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ラガルドECB総裁、12月の追加緩和を示唆 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反発し104円73銭まで上昇。
ユーロドルでユーロが大きく売られたことから、円を売る
流れが優勢に。
◆ラガルドECB総裁が12月会合での追加緩和を示唆した
ことでユーロドルは大きく下落。1.1650前後まで売られ、
1カ月ぶりの安値圏に。
◆株式市場は前日の急落から反発。GDPが市場予想を上回った
ことで買い戻しが入った。ダウは139ドル高。
◆債券は大幅に続落。長期金利は0.82%台に上昇。
◆金は続落し約1カ月ぶりの安値に。原油も大幅に続落。

◆7-9月GDP(速報値)       →  33.1%
◆ 新規失業保険申請件数        →  75.1万件
◆9月中古住宅販売成約件数      →  -2.2%

本日の注目イベント

◆豪   豪第3四半期生産者物価指数
◆日   9月失業率
◆独   独7-9月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏7-9月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏9月失業率
◆米   9月個人所得
◆米   9月個人支出
◆米   9月PCEコアデフレータ
◆米   7-9月雇用コスト指数
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   10月シカゴ購買部協会景気指数
◆米  企業決算 → エクソンモービル、シェブロン

年率換算で「+33.1%」と、過去最大の増加率を記録した米第3四半期
のGDP。市場予想を上回りましたが、前期が「-31.4%」で、これも
記録的な落ち込みだったことから、その反動もあったと思われます。
経済活動の再開や、政府の現金給付による個人消費の回復で大きく持ち直し
ましたが、その規模はパンデミック前のピークを、まだ3.5%下回ってい
ると報告されています。
同時に、第4四半期のGDPも再び大きく鈍化する懸念もあります。
失業保険に上乗せされていた給付金は終わり、経済対策の実施も遅れ気味で
す。加えて米国では再び新型コロナウイルス感染が急拡大しており、その数
は第1波のそれを上回る勢いです。経済対策の早期の合意が求められます。

ECBは政策会合を開き、今回は政策据え置きを決めましたが、会合後の記
者会見でラガルド総裁は、「ユーロ圏の景気回復は予想以上に急速に勢いを
失いつつある」と指摘し、「行動が必要であり、従って次回の会合で政策手
段を再調整する必要があるとの点で、政策委員会は一致した」と述べました。
次回12月の政策会合では何らかの追加緩和に踏み切ることを明確に示唆し
た格好ですが、現行の債券購入プログラム(PEPP)の規模1兆3500
億ユーロ(約165兆円)を、さらに5000億ユーロ拡大するとの見方が
浮上しています。ユーロ圏では域内の経済をけん引するドイツとフランスが
新たなロックダウン措置を発表し、先行きの暗さが浮き彫りになってきまし
た。ラガルド総裁もコロナ感染の拡大が大きなリスクだと指摘していました。

大統領選が来週に迫る中、トランプ、バイデン両氏はともに激戦州であるフ
ロリダ州に入り演説を行いました。この欄でも今週触れましたが、仮にフロ
リダ州をバイデン氏が制することになると、トランプ氏再選の可能性が非常
に低くなると言われている重要な選挙区です。
現職を終えた富裕層が多くいることから、もともと共和党支持者が多く、2
016年の大統領選の際もトランプ氏が勝利しています。しかし今回は異な
ります。
世論調査を行う「ファイブサーティーエイト」の最新の予測モデルによれば、
バイデン氏が勝利する確率は前日から上昇し過去最高の89%になった(ブ
ルームバーグ)ようです。既に7900万人余りが期日前投票を済ませてお
り、この数は2016年の合計投票数の57%を超えています。
両候補がフロリダに入り演説を行った様子を昨日TVで観ましたが、バイデ
ン陣営は全員マスクを着用していましたが、トランプ陣営では相変わらずマ
スクを着けている人はまばらでした。もしトランプ氏が今回の選挙で負ける
ようなことになれば、それは「コロナに負けた」と言えるかもしれません。

経済対策を巡る交渉では混迷が続いていますが、ムニューシン財務長官は2
9日、ペロシ下院議長が経済対策の妥協を拒否しているとして、政治的なス
タンドプレーを批判しました。ペロシ議長は同日午前のムニューシン長官宛
の書簡で、民主党が政権からの回答を待っている主要7項目を列挙しました
が、同長官はこれに対する回答で「イエスかノーかというあなたのアプロー
チが、今支援を必要としている勤勉な米国民に打撃を与えている」と述べて
います。(ブルームバーグ)

今朝の経済紙でも報道されていますが、中国共産党は4日間にわたり、第1
9回中央委員会第5回総会を開き、今後5年間の経済計画の概要を明らかに
しました。計画では、2035年には「一人当たりのGDPを中等先進国並
みにする」とし、ハイテクなど、「コア技術で重大なブレイクスルーを実現
する」とうたっています。また、外交では「国際的なパワーバランスに深刻
な調整がある」として、米国の覇権に揺らぎがあることを示唆しています。

株式市場では大統領選挙を前に大きな動きが出ており市場参加者の動揺も見
られますが、為替市場の方はまだそういった動きは見られません。
昨日のユーロドルの動きはラガルド発言に反応したもので、選挙が影響した
ものではありません。しかしいつ大きな値動きが起こっても、不思議ではな
い状況であることは変わりません。

本日のドル円は104円10銭~104円90銭程度を予想します。


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NYダウ943ドルの大幅続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆株価の急落に円が買われる場面もあったが、ドル円は終始
104円台で推移。104円22銭までドル安が進んだが
値動きは限定的。
◆ユーロドルは大幅に続落。域内でコロナ感染が拡大し、
フランスとドイツが再びロックダウンを実施することで
ユーロ売りが加速。1.1718前後までユーロ安が進む。
◆株式市場は大幅に下げる。欧州株が大きく下げたことや、
米国内でのコロナ感染の高止まり、経済対策を巡る不透明感から
ダウは943ドルと大幅安。他の主要指数も3%を超える下げに。
◆債券は横ばいながら小幅に下落。長期金利は0.77%台で推移。
◆金は大幅に売られ1880ドル前後に。原油も2ドルを超える下げで
37ドル台半ばに。

ドル/円  104.22  ~ 104.45
ユーロ/ドル 1.1718 ~ 1.1760
ユーロ/円  122.20 ~ 122.69
NYダウ  -943.24  → 26,519.95ドル
GOLD  -32.70 →  1,879.20ドル
WTI  -2.18  → 37.39ドル 
米10年国債  +0.003 → 0.771%

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独10月失業率
◆独   独10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月景況感指数
◆欧   ユーロ圏10月消費者信頼感指数
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   7-9月GDP(速報値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   9月中古住宅販売成約件数
◆米  企業決算 → アルファベット、アップル、アマゾン、ツイッター、フェイスブック

今週月曜日に650ドル下げたNYダウが、昨日はさらに943ドル下げ、
これで4日続落し2万7000ドルの大台を割り込んできました。
S&P500も3%を超える下げで、6月以来の安値を記録するなど、株
式市場では米大統領選を前に不穏な動きが続いています。
株価の大幅安を受け「VIX指数」は6月11日以来となる「40」を超
えています。

昨日の大幅な株価の下げは欧州株の大幅安が引き金になっています。
欧州では新型コロナウイルス感染第3波が押し寄せ、フランスでは30日
から全土でロックダウンを実施することを発表しました。
マクロン大統領は国民向けのテレビで、「誰も予想できなかったほどの急
ペースで新型コロナウイルスが国内で拡散している。欧州全体を襲ってい
る感染の波に対抗するためには、これまでわれわれが講じた措置は不十分
だったと分かった」と語っています。
また、ドイツでもメルケル首相は11月2日から1カ月にわたり、バーや
レストランの閉鎖など、一部経済活動の停止措置を講じると発表していま
す。

昨日のNYでは、株式だけではなく金や原油も売られ、本来このような状
況では大きく買われる傾向がある米国債も若干売られています。
為替市場ではユーロが大きく売られ、円が買われていることから、この日
も「ドル高・円高」が進んだと言えます。
結局、ほぼ全てのマーケットが下落したわけです。「Cash is King」とい
ったところでしょうか。ただ、米大統領選でどちらの候補者が勝っても株
価は上昇すると見られている中で、ここ4日間でダウは1840ドルほど
下げています。2016年大統領の際の、トランプ氏が勝利し円高が急速
に進んだ後、2カ月ほどで18円以上もドルが反発した、あの光景が彷彿
されます。今回の大統領選後のドル円の予想は2転3転し、直近ではドル
安が進むという見方が定着しつつありますが、これも予想と大きく異なる
可能性があります。
個人的には、仮に円高に振れたとしてもいずれドルが反発すると予想して
います。

今週に入ってからのNY株の低迷は、米国内でのコロナ感染の拡大と、迷
走している経済対策の影響も大きいと言えます。
この流れは1週間を切った大統領選を前に、トランプ氏にとっては「非常
に強い逆風」が吹き荒れている状況かと思われます。
記録的なペースで拡大している新型コロナウイルスの感染は、ウイルスの
脅威を過小評価する発言を繰り返し、いずれ収束すると主張し続けてきた
トランプ氏とって支持率の低下につながります。
事実、ワシントンポスト紙とABCニュースが実施した28日の調査では、
過去最悪のペースで感染が急増しているウィスコンシン州では、バイデン
氏の支持率がトランプ氏に対して17ポイントの差を付けて上回っており、
これまでで最大の差になっています。昨日の株価の大幅安を受けて、ペロ
シ下院議長は「大統領が非常に気にしているのは株式市場だ」と指摘し、
「トランプ氏が新型コロナウイルス感染拡大や経済対策が合意に至らない
ことへの市場の反応を見て、今こそ真剣な態度で交渉の席に着くことが望
ましい。経済対策が成立すれば米経済に財源を投入できる」と述べていま
す。(ブルームバーグ)
ペロシ議長が語ったように、コロナ感染の拡大と株価の急落が、有権者に
「トランプ離れ」を促しているようです。

本日は日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、午後からは黒田総裁の
会見が行われます。政策変更の可能性はなく、注目度も低い状況です。
黒田総裁は会見で、新型コロナウイルス感染が日本でも高止まりしている
ことから、その行方に注目しており、「必要とあれば、躊躇なく適切に行
動する」といった内容の発言に終始すると思われます。

本日は日本株も大きく売られそうです。
リスク回避のドル買いが見られるのかどうか注目です。
ドル円は103円80銭~104円70銭程度を予想します。


ナスダック反発するもダウは3日続落 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反落。経済対策がまとまらない上、コロナ感染が
拡大していることでややリスク回避の流れから円が買われた。
ドル円は104円39銭まで下げ、先週のドル急落時に付けた
104円35銭がターゲットに。
◆ユーロドルも小幅に下落。ドイツではコロナ感染への対策強化が
見込まれ、景気に対する懸念も浮上。ユーロドルは1.1792まで
売られる。
◆株式市場はまちまちの展開の中、ダウは3日続落。
ナスダックは大型のM&Aが好感され、小幅に上昇。
◆債券相場は4日続伸。長期金利は0.76%台へと低下。
◆金は続伸し、原油は再びハリケーン「ゼータ」の影響から反発。

◆9月耐久財受注            →  1.9%
◆8月ケース・シラ-住宅価格指数    →  5.18%
◆8月FHFA住宅価格指数       →  1.5%
◆10月消費者信頼感指数        →  100.9
◆10月リッチモンド連銀製造景況業指数 →  29

本日の注目イベント

◆豪   豪第3四半期消費者物価指数
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、討論会に参加
◆米  企業決算 → GE、ボーイング、UPS、VISA、ブラックストーン、イーベイ、ギリアド
◆加   カナダ中銀政策金利発表


前日のNYでは、ダウが650ドルも下げたものの、ドル円は「リスク回避
のドル買い」から 105円台に乗せる場面もありましたが、昨日の東京時
間では朝方日経平均株価が大きく売られたことでドル円は、「リスク回避の
円買い」に下落しました。リスク回避のドル買い、円買い・・・?
個人投資家にとっては、何とも動きにくい展開が続いています。

