fc2ブログ

ドル円110円台に乗せた後反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はインフレ指標の発表に110円台を回復し、
110円20銭まで続伸。ただその後は米長期金利低下に
伴いドル売りが勝り、109円74銭まで下落。
◆ユーロドルは朝方の1.21台前半から上昇。1.2205
まで買い戻される。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って上昇。ダウは64ドル高と、
3日続伸。
◆債券相場は反発。長期金利は1.59%台に低下して越週。
◆金は買われ、原油は反落。

◆4月個人所得                →  -13.1%
◆4月個人支出                →  0.5%
◆4月PCEコアデフレータ          →  3.1%
◆5月シカゴ購買部協会景気指数        →  75.1
◆5月ミシガン大学消費者マインド(確報値)  →  82.9

本日の注目イベント

◆日   4月鉱工業生産
◆中   5月中国製造業PMI
◆中   5月中国サービス業PMI
◆独   独5月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏4月マネーサプライ
◆欧   OECD経済見通し
◆英 LDN休場(バンクホリデー)
◆米 NY休場(メモリアルデー)
◆加   カナダ1-3月期経常収支

ドル円は先週末のNY市場で、4月6日以来となる110円台を回復し、
110円20銭まで続伸しましたが、先週末の本コメントでも懸念した
ように、110円台での「滞空時間」は短く、110円台ではやはりド
ル売り意欲も旺盛だったようです。NYの朝方発表されたインフレ関連
の経済指標は大幅に上昇しており、さらに消費者マインドなど、景気の
先行きを示す経済指標も軒並み「記録的な」結果だったことから米長期
金利は1.62%台まで上昇する場面もありましたが、結局前日よりも
水準を下げており、この動きに伴ってドル円も109円75銭前後まで
押し戻さています。
米長期金利が思いのほか下落圧力の強いことにやや驚きでしたが、ドル
円はひとまず110円台を見たことで、「達成感」が出てジリジリと下
げる展開になるかどうか、新たな懸念として意識されるかもしれません。
米4月の個人消費支出は前月比「0.5%」、3月分は「4.7%」に
上方修正され、昨年6月以来となる大きな伸びでした。
一方、個人所得の方は前月比「13.1%減」と大きく減少していまし
たが、これは3月には経済支援策が実施され、個人にも現金給付があっ
たことの反動と捉えられています。
FRBが注目するPCEデフレータは前月比で「0.6%」と、市場予
想と一致していました。またコア指数は前年同期比で「3.1%」上昇
しており、1992年7月以来の高水準でした。全体としては予想と一
致か、予想をやや上回ったものの、市場の一部ではインフレ懸念を後退
させ、債券と株が買われ、金利の低下に伴ってドルが売られる展開でし
た。

米国では本日「メモリアル・デー」のため休日となり、連休前28日に
は約200万人が米国の空港の保安検査を通過したと報じられています。
米国ではコロナワクチン接種が進み、週ごとの新規感染者数は4月末時
点に比べ半分以下に減り、ほぼ1年で最低となっています。
一部のスポーツ競技場に新型コロナウイルスのパンデミックが始まって
以来の多くの観衆が集まったようです。
一方、中国の広州市は一部に外出禁止令を出し、マレーシアは2週間の
全国的なロックダウン措置を導入すると発表。また南アフリカのラマポ
ーザ大統領は夜間外出禁止の時間帯を1時間延ばすとともに、公共の場
で集まれる人数に関する制限措置を強化しています。
ケニアは夜間外出禁止令を60日延長した。(ブルームバーグ)と伝え
られ、結局ワクチン接種の進み具合の差がそのまま反映されている状況
です。
日本も大規模接種会場の運営も軌道にのりつつあるようで、感染者数も
再び減少傾向にある状況です。もちろん、まだ予断は禁物ですが、今週
さらに減少傾向が見られるようなら、「第4波」も峠を越えたのかもし
れないと考えるはまだ早いのでしょうか?

ドル円は110円台を見せたものの直ぐに押し戻され、引き続き底堅い
ものの、上値の突破もそう簡単ではないことが確認できた格好です。
しばらく「110円定着を目指しては失敗を繰り返す」展開を予想して
います。

本日のドル円は109円50銭~110円30銭程度といったところで
しょうか。


スポンサーサイト



ドル円5週間ぶりに109円台後半まで続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大幅に続伸。約5週間ぶりとなる109円92銭まで
ドルが買われた。米長期金利の上昇と、失業保険申請件数が
減少していたことなどが材料に。
◆ユーロドルは小幅に続落。1.2180まで売られたが
前日の安値と同水準で下げ止まる。ユーロは対円で134円
台に乗せる場面も。
◆ポンドが大幅に上昇。早期の利上げもあり得るとの英金融
当局者の発言を手掛かりに、ポンドドルは1.41台前半から
100ポイントほど上昇し、約3カ月ぶりの高水準に。
◆株式市場は続伸したものの、ナスダックは長期金利の上昇が
嫌気され小幅に下落。ダウは141ドル高と、最高値に300
ドルほどに迫る。
◆債券は続落。長期金利は1.60%台に上昇。
◆金は前日とほぼ変わらないながらも高値圏で推移。
原油は5日続伸。

◆新規失業保険申請件数         →  40.6万件
◆4月耐久財受注            →  -1.3%
◆1-3月GDP(改定値)       →  6.4%
◆4月中古住宅販売成約件数       →  -4.4%

本日の注目イベント

◆日   4月失業率
◆日  5月東京都区部消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏5月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏5月景況感指数
◆米   4月個人所得
◆米   4月個人支出
◆米   4月PCEコアデフレータ
◆米   5月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   5月ミシガン大学消費者マインド(確報値)
◆米   バイデン大統領、2022年度予算教書発表

ドル円が日足ベースで「雲抜け」を見せドルの上昇を示唆しているが、抜けた形が
いまひとつであったことから、ドルの上昇には懐疑的だとのコメントを、昨日この
欄で印ました。しかし思った以上にドルが買われ、ドル円は約5週間ぶりに109
円92銭まで上昇しました。昨日述べたように、109円30-50銭の目先のレ
ジスタンスゾーンを抜けています。労働市場の改善傾向を示す指標と米長期金利の
上昇が材料になりましたが、ここからは110円台に乗せることができるかどうか
が次の焦点になります。それにしても、ドル高材料が出てドル円は素直に上昇する
ものの、ユーロドルなどではそれほどドル高が進まず、「円の独歩安」がさらに進
みました。ユーロ円は134円台に乗せ、ポンド円では156円台と、約3年4カ
月ぶりの水準まで円安が進んでいます。

発表された新規失業保険申請件数は4週連続の減少で、新型コロナワクチンの普及
で、事業制限措置が引き続き緩和される中、労働市場の回復が順調に進んでいるこ
とを表していると考えられます。州別ではワシントン、ニュージャージー、フロリ
ダ州で、申請件数が大きく減少しています。来週には早くも5月の雇用統計が発表
されますが、今度は4月のような「ネガティブ・サプライズ」はないかもしれませ
ん。

バイデン大統領が今日の予算教書で発表する案は、連邦政府の歳出が6兆ドル(約
660兆円)に増加する模様で、年間の財政赤字は今後10年にわたって1兆30
00億ドルを超える見通しだとNYタイムズ紙が報じています。
この予算にはバイデン氏が掲げる1兆7000億ドルのインフラ投資計画も含まれ
ています。議会が予算案をこのまま受け入れるかどうかは不明ですが、詳細は今夜
発表されます。

イエレン財務長官は下院歳出委員会の公聴会で、高水準のインフレ率は年末まで続
くが、依然として一時的なものだとの認識を維持する姿勢を見せました。
イエレン氏は、「最近のインフレは一時的であり、定着するようなものではないと
いうのが、現時点での私の判断だ」とし、「しかしながら、この状態はもう数カ月
間は続き、今年末までインフレ率は高止まりするとみている」と述べています。
(ブルームバーグ)イエレン氏はインフレが進んだ理由として、新型コロナウイル
ス禍に関連した個人支出の変化や、サプライチェーン障害が物価の変動を引き起こ
したものであると指摘しています。

