米長期金利1.61%台に急上昇。株価は急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆米金利上昇を背景にドル円は続伸。一時は106円40銭
まで上昇し、約5カ月ぶりのドル高を示現。
◆ユーロドルでは「ドル安・ユーロ高」に。
1.2243までユーロが買い戻され、ユーロ円は
130円に迫る。
◆株式市場では、長期金利の上昇が続いていることを
嫌気した売りが先行し、株価はほぼ全面安の展開。
ダウは559ドル下げ、ナスダックも478ポイント
安と、大きく下落。
◆債券は続落し、長期金利の上昇が止まらない。
長期金利は一時1.61%まで急騰。
◆金は続落し、原油は続伸。
◆新規失業保険申請件数 → 73万件
◆10-12月GDP(改定値) → 4.1%
◆1月耐久財受注 → 3.4%
◆1月中古住宅販売成約件数 → -2.8%
本日の注目イベント
◆日 2月東京都区部消費者物価指数
◆日 1月鉱工業生産
◆米 1月個人所得
◆米 1月個人支出
◆米 1月PCEコアデフレータ
◆米 2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米 2月シカゴ購買部協会景気指数
◆英 G20財務相・中央銀行総裁会議(ビデオ形式・27日まで)
NY債券市場では債券売りが止まらず、10年債利回りは一時1.61%近辺まで
上昇し、昨年2月以来ほぼ1年ぶりの高水準を記録しています。前日、パウエル議
長が議会証言で、「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限
の雇用達成から程遠い状況にあるためだ」と説明し、「一部指標で価格上昇が示さ
れている資産があるのは確かだ」としながらも緩和政策の継続を表明し、「金利上
昇に歯止めがかかる」との期待もありましたが、金利上昇は止まりません。
債券に終始強気だった機関投資家やファンドマネージャーなども、ここに来て運用
方針の変更を余儀なくされているとの報道も聞こえてきました。
金利上昇は決して悪いことではなく、景気拡大に伴う、いわゆる「良い金利上昇」
であれば企業業績の拡大も見込め、株価にはニュートラルです。
ただ足元の株価の上昇は、一部の「すごもり特需」の影響で業績が上振れしている
例を除けば、根底にある「カネ余りと」、「ゼロ金利政策」が大きく影響している
ことは論を待ちません。
昨日のNY株式市場では、主要3指数が揃って大きく売られ、ダウは559ドル安、
ナスダックも3.5%の大幅安と「全面安」の展開でした。
金利の急激な上昇に金も売られ、こちらは約1年ぶりの安値を付けています。
為替市場では金利高にドル円は106円40銭まで円安が進み、昨年9月以来とな
る円安水準を付けています。
主要通貨を見ると、ドル円では「ドル高・円安」が進んだ一方、ユーロドルは「ド
ル安・ユーロ高」、豪ドル米ドルでも同じように「米ドル安・豪ドル高」が進むな
ど、奇妙な動きでした。
その結果、円は対ドル以外の通貨に対してはさらに売られ、ユーロ円は130円に
迫る水準まで上昇し、豪ドル円も85円に接近して、前者は2018年11月、後
者は2018年2月以来となる高水準を記録しています。いずれにしても「円全面
安」の展開と言えます。
金利の急上昇に最も影響を受けているのが、「テスラ」など、これまで青天井に買
われてきた銘柄のようです。金利上昇のピッチは速すぎると思われます。今後恐ら
くFRBのメンバーが「火消し」に奔走するものと予想していますが、大規模な経
済対策に伴う財政出動を控え、金利上昇は今後大量の国債発行を計画している米国
にとっては、金利負担の増加に直結します。
仮に2兆ドルの新規発行を例にとれば0.1%の金利上昇は20億ドル(約210
0億円)の金利負担増になります。昨年末の米長期金利の水準は0.91%でした。
今年に入ってすでに0.7%(70bp)も金利が上昇していることになります。
今後も金利上昇が続けば、米財政規律を大きく悪化させることになり、米国債の格
下げにもつながりかねません。もっとも、これは日本にも言えることで今後景気が
回復した際には、多くの国にとって「財政の正常化」が大きなテーマになる可能性
があります。
106円40銭まで上昇したドル円は「週足」の「雲の入り口」に ぶつかって上
昇を抑えられた形になっています。昨日のコメントでも述べましたが、106円3
0銭~106円70銭、さらに言えば、107円手前までに「週足」の抵抗線があ
り、この一帯は重要な「抵抗帯」と言えます。この水準を抜け切れれば、もう一段
の上昇が見込めると考えますが、上記米長期金利の速すぎる上昇には、個人的には
疑問です。また、さらに同金利が上昇し、株価が一段と軟調になれば、「リスクオ
フ」から円が買われる可能性も否定できません。
株式・債券市場に不透明感が強まってきました。ここからは慎重な対応が求められ
ます。今後さらに混乱する可能性があることは、「VIX指数」が示唆しています。
一時「20」を切った同指数は再び「30」を超えて来ました。
本日のドル円は106円~106円70銭程度を予想します。
- [2021/02/26 09:37]
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米長期金利一時1.43%台へと上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は反発し、1週間ぶりに106円台を回復。
株式市場で株価が急上昇したことや、米金利の上昇が
円売りにつながる。
◆ユーロドルは小幅に上昇し、1.2174までユーロが
買われる。ユーロは対円でも128円86銭近辺まで買われ、
2018年12月以来となるユーロ高に。
◆株式市場は急反発。パウエル議長が下院の議会証言で
物価上昇や景気過熱への懸念を一蹴したことでダウは
424ドル高と、初の3万2000ドルに迫る。
◆債券は続落。長期金利は一段と上昇し、一時は1.43%台
まで続伸。約1年ぶりの高水準に。
◆金は続落。原油は買われ63ドル台に。
◆1月新築住宅販売件数 → 92.3万戸
本日の注目イベント
◆日 12月景気先行指数(CI)改定値)
◆独 独3月GFK消費者信頼感
◆欧 ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値)
◆欧 ユーロ圏2月景況感指数
◆欧 ユーロ圏1月マネーサプライ
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 10-12月GDP(改定値)
◆米 1月耐久財受注
◆米 1月中古住宅販売成約件数
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、バーチャル討論に参加
米長期金利が約1年ぶりに1.4%台まで上昇し、一時は1.43%を
付けています。このところの急ピッチな金利上昇から、絶好調だった米
株式市場では、ナスダック指数が調整色を強め、やや不透明感が漂って
いました。
この影響は日本株にも及び、日経平均株価は昨日500円に迫る下げを
記録し、3万円の大台を大きく割り込む展開でした。
基本的に金利高が株式市場にとってはネガティブな材料となり、ここ数
日は、株も債券も売られています。
リスクオンの後退からドル円も今週火曜日には104円台後半までドル
安が進みました。
この流れに「ビシッ」とくさびを打ったのが昨日のパウエル発言です。
議長は下院金融委員会で証言を行い、経済の回復には長い時間がかかる
との認識を改めて示し、また、物価上昇の兆候が見られても、必ずしも
高インフレの定着につながらないと述べました。
「われわれの政策は緩和的だ。失業率が高く、労働市場は最大限の雇用
達成から程遠い状況にあるためだ」と説明しています。また、「一部指
標で価格上昇が示されている資産があるのは確かだ」と述べ、その一例
として自動車価格の上昇を挙げ、「テクノロジー業界での半導体不足と
サプライチェーン面での制約が影響している」と説明しました。
その上で、「この状況は必ずしもインフレにつながらない。インフレと
いうのは、(一時的な物価高騰ではなく)、毎年のように繰り返され継
続的に物価が上昇するプロセスだからだ」と述べています。
また政府による追加の経済対策や金融政策による継続的な支援により、
経済が過熱するリスクについての質問に対して議長は、「新型コロナウ
イルスのパンデミック前の力強さを経済が取り戻すまでには、まだ長い
時間がかかる」との認識を示しました。
さらにインフレ目標を達成するには「3年余りかかる可能性がある」と
も述べています。(ブルームバーグ)
パウエル議長の議会証言は投資家に安心感を与え、再びリスクオンの流
れに傾き、株価の上昇と円売りを誘いましたが、もう一つ、ジョンソン
・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナワクチンも投資
家心理を改善させたと思われます。
米食品医薬品局(FDA)のスタッフの報告によれば、同社のワクチン
は、これまで使用を認められたワクチンと異なり、2度目の接種を必要
としないと報告されています。また、これまで低温管理が必要だったワ
クチンと異なり、常温でも管理が可能との報道もあり、
もしそうだとしたら、管理・運搬が急激に改善され、ワクチン不足を一
気に解決できる可能性もありそうです。26日に開かれるFDA諮問員
会で、同ワクチンの緊急使用許可が協議される模様です。
ドル円は105円割れから急速に値を戻し、1週間ぶりに106円台ま
で反発する場面もありました。106円台では当然ですが、再びドル売
りが活発になると予想されますが、それらのドル売り注文をこなして上
昇できるかどうかが注目されます。「日足」チャートでは強い抵抗線で
あった「200日移動平均線」を抜けており、106円20銭より上方
には「週足」の「雲」や「120週移動平均線」など、数々の抵抗帯や
抵抗線が存在します。テクニカルではドル円の上昇傾向を示しています
が、この水準から1円円安方向に持って行くにはまだ時間がかかりそう
です。一方米長期金利の上昇はドルの支援材料になると考えられます。
金利上昇がさらに続くと、FRBが金融政策の変更を行うのではといっ
た懸念もありますが、パウエル議長は昨日の議会証言で、その可能性を
一蹴しています。
本日のドル円は105円50銭~106円30銭程度を予想します。
- [2021/02/25 09:27]
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米長期金利一時1.36%台まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅ながら続落。長期金利の上昇に伴い
リスク回避の流れが強まり、105円25銭まで売られる。
◆ユーロドルは続伸。ドルが売られたことで、1.2142
までユーロが買い戻される。
◆株式市場は目立った動きもなく、まちまち。
ダウはほぼ横ばい。ナスダックは9ポイント上昇。
◆債券は続落。長期金利は一段と上昇し、一時は1.36%台
まで続伸し、2020年2月以来となる高水準を記録。
◆金は続伸。原油は続落し、60ドル台を割り込む。
◆2月マークイット製造業PMI → 58.5
◆2月マークイットサービス業PMI → 58.9
◆1月中古住宅販売件数 → 669万件
本日の注目イベント
◆独 独2月ifo景況感指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 1月景気先行指標総合指数
