市場はFOMC結果待ち
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米FOMC発表を控え、ドル円は108円台半ばを中心に
小動き。108円46銭まで売られ、やや円が買い戻される場面も
あったが、取り引きは閑散。 - ユーロドルはFOMC前に買い戻しがやや優勢となり、1.1161
まで上昇。 - 株式市場は揃って下落。トランプ大統領が中国を批判したことで
利益確定の売りを誘発。ダウは23ドル安で取引きを終える。 - 債券相場は小幅ながら続伸。長期金利は2.05%台に低下。
- 金と原油はともに4日続伸。
本日の注目イベント
- 豪 第2四半期消費者物価指数
- 中 7月製造業PMI(速報値)
- 中 7月非製造業PMI(速報値)
- 独 7月失業率
- 欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月失業率
- 欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
- 欧 企業決算 →クレディスイス、BNPパリバ
- 米 7月ADP雇用者数
- 米 4―6月雇用コスト指数
- 米 7月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 FOMC 政策金利発表
- 米 パウエル議長記者会見
- 欧 企業決算 → GE、FCA
- 加 5月GDP
昨日の日銀金融政策決定会合では、前回の会合で追加緩和の可能性がやや高まっていたこともあり、政策据え置きの結果が発表されると、108円台後半で推移していたドル円はやや売られ、108円60銭台に下落する場面もありました。昨日のこの欄でも述べたように、日銀としてはFOMCを前に動きにくかったと思われ、今年と来年の物価見通しを下方修正しただけで、「2020年春ごろまで」との現行の低金利政策を変更することもありませんでした。声明文では、「物価安定に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」とあり、これまでと同様、必要なら行動するとしています。黒田総裁は会見でこの点について、「政府・日銀間に最近の流行語《ちゅうちょなく》の意図的な共通性があるのか」との記者からの質問に対しては、「笑顔」で答えていました。
ECBと日銀が政策会合を終え、いよいよ昨日からはFOMCが始まりました。世界で最も注目される中銀会合であり、世界で最も影響力のある会合の結果は、明日の朝方には判明します。「米金融当局の決断には失望した。Fedはもっと大幅な利下げをすべきだ」・・・・・トランプ大統領のそんなツイートが連想できそうな気がします。今回の会合では利下げは間違いないでしょうが、利下げ幅は「25bp」だろうと考えます。今朝の時点で、「50bp」の利下げ確率は17%になっていますが、実際の可能性はもっと低いのではないかと思います。
米国の直近GDPは2.1%と、前期よりも鈍化してはいますが、相対的には依然として高水準を維持しています。住宅市市場では底入れの気配が出ており、再び拡大しそうな状況です。また、昨日発表された7月の消費者マインドも「135.7」と、予想を上回っていました。低インフレ率が利下げを正当化させる面はありますが、全体的には「50bp」下げる理由を見つけるのが難しい状況かと思います。日経電子版では昨日、「利上げを求める著名投資家」と題して、米運用会社グッケンハイム・パートナーズの投資責任者の声を紹介し、「急激な利下げが2000年のITバブル崩壊につながった」ことを例に挙げていました。他にもオークツリー・キャピタル・マネージメントや、世界最大のヘッジファンドの責任者も、「利下げのタイミングではない」との立場を示していました。
それでも昨日トランプ大統領は当局へ圧力をかけ続けています。また、昨日から上海で始まった米中通商協議を巡っても、「中国の問題点は、約束を果たさないことだ」と述べ、「われわれは素晴らしい合意を結ぶか、全くの合意なしかどちらかだ」と語っています。(ブルームバーグ)協議は本日の午前中から行われますが、今回の協議で何らか合意がなされる可能性はほとんどないというのが市場の見方です。
FOMCの政策発表は明日の朝3時です。焦点は言うまでもなく、「今回の利下げ後どの程度追加利下げの可能性を見込めるのか」という点に絞られます。「25bp」の利下げは既に織り込まれており、結局声明文と、パウエル議長の言葉からその可能性を探ることになります。本日のドル円はややワイドに、108円~109円程度を予想します。

- [2019/07/31 10:48]
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ポンドドル2年4カ月ぶりの安値に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京時間に108円42銭まで売られたドルは、海外市場では反発。NYでは、ポンドがドルに対して売られたことでドル円も108円90銭までドル高が進む。
- ユーロドルはFOMCを前にポジション調整の動きに。ユーロ買い戻しが優勢となり、1.1151前後まで上昇。
- EUのユンケル委員長がジョンソン英首相との再交渉には応じないと述べたと伝えられ、ポンドドルは大きく下落。一時は1.23台後半まで売られ、2017年3月以来の安値を記録する。
- 株式市場は前日と反対の動きとなり、ダウは上昇し、ナスダックとS&P500は反落。
- 債券相場はほぼ横ばい。
- 金と原油は3日続伸。
本日の注目イベント
- 豪 豪6月住宅建設許可件数
- 日 6月失業率
- 日 6月鉱工業生産>
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 黒田日銀総裁記者会見
- 独 独8月GFK消費者信頼感
- 独 独7月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏月消費者信頼感指数(確定値)
- 米 6月個人所得
- 米 6月個人支出
- 米 6月PCEコアデフレータ
- 米 5月ケース・シラ-住宅価格指数
- 米 6月中古住宅販売件数成約指数
- 米 7月消費者信頼感指数
- 米 米中通商協議(上海、31日まで)
「小幅な利下げでは十分でない」・・・。本日から始まるFOMCを前に、トランプ大統領は金融当局に執拗に圧力をかけています。トランプ氏は、「米金融当局の動きは全て誤っている。小幅な利下げでは十分ではないが、いずれにせよわれわれは勝利する!」とツイートし、「金融当局はあまりに早い段階で<引き上げ>、その幅も大き過ぎた」と加え、さらに「欧州と中国はさらに金利を引き下げ、金融システムに資金を追加供給し、自国の製造業者の製品販売を大いに後押しするだろ」と述べています。
(ブルームバーグ)今回のFOMCでは、一時は「50bpの利下げ」機運も高まりましたが、現時点での利下げは「25bp」が広く見込まれています。トランプ氏は、これを暗に「50bpか、それ以上にしろ」と言っているようです。
英国のEUからの離脱を巡り、ポンドドルが大きく売られています。EUのユンケル委員長がジョンソン首相との再交渉には応じない姿勢を示したと伝えられ、「合意なき離脱」の可能性が高まったことや、英経済にも悪影響を与えるとの見方から、ポンドドルは1.2375近辺まで売られました。この水準は、2017年3月以来のポンド安となっています。ドル円もポンドドルで、ドルが買われポンドが売られた影響を受けたと見られます。ドル円は108円90銭まで買われ、今回も109円台回復には至っていませんが、7月10日以来、約3週間ぶりのドル高をつけています。「利下げが確実視されている割にはドルが下がらない」状況が続いており、FOMC前にドルの買い戻しが緩やかに進んでいるようです。
本日は日銀決定会合があり、午前中には政策発表があると思われます。マイナス金利政策のさらなる深堀は今回見送られると予想していますが、4月に決定した「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」というフォワードガイダンスを延長する可能性があります。また、「必要ならちゅうちょなく行動する」との言葉も、引き続き繰り返されると思いますが、実際に行動を起こすとすれば、やはり有事の場合ということで、急激な円高が進んだ場合や、10月に消費税率を引き上げた後、景気が後退した場合などが考えられます。さらに、FRBの金融政策が決まる前というタイミングも、なかなか日銀を動きづらくしている側面もあるようです。米金融政策の変更は世界の金融市場に大きな影響を与えるため、米国の政策がはっきりする前には動きにくいということでしょう。
短期的な動きを示す「1時間足」を見ると、ドル円は雲の下限にサポートされながら、108円90銭まで上昇しています。また移動平均線の並びかたでも、長期の200時間線が一番下にあり、短期の移動平均線が一番上に来ており、短期的な昇傾向は鮮明なっています。この傾向が明日のFOMC後に崩れるのかどうかが焦点です。本日のドル円は108円40銭~109円10銭程度を予想します。

- [2019/07/30 09:38]
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米第2四半期GDP2.1%
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆米GDP速報値を受けドル円は小幅に続伸。
発表直後に108円83銭までドル高が進んだが、
その後は緩やかに下落し、108円70-75銭で越週。
◆ユーロドルも下落し、1.1112前後まで売られたが
その後はやや買い戻され、1.11台半ばまで反発。
◆株式市場は揃って反発。ダウは51ドル高。ナスダックと
S&P500は最高値を更新。
◆債券は小幅に上昇し、長期金利は2.07%台へと低下。
◆金は反発し、原油は続伸。
◆4-6月GDP(速報値) → 2.1%
本日の注目イベント
◆英 英6月消費者信用残高
◆英 英6月 マネーサプライ
注目の米第2四半期GDPは「2.1%」と、前期よりは減速していたものの、
市場予想の「1.8%」を上回り、米景気の底堅さを示しました。
企業の設備投資と輸出が減少しましたが、個人消費が大幅に増え指数を押し上
げました。米中貿易戦争の影響から企業が先行きに慎重な姿勢を見せている一
方、株高による資産効果から個人は財布の紐を緩めていることが確認された格
好です。発表直後にドル円は108円83銭まで買われましたが、それまで既
にドルが買われていたこともあり、上昇は限定的で、109円には届きません
でした。株式市場では、長期金利がやや低下したことでナスダックとS&P5
00が、共に最高値を更新しています。
ブル-ムバーグによると、トランプ大統領は今週ホワイトハウスで開かれた通
商関連の会議で、為替介入の可能性を当面却下したようです。
自国・地域の通貨を安い方向に誘導している諸外国についてトランプ大統領は
懸念しているが、「だからといってドルを引き下げるという話にはならない」
とクドロー国家経済会議(NEC)委員長がCNBとのインタビューで語った
と伝えています。トランプ大統領は中国や欧州が自国通貨を使ってゲームをし
ており、それが通貨安につながっていると批判しており、「米国も同じ事をや
るべきだ」と怒りを表したことがあり、そこからすると、今回の報道はやや違
