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WTI原油価格続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は引き続き107円台で小動き。株価は上昇した
ものの長期金利の動きが鈍く、値幅は30銭程度に収まる。
◆ユーロドルは1.07台後半まで売られたものの、
週末を控えて買い戻しも入り、1.08台に戻して越週。
◆株式市場は上昇。ダウは続伸し260ドル高。原油価格の上昇
から石油関連銘柄が買われた。
◆債券相場は横ばい。長期金利は0.60%台でほぼ変わらず。
◆金は3日ぶりに反落。原油は続伸し17ドルに接近。

◆3月耐久財受注             →  -14.4%
◆4月ミシガン大学消費者マインド(確定値)→   71.8

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆中   中国3月工業生産

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界規模で「外出禁止」や
「外出自粛」がなされているためか、ドル円も動きを「自粛」している
かのように、動きません。先週1週間の値幅は80銭にも届かず、10
8円台に乗せる場面も若干ありましたが、ほぼ107円台で推移しまし
た。

毎日恒例となった米ジョンズ・ホプキンス大学の調査では26日、12
:51UTC(協定世界時)現在、世界全体の感染者数は294万56
19人となり、感染症の確認症例は168カ国・市域に広がり、20万
3564人が死亡したと発表しています。(ブルームバーグ)
ただ、欧米では規制を緩和する動きが始まり、米国では少なくとも5州
で一部の経済活動が再開されています。米国で感染拡大が最も深刻なN
Y州のクオモ知事も、同州北部では早ければ5月15日にも企業活動を
再開する可能性があると発言しています。
またイタリアでは5月4日からロックダウンの解除を開始する計画を発
表しており、スペインとフランスでも1日当たりの新規感染者数は過去
1カ月余りで最小となっており、両国とも経済活動の再開計画を決定し
ています。

新型コロナウイルス危機に対応するため巨額の景気対策を行っている米
国では、米議会予算局(CBO)が2020会計年度(2019年10
月-2020年9月)の連邦財政赤字が過去最大の3兆7000億ドル
(約398兆)に達するとの予測を発表しました。景気対策への大規模
な財政出動に加えて、コロナによる経済活動の停止から歳入も大きく落
ちこんでいることが背景です。
また4-6月期のGDPについても、年率換算で39.6%減と予測し
ています。ムニューシン財務長官は26日、膨張する財政赤字について
「いつか」これと真剣に向き合わなければならなくなるとの見方を示し、
「米経済は7月、8月、そして9月に真に持ち直す」と発言しています。
巨額の景気対策の財源は国債の増発に頼らざるを得ません。
国債の増発は長期金利の上昇圧力になりますが、足元ではFRBが国債
の購入を無制限で行うことを決めており、長期金利は極めて低水準で推
移しています。ムニューシン財務長官も「金利が極めて低く」、長期金
利がこの水準で事実上固定されつつあるとして、この状態を歓迎する意
向を示しています。この発言は、「FRBによる無制限の国債購入が長
期金利の上昇を抑制するはず」といった考えが、前提になっているもの
と思われます。

本日は日銀の金融政策決定会合が開催され、終了後に結果と展望リポー
トが発表されます。すでにこの欄でも述べたように、本日の会合では年
80兆円をメドとしている国債の購入額のメドを撤廃し、さらにCPや
社債の購入限度額を倍増すると見られています。また今週はFOMC
(29日)やECBの政策会合(30日)も予定されています。決定会
合の内容や、パウエル議長やラガルド総裁の発言内容によっては、ドル
円も動きが出て来る可能性があります。
ただ日米欧中銀トップは、いずれも景気に対する厳しい見方を基本に据
えていると思われ、その先の見通しについては、それぞれ違いが出て来
るかもしれません。



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ギリアド社のコロナ治療薬振るわず 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は米株価の上昇やユーロ安から1週間ぶりに108円台に乗せる。その後コロナ薬への期待が後退し、株価が下げたことで107円35銭近辺まで下落。

  • ユーロドルはPMIが予想よりも下振れていたことで下落。1.0762まで売られ、対円でも115円台半ばまでユーロ安が進む。

  • 株式市場は原油価格が上昇したことを受け朝方は大きく買われたが、ギリアド社のコロナ治療薬が臨床試験での結果が思わしくなかたことで上昇幅を縮小。ダウは39ドル高でナスダックは小幅に下落。

  • 債券相場は反発。長期金利は0.60%台に低下。

  • 金と原油価格は上昇。

本日の注目イベント

  • 日 3月消費者物価指数
  • 独 4月ifo景況感指数
  • 英 3月小売売上高
  • 米 3月耐久財受注
  • 米 4月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 米 企業決算 → アメックス、ベライゾン、サノフィ

原油価格が落ち着きを取り戻したことが株価に影響し、昨日のNY株式市場は大きく上昇して始まりましたが、その後、新型コロナの治療薬として期待されていたギリアド・サイエンシズ社の「レムデシビル」が、有効性を示せなかったと伝わったことでダウは上げ幅を縮小。ユーロ圏のPMIが発表されましたが、製造業、サービス業、いずれも市場予想を下回ったことでユーロ安が進み、ユーロは対ドルで1.0762前後まで売られました。この影響でドル円でも円売りが進み、一時108円台に乗せる場面もありましたがやはり勢いはなく、その後107円台前半まで押し戻され、結局元の値位置に戻っています。まだ107-108円のレンジを、どちらにも明確にブレイクする兆候は見られません。米国の新規失業保険申請件数は前の週よりも減少していましたが、「442.7万件」と、依然として高水準でした。新型コロナウイルスの感染が拡大した3月下旬からの申請件数の累計は、これで約2600万件となり米企業では急速にレイオフが進んでいることを示しています。

来週27日から始まる日銀の金融政策決定会合での政策内容の変更を今朝の日経新聞が伝えています。それによると、日銀は現在年80兆円をメドとしている国債購入を「無制限」に変更することを検討するようです。新型コロナ対策の拡充で国債の増発が予定されており、増発による金利上昇を抑制しようとする狙いです。また4.2兆円の社債と、3.2兆円のCPの購入についても、購入額を倍増することを検討していると報じています。これらの政策により、市場に資金を潤沢に供給し、企業の資金繰りの安定化に資することになります。

コロナウイルスの感染が先行した欧州では、来週にも一部の国でロックダウンの段階的緩和が予定されています。イタリアでは回復者の数が、新規感染者数を初めて上回ってきました。またNY州では入院者数はほぼ横ばいに留まっていますが、クオモNY州知事は「素晴らしいニュースではない」としながらも手ごたえを感じているようです。一方日本では23日、コロナによる死者は29人と、これまでで最も多くなっています。感染者数も421人で、パンデミックとは言えないまでも、減少する気配はありません。政府や東京都知事も指摘しているように、大型連休が始まる来週からの2週間が収束か拡大かの「分水嶺」になると見られます。そろそろストレスもピークに達している人も多いかと思いますが、ここが辛抱のしどころです。「夜明け前が一番暗い」という言い方もあります。気を入れなおして頑張るしかありません。志村けん氏に続いて昨日は岡江久美子さんがコロナで亡くなりました。まだ63歳と若いにも拘わらず、6日に容態が急変して2週間ほどで亡くなっています。イタリアでの調査では、感染して平均8日ほどで亡くなるという報告もあります。コロナを甘く見てはいけません。

