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コロナによる死者、世界で100万人を超える 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は引き続き105円台半ばで小動き。
105円70銭までドルが買われたが、本日の大統領候補者に
よるテレビ討論会を控えて、様子見機運が広がる。
◆ユーロドルは小幅に反発。1.1680まで買われたが
勢いもなく、商いも閑散。
◆株式市場は4日ぶりに反落。ダウは131ドル下げ、
コロナによる死者数が世界で100万人を超えた
ことや、NYでの感染再拡大懸念が重石に。
◆債券は小幅に続伸。長期金利は0.65%台で変わらず。
◆金は続伸し1900ドル台を回復。原油価格は1ドルを
超える下げで40ドル台を割り込む。

◆7月ケース・シラ-住宅価格指数      →  3.95%
◆9月消費者信頼感指数           →  101.8

本日の注目イベント

◆豪   豪8月住宅建設許可件数
◆日   8月鉱工業生産
◆中   9月中国製造業PMI
◆中   9月中国サービス業PMI
◆中   9月財新製造業PMI
◆独   独9月失業率
◆欧   ユーロ圏9月消費者物価指数(速報値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆英   英4-6月期GDP(改定値)
◆米   9月ADP雇用者数
◆米   4-6月GDP(確定値)
◆米   9月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   8月中古住宅販売成約件数
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米   ボウマン・FRB理事講演 


追加の経済対策を巡って合意期待が強まっている米国で29日、ペロシ
下院議長がムニューシン財務長官と会談を行い、民主党が作成した2兆
2000億ドル(約233兆円)の予算について協議を行いました。
依然として合意には至っていませんが、協議は30日にも行われる予定
で、ペロシ議長は「ホワイトハウスと週内に合意できることを期待して
いる」と語っています。ただ、民主党案とトランプ政権が支持する1兆
5000億ドルとはまだ大きく隔たりがあり、週内に合意できるかどう
かは微妙な状況です。

この日の株式市場は「売り」で反応していることを考えると、市場は週
内に「合意はない」と読んでいるのかもしれませんが、まだ合意には悲
観的な見方が多いようです。追加の経済対策の実施が遅れると、個人消
費の低迷などを通じてGDPを押し下げることにもつながり、JPモル
ガンは10-12月期の成長見通しを引き下げています。下院民主党は
近いうちの合意が見込めない場合、独自案の採決を目指すと表明してお
り、11月3日の議会選挙で同党候補者が実績をアピールする狙いもあ
ると見られているようです。

9月のFOMCで反対票を投じたダラス連銀のカプラン総裁は29日に
公表された書簡の中でその理由について、「将来の委員会は、将来の経
済動向に適応する柔軟性をもっていてほしい。そうすれば、適切な金融
政策姿勢を決定する際に最善の判断を下すことができる」と述べ、将来
の金融当局にとって政策金利をゼロ付近で維持する以外に選択肢がない
状況を避ける思いがあったと説明しています。またこの書簡で、カプラ
ン総裁は、現時点ではフォワードガイダンスを強める利点があるかどう
か確信できないとの見方も示しています。(ブルームバーグ)

本日行われる第1回大統領候補テレビ討論会は日本時間午前10時から
だそうです。最高裁判事やパンデミック、ヘルスケア、公民権など、議
論を呼ぶようなトピックが予想されていますが、そうした争点に新たに
トランプ氏の納税問題が加わったようです。バイデン氏は討論会を前に、
自身の直近の納税申告書を公表しています。それによると、バイデン氏
は2019年に所得税約30万ドル(約3200万円)を納めており、
NYタイムズが報じた、過去15年のうち10年間は納税額がゼロだっ
たトランプ氏との違いを鮮明にする可能性があります。
本来の政策論争からはかけ離れてしまいますが、テーマごとに15分間
の時間が割り当てられていることから、納税問題が論点の中心になるこ
とはありませんが、バイデン陣営は「だから、トランプ氏は大富豪に名
を連ねることができた」と、「節税名人」としてのトランプ氏を皮肉る
かもしれません。

本日のドル円は105円20銭~106円程度を予想します。



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NY株3指数とも大幅続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日と同じような動きに。
105円台半ばを中心に値幅も30銭程度に収まり、
米大統領選候補者によるテレビ討論会や、雇用統計
など、ビッグイベントを控え様子見の姿勢が強まる。
◆ユーロドルも1.16台半ばから後半で推移し、やや
ユーロの買い戻しが優勢に。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇。追加の経済対策の
合意期待が強まり、3日続伸。
◆債券相場は引き続き小動き。長期金利は0.65%台と
ほぼ変わらず。
◆金と原油は反発。

本日の注目イベント

◆日  9月東京都区部消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏9月景況感指数
◆欧   ユーロ圏9月消費者信頼感指数(確定値)
◆英   英8月消費者信用残高
◆独   独9月消費者物価指数(速報値)
◆米   7月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   9月消費者信頼感指数
◆米   米大統領候補第1回テレビ討論会(オハイオ州クリーブランド)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、バーチャルイベントに参加
◆米   クオールズ・FRB副議長講演

ドル円は概ね105円台半ばで推移しておりほとんど動きがありませんが、
NY株式市場は3指数が揃って大幅に続伸しました。
ダウは一時500ドルを超える上昇を見せ、引けでは410ドル高。ナスダッ
クも203ポイント上昇し、1万1000ポイントの大台を回復しています。
規模の違いで合意が遅れている米国の追加経済対策で、やや明るい兆し
が見えて来たことが株価を押し上げています。

ペロシ下院議長は28日、大統領選前に追加経済対策で合意するためには
、ホワイトハウスが大幅な規模拡大に同意する必要があるとの見解を示し、
ムニューシン財務長官と27日に協議を行い、28日にも再び経済対策につい
て話し合う予定です。経済対策の規模では1兆ドル(約106兆円)の隔たりが
ありますが、これを埋めるのはなお可能だとの認識を示しました。ペロシ議長
は、「われわれはこの問題を片付けられる。ムニューシン財務長官が交渉の
テーブルに戻る用意が調えば、われわれはこれを話し合うことができる」とし、
「ただし、問題を片付けるためには長官がずっと大きな規模の案を打ち返して
くる必要がある」と語っています。(ブルームバーグ)

ラガルドECB総裁は欧州議会経済金融問題委員会にビデオを通じて出席し、
ユーロ圏のインフレ率について、今後数カ月はマイナスが続くと見込まれ、ユ
ーロ高がその一つだとの見方を示し、「政策委員会は中期的なインフレ見通
しに対する影響という観点から、為替の動向を含めて今後入って来る全ての
情報を注意深く吟味する」と述べました。間接的ではあるがユーロ高をけん制
した格好になっています。また、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気
への悪影響については、「ECB政策委員会はあらゆる手段を適宜調整する用
意がある」とし、現在行っているパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は
一時的で対象を絞った措置であり、低金利が長期化すれば副作用をもたらし得
るとの認識も示しました。

本日は第1回大統領候補テレビ討論会が行われます。
トランプ氏とバイデン氏の支持率は僅差だという見方もあり、ソースによってはト
ランプ氏が逆転した州もあるという報道もあります。
ただ、直近の調査ではやはりバイデン氏がリードしている(参照:ウィークリーレ
ポート)ようですが、今度はNYタイムズが、トランプ氏が2016年の当選前の1
5年間のうち、10年分の所得税を納めていなかったことを報じています。トラン
プ氏は「フェイクニュースだ」と反論していますが、今回の討論会では「納税も行
っていない人物は、大統領にはふさわしくない」といったように、バイデン氏の
攻撃材料にされる可能性もあります。討論会は29日米国時間夜に行われ、日
本では明日の朝になります。

本日のドル円は105円20銭~105円90銭程度と予想します。

NY株、3指数とも揃って大幅高。 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に続伸。小動きの中、ドルは底堅く
米金利低下にも拘わらず105円70銭まで上昇。
◆ユーロドルでも小幅にドル高が進み、1.1613まで
ユーロは売られる。
◆株式市場は3指数とも揃って大幅に上昇。この日は
押し目買いが優勢となり、ボーイングが上昇をけん引。
ダウは358ドル上昇し、ナスダックも2.3%上昇。
◆債券は続伸。長期金利は0.65%台まで低下。
◆金と原油は小幅に反落。


◆ 8月耐久財受注   → 0.4%

本日の注目イベント

◆日  7月景気先行指数(CI)(改訂値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演


ドル円は小動きながら小幅に上昇し、105円70銭を付け、ユーロドルも
1.1613まで「ドル高」が進んでいます。
ドル円は先週21日に104円ちょうどまで売られた後、一気に105円台
まで値を戻した後はジリジリ買われる展開です。
また、ユーロドルも9月1日に1.2012までユーロ高が進んだ後は、ほ
ぼ一貫して下落基調に転じています。
ドル円は、それ自体に円を買う材料がない中、やはりユーロの影響を受けて
動く地合いが続いており、ユーロドルで「ドル高ユーロ安」が進んでいるこ
とが、小幅ではありますが、ドル円を押し上げていると見られます。

ユーロドルは1.20台を達成した後、ECB高官からユーロ高をけん制す
る発言が相次ぎ、ひとまず利益を確定する動きとなり、過去最大にまで積み
上がった買いポジションの急激な減少につながっています。
さらに、欧州では新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、フランスやスペ
インではロックダウンを余儀なくされる可能性も浮上しており、これがさら
にユーロ売りを誘っているようです。ユーロドルは直近高値からすでに40
0ポイント程下落しています。今後さらに感染が拡大するようだと、回復基
調にあるユーロ圏の景気にとって重石になる可能性があります。
また、思った以上にドルが底堅いのは、米実質金利の改善傾向も挙げられま
す。
PCEコアデフレータはここ2カ月1.1~1.3%で推移していますが、
政策金利がほぼゼロ近辺に誘導されているため、実質金利はマイナスになっ
ており、これがドル売り材料の一つと見なされてきましたが、これが徐々に
改善傾向を見せていることがドルの支えになっている側面があります。

