米第2四半期GDP記録的な落ち込み
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米第2四半期GDPが記録的な減速を示し、米長期金利がさらに低下したことを受け、ドル円は104円68銭まで下落。前日のドル安水準をやや下回る。
- ユーロドルは続伸し、約2年2カ月ぶりの水準となる1.1848までユーロ高が進む。ユーロは対円でも昨年5月以来となる124円19銭前後まで買われる。
- 株式市場はまちまち。IT株が好決算を発表したことから、ナスダックは44ポイント上昇したが、ダウは225ドル安。
- 債券相場は続伸し、長期金利は一時0.534%台まで低下。
- 金は10日ぶりに反落。原油は米景気の落ち込みを手掛かりに1ドルを超える下落。
本日の注目イベント
- 豪 第2四半期生産者物価指数
- 日 6月失業率
- 日 6月鉱工業生産
- 中 7月中国製造業PMI
- 中 7月中国サービス業PMI
- 独 6月小売売上高
- 欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
- 米 6月個人所得
- 米 6月個人支出
- 米 6月PCEコアデフレータ
- 米 4-6月雇用コスト指数
- 米 7月シカゴ購買部協会景気指数
- 米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
- 米 企業決算 → キャタピラー、エクソンモービル、メルク
事前に予想された通り、米第2四半期GDPは記録的な落ち込みを見せました。市場予想よりはマイナス幅が少なかったものの、前期比「9.5%」の減少で、年率換算では「-32.9%」と、新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。これは四半期ベースの公表を開始した1947年以降で最も急激な落ち込みと報告されています。GDPの7割を占めるとされている個人消費の落ち込みが、前年比年率で34.6%減少した影響が大きく、またコロナによる相手国の景気の悪化の伴う輸出も64.1%減となったことがGDPを大きく押し下げました。7-9月期に関しては、多くのエコノミストが力強い伸びを見せると予想していますが、前日パウエル議長が述べていたように「コロナの感染状況に左右される」ため、大きな伸びを見せるかどうかは不透明だと言えます。
米経済成長の急激な落ち込みを受け、株式市場ではIT株を除いては大きく売られ、債券相場が上昇。10年債利回りは過去最低となる、0.53%台まで低下しています。金利の低下にドルが全面安の展開となり、ドル円は104円台ミドル、ユーロドルは2年2カ月ぶりとなる1.18台ミドルまで上昇しています。ドル円については、下落したものの、依然として重要なサポートレベルである、104円台半ばから105前後のサポートゾーンは抜け切れていません。ただ、徐々に下値を切り下げてきており、急激な円高にはならないものの、緩やかにドルが売られる流れは変わっていません。
コロナ感染は世界的に拡大しています。米国では、昨日フロリダ州で死者数が253人と、3日連続で過去最多を記録し、カリフォルニア州でも194人と、過去2番目の多さとなっています。またフランスでも、国内の感染率がこの3週間でほぼ倍増し、フランス衛生当局は、「迅速かつ大規模な取り組みが必要」と警告しています。日本でも同じです。昨日の夕方からのニュースは「コロナ一色」といった感じで、東京都では367人の感染が確認され、過去最多を更新し、大阪、愛知、福岡でも100人を大きく超える感染者が出ています。1日も早いワクチンの開発・普及が望まれますが、ブルームバーグによると、英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発を進めている新型コロナワクチ候補が、英国で1万人近くに投与されたようで、このワクチン候補がパンデミック抑制に寄与するかどうかを確かめる上で、「重要な第一歩を踏み出した」と報じています。
11月の米大統領選に向けて厳しい闘いを強いられているトランプ大統領が、選挙そのものを延期しようといった「奇襲作戦」に打って出ました。トランプ氏は30日ツイートで、「人々が適切かつ確実、そして安全に投票できるようになるまで、大統領選を延期すべきではないだろうか」と、問いかけました。その理由としてトランプ氏は「全米で郵便投票を採用すれば、2020年の選挙は歴史上最も不正確で不正にまみれたものになるだろう」とツイートし、「米国にとって大きな恥になるだろう」と述べています。実際には法律の改正が必要なことから、不可能かとは思いますが、すでに両党議員らは反対の声を上げているようです。大統領選まで残り3カ月となり、発表される世論調査は全てバイデン氏リードを伝える中、トランプ氏は「起死回生」を狙っているようです。
本日も景気を判断する材料が幾つか発表されます。コロナの影響を受けネガティブな内容が予想されていますが、さらに下振れしているようだと、株価の下落と共にドル円がもう一段の下落を見せるかもしれません。予想レンジは104円10銭~105円10銭程度といったところでしょうか。

- [2020/07/31 09:48]
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ドル円104円77銭まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は105円を下回る水準で推移していたが、FOMC後にドル売りが強まり、104円77銭まで下落。その後は105円近辺まで値を戻す。
- ユーロドルは1.18台まで買われたが、FOMC後に下落。ただその後再び上昇するなど、底堅い動きが続く。
- 株式市場はFOMC後のパウエル議長のハト派寄りの発言を好感し反発。ダウは160ドル上昇。
- 債券相場は横ばい。長期金利は前日とほぼ変わらず。
- 金は続伸し、引け値では最高値となる1953ドルと、これで9日続伸。原油は小幅に反発。
本日の注目イベント
- 豪 6月住宅建設許可件数
- 独 4-6月期GDP(速報値)
- 独 7月雇用統計
- 独 7月消費者物価指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏7月景況感指数
- 欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
- 欧 ユーロ圏6月失業率
- 欧 ECB経済報告
- 米 4-6月GDP(速報値)
- 米 新規失業保険申請件数
ドル円は朝方、FOMC後のパウエル議長の会見を受け続落し、一時は104円77銭までドル安が進んでいます。FOMCは2日間の会合を行い、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを、現行の0-0.25%で据え置くことを決めました。予想された通りの決定でしたが、その後のパウエル議長の発言内容は極めてハト派寄りで、市場は、「当面金利は上がらない」との観測の下ドル売りで反応し、株価にはプラスだったことで、NY株式市場では主要3指数とも反発しています。また資金流入が続いている商品市場でも金が続伸し、警戒感はあるものの引け値で1953ドル台まで買われ、ビットコイン同様、ドルの「代替品」として強気の相場展開が続いています。
FOMC声明文では、「経済活動と雇用は急激な落ち込み後、ここ数カ月に幾分か上向いたものの、今年初めの水準をなお大きく下回っている」とし、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると、委員会が確信するようになるまで、FF金利をゼロ付近で維持する」と記述されています。パウエル議長はその後の会見で、今の経済低迷は「われわれが経験したことのない厳しさだ」との認識を示し、「経済の今後の道筋は極めて不透明であり、大部分はウイルスを抑制できるかどうかに左右される」と指摘しています。さらに議長は、景気回復には金融・財政政策の両面からの支援が必要だと指摘し、「議会は新たな包括的景気対策について協議を続けており、これは良いことだ」と述べ、「この状況では財政対策が不可欠だ」と付け加えていました。(ブルームバーグ)
議長が指摘したように、今後の景気の行方はコロナをどこまで抑え込むことが出来るかにかかっていますが、米国内の感染は依然として広がっており、昨日はフロリダとカリフォルニアの両州で1日の死者数が過去最多を記録し、全米の死者数も15万人を突破しています。一方でワクチンの開発はかなりのスピード感をもって進んでいますが、足元の感染状況を考えれば、当面現行の「ゼロ金利政策」は続くと考えられ、株式にとっては「追い風」となり、ドルにとっては「向かい風」といった状況が続きそうです。また議長が言及した包括的景気対策は、共和党と民主党との間で規模や内容を巡り「相当かけ離れて」おり、今週で失効する失業保険の上乗せ給付金などが争点となっています。
コロナ感染の第2波は日本国内でも勢いを増しています。昨日は大阪府や愛知県で衝撃的な感染者数が報告され、国内で唯一「感染者ゼロ」を維持してきた岩手県でも初めて2名の感染が確認されました。全国の1日の感染者数も1200人を超え、過去最多になってきました。感染拡大を抑えながら景気を回復させるといった、背反する政策を維持することで、ある程度の感染拡大は
想定されていたとは思いますが、今や、東京以外の地方にも感染の波が押し寄せています。ここで感染拡大を食い止めないと、今後想定外の事態につながる可能性もあり、結果的に景気回復をさらに遅らせることにもなりかねません。非常に難しい判断が求められますが、ここが踏ん張りどころと思います。一方でワクチン開発は「時間との闘い」です。朗報なのは、米国が富士フィルムの米子会社の原薬生産に資金を供給することを決め、EUの行政執行機関である欧州委員会が米ギリアド社の治療薬レムデシビルの供給で6300万ユーロ(約78憶円)を支出する契約を結ぶなど、「ワンチーム」の動きが見られることです。欧州委員会は声明で、「欧州委員会は安全で有効な治療薬へのアクセス確保に向け、あらゆる手段を尽くしていく」とコメントしています。
ドル円は昨日本蘭で述べた、「104円台半ばから105円前後」の非常に重要な水準をテストしましたが、現時点では抜け切れず、今朝は105円台に押し戻されています。このまま反転することはないとしても、今後何度か同水準をテストし、抜けないとなると一旦ドルの下落基調にブレイキがかかる可能性もあります。ただ、ドルの上値の重さは変わらず上述のように、FRBの政策スタンスに変化が出るのには相当時間がかかると予想されます。本日のドル円は104円60銭~105円50銭程度を見込んでいます。

- [2020/07/30 10:08]
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金続伸し、一時2000ドル台に乗せる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はさらに下落し、NYでは105円台を割り込み、104円96銭まで売られる。リスク回避ムードが高まり、避難通貨のスイスフランが買われたことも影響。
- ユーロドルは小幅に反落。このところの急上昇から利益確定の動きも出て、1.1704まで下落。
- 株式市場は反落。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大と企業決算を手掛かりにダウは205ドル下落。
- 債券相場は急反発。長期金利は0.57%台まで低下。
- 金は続伸し一時は2000ドル台に乗せたが、引け値では1944ドル台と、値幅を伴い荒っぽい動きに。
- 原油は小幅に反落。
本日の注目イベント
- 豪 第2四半期消費者物価指数
- 独 6月輸入物価指数
- 英 6月消費者信用残高
- 米 FOMC 政策金利発表
- 米 パウエル議長記者会見
- 米 6月中古住宅販売成約件数
昨日の東京時間では底堅い動きを見せ、105円台半ば超えまで反発したドル円でしたが、「主戦場」であるNY市場では再び下げに転じ、105円台を割り込み、104円96銭までドル安が進んでいます。105円割れは、今年3月13日以来ということになり、昨日の本欄でも述べたように、「104円台半ばから105円前後の、非常に重要なサポート」をテストし、一旦この水準で下落を抑えられた格好になっています。特に昨日はドルスイスでスイス高が進み、一時は0.9154近辺までドルが売られ、実に、2015年6月以来、約5年ぶりの水準を記録した影響で円が買われた部分もあったようです。先々週までは「リスク回避のドル買い」といった動きもありましたが、リスク回避が本格的になると、やはり「主役のスイスと円が登場」といった格好です。
