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WTI原油価格一時19ドル台前半まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間では株価の大幅下落に伴い107円12銭前後まで
売られたドル円は、海外市場では反発。NY市場では108円台
に乗せ、108円29銭まで買われたが、107円台後半まで
押し戻されて取引を終える。
◆ユーロドルは反落。1.1010近辺まで売られ、ドル高が
優勢に。
◆株式市場は反発。新型コロナの迅速な検査に向けた取り組みに
期待感が広がり、ヘルスケア株を中心に上昇。ダウは690ドル高。
◆債券相場は反落。長期金利は0.72%台へと上昇。
◆金は反落し、原油は一時20ドルを割り込む。

本日の注目イベント

◆日   2月失業率
◆日   2月鉱工業生産
◆中   中国3月製造業PMI
◆中   中国3月サービス業PMI
◆独   独3月失業率
◆英   英10-12月期GDP(速報値)
◆米   1月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   3月消費者信頼感指数
◆加   カナダ1月GDP

昨日の東京市場では朝方に日経平均株価が大きく売られ、一時は先週末比
800円を超える下げを見せました。ドル円もそれに伴って下落し、10
7円12銭前後まで円高ドル安が進み、約2週間ぶりの水準を付ける場面
がありました。午後には株価が下げ幅を縮小したことで107円台半ばを
超え、NY市場での108円台回復につながったと思われます。
日本でも東京都を中心に新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、昨日
はネット上で政府が近く「ロックダウン」を発動するといった噂まで飛び
交うほど、感染拡大を巡る、非常に重要な局面にいます。
安全通貨としての円もややその効力を失いつつある中、無条件に円買いを
進めるわけにもいかないといった状況かと思います。

足元では日米欧が懸命にコロナ対策に奔走していますが、どこの国がいち
早く効果的な体制を構築し、その効果が目に見えて来るのかが、為替の水
準を決めることになるのもしれません。その意味では昨日、日米で新型コ
ロナウイルスの治療に関する臨床試験(治験)に着手するといった「朗報」
が発表されています。
日本では富士フイルムの子会社である富山化学が「アビガン」の有効性に
関する臨床試験を、本日31日から始めることを発表しています。
米国では、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が新型コロナウイ
ルス感染症向けワクチンの臨床試験を11月の早い時期に開始すると発表
しています。同社は今月中にワクチン候補を選ぶ見込みで、広範な生産に
向けた工程を進めていくと見られています。

そのコロナウイルスによる感染は米国で急拡大しており、感染者数は16
万人に迫ると報告されています。ただ、米国もポルトガルも感染者数は依
然として増加していますが、そのペースは鈍化しているようで、感染のピ
ークは近いとの見方もあるようです。ただ世界全体でみた場合、感染者数
は確実に増えているのが実情です。東京都での感染者数も昨日は13人で、
ここ数日40-68人の感染者数が出ていたことに比べると一気に減少し
ていますが、これが一時的なものなのかどうか、今後1週間ほどが分岐点
と言われています。

原油価格が再び下げ足を速め、昨日のNYマーカンタイルでは一時20ド
ルを割り込み、19ドル27セント辺りまで売られる場面がありました。
新型コロナウイルスの影響から世界的に企業の生産活動が落ち込み、人の
移動もほぼ制限されている状況から、原油の消費量が急激に減少すること
が予想されます。
加えて、サウジが過去最大級の増産体制に移行するといった「価格戦争」
が、原油価格を大きく下げています。米国ではすでに生産コストの高いシ
ェールオイル会社が休止に追い込まれており、生産コストが40-50ド
ルと言われている米国のシェールオイル企業は、採掘すればするほど赤字
が膨らむ状況です。一方のサウジアラビアの生産コストは3ドル以下と言
われ、圧倒的な価格競争力を持っています。
原油価格を一気に下げてシェア拡大を狙うサウジの戦略が、今のところ機
能しているようです。トランプ大統領は30日、ロシアのプ―チン大統領
と電話で会談し、ロシアとサウジによる原油価格戦争について話し合いま
した。米ロ首脳は、両国のエネルギー担当者による協議を実施することで
合意し、トランプ氏は会談前、エネルギーセクターが「壊滅的な打撃を受
ける」のを目にしたくはないと述べていた、とブルームバーグは伝えてい
ます。

本日は多くの企業の決算日です。
レパトリによるドル売り圧力はほぼ終えているものと思われますが、東京
市場ではいつものように、ドル売り意欲が強く、余程の好材料がない限り
上値は限定的と見られます。動きが比較的穏やかだった昨日でさえ、1円
以上の値動きになっています。

引き続き慎重にトレードすることが肝要です。

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ドル円107円台に急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米国でコロナウイルスの感染が拡大していることや、
経済データが景気のさらなる悪化を示したことでドル円は
107円75銭まで売られる。米長期金利の急低下もドル売りに
拍車をかける。
◆ドル安の流れが強まり、ユーロドルも10日ぶりに1.11台
半ばまで買われる。
◆株式市場は大幅反落。このところの上昇ペースが速かったことや、
コロナウイルスの感染拡大が続いていることが株価の大幅下落につながった。
ダウは4日ぶりに下落し、他の主要指数も揃って反落。
◆債券相場は大きく買われ、長期金利は2週間ぶりとなる
0.67%台まで低下。
◆金は反落。原油は続落し21ドル台に。

◆2月個人所得                 →  0.6%
◆2月個人支出                 →  0.2%
◆2月PCEコアデフレータ           →  1.8%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  89.1


本日の注目イベント

◆独   独3月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月景況感指数
◆欧   ユーロ圏3月消費者信頼感指数(確報値)
◆英  英2月消費者信用残
◆米   3月ダラス連銀製造業景況指数


米国での新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることで、先週末のNY市場
では株価が再び大きく下げ、長期金利が急低下したことでドル円も大幅に売られ
ました。それまでは、110円台半ばから111円台半ばでのもみ合いが続いて
いましたが、107円台までドル安が進んだことで105-110円のレンジに
戻った可能性が高く、今年のドルの最高値である112円23銭を更新する可能
性はやや後退しています。市場は連日新型コロナウイルスの感染状況に目を向け
てはいますが、2月の経済指標や、3月、4月の速報値が発表されてきたことで
投資家は、新型コロナウイルス感染の影響がどこまで景気を悪化させているのか
に注目し、その結果がドルの上げ下げにもつながってきました。

昨日までの発表によると、NY州での死者は965人と、依然として拡大傾向に
あります。米国全体では感染者数が12万5千人に迫り、死者数は2000人を
超えています。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・フ
ァウチ所長によると、新型コロナ感染症による米国の死者数は20万人に達する
可能性があると指摘し、「ただ、それにとらわれる必要はない。対象が余りにも
流動的なため、容易に間違いとなる可能性がある」と述べています。(ブルーム
バーグ)
ただ、日本でも東京都を中心に感染者数の増加ペースが拡大しており、スペイン
でも1日あたりの死者数が3日連続で最多記録を更新しています。
一方で、イタリアでは新たな死者数は2日連続で減少しており、感染拡大がいち
早く止まった中国では、中国に生産拠点を持つ日本の大手企業の8割が平常稼働
に戻った(日経新聞)との報道があります。このように日米欧で拡大中のコロナ
ウイルスも、うまく感染拡大を封じこめれば、中国のように正常に近い状態に戻
れることは明白です。特に日本では、ここ1-2週間が爆発的な感染拡大を防ぐ
ことが出来るかどうかの「分水嶺」と認識されています。

コロナウイルスの感染拡大により大きく冷え込んだ景気を刺激する対策案が、各
国で講じられています。日本では、現金給付と追加経済対策を中心とする20年
度補正予算案の編成が、今後10日程で取りまとめられ、国会に提出されるよう
です。規模は「リーマンショック時の経済対策を上回る」と、安倍首相は強調し
ていましたが、米国の規模はリーマンショック時約3倍です。これまでの経済対
策を合わせると2兆8000億ドル(約302兆円)と、2019年の米国GD
Pの約13%にあたります。米国の経済対策法案は上下院で可決し、トランプ大
統領が署名を終えました。ムニューシン財務長官は、小企業向けの融資プログラ
ムが今週中に開始されると述べ、景気対策により労働者は約3週間以内に銀行振
り込みか小切手の形で支援を受けることが期待できると語っています。

ドル円は、早朝には107円台半ばまで円高が進みました。
本日はNY株の大幅安と円高の影響から日本株も500-1000円程度の下げ
が見込まれます。新型コロナウイルスの感染拡大に、どれだけ迅速に効果的な対
策を立てられるかが重要で、その結果でドル円の値位置も決まってきそうです。
また上で述べたように、今後は経済データにも注目が集まります。今週末には3
月の雇用統計が発表されますが、久しぶりに注目度も高く、結果次第では、かつ
てのそれのように大相場になる可能性があります。
既に予想では、失業率が「3.8%」まで悪化すると出ており、非農業部門雇用
者数に至っては、「10万人の減少」と予想されています。
個人的にはさらに減少している可能性があるのではと見ていますが、因みに2月
分は「27.3万人」の増加でした。
予想を下回るようだと、ドルの下押し要因になる可能性がありそうです。



米失業保険申請件数328万件に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大幅に下落。失業保険申請件数が過去最多件数に
なったことや、ドル資金回帰の流れが一巡したことで
109円21銭までドル安が進む。
◆ユーロドルも反発。ドル安の流れに、1.1058まで
ユーロ高に。ECBが債券購入を実施する際の制限が撤廃された
こともユーロの買い戻しを促す。
◆株式市場は大幅に続伸。2兆ドル(約220兆円)を超える
景気対策が本日にも議会を通過する見通しになったことを好感。
ダウは1351ドル上昇し、これで3日続伸。この間の上げ幅は
20%を超える。
◆債券相場は反発。長期金利は0.84%台へ低下。
◆金は反発。原油は大幅に反落。

◆新規失業保険申請件数       →  328.3万件
◆10-12月GDP(確定値)   →  2.1%

本日の注目イベント

◆日  3月東京都区部消費者物価指数
◆米   2月個人所得
◆米   2月個人支出
◆米   2月PCEコアデフレータ
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

昨日発表された新規失業保険申請件数は、相当の増加が見込まれており、最大で300
万件に達するのではとの予想があることを、この欄でも紹介しましたが、結果はさらに
増加していました。件数は328.3万件と、これまでの過去最多を記録した1982
年の69.5万件の4倍を上回り、1967年の統計開始以来の最多件数を大きく更新
しました。

申請件数は全米で増加していましたが、特にペンシルベニア州での増加が目立ち、同州
の件数は
37万8990件と最多だったようです。なぜ同州の件数が急激に増加したのかは、現
時点では判明していませんが、失業保険申請件数の増加はそのまま雇用統計の「失業率」
にも直結してくると思われます。
2月の雇用統計での「失業率」は3.5%と、50年ぶりの低水準を維持していました。
昨年9月以来6カ月間、3.5~3.6%と非常に低水準で安定しており、米労働市場
の堅調さが米景気拡大の源泉の一つと見られていました。
今回の桁外れの数字は、今後数カ月以内に「失業率」が大きく悪化することを示唆して
いるものと見られます。

ドル円は予想されていたとは言え、この数字に反応した部分があります。
今後は、発表される様々な経済指標が「下振れ」する可能性が高く、ドル安につながる
可能性もあります。同時に、111円50-70銭レベルを先週金曜日から4日連続で
試し、全て押し戻されていました。昨日のコメントでも、112円23銭という、今年
のドルの最高値を更新することが出来ない限り、ドル円は下げる余地があると述べてき
ましたが、どうやら111円台半ばから上方が「壁」として意識される状況になってき
たようです。またこれも既に述べたことですが、筆者が使用している「移動平均線」で
は、未だに「ゴールデンクロス」は見せていませんでした。「MACD」ではドル買い
サインがとうに出ていたにも拘わらず、「移動平均線」では買いサインが出ていないこ
とに注意はしていましたが、今朝の時点では、短期と長期の線がほぼ同じ水準に位置し
ており、クロスしそうな気配です。今後、この線が再び乖離していくのか、あるいは遅
まきながら「ゴールデンクロス」を点滅させるのか、注目していきます。
(いずれも日足ベース)

