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ドル円1年ぶりに110円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大幅に続伸。東京時間夕方には110円台を
回復し、NYでは110円42銭までドル高が進む。
長期金利の上昇やワクチンの普及が材料に。
◆ユーロドルはドル高が進む中、1.17台前半から半ばで
小動き。
◆株式市場は長期金利の上昇を嫌気して下落。
ダウは4日ぶりに下げ、ナスダックとS&P500は続落。
◆債券相場は続落し、長期金利は一時1.774%台まで
上昇。ただその後は急速に低下し、結局前日比ほぼ変わらず。
◆ドル高を受け、金は大幅に下落。原油もスエズ運河が通航を
再開したことから下落。

◆1月ケース・シラ-住宅価格指数    →  11.10%
◆1月FHFA住宅価格指数       →  1.0%
◆3月消費者信頼感指数         →  109.7

本日の注目イベント

◆豪   豪2月住宅建設許可件数
◆日   2月鉱工業生産
◆中   3月中国製造業PMI
◆中   3月中国サービス業PMI
◆独   独3月雇用統計
◆欧   ユーロ圏3月消費者物価指数(速報値)
◆英   英10-12月期GDP(改定値)
◆英  英10-12月期経常収支
◆米   3月ADP雇用者数
◆米   3月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   2月中古住宅販売成約件数

ドル円はついに110円台に乗せ、NY市場では110円42銭までドルが買われて
います。昨年3月23日以来となるドル高水準です。昨日の東京時間では、ドルは堅
調に推移していたものの、109円99銭まで買われましたが、近いようで遠い11
0円でした。夕方に欧州市場が参入すると、110円の壁をあっさり突破。その後は
利益確定のドル売りなどをこなしながら、緩やかに上昇しました。

ドル円一段高の背景は、やはり米長期金利の上昇だったと見ています。
米長期金利は米国でのコロナワクチン接種の普及や、2兆ドル(約220兆円)のイ
ンフラ投資計画の発表が近いといった見方から債券への売り圧力が強まり、価格が下
落し、金利が上昇しました。ただ、引けでは結局前日と同水準近辺まで低下していま
す。ワクチンの普及に大型のインフラ投資。さらにスエズ運河の通航再開に加え、昨
日発表された経済指標も好調さを示唆する内容だったことも、ドル高をサポートして
います。3月の消費者信頼感指数は、米国でコロナ感染が急拡大した2020年3月
以来となる「109.7」でした。昨年1、2月の水準にはまだ達していませんが、
消費者の景気の先行きに対する心理は大きく改善していると見られます。


また1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数も急上昇しており、2006年以来の
大幅な伸びとなっています。長期にわたる低金利を背景に、住宅市場では活況が続い
ています。さらに株高などによる資産効果も追い風となり、「いまの内に住宅を買っ
ておこう」という動きが顕著になっています。旺盛な住宅需要は住宅価格を押し上げ、
主要20都市では特に、フェニックス、シアトル、サンディエゴ、ボストンなどで上
昇しており、フェニックでは前年比で「15.80%」も上昇しています。
住宅の購入は周辺産業への影響も大きく、今後も住宅市場の好調な伸びが続くような
ら、米景気にとっても大きな支援材料になります。このようにして見ると、2020
年から始まった世界的なコロナパンデミックからの景気回復は、米国が頭1つも、2
つも抜け出ており、いわば「米国の一人勝ち」といった様相にもなりかねません。
物価が上昇することで、インフレ懸念から金利が上昇し、さらに景気回復を先取りす
る形で株価も上昇し、ドルへの投資がより魅力を増すのは自然なこととも言えます。

FRBのクオールズ副議長は30日、「FOMCはインフレ率が目標値の2%を幾ら
か上回っても問題ないと考えているとの見方は、非常に確実性の高いFOMCのコミ
ットメントであり、私はこれを強く支持する」と表明しました。
また、インフレ期待値を抑制できなくなりつつあるとの兆候が示されない限り、FR
Bは失業率が低下しても予防的な利上げという手段を取らない方針については、「早
まるべきではない」と述べ、「マクロ経済や金融政策の動向を過去10年だけでなく、
15年や20年分まで見ることによって、優れた結果を導き出せるのではないだろう
か」と語っています。(ブルームバーグ)今週末発表される雇用者数でも、失業率の
低下が予想されており、足元の長期金利も上昇傾向を強めていることへの「けん制」
とも受け止められます。

「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」が絡むポジションが強制的に清算された
ことによる金融機関の損失が、合計で50億―100億ドル(約5510億円―1兆
1030億円)に上る可能性があるようです。すでに、クレディスイスや野村ホール
ディングスが多額の損出が出る恐れがあることを発表していますが、さらに三菱UF
J証券も「欧州子会社での米顧客との取引において、多額の損出が生じる可能性があ
る」と発表しており、損出額は3億ドルの見込みだということです。

解任劇に揺れているトルコ中銀ですが、カブジュオール新総裁は、引き締め気味の金
融政策を約束し、「政策金利の1週間物レポ金利は消費者物価を上回る水準に維持す
る」と表明しました。また効果的かつ、「独立して」金融政策手段を活用するとも語
っていますが、「独立性」という点では、まず無理だと思われます。エルドアン大統
領はここ2年で3人の中銀総裁の首をすげ替えています。
前総裁も利上げを繰り替えしたことがエルドアン氏の「逆鱗」に触れ解任されたわけ
です。直近のトルコの消費者物価指数は「15.1%」で、さらに上昇する可能性も
あります。金利引き下げへを望むエルドアン氏に抵抗して、果たして政策金利をそれ
以上に維持することが出来るのか、非常に不透明です。

110円台に乗せたドル円ですが、ここまで来ると次のターゲットは、昨年2月に記
録したドルの最高値である「112円23銭」だと、多くの市場関係者が声を揃える
ことになります。
今年もまだ9カ月を残していますが、このままドル高が進めばこの水準に達すること
になりますが、まだまだ紆余曲折があると考えておくべきでしょう。

本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。


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スエズ運河正常化へ。株式市場は不穏な動き 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間に109円37銭近辺まで売られたが
海外市場では持ち直す。米長期金利の上昇から109円84銭
まで反発したが110円には届かず。
◆ユーロドルは前日から水準を下げ、1.1761まで下落。
◆株式市場はまちまち。ダウは連日で最高値を更新するも、
ナスダックとS&P500は下落。好材料と悪材料が交錯。
◆債券相場は続落し、長期金利は1.70%台を回復。
◆金は反落し、原油は続伸。

本日の注目イベント

◆日   2月失業率
◆独   独3月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏3月景況感指数
◆米   1月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   1月FHFA住宅価格指数
◆米   3月消費者信頼感指数
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
◆米   クオールズ・FRB副議長、オンライン形式の討論会に参加

米国では3日連続で300万人を超える人がワクチン接種を行い、バイデン
大統領は4月19日までに米国の成人90%が接種対象になると新たに発表
しました。またファイザーとモデルナが開発したワクチンは、発症だけでは
なく感染自体を高い割合で防ぐことが明らかになっています。
スエズ運河で座礁し、ほぼ1週間にわたって航路をふさいでいたコンテナ船
「エバーギブン」が、ようやく離礁しました。スエズ運河庁は通航が正常化
すると発表しましたが、その具体的な日時は明きらかになっていません。周
辺で待機している多数の船舶が全て通航するには1週間ほどかかる可能性も
あるようですが、「数日で正常に戻る」との見方もあるようです。

このように、市場への好材料がリスクオンの流れを高めた一方、米株式市場
では新たな不穏な動きも出て来ました。
米投資会社「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」が保有株の下落を受
け、関連する200億ドル(約2兆2000億円)のポジションが強制的に
清算されたことで、野村ホールディングスやクレディスイスなど大手の金融
機関に多額の損害が発生するとして金融市場に激震が走っています。
野村はすでに昨日、「2200億円程度の損出が発生する恐れがある」こと
を発表し、同社の株価が急落しましたが、今後損出額が膨らむ可能性もある
ようです。2007年8月の「パリバ・ショック」のようなことにはならな
いと見られていますが、「パリバ・ショック」はその後、米大手金融機関が
バタバタと潰れた「リーマン・ショック」への口火だったことを考えると、
注意が必要かもしれません。

FRBのウォーラー理事は講演で、「大規模な財政赤字と増大しつつある連
邦債務を理由に、米金融当局が債務返済を支援するための低金利維持、およ
び連邦政府のファイナンスを支援するための資産購入維持を求める圧力に屈
するとの見方が浮上している」と発言。その上で、「私の目下の目標はこの
見方を完全に払拭することだ。とにかく間違った見解だ。金融政策がこのよ
うな目的のため運営されたことはこれまでにないし、今後もない」と語って
います。(ブルームバーグ)FRBは今月16-17日に行われたFOMC
で、2023年末までゼロ金利政策を維持することを確認しています。

大した情報ではありませんが、トルコのエルドアン大統領は、今月20日の
アーバルトルコ中銀総裁の更迭に続き、昨日は副総裁も更迭しました。
この報道を受け、リラ円は13円台半ばから13円12銭近辺まで約1.2
%下落しました。詳しい報道は入っていませんが、同副総裁はアーバル前総
裁と同様に、高インフレと通貨安に歯止めをかけるため、利上げには積極的
だったと見られます。

ドル円は予想通り、昨日の東京時間では上値が重くじり安の展開でした。
一時は109円37銭辺りまで売られる場面がありましたが、そこをボトム
に海外市場では再び上昇に転じています。
ただ、今回も110円には届かず、先週末と同水準である109円84銭近
辺で上昇が止まっています。
米長期金利が再び1.70%台まで上昇したことがドル円の支援材料になっ
ていますが、上で述べたように「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」
問題がさらに波紋を広げるようだと、米株式市場が下落し、長期金利が低下
することも予想されます。現時点ではその影響は限定的だとされていますが、
引き続き米金利の動きには注目です。

本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度を予想します。


ドル円昨年6月以来の109円台後半へ 

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場


◆株価が大きく上昇し、長期金利も上昇したことで
リスクオンが加速。ドル円は109円台半ばのゾーンを
抜け切り、昨年6月4日以来となる109円84銭まで
ドル高に。
◆ユーロドルは反発。1.1806まで買われたが上値は
なお重い印象。
◆コロナワクチンを巡る楽観的な見通しに株式市場は3指数が
揃って大幅に上昇。ダウは453ドル買われ最高値を更新。
S&P500も小幅ながら最高値を更新。
◆債券は続落。長期金利は1.67%台へと上昇。
◆金と原油はともに反発。


◆3月ミシガン大学消費者マインド(確報値)     →  84.9
◆2月個人所得                   →  -7.1% 
◆2月個人支出                   →  -1.0%
◆2月PCEコアデフレータ             →   1.4%


【本日の注目イベント】

◆日   日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18、19日分)
◆英   英2月消費者信用残高
◆米   ウォラー・FRB理事、オンライン形式の討論会に参加


ドル円は続伸し、109円台ミドルの「レジスタンス・ゾーン」を抜け切り、
昨年6月4日以来となる109円84銭までドル高が進みました。
今月5日に108円台を示現してからはさすがに調整色がやや強まり、それ
までの上昇スピードを維持できず上げ下げを繰り返しましたが、それでも結
局一度も108円台を割り込むことなく、109円台後半まで上昇したこと
になります。日足チャートを見ても、「120日移動平均線」と「200日
移動平均線」はともに、上向きに伸びており、まもなく、「120日線」が
「200日線」を下から上へ抜けるゴールデンクロスの気配も見せています。

「MACD」の形が「いまいち」ではありますが、テクニカルでみるかぎり
110円を窺い、続伸するパターンであると見て取れます。ただ今度は節目
の「110円」です。
輸出企業にとっては「余裕」があることは確かですが、110円という節目
では一旦ドルを売っておこうという行動も予想されます。また、個人投資家
にとってもそれは同じことで、110円前後では一旦利益確定のドル売りが
出ることは想像に難くはありません。
従っていつものことですが、「1次攻撃」では抜け切れない可能性がある
と思います。
それでも現時点ではドル高傾向は変わらないでしょう。
バイデン大統領が4月末までにコロナワクチンの接種を2億回に増やすと宣
言したことを市場は好感し、先週末のNYでは、株高、金利高、ドル高といっ
た典型的な「リスクオン」になっています。変異種の問題はありますが、コ
ロナからの脱却への筋道は確かに描けるところまで来たのではないかと思い
ます。
ただ一方で米国の中国政策を巡る壁は徐々に高さを増しているのも事実です。
中国は新疆ウイグル地区の人権問題を理由とした制裁への報復として、米国
とカナダの個人や団体に対する制裁を発表しています。
さらに中国はイランと、貿易における今後の両国関係を網羅する25カ年の
「包括的戦略パートナシップ」協定を結びました。
米国を敵対視するイランと利害が一致したということでしょうが、中国がイ
ランの石油を確保し、イランは中国の「マネー」を取り込みたいという思惑
があるようです。
外交の専門家は、「民主主義同盟」対「反民主主義同盟」の対立が、さらに
深まるとの懸念を表明していました。
またこれに加え、北朝鮮が米国に対して再び敵対姿勢を強めており、ミャン
マーでのデモ隊と軍や治安部隊との衝突では27日だけでも114人以上が
死亡したと報じられており、これらもバイデン政権にとっては外交上の懸念
材料になっています。来月訪米する菅首相にとっても、これまでのような「
どっちつかずの外交姿勢」では対応できなくなる可能性もあり、まさに「踏
み絵」を迫られることになるかもしれません。