FRBは9月までの予定だった「緊急融資プログラム」を3カ月延長し、今年末まで継続すると発表しました。新型コロナウイルスの感染が止まらず、厳しい状況が続く景気をサポートすることを目的としています。米国内のコロナ感染状況は依然として一進一退が続いており、アリゾナ州では新規感染者の伸びが鈍化しているものの、フロリダ州では死者数と入院者数が過去最高に上っています。またNY州のすぐ隣のニュージャージー州でも感染が拡大している模様です。一方で米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、新型コロナウイルスのワクチンについて、晩秋までに世界が回答を得られることに「慎重ながら楽観的だ」と語っています。(ブルームバーグ)ただ、WHOの報道官は「新型コロナウイルスに季節性はない」とし、夏には感染が収まると見られていた考え方に警鐘を鳴らしています。
昨日の各市場の動きを見ると、明らかにリスク回避モードに入った印象があります。米長期金利は0.6%を割り込み、4月に記録した、過去最低水準である0.54%割れに迫っています。また、上昇傾向を強めている金は昨日、史上最高値となる2000ドル台に乗せる場面もありました。さらにビットコインは1万ドルを大きく超えており、WTI原油価格も高水準で推移しており、リスクが高まった際に買われる傾向のあるものは、概ね上昇しています。上記、円やスイシーが買われているのもその一環と見ることができます。新型コロナウイルスのワクチンは早ければ年内にも量産される可能性があります。現在ワクチン開発に関わっている企業は世界で30社弱あると言われており、その中でも米ファイザーが一歩抜け出ており、続いて英アストラゼネカが続いているようです。従って、今回のコロナによる混乱が収束に向かうのは「時間の問題」と言えますが、問題はその時期がまだ不透明だということです。そのため、多くの投資家が「不安」や「動揺」を払拭できず、リスクオフにつながっているものと思われます。株式市場ではその「不透明さ」と「大量のマネー」がせめぎあいを続けている状況です。
日本でも昨日は東京都に加え、大阪府や愛知県で過去最多の新規感染者が確認されており、1日の感染者数が全国では1000人に迫っています。重症患者を受け入れるベッドの数も徐々にひっ迫する中、政府はあの悪評の「アベノマスク」をさらに配布することを決めたようです。日本におけるコロナ感染第2波は勢いを増しており予断を許しません。残念なことに、さらに追い打ちをかけるかのように、九州地方を中心に大きな被害をもたらした「自然災害」は、今度は山形や秋田など、東北地方にも及んできました。このまま円を買い続けていいのか、一度立ち止まって冷静に考える必要があるのかもしれません。本日のドル円は104円60銭~105円60銭程度を予想します。

- [2020/07/29 10:06]
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金、史上最高値を更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続落し、一時は105円12銭までドル安が進む。米株は反発し、長期金利も上昇したがユーロ高に引っ張られる形で円が買われた。
- ユーロドルは一段と上昇し、1.1781までユーロ高が進む。Ifo経済研究所が発表した7月の期待指数が「97」と、2018年後半以来の高水準だったことが材料に。
- 株式市場は3指数とも反発。与党共和党が発表する経済対策への期待からダウは114ドル高。
- 債券相場は続落。長期金利は0.61%台へと小幅に上昇
- 金は大幅に続伸し、2011年9月に記録した最高値を更新。ドルが売られたことで、一時は1941ドル台まで買われ、2000ドルを目指すとの声が優勢に。原油は小幅に続伸。
本日の注目イベント
米 5月ケース・シラ-住宅価格指数
米 7月消費者信頼感指数
米 7月リッチモンド連銀製造景況業指数
米 企業決算 → ファイザー、スターバックス、3M,VISA、マクドナルド
ドル円は105円を目指す展開となり、NY市場では105円12銭まで売られました。昨日の東京時間でもドルの上値は重く、日経平均株価が朝方の300円を超える下げから徐々に下げ幅を縮小したにも拘わらず、106円前後からじり安が続きました。NY市場でも、株価は上昇し長期金利も上昇する中、ドル安が進行し、株価や金利との相関が崩れています。
足元の為替市場ではユーロの動きが方向性を決めています。先週20日(月)のEU首脳会議で、返済不要の補助金の割合を巡り難航していた「復興基金」が合意に達し、ユーロドルは1年半ぶりに1.15台に乗せました。その前日には1.14前後を付けていたユーロドルは、「復興基金」創設を好感して上昇し、わずか1週間で380ポイント程上昇しました。やや上昇スピードが速すぎる印象はありますが、ユーロを取り巻く実態経済にも「復活」の兆しが見え、ユーロ高を後押ししています。昨日発表された7月のドイツifo企業景況感指数は「97」と、前月の「91.6」から大きく伸び、2018年後半以来となる高水準を記録しています。「不透明感は依然として残るものの、今年後半の景気回復をけん引する」といった楽観的な見方も出て来ました。ただ個人的にはここから1.2台に乗せるのは、そう簡単ではないと見ています。チャートでは昨日の上昇も、最も長い「月足」の「雲の入り口」でしっかりと抑えられました。ここからの雲は厚みも相当あり、上昇が簡単ではないことを示唆しています。また、ドイツでは新型コロナウイルスの感染拡大が再燃し、第2波に直面する可能性も出てきました。バイエルン州の農園でウイルス検査を受けた約500人の労働者のうち、170人余りが陽性であったことが判明しています。ゼーダー州首相は27日、「第2波が忍び寄っている」と警告を発し、市民に衛生と社会的距離の規則を守り続けるよう訴えています。(ブルームバーグ)
米国への対抗措置として中国政府より閉鎖を求められた四川省成都にある米総領事館では27日、米国旗が降ろされ、米中関係の悪化を象徴する歴史的な節目になりました。多くの専門家の話では米中の「新冷戦」は今後もエスカレートし、どこまで行くのかは予想できないと語っています。トランプ政権はこれまでの中国に対する柔軟な姿勢を一転して強硬姿勢に舵を切りました。ファーウェイの排除に続き、中国政府幹部の資金凍結、中国からの留学生の実質的な締め出し、さらには今回の総領事館閉鎖と、中国に対し矢継ぎ早に制裁を強めています。中国側もこれに対し対抗措置を行っており、米中関係は「新たな段階」に入ったとする見方が支配的です。
日本が4連休だったタイミングでドル円は107円を割り込み、昨日は105円割れを伺う展開にまでドル安が進んできました。米国では、FRBが政策金利をゼロに誘導しているため、インフレ率を考慮した「実質金利」ではマイナスが続いています。実質金利のマイナスは、現金を持っていたら目減りすることを意味します。そのため、多くの銘柄で配当利回りが2%を超える株式市場へ資金が向かうのは、当然の成り行きです。しかもうまくいけば「キャピタルゲイン」も狙える可能性があり、昨日のNYで金がついに1900ドル台まで買われたのも、その動きの一環として見ることができます。世界で最も新型コロナウイルスの感染が広がり、昨日の時点で約423万人の感染者数を出している米国の株価が上昇するのも、この辺りが要因の一つと見られます。ただここでも個人的には、米株式市場はバブルにまみれていると思われ、大きく調整するリスクがあるとする考えは捨て切れません。
ドル円は緩やかに円高が進みそうです。今年3月のコロナ感染の急拡大に伴う乱高下を例外とすれば、ドル円は104台半ばから105円前後では何度も下げ止まっており、ドルの底値圏を形成しています。今回、この先もしばらく円高が続くとすれば、この水準を抜けるのかどうかも注目点の一つです。本日のドル円は104円80銭~105円70銭程度予想します。

- [2020/07/28 09:58]
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NY金、一時1900ドル台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 米中関係の緊張の高まりを背景にドル円は節目の106円を割込み、3月16日以来となる105円68銭まで下落。
- ユーロドルは続伸し、一時は1.1658までユーロ高が進む、こちらは2018年9月以来となる水準を記録。
- 株式市場は続落。新型コロナウイルスの感染拡大ペースは鈍化したものの、米中関係のさらなる悪化に利益確定の売りが優勢となる。ダウは182ドル下げ、他の主要指数も揃って下落。
- 債券相場は前日の急騰から反落。長期金利は0.58%台で取引を終える。
- 金は続伸し、一時は1900ドル台に乗せる。2011年に記録した最高値に迫るも、引け値では1890ドル台に。原油は小幅に上昇。
本日の注目イベント
日 5月景気先行指数(CI)(確報値)
日 5月景気一致指数(確報値)
日 日銀金融政策決定会合における主な意見(7月14、15日分)
中 6月工業利益
独 7月ifo景況感指数
欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
米 6月耐久財受注
4連休前の先週水曜日の本欄で、動かないドル円でも投機的な動きに対する注意喚起を述べましたが、ドル円は106円台半ばや、106円前後といった重要なサポート水準を下抜けし、今年3月16日以来となる105円68銭までドル安が進みました。投機的な動きではなかったものの、比較的大きな値動きで、予想通りドル安方向で推移しました。米中間で緊張がさらに高まり「リスク回避の円買い」が進んだというよりも、「ドル独歩安」と言ったほうが適切だったと言えます。ユーロドルが2018年9月以来となる1.16台半ばまで上昇したことも、その証左と言えます。
米中関係が新たな段階に入ったとの指摘があります。トランプ政権はテキサス州ヒューストンにある中国総領事館を閉鎖させることを決め、すでにそのための行動を進めています。トランプ政権は、中国政府がヒューストン総領事館を中心に経済や知的所有権に関連するスパイ活動が行われていたと見ており、しかもそれらは「氷山の一角」だと認識していているようです。これに対して中国側も対抗措置として、中国南部の四川省成都にある米総領事館を閉鎖するよう米国に要求しています。中国外務省は声明で、「中国が講じた措置は、米国の不当な行為に対する正当かつ必要な対応だ」と主張しています。米政府は、北京の大使館以外にも中国国内に5か所の総領事館を配置しており、総勢で700名ほどの外交官が勤務していると見られています。
今回の米国がとった措置は、これまでの対中政策を大きく変更した可能性があります。これまでは「関税」を武器に相手に圧力を加え、相手の出方次第では「対話」といったソフトな政策を繰り返してきましたが、このままでは中国が変わる兆しもなく、「成果」も望めないことなから「強硬策」に転じたものと思われます。また、一部には11月の大統領選を意識した行動だとの見方もあるようです。南シナ海への原子力空母の配備もその一つとして捉えられます。今回のトランプ政権の強硬姿勢の中心にいるのが、ポンペオ国務長官と見られます。ポンペオ氏は23日カリフォルニア州での演説で、「われわれが許さない限り、中国の国内外で暴政を行う運命にはない」と述べ、「今ひざまずけば、われわれの子孫は、中国共産党の言いなりになる。共産党の行動は今の自由世界にとって主な挑戦となっている」と指摘し、「自由世界はこの新たな暴政に勝利しなくてはならない」と訴えています。ポンペオ氏のこの発言はこれまでとは異なり、習近平体制そのものではなく、中国共産党をターゲットにしている点が注目されます。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、米経済は依然として7-9月期に回復する方向だとの認識を示しました。米南部や西部での新型コロナウイルスの感染拡大が景気回復を抑制する可能性があるとしながらも、その影響は限定的で、住宅や小売売上、自動車販売といった他の明るい指標を理由に挙げています。(ブルームバーグ)確かに、先週末に発表された新築住宅販売件数は77.6万件と、コロナ感染拡大前の水準に近づいていますが、これは低金利による影響が極めて大きく、住宅市場の活況が続くかどうかは不透明です。また、個人消費についても、コロナにより上積みされた失業保険給付金(約週1000ドル)の支給が今月で終わり、今後は従来の給付金である600ドルに戻る可能性が高いことから、小売売上にも大きな下押し圧力がかかると考えられます。7-9月期の米景気が急回復するかどうかは、依然として予断を許さない状況と見られます。