トランプ大統領は26日、連邦最高裁判所の判事にエイミー・バレット氏を
指名しました。すでに多くのマスコミが報道しているように、同氏は保守派
として知られているため、これで連邦最高裁判所の判事9人のうち、保守派
が6人になります。米国の連邦最高裁判所の判事の任期は「終身」であるた
め、48歳のバレット氏は、今後長ければ40年以上も判事を続けることが
出来ます。バイデン氏はこの指名に対して、「大統領選挙後に行い、大統領
選の勝者が行うべきだ」と指摘していますが、事前予想では劣勢とされてい
るトランプ氏は郵便投票による投票無効を提訴し、連邦最高裁判所の判断を
仰ぐ際に、自身に有利に働くよう「布石」を打っていると見られます。
リベラル派の象徴的存在であったギンズバーグ氏とは対照的に、保守派のバ
レット氏の就任は最高裁判所の右寄りシフトを長年にわたって強固にする可
能性があると、ブルームバーグは論評しています。

上述のように、ドル円は底堅い動きを見せています。
このまま一気に上昇トレンドンに入る可能性は低いとみていますが、105
円95銭前後から106円20銭近辺までの範囲を形成している一目均衡表
の雲(日足)を抜けるようだと、注意が必要かもしれません。
まだドルを買う理由はほとんどありませんが、今週末は米雇用統計の発表で
す。相場に影響を与えやすい経済データだけに、ここが転換点にならないと
も限りません。ドル円の上値は引き続き重いと思いますが、注意をしながら
雇用統計を迎えたいと思います。また「第1回大統領候補テレビ討論会」は
明日29日、オクラハマ州クリーブランドで行われます。
時間は90分で、「最高裁判所」や「新型ウイルス」などを中心に、6つの
テーマについて議論を闘わせる模様です。
こちらも注目材料の一つです。

本日のドル円は105円20銭~106円程度を予想します。

ユーロドル2カ月ぶりに1.16台前半まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小動き。105円台前半から半ばで推移し、米金利も動きがないことから値幅は20銭程度に収まる。

  • ユーロドルは小幅に続落し、1.1627までユーロ安が進む。フランスやスペインなどで新型コロナの感染が再拡大し、景気回復に黄信号が灯ったとの見方も浮上。

  • 株式市場は追加の景気対策に対する楽観的な見方と悲観論が交差し乱高下。最後は3指数とも揃って小幅な上昇で取引を終える。

  • 債券相場はこの日も小動き。長期金利は0.66%台とやや低下。

  • 金と原油はともに上昇。

本日の注目イベント

  • 欧   ユーロ圏8月マネーサプライ
  • 米   8月耐久財受注
  • 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

米国では追加の経済支援を巡って議会の対立が続いており、いまだ合意の兆しは見えません。9月中には合意に達するといった楽観的な見方もやや後退したように思えます。ムニューシン財務長官は上院で、「民主党側に話し合う用意があるのなら、こちらも超党派の法律制定を目指しいつでも協議する予定だ」と述べ、民主党のペロシ下院議長も、「近く協議の場が設けられることを期待している」と語るなど、合意に向けたステップが見えてきたかに見えました。しかし、両党の規模に関してはまだ隔たりが大きく、上院共和党の議員は、「合意に至る確率は低い」と指摘しているようです。そんな中、下院民主党は規模が2兆4000億ドル(約253兆円)前後の新たな経済対策案の策定を開始したと今朝のブルームバーグは報じています。この2兆4000億ドルの規模は5月に下院を通過した経済対策案の3兆4000億ドルを大きく下回ってはいるものの、上院共和党が容認し得るとしていた規模をなお大きく超えています。トランプ大統領は1兆5000億ドルまで受け入れる用意があることを示唆しています。

ドル円は105円台半ば近辺で動きがありません。考えてみれば、7月の106円台半ばから107円台で推移していたドル円が、105円台へと水準を切り下げた要因の一つがユーロドルの影響でした。ユーロドルは1.14台から、景気回復を示す経済データや7500億ユーロ(約93兆円)規模の「EU復興基金」の創設が決まったことで、1.20台まで「ユーロ高・ドル安」が急速に進行しました。ドル円もその影響から円を買う動きが強まり、ジリジリと円高が進んだ経緯があります。そのユーロドルが再び下げ基調に転じてきたことで、先の動きとは反対に「ドル買い・円売り」がジリジリと盛り返してきているのが足元のドル円の動きです。今月前半から米長期金利がほとんど動いていないこともあり、ドル円は再びユーロドルの動きに左右される展開になっていると考えられます。

ユーロドルは昨日のNYで一時、1.1627まで売られています。昨日発表されたドイツの「9月IFO景況感指数」は5カ月連続で上昇していましたが、ユーロ買いにはつながっていません、むしろ、欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大してきたことに反応する動きでした。フランスでは24日、新規感染者が1万6096人と過去最多を更新しました。今月20日に初めて1万人を突破し、その後感染拡大が続いており、23日からパリなど大都市でのバーの営業を午後10時までに制限しています。べラン保健相は、「新たな措置を講じなければ一部の地域は危機的状況に陥る可能性がある」と警告しています。感染が急拡大した背景は、夏場に人の移動が増えたことが一因と見られていますが、これは日本でも同じようなこと起こる可能性があることを示していると理解することもできます。この4連休では、「Go toキャンペーン」の影響もあり観光地はどこも大混雑でした。東名高速道路では最大72キロの渋滞もありました。来月からは東京も「Go to」の対象に加わります。さらに人の移動は活発になると思われ、フランスのような事態にならないこと祈るばかりです。

民主党大統領候補のバイデン氏は、自身が政権を担ったら、現FRB理事のブレイナード氏を財務長官に指名するとの見方が広がっているようです。もし、ブレイナードFRB理事が財務長官に就任すれば初の女性長官の誕生になります。もっとも、財務長官候補には民主党の大統領候補としてともに闘ったエリザス・ウォーレン上院議員の名も挙がっており、どちらが就任したとしても「初の女性財務長官誕生」になります。もちろん、バイデン氏が大統領選挙で勝利することが条件ですが・・・・。

本日のドル円は105円10銭~105円80銭程度を予想します。
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これまでの暑さがウソのようにシルバーウイーク前後から急激に涼しくなりました。「今年の夏はこれまでとは違った」という声をよく耳にします。8月には群馬県桐生市などで40.5度と、歴代国内最高気温(41.1度)に迫る暑さを記録しました。気候変動は、もはや待ったなしの状況ですが、地球温暖化の最大の要因であるCO2の削減はなかなか進みません。それでも世界で最も規制が厳しいと言われる欧州では、フランスが2040年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を禁止すると発表しています。イギリスはもっと厳しく、2035年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止し、ハイブリッド車もその対象に入っています。トヨタが世界で初めて開発したあのハイブリッド車でも、2035年以降イギリスでは走れないことになります。米国でも23日、カリフォルニア州が2035年までにガソリン車の新車販売を禁止することを発表しました。カリフォルニア州は全米でも最も環境に厳しいとされ、今回同州がガソリン車禁止に踏み切ったことは、他の州にも大きな影響を与えそうです。新興自動車メーカーであるテスラの時価総額が、トヨタの時価総額を抜いたというのも、何かうなずけるような気がします。

良い週末を・・・・・。

米ナスダック3%を超える下落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は105円50銭まで買われる。株価の大幅安から、ユーロなど主要通貨に対してドルが買われ、ドル円もつれ高に。

  • ユーロドルは続落し、約2カ月ぶりとなる1.1652までユーロ安が進行。

  • 株式市場は再び大幅安に。ダウは525ドル下げ、ナスダックは3%を超える大幅下落。FRB幹部が米景気の回復にややネガティブな発言が相次いだことに反応。

  • 債券相場は小動き。長期金利は0.67%台で推移。

  • 金は大幅に下落し、1900ドルの大台を割り込む。原油は小幅に続伸。

本日の注目イベント

  • 日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月14日、15日分)
  • 独   独9月ifo景況感指数
  • トルコ 中銀、政策金利発表
  • 欧   ECB経済報告
  • 欧   EU臨時首脳会議(25日まで)
  • 英   ベイリー・BOE総裁講演
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   8月新築住宅販売件数
  • 米   ムニューシン財務長官とパウエル議長、上院で証言
  • 米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
  • 米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演

「有事のドル買い?」昨日のNY市場ではドルがユーロやポンドに対して買われ、ドル円もその流れに引き寄せられるかのように105円50銭までドル高が進みました。ユーロドルは1.1652まで売られ、7月27日以来のユーロ安水準を付けています。

ドル高のトリガーはNY株式市場での株価の大幅下落でした。ダウは525ドル下げ、2万7000ドルの大台を割り込み、ハイテク銘柄の多いナスダック指数は3%を超える下げとなり、こちらも1万1000ポイントの大台を割り込みました。1万2056ポイントの最高値からは11.8%下げたことになり、その最高値は今月2日に記録したばかりです。FOMCでは、米金利は2023年末まで引き上げがないことを示唆しており、株式市場を取り巻く間環に大きな変化が見られない中での下落基調です。やはりハイテク株がけん引する形で実態以上に大きく買われ過ぎた反動ということでしょうか。高値から10%を超えると「調整局面入り」とされるナスダック指数は、当面上値の重い展開が続く可能性がありますが、ナスダック急騰の背景には日本の個人投資家の資金も多く入っているとのデータもあるようです。改めて「上がり続ける相場はない」ということを肝に銘じたいところです。

その株価の大幅下落につながったのがパウル議長をはじめとするFRB幹部の発言だったようです。パウエル議長は下院特別小委員会の公聴会で、金融当局が実施した支援策は国民ではなく、金融市場を助けたのではないかと議員に問い詰められ、「われわれの行動は断じて、ウォール街の痛みを和らげることが狙いではない」と答え、財政面からの支援策は「他に匹敵するものがないぐらい重要だ」とし、あらためて追加対策を求めました。またクラリダFRB副議長も、現在ゼロ付近にある政策金利について、「2%のインフレ率が実際に少なくとも数カ月続き、さらに完全雇用を達成するまで金融当局は利上げを検討することはない」としながらも、景気については、「経済は力強く回復しているが、なお深い穴の中にある」とし、「長期的には 米国は持続可能な財政軌道に戻る必要があるが、過去90年で最悪という経済状況のただ中でそれを始めるべきでない」と語っています。(ブルームバーグ)FRBの議長、副議長に加え、クリーブランド連銀のメスター総裁も、これに共鳴する内容の発言を行い、シカゴ連銀のエバンス総裁は、2021年末までに失業率が5.5%に低下すると予想するが、これは大規模な財政支出を伴う景気対策が前提だと述べています。さらにボストン連銀のローゼングレン総裁は最も悲観的で、新型コロナの感染第2波と景気対策の不在が意味するのは、「景気回復の最も苦しい局面は、まだこれからだということだ」と述べています。これら一連の発言が、景気回復には時間がかかり追加の財政支援が不可欠であり、投資家が、それほど足元の景気が厳しい状にあることを再認識させるのには十分だったようです。

