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ユーロ、対ドル対円で2カ月ぶりに高値 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は依然として107円台半ばから後半で推移。
失業保険申請件数が減少傾向を示していることからドルが
買われたものの、107円82銭で頭打ち。
◆ユーロドルは続伸。欧州委員会が示した景気対策を好感し、
約2カ月ぶりとなる、1.1094前後までユーロが買われる。
ユーロは対円でも119円39銭近辺まで上昇。
◆株式市場は反落。午後まで上昇を維持していたものの、
トランプ大統領が29日に中国に関する会見を行うと発表した
ことで下落に転じる。
◆債券相場は小動き。長期金利は0.69%台で推移。
◆金は小幅に続伸し、原油は反発。

◆1-3月GDP(改定値)    →  -5.0%
◆4月耐久財受注         →  -17.2%
◆ 新規失業保険申請件数      →  212.3万件
◆4月中古住宅販売成約件数    →  -21.8%


本日の注目イベント

◆日  5月東京都区部消費者物価指数
◆日   4月失業率
◆日   4月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
◆米   4月個人所得
◆米   4月個人支出
◆米   4月PCEコアデフレータ
◆米   5月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆加   カナダ1-3月期GDP

中国の全人代が閉幕し、制定の行方が注目されていた「香港国家安全法」
が採択されました。これで香港の「一国二制度」が事実上骨抜きになり、
中国は香港の自治に強く関与することになります。
採択された制定方針には「外国勢力が香港に干渉することに断固反対し、
必要な措置をとって反撃する」と明記されており、今後数カ月かけて、政
府転覆や分離、テロ、外国の介入などを禁じる法の詳細を策定すると見ら
れます。

クドロー米国家経済会議(NEC)委員長はCNBCとのインタビューで、
「要するに、中国は香港から自由を奪った」と発言し、「米国として見過
ごすことはできない。この件に関して中国は責任を問われることになる。
必要とあれば、香港に対して今後は中国と同様の扱いをする必要が出て来
る可能性がある」と述べています。
米国は香港に対して中国とは異なり、関税やビザの発給などで優遇してお
り、クドロー委員長はこの点に触れたようです。
同委員長はさらに、「中国との第一段階の貿易合意については当面継続し、
前進があるかもしれない。しかし、中国の香港に対する行動は極めて、極め
て大きな過ちだと思う」と語っています。(ブルームバーグ)

トランプ大統領は、中国に関して29日に記者会見を開くと述べ、中国共
産党幹部の米国内の資産凍結
などを含む経済制裁を行うとの見方が強まっています。また香港は金融ハ
ブとして、アジアの国際金融の中心地の一つで、多くの外資系金融機関が
香港をアジア・パシフィックの拠点と位置付けており、他のアジアの拠点
より人や資金を格段に多くつぎ込んでいます。
筆者の在籍したフランスの銀行でも、アジア・パシフィックを統括する責
任者は香港に駐在していました。米シティーバンクなどは香港での歴史が
長く、香港ではHSBCやスタンダード・チャータード銀行などと並んで
存在感があります。米国が香港を特別扱いしなくなるようだと、「国際金
融都市香港」の将来にも大きく関わってきそうです。
本日のトランプ大統領の会見を注視したいと思います。


米国が中国に強い警戒感を抱くのは香港問題だけではありません。
この欄で何度も触れているように、今回の新型コロナウイルス問題でも中
国には大きな責任があるとしています。
昨日発表された数字では、コロナ感染による米国内での死者はついに10
万人を超えました。感染者数も170万人に迫り、世界でも突出した被害
が出ています。(ジョーンズホプキンス大学まとめ)失業保険申請件数も
減少傾向が続いているものの、直近2カ月半の合計は4000万件を超え
ています。さらに台湾を巡る問題もあり、そもそも貿易交渉も第一段階で
は合意に達したものの、それ以降の交渉のメドも立っていません。
これらの諸問題に関してトランプ大統領が強気に出なければならない事情
も、米中関係の悪化に拍車をかけている面もあります。
それが11月の大統領です。
バイデン候補に打ち勝ち再選を果たすには、中国に対して強硬姿勢を維持
せざるを得ません。米中の「新冷戦」はまだ始まったばかりです。

ユーロドルが2カ月ぶりに1.12に迫る水準まで上昇してきました。
EUの欧州委員会が新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済の復興計
画案で、新たに補助金と融資からなる7500億ユーロ(約89兆円)の
基金創設を発表したことが好感され、さらにドイツでも景気の底入れを示
唆するような経済データが出始めたことがその背景かと思われます。
チャートでは日足で雲抜けを完成させたこともあり、米中関係がさらに悪
化しドルが売られる展開になるようだと、一段の上昇余地が出て来る可能
性もあります。



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日米で株価急伸 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米株価の上昇と長期金利の上昇にもドル円は反応せず、
107円台での膠着が続く。ユーロドルでユーロ高が
若干進んだこともあり、円が強含む場面もあり、
107円41銭まで下落。
◆ユーロドルは買い戻しが入り、1.0996まで上昇。
ドイツの経済指標に底入れ感が出るなど、景気回復への
期待感がユーロショートの買い戻しにつながる。
◆株式市場は大幅に続伸。ワクチン開発への期待もあり、
ダウは一時2万5000ドルの大台を回復し、S&P500も
3000の大台に乗せる場面も。
◆リスクオンがやや強まり、債券相場は下落。長期金利は
0.69%台へ上昇。
◆金は大きく売られ、原油価格は上昇。

◆3月ケース・シラ-住宅価格指数    →  0.47%
◆3月FHFA住宅価格指数       →  0.1%
◆4月新築住宅販売件数         →  62.3万件
◆5月消費者信頼感指数         →  86.6

本日の注目イベント

◆中   中国4月工業生産
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   5月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、バーチャル会議に参加

出遅れ感が強かった日経平均株価もようやく力強い上昇を見せました。
前日、「非常事態宣言」が全面的に解除されたことを好感し、昨日の日経平均株価は
前日比529円上昇し、前日分と合わせ2日で850円程上昇し、引け値では2万1
200円台を回復しました。さらに上昇しているのが米株式市場です。
ダウは昨日のザラ場では一時「2万5000ドル」の大台を回復し、S&P500も
「3000」ポイントに乗せる場面がありました。
いずれも、新型コロナウイルスに打ち勝って経済活動が再開することへの期待感が相
場を押し上げた結果です。