ドル円は再び110円台を回復できるかどうかが焦点です。
110円台を回復すれば、4月6日以来ということになりますが、ただこの時でも
110円台での「滞空期間」はわずか5日でした。110円台に乗せたとしても、
この水準を長く維持できるかどうかも焦点になります。
「日足」の「雲抜け」は完成させましたが、110円台での「滞空時間」が短期間
に抑制されているのは、「月足」チャートを見ればまさに「一目瞭然」です。
「月足」では、雲がちょうどおいかぶさるように、ローソク足の上に横たわってい
ます。この雲の上限は現在112円75銭近辺にあります。
112円台と言えば、昨年のドルの高値が112円23銭でしたので、この月足の
雲を抜ければ、上方に空間が広がりドルの上昇にさらに弾みがつくとも予想されま
す。もちろん、そう簡単ではないでしょう。
今後は「日足」の雲に支えられながらも、「月足」の雲に上昇を抑えられるといっ
た展開かもしれません。

本日のレンジ予想は109円40銭~110円20銭程度といったところでしょう
か。


ユーロドル2週間ぶりの安値に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台を回復し、109円18銭まで上昇。
米長期金利が反発したことや、ユーロドルでドル高が進んだ
影響からドルが押し上げられた。
◆ユーロドルは反落。1.2182まで売られ、対ドルでは
約2週間ぶりの水準までユーロ安が進む。
◆株式市場は閑散とした取引の中、3指数は揃って反発。
ダウは小動きの中10ドル高。ナスダックは80ポイント
上昇し、このところ堅調な動きが目立つ。
◆債券は反落。長期金利は1.57%台に上昇。
◆金は続伸し1900ドル台に。米長期金利の低下傾向が
支えに。原油も4日続伸。

本日の注目イベント

◆中   中国4月工業利益
◆独   独6月GFK消費者信頼感
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   4月耐久財受注
◆米   1-3月GDP(改定値)
◆米   4月中古住宅販売成約件数
◆米   大手米銀CEO、下院金融委公聴会で証言


もみ合いが続いているドル円は109円台を回復し、109円18銭まで上昇
しています。この日も特にドル円そのものに材料があったわけではなく、ユー
ロが対ドルで売られたことでドル円でも円が売られた側面が強かったものと見
られます。昨日もこの欄で述べたように、短期的にはドルの上値が重くなる展
開が続いていますが、それでも円が積極的に買われる可能性は低いと見られ、
ドル円の下値は限定的と見ています。主要通貨に対して円が売られ易いことや、
株式市場でも日本株の停滞が顕著なことも、やはりワクチン接種の進み具合が
影響しているとの見方が衆目の一致するところです。

ただ、テレビでも連日放映しているように、東京と大阪で始まった「大規模接
種」は徐々に効果を発揮すると見られ、菅首相が宣言した「1日100万回の
接種」は簡単ではないとしても、各自治体での接種も徐々に効率的に運営され
てくると思われ、どこかの時点でその影響が出て来る可能性もあります。
接種率が大きく伸び、感染者数が急激に減少するような状況になれば、巻き戻
しから円高、株高に振れる局面もあるかもしれません。ただ、東京や大阪など
7都道府県は昨日、緊急事態宣言の延長を政府に要請しており、今週末にも宣
言の延長を決定するようです。その場合、沖縄県の期限である6月20日、あ
るいは6月末までになりそうです。ワクチン接種の効果が本格的に出て来るの
は6月の第2週目あたりからでしょうか?飲食店経営者からは「またか・・・
・。」といった声と溜息が聞こえてきそうです。

ECBのパネッタ理事は日経新聞とのインタビューで、パンデミック緊急購入
プログラム(PEPP)に関する目先の変更には慎重な考えを示しました。
パネッタ氏は、「基調的インフレの上昇トレンドに反映され、インフレおよび
インフレ期待をECBの目標に一致させるような持続可能なインフレ圧力の高
まりのみが、購入の減速を正当化し得る」と語っています。
パネッタ氏は、「ユーロ圏の見通しは改善しているものの、回復はまだ不完全
で経済は依然として金融および財政の支えに頼っている」と指摘し、「政策に
よる支援が不十分になることのリスクはなお高い」と述べています。
またユーロの上昇についても、「現在の環境が驚きではないが、為替レートの
持続的で無視できない上昇も続いている。これが持続すれば、インフレ圧力を
弱めるだろう」との認識も示しています。
ユーロドルはコロナ禍からの景気回復を先取りする形で4月下旬以降、概ね1
.20を上回る水準を維持しています。パネッタ氏の発言は、さらにユーロ高
が進めば輸入物価の下落を通じて2%の物価目標が抑制されるとの懸念を表し
たものと受け止められます。現時点ではECB当局者からの「口先介入」はあ
りませんが、1.25を超えるようだと、ECBとしても警戒を強めてくるこ
とが予想されます。

米上院共和党のグループは、バイデン政権が掲げるインフラ投資計画を巡り、
独自の提案をバイデン大統領に行う計画だとブルームバーグが伝えています。
ウイッカー上院議員によると、その規模は1兆ドル(約109兆円)ちかいも
のになり、バイデン政権が21日に示した1兆7000億ドルを大きく下回っ
ています。ウイッカー議員は、「これは非常に良い提案になるだろう」と述べ
ています。
バイデン政権は早期の合意を目指していることから、同案を受け入れる可能性
もあるとブルームバーグは指摘していますが、ホワイトハウスのサキ報道官は
否定的な会見を行っています。

ドル円は109円台を再び回復し、目先の焦点は109円30-50銭の水準
を抜けることができるかどうかだと見ています。「日足」では、今朝の時点で
「雲抜け」を示現しています。
これは雲そのものが右下へ下降していることで、仮にドル円がこの水準で本日
の取り引きを終えたとしても「雲抜け」が完成してしまいます。
「雲抜け」はドル上昇のサインですが、抜け方がいまいちのため、そのまま上
昇するかどうかはやや懐疑的です。
本来であれば、ドル上昇の勢いそのものが雲という「抵抗帯」を打ち破ったと
いう形が理想ですが、果たして今回はどうでしょう?

本日のドル円は108円80銭~109円60銭程度を予想します。


ユーロ円続伸し133円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は朝方109円台に乗せたが勢いはなく、その後じり安に。ユーロ円などの買いに円を売る動きが強まった影響がドル円にも波及し、109円07銭の高値を付ける。

  • ユーロドルはIFO景況指数が予想を上回ったことを受け続伸。一時は1月11日以来となる1.2266までユーロ高が進む。

  • 株式市場は揃って反落。ダウは4日ぶりに下げ81ドル安。他の2指数は小幅安にとどまる。

  • 債券は続伸。長期金利は1.6%台を大きく割り込み
    1.55%台まで低下。

  • 金は続伸し1月以来となる1900ドルに接近。原油は小幅ながら続伸。

本日の注目イベント

  • 日 3月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 米 大手米銀CEO、上院銀行委公聴会で証言
  • 米 クオールズ・FRB副議長講演

米長期金利が約2週間ぶりに1.55%台まで低下してきました。その割にはドル円は堅調で大きく下落するに至っていません。ユーロドルではドル安が進み、1月11日以来となる1.2266前後までユーロが買われましたが、円がユーロに対して売られた影響から、ドル円の下げも限定的になっていると考えられます。市場全体を見まわしても、原油は66ドル台、金(きん)は1900ドルに迫る水準まで買われ、ドルとの相関を考えると「ドル安」が進行していると見られます。特にこのところ金はじり高が続いており、昨日のNY商品取引所では金先物8月限が1900ドル台に乗せて取引を終えています。また足元の原油高はコロナワクチンの普及が進み、世界経済が回復することを織り込んでいる動きと捉えられます。結局、ドルがジリジリと売られる中、円も売られているという状況が続いており、「ドル安・円安」の様相だということです。

3月のケース・シラー住宅価格指数(全米ベース)が2005年以来の高い伸びを示し、米主要都市では依然として住宅価格の上昇が続いていることが窺えます。20都市住宅価格指数は前年同月比で「13.3%」と、2013年12月以来となる上昇で、特にフェニックス(アリゾナ州)20%、サンディエゴ(カリフォルニア州)19.1%、シアトル(ワシントン州)18.3%で大きく上昇しています。最も上昇率の低シカゴ(イリノイ州)でも9.0%の上昇を記録しており、低金利と資産効果の影響が大きいと考えられます。さらに足元ではインフレ率が上昇しており、今後政策変更の可能性が高まるにつれ、住宅ローン金利の上昇も予想されることから、住宅購入を急ぐ人が出て来るものと思われ、物件が不足する事態も想定されます。「新型コロナウイルス流行をきっかけに潜在的な買い手が都市部のアパートから郊外の住宅に転居したいという仮説と、こうしたデータは整合的だ」と指摘し、「こうした需要は、今後数年かけて起こる需要を先取りした可能性がある」と、ブルームバーグは関係者の話として紹介しています。同時に発表された4月の新築住宅販売件数は前月比5.9%の減少でした。これは、住宅価格の高騰が需要を抑制した可能性もあり、住宅価格が高くなり過ぎたため、手が出ないといった状況かもしれません。