昨日は株価の大幅下落の割には、安全資産である債券は買われず、やや軟調でした。また、同じく安全資産の「金」も大きく売られ、こちらは7月25日以来となる1900ドル割れまで下落しています。結局、昨日の市場全体では「ドル」が最も安全な資産と見なされ、「有事のドル買い」につながったと考えられます。

本日は日本株の下げも昨日のように小幅では済まないと思われます。ただ、上で述べたように日本株が大きく下げても「有事のドル買い」につながるかどうかは不透明です。ドル円の予想レンジは104円90銭~105円70銭程度でしょうか。

ドル円反発し105円台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 前日104円ちょうどまでで売られたドル円は反発し一時105円台を回復。米株式市場が上昇し、安心感が広がったことでドルが買われた。

  • ユーロドルは続落し、一時は7月28日以来となる1.1692まで下落。欧州各国で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることなどが懸念材料に。

  • 株式市場は3主要指数が揃って上昇。ナスダックは5日ぶりに184ポイントの上昇。

  • 債券は小動き。長期金利は0.67%台と前日とほぼ変わらず。

  • 金と原油は共に上昇。

本日の注目イベント

  • 独 10月GFK消費者信頼感
  • 独 9月製造業PMI(速報値)
  • 独 9月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏9月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏9月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏9月サービス業PMI(速報値)
  • 米 7月FHFA住宅価格指数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 クオールズ・FRB副議長講演
  • 米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 米 パウエル・FRB議長、下院委員会で証言

ドル円はこの欄でも指摘したように、重要な節目である104円まで売られ、これも予想されたように、「1次攻撃」では突破できず反発しています。ただ昨日のNYでは105円台までドルが買いもどされ、底値からは1円以上の反発となっています。この戻りは想定外で、基本はドル円の戻りは限定的と考えていますが、予想した以上にドルの下値は堅いのかもしれません。

パウエル議長とムニューシン財務長官は22日、下院金融委員会で証言を行いました。議長は、「先行きはコロナウイルスの抑制、政府のあらゆるレベルでの政策措置にかかってくる」と述べ、景気回復は進行しているものの、「先行きは極めて不透明だ」との認識を示しました。また、「雇用と全般的な企業活動はいずれも、パンデミック前の水準を大きく下回ったままだ」とも述べ、「パンデミックの影響から完全に回復するには長い道のりを要し、財政の追加支援が必要だ」と証言しています。ムニューシン財務長官も証言で、「対象を絞ったパッケージが依然として必要であり、政権は超党派合意の実現に備えができていると私は信じている」と述べています。米国では新型コロナウイルスの感染拡大ペースは明らかに鈍化していますが、それでも死者の数は確実に増え、20万人を超えています。

シカゴ連銀のエバンス総裁は、FOMCで導入した新たな枠組みについて、インフレ目標の「平均が何を意味するのか、依然として協議の余地がある」と述べた上で、インフレ率が「平均2%になり始める前に利上げを開始することはあり得る」と述べています。一方パウル議長は、利上げを考えることすら考えていないとの発言を繰り返しています。(ブルームバーグ)エバンス総裁の考えはFOMCメンバーの中ではやや例外的だと思われ、多くのメンバーは今後景気が回復し巡航速度に戻ったとしても、利上げには慎重な姿勢で臨むものと思われます。

トランプ大統領は国連総会で演説を行い、新型コロナウイルスがパンデミックとなった責任を中国に負わせ、同国を罰するべきだと訴えました。トランプ氏は、「ウイルス感染初期に中国は国内の移動を制限しておきながら、国外に向かう航空便を放置し、世界中に感染を広げた。中国政府および、事実上中国が支配する世界保健機関(WHO)は、人から人に感染する根拠はないと虚偽の宣言を行った」と主張。「国連は中国にこの責任を負わせなくてはならない」と、従来からの自身の考えを述べました。一方中国の習主席はトランプ氏の後に放映された事前録画の演説で、名指しを避けながらも、新型コロナに対する国際的な取り組みを「政治化するべきでない」と警告し、「いかなる国も他者の困難から利益を得ることはできない」と、こちらもこれまでの主張を繰り返し述べました。

大統領選が近づく中、自身の存在をアピールする場と捉えているトランプ氏ですが、なかなかバイデン氏との支持率の差は埋まらないようです。来週29日には第1回大統領候補テレビ討論会が行われ、いよいよ直接対決の火ぶたが切って落とされます。株式市場は当然ですが、為替市場もこのディベートの影響を大きく受ける可能性が高いと思われます。本日のドル円は、104円50銭~105円40銭程度を予想します。


ドル円104円台半ばまで続落 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し、NYでは104円53銭までドル安が進む。
株価が軟調な動きを見せたこともあり、この日のNYでは終始
104円台で推移。
◆ユーロドルは反発。ドル安の流れに、1.1853前後まで
ユーロの買い戻しが進む。
◆株式市場は下落。ハイテク株の売りが目立ち、アップルや
マイクロソフトなどが下落。ナスダックは140ポイント
下げ、1万910ポイントに。
◆債券は小幅に上昇。長期金利は0.68%台とやや低下。
◆金は4日ぶりに反落。原油は3日続伸。

◆新規失業保険申請件数           →  86.0万件
◆9月フィラデルフィア連→銀景況指数    →  15
◆8月住宅着工件数             →  141.6万件
◆8月建設許可件数             →  147.0万件

本日の注目イベント

◆日  8月消費者物価指数
◆独   独8月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏7月経常収支
◆英   英8月小売売上高
◆米   第2四半期経常収支
◆米   9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   8月景気先行指標総合指数
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、バーチャル形式の討論会に参加
◆加   カナダ7月小売売上高

ドル円は上値の重い展開が続き、欧州市場に入るとジリジリと値を下げ、
NYでは104円53銭まで売られました。これは7月31日以来となる
ドル安水準です。105円台半ばや、105円前後といった、これまでの
サポートゾーンを次々に突破してきたドル円は、ついにと言うか、ようや
くと言うか、104円台半ばまで水準を切り下げてきました。この104
円台で下げ止まらないと、いよいよ100円台が視野に入って来ることも
考えられます。FRBがゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続
する可能性が高く、一部には2024年前半までの可能性もあると指摘す
る向きもあります。

加えて、米株式市場ではハイテク株を中心に上値が重くなり、利益確定の
売りが出やすい地合いに変わったことも、ドルにとっては重石になりつつ
あります。ナスダックが連日最高値を更新し、1万2056ポイントを記
録したのは、まだ2週間ほど前の9月2日でした、その翌日にダウは一時
1000ドルを超える下げを記録し、ナスダックは5%に迫る下落を見せ
たのは、まだ記憶に新しいところです。この日を境に米株式市場では上値
が重くなり、それまでの株高センチメントが一変しました。特にこれとい
った理由もない中での大きな変化です。ドルの先安感が根強く残る中でも、
なかなかドルが下げなかった理由の一つに、この株高を挙げることができ
ます。
株価の支えがなくなったことで、ドル円はジリジリと下落基調を鮮明にし
てきたとも言えます。米中関係の悪化や米大統領選など、ドル円を取り巻
く環境にはまだ将来のドル安材料が残っています。再び「リスク回避の円
買い」や、「避難通貨としての円買い」といった言葉が息を吹き返すよう
だと、もう一段のドル安の可能性も排除できません。
またテクニカルでも、全ての時間足でローソクが一目均衡表の「雲」の下
に収まっていることは、以前にも指摘した通りですが、「日足」ではドル
円が「三角もち合い」を下抜けした形を見せています。3月9日の101
円18銭を底値とし、2月20日の112円23銭を頂点として右下方に
描ける「三角形」の中で、上値も下値も抑えられていたものが,下抜けし
た可能性が高いと見られます。

イングランド銀行(BOE)は金融政策委員会(MPC)で、政策金利を
0.1%に据え置き、債券購入プログラムを7450億ポンド(約100
兆円)で維持することを全会一致で決めました。同時に、マイナス金利の
導入方法について年内に英健全性規制機構(PRA)と「体系的調整」を
開始する方針も明らかにしました。これにより、BOEがマイナス金利を
導入する準備を本格的に始めたと理解できます。
ポンドドルはこの発表を受け、1.2970レベルから1.2880近辺
まで急落しました。ポンドドルは今月に入ってからはEUとの自由貿易交
渉の行方が不透明なことからジリ安が続いていましたが、マイナス金利導
入の可能性が高まったことに加え、昨日は米国からも貿易を巡る「けん制
球」が飛んできました。米大統領選候補であるバイデン氏はツイッターで、
「北アイルランドに和平をもたらしたベルファスト合意が英国のEU離脱
の犠牲になることは容認できない」と述べ、「米英間の貿易協定はベルフ
ァスト合意を尊重し、厳格な国境管理の復活を阻止することが条件でなけ
ればならない。以上。」と投稿しました。
英国がEU離脱合意の一部をほごにする計画を強行して北アイルランドの
和平を脅かすのであれば、米国が英国と貿易協定を結ぶ可能性はなくなる
と、ジョンソン英首相に対して警告しました。(ブルームバーグ)

ドル円は104円70銭台で推移しています。
東京時間では水準が水準だけにドル買い需要もあるかもしれませが、いつ
ものようにトレンドを決める「主戦場」はNY市場です。
上でも述べたように、ドル安トレンドは継続すると予想していますが、上
記104円20銭を明確に下回れば、102円前後まで目立ったサポート
水準を見つけるのは困難です。それだけに、104円前後は重要な水準を
言えます。

