億ドルの追加関税に
ついては、9月6日の意見公募期間終了後に直ちに発動される可能性もあり、中国側も、
もし同関税が発動された場合、米製品600億ドル相当に関税をかける用意が整っている
と、ブルームバーグは伝えています。「貿易戦争」という名の足音がひたひたと迫って来
ている印象です。
貿易問題ではやや蚊帳の外のイメージの日本ですが、本日からワシントンでは日米閣僚級
の貿易協議が行われます。2017年1月のトランプ政権発足時からの親密な日米関係を
考えれば、「日本は例外的」だとする見方もあるようですが、個人的にはそのようなこと
はないと思っています。
トランプ大統領はかつて、日本はこれまで米国をだましてきて、貿易で甘い汁をすってき
たが、もう 米国はだまされない。といった趣旨の発言をしています。貿易赤字を減らす
ことが趣旨であれば、その最大の品目は自動車です。自動車の輸入問題を除外することは
考えられません。
現在日本から米国へは約170万台の車が輸出されています。さらに、日本の自動車メー
カーはメキシコやカナダからも現地で生産した車を米国に輸出しています。
トランプ政権がこれに手をつけないことはないと思われ、何らかの圧力をかけて来ると予
想されます。足元のドル円がやや軟調なのもこれが重石となっている部分があります。
本日のドル円は110円50銭~111円30銭程度と予想します。
明日10日(金)~14(火)の「アナリストレポート」はお休みとさせていただきます。
ご愛読の皆様にはご迷惑をお掛けしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。

- [2018/08/09 08:56]
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ドル円111円台でのもみ合い続く
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は売り先行で始まり、111円を若干割り込んだものの、
長期金利の上昇を手がかりに反発。111円48銭までドルが反発し、
111円30-40銭で引ける。 - ユーロドルは6日ぶりに反発。前日1.1530まで売られたが
この日はドイツの経常黒字額が拡大したこともあり、買い戻しが
進み、1.1608まで上昇。 - 株式市場は揃って3日続伸。ダウは126ドル上昇し、
2万5600ドル台を回復。S&P500は4日続伸。 - 金は反発し、原油価格は続伸。
- 6月消費者信用残高 → 102億ドル
本日の注目イベント
- 日 7月景気ウオッチャー調査
- 日 6月貿易収支
- 日 6月国際収支
- 中 中国 7月貿易収支
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 加 カナダ6月建設許可件数
昨日のNY市場では朝方、ドル円にやや動きが見られ、111円を割り込む場面がありましたが、直ぐに切り返し、結局前日と同じ水準で戻ってきました。111円台が上にも下にも抜け切れない状況が続いています。
トランプ政権の外交策では、相変わらず孤立化を深め、イラン核合意離脱問題では欧州との関係をさらに悪化させています。その意味では、ドル円でいつ急激な円高が起こってもおかしくはない状況ですが、111円台で極めて安定しています。しかし、もっと安定しているのが、米株式市場です。昨日もダウを始め、主要株価指数は揃って3日続伸しており、ここにはリスク回避の動きはまったく見られません。貿易戦争はリスクではあるけれども、差し迫ったリスクではないということなのでしょうか。
米国のイラン核合意離脱に伴う制裁は、昨日から一部発動されています。第2弾は11月上旬発動予定になっていますが、ここではイランとの石油取引や金融機関との取引も含まれ、かなり広範囲にわたることから、その影響は今回の比ではないと見られています。ボルトン大統領補佐官は、米FOXテレビに対して、「米国が11月にイラン産原油に再び制裁を科す計画で、それ以降も追加制裁を検討している」と述べています。この問題は中東全体の微妙な勢力バランスにも影響を与えるため、今朝の新聞ではシリアやサウジ、さらにはロシアや中国との関係にも影響が出ると伝えています。また、米中貿易戦争では「泥沼化」と言う言葉を引用していましたが、ここでも同じように「泥沼化」という言葉が使われていました。
オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日の政策委員会で、政策金利の据え置きを決めました。これで、現在1.5%の政策金利は約2年間据え置かれたことになります。かつて8%近い政策金利を適用し、「高金利通貨」の代表の1つだった豪ドルに、もはやそのイメージはありません。既に米ドルにも金利で抜かれ、個人投資家も取り引きを手控えている状況です。そのため値動きも極めて安定しており、今年にいたっては、高値と安値の差は僅か4円しかありません。因みに、2016年では約15円もの値幅が観測されています。