FRBのクラリダ副議長はヤフーファイナンスのインタビューで、今後数回のFOMC会合で、債券購入を縮小する適切な時期について議論を始めることができるかもしれないと語り、FRBの幹部で投票権を持つ人物としては、初めてテーパリング開始時期に一歩踏み込んだ発言をしたと受け止められます。クラリダ氏は、「今後入ってくるデータ次第になると思う」と述べながらも、「恐らく、今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」と発言しました。市場の一部には来月の会合での議論開始もあり得るとの見方がありますが、個人的には早くて9月、可能性の高いのは11月と予想していますが、クラリダ氏の「今後数回の会合」といった発言で、その可能性がさらに高まってきたのではないかと認識しています。ただ一方、昨日行われた日銀金融研究所主催のコンファレンスで、シカゴ連銀のエバンス総裁は、「金融政策の緩和的なスタンスへの私の全面的な支持、あるいは政策の道筋に関するフォワードガイダンスを変更するほど説得力ある状況は、まだ何も見当たらない」と述べ、テーパリングには慎重な姿勢を見せていました。エバンス総裁も今年のFOMCでの投票権を持っています。

上述のように、ドル安がやや進んでいる状況でドルの上値が重くはなっていますが、円が積極的に買われる状況でもありません。次のインパクトのある材料待ちといった状況です。

本日のドル円は108円30銭~109円10銭程度を予想します。


米長期金利一時1.60%台を割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反落。米長期金利が低下したことで
ドル売りが優勢となり108円71銭を付ける。
ドルは豪ドルなど主要通貨に対して売られる。
◆ユーロドルは反発。ドル安が優勢となり、1.2230
まで上昇。
◆株式市場は主要指数が揃って上昇。インフレ懸念が後退した
ことからハイテク株を中心に買われる。ナスダックは190
ポイント上昇。
◆債券価格は上昇。長期金利は一時1.60%台を割り込み、
1.601%近辺で引ける。
◆金は反発。原油はイランの核合意が不透明なことから
大幅に続伸し、66ドル台に。

本日の注目イベント

◆独   独1-3月期GDP(改定値)
◆独   独5月ifo景況感指数
◆米   3月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   3月NAHB住宅市場指数
◆米   4月新築住宅販売件数
◆米   5月消費者信頼感指数
◆米   5月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   クオールズ・FRB副議長、上院銀行委で証言
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、日銀のオンラインイベントに参加

「大規模接種」が昨日から東京と大阪で始まり、政府は1日で1万5000回
の接種を掲げていましたが、一方で今月31日までの「緊急事態宣言」の期限
を延長する方向で検討するとの報道です。
昨日は月曜日ということもありましたが、東京都の感染者は340人、大阪府
では216人と、明らかに緊急事態宣言の効果が出ているように見られますが、
専門家の多くは「まだ宣言を解除できるような状況ではない」と、口を揃えて
います。そんな中、米国務省は日本への渡航警戒レベルを引き上げ、国民に日
本への渡航中止を勧告しました。
「新型コロナウイルスの感染拡大で東京都や大阪府などが緊急事態宣言下にあ
る中、4段階で最も厳しい渡航中止勧告への引き上げは、開幕まで2カ月を切
った東京五輪開催への新たな懸念材料となった」と、ブルームバーグは伝えて
います。この決定には、コロナワクチン接種が遅れていることが影響している
ようです。米英両国での接種率はすでに40%を超えており、日本の接種率は
わずか3%強と、OECD(経済協力開発機構)加盟国37カ国で最も低い状
況が懸念されています。果たして、オリンピック・パラリンピックは本当に開
催されるのでしょうか?今回の米国の渡航中止勧告は、今後の開催実施に向け
た議論に大きな一石を投じたと見ています。

講演での発言が注目されていたブレイナードFRB理事でしたが、ブレイナー
ド氏は「インフレ動向の非常に重要な部分は長期的なインフレ期待で、こうし
た期待は極めて安定していた状況が続いている。インフレが上昇するような展開に
なっても、現状のインフレに深く影響を及ぼすことは想定されないと示唆して
いる」と発言し、「今後数カ月に一段と上昇することが予想されるが、こうし
た経済再開やボトルネックに関連した物価上昇は弱まると私は見込んでいる」
と述べています。この発言を受け、債券と株が買われ、ドルが売られる展開に
なっています。
ブレイナード氏はまた、インフレが当局が想定する以上に上昇した場合でも、
インフレ目標に戻るよう緩やかに誘導する「手段と経験」があるとも述べてい
ます。

インフレ高進長期化の懸念は低いとのブレイナード発言を受け、市場ではテー
パリング開始観測が後退し、ハイテク株を中心に株式が大きく買われ、債券価
格も上昇。金利が低下したことでドルが売られ、ドル円は108円71銭まで
下落しましたが、それでも円の上昇幅はユーロや豪ドルなどと比べ小さく、結
果として豪ドル円は84円40銭手前、ユーロ円は133円台まで円安が進ん
でいます。米金利が低下してドルが売られる場合であっても、円も売られる展
開が続いており、その主因は、上記米国務省の渡航中止勧告でも明らかかと思
います。

本日もクオールズ・FRB副議長の上院銀行委員会での証言があります。
FRB執行部の一人であるため、インフレに対する認識は共有していると考え
られ、昨日のブレイナード理事との相違はないと思われます。
ただ、テーパリング開始の協議については前向きな発言も予想され、発言のト
ーンによっては昨日と全く逆な反応があるかもしれません。
バイデン大統領のインフラ投資計画の規模縮小など、米長期金利上昇圧力の抑
制が見られますが、ここからの米長期金利の低下(下方)が限定的であること
は論を待ちません。現時点でのドルの下値も同じように限定されると思います。

本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度を予想します。


米5月のPMI過去最高を記録 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は5月のPMIが過去最高だったことで
買われたが109円前後で上値が抑えられた。
米長期金利も小動きで、材料不足から動意に乏しい。
◆ユーロドルは朝方に売られ、1.2161までユーロ安に。
その後は反発するも動きは緩慢。
◆株式市場はまちまちの展開。ダウは123ドル上昇し、
ナスダックとS&P500指数は下落。
◆債券相場は動きもなく、長期金利はほぼ横ばい。
◆金は反落し、原油は大幅に反発。

◆4月中古住宅販売件数            →  585万件
◆5月マークイット製造業PMI        →  61.5
◆5月マークイットサービス業PMI      →  70.1
◆5月マークイットコンポジットPMI     →  68.1

本日の注目イベント

◆トルコ トルコ4月消費者物価指数
◆米   ブレイナード・FRB理事講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論に参加
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(オンライン)
◆米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演

バイデン大統領は、当初計画していたインフラ投資の規模
(2兆5000億ドル)を約4分の1縮小し、1兆700
0億ドル(約185兆円)にすることを提案しました。
新たな提案は21日午後の電話会談で共和党の上院議員に
提示されましたが、共和党が支持できると示唆していた水
準を依然として上回っています。ホワイトハウスのサキ報
道官は、削減された項目の多くについて、「政権が他の法
案を通じて引き続き実現を目指す方針だ」と説明していま
す。(ブルームバーグ)

5月のIHSマークイットPMIは、コンポジットで「6
8.1」と、データがさかのぼれる2009年以降で最高
となりました。同指数は「50」を上回ると経済活動の拡
大傾向を示しますが、今回のコンポジットの上昇は主にサ
ービス業がけん引しています。IHSマークイットのエコ
ノミストは発表文で、「企業が見通しに楽観的で、受注残
が急速に拡大し、国内と輸出先の市場で需要が引き続き加
速していることから、力強い経済成長は夏を通じて続くは
ず」と指摘し、「財とサービスの両方で平均販売価格が前
例のないペースで上昇しており、今後数カ月の消費者物価
上昇につながるだろう」と述べています。