ドル円は小幅に続落し、105円25銭までドル安が進みました。
先週末のNYでは10年債利回りが一段と上昇し、一時は昨年2月以来、1年ぶりとなる
1.36%台まで上昇しています。金利高を嫌う株式市場はこれを嫌気したのか、株価
の動きが軟調となり、リスク回避がやや強まったことでドルが全般的に売られる展開で
した。2月に入ってからの米10年債利回りは急ピッチで上昇しています。
バイデン大統領が提案する1.9兆ドル(約200兆円)の大規模な経済対策が実施さ
れるとの見方に加え、コロナワクチンの接種が進み、今後急速に経済活動や個人消費が
回復するといった見方が根底にあり、インフレ懸念も台頭し始めています。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレ率はわれわれの目標からなお離れてお
り、結果に基づくフォワードガイダンスに従って全面的な緩和を行うことは理にかなう」
と述べ、 米国のインフレ率は依然として目標から離れているとの見方を示しました。
(ブルームバーグ)
「G7首脳会議」がバーチャル形式で行われました。
バイデン氏にとっては大統領就任後初となる「G7首脳会議」です。首脳会議では、新型
コロナウイルスのパンデミックによる打撃からの経済回復支援のため、
政府支出を継続するとの決意を表明しています。
会合後には「雇用を守るとともに、力強く持続可能で均衡の取れた包摂的な景気回復を
支援するために、経済を支え続ける」との声明を発表しました。
バイデン大統領は19日ミュンヘン安全保障会議のオンライン会合にも出席し、演説を
行っています。「世界がこれから向かう方向について、根本的な論争が展開している」
と指摘し、「第4次産業革命からパンデミックに至るまであらゆる問題を考慮すれば、
独裁主義が将来に向けて最善の道だと主張する勢力。そしてこうした問題を克服するた
めに民主主義が不可欠だと理解する者たち。この2者による論争だ」と説明しました。
米国はこの日、トランプ大統領が強硬に脱退した「パリ協定」に、正式に復帰し、4
月22日に行われる「気候サミット」に各国首脳を招待することを明らかにしています。
世界で最もワクチン接種が進んでいるイスラエルでは、当局が、ワクチン接種により新
型コロナによる死亡を防ぐ効果が99%だったと説明しています。米ファイザーと独ビ
オンテックが共同で開発した新型コロナワクチンは、イスラエルで接種を受けた人のう
ち、大多数の感染抑制につながったと、実社会のデータとして示唆されています。同ワ
クチン検査で確認された感染予防の有効率は89.4%だったと報告されています。
(ブルームバーグ)
今朝のドル円は105円台半ばで推移していますが、この先も105円台が維持される
のかどうかが焦点の一つです。
今後とも株価の上昇が続くとすれば、「リスクオン」が再び強まり、円が売られドルが
買われる展開が維持されそうです。
ドル円と株価の関係は、かならずしも明確ではありませんが、足元では株価の上昇がド
ル高につながる傾向がよく見られる状況になっています。
本日のドル円は105円10銭~105円80銭程度を予想します。
- [2021/02/22 08:54]
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米長期金利再び1.3%に接近
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は105円台半ばから後半で小動き。米長期金利の
上昇にも反応せず、値幅も限定された
◆ユーロドルも1.20台半ばから後半で推移。
◆株式市場は3指数が揃って下落。米金利上昇に対する懸念が
台頭し、ダウは119ドル下げ、ナスダックは3日続落。
◆債券相場は反落。長期金利は前日より2.5bp上昇し、
1.29%台に。
◆金は5営業日ぶりに反発。原油も売られ60ドル台に。
◆新規失業保険申請件数 → 86.1万件
◆1月住宅着工件数 → 158万件
◆1月建設許可件数 → 188.1万件
◆1月輸入物価指数 → 1.4%
◆2月フィラデルフィア連銀景況指数 → 23.1
本日の注目イベント
◆豪 豪1月小売売上高
◆日 1月消費者物価指数
◆独 独1月生産者物価指数
◆独 独2月製造業PMI(速報値)
◆独 独2月サービス業PMI(速報値)
◆英 英1月小売売上高
◆欧 ユーロ圏2月総合PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏2月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏12月経常収支
◆米 2月マークイット製造業PMI
◆米 2月マークイットサービス業PMI
◆米 1月中古住宅販売件数
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会に参加
◆米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
絶好調と見られていた米株式市場にやや不透明感が漂い始めてきました。
特にハイテク株の多いナスダックが昨日も下げ、これで3日続落です。
下げ幅はそれほど大きいものではありませんが、上昇をけん引してきた
アップルなどが売られています。またウォルマートも、従業員の給与の
自動化などに伴う追加支出を見込むことから、大きく売られています。
長期金利が再び1.3%近辺まで上昇したことも懸念材料として浮上し
ており、株式市場が調整局面入りするのかどうか注目されます。
ブルームバーグは、「借り入れコスト上昇を背景に、歴史的な高値に押
し上げた相場上昇の勢いが弱まるとの懸念が続いている」と、足元の動
きを分析しています。ドル円は105円台半ばから後半で推移し、や
方向感が見えません。106円台前半が重くなる一方、105円台を固
めていると見る向きが相場観の中心にいると思われます。短期的な動き
を示す「1時間足」を見ると、ローソク足が1週間ぶりに「雲の下限」
をやや下回る水準で推移しています。「200時間移動平均線」が10
5円35銭前後にあることから、短期的にはこの水準を維持出来るかど
うかに注目しています。
イエレン財務長官は18日CNBCの番組で、先日発表された統計で国
内の小売売上の強い数字が示され、米国の株価が過去最高値圏にある状
況でも、バイデン政権が推進する1.9兆ドル(約200兆円)規模の
追加経済対策が必要だと改めて主張しています。
イエレン長官は、「今回の出来事がもたらした痛みに対処する大型の対
策を導入することが非常に重要だ」と発言しました。
また、米国の労働人口から全体で400万人がいなくなり、新型コロナ
ウイルスの感染拡大前と比べて、900万人余りの米国人がなお失業状
状態にあると指摘しました。
1月の小売売上は前月比で7カ月ぶりの大幅高となったことで、バイデ
ン政権の目指す1400ドルの現金給付は、所得制限があるとしても
「不要」だといった声が、共和党を中心に挙がっています。
イエレン長官は、パウエルFRB議長が示した「労働市場の回復には程
遠い」との発言を味方に、大型の追加経済対策の早期実現を訴えた格好
です。
本日は欧州と米国でPMIが発表されますが、相場への影響は限られる
と思われます。ドル円は米株価の高騰と、長期金利の上昇という「リス
クオン」の高まりから106円台まで押し上げられました。
1月6日に102円60銭までドルが売られ、「2021年はドル安で
始まる」といった、多くの市場関係者が想定した相場観は、わずかひと
月で修正を余儀なくされてきました。ただ、ここから再び多くの人がド
ル円のさらなる上昇を見込むようになると、再び梯子(はしご)を外さ
れるかもしれません。個人的には足元の動きは、105円台を固めて、
上昇気流に乗り始めていると見ていますが、まだその先にある不透明感
はぬぐい切れてはいません。
本日のドル円は105円30銭~106円程度と予想します。
- [2021/02/19 09:45]
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WTI原油価格13カ月ぶりの61ドル台
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は106円21銭まで上昇したものの、FOMC議事録を
受け、米長期金利が低下したことで105円78銭まで押し戻される。
◆ユーロドルは大きく下げる。1.2024までユーロ安が進み、
2週間ぶりの水準までユーロが売られる。
◆株式市場は前日と同じような展開となり、ダウは90ドル
上昇したものの、ナスダックとS&P500は続落。
ダウは連日で最高値を更新。
◆債券は急反発。長期金利は1.27%台に急落。連日荒っぽい
動きとなり、利回りは一時は1.33%台まで上昇した後に急低下。
◆金は大幅に続落。原油は米国での原油生産が4割減となった
ことで続伸し、61ドル台に。
◆1月生産者物価指数 → 1.3%
◆1月小売売上高 → 5.3%
◆1月鉱工業生産 → 0.9%
◆1月設備稼働率 → 75.6%
◆2月NAHB住宅市場指数 → 84
本日の注目イベント
◆豪 豪1月雇用統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧 ユーロ圏2月消費者信頼感指数(速報値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 1月住宅着工件数
◆米 1月建設許可件数
◆米 1月輸入物価指数
◆米 2月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 下院金融委、ゲームストップに関する公聴会
◆米 ブレイナード・FRB理事講演
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
ドル円は昨日のコメントでも述べたように、106円20-30銭のレジスタンス
ゾーンが抜け切れずに小幅に反落しています。昨日の東京時間早朝に106円22
銭近辺までドル高が進んだものの、その後は上値が重くなり、東京時間ではじり安
となり、105円80銭近辺までドルが押し戻される展開でした。
106円台は「やはり重い」といった印象を残していましたが、海外市場に入ると
ドルは再び上昇に転じました。しかしここでも、106円21銭辺りでピークアウ
ト。米長期金利の急低下もあり、結局105円台後半で戻って来ました。一次攻撃
としては、こんなものでしょう。
1月26―27日に開催されたFOMC議事録要旨が公開され、会合では、大規模
な資産購入プログラムを縮小できるような状況は「しばらく」訪れないとの認識を、
メンバーの多くが示していたことが明らかになっています。
議事要旨では、「経済がそれらの目標からまだほど遠い状況にあることを踏まえ、
一段と顕著な進展が得られるまでにはしばらく時間がかかる可能性が高いと、参加
者は判断した」と記され、その上で、「経済は委員会が掲げる中長期の目標からな
お程遠く、今後の道のりはなお極めて不透明で、パンデミックが引き続き見通しに
多大なリスクをもたらしているとの見解で参加者は一致した」とあります。(ブル
ームバーグ)この内容は先のパウエル議長の発言内容を裏付けるもので、FRBが
当面現行の金
融緩和政策を継続する姿勢を示したものと受け止められます。
また、インフレに関する問題では、経済活動の再開に伴い物価が上昇する可能性が