和感があります。今後も、米貿易赤字が劇的に減少しないことが分かれば、再
び通貨安批判を口にすることは十分予想され、このリスクは常に意識しておく
べきでしょう。
今週は、いよいよ明日からFOMCが開催されます。利下げ幅はどうやら「2
5bp」で決まりそうです。先週末のGDPでもそうでしたが、米景気は成長
スピードが鈍化してはいるものの、リセッションに陥るような状況からは程遠
く、この段階で「50bp」の利下げを行う理由は見つけにくいと思います。
まして今回は「予防的利下げ」の側面が強く、良好な経済状況の下での、必要
以上の大幅な利下げはバブルを醸成することにもつながります。
足元の極めて好調な株価の推移からしても、「25bp」が相当かと思います。
今回「25bp」引き下げ、その先は経済データ次第というのが、FRBの最
も予想されるスタンスでしょう。
貿易問題と中国や欧州の景気減速がリスク要因として存在しますが、それがど
の程度米景気に影響を与えるかは未知数です。
パウエル議長は、当然この辺りのリスクを意識しながらも、景気の推移をしっ
かりと注視し、必要ならさらに利下げを行うというスタンスを取るのではない
かと考えます。
ドル円は108円台を定着させるような動きです。
米利下げ観測にも市場が慣れてきており、足元のドル円はどちらかと言えば上
値を試しているようにも見えます。
ただ厳密に言えば「ニュートラル」に近いといったところでしょう。
ここからは、31日の利下げ後の観測が、「今年の利下げが、あと1回なのか
2回なのか」と、どちらがより正当化されるのかで、方向が決まってくると思
われます。
本日のドル円は108円30銭~109円程度を予想します。
- [2019/07/29 09:10]
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ECB緩和策を示唆
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆上値の重かったドル円は米経済指標が良かったことや
長期金利の上昇に108円75銭までドルが買われ、
2週間ぶりのドル高水準をつける。
◆ECB理事会後のドラギ総裁の発言にユーロドルは乱高下。
1.1101まで下げたのち1.1189近辺まで上昇。
◆株式市場は下落。ドラギECB総裁の発言を受け、長期金利が
上昇したことを嫌気した売りが優勢に。ダウは128ドル下落し、
他の指数も揃って下落。
◆債券相場は反落。長期金利は2.08%台へ。
◆金は反落し、原油価格は小幅に上昇。
◆6月耐久財受注 → 2.0%
◆新規失業保険申請件数 → 20.6万件
本日の注目イベント
◆日 7月東京都区部消費者物価指数
◆米 4-6月GDP(速報値)
◆米 企業決算 → マクドナルド、ツイッター
事前予想通り、ECBは昨日の理事会で追加利下げや量的緩和策の検討を
行っていく方針を決めました。
理事会後のドラギ総裁の会見では、その内容を巡りユーロドルが乱高下し、
ドル円は欧州と米金利が上昇したことを受け、108円75銭までドル高
が進みました。ドラギ総裁は会見で、「見通しは特に製造業で悪くなる一
方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない」と語
った上で、「全ての政策手段を調整する用意がある」と述べています。ま
た緩和政策は、「長期期間、強力な緩和姿勢が必要となる」との認識も示
しています。ECBは9月にもマイナス金利のさらなる拡大に踏み切ると
見られますが、会見の中でドラギ総裁が、「利下げ幅の議論はなかった」
と、ややタカ派的な発言を行ったことで、ユーロが買い戻される場面もあ
りました。ドラギ総裁の強弱の発言を受けて、ユーロドルは1.11割れ
目前までユーロ安が進みましたが、その後は大きく反発するなど、乱高下
し、ユーロ円も同時に1円を超える値動きを見せました。
ドル円は、予想外の上昇でした。
108円25銭前後のマイナーなレジスタンスを抜けただけではなく、1
08円台半ばも超え、2週間ぶりに108円台後半までドルが買われてい
ます。
ここからは「日足の雲の下限」に接近します。この雲は厚さもあり、抜け
切るには109円台後半までドル高が進む必要があります。
抜けないとは言えませんが、それでもこの水準からさらにドルが上昇する
には、それなりにインパクトのある材料が不可欠です。
一方で、なかなか見る機会のない「月足」チャートでは、長い間108円
を挟む展開が続いていることから、ローソク足が雲を下抜けする気配を見
せています。昨日の東京時間から欧州時間にかけてはドルの頭が重く、仮
に今朝108円前後で帰って来たら、雲を下回っていた可能性もあります。
「月足」のため、来週木曜日には雲抜けが示現するのかどうかが判明する
でしょう。もし抜ければ、実に2013年1月以来ということになります。
昨日はトルコ中銀の政策金利発表もありました。
200ベーシスほどの利下げは予想されていましたが、何と425ベーシ
スの利下げでした。トルコ中銀は1週間物レポ金利を4.25%引き下げ、
19.75%とすることを決めました。トルコは高インフレに苦しんでい
ましたが、直近のインフレ率は15.7%まで低下してきており、GDP
もマイナス成長だったことで、利下げは正当化されますが、引き下げ幅は
ややサプライズでした。この決定を受け、トルコリラ円も下げましたが、
ドル円が上昇したこともあり、その後下げ幅を埋めています。
425ベーシスの利下げは、一部にはエルドアン大統領の圧力との見方も
あるようです。
エルドアン氏は、米金融当局に再三利下げ圧力をかけているトランプ大統
領よりも強権で、つい先日、中銀総裁をクビにしています。
エルドアン氏が今後さらに利下げ圧力を強めることも予想され、このまま
順調にインフレが低下すればいいのですが、高止まりする中で利下げを強
行すれば「スタグフレーション」につながる恐れもあり、景気低迷と物価
高が同時進行する可能性もあります。
リラ円は19円を中心に上下50銭程度で安定しており、昨年8月の「ト
ルコショック」のような事態にはなりにくいと思われますが、戦闘機や戦
車など、軍事兵器を巡っては米国との関係が悪化し、ロシアに急接近して
います。引き続き政治的リスクと地政学的リスクは高いと見られます。
ドル円は目先の上値のメドは109円でしょう。
7月10日にドル高が進んだ際にも、108円99銭までで上昇を抑えら
れ、109円台回復には失敗しています。
本日米国では第2四半期GDP速報値が出ます。
「1. 8%」と、米中貿易戦争の影響もあり、前期よりも弱いと見られ
ていますが、結果が上振れするようだと、利下げ観測の後退から長期金利
が上昇し、ドル円も109円を試すことがないとは
言えません。上で述べた「それなりにインパクトのある材料」の一つにな
るかもしれません。
本日のレンジは108円20銭~109円程度を予想します。
- [2019/07/26 09:22]
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米ナスダック、S&Pが最高値更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は午前中に108円を割り込み、107円93銭まで
売られたが、その後反発し108円25銭近辺まで上昇。
108円を挟む展開が続き、明確な方向感に乏しい。
◆ユーロドルは1.11台前半から半ばで推移し、1.11台
定着を試すような動きに。今夜のECB理事会での緩和観測が
上値を抑える。
◆株式市場はまちまち。ダウは売られたものの半導体銘柄が上昇し、
ナスダックと、S&P500は最高値を更新。
◆債券相場は反発し、長期金利は2.04%台へ低下。
◆金は3日続伸。原油は反落。
◆6月新築住宅販売件数 → 64.6万件
本日の注目イベント
◆独 独7月ifo景況感指数
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆米 6月耐久財受注
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 企業決算 → スターバックス、アルファベット、インテル
ドル円は108円25銭近辺が天井の様相を示し、昨日の東京時間でも、
その後のNY時間でもこの水準で折り返す展開が続いています。
もっとも、下値の方も107円台後半では下げ止まり、方向感に乏しい
動きです。本日のECB理事会を皮切りに、来週は日銀の決定会合、さ
らには月末のFOMCと、主要中銀の金融政策発表を控えており、動き
にくいことが背景になっています。特に今回の会合では当局が金融緩和
に動くとの観測が強く、市場関係者の関心も高まっています。
その中でもFOMCでの利下げはほぼ100%と、確実視されており、
注目は「利下げ幅」とその後、年内にあと何回利下げが見込めるのかと
いう点に集まっています。直近の金利先物市場では「0.3%」の利下
げを示唆していますが、個人的には25bpの利下げを予想しています。
一部には50bpの利下げを予想する向きも依然としてあるようですが、
メンバーの中には利下げそのものに反対の立場の委員もおり、経済デー
タもそこまで景気の悪化を示してはいない中、50bpの利下げ幅はF
RBにとってもリスクではないかと思います。
またその場合には「市場を納得させうる、それなりの論拠」を示す必要
もあり、そうでなければトランプ大統領の圧力に屈したと受け止められ
るリスクがあります。今回は25bpの利下げを決め、その後年内3回
のFOMCで経済データを考慮しながら、1回から2回の利下げを行う
というのがメインシナリオかと思います。
ムニューシン米財務長官は24日、CNBCとのインタビューで、「強
いドルを信じている。それが力強い米経済や良好な株式相場を表してい
る。そして特に大統領の経済政策によって、
米国は他国を上回るペースの経済成長を達成している」と述べ、長期的
には強いドルが米経済に有益との考えを示しまた。(ブルームバーグ)
トランプ大統領は今月3日のツイッターに、「中国と欧州は大きな為替
操作ゲームに興じており、(米国は)同じ事をやるべきだ。さもなければ
われわれは今後も間抜けであり続けることになる」と、投稿しており、
トランプ大統領がドル高を望まないのは明らかです。
トランプ大統領に最も近いと見られるムニューシン氏が、このタイミン
グで「ドル高容認発言」を行ったことにやや違和感があります。
そして発言の最後の部分は、トランプ大統領に対する「忖度」と受け止
めていますが、どうでしょう。
イギリスの新しい首相にボリス・ジョンソン氏が就任し、すでに組閣も
始まっています。「合意なき離脱」の可能性が高まったと見られながら
も、昨日の欧州市場ではポンドドルが100ポイントほど上昇していま
す。
昨日ある会合で、イギリスの大手銀行の為替担当者は、「メイ氏は真面
目の人で、常に直球しか投げてこなかったため、全て打ち返された。修
正案を3回議会に提案したが、受け入れられなかった。
ジョンソン氏はカーブやナックルなどの、くせ球を投げる人だ。合意な
き離脱の可能性は高まったが、同時にEUと合意する可能性も高まった。
もっとも、くせ玉を投げるだけにデッドボールを与えてしまう可能性も
あるが・・・」と、絶妙なたとえで二人の違いを説明していました。
ドル円は、今夜のECB理事会終了までは大きな動きはないと見られま
す。それも、基本的にはユーロドルの動きに追随する展開になる予想さ
れます。
仮に10~20bpの利下げを決めるようなら、ユーロドルが節目の1.
