ユーロ円2年半ぶりに131円台半ばへ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は108円台後半まで続伸。米長期金利が1.6%台を
回復し、消費者マインドなども予想を上回ったことでドルが
買われた。この日の高値は108円77銭。
◆ユーロドルは1.20台後半で小動き。ドル円が円安に大きく
振れたことでユーロ円は131円51銭前後まで買われ、2018年
10月以来の高値を記録。
◆株式市場はまちまち。ダウは前日とほぼ同水準のプラス圏で
引けたが、ナスダックとS&P500は小幅安。
◆債券は続落。長期金利は8日ぶりに1.6%台に乗せて取引を
終える。
◆金は反落し原油は反発。
◆2月ケース・シラ-住宅価格指数 → 11.94%
◆2月FHFA住宅価格指数 → 0.9%
◆4月消費者信頼感指数 → 121.7
◆4月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 17
本日の注目イベント
◆豪 豪第1四半期消費者物価指数
◆独 独5月GFK消費者信頼感
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
◆米 バイデン大統領、上下両院合同会議で演説
◆米 企業決算 → アップル、フェイスブック、ボーイング
◆加 カナダ2月小売売上高
ドル円は東京時間から海外にかけても108円台で推移し、NYでは長期金利
の上昇や消費者マインドなどの上振れを支えにドルが買われ、108円77銭
までドル高が進みました。
先週末には一時107円50銭を割り込む場面もあり、市場のセンチメントも
円高方向にかなり傾いた局面もありましたが、それでも米長期金利のさらなる
低下の可能性は低いと見て、ドル高シナリオを維持していましたが、今のとこ
ろシナリオ通りといった状況です。米長期金利は8日ぶりに1.6%台に乗せ、
1.62%近辺で引けています。
また4月のコンファレンスボード消費者マインドは「121.7」と、事前予
想の「113.00」を大きく上回り、昨年2月以来の高水準でした。コロナ
のパンデミック前の水準を回復したということになります。
バイデン大統領が大規模な経済対策を矢継ぎ早に講じ、ワクチン接種も急速に
進んでいることが、消費者心理を大きく改善していると見られます。
米疾病対策センター(CDC)は27日、屋外マスク着用ルールを変更し、新
型コロナウイルスのワクチン接種を完了すれば、運動や少人数での食事など、
屋外で活動する時のマスクを着用しなくてもよいとのガイドラインを発表しま
した。ワクチン接種を完了した者同士や家族が屋内で集まる場合、マスクの着
用もソーシャルディスタンスも不要だということです。ただし、多人数で集ま
る場合にはこれまで通りマスクの着用は必要とのことです。
今週25日から4都府県で3度目の緊急事態宣言を発出した日本との差は歴然
です。バイデン大統領はこの発表を受けた演説で、ワクチン接種を受けていな
い人に対して、「Now! Now!」と、すぐに接種を受けるよう訴えていました。
香港でも、バーとナイトクラブ、カラオケ店の再開と深夜過ぎまでの営業を2
9日から認める予定で、利用できるのはワクチン接種を受けた住民のみとする
(ブルームバーグ)ことを決めています。
全米ベースの2月ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で「12%」上昇
し、2006年以来となる高い伸びとなっています。引き続き歴史的に低い住
宅ローン金利と株高による資産効果が追い風となっており、新型コロナウイル
スの流行をきっかけとした「すごもり」も、米国民の購買意欲を高めていると
見られます。さらに住宅価格の上昇が人々に早めの購入を促しているようで、
フェニックスやサンディエゴ、シアトルなどの主要都市では住宅市場がタイト
化していると伝えられています。
バイデン大統領は本日上下両院合同会議で演説を行い、「米国の家族のための
計画」について公表する予定です。
ブルームバーグは非公開情報であり、ホワイトハウスの確認が取れていないと
しながらも、バイデン大統領と経済チームは、低所得層・中間層支援策の財源
確保の手段として、個人の遺産税(相続税)適用を拡大する措置は見送る方針
だと伝えています。
バイデン大統領は2020年の大統領選挙のキャンペーンでキャピタルゲイン
税と法人税に加え、遺産税についても増税を公約に掲げていました。
明日の朝方3時にFOMCの政策発表があります。
今回は政策変更はなく、据え置きがコンセンサスになっていますが、注目はパ
ウエル議長の発言内容です。上述のように、発表される経済データはほぼ全て
が良好です。
足元の物価も着実に上昇しており、市場にも「テーパリング」を意識する発言
が目立ってきました。今回の会合で「テーパリング」に踏み込むことはないと
思いますが、次回(6月15-16日)か、その次(7月27-28日)の会
合に向けた地ならし程度はあるかもしれません。FRBのダブル・マンデート
である「物価の安定と労働市場の最大化」では、まだ後者がFRBの目標から
「ほど遠い」状況ですが、その労働市場でも非農業部門雇用者数や失業保険申
請件数などでは改善傾向が顕著になってきました。加えて、ワクチン接種の進
展もあり、今後サービス業を中心に雇用の伸びも期待できそうです。
「引き続き経済データを注視する」と述べながらも、FRBの目標には届いて
いないことから、政策変更は「時期尚早」との姿勢を示すのではないかと予想
しています。また先週、カナダ中銀が他の中銀に先駆けて「テーパリング」に
踏み切ったことの影響も気になるところです。
金融緩和策の継続が強調されるような「ハト派的」であれば、株価の上昇につ
ながり易い一方、長期金利の低下要因になる可能性があります。
本日のドル円は108円10銭~109円10銭程度と予想します。
----------------------------------------------------------------------
30日(金)の「アナリストレポート」はお休みとさせていただきます。
5月6日(木)から再開いたします。
ご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
- [2021/04/28 09:43]
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ドル円108円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は108円台を回復。FOMCを前にドルの買戻しが
優勢となり、108円19銭まで上昇。
◆ユーロドルは前日と同水準で推移。1.20台半ばから
後半での取引に終始。
◆株式市場はまちまちながら、ナスダックとS&P500は
最高値を更新。ハイテク株の決算発表を前にハイテク銘柄に
買いが集まる。ダウは61ドル安。
◆債券相場は小動きながらやや下落。長期金利は1.56%台で
推移。
◆金は反発し、原油は反落。
◆3月耐久財受注 → 0.5%
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆中 中国3月工業利益
◆米 2月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 2月FHFA住宅価格指数
◆米 4月消費者信頼感指数
◆米 4月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米 企業決算 → スターバックス、アルファベット、GE、イーライリリー、マイクロソフト
昨日の東京時間ではドルの上値が重く、107円64銭前後まで売られたドル円
でしたが、海外市場に入るとドルは緩やかに上昇に転じ、NY時間では108円
19銭までドルが買い戻されました。先週には一旦107円台ミドルを割り込む
場面もありましたが、今のところ107円台ミドルが底堅かったことになります。
ただクロス円全般を見ると、「ドルが買われた」というよりも、「円が売られた」
と言った方が実際の動きには近かったようです。
昨日のNY時間ではややリスクオンの流れが強まった印象です。
株式市場ではダウは売られましたが、ナスダック指数は2月12日以来となる最
高値更新でした、ハイテク株の決算発表を控え、好決算も予想されることから買
いが集まったとの報道でした。昨日の決算発表が注目されていたEV専門メーカ
ーのテスラは、利益が市場予想を上回ったものの、複数年にわたる納車台数伸び
率の見通しを据え置いたことから、同社株は時間外取引で売られているようです。
本日もマイクロソフト、アルファベットなどの決算発表が予定されています。
本日は日銀金融政策決定会合終了後に政策発表があります。政策は現状維持が見
込まれており、相場への影響はないと見ていますが、市場は新たな「経済・物価
情勢の展望(展望リポート)」に注目しているようです。
相変わらずコロナ関係のニュースが世界を飛び回っています。
日本ではコロナ感染による死者の数が1万人を超えました。高齢者の死亡が目立
つことと、5000人から3か月で倍増したことが特徴的で、今後はさらに感染
力の強い変異株の増加が確認されていることから、さらにペースが速まることが
懸念されます。とにかく時間との勝負といった様相です。
世界でもインドではさらに感染が拡大しており、25日には1日の感染者数が3
5万人を超え、死者数とともに過去最多を更新するありさまです。
バイデン大統領はインドのモディ首相との電話会談で、インドへの支援を表明し
ています。
またパキスタンでは25日までの週のコロナによる死者数が874人となり、パ
ンデミック以降の最悪を記録し、トルコでは29日から5月17日までの約3週
間ロックダウンを導入します。
ブルームバーグのワクチントラッカーによれば、世界でこれまでに実施された
ワクチン接種は10億2000万回を超えたとされていますが、世界でのコロナ
感染者は累計で1億4740万人を超え、死亡者の合計は310万人を上まわっ
た(ジョンズホプキンス大学のデータ)そうです。
ユーロドルが高止まりしています。
1.21までユーロ高が続き、日足チャートで「雲の上抜け」を達成しています。
セオリーから言えば日足チャートで「雲抜け」したということは、ユーロがさら
に上昇する可能性が高いということになりますが、ただ今回の「雲抜け」は雲が
下がった結果、レートの水準が横ばいでも抜けてしまったのが実情です。上昇の
勢いが継続して「雲抜け」を達成したのとはやや異なりますが、注意は必要です。
ユーロドルがさらに上値を追う動きを見せるようだと、ドル円でもドル安が進み
易いことにつながります。
本日のドル円は107円90銭~108円60銭程度を予想します。
- [2021/04/27 09:29]
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米PMI大きく伸びる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は朝方、ユーロドルでドル安が進んだ影響も
あり、107円48銭まで下落。3月4日以来となる
ドル安水準を付けたが、その後は徐々にドル買戻しが
優勢となり、108円台に。
◆ユーロドルは域内の景気回復期待の高まりからユーロが
買われ、約1カ月半ぶりに1.21台を示現。
◆株式市場はPMIなど、良好な経済指標を手掛かりに大幅に
反発。ダウは227ドル上昇し、主要指数は揃って大きく上昇。
◆債券は反落。長期金利は1.55%台に。
◆金は続落し、原油は続伸。
◆4月マークイット製造業PMI → 60.6
◆4月マークイットサービス業PMI → 63.1
◆4月マークイットコンポジットPMI → 62.2
◆4月新築住宅販売件数 → 102.1万件
本日の注目イベント
◆日 2月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独 独4月ifo景況感指数
◆米 3月耐久財受注
◆米 企業決算 → テスラ
ドル円は先週末のNY時間朝方に107円48銭までドル売りが進み、
3月4日以来となるドル安水準を記録しました。
ユーロドルがユーロ圏の景気回復が早まるとの観測からユーロを買う
動きが強まったことに引っ張られた影響が強かったようです。
ユーロドルは1.21近辺まで上昇し、約1カ月半ぶりの高値です。
米経済指標は引き続き好調です。
IHSマークイットが発表した4月のPMIは、製造業が「60.6」、
サービス業も「63.1」、さらに総合(コンポジット)も「62.2」
と、2009年の同指標開始以降で最高水準となりました。
新型コロナウイルに関連した事業活動制限措置の緩和や好調な販売を背景
に、企業活動の伸びに拍車がかかっているようです。
IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、ウイリアムソン氏は、
「サプライチェーン上の記録的な遅れで、受注残が約7年ぶりの高さとな
っている。企業は短期的に稼働能力を引き上げるのに苦慮しているようだ」
と述べています。(ブルームバーグ)
またこの日発表された3月の新築住宅販売件数も急増し、102万件を超