あるが、「相対価格の一時的な変化と基調的なインフレトレンドの変化を区別する
ことが重要だ」と指摘し、大規模な景気対策がインフレを押し上げ得るが、持続さ
せる効果があるのかどうかを見極めることが重要との見方を示しています。
ボストン連銀のローゼングレン総裁はバーチャル形式の討論会で、「失業率の高止
まりが続く限り、今後2年間は持続的なインフレ率2%の達成を見込んでいない」
と述べており、このFOMC会合の内容に沿った発言を行っています。
昨日発表された1月の小売売上は前月比で7カ月ぶりの大幅高となる「5.3%」
と、市場予想の「1.1%」を大きく上回っていました。
昨年末の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、個人の支出が抑制されていましたが、
その後個人に対する制限が緩和され、さらに600ドルの現金給付が実施されたこ
とが、大きかったとみられています。
猛烈な寒波に見舞われている米テキサス州などの中部では、原油の生産量が全体で
4割ほど減少していると伝えられています。
バーミアン盆地の生産量は通常の水準を、最大80%を下回るとの報告もあるよう
です。
またテキサス州では大規模停電が少なくとも18日まで続く見通しで、これらが原
油価格を押し上げています。WTI原油価格は今月に入ってすでに9ドル程(約1
7%)上昇しています。
米長期金利も1.33%台まで続伸した後下げに転じ、独歩安だった円も、やや買
い戻されています。
昨日のNYではドルが買われましたが、円も買われる展開でした。これまでの動き
の巻き戻しといったところでしょう。
昨日述べたように、106円20-30銭のレベルを抜け切れるかが今後の焦点で
すが、そこを抜けると、もう一段のストップロスも誘発しそうです。まずは105
円台を固める動きが続くと思われますが、それでも完全にドル高に舵を切り直した
かどうかはまだ、不透明です。
本日のドル円は105円50銭~106円30銭程度を予想しています。
- [2021/02/18 09:32]
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円売りが加速し、ドル円は106円台まで続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸し、約4カ月ぶりとなる106円台を回復。
米長期金利の上昇と、リスクオンの加速から円売りが継続。
◆ユーロドルはややドル高が進み、1.2095まで下落。
ユーロ円は2018年12月以来となる128円40銭近辺
まで上昇。
◆株式市場は売り買いが交錯する中、ダウは64ドル上昇し、
最高値を更新。ナスダックとS&P500は反落。
◆債券は大きく売られる。長期金利が1.31%台まで上昇し、
約1年ぶりの高水準。
◆金は続落し1800ドル台を割り込む。原油は続伸し、
60ドル台に。
◆2月NY連銀製造景況業指数 → 12.1
本日の注目イベント
◆日 1月貿易収支
◆英 英1月消費者物価指数
◆米 1月生産者物価指数
◆米 1月小売売上高
◆米 1月鉱工業生産
◆米 1月設備稼働率
◆米 2月NAHB住宅市場指数
◆米 FOMC議事録(1月26-27日分)
◆米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁、討論会参加
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会参加
◆加 カナダ1月消費者物価指数
ドル円はNY市場で昨年10月9日以来となる106円台に乗せました。
実は、昨日の東京時間にすでにその兆候はありました。
たまたま昨日の午後、当社のお客様から短期的な相場の見通しを尋ねら
れたので、「今夜のNYで、もしかしたら106円前後までドル高が進
む可能性があると思います」と答えました。
前日3万円の大台を回復した日経平均株価は、昨日も午後には一時60
0円を超える上昇を見せる局面もあり、ドル円は「リスクオン」の流れ
から105円60銭近辺まで買われていました。注目したのは、米債券
先物市場の動きでした。東京時間では、米債券が大きく動くことはめっ
たにありません。その米10年債が昨日の午後には、1.24%前後ま
で上昇していました。米国では祝日でしたが、投資家が「リスクオン」
のさらなる進行を見込んで米債券売りを強めていたと思われます。
米国市場が始まると、さらに債券が売られる可能性があり、ドル円でも
円売りが強まると予想したわけです。
その米10年債は予想通りというより、予想以上に売られ、長期金利は
1.314%まで上昇し、先週末から10BP以上の上昇を見せました。
利回りは、この日の最高水準(価格は最安値)で引けており、約1年ぶ
りの水準になります。先週2%の大台を突破した30年債も2%を大き
く超え、2.09%台で取引を終えています。米金利高に素直に反応し
たのが円でした。円は全面安の展開となり、ドル円だけではなく、ユー
ロ円も128円台半ばに。豪ドル円でも82円30銭を超える「円安」
となっています。ドル円は前回2月5日に記録した105円77銭を明
確に上抜けしたことで、重要な日足の「200日移動平均線」を完璧に
抜け切りました。これで日足チャートを見る限り、上方にはドルの上昇
を遮るものはありません。
「週足」の雲の上限が、106円20-30銭近辺にあることから、目
先の抵抗帯はこのレベルかと思われますが、これを抜ければ、「遅行ス
パン」もローソク足を上抜けすることから「週足」でも「三役好転」が
実現することになります。
さらに言えば、昨年ドルが最高値を記録したのが、偶然ですが、1年前
の今日です。この時は112円23銭までドル高が進み、その後はドル
のじり安が続き、今年1月6日には、102円60銭までドルが売られ
たことは記憶に新しいところです。この間の下落幅を「フィボナッチ・
リトレースメント」で検証してみると、38.2%戻しが、106円2
8銭前後という数値が導き出され、上記「週足の雲の上限」にも重なり
ます。ということで、目先のレジスタンスはこの辺りと考えます。
今朝の8時前の時点ですでに、106円22銭近辺までドルが続伸して
おり、早朝に「NY市場の高値を超えている現象」も、かなり稀です。
ここを抜ければ、ドル高がさらに進む可能性も浮上して来ます。ここは
重要なポイントでしょう。
リスクオンが加速し、リスク資産に資金が流入しています。
今朝の日経新聞は、資金の流入で上昇している資産の順位を1月末比で
掲載しています。1位が「原油」で、以下「日経平均」、「世界株」、
「銅」、「米ダウ」、「世界のREIT」とランクされています。
もっとも、これに「ビットコイン」を入れれば、断トツの1位でしょう
が・・・・
今後は、米国でインフレ懸念が台頭してくる可能性があります。
足元の米金利の上昇は、この動きを先取りしているのかもしれませんが、
まだ景気拡大による金利上昇とは言えません。
大規模な財政出動に伴い、債券の需給が崩れていることが主因で、発表
される経済指標からはまだインフレを示唆するものは見当たらないと考
えます。ただ一方で株高による「資産効果」が見込めるため、今後は個
人消費の動きには注目する必要があります。
今後さらにリスク資産が買われるようだと、FRBが「金融政策の変更」
を示唆し、行き過ぎの市場に対して警告を発してくる可能性もあります。
そうなると、買われて来た全ての資産が「逆回転」を起こすことになり
ます。これまで大きく買われて来ただけに、「山高ければ谷深し」とい
うことです。ただFRBとしても、そのような事態は避けたいはずで、
難しい政策判断が続きます。
本日のドル円は105円80銭~106円50銭程度を予想します。
- [2021/02/17 09:32]
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日経平均株価3万台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
◆ドル円は欧州時間に堅調に推移し、105円42銭
近辺まで上昇。NY市場が休場の中、ドル買い円売りの
流れが優勢に。
◆ユーロドルは反発。1.2145前後までユーロが
買われドルが売られる。ユーロは対円で128円目前まで上昇。
2018年12月以来となるユーロ高に。
◆ユーロ圏12月貿易収支 (季調済) → 275億ユーロ
◆ユーロ圏12月鉱工業生産 → -1.6%
本日の注目イベント
◆豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆独 独2月ZEW景気期待指数
◆欧 ユーロ圏10-12月期GDP(改定値)
◆米 2月NY連銀製造景況業指数
◆米 ボウマン・FRB理事講演
◆米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
NY市場が「プレジデンツデー」のため休場で為替は小動きでしたが、それでも日本
を始め欧州の株式市場が大幅高となり、「リスクオン」の流れが一段と強まったこと
で円が売られる展開でした。ドル円は再び105円台半ばまで買われ、さすがに先週
とその前に付けた105円60-70銭の水準を試すことはなかったものの、堅調な
動きでした。
昨日の欧州市場の動きを見ると、「ドル高」ではなく、明らかに「円安」の流れが顕
著です。ユーロ円は128円手前まで買われ、2018年12月以来のユーロ高水準
を記録し、豪ドル円も82円台に乗せる場面があり、こちらも2018年12月以来
のことです。円全面安の展開だったと言えます。リスク回避が強まった際には「国際
決済通貨」であるドルが買われ、リスク選好の流れになると円が売られるとすれば、
ドル円はいずれにしても上昇するしかないのか??
昨日の朝方、取引が開始されると直ぐに株価が大きく上昇し、日経平均株価は3万円
の大台を回復しました。その後は一旦押し戻されましたが、引けにかけては再び上昇
し、引け値でも3万の大台を確保しました。「日経3万円台回復」は昨日の夜のニュ
ースでも大きく取り上げられ、30年半ぶりの大台回復には悲喜こもごもの様相でし
た。ある人は、「景気の実態と余りにも乖離している」と、今回の株高に懸念を表し
ていましたが、一方証券業界からは「3万円は単なる通過点」といった声や、「年内
に最高値まで上昇する」といった、「超強気」の声も出て来ました。筆者も、昨年秋
口には、「ミニバブルの様相」、「上がり続ける相場はない」といった、株価の持続
的な上昇には懐疑的なコメントを何度か書きましたが、昨年12月には、「これは想
定を超える株高が起きるかもしれない」という考えが頭をよぎりました。
その後、「合理的バブル」という言葉を使ったのも、その考えが背景にあったからで
す。また、超低金利と金融緩和だけでは説明ができない水準まで株価が上昇し、加え
てコロナ感染が急拡大していたことも、筆者の慎重な見方を後押ししていました。
2月に入り、10-12月期の決算発表が相次ぎましたが、これはある意味サプライ
ズでした。決算内容が開示されるに連れ分かったことは、第3四半期に限って言えば
、下方修正する企業数よりも上方修正する企業の数が上回ったからです。
昨日発表された10-12月期のGDP速報値が「年率12.7%」と、市場予想を
上回ったことや、明日にはワクチン接種が開始されることも、株価上昇に一役かった
と思われます。
今後は「調整局面」が訪れるとは思いますが、株価の上昇はもうしばらく続く可能性
が高いと予想しています。
では、今後何がきっかけで株価の上昇が止まるのか?