昨日のNYでも、株価が下げ、コロナ感染が拡大し、さらに経済対策もまと
まらない状況が続き、いわば「重苦しい」雰囲気の下ドル円は売られ、ユー
ロドルも売られています。敢えて言えば、「ドル高・円高」といった展開で
した。経済対策を巡るペロシ下院議長とムニューシン財務長官の電話協議で
は、規模と法案の文言で結局合意には至っていません。
今朝の情報では、経済対策の規模もこれまでのものとは異なっており、政権
側は1兆9000億ドル(約200兆円)と増額してきたのに対し、民主党
は2兆4000億ドルと、これまでの主張から2000億ドルの増額になっ
ています。その背景は今のところわかっていませんが、なにやら「いたちご
っこ」の様相を呈してきました。トランプ大統領は27日、大統領選前の経
済対策成立を諦める考えを示し、遅れたのは民主党のペロシ下院議長の責任
だと非難しました。またホワイトハウスのファラー報道官は、「向こう数週
間中に何らかの成果が得られるとわれわれは確信している」と発言していま
す。(ブルームバーグ)

大統領選まで1週間です。
バイデン氏の勝利の確率が徐々に高まっており、市場もすでに「バイデン勝
利」を織り込んでいるとの見方もあります。
今朝の経済紙は、大統領選と議会選の結果を4パターンに分け、その影響を
分析していますが、可能性が最も高いのは「バイデン勝利・上院は共和党が
多数」というケースかと、個人的には予想しています。
一方で可能性は低いと思いますが、「トランプ勝利・上院も共和党が多数」
という現在の状況が継続されるパターンもありますが、いずれも株価の上昇
とドル安が進むと予想されています。トランプ氏はもともとドル安を望んで
いることもあり、さらに対中関係がさらに悪化すると考えれば、ある程度納
得できますが、バイデン氏が勝利したケースではやや異なると予想していま
す。
どちらが勝っても、コロナ感染が急拡大している以上大規模な景気刺激策は
不可欠です。国債の大量発行から金利が上昇することも容易に想定できます。
足元の動きとはやや異なってはいますが、長い目で見れば、ドル円は米金利
の動きとの相関は高く、米金利が上昇する以上、短期的にはドルが売られる
ことはあるかもしれませんが、いずれ上昇に転じると予想しています。
特に100円という大台を割り込むようだと、日本経済もコロナの影響が大
きい中、日銀はさらなる景気の下振れを防ぐため追加の緩和策の実施を余儀
なくされる可能性もあるでしょう。2016年の大統領以降、一度も100
円を割り込んでいません。やはり「100円」という水準は、テクニカル的
にも、実体経済にとっても非常に重要な水準と言えます。

昨日の昼に英系大手行のNY在住の公共政策担当責任者による、大統領選に
巡るカンファレンスコールに参加する機会がありました。
その中で、大統領選での焦点は「フロリダ州」てあると述べていました。
激戦州の中でも、もしバイデン氏がフロリダで勝利するようなことがあれば、
トランプ勝利はほぼなくなるとのことでした。
逆にトランプ氏は何としてもフロリダ州での勝利が不可欠だということです。
選挙の開票作業は各州で異なるようですが、幸いなことに、フロリダ州は投
票日の数日前から開票作業を行うようです。
従って、11月3日の投票日の夜にはフロリダ州での結果が判明する可能性
があるそうです。上述のように、ここでの結果次第でどちらが次期大統領に
なるのかがある程度判明することになるとすれば、かなり参考になります。
日本時間では4日(水)の昼過ぎには分かるかもしれません。
一方で、今回の大統領選では郵便による投票が6000万件とも伝えられて
います。正式な結果が判明するまで1カ月以上かかるといった見方もありま
す。さらにトランプ氏が負けた場合、選挙結果を受け入れず法廷に持ち込む
可能性も指摘されています。
26日には米上院議会で、エイミー・バレット氏の最高裁判判事就任が承認
されました。そのための「布石」が着々と打たれている印象です。

本日のドル円は104円20銭~104円90銭程度を予想します。
先週21日に付けた104円35銭近辺が、マイナーなサポートと見られま
す。


NYダウ一時900ドルを超える下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米株式市場が大幅安となり、「リスク回避のドル買い」が
進み、ドル円は105円05銭まで上昇。
◆ユーロドルでもややドル高が進み、1.1806まで下落。
株価の急落にドルが全般的に買われる。
◆株式市場は大幅に下落。コロナウイルスの感染拡大や経済対策が
成立するとの期待が後退したことが重石に。ダウは650ドル下げ、
全面安の展開に。
◆債券は続伸。株価の下落に伴い安全資産の債券に資金が流れ
債券価格は上昇。長期金利は0.80%台に低下。
◆金は横ばい。原油はコロナ感染の拡大により経済活動が抑制される
との見方から大幅に下落。

◆9月新築住宅販売件数       → 95.9万件 

本日の注目イベント

◆中   中国9月工業利益
◆欧   ユーロ圏9月マネーサプライ
◆米   9月耐久財受注
◆米   8月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   8月FHFA住宅価格指数
◆米   10月消費者信頼感指数
◆米   10月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米  企業決算 → マイクロソフト、アドバンテスト、3M、キャタピラー、ファイザー、メルク

NY株が再び大幅な下落をみせました。
ダウは一時900ドルを超える下げとなり、引け値でも650ドル安と、下げ幅
は2%を超え、2万8000ドルの大台を割り込んでいます。
手掛かりは、昨日のこの欄でも触れたように、米国で新型コロナウイルの感染が
急拡大し、感染者数が過去最多を更新し、世界経済に影響が及ぶとの警戒が広が
ったこと。さらには民主党ペロシ下院議長とムニューシン財務長官が26日電話
協議を行ったが、合意には至らなかったことが挙げられます。

ドル円は104円台後半から一時は105円台に乗せる場面もあり、NYからは
「リスク回避のドル買い」といった言葉も届いています。
これまでのように、リスクが高まると円が買われる展開とは異なっています。3
月にコロナ感染が急拡大した際にもありましたが、リスクが急速に高まると、ド
ル資金の手当てが困難となり調達コストが急速に上昇します。ドルの流動性を確
保するという意味で「リスク回避のドル買い」といった文言も正当化されるよう
です。「安全通貨の円」といった神話も徐々に崩れつつあるのでしょうか。昨日
はユーロドルでもドル高が進み、違和感はあるものの現時点での市場の流れと理
解するしかありません。

米追加の経済対策は合意が近いようでなかなか合意に至りません。
昨日の電話協議でも両者は新型コロナウイルの全米検査・接触者追跡プログラム
の文言で溝を埋められず、ハミル下院議長報道官は、「われわれは引き続き、民
主党側の健康問題に関する文言を政権が受け入れる
ことを待ち望んでいる」と説明し、ペロシ議長は選挙前の合意になお「楽観的」
だと報道官は語っています。(ブルームバーグ)
1日の感染者が8万人を超えた米国では、人々の景気の先行きに対する見方も急
速に冷え込んでいます。
このまま感染拡大が止まらないようだと、個人消費にも大きな影響を及ぼす可能
性もあり、大規模な経済対策の実施が望まれます。
米大統領選まで、ちょうどあと1週間です。コロナの感染拡大が経済対策の早期
合意を後押しすると予想していますが、どうでしょうか?

世論調査の分析を行う「ファイブサーティーエイト」の最新予測モデルによれば、
バイデン氏が選挙人の獲得数でトランプ氏を上回り、勝利する確率はこれまでで
最高の「87.6%」に達したと、ブルームバーグが伝えています。
予測では、全米538人の選挙人のうち334人をバイデン氏が獲得する見通し
だとしています。激戦州と言われるミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン、
フロリダ州は、前回2016年の選挙では全てトランプ氏が勝利しましたが、上
記分析によるとこれらの全ての州でバイデン氏勝利の確率がトランプ氏を上回っ
ています。ミシガン州に至ってはバイデン氏の支持率は「50.8%」で、トラ
ンプ氏が「42.4%」となっていますが、勝利する確率は「93.7%」対「
6.3%」と分析され、ほぼバイデン氏が勝つ見込みになっています。
この分析が正しいとすれば、「トリプルブルー」、あるいは「ブルースウィープ」
(民主党の圧勝)もないとは言えない状況になります。
ただソースによって偏りがあるため、その調査結果を「鵜呑みにできない」、難
しい部分もあります。また選挙結果が為替や株式にどのような影響を与えるのか
については、「予測するのはほぼ不可能だ」と、多くの著名ストラテジストは述
べています。

本日のドル円は104円40銭~105円20銭程度を予想します。


米国でコロナ感染急拡大 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に下落。経済対策がまとまるかどうかで
懐疑的な見方が根強く、ドル円は104円65銭まで下落。
◆ユーロドルは小幅に上昇。ドル安の流れから、1.1865
までユーロ高に。
◆株式市場はまちまち。ダウはインテルが10%を超える
下落を見せ、下げをけん引。ナスダックとS&P500は
小幅に続伸。
◆債券相場は反発。長期金利は0.84%台へと低下。
◆金はほぼ変わらず。原油はやや売られる。

◆10月マークイット製造業PMI        →  53.3
◆10月マークイットサービス業PMI      →  56.0
◆10月マークイットコンポジットPMI     →  55.5 

本日の注目イベント

◆日  8月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独   独10月ifo景況感指数
◆米   9月新築住宅販売件数
◆米   バレット氏の連邦最高裁判事指名承認採決の予定

米国で新型コロナウイルの感染が急拡大しています。
24日までの24時間で新たな感染者数は8万5317人と、2日連続で過去
最多を更新しました。死者の数も939人増えています。
これまでに、ペンス副大統領の最側近であるマーク・ショート副大統首席補佐
官と上級顧問のマーティー・オブスト氏のコロナ陽性が判明しており、ホワイ
トハウス内で再び感染が広がる兆しが見られます。(ブルームバーグ)
ただ、こうした状況の中でもメドウズ大統領首席補佐官は、米国が新型コロナ
のパンデミックを「制御」するつもりはないと言明しています。
一方でゴットリーブ前食品医薬品局(FDA)長官は25日のCBSの番組で、
米国ではコロナによる入院が急激に増加し始めており、「危険な転換点」に達
していると指摘しています。米国の感染者の増加率は1%と、7日平均の0.
8%を上回っています。

もっとも、新型コロナの感染拡大は米国だけではなく、欧州など、世界中で拡
大傾向にあります。スペイン政府は午後11時から午前6時までの全国的な外
出禁止令を発令し、イタリアでは新たな感染者が2万1273人と過去最多に
なりました。またフランスでも25日の感染者数が5万2010人と、4日連
続で過去最多を更新しています。ジョーンズホプキンス大学の集計によると、
1日の感染者が世界で初めて50万人を超えており、これまでの世界のコロナ
感染者数は4290万人を超え、死者数は110万人を上回っています。
北半球ではこれから冬に向かい、気温が下がり乾燥した状況が続く上、「寒い
と人が屋内に集まりがちで、飛沫感染が起こりやすくなる」ことも、感染増加
の一因と見られています。

先週22日、米大統領選を巡る最後の討論会が行われました。
トランプ氏はバイデン氏の息子ハンター氏とウクライナ、中国とのビジネス関
係を巡る疑惑を追及し、バイデン氏は、トランプ氏の新型コロナウイスへの対
応を巡り激しい応酬となりました。討論会後の調査ではバイデン氏への支持率
が50.7%、トランプ氏が42.8%(リアル・クリア・ポリティクス調査)
と、やや支持率の差が縮小していました。米大統領選まで1週間余りです。
バイデン氏有利の情勢は変わらず、このままいけば「バイデン大統領誕生」の
可能性が高いと思われますが、その場合の市場への影響については様々な見方
が錯綜しています。 今週の「エコノミスト」誌は、バイデン氏勝利で日
米株価急落との見方を紹介した記事を特集しているようです。
実際には蓋を開けてみないとわからない部分が多いわけですが、郵便投票の数
が多いことから、結果が判明するのが大幅に遅れることも予想されます。
その間市場が、開票状況の進捗をにらみながら乱高下することもありそうです。
いずれにして、米国のこれ以上の「分断」にストップがかかるのか、あるいは
「自国第一主義」、「保護貿易」の波がさらに4年間続くのか、米国民はこれ
までになく重要な選択を迫られていると思います。