日足では3月9日につけた101円18銭を起点とした「トレンドライン」も割り込ん
できました。ドルの上値が徐々に重くなってきたと思いますが、ただここから円をむや
みに買っていくわけにもいかない状況かと思います。
欧米各国に比べ、比較的感染拡大をうまく抑えてきた日本でしたが、ここにきて首都東
京での新型コロナウイルスの感染が日増しに拡大してきました。
小池都知事が会見を行った2日前には41人だった感染者数が、昨日は47人に増えて
おり、今後急増する恐れも出ています。
さらに、都内で感染が確認された人の46%で感染経路が不明であり、これが今後の急
拡大につながる恐れがあると指摘する専門家もいます。
今後、イタリアや米国で起こっている「オーバーシュート」もないとは言えません。
また景気対策でも米国に比べ、決定・実施までの時間が長く、その効果も不透明です。
必ずしも、今後円がさらに買われ、101円台を目指すとも思えません。
105-110円のレンジに戻ったのか、あるいは107-112円のレンジが継続さ
れているのか、今後の日米でのコロナの感染状況がカギを握っていると見られます。
特に、首都東京での感染拡大がどこでまで続くのかが大きな焦点になると見ています。



NYダウ2月以降で初の続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は111円台で堅調に推移。日米の株価が続伸し、
債券市場も落ち着いていたことで、111円台前半から
半ばで推移。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げたものの、前日と
ほぼ同水準でもみ合う。
◆株式市場は大規模な景気対策案が合意されるとの見方
から続伸。ダウは一時1300ドルを超える上昇を見せ、
2万2000ドル台に乗せたが、引けにかけてだれる。
結局、前日比495ドル上げ、ナスダックは33ポイントの下げ。
◆債券相場は続落。長期金利は小幅に上昇し、0.86%台に。
◆金は利益確定の売りに押され反落。原油は3日続伸。

◆2月耐久財受注     → 1.2% 

本日の注目イベント

◆独   独4月GFK消費者信頼感
◆英   英2月小売売上高
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE総裁会見
◆英   BOE議事録
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10-12月GDP(確定値)

連日大きく下げた日米の株価が大幅に上昇に転じ、ドル円も111円台半ばから後半
を伺う展開に
なってきました。市場の不確実性は依然として強いものの、日米では中銀による大規
模な金融政策と量的緩和に加えて、ようやく財政の出動も決まりそうなことが、市場
安定に寄与しているようです。米国では2兆ドル(約220兆円)という、過去最大
規模の景気対策案が早ければ本日にも議会で可決する見通しで、この案には、中間・
低所得層には大人1200ドル、子供500ドルを直接支給するという政策も含まれ
ています。

ただ大統領選で、民主党候補の一人であるサンダース議員は、この法案を採決に持ち
込むことを阻止する意向をツイッターで表明しています。
昨日のNY株式市場で、景気対策の合意観測からダウは一時1300ドル程上昇しま
したが、このサンダース議員のツイートを受け、大きく上げ幅を縮小したようです。
日本の景気対策も5月をめどに、50兆円を超える見通しで、この規模はリーマンシ
ョック時のそれを超える規模になっています。
しかしながらそれでも市場への影響は未知数で、まだ規模が足りないとする見方もあ
るようです。「金融や財政ではコロナウイルスの感染は止められない」と、当初から
言われてきました。今朝の時点では、新型コロナウイルスの感染例は世界で45.1
万人に迫り、死者の数は2万5000人に接近していると報告されています。
東京都も昨日は小池都知事が夜8時から会見を行い、「東京都は感染爆発の重大局面
にある」ことを訴えていました。昨日1日だけで感染者が41人も増え、イタリアや
スペインと同じ道をたどるのでは、との危機感があるようです。
まさに爆発的に感染者が増加するのか、それを食い止められるのかの「分岐点」に差
しかかっていると言える状況です。

セントルイス連銀のブラード総裁はCNBCに出演し、新型コロナウイルスの感染拡
大が米経済に甚大な被害を与える可能性があり、そのピークは4-6月期との認識を
示しました。総裁は、「甚大な被害を与えるのは4-6月期となる可能性が高いが、
景気は年末までに持ち直すはずだ」と述べ、「前代未聞の数字となるだろうが、希望
を失ってはいけない」と、4-6月期に失業率が30%に到達する可能性があるとし
た、先の発言を和らげました。(ブルームバーグ)その意味では、今夜発表される
「新規失業保険申請件数」が注目されます。毎週発表されるこの指標は、長い間20
~22万件で安定的に推移してきました。
リーマンショック後には、一時40万件に迫る水準にまで急増したこともありました
が、今週のそれは「桁外れの急増になる」と、ブラード総裁は語っていました。
S&Pグローバル・レーティングスによると、今夜発表の数字は最大で300万件と、
1982年に記録した過去最多水準の4倍になる可能性もあるとしています。(ブル
ームバーグ)
すでに発表されたマークイットのサービス業PMIでも、市場予想を大きく下回る結
果が出ています。今後発表される3、4月の経済データは、予想よりも大きく悪化し
たものが多く出てきそうです。そのたびに、市場はドル売りで反応する可能性もあり
ます。ただ、ブラード総裁も述べているように、この状況は短期的に終わる可能性が
高く、そのための景気対策を現在行っているところです。

ドル円は相変わらず、東京時間で売られてもNYでは反発する傾向が続いています。
111円50-70銭近辺が「壁」になっている印象ですが、これは、今年のドルの
最高値に接近していることと、「月足の雲」に抑えられていることが原因と考えられ
ます。米国での新型コロナウイルスの感染がどこまで続くのかにもよりますが、個人
的には112円23銭という今年のドル最高値を抜けない限り、ドル円は再び107
円方向の可能性が高いと予想していますが、どうでしょう・・・・。

もうしばらく相場の動きを注意深く見る必要があります。



NYダウ過去最大の上げ幅を記録 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円台から再び111円台を回復し、
111円71銭まで上昇。米国の景気対策案が合意に
近いとの観測に、NY株式市場で株価が急騰したことで、
リスク回避の流れが後退。
◆ユーロドルは反落。1.0746まで売られたが、
下げ幅は小幅。ユーロ円は120円台半ばまで反発。
◆株式市場は、アジアや欧米での株高と、2兆ドル
(約220兆円)の景気対策の合意が近いとの観測から
ほぼ全面高の様相。ダウは過去最大の上げ幅となる
2112ドル上昇し、2万ドルの大台を5営業日ぶりに回復。
◆債券相場は反落。長期金利は0.84%台へ上昇。
◆金はこの日も急騰。前日比93ドル上げ、1660ドル台に。
FRBによる量的緩和が続いており、資金が商品市場に流入した
との見方。原油は続伸。

◆3月マークイット製造業PMI     →  49.2
◆3月マークイットサービス業PMI   →  39.1
◆2月新築住宅販売件数         →  76.5万件
◆3月リッチモンド連銀製造業指数    →  2

本日の注目イベント

◆英   英2月消費者物価指数
◆米   2月耐久財受注

今月に入って何度となく耳にした「過去最大の下げ幅」、「過去最大の上げ幅」
といったフレーズを、昨日もまたNY株式市場から聞こえてきました。
昨日の東京株式市場の値動きから、ある程度の予想はされましたが、アジアや
欧州の株式市場で株価が急反発したことを受け、NYダウは前日比2112ドル、
率にして11.37%も上昇しました。前日には1万8500ドル台まで売られ、
さすがに下げ過ぎとの見方もありましたが、トランプ政権が提案している2兆ド
ルの景気対策法案が近く与野党で合意する見通しになったことが大きく作用した
ようです。ペロシ下院議長も、24日中に合意がまとまる可能性に言及していま
す。

ドル円は東京時間には売られる傾向がありますが、NYに入ると大きく買われる
流れが続いています。昨日も東京時間には110円割れ目前の水準までドル売り
が進みましたが、その後の海外市場では1円50銭以上もドル高が進みました。
昨日もこの欄で触れたように、上昇傾向を見せてはいるものの、引き続き「月足」
の雲に抑えられている格好になっています。
FRBが無制限の量的緩和を行い、日銀もドル資金の供給を積極的に行っている
ため、ドル資金調達への懸念はやや後退していると見られますが、市場全体の不
安はまだ払拭されていないといったところです。

米国では新型コロナウイルスの感染拡大が止まっていません。全米の3分の1の
州では、人々の移動に制限がかかっており、経済活動も急速に縮小しています。
昨日発表されたIHSマークイットの、製造業とサービス業を合わせた3月の総
合PMIは「40.5」と、節目の「50」を大きく下回り、2009年10月
に統計が始まって以来最大の下げ幅になっていました。特にサービス業PMIは
「39.1」と、前月から10.3ポイント低下しており、IHSマークイット
のチーフエコノミストは、「3月のPMIはGDPの年率での減少ペースが5%
に近づいていることをおおよそ示唆している。だが新型コロナとの闘いでロック
ダウンや閉鎖が広がっており、4-6月(第2四半期)は減少率がさらに大きく
なる可能性が高い」と述べています。(ブルームバーグ)

そんな中、トランプ大統領は24日FOXニュースに対して、「イースター(4
月12日の復活祭)までに経済活動を再開させたいと強く願っている」と語って
います。また、トランプ大統領は人々の社会的接触を制限する15日間の措置が
来週終了した段階で、労働者に職場復帰を呼びかけるかどうかを検討すると説明
してきましたが、「この措置を続けることを認めれば、より多くの人が亡くなる
と私は考える」と述べました。
景気下降が長引けば、多くの自殺者が出るのでは、との考えを示しています。
ただWHOは、米国が新型コロナウイルス感染の新たな中心地になり得るとの見
解を示しています。

本日も日本株は堅調な動きを見せそうです。
それでもドル円は株価の上昇にはあまり反応しません。
依然としてドルの先安感が投資家の間で存在し、これが、ドルが上昇した際には
ドル売りという形で上昇を抑制していると思われ、特に東京市場ではこの傾向が
顕著です。投資家や輸出筋の相場観が修正されれば、この動きも一変することも
考えられますが、それには、2月に記録した、現時点ではドルの最高値である1
12円23銭前後を上回るドル高局面が必要かと思います。
連日1円50銭~2円程度の値幅が常態化しています。安易なポジションメイク
は避けるようにしましょう。



ドル円再び111円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台半ばから急反発。米国でのコロナウイルスの
感染拡大が止まらず、ドル資金への需要が継続。ドル円は一時
111円59銭まで上昇。先週末のドル高水準を若干上回る。
◆ユーロドルも反発。ドイツ政府が7500億ユーロ(約89.7兆円)の
財政パッケージを承認したことでユーロの買い戻しが進み、1.0828
まで上昇。
◆株式市場は続落。2兆ドル(約111兆円)規模の景気対策案の
成立が不透明になったことが背景。ダウは582ドル下げ、
直近最安値を更新。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.78%台へと低下。
◆金は大幅に続伸。前日比83ドル(約5.6%)上昇し、1日の
上げ幅としては1984年11月以来となる急騰。原油は小幅に続伸。

本日の注目イベント

◆日  1月景気先行指数(改定値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆独   独3月製造業PMI(速報値)
◆独   独3月サービス業PMI(速報値)
◆米   3月マークイット製造業PMI
◆米   3月マークイットサービス業PMI
◆米   2月新築住宅販売件数
◆米   3月リッチモンド連銀製造業指数