株の専門家ではないので予想するのは難しいですが、想定されるリスクは、オリンピ
ック・パラリンピックの中止とコロナ変異種の感染拡大が挙げられます。
為替を見る上でも、株価の動きは重要なファクターの一つであることは間違いありま
せん。
WTI原油価格が60ドル台まで上昇し、コロナ前の水準を達成しています。
米テキサス州が大寒波に見舞われ、同州では寒さから暖房の使用が急増したため、
「計画停電」が行われました。停電は米中部一帯にも広がっており、加えてノースダ
コタ州など、この地域はシェールオイルの一大生産地で、製油所の稼働停止も原油価
格押し上げの要因になっています。
ドル円は再び上昇傾向を見せ始めていますが、焦点は前回の高値である105円77
銭を抜くことが出来るかどうかという点です。ここを明確に上抜けできれば、前回抜
け切れなかった「200日移動平均線」も完璧にクリアすることになり、ドル高に弾
みが付く可能性もあると見ています。仮に106円台に乗せるようだと、ドルショー
トの買戻しなども誘発し、ドルの需給が大きく改善することも想定されます。
「リスクオン」が続くとすれば、米長期金利も上昇傾向を維持し、ドル円のサポート
材料となり、底堅い動きを見せるかと思います。ここでもやはり、株価の動きがポイ
ントになりそうです。
本日のドル円は105円~105円70銭程度を予想します。
- [2021/02/16 09:27]
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米長期金利、昨年3月以来となる1.21%台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆米長期金利の上昇を手掛かりにドル円は105円台を回復。
105円12銭まで買われ、再びリスクオンのドル買いの
流れに。
◆ユーロドルでもドルが買われユーロが売られた。
1.2082までユーロ安が進む。
◆株式市場は主要3指数が揃って最高値を更新。引けにかけて
上昇に転じ、ダウは27ドル高。
◆債券相場は続落し、長期金利は1.21%台まで上昇。
◆金は3日続落し、原油は59ドル台に上昇。
◆2月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 76.2
本日の注目イベント
◆日 10-12月GDP(速報値)
◆日 12月鉱工業生産(確定値)
◆欧 ユーロ圏12月貿易収支
◆欧 ユーロ圏12月鉱工業生産
◆米 NY休場(プレジデンツデー)
先週末のNYでは再び「リスク選好」の流れが強まり、リスク資産が買われ、
安全資産が売られる展開でした。ドル円は再び105円台を回復し、結局先
週はドル高傾向の修正が観られたものの、104円台半ばで下げ止まり、そ
こをボトムに反発した形になっています。
NY株式市場では主要3指数が揃って「最高値」を更新するとともに、米債
券市場では安全資産の債券が売られ、10年債利回りは1.21%台まで上
昇しました。
前回は、節目の1.20%を突破出来ずに押し戻されていましたが、今回は
1.21%台まで金利は上昇し、これは昨年3月19日以来となる高水準で
す。
WTI原油価格も買われ、こちらは1年1カ月ぶりに59ドル台後半まで買われ
ました。
さらに、天井知らずのビットコインも4万9000ドルを超え、一気に5万
ドルに迫る水準に達しています。
ビットコインについては、1日で20%も乱高下するなど、ボラティリティ
が非常に高く、「通貨としては不適切」といった声もある中、投機的な資金
が相場を押し上げているようです。
また投資家のリスク感応度の目安となる「VIX指数」は「19.97」と、
約1年ぶりに節目の「20」を割り込んできました。投資家が一段とリスク
選好に傾いていることを表しています。
米上院で行われていた大統領弾劾裁判では、事前予想通り「有罪57無罪4
3」と、有罪とする票が多かったものの、有罪に必要な3分の2には届かず、
無罪の評決となりました。共和党議員7名が「有罪」の判断を下したものの、
これで2024年の大統領ではトランプ氏が再出馬することは可能となりま
す。
トランプ氏は評決が出た直後の声明で、「私はこれまで常にそうだったが、
今後も常に揺るぎない支配と法執行の英雄たち、米国民が悪意と憎悪を持た
ずに時の問題を平和的に堂々と議論する権利を擁護していく」と表明してい
ます。
一方バイデン大統領は13日声明を発表し、「最終投票の結果、有罪評決に
は至らなかったが、責任の本質は論を待たない。われわれの歴史のこの嘆か
わしいチャプター(章)は、民主主義が脆弱であり、常に守らなければなら
ないとわれわれに思い起こさせた」と訴えています。(ブルームバーグ)
無罪評決を受けて共和党のグラム上院議員は、トランプ氏は2度の弾劾後も
同党で「最も強大な力であり続けている」と、述べています。
ただ、共和党上院では7人が造反しており、マコネル上院院内総務もトラン
プ氏の言動に対して批判していることから、共和党内での団結にはひびがは
いっていると思われ。一枚岩ではないようにも見えます。
仮に2024年の大統領選にトランプ氏が再出馬をしたとしても、共和党の
大統領候補者に選ばれるのは、2016年の時ほど簡単ではないと言えるで
しょう。
イエレン財務長官は就任後初めてのG7財務相・中央銀行総裁会議に出席し、
新型コロナウイルスのパンデミックから立ち直るための財政出動による景気
刺激策について、主要7カ国は「思い切ってやることが必要だ」と強調しま
した。米財務省は声明で、イエレン長官は、「米国は国際的な関与を深め、
われわれの同盟を強化することに高い優先度を置く」と表明し、米政権の新
たな姿勢を示しました。バイデン大統領が提案している1.9兆ドル(約1
99兆円)の大規模な追加の経済対策案を念頭に置いた発言と見られます。
「スーパー・マリオ」こと、マリオ・ドラギ前ECB総裁がイタリアの次期
首相に正式に就任しました。ドラギ新首相は、欧州中銀での長い経験がある
ことから、金融界だけではなく、欧州各国の要人とも太いパイプを有してい
ます。今後イタリアがユーロ圏内での存在感を高めるためには適任かと思わ
れ、財政難に苦しむイタリアにとってはうってつけの人物です。
また国内でも、極右政党の「イタリアの同胞」を除く全ての主要政党から幅
広い支持を集めており、これまで何度も見られたような、イタリアの政治的
リスクは後退したと見られます。
ドル円は再び105円台に戻ってきました。
今回のドル高は米金利高に引っ張られた側面が大きいと思います。
従って、米長期金利の今後の推移には目配りが必要です。
個人的には次の米長期金利のターゲットは1.25%前後かと思います。
1.2%台に乗せたからといって、FRBによる債券購入が恒常的に見込ま
れる以上、米長期金利がこのまま大きく上昇に向かうとも思えません。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化に対応するため、米国の財政
支出は急激に膨らんでいます。米議会予算局(CBO)は2021会計年度
(2020年10月~2021年9月)の財政赤字は2兆2580億ドル(
約240兆円)と見込んでいます。
日本と同じように、大量の政府債務は足元の超低金利の恩恵を受けています
が、今後金利が上昇した際は、利払い費用が大きな負担になります。
本日のドル円は104円70銭~105円40銭程度を予想します。
- [2021/02/15 10:00]
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ドル円は104円台後半で小動き
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は104円台半ばから後半で小動き。
失業保険申請件数がやや改善傾向を見せたものの、
相場への影響もなく、この日は15銭程度の値幅に留まる。
◆ユーロドルも同じく小幅な値動きで推移。
1.21台前半から半ばで推移し、次の材料を待つ展開。
◆株式市場はまちまち。ダウは朝方大きく下げたが、午後には
下げ幅を縮小し7ドル安。ナスダックとS&P500は共に、
最高値を更新。
◆債券は売られ、長期金利は1.16%台に上昇。
◆金は5日ぶり、原油は9日ぶりに反落。
◆新規失業保険申請件数 → 79.3万件
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏12月鉱工業生産
◆英 英10-12月期GDP(速報値)
◆英 英12月鉱工業生産
◆英 英12月貿易収支
◆米 2月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
ドル円は動きが緩慢となり、104円台後半で推移しています。
祝日前には104円50銭近辺まで売られましたが、104円台半ばは
割り込まずに小幅に反発しています。
米長期金利が1.16%台と、高止まりしていることがドルを支える構
図になっていますが、ドルの買戻しも一旦終えたと思われ、短期的な相
場観は「ニュートラル」に戻されてきたと思われます。
パウエルFRB議長は10日にNY経済クラブで講演を行い、労働市場
の完全回復には「まだ程遠い」との認識示しました。
議長は、今年1月の雇用者数が2020年2月の水準を1000万人近
く下回っていることを指摘し、「恩恵が広く共有されるような力強い労
働市場からは、なお非常に遠い状態にある」と述べ、その上で、「最大
限の雇用を達成し、それを維持するには、金融政策による支援以上のも
のが必要となる」と話しています。議長の発言は、バイデン大統領が提
案している1.9兆ドル(約199兆円)の経済対策を念頭に置いた発
言とも受け取れ、財政支援の必要性を訴えています。
一方でFRBとしては、現行のゼロ金利政策と、金緩緩和を粛々と継続
していることに専念するしかなく、この日の発言は先月のFOMC後の
記者会見での発言と整合的で、ほぼ想定通りの内容だったと思います。
バイデン大統領は就任後初めて中国の習近平国家主席と電話会談を行い
ました。バイデン氏は、新疆ウイグル自治区での人権侵害について懸念
を伝え、さらに香港の政治的自由に対する制限拡大や台湾を含め同地域
における「一段の積極的な動き」についても懸念を表明しました。
バイデン氏は電話会談で、「米国民とその同盟国の利益を促進する場合
は、実利的で結果重視の関与追及にコミットしている」と述べています。
(ブルームバーグ)一方習氏は、「中国の内政で、主権にかかわる問題」
であることを主張
し、「米国は中国の核心的利益を尊重し、慎重になるべきだと」と述べ、
米国側をけん制しています。
中国にとっては、米国がトランプ政権からバイデン政権に替わったこの
機会を捉え、貿易、関税問題などを穏便に解決していく手段を模索して
いると思われますが、初のトップ会談では双方の立場を主張し合ったに
留まっています。
現在も米議会で行われているトランプ前大統領に対する弾劾裁判では、
民主党側が議会議事堂への乱入はトランプ氏の指示であったと主張して、
その根拠などを説明しています。
今後はトランプ氏側の弁護団が反攻に出ますが、早ければ今週中にも結
果が出る模様です。仮に「賛成」多数で結審しても、市場への影響はな
いものと考えます。
欧州委員会は11日最新の経済予想を発表し、ユーロ圏の2021年の
成長予想を3.8%と、従来の4.2%から下方修正しました。
委員会は、この見通しは新型コロナウイルスの感染拡大予防策に大きく
依存しているとし、「どれほど早急にワクチンを接種できるのか、また
どの時点で制限措置を緩和できるのかが問題だ」と指摘しています。
ワクチン接種が広がり、予測通りの展開になった場合、ユーロ圏経済は
従来予想よりも早い2022年半ばにはコロナ禍前の水準に回復する見