ドル円は105円台がやや重くなり、ユーロドルは再び1.18台で推移して
いるように、ややドル安の流れが優勢の状況が続いています。

本日のドル円は104円30銭~105円20銭程度を予想します。


米長期金利さらに上昇し0.86%台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発。米長期金利が上昇し、経済指標も概ね良好だった
ことで104円92銭までドルが買われた。
◆ユーロドルは小幅に反落。ドルの買い戻しが優勢となり、
1.1812近辺までユーロは下落。
◆株式市場は反発。追加経済対策を巡りペロシ議長が合意は
「すぐそこだ」と発言したことが支えとなり、ダウは152ドル高。
◆債券相場は6日続落。10年債利回りは0.86%台まで上昇し、
今年3月以来、7カ月ぶりの高水準に。
◆ドルが反発したことで金は大幅安。原油は反発。

◆新規失業保険申請件数        →  78.7万件
◆9月景気先行指標総合指数      →  0.7%
◆9月中古住宅販売件数        →  654万件

本日の注目イベント

◆日  9月消費者物価指数
◆独   独10月製造業PMI(速報値)
◆独   独10月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月総合PMI(速報値)
◆英   英9月小売売上高
◆英   英10月製造業PMI(速報値)
◆英   英10月サービス業PMI(速報値)
◆米   10月マークイット製造業PMI
◆米   10月マークイットサービス業PMI
◆米   10月マークイットコンポジットPMI
◆米  企業決算 → アメックス

「すぐそこに」-。
ペロシ下院議長は景気対策法案を巡るムニューシン財務長官との合意について
そう表現しました。一方で、解決できていない問題については引き続き交渉す
るとしています。
経済活動や学校を安全に再開するために必要な新型コロナの検査および感染者
追跡に、どのように資金を配分するかという争点については、近く合意しそう
だと述べています。それでもまだ、民主党が要求する州・地方行政への支援、
学校への資金援助、そして共和党が固執する雇用主免責条項という3つの主要
争点では、折り合いがついていないことを明らかにしています。一方、上院共
和党は2兆ドル規模の支援策を支持する構えは全く示していません。
(ブルームバーグ)NY株式市場はペロシ議長の前向きな発言に「合意は近い
」と捉え、買いで反応したようですが、上記上院共和党の抵抗や議会の日程を
考えると、まだ安心はできません。
ペロシ議長は会見で、「われわれは引き続き交渉に臨む。合意に達することは
可能だと希望を持っている」と語っていますが、一方で共和党のマコネル院内
総務が現在議論されている規模の対策に反対を表明したことにも言及していま
す。ペロシ議長とムニューシン財務長官は、現地時間22日午後に再び電話で
協議する模様です。

ドル円は104円台半ばから反発し、104円台後半まで上昇しました。
昨日はユーロドルでドル高が進みその影響もありましたが、やはり米長期金利
の上昇もドル円を押し上げたと思われます。
米10年国債は昨日も売られ、これで6営業日続落です。長期金利は一時0.
86%台まで上昇し、今年3月以来の高水準になっています。
FRBが「QE」の一環として国債を買い上げていることから、長期金利は当
面低水準で推移すると見られていましたが、思った以上に金利上昇が進んでい
ます。もっとも、それでも足元の金利水準はこれまでに経験したことのないレ
ベルで、その意味では決して高水準とは言えないかもしれませんが、今年8月
には一時「0.519%」前後まで低下したことを考えると、すでに35ベー
シスほど上昇したことになります。背景は、11月3日の米大統領選でどちら
が勝利しても、大規模な景気刺激策が実施され、国債の大量発行は避けられな
いとの見方が強まっているからです。

米10年債がさらに売られ金利がもう一段上昇するようだと、日本の機関投資
家の触手が動き出し、市場でドルを手当てして米国債投資を活発化させること
も予想されます。米国債の利回りが急低下し投資妙味が薄れたことで、機関投
資家はより金利の高い豪州債に向っていた経緯もありました。
それが、今年3月には60円を割り込んだ豪ドル円が75円を超える水準まで
上昇した一因であったとも考えられます。
ただ、米国債市場と豪州債市場を比べた場合、その規模は圧倒的に米国債市場
の方が大きく、機関投資家は流動性を重視する傾向もあることから、金利水準
さえ許せば米国債に行きたいのが本音のようです。

日本時間午前10時に最後の大統領候補者による討論会が行われます。
トランプ氏は最後の逆転を掛けて、バイデン氏の個人的なスキャンダルを攻撃
してくるとの予想もありますが、すでに4000万人近くが投票を済ませた
(USイレクションズ・プロジェクト調査)ようで、これは2016年に投票
した総数の3割にもあたります。すでに「大勢」は決まっているのかも知れま
せん。

本日のドル円は104円40銭~105円30銭程度を予想します。


ドル円1カ月ぶりに104円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は約1カ月ぶりに104円台に突入。104円35銭まで
売られた。長期金利が上昇したものの、ポンドやユーロでドルが
売られたことで大幅な円高が進行。
◆英国とEUの通商交渉を巡る協議が再開するとの期待から
ユーロドルは続伸し、1.1880まで上昇。
◆株式市場は反落。追加の経済対策を巡る動きに翻弄された
格好となり、朝方に大きく買われたダウは97ドル安で引ける。
◆債券相場は続落。長期金利は6月10日以来となる0.82%台に
◆金は3日続伸。原油は大きく売られ40ドルを試す展開に。

本日の注目イベント

◆独   独11月GFK消費者信頼感
◆トルコ  トルコ中銀、政策金利発表
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆欧   ユーロ圏10月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   9月景気先行指標総合指数
◆米   9月中古住宅販売件数
◆米  米大統領候補、最後の討論会(テネシー州、ナッシュビル)
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、討論会に参加
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
◆米  企業決算 → AT&T、コカ・コーラ、インテル

「米大統領選を巡る混乱の兆しか?」
そんな連想が働きそうな昨日のドル円の動きでした。膠着感の強まっていたドル円で
したが、昨日は夕方5時過ぎには105円を割り込み、そのまま反発することもなく、
NYでは一段とドル安が進み、104円35銭まで売られました。
昨日の東京時間からは1円以上もドル安が進んだことになりましたが、手掛かりは米
大統領選ではなかったようです。

今週に入ってはこの2つしか材料が無かったわけですが、昨日の話題もやはり、「米
追加の経済対策」と「BREXIT」でした。
EUと英国の通商交渉は、お互いが「目に見える変化」を見せないことから混迷を続
け、「合意なき離脱」の可能性も浮上していた中、英国の交渉責任者であるフロスト
氏はツイッターで、22日午後にロンドンで交渉を再開し、連日協議をしていくこと
を明らかにしました。フロスト氏は「交渉の根拠があらためて確立されたとの見解で、
EUおよびバルニエ主席交渉官と合意した」と述べました。この報道を受けて、ユー
ロドルとポンドドルが上昇し、ドル円でも「ドル売り円買い」が優勢となりました。
ユーロドルは1.18台後半まで買われ、9月16日以来となるユーロ高を記録して
います。

もう一つの材料である「米追加経済対策」では合意を巡るポジティブな情報とネガテ
ィブな情報が錯綜し、NY株式市場は二転三転したようです。
ペロシ下院議長とムニューシン財務長官の電話協議を終えて、下院議長報道官は「今
日の話合いによって、法案策定が可能な状態にさらに近づいた」と述べ、「法案の文
言をやりとりする中で、幾つかの優先事項に関する妥協の準備がさらに整った」とツ
イートしています。これに先立ち、メドウズ大統領首席補佐官は「向こう48時間以
内の合意を目指している」と述べ、ペロシ議長も、「合意が近い」と述べた一方、経
済対策の規模の案に抵抗しているマコネル院内総務については「選挙後に行うならか
まわないと考えるかもしれない」と語るなど、依然として合意するかどうかは不透明
です。(ブルームバーグ)

ブレイナードFRB理事も昨日の講演で、新型コロナウイルスを巡る今後の状況その
ものを除けば、追加経済対策の合意不成立が見通しへの最大のリスクだと指摘してい
ます。ブレイナード理事は21日のオンライン講演で、「私自身の見通しへの最も顕
著な下振れリスクは財政面で追加支援が実現しないことだ」語っています。
因みに同理事は、バイデン氏が大統領選で勝利し政権を担うことになった場合には、
財務長官に指名されるとの見方も出ています。

本日は最後の米大統領候補による討論会があります。
債券市場ではこのところ軟調な展開が続いており、昨日は長期金利が約4カ月ぶりの
高水準を記録しました。
トランプ、バイデン、どちらが勝っても景気刺激策の規模は大きく、債券への売り圧
力が継続されるといった見立てがあるようです。
FRBの高官もこぞって財政支援の必要性を訴えており、新型コロナの感染は大都市
NYでも再び拡大傾向にあります。
昨日はNY州で1日当たりの新規感染者数が5月以降で初めて2000人を超えてい
ます。国債の大量発行により、米長期金利が今後も緩やかに上昇すると考えれば、ド
ル円も大きく売られる可能性は低いと予想されますが、足元では金利との相関が薄れ
ているのも事実です。大統領選による影響も含めて、まだまだ不透明な展開が続きそ
うです。

本日のドル円は104円20銭~105円程度を予想します。


ユーロドル1カ月ぶりに1.18台半ばまで続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に続伸し、105円75銭までドル高が進む。
米長期金利が上昇し、追加の経済対策にもやや楽観的な見方が
台頭したことが背景。
◆ユーロドルも続伸し、約1カ月ぶりとなる1.1841まで
ユーロ高が進む。ユーロ円も125円近辺まで反発。
◆株式市場は反発。ペロシ下院議長が週内にも経済対策の合意を
望むと発言したことが手掛かりとなる。ダウは113ドル上昇し、
ナスダックは6日ぶりに反発。
◆債券は続落。長期金利が0.78%台に。
◆金は続伸し、原油は反発。

◆9月住宅着工件数  →  141.5万件

本日の注目イベント

◆英   英9月消費者物価指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆加   カナダ8月小売売上高
◆加   カナダ9月消費者物価指数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米  企業決算 → テスラ、ベライゾン

今朝も話題は「米追加経済対策」と、「BREXIT」です。

今朝の報道では、経済対策の規模を巡ってトランプ大統領が、「民主党が提案する
2兆2000億ドル(約232兆円)を上回ってもいい」と述べ、「ペロシ下院議
長とムニューシン財務長官が合意すれば、上院も合意する」と発言したようです。
この発言は今のところ、選挙を意識したパフォーマンスの域を出ませんが、メドウ
ズ大統領首席補佐官は20日、CNBCとのインタビューで、週末までの合意のた
めに、「全員が懸命に努力している」と話し、1兆8800億ドルが政権の最新案
であることを明らかにしています。ペロシ議長は、新型コロナウイルスの「鎮圧」
戦略についてトランプ政権の合意を取り付けたとし、検査・追跡にとどまらないヘ
ルスケア関連条項を景気対策法案に盛り込むことで「双方の合意は射程内にある」
と語っています。(ブルームバーグ)

ムニューシン財務長官とペロシ議長は、米東部時間20日午後3時に電話協議を再
開する模様ですが、その結果は、今朝7時時点では入っていません。
トランプ政権側が柔軟な姿勢を見せたことで、大統領選前に「合意」する可能性が
浮上してきましたが、まだ予断は許しません.
クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、合意に至るかどうかは「予想がつかな
い」と述べ、共和党のマコネル上院院内総務は20日、同僚議員に対し、11月3
日の大統領・議会選より前に経済対策で合意しないようトランプ政権に伝えたとワ
シントンポスト紙が報じています。
また、仮にムニューシン財務長官とペロシ下院議長の間で合意に至れば、法案は上
院で審議されることになりますが、来週上院が予定しているバレット連邦最高裁判
所判事候補の指名に障害となる可能性も指摘されています。

英国とEUは通商交渉を巡り、双方の交渉責任者が20日に、前日に続き電話協議
を行いましたが、打開策は見出せなかったようです。
EU側の責任者であるバニエル主席交渉官は協議終了後に、「可能性はなお残され
ている」とし、「残り少ない時間で最大限を尽くすべきだ」と述べています。
一方の英国側は、「英国だけでなくEUからも行動を起こす必要がある」し、合意
には「EU側の明確で根本的な変化」が不可欠との姿勢を変えていません。