本日のドル円は104円20銭~105円20銭程度と予想します。


FOMC、2023年末までのゼロ金利政策維持を示唆 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はじり安となり、FOMC前には105円を割り込み、
104円80銭まで下落。パウエル議長の会見を受け105円台に
戻す場面もあったが再び104円台に。
◆ユーロドルは1.18台後半まで買われたがその後反落。
1.1788まで売られる荒っぽい動きに。
◆パウエル議長の会見を受けハイテク株が売られ、ナスダックは139
ポイント下落。ダウは小幅に上昇するなど、株式市場の反応はまちまち。
◆債券は小幅に下落。長期金利は0.7%付近まで上昇。
◆金は3日続伸。原油価格はハリケーン「サリー」がメキシコ湾岸に
上陸したことで大幅に続伸。約2週間ぶりに40ドル台に乗せる。

◆8月小売売上高       →  0.6%
◆9月NAHB住宅市場指数  →  83

【本日の注目イベント】

◆豪   豪8月雇用統計
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆欧   ユーロ圏8月消費者物価指数(改定値)
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE議事録
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   9月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   8月住宅着工件数
◆米   8月建設許可件数


ドル円は続落し、7月末以来となる105円割れを示現しました。軟調な
経済指標を受け、ドルはFOMCの結果発表前に104円80銭まで下げ、
FOMCではよりハト派的の姿勢が示されるとの見方が根強く、ジリジリ
と下げる展開でした。FOMCでは予想通り、新型コロナ感染のパンデミ
ックからの米経済回復を支援するため、少なくとも2023年いっぱいは、
ゼロ付近の金利を維持することが示唆されました。

声明文では、「FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため、あらゆ
る手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標を促進す
ることにコミットしている」とし、「期間平均で2%のインフレ率を達成
し、中期的なインフレ期待が2%でしっかりとどまり続けるまで、緩和的
な金融政策スタンスを維持する方針だ」と記され、フォワードガイダンス
が強化された形になっています。
さらに声明文では、今回の決定では8人の委員が賛成し、2人の委員が反
対票を投じた。反対票を投じたのはダラス連銀のカプラン総裁と、ミネア
ポリス連銀のカシュカリ総裁の二人で、カプラン総裁は、経済が最近の出
来事を乗り越え、新たな政策戦略で明言しているように最大限の雇用と
物価安定の目標を達成する軌道に乗っていると委員会が確信するまでは、
現行の目標レンジを維持するのが適切だと想定した。同総裁はしかし、そ
の時点から先は政策金利に関してより柔軟性を保持することが
望ましいと主張した。
カシュカリ総裁は、コアインフレが持続的に2%に達するまで現行の目標
レンジを維持すると見込んでいると、委員会が示唆することを望んだ、と
記されています。(ブルームバーグ)

また会合後の記者会見の席でパウエル議長は、「景気回復は大方の予想よ
り速いペースで進んでいる」と述べ、「今後の道筋は依然極めて不透明だ」
と景気回復の勢い継続に確信が持てないとの認識を示し、さらに「景気回
復の継続を予想する民間の分析は、その大多数が財政による大規模な追加
支援があると想定している」、「約1100万人の米国民が依然失業中で、
追加支援を必要としている」と述べ、財政面からの支援が不可欠との見方
も示しています。

FOMCの結果とパウエル議長の会見を受け、ドル円はやや値を戻す場面
もありましたが、戻りも限定的で今後しばらくは米金利の上昇がないこと
から、ドルの先安感がぬぐえない展開になっています。ドル円は105円
台半ばのサポートを割り込み、さらに昨日は105円前後の重要なレベル
を割り込みました。
本欄でも何度か指摘したように、ドル円はドル安基調が維持され、特に今
週に入ってからは緩やかな下落基調を明確に示し始めています。
2023年末まで現在のゼロ金利が維持され、緩和的な政策が続くとすれ
ば、米国の実質金利がプラスに転じる可能性は低く、ドルの実質的な価値
が低下することは避けられません。今後行われる米大統領選の結果にもよ
りますが、ドルの先安感を払拭するきっかけをなかなか掴めないのが実情
です。
今後は7月31日に付けた直近ドルの安値である104円20銭が意識さ
れる展開が予想されます。ドル円は、ここで踏み留まれるかどうかが、年
末にかけてのドル円の動きにとって大きな意味を持ちそうです。

本日のドル円は104円60銭~105円30銭程度を予想します。


ドル円105円30銭まで続落 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落。FOMCでハト派的な姿勢が示されるとの
観測が引き続き重しとなり、105円30銭までドル安が進む。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.18台半ばを
挟む展開で、FOMCの結果を待つ姿勢が強まる。
◆株式市場は3指数とも揃って続伸したが、ダウは午後に
上げ幅を縮小。ナスダックは133ポイントの大幅高。
◆債券相場は前日に続き小動き。長期金利は0.68%前後に。
◆金は続伸。原油もハリケーン「サリー」が湾岸に接近している
ことを手掛かりに1ドルを超える上昇。

◆9月NY連銀製造業景況指数   →  17.0
◆8月輸入物価指数        →  0.9%
◆8月鉱工業生産         →  0.4%
◆8月設備稼働率         →  71.4%

本日の注目イベント

◆日   8月貿易収支
◆欧   ユーロ圏7月貿易収支
◆欧   欧州委員長、施政方針演説
◆欧   OECD経済見通しの中間報告
◆英   英8月消費者物価指数
◆米   8月小売売上高
◆米   9月NAHB住宅市場指数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見

ドル円は緩やかに続落し、105円30銭までドル安が進んでいます。
明日朝方発表のFOMCでハト派的な姿勢を強めるとの観測が根強く、
ドル売りにつながった模様です。また発表される金利・景気見通しに
ついても、低金利の長期化を正当化する見方になるといった観測もあ
ります。
105円50銭を明確に割り込んだドル円は次に重要な節目である
「105円前後」を試しに行く可能性が高いと見ていますが、FOM
C終了後には「材料出尽くし」で反発することもないとは言えません。
この点には注意が必要ですが、それでも、ドルの戻りは「106円前
後がいっぱい、いっぱい」と予想しています。現在は2023年ごろ
までゼロ金利政策が継続されると見られていますが、これが「202
4年ごろまで」といった見方が台頭するようだと、節目の105円前
後を突破することもあるかもしれません。
政策発表は明日の朝方3時に行われる予定です。

米国務省による中国ファーウェイに対する半導体輸出規制が昨日、1
5日から発効されました。この規制により国内の半導体メーカーにも
その影響が及び、今朝の経済紙はその規模が「1兆円」にも達すると
報じています。米国の中国に対する制裁の一環ですが、これにより、
「多国間貿易が自由にできる時代は終わり、米中2つの国家が設ける
規制とルールの中でビジネスをする」(日経新聞)ことになり、グロ
ーバル企業にとって、地政学的リスクがますます意識される時代にな
りそうです。
一方でWTOは、2018年に米国が中国製品を対象に課した関税は
国際ルールに違反しているとの
判断を下しました。トランプ政権が対中貿易戦争のよりどころとして
きた主張を退けた格好になりましたが、米通商代表部(USTR)は
この判断を批判し、中国との貿易合意の第1段に影響しないと言明し
ています。中国商務省は今回の判断を高く評価しています。
また、この判断に対して米政府は上訴が可能だとブルームバーグは伝
えています。

菅自民党総裁は今日の午後開かれる臨時国会で首相に選ばれる予定で
す。既に閣僚の名前も挙がっており、それを見る限り「個人的には高
揚も期待」もありませんが、規制改革の一つとして挙げられている携
帯電話料金の引き下げは歓迎されているようです。首相就任演説での
新たな政策に期待をしていますが、どうでしょう。為替にはほとんど
影響はないと見られます。
本日のドル円は上述のように、105円前後が維持されるかどうかが
ポイントになります。

予想レンジは104円80銭~105円80銭程度といったところで
しょうか。


ドル円2週間ぶりに105円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は下落し、2週間ぶりに105円55銭を付ける。
本日から始まるFOMCでハト派的な姿勢が示されるとの
見方からドル売りが優勢に。
◆ユーロドルはやや上昇し、1.1888までユーロ高が
進む。
◆株式市場は3指数とも揃って大幅に上昇。大型のM&Aが
好感され、新型コロナに対するワクチン開発進展の動きも
株価の上昇を後押し。ナスダックは203ポイント上昇し、
1万1000ポイント台を回復。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は0.67%台で推移。
◆金は反発し、原油価格はほぼ変わらず。

本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆中   中国8月小売売上高
◆中   中国8月鉱工業生産
◆独   独9月ZEW景気期待指数
◆欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
◆英   英8月失業率
◆米   9月NY連銀製造業景況指数
◆米 8月輸入物価指数
◆米   8月鉱工業生産
◆米   8月設備稼働率
◆米   第75回国連総会(NY、30日まで)
◆米  企業決算 → アドビ、フェデックス

106円台前半で推移していたドル円は2週間ぶりに105円55銭まで
売れられています。特に目立ったドル売り材料が出たわけでもなく、本日
から始まるFOMCで、よりハト派的な姿勢が示されるのではないかとの
観測が強まり、ドルが主要通貨に対して下落しています。昨日のこの欄で
も触れたように、105円ミドルから106円ミドルの狭いレンジの中、
どちらを抜け切るのかが焦点でしたが、市場予想通りFOMCで現在の
「ゼロ金利政策」がより長期にわたって維持されるといったメッセージが
発せられるようだと、ドル円は緩やかに下落していく
可能性が高いとみられます。


EUは14日、中国首脳とテレビ会議を開き、その中で香港情勢などに懸
念を示し、中国に対する圧力を強める姿勢を示しました。
会合には中国からは習近平主席も出席し、EU側からはミシェルEU大統
領、フォンデアライエン欧州委員長、さらに議長国ドイツのメルケル首相
も出席しました。習近平主席は「中国とEUは戦略的パートナー関係をぶ
れずに安定的に発展させるべきだ」と述べ、対米関係が悪化している中、
EUとの良好な関係を維持したい考えをにじませています。フォンデアラ
イエン欧州委員長は会談後、「投資協定を結ぶ価値があると、中国はEU
を納得させなければならない」とし、「中国の行動を求めている」と述べ
ています。EUは中国との経済的結びつきが強く、ドイツは主要輸出の半
分以上が中国向けといった現状ですが、米国が中国包囲網を強めている中、
EUも徐々に中国関係の修正をせまられているようです。