通しであるが、ただ回復にはばらつきがあり、スペインとイタリアは年
末までその水準を達成しないと、欧州委員会はみています。
同時に、ワクチン接種が遅れ、景気の下振れがさらに予想されるような
状況になると、ECBはマイナス金利のさらなる深堀を含む、もう一段
の金融緩和策に踏み切る可能性も想定されます。
本日は米国でミシガン大学消費者マインドが発表され、この内容で株価
が動くかもしれませんが、為替市場への影響は限定的と考えます。
予想レンジは104円40銭~105円10銭程度でしょうか。
- [2021/02/12 09:27]
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ドル円104円台半ばまで反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落し、104円50銭近辺まで売られる。
米長期金利の上昇が一服したことに伴い、利益確定の
ドル売りが優勢に。
◆ユーロドルは続伸。1.2122前後まで買われ
1週間ぶりのユーロ高水準に。
◆株式市場はまちまち。引け際まで3指数とも上昇していたが、
結局ナスダックだけがプラスで終わる。ナスダックは3日
連続で最高値を更新。
◆債券は反発。長期金利は1.15%台へと低下。
◆金は3日続伸。原油も在庫が減少しているとの見方から続伸し、
58ドル台で引ける。
本日の注目イベント
◆豪 豪2月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中 中国1月消費者物価指数
◆中 中国1月生産者物価指数
◆独 独1月消費者物価指数(改定値)
◆英 英12月鉱工業生産
◆米 1月消費者物価指数
◆米 1月財政収支
◆米 パウエル・FRB議長講演
◆米 企業決算 → ウーバー、コカ・コーラ、GM
ドル円は105円台を維持できずに大きく売られ、104円50銭近辺まで
押し戻されています。10日ぶりのドル安水準ですが、予想していたよりも
ドル売りのモメンタムは強かったようです。
もっとも、日足の「200日移動平均」という、極めて重要なレジスタンス
に上昇を抑えられていたことから、ここから106円台に乗せるのは簡単で
はないと予想していたこともあり、想定内の動きと言えるでしょう。
米長期金利が1.17%台に乗せた後、低下して来たことに沿った動きとも
言えます。長期金利は1月12日にも1.18%台まで上昇した後低下して
おり、この辺りは金利水準でもレジスタンスだったとも考えられます。
トランプ前大統領に対する2度目の弾劾裁判が始まりました。
まずは、退任後も弾劾裁判で裁かれることが合憲かどうかが議論されます。
その後、トランプ氏が議会議事堂への乱入を扇動したかどうかが争われ、弁
護団はトランプ氏の発言はその混乱とは無関係だと主張するようです。
トランプ氏に対する有罪評決が下されるには、少なくとも共和党上院議員の
17名以上が賛成する必要があるため、現時点ではその可能性は低いと見ら
れています。仮に有罪評決となった場合、トランプ氏は公職に就く資格を剥
奪されることになり、2024年の大統領選に再出馬をほのめかしているト
ランプ氏に、その道は閉ざされることになります。さらに、大統領経験者に
与えられる「終身年金」も失い、シークレット・サービスによる警護も外さ
れるようです。
バイデン大統領はホワイトハウスで、大手企業のCEOと会談を行い、経済対
策について意見を交わしました。会談にはJPモルガンのダイモンCEOや
ウォルマートのマクミロンCEOなどが参加し、
バイデン氏が掲げる最低賃金の引き上げを含む経済対策案や、道路や橋の再
建について話し合いました。バイデン氏は会談後に、「ありとあらゆる問題
があるが、全て解決可能だと考えている」と述べています。会談にはイエレ
ン財務長官とハリス副大統領も参加しています。(ブルームバーグ)
本日はパウエル議長の講演が予定されています。
先月27日のFOMC後の記者会見では、「大規模な経済支援を縮小する状
況からは程遠い」と語っており、引き続きコロナ感染の行方を注視すると共
に、緩和策の継続を表明するものと思われます。また、このところの金利上
昇に関する発言もあるかもしれません。
インフレ率に関しては9日、ダラス連銀のカプラン総裁がブルームバーグ・
テレビジョンとのインタビューで、「インフレ率が一時的に急上昇しても私
は驚かない。問題はそれがどの程度長く続くかだ」と語っています。
今週、堅調な豪ドル円が81円台に乗せる場面がありました。
81円台前半のレベルは、2018年12月以来ということになります。
市場では緩やかなドル高が進み、円は対米ドルで売られましたが、豪ドルは
対米ドルでも買われていることで、豪ドル円が上昇しています。
オーストラリアはコロナウイルスの感染拡大防止にもいち早く成功しており、
対中国との関係は悪化したままですが、主要輸出品の鉄鉱石の価格が上昇し
ていることから、個人消費を除く国内景気は順調に回復しています。
先週行われたRBA理事会では、現在行われている国債や州債の購入プログ
ラムが終了する4月以降も、週50億豪ドル(約4000億円)の買い入れ
を継続することを決め、買入枠も1000億豪ドルに拡大しました。
またフォワードガイダンスでは、「実現インフレが2~3%目標を持続的に
達成するまで利上げしない」としたことで、豪ドルは一旦売られましたが再
び上昇に転じています。しばらくは堅調な地合いが続くと予想されます。
本日のドル円は104円20銭~105円程度を予想します。
- [2021/02/10 09:26]
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NYダウ6日続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上昇が一服。朝方の105円台半ばから利益確定の
売りに押され、105円15銭まで下落。
◆ユーロドルは1.20台で堅調に推移。1.2066まで
ユーロが反発。
◆株式市場は経済対策への期待や、コロナ感染の拡大が鎮静化
していることを背景に続伸。ダウは237ドル上昇し、これで6日
続伸。ナスダックとS&P500は最高値を更新。
◆債券は小幅に続落し、長期金利は1.17%台に。
◆金は続伸。原油も6日続伸し、一時は約1年ぶりとなる
58ドル台に。
本日の注目イベント
◆豪 豪1月NAB企業景況感指数
◆中 中国1月マネーサプライ
◆独 独12月貿易収支
◆独 独12経常収支
◆米 上院、トランプ前大統領の弾劾裁判開始予定
超低金利がこの先も継続されることが予想され、さらに金融緩和が続いている
ことから、運用益を狙った投機的な資金があらゆる市場で跋扈しています。世
界市場を見渡すと昨日は、株価の上昇はもちろんのこと、金、原油など主要商
品は軒並み上昇し、ビットコインまで記録的な上昇を見せています。
もっとも、ビットコインは、電気自動車専門メーカーのテスラが投資運用先と
してビットコインに15億ドル(約1600億円)の投資をしたことが報道さ
れ、「テスラ効果」による部分が大きかったようです。それにしても、コロナ
禍で人々は厳しい制限を受け、忍耐の日々を送っている一方、個人も含めた世
界の投資家の多くは、「我が世の春」を満喫している構図になっています。
日本でも昨日の日経平均株価は2万9000円の大台を大きく超え、これで今
月に入ってから1700円ほどの上昇です。世界で大きく出遅れていた日本株
でしたが、ここにきてようやく「長かった春」が訪れたようです。
これで3万円の大台が視野に入ったとの声もあり、中には1989年12月に
記録した「3万8915円の歴史的高値も抜く」、といった強気の声も聞かれ
ました。株価上昇の根底には、金(かね)余りがあるのは事実ですが、昨年の
第1四半期から始まったコロナによる企業の業績の悪化も、ここにきて急回復
しているのも事実です。現在、第3四半期の決算発表がピークを迎えています
が、市場予想を上回る決算発表が多くなっています。この傾向は米国ではさら
に顕著で、これが連日ナスダックとS&P500を最高値へと導いています。
バブルだとの声も、引き続き起こっていますが、企業業績が伴えば「合理的バ
ブル」と言う言葉も説得力を持つかもしれません。
本日米国では、トランプ前大統領の弾劾裁判が上院で始まります。
ブルームバーグによると、トランプ氏の弁護団は、弾劾裁判は「違憲」だと主
張しており、1月6日に連邦議会議事堂への支持者乱入をトランプ氏が扇動し
たとの嫌疑を否定しています。弁護団はまた、トランプ氏はすでに大統領を退
任しているため、訴追は却下されるべきだと訴えています。上院はまず、この
問題を採決してから弾劾審理に入ることになっています。トランプ氏は民主党
が要請した「宣誓証言」を拒否しており、他の証人尋問がおこなわれるのかは
分かっていないようです。この欄で「トランプ氏」の名前が出るのも、久しぶ
りです。すでに過去の人ですから、弾劾裁判の結果がどうなろうと、相場への
影響はないでしょう。
現時点では「東南アジアの一地域での出来事」として、市場への影響は見られ
ないミャンマーのクーデターでは、昨日10万人にも及ぶ大規模な抗議デモが
、首都ヤンゴンを中心に広がりました。
デモ隊は拘束されたアウン・サン・スーチー氏の解放と、昨年の総選挙でスー
チー氏の政党・国民民主同盟(NLD)が勝利した結果の認定。さらに軍の政
治からの撤退を要求しています。欧米では今回のクーデターを非難する声も高
まっていますが、現在のところ同国へ国際的な圧力をかけるような動きにはな
っていません。ただ、ミャンマーは中国に替わって「世界の工場」としての地
位を築きつつあり、日本企業も多数進出しています。今後の事態の変化によっ
ては、日本の製造業にも影響が出て来ることも懸念されます。
ドル円は105台後半まで買われた後、上昇も一服です。
長期金利の上昇傾向もこのあたりで小休止といったところですが、バイデン政
権の大規模な経済対策に伴う国債の増発に加え、上述のように堅調な株式市場
に資金が流入しており、投資家のリスク選好も強く、債券の売り圧力になって
います。今後も株式と債券市場の動きが為替に大きな影響を及ぼす流れは続く
と思われますが、米長期金利がどこまで上昇するのか、見極めていく必要があ
ります。昨日の米債券市場では、30年債利回りが約1年ぶりに2%を超える
場面もありました。
本日のドル円は104円90銭~105円60銭程度を予想します。
- [2021/02/09 09:26]
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米1月雇用者数4.9万人増に留まる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆大規模な経済対策が実施される可能性が高まったことで
ドル円は一段と上昇し、105円76銭まで買われた。雇用統計
発表後は低調な結果からドル売りが強まり、105円32銭
まで売られ、この日の安値圏で越週。
◆ユーロドルは1.19台後半から反発し、1.2050まで
上昇。
◆株式市場は議会上下院で予算決議案が可決されたことを受け続伸。
ダウは5日続伸し、ナスダックとS&P500は連日で最高値を更新。
◆債券相場は続落。長期金利は上昇し、1.16%台に。
◆金は反発。原油は続伸し、一時は約1年ぶりとなる57ドル台を記録。
OPECなど、産油国の減産体制が今後も維持されるとの見方が背景。
◆8月失業率 → 6.3%
◆8月非農業部門雇用者数 → 4.9万人
◆8月平均時給 (前月比) → 0.2%
◆8月平均時給 (前年比) → 5.4%
◆8月労働参加率 → 61.4
◆12月貿易収支 → -666億ドル