新型コロナウイルの感染拡大へのトランプ大統領の対応を巡って、民主党系のクオ
モNY州知事がトランプ氏を痛烈に非難しています。
クオモ知事は、「トランプ氏はウソつきで、多くの人への感染源となったスーパー
・スプレッダーだ」と批判しました。さらに「NY州での新型コロナによる全ての
死者はトランプ大統領の責任だ」と断じ、ホワイトハウスで行われたバレット氏の
最高裁判所判事指名の式典での感染拡大をやり玉に挙げていました。


ドル円は動かない中でもジリジリと下値を切り上げています。
明日は最後のトランプ氏とバイデン氏による直接討論会があります。
前回の討論会が「非難合戦」に終わり、政策論争とは程遠い内容だったことで、討
論会委員会は今回、テーマに沿って2分間に自身の政策を論じている間は、相手側
のマイクを切るという措置を講じることにしました。
「史上最悪の討論会」と批判された前回の討論会でしたが、今回はもう少し格式と
いうか、品のあるものであってほしいと思います。
トランプ氏が、最後の直接討論でどのような巻き返しを見せるのか。一方、バイデ
ン氏がよほどのミスをしないかぎり現状の「バイデン氏優位」の状況は変わらない
と思います。

本日のドル円は105円20銭~105円90銭程度を予想します。


米追加経済対策への期待が後退 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は105円台半ばで引き続き小動き。株価が大きく
下げたものの、長期金利が上昇したことでドル円の水準は
前日と変わらず。
◆ユーロドルではややドル安が進行。EUと英国の通商交渉は
依然として合意されないものの、協議が継続されるとの
期待がユーロを支えた。ユーロドルは1.18に迫る水準まで
上昇。
◆株式市場は大幅に下落。追加の経済対策を巡り与野党間の
意見の相違が大きく、合意への期待感が後退。ダウは取引終盤に
下げ幅を拡大し410ドル安。ナスダックは5日続落。
◆債券相場も続落し、長期金利は0.76%台後半まで上昇。
◆金は続伸し、原油は下げる。

◆10月NAHB住宅市場指数  →  85

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆独   独9月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏8月経常収支
◆米   9月住宅着工件数
◆米   クオールズ・FRB副議長講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米  企業決算 → ネットフリックス、P&G、ロッキード

追加の経済対策を巡り、協議の期限を20日に設定したペロシ下院議長
は19日もムニューシン財務長官と電話協議を行いましたが、合意の範
囲を巡って意見は対立したままです。NY株式市場では合意への期待感
が後退し、ダウは大幅に値を下げて取り引きを終えました。
為替市場では、ドル円はややドルが底堅い展開でしたが、「BREXI
T」で揺れる欧州ではユーロ高ドル安に振れています。

ペロシ氏の報道官によれば、両氏の話合いは53分間に及んだようです
が、全米ベースのコロナ検査プログラムや州政府支援の規模などで見解
がまとまらず、「下院議長は選挙前に法案を通過させる
ことができるかどうか、20日の終わりまでに明確にすることを依然と
して期待している。両氏は明日再び協議し、スタッフの作業は24時間
体制で続けられる」と説明しています。(ブルームバーグ)

同じように欧州では、EUと英国の通商協議を巡る協議も難航していま
す。EUは通商協定の法的文書作成を初めて提案しましたが、英国はこ
れを取り合わず、EUとの通商協議について、再開する根拠が依然ない
としています。英政府の報道官は「建設的な協議だったが、EUのアプ
ローチに根本的な変化がない限り、英国は交渉を再開する根拠はないと
引き続き考えている」と述べています。
16日には、「通商合意なしの離脱に備えて準備を加速する」と明言し
たジョンソン英首相の行動も気になるところですが、こちらの方も「時
間との闘い」と言えます。

新型コロナウイルス感染者数がついに世界で4000万人を超えました。
3000万人を超えてから約1カ月で1000万人増えたことになりま
す。ここにきて、欧米での感染拡大が目立っており、米国ではウィスコ
ンシン州など、大統領選の激戦州で感染が拡大しており、再選を目指す
トランプ氏にとっては厳しい状況になっていると伝えられています。
そのトランプ氏は支持率の奪回に向け精力的に遊説を行っていますが、
相変わらず舌の滑りは好調で、国立アレルギー感染症研究所のファウチ
所長を「愚か者」と呼び、「われわれがファウチ氏に耳を傾けていたら、
米国での死者は70万―80万人になっていただろう」と、具体的な根
拠を示さずに非難していました。(ブルームバーグ)
先週、トランプ氏がファウチ氏の言葉を引用し、ファウチ氏がトランプ
氏を支持しているかのような誤解を与えたことを同氏が批判したことに
対する当て付けかと思われます。
欧州ではロンドン、パリ、ウイーンなどで夜間の行動が制限されており、
アイルランドでは欧州で最も厳しいロックダウンに踏み切っています。
これから冬に向かう北半球では、コロナが感染を拡大させやすい環境に
なります。世界景気にとって「不確実性」がさらに増すことになり、再
び「経済活動の維持」と「コロナの封じ込め」という、相反する政策の
バランスをコントロールすることが難しくなります。

本日のドル円は105円10銭~105円70銭程度を予想します。


米小売売上高5カ月連続で改善 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日とほぼ同水準で推移。米小売売上高が予想
以上に好調だったが、ドルの上昇は105円44銭止まり。
◆ユーロドルも小動きの中、1.17台前半から半ばで推移。
◆株式市場は良好な小売売上高などの発表を受けたが
まちまち。ダウは112ドル上昇したものの、ナスダックは
続落。
◆債券相場は続落。長期金利は0.74%へと小幅に上昇。
◆金は3日ぶりに下落。原油は小幅安。

◆9月小売売上高                 →  1.9%
◆9月鉱工業生産                 →  -0.6%
◆9月設備稼働率                 →  71.5%
◆10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   →  81.2

本日の注目イベント

◆日   9月貿易収支
◆中   7-9月GDP
◆中   中国9月小売売上高
◆中   中国9月鉱工業生産
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   10月NAHB住宅市場指数
◆米   パウエル議長、IMFのパネル討論に出席
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   クラリダ・FRB副議長講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米  企業決算 → IBM

9月の米小売売上高は市場予想を大きく上回る「1.9%」の伸びを見せ、
これで5カ月連続の改善です。
コロナウイルスの感染が再び拡大傾向を見せ、議会では追加の経済対策に
関する合意がまとまらない中、個人消費は底堅さを保っているようです。
ただ週600ドルの失業保険上乗せ給付金が7月末で失効したのに伴い、
トランプ大統領が大統領令で週300ドルの一時的な措置を講じた経緯が
あるものの、この措置の賃金は縮小していると見られます。
そのため、「今回の大幅な伸びは、消費者が貯蓄を取り崩していることを
一部反映している可能性がある」(ブルームバーグ)といった見方があり
ます。米国ではGDPの7割を個人消費が占め、個人消費の伸びがGDP
に大きな影響を与えます。

追加の経済対策を巡る攻防は依然としてまとまる可能性はありませんが、
ペロシ下院議長は大統領選が行われる11月3日より前に追加経済対案法
案で合意できるとの望みを失っていないとしたうえで、ホワイトハウスと
の協議の期限を20日に設定しました。
また、トランプ大統領も対策規模の引き上げに前向きな姿勢を改めて示し
たと報じられています。
ただ、共和党のマコネル上院院内総務は、これ以上の規模の引き上げは
「党内の議員を説得できない」と反対しています。
米財務省のクローリー報道官によると、ムニューシン財務長官とペロシ議
長は17日夜に1時間15分の協議を行ったがまとまらず、19日にも再
び協議することで合意しています。

先週行われたEU首脳会議では英国との妥協点が見出せず合意に至ってい
ませんが、EU側は英国との交渉が今週も継続されると考えているようで
す。
ジョンソン英首相は、EUと通商協議で合意できる可能性は低いと判断し、
合意なしにEUの単一市場と関税同盟を離れる準備をすると明言していま
す。しかし、ゴーブ英内閣府担当相は18日のTVインタビューで「私は
合意を望んでいる。ぜひとも合意をまとめたいと考えている。扉はわずか
だが開かれている」と語っています。

ドル円は105円台で、ユーロドルは1.17台から1.18前後で膠着
感が強まっています。「大統領選を考えたら、このままの水準で推移する
ことはない」ことは分かっているものの、方向性を掴めないままに推移し
ています。米大統領選ではバイデン氏勝利の確率が日増しに高まってはい
るものの、郵便投票による開票の遅れや、混乱なども予想されます。
また、バイデン氏の勝利が決まったとしても、トランプ氏が選挙結果を違
法だとして裁判を起こす可能性も指摘されています。そのため、正式な大
統領が決まるまでかなりの日数がかかるといった予想もあります。投資家
はこのような「不確実性」を考え、動けないようです。またどちらが勝利
するとしても、その勝利が相場にどのように影響するかも読み切れないと
いう点もあるようです。
選挙まであと2週間余りです。
最後の討論会は22日(木)テネシー州、ナッシュビルで行われますが、
前回以上に注目されることになります。本日のドル円は105円~10
5円80銭程度を予想しますが、クロス円が下落傾向にあります。
さらに下げるようだと、ドル円の上値を抑える動きにもつながる可能性が
あります。



ユーロドル2週間ぶりに1.17台を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は105円台前半から半ばで推移し、引き続き
明確な方向感を見せず。ユーロドルなどでドルが買われた
ことがややドル円を押し上げ、105円50銭前後まで上昇。
◆ユーロドルは売られ約2週間ぶりに1.17台を割り込む。
新型コロナの感染が再拡大していることや、英国との
通商交渉の不透明感が重石となり、1.1689まで売られる。
◆株式市場は3日続落。朝方から売りが優勢となりダウは一時
300ドルを超える下げに。午後にかけて下げ幅を縮小し、
結局19ドルの小幅安で引ける。
◆債券相場は小幅に反落。長期金利は0.73%台で推移。
◆金は続伸し、原油は小動きの中やや下落。

◆10月NY連銀製造業景況指数       →  10.5
◆9月輸入物価指数             →  0.3%
◆新規失業保険申請件数           →  89.8万件
◆10月フィラデルフィア連銀景況指数    →  32.3

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏8月貿易収支
◆欧   ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
◆米   9月小売売上高
◆米   9月鉱工業生産
◆米   9月設備稼働率
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演

交渉が難航しているEUと英国の通商問題を巡り、ベルギーのブリュッセル
で開かれたEU首脳会議での協議を終えたEU首脳は、英国に対し一段の譲
歩を改めて求めました。フランスのマクロン大統領は「条件が満たされなけ
れば合意がないことはあり得る。その用意は出来ている」と述べ、これに対
して英国の交渉責任者であるフロスト氏は、EUの姿勢に対して「驚き、失
望した」と語っています。
これを受けジョンソン英首相は、EU首脳会議が終了する16日に合意妥結
への決意がEU側にあるかを見極めた上で、交渉の継続もしくは打ち切りを
決断するとしています。(ブルームバーグ)
英国は出来る限りを尽くしたと考え、EUに譲歩を促していますが、EU首
脳らは、解決責任は英国政府にあるとの見解でまとまっており、再び昨年ま
で、もめにもめた「BREXIT」の様相を呈してきました。

英国との通商交渉の不透明さに加え、欧州では新型コロナの感染が再び猛威
を振るってきました。フランスは15日朝までの24時間で新たに3万62
1人が感染し、2度目の非常事態宣言を発令。パリなど主要都市で夜9時か
ら朝6時までの外出を禁止すると発表しました。
また英国でも17日からロンドン市民の行動制限を強化することを決めてい
ます。
イタリアとオランダでも1日ベースの感染者数が過去最多となっており、コ
ロナ感染は欧州全域に広がる気配を見せています。
これらを材料にユーロドルは約2週間ぶりに、節目の1.17を割り込む水
準まで売られドルが買われました。この日も市場では「有事のドル買い」と
いった言葉が出ていたようです。
ドル円でもドル買いが優勢となり、105円台半ばまで上昇していますが、
依然として値動きは緩慢です。