3月もまもなく終わり、今週末には早くも3月の雇用統計が発表されます。
先週の新規失業保険申請件数では減少傾向が確認され、さらに大規模な経済
対策も実施されています。
コロナ前の景気回復は、米国が最も早く達成するという見方はほぼ規定路線
で、これがドル高の根拠の一つにもなっています。
余程上述の外交問題で予想外の展開にならない限り、ドルが緩やかに上昇す
るというメインシナリオは維持されそうです。
110円台を達成したら、その先は「昨年のドルの高値である112円23
銭を抜くのかどうか」が次の焦点になりますが、これはまだ不透明だと考え
ます。

本日のドル円は109円40銭~110円10銭程度を予想します。


ドル高が進み、ユーロドルは1.17台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台を回復。バイデン大統領の記者会見の
内容や経済指標の改善がドルを買い戻す動きにつながった。
◆ユーロドルは続落し、昨年11月12日以来となる1.1762
までユーロ安が進む。コロナを巡るドイツの混乱などがユーロ売りを
誘発。
◆株式市場は3指数が揃って反発。バイデン大統領がワクチン
接種の目標を引き上げたことなどが好材料となり、ボーイング
などが上昇をけん引。ダウは199ドル上げたが、ナスダックは
小幅高。
◆債券は反落。7年債入札が不調に終わり、10年債にも売り物が。
長期金利は1.63%台へと上昇。
◆金と原油は反落。

◆新規失業保険申請件数        →  68.4万件
◆10-12月GDP(確定値)    →  4.3%

本日の注目イベント

◆日  3月消費者物価指数
◆独   独3月ifo景況感指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(確報値)
◆米   2月個人所得
◆米   2月個人支出
◆米   2月PCEコアデフレータ

昨日のこの欄でドル高傾向は変わっていないものの、ドル円が109円台
を回復し、109円台を固めるには時間がかかると書きましたが、1日で
その見方が崩れています。ドル円は109円23銭近辺まで買われていま
す。ただ昨日のドル高は、ユーロドルでのドル買いが影響したと見られま
す。ユーロドルは1.1762までユーロ安が進み、昨年11月12日以
来となる安値まで売られています。
欧州でのワクチン接種プロフラムの難航が経済成長を妨げるとの見方が広
がり、ユーロ売りが強まりました。
また、メルケル独首相が復活祭のロックダウン計画を撤回したことも、メ
ルケル首相の求心力の衰えを象徴していると見られ、総選挙の行方にも影
響する可能性が高まってきました。
事実、直近の調査では、メルケル首相率いる与党CDU・CSUの支持率
が急低下しており、野党・緑の党との差はわずかだと伝えられています。

バイデン大統領は25日、就任後初となる正式な記者会見を行いました。
その中で大統領は、新型コロナウイルスワクチンの接種を、これまで就任
後100日間で1億回という目標を掲げていましたが、予定より早く達成
したことから、4月末までに2億回の接種を実施するという目標を新たに
設定しました。大統領は、「野心的な目標だということは分かっている」
とし、「達成可能だと確信している」とホワイトハウスで述べています。

大統領はさらに、今週に入り挑発的な行為が続いている北朝鮮に対して、
外交の扉を開けておくと述べつつも、最近のミサイル試射は国連決議違反
であり、これが続くなら対応することになると警告しました。「北朝鮮が
事態のエスカレートを選ぶなら、対応することになる」と述べ、「状況に
応じて米国は対応する」と続けています。(ブルームバーグ)
北朝鮮は昨日の朝方、約1年ぶりに2発の単距離弾道ミサイルを日本海に
向けて発射しており、日本政府も「厳重に抗議する」としましたが、これ
までと同じような対応に北朝鮮がひるむはずもなく、4月に菅首相が訪米
した際には、北朝鮮問題が重要議題の1つになると思われます。

パウエルFRB議長は上下院の議会証言で、コロナワクチン接種の進展や
大規模な経済対策の効果で米経済は回復するとの考えを基本としながらも、
慎重な見方を変えておらず、特に労働市場については「FRBの目標には
程遠い」との認識を示していました。
パウエルFRB議長は昨日の米公共ラジオNPRのインタビューで、米経
済が「ほぼ完全に復活」するまでは金融支援を継続する考えを改めて表明
しました。
「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住
宅ローン担保証券の購入を縮小していくだろう。その後さらに長期的には、
利上げを可能にするためのテストを設定している」と発言しました。「つ
まり、経済がほぼ完全に回復した時、時間をかけて非常に漸進的かつ透明
性をもって、緊急時に導入した緩和策を引き上げていくことになる」と述
べています。
今後予想される金融政策の変更は、テーパリングを行うことで、事前に市
場に明確なメッセージを送り、しかもその後の利上げは極めて緩やかなも
のになるということです。昨日発表された週間失業保険申請件数は、市場
予想を下回り、1年ぶりに低い水準になっています。

ドル円は再び109円台を回復し、109円台を維持しながら戻ってきま
した。直近の高値は今月15日に記録した109円38銭です。
今回はその水準を上回り、さらに109円台ミドルを中心とする「レジス
タンス・ゾーン」を上回ることができるかが焦点です。
それは110円台乗せへの重要なステップであり、春から夏にかけての相
場の展開を示唆するものになると考えます。

本日のドル円は108円80銭~109円60銭程度といったところでし
ょうか。


米長期金利1.60%台に低下 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反発したものの109円には届かず。
ドルがユーロやポンドに対して買われたことが円にも波及。
108円95銭までドル高に。
◆ユーロドルは続落し、昨年11月以来となる1.1810まで
ユーロ安が進む。
◆株式市場は続落。ダウは前日比プラス圏で推移していたが、
引けにかけて値を崩し3ドル安。ナスダックは大きく売られ
265ポイント安。
◆債券相場は3日続伸。長期金利は1.60%台に低下。
◆中東スエズ運河で大型タンカーが座礁したことを受け
金と原油は上昇。原油は3ドル42セント買われ61ドル台に。

◆2月耐久財受注               →  -1.1%
◆3月マークイット製造業PMI        →  59.0
◆3月マークイットサービス業PMI    →  60.00


本日の注目イベント

◆独   独4月GFK消費者信頼感
◆欧   ユーロ圏2月マネーサプライ
◆欧   ECB経済報告
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10-12月GDP(確定値)
◆米   バイデン大統領、記者会見
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演、BISイベントで講演
◆米   デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演(オンライン)
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演(オンライン)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(オンライン)
◆米   クラリダ・FRB副議長講演(オンライン)

米10年債は引き続き落ち着いた動きを見せ3日続伸。長期金利は一時
1.58%台まで低下する場面もありました。
それでもドル円はユーロドルやポンドドルでドル高が進んだこともあり、
108円95銭までドル高に振れましたが、109円には届いていませ
ん。今回の下落でも108円40銭近辺で下げ止まり底堅い動きは見せ
たものの、上値も限定的になっています。
ユーロやポンドは米金利が低下しても買われる傾向がありますが、円に
ついては米金利との相関がより強く、昨日のドル円の上昇はユーロ安な
どが波及したものと見られます。
ナスダックは再び大きく下げ、長期金利が低下する中でも売られました。

スエズ運河で、日本の今治造船グループが所有する大型コンテナ船が砂
嵐と強風の影響により座礁とのニュースで、金や原油が買われています。
座礁したのは台湾のエバーグリーン・マリンが運航する大型コンテナ船
「エバー・ギブン」で、全長400メートルもあるそうです。
エジプトのスエズ運河庁は通行再開の時期についてはコメントしていま
せんが、「エバー・ギブン」の船体が運河をふさいだ格好となり、紅海
と地中海を往来する船舶少なくとも100隻が通れなくなっている(ブ
ルームバーグ)ようです。この事故でWTI原油価格は前日比3.42
ドル上昇し、61ドル台を回復しています。

パウエルFRB議長は前日に続き、昨日は上院銀行委員会で証言を行い
ました。その中で、高止まりしている失業率に触れ、「労働市場への参
加が拡大していることが失業率を高い水準にとどめている」との認識を
示し、それは「極めて望ましい結果だ」と述べています。
また金利上昇について議長は、「これまでの利回りの上昇は秩序立った
動きだ。秩序立った動きでなかったら、私は懸念するだろう」と、これ
までの発言を繰り返したにとどまっています。一方イエレン財務長官の
証言では、エリザベス・ウォーレン議員と意見が一致せず衝突したと報
じられています。

先週アラスカで行われた初の米中外交のトップ会談では異例ずくめで終
わりましたが、ブリンケン国務長官は同盟国に対して、米国と中国のど
ちら側につくかという選択を迫ることはしないと述べています。
ブリンケン氏は、「米国が同盟国に、対中国で敵につくのか味方になる
のかというような選択を強いることはない」とし、「われわれが依拠す
るのは新機軸であり、最後通告ではない」と語っています。バイデン政
権の外交が正式にスタートしましたが、中国に対しては対話の余地を残
しながらもこれまでの強硬姿勢を崩さず、さらにロシアや北朝鮮などと
も難しい外交が控えています。
そんな中米国は、日本、オーストラリア、インドなどを巻き込み、単独
ではなく連合体で対峙する路線を推し進めています。
今回の発言で、日本など同盟国にとっては目の前の「踏み絵」を引っ込
めてくれた格好となり、4月に訪米する菅総理にとっても、「やれやれ」
といったところでしょう。

ドル円は109円台が近いようですが、まだ109円台に乗せその水準
を維持できる状況でもありません。サポート要因は米金利です。
1.6%前後まで下げたとは言え、まだ先高感は依然として残っていま
す。長期金利が再び1.7%台に乗せるようなら、リスクオンからドル
が再び上昇する可能性は十分にあると考えます。
足元の動きはドル高局面での調整と見ており、コロナの収束、大規模な
経済対策、GDPの上振れといった「メイン・シナリオ」はまだ崩れて
いないと思います。

本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度を予想します。


リスクオフが強まり金利低下。ドル円と株売られる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米金利の低下にドル円は続落。108円50銭までドル安が
進み、株価の大幅下落もドルの重しに。
◆ユーロドルではドル高が進み、1.1842までユーロが
売られる。欧州でのロックダウン措置の強化がユーロ売りに。
◆欧州で新型コロナ感染者が増加していることが材料に、
株価は軟調。ダウは308ドル下げ、ナスダックも3日ぶりに
反落。
◆リスクオフの流れが強まり債券は大きく上昇。長期金利は
大幅に低下し1.61%台に。
◆金と原油はともに下落。

◆経常収支(10-12月)        →  -1885億ドル
◆2月新築住宅販売件数          →  77.5万戸
◆11月リッチモンド連銀製造景況業指数  →  17 

本日の注目イベント

◆独   独3月製造業PMI(速報値)
◆独   独3月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月サービス業PMI(速報値)
◆英   英2月消費者物価指数
◆英   英3月製造業PMI(速報値)
◆英   英3月サービス業PMI(速報値)
◆米   2月耐久財受注
◆米   3月マークイット製造業PMI
◆米   3月マークイットサービス業PMI
◆米   パウエル・FRB議長とイエレン財務長官、上院銀行委員会で証言
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインフォーラムで講演

米長期金利が大幅に低下し、1.61%台まで低下する場面もありました。
ただ、金利低下にもかかわらず株価は軟調な展開となり、主要3指数は揃
って下落しています。ドル円は売られ、欧州市場では108円40銭前後
までドル安が進み、NY時間では多少反発はしましたが、前日と同様に昨
日も109円台には届いていません。ドル円自体、それほど大きな下落は
見せていませんが、クロス円を見ると、これまでのように一本調子で円が
売られる展開とは異なって来ました。クロス円を中心に利益確定の売りも
散見されるようで、これがドル円の上値を重くしている可能性も考えられ
ます。

リスクオフが強まった背景は、欧州での新型コロナ感染者の増加が主因で
す。フランス、イタリアに加え、ドイツでも新たな制限措置が講じられ、
世界的な経済活動再開が遅れる懸念が高まったことが背景です。
金利上昇圧力がある中でも債券は買われ、長期金利は急低下しています。
また、原油価格も欧州の新たなロックダウン措置を受け、経済活動が鈍化
するとの見方から、WTIは3ドル80セントも下げました。日本でも
「緊急事態宣言」は全面解除されましたが、新型コロナによる感染者数は、
下げ止まりどころか、やや増加する傾向を見せ、特に宮城県などではこれ
までの最悪のケースで増加しています。「第4波は必ず来る」と言ってい
る専門家の言葉が、正当化されそうな状況になってきました。