10を割り込み、
ドル高が進む可能性があり、ドル円も108円台半ばを試すことになる
かもしれません。市場のコンセンサスは、「今回はフォワードガイダン
スに徹し、年内に政策金利を10~20bp引き下げ、来年から資産購
入を再開する」といったところです。
本日のドル円は107円80銭~108円50銭程度を予想します。
- [2019/07/25 09:13]
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英新首相にジョンソン氏
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は小幅に上昇し、108円29銭までドル高が進む。米中通商協議の進展を好感し、株高、金利高が進んだことが背景。
- ユーロドルはこれまでのサポートであった1.12を割り込み、1.1146まで急落。ECBが金融緩和への方向性を示すとの観測が強まり、ユーロドルは5月末以来の安値を記録。
- ギリスの次期首相にジョンソン氏が決まり、ポンドドルは買われたが、その後上昇分を吐き出す。
- 株式市場は大幅に続伸。米中通商協議が再開するとの報道にダウは179ドル高と、最高値に迫る。
- 債券相場は反落。長期金利は2.08%台へと上昇。
- 金と原油は揃って3日続伸。
本日の注目イベント
- 独 7月製造業PMI(速報値)
- 独 7月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
- 欧 ユーロ圏7月総合PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
- 欧 企業決算 → LVMH、ダイムラー、ドイツ銀行
- 米 6月新築住宅販売件数
- 米 企業決算 → AT&T,キャタピラー、フェイスブック、ボーイング、UPS
ライトハイザーUSTR代表と複数の米政府高官は、中国に向けて29日に出発する予定が決まったとブルームバーグが報じています。報道によると、ライトハイザー氏率いる少人数のチームは31日まで上海に滞在する予定で協議を行い、未解決の問題を幅広く議論することになるとのことです。ただ多くの意見では、米中が合意に達するにはまだ時間が掛かるだろうとの見方が支配的で、今回の協議で合意に至る可能性は低いとみるべきでしょう。
この報道を受けドル円は108円29銭までドル高が進み、ドルは対ユーロでも上昇。ユーロドルは、5月31日以来約2カ月ぶりに1.11台半ばまで売られました。ドルに対するユーロの下落幅が円よりも大きかったことでユーロ円も下落し、今年1月3日早朝の「フラッシュ・クラッシュ」以来の安値を記録し、仮に1月3日のこの動きが異常値だったとし除外すれば、2017年5月以来となるユーロ安をつけています。もっとも、この動きは想定内で、明日のECB理事会では金融緩和に関する何らかのメッセージが期待できるユーロと、一方でFRBに先立って会合を開く日銀は動きにくいということと、金融緩和の手段も限定的だという想定の元、ユーロ売りが活発になったものと見られます。
米中貿易協議の進展にやや明るさが出てきた一方で、EUとのそれはまだ波瀾含みです。EUは、トランプ政権が自動車・同部品への関税賦課の脅しを実施に移した場合、米製品350億ユーロ(約4兆2230億円)相当に報復関税を課すことを明らかにしました。EUの行政執行機関である欧州委員会のマルムストローム委員が明らかにしたところによると、従来は200億ユーロ相当の米製品を対象にするとしていたが、EUからの対米自動車製品輸出が国家安全保障上の脅威になるとの理由で輸出制限を求める米国の要求を拒否する立場を鮮明にしたとのことです。同委員は、「われわれはいかなる管理貿易も受け入れない。割当量や輸出自主規制もそうだ。これを行使する必要がないことが望ましい」と語っています。(ブル-ムバーグ)
このように米国発の保護貿易主義の嵐は依然として収まってはいません。そんな中IMFは昨日、世界経済見通しを発表し、経済成長見通しを再び下方修正しました。見通しによると、今年の世界経済の成長率は「3.2%」とし、来年が「3.3%」の見込みで、いずれも4月時点の予測から「0.1ポイント」下方修正しています。IMFは発表文で、「世界経済に対する主要なリスク要因は、米中のさらなる関税賦課、米国による自動車関税、または英国の合意なきEU離脱など展開の悪化が信頼感を損ない投資を弱め、
世界のサプライチェーンを混乱させて、世界の成長を基本ラインから大幅に減速させることだ」と分析しています。
トランプ大統領は今週22日、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の大枠について、ホワイトハウスと与野党の議会指導部が合意したと発表しました。これでたびたび話題に上り、懸念されてきた「財政の崖」問題は、今後2年間は取り除かれることになります。報道によると、2020年会計年度(2019年10月~2020年9月)と、2021年会計年度の歳出上限を計3200億ドル(約35兆円)に引き上げ、債務上限も引き上げるようです。国防費や教育費を大幅に増額するようですが、この費用の多くは国債の発行でまかなうことになります。国債の増発は長期金利の上昇要因です。現在1兆ドルを超える財政赤字が、今後さらに悪化することは避けられず、現在2%台という低水準で推移している米長期金利も将来上昇する可能性があり、これが為替の変動要因になります。
ドル円は再び108円台半ばを試す動きになってきました。昨日のNYでは、株価が上昇し、金利も上昇。金や原油も買われ、これまでの動きとはやや異なっています。「リスク選好」が強まったとは言えませんが、今月末のFOMCで利下げが確実視されている割にはドル円が底堅い動きを見せています。本日も日本株は上昇すると見られますが、ドル円は108円台半ばを超えられるのかが焦点です。同時にユーロドルが1.11を割り込むのかにも注意が必要です。予想レンジは108円~108円60銭程度と見ます。

- [2019/07/24 09:56]
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ドル円107円台後半で小動き
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は底堅い動きを見せたものの、特段材料もなく小動き。
108円台に近づくとドル売りも出て、上値を抑える展開に。
107円78銭まで売られたが、同90銭近辺で取引を終える。
◆ユーロドルも1.12台前半で小動きとなり、値幅はわずか
18ポイントに収まる。
◆株式市場は小幅ながら主要3指数とも揃って上昇。
ハイテク株や石油関連株が買われたが、主要企業の決算発表を
控え動きは鈍い。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は小幅に低下し、2.04%台に。
◆金と原油はともに上昇。
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏7月消費者信頼感(速報値)
◆英 英与党保守党、党首選の結果公表
◆米 5月FHFA住宅価格指数
◆米 7月リッチモンド連銀製造業指数
◆米 6月中古住宅販売件数
◆米 IMF世界経済見通し
◆米 企業決算 → コカコーラ、VISA、ロッキード・マーチン
参院選を終えて、昨日は日経平均株価が上昇すると予想していましたが、朝方
は150円ほどマイナスに沈み、やや驚きでした。
引け値では50円安で終わりましたが、連立与党の勝利も「織り込み済み」と
いったところだったようです。
ドル円も108円台を回復する場面もありましたが追随する向きもなく、その
後の海外市場でも動意はなく、107円台後半でダラダラとした展開でした。
昨日は経済指標の発表もなく、FOMCが来週に迫ってきたことで「ブラック
アウト」期間に入り、市場に影響を与えるコメントもありませんでした。
そんな中、相変わらずつぶやいていたのが、トランプ大統領でした。
FOMCを前に、トランプ氏は再び金融当局に利下げ圧力を加え、「今動けば
非常に低コストで済むし、生産的だ。金融当局は過度に大きく利上げして引き
締め、そのペースも速過ぎた」とツイートしています。
また香港の反政府デモについても、「中国の習主席は極めて責任ある行動を取
っている。
デモ参加者は長期間、抗議活動を続けている。習主席が正しいことをすると期
待している」と述べています。(ブルームバーグ)
FOMCでの政策判断に多少なりとも影響を与えると見られるGDP速報値は
今週末に発表されます。市場の見方は「25bp」がコンセンサスと思われま
すが、トランプ氏のつぶやきには「50bp」利下げへの圧力もあるように思
えます。
「GDP速報値」、「FOMC」と、重要イベントを控えドル円は動きにくい
状況です。昨日も述べたように、リスクはドル下落の方にあると見ていますが、
それでもドルショートで臨んでいる投資家にとっても、なかなか骨の折れる相
場展開です。特に107円台でのショートは、その出口を見つけるのに難儀し
ます。
一方、狭い値幅で上下しているためドルロングでも機能しますが、これまたレ
ベルを間違えるとクローズするまで結構な時間がかかる状況です。
ここは107-109円のレンジ相場と割り切り、「逆張り」で臨むのも一つ
の案です。だたし、レンジを外れることを想定して、「ストップ」を置くことは
必須です。ロング、ショートのいずれも早めの決済が求められます。
上記材料に加え、参院選を終えたことで、日米貿易交渉もいよいよ本格的に始
まると思われます。ここでは「ドナルド・シンゾウ」の関係とは一線を画した
厳しい交渉も想定されます。ただタイミング的にはFOMCが終了すると「サ
マー・バケーション」に入ることになり、相場もさらに膠着することも考えら
れます。107-109円の基本レンジをブレイクしてから出動するのも一計
です。
本日のドル円は107円60銭~108円20銭程度と予想しますが、実際に
はさらに狭いレンジになる可能性が高いでしょう。
- [2019/07/23 08:55]
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米大幅利下げ観測後退
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は反発し108円目前まで上昇。前日のNY連銀総裁の
発言で急速に高まった「0.5%利下げ」観測が後退。
ドル円は107円97銭まで買われた後、107円80-90銭
で越週。
◆ユーロドルは1.12が底固いものの、上値を追う勢いもなく
再び1.1204まで下落。
ユーロ円も120円78銭前後まで売られ、前日の安値に並ぶ。
◆株式市場は反落。「0.5%の利下げ」観測が後退したことに加え、
ホルムズ海峡で英国籍石油タンカーが拿捕されたことでダウは68
ドル安。ナスダックも60ポイント売られ8200を割り込む。
◆債券は反落。長期金利は2.05%台へと小幅に上昇。
◆金は反落し、原油価格は7日ぶりに反発。
◆7月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 98.4
本日の注目イベント
◆日 黒田日銀総裁講演
昨日の参院選では連立与党が過半数を獲得したものの、憲法改正の発議に必要
な3分の2を獲得するには至っていません。
消費税引き上げや年金問題が争点の一部でもありましたが、国民の多くはそこ