今月12日発表された4月のCPIでは、市場予想を大き
く上回り、12年7カ月ぶりとなる「4.2%」の上昇で
した。大規模な景気支援策やコロナワクチンの普及で、米
景気は急速に回復基調を強めており、それに伴い物価上昇
圧力も高まっています。今週金曜日には4月のPCEデフ
レータが発表されます。FRBは金融政策判断の指標とし
て、CPIよりも同指標を重要視していると言われており、
今回の指標発表はこれまで以上に注目されます。
今回の結果が予想を上回るようだと、再びFRBによるテ
ーパリング開始が意識され、株と債券が売られ、金利上昇
からドルが買われる可能性が高まります。
公開された4月のFOMC議事録でも、一部の委員は「テ
ーパリング開始時期について協議することが適切だ」と述
べていたことが明らかになっています。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、足元のインフレ
圧力は2022年初めにも緩和する可能性が高いとの見方
を示しながらも、テーパリング開始時期の議論については、
「FOMCの議論を先取りしたくない」とし、「それにつ
いては議長から最初に見解を聞くことになるだろう」とブ
ルームバーグとのインタビューで述べ、自身の考えは封印
していました。為替も金利も明確な方向性が出ない中、今
後の方向を決める最大のカギはFRBによる「テーパリン
グ開始のタイミング」であると言っても過言ではありませ
ん。

ビットコインの乱高下が続いています。先週一時30%を
超える下げを見せた後、3万8000ドルを回復したビッ
トコインはNY時間23日午前には3万3178ドルまで
再び下げています。もともと投機性が極めて高いビットコ
インでしたが、30日間のインプライドボラティリティー
(IV,予想変動率)は、約「100」で、これは恐怖指
数と呼ばれる米株式市場の「VIX指数」の7倍を超えて
おり、極めて荒っぽい動きをする「材木先物」などを上回
っているようです。まさに「一か八か」、「半か丁か」の
世界に近いような状況になっています。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予
想します。


仮想通貨反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米長期金利の低下を受け再び108円台に
押し戻される。ビットコインが値を戻し、株価も上昇した
ことで、108円74銭までドルが下落。
◆ユーロドルはやや値を戻したものの、前日の水準と
ほぼ変わらず。上値は1.2229前後で頭打ち。
◆株式市場は3指数とも揃って反発。ナスダックの上昇が
目立ち、同指数は236ポイントの上昇。
◆債券相場は反発。長期金利は1.62%台へ低下。
◆金は小幅に買われ6日続伸。原油は大きく売られる。

◆新規失業保険申請件数           →  44.4万件
◆5月フィラデルフィア連銀景況指数     →  31.5
◆4月景気先行指標総合指数         →  1.6%

ドル/円  108.74  ~ 109.03
ユーロ/ドル 1.2196 ~ 1.2229
ユーロ/円  132.81 ~ 133.03
NYダウ +188.11  → 34,084.15ドル
GOLD +0.40 → 1,881.90ドル
WTI -1.31 → 62.05ドル
米10年国債  -0.046 → 1.625%


【本日の注目イベント】

◆日  4月消費者物価指数
◆英   英4月小売売上高
◆独   独5月製造業PMI(速報値)
◆独   独5月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   4月中古住宅販売件数
◆米   5月マークイット製造業PMI
◆米   5月マークイットサービス業PMI
◆米   5月マークイットコンポジットPMI
◆米   米韓首脳会議(ワシントン)
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁
     バーキン・リッチモンド連銀総裁、イベントに参加

前日ビットコインの急落から株価が大きく売られるなど「リスクオフ」の流れが
強まり、米長期金利の上昇からドル円は109円台前半まで買われましたが、昨
日のNYではビットコインの反発により、その反対の動きになっています。
株式市場はハイテク株を中心に買われ、金利が低下したことでドル円は再び10
8円80銭前後まで押し戻されています。

ただ、ビットコインなど仮想通貨については、米財務省は20日発表した税制改
革案に関する報告書で、「現金での取引と同様に、時価評価額で1万ドルを超え
る暗号資産(仮想通貨)を受け取る取引についても報告の対象になる」と説明し
ています。この発表を受けてビットコインは上げ幅を3000ドルほど縮小し、
3万9000ドル近辺まで押し戻されています。またパウエル議長も、デジタル
通貨に関する金融当局の見解をまとめた調査リポートを今年の夏に公表し、広く
意見を募る考えを明らかにしました。(ブルームバーグ)

昨日発表された週間新規失業保険申請件数は「44.4万件」と、新型コロナウ
イルス感染がパンデミックになって以降の最小を更新しました。
これで失業保険申請件数は3週連続で減少し、ワクチン接種や職場復帰が広がる
中、労働市場が引き続き回復していることが示された形です。ただそれでも同指
数はパンデミック前の水準を大きく下回っており、完全回復には時間がかかりそ
うです。同時に発表された失業保険の「継続受給者数」は先週より11万100
0人増えて、昨年11月以来の大幅増加となっています。

イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは20日、
11日間にわたる攻撃の応酬を終わらせるため、エジプトの仲介による停戦で合
意しました。バイデン政権が停戦を呼び掛けていたことも影響したのかもしれま
せんが、停戦は日本時間21日午前8時から実施されるようです。
これまでの戦闘で、パレスチナで232人、イスラエル側では12人が死亡した
とブルームバーグは報じています。

前日公表された4月27、28日のFOMC議事録では、一部の委員がテーパリ
ング開始時期の協議について提案があったと記されていましたが、その委員はダ
ラス連銀のカプラン総裁だったようです。同総裁は昨日行われたイベントでの質
疑応答で、「アクセルをそっと緩めるのが賢明だろう。そうすることで、われわ
れはより効果的にこの移行を乗り切ることが可能になる」と述べ、「だからこそ、
一連の資産購入を巡る議論を遅いより早い段階で開始するよう求めてきた」と説
明しています。FRB当局者の多くは、資産購入縮小を協議し始めるのは「時期
尚早」との見方を示していますが、カプラン総裁は緊急支援策の有効性と副作用
を検証することは適切だとの立場を示しています。因みに、同総裁は今年のFO
MCでの投票権は持っていません。

ドル円は109円を挟んでもみ合いが続いています。110円を試すにも、10
8円を突破するにも材料不足といったところです。ドル円の方向性のカギを握る
米長期金利も、ここ2週間ほどは、1.55~1.65%で推移しており明確な
方向性は見せていません。

本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度を予想します。


テーパリング、予想よりも早まる可能性も 

ひと目で分かる昨晩の動き 

font-size:large;">NY市場

◆FOMC議事録公開の影響から米長期金利が上昇し、
ドル円は109円台を回復。109円29銭まで
ドル高が進み、米金利に連動する流れが続く。
◆ユーロドルは1.22を挟みもみ合い。ドルが買われた
ことから1.2160までユーロ安が進むが、円に対しては
底堅く推移。
◆株式市場は続落。議事録に加え、ビットコインが売られた
影響が株価の重石となりダウは164ドル安。
◆債券は反落し、長期金利は1.67%台に上昇。
◆金は5日続伸し、約4カ月ぶりの高値に。原油は大幅に続落。

本日の注目イベント

◆豪   豪4月雇用統計
◆日   4月貿易収支
◆欧   ユーロ圏3月経常収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   4月景気先行指標総合指数
◆米   IMF専務理事、ECB総裁、講演

資産購入規模の縮小について「いずれかの時点で協議し始めるのが適切になるかも
しれない」・・・・。
昨日公開された4月27、28両日に開いたFOMCでは、「幾人かの参加者は経
済が委員会の目標に向けて急速な進展を続ければ、今後の会合のいずれかに資産購
入ベースの調整に関する協議を開始し始めることが適切になるかもしれないと提案
した」ことが、議事録で明らかになりました。
これまでパウエル議長をはじめ、多くのFOMCメンバーが「なお時期尚早」と繰
り返し、
4月の会合でも政策金利をゼロ付近に据え置き、雇用と物価の目標に向けて一段と
顕著な進展があるまで、米国債を月800億ドル(約8兆7000億円)、住宅ロ
ーン担保証券を400億ドル購入する方針を維持しましたが、会合では「テーパリ
ング」のタイミングについての提案があったことになります。

同会合は、開催時には3月の雇用統計が大きく予想を上振れした結果を受けての会
合でしたが、その後4月の雇用統計では失望を誘う内容となり、景気の見通しは定
まっていません。そのため金融当局は楽観的な見通しを維持しながらも、慎重な姿
勢を崩していません。
物価上昇が続く中、雇用は新型コロナウイルスパンデミック前に比べ、依然として
800万人ほど下回っており、これが「目標からは程遠い」という当局者の言葉を
正当化していました。議事録ではインフレに関しても、幾人かは、供給不足は「早
急に解消されない可能性があり、そうなれば来年以降もこれらの要因の影響で物価
に上昇圧力がかかる可能性がある」と述べていたことも明らかになりました。