一方ドル円は完全に「蚊帳の外」といった具合です。
5月は初旬に106円台を若干割り込む場面もありましたが、ほぼ106円~108
円のレンジ内で推移し、ここ10日間ほどは107円台でのもみ合いが続いており、
値幅は1円もありません。香港を巡る米中関係も依然予断を許さない状況にあり、値
動きも煮詰まってきていると考えれば、動き出すのも近いのではないかと思いますが、
これは希望的観測も含めてのことです。米長期金利の動きが鈍いことが最も大きな要
因になっていると思われます。

北京で開催中の「全人代」では、香港での反政府活動を禁止し、民主化運動を厳しく
監視するための「香港国家安全法」の制定方針が明日にも採択される見込みとなって
います。同法案は、国家の分裂や政権転覆、組織的なテロ活動、外部勢力による内政
干渉を禁止することを含んでおり、トランプ大統領は中国の当局者・企業・金融機関
への様々な制裁措置を検討しているようです。
マクナニー大統領報道官は26日、「トランプ大統領は不快感を示しており、中国が
取って代われば、香港が金融ハブの地位を維持するのは困難に見える」と語っていま
す。トランプ大統領が具体的にどのような制裁措置を考えているのかは明らかになっ
ていませんが、FOXニュースは、「トランプ氏は、中国の学生と研究者の米国留
学を制限することをポンペオ国務長官と議論した」と伝えています。
(ブルームバーグ)

ハーバードなど、米有名大学ではMBAを取るため多くの中国人学生が学んでいます。
昨年耳にした中国人の知人の話では、西海岸のカリフォルニア大学バークレー校の卒
業式に出席した際、米国人以外の卒業生はほぼ中国人が独占し、日本の学生は一人も
いなかったそうです。彼の息子はコンピューター・サイエンスを専攻し、就職先もグ
ーグルなど引く手あまたでしたが、結局ベンチャー企業に就職したと話していました。
いずれにしても法案が制定されれば米国としても中国に対して何らかの制裁を加える
ことは確かで、中国側も対抗措置を講じる可能性があります。
ただ香港は中国本土の企業にとっても非常に重要な「資本市場」であって、ここで多
くの中国企業が資金調達や運用を通じて米国との接点を持っています。
常識的に考えれば、中国が香港での関与をさらに強め、米国との断交を行うことは考
えにくいことです。

新型コロナウイルスの感染拡大が和らいできたことで、市場ではややリスクオンの流
れが勢いを増して
来ました。感染拡大による影響は確かに峠を越えたものと思われますが、今後二次、
三次の感染拡大も懸念され、世界の主要国で経済・社会活動が正常に戻るのは、早く
ても来年春ごろではないかと思っています。
その頃にはコロナに対するワクチンも開発され、人々が安心して経済活動に専念でき
るようになっているのではないでしょうか。
まだまだ安心しきるわけにはいきません。

株価が大幅に上昇し、リスクオンが進んでもドル円の上値は重い印象です。
多くの投資家が米中関係の悪化を懸念していることが背景かと思われます。
明確な方向性が出るまではまだ辛抱が必要ですが、市場のエネルギーもかなり溜まっ
てきていると思います。油断をしないよう、市場と向き合っていきましょう。



ユーロドル1.10台から反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日と変わらず横ばい。107円台での
推移が続き、米中関係の悪化などが意識されながらも
107円50銭を中心に底堅い動きに。
◆ユーロドルは前日の1.10台から値を下げる。
1.0886近辺まで売られ、当面の上値を確認した
格好に。
◆株式市場はまちまち。ダウは小幅に下げたものの、
ナスダックとS&P500は続伸。新型コロナに対する
ワクチン開発への期待が株価の支えに。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.65%台へと低下。
◆金は反発し。原油は反落。

本日の注目イベント

◆日  3月景気一致指数
◆独   独1-3月期GDP(改定値)
◆独   独5月ifo景況感指数
◆英 LDN休場(バンクホリデー)
◆米 NY休場(メモリアルデー)

中国では先週22日より「全人代」が開幕し、新たな経済成長率目標を
掲げなかったことが注目されていますが、香港の反政府活動や民主化運
動の取り締まりを強化する計画の行方にも大きな関心が集まり、トラン
プ大統領は「実行されれば非常に強く対処する」と改めて警告していま
す。
ポンペオ国務長官も、「香港に対し、一方的かつ、しい的に国家安全法
を押し付ける中国の提案を米国は非難する」との声明を発表し、米商務
省も、中国の政府機関・企業を禁輸措置の対象に追加することを発表す
るなど、米中関係の一段の悪化が「新冷戦」と評される状況になってき
ました。

これに対して中国でも王毅外相が24日の記者会見で、中国を変えよう
という「希望的観測」を捨てるよう警告しました。
王外相は北京で開催中の全人代に合わせて開かれた会見で、「中国には
米国を変えようという意図はないし、米国に取って代わろうという意志
もない。同時に、米国が中国を変えようと考えても、それは希望的観測
だ」と述べました。さらに同外相が、「米国の一部政治勢力は米中関係
を人質にとり、新冷戦の瀬戸際へと向かわせようとしている」と主張し、
台湾についても、「中国と台湾の再統一は歴史の必然的な流れであり、
誰も、いかなる勢力もそれを止めることはできない」と、内政干渉をや
めるよう警告しています。(ブルームバーグ)

加えて、米中関係は新型コロナウイルスを巡る問題でも火花を散らして
います。ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると、24日午後4時
現在での感染者数は、世界で531万人を超え、米国では162万人と
なり、米国での死者数も9万7000人と、10万人に迫る勢いです。
今後賠償問題にも発展していくものと見られますが、市場では思ったほ
どリスク回避の流れは強まって来ません。
その理由の一つに、米株式市場が景気の急激な悪化を示す経済指標が多
く発表される中でも、堅調に推移していることが挙げられると考えます。
FRBによる積極的かつ大量の資金供給が、株価の安定を支えている構
図です。ただ、それでも米中関係がさらに悪化するようだと、リスク回
避の円買いが急速に進む可能性は残っていると思われます。
株式市場では再び「株を持たないリスク」といった声も出始めており、
楽観論が広がって来ました。新型コロナに打ち勝って、経済活動も徐々
に再開されている状況です。ここは、もう一度気を引き締めるタイミン
グかもしれません。

