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ダウ580ドル高と大幅反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発し、107円88銭まで買われた。
コロナ感染が拡大する中、住宅関連の指標が良好だった
ことで株価が急反発。ドル円も連動する形で上昇。
◆ユーロドルも反発し、一時は1.1288まで買われる。
ドイツの6月CPIが予想を大きく上回ったことが材料に。
◆株式市場は急反発。中古住宅販売成約指数が44.3%と、
大きく伸びたことを好感。ダウは580ドル上昇し、ボーイング
など資本材銘柄が相場を押し上げた。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.62%台へと低下。
◆金はほぼ横ばい。原油は中国景気の底入れ期待から大幅に反発。

◆5月中古住宅販売成約件数   →  44.3%

本日の注目イベント

◆日   5月失業率
◆日   5月鉱工業生産
◆中   6月中国製造業PMI
◆中   6月中国サービス業PMI
◆欧   ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
◆英   英1-3月期GDP(改定値)
◆米   6月消費者信頼感指数
◆米   4月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   6月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   財務長官とFRB議長、下院で証言


ドル円は昨日の東京市場の107円10銭前後から反発し、NY市場では
107円88銭まで買われています。
日経平均株価が500円を超える下げを見せたものの、ドル円では円高が
それほど進まず、底堅い動きを見せていましたが、結局NYの株高に反応
した形です。そのNY株の急反発は、5月の「中古住宅販売成約指数」が
44.3%と、事前予想の19.3%から大きく伸びたことが手掛かりに
なったようです。この指標は、基本的には注目度も低く、いわば「じみな
経済指標」ですが、昨日のマーケットでは予想の倍以上の伸びを見せたこ
とで、一転注目されたようです。この指標で相場が大きく動いた記憶はな
く、今後も「新築住宅販売」など、より重要な住宅関連指標が大きく上振
れするようだと、予想外に相場に影響を与えるかもしれません。
コロナ感染の拡大が止まらず、南部テキサス州などではバーの閉鎖やレス
トランへの規制強化が実施される中、今後再び経済活動、社会活動へのダ
ウンリスクも予想されます。一方で、コロナによる雇用への不透明感はあ
るものの、FRBのゼロ金利政策の影響もあり、住宅ローン金利は過去最
低水準に留まっており、住宅購入には追い風になっています。コロナと景
気の綱引きは続きます。

新型コロナウイルスに対する治療薬として期待されている、米ギリアド・
サイエンシズ社の「レムデシビル」について、同社は米国および他の先進
国政府への販売価格を1バイアル当たり390ドル(約4万1800円)
にすると発表しました。一般的な治療法とされる5日間のコースの価格は
約2340ドルになるということですが、390ドルという価格は、政府
・公共機関向けの価格で、供給ひっ迫が緩和された後は通常の流通経路を
通じて販売し、米国民間医療保険会社向けの価格は1バイアル当たり52
0ドルになるようです。今回の発表は、今後のCOVID19治療薬の価
格の前例になるため、同社の決定が及ぼす影響は大きいと見られています。
(ブルームバーグ)

中国では本日にも「香港国家安全法」が採決されそうです。
これに対して、米国務省は26日に、香港市民の自由侵害への関与が疑わ
れる中国共産党当局者に、ビザの制限措置を設けると発表しましたが、今
度は中国外務省の報道官が北京での定例記者会見で、「中国当局者へのビ
ザに制限を課すという米国の誤った決定への対抗策として、香港問題で好
ましくない行動を取る米国人へのビザ発給を制限することを決めた」と発
表し、具体的な対象者名は挙げず、「関係する者は自分自身で明瞭に分か
るだろう」と述べました。またこの件に関してロス米商務長官は29日、
「中国共産党による香港への新たな治安措置の導入に伴い香港の自治が損
なわれる一方、米国の慎重に扱うべき技術が人民解放軍や国家安全省に流
用されるリスクが高まる」と指摘し、その上で香港への優遇措置を認める
規制を停止し、「さらなる行動も検討されている」と述べています。
香港の「一国二制度」を事実上形骸化させる本法案を巡り、米中関係は悪
化へのスパイラルに陥った印象です。
ここ最近の中国を巡る動きを見渡すと、中国は米国だけではなく、オース
トラリア、インドとも関係を悪化させており、「保護主義」「自国主義」
が着実に高まっており、「反グローバリズム」の動きが強まっているよう
に思えます。

ドル円は「往って来い」の展開が続いています。
NYで大きくドルが売られても東京では下げ止まり、逆に昨日のようにN
Yでドルが買われても、東京ではドルが押し戻される展開です。
106-109円のレンジ相場、あるいはもっとナローに、106-10
8円のレンジが依然として継続されていると考えられます。

本日の予想レンジは107円20銭~108円程度と見ます。



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新型コロナ、世界の感染者1000万人を突破 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆NYダウが700ドルを超える下げを見せたことから
円買いが優勢となり、ドル円は106円91銭まで下落。
ただドル売りの勢いはなく、107円10-20銭に反発して
越週。
◆ユーロドルは小動きで、前日と同じような展開に。
1.11台後半まで売られるも反発。
◆株式市場は大幅に下落。新型コロナウイルスの感染が再拡大
したことや、一部広告主から広告掲載を停止されたフェイスブック
が大幅安になったことが響いた。ダウは730ドル下げ、ナスダックも
260ポイント下げる。
◆債券相場は上昇。長期金利は0.64%台へと低下。
◆金と原油はともに下落。

◆5月個人所得                 →  -4.2%
◆5月個人支出                 →  8.2%
◆5月PCEコアデフレータ           →  1.0%
◆6月ミシガン大学消費者マインド(確定値    →  78.1

本日の注目イベント

◆独   独6月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏6月景況感指数
◆欧   ユーロ圏6月消費者信頼感(確定値)
◆英   英5月消費者信用残高
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   5月中古住宅販売成約件数
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁パネル討論会に参加
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、IMF専務理事とのディスカッションで司会
◆加   カナダ5月住宅着工件数
◆加   カナダ5月建設許可件数

ジョンズホプキンス大学の集計によると、世界の新型コロナウイルスの感染者数
がついに1000万人を超え、死者数も50万人に迫っているようです。特に中
南米での感染拡大と米国での感染再拡大が顕著です。
米国では累計の感染者が250万人を超え、フロリダ、アリゾナ州では1日あた
りの新規感染者が過去最多を記録し、テキサス州とフロリダ州では州内のバーに
閉鎖命令を行い、レストランに新たな制限措置を導入すると伝えられています。
テキサス州のアボット知事は、同州ヒューストン地域では公衆衛生上の緊急事態
宣言を発令しています。同州は8週間前に州の経済活動を再開しましたが、州内
の自治体は時期尚早だと批判していました。
ただそれでもトランプ政権は、国民に生活習慣を変えるよう呼び掛けておらず、
再度のロックダウンは行わない見通しです。
ロックダウンにより経済活動を止めてしまうと、現在の医療体制への影響が大き
いとの考えで、コロナ感染の拡大と、経済活動の維持という厳しい選択を迫られ
そうです。

ブラジルでも過去24時間に3万8693人の感染が報告されており、累計の感
染者数のも131万人を越えています。同じように、インドや南アフリカでも感
染が急拡大しており、主要先進国の2次感染とともに、新型コロナウイルスは新
たな感染ステージに入った可能性が高いと見られます。
日本でも昨日は東京都で60人の新たな感染症例が確認されました。新規感染者
数が60人以上となるのは5月4日以来となり、若者を中心に感染者数がジワジ
ワと増えて来ました。先週末のNY株式市場では感染拡大が引き金となり、ダウ
は730ドルと、前々日の710ドルに次ぐ大幅な下げに見舞われています。
FRBによるゼロ金利政策と大量の資金供給の影響により、市場には株式に対する
潤沢な待機資金があると言われる一方、新型コロナの感染再拡大に対する警戒感
も台頭しています。3月のような大きな調整局面が再び来るようだと、ドルも1
05円台方向に向かう可能性もあります。米長期金利も1カ月半ぶりに0.64
%台まで低下してきました。
米金利が低下し、頼みの株価が大きく調整するようだと、円も徐々に買われてい
くと予想していますが、かつてほど日米金利差に魅力がなくなっていることから、
米長期金利との相関性は薄れています。「有事のドル買い」は確かに意識されま
すが、コロナ以外にも米中関係の悪化が、今後は材料になってくることも予想さ
れます。中国が制定した「国家安全法」は今日にも成立する可能性があり、同法
を巡って米国は中国への圧力を強めており、これに対して中国側も対抗措置を検
討しているようです。
再び米中貿易戦争のような事態になると、市場が「有事の円買い」にシフトする
ことも考えられます。引き続き、コロナ、米中関係、さらには株価の動きには目
をこらす必要がありそうです。

本日のドル円は106円70銭~107円50銭程度を予想します。


コロナ感染第2波への警戒から米国株大幅下落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 米国でのコロナ感染第2波への警戒感が強まり、センチメントはリスク回避の流れにシフト。ドル資金への需要が高まり、ドル円は107円07銭まで上昇。

  • ユーロドルでもドル高ユーロ安が進み、1.1248までユーロが売られる。

  • 株式市場は大幅に反落。連日最高値を更新中のナスダックは222ポイント下げ、ダウも710ドル安。

  • 債券は反発。長期金利は0.67%台へと低下。

  • 金は4日ぶりに反落。原油は在庫が予想を上回ったことを手掛かりに2ドルを超える大幅続落。

本日の注目イベント

  • 独 7月GFK消費者信頼感
  • トルコ 中銀金融政策発表
  • 欧 ECB議事要旨
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 5月耐久財受注
  • 米 1-3月GDP(確定値)
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、テレビ討論会に参加
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンラインセミナーに参加

有事のドル買い・・・??
昨日のNYではコロナ感染第2波への警戒感から好調な株価も大きく売られ、安全資産の米国債が買われ、リスクオンの流れが一気に後退しました。ここまでは、いずれ起こると予想していましたが想定外だったのは、ここで円が買われず、ドルが全面高に振れたことです。このようなケースでは安全通貨の円やスイスが買われるのが「定石」ですが、昨日はドルが主要通貨に対して買われ、異なる動きでした。いざという時の「流動性を確保する」ということで,世界通貨のドルが買われたことのようです。もっとも、このような動きは3月のコロナ感染が猛威を振るった時にも見られましたが、コロナ感染が米国で再び拡大している中でのドル高です。今後は安全通貨の円に対する認識も少し変える必要があるのかもしれません。

米国では新型コロナウイルスの感染が再拡大してきました。1人の感染者が何人にウイルスをうつしているかを示す「再生産数」は、26州で拡大の目安である「1」を上回り、これまでで最多となっています。特に南部での感染が拡大しており、テキサス州ヒューストンでは集中治療室がほぼ満床になったとの報道もあります。コロナ感染は対岸の火事ではありません。日本でも昨日東京都で新たに55人の感染が確認されており、緊急事態宣言を解除してからは最多となり、2次感染の拡大に警戒感も出てきました。日米欧では感染拡大がピークを超え、南米にシフトしたかに見えましたが、再びコロナの逆襲が起こっているように思えます。経済活動を維持しながら感染を押さえ込もうという足元の政策が、分水嶺にさしかかっていると言えます。