パウエルFRB議長は23日、下院金融委員会で証言を行い、新型コロナ
ウイルスの流行が後退し米国民の外出や消費が可能になると見込まれるた
め、今年は物価が上昇するだろうと述べましたが、ただ、それが望ましく
ないインフレを招くリスクは大きくないとの見方を示しました。
議長は、「今年は年を通じてインフレ率が上昇すると予想しているが、イ
ンフレへの影響は特段に大きくはなく、持続的でもないだろうというのが、
最もあり得る展開だとみている」と述べ、その理由として繰り越し需要や
サプライチェーンの障害を挙げています。
さらに、「この四半世紀、経済には強いディスインフレ圧力が世界的に見
受けられる」と指摘しています。
また、イエレン財務長官も証言を行い「経済対策の成立で、国民は生活基
盤が損なわれることなくコロナ禍を乗り越えると私は確認している」と述
べています。一方で、イエレン氏は「景気回復の兆候は見られるものの、
われわれがどうゆう苦境から抜け出そうとしているのかを直視すべきだ。
米国の雇用はなおコロナ前のピークを1000万人近く下回っている」と
指摘しています。(ブルームバーグ)

「エルドアン・ショック」で今週月曜日早朝には12円70銭台まで急落
したリラ円は、やや落ち着きを取り戻し、値を戻してはいますが、見通し
は決して楽観的ではありません。今朝の報道では海外投資家がトルコの株
式や債券からの撤退を進める中、昨日のリラの翌日物借り入れ金利が一時
1400%に達したと伝えられています。海外投資家がリラを借りて「ド
ル買い・リラ売り」を強めるのを防ぐため、トルコ政府は銀行がスワップ
を通じて外国人投資家に貸し出せる額を厳しく制限しており、資金がひっ
迫しているようです。個人的には昨年1月に急落して12円近辺まで売ら
れた状況とは異なると考えています。
あの時は、ドル円が101円台まで急落したことも大きな要因だった思い
ます。
また、中銀総裁の首をすげ替えはしましたが、足元の15%を超えるイン
フレ率を考えると、エルドアン氏の望む「利下げ」は考えにくく、出来る
ことは「利上げ」を行わず様子を見るといった程度ではないかと考えてい
ます。もっとも、強権を発動することが得意のエルドアン氏ですから、何
が起きても不思議はありません・・・。慎重な対応が求められます。

上述のように、ドル円の上値も徐々に重くなってきました。
本日は日経平均も再び下げるでしょう。
リスクオフからドルが売られる展開も予想され、レンジとしては108円
10銭~108円90銭程度を予想します。


米10年債利回り1.7%を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動き。米金利が低下したことでドル売りが
優勢となったが、108円66銭近辺で下げ止まる。
一方上値も限定的。
◆ユーロドルも1.19台前半から半ばで推移し、小動き。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。特にナスダックは
長期金利が低下したことを受け162ポイントの上昇。
◆債券は反発。長期金利は1.7%を割り込む水準まで低下。
◆金は小幅に反落。原油は続伸。

◆2月中古住宅販売件数     →  622万戸

本日の注目イベント

◆英   英2月失業率
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米  経常収支(10-12月)
◆米   2月新築住宅販売件数
◆米   3月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   パウエル・FRB議長とイエレン財務長官、下院銀行委員会で証言
     (オンライン)
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンライン討論の参加
◆米   ブレイナード・FRB理事講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

NY市場では債券が買われ、長期金利が1.7%を割り込み、一時は1.66
%台まで低下したことで株式市場には安心感が広がり、主要3指数は揃って上
昇しました。昨日の東京株式市場では思いのほか株が売られ、日経平均株価は
617円安と大きく下落し、NY市場の動きが注目されていましたが、「連鎖」
は起こらずひとまず安心といったところです。ドル円は上値がやや重くなり、
108円台半ばまで下げる場面がありましたが、結局昨日とほぼ同水準で戻っ
てきています。もっとも昨日は109円に乗せる場面が一度もなく、105-
110円、あるいは107-110円のレンジが形成されつつあるのかもしれ
ません。

EUは人権侵害の疑いを理由に中国に制裁を科すことを決めました。
制裁対象は中国の個人4人と1団体とし、EUへの渡航制限と資産の凍結がそ
の内容です。EUは声明で、「今回の制裁措置は中国・新疆で、ウイグル族ら
が大規模かつ恣意的に拘束されるなど人権侵害があるため」と説明しています。
さらに、「制裁により、人権を擁護し、侵害や虐待に責任のある者に具体的な
措置をとるというEUの強い決意を示す」と続けています。(ブルームバーグ)
これまでEUは、米国が積極的に中国における人権問題に圧力をかける行動と
は距離を置いてきました。
ドイツなど、EUは中国経済と密接なつながりがあり、いたずらに中国を刺激
したくないといった配慮があったからです。
ただ今回は、ブリンケル国務長官が訪欧するタイミングに合わせて急遽米国と
協調する姿勢を見せたと言えますが、今後日本も含め、米国ほど対中政策を強
めるとも思えません。

一方EUの制裁発表を受け中国は、EUの個人10人と4団体に制裁を科すこ
とを発表し、EUの制裁は「中国の主権と国益を損なう」と反発しています。
EUが中国に制裁を科すのは「天安門事件」以来、30年ぶりのこととなりま
すが、今回の制裁の発動を聞いて、「天安門事件」が発生した直後フランスの
ミッテラン大統領が会見で、「中国に未来はない」と強く非難した姿が思い起
こされました。

FRBのパウエル議長がデジタル通貨についての考えを述べています。
議長はBIS主催の行事で、デジタル通貨の創設は金融システムにとって重要
な一歩であり、慎重に準備する必要があると述べています。
法定通貨のデジタル版「デジタルドル」について、「われわれは技術的な課題、
想定され得る負担や利益を理解する上で最先端を行くべきである」としたう上
で、「この計画を急ぐ必要はない」と明言しています。

今朝の日経新聞に「円相場、110円まで下落も」という見出しで、米長期金
利の先高観を背景に、円は110円まで下落するという見方が強まっていると
の記事がありました。
ひと月ほど前に「それでも円高が進む」といった内容の記事を読んだ記憶があ
りますが、経済紙の見通しをも安定させない程、市場の見方も錯綜していると
いうことでしょう。
この記事にもあるように、シカゴ先物市場では投機筋のポジションは先月23
日から、それまでの「ネット円買い」から「ネット円売り」に変化しており、
先週16日時点でのポジションは「ネット円売り」が3万7024枚に急増し
ています。これは2020年2月28日以来の高水準になります。
昨年1年間はほぼ円を買ってドルを売っていた投機筋も、今年2月からはドル
買いに転じたということになります。因みにこの時のドル円のレベルは106
円台前半から半ばでした。105円を大きく超えてきたことで、さすがにドル
買いに舵を切ったということです。約1年ぶりにドルロングに転じたヘッジフ
ァンドなど、投機筋のポジション。今度はこれをどこまで維持していくのか、
注目していきたいと思います。

本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度を予想します。

トルコリラ急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台から緩やかにドル売りが優勢となり
108円78銭まで下落。米金利上昇には反応せず、株価の
下落でドルが売られた格好に。
◆ユーロドルは1.19を挟みもみ合い。イタリアや
フランスなどで変異種による感染が拡大していることを
手掛かりに、ややユーロ売りが優勢な展開。
◆株式市場はまちまち。長期金利が1.74%台まで上昇した
ことでダウは234ドル下落。一方ナスダック指数は99
ポイント上昇。
◆債券は続落。FRBが補完的レバレッジ比率(SLR)の
緩和措置を予定通り3月末で終了するとしたことで債券が売られる。
長期金利は1.74%台まで上昇する場面も。
◆金は続伸し、原油も反発。

ドル/円  108.78  ~ 109.05
ユーロ/ドル 1.1874 ~ 1.1912
ユーロ/円  129.31 ~ 129.69
NYダウ  -234.33  → 32,627.97ドル
GOLD  +9.20 → 1,741.70ドル
WTI  +1.42 → 61.42ドル
米10年国債  +0.013 → 1.721%

本日の注目イベント

◆日  2月景気先行指数(CI)(改定値)
◆欧   ユーロ圏1月経常収支
◆米   2月中古住宅販売件数
◆欧   BISイノベーションサミット(25日まで)に
     パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁が参加
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米   デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンライン討論の参加  

注目されていた米中外交トップによる会談は異例の展開で幕を閉じました。
米国のブリンケン国務長官は冒頭で、「新疆ウイグル、香港、台湾。米国
へのサイバー攻撃と同盟国への経済的制裁を含む、中国の行動に対する私
たちの深い懸念を提議したい」と切り出し、最初から強い姿勢で会談に臨
みました。これに対して、中国側の楊共産党政治局員は、米国における黒
人への人種差別が長い間続いていることを例に出し、「米国に中国を批判
する資格はない」と切り返しました。また「中国には中国の民主主義があ
る」などと述べ、会談は終始非難の応酬となり、初の外交トップ会談はほ
とんど実りのない結果に終わっています。中国側は今回の会談がうまくい
ったら、4月にもバイデン大統領と習近平国家主席との首脳会談の可能性
を模索していたようですが、今回の会談ではその糸口さえ掴めなかったこ
とになります。
米国がトランプ政権からバイデン政権に替わったこの機会に、中国として
は対米関係を修復し、通商問題など、これまで通りの米中関係を取り戻し
たいとの目論見があったようですが、米国の中国に対する強硬姿勢は政権
が替わっても大きな変化はないようです。むしろ米国は「2プラス2」な
ど、中国包囲網の構築を目指しており、中国に対する姿勢を強めている印
象もあります。焦点は、いつ米中首脳会談が開かれるのかという点です。

トルコのエルドアン大統領は同国中央銀行のアーバル総裁を突然解任しま
した。トルコ中銀総裁の解任はここ2年足らずで3回目となります。
アーバル総裁は昨年11月に就任したばかりで、同総裁は自国のインフレ
や通貨安に歯止めをかけるため利上げ姿勢を強め、18日にも2%の利上
げを決めたばかりで、通貨リラは上昇していました。直近のインフレ率は
15%を超え、アーバル総裁は在任中に合計で8.75%の利上げを行い、
ようやく自国通貨安に歯止めがかかった状況の中での解任です。
利下げを望むエルドアン大統領は今回も強権を発動し、総裁解任に踏み切
ったと見られます。
新総裁にはエコノミストのカブジュオール氏が就任し、同氏はエルドアン
大統領の意向を汲み、これまでの金融政策の転換を図る可能性があります。
発表を受け、トルコリラは週明けのオセアニ市場で大きく下落しています。
先週末は15円05銭近辺で取引を終えたリラ円は、早朝には12円70
銭台(約15%)まで売られ、昨年11月の水準までリラ安が進んでいま
す。

109円台までは順調に上昇してきたドル円は、109円を中心にやや膠
着状態になっています。
これは110円という一つの節目が目前ということに加え、これまでのス
ピードが速かった分、スピード調整といった面もあります。引き続き米長
期金利の動きがドル円の最も重要な変動要因であることに違いはありませ
ん。このままもみ合ったあと、やはり110円には届かないという雰囲気
が高まるようだと、一旦は下値を試す展開となり、107円程度までのド
ル安局面もあるかもしれません。
そうなると110円台が重いといった印象が強まり、105-110円レ
ンジ内でしばらくは推移するのではないかと考えます。

本日のドル円は108円40銭~109円10銭程度とみています。



米長期金利1.75%台へ急騰 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米長期金利の上昇を手掛かりに109円22銭
まで上昇。その後株価の下落に円を買う動きも強まり
108円83銭まで売られる。
◆ユーロドルはやや水準を下げたものの、1.19台で推移。
◆米金利が一段と上昇したことで株価は大きく反落。
特にナスダックは3%を超える409ポイントの下げに。
◆債券相場は続落。2年債や5年債なども売られ、10年債
利回りは一時1.752%まで上昇し、2020年1月以来
となる高水準に。
◆金は小幅に続伸。原油は大きく売られ前日比4.6ドル安。
コロナワクチン接種の進んでいないインドなど、輸入量の
減少観測が浮上し、不透明感が広がる。

◆3月フィラデルフィア連銀景況指数    →   51.8
◆ 新規失業保険申請件数          →   77.0万件
◆2月景気先行指標総合指数        →   0.2%


本日の注目イベント

◆豪   豪2月小売売上高
◆日  2月消費者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆加   カナダ1月小売売上高

「2023年末までゼロ金利政策を維持する」としたFOMCの決定も、
その効果は限定的だったようです。昨日の米債券市場では中期債も含め
債券が大きく売られ、10年債利回りは一時1.752%まで上昇する
場面がありました。引けにかけては水準を下げましたが、2020年1
月以来、1年2カ月ぶりの高水準ということなります。
市場は大規模の追加経済対策や個人に対する直接給付金などの影響で、イ
ンフレが想定以上に早く進むといった感触を持っており、金融当局とは
「温度差」があるようです。このままさらに金利上昇が続くようだと、市
場からの「催促利上げ」といった形も想定され、FRBによっては厳しい
選択を迫られる局面も来るかもしれません。