本日は主要な海外市場が休みです。
107円台で膠着状態のドル円は、より動きにくいと予想されます。
政府が本日、緊急事態宣言を全面解除する可能性が高まっており、その
期待から日経平均株価が上昇することも考えられ、株価の上昇がドル円
をやや押し上げることも予想されます。大きな期待はできませんが、1
08円に迫る動きが見られるかもしれません。


米中関係の悪化懸念強まる 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 米中関係の悪化を織り込む形でドル円は小幅に下落。107円55銭まで売られたが、経済活動の早期再開に向う米国への期待もあり、ドル売りも勢いがなく107円台で推移。

  • ユーロドルは続伸。朝方には3週間ぶりとなる1.10台まで上昇。

  • 株式市場は反落。ダウは101ドル下げ、他の主要指数も揃って反落。「1歩後退・2歩前進」の流れが続く。

  • 債券は小幅に上昇。長期金利は0.67%台でほぼ変わらず。

  • 金は大きく売られ、原油は続伸。

本日の注目イベント

    日 日銀臨時金融政策決定会合
    日 4月消費者物価指数
    中 中国全人代開幕
    欧 ECB議事要旨
    英 4月小売売上高
    米 債券市場短縮取引
    加 3月小売売上高

米中関係がさらに悪化しそうな気配です。全人代の開幕を本日に控えた中国の報道官は、一部の米議員による賠償を求める動きについて、「中国はコロナの感染拡大に関する訴訟の乱用や不当な賠償請求は一切受け入れない」と発言し、自国の主権と安全保障、国益を守るとし、対抗措置を取る可能性を示唆しています。

香港のテレビ局によると、全人代では、議題に香港法制度の整備および改善、さらに安全保障を確保するための執行制度が盛り込まれるようで、28日には国家安全法の採決が行われる見通しのようです。成立すれば、香港での反発を抑制する中国政府の取り組みが大幅に強化されることになります。トランプ大統領が、米国は「実行されれば、われわれはこの問題に非常に強力に対処するだろう」と中国をけん制しています。また、米上院の民主党および共和党の2議員は、香港での新たな国家安全法導入に関わる中国の当局者や企業などに制裁を科す法案を提出する計画だと、ダウ・ジョーンズ通信は伝えています。(ブルームバーグ)

昨日は、失業保険申請件数を含む多くの経済指標が発表されましたが、いずれも市場予想通り、大きく悪化していました。4月の中古住宅販売件数は、年換算で433万件と約8年ぶりの低水準でした。注目の新規失業保険申請件数も着実に減少傾向は示しているものの、243.8万件と、依然として高水準でした。トランプ政権はさらになる追加対策の検討を行っており、この日バーチャルイベントに参加したNY連銀のウィリアムズ総裁は「景気の推移や回復具合次第で、追加の財政・金融支援が必要かどうか、経済を力強く持続的な軌道に乗せるために具体的などういった設計の支援とするかを判断しなくてはならない」と述べ、一部で議論されているマイナス金利導入については「マイナス金利の利用は現時点において、また現在置かれている状況下で適切な手段ではない」と、導入には否定的な考えを示しています。また、クラリダ・FRB副議長も全米企業エコノミスト協会NY支部のオンライン会合で講演を行い、「新型コロナウイルスを巡る今後の状況や、それに伴う景気低迷の深刻さや期間により、金融と財政両方の
政策による追加支援が必要となる可能性がある」と語っており、ムニューシン財務長官も「追加の経済対策が必要になる公算が極めて大きい」との認識を示しています。

ジョーンズ・ホプキンス大学の集計データによると、新型コロナウイルスの世界の感染者はついに500万人に達しています。その3分に1を米国が占め、2番目に多いロシアの5倍に上っています。世界の死者数も32万8000人を上回っており、トランプ大統領は、中国の「米国と欧州に対するプロパガンダ攻撃と偽情報」の背景に習近平主席の存在があると示唆に、中国に対する過激な言葉使いをエスカレートさせています。(ブルームバーグ)もっとも、この動きはトランプ大統領だけではなく、民主党も含めた超党派の動きとなっており、昨日米上院議会では、米国に上場する外国企業に、外国政府の支配下にないことを証明することを義務付けたり、米規制当局による会計監査状況の検査を義務付け、3年間検査を拒否した場合、上場廃止となることなどを織り込んだ、「外国企業説明責任法」を可決しました。ナスダック取引所でも中国企業の新規上場を事実上規制するルールを採用するなど、米国では中国企業を意識した監視体制の強化が進められています。

これらの一連の動きにも、金融市場ではそれほどリスク回避の流れに傾いていません。ドル円は現時点では108円台が重そうには見えますが、かといってリスク回避の円買いが急速に進む状況でもありません。従って、今のところ106-108円のレンジを意識しながらのトレードにならざるを得ません。本日は臨時の日銀政策決定会合が行われますが、中小企業などに対する新たな資金繰り支援制度などが議論される見通しで、マイナス金利の深堀などといった、金融政策変更の公算は低いと見られます。従って材料にはならないと見ています。

ドル円5週間ぶりに108円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は続伸し、4月13日以来となる108円08銭までドル高が進む。日銀が22日に臨時の金融政策会合を開催することを発表したことで、新たな緩和策への思惑が台頭。

  • ユーロドルも続伸し、約2週間ぶりに1.09台半ばまでユーロ高が進む。ユーロ円の買い戻しが進み、ユーロドルを押し上げた。

  • 株式市場は4日ぶりに反落。このところの上昇の速さや、コロナワクチンを巡る一部報道から、引けにかけて大きく下落。ダウは390ドル下げ、ナスダックも下落。

  • 債券相場は反発。10年債利回りは0.68%台へと低下。

  • 金は反発。原油は4日続伸し32ドル台に乗せる。産油国の減産が進んでいることが背景。

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数
  • 欧 ユーロ圏3月経常収支
  • 欧 ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)
  • 英 4月消費者物価指数
  • 米 FOMC議事録(4月28-29日分)
  • 米 セントルイス連銀総裁、オンライン討論会に参加
  • 加 4月消費者物価指数