を含めて「アベノミクス」を評価しているということになるのでしょう。
今後は消費税引き上げ後の経済対策などが打ち出されることになろうかと思い
ますが、連立与党の基盤が安定したことで、本日の株式市場にとっても「支援
材料」になる可能性があります。
中東ホルムズ海峡の緊張がさらに高まってきました。
イランの革命防衛隊が英国のタンカーを拿捕した問題で、英国政府はイランに
対して「重大な結果」が起こり得ると警告を発し、拿捕された「ステナ・イン
ペロ」を即時解放するよう要求しています。ハント英外相は声明で、英国は来
週、さらなる措置を講じると表明し、英国紙によると、イラン資産の凍結を含
む外交・経済上の措置が検討されているようです。また英政府は、イランに再
度制裁を科すためにEUと国連に働きかける可能性があると報じています。
(ブルームバーグ)
イランがこれ以上挑発的な行為に出れば、米英が協力して軍事行動に出る可能
性も高まってきそうです。
18日のウイリアムズNY連銀総裁の発言を受け、今月末のFOMCでの利下
げ幅が「0.5%」になるのではといった見方が急速に高まり、これがドル円
を107円台前半まで押し下げましたが、先週末はその見方が急速に後退して
います。金利先物市場では、45%以上あった「0.5%利下げの確率」は、
足元では14.5%程度まで低下してきました。
セントルイス連銀のブラード総裁は、「7月の会合では0.25%の利下げを
支持する」と述べ、シカゴ連銀のエバンス総裁と並んで「ハト派」の代表格で
ある、ボストン連銀のローゼングレン総裁は19日CNBCとのインタビュー
で、「米経済は実際、かなり良好だ。経済が良好である限り、それが継続すれ
ば、緩和は必要はない」と語り、利下げには否定的な姿勢を示しています。
今回のFOMCでは、これまでの発言を踏まえると、多くの投票権を有するメ
ンバーが利下げは必要との認識を持っており、利下げは動かないと思われます
が、どうやら「0.25%」の利下げで落ち着きそうな気配です。
107円21銭まで売られたドル円は再び107円台後半まで戻ってきました。
ただ、依然として上値の重さは意識されます。
先週、ドル円は108円37銭前後まで上昇する場面もありましたが、結局上
昇は「1時間足」の200時間線を明確に抜けずに抑えられていました。
現在その200時間足は108円10-15銭にあります。
上値ではまずはこのレベルが意識されると思われます。
参院選での連立与党の勝利を受け、今日の日本株がどのような動きをするのか
注目されます。予想レンジは、株価の動きにもよりますが、107円40銭~
108円10銭程度とみます。
- [2019/07/22 09:04]
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ドル円大幅に下落。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間で、これまでサポートとして機能していた107円80~90銭
を割り込み、NY時間では107円21銭までドル安が進む。
中東でも地政学的リスクが高まったことや、NY連銀総裁が利下げに前向きな
発言をしたことが材料に。
◆ユーロドルは今回の局面でも、結局1.12を割り込めず反発。
ドルが売られたことで、1.1280までユーロが買われる。
◆株式市場はさらに利下げ観測が強まったことで、3主要指数は小幅ながら
揃って反発。ダウは3ドル高。
◆債券相場は続伸。長期金利は2.02%台まで低下。
◆金は中東での地政学的リスクの高まりから続伸し、原油は4日続落。
◆7月フィラデルフィア連銀景況指数 → 21.8
◆ 新規失業保険申請件数 → 21.6万件
◆6月景気先行指標総合指数 → -0.3%
本日の注目イベント
◆日 6月消費者物価指数
◆独 独6月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏5月経常収支
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
◆米 企業決算 → ブラックロック、アメックス
◆加 カナダ5月小売売上高
ドル円は108円を挟む展開から一気に円高が進んでいます。
昨日の東京タイムでは、日経平均株価が大きく売られ、引け値では422円安
となり、これがドルの上値を抑え、安全通貨の円買いを促しました。
NYタイム朝方には108円近辺まで戻す場面もありましたが、その後ドルは
大きく売られました。
NY連銀のウイリアムズ総裁は講演で、「各国・地域の中央銀行は経済に問題
が生じている場合は、迅速に行動を起こすべきだ」と発言し、利下げに積極的
な姿勢をみせました。またこの日は、クラリダFRB副議長がFOXビジネス
とのインタビューで、「見通しに対する不確実性が高まっており、景気が下落
するのを待ってから行動するのは望ましくないと当局は考えている」と述べた
ことも、市場の利下げ観測をさらに強めました。これらの発言を受け、今月の
FOMCでの利下げ幅は「0.25%引き下げの確率」が54.5%に低下し、
「0.5%引き下げの確率」が45.5%(19日午前7時時点)に急騰して
います。(ブルームバーグ)
また中東ホルムズ海峡での地政学的リスクの高まりも投資家の安全志向を高め
ました。トランプ大統領は昨日ホワイトハウスで、ホルムズ海峡近くで米海軍
の強襲揚陸艦「ボクサー」に接近したイランの無人機を「直ちに破壊した」と
述べました。説明によりますと、「立ち去るよう求める複数回の警告を無視し、
約1000ヤード(約914メートル)と非常に近くまで接近して、艦艇と乗組
員の安全を脅かしたというイラン無人機に対し、ボクサーは防衛措置を取った」
とトランプ氏は述べています。
また米国防総省(ペンタゴン)のスポークスマンも、「ボクサーは国際水域を航
行中で、ホルムズ海峡に入ろうとしていたが、一機の無人機が危険な距離まで
接近してきたため、同艦艇は防衛措置を取った」と語っています。
(ブルームバーグ)
今回の行動は、すでに米無人機がイランの攻撃を受けており、その報復との見
方もできなくはありませんが、米イラン関係には緊張がさらに高まっています。
ドル円は下落基調を鮮明にしてきました。この欄でも再三指摘してきたように、
円高傾向が顕在化してきたと言えます。
目先の予想ですが、まずは107円が心理的なサポートになると見られますが、
それほど強固なものではないと思います。
仮に107円を割り込むようだと、6月下旬に記録した106円78銭が意識
される展開が
予想されます。
ただ、6月のこの時には米長期金利が1.93%台まで急低下しており、金利
低下を手掛かりにドル売りが活発になった経緯があります。
現在米長期金利は2.02%台です。米長期金利が2%台を割り込むかどうか
も含めて、金利の動向には注目していく必要があります。
本日のドル円は107-107円80銭程度を予想しますが、今度の日曜日に
は「参院選」があります。事前予想では政権与党がかなり優勢とのことです。
予想通りであれば、政権の安定→アベノミクスへの信認→新たな経済対策の発
動、といった連想が働き、週明け月曜日の株価上昇につながる可能性がありま
す。株価の上昇は一応ドル高要因と見られますので、注意が必要です。
- [2019/07/19 09:11]
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ドル円108円を挟んでもみ合い
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆108円台で推移していたドル円は再び下落し107円台後半に。
米長期金利の低下を手掛かりにドル売りが進んだが、低調な売買が続き
値幅は限定的。
◆ユーロドルは1.12が壁となり小幅に反発。
◆株式市場は3指数とも揃って続落。米中通商協議の先行きが
依然として不透明なことなどが材料視されダウは115ドル安。
◆住宅関連の指標が予想を下回ったことで債券相場は反発。
長期金利は2.04%台へと低下。
◆金は反発し、原油価格は3日続落。
◆6月住宅着工件数 → 125.3万件
◆6月建設許可件数 → 122.0万件
本日の注目イベント
◆豪 豪6月雇用統計
◆日 6月貿易収支
◆英 英6月小売売上高
◆米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月景気先行指標総合指数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米 企業決算 → ブラックストーン、マイクロソフト、モルガンスタンレー
ドル円は再び108円を割り込み107円台後半まで下げてきました。
ベースと見られるレンジは107-109円ですが、その中でも、108円半ばから
上が重いのか、あるいは107円80銭より下が底堅いのか、なかなか判断できない
状況が続いています。
昨日のNY市場では6月の住宅着工件数が前月比0.9%減の125.3万件と予想
を下回り、金利低下が進んでいる割には伸びていないことが材料視されました。
先行指標である建設許可件数も予想を下回っています。
住宅市場はFRBの段階的な政策金利引き上げに伴って、昨年1年はほぼ低調な伸び
を示していましたが、今年の春先から徐々に回復傾向を見せていました。
長期金利が急低下したことで、住宅ローン金利も低下していますが、それでも住宅着
工件数が伸びないことにやや意外感が広がり、昨日の債券相場の上昇につながったと
見られます。債券が買われ金利が低下したことで、定石通りドル円は売られましたが、
昨日は株も売られており、この辺りがこれまでの動きとは異なっています。
もっとも、これは一方的に買われすぎていた反動と見ることができ、株価の下落基調
が始まったと判断するには時期尚早と言えます。
ベージュブックが公開されましたが、今回のそれは市場への影響はほとんどなかった
ようです。ベージュブックでは、景気は拡大しているものの、そのペースは緩慢だと
して、「貿易関連の不確実性がもたらし得る悪影響に関する懸念は広がっているもの
の、向こう数カ月の見通しは総じて明るく、緩慢な景気拡大が続くと想定されている」
と記されています。これは、先週のパウエル議長の議会証言とも整合していると言え
ます。
今朝の経済紙に東京株式市場の売買高が2012年のアベノミクス以前の水準に戻り
つつあるとの記事がありましたが、為替市場でも低調さは同じようなものです。
1日の値幅が出ないことで、売買を手控える投資家が増えていると見られます。
足元のドル円は米長期金利の動きとほぼ連動していることから、長期金利が2%台で
安定してきたことでドル円の動きも限定的になっています。
6月には一時1.93%台まで低下した米長期金利でしたが、再び2%を割り込むよ
うだと、ドル円も107円台半ばを下回る水準が想定されます。
ここは、米長期金利の動きを注視するしかありません。
本日のドル円は107円60銭~108円30銭程度と予想します。
- [2019/07/18 09:00]
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ドル円再び反発し108円台前半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は107円台から反発。小売売上高が予想を上回ったことや、長期金利が上昇したことでドルが買われた。ドル円は108円37銭まで上昇。
- 独ZEW景況感指数が予想以上に悪化していたことでユーロドルは1.1202まで下落。再び1.12割れを試す展開になるのかが焦点に。