WTI原油6月限一時6ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は107円台で堅調に推移。資源価格の下落からカナダ・ドルやノルウェー・クローネなどが対ドルで売られたことがドル円にも波及。107円89銭までドルが買われる場面も。

  • ユーロドルは先週後半から続いている、1.08台でのもみ合いが続く。

  • 株式市場は大幅に続落。原油価格の下落が止まらず、ダウは631ドル安。一時は2万3000ドルの大台を割り込む。

  • 債券相場は続伸。長期金利は2週間ぶりに0.6%台を割り込む。

  • 金は反落。原油は中心取引の6月限が大幅に下落。前日マイナスに沈んだ5月限は反発して取引を終える。

本日の注目イベント

  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 欧   ユーロ圏4月消費者信頼感指数(速報値)
  • 英   英3月消費者物価指数
  • 米   2月FHFA住宅価格指数
  • 米  企業決算 → AT&T、アルコア
  • 加   カナダ3月消費者物価指数

原油価格の混乱が新たな金融市場のリスクになってきました。前日、WTI原油先物市場で5月限が、最終取引日が迫ってきたことで大きく売られ、一時はマイナス40ドル台まで下落し、引け値でも初のマイナス価格になりました。さすがに取引最終日にあたる昨日は買い戻されプラスで終わりましたが、取引の中心である6月限は一時68%も下げる場面があり、売買停止措置が3回も発動されています。引け値では11ドル57セントです。このため、昨日のNY株式市場では株価が大きく下げ、長期金利も低下してきました。ドル円は107円台後半までドル高が進みましたが、これは、産油国通貨であるカナダ・ドルやノルウェー・クローネが対ドルで売られたことで、円も対ドルで連れ安したものです。ただ原油価格の下げは、米国のシェールオイル企業の経営を圧迫し、必ずしもドル高要因と見ることはできません。トランプ大統領は米国の石油・ガス産業を「落胆させることは決してしない」とツイッターで宣言し、資金面で支援する計画を策定するよう関係閣僚に指示したことを明らかにしています。(ブルームバーグ)

フロリダ州やテキサス州など、一部の州での経済活動を段階的に再開した米国では、昨日は再び感染者が増加し、今月10日以来の大幅増になったようです。また、かつては感染の封じ込めに成功した代表国と伝えられたシンガポールでは、2日連続で1日当たりの新規感染者が1000人を超えています。同国は部分的なロックダウンをさらに4週間延長し、6月1日までとしたようです。
日本でも「非常事態宣言」が発令されて2週間が過ぎましたが、感染者数が目に見えて減少したとは言えませせん。感染者数増加の中心である東京都ではやや減少しているようには見えますが、それでも連日100人を超えています。地方に至っては明らかに増加している状況です。1週間後にはGWに突入し、「非常事態宣言」の期限である5月6日もすぐです。巷では、期限が再度延長されるのかどうかが話題になってきました。政府は、「専門家と協議して判断する」としていますが、このままでは延長されるのは避けられないと考えるのは筆者だけではないと思います。やはり、コロナとの闘いは長期戦になると腹をくくっておくべきでしょう。

連日コロナ関連のニュース一色でしたが、昨日は北朝鮮の金正恩委員長の健康に関するニュースが飛び込んできました。金委員長が心臓血管の外科手術を先週受け、その後危険な状態に陥ったという報道が流れました。その後の詳しい情報は入っていませんが、金氏の父であるキム・ジョンイル氏も70歳で亡くなっており、体形もよく似ていることを考えると、心臓に相当負担がかかっていると思われます。まだ若いということもあり、大事には至らないと思いますが、こちらの情報にも耳を傾ける必要がありそうです。
万が一「重篤」との報が流れるようだと、市場は「ポスト・金正恩」を模索始めることになります。ドル円は107円台でのもみ合いが続いていますが、金融市場全体では上記原油価格の急落に伴い、再び暗雲が立ち込め始めています。日米とも株価が安定してきたことで、「VIX指数」もかなり落ち着きを見せていましたが、再び株価の下落がリスクオフ・モードを増幅しそうな気配です。リスクオフが再び強まれば、円が買われる可能性もありますが、それでも「リスクオフ=円買い」といった構図は、やや後退してきたかと思われます。「円も買われるけど、基軸通貨のドルも買われる」といったことも考えられます。日経平均のボラティリティーも上昇してきました。引き続き慎重に対応する必要があります。

NYダウ1カ月ぶりの高値に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円はさらに値幅が狭まり、107円台でのもみ合いが続く。107円台半ばを中心に、40銭程度の値幅に収まる。

  • ユーロドルは上値の重い展開が続き、1.07-1.09台でのレンジが続く。

  • 株式市場では経済活動の再開が近いとの見方から大幅に続伸。ダウは704ドル上昇し、約1カ月ぶりの高値を付ける。

  • 債券相場は反落。長期金利は0.64%台に。

  • 金は続落。原油は大幅に下落し18ドル台に。コロナウイルスによる原油需要の減少が依然として材料に。

本日の注目イベント

  • 日 3月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏2月経常収支
  • 欧 ユーロ圏2月貿易収支

ドル円は一段と値動きが鈍くなり、先週末のNYでは107円台半ばを中心に値幅は40銭程度でした。107円前後では本邦機関投資家によるドル買い需要があるとの観測の一方、109円前後では円の先高感からドル売りも根強いようで、動きにくい展開になっています。日米金利差はほぼなくなっている状況で、今後の金融政策をにらんだ相場観も機能しない状況です。米国では新型コロナウイルスに対する大規模な経済対策で、財政赤字が急速に膨らみ、財政規律という意味では格下げのリスクも含めて、将来のドル安要因になる可能性があります。もっとも、大量の国債発行は本来金利上昇要因になり、米金利が上昇すればドル高が進むとの予測もできなくはありませんが、足元の長期金利は0.5%~0.8%程度の低位で安定して推移しており、FRBが大量の国債を購入していることで金利上昇が抑制されています。一部ではFRBによる「ヘリコプターマネーだ」と揶揄されているようです。

トランプ大統領が米国内で一部の州が段階的に経済活動を再開すると発表したことが株価の上昇につながりました。NY州では19日発表された新型コロナによる死者数が507人と、今月6日以降最小に留まり、クオモNY州知事は記者会見で、「この傾向が続けば、われわれは最悪期を過ぎたことになる」と述べ、「減少が続くかどうかは、われわれの行動次第だ。だが、今は減少している」と語っています。一方WHOのテドロス事務局長は、「感染拡大抑制のため講じた制限措置の緩和は段階的に行わなければ
ならない」と述べ、「感染拡大が終わったと言うべきではない。次の段階の始まりにすぎない」と述べ、慎重な姿勢を見せています。(ブルームバーグ)ただ欧州でも感染拡大はピークを超えたとの見方が出ており、ドイツでは中小店舗や自動車販売店などの営業を20日から再開する予定で、フランスでも移動や営業規制の解除を2週間以内に発表するとしています。

先週末に発表された中国の1-3月期GDPは市場予想(-6.0%)よりもマイナス幅を拡大する「-6.8%」と、1992年にGDPが正式に発表された以降で初めてのマイナス成長になりました。また3月の小売売上高や工業生産も軒並み予想を下回っており、中国では1月に武漢市を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国経済の大部分が休業を余儀なくされたことが響いたようです。既に経済活動が再開されているため、4-6月期GDPは急回復すると見られていますが、それでもわずかにゼロを上回る程度と予想されており、中国経済が巡航速度に戻るにはかなりの時間が必要なようです。