議事録を受けて、金融当局者が口で言うよりもテーパリングの開始時期が早まると
の観測から、株式と債券が売られ、金利上昇に伴いドル円は109円台前半まで買
われました。
もっとも昨日のNY株の下げは金利上昇によるものだけではなく、仮想通貨が急落
したことも大きく影響しました。
ビットコインは一時30%を超える下げとなった後に下げ幅を縮小しましたが、そ
れでも4万ドルを割り込んでいます。EVメーカ、テスラの創業者であるイーロン
・マスク氏の言動に振り回されている印象です。マスク氏は自社のEVを仮想通貨
でも購入できるとし、さらにテスラ社としても大量のビットコインを購入したこと
でビットコインの価格が急騰しましたが、今度は一転してビットコインを使ってE
Vを購入することを一時停止しました。つい最近も米SECは「ビットコインは非
常に投機的」との評価を出したばかりで、個人投資家にとっては「一か八か」とい
った、非常にリスクの高い投資商品です。

バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と再度電話で会談し、パレスチナ自
治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘を直ちに緩めるよう求めまし
た。ブルームバーグによると、「ネタニヤフ首相は空爆は続くと言明し、停戦には
一切触れなかった。両者の電話会談は、先週のイスラエルとハマスの戦闘開始以降
で4度目だが、立場は依然として平行線のままだ」と伝えています。

ドル円は昨日の欧州市場の昼頃から下げ足を速め、108円58銭まで売られまし
たが、その後は反発して、上述のように109円台に乗せました。やはりドル売り
が進んでも現時点での下値は限定的のようです。日足では109円60銭をしっか
りと超えれば、「一目均衡表の雲」を上抜けすることになり、上昇に弾みがつくこ
とも考えられます。
FOMC議事録の内容が明らかなり、今後は委員会メンバーの発言がどのように変
わるのか、あるいは変わらないのか、注意深く見ていきたいと思います。

本日のドル円は108円80銭~109円60銭程度と予想します。

ユーロ円約3年ぶりに133円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は109円台を割り込み、108円83銭まで売られる。経済指標の下振れや法人増税の報道などから米長期金利が低下し、ドル売りが強まる。

  • ドル安の流れからユーロドルは1.22台を回復。一時は1.2234までユーロ高が進み、約3カ月ぶりの高値を付ける。ユーロは対円でも133円18銭近辺まで上昇。

  • 株式市場は3指数とも揃って反落。住宅関連指標が予想を下回ったことや、イエレン財務長官の法人増税の発言を嫌気した。

  • リスクオンがやや後退したことから債券相場は反発。長期金利は1.63%台へと低下。

  • 金は小幅ながら4日続伸。原油は反落。

本日の注目イベント

  • 日 3月鉱工業生産(確定値)
  • 欧 ユーロ圏4月消費者物価指数(改定値)
  • 英 4月消費者物価指数
  • 米 FOMC議事録(4月27-28日分)
  • 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベントに参加
  • 米 バイデン大統領、米沿岸警備士官学校の卒業式で演説
  • 加 4月消費者物価指数

日米とも決算発表をほぼ終え、新型コロナによる影響から決算内容も「K字型決算」と言われ、増収増益のところもあれば、記録的な赤字を計上する企業もありました。新型コロナウイルスの感染拡大状況についても同じように、「K字型感染」状況が見られます。米国ではテキサス州でも郡や市などの自治体や学区などで、マスク着用を義務化するのを禁止し、金融大手のJPモルガンでは米国在勤の従業員に対し、ワクチン接種を完了している者はマスク着用が不要になると通知したようです。欧州でも、ギリシャでは基幹産業の観光を再開し、海外からの観光客受け入れを再開しており、さらなる感染抑制が見込まれることから、多くの国でロックダウンを解除しています。

その一方で、感染はインドなどアジアで猛威を振るい、インドでは感染が農村部に広がりつつあります。農村部の大半は新型コロナに対抗する手段がなく、感染が深刻化しており、一部の農村では「家族全員」が感染で死亡したとの報告もあります。18日にはインド全体の死者数が4329人と、過去最多を記録しており、1日の新規感染者数も26万人台と高止まりしています。ブルームバーグは、首都ニューデリーから1時間半ほどのところにあるウッタルプラデシュ州バシ村では、村民5400人のうち4分の3が発症し、過去3週間に30人余りが死亡したと報じています。村には医師がおらず、医療施設も酸素吸入器もなく、ソーシャルメディアの利用が活発な都市部とは異なり、ツイッターなどで外部の支援を求めることも村民はできないと、厳しい現状を伝えています。インドの保健省によると、感染者数は累計で2500万人強としていますが、感染規模は公式発表の数字よりもはるかに大きいとの声が多いようです。農村部では高熱があっても自宅から離れたがらない人が多く、地方当局は死者数を適切に記録出来ていないと見られています。

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの間では、依然として激しい戦闘が続いています。イスラエルのガンツ国防相は、同国軍には「攻撃目標がまだ数千ある」と話しています。バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行いましたが、NYタイムズは、バイデン大統領は公にしたよりも厳しい言葉をネタニヤフ首相に伝えたと報じています。今回の軍事衝突を巡り、欧州では各国でパレスチナを支持するデモが起きています。フランスでは大規模なデモが繰り返されており、ダルマナン内相は「憎しみや反ユダヤのデモを許すわけにはいかないと」と警告しましたが、デモは一向に治まる気配はありません。またドイツやスイス、イギリスでも大規模なデモが起きています。

イエレン財務長官は18日、景気テコ入れを目指す大規模なインフラ投資計画のための法人税引き上げを米企業に受け入れるよう呼び掛けました。バイデン政権が計画している2兆2500億ドル(約245兆円)規模の財源確保を目的とした法人税引き上げについてイエレン氏は、「最終的に企業の利益を拡大させ、世界での競争力を向上させる」と説明し、「企業経営者がそうした認識で、この計画を支持してくれることを期待する」と述べています。ただ経済団体側の反応は冷ややかで、米商業会議所は、インフラ投資そのものには支持を表明しているものの、その財源の大部分は利用料で賄うことを求めています。企業の法人税引き上げについてはバイデン政権発足当時から計画されており、これ自体新しい材料ではありませんが、昨日はこの発言が株価の重石になったようです。

今週に入りややドル安傾向が見られます。特にユーロドルでは「ドル安・ユーロ高」が顕著で、昨日のNYではユーロドルが1.22台半ばまで上昇しています。一方ドル円では、円が買われているもののユーロに比べると勢いはなく、大きく買われてはいません。その結果、ユーロ円が133円18銭前後まで上昇し、2018年4月23日以来となるユーロ高を示現しています。ユーロ円は2018年1月に137円台半ばまで上昇し、これがここ6年程の最高値になっています。上昇傾向が鮮明なユーロ円がこの水準まで上昇するのかどうかも焦点のひとつです。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。

5月のNY連銀製造業指数やや低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台前半を中心に小動き。値幅も
わずか18銭程度と、材料不足に動かず。
◆ユーロドルも1.21台半ばを軸に値動きは閑散。
◆株式市場は反落。エネルギー株が買われたものの、
ハイテク株は下落。ダウは54ドル安。
◆債券価格は小幅に下落。長期金利は1.64%台に上昇。
◆金は大幅に上昇。原油も続伸。

◆5月NY連銀製造景況業指数     →  24.3    
◆5月NAHB住宅市場指数      →  83

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆日   1-3月GDP(速報値)
◆英   英4月失業率
◆欧  3月貿易収支
◆欧   1-3月GDP(改定値)
◆米   4月住宅着工件数
◆米   4月建設許可件数
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、オンラインイベントに参加
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントに参加

市場はやや材料不足のためか、目立った動きはありません。
インフレ懸念が根強く残る中、市場はFRBの次のメッセージや動きに関心
を寄せていますが、今月はFOMCの開催はなく、次回は6月15-16日
です。それまではFOMCメンバーの発言を注意深く分析するしかありませ
んが、昨日はクラリダ・FRB副議長の講演がありました。