- 株式市場は揃って反落。良好な経済指標に金利が上昇したことで、利益確定の売りが勝った。ダウは23ドル安く、ナスダックは35ポイント下落。
- 債券相場は続落。長期金利は2.1%台を回復。
- 金は反落。原油はポンペオ国務長官のイラン問題での前向きな発言で大幅安に。
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
- 欧 G7財務相・中央銀行総裁会議(仏、シャンティイ)
- 英 6月消費者物価指数
- 米 6月住宅着工件数
- 米 6月建設許可件数
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 米 企業決算 → IBM、ネットフリックス、バンク・オブ・アメリカ
- 加 カナダ6月消費者物価指数
ドル円は前日の107円80銭台から再び反発しており、上値は重いものの、107円台では底堅い展開が続いています。市場関係者が最も注目しているのが「金利」ということのようです。「金利」が中心にいて、その金利が低下するとドルが売られ、株は買われます。一方昨日のように、金利が上昇すると、株は売られ、ドルが買われる傾向にあるようです。このような傾向は今に始まったわけではありませんが、株価とドル円が全く「逆相関」に動くという状況はそれほど頻繁には見られません。市場関係者にとって、「金利」が最大の関心事だという証左です。
6月の小売売上高が予想を上回り、大半のカテゴリーで増加していました。前月比0.4%の増加で、自動車とガソリンを除いた小売売上高も0.7%増加しています。これで4カ月連続の伸びとなり、今月末のFOMCでの議論の一つになるかもしれません。株価の上昇が続いており、個人の財布の紐が緩んでいると考えられます。再三指摘しているように、米国人が株式に投資している割合は高く、株価の上昇は「資産効果」として、個人の懐を潤すことになります。含み益が増えれば、欲しいものを買うというのは極めて自然な行動です。従ってこのまま株価の上昇が続くようだと、個人消費がGDPに占める割合も大きいだけに、GDPの上振れという効果も期待できるかもしれません。個人的には、この株価の上昇は長くは続かないと予想していますが、株式の専門家の中には「それでも株価は上がる」と強気の人も多いようです。
好調な経済指標が利下げ観測をやや後退させてはいますが、今月のFOMCでの利下げは揺るがないところでしょう。パウエル議長は昨日、フランス中銀主催の夕食会で講演を行い、経済成長に関する米金融当局の基本シナリオは「引き続き堅固だ」とした上で、「特に貿易を巡る動向と世界経済の面で、この見通しに対する不確実性は増している」と発言しています。(ブルームバーグ)
ここでも先日の議会証言と同じように「不確実性」という言葉を使っており、今月のFOMCでの利下げに踏み切る論拠を支えるものになっていると推察できます。
事務レベルでの電話協議が再開された米中通商協議は、このまま生産的であればムニューシン財務長官は訪中の用意があると述べていましたが、トランプ大統領は昨日ホワイトハウスで開かれた閣議で、「対中関税に関しては、われわれが望めばまだやれることは多い。われわれが望むなら、3250億ドル(約35兆1800億円)相当に別途関税を課すことができる」と発言し、自分が望めば中国からの輸入品に追加関税を課すことができることを改めて述べています。(ブルームバーグ)習近平主席とのトップ会談で通商協議は再び動き出しましたが、関税発動は一時的に「棚上げ」されているだけだということを印象付けているようです。
ドル円は107円台半ばを試す展開ではないものの、今日も上値はそれほど期待できないでしょう。基本レンジの107-109円の中での「もみ合い」と見ています。21日の参院選と月末のFOMCで、どちらかに動く可能性はありますが、もしそれでも動かない
ようだと、「サマーバケーション」入りとなり、さらに膠着することも予想されます。本日のレンジは107円90銭~108円60銭程度と見ます。

- [2019/07/17 10:21]
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NY市場、株式は活況だが為替は停滞
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は狭いレンジ内で小動き。方向感もなく107円台後半での取り引きに終始。
- ユーロドルは1.12台半ばから後半で推移。1.1273まで買われる場面も。
- 株式市場は決算発表を控え小動きながら主要3指数が揃って上昇し、最高値を更新。
- 債券相場は小幅に下落し、長期金利は2.08%台へと上昇。
- 金は続伸し、原油価格は反落。
本日の注目イベント
- 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(2019年1月-6月)
- 独 7月ZEW景況感指数
- 欧 ユーロ圏5月貿易収支
- 英 失業率(3月ー5月)
- 英 カーニー・BOE総裁講演
- 米 6月輸入物価指数
- 米 6月小売売上高
- 米 6月鉱工業生産
- 米 6月設備稼働率
- 米 7月FHFA住宅価格指数
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
- 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
- 米 パウエル議長講演
ドル円は107円台での動きに終始し、しかもNY市場では値幅も15銭程度と、株式市場の盛り上がりに比べ、「停滞」しています。昨日のNY市場では、NY連銀製造業景況指数が予想を上回り、ドル円との相関が高い米長期金利が幾分上昇したものの、108円台に乗せることもできず小動きでした。
材料がない中、市場の注目は30-31日のFOMCでの利下げではなく、その後の利下げの回数を予想する上での手掛かりをコメントの中から探すといった状況です。先週のパウエル議長の議会証言では、米中貿易戦争のリスクがやや後退し、さらに6月の雇用統計では市場予想を大きく上回り、「米労働市場は思ったほど悪くはない」といった雰囲気にも傾きましたが、議長は「最近のイベントにもかかわらず、貿易や世界の製造業に関する不確実性が見通しを引き続き圧迫している」と述べ、依然として米景気の先行きに対する慎重な姿勢は崩しませんでした。そのため、このようなセンチメントがドルの上値を抑え、重苦しい展開をつくり出していると言えそうです。
昨日中国の4-6月期GDPが発表され、市場予想と同じ「6.2%」でしたが、四半期データが取れる1992年以降で最も低い伸びに留まりました。昨年から続いている景気後退が一旦は底入れしたとの観測もありましたが、後退局面は続いている可能性が高いと思われます。トランプ大統領はこの日ツイッターで、対中関税は予定通り中国経済を締め付けていると指摘しています。再開した米中通商協議を巡り、ムシューシン財務長官は、中国側と今週電話協議を予定していることを明らかにし、それが生産的なものになれば、自分とライトハイザーUSTR代表が訪中する可能性があると述べています。(ブルームバーグ)
ドル円は108円台半ばから上が壁になりつつあります。上述のように、米利下げが年内何回になるのか不透明な部分がありますが、少なくとも利下げスタンスは年内続くと見られ、これがドルの重石となっています。ただ、6月下旬に106円78銭を記録した時のように、米長期金利が一方方向に下げ足を速める状況でもありません。一時は1.93%台まで低下した米10年債利回りは、足元では2.08%台で推移しています。また、好調な米株式市場が危ういとはいえ、連日最高値を更新する動きを見せており、株価の上昇がドル円の下落を抑制している部分もあります。目先は107円台を維持できるかどうかです。月末のFOMCまでは「107-109円のレンジが続く」というのが、筆者も含め多くの市場関係者の予想するところです。本日は107円50銭~108円20銭程度を予想します。

- [2019/07/16 10:03]
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議会証言を受け市場はドル売りで反応
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆パウエル議長の議会証言を受け、ドル円は108円35銭まで
下落。109円手前まで買われていたドル円は、再び利下げ観測が
高まりドルが売られる。
◆ユーロドルは今回も1.12を割り込めずに反発。議会証言を
受けてドル売りが活発となり、1.1264までユーロ高が進む。
◆金利低下観測が株価を押し上げ、主要3指数は揃って上昇。
ナスダックは60ポイント上昇し、初の8200台乗せ。
◆債券相場は反発。長期金利は2.06%台と小幅に低下。
◆金は続伸。原油価格はハリケーンがメキシコ湾岸に近づく可能性が
あることと、原油在庫が予想以上に減少していたことで大幅高に。
本日の注目イベント
◆独 独6月消費者物価指数(改定値)
◆米 6月消費者物価指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月財政収支
◆米 パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言
◆米 クオールズ・FRB副議長講演
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
注目された半期に一度のパウエル議長の議会証言では、米中通商協議の再開や、力強い
6月の雇用統計を受けても 米景気に対する見方は変わらず、議長は利下げを示唆しま
した。議長は、「貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が
引き続き重しとなっている」と分析し、当局の見通しは変わらなかったと証言しました。
議員との質疑応答では、6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を上回る伸
びを示したことが金融当局の見解を変えたかとの質問に、「率直な答えはノーだ」と答
え、引き続き雇用の不確実性を強調する姿勢を維持していました。
その上で議長は、「見通しに対する不確実性はここ数カ月で増してきている。海外の幾
つかの主要国で経済の勢いが鈍化しているようだ。そうした弱さが米経済に影響を及ぼ
す可能性はある。その上、通商を巡る動向や連邦債務上限、英国のEU離脱など、政府
が扱う多くの政策課題がなお解決されていない」と説明しています。
また、トランプ大統領がパウエル議長に対し、金融緩和をするよう圧力を強めているこ
とに関しては、最大限の雇用と物価安定の確保というFRBの2大責務とともに、その
独立性に触れ、「それには説明責任と透明性が必要だ」との認識を示しました。
(ブルームバーグ)
この発言を受け市場では再び利下げ観測が強まり、先週までに見られたように、株と債
券が買われ、金利低下を受けドルが主要通貨に対して売られる展開になっています。
ドル円は昨日の東京時間に108円99銭まで買われ、その後も何度か109円乗せを
試したものの、結局109円台を見ないまま反落しています。
ただこのまま6月末に見られたような、106円台に突っ込むような急激な円高に向か
うのかどうかはまだ不透明です。
昨日の議会証言を受けた後の各市場の動きを見ると、株は買われたものの、債券の買わ