ドル円はまだ上値の重い展開を予想しています。今後発表される経済指標はどこも似たりよったりかと思われ、どこが最初に巡航速度への軌道を回復することが出来るのかが焦点です。余り記事にはなっていませんが、トランプ大統領は17日の記者会見で、強いドルを支持する発言を行っています。トランプ氏は「ドルはとても強い。強いドルは全体としてとても良いことだ」と語っています。これまでは、行き過ぎたドル高が米国の輸出業者を苦しめてきたと発言しており、今回なぜドル高支持に転換したのか真意は分かりませんが、大統領選を意識した可能性はあります。

日本政府全国に緊急事態宣言 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はアジアや欧州市場の流れを引き継ぎ底堅く推移。
NYでは108円台には届かなかったものの、この日の高値圏で
取引を終える。
◆ユーロドルは小幅に下落。1.0817までユーロ安が進んだが、
1.08台はキープ。
◆株式市場は反発。ダウは一時300ドルを超える下げから
小幅なプラスに転じる。ナスダックは139ポイントの上昇。
◆債券相場は横ばい。長期金利は0.62%台で変わらず。
◆金は続落。原油も下げ、20ドルの節目を割り込む。

◆3月住宅着工件数          →  121.6万件
◆3月建設許可件数          →  135.3万件
◆新規失業保険申請件数        →  524.5万件
◆4月フィラデルフィア連銀景況指数  →  -56.6

本日の注目イベント

◆日   2月鉱工業生産(確定値))
◆中   中国3月小売売上高
◆中   中国3月鉱工業生産
◆中   1-3月GDP
◆欧   ユーロ圏3月消費者物価指数(確定値)
◆米   3月景気先行指標総合指数

ドル円は15日(水)の107円割れから切り返し108円台を回復したものの、
勢いもなく、下値は底堅いものの、上値の方も限定的な展開が続いています。
ここは107-109円のレンジと捉え、利益を確定していくのがベターかと思
いますが、言うまでもなく、レンジを一方に外れたケースも常に想定しておく必
要はあります。

トランプ大統領は16日、新型コロナウイルスの感染拡大抑制のための外出規制
緩和に関して、「連邦政府ガイドライン」を各州に示し、規制の緩和は感染や疾
病の症例数が「下向きの軌道」を記録してからとするよう勧告しました。
ブルームバーグによると、各州はその上で3段階の再開プロセスに進むことがで
きるとされています。雇用主による社会的距離を保つ慣行の導入と実践、職場で
の検温、ウイルス検査と衛生面の向上、消毒の使用を勧めています。また雇用主
が「症状のある」労働者に対して、医師から職場復帰許可を得る
よう求めることも勧告しています。
トランプ大統領は16日の各州知事との電話会議で、連邦政府による社会的距離
指針が期限切れとなる5月1日より前に、一部の州は事業や学校を再開できると
の認識を示していますが、専門家の間では「時期尚早」との意見が少なくありま
せん。11月の大統領選を意識して、「コロナに打ち勝った大統領」との評価を
目指しているとの見方もあるようです。

確かに感染者数の増加ペースは明らかに鈍ってはいますが、NY州ではクオモ知
事が州内のロックダウンを5月15日まで2週間延長しました。
また感染者数が10万人を超えた英国でも、少なくとも3週間延長することを発
表しています。早期の経済活動の再開を求めるトランプ大統領はやや「勇み足」
のようにも見えます。昨日は地区連銀総裁の景気に対する認識も多く紹介されて
いますが、NY連銀のウィリアムズ総裁は、「残念ながら、米経済のパフォーマ
ンスはしばらくの間低調に推移する状況にある」と述べ、「今後数年間で完全な
景気回復を実現するには金融政策と財政政策の力強い支援を必要とするだろう」
と語っています。また、ダラス連銀のカプラン総裁も「消費が立ち直るにはしば
らくかかるだろう。2021年になってからという意味だ」と述べ、回復が定着
するには時間がかかるとの認識を示しています。

発表される経済データは「相当下振れしている」と理解はしているものの、予想
を超える数字が続々と示されています。
米週間失業保険申請件数は524万件と、先週よりも136万件ほど減少はした
ものの、依然として高水準で、ここ4週間での累計は2200万件にも達したこ
とになります。この結果、4月の雇用統計では失業率が10%を超えるといった
観測も出ています。また、高水準を維持していた住宅市場にもコロナの影響が及
んでいます。3月の住宅着工件数は前月比22.3%落ち込み「122万件」で
した。これは1984年以来の急激な落ち込みとなっています。
さらに、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も「マイナス56.6」と、
市場予想の「マイナス32」を大きく下回っています。
同指数は「ゼロ」を下回ると活動が縮小していることを示しており、4月は著し
く活動が落ち込んだことを表しています。

一方わが国では昨日政府が「緊急事態宣言」の対象を、これまでの7都道府県か
ら全国に広げると発表しました。コロナウイルスの感染が地方にも拡大し始めた
ことで、移動制限を全国的に要請することにしました。また、これまでの「減収
世帯を対象に30万円支給」を撤回し、所得制限を設けずに「国民一律に10万
円支給」とするよう、補正予算を組み替えることも発表しています。
これに伴う財源は12兆円を超えることになり、国債で賄うことになります。
国債の増発は長期金利の上昇圧力になり、日米金利差縮小となれば円高要因と見
られますが、一方で、日本の財政規律の悪化という意味では必ずしも円高要因と
見ることは出来ません。「非常事態宣言」の全国化とともに、為替への影響はそ
れほど顕著ではないと思われます。

本日は午前11時に発表される中国の1-3月期のGDPが注目されます。
前期は「6.0%」でしたが、今回は「マイナス6.0%」と予想されています。
新型コロナウイルスの感染が拡大した期間とほぼ一致するため、大幅な減速が予
想されていますが、市場予想よりもさらに悪化しているのかどうかが注目されま
す。

ドル円2週間ぶりに107円を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し、一時は約2週間ぶりとなる107円台を
割り込んだが、その後値を戻し107円20-30銭で引ける。
◆ユーロドルは小幅に続伸。1.09台後半までユーロ高が
進む。
◆株式市場は大幅に反発。ハイテク株を中心にダウは558ドル上昇。
経済活動が早期に再開するとの期待から買われたが、JPモルガン
などの金融株は下落。
◆債券相場は小幅に上昇。長期金利は0.75%台に。
◆金は続伸し、1768ドル台に。一時は1788ドル台まで買われ、
2012年10月以来となる高値を記録。
◆原油は反落。在庫が増えているとの観測から20ドルを割る場面も。

◆3月輸入物価指数   →  -1.6%

本日の注目イベント

◆豪   豪4月ウエストパック消費者信頼感指数
◆米   3月小売売上高
◆米   4月NY連銀製造業景況指数
◆米   3月鉱工業生産
◆米   3月設備稼働率
◆米   4月NAHB住宅市場指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   米財務省、半年次為替報告書の議会への提出期限
◆米  企業決算 → シティー・グループ、ゴールドマン、バンク・オブ・アメリカ
◆加   カナダ中銀政策金利発表