クラリダ副議長は債券購入縮小の開始時期に関するガイダンスに言及し、
「4月の雇用統計を踏まえると、一段と顕著な進展を遂げていない」と述べ
、年末に向けて政策当局者はデータを検証するとし、「こうした購入ペース
の減速を見込む前に、必ず事前に通知する」と述べ、先のパウエル議長と同
様に、テーパリング開始時には何らかの方法で市場にメッセージを送ること
を強調していました。また今年のFOMCでの投票権を有する、ボスティッ
ク・アトランタ連銀総裁はCNBCのインタビューで、「雇用者はパンデミ
ック前をなお800万人下回っている。この差を埋めると言う点で顕著な進
展を遂げるまで、われわれの政策は極めて強力に緩和的な状態ないし、スタ
ンスを維持する必要がある」と語っています。そのうえで、今後の政策につ
いては、「複数のシナリオを常に考えている。現在の政策スタンスに長くと
どまり過ぎているだろうか。現時点ではそうした状況にあるとは私は見てい
ない。行動を起こす必要があるとはあまり考えていない」と説明し、「今後
も予断を持たずに注意深く見守っていく。だが今は動くことを検討する時期
ではない」と述べています。(ブルームバーグ)
いずれの発言も、現時点ではテーパリングを検討するタイミングではないこ
とを強調していますが、一方で、遠くない将来テーパリングに関する議論を
開始することを匂わしているような印象です。
物価上昇の足音が着実に押し寄せている状況下で、このところ発信される一
連の発言は、政策変更始まりへの「小さな第一歩」であると受け止めていま
す。

イスラエルとパレスチナの交戦を巡り国連安保理では、米国がイスラエル寄
りの姿勢を見せていることから、安保理として停戦を呼び掛ける声明を出せ
ていません。このことについて中国は、「残念ながらある国の反対で安保理
全体としての声明を発表できてない」と米国を念頭に批判するなど、国連機
関としての安保理の無力ぶりが目立っていますが、バイデン大統領は17日、
イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行い、パレスチナ自治区ガザを実
効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルによる停戦を支持すると伝えま
した。ブルームバーグは「戦闘を終わらせるための米国のステップとしては、
これまでで最も大きく踏み込んだものになった」と論評しています。
パレスチナではすでに子供50人以上を含む200人以上もの犠牲者が出て
います。こうした事態に個人的には失望感を拭えず、このままでは「トラン
プ政権」と変わらないのではないかと危惧していましたが、ようやく世界の
目を意識し、戦闘によるこれ以上の被害の拡大に配慮した格好になりました。
イスラエルは17日早朝にも、テロリストのインフラと武器保管拠点を攻撃
したと説明しています。

本日も突発的なニュースでもない限り109円台での膠着が続きそうです。
ややドルが売られ易い展開が予想されることから、本日のレンジは若干下方
目線で、108円70銭~109円50銭程度と見ています。



NY株大幅続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は109円台前半から半ばで小動き。米長期金利が低下したことにより、ドル売りが優勢となったものの動意は乏しく、109円20銭前後にとどまる。

  • ユーロドルは前日よりも上昇し、1.21台半ばまで買われる。ユーロ円は132円台後半と、ユーロ高が続く。

  • 株式市場は大幅に続伸。経済指標が低調だったことで長期金利が低下し、ハイテク株を中心に買われた。

  • 債券相場は続伸。長期金利は1.62%台に低下。

    文字色
  • 金は続伸。原油は大幅に反発。

本日の注目イベント

  • 中 4月小売売上高
  • 中 4月鉱工業生産
  • 米 5月NY連銀製造景況業指数
  • 米 5月NAHB住宅市場指数
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、クラリダFRB副議長らがオンラインイベントに参加
  • 加 4月住宅着工件数

経済指標の「悪材料」は、株式市場にとっては「好材料」のようです。5月のミシガン大学消費者マインド(速報値)は市場予想の「90.0」に対して「82.8」と大きく下振れしていました。経済指標の下振れはFRBの緩和政策の長期化が連想され、株式市場にとっては「好材料」となり株価は上昇しています。一方、ドル円にとってはドル安材料となり、ドルが売られましたが、先週末のNY市場では大きな値動きは見られず、ドルの下落も限定的でした。5月のミシガン大学消費者マインドでは、1年先のインフレ期待値が「4.6%」と10年ぶりの高水準で、消費者が今後予想される物価上昇に強い懸念を持っていることが数値の下振れにつながったようです。先週前半はCPIなどが予想を大きく上回り、インフレ懸念の高まりから米長期金利が急上昇し、株価は大きく売られました。4月の雇用統計でもそうでしたが、雇用者数が市場予想を大きく下回り、景気回復が進み企業収益の拡大は見込めるものの、人手不足で賃金が上昇している状況が続いていると見られます。筆者も含めて、FRBは年内に金融政策の変更を示唆するテーパリングを開始するとする、市場関係者の予想がコンセンサスになりつつありますが、そのカギを握るのは「労働市場の動向」です。4月の雇用統計で見られたような結果が続くようだと、テーパリングの年内開始といったシナリオも修正を迫られる可能性が出て来ます。

イスラエルとパレスチナ自治区ガザの紛争が新たな懸念材料になるかもしれません。今のところ「地域紛争」にとどまっていますがが、今後米国を巻き込むような状況になると、紛争が中東全体にも広がり原油価格にも影響する懸念があります。16日、イスラエルはガザ地区を空爆し、ビル3棟を破壊。この日だけで42人が殺害されたとAP通信が報じています。バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で「重大な懸念」を伝えましたが、これまでのイスラエルの攻撃に対しては「過剰な攻撃とは思わない」とコメントし、イスラエルの自治権を擁護する発言を行うなど、明らかにイスラエル寄りの姿勢を見せています。米国の「信認」を得たことで、ネタニヤフ首相は攻撃継続を示唆しています。

ドル円は109円台半ばをやや下回る水準で大きな動きはありませんが、今朝もクロス円全般が上昇しています。ユーロ円は132円台後半まで上昇し、ポンド円も154円台前半、さらに豪ドル円も再び85円台に乗せています。コロナワクチン接種の進捗状況の差が大きく影響しているのではないかと思われますが、政府は本日から東京と大阪で大規模接種の予約を開始します。週末のニュースでは、感染が確認されながら入院できずに自宅待機している人の数が3万5千人を超えていることに驚きましたが、自宅で亡くなる人の数は急激に増えています。今日からの大規模接種が1日も早く効果を発揮してくれればと願っています。

本日のドル円は109円~109円80銭程度を予想します。


米4月のPPIは0.6% 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台で小動き。米長期金利がやや低下
したことでドルを売る動きもあったが109円41銭
までと、限定的。
◆ユーロドルは小幅に反落。1.2062まで売られ。
上値も1.21近辺と、上昇も一服。
◆株式市場は大幅に反発。米景気の回復を示唆する経済指標
にダウは433ドル上昇し、他の指数も揃って買われた。
◆債券は反発。長期金利はやや低下し1.65%台に。
◆金は反発。原油はパイプラインの一部再開で大幅安に。

◆新規失業保険申請件数       →  47.3万件
◆4月生産者物価指数        →  0.6%

本日の注目イベント

◆米   4月鉱工業生産
◆米   4月設備稼働率
◆米   4月小売売上高
◆米 4月輸入物価指数
◆米   3月企業在庫
◆米   5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、オンライン討論に参加

米4月のPPIは前月比で「0.6%」、前年同月比で「6.2%」と、
前日のCPI同様に、市場予想を上回りました。新型コロナウイルスの
パンデミックから経済が回復するのに伴い、供給障害と不足で商品価格
が上昇し、同時に労働コストの上昇も加速し始めていると見られます。
企業はコスト上昇を価格に転嫁し、生産性を向上させない限り、利ザヤ
が圧迫されかねないと、ブルームバーグは伝えています。PPIは大き
く上昇していましたが、昨日は前日のCPI発表時と異なり市場の反応
は落ち着いていました。新規失業保険申請件数が減少し、米景気回復が
依然として順調に進んでいるとの判断が働いたようです。
NY株式市場は前日の急落から大幅に反発し、債券も買われ長期金利が
低下し、ドル円はやや水準を切り下げましたが、109円台半ばで推移
しています。

先週末の雇用統計からインフレ懸念が高まり、安全資産の債券とリ
スク資産の株が揃って売られ、金利が上昇したことでドル円が買われま
した。日本サイドから見れば株価が大きく下げ、円が売られ、国債も売
られたことから、「日本売り」に近い展開でした。
新型コロナウイルスの感染第4波収束のめどが立たないうえ、ワクチン
接種でも対応の不手際からトラブルが絶えません。
大阪では重症患者数が重症者を受け入れるベッド数を大きく上回ってお
り、コロナ以外の重篤患者への対応がままならない状況です。医師から
は「本来救える命が救えない」といった声も多く聞かれます。
もはや「人災」の域に入っていると言えるのではないでしょうか。