米金利高を背景にドル円は109円台前半まで上昇しましたが、欧州市場
での109円30銭も含めて、直近高値を更新できていません。
やはり、109円台ミドルの「レジスタンス・ゾーン」が意識されている
可能性があります。
米長期金利の上昇から、前日3万3千ドルの大台乗せを達成したダウは売ら
れ、ハイテク株の多いナスダック指数は400ポイントを超える大幅安に
見舞われています。昨日の東京株式市場でも日経平均株価は3万円の大台を
大きく超え、ザラ場では前日比500円を超える上昇を見せる場面もありま
した。
本日の日経平均株価は、昨日のNY株の大幅安の影響が避けられない見通し
です。

イングランド銀行(BOE)は18日、金融政策の現状維持を決めました。
BOEは声明で、「現在は経済に大きな余剰能力があると判断できる。パン
デミックからの回復期間中の需給動向を中心に、景気見通しは引き続き異例
なほど不透明だ」と述べています。金融政策委員会(MPC)は最近の債券
利回りの上昇についての懸念は示さず、全体的な金融環境は2月以降「おおむ
ね変わっていない」との認識を示しています。(ブルームバーグ)

米中の外交トップ会談がアラスカで開かれています。
米国からはブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)
が参加し、中国側からは楊共産党政治局員と王外相が出席しています。
中国側はトランプ前政権が導入した対中制裁・制限の撤回を米国に求めると
見られ、米国は香港や新疆ウイグル地区での人権問題について追及していく
構えのようです。今回の協議がうまくいけば、中国は4月24日の「アース
デー」前後の米中首脳会議を提案する考えがあると、ウォールストリート・
ジャーナル(WSJ)が報じています。

前日ABCテレビのインタビューでロシアのプーチン大統領を、「人殺し」
と思うかと聞かれて、「そう思う」と答えたバイデン大統領の発言に対して
プーチン氏は、「お互いさまだ」と反論しました。
またロシア外務省はこの発言に対して、アントノフ中米大使を一時ロシアに
帰国させることを発表し、米ロ関係は急激に悪化する可能性が出て来ました。
バイデン大統領はこの発言の後にも、プーチン氏が「代償を払うことになる」
と警告しており、プーチン氏に近い複数の人物を対象に、制裁を発表すると
見られています。

市場は引き続き米金利を中心に動いています。
米長期金利は「節目の2%」まで、昨日は25bpまで迫りました。
米長期金利が2%を達すれば、金利差に連動する形で動くドル円は110円
を超えてくる可能性が高いと見ていますが、金利高を嫌う株式市場が昨日の
ように大きく下げれば、
「リスクオフ」の流れが強まり、株価が大幅に下落する可能性もあります。
こうなると、ドル円は必ずしも金利差だけに反応するわけではなく、「リス
クオフ」による株価の下落の影響から、ドル高が幾分「相殺」されることも
予想されます。「リスクオン」でドルが買われ円が売られたわけですから、
「リスクオフ」ではその逆の動きも想定されます。
今後は米経済指標の結果がこれまで以上に重要となり、注意深く見ていく必
要があります。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。


FOMCゼロ金利政策維持を表明 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はFOMC後に下落。ゼロ金利政策を2023年末まで
維持することを改めて表明したことで、108円75銭までドルが
売られる。
◆ユーロドルは反発。ゼロ金利政策維持が決められ、1.1986
までドル安・ユーロ高に。
◆株式市場は金融緩和策の継続が表明されたことで安心感が広がり、
ダウは初の3万3千ドル台に乗せる。S&P500も最高値を
更新し、ナスダックも続伸。
◆債券相場は続落し、長期金利は一時1.686%近辺まで上昇し、
その後低下。
◆金と原油は下落。

◆2月住宅着工件数    →  142.1万戸
◆2月建設許可件数    →  168.2万戸

本日の注目イベント

◆豪   豪2月雇用統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧   ユーロ圏1月貿易収支
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE議事録
◆米   3月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   2月景気先行指標総合指数
◆米   米中外交トップ、アラスカ州で会談
◆米   パウエル・FRB議長、BISの会合で閉会の挨拶

FOMCは17日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを
0-0.25%で据え置くことを決めました。これは市場予想通りの決定
で、市場の関心はその後のパウエル議長の発言でした。
FOMCの決定を受けて、ゼロ金利政策の当面の継続に伴い長期金利が低
下したことからドルは売られ、ドル円は108円75まで下落。同様にユ
ーロドルは1.1986までドル安が進みました。
一方株式市場では安心感が広がり主要株価指数は揃って上昇。ダウは初の
3万3千ドル台に乗せ、S&P500も節目の「4000」が視野に入っ
てきました。

声明文では、「経済活動と雇用情勢が示す指標はここ最近は上向いたが、
パンデミックによる悪影響が最も深刻だったセクターはなお脆弱だ」と指
摘。さらに「インフレ率は引き続き2%を下回っている」と説明していま
す。
声明と同時に発表された経済予測では、FOMC参加者18人のうち7人
が2023年末までに利上げが実施されると予想しており、そうした予想
は前回12月の会合では5人でした。(前回会合での参加者は17人)
インフレ懸念が台頭し、足元の金利も上昇傾向を強めていることが影響し
ていると思われますが、それでも個人的には「予想以上にハト派的だった」
と受け止めています。FOMCが発表した経済成長見通しでは、2021
年の成長率を前回の「4.2%」から「6.5%」へと上方修正していま
す。

会合後の記者会見でパウエル議長は、「金融環境を巡るさまざまな指標を
見れば、金融情勢が全般に極めて緩和的である様子を示していることが分
かるだろう。そして、それは適切なことだ」と述べ、「予測を基に予防的
に行動することはしない」と語っています。
その上で、「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や
金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」と述べていま
す。この最後の部分の言い回しは、前回ウォールストリート・ジャーナル
(WSJ)紙主催の講演で述べた文言と同じで、市場は再び「期待外れ」
に失望したようです。長期金利の上昇に歯止めがかからず、同金利は一時
1.686%近辺まで上昇し、先週末に記録した直近の最高水準を上回り
ましたが、その後緩やかに低下しています。

バイデン大統領はABCニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大
統領は「殺人者」だと思うかとの質問に、「そう思う」と答えています。
またロシアが行ったとされる米大統領選への干渉に対し報いを受けること
になるとも述べています。
米国はプーチン氏に近い複数の人物を対象に、来週にも制裁を発表する模
様です。(ブルームバーグ)
バイデン政権は中国に対して引き続き厳しい姿勢で臨むことを明確にして
おり、今週開催された「2プラス2」でも中国包囲網を構築し、圧力を強
める姿勢を見せています。
加えて、ロシアと北朝鮮に対するスタンスも中国と同じように「対話のド
ア」を開けながらも厳しい姿勢で臨むことが、上記インタビューでの回答
から窺うことができそうです。

ドル円はFOMCの結果が発表される前までは緩やかに上昇し、109円
32銭まで
ドルが買われました。その後1.68%台まで上昇した米長期金利が下落
に転じたことに伴いドル売りが強まり、108円台後半に至っています。
目先は109円台半ばを中心とする「レジスタンスゾーン」が抜け切れる
かどうかが焦点です。110円は近いようで遠いイメージを持っています
が、もしそうだとすれば、ドル円は落ち着きを取り戻し、107-110
円のレンジを形成するのでないかと予想しています。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。


VIX指数20を割り込む 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台を割り込み、108円78銭まで反落。
2月の小売売上高がマイナスに沈み、株価も下げたことで
利益確定のドル売りが優勢となる。
◆ユーロドルは1.1882まで売られたが反発。
◆株式市場はまちまち。上昇を続けていたダウは8日ぶりに
反落。前日比127ドルの下落。一方ナスダックは小幅ながら続伸。
◆債券相場は反落。長期金利は1.61%台に。
◆金は続伸し、原油は3日続落。

◆2月鉱工業生産           →  -2.2%
◆2月設備稼働率           →  73.8%
◆2月小売売上高           →  -3.0%
◆2月輸入物価指数          →  1.3%
◆3月NAHB住宅市場指数      →  82

本日の注目イベント

◆日   2月貿易統計
◆欧   ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
◆欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
◆米   2月住宅着工件数
◆米   2月建設許可件数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見
◆加   カナダ2月消費者物価指数

ドル円は昨日の夕方から欧州時間にかけては上昇し、109円29銭辺
りまでドルが買われたものの、NY市場にかけては売りが強まり、10
9円台を割り込んでいます。109円台半ばをテストする雰囲気でもな
く、発表された経済指標でも、2月の小売売上高がマイナスに沈んだこ
ともセンチメントを悪化させ、108円台後半までドル売りが進みまし
た。NYダウは7連騰した後だけに、FOMCを控えて一旦ポジション
を整理する動きが出たのも当然です。
ドルの反落も、株式市場の下げも、いずれもFOMC前の利益確定の動
きと理解できます。

2月の小売売上高が「-3.0%」であったことはややサプライズでし
たが、これは厳しい寒波に襲われたことによる一時的な落ち込みの可能
性があると受け止められています。
また1月分が速報値の「5.3%」から「7.3%」に上方修正された
ことも安心感を与えています。
所得制限はあるものの、追加経済対策の実施による1400ドル(約1
5万円)の直接給付金がすでに開始されており、3月も含め、今後同指
標は上振れするものと見られます。
政府から届く1400ドルの小切手は個人消費を刺激するものと思われ
、ネット上では「もうStimmy(スティミー)は届いた?」といった書き
込みが多く見られると、日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」が報じ
ています。
「Stimmy」は「Stimulus Check」(景気刺激策の小切手)の俗語だそう
です。
また強気の予想で知られる米ゴールドマンは、10-12月期(第4四
半期)の米成長率を8%になるとの見通しを示し、直近では「6.2%」
の失業率も来年は「3.5%」、2023年には「3.2%」まで低下
すると予想しています。
「3.5%」という失業率は、コロナ前の2020年2月に記録した過
去最低水準に並びます。
コロナ感染が年内にほぼ終息し、大規模な経済対策が景気を押し上げる
といった見通しに基づいているものと思われます。米国がこのストーリ
ー通りに展開すれば、やはりドルがこの先も上昇することにつながりそ
うです。

欧州各国ではアストラゼネカ製のコロナワクチンの接種を一時的に見合
わせています。
同ワクチンが接種後に血栓などの副作用の疑いがあるということでした
が、欧州医薬品庁
(EMA)は、同社のワクチンがもたらす恩恵はリスクを上回ると、あ
らためて強調しています。EMAのクック長官は、「ワクチンに対する
信頼性に影響が及ぶ可能性を懸念している」と表明し、「われわれの責
務は、当局に承認された製品は安全であり、欧州市民が信頼できるもの
であると明確に示すことだ」と述べています。
イタリア政府はEMAが安全だと勧告すれば、アストラゼネカ製ワクチ
ンの使用を再び許可する用意があると表明しています。
(ブルームバーグ)

昨日このレポートで、バイデン大統領が大規模な経済対策の原資として
増税を検討していることに触れましたが、その増税の基本は大企業が対
象となり、年間所得11万ドル(約1200万円)の世帯を含む中間層
には負担軽減を前面に押し出すものになると、ホワイトハウスの経済チ
ームは述べています。ラマムルティ国家経済会議(NEC)副委員長(
金融改革・消費者保護担当)は、「大事な点は、この数十年間で極めて
好調だった大企業や富裕層はもう少し負担を増やすべきだと、
大統領が固く信じていることだ」とブルームバーグ・テレビジョンとの
インタビューで述べています。バイデン大統領は25日に、就任後初の
「正式な記者会見」を行うことをホワイトハウスのサキ報道官が明らか
にしていますが、この会見で経済対策の成果を表明すると同時に、その
原資にも触れると見られています。

本日はFOMCと、日本時間明日の朝方3時半にパウエル議長の記者会
見があります。政策変更はないものと予想していますが、足元の物価は
FRBが予想しているよりも速いスピードで上昇しています。
「物価上昇は一時的であり、当局が目標とする物価上昇にはまだかなり
の時間が必要だ」といった意味のコメントを残すのか、注目されます。
3月4日に行われた、ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)紙主
催の講演では、市場の期待(?)を裏切る形で金利上昇への対処療法は
示さず、「パウエル・ショック」から、金融市場は混乱しました。
パウエル議長が同じ轍を踏むとも思えず、ここは慎重に言葉を選びなが
ら安心感を醸し出す方策を選ぶと予想しています。

本日のドル円は108円50銭~109円50銭程度と見ています。


ドル円欧州市場で109円37銭まで続伸 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台で小動き。欧州市場で109円37銭近辺
までドル高が進んだが、NY市場では上値を追う動きは見られず。
◆ユーロドルも目立った動きはなく、1.19台前半での動きに
とどまる。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは174ドル高と、7日
続伸で最高値を更新。S&P500も最高値を更新し、金利が
低下したことで、ナスダックも139ポイント高。
◆債券は反発。長期金利は1.60%台へ低下。
◆金は反発し、原油は続落。