NYでは、ドル円が4月1日以来となる107円割れまで売られました。ドルに対する
調達懸念がほぼ解消されたことで、ドルに対して主要通貨が買い戻され、ドル円でも円
を買う動きが強まった結果です。
米国では新型コロナウイルスの感染拡大が続いているものの、新たな感染者の増加ペー
スが鈍化しており、トランプ大統領が、来月からの経済活動の再開を宣言するのではな
いかといった観測も出ています。しかし、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)
のファウチ所長は、経済活動を5月1日に再開するという目標は国内の大半の地域にと
って「やや楽観的過ぎる」との認識を示しています。同氏はAP通信とのインタビュー
で、「社会的距離のガイドラインを緩和するとすれば、時宜に応じて実施していく必要
がある。一度に撤廃することはない」と言明し、さらに「9月から11月にかけて再び
感染拡大の波が訪れても不思議はない」と述べつつ、「それは不回避ではない」と付け
加えています。(ブルームバーグ)

IMFは14日、世界経済見通しを発表しました。
新型コロナウイルスの影響から、成長見通しを大幅に下方修正しました。
2020年世界全体の成長率を「-3.0%」とし、今年1月時点での予想から「6.
3%」も下方修正しました。
これは2009年のリーマンショック後に記録したマイナス成長を下回り、大恐慌以来
の大幅な落ち込みになる可能性があります。
国別でも、日本は「-5.2%」、米国は「-5.9%」、英国を「-6.5%」とし、
ユーロ圏については「-7.5%」と、それぞれ大幅に下方修正しています。
また2021年についても、日本は「+3.0%」とプラス成長を回復するものの、ユ
ーロ圏の「+4.7%」、米国の「+4.7%」と比べ回復力が弱く、「V字回復」に
は微妙な成長と見られています。ただ2021年の世界成長は「+5.8%」としたも
のの、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらなければ、2年連続でマイナス成長を記
録する可能性もあると警告しています。IMFのチーフエコノミストは、「今回の危機
は他に類を見ない。戦争や政治危機のように、衝撃の持続期間や激しさを巡る不確実性
が根強い」と分析し、「より悪い結果が生じるリスクが支配的だ」と指摘しています。

「オバマ前大統領ついに沈黙を破る」・・・このようなヘッドラインで、今朝のブルー
ムバーグはオバマ氏のビデオメッセージの内容を伝えています。
民主党の大統領候補指名確実のバイデン氏に対してトランプ氏は、「なぜジョー(バイ
デン)は、オバマ氏から支持を受けていない。なぜ?」と、バイデン氏を揶揄していま
したが、オバマ氏はこれまで、民主党候補者が選出されるまで大統領選には関与しない
姿勢を貫いていたと、ブルームバーグは報じています。オバマ氏は12分間のビデオメ
ッセージで、バイデン氏を副大統領に選んだことは「人生で最善の決断の一つだった」
と振り返り、同氏が「今の大統領に必要な資質を兼ね備える人物だと確信する」と述べ
ました。
またオバマ氏は、「腐敗や軽率、自己利権の優先、虚偽の情報、無知そして思いやりの
欠如に象徴される政治に抵抗し、今こそ善良な米国民が明確に目を覚まし、団結する必
要がある。これを変えるためにはあらゆる政治思想の国民が政治や市民生活に関わるこ
とが必要だ」と訴えています。11月の米大統領選では「トランプ氏とバイデン氏の一
騎打ち」になる公算が高いと見られていますが、コロナウイルスの影響で集会を開けず、
自身の公約を訴え支持を集める機会のないバイデン氏にとって、多くの米国民からいま
だに人気の高いオバマ氏からの「支持表明」は、大きな力になるはずです。

ドル円は直近のレンジの下限を割り込んできました。
ただ上述のIMFの見通しでも示されたように、今後の日本の景気回復力は欧米に比べ
見劣りします。また、昨日発表された「人口推計」でも、日本の人口減少は止まりませ
ん。ざっと、90万人が生まれて140万人が亡くなっていく計算です。このままでは、
今後さらにこの傾向が拡大していく可能性もあり、これらは将来の「円安要因」と考え
られます。ドルの底値を探る流れが優勢ですが、105-110円の大枠レンジを大き
く外れる可能性は、現時点では低いと予想しています。



株式、債券市場休みでドル小動き 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は108円台で小動き。株式、債券市場が休場だった
こともあり、ドル円は108円台半ばを中心に20銭程度の値動き。
◆ユーロドルも1.09台半ばでもみ合い。

◆3月消費者物価指数  →  -0.4%
◆3月財政収支     →  -119.1b

ドル/円 108.35 ~ 108.56
ユーロ/ドル 1.0932 ~ 1.0954
ユーロ/円  118.35  ~ 118.73
NYダウ  -------  → 23,719.37ドル
GOLD  ------- → 1,752.80ドル
WTI   ------- → 22.76ドル
米10年国債 ------- → 0.719%


本日の注目イベント


◆欧    イースターマンデー、欧州市場休場

米国では株式市場と債券市場などが休場だったため、為替市場も参加者が少なく、
ほとんど動きが
ありません。今朝のコメントも相変わらずコロナ関連ということになりますが、
日本では、東京都を中心に感染者数は増加傾向にあり、東京都では昨日夜9時時
点でも166人の感染が確認され、これで都内の感染者数は
累計で2068人と、初めて2000人を超えてきました。TV番組では、7日
の「非常事態宣言」が発令され、最初の土日の繁華街での人出の様子を放映して
いましたが、さすがに新宿や渋谷でも人通りは少なかったようです。
一方で医療現場からは、マスクや防護服が絶対的に不足しているとの声が多く聞
かれ、「医療崩壊」という言葉が多くの医療関係者から聞かれました。

米国では新型コロナウイルス感染症で死亡した人の数が、イタリアを抜き世界で
最も多くなりましたが、新たな感染者の増加ペースは鈍化している模様です。
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、12日CNN
の番組で、経済活動について「少なくとも何らかの形で、恐らく来月に開始され
る可能性がある」と発言しています。その上で、「今月末までに、状況を見渡し
て安全かつ慎重に解除を開始できる要素があるか判断できることを期待している。
もしそうでなければ、実行する」と話しており、米国では一部の地域で5月には
緩和する準備が整う可能性がありそうです。(ブルームバーグ)

一方で新型コロナウイルスの感染による米経済への影響は大きく、ミネアポリス
連銀のカシュカリ総裁はCBSの番組で、「世界の状況を観察している。経済活
動のコントロールを緩めるのに伴い、ウイルス感染は急に再拡大する」と述べ、
「実際に治療法あるいはワクチンが得られるまで、そうした悪化とコントロール
の波が繰り返し押し寄せる可能性がある。われわれの医療制度および経済に関し
て、18カ月戦略に誰もが重点を置くべきだ」と語り、経済活動が再開されたと
しても「V字回復」を予想することは難しいとの認識を示しました。

OPEC加盟国と非加盟国の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、1週
間にわたる2カ国協議、および4日間に及ぶビデオ会議の末、原油の生産量を日
量970万バレル削減することで合意しました。ブルームバーグはこの合意を
「歴史的合意」と報じています。協議は、メキシコの抵抗により決裂寸前となる
場面もあったようですが、新型コロナウイルスのパンデミックによる需要への対
応もあり、最後に合意に達したようです。ただ早朝のWTI原油先物市場では、
先週木曜日のクロージングレベルより若干下落しており、相場への影響は、現時
点ではほとんどありません。