そんな中、昨日IMFは世界経済見通しを発表しました。IMFは「世界経済は大封鎖に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」として、2020年の世界全体の成長率を「マイナス4.9%」と、4月時点での予想「マイナス3.0%」からさらに引き下げました。また2021年はプラス成長に戻るものの、前回よりも下方修正しています。IMFは「パンデミックの容赦ない拡大により、生活や雇用確保、不平等への長期的なマイナス影響の可能性が一段と高まった」と論じていますが、一方で、医療面で大きな進展があったり、経済活動が一段と早く再開したりした場合は、上方修正の可能性もあるとしています。

ブラード・セントルイス連銀総裁はテレビ会議で、「4-6月期は年率40%のマイナス成長が見込まれており、重大な危機だ」と述べ、「戦後経験したどんな数字よりも4倍悪い」との見通しを語っています。このように、世界的な景気の大幅減速が続き、さらにコロナ感染拡大に対する強い懸念が残る中、前日までの株価の上昇にはやはり違和感があります。昨日はドル資金の確保が最優先されたようですが、日米欧の中銀はドル資金の供給には万全の体制を取っています。仮に昨日の米国株の大幅な下げが再び「株価調整」の始まりであれば、今後円が買われる状況も考えておく必要があろうと思います。このままドル円が110円に向う可能性は低いのではないかと予想します。本日のドル円は106円50銭~107円30銭程度を予想しています。

ドル円一時106円に迫る 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は大きく売られ、一時は106円08銭まで下落。米中貿易協議を巡る不透明感に加え、ユーロドルでドル安が進んだことが、ドル円にも波及した格好。

  • ユーロドルは続伸。ユーロ圏PMIが景気の持ち直しを示唆したことからユーロ買いが強まり、1.1348まで上昇。

  • 株式市場は主要3指数ともに揃って続伸。ナスダックはIT株が買われ、2日連続で最高値を更新。新たな景気刺激パッケージが検討されていることを好感。

  • 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は0.71%で小幅に上昇。

  • 金は3日続伸し、約7年ぶりの高値に。原油は小反落。

本日の注目イベント

  • 日 4月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 日 4月景気一致指数(改定値)
  • 日 日銀金融政策決定会合における主な意見(5月15、16日分)
  • 独 6月ifo景況感指数
  • 米 4月FHFA住宅価格指数
  • 米 IMF、経済見通し
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁、オンライン討論会に参加
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論に参加

昨日の東京時間朝10時過ぎ、前日のNYでの株高を受け順調に上昇し、前日比200円ほどのプラスで推移していた日経平均株価があっという間にマイナス180円近辺まで売られる場面がありました。ドル円も107円前後から106円74銭まで売られ、原因を探したところ、「ナバロ発言」が引き金だったようです。

ナバロ大統領補佐官がFOXニュースとのインタビューで「それは終わった」と発言し、市場は米中貿易協議の合意が終わったという風に判断し、一気にリスクオフが強まったことが背景でした。ナバロ氏はその後の声明で、「私のコメントは文脈から大きく外れて捉えられた。第1段階貿易合意とは全く関係なく、合意は引き続き有効だ。中国共産党が中国ウイルスの発生源を偽り、世界的な大流行をもたらしたので、われわれは同党への信頼を失ったと語っただけだ」と、自身の発言が誤解されたと述べました。またトランプ大統領も直ぐに、中国との第1段階貿易合意は「全く損なわれていない」とツイートしました。その後相場は持ち直し、ドル円は107円20銭前後まで上昇しています。

NY市場でもこの発言がくすぶり続けていたようで、ドル円急落の一因になった可能性はあります。NY株が続伸し、長期金利も小幅に上昇した中、ドル円は106円08銭まで売られ、5月7日以来、1カ月半ぶりの円高水準を付けています。ユーロ圏の6月のPMIが製造業で「46.9」と、前月の「39.4」から急劇に改善し、サービス業でも前月の「30.5」から「47.3」へと大幅な改善を見せたことでユーロドルに買いが集まり、「ドル安・ユーロ高」が進み、その流れから円も買われた側面が強かったと思われます。NYではその後ドル円も戻してはいますが、これまでの強いサポートであった「106円台半ば」を割り込んだことで、チャート上では日足でローソク足が下抜けしています。ドル円はその次のサポートである106円前後ではしっかり下げ止まっていますが、チャートが示唆する円高傾向には注意が必要かと思います。足元では日米ともに株価が堅調に推移していることで、ドルをサポートする動きにつながりやすいと見られますが、反対に株価が大きく調整するようだと、サポート材料の一つが外れることになります。昨日の本欄でも指摘したように、動かないと思っていると動くのが相場です。

ブラード・セントルイス連銀総裁は、このところ市場で時折話題にされる、債券利回りに上限を設けるイールドカーブ・コントロール(YCC)について、機能しない可能性があると指摘しています。同総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「現時点ではこの件について、答えよりも疑問の方が多い。低金利がかなり長期続くとすでに見込まれているため、この手法がFOMCでいずれ採用されるとはあまり考えられない」と述べ、現在日銀が採用しているYCCの導入には否定的な考えを示しました。本日のドル円は106円~106円80銭程度を予想しますが、引き続き日米の株価の動きには注目したいと思います。

米ナスダック最高値を更新 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は106円台での取引が続く。株価の上昇にドルが買われる場面もあったが107円には届かず。この日の高値は106円96銭だった。

  • ユーロドルは水準を切り上げる。1.1270まで上昇し、ユーロ円も反発。

  • 株式市場ではナスダックが7連騰し、最高値を更新。ダウは4日ぶりに反発。

  • 債券相場は反落。長期金利は上昇し、0.7%台に。

  • 金は続伸。原油は3日続伸し、引け値で40ドル台と、3月以来の高値に。

本日の注目イベント

  • 独 6月製造業PMI(速報値)
  • 独 6月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
  • 英 6月製造業PMI(速報値)
  • 英 6月サービス業PMI(速報値)
  • 米 5月新築住宅販売件数
  • 米 6月マークイット製造業PMI(速報値)
  • 米 6月マークイットサービス業PMI(速報値)
  • 米 6月マークイットコンポジットPMI(速報値)
  • 米 6月リッチモンド連銀製造景況業指数
  • 米 ボルトン前大統領補佐官、ホワイトハウス回顧録発売予定

昨日、本欄でも触れましたが、ボルトン前大統領補佐官の暴露本を巡り、昨日夜のメディアは多くの時間を割いてABCニュースとのインタビューの様子を伝えていました。ボルトン氏の発言内容は昨日ここで述べた通りですが、本日発売予定の著書の中には、日本に関する事柄も含まれているようです。ボルトン氏が2019年7月に訪日した際、トランプ大統領が日本に年80億ドル(約8600億円)の防衛費負担を求めていたことが著書に書かれているようで、トランプ氏が交渉を有利に運ぶため在日米軍の撤退の可能性を示唆して脅かすよう、ボルトン氏に勧めたとされています。日米の同盟関係悪化もいとわず、米国の負担軽減を優先するトランプ氏の取引外交の一端が改めて鮮明になった。(日経新聞)と論評されており、多くのメディアは、トランプ氏の側近の暴露本だけに、その影響が注目されるとしていました。

ドル円はNY市場でも小動きで、値幅はわずか16銭でした。一方株式市場ではナスダック指数が7日続伸し、今月10日に記録した最高値を更新しています。アマゾンなどネット関連銘柄が上昇をけん引し、コロナの影響もあり、連日上場来高値を更新している
銘柄も見られます。世界最大の資産運用会社であるブラック・ストーンのシュワルツマンCEOは、米経済は向こう数カ月に「V字回復」を遂げる可能性が高いとの見方を示しています。ただ、コロナウイルスの感染拡大は依然として止まっていません。WHOによれば、世界の新型コロナウイルスの新規感染者は22日、過去最多の18万3000人に達し、ブラジルやチリ、アルゼンチンなど、中南米での感染拡大が著しいと説明しています。また米国でも、フロリダ、テキサス州などで感染拡大が続いており、テキサス州のアボット知事は、「容認できないペース」で加速しており、封じ込める必要があるとの見解を示しました。(ブルームバーグ)因みに全米では、この日だけで新たな感染者数が2万4774人増加しています。

株式市場の喧騒をよそに、ドル円は動きません。昨日も述べたように、投機筋も本格的には参戦しておらず、シカゴ先物市場の建玉を見れば一目瞭然です。世界的な超低金利がその理由の一つと考えられ、金利差が享受できない以上「キャリートレード」といった言葉も聞こえてきません。大きな変動要因になると予想していた「コロナ」も、今や材料にならず、あとは米大統領選ということになるのでしょうか。だとしたら、動き出すのはまだまだ先の話で、ここは我慢のしどころです。ただ、それでも分からないのが相場です。安心しきるのは避けたいところです。本日のドル円は106円60銭~107円20銭程度を予測します。

クロス円軒並み下落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は上値を抑えられ小幅に下落。長期金利が低下し、ダウ平均が下げたことで円買いが優勢に。

  • ユーロドルは続落。6月3日以来となる1.1169までユーロ安が進む。復興基金設立が先送りになったことなどが嫌気された。

  • 株式市場は続落。ダウは208ドル安で3日続落。一方ナスダックは小幅ながら6日続伸。

  • 債券は小幅に買われ、長期金利は低下。

  • 金は大幅に反発。原油は続伸し、一時40ドル台を回復する場面も。

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏6月消費者信頼感指数(速報値)
  • 米 5月中古住宅販売件数

明日23日発売予定のボルトン前大統領補佐官による暴露本を巡り、司法省は国家機密に当たるとして出版差し止めを求めていましたが、ワシントンの連邦地裁はこれを棄却しました。当該暴露本はすでに書店に配送されており、内容も報道されていることが棄却の理由ですが、一方で地裁は、出版によりボルトン氏が民事・刑事責任を問われる可能性もあるとも指摘しています。これにより暴露本は明日にも発売されることになり、トランプ大統領にとっては、選挙戦を戦う上でマイナス材料になりそうです。そのトランプ氏、20日にはオクラハマ州タルサでコロナ感染が拡大して以来、初の本格的な選挙集会を開催しました。会場には支持者が多く集まったようにも見受けられましたが、実際に集まった支持者の数は、会場の収容能力の約3分の1にあたる6200人弱と報じられています。

