ドル円再び105円台前半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は再び下落し、105円20銭までドル安が進む。安倍首相の辞任はそれほど材料にはならなかったものの、米実質金利の低下からドルが売られる展開に。
- ユーロドルでもドル安となり、一時は約10日ぶりに1.1918までユーロが買われる。
- 株式市場は3指数とも揃って続伸。低金利が長期にわたって継続されるとの観測から株価は上昇し。ナスダックとS&P500は最高値を更新。
- 債券は反発。長期金利は0.72%台に低下。
- 金は大幅に反発し、原油は反落。
本日の注目イベント
- 日 7月鉱工業生産
- 日 7月小売売上高
- 独 8月消費者物価指数(速報値)
- 米 クラリダ・FRB副議長、バーチャル討論会に参加
- 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(バーチャル形式)
先週木曜日には、FRBが金政政策に関する新たなインフレ目標を発表したことでドル円は105円台半ばまで売られましたが、その後106円台半ばまで急反発。しかし週末には「安倍首相辞任」の報道から再びドルが売られ、ドル円はNYでは105円20銭までドル安が進みました。荒っぽい展開が続いています。
安倍首相辞任は筆者だけではなく、多くの人が最近の顔色を見て、「政権の座を去るのも近いのではないか」と考えていたと思いますが、このタイミングの辞任は唐突でした。先週金曜日の午後2時過ぎ、辞任の一報が流れると、ドル円は一気に50銭以上のドル安に振れ、日経平均株価は600円を超える下げに見舞われました。アベノミクスの終焉ということで株価が下げ、リスク回避が強まり、ドル安円高に振れたようです。相場はその後やや戻してはいますが、今後「ポスト安倍」を巡る動きに一喜一憂しながら荒っぽい動きが続くと予想されます。「真夏の夜の夢」ならぬ、「真夏の午後の混乱」でした。ただ冷静に考えれば、これで自民・公明の連立政権が崩れるわけでもなく、これまでの政策は継続されると思われます。むしろ、コロナ禍で、あれほど混乱したコロナへの経験を踏まえて、より適切な対応が可能になってくることも予想されます。新しい首相は来月17日にも選出されるようですが、それまで多少混乱はあるかもしれませんが、大きな混乱にはつながらないと思われます。
パウエル議長は先週、2%のインフレ目標を、一定期間の平均として達成する考えを示したことで、9月のFOMCでは新たなガイダンスが発表される可能性が出て来ました。ドル円も乱高下しながらも結局は ゼロ金利政策の長期化や、実質金利の低下傾向を見据える形でドル安が進みそうで、株式市場は低金利の長期化を歓迎するかのように上昇しています。ただ9月のガイダンスの変更については幾人かの地区連銀総裁から異論も出ています。ダラス連銀のカプラン総裁は28日ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「新型コロナウイルスの動向をより明確につかみたい。フォワードガイダンスはこれまでに十分示してきたと考える」と述べ、「年内と来年は政策金利を低水準で維持するとすでに示している。私はここである程度、自制した方がいいと思う」と語っています。また、クリーブランド連銀のメスター総裁も28日ヤフーファイナンスとのインタビューで、「経済見通しを踏まえ、しばらくは低金利が続くとした米金融当局のメッセージは、誰もが受け取り、そのように想定している」と語り、さらにセントルイス連銀のメスター総裁も「金融政策は現在の状況に照らして適切だ」との考えを示しました。メスター総裁は、「政策金利は低く、長期にわたり低く保つ方針だ。市場も長期の低金利を予想している」とも述べています。(ブルームバーグ)新たなガイダンスの変更は別としても、このように多くのFOMCメンバーは低金利の長期化は必至と見ていることははっきりとしており、これは今後ドル安と株高が進行する可能性が高いことを示唆していると考えることが出来ると思います。
ドル円は多少値を戻していますが、チャートでは短い「1時間足」から長い「月足」まで全ての足で雲がローソク足の上に位置しており、下落基調であることを暗示しています。105円前後や104円台前半では何度も押し戻されてきましたが、チャートでは「月足」の120カ月移動平均線が104円前後にあり、これが最大のレジスタンスと見られます。急激な円高はないとしても、緩やかな円高の可能性は高いと予想されます。日本の政局は材料にはなりにくく、やはり米大統領選の行方が相場を左右するのではないかと
考えます。本日のドル円は105円~106円程度を予想します。

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- [2020/08/31 09:44]
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