本日もドル円は静かでしょう。米国株が続伸したため、日本株も上値を追うものと思われますが、それでもその際に、111円50銭を超えていけるかどうかではないでしょうか。予想レンジは111円~11円70銭程度と見ます。

- [2018/08/08 09:31]
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ポンドドル11ヶ月ぶりの安値に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円でも円売りが優勢に。111円52銭までドル高が進んだが勢いも
なく、111円30-40銭で取引を終える。
までユーロ安が進む。NY市場では1.1537前後が底値だったが、再び
1.15割れをテストする雰囲気に。
英国が無秩序にEU離脱に向かっていると述べたことで、1.2920まで
売られ、約11ヶ月ぶりの安値を付ける。
を好感し、金融セクターなどが買われる。ダウは39ドル上昇し、2万5500ドル
台を回復。
本日の注目イベント
連日この欄には、トランプ大統領の名前が出てきます。
今や、「カラスの鳴かない日はあっても、トランプ大統領の名前の出ない日はない」
という状況です。本日も、まずはそこからです。
トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長による2度目の米朝首脳会談が開催される
可能性が高いと、米CNNのウィル・レプリー氏がツイートしたとブルームバーグ
は伝えています。
可能性は十分あると思います。前回の首脳会談では具体的な成果がなかったと言わ
れ、米政権内からも批判の声が上がっています。トランプ氏とすれば、次回は単な
るセレモニーに終わらせるのではなく、非核化への明確な道筋を確認したいという
意向があります。
一方でトランプ氏は昨日、イラン核合意からの離脱に伴い対イラン制裁の一部を再
開する大統領令に署名しました。この署名によって再開されるのは、イランによる
ドル紙幣購入や金などの貴金属取引、工業用金属の売買に関する制裁です。
これに対してイランのロウハニ大統領は6日のテレビ演説で、米国が「誠実」な態
度を示すならイランは交渉の可能性を排除しないと述べながらも、「制裁を科して
おきながら、交渉を進めるということに何の意味があるのか」と発言し、さらに
「相手にナイフを突きたてながら、『交渉しよう、話し合おう』と言うようなもの
だ。それに対する回答は、まずナイフを突き出すのをやめて、ポケットにしまえと
いうことになる」と述べています。(ブルームバーグ)
ドル円は上値が重いと思われる割には、大きく下げません。
昨日の朝方も111円20銭前後までは売られましたが、そこからゆっくりと切り
返してNY市場では111円台半ばまで反発しています。正直なところ、明確な方
向性は見当たらないといった状況です。
米長期金利も、2度目の3%台を記録したあとは、緩やかに低下しており、3%台
定着は次回へ繰り越されています。
このように考えると、今週は重要イベントがないこともあり、111円台での推移に
終始しそうな雰囲気です。このような時は、「休むも相場」と割り切り、無理をせず
相場を眺めるというスタンスでいいのでしょう。
5銭、10銭を狙いに行って、30銭やられたのでは意味がありません。
本日の予想レンジは111円~111円70銭程度にしたいと思いますが、相場の主
役は引き続きトランプ大統領です。

- [2018/08/07 08:52]
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米経済指標悪化でドル円111円台前半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ISM非製造業景況指数も軟調だった。さらに長期金利も低下
したことで111円11銭まで売られる。
ユーロ圏のPMIが予想を下回ったことがユーロ売りにつながった。
3カ月平均でみれば引き続き好調との見方も。
ダウは136ドル上昇し、S&P500は5週連続で上昇。
本日の注目イベント
-
7月の雇用統計では、失業率が3.9%と、予想通り前月から改善していました。
一方、非農業部門雇用者数は15.7万人と、予想を下回りましたが、6月分と
5月分がそれぞれ上方修正され、その数、合わせて5万9000人でした。
結局、直近3カ月平均で見れば、22万4000人となり、引き続き好調な雇用
環境が続いています。
ブルームバーグは、バークレイズのエコノミストのコメントを紹介しており、そ
れによると、「現時点では、関税を巡る懸念は本当にただの懸念でしかない」、
「企業が雇用や支出の方法を変える兆候はない」と語っています。