4月も中旬に差し掛かり、あと2週間ほどでGWに入ります。
ドル円は依然として方向感がつかめない展開が続いていますが、コロナウイルス
の混乱から、どこがいち早く抜け出て、通常の経済活動を再開できるのかが、方
向性を決める一つのカギになろうかと思います。
今後発表される経済データは、どこも相当厳しい数字が出ることは予想されてい
ます。その都度、為替を動かす材料にはなりそうですが、決定的な方向性を決め
るとも思えません。政策金利の低さは、どこも似たりよったりです。
やはりそこは、いち早く正常な状態を勝ち取った国の通貨が評価されると思われ
ます。日本の政策決定や経済支援の遅れを考えると、GWまでに通常の経済活動
を再開できるとも思えません。長い闘いになりそうです。



原油価格乱高下 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は軟調な米経済指標に押されて109円近辺から下落。長期金利の低下もあり、108円22銭までドル安に。 

  • ユーロドルは1.08台から反発して1.0951までユーロの買い戻しが進む。

  • 株式市場は上昇して始まったが、原油価格の急落に上げ幅を縮め、ダウは285ドル高と続伸。

  • 債券相場は反発。長期金利は0.71%台へと低下。

  • 金は大幅に続伸し、1750ドル台に。FRBの資金供給を手掛かりに前日比68ドル高。

  • 原油価格は「OPECプラス」で減産に合意したことで28ドル台まで上昇したが、コロナウイルスの影響から需要そのものが大きく減少とするとの見方から急落。

本日の注目イベント

  • 中 中国3月消費者物価指数
  • 中 中国3月生産者物価指数
  • 欧 グッドフライデーのため欧州市場休場
  • 米 3月消費者物価指数
  • 米 3月財政収支

ドル円は東京時間では109円台を回復する場面もありましたが上値は伸びず、NYでは週間失業保険申請件数などの経済データが予想より悪化していたことや、FRBが新たに最大2兆3000億ドル(約250兆円)の資金供給を行うことを発表したことがドル売りにつながり108円22銭まで売られました。依然として方向感のないドル円ですが、新型コロナの影響を受け、日米ともに景気後退が急速に進み、どちらがよりダメージを受けるのか、綱引きをおこなっているような状況です。

米国ではNY州で新型コロナによる新たな死者が過去最多になったものの、新規の入院者はこれまでで最も少なく、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は、米国の死者数が従来予想の10-20万人を下回り、6万人に留まる公算が大きいとの見方を示しました。トランプ大統領もホワイトハウスで「予想されたよりもはるかに少ない」と述べています。それでも米国での感染者数は43万人に迫り、1日で1万5000人ほどの新たな感染者が確認されています。昨日会見したクオモNY州知事は、ヒスパニックや黒人など、「マイノリティー」の感染や死亡が際立っていると指摘しています。また、米国では空母での感染拡大が急速に進んでいるようです。空母セオドア・ルーズベルトやロナルド・レーガンなど4隻で1500人ほどの感染者が確認されており、この混乱を理由に米海軍長官代行が辞任するという事態も起きています。

そんな中、昨日は再び新規失業保険申請件数に注目していましたが、結果は660万件と、先週よりは減ったものの、依然としてかなりの高水準であることは変わりません。ここ3週間の累計では1650万件を超えています。サービス業を中心に人員削減が急速に進んでいることが示唆されており、3月の雇用統計では4.4%だった失業率が、10%まで悪化するのにそう時間はかからないと見られています。製造業でも自動車業界を中心に操業停止が相次ぎ、トヨタや日産でも米国内の主要工場で生産を休止し、従業員の一時解雇(レイオフ)に踏み切っています。レイオフされた労働者は直ちに失業保険の申請を行い、そこで受けとる金額の方が、工場の生産調整により減らされる賃金よりも多いと言った事情もあるようです。

11月に予定されている大統領選では、民主党の大統領候補のサンダース氏が撤退を決めたことで、「トランプ対バイデン」の一騎打ちになることが決まりました。正式には8月の党大会で決まりますが、トランプ氏は早くも、バイデン氏が自分と闘う相手になることを意識してか、同氏が副大統領を務めた時の上司であるオバマ前大統領の支持を得られていないことを揶揄する発言を行っています。「なぜ、ジョー(バイデン)は、バラク(オバマ)の支持を得られないのか。なぜ?」と。コロナウイルスの影響により支持者向けの集会を開催できないバイデン氏に対して、連日コロナ対策でマスコミに登場するトランプ氏が、状況としては有利ではないかと見られていますが、世論調査ではバイデン氏への支持率の方がトランプ氏を上回っています。バイデン氏は中道派ということで、トランプ氏とは政策の差がそれほどなく、今後は撤退したサンダース氏の支持層をどれだけ集めることが出来るのかがポイントの一つのようです。バイデン氏は御年77歳。高齢なのが気になりますが、オバマ政権時代の経験という意味では評価できるようです。

ドル円は107台-109円台で「往ったり来たり」という状況ですが、NY株式市場では、3月下旬に記録したダウ1万8500ドル台が「底値だった」とする見方が徐々に増えているようです。この時「84」まで急騰した「VIX指数」は、足元では「41台」にまで低下しており、半分以下に下がっています。株価急落の恐怖感は徐々に落ち着いてきたものと見られます。上述のように、コロナの感染は依然として拡大してはいますが、早ければあと1週間ほどでピークアウト出来るとの観測が安心感を与えていると見られます。逆に言えば、その見通しが崩れた場合には、株価も再び2万ドル割れを目指す可能性も出てきます。「VIX指数」が再び急騰し、ドル円が105円割れを試すこともないとは言えません。目に見えない敵との闘いはまだ続きます。
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今週7日、「非常事態宣言」が発令された翌日から当社のある東京・丸の内界隈では、店という店は全て臨時休業を知らせる紙が店頭に掲示されました。喫茶店も中華の店も、和食の店も全て「4月8日から5月6日まで臨時休業」のお知らせ。そのため、ランチをする場所もなく、唯一開いているコンビニでおむすび、弁当を買うことになります。飲食店だけではなく、デパート、劇場、ジムなども一斉に臨時休業となり、ここで本来消費される金額はほぼゼロになります。その分が、テレワークを行っている自宅の周りで消費されるのであれば、国としてのGDPに大きな変化はありませんが、実際にはそんなことありません。結局本来消費されるべき金額の何割かは貯蓄に回ることになります。
ゴールドマンは4-6月期のGDP成長率がマイナス25%になるとの予想を発表しています。この数字は、データがさかのぼれる1955年以降で最大です。早くから「自粛」を決めたところでは、そろそろ「自粛疲れ」という声も聞かれるとか。
良い週末を・・・というより、適度な運動を・・・・・。



NYダウ大幅高から失速 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小動き。109円台は徐々に重くなり、上昇していた株式市場がマイナスに転じたことで、108円72銭まで売られる。

  • ユーロドルは反発。ドル安が進んだことから1.0928までユーロが買い戻された。

  • 株式市場は上昇して始まり、ダウは一時900ドル程の上昇を見せたが、その後失速。結局26ドル安で取引を終える。

  • 債券相場は下落。長期金利は0.71%台まで上昇。

  • 金は反落し、原油は続落。

本日の注目イベント

  • 日 2月国際収支
  • 日 3月景気ウオッチャー調査
  • 米 FOMC議事録
  • 加 カナダ3月住宅着工件数
  • 加 カナダ2月建設許可件数

為替市場は新型コロナウイルスの感染状況に振らされている展開は続いているものの、ドル円はやや落ち着きを取り戻し、昨日のNYでは値動きが久しぶりに鈍く、値幅も40銭以下に留まっています。NYダウが前日に続き、一時は900ドルを超える上昇を見せたものの、その後クオモNY知事がNY州では感染者の伸びは鈍化してきたが、新型コロナによる死者が過去最多になったことを発表すると、上昇分を全て吐き出し、結局前日比26ドル安で引けています。ドル円はこの動きに沿う格好で、108円72銭まで売られました。