ドル円は節目の106円台を割り込んだ「実績」が出来た以上、緩やかな円高が続くと予想しています。これまでにも米中関係の悪化が円高要因になると言ってきましたが、今回の総領事館閉鎖をきかっけに「円高ドル安」が具現化されてきたようです。同時に今後は、米中関係がより市場への材料になりやすくなったと考えられます。本日のドル円は105円40銭~106円40銭程度を予想します。

- [2020/07/27 10:23]
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EU7500億ユーロの復興基金で合意
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は107円台を割り込み106円68銭まで下落。ユーロドルでユーロ高が進んだ影響と、米長期金利が0.6%近辺まで低下したことが材料に。
- EU首脳会議で復興基金を巡る協議が合意に達したことを受け、ユーロドルは続伸。一時は1.1540と、2019年1月以来となるユーロ高を記録。
- 株式市場はまちまち。欧州株の上昇を受け、ダウは159ドル高となったものの、ナスダックは反落。
- 債券相場は続伸。長期金利は0.6%近辺まで低下。
- 金は大幅に続伸し、1840ドル台に。原油も続伸し、41ドル台を回復。
本日の注目イベント
- 米5月FHFA住宅価格指数
- 米6月中古住宅販売件数
- 米企業決算 → マイクロソフト
- 加6月消費者物価指数
昨日の本欄で、ユーロドルとユーロ円には上昇の余地があることを記述しましたが、昨日のNYではユーロドルが1.1540まで上昇し。2019年1月以来となるユーロ高水準を付け、ユーロ円も123円台前半まで続伸しました。昨日の東京時間午後、EU首脳会議で協議が行われていた「復興基金」を巡る補助金額と融資額の割合が、合意に達したことでユーロが大きく買われました。協議が難航する中、ユーロドルは先週末からは高水準で推移していましたが、その意味では合意に対して楽観的だった市場の見方は正しかったことになります。
「復興基金」は、総額7500億ユーロ(約92兆円)のうち、返済が不要な補助金が3900億ユーロとなり、残り3600億ユーロが低金利の融資で賄われることになりました。EUの行政執行機関である「欧州委員会」が、EU全体を代表し借り入れによる資金調達を行い、その資金を2058年までの期間でEUの予算から返済するという計画のようです。「復興基金」の創設で最も恩恵を受けると見られるイタリアでは、補助金約820億ユーロ、低金利による融資約1270億ユーロを受け取るとされています。(ブルームバーグ)
中国に対する圧力を強めている米国は、ポンペオ国務長官を21日英国に送りジョンソン首相と香港問題や新疆ウイグル自治区での人権侵害などについて話し合った模様です。報道では、ポンペオ国務長官がジョンソン英首相と話し合ったのは、対中国への政策を、米英だけの結束ではなく、欧州各国へも同調を呼びかける目的があると見られています。ポンペオ氏はラ-ブ英外相とも会談し、共同記者会見では中国がもたらす「脅威」を理解する「同盟」を構築したい考えを示し、ラーブ外相も、G7レベルでさらなる行動が取られる可能性を示唆していました。米中関係は、上記香港問題や新疆ウイグル自治区問題だけではなく、ファーウェイを巡る5G問題や、最近では南シナ海での緊張も高まっており、特に南シナ海では米国は海軍などを配備し、関与を強めています。
米上院銀行委員会は、空席だったFRB理事に、ホワイトハウスで経済アドバイザーを務めるジュディ・シェルトン氏と、セントルイス連銀でリサーチのディレクターを務めるクリストファー・ウォラー氏を賛成多数で承認しました。ただ、シェルトン氏は13対12の「僅差」での承認となったため、この後の上院本会議では共和党議員の離反次第では承認票数に届かない可能性もあるようです。金融政策に関するシェルトン氏の見解が、経済学の主流とは異なっていると指摘されており、共和党議員の中にも同氏がFRB理事として不適切との意見もあるようです。
ドル円はユーロ高の影響もあり、再び107円を割り込んできました。これまでにも何度か触れたように、106円台半ばがしっかりとしたサポートレベルになっており、その下の106円近辺はさらに重要なサポートです。106円は、5月7日以来2カ月以上も割り込んでいません。その5月7日についても、ドルの下値は105円99銭と、ほぼ「ニアミス」状況でした。従って、この水準を明確に割り込むには、それ相応な材料が必要なことは言うまでもありません。ただ上述のように、米中関係を中心にドル安要因と見られる材料は少なくはありません。加えて、明日から東京市場が4連休となります。かつてゴールデンウイークの際に、投機的な動きにより円が急騰したケースが何度かあります。今回はゴールデンウイークほど休みが多くはないので、そのような動きはないとは思いますが、市場参加者が減るのは事実であり、注意を怠らないようにしないといけません。投機的な動きとなれば上記の、かなり底堅い水準さえも、あまり機能しません。本日の予想レンジは106円30銭~107円20銭程度とします。

- [2020/07/22 09:49]
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ナスダック今月7回目の最高値更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は107円台で緩やかに上昇。目立った動意のない中、107円台前半でもみ合いながら方向感が見えない展開。
- ユーロドルはEU首脳会議での合意が見られないものの堅調に推移し、1.1450まで上昇。
- 株式市場はIT株を中心に上昇。ナスダックは263ポイント上昇し、今月に入って7回目となる最高値更新。
- 債券は続伸。長期金利は0.61%台まで低下。
- 金と原油は上昇。
本日の注目イベント
- 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
- 日 6月消費者物価指数
- 米 企業決算 → コカコーラ、ロッキード
- 加 カナダ5月小売売上高
4日目を迎えたEU首脳会議では、新型コロナウイルスで打撃をこうむった国々を支援する総額7500億ユーロ(約92兆円)の「復興基金」創設を巡り、オランダなどが返済義務のない補助金の額で強い抵抗を見せているため、今朝の時点でも合意に至っていません。そんな中、何とか妥協点を見出そうと、ミシェル・EU大統領が20日、新提案を提示していると伝えられています。新提案は、基金の総額のうち返済が不要な補助金を3900億ユーロとし、当初案の5000億ユーロから大きく減額するとういうものです。
これにより、低金利の融資金額が3600億ユーロ、補助金額が3900億ユーロとなりますが、この新提案が全ての当事者から受け入れられるかどうかは依然不明です。ブルームバーグによると、オランダは復興基金が目的通りに各国経済を向上させるプロジェクトに使われるよう保証する仕組みを求めているようですが、一方でそのような仕組みを導入すれば、資金の提供が遅れると懸念する国もあり、妥協案はこれらの主張のバランスを取ることも目指しているとしています。会議は異例ともいえる4日目に突入し、合意に至らない可能性もある中、市場では楽観的な見方が優勢となっており、ユーロドルはこの日も1.1450まで買われる場面があり、ユーロは対円でも6月8日以来、1カ月半ぶりとなる122円台後半まで上昇しています。
米ナスダック指数は昨日2%を超える上昇を見せ、これで今月だけで7度目となる最高値更新です。ダウやS&P500と比較しても際立った上昇ぶりですが、この勢いをけん引しているのがアマゾンやマイクロソフトといったIT株です。因みに昨年末のナスダック指数は「8,733.07」ポイントで、昨日の引け値が「10,767.09」ポイントです。この間の上昇率は23.3%程になり、昨年末の水準を大きく下回っているダウと比べてもその上昇率は顕著です。3月から続く新型コロナの感染拡大に加え、米中間の緊張の高まりなどがある環境の中、驚くべき上昇率と言えます。もっとも、上昇しているのはナスダックだけではありません。金は言うに及ばす、一時史上初めてマイナスにまで沈んだWTI原油価格も上昇し、FRBによる緩和政策による部分が大きいとは言え、米国債も大幅に買われ、金利は急低下しています。結局根底にあるのは、行き場のない大量の資金が各市場で跋扈(ばっこ)しているということでしょうか。「上がり続ける相場はない」ということを、いま一度頭の片隅にでも入れおくべきでしょう。
本日もEU首脳会議の行方を除いては、これといった材料はありません。ドル円も引きつづき107円台前半から中半ばで推移すると思われますが、予想レンジは106円90銭~107円60銭程度といったところでしょうか。ユーロドルが1.1450を超えて1.15に迫るのかどうかに注目です。

- [2020/07/21 10:16]
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EU首脳会議、復興基金で合意できず
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はこの日発表された経済指標が全て予想を下回り、コロナ感染への影響からドル売りが優勢に。一時は106円94銭まで売られたが、動意は乏しい。
- ユーロドルは小幅に反発。ドル売りの流れから、1.1443までユーロが買われる。
- 株式市場はまちまち。ダウは続落したものの、ナスダックは反発。
- 債券相場は小幅に反落。長期金利は0.62%台へとやや上昇。
- 金は反発し、原油は売られる。
本日の注目イベント
- 日 6月貿易収支
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(6月15、16日分)
- 独 6月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏5月経常収支
注目のEU首脳会議で復興基金創設の議論が続き、会期を延長したものの、合意には至っていません。焦点は、7500億ユーロ(約91兆8000億円)の復興基金案の、返済義務のない補助金と融資の比率です。当初は、補助金5000億ユーロに対して融資2500億ユーロを示しましたが折り合わず、ミシェルEU大統領が補助金4500億ユーロと融資3000億ユーロの案を再提案した
模様ですが、それでも合意に至っていません。財政に余裕のあるオランダ、オーストリア、デンマークと、スウェーデンが反対しており、財政難のスペインやイタリアを支援する側面が強いと反対しています。今朝の情報では、オランダなどが基金の総額を7000億ユーロに減額し、補助金と融資の割合いを半々にする対案を提示しているようですが、これに、ドイツやフランスが、最低でも4000億ユーロを補助金とする必要があると主張しており、今朝の時点でも依然として合意に至っていません。もっとも、ユーロドルは今朝も1.14台前半から半ばで推移しており、約4カ月ぶりのユーロ高圏です。相場水準を見る限り、市場は合意を巡っては楽観的なのかもしれません。
米国では引き続き南部フロリダ州と西部のカリフォルニア州やアリゾナ州でのコロナ感染が広がっています。昨日米国全体では、死者数が943人増え、14万369人と、14万人を突破しています。特にフロリダ州では19日、新規感染者数が1万2478人と、5日連続で1万人を上回っており、(ジョーンズホプキンス大学調べ)同州選出の議員は「州のコロナ感染拡大は全く手に負えない状況になっている」と、ABCテレビの番組で話しているそうです。前米食品医薬品局(FDA)のゴットリーブ長官は、フロリダ、アリゾナ、カリフォルニア州が注目されているが、ジョージア、テネシー、ミズーリ、ケンタッキーの各州も今後、新たな震源地になる可能性があるとの見方を示しています。(ブルームバーグ)
この様な状況の中、米議会共和党が新たな追加経済対策として250億ドル(約2兆6800億円)規模の予算案を検討しているようですが、これに対してトランプ政権は難色を示しているようです。この案は共和党上院トップのマコネル院内総務が今週発表する予定ですが、難色を示したトランプ大統領とホワイトハウスで話し合う予定です。今朝の報道でも、大統領選でのバイデン氏への支持率はトランプ氏を15ポイントリードしていると、ABCニュースとワシントン・ポスト紙の最新世論調査が発表されていますが、バイデン氏に支持率の差を広げられている原因の一つが、コロナ対策への遅れと言われています。トランプ氏としても、ここで挽回しておかないと、バイデン氏との差が「決定的」になる可能性があります。