◆12月消費者信用残高 → 97.34億ドル
本日の注目イベント
◆日 1月景気ウオッチャー調査
◆日 12月貿易収支
◆日 12月国際収支
◆独 独12月鉱工業生産
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
1月の雇用統計は低調な結果に終わりました。
すでに発表されたADP雇用者数や失業保険申請件数が労働市場の回復
を示唆する内容だったことから、発表後は「期待外れ」のドル売りが強
まりました。1月の非農業部門雇用者数は、事前予想の「10万500
0人」に対して、「4万9000人」と、予想を大きく下回りました。
また12月分も、「マイナス14万人」からさらに減少しており、改定
値は「マイナス22万7000人」に下方修正されています。
相変わらず米雇用関係の指標は、ADPと雇用統計とではちぐはぐな結
果が出るケースが多いという印象ですが、これでバイデン政権としては、
大規模な経済支援を行う必要があり、1.9兆ドル(約200兆円)の
経済対策案も正当化されそうです。
雇用統計の結果を受け、大統領経済諮問委員会(CEA)のメンバーで
あるブシエイ氏は、ブルームバーグとのインタビューで「さらなる支援
がなければ、米経済は苦難が続くことになる」と述べ、「われわれは行
動し続ける必要がある。早急にやらなければならない」と語っています。
イエレン財務長官も7日、CBSの番組で「労働市場は失速しつつある
ようだ」と語り、「労働市場は深い穴に沈んでおり、抜け出すのはまだ
ずっと先だ」との認識を示しました。さらに長官は、「十分な支援がな
ければ労働市場は2025年まで回復しない可能性がある」と指摘し、
バイデン大統領の示した1.9兆ドルの経済対策案を後方から支援した
格好になっています。
ブリンケン米国務長官は5日、中国外交のトップである楊共産党政治局
員と電話会談を行いました。
米国務省の報道官は声明で、ブリンケン長官が「米国はわれわれが共有
する価値と利益を守るため同盟国やパートナーと協力し、台湾海峡を含
むインド太平洋の安定を脅かす取り組みや、規制に基づいた国際制度を
損なう行為について中国の責任を問う考えを改めて示した」と説明しま
した。
これに対して中国は「これら3地域は中国の内政問題だとし、外国が干
渉すべきではないと反論。台湾問題は中国の主権と領土保全に関わるも
のであり、米国は『一つの中国』の原則と、3つの米中共同声明を順守
すべきだ」と、楊氏がブリンケン長官に述べたと、中国外務省が発表し
ています。(ブルームバーグ)
米中外交トップ同士が会談を行うのは今回が初めてですが、バイデン大
統領もCBSの
インタビューで、中国の習近平主席とまだ話が出来ていないことにつて、
「お互い話をする機会がまだ持てていない」と説明し、習主席に「電話
しない理由はない」と述べています。その上で、バイデン氏は、中国に
対するアプローチはトランプ前大統領とは異なるものになるとし、「対
立する必要はないが、激しい競争になるだろう」との考えを示していま
す。また習主席については、「彼の中には民主主義という概念はみじん
もない」とも述べています。
ドル円は堅調な動きを見せ、先週末のNYでは105円76銭までドル
高が進みました。チャートでは「200日移動平均線」に抑えられた格
好になっていますが、米長期金利も上昇傾向を維持していることから、
堅調な動きは続くと予想します。
「200日移動平均線」 は「日足」では最後の砦といっていい存在で、
ここを明確に超えるようだと、一段の上昇が見込めると思われます。
ただ1月21日の103円台前からは一本調子の上昇が続いているので、
106円台ではそろそろ「調整」も見られるかもしれません。
この欄でも何度も指摘していますが、実需筋はかなり余裕が出て来たよ
うに思います。筆者の懇意にしている大手輸出メーカーの担当者は「1
05円台まで戻ったので、一息ついたよ」と話していました。低調な雇
用統計の結果に伴い、議会でもバイデン大統領の提案する大規模な支援
策が承認され易くなってきました。これが長期金利の上昇圧力にもなっ
てきそうです。
本日のドル円は105円~105円80銭程度を予想します。
- [2021/02/08 09:36]
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リスク選好強まり、ドル円105円台半ばまで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆NY株式市場でリスク選好が強まったことを受けドル円は続伸。
節目の105円台半ばを超え、105円57銭までドル高が進み、
この日の高値で取引を終える。
◆ユーロドルでもドル高が進み、1.20の大台を割り込む。
一時は1.1955近辺までユーロが売られ、昨年12月1日以来となる
ユーロ安・ドル高が示現。
◆株式市場は大幅に続伸。市場の熱狂が落ち着き、労働市場の改善も
見られたことでダウは4日続伸。ナスダックと、S&P500は揃って
最高値を更新。
◆債券は小動き。長期金利は1.14%近辺で引ける。
◆ドル高が一段と進んでことで金は大きく売られ、1800ドルの
大台を割り込む。原油は4日続伸し、56ドル台に。
◆新規失業保険申請件数 → 77.9万件
◆12月製造業受注 → 1.1%
◆11月耐久財受注(改定値) → 0.5%
本日の注目イベント
◆日 12月景気先行指数(CI)(速報値)
◆独 独12月製造業新規受注
◆英 ベイリー・BOE総裁講演
◆米 1月雇用統計
◆米 12月貿易収支
◆米 12月消費者信用残高
◆加 カナダ1月就業者数
◆加 カナダ1月失業率
◆加 カナダ12月貿易収支
ドル高が一段と進みました。
「テクニカルではドル上昇傾向は鮮明」と、3日(水)の本アナリスト
レポートで指摘しましたが、ドル円は抵抗帯と見られていた105円3
0銭~105円50銭のゾーンを抜け、105円57銭までドル高が進
みました。この水準は昨年11月11日以来となるドル高水準になりま
す。ユーロドルでも同じように、大きな節目であり、重要なサポートで
あった1.20を割り込み、1.1955近辺までユーロが売られてい
ます。米長期金利は大きく動いていないため、この日は「リスク選好」
でドルが買われた格好になっています。その結果、金(GOLD)も大
きく売られています。
「有事のドル買い」があったかと思えば、今度は「リスクオンでドル買
い」と、個人投資家泣かせの相場展開です。ここはやはり、「テクニカ
ル」が基本になるという状況でしょう。ここまで来ると、市場関係者の
「相場観」も変更を余儀なくされると、見ています。「思った以上にド
ルが強い」といった考えが、じわじわと浸透してきそうです。
やっかいなのは、ドル高の勢いが緩やかなため、なかなかショートを切
る決断が下せないことです。一気にドル高が進めば、それなりに損を確
定させる気にもなりますが、足元の状況は、ドル買いの勢いが緩慢で、
さらに東京時間ではドルの上値が重いものの、NYを終えて帰ってくる
と一段とドルが買われている状況です。
こうなると、輸出企業の為替担当者としては「あわてずに、ゆっくりと
ドル売り注文を出そうか」ということになり、反対に輸入企業の為替担
当者はあわてて予約を持ち込む状況になります。これが「リーズアンド
ラグズ」と言われる行動です。
この動きが定着すると、市場の需給関係が大きく変わる可能性もありま
す。貿易に関わる為替量よりも、はるかに大きい投資に関わる需給にも
変化が出て来ることも予想されます。
生命保険会社など機関投資家が、外債投資に関わる為替リスクを、ヘッ
ジなしにしたり、あるいは、これまでのヘッジを外したりする行動も予
想されるからです。
昨日発表された新規失業保険申請件数は前週よりも減少していました。
前日発表されたADP雇用者数も、市場予想を大きく上回る増加を示し
ていました。
労働市場が改善傾向を鮮明にして来た可能性も指摘されます。
今夜の雇用統計がますます注目されることになりますが、市場予想を大
きく超えるようだと、106円テストもないとは言えません。
その雇用統計では、非農業部門雇用者数が現時点では10万5000人
の増加と予想されていますが、今週は初めには「5万人」、その後は「7
万5000人」に上方修正され、さらに直近では10万人を超える予想
になっています。
上記、新規失業保険申請件数やADP雇用者数の内容から、本番の雇用
統計での予想値も増えている状況です。
ただ注意したいのは、仮に予想を大きく上回る結果であったら、バイデ
ン大統領が提案している大規模な追加経済対策の「論拠」が崩れ、正当
化されないことになります。
その結果、債券が買われ、金利が低下する可能性があり、その場合には
「ドル売り要因」の一つになると考えられる点です。
個人投資家による投機的な株の売買も鎮静化してきました。
ネット掲示板「レディット」を駆使して多くの個人投資家が結託してヘ
ッジファンドを相手に闘ったことから、彼らを「レディット集団」とも
称されていますが、昨日イエレン財務長官は、ここ最近の株式市場での
熱狂的な動きについて、より深い理解が必要だとの認識を示しました。
イエレン氏は、「行動に移る前に何が起きたのかを深く理解する必要が
ある。しかし、われわれがこれらの出来事を慎重に注視していることは
確かだ」と述べ、「金融市場が適切かつ
効率的に機能し、投資家が保護されていることを確実にする必要がある
」と指摘しました。イエレン氏のほか複数の米監督当局者は、何らの行
動が必要かどうか協議する予定です。(ブルームバーグ)
市場が再びリスク選好に傾いてきたため、先週一時「37.2」まで上
昇した「VIX指数」は、足元では「21.7」と急低下しています。
本日は、上でも述べたように雇用統計の結果が注目されます。
ドル円は105円~106円程度といった予想をしていますが、106
円台では一旦ドルを手放す動きも出て来るのではないかと考えています。
- [2021/02/05 09:32]
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米長期金利1.13%台に上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は105円台前半で小動き。米長期金利の上昇にも
反応せず、105円を割り込む場面もあったが、下値は限定的。
◆ユーロドルは続落し、1.20台割れをテストしたものの、
1.2004で下げ止まる。
◆株式市場は3日続伸していたが、引けにかけてナスダックと
S&P500はマイス圏に。ダウは36ドル高に留まる。
◆債券相場は続落し、長期金利は昨年12月下旬以来となる
1.13%台に上昇。
◆金は小幅に続落。原油価格はOPECが余剰供給を
解消すると表明したことで約1年ぶりの高値に。
◆1月ADP雇用者数 → 17.4万人
◆1月ISM非製造業景況指数 → 58.7
本日の注目イベント
◆豪 豪12月貿易収支
◆欧 ユーロ圏12月小売売上高
◆欧 ECB経済報告
◆英 BOE金融政策発表
◆英 BOE議事録
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 12月製造業受注
◆米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁。パネル討論に参加
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
ドル円もユーロドルも前日の水準から大きく動いてはいません。
ドル円は下値を固めつつあるものの、105円30銭から上方には実需
のドル売りも散見される状況で、この水準を超えて行くには新たな支援
材料が待たれます。また、ユーロドルもドル買いの流れから一時は1.