報道では「空席が目だった」と伝えられており、「黒人暴行死事件」以来急速に支持を失っており、直近の調査ではトランプ氏が41.3%、バイデン氏が50.1%と、その差は10ポイント程に広がっています。さらに別の調査によると、2期目の選挙時の歴代大統領と比べ、トランプ氏よりも同時期の支持率が低かったのはブッシュ(父)と、カーター元大統領だけで、いずれも選挙では敗北している(日経新聞)ようです。コロナ感染が拡大しているにもかかわらず経済優先の政策を推進し、感染による死者数も増加したことや、黒人暴行死事件を抗議するデモが首都ワシントンで高まった際に、連邦軍の動員を示唆したことなどが「不支持」につながっているようですが、そこに今度は暴露本が出版され、ホワイトハウス内での言動が暴露されることになります。大統領選まで約5カ月です。コロナの感染状況と共に、市場はいよいよ11月の大統領選も「材料」として注目することになります。

コロナウイルスの感染拡大は止まりません。WHOは21日、コロナウイルの感染症例が1日で過去最多の18万3000を超えたと発表しています。米国でもサンベルトと呼ばれるフロリダ州を中心に感染者が増えており、20日には1日で3万4284人も増え、累計でも224万人に達しています。またブラジルでは感染者と死者の増加ペースは減速したものの、累計感染者数は110万人、死者数は5万人に近づいています。今回のコロナウイルスでは模範国となった韓国でも、新たに48人の感染が確認されており、依然として感染第2波への警戒感が強まっています。(ジョンズ・ホプキンス大学調べ)

中国新華社は、中国による国家安全法は香港の法制度に優先するとの草稿を発表しました。それによると、国家の安全保障を脅かす行為に対し、中国当局が香港住民を直接訴追できる内容になっており、今月28-30日に開かれる「全人代常務委員会」で制定される可能性があるようです。7月1日に大規模デモを組織してきた香港の民間人権陣線の幹部は「この法がさかのぼって効力を持つ場合、何も言えなくなる。われわれは昨日の行為を理由に逮捕される可能性がある」と述べています。(ブルームバーグ)

ドル円はジワリと上値を切り下げています。特に先週からはユーロ円など「クロス円」が値を下げているのが目立ちます。「最弱通貨」から「最強」とは言わないまでも、米ドルと共に徐々に買われている状況です。米株式市場を見ると、ナスダックは例外としてもダウは3日続落で、この間420ドル程下げています。やはり11日の、あの1日で1861ドルの下げは、今後の動きを示唆していた可能性もあります。また、金価格は3週間ぶりに1750ドル台に乗せ、米大手金融機関は一段の上昇を予想しています。やや円が買われ易い状況になってきたと思われますが、下値のメドは引きつづき106円50銭前後で、106円を割り込むと一気に円の先高感が強まる恐れもあります。こうなるとドル円は、日足の「雲の下限」を下抜けすることになり、チャート上でも円高を示唆することになります。本日のドル円は106円30銭~107円10銭程度を予想します。

ユーロドル2週間ぶりに1.11台後半に 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京、NYの両市場で106円台半ばを試したものの、
下値は堅く、押し戻される展開。NYでは106円67銭が
この日の安値。
◆ユーロドルは続落。約2週間ぶりに1.1186近辺まで売られる。
◆株式市場はコロナウイルス第2波への警戒感が強く、ダウは続落。
一方ナスダックは小幅ながら5日続伸。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.70%へと低下。
◆金は続落し、原油は反発。

◆新規失業保険申請件数        →  150.8万件
◆5月景気先行指標総合指数      →  2.8%
◆6月フィラデルフィア連銀景況指数  →  27.5

本日の注目イベント

◆日  5月消費者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月27日、5月27日分)
◆英   英5月小売売上高
◆加   カナダ4月小売売上高

昨日の東京時間の朝方、ドル円は107円をしっかりと割込み106円台半ば
を試す動きを見せましたが、106円70銭近辺で跳ね返され、この動きはN
Yでも見られましたが、同じように106円67銭前後で下げ止まっています。
先週記録した106円58銭辺りが意識され、106円台半ばを下抜けするに
は、今のところさらなる円買い材料が必要なようです。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙はトランプ大統領とのインタ
ビュー記事を掲載し、その中でトランプ大統領は、米国での新型コロナウイル
スの感染拡大は終わりが近いと見ており、パンデミックは中国がライバル国の
経済を動揺させる手段として国際的な感染拡大を後押しした可能性があると確
信していると、報じています。WSJによると、トランプ大統領は感染拡大が
「意図的だった可能性はある」と語ったとしています。
新型コロナウイルスの感染はフロリダ州では拡大が続いており、昨日も新たに
確認された感染症例は過去1週間のペースを上回り、テキサス州でも入院患者
数は7日連続で増加しています。NYなどでは経済活動が再開される中で、第
2波発生への懸念が高まっており、株式市場ではダウは底堅い動きを見せなが
らも、一段の上昇に対する警戒感も高まっているようです。
一方ナスダック市場では、アマゾンなどネット関連の銘柄が多いこともあり、
「巣籠り効果」期待から堅調な動きになっています。
足元では日米金利差が0.7%程しかなく、これまでのように「金利差」から
ドルが買われるといったドルへの支援材料もなくなりつつある中、株価の動き
が「リスクオン・オフ」を決定する動きになっており、ドル円を動かすドライ
バーになっていると考えられます。

昨日、本稿でも述べましたが、ボルトン前大統領補佐官が出版予定の暴露本の
内容が明らかになってきました。
トランプ氏は、自身の大統領選での再選のため、農業州で勝利できるよう中国
に農産物の購入を働きかけたことは述べた通りですが、中国が新疆ウイグル自
治区で進めるウイグル族などの収容施設建設の正当化を主張する習近平主席に
対し、「施設の建設を進めて良い」と述べた。あるいは、「香港のデモは大変
なことだが、関わりたくない」と発言したこと。
さらにはフィンランドがロシアの一部ではないかとの認識や、イギリスが核保
有国であることを知らなかったことなど、これらの言動が事実であるとすれば、
トランプ氏が米国の大統領としてふさわしくないことは明らかです。この本が
仮に出版されれば、今後の大統領選にも大きな影響を与えるものと思われます。
日経新聞はこれらの記事の見出しに「トランプ氏、国益より再選」と大きな文
字で伝えています。「ドナルド」、「シンゾー」と呼び合った日米のトップが
今、苦境に立たされています。

新規失業保険申請件数は先週よりも減少はしていましたが、市場予想を上回っ
ており、減少ペースは鈍化しているようです。
セントルイス連銀のブラード総裁は「4月が最悪の月だったと期待したい。最
近のデータはそれを示しているようだ」と述べながらも、「米国が危機を脱し
たとは全く考えていない」と語り、経済活動の再開という点では、第3四半期
末が重要な「チェックポイント」になるとの認識を示しました。(ブルームバ
ーグ)
あと1カ月もすれば4-6月の第2四半期GDPが発表されますが、これはさ
すがに各国とも相当の落ち込みが予想されます。
再開後の経済の動きがまるまる反映される第3四半期のデータが、どこまで回
復しているのかが、今後の金融政策という点でもポイントになりそうです。

本日のドル円は106円60銭~107円40銭程度を予想します。


コロナ感染第2波の懸念強まる 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はわずかながら再び107円を割り込む展開に。
テキサス州でコロナ感染症による入院者が過去最多を更新
するなど、コロナ感染に対する懸念がこれまで以上に強まり、
ドル円は106円95銭まで下落。
◆ユーロドルは水準を切り下げ、1.12台前半から半ばでの
推移。
◆株式市場はまちまちながら、コロナ感染第2波への懸念から
ダウは4日ぶりに反落。ナスダックは4日続伸。
◆債券相場は反発。長期金利は0.73%台へ低下。
◆金と原油は共に下落。

◆5月住宅着工件数     →  97.4万件
◆5月建設許可件数     →  122.0万件

本日の注目イベント

◆豪   豪5月雇用統計
◆欧   ECB経済報告
◆英   BOE金融政策発表
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月景気先行指標総合指数
◆米   6月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演

鼻の下に髭をたっぷりとたくわえ、独特の風貌を醸し出していたボルトン
前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が近く出版する暴露本に対して、米
司法省は16日、本の出版は認められないとして連邦裁判所に提訴しました。
暴露本では、トランプ大統領が中国の習近平主席に対して、今年の選挙で自身
が農業州で勝利できるよう、米農産物を購入するよう求めていたことなどが書
かれているようです。ボルトン氏は「トランプ氏が自分の好む独裁者に実質的
に個人的な便宜を図るため」刑事捜査を中止させたい意向を示した際のことに
ついて触れ、中国とトルコの主要企業が関わった件を挙げています。
また、自身の政治的な利益のために法執行への介入を試みた件も、下院は弾劾
調査の対象とすべきだったと、ボルトン氏は主張しています。
暴露本は来週23日に発売される予定だとブルームバーグは伝えています。

11月の大統領選に向けてトランプ氏には「強い逆風」が吹き荒れています。
調査会社EPIC-MRAが5月31日から6月4日にかけて米紙デトロイト
・フリー・プレスの依頼で行った調査結果では、ミシガン州でのバイデン氏の
支持率は55%と、トランプ氏の39%を大きく上回っていました。(有権者
600人を対象に実施。誤差率はプラスマイナス4ポイント)前回の調査から
バイデン氏の支持率が着実に伸びており、ミシガン州は激戦区の一つですが、
他の激戦区でも同様の結果が出ているようです。「因果応報」とでも言うんで
しょうか、コロナに始まって、人種差別に対する抗議デモ、さらには上記暴露
本など、トランプ氏にとっては悪材料が続きます。まだ先の話だと思っていた
米大統領選までは5カ月を切ってきました。
当初「楽勝」と見られていたトランプ氏の再選も、最近のマスコミの論調は
「苦戦」という言葉に変わってきました。
明日の本欄でも触れる予定ですが、民主党内ではすでに副大統領候補の名前も
挙がっているようです。ひょっとしたら「バイデン大統領」の誕生もあるかも
しれません。

コロナ感染の第2波がより強く意識され始めて来ました。
テキサス州では、コロナウイルス感染症による入院者が過去最多を更新し、フ
ロリダ州の感染者増加率は3.3%と、この1週間の平均である2.8%を上
回っており、17日までの新規感染者数は1万5348人と、週間ベースで過
去最多になっています。また、オレゴン州でも感染者数の増加への対応を迫ら
れていると伝えられています。アジアでも、中国では感染第2波により学校が
再び閉鎖されており、インドネシアのコロナ感染者の数は、シンガポールを超
えて東南アジア最多となっています。同国では24時間で1031人増えて、
累計で4万1431人になっています。(ジョーンズホプキンス大学調べ)

予想されていたこととは言え、ここにきて経済活動の再開に伴って感染者数も
再び増加しています。今後の感染拡大状況にもよりますが、各国が再びロック
ダウンに踏み切る可能性もないとは言えません。しかしながら、現実的には先
週ムニューシン財務長官がCNBCとのインタビューで述べていたように、経
済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のとこ
ろ持ちこたえている医療でも問題が起きる」と思われ「経済を再び閉鎖するわ
けにはいかない」というのが実情です。
新型コロナウイルス感染の第2波が起きたとしても、経済を再び閉鎖すべきで
はないという考えが、多くの国のコンセンサスなのかもしれません。
まさに、「With Corona」、コロナとの共生です。