ドル円は106円台半ば~107円台半ばのレンジが固定化されてきた印象ですが、今週は上述のユーロ圏の復興基金の行方に注目です。復興基金で合意するようだと、ユーロドルが1.15を目指す可能性があります。チャートでも、多くのテクニカルがユーロ高を示唆しており、もしユーロドルが1.15台に乗せるようなら、ドル円も106円台半ばを割り込んでいる可能性があります。それでもドル円が107円近辺で推移しているようなら、ユーロ円が123円を超えていることになります。本日のドル円は106円70銭~107円40銭程度を予想します。

- [2020/07/20 09:38]
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米失業保険申請件数高止まり
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は反発。今週前半と同じような動きを見せ、
106円台後半から107円台を回復し、107円40銭
まで上昇。
◆ユーロドルは小反落。1.1370まで売られる。復興基金
を巡る議論では、大枠は維持されるものの、合意には至らない
との見方が台頭。
◆株式市場は揃って反落。IT株を中心に売られ、ダウは
135ドル安。
◆債券相場は反発。長期金利は0.61%台へ低下。
◆金と原油は共に下げる。
◆6月小売売上高 → 7.5%
◆新規失業保険申請件数 → 130万件
◆7月フィラデルフィア連銀景況指数 → 24.1
◆7月NAHB住宅市場指数 → 72
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏6月消費者物価指数
◆欧 臨時EU首脳会議(18日まで)
◆英 BOE総裁、オンラインセミナーで講演
◆米 6月住宅着工件数
◆米 6月建設許可件数
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 企業決算 → ブラックロック
やはりドル円は先週末から今週月曜日と同じ動きを見せ、NY市場では107円台
を回復しています。株が売られ、債券が買われたことで長期金利が低下し、ややリ
スクオンの流れが後退したことで、ドルが買われた・・・・。そんなイメージです。
今後、例えば米国株の急落をきっかけに、日本株など、世界同時株安が発生した際、
昨日のように素直にドルを買っていいものか、確信が持てません。
リスクオフが急速に高まれば、やはり円が買われ円高が進行するといったイメージ
は、完全には払拭できません。
この辺りが、レンジ相場と割り切れば「比較的見通しがつきやすい相場展開」が続
いているにも拘わらず、難しいところと言えます。
ブルームバーグは、「トランプ政権の中国批判ステージに、今度はバー司法長官が
登壇した」と伝えています。バー長官は、「中国はディズニーやアップルなどの米
大手企業を自らの手先として操り、米国を犠牲にして影響力を強め、富を増やして
いる」と非難し、「米企業は何を危険にさらしているのか、理解しなければならな
い」と述べています。バー長官はこのほか、中国は米国の企業や大学から新型コロ
ナワクチンの研究を盗もうとしているとの認識も示しています。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本でも第2波の勢いが広がり、昨日東京都で
は新たに286人の感染が確認され、過去最多を更新しています。特徴的なことは、
若年層だけではなく、高齢者も含め広い範囲に感染が広がり、いわゆる「夜の街」
関連だけではなくなったことが挙げられています。来週から始まる「GOTOキャ
ンペーン」は、東京都発着を対象からはずして実施するようですが、重症者や死者
の数が少ないとはいえ、これほど感染が拡大してきている中、どれほどの国民が旅
行に出かけたいと思うのか、疑問です。
新型コロナウイルスの感染は米国では依然として予断を許さず、テキサス州では1
日で過去最多となる1万1126人の新規感染者が報告され、カリフォルニア州で
も過去2番目の多さを記録し、ロスアンゼルス郡の入院者は過去最多を更新してい
ます。また、オーストラリアのビクトリア州でも16日、新型コロナの感染者が過
去最多を更新し、1週間前に部分的な制限措置を導入しています。
(ジョーンズホプキンス大学調べ)
このような状況の中、昨日米国で発表された経済データは概ね市場予想を上回って
いましたが、失業保険申請件数は130万件と、先週よりも1万件減少していまし
たが、市場予想よりも悪化しており、依然高水準で推移しています。
経済活動は再開されたものの、労働市場の回復が思ったほど進んでいないことを示
す証左とも見られます。これらのデータを踏まえ、FRBメンバーの幾人かは景気
の先行きに揃って慎重な見方を示しています。シカゴ連銀のエバンス総裁は、「下
振れリスクが心配だ。これを考慮して政策を調整する必要があるだろう」と述べ、
NY連銀のウイリアムズ総裁は、「非常に困難な状況を踏まえれば、出口戦略に集
中して考える時期ではない」と語っています。
また、アトランタ連銀のボスティック総裁も、「新型コロナ感染の拡大で、消費者
はより消極的になっている」と述べ、マイナス金利の可能性については、「答えは
ノー」だと断言しました。(ブルームバーグ)
ECBは16日理事会を開き、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規
模を1兆3500億ユーロ(約160兆円)に据え置き、中銀預金金利をマイナス
0.5%に維持することを決めました。理事会後の記者会見でラガルド総裁は、
「実際及び予想される雇用や所得の喪失と、パンデミックの展開と景気見通しを巡
る異例に高い不確実性が、引き続き個人消費と企業投資の重しとなっている」と指
摘し、「十分な金融緩和が依然として必要だ」と述べていました。
また、主要中銀トップの常套句になりつつありますが、「責務の範囲内で必要なあ
らゆる措置を取ることに、引き続き完全にコミットしている」と、必要なことは何
でもやるといった姿勢を見せていました。
新型コロナの感染阻止と景気の底割れ阻止といった、相反する政策の戦いはこれか
らも続きます。梅雨明けも間もなくでしょうが、今年は梅雨明け後の「夏休み」を
心待ちにしている人は少ないかもしれません。
今年の夏は例年とは大きく異なりそうです。
本日のドル円は106円80銭~107円60銭程度を予想します。
- [2020/07/17 09:24]
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ユーロドル続伸し、4カ月ぶりの水準に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は再び107円を割り込み106円67銭まで下落。
コロナウイルスのワクチンを巡る好材料にリスクオンの流れが
強まり、ドルが売られた。ユーロドルでのユーロ高の流れも
円買いにつながる。
◆ユーロドルは続伸し、約4カ月ぶりに1.1452まで上昇。
◆株式市場は続伸。モデルナ社のコロナワクチンが有効との結果や、
NY連銀製造業景況指数など、経済指標の上振れが株価を押し上げ、
ダウは227ドル高。
◆債券相場は小幅に続落。長期金利は0.63%台に。
◆金と原油は揃って上昇。
◆6月輸入物価指数 → 1.4%
◆7月NY連銀製造業景況指 → 17.2
◆6月鉱工業生産 → 5.4%
◆6月設備稼働率 → 68.6%
本日の注目イベント
◆豪 豪6月雇用統計
◆中 4-6月GDP
◆中 中国6月小売売上高
◆中 中国6月工業生産
◆欧 ユーロ圏5月貿易収支
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆英 英失業率(3月ー5月)
◆米 6月小売売上高
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 7月NAHB住宅市場指数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインセミナーに参加
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインセミナーに参加
◆米 企業決算 → ジョンソン&ジョンソン、ネットフリックス、バンクオブアメリカ、モルガンスタンレー
ドル円はNY市場で再び107円を割り込み、106円67銭までドル安が進み、
昨日の筆者の予想よりも円高が進んだ状況でした。ただその後は再び106
円台半ばが意識され、106円台後半まで戻っている動きは、先週金曜日か
ら今週月曜日にかけての動きに似ています。NY株式市場で株高が進み、先
行していたナスダック指数に追随するかのように、ダウ指数が続伸し、ザラ場
では2万7000ドルを回復する場面もあり、ダウは今週だけで1000ドル程上
昇したことになります。
リスク選好が強まり、「リスク回避のドル買い」の「裏返し」としてドルが売られ
たようですが、何か、しっくりきません。
昨日はユーロドルが続伸し、3月10日以来となる1.1452までユーロ高が進
む場面もあり、この影響から円が買われた側面もあります。
リスク選好が進んだ背景は、コロナウイルスに対するワクチン開発で、米モデル
ナ社のワクチンが治験で有望な効果を出したことが注目されました。また英大
手製薬会社アストラゼネカはオックスフォード大学との研究開発で、コロナワクチ
ンの臨床試験で前向きな暫定結果が出たとの報告を行っており、ワクチン開発
への期待が高まっています。米経済データも、NY連銀製造業景況指数など、多
くの指標が3月の最悪期からは大きく改善傾向を示しており、これもリスク選好
につながっています。ただ一方で、ベージュブックでは、「経済活動はほぼ全ての
地区で上向いたが、新型コロナ感染症がパンデミックとなる前の水準はなお大き
く下回った」と記されており、新型コロナウイルスの感染を巡る今後の状況がはっ
きりしないことから、景気の先行きは不透明だと報告されています。
ワクチン開発は着実に進んではいるものの、コロナ感染症は依然として拡大途中
であることから、「時間との勝負」といったと側面もあります。
この他にも、相変わらずトランプ大統領を巡る報道も多く飛び交っています。
キニピアック大学が15日に公表した世論調査では、バイデン氏の支持率が52%
となり、37%のトランプ氏に15ポイントの差を付けたようです。この差は、昨年10
月以降の独立系の全国世論調査では最大となっています。さらに、トランプ氏がバ
イデン氏に対して保っていた残り一つの優位性である経済運営面でも、バイデン氏
がトランプ氏より優っているとの回答が50%になっており、トランプ氏の方が優れて
いるとの回答は45%だったと、調査は示しています。(ブルームバーグ)
またトランプ氏は、中国との緊張をこれ以上エスカレートさせたくないと側近らに示唆
し、中国高官に対する当面の追加制裁の見送りを決めたとの報道もあります。
新型コロナウイルス感染拡大を巡っては認識が異なり、米国立アレルギー感染症研
究所のファウチ所長を批判したトランプ大統領は「それはナバロ氏であって、私はファ
ウチ氏とは非常に良好な関係にある」と語っているようです。
今朝の日経新聞は、先月暴露本を出したボルトン前大統領補佐との単独インタビュ
ーの内容を載せています。ボルトン氏はインタビューで、「トランプ氏は対中関係のほ
ぼ全てを経済や貿易を通じてみていた。貿易政策も全く一貫性がなかった」と指摘し、
香港や南シナ海問題では「経済以外の課題を考慮するのが困難だった。議論するこ
とすらできなかった」と述べています。さらに、トランプ氏が米大統領選前に仕掛ける
サプライズとして、「金正恩氏との4回目の会談」を挙げていました。このように米大統
領選ではトランプ氏自身による「敵失」の部分はあるとしても、「再選」の可能性は徐々
に低下しています。
11月3日の大統領選まで残り3カ月強となりました。「窮鼠猫を嚙む」という言葉もあり
ます。勝利に向け、トランプ氏がどのような仕掛けを打ってくるのか、こちらにも注目した
いと思います。本日のドル円は106円50銭~107円30銭程度を予想しますが、再び
107円台前半までドルが戻るようだと、上述のように、先週金曜日からの動きと同じパ
ターンにな
ります。