一方、もう一つの「不透明さ」を見せているのが米国の追加の経済対策を巡
る動きです。すでに11月3日の大統領選までの合意の可能性はなくなっ
たと見られていますが、トランプ大統領は追加の経済対策に関し、政権案の
規模を最新の1兆8000億ドル(約190兆円)からさらに引き上げることを支
持しました。トランプ氏はFOXビジネスとのインタビューで、「自
分だったら間違いなくこの額を超える規模にする」と話し、まだ合意が遅れ
ている責任はペロシ下院議長にあると非難しました。「進行を止めているの
はわれわれではない。彼女だ」と述べ、「選挙後まで待ちたがっている。そ
れが共和党への痛手になると彼女は考えている」と語っています。
ただ「身内である」与党共和党のマコネル上院院内総務は、「大統領が語っ
ているのは、私がわが党議員を納得させられる規模をはるかに上回る額だ」
と指摘し、政権の経済対策案の規模は上院共和党が支持することのできる
額を超えていると、直ちにこれをはねつけています。
トランプ氏自身が規模の増額に前向きなことから、急転直下ペロシ下院議長
を納得させることができる可能性もあるかもしれませんが、対策案は議会で
承認される必要があるため、結局「合意」の可能性はほとんど残っていない
ということになりそうです。

ドル円は今日も余り大きな動きは予想できません。
引き続き「BREXIT」の行方とコロナに関する情報に左右される展開か
と思いますが、「有事のドル買い」が継続するのかどうかにも注意したいと
ころです。

本日のドル円は105円~105円80銭程度を予想します。


ドル円105円近辺まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に続落し、105円04銭まで売られる。
特段材料がない中、株安、金利低下に加え、ドルがポンドに
対して売られたことも影響。
◆ユーロドルは前日からほぼ水準を変えず、1.17台半ば
から後半で推移。
◆株式市場は続落。ムニューシン財務長官が経済対策の合意に
否定的な発言を行ったことでダウは165ドル安。
◆債券は小幅に続伸。長期金利は0.72%台と変わらず。
◆金は反発。原油は続伸し41ドル台に乗せる。

◆ 9月生産者物価指数   →  0.4%

本日の注目イベント

◆豪   豪9月雇用統計
◆中   中国9月消費者物価指数
◆中   中国9月生産者物価指数
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆欧   EU首脳会議
◆米   10月NY連銀製造業景況指数
◆米 9月輸入物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   クオールズ・FRB副議長講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米  企業決算 → モルガンスタンレー


既に大統領選前に合意する可能性はほとんどないことは分かっているものの、
ムニューシン財務長官が経済対策の合意に否定的な発言を行ったことでNY
株式市場は売りで反応し、主要3指数は揃って続落しました。ドル円もこの
影響もあり、105円04銭までドル安が進み、約2週間ぶりの水準を付け
ています。
大統領選まで3週間を切り、相場を動かすドライバーは「米大統領選」と
「追加の経済対策」を巡る情報に絞られますが、今週に関してはそれに加え
て、英国とEUの通商交渉の行方といった状況です。

ムニューシン財務長官は14日、ペロシ下院議長と電話で協議を行いました
が合意には至らず、「協議がここまで入り組んでいることを踏まえると、現
時点では選挙前に何かを成し遂げ、実行することは難しい」と述べ、選挙前
の合意はほぼ絶望的となりました。ムニューシン氏は来週中東訪問を予定し
ており、「選挙後すぐに議会を通過させられるような合意がまとまる可能性
も厳しくなっている」とブルームバーグは伝えています。
ペロシ下院議長は経済対策の包括的合意を目指し、規模も2兆2000億ド
ル(約231兆円)を維持する構えを見せていますが、政権側は1兆800
0億ドルまで譲歩してきたものの、その差は依然として大きいことから、中
小企業支援に絞った案を先に合意するよう求めています。経済対策で選挙前
に合意し、トランプ氏を有利に持っていきたい共和党と、そうはさせずトラ
ンプ政権にダメージを与えたいとする民主党の「政治的戦略」も見えかくれ
しているようです。

ジョンソン英首相はこれまで、EU首脳会議が始まる15日までに明確な進
展がなければ交渉を打ち切ると明言していましたが、15日以降も交渉を続
ける見通しだと関係者が明らかにしました。ジョンソン首相は欧州委員会の
フォンデアライエン委員長と電話会議を行う予定で、同首相の顧問は数日内
に協議を再開すれば合意は可能だと首相に提言するものと見られています。
この報道で前日売られたポンドは反発しています。

クラリダFRB副議長は14日講演で、「経済が一気に悪化した春からの立
ち直りは力強かったが、新型コロナウイルス感染症によるリセッションから
経済が完全に回復するまでの道のりは長いことを忘れてはならない」と述べ、
景気の回復までに1年を要する可能性があり、雇用の完全回復には「さらに
長い時間」がかかるだろうとの認識を示しました。

ドル円は再び105円割れを試す展開になってきました。
今月2日には104円94銭まで下落し、その後106円台まで反発してい
ることから、105円前後はサポートレベルと見られます。
まだ大きな動きにはつながっていませんが、いつ動き出しても不思議ではあ
りません。より小まめに市場をチェックすることも必要かと思います。

本日のドル円は104円80銭~105円50銭程度を予想します。



英国とEU、通商交渉で歩み寄り見られず 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は105円台半ばで小動き。株価が下落し、
長期金利が上昇したものの、ドル円は前日よりも水準を
やや切り上げ105円62銭まで買われる。
◆ユーロドルは水準を切り下げ1.1730まで下落。
英国とEUの交渉に歩み寄りが見られないことで
ユーロ売りが加速。
◆株式市場は5日ぶりに反落。製薬大手がコロナワクチンの
臨床試験停止を発表したことなどが響き、ダウは157ドル安。
他の主要指数も揃って反落。
◆債券は反発。長期金利は0.72%台へと低下。
◆金は大幅に下落し1900ドル台を割り込む。
原油は買われる。

◆9月消費者物価指数  → 0.2%

本日の注目イベント

◆豪   豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
◆日   8月鉱工業生産(確定値)
◆トルコ  トルコ7-9月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月鉱工業生産
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   9月生産者物価指数
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   クラリダ・FRB副議長講演
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米   クオールズ・FRB副議長講演
◆    G20(バーチャル形式)
◆米  企業決算 → アルコア、ウェルズファーゴ、ゴールドマン、バンク・オブ・アメリカ


追加の経済対策を巡る動きは昨日も進展せず、11月3日の大統領選前までに法案
がまとまる可能性は徐々に遠のいているようです。
トランプ大統領は、経済対策を「やるからには大きくやれ」とツイートしたものの、
合意は遠のくばかりです。
共和党のマコネル院内総務は、「中小企業を支援する給与保証プログラムに資金を
補充する条項に絞った法案」を来週上院で採決する計画を発表しましたが、ペロシ
下院議長は「同案に基づく交渉では民主党の優先課題は取り入れられないだろう」
とマコネル案を否定しました。ペロシ議長はあくまでも包括的な対策案を主張して
おり、現在、民主党案の2兆2000億ドル(約232兆円)と共和党案の1兆8
000億ドルには、依然として4000億ドルの差があります。
大統領選への影響もあり、双方のかけ引きもあることから合意は難しい状況ですが、
ペロシ議長とムニューシン財務長官の協議は今後も続けられる見通しです。

ドル円は前日よりも水準をやや切り上げてはいますが、依然として動意に欠ける展
開です。ドル円の小幅な上昇は、英国とEUの通商交渉が今週にも節目となる期限
が迫るにも拘わらず、合意に向けた歩み寄りが見られなかったことで、ポンドとユ
ーロが対ドルで売られたことによる影響です。昨日のNYでは、ジョンソン&ジョ
ンソンと、イーライリリーの、大手医薬品メーカーがコロナワクチンの臨床試験停
止を発表したことで株価は下げ、債券が買われました。米企業の決算発表では、J
Pモルガンとシティーグループは好決算を発表しましたが、上記材料に押された格
好でした。

IMFは13日、世界経済見通しを発表し、「新型コロナウイルスに起因する世界
経済の落ち込みが従来の予想に比べ緩やかにとどまる」との見通しを示し、世界の
経済成長率予想を上方修正しました。「多くの国や地域の政府が打ち出した強力な
景気対策で、景気が和らいだ」とする一方、「感染が抑え込まれるまで、回復の道
は平たんではないだろう」と警告しています(ブルームバーグ)今年の世界経済成
長率を、前回6月時点から引き上げ「-4.4%」とし、2021年は「+5.2%」としま
した。
中でも中国の成長率を、今年は「+1.9%」とし、21年度を「+8.2%」と
しています。米国の21年度の成長率は「+3.1%」で、日本は「+2.1%」
と予想しており、中国の回復力が際立つと見られています。

大統領選までちょうど3週間です。
市場ではバイデン氏が勝利した場合、「相場がどのように動くのか?」を予測する
動きが活発になってきました。昨日もこの欄で述べたように、「バイデン勝利」で
も、これまでとは異なり、ドル高が進むと予想する向きが急速に増えてきました。
対中国との関係がやや改善されると見られることに加え、協議が進まない大規模な
経済対策も議会を通過し易いとの見方がその理由です。
ただその場合、上院でも民主党が過半数を獲得することが必要で、仮にバイデン大
統領が誕生しても、ねじれ議会が続くとすれば、政策運営の難しさは変わらないか
もしれません。

本日のドル円は105円10銭~105円80銭程度を予想します。



NY株4日続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米債券市場が休場だったこともありドル円は小動きの中
じり安の展開に。105円23銭前後までドル安が進む。
◆ユーロドルでは1.18を挟みながらも、小幅なドル高ユーロ安
が進行。
◆株式市場は揃って4日続伸。アップルやアマゾンが上昇を
けん引する形で、ナスダックは2.5%を超える上昇に。
◆金は続伸。原油は続落し40ドル台を割り込む。

本日の注目イベント

◆中   中国 9月貿易統計
◆独   独9月消費者物価指数(改定値)
◆独   独10月ZEW景況感指数
◆英   英9月失業率
◆米   9月消費者物価指数
◆米   IMF世界経済見通し
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米   デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
◆米  企業決算 → シティーグループ、JPモルガン、J&J、ブラックロック

ドル円は105円台半ばを頭に、薄商いの中じりじりと値を下げ105円23銭
近辺まで下落し、10日ぶりのドル安水準を付けています。
昨日は米債券市場が休場で、金利の動きはなく、NY株式市場ではハイテク株を
中心に続伸し、株高でリスク選好が高まったにも拘わらずドルが売られました。
ただ、その他の主要通貨の動きを見ると、ユーロや豪ドルでは若干ドル高が進み、
ポンドではドル安が進むなど、まちまちの展開でした。

ペロシ下院議長とムニューシン財務長官は今週も協議を続け、2兆2000億ド
ル(約232兆円)規模の民主党案と、1兆8000億ドル規模のホワイトハウ
ス案の隔たりを埋める話し合いを行うようです。
トランプ大統領もツイートで共和党に対して、米連邦最高裁判所判事候補エイミ
ー・バレット氏の承認公聴会を早めに切り上げ、景気支援に集中するよう促しま
した。ただブルームバーグは、共和党議員の多くがホワイトハウス案を拒否して
いる上に、下院議員は12日週内の採決は見込まれていないと通知されたことか
ら、「この協議が合意に至った場合でも、11月3日の大統領選前に経済対策法
案がまとめられ、議会を通過する可能性はほぼなくなった」と報じています。
トランプ大統領は、15日の第2回討論会が中止になったこともあり、12日夜
にはフロリダ州オーランドでの集会を皮切りに、13日にはペンシルベニア州、
14日はアイオワ州へ飛び、演説を行う予定です。
バイデン氏リードが伝えられる中、「コロナを克服した大統領」を前面に出し、
最後の逆転勝利に向かって突き進むようです。