昨日の東京時間には109円台半ばまで売られたドル円は、NY市場では111円
59銭まで買われ、ほぼ2円上昇しました。米長期金利は低下し、株価も大幅に続
落する中、ドル資金の確保という流れが続いており、「有事のドル買い」の様相が
さらに強まってきました。特に、新興国通貨に対してドルが買われる流れが続いて
おり、多くの新興国では債務がドル建てのケースが多く、ドル高が進めば進むほど、
「借金が増える」構図になっています。またトルコなど、インフレ率も比較的高く、
自国通貨安が進めばさらに生活が困窮するという事情もあり、多くの国民が自国通
貨を売ってドルに換えるといった行動も背景にはあると見られます。
それにしても、ドル円もよく動きます。昨日もこの欄で述べたように、上昇すれば
さらに「買え」というプログラムが発動され、ドルをさらに押し上げます。「ここ
まではないだろう」といったレベルでの指値でないと、ポジションメイクした途端、
マイナスが膨らんでしまいます。昨日NYマーカンタイルで金が急騰したのも、こ
の種の動きと言えます。

米国では今週に入り新型コロナウイルスの感染が急拡大していますが、トランプ政
権が主導する2兆ドル規模の景気対策案が米議会で否決されました。採決は賛成4
9票、反対46票で、可決には60票が必要でした。米国民にとっては早急な可決
が必要なことは論を待ちませんが、ここでも11月の大統領選を巡る思惑が絡んで
いるようです。
採決に反対した民主党は、景気対策そのものには賛成するものの、救済策の中身に
反対しているようです。救済策は、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた特定
の企業に、その対象を絞っており、これが大統領選に利用されるのではと警戒を強
めています。この法案が通ると、ボーイングなどの航空機メーカーや航空会社に資
金が向かうとされています。

一方で止まらない感染拡大に、FRBは今月3度目となる臨時の会合を開き、先週
決めた量的緩和を無制限で行うことを決めました。
先の会合では、国債とMBSを年7000億ドル(約77兆円)購入することを決
めていましたが、今回その額を、「円滑な市場機能を支え、金融政策の効果的な伝
達を支援する上で必要な額」に切り替え、事実上無制限としました。
ドイツでも政府が臨時閣議を開き、総額7500億ユーロ(約89.7兆円)規模
の財政パッケージを承認しています。

ドル円は「月足」の雲の上限を試しているように見えます。
現在111円70銭前後にある「雲」を完全に上抜けすれば、2月に記録した11
2円23銭も視野に入って来るかと思います。
ただ足元の動きは、ドル資金を確保することが優先されている相場展開かと思われ、
コロナ騒動が終息に向えば、再び円高に振れる可能性も排除できません。
本日はNY株式市場が大幅続落でしたが、円安が進んだせいもあり、日本株の大幅
な下げは回避できそうです。
ここを好機と見た買いが入れば400-600円程の上昇もあるかもしれません。

NYダウは2月12日の史上最高値からすでに1万1000ドルも下落しています。
率にして実に37%を超えています。
これだけ下げても株式関係者の声はまだまだ弱気が多く、「総悲観」と言ってもい
いくらい、非常に暗い雰囲気です。
投資の神様と言われる、ウオーレン・バフェット氏は「悲観は友、陶酔は敵」と述
べています。また、「ソックス(靴下)でも、ストックス(株)でも、値札が下が
った質の高いものを買うのが私は好きだ」とも語っています。(日経ヴェリタス3
月22日号より)14兆円もの現金預金を保有している、バフェット氏率いるバー
クシャー・ハザウェイは、今この混乱を、「絶好の買い場」と見ているのか、それ
とも「嵐が過ぎ去るのをじっと待っている」のか、どのような
戦略を立てているのでしょうか。



ドル円一時111円台半ばまで急騰 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 日本の連休前には108円台だったドル円は一段と上昇し、NY市場では111円50銭まで急騰。ドル資金を確保しようとする動きが加速し、約1カ月ぶりの高値を記録。

  • ユーロドルでもドルを買う動きが強まり、一時は1.0638までユーロ安が進む。

  • 株式市場は大幅反落。NY州など、自治体が住民の移動制限を厳しく制限し始めたことが嫌気され、ダウは913ドル安の1万9000ドル台に。その他の主要指数も軒のみ直近安値を更新。

  • 債券相場は上昇。長期金利は0.84%台へと急落。

  • 金は続伸。原油は20ドルを割り込む場面もあったが、引け値では22ドル台まで反発。

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)

連日大きな値動きが続くNY株式市場に比べると、動きが大人しく緩慢だったドル円も、日本が連休で休みだった先週には想定を超える値動きになりました。連休前の19日(木)朝方には108円台半ばだったドル円は、金曜日のNY市場では111円50銭まで
ドル高が進みました。今月9日には101円台前半まで売られたドル円が、わずか10日余りで10円以上の上昇を見せたことになります。昨年1年間の値幅が8円弱ということを考えると、10日間で昨年1年間の値幅を大きく超えてしまったこととなり、非常に大きな値動きだったと言えます。

ドルは、円だけではなく主要通貨に対して全面高の様相を見せています。新型コロナウイルスの感染が欧米で急拡大し、先進国、新興国を問わずドル資金の確保に奔走しており、ここに来て、「有事のドル復活」といった印象です。ユーロドルの1.06台前半は、2017年4月以来、約3年ぶりの低水準になります。また豪ドルに至っては、2008年のリーマンショック時を超え、2002年12月以来となる水準まで「ドル高・豪ドル安」が進んでいます。ここまで来ると、ファンダメンタルズといった経済合理性などは全く効かず、まずはドル資金を確保することが最優先になっているといった動きです。

今朝の報道では、新型コロナウイルスの感染者数は世界で30万人を超え、特に欧米での増加が目立っています。各国が外出を制限する措置を打ち出し、人の移動はほぼ出来ず、経済活動も麻痺状態です。米国は2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策を検討しており、ムニューシン財務長官は、この法案は「23日に議会を通過すると期待している。資金は今必要だからだ」と、FOXテレビの番組で述べ、素早い対応の必要性を強調しています。一方日本でも対応は決して早いとは言えませんが、自民党の岸田政調会長が、昨日のNHKの番組で「リーマンショック時の対策を上回る規模が必要だ」と述べています。ただ、自民党の一部や野党が提唱している「消費税の撤廃」や「消費税を8%に戻す」案、あるいは「消費税を半減」といった案には否定的でした。ただ、これまでのやり方を大きく超えるような対策でなければ、今回の危機を乗り越えることはできないのではないでしょうか。コロナの感染がいずれ終息すれば、各国が経済対策に舵を切り始めます。バブル崩壊後、「失われた10年」と言われていたものが、今や「失われた30年」になっています。今回は、少なくともまた同じような轍を踏まないようにして欲しいものです。

難しい相場展開が続きます。このような時には、「相場観」などはあまり役にたちません。それは、「このレベルなら売り。このレベルなら買い」といった「値ごろ感」などが通じないからです。筆者が使っている移動平均線では今朝の時点でもまだ「ゴールデンクロス」は示現していません。一方、「MACD」では先週17日に「ゴールデンクロス」を示現しています。(いずれも日足)やはり、相場の動きに忠実で、反応も早い「MACD」が有利と言えます。いずれにしても、値動きが早くレートも飛びやすいことから、引き付ける他ありません。20銭、30銭の利益をとっても、1円やられてしまっては意味がありません。慎重な対応が求められます。

NYダウ引け値で2万ドルを割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大幅に続伸。米長期金利がさらに上昇したことや、
ドルを調達する動きが強まったことで、ドル円は108円65銭
まで買われる。
◆ユーロドルでもドル高が進み、一時1.0802まで売られる。
ユーロ圏の景気に対する懸念が蒸し返され、約3週間ぶりの
ユーロ安となる。
◆ポンドドルも大幅に続落。2016年のBREXITを下回り、
1985年3月以来となる1.1452前後まで下落。
◆株式市場は連日値幅を伴って上下を繰り返し、この日は大幅安。
ダウは1338ドル下げ、2万ドルの大台を割り込む。
◆債券相場は続落。換金売りの流れが債券にも及んで、長期金利は
1.12%近辺まで上昇。
◆金は大幅に反落。原油価格はさらに売られ、2002年以来となる
20ドル割れ目前のレベルまで下落。

◆2月住宅着工件数    → 159.9万件
◆2月建設許可件数    → 146.4万件

本日の注目イベント

◆豪   豪2月雇用統計
◆日  2月消費者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   経常収支(10-12月)
◆米   3月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   2月景気先行指標総合指数

金融市場だけではなく、債券、商品市場も含め、ほぼ全市場に混乱が広
がっています。昨日のNYでは、驚いたことに全ての市場で対象物が売
られています。株式市場では、ダウは再び1000ドルを超える下げで、
引け値では2万ドルの大台を大きく下回り、トランプ大統領就任後の上
げ幅を全て吐き出しています。利益の出ているものをキャッシュ化する
という動きから、金も47ドル(3.1%)売られ、債券も売られてい
ます。大幅な株安から安全資産の「金と債券」も売られ、さらに「円」
も売られました。債券はややバブルであったと言えますが、昨日の売り
は、新型コロナウイルス対策に関連してトランプ政権の機動的な財政支
出により、国債の増発が予想されることで売りが膨らんだようです。
もっとも、国債を保有している投資家はほぼ全員がかなりの含み益を抱
えており、ここでも株の損失を埋め合わせるための売却という側面があ
ったことは、想像に難くありません。

さらに昨日の下げで最も目立ったのが、WTI原油価格です。
連日大幅な下げに見舞われている原油価格は、昨日も7ドル近く下げ、
一時は20ドル06セント(25.5%))まで売られました。200
2年2月以来、実に18年ぶりの水準です。新型コロナウイルスの感染
拡大が世界規模で止まらず、企業の生産活動が急低下しています。加え
て、サウジアラビアの増産計画が下落に拍車をかけています。サウジア
ラビアのエネルギー省は18日、国営サウジアラムコに対し、「今後数
カ月にわたり日量1230万バレルの生産水準を続けるよう指示した」
ことを発表しました。(ブルームバーグ)
需要の大幅な減少と、サウジが仕掛けた価格攻勢が嫌気された格好です。

米政府の素早い対応にも拘わらず、市場の動揺は収まっていません。
新型コロナウイルスへの米政府の対応は機動的でしかも具体的です。
トランプ政権は1兆3000億ドル(約140兆円)という、日本の国
家予算を大きく上回る大規模な救済案を提示しました。
その中には、個々の支給額は所得や子供の数に応じて決まるものの、一
人1000ドル(約10.8万円)の給付も含まれています。ムニュー
シン財務長官は、「2週間以内に国民に小切手を送付するような方法」
を検討しているようですが、今朝のブルームバーグニュースでは実施日
は4月6日と5月18日と、具体的です。また給与税の減税も検討され
ているようです。
このように、実現すればこれまでの政権ではなかった、過去最大規模の
経済対策となり、大統領選を意識した面は否定できませんが、米政府が
今回の危機を乗り切るという強い意志は感じ取れます。

ドル円は108円65銭までドル高が進み、先週末の108円50銭の
直近高値をわずかですが上回ってきました。ドル資金を調達するという
流れもあり、また上述のような理由から、長期金利が上昇したことで円
安が進んだものです。テクニカルでは昨日も述べましたが、MACDで
は「ゴールデンクロス」がとうに点灯しています。
この上方には日足の「雲」があり、108円95銭前後がメドになりそ
うです。この「雲」を上抜けすれば、110円前後までのドル高もない
とは言えませんが、「雲」抜けには109円台半ばまで上昇する必要が
あります。筆者が利用している移動平均線は、「日足」ではまだトレン
ドの変化は示唆していません。これを信じるのであれば、まだドル売り
のチャンスを探る展開かもしれません。
繰り返しになりますが、1日の値動きが大きく、予想した以上に値幅が
出ます。売り買い、特にポジションメークをする際は、出来るだけ引き
付ける必要があります。



NYダウ2万ドル割れ後急反発 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は、トランプ政権が景気対策を検討しているとの報道に長期金利が上昇したことで反発。107円86銭までドルの買い戻しが進む。

  • ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.0950まで下落。

  • 株式市場は朝方には売られ、ダウは一時2万ドルの大台を割り込む。その後は大規模な景気刺激策の検討が伝えられ上昇に。ダウは1000ドルを超える上昇で、主要指数も揃って大幅に反発。