えていました。2月は寒波の影響で需要の伸びが抑制され、その反動もあ
ったようですが、引き続き低金利と資産効果が人々の住宅需要を押し上げ
ているようです。今回の件数が12年ぶりの高水準を示したことで関係者
は、住宅市場が再び軌道にのったことを示唆していると話しています。
日本では25日から4都府県で3回目となる「緊急事態宣言」が発出され
ました。
1日も早いワクチンの接種が望まれますが、政府は東京と大阪で1日1万
件のワクチン接種を可能とする会場を設定する予定のようですが、コロナ
による死者の数は本日中にも1万人を超えると見られます。
世界ではインドの感染数が爆発的に増加しています。
インドでは24日に、感染者数が34万6786人、死者数は2624人
と、いずれも過去最多を記録しています。累計感染者数も1600万人と
米国に次いで世界2位の多さとなってきました。
そんな中、米国では13日から接種を停止していたジョンソン・エンド・
ジョンソン(J&J)のワクチンの使用を再開すると、米疾病対策センタ
ー(CDC)が発表しています。
同社のワクチン接種には、まれに副反応として血栓の症例が複数報告され
ていたため、使用を停止していましたが、CDCは「リスクを上回る効果
がある」と判断しました。
ドル円は107円台半ばから108円台半ばでのもみ合いが続いています。
日米とも株価の上昇が一時ほど鮮明ではなく、リスクオンが強まりにくく
なったことで米長期金利上昇にも一時ほどの勢いがなくなり、これがドル
円の上値を抑えていると考えられます。
ただ、米金利がこのままさらに低下傾向を見せる可能性は低いと予想して
います。
先週カナダがサプライズのテーパリングに踏み切ったように、コロナの収
束が見えてきた米国やオーストラリアでは、いずれ金融政策の変更に踏み
切るものと考えられます。
コロナからの脱局が明らかに日本よりも早い米国であれば、米金利が再び
上昇傾向を見せ、これがドルを支えることになると思います。今後とも米
経済指標の結果には注目です。。
本日のドル円は107円50銭~108円30銭程度を予想します。
- [2021/04/26 09:27]
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米富裕層へのキャピタルゲイン税引き上げへ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上値の重い展開が続く。再びリスク回避の流れが
強まり、米長期金利が低下したことを受け、概ね108円台前半
で推移。
◆1.20台半ばで推移していたユーロドルは、ECBが政策維持を
決めると下落。1.1994前後までユーロ売りが優勢に。
◆株式市場は大幅に反落。バイデン大統領が富裕層に対する
キャピタルゲイン税を現行の約2倍に引き上げる見通しと伝わった
ことで主要株価指数は急落。
◆債券は続伸。長期金利は1.53%台へと低下。
◆金は反落し、原油は上昇。
◆新規失業保険申請件数 → 54.7万件
◆3月景気先行総合指数 → 1.3%
◆3月中古住宅販売件数 → -3.7%
本日の注目イベント
◆日 3月消費者物価指数
◆独 独4月製造業PMI(速報値)
◆独 独4月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏4月総合PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏4月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏4月サービス業PMI(速報値)
◆英 英3月小売売上高
◆英 英4月製造業PMI(速報値)
◆英 英4月サービス業PMI(速報値)
◆米 4月マークイット製造業PMI
◆米 4月マークイットサービス業PMI
◆米 4月マークイットコンポジットPMI
◆米 4月新築住宅販売件数
◆米 企業決算 → アメックス
NY株式市場では主要株価が軒並み下げ、再びリスク回避の流れが強まった
ことから債券が買われ、長期金利が低下しました。ドル円は107円台では
底堅い動きを見せるものの、長期金利が思ったほど上昇しないことで上値が
抑えられる展開が続いています。
バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン税の税率を「39.6%」
と、現行の「20.0%」からほぼ2倍に引き上げる見通しだと、複数のメデ
ィアが報じました。対象は所得が100万ドル(約1億800万円)の個人
とし、投資収入に対して現在課している付加税を合わせると、キャピタルゲ
インに対する連邦税の税率が最高で「43.4%」に達する可能性があるよ
うです。ホワイトハウスのサキ報道官は記者会見で、「どのようなものにな
るか、まだ調整中だ」と述べるにとどめていますが、この富裕層に対する増
税案は今に始まったことではなく、大統領選の際にも公約として掲げられて
おり、バイデン大統領は経済対策の財源確保と同時に、「所得格差の拡大」
に歯止めを掛ける目的のようです。これに対して共和党は、トランプ前大統
領が実施した2017年の減税を維持することを強く主張し、現行のキャピ
タルゲイン税の枠組みは貯蓄を促し、将来の経済成長を促進すると述べてい
ます。(ブルームバーグ)
ECBは22日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の
購入枠1兆8500億ユーロ(約240兆円)の据え置きを決め、他の政策
手段も据え置きました。
ラガルド総裁は会見で、「入ってくる経済指標や高頻度データは経済活動が
今年1-3月(第一四半期)に再び縮小した可能性を示唆するが、4-6月
(第2四半期)の成長再開を示している」と述べ、刺激措置の「段階的終了
は議論しなかった。全く時期尚早だ」と、一部にある「テーパリング観測」
を一蹴しました。また景気見通しについても「全体として、ユーロ圏の成長
見通しを取り巻く短期的なリスクは引き続き下方向だが、中期的なリスクは
より均衡している」と述べています。ラガルド総裁のやや「ハト派的」な発
言に、ユーロドルは1.20台半ばから1.20近辺まで売られています。
昨日発表された米週間失業保険申請件数は「54.7万件」と、パンデミッ
ク後では最小でした。大規模な経済対策とコロナワクチン接種の進展で、サ
ービス業を中心に雇用の勢いが増していると捉らえられます。
一方で、3月中古住宅販売件数は「-3.7%」と、7カ月前の水準に減少
していました。こちらは、住宅価格の高騰と物件不足が潜在的な買い手を遠
ざけた(ブルームバーグ)と見られます。
ドル円は108円を挟み、やや膠着感が強まっています。
値動きの少ない理由の一つは、米長期金利の変動幅が縮小してきたことが
挙げられます。
今週は今日1日を残していますが、長期金利は1.53~1.62%のレン
ジ内で動き、ほぼ1.55~1.60%の狭い範囲に収まっています。
今後、バイデン大統領の掲げるインフラ投資規模の着地点や、富裕層に対す
るキャピタルゲイン税引き上げによる税収効果などが具体化すれば、債券市
場も動意を見せるものと予想しています。
本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度と見ています。
- [2021/04/23 09:38]
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カナダ中銀金融正常化へ踏み出す
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京時間に107円88銭前後まで売られたドル円は
その後反発。NYでは小動きの中108円20銭までドル高に
振れたが上値の重い展開が続く。
◆ユーロドルは小幅に反落。ECB理事会を控え、ポジション
調整から1.20を割り込む場面も。
◆株式市場は3日ぶりに大きく反発。景気回復期待から
素材・エネルギー・金融銘柄が大きく上昇し、ダウは
316ドル高。
◆債券相場はほぼ変わらず。長期金利は1.55%にとどまる。
◆金は続伸。原油は続落し61ドル台に。
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏4月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 3月景気先行総合指数
◆米 3月中古住宅販売件数
◆米 バイデン大統領、気候サミット開催(オンライン、23日まで)
◆米 企業決算 → AT&T、インテル、ブラックストーン
昨日の東京市場の朝方は前日と同じ展開で、日経平均株価が寄り付
きから大きく下げたことで円を買う動きが強まり、107円88銭
近辺までドル安が進みました。
これまでの動きと異なるのは、米金利一辺倒だったドル円の動きが、
日経平均株価の動きにも左右され易くなったことです。
ここ数日のようにリスク回避の流れが強まると、「株の下落」には
特に反応しやすくなるのがドル円です。株価が上昇してもドル円は
下げ、株価が下落してもドル円は上昇したような、非相関の関係か
らは脱却し、その意味では東京時間でも株価が動けばドル円の短期
的な動きは把握しやすくなっています。
さすがに今日の日経は上昇すると見られますが、予想外に大きく上
昇すればリスク回避の流れが後退することでドル円は短期的には上
昇するかもしれません。
今朝の経済新聞に世界的な株安の流れの中、日本株の下落が突出し
ているとの記事がありましたが、その順位を見るとワクチン接種率
との関係も浮かび上がってきます。
カナダ中銀のマックレム総裁は20日、資産購入の規模を週30億
カナダドル(約2600億円)と、現行の40億カナダドルから縮
小するほか、利上げが可能になる時期のメドを前倒しにしたことを
発表しましまた。
この発表は市場にとってサプライズで、ドル・カナダは1.263
0近辺から1.25前後まで急速にドル売りカナダ買いが進みまし
た。
米国やオーストラリアなど、金融政策の正常化を模索する中、カナ
ダ中銀は新型コロナウイルスのパンデミックからの回復が予想以上
に底堅いとして、緊急時のレベルに拡大していた金融緩和の規模を
他の主要中銀に先駆けて縮小した形です。
今後金融緩和からの出口の機会を探している他の中銀に影響を与え
る可能性もあります。
バイデン大統領が明日から開く「気候変動サミット」に40カ国の
首脳が出席する予定です。
この中に習近平中国主席や、プーチン・ロシア大統領も含まれてい
ます。
ブルームバーグは、「他の多くの問題で緊張が続いている米国と中
国が、気候変動問題を他の問題と切り離して会合に臨めるかどうか
が注目される」と報じています。
一方プーチン大統領は21日の年次教書演説で、米国や欧州に対し
て「一線を越えないと期待する」と述べています。ウクライナやベ
ラルーシでの緊張の高まりを巡り、他国が一線を超えた場合「ロシ
アの対抗措置は非対称的、迅速で厳しいものになる」と警告しまし
た。米国とロシアは、反体制派を主導するナワリヌイ氏の拘束問題
でも緊張が高まっており、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障
問題担当)はCNNで、「われわれは様々な代償を検討している。
現時点でそれを公にする考えはない。ただ、ナワリヌイ氏の死亡に
は結果が伴うと伝えてある」と述べ、米政府は同氏が死亡した際に
はロシアに対して相応の制裁を考えていることを、すでに発表して
います。
大阪を中心に関西圏でコロナ感染者数が急増しています。
昨日は全国でも5300人近い新たな感染者が報告されており、3
回目となる「緊急事態宣言」も時間の問題のようです。
世界に目を向けると、インドの感染者数の増加が際立ってきました。
1日で30万人近い新規感染者が出ており、昨日は死者数が202
3人と、これまでで最多となっています。
一方でフランスでは地域間移動を制限する措置を5月3日で解除す
るようです。
またギリシャでも5月初旬に主なロックダウン措置の大半を緩和す
ると伝えられています。ここでもまさに「ワクチン接種率」が明暗
を分けているということになります。
本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度を予想してい
ます。
- [2021/04/22 09:28]
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ドル円一時108円を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆昨日の東京時間朝方に108円を割り込み、107円97銭まで
売られたドル円はその後緩やかに反発。NYでは108円台ミドル
まで買われたが、米長期金利の低下に再び下落し、108円10銭
前後で取引を終える。
◆ユーロドルは1.20台で底堅く推移。ワクチン接種の差が意識され、
ユーロ買い円売りが強まりユーロ円は131円手前まで上昇。
◆株式市場は続落。インドなど、コロナ感染の拡大懸念が広がり、
主要3指数は揃って下落。
◆債券相場はリスク回避の流れから上昇。長期金利は再び1.6%を
割り込み、1.55%台に低下。
◆ドル安が進み金は上昇。原油は反落。