NY州での死者は増加していますが、欧米での感染者数は徐々に減少してきました。イタリアでは、確認された感染者数が3月13日以来最小となり、政府は向こう数週間以内に一部の封鎖措置を緩和することを検討しています。また米国でもトランプ大統領の側近の一人である、クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、「今後4週間から8週間で、経済活動を再開できるようになるかもしれないと政府は見積もっている」と述べています。一方トランプ大統領は、WHOが新型コロナウイルスの流行に関して「へまをやった(blew it)」と批判し、(WHO)は「非常に中国中心主義だ」。米国からの資金拠出について「厳しく検証するつもりだ」と続けました。(ブルームバーグ)

瞬く間に世界に拡散した新型コロナウイルスの感染でしたが、ここに来てロックダウンの効果からか、感染者数の伸びは鈍化しています。それでも今朝の時点では世界全体では感染者数が140万人を超え、死亡者数も8万人に上っています。鈍化傾向を示しながらも、人数そのものは当分増えていくことは間違いありません。そんな中、安倍首相は昨日「非常事態宣言」を発令し、午後7時から会見を行いました。パンデミックを防ぐには、「人と人との接触を8割削減しなければならない」として、東京など、7都道府県をその対象としました。これにより、景気はさらに悪化することは明白です。3月からの2カ月間、人や物の移動はほぼ制限され経済活動が急激に落ち込むことになります。目に見えない敵と戦うわけですから、このような方法を取らざるを得ないことになります。いずれこの感染が終息に向かうことは明らかですが、この厳しい「コロナ戦争」を克服してこそ、後世に貴重な財産を残すことになります。
新型コロナウイルスの陰に隠れて、あまり話題に上らくなった「米大統領選」ですが、民主党の大統領候補は現在、ジョー・バイデン氏とバーニー・サンダースのどちらかに成る予定です。ここに来て、サンダース氏への撤退圧力が増しているようです。当初劣勢だったバイデン氏が盛り返し、今や同党の大統領候補の最有力者です。昨日7日、ウィスコンシン州で予備選が行われたようですが、ここでサンダース氏が敗れるようだとサンダース氏へのさらなる撤退圧力は増し、同氏が「敗北宣言」を行う可能性もあります。
民主党の全国大会は、コロナウイルスの影響により8月に延期されましたが、どうやら、当初予想した通り、「トランプ対バイデン」の一騎討ちになりそうです。問題は、バイデン候補でトランプ氏に勝てるかどうかです。コロナウイルスの感染が全米に広がり、その対策のため連日マスコミに顔を見せているトランプ氏の有利は動きませんが、今後コロナウイルスの感染拡大の状況次第では、有権者が「トランプ氏再選にノー」と言う可能性もあります。今後、コロナウイルスが終息に向えば、市場の目が再び米大統領選に集まってくることは間違いないと思われ、相場の変動要因の一つになります。

ドル円は引き続き、はっきりとした方向性は出ていません。日米の株式市場は底入れしたとの観測もやや出てきましたが、「4月から6月の間に2番底を付けに行く」といった見方も根強く残っています。NYダウは日替わりで、上げ下げを繰り返えす動きが続いており、ドル円もその動きに沿った値動きを見せている印象です。107円台~109円台のレンジは続いていますが、このレンジが外れた時の対応も考えておかなければなりません。新型コロナの感染拡大がどこで終息に向い、その後の景気の厳しい落ち込みがどの程度なのか、加えて、上述の米大統領選が今後の材料になると思われます。

米3月非農業部門雇用者数70万人減 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は108円台半ばで推移していたが、3月の雇用統計
を受けて108円台前半まで下落。
◆ユーロドルはユーロ圏のPMIが予想以上に悪化していた
ことで、1.0773前後までユーロ売りが加速。
◆株式市場は反落。朝方は小高く始まったが、雇用統計発表後に
値を崩す。ダウは360ドル安。
◆債券相場は横ばい。長期金利は0.59%台でほぼ変わらず。
◆金と原油価格は続伸。

◆3月失業率          →  4.4%
◆3月非農業部門雇用者数   →  -70.1万人
◆3月平均時給 (前月比)   →  0.4%
◆3月平均時給 (前年比)   →  3.1%
◆3月労働参加率        →  62.7%
◆3月ISM非製造業景況指数  →  52.5

本日の注目イベント

◆独   独2月製造業新規受注

3月の米雇用統計は予想された数字よりもさらに悪化していましたが、為替の動き
は限定的でドル円は108円台で推移し、ユーロドルはその前に発表されていたユ
ーロ圏のPMIの内容に反応し、1.08台を割り込む展開でした。

3月の失業率は2月の「3.5%」から大幅に上昇し、「4.4%」でした。
非農業部門雇用者数は、予想の「マイナス10万人」に対して「マイナス70.1
万人」と大きく雇用者が減少していました。
ただこの統計は3月の第2週の調査であり、米国ではそれ以降に新型コロナウイル
スの感染が拡大していることを考えると、今後失業率は10%に迫るとの予想が多
く、新規失業保険申請件数が2週間で1000万件を超えた実情を考えると、その
可能性は極めて高いと思われます。リーマンショック後の失業率は1年後がピーク
だったこともあり、失業率の悪化は来春まで続くことも
予想されます。

一方、雇用統計後に発表された3月のISM非製造業景況指数の方は、全体値とし
ては予想された程悪化してはいませんでした。
市場予想は「43.0」でしたが、結果は「52.5」で、項目別では、「入荷水
準」の数字が大きく上振れしていた結果、全体を押し上げたようです。
「雇用」については前月の「55.6」から大幅に低下して「47.0」でしたが、
これは、3月の雇用統計に沿った結果だと思います。

米国ではコロナウイルスの感染拡大が止まらず、感染者数は30万人を超え、死者
数も8000人を上回っています。さらに実際の死亡者はこの数字よりもかなり多
いといった見方もあります。コロナが原因で
亡くなった人に加え、医療体制が間に合わずに感染が確認されないまま亡くなった
人数もかなりいるとの報告もあります。
トランプ大統領は4日ホワイトハウスで、「不幸なことに非常に恐ろしい期間が待
ち受けている」とし、ピーク時の死者数が「これまで見たことのない、第一次世界
大戦か第二次大戦時のような数字になるかもしれない」と語っています。
同時に、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官のデボラ・バークス氏は、
「最も厳しい公衆衛生上の制限をさらに30日間課した場合でも、米国での死者が
最大で20万人に達する可能性がある」との予測を示しています。(ブルームバー
グ)
米国では今後1週間程度が「ヤマ場」との見方のようです。
一方日本でも感染拡大が続いており、東京都では5日の感染者数が143人と、こ
れで、3日連続で100人を超えてきました。問題は感染経路が確認できない感染
者が143人のうち92人もいることとされています。
今朝の報道では、安倍首相は早ければ7日にも「緊急事態宣言」に踏み切るとの観
測もあります。

