英国のハードブレグジット観測やや後退
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は105円台後半から106円台を回復。106円45銭までドル高が進んだが、106円台半ばを抜けず。
- ユーロドルは1.09台から1.1038まで上昇。英国の合意なき離脱の可能性が後退したことでユーロの買い戻しが優勢に。
- 株式市場は大幅に反発。中国の経済指標が好転したことや、香港、英国の政治的緊張がやや緩んだことを好感。ダウは237ドル上昇し、他の主要指数も揃って大幅に反発。
- 債券は小幅に売られたが下落幅は限定的。長期金利は1.46%台に。
- 金は続伸。原油価格は3営業日ぶりに反発。景気後退に歯止めがかかるとの見方から2ドルを超える上昇に。
本日の注目イベント
- 豪 豪7月貿易収支
- 米 8月ADP雇用者数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 8月ISM非製造業景況指数
ドル円が105円台半ばを試しに行くのか、あるいはこれまでと同様に106円台を回復するのか注目していましたが、結局今回も106円台半ばまでドルが押し返され、改めて105円台ではドルが底堅いことを示しています。昨日はユーロ円やポンド円、さらには豪ドル円など、ほぼ全てのクロス円が買い戻され、これまでの下落傾向に一服感が出て、これがドル円での円売りにもつながった側面もあります。ただドル円は「1時間足」を見ると、今月に入って上値は106円40-50銭で上昇を抑えられており、今後この水準を上抜けできるかどうかも注意したところです。
英下院は10月末の合意なきEU離脱を阻止する法案を賛成327、反対299で可決しました。これによりジョンソン首相はEUと新たな離脱協提案を合意で成立させるか、議会で合意なき離脱の承認を得られなければ、離脱期限を3カ月延長するよう求められます。ジョンソン首相はこれに対抗して、10月15日に総選挙を実施する動議を提出しましたが、否決されています。合意なき離脱(ハードブレグジット)の可能性はやや後退したものの、依然先行き不透明であることは変わりません。
トランプ大統領は4日ホワイトハウスで、「私が中国と何もしたくなかったら、米国の株式相場は今よりも1万ポイント高かっただろう。だが、誰かがこうするしかなかった」と述べ、足元の株価の混乱を認めながらも、自己弁護とも思える発言を行っています。また、中国に対する関税第4弾について、「何が起こるか見守る。彼らは取引をしたければするし、取引をしたくないなら、それで結構」と語り、今後の協議の進展について言及しませんでした。(ブルームバーグ)
中国が景気支援のため、預金準備率の広範な引き下げなど、「時宜を得た」手段の活用を求めると中国CCTVが報じました。昨日発表された8月の財新サービス業PMIが前月より上昇したことや、香港での政治的緊張がやや後退したことで、昨日のNY株式市場は大きく上昇しました。それほど好材料ではなかったものの、市場の反応を見ると、「買う材料を探している」といった印象です。トランプ氏が言ったように、もし米中貿易戦争がなかったら、ダウは3万6000ドルも可能だったのかもしれません。
FOMCまで2週間あまりです。すでに25bpの利下げは完全に織りこんでおり、今週発表されたISM製造業景況指数が大きく下振れしたことで、50bpの可能性も浮上してきました。NY連銀のウイリアムズ総裁は、「国内外の不確実性が、景気見通しと金融政策に関する私の思索において重要な要素になりつつある」と語り、「私は、こうした不明瞭な先行きを注視しながら、成長の継続と力強い労働市場、インフレ率の2%に向けた持続的な上昇を支えるための適切な行動に備えて警戒を続ける」と述べ、トランプ大統領が中国を相手に仕掛けた貿易戦争の影響については、「企業マインドを冷やしている」との認識を示しました。利下げ幅に関しては、明日発表される8月の雇用統計の結果がカギになりそうです。上記製造業景況指数でも「雇用」の項目は前月よりも大きく減少していました。また市場では「逆イールド」発生にも警戒感を強めています。仮に雇用統計で結果が予想を大きく下回り、予防的な行動を起こすとすれば、50bpの可能性も排除できないと考えます。利下げ幅が、25bpか50bpかで、105円50銭~106円50銭の狭いレンジはどちらかにブレイクすると予想されます。本日のドル円は106円~106円70銭程度を予想します。
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- [2019/09/05 10:15]
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