- [2020/07/16 09:37]
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ユーロドル1カ月ぶりに1.14台に
ひと目で分かる昨晩の動き NY市場
◆ドル円は終始107円台で推移。株価の反発からやや上値を
切り上げたが勢いもなく、107円41銭止まり。結局、前日と
同水準で一進一退。
◆ユーロドルは今週末のEU首脳会議で、復興基金を巡る議論が
進むとの期待から買われた。約1カ月ぶりとなる1.1409まで
ユ-ロ高が進む。
◆株式市場は大幅に反発。特にキャタピラーや石油関連株が
上昇し、ダウは556ドル高。
◆債券相場は横ばい。長期金利は062%台で推移。
◆金は横ばい。原油は小幅に上昇。
◆6月消費者物価指数 → 0.6%
【本日の注目イベント】
◆豪 豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆英 英6月消費者物価指数
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 6月輸入物価指数
◆米 7月NY連銀製造業景況指
◆米 6月鉱工業生産
◆米 6月設備稼働率
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米 企業決算 → ゴールドマン、アルコア
◆加 カナダ中銀政策金利発表
中国が南シナ海での領有権を主張することに対して、関与を強めていくことに
方向転換したトランプ政権は14日、トランプ大統領が香港への優遇措置を撤
廃する大統領令に署名したと発表しました。また、香港民主派弾圧の責任を負
う中国当局者に制裁を科す法案に署名したことも明らかにし、トランプ大統領
はホワイトハウスで、「この政権ほど中国に厳しい姿勢で臨んでいる政権はな
い」と、述べています。これにより、「米中関係は一段と厳しいものになる」
と、ブルームバーグは報じています。
米国だけではなく、英国も中国包囲網に加わってきました。英国は5G移動通
信網から中国のファーウェイを排除することを決め、米国と足並みを揃えるこ
とになりました。ジョンソン英首相が合意した政府計画によると、英通信事業
者は来年から5G向けにファーウェイ製品を購入できなくなり、すでに導入済
みのファーウェイ製品についても2027年までに5Gのインフラから撤退し
なければならないといった厳しいものです。中国はこの決定に即座に反応し、
劉暁明駐英大使は、「残念でかつ誤りだ」と述べ、「英国が外国企業に開放的
かつ公平で差別のない事業環境を提供できるか疑問になった」とコメントして
います。オブライエン米大統領補佐官は英国の発表を歓迎し、「中国共産党に
忠誠を誓っているファーウェイなどの信頼できないベンダーが、国家安全保障
上の脅威になるという国際的なコンセンサスを反映している」と述べています。
(ブルームバーグ)
今後は他国も追随する可能性もありそうです。
ブレイナードFRB理事は14日全米企業エコノミスト協会(NABE)が主
催したオンラインイベントで「不確実性の濃い霧に依然として取り囲まれてお
り、下振れリスクが支配的だ」との認識を示した上で、「FRBがより長期的
な緩和策を提示する方向に、フォワードガイダンスと資産購入を転換させるべ
きだ」と語っています。
最新のFOMCでは、2022年まで現行のゼロ金利政策が維持される可能性
が高いと見られていますが、今月28、29日に行われるFOMCで、イー
ルドカーブ・コントロール(YCC)がどこまで議論されるのか、あるいは、
多くのFOMCメンバーが述べているように、「議論すること自体、時期尚早」
とテーブルに載ることはないのか、といった点が注目されます。
ユーロドルが6月11日以来となる1.1409まで上伸してきました。
今週17~18日にEU首脳会議が開催され、7500億ユーロ(約91兆5
000億円)の復興基金を巡る議論が進展するとの期待がユーロ買いにつなが
っていますが、合意できるかどうかは依然として不透明です。ミシエルEU大
統領は「難しい交渉だが、各国に歩み寄るよう促す」と述べていましたが、オ
ランダ、オーストリアなどが反対しており、予断を許さない状況です。
ユーロドルは3月に1.0636近辺まで売られた後、ジワジワと反転してい
ます。ドイツを中心に景気が底を打ったと見られる経済データも散見され、底
値からは約800ポイントも上昇しています。チャートでは、「月足」といっ
た長期的な動きを示唆するテクニカルでも、「MACD」などで上昇傾向を示
しています。3月の初旬にユーロが急騰した際にも抜けなかった1.15近辺
が、目先の上値のメドでもあり、非常に重要なレベルと考えられます。
首脳会議の結果に注目したいと思います。
本日のドル円は107円~107円60銭程度を予想します。
- [2020/07/15 09:20]
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米財政赤字、6月は過去最大
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は107円台を回復し、NYでは107円32銭まで上昇。
日本株の大幅高やNY株の朝方の大幅高に沿った格好でドル高が進む。
◆ユーロドルも上昇。一時は1.1374まで買われ、1カ月ぶりの
ユーロ高に。ユーロは対円でも122円に迫る。
◆株式市場はまちまち。朝方はコロナワクチンに関する情報から
大幅高で推移したものの、午後にはカリフォルニア州の店内飲食禁止などの
規制が発表され失速。ナスダックは226ポイントの下落。
◆債券は反発。長期金利は0.61%台に低下。
◆金は反発し、原油は反落。
◆6月財政収支 → -8641億ドル
本日の注目イベント
◆豪 豪6月NAB企業景況感指数
◆日 5月鉱工業生産
◆中 中国 6月貿易収支
◆独 独6月消費者物価指数(改定値)
◆独 独7月ZEW景気期待指数
◆欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
◆欧 OPECプラス会合(15日まで)
◆欧 OPEC月報
◆英 英5月鉱工業生産
◆英 英月5貿易収支
◆米 6月消費者物価指数
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米 ブレイナード・FRB理事、オンラインセミナーで講演
◆米 企業決算 → シティグループ、JPモルガン、ウェルズファ-ゴ
ドル円は1日で107円台を回復してきました。
先週末は特段目立った理由がない中、106円64銭まで売られたドル円でし
たが、反対に昨日はドルが買われる理由がない中、107円32銭まで反発し
ています。米長期金利は低下し、株式市場でもナスダックが久しぶりに大きく
売られ、コロナ感染も高止まりで推移しています。
また、昨日発表された月次の財政収支では、6月は8641億ドル(約92兆
7000億円)の赤字で、過去最大を記録していました。
経営が悪化した中小企業への資金支援として、コロナウイルス対策に6月には
4800億ドルの財政支出を決めるなど、経済対策費が巨額に上ったことが主
因で、ある程度予想されていたことですが、これもドル安要因と見られます。
今年度は4兆ドルに上ると見られている財政赤字は、今後のコロナの感染拡大
次第では、さらに増える可能性もあります。
財政赤字4兆ドルは前年度の4倍にあたり、GDP比で25%前後となり、水
準は財政赤字のピークだった第2次世界大戦中に並ぶとの指摘もあります。
トランプ政権は南シナ海における中国の権利主張を公式に非難し、これまで同
海域の領有権問題には関与しない方針を大きく変更しました。
これにより、さらに米中関係に新たな緊張が高まる可能性が出てきたと言えま
す。ポンペオ国務長官は13日、「米国はここで明確にしておく。南シナ海の
ほとんどの資源に対して中国政府が主張する権利は、完全に不法なものであり、
その掌握を目的とした嫌がらせの活動も同じく完全に不法だ」との声明を発表
しました。
ブルームバーグは、海洋覇権争いの激化は、貿易や技術、サイバーセキュリテ
ィなどの問題や新型コロナウイルスがパンデミックとなった責任は中国にある
とトランプ大統領が主張していることを巡る米中対立を、さらに悪化させる可
能性があると指摘しています。中国はこれに対して今のところ反応を示してい
ませんが、先週米国が新疆ウイグル自治区を巡り中国当局者を制裁対象とした
ことへの報復として13日、米国のルビオ上院議員やクルーズ上院議員を含む
4人の当局者に制裁を科すという報復措置を発表しています。
ダラス連銀のカプラン総裁は13日、経済関連の討論会にビデオ経由で参加し、
7-9月の米GDP回復について「残念ながら、この感染症が再燃したことで
景気回復は鈍りつつあり、経済成長は弱まっている」と述べ、「われわれが全
員マスクを着用すれば、この病気の伝染を大幅に減らし、それが成長加速につ
ながる可能性が高いだろう」と語っています。地区連銀総裁が、経済成長の加
速にマスク着用が不可欠であるといった言葉を使うのは、筆者が知っている限
り初めてのことで、「経済第一主義」を主張するトランプ大統領に伝わればい
いと思わずにはいられません。
107円台に戻ったドル円ですが、ここからさらに上昇する可能性は低いと思
われます。引き続き一進一退の動きになると予想していますが、短期的な動き
を示す「1時間足」では上昇傾向を示していますが、107円50銭を超える
ことが出来るかどうかに注目しています。
本日は106円80銭~107円60銭程度を予想します。
- [2020/07/14 09:32]
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ドル円106円台半ばまで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は107円を割り込み、106円64銭まで下落。
株価と米長期金利が上昇し、特段ドルを売る理由もない中、
107円を割り込んだことでドル売りに拍車がかかった。
◆ユーロドルは引き続き1.13を挟む展開から抜け切れず、
前日と同じ展開で推移。
◆株式市場は大きく反発。ナスダックは3日続伸で最高値を更新。
コロナワクチンに対する情報が株価を押し上げ、ダウは369
ドル高。
◆債券は反落。長期金利は0.64%台へと上昇。
◆金は続落し、原油は反発。
◆6月生産者物価指数 → -0.2%
本日の注目イベント
◆米 6月財政収支
◆英 BOE総裁とNY連銀総裁、オンラインセミナーで講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンラインセミナーで講演
ドル円は先週末、今月に入って初めて107円を割り込み、NYでは106円6
4銭までドル安が進みました。
この欄でも何度か述べたように、明確な方向性が見えないドル円ですが、敢えて
予想すれば円高方向のリスクの方が若干高いと見ていました。
NYで106円64銭までドル売りが進んだことは、やや想定を超えたものでし
たが、やはり、106円台半ばが今回もサポートになったと言っていいかもしれ
ません。
米国の新型コロナウイルス感染者は昨日一日で、5万6000人増加しましたが、
増加率は1.7%と、7日平均の1.9%を下回っています。
それでもフロリダ州では新規感染者が1万5300人と、1州での過去最多を更
新しています。昨日米国の新型コロナウイルスに関する報道を見ると、トランプ
大統領が黒いマスクを付け、随行する人たちも全員マスクをしている、これまで
目にしたことのない光景が映し出されていました。
感染が拡大する中でも、政治集会やホワイトハウスでの記者会見でも一切マスク
をしなかったトランプ氏をNY州知事のクオモ氏は「Just wear a Mask」(ただ
マスクをしてくれ)と会見で述べていましたが、トランプ氏もどうやら大統領選
を意識しながら、しぶしぶマスクを着用したようです。日本でも昨日は東京都で
新たな感染者が206人となり、初の4日連続200人超えとなっています。
感染第2波は確実に押し寄せており、北海道大学の西浦教授は、現在のコロナの
感染状況を、「野球に例えれば、2回表でコロナ側が攻撃の段階」と絶妙な言い
回しで、長期戦になると警告していました。10日からイベントや集会などの規
制を緩和した政府の西村経済再生担当大臣も、「非常に警戒すべき状況だ」とN
HKの番組で述べています。
政府は重症者の割合が少ないことや、感染者が若年層に集中していることを理由
に、4月の状況とは違うとしていますが、果たしてそうでしょうか。