この日は、ドル円は売られて111円11銭まで下落しましたが、それでも11
1円台は維持しています。
さらに株価の方はダウは136ドル上昇し、S&P500に至っては、先週プラ
スで終わったことで、5週連続の上昇です。
これらを見る限り確かに米中貿易戦争の影響は微塵も見られません。しかし、週
末には中国が新たな対抗処置を発表し現時点では中国側は一歩も引く構えは見せ
ていません。
中国は3日、米国から輸入する約600億ドル(約6兆7000億円)分の製品
に最大で25%の追加関税をかける報復措置を発表しました。
この措置は、現在トランプ政権が検討している2000億ドルの中国製品に対す
る関税が実施されたら、ただちに発動するとしているものです。米中の報復合戦
は泥沼化し、もしこの両措置が実施されたら、まさに貿易戦争状態と言えるし、
あらたな段階に入ったもと言えるでしょう。
中国側もそうですが、トランプ大統領も一歩も譲る構えは見せておらず、大統領
側近も「中国はトランプ大統領のやり通す決意を侮ってはいけない」(ボンペオ
国務長官)など、過激な発言をしています。
トランプ大統領は5日にもツイートし、「どの国も米国から富を奪いたがってい
て、常にわれわれの不利益となる」とし、「こちらへやってくるなら。それに課
税しろということだ」と発言しました。
このような発言を考えると、トランプ政権は結局最後は自動車問題に焦点を当て
てくる可能性が十分あります。そうなれば、日本も本格的に貿易戦争に巻き込ま
れることになります。最大の懸念事項である米中貿易問題に終息の兆しが全く見
えない中、市場は極めて楽観的なのが気になりますが、「ただの懸念」で終わっ
てくれることを願いたいと思います。
本日のドル円は110円70銭~111円70銭程度を予想します。

- [2018/08/06 09:00]
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BOE0.25%の利上げを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
111円31銭まで下落。その後株価の上昇からドルが買い戻され
111円60-70銭近辺で取引を終える。
2週間ぶりの水準を付ける。
発表直後ポンドは買われたが、景気に対する弱気の見方が継続し
上昇分を吐き出す。
ナスダックは95ポイント上昇し、ダウは朝方下げた分を徐々に
縮小したが、7ドル安で取引を終える。
本日の注目イベント
ドル円は終始111円台での取り引きでしたが、トランプ政権が中国に対する関税を
引き上げることを指示したという報道が意識され、ドルの上値が重い展開でした。
一時は111円31銭までドル安が進みましたが、大きく沈んでいたダウが下げ幅を
縮小したことで、111円70銭近辺まで水準を戻しています。前日3%の大台に乗
せた米長期金利は、結局押し戻され3%を割り込んだ水準で引けています。
今回も3%台定着には至らず、3%台は「1日天下」に終わってしまいました。
トランプ政権は中国からの輸入品2000億ドル(約22兆3600億円)相当に対
して、従来の10%の関税を25%に引き上げることを検討しています。
ロス商務長官は2日、FOXテレビでのインタビューで、「悪い慣行を継続するのは、
改革の実施より強い痛みを中国にもたらすという状況を、われわれは作り出す必要が
ある」と発言し、「そもそも、関税を課す理由は中国に行動を改めるよう働き掛ける
ことが目的だ。だが中国は逆に報復措置に出ている。よって、トランプ大統領は、中
国に行動を改めさせるため圧力を強める時かもしれないと感じている」と語っていま
す。(ブルームバーグ)
これに対して中国は、脅しには決して屈しないと繰り返し表明しています。
引き続き米中貿易問題、とりわけ今回の2000億ドルという大規模な関税引き上げ
問題の行方が、為替相場の方向も決めそうです。
イングランド銀行は2日、予想された通り、金融政策委員会(MPC)で政策金利を
0.25%引き上げ、0.75%にすることを決めました。
今回の決定は「全会一致」での決定で、この部分は市場予想を超えるものでした。
この決定を受けてポンドドルは1.3080近辺から1.31台前半まで買われまし
たが、景気見通しが改善するとの当局の見方に市場は懐疑的だったことで、その後は
大きく売られました。カーニー総裁が、今後も利上げペースは緩やかになると示唆し
たことも、ポンド売りにつながったようです。
本日は毎月恒例の米雇用統計が発表されます。
事前予想は、非農業部門雇用者は19.3万人と予想され、前回の21.3万人に比
べるとやや低水準ですが、まずまずの数字です。
前回悪化した失業率については、3.9%と、改善を見込んでいます。
ここ3、4カ月の特徴は、発表後に大きな動きが見られなくなったということです。
かつて1円以上はゆうに動いたものが、このところ、30銭程度の時もあります。