NY株市場は4日続伸しました。
特にナスダック指数は2.5%を超える上昇で、9月2日に記録した1万205
6ポイントに手が届く水準まで回復しています。
昨日はアップルやアマゾンなどのハイテク株が上昇をけん引するなど、9月に最
高値を付けた時の状況に似てきました。
米国では一旦収束したかに見えた新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向を見
せており、12日に示された医学誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メデ
ィカル・アソシエーション」によると、新型コロナウイルス感染で亡くなる人の
割合は、先進国では米国が最も高いとの調査結果を公表しています。米国での死
亡率は当初、英国やスペイン、オランダなどより低かったが、夏場に入ってから
の公衆衛生対策の不備が響いたとの報告を示しています。
また同雑誌の中で、サマーズ元財務長官は「新型コロナウイルスが米国に与える
経済的打撃について、失われた命や健康への直接的影響を考慮すれば被害額は1
6兆ドル(約1700兆円)に達するとし、金融危機後の大不況時の4倍のコス
トとなる」と述べています。(ブルームバーグ)再び上昇傾向を見せている足元
の株価とは相容れないような気がしますが、ゼロ金利政策と大規模な資金供給が
支える構図と言えるのでしょう。

今朝の経済紙では、バイデン氏が勝利しても「円安」の可能性があることを紹介
しています。確かに、バイデン氏が勝てば民主党が提案している大規模な経済対
策が実行される可能性が高まり、株価が上昇し、金利が上昇することで「ドル高
円安」という図式も想定されます。
一方トランプ氏が勝ったら、これまでの株価重視の流れから、こちらも株価の上
昇につながり易いと考えることができます。
ただ異なるのは、中国への制裁がさらに強められることになり、米中関係のさら
なる悪化からリスクオフの円買いが進むと見ることも出来そうです。
さらにトランプ氏は、FRBに対して常に利下げ圧力をかけてきました。
今後は「マイナス金利導入」へも圧力をかけることも考えられます。
「バイデン氏が勝利しても円安」ではなく、「バイデン氏が勝利しなければ円安
は進まない」と言ったら言い過ぎでしょうか。

本日のドル円は105円~105円70銭程度を予想します。


ユーロドル3週間ぶりに1.18台半ばに 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は軟調な展開となり小幅に反落。
ユーロドルでドル安が進んだこともあり、ドル円は
105円59銭まで下落。
◆ユーロドルは約3週間ぶりとなる1.1831まで
上昇。中国人民元でドル安が進んだことも重石となった。
◆株式市場は主要指数が揃って3日続伸。トランプ政権が追加の
経済対策の規模を引き上げたことを好感し、ダウは161ドル高。
◆債券は売られ、長期金利は0.77%台へと小幅に低下。
◆金は大幅に続伸。原油は反落。

本日の注目イベント

◆欧   ノーベル経済学賞受賞者発表
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米 NY休場(コロンブスデー)
◆米   米上院司法委員会、バレット最高裁判事候補の承認公聴会開始

ドル円は先週末のNYで、ユーロドルに引っ張られる形で105円台半ばまで
売られ、106円台がなかなか定着しません。
先週は米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大や、米実質金利のマイナス幅縮
小などを手掛かりに106円台に乗せ、106円08銭までドル高が進む場面
がありましたが、結局押し戻されています。テクニカルでも、日足の「雲入り」
は果たしたものの、106円17~18銭前後にある「雲の上限」を抜け切る
ことが出来ず、押し戻された格好になりました。ドルの下値も底堅いことから
依然もみ合いが続くと思われますが、米大統領選も近付き、いつ大きく動いて
もおかしくはありません。大統領選挙前までにはポジションの整理を行うこと
も必要かと思います。

11月3日の米大統領選が迫る中、ワシントンではトランプ大統領がコロナか
らの復活を盛んにアピールする動きと、追加の経済対策案を巡る駆け引きが活
発化してきました。トランプ大統領は10日、ホワイトハウスに数百人の支持
者を集め、コロナ感染からの回復をアピールしましたが、ホワイトハウスでは
バレット最高裁判所判事任命の式典でクラスターが発生しており、バイデン氏
はこれを強く非難していました。

一方で追加の経済対策を巡る問題では、予算案の規模をこれまでの1兆600
0億ドル(約169兆円)から2000億ドル積み上げ、1兆8000億ドル
とする案を民主党に提案し歩み寄る姿勢を見せましたが、ペロシ下院議長はこ
の提案に対して「不十分だ」との認識を示しています。ペロシ議長は民主党の
同僚議員への書簡で、「トランプ政権の提案は一歩前進、二歩後退だ」と指摘
し、「多くの優先事項で依然として相違がある」と述べています。
(ブルームバーグ)
またマコネル共和党院内総務も、依然として規模に大きな隔たりがあることか
ら、「大統領選挙前には合意できないだろう」と語っています。
追加の景気対策を巡っては、規模の差もありますが、ここにきて大統領選を意
識してやや「戦略的道具」になっている印象があります。
トランプ大統領とすれば、この段階で追加の景気対策を合意できれば、有権者
に好印象を与えることが出来、選挙戦に有利に働きますが、一方で民主党のペ
ロシ議長としては、規模の点ではあくまでも譲歩せず、「国民のために必要な
大規模な景気対策」を推し進めることで、民主党への支持を確保することが出
来ます。
また、このまま合意せず投票日を迎えれば、トランプ大統領へも大きなダメー
ジを与えることも出来ることから、このまま「譲歩しない」可能性もあると考
えます。

投票日が近付くにつれ両候補への支持率の差が広がっています。
11日に発表されたワシントンポスト紙とABCニュースの調査では、バイデ
ン氏の支持率は54%で、トランプ氏が42%と、その差が12ポイントに拡
大しています。また支持者の内訳では、バイデン氏は郊外に住む女性からの支
持率が62%と、トランプ氏の34%を大きくリードしている一方、郊外の男
性からの支持率では、トランプ氏(54%)がバイデン氏(43%)を上回っ
ています。郊外の有権者は両陣営が取り込みを狙っている層と言われています
が、全体ではバイデン氏が53%で、トランプ氏が44%になっています。
(ブルームバーグ)

第2回目の大統領候補によるテレビ討論会は15日に予定されていましたが、
トランプ大統領がオンラインによる参加を拒否したことから、討論会委員会は
2回目の討論会を中止すると発表しました。最終回となる3回目は、現時点で
は22日に行われる予定です。

米国ではいよいよ「選挙戦モード」に入ってきます。
「Make America Great again」をさらに強めるのか、あるいは「保護貿易」、
「自国第一主義」を排除し、再び「グローバル化」を推し進めるのか、米国の
これからの4年間が、あと3週間余りで決まります。 本日米国は「コロンブ
スデー」のため休日です。ドル円はさらに小動きで、105円40銭~105
円90銭程度を予想します。

米国が「コロンブスデー」で休場のため、明日の「アナリストレポート」はお
休みとさせていただきます。



米副大統領候補討論会盛り上がらず 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は106円を挟み小動き。値幅も10銭程度と、ほぼ固定相場の様相。

  • ユーロドルも前日の水準近辺でもみ合う。1.1733まで下落する場面もあったが、取引は低調。

  • 株式市場は続伸。ダウは122ドル上昇し、S&P500は5週間ぶりの高値圏に。

  • 債券相場は横ばい。長期金利も0.79%近辺で動かず。

  • 金は3日ぶりに反発し、原油はハリケーン「デルタ」の接近で買われ41ドル台に。

本日の注目イベント

  • 英 8月鉱工業生産
  • 英 8月貿易収支
  • 欧 ノーベル平和賞受賞者発表
  • 加 9月就業者数
  • 加 9月失業率

ユタ州ソルトレークシティーで7日、副大統領候補の共和党ペンス氏と民主党ハリス氏がテレビ討論会を行いました。冒頭から新型コロナ対策を巡る攻防が行われ、ハリス氏は、「米国民は歴代政権で最大の失敗を目撃してきた」と攻撃を開始し、「現政権は再選される権利を喪失している」と続けました。これに対してペンス氏は、「大統領は最初から国民の健康を第一に考えてきた」と反論するなど、コロナ対策の巧拙を巡っては、どちらかが勝利したとは言えず、一進一退の議論に終わっています。その他にも、増税計画や環境問題、さらには連邦最高裁判所判事任命の問題まで議論されましたが、思ったほど盛り上がりに欠けた印象です。討論会後にCNNが行った調査では、59%対39%でハリス氏が勝利したとの見方が多数でした。(ブルームバーグ)

大統領候補討論会委員会は、今月15日予定されているトランプ氏とバイデン氏による第2回目の討論会をリモート形式で行うことを発表しましたが、トランプ氏はこの討論会への参加を拒否しました。第1回目の大統領候補と副大統領候補の討論会を終えた各メディアの予想では、バイデン大統領実現の可能性が高まったと報じており、バイデン氏のリードはこれまでで最も広がっています。株式市場でもバイデン氏当選を徐々に織り込む動き見せ、環境面での投資を優先するとしていることから、バイデン氏が当選したら工業セクターでは、空調、建機、自動化の銘柄に妙味があると見られているようです。

混迷が続いている 米追加の経済対策案を巡って、ペロシ下院議長は航空支援法案のみの通過には合意できず、あくまでも包括的な支援策での合意を目指すとのコメントを発表しましたが、これによりドルはやや軟調な動きとなり、株価も下押しする局面がありました。ただ今朝のブルームバーグは、ペロシ氏の報道官ハミル氏によると、ムニューシン財務長官はペロシ氏との40分間の電話会議で、トランプ大統領が包括的な刺激策での合意を望んでいることを伝えたとしています。ペロシ下院議長が、細切れの法案を拒否する姿勢を鮮明にしたのを受け、ホワイトハウスが姿勢を転換したのではないかと伝えています。トランプ氏も、大統領選での不利な状況が続いていることから、これ以上有権者の支持を失いたくないといった考えもあり、包括的な合意には前向きになってきたのではないかとも見られます。「協議は大統領選後に行う」と述べていたトランプ氏が、協議再開を指示する可能性も出てきたと思います。

NY株式市場では株価の動きが堅調で、ややリスクオンの流れが優勢な状況になっています。そのため、ドル円では円が弱い動きを見せ、米国債も売られ気味で、長期金利は最近の中では高水準で推移しています。金価格が徐々に上値を重くしているのも、その流れの一環かもしれません。本日は特段材料もなく、何かサプライズでもない限り、活発な動きはないと見ています。ドル円は105円80銭~106円40銭程度を予想します。

ドル円3週間ぶりに106円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • トランプ大統領の景気対策に関する前向きなツイートにリスクオンが強まり、ドル円は約3週間ぶりに106円台を回復。この日の高値圏で取り引きを終える。

  • ユーロドルは小幅に下落。ドルが買われたことで1.17台半ばまで売られる。

  • 株式市場は大幅に反発。景気対策を巡るトランプ大統領のツイートを材料に朝方から買いが優勢となる。ダウは530ドル高と、約1カ月ぶりの高値を記録。

  • 債券は反落。長期金利は0.79%付近まで上昇。

  • ドル高の流れから金は続落。原油も売られ40ドル台を割り込む。

本日の注目イベント

  • 日 8月貿易収支
  • 日 8月国際収支
  • 日 10月日銀地域経済報告(さくらリポート)
  • 日 9月景気ウオッチャー調査
  • 中 9月財新サービス業PMI
  • 中 9月財新コンポジットPMI
  • 独 8月貿易収支
  • 独 8月経常収支
  • 欧 ECB議事要旨
  • 欧 OPEC、世界石油見通し
  • 欧 ノーベル文学賞受賞者発表
  • 英 ベイリー・BOE総裁、パネル討論に参加
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 加 8月住宅着工件数

「米景気対策を巡るドラマはまだ終わりそうもない・・・・・」
前日、追加の景気対策に関する協議を大統領選挙後まで行わないとしたトランプ大統領のツイートで株価が大きく下げ、債券が買われ、長期金利の低下につながりましたが、その直後に今度は一転して「1200ドル(約12万7000円)の小切手を個人に配布する独立した法案(Stand Alone Bill)が議会を通過し、送られた場合には、直ちに署名する用意がある。聞いているか、ナンシー?」とツイートしました。ナンシーとは言うまでもなく、民主党下院議長のナンシー・ペロシ氏を指していますが、このツイートを好感し、昨日のNY株式市場は朝方から急騰しました。「依然として追加の景気対策を巡る協議進展の可能性がある」との連想からダウは530ドル上昇し、他の株価指数も1.5%近い上昇を見せました。ダウは約1カ月ぶりの高値を付けています。債券は売られ、10年債利回りは直近の高値を抜き、0.79%近辺まで上昇しています。