ドル円は再び107円を割り込んできました。ドルが急落するイメージはあり
ませんが、依然として上値の重さは気になるところです。
コロナに加えて、朝鮮半島では緊張が高まってきました。また、中国とインド
国境付近では両国軍の衝突により、インド側に20名の死者が出たとも報じら
れています。再び106円台半ばを試す展開も予想されます。その際のトリガ
ーは、やはり米国株の急落ということになると思われます。

本日のドル円は106円50銭~107円40銭程度を予想します。



米5月の小売売上高過去最大の増加率を記録 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆好調な経済指標の結果にドル円は107円62銭まで上昇。
その後はコロナ感染への警戒感から107円台前半まで下落。
◆ユーロドルは前日と同じような展開の中、1.1228まで
売られ、下値をやや切り下げる。
◆株式市場は揃って3日続伸。5月の小売売上高が過去最大の増加率を
示すなど、経済指標が概ね回復基調を見せたことが好感された。
ダウは526ドル上昇し、2万6000ドル台を回復、
◆債券相場は3日続落。長期金利は0.75%台に。
◆金は反発。原油はIEAの需要予測を材料に続伸。

◆5月小売売上高        → 17.7%
◆5月鉱工業生産        →  1.4%
◆5月設備稼働率        →  64.8%
◆6月NAHB住宅市場指数   →  58

本日の注目イベント

◆日   5月貿易収支
◆欧   ユーロ圏5月消費者物価指数
◆欧   OPEC 月報
◆英   英5月消費者物価指数
◆米   5月住宅着工件数
◆米   5月建設許可件数
◆米   パウエル・FRB議長、下院銀行委員会で証言
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆加   カナダ5月消費者物価指数

日米の株価の上昇でドル円が上昇するも、コロナ感染第2波への警戒感から
ドルが売られるといった展開で、強弱の材料が綱引き状態といったところで
す。昨日は日経平均株価が後場に急伸し、前日の大幅な下げを帳消しにして
余りある、1051円の上昇でした。トランプ政権が1兆ドル(約10
7兆円)のインフラ投資を計画しているというニュースが好感され、このニ
ュースで上げ幅を拡大した印象です。昨日のNY市場でも、好調な経済デー
タを手掛かりに米国株は大幅に上昇し、これで3日続伸となりました。
ドル円も株価と長期金利の上昇に107円62銭まで買われましたが、コロ
ナ感染への警戒感が上値を抑え、結局、昨日と同じ水準で帰ってきました。
因みに、世界のコロナウイルスの感染者の数は800万人を超え、今後はイ
ンドで急増するとの予側もあります。

半期に一度行う議会証言で、パウエル議長は全体的に慎重な景気見通しを維
持したといった印象です。議長は、米国の雇用が顕著な回復期に入りつつあ
る可能性があると指摘しながらも、回復しても、新型コロナウイルス感染症
がパンデミックとなる前の高い水準には「遠く及ばない」という認識を示し、
「われわれの考えでは、また全員とは言わないまでも大半の予想もそう考え
ていると思うが、回復しても2月時点の水準には遠く及ばないだろう」と述
べました。また、「回復の時期と力強さに関しては著しい不透明感が残って
いる」とし、景気の先行きに慎重な見方を示していました。
質疑応答で、低所得層や黒人に対する経済面での不平等や失業率について問
われた議長は、「雇用喪失の影響が低所得層とマイノリティーに不釣り合い
な割合で集中している。経済的余裕の最も少ない人々が、経済的な痛みを最
もひどく受けている」と指摘しています。

一方この日はクラリダFRB副議長の講演もあり、副議長は、「新型コロナ
による混乱は物価全般に下押し圧力をかけている」と述べ、インフレ期待を
落ち着かせる政策の「優先度は高い」と指摘しています。(ブルームバーグ)

河野防衛大臣が突然「イージス・アショア」の計画一時停止を発表したこと
が話題になっています。
「ブースターの住民地区への落下を今の段階では排除できない」というのが、
その理由のようですが、だとしたら、これまで住民側に「コントロールでき
る」とした説明は何だったんでしょうか。さらにタイミングの悪いことに、
昨日北朝鮮はケソンにある南北連絡事務所を爆破し、朝鮮半島で再び緊張が
高まっています。韓国側もこれに対して強い遺憾を表明し、「状況を悪化さ
せる措置を続ければ、われわれは強力に対応すると厳重に警告する」と、こ
れまでとは異なる言い回しで声明を出しています。昨年の米朝首脳会談や南
北首脳会談の実現で、ようやく朝鮮半島にも春が訪れるのではといった期待
もありましたが、再び緊張が高まってきました。
今後両国がさらエスカレートするようだと、地政学的リスクの高まりから円
が買われる事態もないとは言えません。
コロナ、米国内での抗議デモに加え、朝鮮半島の動きにも目配りが必要にな
ってきました。

本日のドル円は107円~107円70銭程度のレンジを予想します。


FRB社債買い入れを発表 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間に、日経平均株価の大幅な下げに連動する形で
107円を割り込む場面もあったが、NYでは107円台前半から
半ばで推移。前日とほぼ同水準で取引を終える。
◆ユーロドルは横ばい。1.13台に乗せたものの、上値は重く
1.12台半ばまで押し戻される。
◆株式市場は東京での大幅下落を受け朝方は大きく売られる。
午後にはFRBが社債買い入れを発表したことなどで反発。
ダウは157ドル高で取引を終える。
◆債券相場は小幅に続落。長期金利は0.72%台へと上昇。
◆金は続落し、原油は続伸。

◆6月NY連銀製造業景況指数    →  -0.2


本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独5月消費者物価指数(改定値)
◆独   独6月ZEW景気期待指数
◆欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
◆英   英5月失業率
◆英   英ILO失業率(2月ー4月)
◆米   5月小売売上高
◆米   5月鉱工業生産
◆米   5月設備稼働率
◆米   6月NAHB住宅市場指数
◆米   パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言


昨日の東京時間午後2時過ぎから、日経平均株価が一段と下げ足を速めたため、
ドル円も107円を割込み、106円98銭まで売られました。
新型コロナウイルスの感染第2波に対する懸念から、市場のセンチメントが悪
化したことで売りが優勢になったようです。
「東京アラート」を解除した途端、タイミング悪く、東京都の新たな感染者が
増加し、昨日も48人の感染者が出ています。

NY市場ではこの流れを受け、朝方から株価は軟調となりダウは一時700ド
ルを超える下げを見せていましたが、午後にはFRBの発表がこの流れを一変
させました。FRBは緊急融資プログラムの1つである「セカンダリーマーケ
ット・コーポレートクレジットファシリティー(SMCCF)」の下で米企業
の社債買い入れを開始することを発表しました。FRBは声明で、「この指数
は、米企業が発行した流通市場の社債で、SMCCFが定める最低格付け条件
や最大償還期限といった基準を満たすもの全てで構成されている」と説明し、
「この指数に基づくアプローチにより、現在実施中のETF購入が補完される」
と加えています。(ブルームバーグ)また米金融当局は、中小企業向け融資を
支援する「メインストリート貸し付けプログラム(MSLP)」の受付を開始
し、融資を即時始めるよう金融機関に通知したことも発表しています。

米国ではフロリダ州など多くの州でコロナによる新たな感染者が増加しており、
クオモNY州知事が「企業が現行の規制を守らず、市民が社会的距離を取らな
ければ、経済再開を見直して再び制限措置を命じるだろう」と述べるなど、感
染の第2波に対する懸念が強まっていました。先の会見では、「できることは
何でもやる」と明言していたパウエル議長でしたが、FRBはその言葉通り行
動を起こした格好です。
コロナ感染第2波への懸念は米国だけではありません。
日本や中国でもそのリスクが高まっており、特に南米での感染拡大はさらに勢
いを増しているようです。
ブラジルを筆頭に、国別感染者数の上位15位には、ペルー、チリ、メキシコ
が入っており、今後はさらに増加していくと見られます。(6月15日午後4
時現在、ジョーンズ・ホプキンス大学調査)株価を動かす大きな材料の一つが
コロナ感染の拡大状況です。その株価の動きが「リスクオン」を強めたり、後
退させたりすることでドル円を動かします。引き続き、コロナの感染状況を把
握することは必要です。

本日のNYでは、経済活動や個人の消費に関するデータが発表され、パウエル
議長の議会証言が予定されています。
また日銀決定会合でも政策変更はないと見られ、いずれも中銀トップの発言内
容が注目されますが、大きな相場変動にはつながらないと思われます。


NYダウ大幅反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発。前日急落したNYダウが大幅に値を
戻したことで、終始107円台で推移。長期金利が上昇した
こともあり、107円52銭までドルが買い戻される。
◆ユーロドルは小幅に下落。1.1213まで売られ、
1週間ぶりとなる安値圏に。
◆株式市場は反発。前日1800ドルを超える下げを見せた
NYダウは朝方から大幅に反発し、一時は800ドルを超える。
その後は徐々に上げ幅を縮小し、結局477ドル高で引ける。
◆債券相場は反落。長期金利は0.70%台へと上昇。
◆金は小幅に反落し、原油は反発。


◆5月輸入物価指数             →  1.0%
◆6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) →  78.9

本日の注目イベント

◆中   中国5月小売売上高
◆中   中国5月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏4月貿易収支
◆米   6月NY連銀製造業景況指数
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論会に参加

前日、NYダウの大幅な下げに伴って106円台半ばまで売られたドル円は、
翌日の東京時間朝方にも同じ水準を試しましたが跳ね返され、結局106円
台半ばを底値に反発しています。本稿でも指摘したように、106円台半ば
近辺は一目均衡表の「雲の下限」にあたり、目先のサポートの可能性がある
と述べましたが、やはり意識されたようです。もっとも、先週末の日経平均
株価が思いのほか粘り腰を見せたことも、ドル円サポートの一因だった
と考えられます。
NYダウは1861ドル下げたものの、この日の日経平均株価はわずか16
7円の下落で終わっています。

この日経平均株価の粘り腰が、翌日のNYダウの反発にもつながったと思わ
れ、NYダウは800ドルを超える上昇を見せる場面もありましたが、それ
でも懸念材料である黒人暴行死事件とコロナ感染がリスクオンへの流れを阻
止している印象です。米国ではこの事件に加え、再び黒人男性が警察官に射
殺される事件が起きています。ジョージア州アトランタで27歳の黒人男性
が警察官2人ともみ合いとなり、その後逃走しようとした際に射殺されまし
た。アトランタ市長は、「正当な武器の行使とは思わない」と記者会見で述
べ、地元の警察署長が辞任しています。
この事件後、ホワイトハウスの近くでは人々が再び集結するなどの行動が見
られており、人種差別に対する抗議デモは鎮静化する気配がありません。