日銀は昨日、臨時の政策決定会合を22日午前9時から開催することを発表しました。日銀は先月27日の定例会合で、感染拡大によって日本経済に大きな下押し圧力がかかる状況の中、年80兆円の国債購入のメドを撤廃し、さらにCPと社債の買い入れ増額などを通じて、新型コロナの影響で資金繰りが悪化している中小の企業に対する対策を含む追加緩和を決めています。今回の臨時会合では、中小の企業に対する新たな資金繰り支援の詳細をはじめ、当面の金融政策運営について議論するものと見られています。日銀が臨時の決定会合を開くのは2011年11月30日以来のこととなります。ドル円はこの報道を受けジリジリと円売りが進み、NY市場で5週間ぶりとなる108円08銭まで円安が進み、ユーロ円も118円台まで上昇しました。ただこの会合でマイナス金利の深堀りなど、さらなる金融緩和が決定される可能性は低いと思われます。

パウエルFRB議長は19日、上院銀行委員会のバーチャル公聴会で証言を行いました。議長は新型コロナウイルスのパンデミックに対応するため、金融当局としてあらゆる措置を講じる用意があるとあらためて表明しました。「この困難な時期に経済を支援するためあらゆる手段をわれわれは講じることにコミットする。ただ、こうした行動はより広範な公的部門の対応の一部にすぎないとわれわれは認識している」と述べています。また、9つの緊急融資プログラムのうち、まだ運用が開始されていないプログラムについては、「全てのプログラムが今月までに立ち上がり、準備が整うと見込んでいると」発言し、「関係者は文字通り昼夜を分かたず作業しており、数週間にわたって取り組んでいる」と説明しました。(ブルームバーグ)

動きのなかったドル円が108円台まで上昇しましたが、本「アナリストレポート」でも再々述べているように、106-108円のレンジ相場はある程度市場参加者にも「認識」されていると思われます。今月6日には106円を若干割り込み、「レンジの下限」を試しましたがその後上昇に転じ、今度は108円台に乗せ「レンジの上限」を試した格好になっています。基本は105-110円の大きな枠組みの中で推移していると見られますが、その中で106-108円というレンジでも、まだどちらにも大きく抜け切る展開ではなさそうです。米長期金利も0.65%を中心とした動きに収まっており、ドル円への影響力も薄れています。結局、日米の株価の推移に連動する形で動いており、次の材料を模索している状況です。注意したいのは、日足の「MACD」ではすでにゴ-ルデンクロスが発生しており、「一目均衡表」でも日足の「雲の上限」をテストしているところです。4月13日に記録した108円52銭を抜けるようだと、「雲」だけではなく重要な「移動平均線」も抜けることになります。材料的には「円高要因」が多いのは間違いないものの、それでもドルが買われる時には買われるのが「相場」です。チャートのチェックは怠らないようにしたいものです。

そんな中、WHOを巡り米中関係はさらに悪化しそうな気配です。トランプ大統領は18日付けでWHOのテドロス事務局長あてに書簡を出し、その中で中国からの独立を要求し、「WHOが30日以内に大幅な実質的改善を公約しなければ。私は米国のWHOへの資金拠出の一部凍結を恒久化するほか、米国のWHO加盟を再考するつもりだ」と警告しています。これに対して中国外務省報道官は「WHOが偏向しているとのトランプ大統領の主張は無益だ」と反論し、米国の言い分は「ほのめかしと不明瞭な言葉に基づいている」と反論しています。18日に開かれたWHOの年次総会では、開会式で中国の習近平主席が2年間で20億ドル(約2100億円)を拠出することを発表し、中国のWHOへの関与をさらに強めた形になっています。テドロス事務局長と中国の対応次第では、米国がWHOから脱退する可能性もありそうです。今後さらに米中関係が悪化すれば、米国が再び関税問題を「交渉の武器」にすることも考えられ、昨年のあの重苦しい雰囲気が戻ってきます。

米経済指標軒並み悪化 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 106円台後半で取引が始まったドル円は直ぐに107円台を回復。107円37銭まで買われたものの、その後は再び下落。 

  • ユーロドルは1.08台半ばまで上昇。1.07台後半から1.08台後半でのレンジが続く。

  • 株式市場は続伸。経済活動再開への期待からダウは60ドル上昇し、主要株価指数も揃って続伸。

  • 債券相場は反落。長期金利は0.64%台へと上昇。

  • 金は続伸。原油も続伸し、30ドル台が視野に。

本日の注目イベント

  • 日 1-3月GDP(速報値)
  • 米 5月NAHB住宅市場指数

新型コロナの感染拡大により、米中関係がさらに悪化して来ました。中国との断交を示唆し、習近平主席とも「今は話ししたくない」と述べたトランプ大統領は、中国の通信大手ファーウェイへの禁輸措置を強化することを発表しました。ファーウェイが海外で半導体を製造・設計するため米国の技術とソフトウエアを利用することを制限するものです。これに対して中国は直ちに抗議を行い、米企業を標的とした一連の対抗措置を講じる用意があると人民日報系の新聞、環球時報が報じています。

またナバロ米大統領補佐官はABCの番組で、「ウイルスは武漢で作られ、11月には最初の患者が存在した」と発言し、「中国はWHOという盾に守られて2カ月の間、ウイルスを世界から隠ぺいし、数十万という中国人をミラノやNYなど世界各地に旅客機で送り込み、拡散させた」と語っています。ナバロ氏はさらにABCに対して「武漢にウイルスをとどめておくこともできた」と指摘し、「なのにパンデミックになってしまった。米国人に向けた中国の行為であり、責任は中国にあると私が主張するのはこのためだ」と話しており、トランプ政権で続いている中国非難の口調を一段と強めています。(ブルームバーグ)

しかし、これら一連の措置や発言は今のところ市場への影響は限定的なようです。ドル円は106円台後半から107円台半ばで推移し、上へも下へも動きにくい展開が続いており、連日上昇下落を繰り返している株式市場もこの日は続伸しており、経済活動再開への期待感が優勢な展開でした。ただトランプ政権は今後も中国に対する第2、第3の制裁を考えているようで、米中関係の一段の悪化は避けられない模様です。ジョンズ・ホプキンス大学が発表したデータによると、5月17日午後4時現在での米国の新型コロナ感染者数は146万7000人を超え、死者数も8万8000人を超えています。