コロナが若年層から高齢者にうつらないという保証はありません。
京都大学の山中教授も「対策をしなければ、今からでも10万人死亡する可能性
もある」との言葉を残しています。
引き続き米中関係は悪化の一途をたどっていますが、クドロー国家経済会議(N
EC)委員長はFOXビジネス・ネットワークの番組で、投資家に対して「中国
への投資は賢明ではない」と語り、「中国企業には現在、あまりにも多くの経済
リスクがみられる。さらにその多くは国家安全保障を脅かしている」と警告して
います。(ブルームバーグ)今後新型コロナウイルスの感染がある程度抑えられ
たとしても、米中関係の悪化は続きそうです。
今週は日欧で金融政策の発表があります。いずれも政策変更はないと予想され、
フォワードガイダンスの強化等の変化があるかどうかが注目されています。
また、今週から米企業の4-6月期決算発表があります。
JPモルガンを皮切りに金融機関が決算発表を行いますが、見方は分かれている
ようです。景気回復を基に、予想を上回る決算を予測する専門家がいる一方、コ
ロナの影響を引きずり、厳しい内容を予想する向きもいます。
決算内容は株価の動きに大きな影響を及ぼし、その動きからドル円も影響を受け
る可能性があります。ようやく動きが出てきた感のあるドル円ですが、今週はこ
れまでと比べ値幅も出るのではないでしょうか。
本日の予想レンジは106円60銭~107円30銭程度と予想します。
- [2020/07/13 09:25]
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米長期金利低下で小幅にドル安
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
本日の注目イベント
- 欧 IEA月報
- 米 6月生産者物価指数
- 加 6月就業者数
- 加 6月失業率
米長期金利が0.61%台にまで低下し、ドル円も昨日は素直に反応して107円10銭まで売られました。それほど大きな動きではなかったものの、ジリジリと円が買われる気配も漂い、本日107円を割り込めば今月としては初めてで、2週間ぶりのこととなります。米国ではフロリダ州やアリゾナ州でコロナ感染が広がっており、フロリダ州では1日の新規感染者数と死者数が、いずれも過去最多になっています。日本でも、昨日は東京都で224人の感染が確認され、過去最多になっています。ただ、昨日の夜の都知事の会見では、これまでとは異なり、「一つの警告」とは受けとめるものの、感染者の多くは20-30代だと述べていました。また西村経済再生担当大臣も、状況は4月の緊急事態宣言発出時とは異なるとの認識を示しています。
前日、中国に対する制裁を矢継ぎ早に発表したトランプ政権は、制裁内容を実行に移し、中国共産党の幹部ら4人に対し、新疆ウイグル自治区の人権侵害に関与したとして制裁を科しました。米財務省の発表によると、制裁対象となるのは共産党のトップ25人から成る中央政治局の委員で新疆ウイグル自治区共産党委員会書記の陳全国氏の他、元幹部ら3人とのことです。ムニューシン財務長官は、「米国は新疆ウイグル自治区や世界における人権侵害の責任を取らせるため、財務上の権限を最大限活用する構えだ」との声明を発表しています(ブルームバーグ)米国が実際に制裁を科す行動をとったことで、米中関係の悪化にさらに拍車がかかると見られます。
11月の大統領選でトランプ氏と闘うバイデン氏が経済政策を発表しました。米国製品購入などに7000億ドル(約75兆円)を使うことを柱に、少なくとも500万人の雇用を創出する計画で、「AI」や「5G」などにも積極的に投資することを謳っています。政策の細部にわたる情報はまだ入ってきていませんが、支持率でトランプ氏を大きく上回っているだけに、その内容は注目されます。巷間言われているのは、トランプ氏ほどウオール街寄りではなく、減税なども縮小されると見られ、株式市場にとってはネガティブだとの意見が一般的です。
107円10銭まで売られたドル円ですが、今日の注目は107円割れがあるのかどうかといった点です。日本株も軟調な展開が予想され、株安とドル安がリンクするのかどうかといったところです。予想レンジは106円90銭~107円60銭程度と見ています。
================================================
今回の豪雨で、九州では熊本県を中心に死者が60人を超えています。台風による豪雨で被害が出ることはよくありましたが、今回のように梅雨の時期の豪雨による甚大な被害は、あまり記憶にありません。去年は首都圏で多摩川が決壊。2017年には鬼怒川が氾濫し、茨城県常総市では5000件を超える家屋が全半壊の被害を受けたことは記憶に新しいところです。日本には河川が多く、川の近くに家屋を建設することは多いと思いますが、今後は河川の近くに家屋を建設することは禁止すべきと言ってもいいほど、ひとたび河川が氾濫すれば、今回のように桁違いの被害になります。2021年1月からは火災保険料が6~8%引き上げになるそうですが、これも自然災害が多発していることが理由です。それにしても、日本は自然災害が多い国です。今回の大災害は、「令和2年7月豪雨」と命名されました。
良い週末を・・・・・。

- [2020/07/10 10:17]
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米コロナ感染者300万人を超える
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は株高とコロナ感染を巡る情報に挟まれる展開となり、107円半ばを中心に一進一退。ややドル売りが優勢となり、107円20銭まで下落。
- ユーロドルも1.13を挟みもみ合い。前日より水準を切り上げたものの、1.13台半ばが抜けず。
- 株式市場は3指数とも揃って反発。ナスダックは148ポイント上昇し、最高値を更新。
- 債券は反落。長期金利は0.66%台へと上昇。
- 金は続伸し1820ドル台と、約9年ぶりとなる高値に。原油は反発。
本日の注目イベント
- 日 日銀、さくらリポート
- 中 6月消費者物価指数
- 中 6月生産者物価指数
- 独 5月貿易収支
- 独 5経常収支
- 欧 ユーロ圏財務相会合
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウェブ会議に参加
- 加 6月住宅着工件数
- 加 6月建設許可件数
トランプ政権は中国に対する幾つかの制裁内容を近いうちに発表すると警告していたましが、徐々にその内容が明らかになっています。中国チベット自治区への米国人の入境を妨害した中国当局者へのビザの制限や、TikTokなど中国製アプリの米国内での使用禁止の検討、さらには外国人留学ビザ発給の停止といった措置を矢継ぎ早に発表しました。チベットを巡る問題では、中国も対抗措置として、一部米国人に対するビザを制限することを発表しています。またこれと同時にポンペオ国務長官は記者会見で、「世界は中国共産党の本当の姿を目撃した。世界中の自由な人々が現実に示されているこの脅威を理解するようになると、これまで以上に強く確信する」と述べ、さらに「習近平国家主席が世界に与えた影響は、自由な人々、民主主義を愛する人々に良いものではない。世界は団結してこれに対処するだろう」と、習主席を批判しています。今回の米国の対応は異例とも言われるスピードで行われましたが、背景には、11月の大統領選で支持率でバイデン氏に後れを取っていることも影響していると言われています。
ドル円はNYでは株高、金利高に107円60銭まで上昇する場面もありましたが、上値が重いというか、勢いがないと言うべきか、再び107円台前半まで押し戻されています。昨日はユーロドルでドル安が進んだことも影響したようですが、ユーロドルでは若干値動きが戻ってきており、ドル円にも期待したいところです。
米国の新型コロナウイルス感染者数が300万人を超えました。この数字は世界の4分の1を占め、特にアリゾナ州とカリフォルニア州での感染者が増えているようです。トランプ大統領は学校再開に向け圧力を強め、再開しない学区には連邦補助金を見合わせる考えを示しています。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)はこの規制と、上記外国人留学生に対する規制に
反対し政府を相手に訴訟を起こしています。ハーバード大学のバカウ総長は、「学生や教員らの健康や安全に対する懸念を顧みることなく、今秋に教室で対面講義を開くよう大学側に意図的に圧力をかけていると思われる」と声明で批判しました。(ブルームバーグ)最新のデータによると、2018-19年度米国の大学に在籍した外国人留学生は約110万人で、その3分の1が中国人で、インド、韓国がそれに続くそうです。結局この規制が実施されれば、中国が最も影響を受けるようです。
コロナウイルスの感染状況と好調な株価の動きに挟まれながらも、ドル円は方向感が出ません。特に7月に入ってからは無風状態が続き、これまでの値幅はわずか72銭程度に収まっています。上述のように、ユーロドルに動きが戻ってきた印象もあり、ドル円にも期待したいと思いますが、今は材料待ちといったところです。いつ動くかは分かりませんが、引き続き油断することなく臨みましょう。本日のドル円は107円~107円70銭程度を予想します。

- [2020/07/09 09:49]
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米、WHO脱退を正式に通告
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は依然として小動き。NYではややドル買いが優勢だったものの、107円71銭止まり。値幅も20銭強と、107円台を上にも下にも抜け切れない展開が続く。
- ユーロドルはドイツの経済指標を受け、やや水準を切り下げる。
- 株式市場は3指数とも揃って反落。コロナに対する警戒感が利益確定の売りにつながり、ダウは396ドル安。
- 債券相場は上昇。長期金利は0.64%台へと低下。
- 金は続伸し再び1800ドル台に。原油は横ばい。
本日の注目イベント
- 日 5月貿易収支
- 日 5月国際収支
- 日 6月景気ウオッチャー調査
- 米 5月消費者信用残高
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論に参加
新型コロナウイルスの感染者数が162万人を超え、死者の数も6万5000人に及び、世界で米国に次ぎ2番目の被害規模に上るブラジルのボルソナロ大統領が、新型コロナの検査で陽性だったことが判明しています。同大統領はこれまで、新型コロナを「ただのインフルエンザ」と呼び、経済再開を第一に進めてきた経緯があります。自身、マスクを着用せず、握手をかわすなど、新型コロナへの対応に一貫性を欠いたことで、ブラジルで感染が急拡大したとも言われています。もっとも、ボルソナロ氏はCNNブラジルとのライブインタビューで「私は完全に健康だ」と述べており、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」を服用しているとも述べていますが、同薬はボルソナロ氏が新型コロナ治療には有効だと推奨してきましたが、世界の大半の専門家は使用の正当性を認めず、危険な副作用が生じる恐れがあると警告しているようです。(ブルームバーグ)
ドル円は107円台半ばを中心にもみ合いが続いていますが、昨日はNY株が下げ、長期金利もさらに低下しているにも拘わらず、ほぼ昨日の東京時間と同じレベルで推移しています。株式市場や商品市場では連日そこそこの動きが確認されていますが、為替市場は「蚊帳の外」といった状況が続いています。今週は特に重要な経済指標もなく、新型コロナの感染拡大に対してもやや反応が鈍くなっている、というか感染拡大に慣れてきた印象もあります。
オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日の政策委員会で、政策金利(オフィシャル・キャッシュレート)を0.25%に据え置くことを決めました。RBAのロウ総裁は政策決定後の会見で、「不況は以前の予想よりも深刻ではなく、最近の状況は安定している」と述べています。一方でオーストラリアでは2番目に人口の多いビクトリア州では昨日、メルボルン大都市圏を6週間ロックダウンすることを発表しており、景気は最悪期を超えたとするRBAの認識はあるものの、先行きに不透明感は残ります。豪ドル円はロックダウンの発表を受けて74円台後半から半ばまで売られる場面もありましたが、その後は回復し、安定した動きを見せています。豪ドル円は6月には76円台後半まで上昇しましたが、「週足」の120週線移動平均線に抑えられ、その後は72-75銭でもみ合っています。下値は確実に切り上がっています。先ずは目先のレジスタンスである75円台半ばを抜き、上記120週移動平均線のある76円50-70銭をしっかりと抜ければ、もう一段の上昇も見込める可能性がありますが、それには、ドル円が109円を超える必要もありそうです。まだしばらくは、73-76円のレンジ相場が続くと予想します。