NY州では感染者数が減少していることから経済活動が段階的に解除された
一方、米国内の累計感染者数は200万人を超えてきました。
特にテキサス州やカリフォルニア州、アリゾナ州などでの感染者が増加して
いると報告されており、経済活動が再開されたNY州での感染者数の推移が
注目されます。世界全体で見た感染者数は依然として拡大傾向にあります。
ブラジルでは累計死者数が4万1000人を超え、米国に次ぎ世界で2番目
となってきました。また感染が収まったと見られていた中国でも第2波が取
り沙汰されてきました。中国では13日に新たな感染者が57人と、4月中
旬以降で最多になっています。中国政府によれば、そのうち36人が北京市
最大の野菜・青果供給センターで働いており、当局は同センターを閉鎖して
います。(ブルームバーグ)また、日本でも昨日は「東京アラート」を解除
したばかりの東京都で、新たに47人の感染者が確認されており。再び増加
傾向を見せ始めています。多くの専門家が指摘していた「第2波」が、ひた
ひたと忍び寄ってきているのかも知れません。

このように、先週半ばまで続いた「リスクオン」の流れは、今度はそう簡単
に強まりそうもない状況が見られ、日米の株価は調整が長引く可能性も出て
きました。従って、ドル円も106円台半ばでは底堅い動きを見せたものの、
上値の重さもあり、再び110円に向かうには明確なドル高材料が必要かと
思います。クドロー国家経済会議(NEC)委員長はCNNで、「V字回復
を実現する確率は非常に高い。失業率は低下し、2021年も堅実で堅調な
一年になる」と述べていますが、やや楽観的で希望的観測かと思われます。

今日のドル円の上値のメドは107円70銭~108円辺りで、下値は10
7円近辺といったところでしょうか。日本株は下落が予想されます。



NYダウ1860ドルの急落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 株価が急落し長期金利が低下してリスクオンが後退したことで、ドル円は106円58銭まで下落。ただ、株価の大幅安の割にはドルの下値は限定的。

  • ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.1289まで下落。ユーロ円のロング解消がユーロの上値を抑える。

  • 好調だった株価が急落。景気の先行きとコロナ第2波への懸念が拡大。ダウは1860ドル下げ、3月16日以来となる大幅な下げに。S&P500も下げが拡大し、サーキットブレイカーが発動。

  • 債券相場は続伸。長期金利は一時0.65%台まで低下し、0.66%台で取り引きを終える。

  • 金は反発。原油は3ドルを超える大幅安に。

本日の注目イベント

  • 日 4月鉱工業生産
  • 欧 ユーロ圏4月鉱工業生産
  • 英 4月貿易収支
  • 米 5月輸入物価指数
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

ついに来たというか、やっぱり、というか、米国株が大幅な下げに見舞われ、ダウは1860ドル下落し全面安です。本欄でもこれまで何度も述べたように、景気の実態を伴わない上に、周りを見渡せばリスクにつながる材料も多くあり、昨日はちょっとしたきっかけが、売りが売りを呼ぶ展開に火をつけたという状況です。米国での感染の中心地であったNY州では、本日12日から経済活動再開の第3段階に入ることになってはいるものの、対照的にフロリダ州では感染が拡大し、昨日は感染者数が前日から2.5%増加し、増加率はこの1週間の平均である2%を上回ったと報じられています。またテキサス州でも同じような傾向が見られ、コロナの感染拡大は米国南部に移ったようです。

ダウの下げ幅は3月16日の2997ドルに次ぐ大きさで、S&P500も7%下げたところで、サーキットブレイカーが発動されています。最近の急ピッチな上昇に対する警戒感が出ていたところに、新型コロナウイルス感染第2波への懸念が加わり、大幅な下げにつながったと見られます。前日初めて1万ポイントの大台を達成したナスダックも大きく下げ、恐怖指数と言われる「VIX指数」は「40.79」と再び急上昇しています。ただその割にはドル円の下落は限定的でした。昨日も述べたように、106円台半ばが雲の下限で、この辺りが定石通りサポートになったようです。それでも、今後再び株価の調整が「長いトンネル」に入るようだと、ジリジリと円が買われる展開も考えておく必要があるかもしれません。

米国アレルギー感染症研究所のファウチ所長が9日の講演で述べた「終わりにはほど遠い」という言葉が思い起こされます。(参照:6月11日付け今日のアナリストレポート)今後はコロナ感染の状況を引き続き注視するしかありませんが、米国では、それでも経済を止めるわけにはいかないという考えがトランプ政権にはあります。ムニューシン財務長官はCNBCとのインタビュで、経済の再閉鎖は「さらにダメージが広がる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」と述べ、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」と語り、新型コロナウイルス感染の第2波が起きたとしても、米経済を再び閉鎖すべきではないとの認識を示しました。

本日の日本株も厳しい下げに見舞われそうです。この状況下ではドルの上値は当然重くなりますが、仮に106円台半ばを明確に割り込んだとしたら、次のサポートは106円前後です。この水準は5月6日にタッチして以来一度も試していません。もっとも、日米の株価がどこまで調整を続けるのかが焦点になりますが、前日のFOMCでは2022年まで現在のゼロ金利政策が継続されると見込まれており、運用利回りという観点からも株式市場への資金流入は続くと予想しています。少なくとも、日米の株価は3月で大底を打ったと考えています。105-110円の大枠が維持されているとすれば、やはりドルの買い場を探る展開かと思います。

FOMC,22年までのゼロ金利政策維持を予測 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆FOMCでは金融政策の維持を決め、22年まで
政策金利をゼロ付近で維持する見通しを示したことで
ドル売りが優勢に。ドル円は一時107円を割り込む場面もあり、
この日の安値圏で引ける。
◆ユーロドルは続伸。ドル安が主要通貨に対して進み、
ユーロドルは1.1422までユーロ高に。
◆株式市場はパウエル議長が景気に対する慎重な見方を示した
ことからダウは282ドル安と、大幅に続落。
一方ナスダックは続伸し、引け値で1万ポイントに乗せる。
◆債券相場は大幅に続伸。FOMCで2022年までのゼロ金利政策維持が
示されたことで買い物を集める。長期金利は0.72%台まで低下。
◆金は小幅に反落。原油は続伸。

◆5月消費者物価指数   →  -0.1%
◆5月財政収支      →  -398.8b

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏4月鉱工業生産
◆英   英4月鉱工業生産
◆英   英1-3月期GDP
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月生産者物価指数

ドル円は続落し、5月13日以来、約1カ月ぶりに106円台を付けました。
と言っても、107円をわずかに割り込んだという程度でしたが、FOMC
の結果を受けて米10年債が大幅に上昇し、長期金利が一気に10ベーシス
程低下したことがドル売りにつながりました。昨日はドルに対して主要通貨
がほぼ上昇しており、先週まで見られていた、ドル安が
進む中でも円が売られる展開とは異なった動きです。

FOMCでは事前予想通り、現行のゼロ金利政策維持を決め、声明文では
「FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆる手段を用いる
ことをコミットしている。それによって最大限の雇用と物価安定という目標
を促進する。委員会が、雇用と物価安定を達成する軌道にあると確信するよ
うになるまで、FF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標のレンジを、ゼ
ロー0.25%に据え置く」と発表しています。
会合後の記者会見でパウエル議長は、新型コロナウイルス感染拡大からの景
気回復を支援するため、金融当局としてあらゆる手段を用いると表明し、「
利上げについては考えることすら考えていない」
と言明し、「利用可能なあらゆる手段を必要な期間だけ用いることを強くコ
ミットしている」と語っています。
また5月の雇用統計について、労働市場が底を付けたことを意味する可能性
はあるとしつつ、多くの人の予想が外れ、驚きが広がったという事実は、
「現状がいかに不透明かを明確に示している」と述べています。
昨年12月以来の公表となった経済予測では、2021年末までFF金利が
ゼロ付近で維持されると全てのメンバーが予想しており、また2人を除き全
員が22年末までゼロ付近で据え置かれるとの見通しを示しています。
(ブルームバーグ)

ゼロ金利政策を2022年末まで見込めることは、株式市場にとっては強い
追い風になりますが、パウエル議長の景気に対する慎重な見方が利益確定の
売りを誘発したものと思われます。ドル円では、日米金利差が当面拡大しな
いことが見込まれることからドル売りが優勢になっています。
ただ、これらの一連の動きはある程度予想されていたため、それほどインパ
クトのあるものではありません。
引き続き株価の動向がドル円の方向を決める上での「主役」であることは変
わらないと考えます。むしろ、昨日の海外からの報道で気になるのは、米国
立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長の言葉です。
ファウチ所長は、「一部の国や州ではロックダウンから回復しつつあるが、
ウイルス感染が再び勢いを増すリスクはなおある」と述べ、「終わりにはほ
ど遠い」と警告しています。
その上で、「新型コロナへの感染が公衆衛生に関する対処のみで消えるこ
とはない」とし、「世界全体で何十億人分ものワクチンが必要になる」との
見解を示していました。

ドル円は本稿執筆時には107円を明確に割り込んできました。
日足ではローソク足が雲に入って来ており、雲の下限である106円50銭
近辺がサポートと見られます。またこの付近は、ここ数カ月の動きの中でも
非常に重要な値位置かと考えます。日本株の下落が予想され、ドル円をどこ
まで下押しするのか見たいと思います。



米ナスダック一時1万の大台に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は続落。ダウが反落し、長期金利も低下したことから、ドル売りが優勢となり107円63銭まで下落。

  • ユーロドルは引き続き1.13前後のもみ合いから上昇。ドル安の流れから1.1364までユーロが買われる。

  • 株式市場はナスダックの健闘が目立ち、同指数は一時初となる1万の大台に乗せる場目も。ダウは300ドル下げる。

  • 債券相場は続伸。長期金利は0.05%低下し、0.82%台に。

  • 金は続伸し、原油は反発。

本日の注目イベント

  • 豪 6月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 中 5月消費者物価指数
  • 中 5月生産者物価指数
  • 欧 OECD経済見通し
  • 欧 OPECプラス会合
  • 米 5月消費者物価指数
  • 米 5月財政収支
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

ドル円は続落し、107円台半ばまで戻っています。昨日の東京時間からドルの上値が重い中じりじりと値を下げ、108円を割り込む場面もありましたが、その流れは海外市場にも受け継がれ、NYでは107円63銭までドルが売られています。長い間107円台でもみ合っていたドル円を108円台に乗せ、109円85銭まで押し上げた原動力は「株高に伴うリスクオン」でしたが、株価の上昇が一服したことで、リスクオンの高まりも一服といったところです。本日のFOMCを前にポジション調整といった意味合いもあるようです。

前日までは日米の株価が大きく上昇し、コロナショックで暴落した分をほぼ取り戻した状況でした。昨日のNY株式市場ではさすがに、ダウは売られましたが大型ハイテク株で構成するナスダック指数はザラ場で初めて1万の大台に乗せる場目がありました。引け値では1万台キープはなりませんでしたが、それでも連日で最高値更新を達成しています。ダウが下げた分、ドル円も利益を確定する動きとなり、元の水準に戻されています。ここは、比較的居心地のよいレベルなのかもしれません。