ペロシ議長は7日、ムニューシン財務長官と電話で協議を行い、航空会社に的を絞った個別法案には前向きな姿勢を示したものの、個人に1200ドルを直接給付する法案については、「新型コロナウイルスに伴う困難に対処するには不十分だ」と発言し、トランプ大統領からの圧力をはねのけました。(ブルームバーグ)しかしペロシ氏は包括的景気対策案については、交渉の可能性を閉ざしてはいないと見られますが、依然として協議の行方に関しては不確実性が高い状況が続いています。

将来利上げを行う際の基準について、明確な指針を示した前回のFOMCでしたが、その議事録の内容が公表されました。9月15、16日に行われた会合では、ダラス連銀のカプラン総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が反対票を投じました。議事要旨では、「幾人かの参加者は、会合後の声明に合意内容の重要要素を組み込むのは適切だということで同意したが、現時点でフォワードガイダンスを強化したり、利回りにさらに下向きの圧力をかける大きな余地をフォワードガイダンスに与えたりする必要性はないように思われると主張する参加者もいた」と記述されていました。「インフレ率が上昇し、一定期間2%を適度に超える軌道に乗るまで」とした、物価上昇の基準を明確にすることによって、FRBの柔軟な金融政策に影響が出るといった声もあり、意見が分かれていたことが判明しました。

ドル円は106円08銭までドル高が進みました。前日のNY株の急落にもドル円は105台半ばを維持しており、底堅いとは見ていました。値幅としてはたいしたことはありませんが、約3週間ぶりの高値です。日足では、ドル円は現在雲の中で推移しており、雲の上限に迫る形になっています。雲の上限は106円15銭前後にあり、この水準を明確に抜け切ると、ドルの先安観にもやや修正が加わる可能性が出てきます。ドルの上昇も非常に緩やかで、その動きを基準にすると、相場観の切り替えを行う状況でもありませんが、それだけに、ずるずると放置してしまい、相場の転換点を見失しなうリスクもあります。

本日は日本時間10時から米副大統領候補の討論会があります。トランプ大統領がコロナに感染したこともあり、注目度は増しています。共和党のペンス副大統領はこの討論会で、どこまでトランプ大統領への支持を奪回出来るのかが焦点です。今朝の時点でも、コロナに感染したトランプ氏への「同情票」は伸びず、バイデン氏がリードを広げているとの報道があります。

本日のドル円は105円50銭~106円30銭程度を予想します。

ユーロドル2週間ぶりに1.18台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小幅に反落したものの、105円台半ばを維持。トランプ大統領が追加の経済対策の協議停止を指示したことでリスクオンの流れが後退。

  • ユーロドルは続伸し、2週間ぶりに1.18台に乗せる。

  • 株式市場は大幅に反落。トランプ大統領が追加の経済対策協議を選挙後に延期すると指示したことが背景。ダウは午後に急速に下げ幅を拡大し、前日比375ドル安で引ける。

  • 債券は反発。長期金利は0.73%台へと低下。

  • 金は反落。原油はハリケーン「デルタ」の接近などから大幅に続伸。

本日の注目イベント

  • 日 8月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 中 9月外貨準備高
  • 独 8月鉱工業生産
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 欧 IOC理事会(ローザンヌ)
  • 欧 ノーベル化学賞受賞者発表
  • 米 8月消費者信用残高
  • 米 FOMC議事録(9月15、16日分)
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
  • 米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 米副大統領候補討論会(ユタ州、ソルトレークシティー)

引き続きトランプ大統領の言動に相場が振らされる展開です。5日に退院したトランプ大統領は、元気な姿を盛んにアピールし、多くのメディアがそのパフォーマンスを放映していました。ホワイトハウスに戻ったトランプ氏は、あえてマスクを外し、カメラに向かってポーズをとるなどしていましたが、その姿は心なしか元気がないように見えました。また、その姿をよく見ると、わずか3日の間に「痩せて、まゆげに変化が出ていた」と感じたのは筆者だけではないと思われますが、一気に歳を感じさせました。一部の報道は「トランプ氏が強制的に退院を指示した」と伝えています。主治医も、「完全には安心できない状態かもしれない」ことを認めています。

そのトランプ氏が早速行ったツイートは、追加の経済対策について「選挙後まで交渉を止めるよう担当者に指示した。私の勝利直後に勤勉な米国人の人々や中小企業を重点対象とした大規模な景気対策法案を通す」と主張しました。ホワイトハウスと議会による数カ月に及ぶ協議が事実上終了したことを受け、株式市場では株価が急速に下げ、それまで前日比小幅高で推移していたダウは一時400ドルを超える下げに転じ、ドル円も105円台半ばを割り込みました。このツイート直前にパウエルFRB議長が講演で、十分な政府支援がなければ米景気回復は弱まると警告したばかりであったこともあり、このトランプ氏のツイートに株式市場は大きく反応しました。

パウエル議長は全米エコノミスト協会が主催したオンライン形式の会議で講演し、「政府の支援があまりに少なければ景気回復は弱くなり、家計と企業を不必要に苦しめることになる」と指摘し、「それに対し、支援が行き過ぎることのリスクは、現段階ではより小さいと思える。政策対応が結局のところ必要以上に大きいことが後に分かったとしても、無駄にはならない」と、政府支援の必要性を訴えていました。(ブルームバーグ)

ドル円は株価の大幅な下げに、若干ドル安は進みましたが値動きは限定的でした。もっとも、前日の株価の大幅上昇や金利高にも反応薄だったこともあり、為替のボラティリティはまだ低水準と言えます。ここは、だからと言って安心せず、米大統領選まで1カ月を切っています。本日も副大統領候補のテレビ討論会があります。ペンス氏もハリス氏も、いずれも「次の次の大統領候補」の可能性もあり、その討論会は注目されます。前回の大統領候補の討論会が、討論会ではなく非難合戦に終始したこともあり、政策論争を期待したいところです。

新型コロナウイルスの感染は依然として収まる気配がありません。欧州ではフランス、スペインに続いてドイツでも一日の感染者数が急増しています。また米国でも、カリフォルニア州やフロリダ州など、人口の多い州では感染の勢いは鈍化しているものの、
中西部ではかつてない感染拡大が起きており、北東部一部でも再び広がり始めています。日本も今月から東京都が「GO toキャンペーン」の対象に加わり、観光地には人が戻ってきました。秋の紅葉も北から徐々に南下しており、間もなく観光シーズンがピークを迎えます。この後の感染が心配ですが、WHOが公表した「世界人口の1割に当たる約7億8千万人が新型コロナウイルスに感染した」という試算は衝撃的でした。

本日のドル円は105円20銭~106円程度を予想します。

トランプ大統領退院でリスクオンに 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • トランプ大統領が日本時間朝方7時半に退院するとの報道にドルが買われ、ドル円は105円79銭まで上昇。株高、金利高でリスクオンの流れが強まる。

  • ユーロドルは続伸。1.1797までユーロ高が進み、対円でも124円台後半に。

  • 株式市場は3指数とも揃って大幅に上昇。トランプ大統領の早期退院や、良好な経済指標、さらには追加の経済対策の早期合意など好材料が後押し。ダウは465ドル上昇し、2万8000ドル台を回復。

  • 債券は大きく売られ続落。長期金利は0.78%台まで上昇し、約3カ月ぶりの高水準に。

  • 金と原油は反発。原油価格は前日比2ドルを超える上昇を見せ、トランプ大統領の早期退院を好感。

本日の注目イベント

  • 豪 8月貿易収支
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 独 8月製造業新規受注
  • 欧 ラガルド・ECB総、パネル討論会に参加
  • 欧 ノーベル物理学賞受賞者発表
  • 米 8月貿易収支
  • 米 パウエル・FRB議長講演
  • 米 カプラン・ダラス連銀総裁、討論に参加
  • 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 加 8月貿易収支

トランプ大統領は日本時間今朝7時半に退院し、ホワイトハウスに戻りました。先週金曜日に急遽コロナに感染したことが発表され即入院しましたが、わずか3日目に退院したことになります。大統領選挙を控え、何としても元気な姿を見せなくてはならない事情があったとは思いますが、医師団を説き伏せての退院かもしれません。トランプ氏は「気分は非常に良い」と述べ、「この病気に人生を支配させてはならない」と回復ぶりをアピールしました。主治医のコンリー医師は、「大統領の容体は改善し続けており、全ての退院基準を満たすか、上回っている。」と述べ、退院前には治療薬レムデシビルの4回目の投与を受け、今後もホワイトハウス内で治療する予定のようです。

ただ、まだ完全に回復したわけではなく、今後選挙戦にいつ復帰できるかはなお不明です。またバレット判事を指名したホワイトハウスでのイベントでは、少なくとも13人の感染が確認されており、大統領報道官のマクナニー氏も新型コロナ検査で陽性反応が出たことを明らかにしています。昨日もこの欄で述べましたが、あの状況の中、バレット判事が感染しなかったことが驚きです。トランプ氏は今後容体が許す限り大統領選に全力を注ぐものと思われますが、その一方でトランプ氏の「敗北」は濃厚になりつつあります。最新の世論調査によると、バイデン氏との支持率の差はこの選挙戦で最大の14ポイントに拡大しています。(参照:10月5日『ウィークリーレポート』)そのため、「大接戦となり、法廷闘争にまでもつれるのではないか」との懸念も後退しており、新大統領への移行もスムーズに行われるといった見方も出て来ました。

トランプ氏の退院、経済指標の好転、さらには入院を経てトランプ氏自身が追加の経済対策には前向きなことから、民主党とホワイトハウスの早期の合意も来期待できる状況になっており、株式市場には強い追い風が吹きました。NYダウは465ドル上昇し、9月16日以来となる2万8000ドルの大台を回復してきました。ドル円もリスクオンの流れから105円79銭まで買われましたが、米長期金利の上昇幅を考えるとややもの足りません。やはり、ドルの先安観が残っており、上昇するにしても極めて緩やかな動きになっています。

ISM非製造業景況指数が予想を超え、良好な内容でした。特に雇用指数は3.9ポイント上昇し、「51.8」と、コロナ感染が拡大して以降初の「50」超えです。16のサービス業界のうち、活動が縮小していると報告されたのは、専門職、科学、技術サービスのみで、娯楽。運輸、ヘルスケア、不動産など、多くの業種で拡大が報告されています。ISM非製造業景況調査委員会のエニベス委員長は、「企業からのコメントは引き続きビジネス状況や経済に関しておおむね楽観的で、そうした企業の事業を直接的に反映している」と語っています。(ブルームバーグ)本日は日本株にも買い安心感が出てきそうです。日経平均はそこそこの上昇が予想されますが、昨日すでに大きく上昇しているためNYと比べると期待値は高くはないと思います。本日のドル円は105円20銭~106円程度を予想します。


ドル円トランプショックから回復 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆トランプ大統領がコロナに感染したとの報道で東京時間に
104円台後半まで売られたドル円はNYではやや反発。
105円39銭まで反発し、高値圏で引ける。
◆ユーロドルはやや水準を切り下げ1.17前後まで下落。
◆株式市場はトランプ大統領がコロナに感染したことで下落。
朝方は430ドルを超える下げを見せたが、その後落ち着きを
取り戻す。ダウは134ドル下げ、ナスダックは251ポイント
下げて取引を終える。
◆債券は反落。長期金利は約1カ月ぶりに0.7%台に
上昇。
◆金は反落し、原油は大幅安。

◆9月失業率                 →  7.9%
◆9月非農業部門雇用者数           →  66.1万人
◆9月平均時給 (前月比)          →  0.1%
◆9月平均時給 (前年比)          →  4.7%
◆9月労働参加率               →  61.4
◆9月製造業受注               →  0.7%
◆9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)  →  80.4

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏9月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月小売売上高
◆欧   ノーベル医学生理学賞受賞者発表
◆米   9月ISM非製造業景況指数
◆米   9月マークイッサービス業PMI(改定値)
◆米   9月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