本日の注目イベント
◆豪 豪3月小売売上高
◆欧 IOC理事会
◆英 英3月消費者物価指数
◆英 ベイリー・BOE総裁、オンラインイベントで講演
◆米 企業決算 → ベライゾン、
◆加 カナダ中銀政策金利発表
◆加 カナダ3月消費者物価指数
昨日の朝方にはドル円が一時108円を割り込み、107円97銭まで
売られる場面がありました。瞬間的な動きであったため107円台での
「滞空時間」は短かったものの、107円台は3月5日以来の水準です。
背景は日経平均株価が朝方から大きく売られ、「リスク回避」の流れが
強まったことにあります。先週末からの日本株の動きは、米国株が大き
く上昇し最高値を更新しても上昇幅はわずかで、米国株が下げるとそれ
以上に下げが加速する。昨日などはその典型でした。
「投資家の目線が『感染者の数』から『ワクチンの接種状況』に移った」
(日経新聞)というのがその大きな理由のようですが、まったく同感です。
日本の感染者は世界の先進国の中では驚異的に少なく、「ファクターX」
などと呼ばれ、日本人特有の何かがあるのではないかと研究対象にもなっ
ていますが、それが逆に医療体制の遅れや、ワクチン確保の遅れにつなが
ったことは否定できないと思います。昨年夏には、コロナ感染者が増加す
る予想がある中、「GoToトラベル」を中止しなかった菅政権でしたが、
政権内の「読みの甘さ」が現在の第4波につながっています。
昨日もこの欄で述べたように、日本全体のワクチン接種率が0.1%以下
という「世界の主要国の中でも突出して低い」ことがリスクとして意識さ
れ、株価の下落につながっています。本来なら円は売られても不思議がな
い中、ドル円ではドル安が進んでいることから相対的に円が買われている
に過ぎません。昨日の夕方、欧州勢が参入して来ると、ワクチン接種が進
むと見られるユーロが買われ、ワクチン接種が大きく遅れている円が売ら
れ、ユーロ円は130円97銭近辺まで上昇しました。これは2018年
10月以来、実に2年半ぶりの水準になります。
また一時は108円を割り込んだドル円でしたが、その後は値ごろ感から
ドル買い戻しも入り、108円台ミドルまで反発しましたが、NYでは再
び108円近辺までドル売りが再燃しました。
NY株式市場が大きく下げたことでリスク回避の流れが強まり、安全資産
の米国債が買われ、金利が低下したことでドルが売られています。
今後もドル高が継続されるといった見方の根拠に、インフレの高まりから
米金利が上昇し、
その結果、米金利と相関が強いドル円が上昇するという「シナリオ」があ
ります。今後日米の株価が大きく「調整局面入り」するようだと、米金利
の低下要因となることから、NY株式市場の動向にも目配りが必要です。
中国海南省で行われた「ボーアオ・アジアフォーラム」で中国の習近平主
席はビデオ演説を行い、日米を直接批判しなかったものの間接的な表現を
使い、「偉そうな態度で他国を指図し内政に干渉しては、人心を得られな
い」、「一つまたは幾つかの国が決めた規制を他国に無理強いできない」
など、人権問題、台湾海峡、さらにはサーバー攻撃問題などで、自国の正
当性をアピールしていました。
そして、「いかなる形の新冷戦にも、イデオロギーの対立にも反対する」
と述べています。
先週ワシントンで行われた日米首脳会談での共同声明は、中国にとって一
歩踏み込んだものであったことから、中国側の猛烈な反発も予想されまし
たが、今のところ「大人の対応」を取っているようです。
ロイター通信はパウエルFRB議長がリック・スコット上院議員に宛てた
書簡で、今年のインフレは若干上昇する可能性があると認識をしていると
報じています。議長は、「インフレが2%を著しく上回ったり、長期間に
わたって2%を超える状況を目指していない」と書簡で述べ、「1960
年代と70年代で経験した高インフレの教訓、そしてその経験が米国民に
もたらした負担をわれわれはよく理解している。そうしたインフレ圧力は
予想していないが、現実に起きた場合でも当局には対応できる手段がある」
と記してあります。
「108円台の攻防」の様相を呈しているドル円ですが、本日も日本株は
下落が予想され、昨日と同じように、リスク回避の流れが強まり下値を試
す可能性があります。
本日は107円60銭~108円50銭程度を予想します。
- [2021/04/21 09:55]
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ドル円1カ月半ぶりに108円近辺に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落。ユーロドルでユーロが買われた影響から
円も急伸。108円近辺までドル安が進み、3月6日以来と
なる円高水準を付ける。
◆ユーロドルは続伸し、1.20台に乗せ、約1カ月半ぶりに
1.2041まで上昇。
◆株式市場は反落。連日の最高値更新の中、利益確定の売りに
押され3主要指数は揃って下落。
◆債券は小幅に下落。長期金利は1.60%台を回復、
◆金は反落し原油は反発。
本日の注目イベント
◆豪 RBA議事録
◆独 独3月生産者物価指数
◆英 英3月失業率
◆米 企業決算 → J&J、ネットフリックス、P&G、ロッキード
ドル円は久しぶりに大幅な下げに見舞われ、一時は108円ぎりぎりの水準
まで売られ、何とか108円割れを回避した状況でした。
連日この欄でも触れていたように、108円30-40銭のサポートゾーン
を大きく割り込んで来ました。一目均衡表では2つの「逆転」が完成し、あ
と「雲」を下抜けすれば「三役逆転」が完成することになりますが、それに
は106円を割り込む必要があります。テクニカルでは「ドル安」を示唆し
ていましたが、結局テクニカルが優勢だったということになります。もっと
も、昨日の円高はユーロ高やポンド高に引っ張られた側面が強く、純粋に円
を買う動きとは異なると捉えています。今後の円高には警戒が必要ですが、
敢えて円が再び売られるサインを探せば、「200日移動平線」や「120
日移動平均線」では、まだわずかですが上向きで推移している点です。
ただこの移動平均線もドルがここから大きく反発しなくても、108円台前
半で推移し続ければ、横ばいから下向きに変化してきます。
米ファイザーと独ビオンテックはEU向けのコロナワクチンを追加で1億回
分供給することで合意したと発表し、これがユーロ買いにつながったようで
す。ポンドも同様に、先進国で最もワクチン接種が進んでいることから早期
の景気回復が期待できるとの観測がポンドを押し上げています。
そう考えると、我が国のワクチン接種率は問題外のレベルです。国全体では
0.1%以下にとどまっており、昨日厚生労働省から発表されたデータでは
、医療従事者でさえも2回接種を終えた割合は15%程度にとどまっていま
す。国民にワクチン注射を行う医師自身が接種を終えていない例が多く見ら
れるようです。ワクチンの接種率がその国の通貨の強弱に影響している足元
の為替では、このまま円が買われ続ける可能性は極めて低いと考えても不思
議ではありません。
昨日のNY株式市場ではハイテク株の下落が目立ちましたが、その中でもイ
ーロン・マスク氏率いる「テスラ」株が大きく売られました。17日テキサ
ス州で運転者「不在」だったテスラ車が高速運行中にカーブを曲がり切れず、
木に衝突。事故を起した車は炎上し、乗っていた2人が死亡しました。同地
区の警察の調では、事故を起したのは2019年式のセダン「モデルS」で、
「死亡した1人が助手席で、別の1人は後部座席で発見されたことから、「
衝突時に誰も運転していなかった」ことが示唆されると指摘しています。
この事故に関して、イーロン・マスク氏はツイートし、「これまで回収され
た記録からは自動運転支援システム『オートパイロット』が有効になってい
なかったことが示されている」とし、「事故車では完全自動運転ソフトウェ
ア(FSD)が購入されていなかた」とも指摘しています。(ブルームバーグ)
この報道でテスラ株は一時10%も下げる場面があったようです。
ドル円が110円97銭まで上昇したのは、ちょうど3月末でした。そこを頂
点にじり安が続いていますが、次のサポートを探してみると、まず108円は
大台替えということでサポートになり易いと考えられます。ここを割り込んだ
場合、フィボナッチ・リトレースメントでいう所の「38.2%戻し」に当た
るのが、107円77銭辺りです。これは今年1月6日の102円59銭から
上記110円97銭の上昇幅を計算したものです。
またCFTCの先物建て玉を見ると、ネットの円売り枚数は3月30日の48
510枚がピークとなっており、その後やや減少傾向です。
これは、この日の翌日にドル円が111円手前まで上昇したことと整合性が取
れます。108円水準までドル安が進んだことで、円を買い戻す動きも活発化
したと思われますが、先週16日(金)時点での数字は本日、米商品先物取引
委員会(CFTC)から発表されますが、ネット円売りポジションは相当減少
していると予想しています。
テクニカルではドル安を示唆する中、今後105円を目指すのか、あるいは再
び110円に向かうのか難しい選択を迫られることになります。
本日のドル円は107円70銭~108円50銭程度を予想します.。
- [2021/04/20 09:34]
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米3主要株価指数続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小動きの中、108円台を抜け切れない展開が
続く。108円後半で推移し、値幅は15銭程度に収まる。
◆ユーロドルでも目立った動きはなく、1.19台後半
で推移。
◆株式市場は良好な経済指標を受け3指数が揃って続伸。
ダウは164ドル上げ、S&P500とともに最高値を更新。
◆債券は前日とほぼ変わらず。長期金利は小幅に上昇したものの、
依然として1.58%台で推移。
◆金は続伸し、原油は反落。
◆3月住宅着工件数 → 173.9万件
◆3月建設許可件数 → 176.6万件
◆4月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 86.5
本日の注目イベント
◆日 3月貿易収支
◆日 2月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏2月経常収支
◆米 企業決算 → IBM、コカ・コーラ
ワシントンで行われた初の日米首脳会談では共同声明の文言を巡り調整
に戸惑ったものの、成功裏に終わったようです。
議論の中心はやはり、台湾を巡る中国問題でした。
「台湾海峡の平和と安定の重要性について日米間で一致しており、今回
改めてこのことを確認した」と両首脳は会談後の共同記者会見で述べま
した。共同声明に「台湾」が明記されるのは、1969年11月以来、
52年ぶりのことになるそうです。
これに対して中国側は「内政干渉だ」として反発しています。
今回の日米首脳会談は菅首相、バイデン大統領ともに、政権トップにな
って日が浅く、ともにその手腕が試されている状況の中で、初の対面で
の会談でした。バイデン大統領は、初の公式の対面会談の相手として日
本を選んだことは、ドイツやフランスでは今後早期に政権交代の可能性
があることに加え、中国に対する共同戦線を張る目的もあったようです。
台湾海峡を巡る問題に加え、新疆ウイグル地区や香港での人権問題、
さらにはサイバー攻撃など、米国単独で中国と対峙するのではなく、日、
豪、インドを巻き込んだ「面」で対抗することを狙っており、中でも米
中関係の強化を目指したようです。
会談を前に、菅政権は難しい判断を迫られたと思われます。
これまでの政権のように、米国寄りと見られながらも中国に対しても温
厚な対応を見せて来ましたが、今回の会談では中国に対する日本の本気
度も試された格好です。
今回の会談で日本は、外交、軍事、産業の分野でこれまでよりもさらに
日米関係を強化したことにより、「ルビコン川」を渡ったと評されるか
もしれません。
今回の日米首脳会談での協議にも関係していたかもしれませんが、米財
務省は台湾を「為替操作国・地域」に認定することを見送りました。
米財務省は、台湾をベトナム、スイスと同じように「為替操作」の疑い
がある国・地域に加えていましたが、「米国と円滑な事前コミュニケー
ション、意見交換があった」として、認定を見送ったようです。
台湾は米国が為替操作を断定するための判断基準の3つの条件に抵触し
ていましたが、十分な証拠を得られなかった(日経新聞)として認定を
断念したことのようです。
バイデン政権は当初、中国に対してはトランプ政権よりもより柔軟な政
策を取ると予想されていましたが、今年1月20日に正式に就任して以
来、かなり強硬な姿勢を見せています。日豪インドを加えた「クアッド」
の創設や、「民主主義と専制主義」の闘いといった言葉を引用したり、
さらには中国の習近平国家主席についても「専制主義が将来の主流とな
り民主主義が機能しなくなると考える人物」と公然と語る(日経新聞)
など、むしろトランプ政権よりもより強硬に変わってきた印象です。
また今朝の報道ではロシアの反体制派主導者、アレクセイ・ナワリヌイ
氏の健康状態が急激に悪化したと関係者が明らかにしたことに関し、サ
リバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はCNNで、「われわ
れは様々な代償を検討している。現時点でそれを公にする考えはない。
ただ、ナワリヌイ氏の死亡には結果が伴うと伝えてある」と述べ、米政
府は同氏が死亡した際にはロシアに対して相応の制裁を考えているよう
です。
引き続き米経済指標には好調な流れが続いています。
先週末のミシガン大学消費者マインドは市場予想を上回り、約1年ぶり
の高水準でした。
1年先のインフレ期待も大きく上昇し、9年ぶりの水準になっています。
ドル円は、米長期金利の低位安定が続いているため上値の重い展開です。
先週もこの欄で述べたように、ファンダメンタルズではドル高傾向と見
ていまが、テクニカルではドル安を示唆する水準にも近づいてきていま
す。
サポートは引き続き108円30-40銭のゾーンと見て、本日のドル
円は108円40銭~109円20銭程度と予想します。
- [2021/04/19 09:40]
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米長期金利1.52%台まで急低下。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落。好調な米経済指標を受け、長期金利が急低下
したことでドル円は108円62銭まで下落。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.1984まで
ユーロが買われたが、1.20を目前に上昇力も鈍い。
◆株式市場は大幅に上昇。小売売上高が予想を超える伸びを示し、
失業保険申請件数も大きく減少していたことでダウは305ドル
上昇し、初の3万4000ドル乗せ。S&P500も最高値を更新。
◆債券相場は上昇。長期金利は大幅に低下し、一時は1.526%を
付ける。その後1.57%台まで戻して引ける。
◆金は大幅に続伸。原油も買われ4日続伸。
◆4月NY連銀製造景況業指数 → 26.3
◆4月フィラデルフィア連銀景況指数 → 50.2
◆ 新規失業保険申請件数 → 57.6万件
◆3月鉱工業生産 → 1.4%
◆3月設備稼働率 → 74.4%
◆3月小売売上高 → 9.8%
◆4月NAHB住宅市場指数 → 83
本日の注目イベント
◆中 1-3月GDP
◆中 中国3月小売売上高
◆中 中国3月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏2月貿易収支
◆欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(改定値)
◆米 3月住宅着工件数
◆米 3月建設許可件数
◆米 4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 日米首脳会談(ワシントン)
◆加 カナダ3月住宅着工件数-
予想していたといえ、 米3月の小売売上高の伸びはややサプライズ
でした。前月比「9.8%」伸び、10カ月ぶりの大幅増加でした。
2月分も上方修正されましたが、ワクチン接種の進展から行動制限も
徐々に緩和され、さらに政府による1400ドル(約15万円)の現
金給付も効いたようです。またこの日発表された週間失業保険申請件
数も先週から大きく減少しており、バイデン政権の大規模な経済対策
の効果が鮮明になっていると考えられます。
良好な経済指標を受け、NY株式市場では株価が大きく上昇しました。
ダウは前日比305ドル上昇し、初の3万4000ドル台に乗せまし
た。3万3000ドル台に乗せたのが先月10日でしたので、わずか
35日での「大台替え」を達成しています。3万円台に乗せては何度
も押し戻されている日経平均株価とは、大きく異なることを改めて感
じさせられます。S&P500も最高値を更新し、軟調な展開が続い
ているナスダックでさえも、最高値更新まで50ポイント程度に迫っ
てきました。FRBがゼロ金利政策継続の姿勢を見せており、折から
の企業決算発表でも、現時点では金融機関を中心に好決算が相次いで
いることも、投資家心理を明るくしているようです。
米長期金利が急低下し、一時1.526%と、昨年11月3日以来と
なる低水準を付ける場面もありました。1.77%台まで上昇した米1
0年債利回りでしたが、その後は低下傾向が続いており、あの急騰劇
は一体何だったんでしょう。
米プリンシパルのチーフストラテジストは、「単純に最近数カ月の利
回り上昇が急激過ぎ、多くの予想よりも早かったことが原因かもしれ
ない」(ブルームバーグ)と述べ、明確な理由がつかめない様子です。
また昨日の債券価格の上昇については、4月に入り、国内生保の資産
運用計画が明らかになり、国内での運用難から米国債の利回りが魅力
的なことで買いに入ったとの声も聞こえてきました。特に10年債利
回りから為替のヘッジコストを差し引いた利回りが、年初は0.5%
程度だったものが3月には約1.4%まで拡大し、これは日本の30
年債の利回りの2倍にあたるといった「講釈」まで出ています。
国内での運用難は今に始まったことではありません。このまま米金利
がさらに大幅に低下するとも思えません。
米景気の回復にともない、インフレの足音は着実に迫っていると思い
ます。物価上昇が長期金利の上昇につながり、米国債は国内生保にと
ってはさらに投資妙味が増すと考えれば、それはドル需要の拡大につ
ながると思われます。
米金利との相関が強いドル円は金利低下に108円62銭まで下落し
ましたが、それでも昨年の11月3日のドル円は104円台であった
ことを考えると、米金利低下に対する耐久力がついてきたとも言えま
す。日足では108円35-40銭辺りがサポートと見ており、この
水準を大きく割り込むようだと、一目均衡表では「遅行線」がローソ
ク足を割り込み、「展開線」が「基準線」を割り込む「逆転」が示現
します。日足で「逆転」現象が現れるということは、ドル安の始まり
を示唆することになります。「米国の一人勝ち」を基本とすれば、ま
だドル高が続くと予想していますが、この点には注意が必要です。
ファンダメンタルズでは「ドル高」を示す一方、テクニカルでは「ド
ル安」を示唆することになるかもしれません。
トルコ中銀は15日、政策金利の据え置きを決めました。
エルドアン大統領の逆鱗に触れ更迭された総裁に替わり新総裁に就任
したカブジュオール氏の最初の金融政策会合であったこともあり、注
目されていました。政策金利据え置きを決めたものの、声明で、この
日の決定について「必要に応じて追加的な引き締めを行う」という文
言が削除されていたことで、発表直後リラ円は売られましたが、その
後元の水準を回復しています。ただ、トルコを巡る情勢は厳しいもの
があります。足元の消費者物価指数は16%に迫っています。仮にエ
ルドアン大統領が望むように利下げが実施されればさらにリラは売ら
れ、通貨安が進めば一段と輸入物価を押し上げます。原油高もトルコ
にとっては厳しく、スタグフレーションに陥り「負のスパイラル」が
続くことになります。当面、リラが水面に浮上する可能性は低いと見
ます。
本日はワシントンで日米首脳会談が予定されています。
実際に行われるのはあすの未明かと思いますが、今回は為替に与える影
響はほとんどないと予想しています。
中国問題での日本の役割を中心に、人権問題や東シナ海などでの海洋
進出、気候変動などについて話合われるものと見られます。
本日のドル円は108円30銭~109円10銭程度を予想します。
- [2021/04/16 09:55]
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ユーロドル1カ月ぶりに1.19台後半に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間朝方に109円を割り込み、108円75銭
近辺まで売られたがその後はもみ合う。NYでも109円台まで
反発する場面があったものの、上値は限定的。
◆ドル安の流れが続き、ユーロドルは約1カ月ぶりに
1.1987までユーロ高が進む。
◆株式市場はまちまち。前日と異なりダウは上昇したものの、
他の主要指数は下げる。金融機関の決算発表が好調だったことが
ダウを押し上げた。
◆債券は小幅に反落。長期金利は1.63%台へと上昇。
◆金は反落。原油は大幅に続伸し、63ドル台に。
◆3月輸入物価指数 → 1.2%
本日の注目イベント
◆豪 豪3月雇用統計
◆独 独3月消費者物価指数(改定値)
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆米 4月NY連銀製造景況業指数
◆米 4月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 3月鉱工業生産
◆米 3月設備稼働率
◆米 3月小売売上高
◆米 4月NAHB住宅市場指数
◆米 米財務省、半年次為替報告書の議会への提出期限
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論会に参加
◆米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演(オンライン)
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演(オンライン)
◆米 クラリダ・FRB副議長、オンライン討論会に参加
◆米 企業決算 → シティーグループ、バンクオブアメリカ、ブラックロック、
アルコア
FRBが公開した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、多くの地区で経済
活動ペースが上向き、消費も改善していることが判明しました。
ベージュブックでは、「全国的な経済活動は、2月遅くから4月初めに緩やかなペー
スで加速した」と指摘し、「消費は力強さを増した。観光業に関する報告はより前向
きな内容となった。レジャー活動や旅行に対する需要の上向きに支えられた」と記さ
れています。
一方で ブル―ムバーグは「空の旅はまだ活気を取り戻していない」と報じ、航空会社
による輸送能力は世界的に見た場合、まだパンデミック前の58%にとどまっている
と伝えています。
販売座席数は1週間当たり6200万席前後で、2019年の1億600万席には遠
く及んでいない。しかし、アジアは回復をけん引しており、意外にもコンゴ民主共和
国で持ち直しが見られるとしています。中国や一部アフリカの国で増加に転じている
一方、カナダや欧州の一部では50%程度の回復にとどまっています。
パウエルFRB議長はブルームバーグとのインタビューで、インフレ率が2%を持続
的に達成し、労働市場の回復が完了するまで、FOMCは利上げを待つだろうとした
上で、それが2022年より前に実現する可能性は低いと述べました。
議長は、「資産購入を段階的に縮小するのは、利上げを検討する『ずっと前』になる
可能性が高い。その順番は投票で決めたわけではないが、ガイダンスとしてそうゆう
認識だ」と語っています。今後インフレ率が高まっても突然利上げを行うことはなく、
テーパリングを通じて利上げの可能性を示唆し市場の混乱を避けると、これまでの自
身の発言を改めて繰り返したものと受け止めています。
ドル円は昨日の早朝に、この欄でも指摘した「4時間足のサポート」と見られる10
8円80銭前後を一旦割込み、108円75銭までドル安が進む局面がありました。
その後はその水準を割り込むことなく推移していることから、現時点ではテクニカル
上のサポートレベルが一応機能していることになります。
ドルの上値が重いのは、米長期金利が1.77%台で天井を付け、徐々に低下傾向を
見せているからです。
同時にその背景はFRBが現行の金融緩和政策の維持に「強い姿勢」を見せているこ
とが挙げられます。パウエルFRB議長の上記の発言でも、2022年より前に利上
げを行う可能性は低いとしましたが、2023年末まで現行のゼロ金利政策を継続す
ることを基本としています。また長期金利が急騰し1.77%台まで上昇し、市場の
利上げ観測が「前のめり」になってきたことに対しても、何度もけん制してきました。
その効果もあったのか、金利は落ち着きを取り戻し、徐々に低下しているのが現状で
す。確かに消費者物価指数の上昇は、大規模な景気刺激策の効果もあり際立った上昇
を見せ始めています。
ただそれでも、「物価の安定と労働市場の最大化」というFRBの「ダブル・マンデ
ート」を鑑みると、後者の労働市場の回復が遅れており、FRBの目標には「程遠い」
ことから利上げは時期尚早ということになります。その意味では、今後もコロナワク
チン接種の進捗具合が大きなカギを握っていると考えられます。
昨日の海外市場ではドルが主要通貨に対して売られましたが、円が強含む度合いはユ
ーロに比べても弱く、その結果ユーロ円が上昇しています。
ポンド円でも同じような傾向が見られ、これはワクチンの接種の状況とも大きく関係
しているものと思われます。ワクチン接種率は先進国だけではなく、OECD加盟国
の中でも最低だと報告されています。
本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。