菅氏は昨日の自民党総裁選で圧勝し、新総裁に決まりました。結果につい
ては予想された通りで、驚きはありませんが、16日の首班指名を経て新
しい首相に就任します。新型コロナウイルスが拡大する中でも、経済活動
を維持し発展させなければならないという、難しい課題に立ち向かうこと
になります。これまでの発言では、規制改革に本腰を入れていくという以
外に、これといった目立った政策はありませんが、首相就任演説では「目
玉の政策」を打ち出すのかもしれません。菅氏は、全体的にみれば「無難」
な政策運営を行っていくと見られ、個人的には「可もなく不可もなく」と
いった印象です。いいかどうかは別にして、今回敗れた石破氏のような個
性は感じられないといったところです。「外交が苦手」といった前評判を
払拭するのに懸命でしたが、安倍首相のような「外交三昧」は少なくとも
ないのでしょう。これで仮にバイデン氏が米大統領選挙で勝利すれば、
「シンゾウ・ドナルド」に変わる、新たな「ヨッシー・ジョー」が生まれ
るかもしれません。

ドル円は、これまで何度も予想し、ここでも述べていたように、再び10
5円台半ばまで売られ、やや下値を試す展開に傾いたように思えます。
105円50銭と、その下方の105円前後が重要な節目であることは変
わりがありませんが、FOMCを前に動き出したところに、これまでとは
何か異なるような気もします。もっとも、今後さらにドル安が進むとして
も緩やかなものになりそうです。菅氏も、為替については円高を避けたい
との考えを持っているようです。

本日のドル円は105円20銭~106円10銭程度を予想します。


米ナスダック続落 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は106円台前半で小動き。値幅も20銭に届かず、
今週行われるFOMCの結果を見たいとする雰囲気に。
◆ユーロドルも小動き1.1858までユーロ高が進み、
ドルが軟調な展開に。
◆株式市場はまちまち。ダウは131ドル上昇したが、
ナスダックはハイテク株が軟調となり、66ポイント安。
◆債券は買われ、長期金利は0.66%台に低下。
◆金は反落し、原油はほぼ横ばい。

本日の注目イベント

◆日   7月鉱工業生産(確定値)
◆日   自民党総裁選、投開票
◆欧   ユーロ圏7月鉱工業生産
◆欧   OPEC月報

米株式市場は引続きハイテク株の動きが大きく、荒っぽい展開が続いていますが、
為替市場では材料不足から値幅の出ない、静かな動きになっています。
先週末のNYは特に動きがなく、今週16日(水)のFOMCを見極めたいとす
る雰囲気が強く、ドル円は16銭程度の値幅に留まっています。
一方、一時は1.20台を達成し、その後は利益確定の売りや、ECB高官によ
るユーロ高をけん制する発言に、1.17台半ばまで売られたユーロドルは1.
18台半ばまで反発してきました。しかし、ラガルドECB総裁など、ECBか
らはユーロ高を懸念する発言が出やすく、再び1.2台に乗せて来るのかは微妙
は状況です。

ユーロドルはここ1カ月ほど、1.17台半ばがサポートとして機能しており、
下値が底堅いのも事実で、景気回復に伴うユーロ高が期待できるものの、こちら
もなかなか読みにくい展開になっています。ラガルド総裁は13日、「物価安定
の目標達成において、今も将来も油断は許されない」と、アラブ諸国の中銀総裁
や金融当局との会合で述べ、「最近のユーロ相場上昇で金融政策のインフレ押し
上げ効果が一部相殺された」と指摘し、必要とあれば政策手段の全てを調整する
用意がECBにはあると表明しました。
ドイツを中心に景気回復基調が鮮明になってきたユーロ圏の景気にとって、ユー
ロ高がさらに進むと、自動車産業など輸出企業にとっては「逆風」となるばかり
ではなく、ユーロ高は輸入物価を押し下げ、
ECBの目標である「インフレ率2%」という物価目標の達成にも「逆風」にな
ります。もっとも、このところのユーロ高は、ユーロ圏の景気回復基調というフ
ァンダメンタルズの改善だけによるものではなく、ドル安の影響による側面も無
視できません。米国の金融緩和の長期化により、為替市場では「ドルの先安感」
が拭いきれず、投機筋を中心に「ドル売り・ユーロ買い」の動きが活発になって
いました。ドル円で思ったほど円高が進まないのも、こうした動きの影響もあり
ます。

自民党は本日午後に両院議員総会を開き、総裁選の投開票を行います。
地方票でもトップを走っている菅氏の総裁就任はまちがいないと思われ、本日午
後3時半ごろには投票結果が判明し、新総裁は夕方以降に記者会見するようです。
16日には「首班指名」が行われ新しい首相が決まりますが、焦点は閣僚人事か
と思います。代わりばえしないような結果なら、新政権への期待もしぼみ、一向
に収まらない新型コロナウイルスと相まって、景気回復への希望も盛り上がらな
いことになりそうです。菅氏は昨日のNHKの番組で、「役所の縦割り、既得権
益、悪しき前例主義を打破し、規制改革を進める」と述べています。

米ファイザー製薬のブーラCEOは、米国ではワクチンが年内に一般向けに配備
される「可能性が高い」と発言し、そのシナリオに備えて準備しているようです。
新型コロナを巡る見通しに楽観的な見方が戻ってきたと、ブルームバーグは報じ
ています。本日のドル円は大きな動きはないと予想されます。

105円80銭~106円50銭程度といったところでしょうか。


NY株4営業日ぶりに大幅反発 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • NY株が大幅に反発し、長期金利も上昇したことでドル円も106円28銭まで反発。

  • ユーロドルは1.18を挟んでのもみ合い。本日のECB理事会での政策変更はないと見られるが、ラガルド総裁の発言は注目される。

  • 株式市場は4日ぶりに大幅反発。大きく売られたIT株が買い戻され、ダウは439ドル高。他の主要指数も揃って大幅に上昇。

  • 債券は反落。長期金利は0.7%前後まで上昇。

  • 金は続伸し、原油は反発。

本日の注目イベント

    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
    米 新規失業保険申請件数
    米 8月生産者物価指数

ドル円は昨日の夕方には日本株の下落と相まって、105円79銭まで売られる場面もありましたが、そこをボトムにNYでは106円28銭まで反発しました。言うまでもなく、連日大きく売られてきたNY株の大幅反発が材料でした。特にアマゾンやアップルなどIT株が大きく買い戻され、「押し目買いが入った」とのコメントが多かったですが、新型コロナワクチンを巡る報道も株価反発に一役かったようです。

新型コロナに対するワクチン開発では、世界で最も早く実用化されると見られていた英アストラゼネカとオックスフォード大学のワクチンでしたが、臨床試験で同ワクチンを投与された英国の女性一人にTMと呼ばれる神経系の疾患が発現し始めたことで、同社はワクチン試験を中断すると発表していました。英フィナンシャルタイムズ(FT)は、アストラゼネカ社が臨床試験を来週初めにも再開する可能性があると報じ、これが株式市場のセンチメントを明るくしたようです。同社の株はロンドン株式市場で上昇しています。

NY株がようやく反発に転じたことで、やや安心感も出て来ました。本日の日経平均株価も上昇すると思われますが、これで「株価の調整は終わった」かどうかは分かりません。個人的には昨日もこの欄で述べたように、上昇の流れは変わっていないと考えてはいますが、まだ安心するには早いと思われます。アマゾンなどIT株の中には、年初から7割ほど上昇し、今回の調整で2割程度下げたにすぎないものもあります。言い換えれば、多くの機関投資家はまだ含み益を抱えています。株価が再び調整モードになれば、再び利益確定の売りに転じる可能性があります。著名投資家のドラッケンミラー氏はCNBCとのインタビューで、「市場は猛烈な高揚感に包まれており、インフレ高進が大きな脅威になっている」と語り、「インフレ率は向こう4、5年の間に5-10%に達する可能性がある」との見方を示しました。また、「誰でもパーティーは好きだが、盛大な宴の後には必ず二日酔いになるものだ」と語っています。(ブルームバーグ)なかなか「名言」ですが、かつてバブルの頃にも「音楽が鳴っている間はパーティーをやめられない」
といった言葉があったことを思い出しました。

米大統領選に向けて、いまいち具体的な政策が不透明なバイデン氏でしたが、9日ミシガン州ウォーレンにある全米自動車労組(UAW)の施設の外で演説を行い、「海外に業務を移す企業に10%の税を上乗せし、国内で雇用を生み出す企業には10%の税額控除を行う」という案を発表しました。さらにアメリカを偉大にし、ミシガンを偉大にしようと訴えました。ただ、この内容はトランプ氏の「専売特許」で、パクリの感は否めません。少なくとも、トランプ氏との政策の大きな違いは感じられません。第1回大統領候補テレビ討論会は今月29日に予定されていますが、ここでは政策の違いは、はっきりしてくると思います。

本日はECBの理事会です。金融政策の変更はないと予想されていますが、今朝のブルームバーグは、匿名を条件とした当局者の一人の話として、ECBは域内の景気回復には自信を深めており、年内の追加緩和の必要性が後退する可能性があると伝えています。個人消費が予想以上に良好で、今年のGDP予測が上方修正されるとの見方も示しているようです。追加緩和の可能性後退はユーロの上昇圧力になります。ユーロドルは今月1日に1.2の大台を達成し、その後軟調な展開が続いています。今朝の経済紙では、「ユーロ高、終幕の足音」とのヘッドラインで、ECBがさらなる追加緩和に踏み込む可能性を挙げ、ドル安を背景としたユーロ高が弱まりつつあるとの記事を載せています。ブルームバーグの記事とは真逆の内容ですが、個人的にはユーロ高の流れは不変と考えており、ECB高官がユーロ高をけん制したことが、足元でユーロが軟調に推移している最も大きな理由だと思っています。

本日のドル円は105円80銭~106円60銭程度と予想しますが、上で述べたように、ECBの理事会後のラガルド総裁などの発言により、ユーロドルがどのような動きを見せるかがポイントになりそうです。

米ナスダック大幅続落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 106円台で推移していたドル円は、米国株の大幅な続落を受け、リスク回避の円買いが優勢となり、105円87銭まで下落。