◆3月NY連銀製造景況業指数  → 17.4

本日の注目イベント

◆豪   豪第4四半期住宅価格指数
◆豪   RBA議事録
◆日   1月鉱工業生産(確定値)
◆独   独3月ZEW景気期待指数
◆米   2月鉱工業生産
◆米   2月設備稼働率
◆米   2月小売売上高
◆米 2月輸入物価指数
◆米   3月NAHB住宅市場指数

ドル円が底堅い動きを見せています。昨日の東京時間でも、大きな上昇は
見せなかったものの、終始109円台を維持し、欧州市場に入ると109
円37銭近辺までドルが買われています。これは昨年6月8日以来のドル
高水準になります。

昨年の今頃を振り返ってみると、昨年2月に新型コロナウイルス感染が米
国でも大きく取り上げられ、ダウは2月21日(金)の2万9219ドル
から、2月28日(金)には2万5409ドルまで、わずか5営業日で4
800ドルの急落をみせました。ドル円も同じようにドル安に振れ、11
0円台から107円台まで円高が進んでいます。ドル円はその後3月9日
には101円台まで一気に円高が進みます。

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、FRBが臨時の政策会合を開
き、政策金利を大きく引き下げたことで円高が進みました。
それでも3月5日の米長期金利の水準は1.05%台です。クライマック
スは3月9日でした。この日はリスク回避の流れが最高潮に達し、長期金
利は過去最低の0.5%台まで低下し、ダウはこの日だけで2013ドル
の暴落でした。これは「過去最大の下げ幅」として記録されています。


ドル円はこの日の底値(101円18銭)からすでに8円以上も戻してい
ます。一方米長期金利の方は0.54%近辺から先週末の1.64%台ま
で1.1%戻したことになります。
今年も1月には102円60銭までドルが売られる場面があり、それから
2カ月余りで109円台ミドルまでドルが反発することになるとは、筆者
を含め、どれだけの専門家が予想できたでしょう。もちろん、「新型コロ
ナウイルスのパンデミック」という、予想できない事態が起きたことは
「エクスキューズ」の一つにはなりますが・・・。
ここで理解できることは、やはりドル円は米金利との相関が基本だという
ことです。
今年2月頃には株価の動きがドル円にも影響していましたが、今や米10
年債利回りはほぼ全ての市場に大きな影響を与える存在となっています。

その米長期金利は前日1.64%まで上昇しましたが、昨日は落ち着い
た動きから低下しています。金利上昇から「調整局面入りした」可能性も
あるナスダックは上昇しています。3月のNY連銀製造業景況感指数は
「17.4」と、前月の「12.1」から大きく改善していました。これ
は2018年11月以来の高水準です。
仕入れ価格と販売価格の指数がともに上昇したことが寄与したと報じられ
ていますが、6カ月先の雇用者数を示す指数は「31.4」と大きく伸び、
こちらは2010年6月以来の水準で、今後製造業でも雇用者の増加が見
込まれることを示唆しています。

今朝の報道では、バイデン大統領は大規模な経済対策の原資として、本格
的な増税を検討しているとブルームバーグが複数の関係者の話として伝え
ています。
詳細は不明としながらも、検討中の計画として、法人税の28%への引き
上げ(現行21%)や、個人の所得税も年収40万ドル(約4300万円)
を上回る人を対象に税率の引き上げ。さらに年間所得100万ドル以上の
個人に対するキャピタルゲイン税率引き上げなどが基本になっているよう
です。バイデン大統領は1.9兆ドル(約207兆円)の経済対策実施に
踏み切り、さらに
インフラ支出としてそれを上回る規模の財政出動も予定されています。
増税案についてはイエレン財務長官も言及していると伝えられていますが、
今後共和党の支持を取り付けられるかどうかだけではなく、「身内の」民
主党からも全面的な支持が得られるのかどうか不透明です。

ドル円は昨日とほぼ同じ水準で推移しています。
市場は108円台を固めていると見られますが、109円台ミドルを超え
て上昇できるかどうかが、目先の焦点かと思います。NYダウが「7連騰
」していることや、筆者も含め多くの人が「110円台は当然」といった
相場観にシフトしつつあることなどを考えると、注意が必要かもしれません。

本日のドル円は108円70銭~109円50銭程度を予想します。



米長期金利一時1.64%台まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米長期金利が再び上昇し、発表された経済指標も良好
だったことでドル円は上昇。109円14銭までドル高が進む。
◆ユーロドルではドルがやや買われ、1.1912まで
ユーロが下落。ユーロ円は一時130円39銭まで買われる。
◆株式市場はまちまち。ダウは6日続伸し、最高値を更新。
S&P500も最高値を更新するも、ナスダックは78ポイント
下落。
◆債券相場は続落。長期金利は一段と上昇し、一時は1.64%
台に。経済対策の早期実施と経済指標の上振れが債券の売り圧力に。
◆金と原油は揃って下落。

◆2月生産者物価指数               →  0.5%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)    →  83.0

本日の注目イベント

◆中   中国小売売上高(1-2月)
◆米   3月NY連銀製造景況業指数
◆加   カナダ2月住宅着工件数


米債券が再び大きく売られ、長期金利は前の週の1.62%台を上回る、
1.64%台まで上昇しました。1.9兆ドル(約207兆円)規模の
経済対策案が成立したことに加え、この日発表されたミシガン大学消費
者マインドも「83.0」と前月を上回り、市場予想も超えていたこと
などで、債券が売られました。前回同様、金利の大幅上昇でドルの相対
的な投資魅力が増し、ドルは主要通貨に対して買われ、ドル円は109
円14銭までドル高が進みました。
ユーロドルでもドル高が進みましたが、円ほどユーロは売られなかった
ことで、ユーロ円は130円39銭近辺まで上昇し、2018年10月
以来となるユーロ高を記録しています。金利高を嫌気して前回は株式市
場では全面安の展開でしたが、今回はナスダックが下落したものの、金
融など景気敏感銘柄の多いダウは大きく上昇し、3日連続で最高値を更
新しています。大規模な景気対策や金利上昇が金融機関の収益にプラス
に働くといった読みがあるのでしょう。

イエレン財務長官は14日、バイデン政権が大型の追加経済対策を実施
し、完全雇用への復帰が視野に入る中でも、米国のインフレリスクは引
き続き抑制されているとの認識を示しました。
長官はABCテレビの番組で、「インフレのリスクはあるだろうか。小
さなリスクはあるが、
制御可能だと私は考えている」と述べ、一部の物価は上昇するだろうが、
「それは一時的な動きだ」と語っています。その上で、「顕著なリスク
だとは考えていない」とし、「実際にそうなった場合は当然状況を注視
するが、われわれには対処する手段がある」と説明しています。
また労働市場についても「パンデミックを打ち負かせば、来年には完全
雇用に近い状態に戻れると期待している」とし、「追加経済対策はその
ために必要なものだ」と指摘しています。(ブルームバーグ)

コロナワクチンの接種が進み、米国では1億回を超える接種が行われた
ようです。一方で「変異種」の感染が新たなリスクとして浮上してきま
した。
イタリアでは「変異種」の感染拡大から再びロックダウンの強化が取ら
れています。
ファイザーとともにコロナワクチンの開発に成功した独ビオンテックの
ウグル・サヒン
CEOは「世界の日常生活の大部分が依然として新型コロナによる制約
を受けているものの、COVID―19が最悪とは限らない」と警告し
、「将来的にはさらに深刻なパンデミックが起きる可能性がある。鍵を
握るのはそうした事態に対する準備だ」と備えを呼びかけています。
日本でも一部の新聞が、1都3県に発令中の「緊急事態宣言」が、21
日までで解除される方向だと報じています。
東京都の新規感染者数は連日300人台で、このところ完全に「下げ止
まって」います。「緊急事態宣言」が解除になれば、人の移動が一気に
増え、それに伴って再び感染が拡大する可能性が高いことは「素人」で
も予想できます。「解除」はある程度ワクチンの接種が進んでからと思
いますが、そのワクチン接種が遅れており、飲食業の経営も「崖っぷち」
と言われており、悩ましいところです。

ドル円は再び109円台に戻ってきました。
前回は109円23銭まで上昇しましたが、それは「東京時間限定」の
動きでした。
今回109円前後で推移し、海外市場で109円台ミドルまでドルが買
われれば、110円も視野に入ってきます。
円はドルに対してだけではなく、主要通貨に対して売られ易い地合いが
続いています。
この傾向がどこまで続くのか、また、何をきっかけに反転するのかを見
極める必要があります。

本日のドル円は108円80銭~109円50銭程度を予想します。


ユーロ円2年4カ月ぶりに130円台に 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は108円台半ばを中心に小動き。金利高からドルが
買われたが上値は108円71銭と限定的。ただ円は主要通貨に
対して一段と売られ、クロス円は軒並直近高値を示現。
◆ユーロドルは大幅に反発。1.1990までユーロの
買戻しが進む。
◆バイデン大統領が追加経対策法案に署名したことが好感され
株式市場は大幅高。ダウとS&P500は最高値を更新し、
ナスダックも大幅高。
◆債券は反落。長期金利は1.53%台に上昇。
◆金は小幅ながら3日続伸。原油は反発し再び66ドル台に。

◆新規失業保険申請件数   →  71.2万件  

本日の注目イベント

◆独   独2月消費者物価指数(改定値)
◆英   英1月鉱工業生産
◆英   英1月貿易収支
◆欧   ユーロ圏1月鉱工業生産
◆米   2月生産者物価指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆加   カナダ2月就業者数
◆加   カナダ2月失業率

ECBは11日の理事会で、債券利回りの上昇を抑制するために「パンデミック
緊急購入プログラム(PEPP)」を通じた債券購入を加速させる方針を表明し
ました。ただ政策委員の大半は現行1兆8500億ユーロ(約240兆円)のP
EPPの規模を拡大させる意図はないとし、ECBは現在の規模の据え置きを決
めました。
ラガルド総裁は、「このような市場金利の上昇を放置すれば経済のあらゆるセク
ターにとっての調達環境を尚早にタイト化させかねない」と述べ、「これは望ま
しくない」と語りました。また今後の景気見通しについては、「新型コロナウイ
ルス流行に関する何らかの悪い展開がない限り、現在進行中のワクチン接種と段
階的な制限緩和が、2021年中に経済活動がしっかりと回復するとの予想を支
えるだろう」と述べました。(ブルームバーグ)
ユーロドルはこの決定を受け、1.19台半ばから1.19台前半まで売られま
したが、その後反発しています。

NY市場ではドルは円を除く主要通貨に対して下落しました。
その結果、ユーロ円は2018年11月以来となる130円に乗せる場面があり、
豪ドル円も85円に迫る水準まで円が弱含んでいます。
バイデン大統領が12日に署名すると見られていた追加経済対策法案に署名を行
ったことが好感され、株式市場では主要3指数が揃って上昇しています。
特に、このところ売られていたハイテク株も久しぶりに大きく上昇しています。
バイデン政権発足後初となる大規模経済対策の成立により、多くの個人や企業.
州や地方政府に援助資金が行き渡ることになり、今年のGDPを1%ほど押し上
げる効果があると見られています。
法案署名を早めたことで個人への直接給付は、早ければ今週末にも始まる見通し
で、バイデン大統領は本日夜に行うテレビ演説で、追加経済対策の恩恵を国民に
訴えるものと思われます。

ECBの金融会合が終わり、来週はFOMC(16-17日)と、日銀会合(1
8-19日)が今後の焦点になります。米長期金利の急騰が引き金となり主要国
の金利も上昇傾向を強めており、それがリスク資産の下落につながっています。
また今後の中銀による金融政策の見直し議論にも一石を投じています。
このような中、自民党の山本幸三金融調査会長は10日ブルームバーグとのイン
タビューで、「日銀はもっと国債を買えばいい」と述べています。
日銀が財政拡大の際に「国債購入を増やすことで、円安、株高が進み、経済の改
善につながる」と持論を述べました。山本氏は大蔵省(現財務省)出身で、安倍
内閣でも積極的なリフレ派として円安を強力に主張した経緯があります。経済通
の論客としても知られ、「アベノミクス」の原案作成にも携わったと言われてい
ます。同じような論陣を張ったアベノミクスのブレーンの一人である本田悦朗氏
とともに注目を集めた人物です。
来週日銀が公表する政策点検に関しては、長期金利の変動許容幅(上下0.2%)
の拡大議論も「大した話ではない」としています。

ドル円は先週から上げ足を速め、火曜日の東京時間では109円23銭近辺まで
ドル高が進みましたが、その後は上値が抑えられ、動きも小幅になっています。
ただ、下値の方も限られ「一進一退」といった状況です。
上述のように、来週には日米で重要な政策会合を控えていることから、動きにく
いといった側面もあります。
米長期金利がさらに上昇する可能性が残っていることを考えと、現時点でのドル
円の上昇傾向は変わっていないと見ています。
もっとも 米長期金利が乱高下すれば、それに伴ってドル円が売られることもな
いとは言えません。
日米金融政策会合を終えても108円台を維持しているようなら、再び上昇に向
かうのではないかと予想しています。