対照的に米国では、米疾病対策センター(CDC)が、新型コロナウイ
ルスワクチンの接種が完了した人は、マスクを着用する必要はないと1
3日に発表しています。CDCのワレンスキー所長はホワイトハウスで
の記者会見で、「ワクチン接種を完了した人は、マスク着用や人的距離
の確保をせずに屋外での活動に参加可能だ。活動規模の大きさも問わな
い」と説明しました。今回の発表は新型コロナがパンデミックとなって
以降、連邦当局による最も重大な指針変更となった(ブルームバーグ)、
と評価されています。

FRBのウォラー理事は、インフレ率が金融当局の目標である2%を上
回るのは一時的だとしつつ、2022年いっぱい続く可能性があるとの
見解を示しました。
ウォラー氏は、「昨日発表されたCPIの伸びは予想外に大きかったが、
インフレに上向きの圧力をかけている要素は一時的なものであり、緩和
的な金融政策は景気回復の支援という点で引き続き重要な役割を担って
いる」と指摘し、「われわれはインフレ率の一時的なオーバーシュート
には過剰に反応しない」と述べました。足元のインフレ率の高まりは一
時的なものだという点では、FOMCメンバーのほぼ全員が足並みを揃
えている印象です。

あまり経済や為替には関係ありませんが、米下院共和党はトランプ前大
統領を痛烈に批判してきたリズ・チェイニー議員を指導部から排除する
人事を発表しました。
チェイニー氏は下院議員総会議長というナンバー3の座にあり、下院で
の重鎮の1人です。チェイニー氏は解任後、「われわれは真実に基づい
て前に進まなければならない。トランプ氏が再び大統領職に選ばれる可
能性がないよう、できることは全てする」と、議会内の会見で述べてい
ます。
共和党としては2022年の中間選挙で、下院の過半数を奪還するには
トランプ氏支持が不可欠と判断し、トランプ批判を続けているチェイニ
ー氏を「切った」と見られます。
2024年の大統領選を話題にするには早すぎますが、終始市場をかく
乱させた記憶しかないトランプ氏。個人的には「No more Trump」です。

本日も小売売上高やミシガン大学消費者マインドなど、景気の先行きを
判断する重要指標の発表があります。
いずれも予想を上回れば米景気回復が早まるとの期待から株価の上昇に
つながることが予想されますが、インフレ率の上昇を想起させるようだ
と、今週目の当たりにしたように、多くの市場で粗っぽい動きにつなが
る可能性があります。

本日のドル円は109円10銭~109円90銭程度を予想しますが、
今回のセッションで110円台に乗せることが出来るかどうか、正念場
です。


米4月CPI、前月比で0.8%上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大きな動きを見せた。米CPIの上振れを受け、
109円台を回復し、109円71銭までドルが反発。
◆ユーロドルは水準をやや切り下げ、1.2060まで
下落するも底堅く推移。ユーロ円は132円45銭前後まで上昇。
◆株式市場は大幅続落。CPIが予想を上回る上昇だったことから
ハイテク株を中心に売られ、ダウは681ドル安。
◆債券相場は5日続落。長期金利は一時1.6988%まで
上昇し、1.69%前後で引ける。
◆ドル高が進んだことで金は続落。原油は4日続伸。

◆4月消費者物価指数      →  0.8%
◆4月財政収支         →  -2256億ドル

本日の注目イベント

◆日   3月貿易収支
◆日   3月国際収支
◆日  4月景気ウオッチャー調査
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   4月生産者物価指数
◆米   バイデン大統領、共和党上院議員と会談
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   ウォラー・FRB理事、オンラインイベントで講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演

米4月のCPIは上振れが予想されてはいましたが、予想以上に上昇していました。
総合CPIは前月比で「0.8%」上昇し、前年同月比では「4.2%」と、20
08年以来の上昇でした。CPIの予想以上の上昇を受けてFRBの金融緩和政策
の変更が早まるとの見方からドル円は大きく買われ、109円71銭を付けていま
す。ただこの水準は、今月3日に付けた直近高値とほぼ同水準で、ここからもう一
段ドルが買われ110円台に乗せることができるかどうかが正念場となります。
4月のCPIではほぼ全ての項目で上昇しており、特にガソリン価格、中古車価格
の上昇が目立っており、その他にも輸送サービス、ホテル宿泊などが大きく上昇し
ています。
新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、パンデミックで深刻な打撃を受けた分
野の経済活動が一段と広がったことが背景にあります。

CPIの発表を受け、NY株式市場では金利上昇を嫌気した株価の下落が加速し、
ダウは681ドル、ナスダックは357ポイント下げています。
もっとも、この日のCPIの発表が無くても、昨日も日本株が大きく続落したこと
から、そこそこの下げが見込まれていましたが、CPIが追い打ちをかけた格好に
なりました。日本株の下げも止まらず、日米で株安の連鎖が起きており、このまま
では今日の日経平均も3日連続の大幅安が見込まれますが、日銀のETF買いも焦
点の一つになります。ただ米CPIの大幅な上昇は経済活動の正常化の裏返しで、
今後消費を含めた社会活動が活発になれば、その先には企業収益の拡大も見込まれ、
決して悪い面だけではなく、むしろFRBの目指している姿に近づくことになりま
す。「ゼロ金利政策」、「金融緩和政策」に慣れ過ぎたため、市場にはややショッ
クかもしれませんが、これがむしろ正常な姿であって、そのためにFRBは金融政
策を駆使しているわけです。

CPIの発表を受けクラリダFRB理事は12日、「発表されたCPIには驚いた
」と述べ、「必要とあればインフレ率を目標まで抑えるための行動をわれわれはち
ゅうちょしないだろう」と言明しています。
また、「経済には繰り延べ需要があり、供給が需要の水準に追いつくまでには幾分
か時間がかかるかもしれない」と発言し、さらに4月の雇用統計が予想を下回った
のは、経済再開に伴う労働市場の摩擦を反映している可能性があると指摘していま
す。(ブルームバーグ)

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国政府が対米貿易交渉のトップ
を劉鶴副首相から交代させることを検討していると報じています。
トップ交代の場合は、劉氏よりも若い胡春華副首相が起用される見通しで、胡氏も
劉氏と同じく政治局員で、かつては習近平氏の後任となる国家主席候補と目された
こともある人物とのことです。
劉氏はトランプ政権下で、USTRのライトハイザー代表と何度も貿易交渉を行い、
筆者には「温厚な人物」との印象があります。
コロナ禍で米中の貿易交渉は中断されていますが、今後事態が落ち着けば、先の交
渉で中国が約束した米国からの穀物などの輸入がどの程度履行されているかどうか
の交渉が再開されるはずです。米中貿易交渉の前面に立つ人物だけに、今後の米中
関係にとっても重要な人事であり、米通商代表部も注目しているとみられます。

この欄で何度か述べてきたように、ドル円が110円を超えて上昇するには米長期
金利の上昇が不可欠です。昨日の米債券市場ではCPIの発表を受け長期金利は一
時1.6988%まで上昇する場面があり、これがドル円を109円71銭まで押
し上げました。
長期金利が再び3月30日に付けた1.77%台まで上昇するのかどうかがポイン
トです。労働市場の回復がFRBの目標には届いていないため、インフレ率の上昇
だけで直ちに金融政策の変更を行うことはないと思いますが、金融政策の変更を示
唆するテーパリング開始には着実に近づいていると考えています。
今後の労働市場の状況を注意深く見ながら、9月か11月にはFRBからのメッセ
ージが発せられると予想しています。

本日のドル円レンジは109円20銭~110円20銭程度を見ています。


日米で株価大幅安 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆日本株の厳しい下げにNY株も大きく下げ、ドル円はやや
リスク回避の円買いが優勢となり、108円35銭まで下落。
◆ユーロドルはじり高が続き1.1281まで上昇。
独ZEW期待指数の上振れもユーロ買いをアシスト。
◆株式市場は3指数とも揃って下落。ダウは一時600ドルを
超える下げを見せたが473ドル安で引ける。
ナスダックは前日大きく下げたこともあり小幅安にとどまる。
◆債券相場は続落。長期金利は1.62%台に上昇。
◆金は5日ぶりに反落。原油は続伸。

本日の注目イベント

◆日  3月景気先行指数(CI)(速報値)
◆独   独4月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月鉱工業生産
◆欧   欧州委員会経済見通し
◆英   英3月鉱工業生産
◆英   英3月貿易収支
◆英   英1-3月期GDP(速報値)
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   4月消費者物価指数
◆米 4月財政収支
◆米   バイデン大統領、民主・共和両党の上・下院幹部とホワイトハウスで会談
◆米   クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントで講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウェブ会議で講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演