  • ユ―ロドルはドル安の流れから買われたものの、上値は重く、1.18台に乗せるのが精一杯。明日のECB理事会を控え、ユーロ高をけん制する発言への警戒感が重石に。

  • 株式市場は大幅に売られ、3営業日続落。ナスダックはハイテク株が軒並み売られ465ポイント下落。これで直近高値から10%以上下げ、調整局面入りしたとの声も。

  • 株価の大幅下落に債券価格は上昇。長期金利は0.67%台へと低下。

  • 金は4営業日ぶりに反発。原油は景気低迷が長引くとの見方から3ドル超える大幅安に。

本日の注目イベント

  • 豪 9月NAB企業景況感指数
  • 中 8月消費者物価指数
  • 中 8月生産者物価指数
  • 加 8月住宅着工件数
  • 加 中銀政策金利発表

昨日この欄でも指摘したように、3連休明けのNY市場で連休前から「調整色」の強まっている株式市場が切り返して上昇基調に戻れるのか、あるいはさらに下落して本格的な「調整局面入り」への歩みを進めるのかが焦点でしたが、結果は後者でした。

NY株式市場では前日トランプ大統領が「中国とのデカップリングも辞さない」と発言したことが蒸し返されたことや、さらに米議会では追加の景気対策を巡る攻防が激しさを増していること。またトランプ政権が、中国当局がイスラム教徒のウイグル族を抑圧しているとして、中国・新疆ウイグル自治区の企業3社から製品輸入禁止を発表したことなどが材料視され、大幅続落につながったようです。昨日は特に電気自動車メーカーの「テスラ」が大きく売られ、上場以来最大の値下がりとなる21%安で引けています。ハイテク株の割合が多いナスダック指数は、先週2日には最高値「12,056ポイント」で引けていましたが、昨日の下げで高値からの下げ幅は10%を超えています。一般的には高値から10%を超えて下げると「調整局面入り」と考えられ、これまで順調に上昇を
続けてきたアマゾンやアップルなどのハイテク株が、ある程度の期間調整を続ける可能性があります。この欄でも何度か述べてきましたが、業績からは説明がつかない程上昇してきたハイテク株にも、ようやく「試練」が訪れた格好です。株価の大幅安を受け、ドル円は106円台を割り込み、105円87銭まで売られ、ユーロ円などクロス円でも円高が進んでいます。

昨日は原油価格も大幅に売られています。WTI原油価格は3ドルを超える下落です。アジアで消費の回復が失速していることや、OPECプラスによる供給増から、相場に短期的な暗い見通しが示唆された(ブルームバーグ)ことが背景です。WTI原油価格は36ドル台後半まで下げ、約3カ月ぶりの水準を付けました。円が買われ、米国債も買われ、リスク資産の株価が調整色を強めるなど、「リスク回避モード」が色濃くなってきました。ただ、恐怖指数と言われる「VIX指数」は上昇しました。それでも足元では「31.46」と、危険水域と言われる「20」を超えていますが、それほど目立った上昇は見せていません。今年3月の「コロナショック」時には、「82.67」まで上昇した経緯があります。警戒感は必要ですが、ドル円やゴールド、あるいは上記「VIX指数」の水準を考えると、まだ一気にリスク回避モードに突入するとは思えず、いましばらく各市場の動きを注視したいところです。

ドル円は過去3カ月の間、「日足」ではローソク足が雲を明確に上抜けしたことはありません。従って、まだドルの上値が抑えられる展開が続いていると見られます。一方で目先の下値のメドと見られる105円50銭を、8月末以来割り込んでいないのも事実です。
本日は日本株も相当下げがきついと思われ、105円50銭が抜けるかどうかが一つの焦点です。今週全体を通して、NY株がどこで下げ止まるのか、あるいは一段の下げを見せるのかと共に、本格的なリスク回避の動きにつながるのかを意識して見極めたいと思います。また米議会で紛糾している追加の景気刺激策の行方には注意が必要です。追加の景気対策案がまとまれば、株価反発のきっかけになる可能性があるからです。マコネル共和党上院院内総務は従来の規模を縮小した法案を提出し、「週内にも本会議での採決を実施するため今日中にすぐ動く」と語り、議会での採決に意欲的な姿勢を示しています。本日のドル円は105円50銭~106円30銭程度を予想します。


ドル円NY休場のため106円台前半で小動き 

ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場


  • ロンドン市場では軟調に始まったドル円が緩やかに上昇。106円33銭近辺までドルが買い戻されたものの、NY市場が休場だったため、その後は動かず。

  • ユーロドルも緩やかに下落。1.1811まで売られたが、動意に欠けた。

本日の注目イベント

  • 豪 8月NAB企業景況感指数
  • 日 7月貿易収支
  • 日 7月国際収支
  • 日 4-6月GDP(改定値)
  • 日 8月景気ウオッチャー調査
  • 独 7月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏4-6月期GDP(確定値)
  • 米 7月消費者信用残高

NY市場が「レーバーデー」で休場のため、為替市場は小動き。ポジション調整に終わった感があります。ドル円は昨日の東京時間では、上値が重くジリジリと売られる展開でしたが、欧州市場が開く夕方5時ごろからはドルが緩やかに買われ、106円33銭まで上昇しています。また、ユーロドルも同じような動きを見せ、全体としてドルがやや強含む展開でした。

トランプ大統領は7日、米国と中国との経済関係を制限する意向だと述べました。会見では、「デカップリングであろうと、すでに行っているような大規模関税の導入であろうと、われわれは中国への依存を終わらせるつもりだ」と明言しました。また「われわれは重要な製造品を米国内で生産し、米国に雇用を戻す」とし、「米国を捨てて中国などで雇用を創出する企業には関税を課す」とも述べています。これは大統領選を前に、バイデン氏との政策の違いをアピールしたものと受け止められますが、仮に再選を果たせば、2期目に取り組む課題の一部であることを示唆したものとも思われます。トランプ氏はバイデン氏のことを「中国に言いなりになる人物だ」と批判しました。(ブルームバーグ)

米大統領選は残すところあと2カ月を切っており、縮小傾向にあったトランプ氏とバイデン氏の支持率の差が、直近では再び拡大してきたとの調査もあります。世論調査を手がける「ファイブサーティエイト」の7日時点の選挙予想モデルによれば、11月の米大統領選で民主党候補のバイデン氏が勝利する確率は71.1%となっており、選挙人538人のうち334人を獲得して勝利すると予想されています。また、トランプ氏が再選を果たす確率は28.4%だそうです。今月末ごろには第1回の「大統領候補テレビ討論会」が行われる予定です。直接会うのはこれが初めてのこととなり、激論が交わされる模様ですが、具体的な政策となると、
現役有利と言われており、バイデン氏がどこまでトランプ氏との違いをアピールできるのか注目されます。特に対中国政策では、バイデン氏側には不透明な部分も多く、強硬策を掲げているトランプ氏がこの点をさらにアピールするようだと、バイデン氏が「弱腰」と見られ、不利になることも予想されます。為替市場も株式市場も今後さらに両候補の発言に反応し、ボラティリティも高まって来ると思われます。

本日のドル円は3連休明けのNY市場が「主戦場」でしょう。焦点はNY株式市場の動向です。引き続き、「調整局面」が続くのか、あるいは「元の鞘」に戻って、上昇傾向を維持できるのかが注目されます。もっとも、今日1日で見極めがつくものでもなく、今週を通じての動きが重要になってきます。昨日の欧州株式市場は、英FT,独DAX,仏CACは共に上昇しており、特に英独では2%を
超える上昇で引けています。本日のドル円は105円90銭~106円70銭程度を予想します。


米8月失業率は8.2%に改善 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 8月の雇用統計が良好だったことや、長期金利の上昇にドル円は106円50銭まで買われた。ただその後は株式市場が続落したことからやや軟調な展開となり越週。

  • ユーロドルは1.1781まで売られた後、1.18台半ばまで反発。

  • 株式市場は続落。ダウは大きく値を下げたが引け値では159ドル安。アマゾンやアップルなどが売られたことでナスダックも続落。

  • 債券は大幅に反落。長期金利は0.71%台を回復。

  • 金と原油はともに3日続落。

本日の注目イベント

  • 日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 中 8月外貨準備高
  • 中 8月貿易統計
  • 独 7月鉱工業生産
  • 米 NY休場(レーバーデー)

8月の雇用統計では失業率が大幅に改善して。8.4%まで低下しましたが、非農業部門雇用者数は137.1万人と、市場予想を下回っています。雇用者数の増加は続いているものの、増加の勢いは鈍化しているようです。ドル円は雇用統計を受けてドル買いで反応し、106円50銭まで買われましたが、そこを天井にやや軟調に推移しています。前日も同じようにドルが買われた際に、同水準をトップに反落しており、106円台ミドルがやや「壁」になりつつあります。低金利が当分継続されるとの見方が基本となり、依然としてドルの先安感が優勢な状況の中、機関投資家や輸出業者はドルの戻りを売る姿勢を維持していることが背景だと思われ、「最早このレベルでドルを売る必要はない」といった共通の認識が出来るには、まだまだ時間がかかり、状況の急劇な変化を必要とします。

米株式市場が先週木曜日から突然変調をきたし、金曜日も続落しています。これまでの上昇基調にやや変化が出てきたことから、「大幅な調整局面の始まりの第一歩」と見る株式専門家も出てきたようです。金融政策や外部環境に特段目立った変化があったわけではありませんが、過去の大幅な調整局面でも、このように「はっきりとした下落要因がない中」なんとなく下げ、気が付けば、大きな下落幅になっていたことは何度かあります。一方で強気の専門家は今回の下落を「健全な調整」(Health y Correction)と呼び、一時的なものであるとの見方を示しています。個人的には、これほど上昇していたことから、後者の見方に組みしたいと思いますが、注意は必要です。アマゾンやアップルなどIT株が連日上場来高値を記録しましたが、その背景には「ソフトバンクグループ」のデリバティブ取引があったと英FT紙が報じています。将来決まった値段で株を買う権利である「コール・オプション」40億ドル(約4250億円)を数カ月かけて積み上げ、株価大幅上昇の一因になっていたと報じています。