20台割れを試したものの、節目の大台は割り込めず、1.2004ま
でのユーロ安で留まっています。この日発表されたADP雇用者数など
の経済指標が良好だったことや、バイデン大統領が大規模な経済対策の
縮小には消極的との報道に債券は売られ、長期金利が昨年12月20日
以来となる1.13%台後半まで上昇しています。ただ、金利上昇にド
ルはほとんど反応しなかったようです。
バイデン大統領は3日、民主党下院議員らと電話会合で、個人への直接
給付金1400ドル(約14万7000円)未満に減らすことは、大統
領就任当初からの有権者への公約を破ることになると語っています。
バイデン氏は直接給付金の受給資格を厳しくすることを検討する可能性
は排除しないと述べる一方、経済対策案で示した1400ドルから減ら
すことには消極的な姿勢を示唆したと伝えられています。
またイエレン財務長官も2日には、共和党上院議員10人が示した61
80億ドル規模の案は、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済の安
定化を助けるには「小さ過ぎる」との考えを示していました。
英製薬会社グラクソ・スミスクラインと独キュアバックは3日、新型コ
ロナウイルス変異株に対する次世代ワクチンを共同で開発すると発表し
ました。両社は1回の接種で数種の変異株に対応可能なワクチンの開発
を計画しているとしており、規制当局の承認に左右されるが、2022
年の普及を目標にしています。ワクチンの供給不足が懸念されている中、
新たな開発に対する期待は高まっています。(ブルームバーグ)
1月のADP雇用者数が市場予想を上回り、「17.4万人」と発表さ
れました。12月はコロナ感染拡大に伴うロックダウンの影響が大きく、
「マイナス7.8万人」に沈みましたが、1月は市場予想の「7万人」
を大きく上回りました。特にサービス部門の雇用は15万6000人増
と大きく伸び、サービス業を中心に労働市場が再び持ち直している可能
性が出てきました。因みに、明日の雇用統計では非農業部門雇用者数は
「+7万人」と予想されています。米供給管理協会(ISM)が発表し
た1月の非製造業景況指数も、事前予想の「56.7」を上回る「58
.7」と、好調でした。新規受注の増加が採用の回復を促したことを背
景に、予想外に活動が加速しました。これは、ほぼ2年ぶりの高水準と
いうことになります。
緩やかな上昇を見せていたドル円は105円台前半で一服といった状況
です。昨日は米10年債利回りが大きく上昇したにも拘わらず、上値が
限定的でした。ユーロドルも1.20の大台突破に失敗しており、いず
れもドルの上昇は小休止です。ドル円は105円台からもう一段上昇す
る余地は残っていると見ていますが、それでもこれまでのように簡単で
はないかもしれません。ここからの上昇には、さらなるドル買い材料が
不可欠かと思います。ただ、米長期金利が再び上昇傾向を見せているこ
とから、金利面からはサポートされると思われます。
本日のドル円は104円60銭~105円30銭程度予想します。
- [2021/02/04 09:16]
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ドル、対円、ユーロなどで続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅ながら続伸し、105円17銭まで上昇。
長期金利が一時1.1%台を回復したことがドルを支えた。
◆ユーロドルは続落し、一時1.2012近辺まで売られる。
約2カ月ぶりの安値を付けたが、1.20台はキープ。
◆株式市場は大幅に続伸。個人投資家の投機的取引が
下火になってきたことや、好決算を発表した銘柄などに
買いが集まる。ダウは一時600ドルを超える上昇を見せ、
引け値では475ドル高と、先週の下げをほぼ埋める。
◆債券相場は4日続落。長期金利は一時1.10%台まで上昇。
◆金は大幅に反落。原油は続伸し、一時55ドル台に。
本日の注目イベント
◆豪 豪12月住宅建設許可件数
◆中 中国1月財新サービス業PMI
◆中 中国1月財新コンポジットPMI
◆独 独1月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏1月総合PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏12月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏1月消費者物価指数(速報値)
◆米 1月ADP雇用者数
◆米 1月ISM非製造業景況指数
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
2日の米株式市場では個人投資家の投機的な取引が下火になり、落ち着き
を取り戻したことで、本来の「業績相場」が復活し、この日好決算発表を
行った銘柄を中心に大幅な上昇でした。
安全資産の債券は売られ、長期金利が上昇したことで、金利高に反応しド
ルが買われています。昨日の東京時間では105円台が重かったドル円は
105円17銭まで買われ、小幅ですが、ジリジリとドルの買い戻しが進
んでいる状況です。
ダラス連銀のカプラン総裁は、「ゲームストップ」などの銘柄に見られる
最近のボラティリティがもたらす金融安定へのリスクについて、「現時点
でシステミックなものは何も見られない。現在の状況には多くの要因があ
るが、その一つはもちろん相当量の流動性があるということで、その影響
はみられる」と述べ、その上で、「新型コロナウイルスのパンデミックへ
の対応として今やっていることをやるべきだとなお考えている。ただし、
これを乗り越えれば、こうした流動性の抑制および金融政策の正常化を開
始することが健全だろう」と話しています。(ブルームバーグ)
2日の株式市場ではオンライン掲示板「レディット」を通じた個人投資家
の間で人気化したトレードが急速に崩れ、「ゲームストップ株」は、一時
前日比67%安まで急落しています。また同じように、AMCエンターテ
インメントHDや衣料小売りチェーンのエクスプレスも大きく下げ、8年
ぶりの高値まで急騰した銀も下げています。
新型コロナウイルス感染拡大がすでに1年以上も続いていることで、企業
業績にもその影響がはっきりと表れています。
取引き終了後に発表されたアマゾンとアルファベット(グーグル)の決算
は、ともに市場予想を超えていました。
またコロナワクチンで売り上げを伸ばしたファイザーは業績も好調で、ワ
クチンだけの
売上高を、今年は150億ドル(約1兆5700億円)見込んでいます。
一方石油大手エクソンモービルが発表した決算は、10―12月期(第4
四半期)では
193億ドル(約2兆269億円)の巨額評価損を計上し、2020年通
期の損益は少なくとも40年ぶりの赤字に転落する見込みです。
コロナ禍で人々の行動や生活様式が大きく変わり、「すごもり需要」が企
業業績に大きな影響を与える状況は世界共通です。
ドル円は1月6日に102円59銭を記録してから、すでに2円60銭ほ
どドルが買い戻されてきました。「有事のドル買い」、「米長期金利の上
昇」といった材料が支えとなり、ショート筋の買い戻しが相場を押し上げ
ました。テクニカルで見ると、ドル上昇傾向は鮮明です。
日足では、筆者が最も頻繁に参考にする「一目均衡表」では、転換線が基
準線を上抜けており、「重要な抵抗帯」であった雲の上抜けも示現してい
ます。さらに「遅行スパン」もローソク足を上抜けしており、これで、い
わゆる「3役好転」が完成しています。
通常、このようなサインが出現すれば、かなり長い間上昇トレンドが続く
と見るのが一般的です。ただ、気を付けたいのは、ここまでのドル高はド
ルショートの買い戻しが中心で、新規にドル買いポジションを構築する向
きはまだ少ないという点です。シカゴ先物市場の円の建玉を見ても、直近
ではまだ「7903枚の円買い」です。1月19日の建玉からの減少幅は
3155枚(28.5%)でしたが、ネットではまだ「ドル売り・円買い」
だということです。このような状況下では、まずショートは切ることが重
要です。もっとも、ドル上昇のサインが点灯した先週には切らなければい
けなかったはずです。また、新規にショートを振るのであれば、出来るだ
け引き付ける必要があります。これも、ドル上昇サインが横ばいを見せて
からでも遅くはありません。1月6日に付けたドル円が「今年のドルの最
安値」になるとは、現時点では思いませんが、足元の動きは、長い目で見
た「ドル反転の始まりの第一歩」かもしれません。ここは慎重に見極めた
いと思います。
本日のドル円は104円70銭~105円40銭程度といったところでし
ょうか。
- [2021/02/03 09:33]
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ドル円2カ月半ぶりに105円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸し、一時は105円03銭までドルの
買い戻しが進む。105円台に乗せるのは約2カ月半ぶりのこと。
◆ドル高の流れが続き、ユーロドルは終始1.20台で推移。
1.2056までユーロは売られ、ユーロドルのサポート
ゾーンを再び試す。
◆株式市場は大幅に反発。先週末に大きく下げた反動もあり、
ダウは229ドル高。ハイテク銘柄の好決算期待からナスダックは
2%を超える大幅高に。
◆債券は3日続落。長期金利は1.07%台へと上昇。
◆金は3日続伸。原油も大幅に反発。
◆1月ISM製造業景況指数 → 58.7
◆12月建設支出 → 1.0%
本日の注目イベント
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆日 1月マネタリーベース
◆欧 ユーロ圏10-12月期GDP(速報値)