本日のドル円は108円20銭~108円90銭程度と見ています。


NYダウ最高値を更新 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆発表されたCPIが予想を下回ったことでリスクオンが
強まり、ドル円は下落。欧州時間では108円台後半まで
ドルが買われたものの、NYでは円買いが優勢となり
108円34銭までドル安に。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。ドルが売られたものの、
ユーロは1.1930近辺での上昇にとどまる。
◆バイデン大統領の推進する大規模な経済対策案が下院で可決
したことを受け、株式市場は景気敏感株を中心に大幅高。ダウは
464ドル上昇し最高値を更新。一方ナスダックは5ポイント程
下落し明暗を分ける。
◆債券は小幅に上昇。長期金利は前日とほぼ変わらず。
◆金は続伸し、原油は反発。

◆2月消費者物価指数     →  0.4%
◆2月財政収支        →  -3109億ドル

本日の注目イベント

◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆欧   OPEC月報
◆米   新規失業保険申請件数

米下院は10日、バイデン大統領が推進する1.9兆ドル(約206兆円)
規模の経済対策法案を賛成220、反対211で可決しました。
これにより同法は、バイデン大統領の署名を経て成立することになります。
署名は12日に予定されています。
同法案は1400ドルの直接給付金や、週300ドルの失業給付金上乗せ
を9月まで延長することに加え、新たな医療保険料補助、子どもに関する
税額控除も含まれています。
ペロシ下院議長は審議終了時に、「WHOが新型コロナのパンデミックを
宣言してから、明日で1年となる。宣言以来、3000万人近い米国民が
感染し、50万人を超える国民が亡くなった。外国との戦争での累計死者
数を上回る数の国民の命が失われた」と発言し、「この法律は米国民に1
兆ドル近くを給付する。間もなく支援が届くと約束したバイデン大統領に
私は同意する」と語っています。(ブルームバーグ)
ただ大統領は当初、共和党も含む議会の支持を得て同法案の成立を目指し
ていましたが、結局今回の成立に関しては、上院下院を通じて一人の共和
党議員も賛成していません。米国民の分断とともに、議会での分断も鮮明
であることが判明した格好です。

NY株式市場ではこの法案可決を好感し、ダウは景気敏感株を中心に大き
く買われ、約2週間ぶりに最高値を更新しています。
また、この日に発表された2月の消費者物価指数で、変動の大きい食品と
エネルギーを除く「コア指数」が前月比0.1%上昇したにとどまり、市
場予想の+0.2%を下回ったことも株式市場のプラスに働いたようです。
「衣料品が0.7%低下し、中古車は3カ月連続で0.9%下げたほか、
処方薬は2018年7月以来の大幅低下となった。」(ブルームバーグ)
ようです。予想されたほどインフレが進んでいないことが確認され、長期
金利も小幅に低下したことが「リスクオン」につながっています。
ドル円は金利低下を手掛かりにドル売りが優勢となり、一時108円台後
半まで上昇したドルは108円34銭まで売られています。

バイデン大統領はジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した
1回接種型の新型コロナワクチンを追加で1億回分注文し、従来の2倍に
増やす方針を決めました。米政府は既に1億回分の注文をしており、これ
で米国でのワクチン供給は5億人の接種に十分な量になると見られていま
す。

市場は引き続き米金利の動きに注目しており、ここを中心に株式、為替、
あるいは商品市場にも大きな影響を与えています。米長期金利は依然とし
てもう一段上昇する可能性を残していますが、1.61~1.62%
の水準がやや壁になりつつあります。今後米国では「インフラ対策(支出)
」が議論されることになりますが、その規模は2兆ドルを超えるとの見方
もあり、引き続き潜在的な米金利の上昇圧力として残ります。
足元のドル円は上昇傾向の調整局面であると見られ、再び109円を目指
す展開が予想されます。下値のメドは昨日も述べたように、「1時間足」
での「120時間移動平均線」がある
108円30銭前後と、「1時間足」で言えば、「200時間移動平均線」
が107円80銭前後に位置しているため、仮に108円を割り込んだ際
にはサポートとなることが考えられます。
と言うことで、本日のドル円は108円~108円80銭程度とします。


ドル円109円台前半から反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上昇が一服。東京時間に109円23銭前後まで
ドル高が進んだものの、NYでは長期金利の低下もあり
108円42銭までドルが反落。
◆ユーロドルでもユーロが買い戻され、1.19台を回復。
◆株式市場はナスダックを中心に大きく反発。米長期金利が
下がったことでリスク選好が強まり、テスラなどハイテク株が
買われた。ダウは30ドル高。ナスダックは一時4%を超える
上昇。
◆債券相場は堅調に推移。長期金利は1.52%台へと低下。
◆金は5日ぶりに反発し、原油は続落。

本日の注目イベント

◆中   中国2月消費者物価指数
◆中   中国2月生産者物価指数
◆米   2月消費者物価指数
◆米 2月財政収支
◆加   カナダ中銀政策金利発表


ドル円は珍しく昨日の東京時間に直近高値を更新する動きを見せました。
朝方9時過ぎには109円台に乗せ、その後も堅調な動きを見せ、10
9円23銭前後までドルが買われ、昨年6月8日以来のドル高水準を記
録しました。
昨日もこの欄で指摘しましたが、これは東京時間帯におけるドル需給に
変化が起きている証左ではないかと思います。


109円近辺までドル高が進んだことから自動車などの輸出企業には「
余裕」が生まれ、慌てて予約を取る必要性が後退しています。為替担当
者の多くが、先物予約やオプションを使わずに、「SPOT」(現在の
価格)で為替の売買をする方向にシフトしたと見られます。
多くの輸出企業の想定レートは(社内レート)105円~106円程度
と見られ、足元の水準であれば十分に「為替益」を享受できる環境に変
わってきました。
一方、石油などの輸入企業では、予想外にドル高が進んできたため、早
めにドルの手当てを行う行動に迫られています。
さらに原油価格の上昇も重なり、ドル買い需要が増していると見られま
す。
NY市場でドル高が進んでも、朝方の東京時間ではドルが売られる傾向
にありましたが、
昨日の動きはまさにこのような状況の変化があったものと推測できます。
ただ、ドル円は昨日の海外市場では売られ、108円台半ばまで押し戻
されています。
NYでは前日再び1.6%台まで上昇した米長期金利が低下したことで、
リスク選好が強まり、調整気味のナスダック指数が大きく反発しました。
売り込まれていたテスラなどのハイテク株が買い戻され、同指数は取引
時間内では4%を大きく超える上昇を見せています。またドルが反落し
たことで金(きん)も5日ぶりに大幅な反発を見せました。

OECDが2021年の経済見通しを発表しています。
世界経済は2021年半ばには、生産が新型コロナウイルスのパンデミ
ック前の水準を上回ると予想しています。
米経済は、バイデン政権の追加経済対策をてこに急回復し、世界経済を
想定された以上の
成長に導くとして21年の成長率が中国の7.8%に近づくとしていま
す。
一方ユーロ圏は3.9%にとどまり、日本は2.7%の見通しになって
います。
やはり大規模な景気対策を講じる米国の成長率は突出し、小出しで後手
後手の対策を
行っている日本との差は歴然です。この見通しは、ドル円の足元の水準
との整合性も説明できそうです。
これらを踏まえて、OECDは21年の世界成長率を従来の「4.2%」
から「5.6%」へと大きく上方修正しましたが、この見通しはやや楽
観的との印象は拭いきれません。
新型コロナウイルスへの対応はワクチン接種が進み、感染者の大幅な減
少は時間の問題でしょう。ただ「変異種」が勢力を増してきており、こ
の先の不確実性要因として考える必要があろうと思います。
この点はOECDも、ウイルスの変異がパンデミック終息を妨げ失業や
倒産が増える可能性に言及し、「相当のリスクがある」と明記していま
す。


ドル円は109円台前半を頭に折り返してきました。
上昇スピードが速く、特にここ2~3日間のドル高への移行は当然「調
整」を必要とする速さでした。また110円が視野に入ってきたことで、
一層その可能性は高まっていたと予想されます。今後ドルが再び上昇す
るには必要な調整だったとも言えるでしょう。
下値のメドとしては、短期的な動きを示す「1時間足」の雲の下限であ
る108円30~40銭近辺と、「週足」「200週移動平均線」があ
る108円前後が重要かと思います。

本日のドル円は108円30銭~109円程度を予想します。


ドル円さらに上昇し、109円に迫る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し109円に迫る。米長期金利の上昇
を支えに108円94銭までドルが買われる。
◆ドル高の流れがユーロドルを押し下げ、1.1844
近辺までユーロが売られる。
◆株式市場は値幅を伴いまちまちの展開。
経済対策案が上院で通過したことを受け、ダウは306ドル高
だったものの、長期金利の上昇からナスダックは大幅安に。
◆債券は売られ、長期金利は再び1.61%台に上昇。
その後は買戻され、1.59%台で取引を終える。
◆金はドル高を受け続落し、1678ドル台に。
◆原油はサウジの石油拠点が攻撃を受けたとの報に、一時
68ドル台に迫る場面もあったが、結局前日比マイナスで引ける。

本日の注目イベント

◆豪   豪2月NAB企業景況感指数
◆日   10-12月GDP(改定値)
◆独   独1月貿易収支
◆独   独1経常収支
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(確定値)
◆欧  OECD経済見通し

米上院で1.9兆ドル(約206兆円)の経済対策案が通過したことを受け、
債券には売り圧力がかかり、長期金利は再び1.61%台に乗せる場面もあ
りました。金利高を背景にドル円は堅調に推移し、109円手前までドルが
買われ、ユーロドルでも1.18台半ばを割り込む水準までドル高が進んで
います。株式市場では金融株などの景気敏感株が大きく買われ、ダウは取引
時間内には最高値を更新する場面もありました。一方ナスダックはハイテク
株の売りが止まらず、ナスダック指数は310ポイントの大幅安となり、先
月12日に記録した史上最高値からはすでに10.5%下げています。
通常、高値から10%以上下げると「調整局面入りした」と見られることが
多く、テスラやアマゾン、アップルなど、天井知らずの上昇を見せた銘柄が
大きく売られています。

イエレン財務長官は8日、CNBCとのインタビューで、バイデン大統領が
推進する1.9兆ドルの経済対策は「規模があまりに大きくインフレを招く」
といった懸念を一蹴しました。
イエレン長官は、経済の回復ペースが既に勢いを強めつつあるにもかかわら
ず、大規模な経済対策を実施することで消費者物価の上昇圧力が急速に高ま
る懸念があるとの質問に対して、「そうした状況が起きるとは思わない」と
述べ、新型コロナウイルスのパンデミック前のインフレは「高すぎるどころ
か、むしろ低すぎだ」と指摘しています。
またイエレン氏は、追加の経済対策によって「米国は来年完全雇用に復帰す
るはずだ」とも述べています。(ブルームバーグ)
大規模な経済対策や7日に発表された中国の輸出急増を示すデータ、さらに
はコロナワクチン接種の進捗から、景気が徐々に回復に向かうことは論を待
ちません。消費の伸びがインフレ率の上昇につながるとの観測から長期債に
は売り圧力がかかり、債券市場では連日大きな変動が起きています。
景気回復は企業業績を押し上げることになり、株価の上昇が見込めますが、
一方で金利の上昇は株式市場にとってはマイナス要因になります。
また、金利のつかない金(きん)が売られ、金利上昇から利ザヤの拡大が見
込める銀行株などには買いが集まっています。ブルームバーグはこの足元の
状況を「もろ刃の剣」と評しています。

米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種を完了した人が安全に出来る
行動についてガイダンスを示しました。
CDCの勧告によれば、ワクチン接種を完了した人同士で私的な環境で会う
ことはできるが、旅行は勧められないほか、公の場ではマスク着用を推奨す
るなど、複数の制約を残しています。また、変異株などのリスクは残ると指
摘しています。
英国では人口の3分の1以上が、コロナワクチンの一回目の接種を完了し、
感染症による死者数は減少を続けています。
ジョンソン首相は8日の記者会見で、イングランドでは同日から学校が再開
され、ロックダウンの制限緩和で「最初の大きな一歩を踏み出した」と述べ
ています。

ドル円は緩やかに上昇し、NYでは109円手前までドルが買われています。
ドル円は過熱感もなく、連日水準を切り上げています。
110円にもあと1円ほどに迫っており、長期金利の動き次第では110円
テストもあるかもしれません。
ただ繰り返しになりますが、慎重さが求められる水準に入っていると言える
と思います。何がきっかけで長期金利の上昇が止まるのか、模索中です。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想しています。


ドル円続伸し108円台半ばへ 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は予想を大きく上回る雇用統計の結果を受け続伸。
昨年6月6日以来となる108円64銭までドル高が進む。
前日に続きドル高の流れが鮮明に。
◆ユーロドルでもドル高が一段と進み、1.1893まで
ユーロ安に。
◆雇用統計の結果を受け、株式市場は大幅に反発。
ダウは572ドル上昇し、S&P500も1.95%上昇。
◆長期金利は一時1.62%台まで上昇したが、その後
前日の水準まで戻す。
◆金は続落し、引け値で1700ドルを割り込む。
原油は3日続伸し、約2年ぶりとなる66ドル台に。