れ方はいまいち力強さはなく、長期金利の低下もわずかに留まっています。
108円割れは十分あり得ますが、これまでのようなやや前のめりの利下げ観測にはな
らないかもしれません。
証言から窺えることは、今月末の利下げは確実だとしても、その先利下げは1回なのか、
2回なのかは今後の経済データ次第だということは変わっていません。
ドルの上値は引き続き重い印象です。
目先の下値のメドは、今回の上昇局面で反発した値幅の半値戻し(107円88銭)辺
りとし、107円80-90銭程度と予想します。
従って本日の予想レンジも107円90銭~108円70銭程度とします。
========================================
明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせておただきます。
ご愛読者の方々にはご迷惑をおかけ致しますが、ご理解下さいますようお願い申し上げま
す。
- [2019/07/11 08:35]
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ドル主要通貨に対して上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は緩やかに上昇し、欧州時間には108円96銭まで
ドル高が進む。過度の利下げ観測の後退と、先週末の雇用統計の
結果を引きずり、米長期金利の上昇もドル高をサポート。
◆ユーロドルは再度1.12突破を試みたものの抜けきれず。
値幅も14ポイント程度とユーロ安が進む割には小動き。
◆ポンドが急落。「合意なき離脱」を巡る議会の混乱で1.2438
前後まで売られ、約半年ぶりの安値を記録。
◆株式市場はまちまち。ダウは3日続落したが、S&P500と
ナスダックは反発。
◆債券相場も3日続落。長期金利は2.06%台まで上昇。
◆金と原油は上昇したが、いずれも上昇幅はわずか。
本日の注目イベント
◆豪 豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中 中国6月消費者物価指数
◆中 中国6月生産者物価指数
◆英 英5月鉱工業生産
◆英 英5月貿易収支
◆米 FOMC議事録(6月18-19日分)
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
◆加 カナダ中銀政策金利発表
ドル円は引き続き緩やかな上昇をみせ、欧州時間には108円96銭まで
ドルが買われ、その後のNY時間でも109円台乗せはなかったものの、
108円台後半で堅調に推移しています。
「市場の利下げ観測が前のめりだ」とのコメントは何度か書きましたが、
足元の動きは過度の利下げ期待が修正されている過程にあるようです。
市場全体の動きは、さすがにパウエル議長の議会証言を控えていることで
小動きですが、焦点は何と言ってもパウエル議長の発言内容にかかってい
るということです。議長が今月の利下げ以降の金融政策に、引き続き緩和
姿勢を見せるか、あるいは、それ以降は一旦ニュートラルに戻すのかとい
った点がポイントになります。
投資家も議長の言葉から、その次の行動のヒントを探る姿勢を強めること
になります。議会証言は日本時間23時からの予定になっていますが、本
日はさらに6月のFOMC議事録も公表されます。ここでは利下げは見送
られましたが、その決定も全会一致ではなかったこともあり、その内容次
第では為替に影響が出ることも予想されます。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、6月のFOMC会合で決定され
た政策金利据え置きを支持していると、ウォールストリート・ジャーナル
(WSJ)は同総裁とのインタビューの内容を報じています。
同総裁は、「現時点では、どちらの方向にも金利を動かす差し迫った必要
性はないというのが私の見解だ」と述べ、その理由として、「米経済の力
強さは続いている。労働市場もなお極めて力強い」と語っています。(ブ
ルームバーグ)因みに、ハーカー総裁は今年のFOMCでの投票権は持っ
ていません。
ホワイトハウスから断続的に利下げ圧力と、パウエル議長自身にも政治的
圧力がかかる中、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は9日、CN
BCとのインタビューで、「パウエル議長を解任させようという試みはな
い」と発言し、「中央銀行の独立性を支持している」
との立場を表明しています。ただその中でも、昨年12月の利上げを「取
り消すよう」求めているようです。もっとも、この利上げに関してはFO
MCメンバーの中にも「拙速」だったとする意見もあり、見方は別れてい
ます。
市場で再びドル高傾向が強まったことに関して、「1週間で状況がこれほ
ど変わるものか」といったコメントが、為替市場でかなりアクティブな外
銀の担当者から聞こえてきました。G20での米中首脳会議とその後の米
雇用統計を経て、市場のセンチメントも、米景気の先行きに対して楽観的
な見方に変わりつつあります。ただそれでもドル円については、直ぐに1
10円台を回復する地合いでもなさそうです。110円台を回復してさら
に上昇するには、米経済の力強さを示すさらなるデータが不可欠だと考え
ます。今後ある程度の時間を経過し、その中で米国の優勢性が確認できれ
ば、市場のセンチメントもさらにドル高を予想する姿勢に変わってくる可
能性がありますが、それにはまだ時間がかかりそうです。
本日のドル円はややワイドに予想しますが、109円台に乗せる場面があ
ったとしても、そこから一段と上昇する相場ではないと予想しています。
ということで、レンジは108円30銭~109円30銭程度とします。
- [2019/07/10 09:07]
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ドル円続伸し108円台後半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸。特段材料はなかったものの、金利の上昇に
108円81銭まで買われ、約1カ月ぶりのドル高に。
◆ユーロドルも徐々に上値を切り下げたが、1.12台は
割り込めず前日と同じ展開に。
◆株式市場は続落。パウエル議長の議会証言を控え投資家は
慎重な姿勢を見せる中、売りが優勢となりダウは115ドル安。
◆債券相場は小幅ながら続落。長期金利は2.04%台へと上昇。
◆金は小幅に続落し、原油は続伸。
◆5月消費者信用残高 → 170.9億ドル
本日の注目イベント
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 クオールズ・FRB副議長講演
◆加 カナダ6月住宅着工件数
◆加 カナダ5月建設許可件数
昨日の東京タイムでは株価の下落に歩調を合わせ、ドル円もジリ安となり、108円
28銭前後まで売られましたが、その後の海外市場ではドルが上昇に転じ、NY市場
では約1カ月ぶりとなる108円81銭までドル高が進みました。
昨日の海外では特段ドルを買い戻す材料はなかったものの、先週末の雇用統計の影響
を引きずっていることと、米長期金利が若干上昇したことが手掛かりになっていると
思われます。
報道されているように、イランはウラン濃縮度が2015年の核合意で定められた規
定上限を超えたと発表し、さらに濃縮度を20%まで引き上げる可能性もあると警告
しています。核兵器への転用が可能になるウラン濃縮度は90%以上とされているた
め、直ちに核攻撃などのリスクが高まったわけではありませんが、トランプ大統領は
「イランは気をつけた方がよい。良いことでは全くない」と発言し、ペンス副大統領
も、「トランプ大統領の下、米国はイランが核兵器を保有することを決して許すこと
はない」と語っています。(ブルームバーグ)
米国はすでにイランに対する制裁措置を実施していますが、さらに追加の制裁措置が
近く発表されるものと思われます。
先月末には朝鮮半島非武装地帯の板門店で電撃的な米朝首脳会談が持たれ、朝鮮半島
の地政学的リスクが後退したばかりでしたが、「一難去ってまた一難」といった状況
です。
ただそれでも市場はそれほど指し迫った緊張だとは認識していないようで、昨日のN
Y市場では安全資産の債券が売られ、安全通貨の円も売られる展開でした。
原油価格と金は引き続き高水準で推移しており、この部分でイラン情勢の緊張をかい
間見ることはできますが、まだリスクオフを加速させているわけではありません。
明日のパウエル議長による議会証言が控えていることも、動きを鈍くしていると思わ
れますが、市場の関心は、やはり今後の米金融政策の方向性に集まっていると思われ
ます。
議会証言では、今月末のFOMCでの政策変更に関する何らかの言及があると予想さ
れています。良好な雇用統計を受け、「0.5%の利下げ」の目は既になくなったと
思われ、「0.25%の利下げ」で決まりかと思います。
そして市場はさらにFRBの次の動きを模索することに集中し、年内あと何回利下げ
が行われるのかを予測し始めます。
また、トランプ大統領が再三FRBに対して利下げ圧力をかけていることもあり、議
会では「金融政策の独立性」を巡って質問が出る可能性もあります。
「政治的圧力には一切屈しない」といったコメントも予想されますが、そうなると再
びトランプ大統領の反感をかうことにもなります。
仮に、パウエル議長の任期満了前にパウエル氏を解任したら、トルコのエルドアン大
統領と同じ失態を演じたことになり、歴史に名を残すことになります。
ドル円は108円台後半まで上昇したことで、「日足」よりも短いチャートでは全て
「雲抜け」を完了しており、底堅い動きになって来ました。
引き続き、ドルの戻り売りのスタンスが有効かとは思いますが、その水準には慎重さ
が必要になっています。
予想レンジは108円30銭~109円10銭程度を予想します。
- [2019/07/09 09:01]
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良好な雇用統計受けドル円反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は大幅に反発。6月の雇用統計で、雇用者数が予想を大きく
上回る伸びを示したことでドル円は108円64銭まで上昇。
その後はやや下押しされ、108円40―50銭で越週。
◆ドルが買われたことでユーロドルも下落。1.1208まで売られ、
約2週間ぶりのユーロ安水準に。
◆株式市場は揃って反落。これまで金利低下を手掛かりに買われて
いたが、この日は金利が大幅に上昇したことで、売りが先行。
ダウは5日ぶりに43ドル安。
◆債券相場は大幅に反落。長期金利は2.03%台へと急騰。
◆金は大幅安。原油は4日続伸。
◆6月失業率 → 3.7%
◆6月非農業部門雇用者数 → 22.4万人
◆6月平均時給 (前月比) → 0.2%
◆6月平均時給 (前年比) → 3.1%
◆6月労働参加率 → 62.9%
本日の注目イベント
◆日 6月景気ウオッチャー調査
◆日 5月貿易収支
◆独 独5月鉱工業生産
◆米 5月消費者信用残高
金曜日のこの欄で、雇用統計が良ければ株が売られ長期金利が上昇し、ドル円が
反発することも予想されると書きましたが、結果は非農業部門雇用者数が予想の
「16万人」に対して、「22.4万人」と、前月から15万人も増え、予想も
大きく上回りました。発表直後から「米労働市場はそれほど悪くはない」との見