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
昨日このレポートでも触れましたが、ドル円は東京時間では上値が限られ、
久しぶりの104円台後半の水準であったことから、むしろ実需のドル売
りが相場を押し下げていました。
一旦104円64銭近辺まで売られたドル円は、欧州時間に入るとジリジ
リと買いが優勢となり、NYでは105円台まで上昇しました。105円
台を付けるのは、昨年11月16日以来となります。また昨日はドルが全
面高の展開となり、ユーロドルは1.20台半ば、豪ドル米ドルも
0.76台前半まで売られています。
先週末には大きく売られた米株式市場も昨日は買い戻され、ダウは229
ドル高と、前日の大幅な下げを埋めるにはほど遠い展開でしたが、ナスダ
ックは2%を超える上昇でした。ISM製造業景況感指数が高水準を維持
していたことも支えになったようです。本日決算が発表されるアマゾンや、
アルファベット(グーグル)などが、株高をけん引し、ナスダックは33
2ポイント上昇しました。好決算を予想し、先回りした買い物が先行した
ようです。注目の「ゲームストップ」は大きく下げています。
共和党上院議員らが新たに提案した経済対策案の内容が明らかになりまし
た。規模は6180億ドル(約64兆円)とし、現金給付は1000ドル
で、バイデン大統領が提案した1400ドルを下回っています。また受給
資格の所得規準も厳しくなっています。共和党上院議員らは1日にバイデ
ン大統領と会談することになっていますが、バイデン大統領も、自身の提
案を調整する考えがあるようです。(ブルームバーグ)
政府は緊急事態宣言を1カ月延長し、3月7日までにするようです。
昨日は東京都の新規感染者数が393人と大幅な減少でした。
少ないのは、月曜日だということもありますが、1月に発令した緊急事態
宣言の効果が出て来たと見られます。ただ、まだそれでも重症者数は高止
まりしており、感染による死者の数も減りません。
また65歳以上の高齢者の新規感染者の割合が増えているのも気になると
ころです。感染者数の減少は米国でも顕著です。
NY州では1日当たりの新規感染者が8508人と、昨年12月後半以来、
初めて1万人を割り込んで来ました。コロナ感染症による死者数が1月に
は9万5500人と、月間ベースでは過去最多を更新しましたが、2月に
は減少すると見られています。人の移動に制限をかければ感染者数は確実
に減少することは分かっていますが、一方で運輸、ホテル、飲食業などは
非常に厳しい現実に直面しており、特に規模の小さい飲食業では「時間と
の勝負」のようです。ここは何と言っても、1日も早いワクチンの普及が
望まれます。
2カ月半ぶりに105円台まで上昇したドル円ですが、どこまでドル高が
続くのかが焦点です。それはとりもなおさず、リスクオフがどこまで続く
のかとほぼ同じでが、昨日はリスクオフが後退し、「VIX指数」も低下
したにも拘わらずドルが買われています。米株式市場ではここに来て、個
人投資家が投機的な取引を増やしていることが、リスクなのかもしれませ
ん。ドル円は依然として「ショートカバー」の域を超えてはいないと思い
ますが、一方で100円割れの可能性も徐々に遠のいています。
FRBは金融緩和政策の継続を明確にしており、パウエル議長は一部で話
題となったテーパリングに関して「時期尚早」と一蹴しています。
一方本邦でも、日銀が長期金利の変動幅拡大を容認するのではないかとい
った観測も出ているようです。
日銀はFRBと違って、短期金利だけではなく長期金利もコントロールし
ています。長期金利の変動幅拡大は、債券の売り圧力が強いことを考える
と金利上昇につながる可能性があり、円高要因と見る向きもあります。
緩やかなドル買い戻しが続いている足元の動きは、今後の日米金融政策の
微妙な変化も材料にするかもしれません。
本日のドル円は104円50銭~105円30銭程度を予想します。
- [2021/02/02 09:23]
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ユーロ円2019年3月以来の高値
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆株価の大幅下落に伴い、リスク回避のドル買いが強まり
ドル円は104円85銭まで上昇。約2カ月半ぶりの
ドル高水準を示現。
◆ユーロドルは小動きとなり、1.21台前半から半ばで
推移。ユーロ円は127円34銭まで買われ、こちらは
2019年3月以来となるユーロ高を記録。
◆株式市場は大幅に反落。ダウは620ドル下げ、3万ドルの
大台を割り込む。ナスダック、S&P500は2%前後下げる。
◆債券相場は続落。長期金利は1.06%台へ上昇。
◆金は反発し、原油は続落。
◆12月個人所得 → 0.6%
◆12月個人支出 → -0.2%
◆12月PCEコアデフレータ → 1.5%
◆10-12月雇用コスト指数 → 0.7%
◆12月中古住宅販売成約件数 → -0.3%
◆1月シカゴ購買部協会景気指数 → 63.8
◆1月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 79
本日の注目イベント
◆中 1月財新製造業PMI
◆独 独1月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏1月総合PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏12月失業率
◆英 英12月消費者信用残高
◆米 1月ISM製造業景況指数
◆米 12月建設支出
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
2月になりました。
米国では1月にバイデン氏が第46代大統領に就任し、大統領令に矢継ぎ早に署名
を行い、トランプ政権から大きく舵を切り直しました。大規模な経済対策を打ち出
し、新型コロナウイルス対策を最優先課題と位置づけ、政権を始動させています。
比較的重要なイベントがあった中、この間のドル円の値動きはわずか2円35銭程
度でした。1月の月初めには102円59銭までドル安が進み、2021年はドル
安が進むとの印象を与えたスタートで、多くの投資家が身構えたものでした。
そのドル円は1月最後の取引き日である、先週29日のNY市場では104円85
銭までドルが買い戻され、ほぼ1月としてはドル最高値の水準で終わっています。
この欄でも2週間前から指摘してきたように、ドルの先安観は変わっていないもの
の、ドルが思ったほど売られない展開になっています。マイナーな抵抗帯であった
104円ミドルを抜けたことで、日足チャートでは昨年6月以来となる、ローソク
足の「雲抜け」が確認されています。同時にMACDも「プラス圏」に入ってきた
ことを考えると、ややドルロングに分がありそうでな気配です。先週末のNYでは
株価が大きく下げ、「VIX指数」も再び上昇してきました。ドルはこの動きに反
応し、「有事のドル買い」が定着しつつあります。混乱が生じた際に、国際決済通
貨としてのドルを確保する動きが強まっています。
今後は105円台に乗せることが出来るかどうかが注目されますが、仮に105円
台を示現した場合、次のレジスタンスは105円15銭前後と105円50銭と見
ています。
バイデン新政権に早くも「壁」が立ちはだかって来ました。
バイデン大統領が打ち出した1.9兆ドル(約198兆円)の経済対策に対して、
共和党の上院議員10人が新型コロナウイルス感染症による打撃からの回復を目的
とする経済対策の代替案を示したと、ブルームバーグは伝えています。
10人の上院議員は1月31日付けの書簡で、「超党派および結束の精神で、われ
われはCOVID19からの救済の枠組みを策定した。これは超党派の支持を得て
可決した
これまでの新型コロナ支援関連法を基盤としている」と記し、規模は約6000億
ドルとしています。
バイデン政権のディーズ国家経済会議(NEC)委員長は、この書簡を受け取った
ことを認め、検討するとコメントしています。
財政規律を重視する共和党では、当初からその大規模な追加の経済対策に反対する
声も多く、規模の大幅な縮小を余儀なくされる可能性もありそうです。
米国株が大きく下げたことで、先週末の日本株も今年最大の下げを見せました。
日経平均株価は前日比534円下げ、2万8000円の大台を割り込んでいます。
先週末のレポートでも触れましたが、ロビンフッダーと言われる個人投資家が、
「ゲームストップ株」を買い上げ、空売りをしているヘッジファンドを損切りに追
い込みました。この株価の乱高下が市場全体のセンチメントを悪化させているよ
うです。
ヘッジファンド運営会社メルビン・キャピタルはゲームストップなど10余りのポ
ジションが響き、1月の運用成績が約53%のマイナスになった。オンライン掲示
板「レディット」上で動機付けられた個人投資家が仕掛けた「ショートスクイーズ」
の波にのみ込まれた。(ブルームバーグ)との報道です。
個人投資家がヘッジファンドを負かすといった事態は過去に記憶がありませんが、
SNSによって一気に賛同者を結集できる事態は、トランプ氏が議会前に集結する
ようデモを扇動した行為と同じ構図と言えます。
本日のドル円は104円30銭~105円程度を予想します。
105円に近づく水準では、依然としてドル売り注文が集まり易いと思われます。
東京時間ではなかなか抜け切れないかもしれませんが、105円台に乗せれば、
どこかに「ストップのドル買い」もあると思われ、展開もやや異なることが予想さ
れます。105円といった、いわゆる「大台の節目」は通常1回の攻撃では抜けな
いものです。
- [2021/02/01 09:36]
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