  • 債券相場は大幅に反落。長期金利は大きく上昇し、1.07%台で取り引きを終える。

  • 金は大幅に反発。原油価格は5日続落し、約4年ぶりとなる26ドル台に。

本日の注目イベント

  • 日   2月貿易収支
  • 欧   ユーロ圏1月貿易収支
  • 欧   ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
  • 米   2月住宅着工件数
  • 米   2月建設許可件数
  • 米   パウエル議長記者会見
  • 加   カナダ2月消費者物価指数

連日1000ドルを大きく超える値動きが続くNYダウですが、こう大きな値動きが続くと、多少の値動きでは驚かなくなり、慣れてきます。昨日もダウは朝方には売られ、一時は2万ドルの大台を割り込みました。その後トランプ政権が最大1兆2000億ドル(約129兆円)規模の景気刺激策を検討したとの報道が流れ、ダウは一気に上昇し、引け値では前日比1048ドルの上昇でした。

この動きに連動する形でドル円も動いており、先週後半からのドル円は、ほぼNYダウの動きで説明できます。株価の値動きが大きいため、ドル円の値動きも大きくなっています。売り買い、どちらにエントリーするにしても水準を間違えるとすぐに損が膨らみ、ストップを入れると、すぐに執行されてしまうリスクがあります。反対に、レンジの中程であれば、売り買いどちらも遠からず戻って来るため、こまめに利益を確定すこともできそうです。いずれにしても、慎重にポジション・メイクをする必要があります。

FRBが緊急利下げを行い、ゼロ金利政策に舵を切っても株式市場の動揺が収まらず、前日は3000ドルに迫る「暴落」を見せたことで、トランプ政権は財政出動を決めたものと思います。財政規模も1兆ドルから1兆2000億ドルと、大規模な予算を計画しており、今後まだ続くと思われる新型コロナウイルスの感染による景気の底割れを防ごうというものです。ムニューシン財務長官も、国民に総額2500憶ドル(約26兆8700億円)の支援金を4月に支給し、景気がなお低迷していれば5月に同額を第2弾として支給したいと考えているようです。(ブルームバーグ)米国の対応は相変わらず素早く、具体的です。

WTI原油価格の下落が止まりません。昨日も一時は26ドル79セントまで売られ、約4年1カ月ぶりの低水準です。NYダウが最高値を記録した2月12日の原油価格の引け値を見ると、51ドル17セントでした。そこから24ドル38セント下げたことになります。率にして47.6%売られたことになり、NYダウの比ではありません。OPECとロシアなど非OPECが減産合意で決裂したことに加え、サウジが過去最大の増産を表明し、「価格競争」に打って出たことが下落に拍車をかけました。

サウジのエネルギー省は17日、「サウジアラビアは原油輸出を今後数カ月間は、日量1000万バレル超に引き上げることが可能だ」と述べています。さらに価格下落に追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスの感染感拡大です。世界で企業の生産活動が抑制され、世界景気がリセッション入りする可能性も出てきました。今後石油の使用量が減少することは目に見えており、これが投機的な動きを加速させていると見られます。すでに原油生産コストの高い米シェールオイル企業は、生産がおぼつかないとも言われています。一気に市場シェアを確保したいとするサウジの思惑通りに、原油価格がさらに下がるのか、こちらにも注目したいと思います。

ドル円は105-110円のレンジを形成しているように見えます。先週末には108円50銭まで上昇した後、103円台半ばまで5円下げて再び上昇に転じています。ちょうど真ん中が106円前後ということになり、今後もコロナ次第ということになりますが、「日足」のMACDではすでに「ゴールデン・クロス」を示しています。

NYダウ一時3000ドル下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米国株がさらに下げ、長期金利も低下したことで、ドル円は
105円15銭まで下落。その後は「有事のドル」の側面もあり
105円台後半まで反発。
◆ユーロドルはやや反発し、1.120前後まで値を戻す。
◆株式市場はFRBの緊急利下げにも拘わらず大幅な下げに。
ダウは再び過去最大の下げ幅となる2997ドル安。
◆債券相場は反発。長期金利は0.71%台まで低下。
◆金は3日大幅続落で1486ドルに。原油も4日続落。
30ドルを大きく割り込み28ドル台に。

◆3月NY連銀製造業景況指   →  -21.5

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆日   1月鉱工業生産(確定値)
◆独   独3月ZEW景気期待指数
◆独   独3月ZEW景況感指数
◆英   英2月失業率
◆米   2月小売売上高
◆米   2月鉱工業生産
◆米   2月設備稼働率
◆米   3月NAHB住宅市場指数

日米中央銀行が市場の動揺を治めようと、出来る限りの金融政策
を駆使しましたが、その効果もなく、日本では日経平均株価が5
00円下げ、米国では先週記録した「過去最大の下げ幅」を大き
く上回る下げに見舞われ、金融政策の限界を露呈した形になって
います。

FRBは15日に臨時の会合を開催し、ゼロ金利政策を取るとと
もに、米国債などを少なくとも7000憶ドル(約74兆200
0億円)購入すること決めました。昨日は日銀も、FRBに歩調
を合わせるかのように政策会合を前倒しで開催し、通常2日間行
われるものを昨日1日で対応策を発表しました。
ETFの購入をこれまでの倍となる12兆に増額し、さらにRE
ITを1800億円、CPと社債も合計2兆円購入することを決
定しました。この政策内容が発表された昨日の午後2時過ぎには,
日経平均株価が300円程上昇する場面もありましたが、その後
は下げに転じ、結局429円安と、直近安値を更新して取り引き
を終えています。
一時は107円台半ばまで反発したドル円も、このタイミングで
106円台半ばを割り込んでいます。

NY株式市場ではさらに厳しい洗礼が待ち受けていました。
株価は寄り付きから大きく値を下げ、ダウは一時3000ドルを
超える「暴落」を見せ、ナスダックとS&P500も記憶にない
ほどの下げを演じ、今年3回目となる「サーキットブレーカー」
が発動されています。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらな
い上、トランプ大統領が政府と国民に対して10人超の集まりや
通学、通勤、外食の自粛を求め、さらに大統領が米景気がリセッ
ション入りの可能性があり、経済的混乱が夏まで続く可能性があ
るとの認識を示したことで、株価の下げが拡大しました。

この欄でも「山高ければ谷深し」と何度か述べましたが、ここま
で米国株が崩れることは想定外です。ダウが2万9551ドルの
「史上最高値」を更新して取り引を終えたのは、わずか1カ月前
のことです。そこから急転直下、9300ドルを超える下げに転
じています。
米経済は順調で、特に労働市場と個人消費、住宅市場が米景気全
体をけん引する状況でした。コロナウイルス騒動が中国で拡大し
た2月でも、トランプ大統領は「米国は新型コロナウイルスに対
するリスクは低い。全てがうまく行っている」と豪語していまし
たが、昨日は一転して弱気ムードでした。
株価の下落が止まらず、機関投資家やファンドなどは株式で出た
損を、利益が出ているもので埋める、「換金」を加速させている
ようです。
本来上昇してもおかしくはない「金」が昨日も大きく売られ、こ
れで一時は1700ドル台まで買われたものが、1400ドル台
後半まで下落しています。2008年のリーマンショックの際に
「80」を超えた「VIX指数」も、さらに恐怖感を強め、昨日
は「82」を超えてきました。金融政策では効き目のないことが
明らかになってきた以上、ここは財政主導でこれまでにない大胆
な政策が「ちゅうちょなく」実行されることが求められます。

昨日の夜行われたG7緊急テレビ会議も形だけの内容で終わって
います。安倍首相は、「五輪を完全な形で実現することでG7の
支持を得た」とコメントしていましたが、この方にとっては、よ
ほどオリンピックが大事なんでしょうか?今直面している危機に
対して楽観的すぎる発言を行っています。
コロナウイルスの感染拡大防止と共に、大規模な財政の支援が今
こそ必要だと思います。
先ずは、国民・投資家の不安心理を落ち着かせることが必要です。

FRB追加利下げを断行し、政策金利をゼロに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は株価の急反発と金利高を材料に108円台まで
上昇し、108円50銭を示現。トランプ大統領が非常事態宣言
を出し、政策期待が膨らむ。
◆ユーロドルは前日と同水準の1.10台半ばまで売られたが、
下値は限定的となり、対円では120円台までユーロ高に。
◆株式市場は急反発。トランプ大統領の経済対策期待が高まり、
買い戻しが加速。ダウは1985ドル高と、過去最大の
上昇幅を記録。
◆債券相場は大きく売られ、長期金利は一時1.0%台を回復。
◆金は大幅に続落し、1516ドル台に。原油は小幅に反発。

◆2月輸入物価指数             →  -0.5%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(速報値) →   95.9

本日の注目イベント

◆中   中国2月小売売上高
◆中   中国2月鉱工業生産
◆米   3月NY連銀製造業景況指数

素早い行動を見せる米金融当局は15日、政策金利を一気に1%下げ、
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.00~0.
25%に決めました。新型コロナウイルスの感染拡大が米国で続いて
おり、その影響を軽減するというものです。また、米株式市場では大
幅な下落が続いており、これ以上の株価の下落は個人消費の減速
を通じて、実体経済にも悪影響を出ることを防ぐ意味合いもあるようで
す。それにしても、今週17日からは定例のFOMCが開催されること
になっており、市場はこのタイミングで0.5~1.00%の追加利下げ
に踏み切ると予想していましたが、臨時会合を開き、前倒しでの利下
げです。この辺りがFRBのすごさであり、前例にとらわれない行動力
は称賛されます。

連日大幅な下げに見舞われていた米株式市場では、先週木曜日にはダ
ウが2352ドル下げ、過去最大の下げ幅を記録しましたが、先週末
には1985ドル上昇し、今度は一転して過去最大の上げ幅を記録し
ました。午後にはトランプ大統領が会見を開き、「非常事態宣言」を
行ったことで、新型コロナウイルスへの本格的な対策が始動するとの
期待から、ダウは引け際30分で1000ドルを超える急騰を見せま
した。米長期金利も一時は1.00%台を回復し、ドル円はこのタイ
ミングで108円50銭と、この日の高値をつけています。
株価だけではなく、ドル円の動きも荒っぽく、前日のNY市場では1
03円台半ばまで売られる場面もあったドル円は、1日でそこから5
円も上昇したことになります。先週1週間の値幅も7円以上となって
おり、投資家にとっては「動き過ぎる相場」に一喜一憂させられる、
上手く乗り切ることが非常に難しい相場展開になっています。
今朝もFRBの緊急利下げを受けて、一時は105円73銭前後まで
ドル売りが強まるなど、値が一気に飛び、荒っぽい動きです。
流れについて行く必要はありますが、深追いすると大きな痛手を負う
ことにもつながります。慎重に行動し、過度なリスクを避けることが重
要です。

米国は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響に対処
するため緊急の財政出動を決め、金融政策でも歩調を合わせるべく、
リーマンショック以来となる「ゼロ金利政策」の導入に踏み切りまし
た。
こうなると次は日本政府の行動が非常に注目されます。
前回FRBが緊急利下げを決め、今回のコロナウイルスの混乱に対す
る強い意志を見せた際、日銀も次回会合では「ゼロ回答」では済まさ
れないと述べましたが、今朝未明のFRBの追加利下げでその思いを
さらに強めています。これまで通りの口先だけの回答では、今朝の動
きに見られたように、急激な円高が進む可能性が高いと予想されます。
先週土曜日に記者会見を行い、今後の対応について国民に理解を求め
た安倍首相は、経済来策では、これまでにない、必要十分な対策を取
ると明言していましたが、もう少し突っ込んだ、市場にインパクトを
与える言葉が欲しかったと思います。市場は待ったなしです。対応が
後手に回り、仮にドル円が100円を割り込むようだと、コロナショ
ックに加え、円高による景気悪化に見舞われることにもなります。