今後も株価が再び上昇するようだと、ドル円も110円に接近する動きがあろうかと思いますが、この欄で何度も述べているように、株価のさらなる上昇には、企業収益の拡大や、景気の急回復が必要ですが、その「実態」が伴っていません。景気回復は「U字回復」か「L字回復」しか見込めない中、株価だけが「V字回復」を達成しているこれらの動きに、多くの専門家が違和感を禁じ得ないのが実情です。日経電子版でも「株式相場偽りの夜明け。バブル崩壊に備えるとき」と題したコラムが掲載されていました。そこでは、コロナ感染の第2波の恐れ、中国が制定した「国家安全法」を巡る香港での民主化デモ、あるいはミネソタ州での黒人暴行死事件に対する抗議デモといったリスクを全く無視した株価の上昇を、警告しています。バブル崩壊前には、企業業績、ファンダメンタルズ、あるいはチャートが示す警戒シグナルなどは、無視され、「行くとこまで行く可能性がある」と警告していました。

株価の上昇によってもたらされた「ドル高円安」は、当然のことながら株価が下落に向えば解消されることになります。105-110円のレンジ相場をどちらにも抜け切るのは簡単ではありませんが、ここは、チャートを基本に利益が取れるものは確実に押さえておく手法が有効かと思います。本日はFOMCの発表があります。発表は明日の朝方の3時で、今回は政策変更はないものと思われますが、FOMCメンバーによる、雇用・成長予測が公表されます。5月の雇用統計では予想を大きく上回る雇用結果が発表された後だけに、メンバーの予測もバラケル可能性があります。ただ、それでも大勢は5月の雇用結果には満足せず、引き続き緩和政策の継続が必要で、さらに景気の悪化が見込まれると判断したら追加の緩和策を講じる、といったメッセージを送ってくるのではないかと予測しています。

ドル円108円台前半に反落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は大幅に反落し、一時は108円24銭まで下落。長期金利もやや低下し、利益確定のドル売りが相場を押し下げた模様。

  • ユーロドルも上値を切り下げてきたものの、水準は前日と変わらず。

  • 株式市場は大幅に続伸。ダウは6日続伸し、2万7500ドル台に。ナスダックは最高値を更新。

  • 債券は続落して始まったが、その後切り返し上昇。長期金利はやや低下し、0.87%台に。

  • 金は反発し1700ドル台を回復。原油は6日ぶりに反落。

本日の注目イベント

  • 豪 5月NAB企業景況感指数
  • 独 4月貿易収支
  • 独 4経常収支
  • 欧 ユーロ圏1-3月期GDP(改定値)
  • 欧 OPEC総会
  • 米 FOMC(10日まで)

多くの専門家が、足元の株価の急上昇は実体経済から乖離していると指摘する中、日米ともに株価の上昇が止まりません。もっとも、日本の株価の上昇は米国株の上昇に引っ張られていると思いますが、米国株は昨日も大きく買われ、ダウはこの日も461ドル上昇し、コロナショックで失った下げ幅をほぼ解消。ナスダックは最高値を更新するなど、説明が付かないほどの上昇を見せています。4月に入ってから上昇を見せた株式市場は当初、ショート筋の買い戻しということで説明できましたが、その後の上昇は、しびれを切らした新規の資金が流入したようです。今朝の経済紙には「日本株、持たざるリスク」といった言葉が紙面を飾っていました。

そんな中、ドル円は大きく反落しています。NY市場では1円を超える下げ幅となり、108円24銭までドル安が進んでいます。これといって、ドルが大きく売られる理由はなかったと思われますが、クロス円全体も売られていることから「利益確定のドル売り」が円買いを促したといった状況です。リスクオンが急速に高まったにも拘わらず、節目の110円を抜け切れなかったことも、一旦ドルを
手放す理由になった理由として挙げられそうです。今のところ、105-110円のレンジは機能しているようです。

世銀は8日、世界経済の見通しを発表し、新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年の世界経済の成長率がマイナス5.2%に減速するとの見方を発表しました。コロナの感染状況によっては今後さらに落ち込む可能性があることも指摘しています。日本の成長率はマイナス6.1%と、世界全体よりも落ち込みが大きく、2021年には世界全体がプラス4.2%と予測される中、日本は2.5%のプラスに留まると見られています。

これに先だち、景気循環を判定する全米経済研究所(NBER)は、過去最長となった米国の景気拡大局面が今年2月に終了したと判断し、新型コロナに端を発したリセッション(景気後退)入りを正式に発表しました。今回の景気拡大は2009年7月から始まり、10年8カ月をもって終了したことになります。ブルームバーグは「It’s Over」といった見出しでこの内容を伝えています。ミネソタ州で起きた黒人傷害死事件に対する抗議デモは全米から世界各地に広がりを見せており、今後対応を誤ると、コロナに次ぐ第2の惨事になる可能性もあります。そのミネソタ州では市議会が警察の解体プロセスに着手するようです。現在の警察に取って代わるプランは現時点ではないものの、新しい治安体系について地域社会と協議する方針だと、ミネアポリス市議会議員らは述べていると報じられ、白人警察官が行う、黒人に対する業務執行上の暴力でも、ほとんど罪にならない現行の警察制度を大きく変えることになるかもしれません。

ドル円は110円を目前にしてUターンしてきましたが、株価が堅調なうちは大きな下げにはつながらないと思われます。1時間足では10日ぶりに「雲を下抜け」して短期的な調整を示唆していますが、2時間足の雲が下落を支えている格好になっています。本日はドルの目先の底値を探る展開を予想しますが、水準が水準だけに、昨日のドル円と同じ様にいつ株式市場が利益確定の売りに見舞われるかもしれません。株価の動きには注意したいと思います。

5月の米雇用者数250万人増加 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 5月の雇用統計が市場予想を大きく上回る結果であったことからドル円は続伸し、109円85銭まで上昇。3月下旬以来の高値を記録。株高、金利高が続き、リスクオンの流れがさらに加速。

  • 上昇を続けていたユーロドルは反落。ドル高の流れと利益確定に押され、1.1279まで小幅に下落。

  • 株式市場は大幅に続伸。雇用統計の結果を受け、早期の米経済立ち直りが確認されるとの観測からダウは829ドル上昇し、5日続伸。ナスダックはザラ場で最高値を更新する場面も。

  • 債券相場は続落し、長期金利は0.89%台まで上昇。

  • ドル高が進んだことで金は大きく下落。原油は続伸し40ドルに迫る。

本日の注目イベント

  • 日 1-3月GDP(改定値)
  • 日 4月国際収支
  • 日 4月貿易収支
  • 日 5月景気ウオッチャー調査
  • 独 4月鉱工業生産
  • 欧 ラガルド・ECB総裁、欧州議会公聴会に出席
  • 米 世銀、世界経済見通しに関する報告書

5月の雇用統計は記録的な「誤算」でした。もともとこの統計は速報値ということもあり、ブレやすく、毎月発表時には前月、あるいは前々月の数値が修正されるのが「恒例」になっているほどです。しかし、今回の結果は事前予想からは大きく外れました。
事前予想では750万人ほどの非農業部門雇用者の減少が予想されていましたが、結果は250万人の増加で、その差は1000万人ということになります。筆者も長く雇用統計を見てきましたが、これほどの差は記憶にありません。また失業率も予想の19.0%に対して13.3%でした。今回の雇用統計は、確かにこれまでに経験したことのない「コロナによる経済の混乱」ということで、予測しにくく、やむをえない部分はあろうかと思います。

ブルームバーグによれば、今回の大きく予想と異なった原因は、エコノミストの多くが失業保険申請件数をベースに予測しており、この件数の急増と、数千万人が失業保険を継続受給しており、給与保証プログラム(PPP)など、政府による救済策を十分に考慮に入れていなかった可能性があるのではないかと分析しています。また多くのサービス業や飲食業では、コロナ感染拡大により従業員の解雇をおこなったものの、これは一時的な解雇であり、感染が収まれば再雇用するといった形態が多かったようです。ただ、これで米雇用は安定的に推移し、これまでの状況に戻るかどうかは依然として不透明であり、個人的には早くとも来年のことと予想しています。コロナ感染のピークは過ぎたものの、直近のデータでは米国の感染者は192万人に達しており、死者数も10万9千人で、まだまだ予断は許しません。加えて、ミネソタ州で起きた黒人暴行死事件に対する抗議デモは日増しに拡大しており、デモは米国内に留まらず、この日曜日にはロンドンやブリスベンにも波及しています。米国の抱える、根強い人種差別と格差拡大のマグマが今回の事件を契機に一気に噴き出したと見ることができます。今後この抗議活動がさらに拡大するようだと、11月の大統領選にも大きな影響を与えることにもなります。

雇用統計の「ポジィティブ・サプライズ」で市場ではさらにリスクオンが高まりました。NYダウは5日続伸し、一気に2万7000ドルの大台を回復し、ナスダックはほぼ急落前の水準を回復しており、上記コロナによる甚大な影響を受けながらも株価の上昇が続いています。今思えば、あの連日の急落は何だったんでしょう。ドル円は、リスクオンが進み109円85銭までドル高が進み、3月26日以来の水準に戻っています。すでに「週足」の一目均衡表でも雲の上抜けは完成させており、「MACD」ではゴールデンクロスを示現しそうな状況になっています。これでゴールデンクロスを完成させれば、テクニカル上はドル高傾向が鮮明になることから、注意して見ていきたいと思います。ただ、個人的には足元の株価の上昇に対する懐疑的な姿勢は変わりません。報道によると、個人投資家に加え海外勢の資金流入も活発になってきたようですが、企業業績の見通しでは多くの企業が先行きに対して慎重な姿勢を崩しておらず、2021年度業績については「未定」としている状況です。「株価は先行指標だ」とよく言われますが、一方で「しびれをきらした個人投資家が参入すれば、転換点」とも言われています。本日も日本株は大幅な上昇が予想されますが、ドル円の110円テストが日本時間にあるのかどうか、注目点の一つです。

ECB、追加緩和を決定 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小幅に続伸。米長期金利が上昇し、ユーロ円などの買いが、ドル円での円売りにつながった。109円20銭までドル高が進み、この日の高値圏で引ける。

  • ECBが追加緩和を決めたことでユーロの買い戻しが加速。一時は1.1362までユーロが買われ、3カ月ぶりに高値を記録。

  • 株式市場はまちまち。ダウは小幅に上昇したものの、ナスダック、S&P500は反落。

  • 債券相場は3日続落。長期金利は0.82%台まで上昇し、3月下旬以来となる水準に。

  • 金は反発。原油は3日続伸。

本日の注目イベント

  • 日 4月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 独 4月製造業新規受注
  • 米 5月雇用統計
  • 米 4月消費者信用残高
  • 加 カナダ5月就業者数
  • 加 カナダ5月失業率