パウエルFRB議長は米CBSとのインタビューで、米経済は新型コロナウイルスのパンデミックから回復するが、その過程は2021年の終わりまで長引く可能性があるほか、ワクチンの有無に左右されるとの見方を示しました。議長は、「米経済の完全復活には国民の信頼が十分でなければならず、それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」とし、「ただ、回復するにも、かなりの時間がかかるかもしれない」と指摘し、「来年末まで長引くことも考えられる。本当にわらない」と語っています。米国では高級百貨店の「ニーマン・マーカス」に続いて、大手百貨店の「J・Cペニー」が経営破綻し、新型コロナウイルス感染の影響は大きくなっています。米下院では15日、民主党が主導する3兆ドル(約320兆円)の追加対策が可決されました。上院での可決が必要なため、このまま実施されるかどうかはまだ不明ですが、対応の早さは評価されます。今後これらの対策が実行に移され、それでも景気回復が進まないようだと、「マイナス金利の導入」というカンフル剤を打つことになるかもしれません。

ドル円はもみ合いが続いています。先週末には多くの経済指標が発表され、そのほとんどが過去に例を見ないほどの悪化でした。それでもドルの下落は限定的です。上値が重いのは多くの投資家の共通した認識と思われますが、同時に「経済データが悪い」という認識も共有されているようです。上述ように、米中関係のさらなる悪化がどこまで為替相場に影響を与えるのかという点には注意が必要ですが、これも時間がかかるかもしれません。

トランプ大統領中国との断交を示唆 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方106円台後半まで売られたが、大きく売られた
株価が午後に切り返すと、107円37銭まで反発。株価の動きに
連動する展開に。
◆ユーロドルは朝方買われたものの、ドル円と逆に午後には
反落し、1.0775まで売られる。その後は再び1.08台を
回復。
◆株式市場は反発。ここ数日で1000ドルを超える下げを
見せていたこともあり、ダウは自律反発との声も。
ダウは377ドル上昇し、この日の値幅は800ドルを超える。
◆債券相場は反発。長期金利は0.62%台へ低下。
◆金は続伸し1740ドル台に。原油も買われ、1カ月ぶりに
27ドル台を回復。


◆新規失業保険申請件数    →  298.1万件
◆4月輸入物価指数      →  -2.6%

本日の注目イベント

◆中   中国4月工業生産
◆中   中国4月小売売上高
◆独   独1-3月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏1-3月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月貿易収支
◆米   5月NY連銀製造業景況指数
◆米   4月小売売上高
◆米   4月鉱工業生産
◆米   4月設備稼働率
◆米   5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)


「今は話したくない」・・・トランプ大統領は習近平主席に関して、FOXビジネス
とのインタビューでこのような言葉を使いました。
この欄でも何度か触れたように、「今回の新型コロナウイルスの感染拡大により米国
では甚大な被害が生じており、発生源を中国と認識しているトランプ政権はいずれ、
中国に対して経済制裁などの強硬姿勢を強めることになる」と予想していましたが、
新たな米中戦争の幕は切って降ろされたようです。

トランプ大統領はさらに、中国と「完全に断交することが可能か、断交した場合に何
が起きるか思案している」と述べ、「5000億ドル(約53兆5000億円)を節
約できるだろう」と語りました。これはこの日、米連邦職員向け年金基金を運営する
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)が、中国への株式投資を停止すると発表した
ことを指したものと思われます。大統領は、NY証券取引所およびナスダックに上場
しながら米国の会計規則に従っていない中国企業を「注視している」とも述べ、「非
常に厳しく注視している」と主張しています。FRTIBは「海外株ファンド」を通
じて約5000億ドルを運用しており、その約10%が中国株に投資されているよう
です。また大統領はインタビューの中で、新型コロナウイルスのパンデミックを巡っ
て中国に「大きく失望した」とも述べており、中国が新型コロナの感染拡大について
情報を隠ぺいしているとの認識を示しています。その上で、「安価な労働力が非常に
高くついた」と語り、米中が通商合意に署名した時点では新型コロナは「話題にも上
がっていなかった」と続けています。(ブルームバーグ)

米中貿易協議の第1段階の合意に署名したのは今年の1月15日でした。
この合意により中国側は米国から大量の農産物を輸入し、米国も中国を為替操作国か
ら除外した経緯がありますが、今後は貿易協議が開催されず、再び米中関係の悪化が
避けられそうもない状況になってきました。米国が新たな経済制裁を発表するようだ
と、中国側も人民元の切り下げや、大量に保有する米国債売却をちらつかせるなどの
「報復措置」に出て来る可能性もあり、将来的に「円高要因」と見ることも出来そう
です。米国内では、今回の新型コロナによる感染者数は139万人にも上り、死者の
数も8万4000人を超えています。
国内世論も中国に対する強硬姿勢を支持してくる可能性が高いと思われます。

先週の新規失業保険申請件数が発表されました。申請件数は298.1万件と、先週
から減少していましたが、8週連続で7桁台と、依然として高水準です。
この数字から、2カ月弱で3600万人が離職したと推計され、これは5人に1人が
離職したことを示します。
前日講演を行ったパウエル議長も、「5月の失業率は20%台まで上昇する」といっ
た市場の予想があることに関連して、「5月ごろがピークでその後は持ち直す」とし
ながらも「生産や所得の完全復元には時間がかかる」と述べていました。そのため、
「こうした経済の長期停滞を回避するためには、追加の政策手段が求められるだろう」
と語っています。
ただ、市場の一部で予想されているマイナス金利政策については「現時点で魅力的な
政策手段とは考えていない」と述べ、マイナス金利導入には否定的な考えを示しまし
た。

ドル円は引き続き株価の動きに連動する傾向が続いています。明確な方向性はないも
のの、NY市場では値幅もそこそこあり、こまめに利益を確定していくことが求めら
れます。引き続きドルの上値の方が重いと予想しています。


トランプ大統領、マイナス金利を歓迎 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は107円台半ばから前半に小幅に下落。
株安と長期金利の低下が重石となり、107円12銭まで
売られ、この日の安値圏で引ける。
◆ドルが売られたことでユーロドルは小幅に反発。
1.0886まで上昇し、高値圏で取り引きを終える。
◆株式市場は大幅に反落。米国立アレルギー感染症研究所の
ファウチ所長が経済活動再開に警鐘を鳴らしたことでダウは
457ドル安。
◆債券相場は上昇。長期金利は0.66%台へ低下。
◆金は反発し、原油は続伸。