株価が大きく戻れば107円台半ば程度までのドル高はあるかもしれ
ません。ドルの戻り局面を売るスタンスでいいと思いますが、上述の
ように、レベルを探すのが簡単ではありません。



NYダウ10%下げ、2万1000ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大きな値幅を伴い乱高下。ECBの理事会後、
ユーロ安に引っ張られる格好で106円10銭まで上昇。
◆ユーロドルはECBが債券購入と長期貸付けプログラムを
決めたことでユーロ売りが広がり、1.1056まで下落。
◆株価は下げ止まらず、この日は最大級の下げに。
ダウは2352ドル下げ、前日比ほぼ10%の暴落。
他の主要指数も9~10%下げる。
◆債券は利益確定の売りに押され反落。長期金利は
0.80%台に。
◆金は50ドルを超える下げに。利益確定の換金売りに押される。
原油は続落。
********************(何もない時は空欄のままにします)

◆2月生産者物価指数    →   -0.6%
◆新規失業保険申請件数   →   21.1万件

本日の注目イベント

◆独   独2月消費者物価指数(改定値)
◆米 2月輸入物価指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

NYダウは前日の1400ドルを超える下げに続いて、昨日はその下げを上回
る2352ドルも下げ、一気に2万1000ドル台まで売られました。
NY株式市場では寄り付きから売りが殺到し、S&P500は今週2回目の
「サーキットブレーカー」が発動されました。
その後株価は、一旦下げ幅を縮小したようですが、引けにかけて再び下げ足を
速め、結局前日比ほぼ10%下げ、下落幅は過去最大となりました。

為替市場も大荒れで、ECBが新型コロナウイルスの経済的影響を緩和するた
めに金融政策パッケージを発表したことでユーロ売りが加速し、ユーロドルは
1.10台半ばまで売られました。ドル円もその影響を受け、一時は106円
台までドル買い・円売りが進みました。昨日の昼前には103円割れ目前の水
準までドルが売られ、結局昨日1日だけでも3円を超える値動きになるなど、
荒っぽい動きが続いています。ECBは昨日の理事会で、債券購入および銀行
への長期貸し付けプログラムを拡大する一方、政策金利は据え置いています。
ラガルドECB総裁は世界の成長見通しに対して「重大なショックが生じてい
る」と述べ、流動性を確保するため「包括的なパッケージ」を打ち出したと説
明しています。(ブルームバーグ)

筆者も長い間金融市場にかかわってきたため、為替だけではなく株式、債券に
も目を凝らしてきました。今週の世界同時株安はすでに「リーマンショック」
を超える動きになっています。金融市場の中でも特に株式市場の下げがきつい
ことから、昨日は金も利益確定の換金売りに押され、50ドルを超える下げに
見舞われています。株式の損を、利益が出ているもので埋めるといった行動で
す。ドル円が106円台まで買われたり、リスクオフの局面にも拘わらず、債
券が売られたのも、その一環かもしれません。市場はパニック状態に陥ってい
ると言えます。本日もNY株の暴落から日本株の大幅下落は避けられない状況
です。日経平均先物は1万6800円台まで売られ、これは2016年11月
以来の低水準です。このままだと、本日の日経平均株価は1500円から20
00円も下げることになります。

市場に流動性を供給するだけではこの混乱は収まりそうもありません。
今こそ政府は政治主導でリーダーシップを発揮し、市場にサプライズを与える
政策を取るべきです。来週は日米で金融政策会合が開かれます。
FBRは大幅な追加利下げに動くことはほぼ間違いないところでしょうが、焦
点は日銀の次の一手です。マイナス金利の深堀りや量的緩和の拡大だけといっ
た金融政策だけでは今回の混乱を止められないと思われ、まずは投資家に安心
感を与える政策が必要です。今度の土日で、サプライズの対策が出て来ること
を期待したいと思います。新型コロナウイルスの感染拡大により、人の動きが
止まり、その上に急激な円高と株安が進行しています。「令和恐慌」だけは避
けたいものです。
ドル円は動きが荒っぽく、上も下も想定を超える水準まで動く可能性がありま
す。ここは出来るだけリスクを取らずに、落ち着くのを待つしかありません。
基本的にはドルの反発局面でのショートが有効かと思いますが、その水準を探
すのが非常に困難な状況です。本日はレンジ予想も「なし」にしたいと思いま
す。



WHO、パンデミックを宣言 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆前日105円台後半まで反発したドル円は、日本株の下げや
NYダウが再び大きく下落したことで104円台前半まで売られる。
◆ユーロドルは小幅に下落し、1.1258まで売られる。
◆BOEが緊急利下げに踏み切り、ポンドドルは1.28台前半まで
下落。ポンドは対円でも132円台まで売られ、昨年10月以来の安値に。
◆株式市場は大幅に反落。トランプ大統領の経済対策が不透明なことに加え、
WHOが「パンデミック」宣言を行ったことで、ダウは1464ドル下落し、
2万4000ドルを大きく割り込む。
◆債券相場は小幅に反落。長期金利は0.87%台に。
◆金は下落し、原油も在庫が予想を上回っていたことで反落。


◆2月消費者物価指数  →  0.0%
◆2月財政収支     →  -2363憶ドル

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏1月鉱工業生産
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   2月生産者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数

WHOはついに「パンデミック」宣言を行いました。すでに感染が欧米で急拡大
しており、実態が、「世界的な大流行」に陥っているため特段驚きはありません。
むしろ、遅きに失した感があります。現時点での世界の新型コロナウイルス感染
者は、12万3000人を超え、死者は4578人となっています。イタリアで
は感染による死者が31%増加し、827人に達しています。

WHOの「パンデミック」宣言に加え、トランプ大統領が「給与税ゼロ」に言及
したものの、その政策実現への不透明感もあり、ドル円は前日の105円台後半
から104円台前半まで下落しています。株式市場ではさらに荒っぽい動きが続
き、前日1167ドル反発したダウは、一転して1464ドル売られ、前日の上
昇分を全て吐き出し、2万3500ドル台で取引を終えました。
数年に一度あるかないかといった「1000ドルを超える値幅」が、毎日のよう
に起こっており、投資家の不安心理を如実に表しています。

トランプ大統領は国民向けに、本日日本時間午前10時からホワイトハウスで演
説を行うことを発表しています。
ブルームバーグによると、トランプ大統領は米国での感染が拡大していることで、
全米に災害宣言を出すのではとの観測があり、欧州諸国から米国への不要不急の
渡航制限を検討している模様です。また、「給与税ゼロ」か、減税を含む経済対
策については野党民主党の反対もあり、実現可能かどうかは不透明のようです。
新型コロナウイルスの感染拡大による実態経済への悪影響から、景気が急速に悪
化することを避ける意味で、各国中銀が緊急利下げに踏み切る動きが見られます。
FRBの50ベーシスの緊急利下げのほか、カナダやオーストラリアでも利下げ
があり、昨日はイギリスでもBOEが50ベーシスの緊急利下げを断行しました。
米国についても、来週のFOMCでの追加利下げはほぼ「規定路線」と見られ、
個人的には再び50ベーシスの利下げを行うと予想していますが、バークレーズ
など、1%の利下げを予想する向きも増えてきました。

こうなると、注目されるのがECBと日銀です。
ECBは今夜の理事会で政策金利の深堀りを含めた緩和策に踏み切ると予想して
いますが、感染が急拡大しているイタリアのコンテ首相は、ECBに対して、可
能なあらゆる政策の動員を要求しています。こうなると、わが日銀も「ゼロ回答」
というわけにはいきません。すでに今週に入ってからはETFの購入額を増やし
ているようですが、金融市場では資金の根詰まりが起きているわけでなく、実効
性という意味では微妙です。すでに金融政策では対応できず、財政政策を含めた
これまでにない総合的な対策を、直ちに行う必要があります。

昨日のこの欄でも「消費税を5%に戻すか、ゼロに」という内容のコメントを残
しましたが、自民党内でもこのような動きがあるようです。
自民党の安藤裕衆議院議員らは昨日、西村経済再生担当大臣に、当分の間、消費
税率を0%にすることなどを求める提言書を手渡しました。
提言では、消費税は当分の間、軽減税率を0%にした上で、全食品に適用するよ
う求めています。実施時期についても6月ごろと提言しており、減税分も含めて
総額30兆円規模の補正予算を編成することも盛り込んでいます。
財源には国債を充て、政府が掲げるプライマリー・バランス(PB)の黒字化目
標は、「当面の間延期」することとし、この提言には有志41人が賛同している
(ブルームバーグ)そうです。
今朝の経済紙では、今年1-3月のGDPがマイナス3.0%にまで落ち込むと、
14人のエコノミストの予想を報じています。また、新型コロナウイルスの混乱
が長引けば、2020年通期のGDPもマイナス成長になる可能性があるとして
います。一方で、中国では新型コロナウイルスの発生元である湖北省政府が、省
内の企業の操業再開を認めると発表しました。これで中国全土での操業が可能と
なり、中国での感染拡大が終息に向っていることが確認された格好になっていま
す。

本日も荒っぽい動きを続ける株価の動き次第で、ドル円の水準も決まりそうです。

予想レンジは103円80銭~105円30銭程度といったところでしょうか。



ドル円NY市場で急反発し、106円に迫る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆前日のNY市場で101円18銭まで売られたドル円は急反発。
トランプ大統領が給与税をゼロにするなどの経済対策を検討する
との報道で、105円91銭までドルが買われる。
◆ユーロドルも前日の1.14台後半から反落。1.1275まで
売られ、ドルの買い戻しが進む。
◆株式市場はトランプ政権の経済対策期待から大幅に反発。
ダウは1167ドル上昇し、2万5000ドル台を回復。
◆債券相場は急落。長期金利は0.80%台まで上昇し取引を終える。
◆ドルが買い戻されたことで金は反落。原油価格はロシアの高官が
OPECとの交渉の余地があることに言及したことで大幅高。

本日の注目イベント

◆英   英1月鉱工業生産
◆英   英1月貿易収支
◆米   2月消費者物価指数
◆米 2月財政収支


ドル円は大きく反発し、NY市場では105円91銭までドルの買い戻しが
進みました。前日のNY市場で101円18銭まで売られてからわずか1日
で4円73銭も戻したことになります。「ドルが下げればさらに売り、ドル
上がればさらに買う」という極めて荒っぽい動きで、AIやアルゴが先導す
る相場展開が続いていると見られます。AIやアルゴには、高値警戒感や安
値警戒感といった感情はないものと思われ、組み込まれた執行条件を機械的
に行っているだけです。今後しばらくはこのような乱高下が続くという前提
で取り組む必要があります。

ドル円反発の予兆は昨日の朝方にはありました。
前日のNYダウが2000ドルを超える「「過去最大の下げ幅」を記録した
ことで、昨日の東京株式市場は寄り付きから大幅な下げを見せ、一時下げ幅
は800円を超えていました。ちょうどそこ頃、「トランプ政権、9日に経
済対策検討」とのニュースが流れ、ドル円は一気に103円台まで反発して
いました。日経平均株価の方はドル円に追随する形で下げ幅を縮小しました
が、依然マイナス圏で、午後にドル円が104円台に入ると、ようやくプラ
スに転じました。昨日のドル円の急反発に、一部には「レートチェックか?」
といった噂も流れたようですが、日銀単独での市場介入は考えられません。
それでも水準が水準だっただけに、ショート筋が急速なドルの買い戻しに
走ったようです。

市場介入は2008年のリーマンショック後を最後に行ってはいないようで
すが、通常、日銀が市場に直接介入することはありません。
先ずは、日銀と為替市場での主要プレイヤーである銀行との間にある「ホッ
トライン」で、市場の状況を聞いて回る、この状況を「レートチェック」と
呼んでいます。その後、必要ならその銀行にプライスを提示させ、それを日
銀がヒットするというのが、筆者がまだディーリング・ルームにいた頃の介
入形態でした。恐らく今でもその形式は変わっていないと思われますが、筆
者もホットラインが鳴り、レートチェックがあった時には緊張したことを思
い出します。レートチェックがわずか1行でも行われれば、その瞬間にその
情報は市場に伝播され、相場は一気に流れを変えるのが常でしたが、それで
もレートチェックが連日同じように繰り返されると、その効果もほぼなくな
ります。