パウエルFRB議長は4日、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)とのインタビューで、8月の雇用統計が良好な内容だったものの、米経済の新型コロナウイルスからの回復は今後長い道のりとなり、金利が長期間低水準にとどまるだろうと述べています。
議長は、「今日発表された雇用統計は良いものだった」としながらも、「完全雇用に戻るには新型コロナを収束させる必要がある」と述べ、金融政策については「われわれは米経済が長期間低金利を必要とすると考える。それは経済活動を支援する」と指摘しました。また、米国株の水準にはコメントしたくないと答えましたが、FRBの緩和政策が株価のバブルにつながっているとの見方には否定的な見解を示しています。(ブルームバーグ)

ドル円は上値が重いながらも底堅い動きが続いています。引き続きユーロドルの動きがカギの一つではありますが、上で述べたように、米株式市場の動きにも注意が必要です。上値は上記106円50銭前後を明確に超えていけるかどうかです。日本の次期首相も菅氏で決まりでしょうから、政策に大きな変化はなく、アベノミクスならぬ、「スガノミクス」をぶち上げる可能性もないとは言えません。このため、日本の政局不安による為替への影響はないと思われます。本日のドル円は105円90銭~106円70銭程度を予想します。


NYダウ下落。一時1000ドルを超える 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上昇し、朝方には106円55銭まで買われたが、
NY株の急落と長期金利の低下に106円近辺まで押し戻される。
◆ユーロドルは続落し欧州時間には1.18台を割り込む。
NYでは1.18台前半から半ばで推移。
◆株式市場は大幅安。ダウは一時1000ドルを超える下げを見せ、
引け値では807ドル安。このところの上昇をけん引してきた
アマゾンなどGAFAも利益確定の売りに押され大きく下げる。
◆債券相場は5日続伸。長期金利は0.63%台へと低下。
◆金と原油は続落。

◆新規失業保険申請件数      →  88.1万件
◆7月貿易収支          →  -636億ドル
◆8月ISM非製造業景況指数   →  56.9

本日の注目イベント

◆豪   豪7月小売売上高
◆独   独7月製造業新規受注
◆米   8月雇用統計
◆加   カナダ8月就業者数
◆加   カナダ8月失業率

昨日のコメントの最後で、ドル円は106円台半ばを超える可能性があると指摘
しましたが、NY市場では朝方に106円55銭までドル高が進んでいます。
そこまでは良かったのですが、株式市場の急落により「リスク回避の円買い」が
復活し、106円前後まで押し戻されました。
ユーロドルも一時は1.18台を割り込み、欧州市場の朝方には1.1790ま
でユーロが売られました。これまで一貫して買われて来たアマゾンやアップルな
どIT株が大きく売られ、ユーロが売られ、円が売られ、ドルが買い戻されてい
ます。結局これまでの一連の動きの巻き戻しということになります。
これを「利益確定の売り」と市場は呼んでいます。上がり続ける相場はありませ
ん。

NY株式市場での株価の大幅下落も予想の範囲内です。
ナスダック指数は、1日で1000ポイント下落してもおかしくはないと、考え
ていました。なぜなら来週月曜日、米国は「レーバーデー」のため祝日となり、
3連休です。連休中に何があるかわからないため、投資家は一旦「利益の一部は
確保しておきたい」と考えるのは極めて自然です。
筆者は本日、週末のNYでは大幅な下げがあるかもしれないと読んでいましたが、
昨日起きてしまいました。従って、今夜のNYではさらに下げるのか、あるいは
昨日の動きで調整は終わったのか、これは判りません。
今夜は雇用統計も発表されることもあり、予想ほど雇用の回復が進んでいないと
いう状況が確認できるようだと、昨日の動きの「再現」もありそうです。事前予
想では、雇用回復の足どりは重いと見られています。

それでも、昨日発表された新規失業保険申請件数は88万1000件と、3月第
3週以来の100万件割れで、ここを見る限り企業の再雇用はサービス業を中心
に回復基調にあるように思えます。また米供給管理協会(ISM)が発表した8
月の非製造業景況指数は予想を下回ったものの、内訳を見ると、雇用指数は前月
の「42.1」から「47.9」と上昇しており、6カ月ぶりの高水準でした。
ここでもサービス業では再雇用の動きが継続されていることが分かりますが、I
SMの委員長は、「経済活動が再開する中、回答者のコメントは大部分が楽観的
で、業況や経済に対する見方は業界によってばらつきがある、まだ再開していな
い業界は、足元の不透明性を引き続き不安に思っている」と説明していました。

シカゴ連銀のエバンス総裁は3日バーチャル形式のイベントで、「党利党略の政
治が、財政による追加の支援策を危機にさらしている」と、追加の景気対策を巡
って対立している議会を批判し、「行動の欠如または不足は、現在の経済情勢に
極めて大きな下振れリスクとなる」と述べています。
総裁は、「ウイルスのコントロールが着実に進展し、財政による追加支援が行わ
れたとしても、経済が打撃から回復するにはある程度の時間がかかるだろう」
との認識を示し、失業率は2020年末になっても5-5.5%のレンジに留ま
るとの見方を示しました。(ブルームバーグ)
エバンス総裁はもともとハト派の代表格の1人ですが、仮に同総裁の「見立て」
が正しいとすれば、今後米国の「ゼロ金利政策」は長期にわたって継続されるこ
とになり、株価にとってはプラスに働きます。その結果、景気は元に戻らない中
でも株価の上昇が続き、ドル安傾向が続くのではないかと、個人的には「見立て
て」いる状況です。

先週0.75%台まで上昇した米10年債利回りは、0.63%台まで低下して
きました。言うまでもなく、FRBがインフレ目標を変更したことによる影響が
大きいと思われます。一方で、米議会予算局は20年度の連邦政府債務は前年度
の3倍となり、過去最悪の26兆ドル(約2756兆円)に膨らむとの予想を発
表しました。新型コロナウイルスの感染拡大による景気への落ち込みを阻止する
ための財政出動が大きく、GDP比でも126%に達するようです。この比率は
主要国では日本、イタリに次ぐ水準で、米国の「日本化」がジワジワと進行して
います。単純には言えませんが、米金利が1%上昇したら、金利負担だけでも2
7兆円増えることになります。このことは日本についても言えますが、日米財政
当局は金利上昇を嫌うことになるのでしょう。

本日のドル円は105円50銭~106円50銭程度と予想します。


ユーロドル続落し、1.18台前半に 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動きの中106円台前半で推移。
ユーロドルでのユーロ売りもあり、ドル円は
106円30銭まで買われる。この日は総じて
ドルが底堅い動きを見せる。
◆ユーロドルは続落。利益確定の売りに押され、
1.1822と、直近高値から200ポイント余りの
下落に。
◆株式市場は大幅に続伸。自動車販売や雇用などが前月よりも
改善していたことでほぼ全面高。ダウは454ドル上げ、
2万9000ドル台を回復。ナスダックとS&P500は
最高値を更新。
◆債券相場は4日続伸。長期金利は低下し、0.64%台に。
◆ドル高の影響から金は大幅に下落。原油も大幅に反落し、
41ドル台に。

◆8月ADP雇用者数   → 42.8万人

本日の注目イベント

◆豪   豪7月貿易収支
◆中   中国8月財新サービス業PMI
◆中   中国8月財新コンポジットPMI
◆欧   ユーロ圏7月小売売上高
◆欧   ユーロ圏8月総合PMI
◆欧   ユーロ圏8月サービス業PMI
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  7月貿易収支
◆米   8月ISM非製造業景況指数
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演(オンライン)
◆加   カナダ7月貿易収支


米株式市場が一段と上昇し、ブルームバーグは「未知の高値圏」というヘッドライン
で報じています。ダウは一時500ドルを超える上昇を見せ、この日は出遅れ株が主
役となり、引け値では454ドル高。ナスダックはついに1万2000の大台を記録
し、S&P500と共に連日の最高値更新です。一方、為替市場ではユーロドルの下
落が目立ったものの、大きな動きはありません。ユーロドルは特に目立った材料がな
い中、1.1822前後まで売られ、これで今週火曜日に記録した1.2011前後
の高値からは200ポイント程の下落になります。利益確定の売りとのことですが、
この大幅下落で「2時間足」までの短期的なチャートではすでに売りシグナルが点灯
しています。1.17台が下値の重要なサポートと見ていますが、ここを割り込むよ
うなら、ユーロドルに対して強気としていても、注意が必要になるかもしれません。

ドル円はNYでは20銭ほどの値動きで、動意が見られません。
「思った以上に底堅い」というのが正直な感想ですが、昨日、自民党総裁選に菅官房
長官が出馬宣言を行ったことから、菅氏の次期首相の可能性が非常に強まっていま
す。これまで、安倍政権でともに政策運営に携わってきたことから、「安定感」があり、
日本の株式市場にとっても、少なくとも「売り材料」にはならないでしょう。
次期首相に選ばれれば、任期は2021年9月ですが、解散する可能性もあり、菅氏
が、必ずしも「ピンチヒッター」や「つなぎ」ということにはならないかもしれませ
ん。菅政権が思った以上の長期政権になることもないとは言えません。

NY連銀のウィリアムズ総裁は2日バーチャル形式のイベントで講演を行い、インフ
レ率が一定期間の平均で2%を超えるという政策変更により、「低い中立金利と根強
い低いインフレに引き起こされた問題に、直接的かつ効率的に対処できる」と述べ、
「これらの変更は相互に補強し合い、極めて低い中立金利の環境において、当局の2
大責務を達成する能力を大きく高める」と指摘しました。(ブルームバーグ)
FRBが2%を超えるインフレ率を容認し、目標を短期的な2%超えではなく、平均
的な2%超えにシフトしたことで、市場では現行の「ゼロ金利政策」は2023年ま
で続くとする見方が支配的になりつつあります。

米国務省は米国駐在の中国外交官に新たな制限を発表しています。
新規則では中国上級外交官は大学のキャンパス訪問や、地方公務員との会合に際して
承認を得る必要があります。大使館や領事館の敷地内で開かれ、訪問客が50人を超
える中国主催の文化イベントにも、開催には承認が必要となるものです。
ポンペオ国務長官は会見で、「米国は単に互恵を求めているだけだ」と述べ、中国が
制限をなくせば米国も取り下げる可能性を示唆しています。「中国駐在の米国外交官
が受けている扱いは、在米中国外交官の扱いと同一であるべきだ」と話しています。
(ブルームバーグ)