方が広がり、市場は上述のように、これまでの動きの巻き戻しが優勢となり、長
期金利は2.03%台まで上昇し、ドル円を108円台半ばまで押し上げました。
ただ、失業率は3.7%と予想より1ポイント悪化し、平均時給の方も予想ほど
伸びていなかったことで、ドル円はその後やや押し戻されて取り引きを終えてい
ます。
今回の雇用統計を受け、前のめりだった市場の利下げ期待はやや修正されたと思
われますが、今月のFOMCでの利下げの可能性にはほとんど影響がないものと
思います。先週末に公表された、半期に一度のFRBによる「金融政策報告書」
では、経済成長ペースが今年4-6月(第2四半期)に鈍化したとし、過去最長
の米景気拡大を維持させるため利下げもあり得るとの姿勢を改めて示しています。
(ブルームバーグ)
報告書では、FOMCが6月の会合で使った「適切に行動する」との文言を繰り
返しており、予防的と見られている利下げは実施されると考えられ、焦点はその
際の利下げの幅、と言ってもいい状況です。
市場の一部には「0.5%」との声も挙がっていますが、今回の雇用統計の結果
を踏まえると「0. 25%」の可能性が高いと予想します。
また株式市場では先週、主要3指数が揃って「史上最高値を更新」するなど、極
めて堅調に推移しており、この点からすれば利下げ幅を拡大する必要性は少ない
と考えられます。最大の懸念材料だった米中通商協議も、首脳会談を経て再開さ
れています。FRBとしても、政策金利は出来るだけ高水準を維持しておきたい
との考えを持っていると思われます。
再び「リーマンショック級」の出来事が発生した場合、金利水準が低過ぎると政
策の効果が限定される恐れがあるからだと見られます。
今回のFOMCでは「0.25%」の予防的な利下げを実施した上で、今後の経
済データを分析していくことが最も考えられる手法かと思います。
ドル円は108円台半ばまで反発しましたが、このレベルはこれまでも何度か試
して抜けなかった水準と概ね同じです。
これも先週末のこの欄で述べましたが、今のところ、先月末辺りからゴールデン
クロスを点灯させている「MACD」に軍配が上がっています。
「MACD」はさらに上昇を拡大させてはいますが、未だに「マイナス圏」にいま
す。直ぐにドル円が109円台に向かう状況ではないことも示唆していると考え
られます。過度の利下げ期待が修正され、ドル円が109円台を回復できるのか。
あるいは、108円台半ばを頂点に再び下落基調に戻って行くのか、重要な局面
かもしれません。
本日の予想レンジは108円~108円80銭程度を予想します。
- [2019/07/08 08:59]
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米市場祝日で動かず
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
◆ドル円は107円80銭を挟んで小動き。参加者も少なく
値動きは限定的。
◆ユーロドルも値幅は20ポイント以下と小動き。
1.1273から1.1290までと、終始1.12台での
取り引きに。
ドル/円 107.75 ~ 107.84
ユーロ/ドル 1.1273 ~ 1.1290
ユーロ/円 121.53 ~ 121.70
NYダウ ------ → 26,966.00ドル
GOLD ------ → 57.34ドル
米10年国債 ------ → 1.950%
本日の注目イベント
◆日 5月景気先行指数
◆中 中国6月サービス製造業PMI
◆独 独5月製造業新規受注
◆米 6月雇用統計
◆加 カナダ6月就業者数
◆加 カナダ6月失業率
米国が「独立記念日」の祝日のため、為替はほとんど動きがありません。
さらに今夜6月の米雇用統計が発表されることも様子見気分を強めており、
今日この後の値動きも21時過ぎまで期待はできません。
世界的に金利低下が進む中、昨日はドイツ国債が買われ、金利が一段と低
下しています。ドイツの10年物国債の利回りはマイナス0.41%まで
低下し、ECBの中銀預金金利であるマイナス0.4%を初めて下回りま
した。
ブルームバーグによると、ドイツ国債の利回り低下を受け、投資家はイタ
リアやギリシャといったよりリスクの高い資産に向かっていると伝えてい
ます。ECBの次期総裁にIMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事が
指名され、同氏が就任すれば利下げや景気刺激策を強化し、利回りはさら
に低下するとの見立てがあるようです。因みにオランダの10年債利回り
もマイナス0.25%まで低下し、フランスもマイナス0.13%台、ス
ウェーデンもマイナス圏に沈んでいます。欧州の安全国であるスイスに至
ってはマイナス0.69%で昨日の取り引きを終えています。
こうなると、下がったとはいえ、まだプラス1.95%台の米10年債は
相対的に投資妙味が高まり、資金が集まる理由も理解できるというもので
す。
米国とイランの緊張が続いている中、昨日イギリスの特殊部隊がイベリア
半島南端にある英領ジブラルタルの沖合で、大型タンカーを拿捕したとい
うニュースがありました。タンカーは欧米の制裁に違反してシリアにイラ
ン産原油を輸送している途中とのことです。これを受けてイランは拿捕が
違法だと抗議をしており、イランを巡る緊張はさらに高まっています。
イランのウラン濃縮度を巡る問題では米国がイランに圧力をかけています
が、トランプ大統領は反発するイランに対して「イランよ、脅迫はやめた
ほうがよい。前例のない痛みのしっぺがえしが待っているぞ」と、軍事行
動を示唆するような警告もしており、イランの今後の出方次第では一触即
発の状況が高まる恐れもあります。
今夜は6月の雇用統計が発表されます。
雇用統計では、非農業部門雇者数の伸びがここ3カ月連続で急激に鈍化し
ています。
これらが、まだ一時的なものなのか、あるいはすでに労働市場に景気後退
の影響が出始めているのか、非常に注目されます。
現在「16万人」と予想されている6月の雇用者数が予想通りか、あるい
は若干でも上回るようなら、利下げ観測の後退につながり、株価が下落し、
金利が上昇し、ドル円は堅調に推移するものと予想します。
もちろんその逆の場合にはドルが売られ、107円割れがあるのかどうか
が焦点になります。「日足」の一目均衡表が示すように、ドル円は依然と
して下落基調が続いており、ドルの戻りを売るスタンスが有効のようです
が、一方で「MACD」ではすでにゴールデンクロスが
点灯しており、微妙な状況になっています。この状況は、今年1月3日の
「フラッシュ・クラッシュ」後の戻り基調の局面とよく似ています。
この局面では、結局「MACD」が勝利を収めたことはご承知の通りです。
予想レンジはややワイドに、107円~108円30銭程度とします。
- [2019/07/05 09:16]
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金利低下を背景に全ての商品が買われる展開
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は休日を控え参加者が少ない中、小幅に反発
金利は低下したものの、株価が大幅に続伸したことで
107円88銭までドルが買われ、この日の高値圏で引ける。
◆ユーロドルは引き続き方向感がなく、1.13を挟んでの展開。
1.1272まで売られたが、ポジション調整の域を出ず。
◆株式市場は金利低下を材料に大幅に続伸。ダウは179ドル高で
史上最高値を更新。S&P500とナスダックも最高値を更新し、
3指数が揃って高値を記録。
◆債券市場は経済指標の下振れを手掛かりに続伸。長期金利は
1.95%台まで低下。
◆金と原油は揃って上昇。
◆6月ADP雇用者数 → 10.2万人
◆5月貿易収支 → -555億ドル
◆新規失業保険申請件数 → 22.1万件
◆5月耐久財受注(改定値) → -1.3%
◆6月ISM非製造業景況指数 → 55.1
本日の注目イベント
◆豪 豪5月小売売上高
◆欧 ユーロ圏5月小売売上高
◆米 NY休場(独立記念日)
NY株式市場では株価の上昇が止まりません。ダウは179ドル上昇し、
これで他の指数には遅れたものの「史上最高値」を更新し、2万700
0ドルが視野に入ってきました。先行するS&P500もナスダックも
上昇し、この日は主要3指数が揃って最高値を更新しています。ドル円
は小幅ながら反発し、107円台後半をつけてはいますが、ユーロドル
に代表されるように、為替市場だけが「蚊帳の外」といった印象です。
昨日のNY市場では金も買われ、債券も買われています。
6月のADP雇用者数が予想を下回る10.2万人だったことで、政策
金利引の引き下げが進むといった見方から商品全般が買われている状況
です。このところのパターンは、「経済指標の下振れ→金融緩和策の強
化→金利低下を材料に株や金が上昇」といった動きが定着してきたかの
ようです。昨日は先行指標でもある、ISM製造業景況指数も予想を下
回り2年ぶりの低水準で、特に中小企業の雇用は1年4カ月ぶりの低下
でした。この結果を受けて、ISMは「回答者のコメントには、貿易・
関税問題を理由に一定の不確実性が存在する」との分析結果を発表して
います。
確かにこのところの経済指標は雇用を中心に悪化傾向が顕著で、FRB
による利下げ回数の増加観測を高めることになり、それが株価の上昇に
つながってはいますが、その前に、経済指標の下振れは景気そのものが
悪いということを認識しておくべきではないかと思います。景気の悪化
は、企業業績の悪化につながり、企業業績と株価は切っても切り離すこ
とは出来ません。今の株価の上昇は、典型的な「金融相場」と言えると
思います。ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長は、ブルームバーグ
とのインタビューで、「米金融当局が金利を引き下げ、米国・メキシコ
・カナダ協定(USMCA)を議会が承認し、トランプ大統領の成長計
画を推進すれば、ダウ平均株価は3万ドルに到達する」と述べています。
ECBの次期総裁にIMFのラガルド専務理事が指名されました。
ECBの第4代総裁は少なくも、理事会メンバーの中から選ばれると予
想していただけに、この人事はサプライズでした。ECB総裁に女性が
就任するのは初めてですが、フランスからは2人目の総裁で、これでド
イツ出身の総裁誕生がまた先送りになりました。欧州委員会の委員長に
ドイツ出身のフォンデアライエン氏が就任するため、独仏でポストを分
けたとの批評もありますが、ECB総裁の方がはるかに格上で、フラン
スが「漁夫の利を得た」格好です。
「欧州の大国ドイツ」に対する警戒感や、やっかみなどが背景にあるよ
うですが、ラガルド氏はIMFの前はフランスの財務大臣でしたが、セ
ントラル・バンカーとしての経験はありません。
それでもハト派のイメージが強く、これも株価の上昇に一役買ったよう
です。
またトランプ氏が空席のFRB理事にウオーラー、シェルトン両氏を指
名したことも、FRBの利下げを促すと見られています。因みにシェル
トン氏はトランプ氏の非公式アドバイザーを務めておりFRB内ではト
ランプ氏の意向を代弁すると見られ、この人事も株価の上昇につながっ
たようです。
金利低下観測が全ての商品上昇のドライバーになっていると見られます
が、果たしてこの先、市場が予想するようにFRBが年内に2~3回の
利下げを行うのでしょうか?