「WHOは中国寄りだ」、「新型コロナウイルスに関する正確な情報を提供しなかった」と、WHOの行動を批判していたトランプ大統領でしたが、米政府はWHOを来年7月6日に脱退することを国連に正式に通告しました。上院外交委員会の民主党筆頭理事は、「脱退しても米国民の命も利益も守られない。米国の流行は続き、米国は孤立する」とトランプ政権の決定を批判し、11月の米大統領選でバイデン氏が当選した場合、トランプ政権のWHO脱退決定を撤回するのはほぼ確実だとしています。オバマ前大統領の実績をほとんどひっくり返してきたトランプ大統領でしたが、もしバイデン氏が勝利すれば、再びひっくり返されることになります。
2大政党制の米国では、民主、共和両党が入れ替わりで政権を担うことになりますが、それでも前政権を尊重する姿勢は保たれ、今回のトランプ政権のように相手を口汚くののしる行為は慎んできました。米国の分断はかなり深刻な状況と言えるかもしれません。本日にドル円は107円20銭~107円90銭程度を予想します。

- [2020/07/08 10:09]
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ナスダック指数最高値更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は東京時間にドル買いが強まり、107円77銭近辺まで上昇したがNYでは反落。ユーロドルでドル安が進んだことを受けて、ドル円も107円26銭まで下落。
- ユーロドルは急進。1.1345まで買われ、2週間ぶりのユーロ高を示現。
- 株式市場は3指数とも揃って大幅に上昇。良好な経済指標を受け、V字回復期待が高まったことと、コロナ感染の拡大ペースが鈍化したことなどが材料になった。
- 債券相場は小動き。長期金利はほぼ横ばいの0.67%台で推移。
- 金は小幅に続伸。原油は小幅安。
本日の注目イベント
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 日 5月景気先行指数(CI)(速報値)
- 日 5月景気一致指数
- 中 6月外貨準備高
- 独 5月鉱工業生産
- 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論会に参加
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演、オンライン討論会に参加
ドル円は昨日の日本株の大幅高にもドル買いが盛り上がらず、107円77銭前後で上昇が止まり、NYではユーロドルで「ドル売り・ユーロ買い」が強まった影響を受け、円が買われました。結局、107円台半ばを中心に元の「定位置」に戻っています。
昨日の話題は、米ナスダック市場のアマゾン株のようでした。ナスダック指数は226ポイント上昇し、再び最高値を更新しましたが、この日はアマゾンやネットフリックス、テスラなどが上昇をけん引しました。アマゾン株はこの日、初めて3000ドルの大台に乗せ、一時は3030.30ドルまで買われ、年初来の上昇率は63%にもなったそうです。アマゾン株の上昇には多くのアナリストも付いていけず、50人のアナリスト予想のうち、3000ドル超えを予想をしたのは4分の1程度で、平均は2810ドルだったとブルームバーグは伝えています。
昨日発表された6月ISM非製造業景況指数は「57.1」と市場予想を大きく上回っただけではなく、コロナの影響を受ける前の2月の水準に近づいています。同指数の担当者は、「調査に回答した企業は、新型コロナや最近の抗議デモを引き続き懸念している。
だが、事業活動が再開しているため、業況や景気について慎重ながらも楽観的だ」と語っています。昨日のNY株式市場ではナスダックだけではなく、ダウもS&P500も大きく買われ、ほぼ全面高の様相でした。一方で株式市場に対する楽観論に警告を発するレポートも現れています。シティーグループは、新型コロナ感染拡大リスクや、市場の企業業績予想が楽観的過ぎるとの懸念を理由に株の上値追いを警告しています。世界の株式リターンは限定的なものとなり、株価は1年後も現在の水準付近に留まると、同レポートは記しています。個人的にはこれに加え、米中の緊張の高まりと朝鮮半島リスクを加えたいと思います。
メドウズ大統領首席補佐官は6日、FOXニュースの番組で、トランプ大統領は中国や製造業、移民、処方薬価など、さまざまな問題に関する大統領令を出す準備をしていると語っています。メドウズ氏によると、トランプ政権は中国への対応や製造業を米国に戻す方法などを検討しており、「多くの大統領令を抱えている」と述べ、「議会がこうした問題を解決できなければ、われわれが解決することになる」と語っています。トランプ大統領もこの発言直後に、「中国は米国と世界に大きなダメージを与えた」とツイートしています。早ければ今週中にも中国に対する具体的な制裁内容が公表される可能性があります。また今朝の報道では、北朝鮮の米国担当局長の談話として、「われわれは米国と向かい合って座るつもりはない」との言葉を伝え、米朝首脳会談の仲介を目指している韓国をも非難しています。(ブルームバーグ)
ドル円は107円で一進一退の動きが続いていますが、7月に入ってさらに動きが鈍くなってきた印象です。世界的な株価の上昇でもドル高が進むわけでもなく、かといって香港を巡る米中の緊張の高まりにもドル安が進む状況ではありません。敢えて方向性を問われれば、若干ドル安方向に分がありそうな印象ですが、これもそれほど強く推奨出来るものでもありません。本日のドル円は107円~107円60銭程度を予想します。

- [2020/07/07 10:01]
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コロナ感染第2波への警戒強まる
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
- ドル円は東京市場終了後に107円54銭まで買われたがNY市場が休みのこともあり、その後は107円40-50銭で推移。
- ユーロドルも動意の乏しい中、1.12前半から半ばで推移。
本日の注目イベント
- 独 5月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏5月小売売上高
- 米 6月ISM非製造業景況指数
昨日行われた東京都知事選では、予想された通り小池氏の圧勝でした。野党が統一候補を擁立できなかったこともありますが、小池氏の再選で、都知事選では「現職不敗神話」が継続されたとか。これで、安倍内閣の早期解散もあり得る状況になってきました。コロナ感染が再び拡大傾向を見せている足元の状況での解散はないと思われますが、コロナ感染第2波の収束見通しがたてば、「解散・総選挙」も十分ありそうです。やはり涼しくなったころが選挙の季節なのかもしれません。
その新型コロナの感染者数は世界で1130万人を突破しています。WHOによると、週末には1日当たりの感染者数が過去最多を更新したとのことです。メキシコの死者数は累計3万人を上回り、フランスを抜いて世界で5番目の多さとなっています。またイランでもこれまでで最も多い死者数が報告されています。日本でも、東京都では4日連続で感染者が100人を超えており、特に若者の感染が広がっています。まさに感染第2波との闘いが始まったと言えそうです。
ブルームバーグによると、トランプ大統領は、香港の自治侵害に関与した中国当局者と取引を行う金融機関に制裁を科す「香港自治法案」にまだ署名していないが、これとは別の対中制裁措置が近い将来発動される可能性があると報じています。トランプ氏は中国に対する2つないし3つの制裁措置を検討しているようで、数週間ではなく、数日内に公表される可能性が高いと伝えています。「香港国家安全法」の制定を境に、米中関係は悪化の一途をたどっており、その流れが海洋上でも表れて来ました。米軍は「ロナルド・レ-ガン」と「ミニッツ」の空母2隻を軍事演習のため南シナ海に派遣しました。南シナ海では中国も1日から5日までの予定で軍事演習を行っており、米国務省が2日、中国の軍事演習に対して、「南シナ海の状況をさらに不安定にする」と懸念を表明しています。中国政府はこれに対して、「中国と東南アジア諸国との間に不和の種をまこうとしている」と間接的に米国を批判しています。「米中貿易交渉第1段階」の合意や、トランプ大統領と金北朝鮮労働党委員長との「米朝首脳会談」実現で、緊張緩和が進み、市場には一時楽観的なセンチメントが拡がりましたが、再び中国と北朝鮮を中心に地政学的リスクが高まってきました。もっとも、これは11月の米大統領選で、トランプ氏が再選するのか、あるいはバイデン氏が勝利するかで事態は大きく変わる可能性もあります。
ドル円は先週、108円16銭近辺まで上昇しましたが、120日移動平均線で上昇を止められています。現在、日足では雲の中で推移しており、今後ドルが上昇する場合でも上記移動平均辺りがレジスタンスとなりそうでが、107円30銭を下抜けすると雲抜けが完了することになり、やや注意が必要となります。ドル円は株価と同じように、上は重いものの下値を積極的に攻めていく状況でもありません.。本日の予想レンジは、107円10銭~107円80銭程度といったところでしょうか。

- [2020/07/06 09:44]
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米6月雇用統計予想を上回る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は雇用統計の結果を好感し上昇したものの、
107円72銭止まり。コロナ感染が拡大していることもあり、
ドルの上値は限られた。
◆ユーロドルは上昇。1.1297までユーロ高が進んだが、
この日も1.13台には届かず。
◆株式市場は予想を上回る雇用統計を好感し3指数とも
揃って上昇。ナスダックは連日で最高値を更新。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は0.67%前後で推移。
◆金と原油は揃って上昇。
◆6月失業率 → 11.1%
◆6月非農業部門雇用者数 → 480万人
◆6月平均時給 (前月比) → -1.2%
◆6月平均時給 (前年比) → 5.0%
◆6月労働参加率 → 61.5%
◆新規失業保険申請件数 → 142.7万件
◆5月貿易収支 → -54.6b
◆5月製造業受注 → 8.0%
本日の注目イベント
◆豪 豪5月小売売上高
◆中 中国6月財新サービス業PMI
◆中 中国6月財新コンポジットPMI
◆欧 ユーロ圏6月総合PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
◆米 休場(独立記念日の振り替え休日)
6月の雇用統計は労働市場がコロナの影響により極めて流動的であるため、
事前予想通りには収まらないと思っていましたが、結果は市場予想を大き
く上回っていました。失業率は予想の「12.5%」に対して「11.1
%」と改善。非農業部門雇用者数は「323万人」に対して、「480万
人」と大幅に増えています。多くの従業員解雇はコロナによる一時的な離
職だったことで、経済活動の再開に伴い従業員も再雇用された結果です。
ドル円はこの内容を受けてドル買いが先行しましたが、この日はフロリダ
州では1日の感染者数及び入院者数が過去最多の増加となるなど、米国内
での感染拡大が続いていることがドルの上値を抑え、結局前日とほぼ同水
準で戻って来ました。
雇用統計の結果を受け、ドランプ大統領は臨時の記者会見を開き、「今日
の発表は米国経済が強力に盛り返していることを証明した」と主張し、
「これは他の大統領だったら出来なかった」と誇らしげに語り、「偶然で
はなく、政策の結果だ」と、大統領選を意識した発言を行っています。
また、ムニューシン財務長官も「追加で直接の現金支給が必要かどうか、
政府は真剣に検討する」と語っています。
世界の感染者は1070万人、死者の数も51万7000人と、感染拡大