新型コロナウイルスの感染拡大は足元では欧米が最前線になっているようで
す。昨日の報道では新たな感染者の99%余りは中国以外で確認されており、
特にイタリアの感染者は1万人を超えています。昨日、中国の習近平主席は、
新型コロナ発生後初めて感染拡大の中心地となった湖北省武漢を訪問し、中
国での感染拡大が収まってきたことをアピールしていました。
もしそうだとすれば、震源地中国で、40日ほどで感染拡大が減少したこと
になります。米国や欧米、さらに日本でも感染はまだピークを迎えていない
ようですが、ある程度のメドが立つことになります。政府は学校の一斉休校
などを10日程延長することを決めました。日本での感染が終息するかどう
か、その頃には判明すると思われます。

為替も株もまだ荒っぽい動きが続きそうです。
実体経済への影響はこれから徐々に出て来ることになります。
日本や米国の経済データが発表されるたびに、相場は上下するでしょうが、
昨日発表された2月の工作機械受注は前年同月比30.1%の減少でした。
同指標は、景気の先行指標として重要であり、2月は新型コロナウイルスの
影響から大幅に落ち込み、10年ぶりの低水準でした。
今後はこのように、景気の大幅な落ち込みを反映したデータが続々と発表さ
れると見られます。

106円近辺まで反発したドル円ですが、状況としては「戻り売り」のスタ
ンスが維持されそうです。「VIX指数」も前日から大きく低下しましたが、
足元では「47.3」と、依然高水準で、市場の恐怖感が収まっていないこ
とを示唆しています。

本日のドル円は104円~106円程度を予想します。


NYダウ過去最大の下げ幅を記録 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場
◆ドル円は東京時間に急落し、101円52銭を記録し、
その後は102円台半ばで推移していたが、NY時間の朝方には
再び下げ足を速め、101円18銭まで円高が進む。
◆ユーロドルも続伸し、1.1485までユーロ高が進む。
昨年1月以来のユーロ高を示現。
◆株式市場はアジアや欧州の株安を受け、寄り付きから大きく
値を下げて始まる。S&P500が一時7%を超える下落となり、
「サーキット・ブレーカー」が発動される。ダウは2013ドル下げ、
下落幅は7.8%と、過去最大の下げ幅を記録。
◆債券相場は続伸し、長期金利は0.54%台に。アジア時間に
一時0.31%まで低下する場面も。
◆金は小幅に続伸。原油価格は昨日のアジア時間に大きく売られ、
一時は27ドル台まで(約34%)下落、NYでは31ドル台と
やや値を戻す。

本日の注目イベント
◆中   中国2月消費者物価指数
◆中   中国2月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(確定値)

「暴落」という言葉以外に言い表せないほど、NY株式市場では株が売ら
れました。昨日の東京株式市場でも日経平均株価が一時1300円に迫る
下げを見せ、1050円安で引けたため、ある程度の下げは想定していま
したが、すでに相当の下げが続いていたことから、下げても
1000ドル程と予想していました。S&P500指数は、朝方には下げ
幅が7%を超えたことから「サーキット・ブレーカー」が発動され取引は
15分間停止されました。ドル円はこのタイミングで101円18銭まで
ドル安が進み、101円割れは回避できましたが、すでに東京時間で大台
を104円台から101円台に替えていたこともあり、102円台半ばで
NYでの取引を終えています。

週明け月曜日の混乱は新型コロナウイルスの感染拡大に加えて、「OPE
Cプラス」で減産合意がまとまらなかったことにありますが、さらにサウ
ジアラビアの増産報道が混乱に拍車をかけました。専門家の間では、「サ
ウジは石油の価格競争に打って出た」との見方が一般的なようです。
ドル安が進み、株価の暴落に伴い、「VIX指数」は「50」を大きく超
え、直近では「54台」まで恐怖が高まってきました。この水準は200
8年のリーマンショック以来の高水準です。振り返ってみれば、ダウが最
後に「最高値を更新」したのは2月12日で、2万9551ドルでした。
それからまだ1カ月も経っていないにも拘わらず、昨日の引け値は2万3
851ドルです。まさに天国から地獄といった様相です。

新型コロナウイルスの感染は欧米で拡大しています。
イタリアではさらに死者の数が97人増え、463人に達しています。
またドイツやフランスでも感染者の数が1000人を超えてきました。
アメリカでも今朝の時点ではカリフォルニア州など8州が非常事態宣言を
行っています。このような状況の中、WHOのテドロス事務局長は9日の
記者会見で、「パンデミックの脅威は非常に現実的になった」と述べてい
ます。アメリカではトランプ大統領が、政権が給与税減税の可能性につい
て上院と協議することを明らかにしています。

日本でも昨日黒田日銀総裁が国会で、「必要に応じて適切な対応をちゅう
ちょなく取っていく」と答えていますが、市場への影響は皆無でした。
金融市場によってはすでに「リーマンショック級」のダメージを超えてい
るものもあります。消費税を元に戻すか、5%にするなど、思い切った政
策の実行が求められます。これまでのように、「適切な行動を取る」「ち
ゅうちょなく行動する」といった言葉だけでは、今回の混乱は抑えられな
いように思います。昨日の朝からの混乱の影響で影が薄くなっていました
が、昨年10-12月のGDP確定値が発表され、速報値の「マイナス6
.3%」から0.8ポイント下方修正され「マイナス7.1%」でした。
さらに7-9月期も「0.4%」から「0.1%」に下方修正され、ほぼ
ゼロ成長の状況だったことが判明しています
つまり昨年10月の消費税増税の時点で、すでに景気はかなり落ち込んで
いたことになります。
新型コロナウイルスの感染の影響をもろに受ける1-3月期がマイナス成
長になることは、ほぼ間違いないものと思われます。多くの国民が不要不
急の外出を避け、会合や出張、イベントなどはほぼ全て中止です。
レストランやホテル、居酒屋では閑古鳥が鳴いている状況で、人の移動も
激減しています。個人消費がGDPの6割を占める日本が「リセッション」
入りする可能性が現実味を帯びてきました。

本日もNY株式市場の暴落を受け、日本株は厳しい下げを余儀なくされそ
うで、「負の連鎖」は止まりそうもありません。
日中に何か効果的な対策が出されれば反転のきっかになるかもしれません
が、その可能性は低いでしょう。

本日のドル円は101円50~103円50程度を予想しますが、この混
乱の中、予想そのものが意味ありません。


ドル円早朝に103円台半ばまで急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は連日下げ足を速め、この日は105円前後まで円が
買われた。米長期金利の低下が止まらず、原油価格の大幅下落も
リスク回避の動きを増幅させる。
◆ユーロドルも続伸し、昨年7月以来となる1.1355まで
ユーロ高が進む。
◆株式市場は続落。ダウは一時900ドル安まで売られたが、
その後下げ幅を縮小。新型コロナウイルスの感染拡大が続いている
ことに加え、原油価格の急落が不安心理を増幅。
◆債券相場は上昇し、長期金利はさらに低下。一時は0.66%台
まで低下し、0.76%台まで反発。
◆金は続伸。原油価格はOPECとロシアなど非加盟国との減産交渉が
決裂したことで10%を超える急落。

◆2月失業率          →  3.5%
◆2月非農業部門雇用者数   →  27.3万人
◆2月平均時給 (前月比)   →  0.3%
◆2月平均時給 (前年比)   →  3.0%
◆2月労働参加率        →  63.4%
◆1月消費者信用残高      →  12.021b
◆1月貿易収支         →  -45.3b

本日の注目イベント

◆日   1月貿易収支
◆日  2月景気ウオッチャー調査
◆独   独1月貿易収支
◆独   独1経常収支
◆独   独1月鉱工業生産
◆加   カナダ2月住宅着工件数
◆加   カナダ1月建設許可件数


新型コロナウイルスの感染拡大が米国で加速してきたようです。
NY州では7日に感染者が大幅に増加し、89人になりました。NY市の北部
近郊に位置するウエストチェスター郡に感染者が集中しているようで、ここに
は比較的日本人が多く住んでいます。NY市でも少なくも11人の感染が報告
され、ワシントン州やバージニア州でも初の感染が確認されています。
これを受けて、NY州のクオモ知事が非常事態を宣言しました。
(ブルームバーグ)

新型コロナウイルスに加えて原油市場でも混乱が増幅し、不安心理が高まって
います。OPECとロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」で、減
産を巡る交渉が決裂したことでWTI原油価格は前日比10%を超える下落を
見せ、株価を押し下げています。さらに報道によれば、サウジアラビアは4月
にも日量1000万バレルを上回る増産を計画しているようで、過去最大の日
量1200万バレルまで増産できると、サウジ当局者の一部が非公式に述べて
いると伝えています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、原油需要が損なわれる状況で、サウジ
が供給拡大に動けば、国際原油市場が混乱する恐れがあると、ブルームバーグ
は指摘しています。原油価格の急落を受けて、日曜日に市場が開いているサウ
ジ株式市場では、昨年12月に新規上場して話題になった「サウジアラムコ」
株が大きく売られ、公開価格を割り込んだようです。

サウジのムハンマド皇太子はやや独裁色が強く、増産で原油価格がさらに下が
ると、生産コストの高い米国のシェールオイル業者などが休業に追い込まれ、
生産コストが圧倒的に低いサウジが有利と判断している模様です。
昨年、米国のシェールオイルの生産コストは30-50ドルと言われ、30ド
ルを下回ると採算割れに陥ると言われていました。現在は採掘技術も進み、生
産コストはやや低下していると思われますが、サウジの生産コストは1バレル
あたり4ドルとも言われており、圧倒的な価格競争力を保持していると見られ
ます。サウジのムハンマド皇太子はここで増産を決め、一気に市場シェアを高
めたいとしているとの報道もあります。
週明けのWTI原油先物市場では、今朝方は一時30ドル台まで下げ、下落幅
は20%を超えています。

米長期金利の低下が加速しています。
米長期金利は先月24日に過去最低となる1.30%まで低下しましたが、先
週末には一時0.66%台と、わずか10日程でさらに5割ほど低下していま
す。日本が1%を割り込んだのが1998年で、その後スイスやドイツが続き、
「米金利の日本化」(日経新聞)という声も聞かれ、リーマンショック後に政
策金利をゼロにしたFRBが、再び同様の政策を取るのではないかといった指
標もあります。来週17-18日のFOMCでは、さらに50ベーシスの利下
げを行うといった見方がコンセンサスになりつつあります。

ドル円は早朝に103円台半ばまで急落しました。
市場は、上で述べたように政策金利の大幅下げを想定しながら、日米金利差の
縮小から円を買う動きを強めているようです。
すでに、2016年の米大統領選前の水準にまで円高が進んでおり、これまで
重要な節目と見られていた104円台半ばを大きく割り込んでいます。
円の上昇スピードは速すぎるとは思いますが、100円方向を目指す動きかと
見られます。本日のドル円は103円~104円50銭程度を予想しますが、
週明けの各市場はややパニック状態かもしれません。
円と金の急騰。米金利と原油価格の急落を受け、日経平均株価の下げも大きい
ものになりそうで、2万円割れもありそうです。


米長期金利さらに低下し、ドル円106円台を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は長期金利の急低下を受け、NY市場の引け際には一時106円を割り込む。株安が続き避難通貨として円が買われる。

  • ユーロドルも上昇し、昨年7月以来となる1.1245まで買われる。

  • 株式市場は連日日替わりで乱高下を繰り返し,ダウは一時1100ドルを超える下げ幅に。引け値では969ドル下落し、他の主要指数も揃って大きく下げる。金融とハイテク株が下げを主導。