ドル円は依然として明確な方向感はありません。
値幅も徐々に狭くなってきており、やや落ち着きを取り戻してきましたが、105
-110円のどちらを抜け切るのか判断できない状況です。
先週末の海外市場では108円台半ばまでドル高が進みましたが、これはユーロ圏
のPMIが予想よりも悪かったことで、「ドル買い・ユ-ロ売り」が強まり、この
影響がドル円にも波及した格好でした。コロナウイルスの感染拡大の影響は、日米
欧では日本が現時点では「軽微」ということから、今後円が相対的に強含むと見る
こともできます。一方で、「最後は基軸通貨であるドルへの需要が強い」という見
方も、それなりに説得力を持ちます。
コロナウイルスの感染拡大の影響で景気が相当落ちこむという点では、どこも大き
な違いはないものと思われます。
景気の悪化を食い止める対策の規模とタイミングの優劣が、その後のV字回復まで
の期間を決め、それが今後の相場に影響してくると考えています。



米失業保険申請件数665万件に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方には107円近辺まで売られたが、その後は
株価の反発もあり108円前後まで値を戻す。株価が3日ぶりに
上昇し、長期金利も上昇したことでドルが買い戻された。
◆ユーロドルはやや水準を切り下げる。1.0821まで
ユーロ安が進む。
◆株式市場は3日ぶりに反発。原油価格が急騰したことから、
エネルギー株を中心に、ダウは469ドル高。
◆債券相場は反落。長期金利は0.59%台に上昇。
◆金は大幅に上昇し1630ドル台に。原油価格はトランプ大統領の
ツイートを材料に急騰し、25ドル台で取引を終える。

◆新規失業保険申請件数    →  664.8万件
◆2月貿易収支        →  -39.9b
◆2月製造業受注       →  0.0%

本日の注目イベント

◆豪   豪2月小売売上高
◆中   中国3月財新サービス業PMI
◆中   中国3月財新コンポジットPMI
◆独   独3月製造業PMI(速報値)
◆独   独3月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月小売売上高
◆米   3月雇用統計
◆米   3月ISM非製造業景況指数

先週発表された失業保険申請件数は、桁違いの増加に衝撃をもって受け止
められましたが、今回のそれはさらに大幅に増加しており、先週の2倍以
上となる664.8万件でした。これで、ここ2週間での申請件数は約1
000万件にのぼり、新型コロナウイルスの感染拡大により全米で企業活
動が停止している状況が浮き彫りになりました。とりわけ、レストラン、
ホテル、それと飲食などのサービス業が大きな影響を受けていると見られ、
米国では感染拡大が続いていることから、同指数は今後も高水準で推移す
ると予想されます。

今回の申請件数ではカリフォルニア州が最多となっていますが、コロナウ
イルスの感染者はNY州で増加しており、昨日1日だけでも9000人近
く増加しています。世界全体でも昨日の時点で感染者数が100万人を超
え、死者数も5万1000人を上回った模様です。
スペインやフランスで急増している一方、イタリアでは感染者数の伸びが
横ばいとなっており、WHOの幹部は「イタリアの流行はまもなく安定す
るだろう」との見通しを述べています。日本でも、東京都の感染者数が昨
日はさらに増えて、1日で最多の97人になっています。「3桁増」も間
もなくといった状況で、小池都知事は「大変多いと思う。間もなく3桁と
いう数字でこれが最大であることを願っている」と述べていました。
また焦点の「緊急事態宣言」についても、小池知事は、「外出自粛をお願
いしているところを、国からお願いしてほしい。やはりここは安倍さん、
マスクをしながらぜひ、言っていただきたい」と政府による支援を促して
いました。(ブルームバーグ)

昨日のNYマーカンタイルでは、WTI原油価格が急騰しています。
トランプ大統領は2日、サウジアラビアのサルマン皇太子と会談した上で、
サウジとロシアが原油生産を約1000万バレル削減することを見込んで
いるとツイートしました。これを受けWTI原油価格は一時、前日の引け
値から35%の上昇となる、27ドル台まで急騰する場面がありました。
引け値は25ドル32セントで、それでも25%程上昇して取引を終えて
います。ただロシア大統領府の報道官は、プーチン大統領はサウジ皇太子
とは話しておらず、サウジとの間で減産合意はしていないと説明しており、
今回のサウジとロシアの減産合意には懐疑的な見方も広がっています。

昨日、ドル円は107円前後を維持できるかどうかが焦点と述べましたが、
NYでは107円割れをテストしたものの反発し108円台に乗せました。
足元の動きは105-110円のレンジ内で、明確な方向感は出ていませ
ん。それでも昨日のように1日で1円程の値動きがあり、利益を確保する
チャンスはあります。「出来るだけ引き付けながら、利益を確実にとって
いく」・・・・簡単ではありませんが、明確な方向感が現れるまで、長く
ポジションを維持することは賢明ではありません。
本日は米雇用統計です。3月分であるため、昨日の失業保険申請件数のよ
うな衝撃的な内容が出るとは思いませんが、下振れのリスクはあろうかと
思います。
まだどちらかと言えば、戻りを売るスタンスが有利かと思いますが、ショ
ートを振る水準には注意が必要です。




ADP雇用者数減少に転じる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米国でのコロナによる感染拡大が続いていることや、軟調な
経済データを受けドル円は続落。一時は約2週間ぶりとなる
106円93銭まで円高が進む。
◆ユーロドルは反落。1.0903までユーロ売りが進み、対円でも
116円台後半まで下落。
◆株式市場は大幅に続落。新型コロナによる影響から、経済活動停止が
長期化するとの懸念からダウは973ドル安。
◆債券相場は続伸。長期金利はさらに低下して0.58%台に。
◆金は4日続落。原油も下落して20ドルを割り込む場面も。


◆3月自動車販売台数     →  1137万台 
◆3月ADP雇用者数     →  -2万7000人
◆3月ISM製造業景況指数  →  49.1


本日の注目イベント

◆日   3月マネタリーベース
◆欧   ユーロ圏2月生産者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  2月貿易収支
◆米   2月製造業受注
◆加   カナダ2月貿易収支

ドル円は先月18日以来となる107円割れの水準まで下落しています。
一時持ち直した日米の株式市場が再び下落傾向を強め、「二番底」を探る展開
になってきたことと、ドル資金に対する調達懸念が徐々に低下したことで、「
とにかく今はドルを確保」するという動きが収まったことで、元のセンチメン
トに戻ったようです。加えて、米国での新型コロナウイルスの感染が依然とし
て拡大しており、外出制限令リストに新たにフロリダ州とペンシルベニア州が
加わりました。またNY州では、市の衛生局がコロナ感染者の約20%が44
歳以下であり、世界と比べて比較的若い層が多いことのデータを発表していま
す。同州の死者数は2000人となり、トランプ大統領は米国内での死者数は
「10万~24万人に達する」との厳しい見方を発表し、「苦しい2週間にな
る」といった言葉を残しています。
また米情報当局は、中国はこれまで、新型コロナウイルスの感染例、および同
ウイルス感染症による死亡者数をいずれも過小報告し、流行の広がり度合いを
隠ぺいしていたと結論付け、ホワイトハウスに機密報告を提出しました。
(ブルームバーグ)