◆1月貿易収支         →  -682億ドル
◆2月失業率          →  6.2%
◆2月非農業部門雇用者数   →  37.9万人
◆2月平均時給 (前月比)   →  0.2%
◆2月平均時給 (前年比)   →  5.3%
◆2月労働参加率        →  61.4%
◆1月消費者信用残高      →  1.315b

本日の注目イベント

◆日   1月貿易収支
◆日   1月国際収支
◆日  2月景気先行指数(CI)(速報値)
◆日  2月景気ウオッチャー調査
◆独   独1月鉱工業生産
◆英   ベイリー・BOE総裁講演

「これで110円が視野に入った」・・・・。
先週末は、そんな声もNY市場からは聞こえてくる展開でした。
ドル円は長期金利が一時1.62%台まで急騰したことを受けドルが一段と上昇し、
108円64銭までドル高が進みました。これは昨年6月6日以来、9カ月ぶりの
水準です。因みに昨年6月6日ごろの長期金利の水準は0.85%~0.93%程
度で推移しており、米長期金利はこれからさらに低下し、8月には過去最低となる
0.5%台を付けます。ドル円はここから徐々にドル安が進み、106円から10
5円割れまで売られ、ご存知のように今年1月6日には102円60銭近辺までド
ル安が進み、多くの市場関係者が「今年はドル安の1年だ」といった予測を共有す
ることになります。

このように見ると、ドル円と米金利の動きはある程度相関していることも分かりま
す。それにしても、先週木曜日から金曜日にかけてのドル円の急上昇には驚きまし
た。105円台を回復した辺りからドルの上昇を示唆するシグナルが確認されてい
ましたが、それでもIMMのポジションを見ると、円買いが減少してはいたものの、
「微減」といった状況で、ネットポジションは大幅な「円買い」が継続されていま
した。テクニカルでは「週足」の「200週移動平均線」を抜けたことで、投機筋
の「円買い」ポジションも多くが整理されたものと思われます。IMMのポジショ
ンは、5日時点のものが明日発表されます。

2月の非農業部門雇用者数は「37.9万人」と、市場予想の「19.5万人」を
大きく上回りました。特に外食関連の雇用は28万6000人増で、昨年7月以来
の大幅な伸びとなりました。やはりコロナ感染の減少で、厳しい制限が解除された
ことが大きく作用した結果だと思われます。
また1月の非農業部門雇用者数も「4.9万人」から「16.6万人」と、大きく
上方修正されています。

米上院では6日、バイデン大統領が掲げる1.9兆ドル(約205兆円)の経済対
策案が50対49で可決しました。
1400ドルの現金給付については、所得制限が引き下げられ、個人では年7万5
000ドル、カップルでは15万ドルになりましたが、バイデン大統領は月内に支
給を開始したい意向です。
法案は、修正されたことから再び下院に送付され、再審議を経て14日までには成
立する見通しになっています。
ブルームバーグの調査によると、追加の経済対策案が成立することで、米経済の見
通しが上振れ、2021年全体のGDPは5.5%と、1984年以来となる高成
長が予想されています。
バイデン大統領も法案可決後の会見で、「これだけで600万人強の新たな雇用が
予想されている。GDPを1兆ドル押し上げるだろう」と語っています。

ドル円は上昇傾向を強めており、すでに「週足」チャートでは上方にレジスタンス
はありません。直近高値が昨年6月に109円台前半というレベルがありますが、
あとは最後の「月足」を参考にするしかありません。
ただ、上昇スピードが速すぎる点が気になり、今後さらに上昇するとしても、やは
り「調整」は意識しておくべきでしょう。

本日のドル円は108円~108円80銭程度を予想します。


NY、ドル円続伸し108円に迫る。 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米金利の上昇を受け続伸。107円98銭まで
ドルが買われ、108円台が視野に。
◆ユーロドルでもドル高が進み、1カ月ぶりに1.20台を
割り込む。1.1962までユーロ安が進行。
◆株式市場では、パウエル議長の講演をきっかけに下げ幅を拡大。
ダウは345ドル下げ、ナスダックは274ポイント下落と、
ほぼ全面安の展開に。
◆債券も、パウエル発言後に急速に売られ、長期金利は
1.56%台に急騰。
◆金は続落し、一時は約9カ月ぶりに1700ドル台を
割り込む。
◆原油は大幅に続伸。「OPECプラス」が増産を見送った
ことを手掛かりに64ドル台まで急伸し、63ドル台後半で
引ける。

◆新規失業保険申請件数     →  74.5万件
◆1月製造業受注        →  2.6%

本日の注目イベント

◆中   中国全国人民代表大会
◆独   独1月製造業新規受注
◆米  1月貿易収支
◆米   2月雇用統計
◆米   1月消費者信用残高
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

注目されていたパウエルFRB議長の発言では、期待していたほど市場
を落ち着かせる具体性はなく、発言が伝わると債券と株が大きく売られ、
金利上昇を手掛かりにドルが主要通貨に対して大きく買われています。
ドル円は一時108円に迫る水準までドル高が進み、2020年7月1
日以来となる水準を付けました。筆者も個人的には市場の混乱を鎮める
ような、「パウエル・プット」を期待していましたが、市場は「失望」
から債券と株を、さらには金(きん)も大きく売りに走ったということ
のようです。

議長は、「われわれは広範囲にわたる金融環境を注視している。目標か
らまだ遠いところに
いると考えている」と発言し、「われわれも目標達成を脅かすような、
市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念す
るだろう」と続けました。
市場はこの「無秩序な状況」に「懸念する」と発言したにとどまった議
長の発言に、「失望」したようです。
議長はまた、インフレ懸念を巡る質問には、今後1年間に物価は上昇す
るが、持続はしない公算が大きいとの見方を示し、「2%を大きく超え
るインフレ期待を生むほどの水準にとどまることは確実にない」と発言
しています。
この発言後に債券市場では売りが強まり、長期金利は一時1.567%
台まで急上昇しています。2月25日記録した1.61%には届かなか
ったものの、市場が債券売りには極めて敏感になっている状況が窺えま
す。

バイデン大統領は4日、ホワイトハウスで民主・共和両党の下院議員と
の会合を開き、自身が掲げる大型インフラ支出案に支持を求めました。
このインフラ支出案は、議会で審議中の1.9兆ドル(約205兆円)
の経済対策案を上回る可能性があるとされています。
バイデン氏は会合の冒頭、「われわれはインフラや米国の競争力、そし
て米国がインフラ全般で世界を再びリードするのを確実にするため、何
をするのかについて話し合う」と語り、「それは雇用を創出するだけで
はなく、世界における米国の競争力を大幅に強化することになる」と発
言しました。
バイデン政権はすでに暫定的な「国家安全保障戦略」をまとめており、
その指針では中国を、「経済、外交、軍事、技術力を複合させ、安定し
た開放的な国際秩序に絶えず挑戦する唯一の競争相手」とみなし、その
上で、「私たちの利益を促進し、価値を反映する新しい国際規範や合意
を形作るのは中国ではなく、米国だ」と明確に発表しています。
今朝の日経1面での「米軍が対中ミサイル網」「アジアに6年で2.9
兆円要望」との記事も、その戦略の一環とみられます。

ドル円はリスク回避の円買いには動かず、米金利の上昇に引っ張られて
います。早朝には108円をつっかける場面もあり、円売りが一段と強
まっている状況です。108円まで上昇したことで、「週足」の雲抜け
を完成させ、さらに「120週移動平均線」も抜け、現在「200週移
動平均線」をテストしているところです。ここを完全に抜け切れば、
「週足」では昨年6月に記録した108円半ばから後半の直近高値が意
識されるくらいで、目立ったレジスタンスは見られません。ただ「週足」
のMACDではゴールデンクロスはかなり以前に完成させてはいますが、
本格的に上昇すると予想される「プラス圏」には入っていません。この
点は意識しておきたいところです。また、これまで2月23日の105
円割れからは押し目もなく一貫してドルが上昇していることは「日足」
チャートでは歴然です。移動平均線からの「乖離率」もやや気になるこ
ところで、一旦調整があってもおかしくはありません。

本日は雇用時統計です。
非農業部門雇用者数は先月の4.9万人から大幅に伸びるとみられ、1
9.8万人が予想されています。
全ての市場で「ボラティリティ」が上昇していることを考えると、値幅
は大きくなると予想され、取引には注意が必要です。

本日のドル円は107円40銭~108円40銭程度を予想します。


ドル円7カ月ぶりに107円台に 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は堅調に推移し、米長期金利の上昇が支えとなり
107円台を回復。一時は昨年7月23日以来となる
107円15銭まで上昇。
◆ユーロドルではドル高がそれほど進まず、1.2043
近辺で下げ止まる。
◆株式市場はハイテク株を中心に大幅続落。長期金利が
再び急騰したことでナスダックは361ポイント下落し、
1万3000ポイントを割り込む。
◆債券は大きく売られる。長期金利は再び急騰し、1.5%に
迫る。
◆金は反落し1715ドル台に。原油は反発。


◆2月ADP雇用者数               → 11.7万人
◆2月マークイットサービス業PMI(改定値)   →  59.8
◆2月マークイットコンポジットPMI(改定値)  →  59.5
◆2月ISM非製造業景況指数           →  55.3

本日の注目イベント

◆豪   豪1月貿易収支
◆欧   ユーロ圏1月小売売上高
◆欧   ユーロ圏1月失業率
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   1月製造業受注
◆米   パウエル・FRB議長、WSJ主催のバーチャルイベントで講演

上昇が一服していた米長期金利が再び急上昇し、株価は大きく下げ、金利高
を背景にドルが買われ、ドル円は昨年7月23日以来となる107円15銭
まで上昇しています。
米10年債はこのところ落ち着いた動きを見せ、前日には1.4%を割り込
んでいましたが、昨日は再び上昇に転じ一時は、1.494%台まで急伸し、
市場に波乱を投げかけています。英国がリセッションからの回復に向け、予
想以上の国債発行を明らかにしたことが影響したと伝えられています。
米国での今後5年の年間インフレ期待値を示す指標は2008年以降で初め
て2.5%を上回りました。
世界の主要国は例外なくコロナによる経済的打撃からの脱却を目指し、大規
模な財政出動を行っており、金利の上昇圧力が常態化しています。
オーストラリアでは今週1日、オーストラリア準備銀行(RBA)が金利の
上昇を抑えるために、通常の倍の規模となる40億豪ドル(約3300億円)
の5-7年債を購入することを発表する動きなども観測され、世界的に金利
上昇が続いています。

12地区連銀が集めた情報を基に作成される「ベージュブック」が公開され
ました。それによると、「新型コロナウイルス感染症ワクチンが一段と普及
する中、大半の企業は向こう6-12カ月について楽観的な見方を維持して
いる」と記されています。また雇用に関しても、「大半の地区は、今回の調
査機関中に雇用水準がゆっくりとではあるが上昇した」と ベージュブック
は指摘しており、「回答企業は総じて、雇用の水準が短期的に緩慢なペース
で改善するとみている」としています。(ブルームバーグ)

下院を通過し、上院での審議を待つバイデン大統領の掲げる1.9兆ドル
(約203兆円)規模の経済対策案ですが、上院は早ければ3日夜にも審議
を開始する見込みです。
バイデン大統領は同案に盛り込まれた個人向け直接給付について、対象を絞
るよう求めている民主党穏健派の要求を受け入れています。
ブルームバーグが関係者の話として伝えるところによると、草案では10万
ドルが上限だった年間所得を8万ドルとし、これまで20万ドルだったカッ
プルの所得上限も、16万ドルに引き下げる方針のようです。
これにより、年間所得8万ドル超の個人と、16万ドル超のカップルは直接
給付の対象外になると見られます。
修正された同案が上院で可決されれば、再び下院に送付され、再審議のうえ
採決されると思われますが、今月中旬には追加の経済対策案が決まるのでは
ないかと思われます。

市場の関心はやはり米長期金利の動向です。
米長期金利の動きが台風の目となって為替や株、さらには金(きん)や原油
の動きにも影響を与える展開です。
金利高に支えられ堅調に推移しているドル円ですが、今回のドルの反発は、
必ずしも金利高だけによるものではありません。
筆者は早くから「テクニカルではドル高を示唆している」と指摘してきまし
た。まだ長期金利が1.2%に届かなかった頃です。
その後の長期金利の急上昇で、思いのほかドルの動きは堅調となり107円
台まで押し目もなく上昇したことは、想定外ではありました。