株価の上昇が続けば、いわゆる「資産効果」から個人消費の拡大につな
がります。
GDPの7割を個人消費が占める米経済にとって、個人消費が伸びれば
他の経済指標にも波及し、景気が再び拡大基調に戻るというシナリオも
考えられます。
そうなると、市場の前のめりの予測も修正局面を迎える場面があるかも
しれません。
ドル円は107-109円のレンジを形成しそうですが、その中でも上
値の重さが意識されます。戻り売りのスタンスはまだ有効だと思われま
す。
本日のドル円は107円30~108円程度予を想します。
米国が祝日のため、大きな動きはないと思われますが、どうでしょう。
- [2019/07/04 09:06]
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ドル円再び108円を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は売られ、再び108円台を割り込む。米長期金利が低下し欧州との貿易摩擦を懸念する声が拡大。ドル円は107円77銭まで下落し、107円90銭前後で取り引きを終える。
- ユーロドルは1.13を挟んでもみ合う。ドルが売られたことで、ユーロを買う動きもあったが、続かず。1.1312までユーロ高が進んだが、この日はユーロ円の売りもユーロの上値を押さえる。
- 株式市場は続伸。世界的な金利低下を背景に、株式市場への資金流入は継続。ダウは69ドル高。S&P500とナスダックは最高値を更新。
- 債券相場は続伸し、長期金利は1.97%台へと急低下。
- 金は大幅に反発。原油価格は利益確定の売りに押され大幅安。
本日の注目イベント
- 豪 5月住宅建設許可件数
- 豪 5月貿易収支
- 中 6月財新サービス業PMI
- 中 6月財新コンポジットPMI
- 独 6月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
- 米 6月ADP雇用者数
- 米 5月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 5月耐久財受注(改定値)
- 米 6月ISM非製造業景況指数
- 米 独立記念日の前日で株式・債券市場は短期取引
- 加 5月貿易収支
米中貿易問題で最悪の事態が避けられたことを好感し、月曜日のドル円は窓を開けて上昇しました。しかし、108円台半ばまで上昇したドル円は再び108円台を割り込んできました。直接の要因は米長期金利の低下でした。米10年債利回りは直近の最も低い水準を下回り、2016年11月以来となる1.97%台まで低下してきました。日米金利差の縮小を手掛かりにドル売りが進み、107円77銭までドル安に振れています。これで、ドル円は米中首脳会談前の水準に押し戻されたことになります。
米金利の低下は、世界的に金利が低下していることが影響している部分もあります。日本やドイツだけではなく、フランスの国債も買われ金利が低下してきました。イングランド銀行のカーニー総裁は昨日、「貿易を巡る緊張の高まりで、英国を含む世界の成長に対する下振れリスクが強まっている」と述べ、そのため「大規模な政策対応が必要になる可能性がある」との認識を示しました。この発言も主要国の金利低下に拍車をかけたようです。さらに米国とイランとの緊張が高まっており、ポンペオ国務長官は「イランが核開発を進めれば、経済圧力を強化する」と表明し、今後のイラン側の対応次第では、米国による軍事行動もないとは言えません。
米金利が低下する一方、米国の株式市場には資金が流入し、株価の上昇が止まりません。昨日はS&P500とナスダックが最高値を更新し、ダウも8カ月ぶりの高値を記録しています。外部環境は景気を含めて多くのリスクが散見される状況下で、金利低下だけをはやして株価が上昇する足元の動きに違和感を覚える市場関係者も多いと思いますが、運用結果が全てのこの世界、多くの投資家が株を買えば、追随して株を買わざるを得ません。仮に大きく下げたとすれば、その時は多くの投資家が一緒に傷を負うことになるからです。「We are in the same boat」、投資家から良く聞かれる言葉です。
米長期金利との相関が高いドル円は、今後米金利の低下傾向が続く以上なかなか上昇気流に乗ることができません。以前にも述べましたが、まだ足元の動きは株高がドルの下落を支えている部分もありますが、株価が急落すれば、リスクオフの流れから金利が低下する可能性は高く、そのような状況になると円高が急速に加速すると予想されます。今の株価に対する楽観的な見方が今後も続けばいいですが、一旦崩れるとその時の谷も深いものと予想されるため、常に目配りは必要です。本日のドル円は107円40銭~108円20銭程度を予想します。

- [2019/07/03 09:52]
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窓を開けて取り引き開始。米中首脳会談と米朝会談で。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は107円台後半でもみ合い。G20を控え
積極的な取引は見られず、経済指標の発表にも
反応が薄く、107円80-85銭で越週。
◆ユーロドルは1.13台半ばから後半での取り引き。
底値が徐々に固まってきたものの、1.14台では
ユーロ売り意欲も旺盛。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇。
ナスダックは8000の大台を回復し、ダウは73ドル高。
◆債券相場は続伸。長期金利は2.0%近辺まで低下。
◆金は上昇し、原油は反落。
◆米 5月個人所得 → 0.5%
◆米 5月個人支出 → 0.4%
◆米 5月PCEコアデフレータ → 1.5%
◆米 6月シカゴ購買部協会景気指数 → 49.7
◆米 6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 98.2
本日の注目イベント
◆日 6月日銀短観
◆中 6月財新製造業PMI
◆独 独6月失業率
◆独 独6月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏5月マネーサプライ
◆欧 ユーロ圏5月失業率
◆英 英5月消費者信用残高
◆米 6月ISM製造業景況指数
◆米 クラリダ・FRB副議長講演
この週末は、今年前半の最後の週でしたが象徴的な出来事がありました。
G20に米中首脳会談、さらには「電撃的」とも言え米朝首脳会談があり、トランプ氏は
米国大統領として初めて北朝鮮の地に足を踏み入れました。
米中首脳会談では、予想したとおり、制裁関税第4弾の発動は見送られ、貿易協議を再開
することで合意しました。
トランプ大統領と金正恩委員長の会談については、先週金曜日の段階で、トランプ氏が「
2分でも会えればいい」とツイートしていたこともあり、可能性はありましたが、まさか
50分も会談し、しかも北朝鮮の地に入ったことは驚きでした。
これで、「G20会合」の存在がますます影を薄くしたような気もします
米中首脳会談では、3000億ドル(約32兆3600億円)相当の中国製品に対する追
加関税の発動を先送りし、さらにトランプ氏はファーウェイに対する禁輸措置を緩和し、
米企業に同社への部品売却を条件つきながらも認めると語っています。
米中首脳で話合われた内容については明らかになってはいませんが、トランプ氏は会談終
了後に「予想よりもはるかに良いものだった」とツイートしていました。
今後制裁関税第4弾発動の可能性が全くなくなったわけではありませんが、ひとまず貿易
戦争の激化は回避された格好です。
昨日中国の6月製造業PMIが発表されましたが、「50」の節目を下回っただけではな
く、事前予想を下回る「49.4」でした。
中国景気は3月頃、一旦は底入れしたとの観測もありましたが、今回の指標を見る限り再
び下落基調に転じ、2番底を探る展開になっている可能性もあり、米国との貿易問題をこ
れ以上こじらせるわけにはいかないといった事情もあります。
米朝会談では、その仲介役を担ったと思われる、韓国の文大統領の誇らしげな顔も印象的
でしたが、トランプ大統領と金委員長それぞれに、早い時期に会わなければならない「事
情」もあったようです。
トランプ氏は言うまでもなく、2020年の大統領選が始まっており、現職大統領として
の立場を最大限に有効活用したと見られます。そのためには「目に見える成果」が必要だ
ったはずで、今回2つの「成果」を持ち帰ることに成功したと言えます。
また金委員長も、制裁が長く続いており国内の経済状態も厳しい中、打開策が求められて
おり、そのためにはトランプ氏に直接会うのが最も有効だったと思われます。
ちょうどタイミングよく、相手から「会いたい」とのオファーがあったため、万難を排し
て会談の実現に奔走したのではないかと予想されます。
今回の会談では、お互いが首都ワシントンと平壌に招待することも約束したようです。
今朝のドル円は「窓を開けて」取り引きが始まっています。
既に先週記録した戻り高値の108円15銭を大きく上回る108円台半ばまでドルが買
い戻されています。
本日はさすがの日本株も大幅な上昇を見せることでしょう。
海外市場が上記材料をまだ織り込んでいないことから、今日1日を考えると、ドルは底堅
く推移すると予想します。
レンジは108円~109円程度と見ています。
明日(7月2日)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。
ご愛読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解くださいますようお願い申し上
げます。
- [2019/07/01 09:06]
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