昨日本欄で、米国内で広がっている抗議デモの鎮圧に連邦軍の動員も辞さないとしたトランプ大統領の発言に反対を表明したエスパー国防長官のコメントを紹介し、エスパー氏も、マティス前国防長官と同じように、更迭される可能性があると述べました。そのマティス氏が3日発売の米誌で発言しています。氏は、「ドナルド・トランプは私の人生で初めて、米国民を団結させようとせず、その素振りさえ見せない大統領だ。その代わりに、彼は米国を分断させようとしている」と批判しています。また、「われわれが目の当たりにしているのは、過去3年にわたるこの意図的な取り組みの結果であり、成熟したリーダーシップ不在の結果だ。われわれは米国の市民社会に内在する力を利用し、彼抜きで団結できる」と指摘しています。2018年12月のクリスマスの日に解任されたマティス氏は、久しぶりに公で発言を行いましたが、現職大統領を元閣僚が公然と批判するのは極めて異例なことだと、ブルームバーグは伝えていました。11月の大統領選の行方がますます読みにくくなりました。

ECBは昨日の理事会で追加緩和を行うことを決定しました。新型コロナウイルス危機への対応を強化し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入額を6000億ユーロ(約73.5兆円)増加し、1兆3500億ユーロに拡大すると共に、政策期限も少なくとも2020年末としていたものを、21年6月末まで延長することを決めました。理事会後の記者会見でラガルド総裁は、「景気の改善はこれまでのところ、緩慢だった」とし、「行動する必要があった」と述べ、さらに「必要なことは何でもやる」と、さらなるの追加緩和をにおわすような発言を行っています。

この決定を受け、ユーロドルは1.12台後半から1.13台を回復し、約3カ月ぶりの高値となる1.1362までユーロ高が進みました。ユーロは対円でも2019年5月以来となる123円97銭まで上昇しています。ユーロドルは5月下旬までは1.10が壁となり、上値の重い展開が続いていましたが、5月27日に1.1台に乗せてからは、ある程度のユーロ高が予想されました。ただ、ユーロドルでユーロ高が進めば、ドル円にもその動きが波及し、「ドル安・円高」に振れると予想していましたが、ドル円は真逆の動きを見せ、109円台を回復してきました。ユーロが買われ、円が売られたことで、ユーロ円は昨年5月以来のユーロ高水準である124円手前まで上昇しています。この背景は、株高が進んでいることから「リスクオン」の流れが強まり、安全通貨の円、あるいは、マイナス金利の円と言ってもいいかもしれませんが、円売りが加速し、円が主要通貨の中で最弱通貨の位置に沈んだとものと考えられます。

昨日発表された新規失業保険申請件数はさらに減少し、187.7万件でした。4月の第1週には686万件だったことを考えると、依然高水準でありますが確実に減少していることが伺えます。本日は5月の雇用統計が発表されます。雇用の悪化は今回がボトムと見られますが、非農業部門雇用者数は前月比750万人の減少、失業率は19.1%と、大幅に上昇すると見られています。すでに相当の悪化が見込まれているため、結果次第ではドルが買われる可能性もあります。反対にドルが大きく売られるとすれば、雇用者数が1000万人以上の減少となったケースでしょう。今回の数字は、あまでも一時的なものと捉えることが必要です。

トランプ政権は次回の経済対策を考えており、その規模は最大で1兆ドル(約109兆円)になるとの見方も出ています。この経済対策が実現すれば、株式市場が好感し、リスクオンが進む材料になり易いと考えられます。ドル円は日足ベースではすでに「120日線」と「200日線」を上抜けしています。週足では109円20-60銭あたりに「120週線」と「200週線」があり、109円から上値では相当な抵抗も予想されます。105-110円のレンジの上限を試しているのが足元の動きですが、ここからが重要です。110円を突破できるのか、あるいは110円が依然として壁となるのか、注視したいところです。


リスクオン、一段と強まる 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はアジア市場では上値が重かったものの、海外
市場ではじり高が続き、NYでは108円98銭まで上昇。
株高、金利高が続きリスクオンがさらに強まる。
◆ユーロドルは続伸。独メルケル政権が1300億ユーロ
(約16兆円)の景気刺激策で合意したこともあり、
1.1258までユーロ高が進む。
◆株式市場は大幅に続伸。ADP雇用者数などの経済指標が
予想されたほど悪化していなかったことを好感。
ダウは527ドル上昇し、2万6000ドル台を回復。
◆債券は続落。長期金利は約3週間ぶりに0.7%台半ばまで上昇。
◆金は大幅に続落。原油は続伸し37ドル台に。

◆5月ADP雇用者数      →  -276万人
◆4月製造業受注        →  -13.0%
◆5月ISM非製造業景況指数  →  45.4

本日の注目イベント

◆豪   豪4月貿易収支
◆豪   豪4月小売売上高
◆独   独5月製造業PMI(速報値)
◆独   独5月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏4月小売売上高
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧  ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  4月貿易収支
◆加   カナダ4月貿易収支

昨日の海外市場では一段と「リスクオン」が強まり、NY株式市場では
ダウが大幅に続伸し、約3カ月ぶりに2万6000ドルの大台を回復し
ました。先行して買われているナスダックは上値が重く、上昇の勢いは
鈍かったものの、9682ポイントで取引を終え、2月に記録した引け
値での最高値である9817ポイントに迫ってきました。
債券市場では安全資産の国債が売られ、長期金利は0.74%台まで上
昇しています。「リスクオン」の動きに伴って為替市場では、円が売ら
れ、ユーロ円は1月13日以来となる122円台半ばで買われています。
安全資産である債券や円に加えて金も売られ、一時「80」まで上昇し
た「VIX指数」(恐怖指数)は「25.6前後」まで低下してきまし
た。

多くの専門家が指摘しているように、冷静に周りを見渡せば「リスクオ
フ」につながりそうな事案は決して少なくはありません。
ミネソタ州で発生した白人警察官による黒人暴行死事件では、全米で抗
議デモが広がり、鎮圧のため連邦軍の導入も辞さない姿勢を示したトラ
ンプ大統領の発言を巡っては、エスパー国防長官の毅然とした物言いが
波紋を広げています。エスパー長官は3日、国防総省で記者団に対して、
「法執行当局の役割で軍を動員するという選択肢は最後の手段とすべき
で、極めて緊急性が高く切迫した状況に限定する必要がある。今の状況
はそれには当てはまらない。暴動法の発動は支持しない」と言明し、抗
議デモへの軍派兵には反対する考えを示しました。(ブルームバーグ)
このニュースを耳にして、かつて同じようにトランプ大統領がシリア、
アフガニスタンからの米軍撤退を決めた際、反対意見を述べたものの受
け容れられず辞任した、マティス前国防長官を思い出しました。トラン
プ大統領は2016年の就任以来、自身の考えを受け容れない側近をこ
とごとく外しており、今回のエスパー長官もその可性が高まるでしょう。
仮に11月の大統領選でトランプ氏が再選を果たした場合、エスパー氏
以外の人物が国防長官に任命されることになるでしょう。

「リスクオフ」につながりかねない事案はまだあります。
米運輸省は3日、中国航空会社の旅客機による米国乗り入れを全面的に
停止することを発表しました。これは、米航空会社の中国便運航再開を
中国が認めていないことへの対抗措置と見られており、乗り入れ停止は
6月16日に発効する予定ですが、トランプ大統領がそれより前に実行
させる可能性もあるようです。中国機の乗り入れ停止は貿易や新型コロ
ナウイルス、香港の扱いを巡り緊張が高まっている米中関係に新たな火
種となることも考えられ、米中の緊張が一段と高まるリスクがあります。
また中国が制定した「国家安全法」を巡っては、香港政府トップの林長
官が北京に呼ばれ、香港での反中国共産党などの活動を禁じる同法の施
行への準備を加速することを告げられ、林長官もこれを「全面的に支持
する」と述べています。
香港を特別扱いしないという米国の政策変更は粛々と実施されそうです。

それでも大量の資金が株式市場に流入し、株価を押し上げています。
今朝の経済紙によると、コロナによる景気刺激策に伴って日米欧の中銀
は今年に入り500兆円にのぼる資金供給を行った模様と報じています。
ゼロ金利、もしくはマイナス金利下での運用は、いきおい、リスクを取
ってより高い運用利回りを求めるしかありません。
すでに「 Cash is King」という言葉も忘れ去られた感もありますが、
再び歴史を繰り返さないことを願うものです。

どこまで「リスクオン」が続くのかを見極めることが重要ですが、今後
円が買われる事態も想定される中、ドル円は109円近辺まで上昇して
きました。チャートでは、「日足」までの足でドルの上昇を示唆してい
ます。109円を明確に上抜けするようだと、「週足」でもドル高示唆
が点灯します。円先高観を意識しながらも、チャートが示す流れも無視
するわけには行きません。
足元の動きは依然として105-110円の大きなレンジ内で推移して
いると見ています。



ドル円一気に108円台半ばに 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は107円台でのもみ合いから一気に上昇し、
4月9日以来となる108円77銭まで買われた。
株価の上昇が続き、リスクオンの流れから安全通貨の円が
売られ、円は主要通貨の中で最弱通貨の様相に。
◆ユーロドルは続伸。1.1197までユーロ高が進み、
ユーロ円も4カ月半ぶりに121円63銭近辺まで買われる
◆株式市場は続伸。新たな景気刺激策などへの期待からダウは
267ドル高。全米各地で広がる抗議デモにも拘わらず株式が
買われることへの警戒感もある中、楽観的すぎるとの声も。
◆債券は続落。長期金利は0.68%台へと上昇。
◆金は続落。主要産油国の減産継続報道に原油は続伸。

本日の注目イベント

◆豪   豪1-3月期GDP
◆豪   豪4月住宅建設許可件数
◆中   中国5月財新サービス業PMI
◆中   中国5月財新コンポジットPMI
◆独   独5月失業率
◆欧   ユーロ圏4月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏4月失業率
◆米   5月ADP雇用者数
◆米   4月製造業受注
◆米   5月ISM非製造業景況指数
◆加   カナダ中銀政策金利発表


ここ2週間余り107円台でもみ合っていたドル円は、昨日のNYで一気に108
円台に乗せ、108円77銭まで急伸しました。個人的にはコロナによる影響や、
全米に広がるデモの勢いなどから、円高方向を予想していましたが、それでも売ら
れないドル円に、日米の株価が堅調なことを指摘しました。昨日のNYでのドル円
はまさに株価の上昇がリスクオンにつながり、安全通貨の円がほぼ「全面安」の展
開になったと考えられます。