- [2021/04/15 09:23]
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米長期金利さらに低下し、ドル円下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間には109円75銭近辺まで買われたものの、
海外に入ると下げに転じる。NYでは米長期金利の低下に合わせ、
109円03銭までドル安に。
◆ユーロドルは1.18台後半からじり高となり、1.1956まで
買われる。
◆株式市場はまちまち。ダウはマイナスで終わったものの、
ナスダックは146ポイント高。S&P500は13ポイント上昇し
最高値を更新。
◆債券は反発。3月のCPIは高水準だったものの、反応は限定的。
◆金と原油は上昇。
◆3月消費者物価指数 → 0.6%
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏2月鉱工業生産
◆欧 国際エネルギー機関(IEA)月報
◆欧 ラガルド・ECB総裁、ロイター主催のイベントで講演
◆米 3月輸入物価指数
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 パウエル・FRB議長、オンラインイベントに参加
◆米 クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントに参加
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントに参加
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンライン討論会に参加
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論会に参加
◆米 企業決算 → JPモルガン、ウェルズファーゴ、ゴールドマン
3月の消費者物価指数は予想通り大きな伸びを見せました。
前月比「0.6%」と市場予想を上回り、前年同月比では「2.6%」の上昇と、
2017年以来の大幅な上昇でした。特にガソリン価格の上昇が大きく、総合C
PIの半分を同価格の上昇が占めています。ワクチン接種が進み、経済活動が再
開したことで、米景気が回復に向かっていることを示すものですが、市場の反応
は冷静だったようです。「今回のCPIの結果が直ぐに金融政策の変更につなが
るものではない」といった見方から債券が買われ、10年債利回りは一時1.6
145%近辺まで低下し、3月25日以来約3週間ぶりとなる低水準を付けてい
ます。ドル円も米金利低下に素直に反応し、109円03銭までドル安が進みま
したが、今のところNYでは109円割れは回避できています。
ワクチン接種が順調に進んでいる米国ですが、米保健当局はジョンソン・エンド
・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンの投与を一時停止するよ
う勧告しました。同ワクチンを接種した18歳から48歳の女性6人が、血小板
の減少を伴う深刻な脳血栓を発症したというのがその理由です。
米食品医薬品局(FDA)の責任者は会見で、このうち少なくとも1人が死亡し、
1人が危険な状態にあると報告しています。ホワイトハウスでコロナ対応の責任
者は、「今回の接種中断がバイデン政権のワクチン計画に大きな影響を与えるこ
とはない」と説明し、これまで通り1日300万件のワクチン接種を維持できる
考えを示しています。この措置を受けてJ&Jの株は売られ、モデルナ株は大き
く上昇しています。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁はバーチャル形式のイベントで、「米経済
の状況は改善しつつあるものの、回復はまだ初期段階にある。よって支援策を引
き揚げる理由は今のところ見当たらない」と述べ、「現在のところ、金融政策は
現状で据え置かれるだろう」との認識を示しました。
同総裁は今年のFOMCでの議決権は持っていませんが、ワクチン接種の拡大と
感染率低下が、米経済を力強く押し上げると語っています。
バイデン大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を行いました。
ホワイトハウスは米ロ電話首脳会談について声明を発表し、「バイデン大統領は
ロシアがウクライナ国境と占拠中のクリミアに軍を突然集結させていることにつ
いて懸念を表明し、ロシアに緊張緩和を呼びかけた」と説明し、「サイバー攻撃
や選挙介入など、ロシアの行動に対して、米国は断固とした行動を取ることもバ
イデン大統領は明確にした」と続けています。(ブルームバーグ)
バイデン大統領は3月のTV局とのインタビューで、プーチン大統領を「殺人者」
だと思うかという質問に対して「そう思う」と答えたこともあり、今回の突然の
電話会談はやや意外でしたが、ウクライナでの緊張の高まりに対応したようです。
ロシアがウクライナ国境の近いところに4万人の軍を集結させていることで、ウ
クライナ情勢が再び緊張を増しており、日本を含むG7は12日、直ちに緊張を
緩和するよう共同声明を発表しています。
昨日もこの欄で述べたように、ドル円の動きは米長期金利の動きにリンクしてお
り、その金利が低下傾向を見せていることから、上値を徐々に切り下げる展開が
続いています。昨日発表のCPIの上振れが「一つのきっかけ」となって再びド
ル高へのステップを踏み出すイメージも持っていましたが、米長期金利の急低下
にドル円は109円近辺まで押し戻されています。
現時点では、ドル高シナリオを維持していますが、当面のレンジを109円~1
11円程度と予想しているため、109円を大きく割り込む展開になれば、予想
シナリオの修正も考える必要が出て来ます。本日ドル円は、108円80銭前後
にある4時間足の「120本平均線」辺りが、下値のサポートかと思います。
予想レンジは108円70銭~109円50銭程度といったころでしょうか。
- [2021/04/14 09:31]
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ドル円109円台前半から半ばで推移
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆材料難から為替市場全体は小動き。ドル円は109円台
半ばから前半で推移し、ややドル売りが優勢な展開。
◆ユーロドルは1.19台前半で小動き。前日から水準を
小幅に切り上げる。
◆株式市場は主要3指数が揃って反落。ダウは55ドル下げ、
3日ぶりに下落。
◆債券は前日比ほぼ変わらず。長期金利は1.66%台に。
◆金は続落し、原油は上昇。
◆3月財政収支 → -6596億ドル
ドル/円 109.28 ~ 109.45
ユーロ/ドル 1.1900 ~ 1.1919
ユーロ/円 130.18 ~ 130.33
NYダウ -55.20 → 33,745.40ドル
GOLD -12.10 → 1,732.70ドル
WTI +0.38 → 59.70ドル
米10年国債 +0.007 → 1.666%
本日の注目イベント
◆豪 豪3月NAB企業景況感指
◆中 中国 3月貿易収支
◆独 独4月ZEW景気期待指数
◆英 英2月鉱工業生産
◆米 3月消費者物価指数
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米 IMF専務理事と欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)、講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
昨日のNY市場では材料難から金融市場全体が動意に欠ける動きで、為替市場も
値幅は出ず小動きでした。思ったよりドルの上値が重く、ドル円は109円28
銭まで下げ、ユーロドルも終始1.19台で推移しています。
本日発表される3月の消費者物価指数や、15日(木)に発表される3月の小売
売上高を見極めたいとする雰囲気が強まっていたようです。特に消費者物価指数
については,インフレ懸念が高まってきているだけに、結果次第ではテーパリン
グの前倒しなど、FRBの緩和姿勢が早まる可能性もあり、注目度が高いようで
す。
そのFRBのテーパリングについてセントルイス連銀のブラード総裁はブルーム
バーグテレビジョンとのインタビューで、米国でワクチン接種率が75%に達す
れば、新型コロナウイルスの危機が収束しつつあることを示すシグナルとなり、
米金融当局が資産購入のテーパリングを検討する条件が整うとの見解を示しまし
た。ブラード総裁は、「金融政策の変更について話すのは時期尚早だ」とした上
で、「われわれがパンデミックのトンネルの中にとどまっている間は極めて緩和
的な金融政策が望ましい。
トンネルの出口まで行けば、次に行きたい場所を検討し始める時だろう」と述べ
、さらに「ワクチン接種率が75%、80%に達し始め、一段と状況が収束しつ
つあることを示すより希望の持てるメッセージを米疾病対策センター(CDC)
が発し始め、一部の指針緩和に動き始めたら、その時に経済全体が自信を得るこ
とになろう」と語っています。
そして最後に、「2021年はここ数年よりインフレ率が高まると考えられ、そ
の一部がインフレ期待に流れることを望む」と述べています。
ブラード総裁は金融政策変更には慎重な姿勢を見せながらも、インフレの足音が
迫って来ていることを感じ取っていると見られ、ワクチン接種の進展具合が一つ
のきっかけになることを示唆していると考えられます。
財務省が半期に一度議会に提出する「為替報告書」の提出期限が15日に迫って
います。イエレン財務長官は就任後初となる「為替報告書」で、中国を為替操作
国に認定しない方針だと、事情に詳しい複数の関係者の話としてブルームバーグ
が伝えています。トランプ前政権時代、財務省は通常の公表時期ではない201
9年半ばに突如、中国を為替操作国に認定し、そのわずか5カ月後、米中貿易交
渉で譲歩を引き出すために認定を解除した経緯があります。その際、「為替報告
書」を政治化しているとの批判がありました。
今回イエレン長官のチームは、競争上優位に立つため為替を操作していると認定
するハードルを引き下げたトランプ政権の19年の決定を覆す可能性を議論して
いると関係者が述べているとのことです。
因みに米財務省が「為替操作国」に認定する基準は以下の3つとされています。
1.米国に対する貿易黒字が200億ドル以上の国であるかどうか。
2.一方的な為替介入による外貨の購入を1年間で6カ月以上繰り返し行い、こ
の金額がGDPの2%以上の国かどうか。
3.経常黒字がGDP比で2%以上の国にあたるかどうか。という基準で判断さ
れています。
トランプ政権の下した決定が覆されれば、「為替報告書」の対象国のうち、警戒
が必要な監視対象国・地域の数はほぼ半減する可能性があるとのことです。
バイデン大統領は世界的な半導体不足に対応するため、ホワイトハウスでGMや
フォード、グーグルの親会社アルファベットなどのCEOと会談しました。その
上で、半導体の製造や研究向けに500億ドル(約5兆5000億円)を投じる
政府案を支持する上院議員23人と下院議員42人の書簡を読み上げました。
大統領は、「民主・共和両党がわれわれの提案を強く支持している」と述べてい
ます。
先週8日に109円まで売られ、その後110円近くまで反発したドル円でした
が、戻りの勢いは以前ほどではありません。
それは株式、債券市場でも同じような動きで、「リスクオン」への勢いがこれま
でとは異なって来た可能性もあります。
ドル高基調は変わっていないものの、上値を徐々に切り下げているのも事実で、
ここからは慎重に動きを見て行く必要がありそうです。焦点の一つは、109円
台が維持できるかどうかです。
- [2021/04/13 09:30]
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NYダウ、S&P500、最高値を更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は反発し110円目前までドル高に。米長期金利が
上昇し、株も買われ上昇したことでリスクオンが強まり、ドルが
全般的に買われる。
◆ユーロドルは前日と同水準で推移。1.18台半ばから
1.19台に乗せる。
◆株式市場は景気回復期待の高まりから主要3指数が揃って上昇。
ダウとS&P500は共に最高値を更新。
◆債券は反落。長期金利は1.65%台後半に。
◆金と原油はともに下落。
◆3月生産者物価指数 → 1.0%
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏2月小売売上高
◆英 英2月鉱工業生産
◆英 英2月貿易収支
◆米 3月財政収支
◆米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
3月の米生産者物価指数は前月比「1.0%」上昇で、前年同月比では
「4.2%」の上昇でした。前年比の伸びは2011年9月以降で最大
となり、米長期債は売られています。
明日発表される3月の消費者物価指数も高い伸びが予想され、ブルーム