◆4月消費者物価指数    →  -0.8%
◆4月財政収支 →  -737.9b

本日の注目イベント

◆豪   豪5月ウエストパック消費者信頼感指数
◆日   3月貿易収支
◆日   3月国際収支
◆日  4月景気ウオッチャー調査
◆欧   ユーロ圏3月鉱工業生産
◆欧   OPEC月報
◆英   英3月鉱工業生産
◆英   英3月貿易収支
◆英   英1-3月期GDP(速報値)
◆米   4月生産者物価指数
◆米   パウエル議長、オンラインセミナーに参加

ドル円は107円台後半まで反発した後やや値を下げています。市場参加者の多くが、
足元のトレンドレスの相場展開を前に、「目先のレンジは106-108円程度」と
考えているようで、108円台回復とは行きませんでした。
ここ最近の動きを見ると、ドル円は米株式市場の動きに連動する傾向があり、株価が
ドル円のドライバーになっている状況です。
ただ、依然としてドルの上値は重く、107円台後半には日足の雲があり、その上に
は120日移動平均線と200日移動平均線があり、ここを抜けるには108円台半
ばをしっかりと上回る必要があります。それでも「MACD」では、マックDとシグ
ナルが交差して上向き加減を示しており、この点には注意が必要です。
下値の方は、やはり105円という重要な節目が維持できるかどうかが焦点と見てい
ます。

米FOXテレビはトランプ大統領が、連邦退職金が中国株式に投じる約45憶ドル(
約4830億円)の資金引き上げを指示し、投資先として中国株との関係を絶つ方向
で動いていると伝えました。中国側がどのような反応を示すかは不明ですが、新型コ
ロナウイルスの感染が米国を襲い、被害も甚大です。コロナ問題が落ち着けば賠償問
題などに発展する可能性がありますが、トランプ政権は早くもコロナ問題に対する「
制裁」に動いたと見られます。11月の大統領選に向けて、コロナによる影響をもろ
に受けている米経済ですが、中でも雇用へのインパクトが大きく、自身の大統領選へ
のマイナス影響も予想されます。中国に対する厳しい姿勢をいち早く見せることで、
支持率の上乗せを狙っていると見ることもできそうです。

トランプ大統領はまた米金利にも言及しており、「他国がマイナス金利というベネフ
ィットを享受している以上、米国もマイナス金利という贈り物を受け取るべきだ」と
ツイッターに投稿しています。ただ、これに関しては多くの地区連銀総裁が反対の意
見を述べています。シカゴ連銀のエバンス総裁は、「米国で使用する政策手段になる
とは見込んでいない」と述べ、セントルイス連銀のブラード総裁は懐疑的な見方を示
し、ダラス連銀のカプラン総裁もマイナス金利の導入には反対だと発言しています。
また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「まだ使える手段が他にある」と語って
います。(ブルームバーグ)このように、先週あたりから米国でのマイナス金利導入
是非の議論が高まってきましたが、債券市場では10年債利回りが、どちらかと言え
ば上昇傾向にある中、政策金利の影響を受けやすいとされる2年債の利回りが緩やか
に低下しています。「マイナス金利導入」を織り込んでいると見ることもできなくは
ありません。そのため、昨年8月下旬に発生した2年債と10年債利回りが逆転する
「逆イールド」は大きく解消され、イールドカーブのスティープ化が顕著になってい
ます。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日
米上院保健委員会で証言を行い、経済活動の時期尚早な再開は新型コロナウイルスの
爆発的な感染拡大を再び起こしかねないと警告しています。
ファウチ所長は、政府は経済活動再開が安全かを判断するため「チェックポイント」
をガイドラインに設定していると指摘し、これを達成しないまま州や市が経済活動を
再開させることに懸念を表明しました。
その上で、「私の感触ではそのようなことが起これば、それが引き金となって、制御
できないような爆発的な感染拡大が起こる現実的なリスクがある」と発言し、「実際
、逆説的ではあるが事態は後退する。避けられたはずの苦痛や死につながるだけでは
なく、経済回復に向けた道筋を逆行することにさえなりかねない。
そうなれば、時計の針を前に進めるのではなく、過去に戻すことになる」と警告して
います。(ブルームバーグ)

コロナウイルスの感染拡大が徐々に収まってきたことに伴って、日米とも株価が出直
ってきました。NYダウの2万4000ドル台と、日経平均株価の2万円台がそれぞ
れ維持できるかが焦点になっています。3月下旬に記録したダウの1万8500ドル
台と日経平均の1万6800円台は、大底を打ったと考えていますが、今後景気が巡
航速度を回復するのは「早くても来年春」といった見方がコンセンサスになっている
ようです。
そうだとすると、日米ともに株価の戻りに多くは期待できません。
日本の場合、今後ドル円が100円を割るような円高が進めばなおさらです。
コロナを克服した後には、世の中が大きく変わる可能性があります。小池東京都知事
も述べていたように、「パラダイム・シフト」が起こる可能性が高く、これまで普通
に行ってきたことが、普通ではなくなり、
変わることになります。テレワークが浸透すれば、あの「通勤地獄」が無くなり、大
阪、福岡への「日帰り出張」も不要になります。学校の「9月入学」もその一つで、
これまで普通に行ってきた枠組みが大きく変わることになります。「ピンチはチャン
ス」と、よく言われてきたことですが、今回は現実になろうとしています。
未曾有のコロナ騒動から学ぶことも多いのではないでしょうか。


米4月失業率は14.7% 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆4月の雇用統計発表後、ドル円は106円25銭前後から
106円75銭まで上昇。指標の悪化は織り込まれていたため、
予想ほどではない結果にドル買いが優勢に。
◆ユーロドルもやや軟調に推移したものの、1.08台は
維持。1.0815近辺がこの日の安値に。
◆株式市場は雇用統計の内容にも関わらず大きく続伸。
ナスダックは節目の9000台を回復し、ダウは455ドル高。
◆債券相場は下落。長期金利は0.68%台まで上昇。
◆金は反落し、原油は反発。

◆8月失業率          →  14.7%
◆8月非農業部門雇用者数   →  -2050万人
◆8月平均時給 (前月比)   →  4.7%
◆8月平均時給 (前年比)   →  7.9%
◆8月労働参加率        →  60.2%

本日の注目イベント

◆中   中国4月マネーサプライ

4月の雇用統計はやはり悲惨な結果でしたが、事前に予想されていたほど悪
くはなく、発表直後からドルは買われ、ドル円は106円75銭まで上昇し
ています。結果次第では、ドル円も大きく動くのではとの期待もありました
が、結局106円台で小動きでした。