米景気が好調なため、若干予想とぶれても影響はないということでしょうか。
19.3万人の予想しに対して仮に15万人であっても、それ程ドルは売られない
ということです。
また25万人であったとしても、ドルの上昇には限界がありそでうす。
本日のレンジは110円90銭~112円20銭程度を予想します。

- [2018/08/03 08:53]
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FOMC政策変更なし
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京時間に112円台前半まで買われたドル円は、NY市場では
反落。米長期金利が3%台に乗せたものの、日本の長期金利の上昇が
意識され111円39銭までドル売りが進み、111円70銭近辺で引ける。 - ユーロドルは小幅に反落。1.17台が徐々に重くなり、1.1658
前後まで売られる。 - 株式市場は高安まちまち。アップルの好決算を材料にハイテク株が
買われ、ナスダックは35ポイント上昇。一方ダウは81ドル下げる。 - 債券は大幅に反落し、長期金利は約2カ月ぶりに3%の大台まで上昇。
FOMC声明文で今後の漸進的な利上げ方針が堅持されたことが
債券売りを誘った。 - 金は続落。原油も在庫が予想以上に膨らんでいたことで大幅に続落。
- 7月ADP雇用者数 → 21.9万人
- 7月ISM製造業景況指数 → 58.1
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏6月生産者物価指数
- 英 BOE金融政策発表
- 英 BOE四半期インフレ報告
- 欧 企業決算 → BMW、シーメンス、ソシエテ、バークレイズ
- 米 新規失業保険申請件数
昨日の東京時間の午後、ドル円は112円台に乗せ、112円14銭までドルが買われました。約2週間ぶりのドル高を記録しましたが、その後の海外市場ではドルの上値を追う動きは見られず、反対に111円39銭まで売られる場面もありました。米10年債利回りが5月下旬以来となる3%の大台まで上昇し、通常は米金利高に反応し、ドルが買われると思われましたが、市場は日本の長期金利の上昇を材料視したようです。
前日、日銀が長期金利を0.2%程度まで上昇することを容認したことで、昨日の債券市場で長期金利は0.12%まで上昇しました。この水準は1年半ぶりの水準となり、市場参加者はこの動きにドル売りで反応したようです。また前日、米国と中国が全面的な貿易戦争回避のための再協議を模索していると伝えられ、一旦リスク回避の動きが後退したものの、この日は再び貿易戦争への
懸念が高まったこともドル売りにつながりました。
トランプ政権は中国からの輸入品2000億ドル(約22兆3600億円)相当に関税を課す計画について、税率を従来予定の10%から25%に引き上げることを提案すると、ブルームバーグは報じています。米国は既に中国製品340億ドルに関して25%の関税を適用しており、さらに160億ドル相当の輸入品に関税をかける案の意見公募期間は昨日で終わっています。トランプ政権は、中国が公式な通商協議のテーブルに戻るよう圧力をかけるため、2000億ドルの輸入品に対して税率を上げるという強行策に出ているようです。水面下では貿易戦争回避への交渉が行われているようですが、中国側がある程度譲歩しない限り、この問題の終息へ道は遠いように思えます。
FOMCでは大方の予想通り、政策金利の据え置きを決めました。
声明文では、経済活動が「力強いペースで拡大」しており、失業率は「低い水準で
推移している」と指摘しています。
また、「家計支出と企業設備投資が力強く伸びた」とも記され、全体では景気の見方を
上方修正した形になっており、9月の利上げに向けた地ならしとの印象です。(ブルームバーグ)
先月トランプ大統領は、利上げは「うれしくない」と発言しましたが、今回の声明文を
見る限りその影響はないようで、次回9月25-26日の会合での利上げ確率は直近でも、
80%前後で推移しています。
引き続き米中の貿易問題が市場の最大のテーマで、この問題が決着するのかあるいは
交渉のテーブルにも着かず決裂するのかで、相場の行方も大きく変わります。
上記2000億ドルの関税実施は、早ければ9月と見られていますが、中国側からの
譲歩がなければ、さらにトランプ大統領が「5000億ドル!」と、脅しをかけてくることも
十分予想されます。
本日のドル円は111円20銭~112円20銭程度を予想しますが、再び3%の
大台に乗せてきた米長期金利の動きにも注意が必要です。
前回は3%台での滞留時間は短く、確か2日程度だったと記憶して
います。もし今回の3%台乗せが長期化するようであれば、ドルの
下支え役になり、ドル円の大幅な下げは、金利面からすれば見込みにくい
ということになります。