昨日のNYでは重要な経済指標が2つ発表され、いずれもコロナ感染の影響を
受け軟調でした。3月のADP雇用者数では、民間の雇用者数が「マイナス2
万7000人」と、2017年以降で初めて減少に転じました。
この数字は3月の前半のみを反映しており、同月後半に見られた、より大きな
人員削減の動きは含んでいません。従って予想(マイナス15万人)ほど悪化
はしてはいませんでしたが、4月のそれはもろに影響を受けると予想されます。
因みに、2月の同指標は「プラス18万3000人」でしたが、こちらも下方
修正されています。本日は新規失業保険申請件数が発表されます。
同指数は先週「328万件」と桁違いの数字が発表され、市場に衝撃を与えま
したが、本日の数字も「370万件」と、さらに増加していると予想されてい
ます。今後発表される雇用統計の内容が恐ろしい気がします。

もうひとつの指標は先行指標であるISM製造業景況感指数です。
同指数は「49.1」と、全体としては市場予想よりも小幅な低下でしたが、
新規受注指数は「42.2」と、活動の拡大と縮小の境を示す「50.0」を
大きく下回り、2009年3月以来の低水準です。
また雇用指数も「43.8」と、こちらも「50.0」を大きく下回り、やは
り2009年5月以来の低水準でした。
非製造業景況感指数は明日(3日)発表されます。
1-3月の全米での自動車販売台数も発表されましたが、各メーカーは軒並み
販売台数を減らしていましたが、特に日本のメーカーの落ち込みが際立ってい
ました。GMなど米国勢は7-10%の減少でしたが、マツダや独フォルクス
ワーゲン、韓国のヒュンダイなどは40%を超える減少を記録しています。三
菱自動車は50%を超えています。

連日この欄で述べているように、新型コロナウイルスの感染度合いと、その経
済的影響度で為替の水準が決定されています。
その中でも、ドルが基軸通貨であることから、より米国の経済データの方が影
響度が大きいのが実情です。
日本でも感染拡大は続いており、米国の軌跡を辿っているとの指摘もあります。
昨日は218人(1日午後9時時点)の新たな感染者が確認されており、日増
しに増えているのが実情です。昨日の専門家会議の記者会見でも切迫感が伝わ
ってきました。政府も「非常事態宣言」を発動するかどうかの瀬戸際に立って
いるようです。昨年の「貿易戦争」に続き、今度は目に見えない敵と戦ってい
る「コロナ戦争」は非常に手ごわく、世界景気に与える影響は「貿易戦争」の
比ではありません。本日は107円前後で下落が止まるかどうかです。
日本株の下げにドルがどこまで売られるのかに注目していますが、引き続き慎
重なトレードが求められます。



米経済指標の悪化続く 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はアジア市場のドル高を受けて108円60銭前後で
取引が始まったが、低調な経済指標と、米国でのコロナウイルスに
よる死者の数が中国を上回ったことを手掛かりにドルが売られる。
107円台半ばまで円高が進み、この日のドル最安値近辺で引ける。
◆ユーロドルは1.09台から反発。1.1038までユーロの
買い戻しが進行。
◆株式市場は弱い経済データを背景に反落。ダウは410ドル下落し、
連日上げ下げを繰り返す。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.67%近辺まで低下。
◆金は大幅に下げ3日続落。原油は小幅に反発。


◆1月ケース・シラ-住宅価格指数  →  0.30%
◆3月消費者信頼感指数       →  120.0

本日の注目イベント

◆豪   豪2月住宅建設許可件数
◆豪   RBA議事録
◆日   1-3月期月日銀短観
◆中   3月財新製造業PMI
◆独   独3月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏2月失業率
◆米   3月自動車販売台数
◆米   3月ADP雇用者数
◆米   3月ISM製造業景況指数

NYダウは前日比410ドル下げました。不思議なもので、「410ドル安」と聞いても
驚きはなく、むしろ「安心感」さえ覚える状況です。
2月後半よりほぼ連日1000ドルを超える乱高下が続いたことから、投資家の目も「4
桁」の数字に慣らされ、「3桁」であれば小幅な動きだったといった印象を受けるように
なった気がします。ドル円についても、昨日も1円以上の値動きがあり、こちらも1円~
1円50銭程度の値動きが常態化してきました。
月曜日から見れば、ドル円は結局「往って来い」の展開になっています。
為替や株を動かすドライバーは「発表される経済データの下振れ度」、「コロナウイルス
に対する感染度」が軸になっているものと思われます。

米国では感染者数が16万人を超え、イタリアを抜いて世界最多になっています。NY州
では18歳以下で初の死亡が報告され、フランスでは高校生がコロナウイルスに感染して
亡くなっています。比較的安全と言われていた若年層ももはや安全とは言えず、専門家は、
「日本国内で感染拡大が続けば、若い世代で重症や死亡する例が出て来るだろう」と述べ
ています。国内でも昨日は東京都で感染者が78名と、これまでの1日での最多を記録し
ました。ここでも専門家からは、「米国の感染拡大ペースに似てきた」と声もあがり、ひ
ょっとしたら政府による「非常事態宣言」も近いのではないかといった懸念もあります。
一方でイタリアでは依然として感染拡大が続いているものの、2週間ぶりの低水準で横ば
いになったことから、「感染段階は停滞期に入った」と、同国国立衛生研究所の所長が述
べています。

既に2兆ドル(約216兆円)を超える景気対策を決めた米国では、31日にトランプ大
統領がさらなる景気対策が必要とツイートしました。
トランプ氏は、「米国の金利はゼロであり、今こそ何十年もの長きにわたり待ち望まれて
いるインフラ法案に取り掛かる時だ」と述べ、「2兆ドルと非常に大規模かつ大胆なもの
とし、中身は雇用、そしてわが国の素晴らしいインフラを復活させることに絞るべきだ」
と訴えています。同法案は道路や橋、鉄道の建設・補修など、公共プロジェクトに資金を
提供する内容ですが、財源をどうするかについては決定していません。(ブルームバーグ)
またFRBはドル資金の供給に関して、各国中銀が保有する米国債を担保に資金を提供す
る意向を示しました。
先週まで見られたように、新興国や企業がドル資金の調達に走ると、ドル高に振れること
になり、さらに保有する米国債を売却してドルを調達すれば、長期金利に上昇圧力がかか
ることになります。金利上昇は景気を冷やす要因と見られ、FRBは金利上昇を抑える意
味からも、国債担保の貸し出しを意図したものと思われます。

クリーブランド連銀のメスター総裁は31日CNBCとのインタビューで、新型コロナウ
イルスのパンデミックで米経済が減速し、失業率は10%を超える水準でピークを迎える
と予想する一方、30%を超えるとする他の連銀総裁の予想には異議を唱えました。
メスター総裁は、「クリーブランド連銀で予想する数字は30%ではない。だが、10%
を超えることは確かで、米経済の多くの部分が休業していることを踏まえれば、合理的だ」
と指摘しました。その上で、「1-3月期と4-6月期の米経済は極めて悪い数字になる
と予想する。どのような数字になるかはウイルス感染状況に左右されよう」と述べていま
す。(ブルームバーグ)

上でも述べたように、ないことを望みますが、万が一「非常事態宣言」が発動されたら、
ドル円はどう動くのかを想定しておいたほうがいいでしょう。
個人的には、日本の景気回復がさらに遅れるという想定のもと、円売りで反応する可能性
が高いと思われます。
株価にとってはマイナス要因となり、株式市場の下落は間違いないところでしょうが、円
と株が同時に売られる、「日本売り」に近い状況が想定されます。
首都東京が1カ月ロックダウンされた場合、英バークレーズは試算で、4-6月のGDP
を「2.7%」押し下げる要因になるとしています。
繰り返しになりますが、ここ1週間が「分水嶺」にあると考えます。


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