バーグは「主要なインフレ指標はパンデミックの初期に低下したことか
ら、ベース効果により前年比での高い伸びが示された」と報じています。
ただそれでも米長期金利の上昇幅は限定的で、株価の上昇を抑制するほ
どではなかったようです。ドル円は長期金利の上昇に反応し、109円
96銭までドル高が進みました。前日8日のNY市場では一時109円
まで売られたドル円でしたが、反発に転じてきました。ただこれも、1
11円には届かずにジリジリと上値を切り下げてきたこともあり、すぐ
に同水準を再び試す展開でもないと予想します。今度は110円台半ば
から上方ではドル売り注文が集まりやすく、重くなることが考えられま
す。
パウエル議長はCBSニュースの番組で、米経済はワクチン接種と強力
な政策支援を受けて成長や雇用が先行き一段と強くなる「変曲点」にあ
ると指摘しました。議長は「経済の成長が一層速まり始め、雇用が一段
と急速に創出される段階にあるという感触だ」と述べ、その上で、「現
時点での米経済への主要なリスクは新型コロナの感染が再び拡大するこ
とだ、ソーシャル・ディスタンスとマスク着用を続けることが出来れば、
賢明だろう」と語っています。
バイデン政権の中国包囲網が強化される中、その中心的役割を担ってい
るブリンケン国務長官はNBCニュースとのインタビューで、中国によ
る台湾侵攻の可能性を巡り警告を発しました。ブリンケン氏は、中国に
よる台湾海峡での「好戦的な行動」を非難し、「台湾が確実に自衛でき
るよう米国は支援していく」と表明しました。
米国はこれまでトランプ政権が行っていた、単独で中国と対峙する政策
から、同盟国を巻き込んで中国に圧力を掛ける政策を推進しています。
このいわば「点から面」への中国への圧力は中国を刺激し、中国共産党
系メディアの環球時報は10日付けの社説で、「トランプ前政権が中米
関係の枠組みを破壊し、バイデン政権が引き継いだ。中国を抑圧する政
策が体系化・恒久化しつつある」と指摘しています。
米国は3月には日本、オーストラリア、インドの4カ国の連携の枠組み
「クアッド」で、首脳会談を開催し、さらに4月には「クアッド」にフ
ランスを加えて海上共同訓練をインド洋で実施しています。
これらの行動に対して中国は猛反発をしており、この欄でも何度か述べ
ているように、今後「民主主義対専制主義」の対立が新たなリスクとし
て市場の関心を集める可能性があると感じています。
現時点ではその可能性は低いと見られますが、もしそのような事態にな
れば、円が買われることになると見ています。
その意味でも、今週16日にワシントンで予定されている初の「日米首
脳会談」で、台湾問題が議論されるのかどうか、注目されます。
ドル円の上昇トレンドは不変ですが、現時点での方向感はニュートラル
と言えます。
109-111円のレンジとすれば、110円近辺はちょうど「真ん中」
にあたり、市場参加者の関心も高まりにくいレベルです。
ドルが下がったら拾うスタンスとしても、上昇した際には確実に利益を
確保して置くことも必要です。
本日のドル円は109円40銭~110円10銭程度を予想します。
- [2021/04/12 09:27]
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ドル円2週間ぶりに109円まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落。米長期金利がさらに低下したことを受け
ドル売りが優勢となり、約2週間ぶりに109円までドル安が進む。
◆ユーロドルもドル安ユーロ高の流れから、2週間ぶりに
1.1928まで上昇。
◆株式市場は反発。FRBが低金利政策の維持を継続することが
改めて意識されたことで主要3指数は揃って上昇。S&P500は
17ポイント上昇し、連日の最高値更新。
◆債券は続伸し、長期金利は1.61%台まで低下。
◆金は反発し、原油は反落。
本日の注目イベント
◆中 中国3月消費者物価指数
◆中 中国3月生産者物価指数
◆独 独2月貿易収支
◆独 独2経常収支
◆独 独2月鉱工業生産
◆米 3月生産者物価指数
◆加 カナダ3月就業者数
◆加 カナダ3月失業率
ドル円の方向性を決めるカギとなる米長期金利は落ち着きを取り戻した
というより、足元では低下傾向が続いています。昨日のNY債券市場で
は、10年債が買われ長期金利は1.61%台まで低下しています。
米金利低下を受け為替市場ではドル売りが強まり、ドル円は109円近
辺まで、ユーロドルも1.1928まで上昇し、いずれも約2週間ぶり
となるドル安を記録しています。
手掛かりとなったのが、パウエルFRB議長がIMF春季会合のバーチ
ャルパネル討論会で行った発言です。議長は、「現在の回復は不均衡で
不完全なままだ」と述べ、「全ての場所で新型コロナウイルスの感染を
収束させるまで、世界は経済活動を完全に再開することはできないだろ
う」との認識を示しました。
またインフレ見通しについては、「経済再開に伴い物価圧力が高まるこ
とが想定されるが、一時的となる公算であり、仮に長く続くようであれ
ば対策を講じるだろう」と述べ、一時的になると見込まれるインフレ圧
力を抑制する手段を金融当局は持っていることを強調しました。
この発言自体は目新しいものではありませんが、債券市場では価格が上
昇し、長期金利は一時1.615%前後まで低下し、約2週間ぶりに低
水準を付けています。
先月末には1.77%台まで上昇した米長期金利の上昇を受けて、翌日
の東京時間昼には110円97銭までドル高が進みましたが、その後長
期金利の低下と共にドル円の下落傾向が強まるなど、足元のドル円は米
長期金利の動きと極めて密接になっています。上記米長期金利が、1.
77%台まで上昇した際には、「2%まで上昇する」と言った声だけで
はなく、「2.5%」といった観測も台頭していました。
相場の先行きの不透明さというよりも、市場参加者の過熱感、市場参加
者がどこまで強気になっているのか、あるいは弱気になっているのかを、
冷静に見極めることが重要だということです。もちろん、それを判断
することはそう簡単なことではありません。
米商務省は8日、中国でスーパーコンピューターの開発を手掛ける企業
や研究機関など7社・団体を、安全保障上の問題がある企業を並べた「
エンティティー・リスト」に追加することを発表しました。
レモンド商務長官は声明で「中国が軍事の近代化のため米国技術を活用
するのを防ぐため、全ての権限を使う」と述べています。
また議会上院外交委員会でも、「米国の極めて重要な利益と価値を保護
し、促進する上で、中国と戦略的競争を行うための政策」を採用するよ
う、政府に求める法案の作成に取りかかっているとブルームバーグは伝
えています。バイデン政権は日本、オーストラリア、インドを加えた、
いわゆる「クアッド」の構築など、中国に対する強硬な姿勢を徐々に強
めているように思えます。「民主主義と専制主義」の対立がさらに深ま
る可能性が高まっているのではないでしょうか。
今週に入りドル円は東京時間では底堅い動きを見せるものの、NYでは
長期金利の低下に伴いドル安が進む流れが続いています。
109円までドルが反落したことで今後、110円台、あるいは111
円に近づく水準ではドル売りが集まり易くなり、ドルの上値を抑えるこ
とになりそうです。ただ、ここまではまだ想定内と言えます。
日足チャートでは下落傾向が見て取れますが、依然として主要移動平均
線が「上向き」です。一目均衡表の「転換線」が「基準線」を上から下
に抜ける「逆転」を示現するまでドルの上昇傾向を支持していたいと考
えます。
本日のドル円は109円~119円80銭程度を予想します。
- [2021/04/09 09:37]
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ユーロドル1.19台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は109円台半ばから後半でもみ合い。長期金利が小幅に上昇したことで底堅い動きを見せたものの、110円台には届かず。
- ユーロドルは続伸し、1.19台を回復。1.1915までユーロ高が進み、ユーロ円も130円台半ばに。
- 株式市場はまちまちながら、S&P500は小幅に上昇し、最高値を更新。
- 債券は反落。長期金利は1.67%台へとやや上昇。
- 金は5日ぶりに小幅安。原油は続伸。
本日の注目イベント
- 日 2月貿易収支
- 日 2月国際収支
- 日 3月景気ウオッチャー調査
- 独 独2月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏2月生産者物価指数
- 欧 ECB議事要旨(3月会合)
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演米 パウエル・FRB議長、IMFの春季会合でパネル討論に参加
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、オンラインイベントで講演
- 米 新規失業申請件数
ユーロドルは上昇し、約2週間ぶりに1.19台まで「ドル安・ユーロ高」が進みましたが、ドル円ではドルが買われています。昨日のNYでは上昇を続けていたポンドに利益確定の売りが出た模様で、ポンドドルが下げ、その影響からドル円でもドル買いが強まったようです。米長期金利が小幅に上昇したこともドル円をサポートしましたが、株式市場も含め、目立った動きのない1日でした。
3月16、17日に開催されたFOMCの議事録が公表されました。FRBは2023年末まで現在のゼロ金利政策を継続する姿勢を見せてはいますが、前回会合では利上げを予想するメンバーが増えてこともありその内容が注目されていましたが、特段市場を動かす材料には乏しかったようです。議事要旨では、「委員会の目標である最大限の雇用と物価安定に向け一段と顕著な進展が実現するには、しばらく時間がかかる公算が大きいだろうと参加者らは認識した」と記されています。また今後の政策変更に関しては、「資産購入ペースの変更を正当化するだけの顕著な進展があったと判断できるようになるその十分前に、委員会が明確な意思伝達を図ることが重要だと、幾人かの参加者が強調した」とあります。金融政策の変更は市場の混乱につながる恐れがあるため、事前に明確なメッセージを示すとしたパウエル議長の発言に沿った内容でした。
足元の債券市場の動きは落ち着きを取り戻し、長期金利は1.6%台半ばから後半で推移していますが、シカゴ連銀のエバンス総裁は講演で長期金利の利回りの最近の上昇について、「全く意外な展開というわけではないと考えている。経済が改善しつつあるというシグナルだ。今後われわれがインフレ圧力を注視していく中で留意する必要があるのも確かだ」と語っています。物価については「2.5%のインフレ率はいかなる状況でも限度を超えたと捉えるべきではない」とし、「3%でも一定の期間は歓迎されよう」とも述べています。(ブルームバーグ)これまでパウエル議長をはじめ、多くのFOMCメンバーが口にしたのは「2%を超えても」といった表現や、「一定期間2%を上回ることが見通せたら」といった表現にとどまっていましたが、エバンス総裁が「2.5%」、「3%」とい数字を例に出したことはやや驚きでした。これは、大規模な財政出動に加え、コロナワクチン接種が急速に進んだことでインフレ圧力が相当強い現実を踏まえての発言と理解しています。要は、当局はインフレ率が2%を超えることを十分に認識しており、超えたとしても驚くべきことではないと、市場の動きをけん制したものと捉えることができそうです。
先月20日にアーバル中銀総裁を更迭し、新しくカブジュオール氏を新総裁に据えたエルドアン・トルコ大統領でしたが、7日アンカラで与党議員らに対して、「インフレが最近加速したが、われわれは物価上昇率を1桁に押し下げる決意だ」と述べ、「金利も1桁に引き下げることを決意している」と続けました。今週5日発表されたトルコの3月の消費者物価指数は16.19%(前年比)と、前月よりもさらに上昇していました。政策金利である1週間物レポ金利も19.0%です。この2つの金利を1桁に戻すというエルドアン氏の「野望」は簡単ではありません。トルコは経常収支も赤字が続いており、経済的結びつきの強いEUとは、東地中海のガス田権益を巡り激しく対立しており、さらに女性を巡る人権問題でも関係が悪化しています。6日にはEUのミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長がトルコを訪問し、エルドアン氏と会談しましたが、溝は埋まらず対立が深まっている状況です。
来週のトルコ中銀の金融政策発表はかなりの注目を集めそうです。
ドル円は次の材料待ちです。長期金利の動きが重要なことは変わりませんが、新年度に入り、本邦機関投資家の運用計画も気になるところです。
本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度を予想しています。

- [2021/04/08 10:18]
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米金利低下でドル円109円台半ばまで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆底堅い動きを見せ、欧州時間には110円台半ばまで