が依然として続いている中、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所
長はオンラインイベントでの発言で、「新型コロナウイルスが変異の兆候
を見せており、感染拡大がより容易になっている可能性がある」と指摘し
ました。ファウチ氏は、特定のアミノ酸に影響を与える単一突然変異が起
き、ウイルスの複製が進み、ウイルス量を増加させ、伝染を容易にする可
能性があることが、進行中の調査で示唆されていると述べています。
ファウチ氏はまた、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発では英オッ
クスフォード大学が先行していると指摘しつつ、パンデミックへの対処で
は2種類以上のワクチンが必要だと語っています。(ブルームバーグ)
日本でも昨日東京都では、5月2日以来となる100人を超える感染が確
認されており、第2波襲来の可能性が高まっています。
このような状況にも拘わらず米ナスダック市場では連日最高値の更新が続
いています。
ナスダック指数は4日続伸しましたが、けん引したのは電気自動車メーカ
ーの「テスラ」でした。テスラ株は昨日1日だけで10%も上昇し、連日
上場来高値を更新中です。すでに時価総額ではトヨタを抜き世界一です。
日本では同社のEVを見ることはあまりありませんが、それでも時折街を
走っているのを目にすることも増えてきたような気がします。
本日はNY市場が休みです。
107円台のドル円は小動きで推移することが予想されます。
レンジは107円20銭~107円80銭程度といったところでしょうか。
- [2020/07/03 09:26]
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ドル円108円台前半から反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は大幅に反落。東京時間に108円16銭近辺までドル高が
進んだものの、その後は一貫して下げ、NYでは107円36銭まで
ドル安が進む。
◆ユーロドルは前日とほぼ同じ動きを見せ、1.12割れが底堅い
ものの、上値も1.13には届かず。
◆株式市場はまちまちながら、ナスダックは3日続伸し、
最高値を更新。アマゾンなどが指数を押し上げた。
ダウは反落し77ドル安。
◆債券相場は続落。長期金利は0.67%台へ上昇。
◆金と原油は揃って反落。
◆6月ADP雇用者数 → 236.9万人
◆6月製造業PMI(改定値) → 49.8
◆6月ISM製造業景況指数 → 52.6
◆6月自動車販売 → 1305万台
本日の注目イベント
◆豪 豪5月貿易収支
◆欧 ユーロ圏5月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏5月失業率
◆米 6月雇用統計
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 5月貿易収支
◆米 5月製造業受注
◆米 債券市場、短縮取引
◆加 カナダ5月貿易収支
ドル円は昨日の朝方、前日のNYでのドル高の流れを受け、一時108円16
銭前後まで買われ、6月9日以来、3週間ぶりの高値を付けましたが、やはり
と言うか、ドル買いの勢いはなく、午後には107円台半ばまで押し戻される
展開でした。昨日のNYでは 米長期金利が上昇したにも拘わらず、107円
36銭まで売られ、再び元の「定位置」に戻っています。
引き続きドルの上値は重く、ドル安材料が散見される中、堅調な株価がドルを
支える構図になっているだけに、「支え」が外れてしまったら、重要なサポー
トである106円前後を抜けてくることも想定されます。
30日に発効された香港国家安法でしたが、昨日香港ではさっそく同法に基づ
く逮捕者が9人出たと報じられています。
中国は対米関係だけではなく、対インド、オーストラリアや英国に対しても強
硬姿勢を強め、外交関係を悪化させています。「習近平体制」の強化が着々と
進められており、もはや平和的外交の道も閉ざされた印象です。
香港国家安全法を巡り英政府は1日、約300万人の香港市民を対象に英国へ
の移住を認める方針を明らかにしました。これにより中国との間で緊張が高ま
る可能性も浮上しています。
ジョンソン首相は英下院で演説を行い、国家安全法は1984年に英国と中国
が調印した共同宣言に違反していると指摘しました。首相は、「国家安全法の
施行は中英共同宣言に対する明白かつ、深刻な
違反だ」と述べ、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」
と批判しました。ラーブ外相も、香港市民に対して「特別な移民ルートを新設
する」ことを明らかにしています。また、米下院でも1日、香港で抗議活動を
行う民主派の取り締まりに関与する中国当局者との取引を行う銀行に制裁を科
す法案を、全会一致で可決させました。トランプ政権も、国家安全法に関する
だけではなく、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する人権侵害を巡り、
中国高官に制裁を科す準備を行っていると、ブルームバーグは伝えています。
先月9、10日に開催されたFOMC議事録が公開されました。
それによると、メンバーの多くがイールドカーブ・コントロール(YCC)の
必要性を確信していないことが判明しました。
議事要旨では、「委員会のフォワードガイダンス自体が引き続き信頼を得てい
る限り、イールドカーブに上限や目標を設定する政策を採用してフォワードガ
イダンスを強化する必要が生じるのか明確でないと、多くの参加者が主張した」
と記されていました。パウエルFRB議長も講演で、YCCの導入には再三否
定的な考えを示しており、日銀が採用しているイールドカーブ・コントロール
をFRBが導入する可能性は低いと見られますが、債券市場では異なった動き
を見せており、早ければ9月にも導入するのではないかといった見方もありま
す。ブルームバーグのデータを見ると、米債券市場では5年債の利回りが低下
しており、3日には過去最低の0.2657%まで下がりました。
また、債券先物市場では5年債と、10年債の未決済ポジションが急増してお
り、市場はFRBがYCCを導入する際には、2年債と5年債を購入するので
はないかといった見立てで、銀行などが先回りしている動きが想定されます。
仮にFRBがYCCを導入した場合、ドル円には下落圧力がかかると予想され
ます。
本日は、米国が3日金曜日が振り替え休日のため、6月の雇用統計が発表され
ます。コロナの影響により労働市場は大きく変動させられており、事前予想は
ほとんど意味を持たない程「ブレ」が大きくなっています。
昨日のADP雇用者数も驚きでした。
6月分はいいとしても、5月分では当初「マイナス276万人」と発表された
ものが、今回は何と「306.5万人の増加」に上方修正されています。
その差は実に582万人にもなり、事前予想の不確実性というか、「難しさ」
を知らされました。それでも、速報値で相場は動きます。
本日も波乱が予想されます。
本日のドル円は106円70~107円80銭程度を予想します。
- [2020/07/02 09:31]
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香港国家安全維持法発効
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅ながら続伸し、107円99銭まで上昇。
株価が続伸し、長期金利も上昇したことで低金利の
円が売られた。
◆ユーロドルはやや水準を下げ、1.1191まで下落。
◆株式市場は続伸。消費者信頼感指数など、経済指標の
好転を手掛かりにダウは217ドル高。
ナスダックも買われ、三度(みたび)1万ポイントの大台に。
◆債券相場は反落。長期金利は0.65%台に上昇。
◆金は続伸し、約8年ぶりに1800ドル台に。
原油も小幅に続伸。
◆6月消費者信頼感指数 → 98.1
◆4月ケース・シラ-住宅価格指数 → 3.98%
◆6月シカゴ購買部協会景気指数 → 36.6
本日の注目イベント
◆豪 豪5月住宅建設許可件数
◆日 4-6月期日銀短観
◆中 6月財新製造業PMI
◆独 独6月失業率
◆欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
◆米 6月ADP雇用者数
◆米 6月製造業PMI(改定値)
◆米 6月ISM製造業景況指数
◆米 6月自動車販売
◆米 FOMC議事録(6月9-10日分)
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインフォーラム開催
米長期金利が上昇し株式市場も大幅に続伸したことで、ドル円は107円99
銭まで、小幅ではあったものの、続伸しました。ただ、108円には届かず、
ここにはドル売り注文がある程度控えていることは想像に難くありません。
コロナの感染拡大が止まらない中でも、株式市場には資金が流入し、特にアマ
ゾンなどIT株が相場をけん引しています。
この日はナスダックが三度(みたび)1万の大台を回復し、ダウも引けにかけ
て急伸しています。一方で、金価格は一時約9年ぶりとなる1804ドルまで
上昇する場面もあり、債券はやや売られたといえ、高値圏で推移しており、こ
こではリスクオフと言えなくもありません。結局、過剰流動性による「金余り」
という言葉で受け入れるしかないように思います。
パウエルFRB議長は下院で証言を行い、米経済は想定を超えるペースで回復
しているとの認識を示す一方で、景気の先行きには依然として慎重な姿勢を崩
してはいませんでした。議長は、「われわれは重要な新段階に予想より早く入
った。経済活動の回復には歓迎されるが、それはまた、新たな課題、特にウイ
ルスを抑制し続ける必要性を示す」と指摘しました。
また「経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく
左右される」とし、「人々が幅広い活動を再開しても安全と確信するまで、完
全な回復の可能性は低い」と、これまでと同様、景気の先行きには慎重は見方
を維持していました。ムニューシン財務長官も証言で、7月末までに新たな財
政刺激策をまとめることを表明しました。
米国内では新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、ジョンズホプキンス
大学の調べでは、30日午後の時点では、24時間に4万8096人(1.9
%)増加し、259万人に達しています。特に南部での感染拡大が顕著で、フ
ロリダ州の感染者増加率は4.2%で、アリゾナ州が6.3%、カリフォルニ
ア州でも2.9%と、深刻な状況が続いています。この日上院では、コロナ感
染に関して米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が証言を行っていま
す。
ファウチ所長は、「数字は全てを物語る。私は非常に懸念している。現状に満
足していない。誤った方向に進んでいるからだ」とし、「現時点で完全にはコ
ントロールできていないことは明らかだ」と証言しさらに、「最近の急増が好
転しない場合、1日当たりの新規感染例が現在の4万人から10万人に増えて
も驚かない」と指摘しました。また、死者数についても、「極めて憂慮すべき
数字になるのは確実だ」と付け加えています。(ブルームバーグ)
感染症の専門家であるファウチ所長のこの証言を聞くと、足元の株価の動きに
は驚きます。このギャップに違和感を持つ人は決して少なくはないと考えます。
現時点の米国内の感染者数は259万人で、死亡者数は12万6000人とな
っています。確率的には感染者の約4.9%の人が亡くなっていることになり
ます。ファウチ所長の言うように、今後感染者が1日で10万人という事態に
なれば、約5000人の人が1日で亡くなるということです。
冷静に考えれば、もはやこれは「コロナ戦争」と言えるのではないかと思いま
す。
ドル円は108円を伺う動きを見せていますが、ここからドル買いで攻めるの
も勇気が要ります。ただそれでも安易にショートメイクをするのではなく、東
京時間は上値が重く見えても、NYではもう一段の上昇もないとは言えません。
上値のメドは日足の120日移動平均線と200日移動平均線がある、108
円15銭~40銭辺りかと考えます。
本日のレンジは107円60銭~108円40銭程度を予想します。
- [2020/07/01 09:21]
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