先週末金曜日の午後2時、「トランプ大統領が新型コロナ陽性!!」との突然の
ニュースに、105円50銭台で推移していたドル円は急激に値を崩し、105
円を割り込み、104円95銭前後までドル安が進みました。
日経平均株価の方も、プラス圏からマイナス200円を超える下げに転じました。
この日は夜、雇用統計の発表があり、市場はのんびりした雰囲気でしたが、思い
もかけない「トランプショック」に市場はやや動揺したようです。
特に株式市場では前日、東証のシステムトラブルが発生し、終日取引停止になっ
ており、この日は2020年度下期の初日ということもあり個人投資家を中心に
動揺が広がったようです。

トランプ大統領のコロナ感染を受けたNYでは、株式市場が朝方から大きく下げ
て取引が始まったものの、その後下げ幅を縮小して取引を終えましたが、ナスダ
ックの下げ幅はやや大きかったようです。
トランプ大統領のその後の容態は改善の方向に向っているようで、執務を行って
いる映像も流されましたが、2日には酸素吸入を行ったとの報道もあり、厳しい
状況だったようです。「高齢」と「肥満」のトランプ氏はやはりリスクが高く、
「ここ数日が正念場」と見られていますが、4日には担当医の一人が、「早けれ
ば5日に退院する可能性がある」と語っています。

「トランプ氏は、コロナにかかるべくして、かかった」というのが、個人的な印
象です。そもそも、トランプ氏は日頃からマスクをほとんど付けてはおらず、第
1回大統領候補テレビ討論会では、テーマがコロナ感染に及んだ際、司会者に
「貴方はマスクの効果を評価していませんでしたが、そうですね?」
と質問されると、おもむろに上着のポケットから黒いマスクを取り出し、それを
掲げて「マスクが必要なら、今でもつけることができる」と、質問には全く答え
ていないシーンがありました。また連邦最高裁判所の判事に、エイミー・バレッ
ト氏を指名し、そのお披露目をホワイトハウスの庭で行ったイベントでは、トラ
ンプ氏やバレット氏だけではなく、参加者のほとんどがマスクを着けてはいませ
んでした。
2列目に着席していた人物の何人かはマスクを着用していましたが、メラニア婦
人、ペンス副大統領など、最前列に座っている人は誰もマスクを着けてはいませ
んでした。メラニア夫人は感染しましたが、ペンス副大統領は、よく感染しなか
ったものと感心しています。
因みに、このイベントではトランプ氏を含めて9人の感染が確認されており、参
加者の1人である、前ニュージャージー州知事のクリスティー氏も感染し、入院
しています。

9月の雇用統計では非農業部門雇用者は市場予想を下回っていましたが、失業率
は「7.9%」と、5カ月連続の改善でした。
市場はこの結果を「ニュートラル」と受け止め、大きな動きにはつながっていま
せん。ドル円は平静を取り戻した感がありますが、今後もトランプ氏の容態がど
のように変化するのかがポイントになります。
5日にも退院するようなら、株式市場は好感し、株高・ドル高に振れる可能性が
高いと思われます。また、紛糾している追加の景気対策についても、トランプ氏
自身が取りまとめを急ぐよう指示していることもあり、合意が近い可能性もあり
ます。
ペロシ下院議長も、ホワイトハウスとの交渉を楽観視しており、「こうしたこと
が多少力学を変える」と語っています。(ブルームバーグ)「禍転じて福と為す」
といったところでしょうか。

本日のドル円は105円10銭~106円程度でしょうか。


東証システムダウン、海外市場には影響なし 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はほぼ変わらず。105円73銭まで買われたが、
105円70-80銭のゾーンを今回も抜切れず。
◆ユーロドルは反発。この日は終始1.17台で推移し、
1.1767前後まで続伸。
◆ポンドが乱高下。EUとの離脱協議を巡って相反する報道を
材料に、1.28台前半から100ポイント以上上昇し、
その後上昇分を吐き出す。
◆株式市場は揃って続伸。東証のシステムトラブルの影響も
懸念されたが、ダウは35ドル高。追加の経済対策合意への
期待から朝方は上昇したが、その後やや失速。
◆債券相場は反発。長期金利は0.67%台と小幅に低下。
◆金は反発。原油価格は1ドル50セント下げる。
産油国の生産量が増加していたことや、米景気の低迷が売り
につながった。

◆9月自動車販売           →  1634万台
◆新規失業保険申請件数        →  83.7万人
◆8月個人所得            →  -2.7%
◆8月個人支出            →  1.0%
◆8月PCEコアデフレータ      →  1.6% 
◆9月ISM製造業景況指数      →  55.4
◆8月建設支出            →  1.4%

本日の注目イベント

◆豪   豪8月小売売上高
◆日   8月失業率
◆欧   ユーロ圏9月消費者物価指数
◆米   9月雇用統計
◆米   8月製造業受注
◆米   9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

ペロシ下院議長とムニューシン財務長官は追加の経済対策を巡って昨日も交渉
を続けましたが、妥協点は見いだせていません。
ペロシ議長はホワイトハウスとの間には大きな意見の相違が残っていると述べ
ています。1日の午後にも協議を行う予定ですが、議長は、「合意できる希望
はある。国民が強く必要としているからだ」と述べ、「しかし、そのためには
賃金を出す必要があるということを認識してもらわなくてはならない」と語っ
ています。(ブルームバーグ)下院は2.2兆ドル(約233兆円)規模の民
主党の景気対策案を1日午後7時(日本時間2日午前8時)に採決する構えの
ようです。

ドル円は底堅い動きを見せてはいるものの、105円70-80銭のゾーンが
やや「壁」になりつつあります。ただ昨日のユーロドルでは「ユーロ高ドル安」
が進んだにも拘わらず、ドル円はしっかりでした。ここ数日は、東京時間には
売られる傾向があるようですが、海外では底堅く推移する展開が続いています。
ただ基本的には明確なトレンドはなく、ドルに対するセンチメントも「日替わ
り」といったところです。本日は9月の雇用統計が発表されます。
今週水曜日に発表されたADP雇用者数が予想を大きく上回る結果だったこと
もあり、上振れ期待もありますが、非農業部門雇用者数は「87.5万人の増
加」と、8月の「137.1万人」からは大きく減少すると見られています。
ボーイングなど航空機メーカーや、航空会社がコロナの影響を受けていること
が影響していると見られます。失業率の方は「8.2%」と、こちらは先月よ
りもさらに改善していると予想されていますが、先月のそれが「8.4%」と、
大きく改善していたこともあり、その反動から悪化すると見る向きもあるよう
です。ただご存知のように、このところの雇用統計発表で相場が大きく動くケ
ースはほとんどありません。今夜の雇用統計でも相場のトレンドが形成される
可能性は低いと言わざるを得ません。

それでも米大統領選まで残り1カ月です。
動かないドル円ですが、「これから大きく動く可能性がある」ことを示唆する
データが出ていることを、ブルームバーグが指摘しています。
筆者はオプショントレーダーの経験はないので、日ごろあまりチェックするこ
とはありませんが、ドル円の2カ月物と1カ月物のインプライド・ボラティリ
ティ(IV、予想変動率)のスプレッドが急速に拡大していることを報じてい
ます。現在そのスプレッドは225bpと、ブルームバーグデータでさかのぼれ
る1996年以降で最大付近だそうです。
米大統領選まで1カ月。選挙後の1カ月で相場が大きく動く可能性があること
を暗示しているとも言えます。

2016年の米大統領選の際、11月3日に結果が判明した直後には99円前
後までドルが売られた後、急速に値を戻し、11月単月の値幅だけで15円以
上もあったことが思い出されます。ドル円は翌月にはさらに上昇し、118円
台半ばを超えています。トランプ期待が一気に盛り上がった「宴」でした。
来週7日(水)には副大統領候補によるテレビ討論会があります。

本日のドル円は雇用統計もあることから、105円~106円程度と予想しま
す。


米大統領候補テレビ討論会実りなし 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は引き続き105円台半ばでもみ合い。
追加の経済対策への合意期待が盛り上がったものの不発。
第1回大統領候補テレビ討論会での議論も期待はずれに
終わった。
◆ユーロドルは1.1752前後まで買われたが、
ポジション調整の域を出ず小幅に反落。
◆株式市場は大幅に反発。追加の経済対策合意への
期待からダウは500ドルを超える上昇を見せたが、
結局合意に至らず上げ幅を縮小。ダウは329ドル高、
ナスダックは82ポイントの上昇で取り引きを終える。
◆債券は反落。長期金利は0.68%台まで上昇。
◆金は3日ぶりに反落。原油は反発。

◆9月ADP雇用者数          →  74.9万人
◆4-6月GDP(確定値)        →  -31.4%
◆9月シカゴ購買部協会景気指数     →  62.4
◆8月中古住宅販売成約件数       →  8.8%

本日の注目イベント

◆日   7-9月期日銀短観
◆独   独9月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏8月失業率
◆欧   ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
◆欧   EU臨時首脳会議(2日まで、ブリュッセル)
◆米   9月自動車販売 
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   8月個人所得
◆米   8月個人支出
◆米   8月PCEコアデフレータ
◆米   9月ISM製造業景況指数
◆米   8月建設支出
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   ボウマン・FRB理事講演 

「貴方の対応が悪かったから20万人もの人が亡くなった」、「いや、あなたが
大統領だったら何百万人もの人が亡くなっただろう」・・・・。
注目された第1回大統領候補テレビ討論会は史上最悪の討論会だったと、多くの
識者は論じています。筆者も全てを観たわけではありませんが、建設的な政策議
論もなく、お互いに相手を罵倒する言葉の応酬でした。トランプ氏はバイデン氏
の発言中に何度も言葉を発し続け、司会者から黙るよう注意される場面もありま
した。90分余りにわたる討論も結局は、「勝者はいなかった。敗者は米国だ」
といった言葉が印象的でした。今回の討論会で共和党トランプ大統領と民主党バ
イデン前副大統領による非難の応酬で混乱したのを受け、米大統領候補討論会委員
会は(CPD)は30日、2回目以降の討論会では形式を変える意向であること
を明らかにしました。
第2回の討論会は10月15日に行われる予定で、その前7日には副大統領候補に
よる討論会も予定されています。
両陣営とも、次回の討論会からは相手の弱い所を攻撃することを止め、具体的な
政策論争に軸足を移してくることを期待したいと思います。

今回の討論会は結果的には勝者はいないと言われていますが、有権者への印象は
ややバイデン氏が有利だったようです。
昨日の東京時間昼には、討論会を終えバイデン氏勝利の確率がやや高まったこと
が報じられると、ドル円はやや円高に振れ、日経平均株価は下げ足を急速に早め、
この日の安値圏で取り引きを終えています。バイデン氏が勝利すれば、法人税増
税や富裕層への増税が確実と言われ、「反ウォール街」と見られて
いることに反応した結果かと思います。しかし、昨日のNY市場ではその影響は
全くなく、株価は大幅に上昇しています。『バイデン勝利=ドル安・株安』とい
った公式が本当に当てはまるのか、いましばらく見極める必要がありそうです。

ムニューシン財務長官は30日ペロシ下院議長と約1時間半協議した後、まだ合
意に至っていないと述べました。ムニューシン財務長官は「自分とペロシ議長の
交渉は、この数日間で大きく前進した」としながらも、
「まだ合意には至っておらず、さらに取り組むべき仕事がある。どうなるか、や
がてわかるだろう」と語っています。(ブルームバーグ)またマコネル共和党院
内総務も、新たな経済対策を望んでいるものの、共和、民主両党の立場にはまだ
なお隔たりがあると述べ、合意が近いことには否定的でした。

米大統領選まであと1カ月です。
まだドル円は大きな反応を見せてはいませんが、今後急速にボラティリティが上
昇することが予想され、ドル円も値幅を伴って上下する可能性があります。
特にシステム売買やAIといった、人の手を介さない取引が多くを占める昨今の
市場では、ヘッドラインだけで瞬時に反応し売り買いを実行します。
そのためレートも飛びやすく、値幅も増幅されやすいと言えます。
いよいよ10月です。これまでよりも慎重な見極めが必要になってきます。

本日のドル円は105円10銭~105円80銭程度でしょうか。


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