上昇したドル円はNY市場で急落。米長期金利の急低下に
伴い109円67銭までドル安が進み、この日の安値圏で
引ける。
◆ユーロドルは反発。1.1878までユーロ高が進み、
約2週間ぶりの水準を回復。
◆株式市場は反落。バイデン大統領の提案する大規模な
インフラ投資計画が議会で修正を迫られる懸念が台頭。
ハイテク株を中心に主要3指数は揃って下落。
◆債券は急上昇。長期金利は1.6%台半ばまで低下。
◆金と原油は上昇。
本日の注目イベント
◆日 2月景気先行一致指数(CI)(速報値)
◆中 中国 3月外貨準備高
◆独 独3月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏3月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏3月総合PMI(改定値)
◆米 2月貿易収支
◆米 FOMC議事録(3月16日-17日分)
◆米 2月消費者信用残高
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁、パネル討論に参加
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆加 カナダ2月貿易収支
◆ G20財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)
ドル円は米長期金利の急低下に伴い109円67銭まで売られ、約1週間ぶりとなる
ドル安水準を付けました。ドル円は昨日の東京時間でも底堅く、欧州市場では110
円台半ばまでドルが買い戻される場面もありましたが、主戦場のNYでは米長期金利
が1.6%台の半ばまで低下したことで109円67銭までドルが売られています。
バイデン大統領が3月31日に発表した2兆2500億ドル(約250兆円)規模の
インフラ投資計画を巡り、共和党有力議員が規模を縮小しないと支持しないと表明し
たことから、同案の議会での成立が不透明になってきました。
またこの日は株式市場でハイテク株が売られ、主要株価指数が軟調だったこともあり、
債券が買われ、金利が低下したと見られます。
IMFは6日、世界経済見通し(WEO)を公表しました。世界全体の成長率を従来
の「5.5%」から、「6.0%」に上方修正しながらも、先進国と発展途上国との
格差の拡大や乖離に警鐘を鳴らしています。米国は「5.1%」から「6.4%」大
幅に引き上げ、日本は「3.3%」、欧州は「4.4%」とそれぞれ上方修正し、中
国は「8.8%」としています。先進国の中では日本と欧州の上方修正幅が小さく、
米国の修正幅が突出しています。これについてIMFは、バイデン大統領が先月署名
し成立した1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策が、米国の今年
のGDPを、パンデミック前を上回る水準に押し上げ、貿易相手国にもかなりのプラ
スの波及効果をもたらすとしています。
一方で、多くの先進国が22年までにパンデミック前の水準に戻らず、新興国や途上
国がコロナ禍前の水準に戻るのは23年までかかると予想しています。
IMFのゴピナート、チーフエコノミストは今後の展望について、「各国間および各
国内での回復ペースの乖離や、危機に伴う持続的な経済的ダメージの恐れに関して非
常に困難な問題を突き付ける」とコメントしています。(ブルームバーグ)
バイデン大統領はワクチン接種の現状について6日、米国の18歳以上の全成人が4
月19日までに新型コロナウイルスワクチンの接種対象になると正式に発表しました。
また欧州ではワクチン接種の進捗度の違いにより、感染者数に大きな差が出ており、
一時は1日で10万人を超えたイギリスでは3000人程度まで急速に減少していま
す。
一方ワクチン接種の遅れているフランスでは、感染者数の爆発的な増加に対応し今週
から厳しいロックダウンに踏み切っています。
ただ大半のEU加盟国は6月末までに、人口の過半数に接種するのに十分なワクチン
を確保する見込みだと、欧州医薬品庁(EMA)は発表しています。
長期金利の上昇に伴って111円手前まで買われたドル円でしたが、ここにきてやや
軟調な動きに変わっています。ドル円のドライバーである米長期金利が、1.75%
前後まで上昇すると押し戻される展開となっており、この水準が「壁」になりつつあ
ります。多くの債券専門家が「米長期金利は2%まで上昇する」と予想し始めました
が、その予想に反して足踏みすることは良く見られることです。
ただ、上述のIMFの予想にもあるように、コロナワクチンの接種が急速に進み、さ
らに世界で類を見ない大規模な経済対策を打ち出した米国の優位性は意識せざるを得
ません。余程突発的なことがない限りリスクオンの流れは続き、ドル高基調は変わら
ないと考えます。ドルの押し目を拾うスタンスが有効かと考えます。
本日のドル円は109円40銭~110円30銭程度を予想します。
- [2021/04/07 09:23]
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ドル円約1週間ぶりに110円台を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は下落し、約1週間ぶりに110円台を割り込む。
良好な経済指標を受けても米長期金利が低下したことで
ドル売りが強まった。
◆ユーロドルは反発。ドル安の流れからユーロ買い戻しが
強まり、1.1819まで上昇。
◆株式市場は大幅び続伸。先週末の良好な雇用統計に加え、この日
発表されたISM非製造業景況指数も予想を上回ったことを好感。
ダウとS&P500は最高値を更新。
◆債券は反発。長期金利は1.700%近辺まで下落。
◆金は小幅に上昇。原油は大きく売られ58ドル台に。需給悪化の
見通しが重石となり2ドル80セントの下落。
◆3月ISM非製造業景況指数 → 63.7
◆3月マークイットサービス業PMI(改定値) → 60.4
◆3月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 59.7
◆2月製造業受注 → -0.8%
本日の注目イベント
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆中 中国3月財新サービス業PMI
◆欧 ユーロ圏2月失業率
◆米 IMF世界経済見通し(WEO)
先週発表されたISM製造業景況指数に続き、非製造景況指数も予想を大きく
上回り、米景気が順調に回復していることを示す結果でした。3月のISM非
製造業景況指数は「63.7」と、実に1997年の統計開始後で最高となり
ました。前月の「55.3」を大きく上回り、過去最高でしたが業種別の内訳
を見ると、18業種全ての活動が拡大しており、中でも「娯楽」、「リクリエ
ーション」、「卸売り」、「鉱業」の伸びが目立っています。ISM非製造業
景況調査委員会のニエベス委員長は、「3月はサービス業の拡大ペースが大き
く加速した」と述べています。(ブルームバーグ)細目では「新規受注」が統
計史上最高の「67.2」と、前月の「51.9」から大幅に改善しています。
同指数は「50」が活動の拡大・縮小の境目で、製造業同様、サービス業でも
活動が大きく回復していることが確認されました。
先週からの相次ぐ経済指標の上振れを受け、インフレ懸念の高まりから債券が
売られ、長期金利が上昇するのがこれまでのセオリーでしたが、昨日のNYで
は債券は買われ、金利は低下しています。
債券市場が落ち着きを取り戻し、「経済データの上触れ→債券売り」といった
反応を見せなくなったようです。
長期金利の下落を受けドル円ではドル売りが強まり、堅調だったドル円も先月
30日以来となる110円割れを示現しています予想したように、「111円
が近いようで遠い」結果になっています。それでもこのステージは調整局面に
過ぎず、ドルが売られた所は、押し目買い(Buy on dip)という基本スタンス
は維持されると考えます。参考までにIMMのポジションを見ても、投機筋の
ネット円売りポジションは急拡大しています。米商品先物取引委員会(CFT
C)のデータでは、3月30日時点でのネット円売り枚数は4万8510枚と、
2019年1月以来の大幅な円売りとなっています。投機筋は3月に入ってか
ら、それまでの「ドル売り・円買い」のポジションを、「ドル買い・円売り」
に転換しており、これがドル円を111円手前まで押し上げた原動力の一部と
見られます。
イエレン財務長官はシカゴ国際問題評議会(CCGA)の会議で、国際的な経
済政策に関する初の主要な演説を行い、米国の「国際舞台」への復帰をアピー
ルしました。中国の名前を挙げつつ、競争環境を公平なものにするため米国に
は「世界市場での強力なプレゼンス」が必要だと述べています。イエレン氏は
、「米国第一が、米国単独ということであっては決してならない」と述べ、ト
ランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」を批判したと思われる発言を行い、
その上で「世界におけるリーダーシップと関与の欠如は、米国の機関と経済を
脆弱させる」と指摘しました。
さらにイエレン氏は、トランプ前政権の4年間について、米国を「自ら孤立さ
せ、米国が築いた国際秩序から後退させた」(ブルームバーグ)と批判し、コ
ロナ対策の財源確保のために、米国が主導する形で法人税における最低税率
(Minimum Corporate Tax)の創設を提案しています。イエレン氏は著名な経
済学者でありFRB議長経験者であることはご存知の通りですが、財務長官就
任後は、歯に衣着せぬ、それでいて、経験に裏付けされた鋭い発言が目立って
いると感じます。立場の違いはあるにせよ、トランプ政権時代のムニューシン
財務長官との存在感の違いに驚くばかりです。
ドル円は昨日のNY市場で一旦110円を割り込みましたが、110円近辺に
は短期的な動きを示す「1時間足」の「200時間移動平均線」があります。
引き続きこの水準を明確に抜け切るかどうかに注目しています。
本日のドル円は109円90銭~110円60銭程度を予想します。
- [2021/04/06 09:45]
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米3月の雇用者数は91.6万人増
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆3月の非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったが、
すでに織り込み済みとの見方からドル円は小幅に反落。
参加者が少なく商いも低調となる中、110円51銭まで
売られる。
◆ユーロドルは欧州市場が休場だったこともあり小動き。
1.17台半ばで推移し、値幅も20ポイント以下にとどまる。
◆債券市場は良好な雇用統計を受け反落。長期金利は
1.72%台まで上昇。
◆3月失業率 → 6.0%
◆3月非農業部門雇用者数 → 91.6万人
◆3月平均時給 (前月比) → -0.1%
◆3月平均時給 (前年比) → 4.2%
◆3月労働参加率 → 61.5%
本日の注目イベント
◆トルコ トルコ3月消費者物価指数
◆米 3月ISM非製造業景況指数
◆米 3月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米 3月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米 2月製造業受注
「91.6万人の増加」・・・。3月の非農業部門雇用者数は予想通り
というか、予想を大きく上回る結果でした。
先週末のこのレポートでも指摘したように、ADP雇用者が大きく伸び
、ISM製造業景況指数も記録的な高水準となり、さらに失業保険申請
件数も減少していたことで、雇用者数は大きく伸びていました。失業率
も予想より改善しており、「6.0%」に低下しています。
また、これも指摘したことですが、その結果を受けた為替市場ではドル
が売られ、110円台半ばまで下落しています。
良好な結果がすでに予想されており、市場には織り込み済みだったこと
で、むしろ材料出尽くしからドルが売られる結果でした。
この日はグッドフライデーで、欧州市場は休場。米国でも株式市場や商
品市場が休みで、債券市場も短縮取引でした。
株式市場が開いていたら、この結果をどのように受け止めていたのか、
興味のあるところです。
米国ではコロナワクチンの接種が急速に進み、さらに先週には米ファイ
ザーと独モデルナが開発したワクチンでは、接種後6カ月の有効性も高
いことが確認されています。
このため、米疾病対策センター(CDC)は、ワクチン接種が済んだ者
の国内移動を認めることも発表しています。
加えてバイデン政権の大規模の財政出動で、人々の消費者心理は急速に
改善しており、これらが経済データを改善させている構図になっていま
す。
バイデン大統領は2日、3月31日に公表したインフラ投資計画につい
て、向こう10年で1900万人の雇用創出につながる見通しを示しま