- [2018/08/02 13:17]
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ドル円112円目前まで急反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は大幅に上昇。日銀の金融政策が継続されることや、
米中が貿易戦争回避への交渉を模索しているとの報道で
111円96銭までドル高が進む。 - ユーロドルは再び1.17を挟む水準まで値を戻し、依然レンジ内
取引が継続。 - 株式市場は反発。米国と中国が全面的な貿易戦争の回避を
目指して交渉再開を模索しているとの報道を好感。ダウは108ドル
上昇。下げが続いていたナスダックも41ポイント上昇。 - 債券相場も反発。長期金利は2.96%台へと低下。
- 金は4日ぶりに上昇。原油価格は供給過剰との観測から大幅に
反落し、68ドル台まで売られる。 - 6月個人所得 → 0.4%
- 6月個人支出 → 0.4%
- 6月PCEコアデフレー → 1.9%
- 4-6月雇用コスト指数 → 0.6%
- 5月ケース・シラ-住宅価格指数 → 6.5%
- 7月消費者信頼感指数 → 127.4
本日の注目イベント
- 中 7月財新製造業PMI
- 欧 ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
- 欧 企業決算 → BNPパリバ、フォルクスワーゲン
- 米 7月ADP雇用者数
- 米 7月ISM製造業景況指数
- 米 FOMC声明発表
昨日、注目されていた日銀金融政策決定会合の結果が12時を過ぎても発表されず、市場関係はランチもとらずに、やきもきしていました。通常、発表が遅いということは、「議論が紛糾している」と考えられ、その間にドルは110円80銭前後まで売られる場面もありました。
結局発表は1時2分過ぎとなり、ヘッドラインでは「大きな枠組みの変更はなし」でしたが、ややネガティブな結果を予想していたことから、ドル円は上昇。111円40銭程度までドル高が進みました。海外市場ではその流れと、米国と中国は全面的な貿易戦争回避を目指し、交渉再開を模索しているというブルームバーグのニュースにドルは一段高となり、NY市場では111円96銭までドルが買われています。
ブルームバーグによると、ムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相がそれぞれ代理人を通じて水面下で対話を続け、交渉を再開する方法を模索していると報じています。貿易問題を巡って米中両国は対立姿勢を崩していませんが、全面的な貿易戦争は避けたいという考えはあるようで、これが市場のリスク回避を後退させたようです。
日銀政策会合の結果については、当初伝わってきた内容は「長期金利は0%程度で、短期金利は-0.1%を維持する」というもので、特段変化はなく、フォワードガイダンスの導入と、ETFの買い入れを日経平均連動型からTOPIX連動型に変えるという程度でした。その後黒田総裁の会見を通じて明きからになったのは、「副作用に配慮」と「長期金利の上昇容認」でした。本来ならドル売りで反応してもおかしくない内容でしたが、同時に総裁は「当分の間、現在の極めて低い長期金利の水準を維持する」と発言し、現行の緩和政策をまだ当面継続するという強い姿勢を市場に示した形となり、これがドルのショ-トカバーを誘ったとものと見られます。一部新聞社や通信社が報じた「金融政策の修正を検討」というニュースでドル円は110円台半ばまで下落する場面がありました。結果的にはその報道通りでしたが、為替の反応はむしろその報道でドルのショートが膨らみ、ドル買い戻しが112円手前までドルを押し上げたとも言えそうです。
会見で「物価上昇のモメンタムはしっかり維持されている」と、黒田総裁は述べていましたが、展望レポートでは、その見通しも下方修正されました。そもそも2%の物価上昇を達成するために異次元緩和に踏み切り、超低金利政策を断行し、さらにはマイナス金利も導入しました。それでも物価上昇の目標は達成できていません。黒田総裁も述べていましたが、想定した以上に人々のデフレマインドが強かったということのようです。
ドル円は112円手前まで上昇したことで、先週1週間続いた「111円を中心に上下50銭のレンジ」を上抜けしたようには見えますが、今後このまま元の113円に向けて上昇できるかどうかはやや疑問です。昨日発表された消費者マインドなどの経済指標は引き続き好調で、これがドルの下支え役になっています。その意味では、今後も貿易を巡る問題の行方と、その影響をもろにうける経済指標の内容には十分留意が必要です。本日のドル円は111円20銭~112円20銭程度を予想します。

- [2018/08/01 09:50]
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