今朝の経済紙は、「米国の三重苦」と称して、コロナ、失業率、人種差別に対する
抗議デモを挙げています。特にデモは全米に広がり、暴徒化しているようです。
デモに対するトランプ大統領の対応については昨日のこの欄でも触れましたが、さ
らにトランプ氏は、事態が鎮静化しない場合には大統領権限での連邦軍投入を示
唆し、NY州でも略奪行為を鎮圧するために州兵の動員を要請しなかったことにつ
いては、「昨日はクオモとその取り巻きにとって悪い日だった。NYは略奪者や暴
徒、極左勢力などあらゆる低劣なごろつき連中に敗北した。私が強力な州兵の動員
を申し出たのに、知事は拒否した。NY市内はずたずただ」とツィートしています。
これに対してクオモ知事は、トランプ氏が軍の派遣を警告したことは「恥ずべきこ
とだ」と述べ、コロナの感染が広がる懸念があることに言及しています。
また国防総省も2日、トランプ氏の発言に距離を置く姿勢を示し、法執行が必要
な地域には州兵を配備した方がよいとの考えを示しました。(ブルームバーグ)

コロナに次ぎ、「予期せぬ敵」にもがいているように見えるトランプ氏ですが、
11月の大統領選を前に支持率の低下が拍車をかけています。
直近の調査では全米支持率ではバイデン氏が有利となっており、トランプ氏43
%、バイデン氏53%(ワシントンポスト)との報道もあり、接戦州でもバイデ
ン氏が有利のようです。今回の抗議デモに対し武力での鎮圧を示唆したトランプ
氏に対してバイデン氏はフィラデルフィアの市議会議事堂で演説を行い、「トラ
ンプ大統領が憎悪の炎をあおっている」と糾弾し、逮捕時の身柄拘束で首を絞め
るといった、行き過ぎた力の行使を禁じるなど、「警察を改革する法案を通過さ
せなくてはならない」と述べ、「もう言い訳は許されない。先延ばししてはなら
ない」と主張しています。このように、二人の大統領選候補の発言は極端でした。

ユーロなど主要通貨では「ドル安」が進んでいますが、円に対しては「ドル高」が
進んできました。ドルが主要通貨に対して売られる中でも、そのドル対しても売ら
ており、結局足元では「円が最弱通貨」になっています。
その背景は株高を理由に「リスクオン」が続いていることと考えられます。
円と並んで安全通貨の代表であるスイスフランも、円程ではないもののドルに対し
てそれほど強くなってはいません。
昨日は一気に1円ものドル高が進みましたが、これは108円を超えたあたりから、
ドルショートを解消するストップが出、それが水準を押し上げたものと思われます。
従って、107円台を上抜け1円程ドルが上昇しましたが、これでドル円の上昇傾
向が鮮明になったかどうかはまだ判断できません。
それは、足元の株価の上昇が楽観的すぎると思われ、ちょっとしたきっかけでダウ
が1日で1000ドル下げる可能性も否定できないからです。
昨日の動きから、ドル円にもようやくボラティリティーが戻ってきた感があります。
今週は重要な経済指標もあることから、引き続き慎重に対処したいところです。



米抗議デモ拡大 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は動かず先週末の水準と変わらず。
この日の値幅も僅か20銭強と、一段と膠着感を
強める。
◆ユーロドルも1.11台で、こちらも前日と
ほぼ同水準で推移。
◆株式市場は上昇。ダウは反発し91ドル高。
ナスダックは続伸し、9500ポイントの大台を回復。
◆債券相場は横ばい。長期金利はやや上昇し、0.66%近辺に。
◆金と原油は小幅に下落。

◆5月ISM製造業景況指数       →   43.1
◆5月マークイット製造業PMI(改定値) →  39.8

本日の注目イベント

◆豪   豪1-3月期経常収支
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆欧   ユーロ圏5月製造業PMI
◆英   英4月消費者信用残高
◆米   5月自動車販売 

昨日のニュースでは、ワシントンにあるホワイトハウスが煙に包まれている映像
が流れ、これが世界の政治の中心地ワシントンとは思えぬ光景でした。
5月25日に発生した白人警察官による黒人暴行死事件に対する抗議デモはさら
にエスカレートし、メディアは「デモは、60年代の公民権運動並み」だと報じ
ていました。

デモが暴動化したことで、トランプ大統領が一時地下豪に避難したようですが、
暴動に対す威圧的なツイートは今後も議論が呼びそうです。
トランプ氏は、全米に拡大したデモを厳しく取り締まるよう州当局に促し、州知
事や法執行当局者とのビデオ会議で、「あなた方は威圧しなければならない」と
述べ、「力を見せつけてこうした者たちを逮捕し、法の裁きを受けさせる必要が
ある」とし、「あなた方の大半は弱腰だ」と述べたようです。
この発言はCBSのニュースが報道し、ブルームバーグニュースはこの発言の音
声記録を入手したことを伝えています。
先週、中国が香港の民主化運動の監視を強化する「国家安全法」を制定したこと
を厳しく非難したトランプ氏でしたが、自国のデモに対しては高圧的な姿勢を見
せており、「手遅れになる前に州兵を動員すべきだ」とのツイートを投稿してい
ます。

この動きに対して中国政府関係者や国営メディアはトランプ政権を痛烈に皮肉っ
ています。「トランプ大統領は香港情勢を『極めて問題だ』と表現していたが、
それから間もなく香港で起きているのと似た光景を米国内で目にすることになっ
た。米国は国内と香港のデモへの対処で『二重基準』を用いている」と非難して
います。
今回の騒動は、米国内に残る根強い人種対立が影響していると思われますが、ト
ランプ大統領のこれまで見せてきた「白人主義」、「白人尊重主義」が積み重な
ってきた面もあり、今後の大統領選にも影響してくると思われます。
トランプ氏にとっては11月の大統領選で再選することが全てですが、コロナに
次ぐ「予期せぬ難題」への対処方を一つ間違えると、再選も夢に終わる危険性も
あります。

それでも金融市場では「リスクオフ」の流れが強まる気配はありません。
NY株式市場ではナスダックが9500ポイント台まで上昇し、これで3月23
日の安値からは40%程上昇したことになります。
米長期金利はFRBによる大量の資産購入により、0.6%台で低位安定してお
り動意は見られません。このためドル円はここ2週間、107円台を上へも下へ
も抜け切れない異例の展開になっています。
一方、動かないドル円をしり目に、ユーロドルなどでは「ドル安」が鮮明となり、
特に豪ドルの上昇が目につきます。これは底堅い商品相場を背景に、ショートカ
バーが豪ドルを押し上げ、さらにテクニカル的にもロングが有利になってきたこ
とで買いが集まったと考えられます。コロナ禍は下火にはなってきましたが、依
然注意が必要で、加えて米中関係や米国内でのデモの動き、あるいはその先にあ
る米大統領選などが相場を動かす材料として挙げられます。


ユーロドル2カ月ぶりに1.1145まで上昇 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間の午後からNY時間の朝方まで107円台
前半で推移したものの、トランプ大統領の中国に対する制裁が
思ったほど厳しい内容ではなかったことからドルは上昇。
107円89銭まで買われる。
◆ユーロドルは続伸。一時は1.1145までユーロ高が進む。
ユーロ圏の景気回復期待がユーロショートの巻き戻しを誘発。
◆株式市場はまちまち。ダウはマイナスで終わったが、ナスダックと
S&P500は反発。
◆債券相場は続伸。長期金利は0.65%台へと低下。
◆金は大幅に反発。原油は続伸し35ドル台に。

◆4月個人所得                →  10.5%
◆4月個人支出                →  -13.6%
◆4月PCEコアデフレータ          →  1.0%
◆5月シカゴ購買部協会景気指数        →  32.3
◆5月ミシガン大学消費者マインド(確定値)  →  72.3


本日の注目イベント

◆中   中国5月財新サービス業PMI
◆米   5月ISM製造業景況指数
◆米   5月マークイット製造業PMI(改定値)


「中国は香港を一国二制度から一国一制度に置き換えた」・・・トランプ大統領
は中国が「香港国家安全法」を導入したことをこのように批判し、29日には中
国に対する制裁の内容を発表しました。
既に報じられていたように、香港に対する関税や渡航の優遇措置を撤廃し、安全
保障上のリスクと見なした中国人の入国を停止するなどの制裁を発表しました。
ただ、この内容は貿易関税引き上げなどには触れておらず、思っていたほど厳し
いものではなかったことから、株式市場ではナスダックなどが上昇して引けてい
ます。

これに対して中国は直ちに反発し、中国共産党の機関紙人民日報は「29日に示
した計画は中国に対する言語道断の介入であり、失敗する運命にある」と報じて
います。また香港政府も、中国政府による国家安全法制定の方針は、同国の「合
法的な権利」の一部だとしてトランプ大統領の措置は「正当化されない」との立
場を表明しました。中国の崔天凱駐米大使は、ブルームバーグとのインタビュー
で、香港の安全に最終的に責任を持つのは中国中央政府だと説明し、国家安全法
は「法律を順守する市民を守る」と主張し、その上で「香港での抗議活動は中国
政府にとって越えてはならない一線を越えた」とし、「香港は混乱状態、中国の
国家安全はリスクにさらされている。このため、中国政府は行動を選んだ」と述
べています。

トランプ大統領はまた、WHOとの関係を終わらせることも表明しています。
かねてからトランプ氏はWHOについて、「中国寄りだ」と批判しており、新型
コロナウイルス感染拡大について正確な情報提供ができなかったと主張していま
した。29日のホワイトハウスでの会見では、「WHOが実行・関与しなければ
ならない改革について、われわれは詳細を示してきたが、WHOは行動を拒んで
いる。きょう、WHOとの関係を打ち切る」と述べました。

ドル円は先週金曜日にはトランプ大統領の中国への制裁を警戒する動きから、1
07円09銭まで売られる場面がありましたが、その後は発表された制裁の内容
がそれほど厳しいものではなかったことで、107円台後半まで値を戻していま
す。ただ気になるのは「香港国家安全法」の制定だけではありません。
米国では、白人警官の暴行による黒人死亡事件をきっかけに抗議活動が広がり、
一部の地域では暴動化しています。
ミネソタ州ミネアポリスで発生した暴行事件に抗議する活動は、NY市などで大
規模なデモとなり、全米25都市では「夜間外出禁止令」が出されています。
新型コロナウイルスの感染拡大がようやく収まりかけ、経済活動の再開が段階的
に行われている状況ですが、今後抗議活動がさらにエスカレートするようだと、
米景気の足を引っ張ることにもなり、ドル安要因になる可能性があります。

それにしてもドル円は動きません。
円以外の主要通貨ではドル安が進み、ユーロドルは1.08前後から、2カ月ぶ
りに1.1台半ばまで買われています。
この間ドル円は107円台でほとんど動いていなかったことから、ユーロだけ上
昇した分、ユーロ円は120円近辺まで「ユーロ高・円安」が進行しています。
また、豪ドル円も71円台半ばを超えてきました。クロス円上昇のほとんどが、
ドル円が107円台で動かないことが「主因」になっていると考えられます。
「円の出遅れ感が、将来の円高へのマグマになっている」と言ったら言い過ぎか
もしれませんが、注意する必要はあろうかと思います。



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