本日のドル円は東京時間では堅調に推移すると予想しています。
これまでは、106円台で帰って来ても、東京時間では株価の上昇を横目にドルがジ
リジリと値を下げる展開が続いていました。
本日は日本株の上昇も見込める中、ひょっとしたら株価と同じ動きを見せるかもしれ
ません。朝8時半時点でも106円20銭台で推移していることが、それを示唆して
いると見ています。106円50銭が抜けるかどうかが、目先の焦点です。

予想レンジは105円90銭~106円70銭程度でしょうか。


ユーロドル2年4カ月ぶりに1.20台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日とほぼ同じ水準で推移。良好な経済指標に
ドルが買われ106円15銭まで上昇したものの、米金利の
低下に上値が抑えられる。
◆ユーロドルは続伸し、2018年5月以来となる1.2台に
乗せる。1.2014まで上昇した後、達成感とECB高官の
発言から反落。
◆株式市場は反発。ダウは215ドル上昇し、ナスダックと
S&P500は最高値を更新。
◆債券は続伸。長期金利は0.66%台へと低下。FRB理事の
発言が買い材料に。
◆金は小幅ながら3日続伸。原油は反発。

◆8月ISM製造業景況指数           →  53.1
◆8月マークイット製造業PMI(改定値)    →  56.0

本日の注目イベント

◆豪   豪4-6月期GDP
◆欧   ユーロ圏7月生産者物価指数
◆英   ベイリー・BOE総裁ら、議会委員会に出席
◆米   8月ADP雇用者数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインセミナーで講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演(バーチャル形式)
◆米   デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演


8月のISM製造業景況感指数は「56.0」と、今年最も良好な数字でした。
これで3カ月連続で節目の「50」を上回りました。特に新規受注の伸びが
「67.6」と好調で、全体を押し上げた格好になっています。一方、雇用は
「46.4」と、依然として「50」を下回っており、製造業における人員削
減が続いていることを示しています。

ブレイナードFRB理事はバーチャル形式のイベントで講演し、「今後数カ月
は、金融政策が安定から緩和的に転換することが重要になろう」と述べ、新型
コロナウイルスの感染拡大からの米国の回復を支えるため、金融当局と財政当
局の両方からの支援継続を呼びかけました。また、先週2%を超えるインフレ
目標を容認する姿勢を見せたFRBの金融政策についても、平均的に2%を上
回る物価目標を目指す旨の発言を行っています。この発言を受け、債券が買わ
れ長期金利が低下したことから、ドル円はやや軟調な展開となっています。追
加の景気対策の規模を巡って対立が続いている議会でも、メドウズ米大統領首
席補佐官がCNBCで「上院共和党は約5000億ドル(約53兆円)規模の
法案を来週提示する可能性がある」と語り、一部民主党議員との協議が進展し
ていることを示唆しています。株式市場ではこの発言を好感し、ダウは大きく
反発し、ナスダックとS&P500は最高値を更新しました。
特にナスダックは6月末に1万ポイントの大台を達成しましたが、アマゾンやア
ップルなど、IT株が上昇をけん引する形で1万2000ポイントも視野に入
ってきました。金余りに加え、コロナの影響による「すごもり効果」だけでは
説明できない水準と、言えなくもありません。

一方地政学的リスクはこれまでになく高まっています。中国とインドによる国
境の係争地域でのにらみ合いは続き、お互いに相手側が実行支配線を侵略した
と批判し合っています。インドの外務大臣は「(国境紛争が起きた)1962
年以降で最も深刻な状況だ」と述べています。
また内モンゴル自治区で「標準中国語」による学校教育を強化する中国政府の
方針に反対する抗議活動は、中国で30年ぶりの規模に達しているとの報道も
あります。この様な中、急速に増強を続けている中国の軍事力について、米国
防総省は年次報告書で警告しています。中国は大陸間弾道弾ミサイル(ICB
M)と潜水艦発射ミサイル(SLBM)、巡航ミサイル搭載戦略爆撃機の3本
を柱とする核戦力「トライアド」の確立が目前に迫っていると指摘し、「今後
10年で核戦力を拡充および多様化させ、保有核弾丸の数を少なくとも倍増させ
る公算が大きい」と分析しています。
さらに、「台湾を武力で統合する能力を磨くことに重点の多くが割かれている」
と主張しています。(ブルームバーグ)先週は、南シナ海にミサイルを威嚇的
に4発発射するなど、米国側も警戒を強めているようです。

ユーロドルが2018年5月以来となる1.2台に乗せました。
この欄でもユーロには強気だと述べてきましたが、1.19台後半では何度も
跳ね返されてきたものが、昨日のNYでは1.2014までユーロ高が進みま
した。ただその後はECBのレーン理事が、「ユーロドルのレートは重要だ」
と発言したことが伝わり、大きく値を下げています。1.2まで上昇したこと
で「達成感」が出たことと、持ち高が大きくユーロ買いに偏っていることから、
利益確定の売りに押されましたが、トレンドは継続されそうです。
ユーロドルは上方にあるレジスタンスをことごとく突破して上昇して来たため、
チャートでは「月足」に頼るしかありません。その「月足」では、雲が1.2
0台後半から1.21台前半にあります。
当面はこの水準が重要なレジスタンスになろうかと思います。また今後昨日の
レーン理事のように、ECB高官からユーロ高をけん制する動きも予想されま
す。ドイツを中心とするユーロ圏経済は輸出依存度が高く、ユーロ高はコロナ
から回復基調にある景気に水をさすことになり、さらにユーロ高が続くと、ユ
ーロ圏の景気にとってマイナス効果となるからです。

本日のドル円は105円40銭~106円30銭と昨日と同水準を予想します。


ユーロ円126円台後半まで上昇 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間の午後からじりじりと値を戻し、
NYでは一時106円台を回復し、106円09銭まで
上昇。
◆ユーロドルも買われ、今月18日に付けた1.1966
前後と並ぶ。ユーロは対円でも126円84銭近辺まで買われ、
2019年3月以来、1年半ぶりのユーロ高を記録。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は利益確定の
売りが先行し下落。一方ナスダックは79ポイント上昇し、
最高値を更新。
◆債券は続伸し、長期金利は0.70%台に。
◆金は小幅に続伸。原油価格は続落。


本日の注目イベント


◆豪   豪9月住宅建設許可件数
◆豪   豪4-6月期経常収支
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日   7月失業率
◆中   8月財新製造業PMI
◆独   独8月製造業PMI(改定値)
◆独   独8月失業率
◆欧   ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月失業率
◆英   英7月消費者信用残高
◆米   8月ISM製造業景況指数
◆米   8月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   ブレイナード・FRB理事、バーチャル討論に参加

ドル円は再び106円台に乗せる場面があり、円高ドル安材料があるものの、
なかなか大きなドル安には至っていません。昨日のNY市場ではユーロドル
で「ドル安ユーロ高」が進み、ユーロドルは1.19台半ばまで上昇しまし
たが、ドル円ではややドル高が進み、結局ユーロ円は一時126円84銭前
後まで上昇。これは2019年3月以来、約1年半ぶりのユーロ高水準です。
主要3通貨では、ユーロが最強で、円が最弱といった構図になったわけです。
円は対豪ドルでも下落が続いています。

豪ドル円は2019年4月29日以来の水準です。
今年3月には60円を割り込む場面もありましたが、そこからすでに18円
以上の円安が続いています。ドル円の水準はそれほど変わっておらず、むし
ろ円高方向で推移していますが、豪ドルが対米ドルで大幅に上昇しているこ
とが背景です。豪ドル米ドルは2018年12月3日以来となる0.74台
まで買われています。中国への依存度が高いオーストラリアには逆風が吹い
ているにも拘わらず、豪ドル高が続いているのは、資源価格の上昇もありま
すが、中国がいち早くコロナから抜け出たことが豪ドル・米ドルのセンチメ
ントを変えています。シカゴ通貨先物市場の建玉を見てもその傾向は明瞭で、
4月中旬をボトムに同月下旬からは買い持ちの枚数が大きく増えています。
その増加推移と豪ドル米ドルのチャートを重ねると、動きはほぼ一致してい
ます。

ただ、中国景気との関係が強い豪ドルですが、オーストラリアと中国との関
係はこれまでで最も険悪な状況と言えます。新型コロナウイルスの感染拡大
がオーストラリアにも押し寄せた際、オーストラリア政府は中国に対して徹
底した調査結果を要求したことで、中国から反発をかったことがきっかけと
なり、その後中国はオーストラリアからの牛肉の輸入にストップをかけてい
ます。さらに昨日は、中国当局が同国国営テレビ局に勤めるオーストラリア
国籍のニュースキャスターを拘束しているとオーストラリアのペイン外相が
発表しました。ABCテレビによると、同キャスターは訴追されてはいない
ものの、指定された場所で監視下に置かれており、弁護士その他の支援を得
られずに、最長6カ月拘束される可能性があるとブルームバーグは報じて
います。オーストラリアと中国との関係は一段と悪化する可能性があります。

クラリダFRB副議長は31日、オンラインイベントで講演を行い、「利回
りの抑制や目標化は現在の環境では正当化されないが、将来に状況が著しく
変化した場合見直すことができるよう、FOMCは選択肢として残して置く
べきだ」と述べ、米国債利回りに目標を設けるイールドカーブコントロール
(YCC)を将来に導入する含みを残す発言を行いました。これまでFOM
Cメンバーの多くがYCCに言及してきましたが、「時期尚早」といった言
葉で否定的な発言が相次ぎました。重要メンバーの一人である副議長が導入
に含みを持たせる発言を行ったのは、記憶の限り初めてです。

また昨日はアトランタ連銀のポスティック総裁の発言も伝えられていますが、
同総裁は「金融政策は経済回復を支援する位置づけにあるが、今は米金融当
局が目標達成のために次にどんな措置を取るか説明する時期ではない」と述
べ、フォワードガイダンスの拡充には時期尚早との認識を示しています。

本日はISM製造業景況指数の結果次第で、米景気の回復度合いが判断でき、
相場に影響を与える可能性があります。ドル円の予想レンジは105円40
銭~106円30銭程度をとします。


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