フィボナッチ・リトレースメントをもう一度確認しておくと、前回2月に触
れた時は、ドルの高値112円23銭(2020年2月17日)から、ドル
の安値102円60銭(今年1月6日)の下落幅である9円63銭を基準と
し計算しました。38.2%戻しが106円28銭となり、50%戻しは1
07円41銭となります。ただこの場合、ドルの高値をどこに置くかによっ
て当然値は異なってきます。上記昨年2月17日の後に記録した3月24日
の111円72銭を基準に計算してみると、
50%戻しは107円16銭と導き出され、昨日のNY市場でのドル高値と
ほぼ合致しています。
もっとも、これは偶然という面もありますが、107円台前半から半ばがフ
ィボナッチ数列でみた「レジスタンス・ゾーン」であることは確かなようで
す。さらにこの辺りには、「120週移動平均線」なども位置していますの
で、非常に需要な戻りのポイントと考えます。

本日のドル円は106円70銭~107円40銭程度を予想します。


米長期金利1.4%を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反落。欧州時間に106円96銭まで
ドルが買われたが107円を目前に押し戻される。
ただ下値も底堅く、106円68銭近辺で下げ止まる。
◆ユーロドルは前日の安値近辺から反発。1.2094
までユーロが上昇。
◆株式市場は反落。前日の大幅高から下げ、市場の見方も
分かれる。ダウは143ドル下げ、ナスダックも230
ポイント下げて取引を終える。
◆債券は反発。長期金利は1.39%台まで低下。
◆金は6日ぶりに反発。原油は続落し60ドル台を割り込む。

◆2月自動車販売台数  → 1567万台

本日の注目イベント

◆豪   豪10-12月期GDP
◆中   2月中国サービス業PMI
◆中   2月コンポジットPMI
◆トルコ  トルコ2月消費者物価指数
◆独   独2月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏1月生産者物価指数
◆米   2月ADP雇用者数
◆米   2月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   2月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米   2月ISM非製造業景況指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会に参加
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

ドル円は堅調な動きを続け、昨日の欧州時間には106円96銭まで続伸しましたが、
107円には届かず。NY時間ではドルが概ね主要通貨に対して売られる展開でした。
米長期金利の上昇は一服しましたが、株式市場は前日が大幅高だったこともあり、下
落しました。これは昨日の東京株式市場と同じような動きです。
今週は、本日のADP雇用者も含め、重要な経済指標が発表されることから、その結
果次第では、FRBの金融政策にも影響を与える可能性もあり、昨日の市場では結果
を見極めたいといった雰囲気が優勢だったようです。

堅調に推移してきた日米の株式市場も、値幅を伴いながら連日乱高下する展開が見ら
れ、これまで一貫して上昇してきた局面とは異なり、やや調整局面に入ってきた印象
もあります。FRBの金融緩和策に基本的な変化はないものの、個人消費も徐々に増
えており、それに伴って企業活動も活発化すると見られています。
FRBはこの辺りの状況を注意深く分析していると思われ、今後は消費者物価指数、
PCEコアデフレータなど、インフレ指標がカギになってくると予想しています。

ブレイナードFRB理事は2日、バーチャル形式の講演で、「ワクチン接種の増加に
加え、実行済みおよび予想される財政投入、緩和的な金融政策は2021年見通しが
力強いことを示している」と述べる一方、「いかなる予想も依然かなりの不確実性が
伴う」と指摘しました。
経済成長や消費見通しは改善し始めているものの、大規模な債券購入のペース減速に
向けて米金融当局が示した条件を満たすには、「しばらく時間がかかる」との認識を
示しました。(ブルームバーグ)

米製薬大手のメルクはジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナワク
チン生産を支援することを発表しました。製薬大手が競合他社の支援に回ることは異
例だと言われていますが、これでJ&Jのワクチン生産量は2倍になると見られてお
り、ワクチン不足が一気に解消に向かう可能性もあります。メルクは同社独自のワク
チン開発も進めてきましたが、有効性を示すデータが得られず、開発を断念した経緯
がありましたが、今朝の報道では、新型コロナ治療薬「MK-7110」の追加臨床
試験の準備を進めている(ブルームバーグ)とも伝えられています。
これを受けてバイデン大統領は、5月末までに全ての成人の接種に十分な量の新型コ
ロナウイルスワクチンを確保できるとの見通しを示し、「米国が来年の今ごろまでに
は正常化していると期待している」と表明しました。

オーストラリア準備銀行(RBA)は日本時間昨日午後、政策金利であるオフィシャ
ル・キャッシュレートの誘導目標を過去最低の「0.1%」に据え置くことを決めま
した。
今回は、多くの市場関係者が据え置きを予想しており、サプライズはありませんでし
た。RBAは声明で、政策委員会はCPIが目標レンジに達するまで利上げは行わな
いとし、さらに2024年まで利上げの条件は満たされないと予想しているとしてい
ます。また為替レートについて、「豪ドルは最近数年のレンジの上限にとどまってい
る」との認識を示しています。
発表直後82円台半ばで推移していた豪ドル円は、NY市場ではクロス円全般が買い
戻されたこともあり、83円台半ばを回復するなど、このところ激しい値動きが続い
ています。

本日のドル円は106円40銭~107円20銭程度を予想しています。


ドル円半年ぶりに106円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は続伸。昨年8月28日以来となる106円89銭までドル高が進む。米株価が再び上昇し、VIX指数も急低下したことでリスク選好が強まる。

  • ユーロドルは1.20台で推移。1.2028まで下落し、1.20割れを試す展開か。

  • 株式市場は大幅に反発。長期金利は上昇したものの小幅に留まり、安心感が戻る。ダウは603ドル上昇し、ナスダックも3%上昇。

  • 債券相場は落ち着きを取り戻し、1.41%台で引ける。

  • ドル高の流れから金は5日続落。原油も続落。

本日の注目イベント

  • 豪 10-12月期経常収支
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 日 1月失業率
  • 日 2月マネタリーベース
  • 独 2月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
  • 米 2月自動車販売台数 
  • 米 ブレイナード・FRB理事、討論会に参加
  • 米 デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演 
  • 加 10-12月期GDP

昨日のNY市場では多くの投資家が債券の動きに注目していました。債券は売られたものの大きな動きにはならず、長期金利は小幅に上昇するに留まりました。債券市場に落ち着きが戻ってきたことで、株式市場も大幅に反発し、ナスダックは先週末の水準から396ポイント(3%)上昇しています。昨日の日経平均株価が先週末の急落から下落分の半分以上を回復したことも伏線となっていたようで、加えて、昨日発表された2月のISM製造業景況感指数も「60.8」と、市場予想を上回り、3年ぶりの高水準だったことも好感されたようです。為替市場ではドル高が続き、ドル円は昨年8月28日以来となる106円89銭までドルが買われ、ユーロドルも1.2028レベルまでドル高が進みました。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)とのインタビューで、米国の景気回復に伴い短期的なインフレ率上昇を予測しているが、時間をかけて当局の目標水準へ向かうことに確信を示しました。バーキン総裁は、「景気には地平線上の夜明けが見える」として、「非常に健全な春と夏を期待している」と述べ、債券利回りの上昇については、「景気見通しが強まっていることを考えれば、驚きはない」と語っています。(ブルームバーグ)今週はパウエル議長や、FOMCメンバーによる講演などが多く予定されています。先週1.61%まで急騰した長期金利に関する発言も予想されますが、恐らく昨日のバーキン総裁と同じように、市場を落ち着かせるような内容の発言をすると思われます。景気拡大に至っていない金利の急上昇は一時的なものだと認識を示すものと予想しています。

昨日発表された2月のISM製造業景況感指数は前月の「58.7」から急上昇し、3年ぶりの高水準でした。特に受注残は「64」と、2004年以来の高水準を記録しています。ISM製造業調査委員会によると、在庫水準が低く、家計と企業からの需要は年初から堅調に推移しているとする一方、製造業者は原材料費の高騰や人員のやりくり上の混乱、輸送費上昇にあえいでいると指摘しています。

米国ではバイデン大統領の掲げる1.9兆ドル(約202兆円)規模の経済対策案が下院を通過し、さらに2兆ドル規模のインフラ投資も計画されています。また新型コロナウイルスの感染拡大も減少傾向にあり、ワクチンもファイザーとモデルナに続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が昨日出荷を開始しています。今後景気が急拡大するとの予想もあり、大量の資金が米株式市場に流れ込んでいます。この傾向はまだ続くと予想されますが、コロナのパンデミックに見舞われた多くの国の中では、米国の立ち直りが早いと見られ、これがドル高にも影響している可能性があります。

ドル円はいよいよ「週足」の雲抜けを試す状況になってきました。早ければ今日にも107円台に乗せるかもしれません。この展開は筆者の予想を超えた動きですが、調整というか、「押し目らしい押し目」が見られないのが現状です。ただ、この水準から上のレベルでの取引には依然として慎重な姿勢を維持したいと思います。本日のドル円は106円40銭~107円20銭程度を予想します。

米長期金利1.4%台へと低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し、106円69銭までドル高が進む。
米長期金利は低下したものの、ドル買いの流れが続く。
◆ユーロドルは反落。1.2063まで売られ、ユーロ円も
小幅に反落。
◆株式市場はまちまち。ダウは朝方から売られ469ドル安。
一方前日大きく売られたナスダックは反発し、72ポイント
上昇。
◆前日1.61%台まで上昇した長期金利は大幅に低下。
荒っぽい動きの中、1.40%台まで低下して越週。
◆金は大幅に続落し1728ドル台に。原油も2ドルを超える
下落。

◆1月個人所得                  →  10.0%
◆1月個人支出                  →  2.4%
◆1月PCEコアデフレータ            →  1.5%
◆2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  76.8
◆2月シカゴ購買部協会景気指数          →  59.5

本日の注目イベント

◆中   2月財新製造業PMI
◆独   独2月製造業PMI(改定値)
◆独   独2月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
◆英   英1月消費者信用残高
◆米   2月ISM製造業景況指数
◆米   2月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   アトランタ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁
     パネル討論に参加

急上昇が続いていた米国の長期金利が「上昇一服」となったため、株式市場の方
はやや落ち着きを取り戻したように見受けられます。直近高値から大きく売られ
ていたナスダック指数は72ポイント上昇し、やれやれといった状況でした。一
方ダウの方は景気敏感株を中心に大幅続落となり、2日間で1000ドルを超え
る下げに見舞われています。ドル円は長期金利の低下にも拘わらず続伸し106
円69銭までドル高が進みました。これでドル円は「週足」の雲の中に突入して
来ましたが、ここからもう一段上昇し、「雲抜け」を達成し、107円台に乗せ
ることが出来るのかどうかが焦点になります。

米下院ではバイデン大統領が提案する1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策
案が可決されました。同案には、所得制限はあるものの、1400ドルの個人直
接給付金や失業給付の上乗せ、最低賃金引上げも盛り込まれています。
採決では、賛成219、反対212で可決しましたが、共和党全員の反対に加え、
民主党の2議員も反対に回っています。同案はこの後上院に回され審議されます
が、ここで1人でも民主党議員が反対に回ると否決され、上院通過は難しくなり
ます。
バイデン大統領はホワイトハウスで「今は行動の時だ」と述べ、「無駄にする時
間はない。ようやくこのウイルスに先んじることができ、ようやく経済を再び動
かすことができる」と語っています。また、バイデン大統領と共に積極的に同案
を支持しているイエレン財務長官も、「国民がこのパンデミックを乗り越え、力
強く成長する経済をもたらすことを確実にする法案だ」とツイートしています。
(ブルームバーグ)

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が27日公開した毎年恒例の年次書簡が話
題を集めています。
書簡では2020年に世界を襲ったコロナウイルスのパンデミックには触れてい
ましたが、混乱した昨年の米大統領選や今年1月の議会乱入問題など、政治関連
については特に言及はなかったようです。バフェット氏率いるバークシャー・ハ
ザウェイは、大規模な自社株買いを今後も続けていく模様で、投資先上位15社
に、中国の電気自動車メーカのBYDと日本の伊藤忠商事の名前が挙がっていました。

今週も引き続き米長期金利の動きが為替市場や株式市場の動向を決めるキーにな
ると予想されます。先週、一時1.61%台まで上昇した長期金利は、水準その
ものは驚きではなく、その上昇スピードが余りに速かったという点がリスクオフ
につながったと思われます。
米長期金利は、昨年1月のコロナウイルスが確認される前には1.8%~1.8
5%程度で推移していました。
米国ではジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が3番目となるワクチンを
開発し、米食品医薬品(FDA)は同社のワクチンに緊急使用許可を承認しまし
た。今後、遅れ気味のワクチン接種が急速に進む可能性もあり、コロナの感染抑
制が期待できます。
景気刺激策により経済活動が戻れば、長期金利も緩やかに上昇することが予想
されますが、乱高下している株式市場も徐々に受け入れるではないでしょうか。

本日は日本株の動向が注目されます。
日経平均株価は先週末、1200円を超える下げを記録しましたが、落ち着き
を取り戻し反発すれば、今夜のNY株式市場にも好影響を与えるかもしれませ
ん。
ドル円は107円を目指す動きになってはいますが、ここからの上昇には注意
が必要かと思います。
週足の「120週移動平均線」は107円台前半、「200週移動平均線」は
107円台後半に位置しています。

本日のドル円は106円10銭~106円90銭程度を予想します。


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