した。
大統領はホワイトハウスで、「独立した分析は、この計画が成立すれば
経済が1900万人の雇用を生むことを示している」と発言し、「良質
の雇用、ブルーカラー雇用、報酬の良い雇用だ」と述べています。ただ、
このインフラ投資計画案は、今後議会の承認を得る必要があり、すんな
り議会を通過するかどうかは不透明です。
共和党のブラント上院議員はFOXニュースの番組で、「政権がインフ
ラ投資計画を6150億ドル(約68兆円)ほどに縮小すれば、超党派
の支持が望めるかもしれない」(ブルームバーグ)と発言しており、今
後議会での承認を得るため、計画の規模を縮小する可能性もあるようで
す。
ドル円は依然上昇の余地を残しているものの、チャートでは「月足の雲
の下限」で一旦上昇が抑えられた形になっています。引き続き111円
台乗せをテストする可能性が高いと予想しますが、今後も株価の動向と
長期金利の動きがカギになります。上昇傾向にある株価は、このところ
やや調整気味とも受け取れます。
また長期金利も1.75%を超えると、金利水準が魅力的とみた機関投
資家からの買いが入り、金利を押し下げる展開が続いており、少なくと
も3月初旬のころとは様相を異にしています。
何かのきっかけで市場の流れが「逆回転」する可能性も、決して高くは
ないものの頭の片隅には入れておきたいところです。
本日のドル円は110円20銭~111円10銭程度を予想します。
- [2021/04/05 09:25]
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S&P、初の4000台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上昇が一服。米長期金利が低下したことで
ドル売りが優勢となったが、110円55銭近辺で
下げ止まる。
◆ユーロドルは前日の水準をやや切り上げたが、
上値は1.17後半までと限定的。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高に。バイデン大統領の提案
する大規模なインフラ投資を歓迎する一方、長期金利も
低下したことで株式市場に安心感が。S&P500は初の
4000ポイント乗せ。
◆債券は反発。長期金利は1.67%台へと低下。
◆金と原油は上昇。
◆3月ISM製造業景況指数 → 64.7
◆新規失業保険申請件数 → 71.9万件
◆3月自動車販売台数 → 1775万台
本日の注目イベント
◆欧 「グッドフライデー」の祝日で欧州市場は休場
◆米 3月雇用統計
◆米 債券市場は短縮取引
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加
昨日のNY市場では通貨のドル以外は全て買われています。
債券が買われ、長期金利は1.7%を割り込み、1.67%台で取引を終えて
います。長期金利の低下を好感し、株式市場では主要3指数が揃って大きく上
昇しました。調整ムードの漂うナスダックが大きく買われ、S&P500は初
の「4000」ポイントに乗せています。また、金(きん)も続伸し、WTI
原油価格は大幅に反発して再び61ドル台に乗せています。
「OPECプラス」が、5月から7月に段階的に石油生産を引き上げることで
合意し、サウジアラビアは自発的に実施している100万バレルの追加減産を
徐々に解消することを決めました。「増産」は本来、原油価格の下押し要因で
報道を受け下落で反応しましたが、製造業を中心に世界経済の回復基調が鮮明
で、内外から供給を増やすよう求められていることから次第に買いが優勢とな
った模様です。
この欄でたびたび触れているように、米経済指標の上触れが鮮明となり、大規
模な景気刺激策の効果が企業経営者や消費者のマインドを大きく改善している
ようです。
昨日発表された3月のISM製造業景況指数は、高水準が予想されてはいまし
たが、結果は期待通りと言うか、期待を大きく超える「64.7」でした。
前月の「60.8」だけではなく、予想の中心値であった「61.5」も大き
く上回っていました。これは1983年以来となる高水準で、新規受注と生産
が特に大きく伸びています。前日のADP雇用者数も大きく伸びており、これ
で、今夜の雇用統計にも俄然期待が高まります。3月の雇用統計では非農業部
門雇用者数が「65万人増」と予想されていますが、ブルームバーグによると
、一部には100万人増も見込まれているそうです。失業率も6.2%に改善
すると見られています。ただ、市場では上振れ期待が相当高まっていることか
ら、仮にその通りであってもドル円の上昇余地は限られることも考えられます。
ここは、上値目線を維持しながらも、予想を大きく下回った場合に備えておく
必要もあろうかと思います。
FOMCメンバーの多くが、インフレ懸念に関してイエレン財務長官と歩調を
合わせる発言を行っています。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、バイデン大統領が発表した大規模な
インフラ計画により、金融当局の利上げの道筋やインフレ見通しが変わること
はないとの認識を示しました。
総裁は、インフラ計画は「全体的に成長が押し上げられるものの、インフレが
高進することはないだろう」と述べ、成長を加速させることができると語って
います。また利上げについては、「急ぐ必要はない。私が目にする必要がある
のは、2%のインフレ率が一定期間続き、さらに一定の期間2%を上回ると予
想される状況だ。そうなれば、次の景気拡大期にインフレ率が必ず期間平均で
2%になると私は確信できる」と述べています。
セントルイス連銀のブラード総裁も、インフレ率が、これから1年程度でいく
らか上昇する可能性があるとしつつも、「しばらく2%をやや上回ることとな
れば、FOMCにとって歓迎すべき展開だろう」と指摘し、これまで長期にわ
たり2%を下回ってきたことを理由に挙げています。(ブルームバーグ)
米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナワクチンは、接種から半
年後も極めて高い有効性があるようです。
両社が発表した報告書によると、治験に参加した4万6307人について追跡
調査した結果、2回目の接種後1週間後から半年後までの間に有症状の感染を
91.3%防いだことが示されました。米国に限定すると、この有効率は92
.6%に上ったとのことです。
同時に、南アフリカ共和国で発生した変異株「B.1.351」に対しても効果
があったことも示唆されています。
111円目前まで一気に駆け上がったドル円は今夜の雇用統計を前に動きを止
めています。
この欄でも述べたように「米国の一人勝ち」状態が強まっており、ドル高傾向
は自然の成り行きですが、決してその通りに動いてくれないのが「相場のアヤ」
です。
今夜は111円を超えられるかどうかが上値の焦点ですが、一方110円台を
維持できるかどうかにも注目しています。
市場参加者が少ないということで、本日の予想レンジは110円~111円3
0銭といったところでしょうか。
- [2021/04/02 09:33]
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ドル円続伸し、111円に迫る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸。東京時間昼頃、110円97銭までドルが
買われたが、NY市場ではその水準を抜けず、110円84銭
止まり。
◆ユーロドルは底堅い動きを見せ、1.17台前半から半ばで
推移。ユーロ円は130円台に乗せる場面も。
◆株式市場はまちまち。バイデン政権のインフラ投資を好感し、
ナスダックとS&P500は3日ぶりに反発し、ダウは続落。
◆債券は続落。長期金利は1.74%台に上昇。
◆金は反発し、原油は続落。
◆3月ADP雇用者数 → 51.7万人
◆3月シカゴ購買部協会景気指数 → 66.3
◆2月中古住宅販売成約件数 → -10.6
本日の注目イベント
◆豪 豪2月貿易収支
◆日 1-3月期月日銀短観
◆中 中国3月財新製造業PMI
◆独 独3月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
◆英 英3月製造業PMI(改定値)
◆米 3月ISM製造業景況指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 3月自動車販売台数
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインシンポジウムで講演
◆加 カナダ2月住宅建設許可件数
ドル円の上昇スピードが思った以上に速い印象です。
前日110円台に乗せたドル円は昨日の東京時間朝方から堅調に推移し、昼頃には
110円97銭まで一気に上昇する場面がありました。
1年ぶりの110円台半ばという水準でもあり、こういった場面では東京時間では
ドル売り注文が上値を抑える展開がこれまでの動きでしたが、反対にドル買いが強
まり、111円近辺までドルを押し上げました。
特段材料はなかったので、ストップロスのドル買いが執行されたものと見られます。
ただ、その後のNYではドルが底堅い動きを見せたものの111円には届いていま
せん。
バイデン大統領は日本時間の今朝方、ペンシルベニア州ピッツバーグでインフラ投
資として、8年間で2兆5000億ドル(約250兆円)規模の計画を発表しまし
た。ピッツバーグはかつて「鉄の街」として繁栄してきましたが、その後米国の鉄
産業は日本やインドなどに後塵を拝し、街全体が衰退しました。ただ現在は再生し
た街として脚光を浴びており、今回の大規模なインフラ投資計画を発表するには相
応しい場所と言えます。計画は4本の柱からなり、公共交通機関など運輸に620
0億ドル、生活の質向上に関連した施策に6500億ドル、製造業の強化のために
5800億ドル、そして高齢者と障害者の介護向上に4000億ドルを振り向ける
というもので、幅広い分野にまたがっています。
バイデン大統領は演説で、過去の経済成長では米国社会の多くの層が取り残されて
いたが、「われわれは誰も置き去りにすることはない」と強調し、「誰もが成功す
れば、皆がもっとうまくいく」と述べました。また大統領は、「米経済を中流階級
から構築するべき時だ」とし、自分の計画は「富みだけではなく、勤労に報いるも
のだ」と説明しています。ただその背景は、経済的にも急速に力を付けて来ている
中国を意識したもので、「中国に対抗する」ことを明確にしています。
一方で大規模な投資の財源として、現行21%の法人税率を28%に引き上げると
ともに、世界的に事業展開する企業の利益に税率21%の「ミニマム税」を適用す
るとしています。それら増税で補えない部分については、国債発行に頼るようです。
ただこの案には共和党が拒否をすると見られ、議会での審議が難航することも予想
されます。
ラガルドECB総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、足元で上
昇傾向を見せている金利について、投資家が債券利回りを押し上げようとすれば、
ECBは持てる全ての手段を駆使して対応すると言明しました。
総裁は、「投資家は好きなだけわれわれを試すことができる。ECBは現在、例外
的な手段があり、必要に応じて使用する」と述べています。
金利上昇は、ユーロ圏の景気回復を最優先するECBの政策にマイナスとの認識を
示しました。
先月1.9兆ドルの追加経済対策が成立し、すでに実施されていることで、 米国
のコロナ禍に対する経済対策の規模は累計で約5兆ドル(約553兆円)にも上っ
ています。
これは日本の昨年のGDPを上回る規模だと思われます。ワクチン接種の進展でコ
ロナ禍からの経済回復期待も高まっており、多くの研究機関が2021年の米国の
GDPは6.5%~7.5%近辺に上振れると予想しています。
ブルームバーグエコノミクスはこれら大規模な経済対策に加え、パンデミックが始
まって以降に積み上がった多額の貯蓄の取り崩しや、不動産価格・株式相場の上昇
に伴う多大な資産効果といった「3つの要因」から、2021年10-12月GD
Pは7.7%になると予想しています。インフレ率が上昇し、長期金利も上昇する
ことでドルが買われるといった「好循環」が続く可能性が高いと見られます。
ドル円も昨日の上昇で、すでに「113円まで上昇する」といった声も出てきまし
た。その可能性は高いとは思いますが、それでも予想通りに行かないのが相場の常。
この先、メインシナリオを妨げるものは何か?じっくりと見ていかなければなりま
せん。
本日は月初めということで、ISM製造業景況指数の発表があります。
最新の予想では「61.5」と、2月の「60.8」からさらに改善すると見られ
ています。昨日のADP雇用者数もまずまずの高水準でした。こうなると、「明日
の雇用統計でも・・・・」といった見方も強まります。現時点での明日の非農業部
門雇用者数の予想は「65万人増」です。
本日のドル円は110円40銭~111円30銭程度と予想します。
- [2021/04/01 09:36]
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