株式市場の反応は「予想よりも悪くはなかった」ことで一段と上昇し、ダウ
は前日に211ドル上昇していたにも関わらず、この日も455ドル高で引
けています。また、ナスダック指数は5連騰で節目の9000ポイント台を
回復し、9121ポイントで取り引きを終えており、3月の安値からは22
60ポイント以上、率にして約33%もの上昇です。特に「GAFA」と称
されるアマゾンなど、ハイテク株の上昇が顕著で、これが株式市場全体のセ
ンチメントを好転させているようです。もともと株式市場には「先行性」が
あると言われていますが、米株式市場ではすでに「ポストコロナ」を先取り
した形になっていると言えそうです。景気が悪化する中での株高にいびつな
感じもしますが、FRBが無制限で市場に資金を供給していることが、その
一因であることは明らかです。調べてみると引け値ベースでは3月17日を
最後に、ダウが1000ドルを超える下げに見舞われたことは一度もありま
せん。

今回の雇用統計では、失業率は「16%」、非農業部門雇用者数は「220
0万人の減少」と予想されていました。
結果は上記の通りですが、今回の雇用統計では「理由不明の休職者」を失業
者から除外しており、米労働省は「この人口を加算すると、失業率はさらに
5%上昇する」と注記しています。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁もABCの番組で、「残念ながら雇用面
の最悪期はこれからだ」と述べ、「現在、職に就いていない人の割合は実際
には23-24%前後だ。私が考えているように回復が緩やかなものになる
なら、こうした人々に一層の支援が必要となるだろう」と語っています。
(ブルームバーグ)ただ一方で、失業者のうち恒久的な解雇(臨時雇用の期
間終了を含む)は11%にすぎず、78%は「一時的な解雇」のため、コロ
ナが収束し、企業などが通常の経済活動に戻れば早期に元の職場に戻される
可能性があるようです。(日経新聞)いずれしても、2月に記録した半世紀
ぶりとなる低水準の失業率「3.5%」に戻るには、年単位の時間が必要か
と思います。

新型コロナウイルスの感染者数は世界で400万人を超えたようです。
欧米での感染拡大はピークを過ぎたようで、封鎖解除を段階的に行っていま
す。特徴的なのが、先進国で感染拡大が緩やかになる一方、新興国や途上国
での感染が急拡大している点です。典型的なのがロシアです。
1週間前の5月3日では「12万4千人」だった感染者数は10日には、
「19万8千人」に急拡大しています。南米ブラジルでも同じような傾向が
見られます。先進国と異なり、医療体制や設備が十分ではないだけに、今後
急速に感染拡大が起こることが懸念されます。
今朝の情報では、米国のペンス副大統領の報道官がコロナに感染した模様で、
安全のためにペンス氏自身が自主隔離しているとの内容です。
テレビでよく報道されるホワイトハウスでの会見を見ていると、トランプ大
統領を始めほぼ全員がマスクをしていません。
PCR検査を行って、すでにその結果を踏まえてのことだとは思いますが、
感染者数が世界で最も多い米国です。危険であることに変わりはありません。

106円割れから反発しているドル円ですが、チャートでは「4時間足」よ
り長いものでは、まだ雲に抑えられている展開が続いています。
短期的な「1時間足」などでは雲を上抜けしていますが、「日足」で雲抜け
するには108円台に乗せる必要があります。
大きな動きにはなっていませんが、依然としてドルの戻りを売るスタンスが
有効かと思われます。



米失業保険申請件数7週連続で300万件を超える 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は前日の106円前後から反発。株価の上昇などから朝方には106円65銭までドルが買われたが、その後米景気に対する悲観的な見方から106円22銭近辺まで反落。

  • ユーロドルは小幅に下落。1.0767まで売られ、前日の水準をやや切り下げる。

  • 株式市場は反発。ナスダックは4日続伸し、年初来でプラスに転じる。ダウは211ドル高で取引を終える。

  • 債券相場は上昇。長期金利は0.64%台へと低下。

  • 金は大幅に買われ1700ドル台を回復。原油価格は買いが先行したが、前日比マイナスで引ける。

本日の注目イベント

  • 豪 RBA四半期金融政策報告
  • 独 3月貿易収支
  • 独 3経常収支
  • 米 4月雇用統計
  • 加 4月住宅着工件数
  • 加 3月建設許可件数
  • 加 4月就業者数
  • 加 4月失業率

ドル円は106円割れからやや値を戻し、106円台半ばまで反発しましたが、依然として上値の方がやや重い展開が予想されます。目先の下値のメドは、やはり105円という「節目」ということになることは先週のコメントでも触れましたが、逆に105円を割り込むようだと市場のセンチメントも徐々に変わりそうです。新型コロナウイルスに関する話題も僅かですが変わってきました。米ジョンズ・ホプキンス大学の最新の集計では、世界の新型コロナウイルス感染者は380万人を突破し、死者は26万7000人を上回っています。それでも、日本も含め、欧米では「出口戦略」という言葉が表に出てき始め、コロナに対するワクチンも米ギリアド・サイエンシズ社の「レムデシビル」が日本でも承認され、それに続く候補薬もいくつかあるようです。今後は「出口戦略」への巧拙が為替に影響を与える事態も考えられます。

昨日発表された週間失業保険申請件数は317万件でした。申請件数そのものは減少傾向にありますが、依然として高水準であることに変わりはなく、これで、7週連続で300万件を超えたことになります。ブルームバーグは「申請件数の5週連続減少は、当初の経済的ショックが収まり始めていることを示唆している。ただ、期待されたよりもペースは遅い。継続受給者が減少に転じれば、景気の底入れをより明確に示し、一時的に失業した労働者再雇用を示唆するだろう」と論評しています。今夜発表の4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が2130万人の減少。失業率はデータが残る1940年代以降で最悪の16%と、予想されています。この件に関してミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、NBCの番組で、「恐らく16%か17%といったところだろう」と述べ、「実質的な数字は23-24%程度と考える。悲惨な水準だ」と語っています。また、アトランタ連銀のポスティック総裁は電話会議で、「現在、恐怖シナリオは確率が低くなったと思う」と述べるなど、今夜の雇用統計ではこれまでに見たこともない衝撃的な数字が発表される可能性が高いと思われます。もっとも、市場は既にこの内容を織り込んでいるようで、余程予想される数字よりも大きく下振れしない限り、相場への影響は限定的と見ています。