  • 株価の大幅下落で債券は一段と上昇。長期金利は一時0.9%を割込み、0.91%台に戻して引ける。

  • 金は大幅に反発し、原油は反落。

本日の注目イベント

  • 豪  1月小売売上高
  • 日  1月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 日  1月景気一致指数
  • 独  1月製造業新規受注
  • 米  2月雇用統計
  • 米  1月消費者信用残高
  • 米  エバンス・シカゴ連銀総裁発言
  • 米  メスター・クリーブランド連銀総裁発言
  • 米  ブラード・セントルイス連銀総裁発言
  • 米  ジョージ・カンザスシティー連銀総裁発言
  • 加  2月就業者数
  • 加  2月失業率
  • 加  1月貿易収支

昨日この欄で、「ダウの一日の値幅は1000ドルが常態化しつつある」と述べましたが、昨日のダウの動きも正にその流れが続き、下げ幅は一時1100ドルと、前日の上げ幅をほぼ吐き出した格好です。しかも上昇と下落を1日おきに繰り返しており、FRBによる緊急利下げの効果も現時点は、新型コロナウイルス感染拡大の勢いに消されています。足元の金融市場は「株式主導」の流れが続き、株価が大きく上がるか下がるかで債券相場は反応し、金や原油にも影響を及ぼしています。昨日はダウ1100ドル安に、債券が再び急騰。長期金利は一時0.9%を割り込んでいます。長期金利の急低下に、ドルも106円割れまで売られました。米長期金利は1.3%割り込んでからは低下が加速しており、ややバブルの様相を見せていますが、それでも主要国の中では「高金利」と見られ、継続的に資金流入が続いているものと見られます。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界的に金利が低下し、中銀による政策金利の引き下げが行われています。ドル円は「安全通貨・避難通貨」として買われている部分もありますが、加えて、日本では政策金利の引き下げ余地が乏しいことで、日米金利差が徐々に縮小していることも「ドル売り円買い」を加速させている面もあります。市場では今月18日の追加利下げは確実といった見方も増えており、中には再び50ベーシスの利下げを予想する向きもあります。昨年月9月以来となる106円割れを記録したドル円は、去年一度だけ割り込んだ105円前後が下値のメドと見られます。特に104円台半ばは、2016年の米大統領選の直後に記録して以来の水準になります。当面はこの水準が下値の大きなサポートとして意識されると思われます。

米大統領選の民主党候補選びでは、エリザベス・ウォーレン候補が撤退し、これで民主党の大統領候補は事実上バイデン氏とサンダース氏に絞られました。先に撤退を決めたブルームバーグ氏はバイデン氏支持を表明しましたが、ウォーレン氏は、どの候補を支持するかについて「もう少し考えるため、あと少し時間がほしい」と語っています。政策的には急進左派のサンダース氏に近いことから、同氏を支持する可能性が高いと見られますが、このところやや劣勢のサンダース氏にとって、ウォーレン氏の支持があれば再び勢いを付けられるかもしれません。今後は予備選の集中する10日(6州)と、17日(4州)が次のヤマ場と見られ、いよいよトランプ氏の相手が決まりそうです。

本日は雇用統計の発表があります。市場予想では、非農業部門雇用者数が17.5万人の増加と見られており、2月分ということもあり、まだ新型コロナウイルスの影響はそれほど大きくはないと見られます。失業率は前月同様3.6%と予想されており、全体的にはコロナウイルスによる混乱の影響は今回の指標では軽微のようです。

一時は1.07台まで下げたユーロドルもドル安の流れから上昇傾向を強め、微妙なレベルに差し掛かってきました。1.12台半ばまで上昇したことで、「週足」の雲に入ってきました。この雲の上限は1.13台半ばで、ここを超えるようだとさらに上昇に勢いが付く可能性があります。ユーロドルが週足の雲を超えるようなら、ドル円も105円を割り込み、上記104円台半ばをテストすることにもなりそうです。ここからはユーロドルの動きにも注意が必要です。本日のドル円は105円50銭~107円程度を予想します。

「在宅勤務」に「テレワーク」、今回の新型コロナウイルスの影響により、電車を
利用する人が一気に減りました。
筆者が毎日利用するJRの駅も、普段は夜11時を過ぎてもホームは利用客で混雑
していますが、今週はホームで電車待ちしている人はほとんど見かけなくなりました。
逆に私は朝5時台の電車を利用していますが、明らかに込み合ってきました。
===================================================================
今回の混乱で最も影響を受けるのは「飲食業」と「宿泊業」でしょう。春休みやで卒業式、入学式。会社では送別会や歓迎会、1年で最も人の移動が多いと言われるこの時期に、ほぼ全ての会合は中止です。中小の飲食業の中には「このままでは従業員の給料も払えない」という声も。「閉店まで飲み物半額!」、「9時までハッピーアワー!」といった看板も目にしました。つい足がそちらに向きそうになるのをこらえて、帰宅の途に・・・。
良い週末を・・・・・。



NYダウは再び1000ドルを超える上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 米国株が大幅に反発した割にはドル円の上値は重い展開。発表された経済指標も良好で、長期金利も上昇したが、ドル円は107円59銭まで買われたものの、反発力は弱い。

  • ユーロドルは9日ぶりに反落。1.1096までユーロ売りが進み、ユーロ円も119円前後まで売られる。

  • 株式市場は再び大きく切り返し、ダウは1173ドルの上昇。新型コロナウイルス対策の予算措置がまとまり、民主党予備選でバイデン氏がリードしたことが材料に。ナスダックも大幅に上昇し、9000ポイントを回復。

  • 前日1.0%割り込んだ10年債は株高から反落。利回りは1.054%台で取引を終える。

  • 金は小幅に反落。原油は3日続伸。

本日の注目イベント

  • 豪 1月貿易収支
  • 欧 OECD経済見通し
  • 英 カーニー・BOE総裁講演
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

連日値幅が大きく動き、「1日の値幅1000ドル」が常態化しつつあるNYダウは、昨日も大きな値動きを見せました。先月27日には過去最大の下落を見せたダウは、今週月曜日には1300ドルに迫る、今度は過去最大の上昇幅を見せ、FRBが緊急利下げを決めると一転して300ドル高から800ドル下げ、この日の値幅も1300ドル程でした。そして昨日は何と1173ドルの上昇でした。システム売買やAI主導とは言え、まるでエルベーターのように、大きな値幅を伴って上下しています。市場参加者の誰もが、「落ち着き場所がわからない」と考えている証左でしょう。

背景は、米議会で約80憶ドル(約8600憶円)規模のコロナウイルス対策緊急予算措置がまとまったことで、楽観ム―ドが高まったことが挙げられます。また注目された「スーパー・チューズデー」では、大統領選に向けた民主党候補の指名争いで苦戦が伝えられていたバイデン氏が盛り返したこともムードを良くしたようです。バイデン氏は14州・1地区のうち9州で勝利し、サンダース氏は4州に留まっています。またブルームバーグ氏も米領サモアで勝利したのみで、最新の報道では撤退を決め、バイデン氏を支持することを表明したようです。今朝は多くのメディアが「バイデン氏復活」との文言を掲げていました。サンダース氏は「急進左派」と位置付けられ、単一支払方者方式の国民皆保険、完全再生エネルギー経済への移行、さらには大規模な企業統治改革などを提唱しており、エリザベス・ウォーレン氏ほどではないものの、「反ウォール街」と見られています。そのため、「サンダース氏苦戦=株価の上昇」という図式で株価が上昇したようです。

それでもドル円の上昇には限界がありました。そもそもFRBが緊急の利下げを行い、利下げ幅も50ベーシスであったことから、日米金利差は縮小します。さらに市場では、今月17-18日に開催されるFOMCでも追加利下げがあると予想しています。この件に関して、セントルイス連銀のブラード総裁は4日、「政策金利は当面、適切な状態になったと考えている」とブルーバーグとのインタビューで述べています。「金融当局者が次回会合までに、新型コロナウイルスが経済に与える影響について、今以上に理解を深めるとは思えないため、市場の想定は間違っている」との見解を示しました。ただこの発言は一種の「けん制」だと、個人的には考えています。前日50ベーシスの利下げを行ったにも拘わらず、NYダウはその日の高値から1300ドル程下げ、その結果に「一番驚いたのはパウエル議長自身だったのでは」といった指摘もありましたが、政策金利を1.0%まで引き下げたことで、マイナス金利を採用しない限り、今後の下げ幅は限定的です。この辺りを市場がみすかせて株価の大幅下落につながったと思われます。2007年の「パリバ・ショック」の時には政策金利が4.5%もあり、翌年の「リーマンショック」の時でさえ2%もありました。FRBの金融政策の余地は当時の危機の時とは明らかに異なっています。

ベージュブック(地区連銀経済報告)が公表され、米景気は今年に入ってからの数週間、緩慢ないし緩やかなペースで拡大したものの、新型コロナウイルスの感染拡大が「旅行や観光に悪影響を与えている兆候がある」と指摘されていました。昨日はIMFのゲオルギエワ専務理事も会見で、「新型コロナウイルスは感染が気づかれないうちに拡大しており、世界経済の見通しはより暗いシナリオに移行した」と述べています。日本でも感染拡大は止まっておらず、政府は「非常事態宣言」の発令を検討しており、法整備にむけて野党との協調に踏み出しています。

懸念されるのは、日本での感染拡大がこのまま続けば、インドやサウジ、中国などと同様に、米国でも日本からの入国を拒否される可能性があります。人と物の移動が極端に制限されれば、島国ニッポンにとってはこれまで以上に景気が縮小するのは目に見えています。山本太郎議員が提唱するように「消費税ゼロ」といった極端な政策ではないにしろ、強力な「カンフル剤」が必要なのは明らかだと思います。昨年10月の消費税率引き上げの際には、安倍政権ではこぞって、「リーマン・ショック級の危機がない限り
消費税は予定通り引き上げる」と繰り返し述べていました。足元の経済指標や現象を見ると、すでに「リーマン・ショック」を超える悪化を示しているものもあります。

本日はさすがの日本株も上昇でしょう。ドル円は107円~108円20銭程度を予想します。

米長期金利初の1.0%割れ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米長期金利の一段の低下にドル円は106円94銭まで下落。
約5カ月ぶりの円高水準を付ける。日米金利差の縮小と金融政策
余地の差にも注目が集まり、円を買う動きが加速。
◆ユーロドルも続伸。1月2日以来となる1.1213まで上昇。
◆FRBが緊急の会合を開き、政策金利の0.5%引き下げを
決めたことで株価は上昇したものの、その後急落。ダウは一時
1000ドルに迫る下げを見せ、785ドル安で引ける。
◆債券相場は大きく続伸。10年債利回りは初の1.0%割れを
示現。
◆政策金利を引き下げたことで金は大幅高。原油は続伸。
OPECとロシアが減産で合意するとの観測が材料に。

◆2月自動車販売台数   →1683万台


本日の注目イベント

◆豪   豪10-12月期GDP
◆中   中国2月財新サービス業PMI
◆中   中国2月財新コンポジットPMI
◆欧   ユーロ圏2月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏1月小売売上高
◆米   2月ADP雇用者数
◆米   2月ISM非製造業景況指数
◆米   2月マークイットサービス業PMI
◆米   2月マークイットコンポジットPMI
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁発言
◆加   カナダ中銀政策金利発表

新型コロナウイルスへの対策に金融当局やG7各国が協調した行動を見せたものの、
市場の混乱は収まらず、昨日の動きを見る限り動揺がさらに広がり、安全資産の債
券への資金流入が加速したように思えます。米10年債利回りは1.0%を割り込
んでいます。過去最低の1.4%台を割り込んだのが先週のことで、その後の金利
低下のスピードはやや行き過ぎではないかと思われますが、「今、安心して買える
のは債券くらいしかない」という声も聞こえてきます。

FRBは3日に臨時の会合を開き、50ベーシスの緊急利下げを全会一致で決めま
した。今月17-18日に予定されている会合を前に利下げを決め、しかも、一部
で予想されていたように25ベーシスではなく50ベーシスの利下げを決定しまし
た。この発表を受けNY株式市場では株価が上昇しましたが、その後のパウエル議
長の会見とともにじりじりと下げに転じ、ダウは一時1000ドに迫る下げ幅を記
録。結局785ドル安と、前日記録した過去最大の上げ幅の6割程度を吐き出す結
果になっています。パウエル議長は会見で、「経済見通しに対する新たなリスクを
前に、米経済の力強さを維持できるよう、この措置を講じた。」と述べ、「新型コ
ロナウイルスの感染拡大が新たな課題とリスクをもたらした」と説明しています。
議長は18日のFOMCでの追加措置の可能性は残したものの、「米金融当局に全
ての解決策があるわけではなく、人的・経済的ダメージの抑制には政府や医療専門
家、中銀など多方面からの対応が必要となる」と指摘しました。(ブルームバーグ)

この会見後に株価はじりじりと下げており、トランプ大統領は「さらに利下げすべ
きだ」とツイートしています。あるエコノミストは、「米金融当局には弾薬がほと
んどなく、手持ちの弾薬は供給への潜在的に大きな悪影響に対処する課題に全く適
していない」と指摘しています。これに先立って行われたG7緊急電話会議でも同
じように、「強固で持続可能な成長を実現するため、また下方リスクから守るため、
全ての適切な政策手段を用いる」との共同声明を発表していますが、市場は実際の
効果には懐疑的です。

また、政策余地の乏しい日本の場合にはさらに懐疑的な見方が広がっています。
昨日の日経平均株価の動きがそれを如実に物語っていたと言えます。
前日のNYダウは1300ドルに迫る過去最大の上げ幅を記録しましたが、それを
受けた東京株式市場は朝方こそ上昇は見せたものの上値は限られ、午後にはマイナ
スに転じ、最後は261円安の、この日の最安値で引けました。マイナス金利を採
用している日銀にさらに政策金利を深堀する余地は乏しく、仮に「金融市場の安定
確保に努める」としても、その効果は限られるといった見方が背景にあったようで
す。昨日も日銀は国債の特別オペを行い、市場に潤沢な資金供給を試みましたが、
結局「札割れ」でした。市中金融機関からの資金ニーズそのものがなかったようで
す。金融政策だけではこの困難をすぐに打開するのは難しいことのようです。

FRBの利下げに先立って、昨日はオーストラリア準備銀行(RBA)も利下げを決
めました。利下げはほぼ確実と見られており、下げ幅も50ベーシスを予想する向
きが多かったため、利下げ後は豪ドルが上昇しています。
オーストラリアについても、さらに25ベーシスの利下げが見込まれており、過去
最低の政策金利はまだ下がる余地を残しています。

新型コロナウイルスの感染拡大は中国以外で広がっており、昨日はNYで初めての
死者が出ました。感染拡大は今がピークかもしれませんが、日本では「ここ2週間
がヤマ場」とのコメントが出てから、そろそろ2週間が経過します。まだ終息する
気配がないことから、予断を許しません。

為替も株も極めて荒っぽい動きが続いています。
アルゴやAIが相場を動かしている状況です。落ち着くまでは無理な「参戦」を控
えることも必要です。

本日のドル円は106円50銭~107円90銭程度を予想します。


NYダウ過去最大の上げ幅を記録 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 東京時間に108円台を回復したドル円は、NYでは朝方に売られ107円40銭まで押し戻される。その後は株価の上昇と主要7カ国(G7)電話会議の報道から108円台半ばまで上昇。

  • ユーロドルも徐々に値を上げ、1.1185まで上昇。約2カ月ぶりのユーロ高水準まで買い戻しが進む。

  • 株式市場は急反発。主要7カ国(G7)が3日にも電話会議を開催するとの報道や、アジアで株価が反発したことを手掛かりに、買い戻しが活発に。ダウは1293ドル上げ、引け際に一気に上昇幅を拡大。

  • 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.15%近辺で推移。

  • 金と原油も大幅に反発。

本日の注目イベント

  • 日 2月マネタリーベース
  • 豪 1月住宅建設許可件数
  • 豪 10-12月期経常収支
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 欧 ユーロ圏1月消費者物価指数
  • 欧 ユーロ圏1月生産者物価指数
  • 米 2月自動車販売台数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 米 米大統領選スーパーチューズデー

これで「負の連鎖」が断ち切れるのか・・・・?米国株は急反発し、世界的な株価の下落にいったん歯止めがかかりました。NYダウの上昇は1000ドルを超え、1293ドル高で取引を終えました。急反発の直接のきっかけは、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁が3日に電話会談を開催し、世界経済に脅威を与えている新型コロナウイルスへの対応を協議するとの報道でした。日米英の中銀は必要に応じて景気刺激策を打ち出すことを表明しています。

昨日のNYダウの大幅上昇には伏線もありました。先週土曜日の「中国PMIショック」を受けて、昨日の朝、日経平均株価は300円程マイナスで始まり、ドル円もオセアニア市場では片足106円台に突っ込みました。その後黒田日銀総裁の談話が発表され、「潤沢な資金供給と市場の安定確保に努める」とのコメントを残したことで、ドル円は108円台を回復し、株価も200円を超えるプラスで引けました。東京市場が「ゲーム・チェンジャー」になることはそうはありませんが、NY市場にそれなりの好影響を与えたという意味では良い展開でした。問題は、これで株価が徐々に反転に向うのかどうかという点です。株価の動きが元の巡航速度に戻るようなら、ドル円も再び108-110円のレンジに戻ると思われますが、事態はそれほど簡単ではないと思われます。米長期金利と「VIX指数」の動きが、それを物語っています。

昨日はS&P500も大きく値を戻したこともあり、「VIX指数」も低下しましたが、現時点では「33.4」前後にあります。まだ危険水域と言われている「20」を大きく超えているのが実情です。また、米10年債利回りも前日からそれほど上昇してはいません。まだ安全資産の債券を手放す動きにはなっていないことを表しています。ドル円も同じように、米国株の大幅反発の割には上値が限定的でした。結局、先物主導で大きく売り込まれた米国株が、ショートカバーで買い戻されたに過ぎないということと思われます。
米国を始め、主要中銀は政策金利を引き下げると思いますが、それと新型コロナウイルスの感染拡大とは別の話だということです。米国では昨日、ワシントン州で新たに4人が死亡しており、これで米国内では計6人の死者が出ています。米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長はNBCニュースのインタビューで、「新型コロナウイルスの脅威が今や流行の規模に達し、恐らくパンデミック規模になっている」との見解を示しました。(ブルームバーグ)

本日は米国株の大幅上昇を受けて、日本株がどこまで上値を伸ばせるのかが注目されます。日経平均株価が1000円を超えれば、ドル円も109円に迫る場面もあるかもしれませんが、そこまでの反発は期待薄かと思います。米国では大統領選の序盤のヤマ場である「スーパー・チューズデー」です。昨日民主党の大統領候補の一人であるブティジェッジ氏が撤退を決めました。これで同党の候補者は3人に絞られたようです。トップを走るサンダース氏を、出遅れたバイデン氏が猛追しているようですが、今日は14州で予備選が行われ、その中にはカリフォルニア州など「大票田」が含まれており、今日だけで代議員の3分の1が決まります。
「スーパー・チューズデー」から参戦する戦略をとったブルームバーグ前NY市長も登場することから、非常に注目されます。本日の結果が民主党の候補者選びだけではなく、今後の大統領選に大きな影響を与えることになります。

本日のドル円は107円80銭~108円90銭程度を予想します。

ドル円早朝に107円を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は新型コロナウイルスの感染が止まらないことから
リスク回避の流れが一段と加速し、一時107円51銭まで
ドル安が進む。パウエル議長が緊急声明を出したことで
108円台まで値を戻して引ける。
◆ユーロドルでもさらにドル安が進み、1.1046まで
ユーロ高が進行。
◆株式市場は下げ止まらず、ダウは一時1000ドルを超える下げと
なった。パウエル議長の緊急声明により下げ幅を縮小し357ドル安で
引ける。S&P500も下げ止まらず、ナスダックは横ばい。
◆債券相場は続伸し、長期金利は1.14%台に。
◆金は大幅に売られ、原油も5日続落し、44ドル台に。

◆1月個人所得                →  0.6%
◆1月個人支出                →  0.2%
◆1月PCEコアデフレータ          →  1.6%
◆2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)  →  101.00

本日の注目イベント

◆中   2月財新製造業PMI
◆独   独2月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
◆米   2月ISM製造業景況指数
◆米   2月マークイット製造業PMI

新型コロナウイルスの感染が中国以外の国々で広がってきたことで、世界の金融市場
で動揺が続いています。
先週末のNY市場ではダウが前日に続き一時1000ドルを超える下落を見せたこ
とで、米長期金利は一段と低下し、1.14%台を記録しました。
ドル円もさらに円高が進み、107円台半ばまでドル安が進み、FRBのパウエル
議長が午後に入って「適切に対応する」との緊急声明を出したことで、108円台
まで戻してNYでの取引を終えています。パウエル議長は、新型コロナウイルスの
リスクが変質しながら米経済成長を脅かすとして、成長を支えるため必要に応じて
政策金利を引き下げることを示唆しました。

金利先物市場では今月18日のFOMCでの利下げ確率を100%織り込んでおり、
先週末の緊急声明後には、25ベーシスではなく、50ベーシスの利下げもあり得
るといった見方も浮上しています。また、今週の展開次第では18日のFOMCを
前倒しし、早期の利下げに踏み切るとの見方もあるようです。いずれにしても、今
回の「コロナ・ショック」で先週1週間のダウの下げは3583ドルに達しており、
リーマン・ショックを上回り、過去最大の下げになっていることから、FRBの早
期の対応が見込まれています。
ただ今回の混乱は、リーマン・ショックのように、経済・金融面での混乱が源泉で
はないことから、「利下げで感染が止まるのか」といった冷ややかな見方もあるよ
うです。NYダウは1000ドルを超える下げから、緊急声明文発表後には300
ドル台に下げ幅を縮小しています。

ただ、さらに中国の経済指標が混乱に拍車をかけています。事前の予想でも「相当
悪化している」と見られていましたが、先週土曜日に発表された中国の製造業PM
Iと非製造業PMIには驚きました。
中国国家統計局が発表した2月の製造業PMIは「35.7」と、1月の「50.
0」から大きく下げ、市場予想の「45.1」を10ポイント程下回って、過去最
低を記録しました。新型コロナウイルスの感染が急拡大したことから、中国経済に
壊滅的な影響を及ぼしていることが明らかになった格好です。
中国政府が講じた移動制限などの新型コロナウイルス対策によって、春節の連休後
に職場に戻れない人が出たり、原材料不足が発生して工場が再開できなかったこと
が要因と見られています。(ブルームバーグ)
また非製造業PMIも「29.1」と1月の「54.1」から大きく下げ、市場予
想の「50.5」をはるかに下回る結果になっています。同指数が「50.0」を
下回ったことは、個人的には記憶にはないほどです。

新型コロナウイルスの感染はイタリア、韓国で急拡大しています。
イタリアでは感染者数が1694人と、前日から5割増え、韓国では大邱を中心に
感染拡大が止まりません。米国は韓国の大邱市と、イタリアのロンバルディア州と
ベネト州への渡航中止勧告を発表しています。日本でも外務省は韓国・大邱市への
渡航中止と、イタリア3州の危険度を引き上げました。

NY市場での株価の大幅続落に加え、中国のPMIの急低下を受け、週明けの東京
市場でも為替と株価の混乱は続くと予想されます。
106円台に入るようだと、日経平均株価は再び500円を大きく超える下げに見
舞われる可能性もありそうです。
政府日銀も緊急対策などを発表する可能性がありますが、果たして市場の混乱を鎮
めることが出来るような対策を講じることができるのか、予想は出来ません。
いずれ混乱は収まるとは思いますが、それがいつになるのか、見通しがたたないこ
とが、不安心理を増幅させています。
ここは冷静に対処しなければなりません。

本日のドル円は106円80銭~108円20銭程度を予想します。


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