4月中は107-108円台で推移していたドル円は、予想通り緩やかに下落し、昨日は106円を若干割り込む水準までドル安が進んできました。

それほど急激なドル安ではないため、むしろロスカットをするチャンスを逃したとか、ショートのタイミングを逃してしまいそうな状況です。足元の相場は、経済指標への反応は限定的で、あまり考慮されていません。失業率が16%であっても、17%であっても影響がないということです。これが4.5%か、5.5%というレベルでの違いであれば、相場へ大きく影響すると思われますが、「16%も17%も50歩百歩」といった具合です。今後の相場を読む上では「ポストコロナ」の視点が必要かと思います。日米欧で、どこが最初に景気回復への軌道に戻せるのかという点です。また、今後は新型コロナウイルス感染拡大の責任所在や賠償問題に発展してくることも予想されます。トランプ大統領は中国に対して「責任を取らせる」と発言しています。中国側もそう簡単に「はい、そうですか」とういうことはなく、徹底抗戦の構えです。こうなると、行く着くところは経済制裁であり、再び「貿易戦争」に発展する可能性もないとは言えません。昨年1年間、いやというほど味わったトランプ大統領の「口撃」に、市場が振り回される展開も予想されます。米大統領選と共に、注視しなければならない点です。なかなかドルを買う材料が乏しい中、依然として戻り売りのスタンスが有効かと思います。


ECBの決定を受けユーロドル1.09台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は106円台半ばから急反発。一時は107円50銭まで
買われ、ユーロ高の影響で円を売る動きが加速。
◆ユーロドルは1.0973まで反発。ECBの緩和策が思った
ほど進まなかったことが背景。ユーロ円も117円台後半まで
買い戻しが進む。
◆株式市場は反落。朝方は発表された経済指標が総じて予想を
下回ったことが理由。ダウは288ドル下げ、他の主要指数も反落。
◆債券相場は下落。長期金利は0.64%近辺まで上昇。
◆金は5日続落。一方原油は7日続伸。

◆新規失業保険申請件数      →  383.9万件
◆3月個人所得          →  -2.0%
◆3月個人支出          →  -7.5%
◆3月PCEコアデフレータ    →  1.7%
◆4月シカゴ購買部協会景気指数  →  35.4
◆1-3月雇用コスト指数     →  0.8%


本日の注目イベント


◆豪   豪第1四半期生産者物価指数
◆日  4月東京都区部消費者物価指数
◆米   4月ISM製造業景況指数
◆米   4月自動車販売台数
◆米   3月建設支出
◆米  企業決算 → エクソンモービル、


30日ECBは定例の理事会を開き、銀行に長期資金を貸し付ける際の金利を
マイナス1%に引き下げることを決めました。これまでのマイナス0.75%
をさらに引き下げ、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい経営を余儀なくさ
れている企業へ、資金が十分行き渡るようにするとともに、銀行の資金負担
を軽減するという目的と思えます。
市中銀行がマイナス1%で中央銀行から資金を調達できるということは、お金
を借りてさらに金利をもらえるという意味になります。まさに異常事態だとい
うことです。ラガルドECB総裁は、「共同かつ協調した政策行動を通じた断
続的で大胆な取り組みが必要だ」と呼びかけ、「急激な経済縮小を考慮し、大
胆で協調した財政の姿勢が不可欠だ」と語っています。
一方で、銀行が中銀に預ける中銀預金金利と主要政策金利であるリファイナン
スオペの最低応札金利はそれぞれマイナス0.5%と、ゼロ%で据え置き、債
券購入プログラムの規模は7500億ユーロ(約87兆円)を維持しました。
(ブルームバーグ)市場では今回の緩和が思ったほど積極的ではなかったこと
で、ユーロの買い戻しが進み、ユーロドルは2週間ぶりに1.09台後半まで
上昇し、ユーロ円も2円ほど上昇するなど、ユーロ高に振れています。

これで日米欧3中銀の政策会合を終えました。
政策金利はすでに「ゼロかマイナス」であるため、変更する余地は乏しく、共
通して言えることは「中央銀行として、出来ることは何でもする」という姿勢
を市場にアピールしたことです。政府も大規模な財政支出を決めており、金利
が上昇しやすい環境の中、国債購入を通じて金利の上昇を防ぐといった姿勢を
全面的に出しています。金利上昇を抑制することは、国債の増発による政府の
発行コストを抑えるという意味合いもあり、あとは、新型コロナウイルスが1
日も早く収束することを願うのみです。その新型コロナウイルスの感染者数は
今朝の時点で322万人となり、死者は22万8000人と、ジョンズ・ホプ
キンス大学は発表しています。欧米での感染はピークを過ぎた模様で、ロック
ダウンの段階的な解除が行われていますが、その他の国・地域では依然として
感染拡大が続いています。ロシアではミシュスチン首相が新型コロナの検査で
陽性反応が出たため一時公務から退くことを発表しています。

ドル円は今週106円台まで売られ、106円35-40銭の水準を2回試し
て107円台に反発しています。依然としてドルの上値の方が重いと見ていま
すが、下値の重要なレベルは、やはり105円という節目だろうと思います。
105円を割り込むようだと、市場のセンチメントががらりと変わる可能性が
あると見ていますが、足元の動きはそれほど明確なドル安を示しているわけで
はなさそうです。ただ、日米金利差の縮小、爆発的に拡大する米財政赤字、発
表される経済データの下振れ、さらには今後議論されると思われる、新型コロ
ナウイルスの発生源と補償問題に伴う米中関係の悪化など、ドル売り材料を探
すのにそれほど苦労は要りません。
一方で、日本では「非常事態宣言」の期限が来週6日に来ますが、どうやら1
カ月ほど延期されそうです。もしドル円が再び112円の方行に向かうとすれ
ば、日本の感染拡大が止まらず、米国をしのぐほどの悪い経済データが連続的
に発表される事態になっていることが考えられます。上述のようにドルの上値
は重いとは思いますが、全ての対応が遅いと批判されている日本です。そのよ
うな事態がないとは言えません。
目線を下方に置きながらも、注意は怠らないようにしたいものです。


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ではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。
通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から
決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。