「Sell in May」(5月に売れ)。
米株式市場でよく使われる「アノマリー」ですが、昨日の東京株式市場もこの
「アノマリー」を地で行く動きでした。
日経平均株価は前日のNY市場でナスダックが大きく売られたこともあり、朝
方から売りが先行。一時は1000円近い下げに見舞われました。
引け値では909円安でしたが、日本株の弱さが際立っています。
日本では3月決算の発表がピークを迎え、コロナの影響をもろに受けた空輸、
鉄道、飲食、サービス業などの業績が相当悪化していますが、一方で「巣ごも
り」の影響から家電量販店、一部の電気メーカーや食品、ゲームなどは空前の
利益を上げているところもあります。日本株の大幅な下げの影響もあり、昨日
のNYではこれまで堅調だったダウが大きく売られ、やはり「Sell in May」
の「アノマリー」は健在だったようです。先週の日経新聞で、今年はコロナ禍
の影響により米国でも確定申告の期限が延長されたことから「Sell in June」
になるのではないかといった記事がありましたが、そうでもないような雰囲気
の下げがきつくなっています。為替はややドル売りが優勢ですが、米債券も売
られ金利が小幅に上昇していることもあり、ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」
が鮮明ですが、ドル円の下げは今のところ限定的です。ドル円は大枠としては
107-110円のレンジと見ていますが、短期的には明確な方向性がない中、
先週の雇用統計でのサプライズを引きずり、やや円を買う動きが優勢のように
見受けられます。

FRBのブレイナード理事は11日の講演で、「見通しは明るいがリスクは残
っており、われわれの目標からは程遠い」と述べました。
さらに理事は、「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達
成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」と語っています。また景気に
ついては、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」とし、
「予想ではなく、結果に基づいた政策を進めることでFOMCは前向きな成果
を上げている」と指摘しています。(ブルームバーグ)
一方アトランタ連銀のボスティック総裁は厳しい認識を示し、米国は回復軌道
を進んでいるが、「道のりは長い」と指摘し、労働市場が完全雇用に程遠い状
況にあるため、金融政策は緩和的にとどまるべきだと述べています。
今週はFOMCメンバーの発言が多くありますが、インフレ率の上昇について
はほぼ「一時的なものだ」といった認識で一致していますが、景気や労働市場
の現状に対する認識では足並みがそろっていません。
4月の雇用統計の結果が一時的なものであり、株価が再び巡航経路に戻れば、
年内のどこかでFRBがテーパリングのメッセージを発してくる可能性がある
と予想しています。9月か11月のFOMCでの可能性が高いのではないでし
ょうか。

世界的に新型コロナウイルスワクチン接種の進み具合が、国の景気や物価、為
替にも大きく影響しているように思われます。英国のイングランドでは1日当
たりのコロナによる死者が9日には「ゼロ」となり、昨年3月以来初めてのこ
ととなっています。イングランド地域ではこれまでに11万2000人以上が
新型コロナ感染で亡くなっており、英国のワクチン接種計画が効果を上げてい
ることが示されています。またドイツのシュパーン保健相は現在の感染拡大の
波を抑制出来ており、楽観し得る理由があると述べており、ギリシャは観光業
の後押しを図るため、6月末までに島しょ部の全住民にワクチン接種を行う目
標を設定したと伝えられています。一方日本では今日から「緊急事態宣言」の
期限を今月末まで延期し、さらに愛知県や福岡県も追加されました。
昨日の発表ではコロナによる死者も100人を超えてきました。
まさにこの差が日本の株価が低迷し、円が弱く、ポンドやユーロが高値圏で推
移している理由の一つになっていると考えられます。

本日のドル円は108円30銭~109円10銭程度を予想します。


米ナスダック大幅安 

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場


◆ドル円は108円台後半で小動き。米長期金利は上昇した
ものの、109円台回復には至らず。
◆ユーロドルは前日よりもやや水準を切り上げる。
1.2178まで買われる場面もあり底堅く推移。
◆株式市場は3指数が揃って反落。FOMCメンバーが労働市場に
対する楽観的な見方を示したことや、商品市況の上昇にハイテク株が売られた。
◆債券市場は軟調。長期金利は1.60%台へと上昇。
◆金は4日続伸。原油は落ち着いた動きを見せ小幅高。

本日の注目イベント

◆中   中国4月消費者物価指数
◆中   中国4月生産者物価指数
◆独   独5月ZEW景気期待指数
◆欧   OPEC月報
◆英   ベイリー・BOE総裁、討論に参加
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントに参加
◆米   ブレイナード・FRB理事、オンラインイベントに参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウェブ会議で講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加(オンライン)


米国最大のパイプラインがサイバー攻撃を受け操業を停止していましたが、
運営会社のコロニアル・パイプラインは10日、実質的な全面復旧を週末
までに果たす方針を示しました。この報道を受け、米東部沿岸の人口の多
い地域に影響が広がるとの懸念は和らぎ、急騰したガソリン先物価格は上
昇分の大半を消しています。FBIはパイプラインのサイバー攻撃を実行
したのはハッカー集団「ダークサイド」だと断定しています。バイデン大
統領は具体的な証拠はないものの、ハッカー、あるいはハッカーが使用し
たソフトウェアはロシアに存在するという証拠があるため、「ロシアに一
定の責任はある」と述べ、適切な行動を求めました。
ただこの影響は債券市場に及んでおり、市場が予想する今後5年間の平均
インフレ率は2006年以来の高水準に達しています。
5年物BEI(ブレークイーブン・レート)は一時3.4bp上昇し、2.
7327と、2008年のピークを上回る場面もありました。


先週末の雇用統計では予想外の低調な結果に、市場は「サプライズ」とし
て受け止めました。金融緩和の長期化が意識され、低金利が続くことから
債券は買われ長期金利が急低下。長期金利の低下を受けドル円は108円
34銭前後まで売られました。一方低金利の長期化を好感し、株価は大幅
な上昇を見せたのが先週末の市場の反応でした。昨日のNY市場ではF
MCメンバーの講演が多くあり、その内容に一喜一憂したようです。

シカゴ連銀のエバンス総裁は、債券購入のテーパリングを話し合う適切な
時期について、「雇用統計が毎月、十分に改善するのを確認する必要があ
り、その上で協議を開始することになると考える。それにはしばらく時間
がかかるだろう」としながらも、雇用の回復には楽観的な見方を示しまし
た。また、ダラス連銀のカプラン総裁も、先週末の雇用統計が予想を下回
ったものの、「労働市場は力強い回復を続けるはずだ」と語っています。
一方サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、金融政策当局はまだ資産購
入のテーパリングについて協議する時期にはないと、上記2総裁とは異な
った見方をしています。
デーリー総裁は、「このような雇用統計が発表され、ボラティリティーが
生じた際、正しい
道筋にはいるが回復の道のりは長いということになる。回復の道のりが長
いのであれば、当局が講じてきた緩和策を緩めることについて協議を始め
る時期ではまだない」と述べています。(ブルームバーグ)
このように全く反対の発言がなされましたが、昨日の市場はエバンス総裁
の楽観論に
より強く反応し、雇用統計発表直後とは真逆の動きになっています。
個人的には楽観論に同調したいところですが、前提条件としてコロナワク
チン接種のさらなる進展を挙げる必要があります。
また雇用統計の内容は「単月」ではなく「四半期」で観ることも必要だと
考えます。

ドル円は短期的には「ニュートラル」と見ています。日足では長い移動平
均線(200日線)が一番下にあり、「順目」に揃って右肩上がりになっ
ています。また「MACD」ではマックDとシグナルが「ゼロ」近辺に集
まっており、判断しにくい状況です。「週足」の「MACD」ではデッド
クロスしそうな気配もあり、もしデッドクロスが示現するようだと昨年1
2月以来ということになります。ただし「プラス圏」でのデックロスは、
下落傾向が長期に渡って続くケースはそう多くありません。

本日のドル円は108円40銭~109円20銭程度と予想します。


米4月の雇用者数予想を大きく下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆低調な雇用統計の結果を受けドル円は急落。
米長期金利の低下に伴い、一時108円34銭まで
ドル安が進む。
◆ユーロドルでもドル安ユーロ高が一段と進み、ユーロは
1.2171と、2月以来の高値を記録。対円でも132円台に
乗せる。
◆株式市場は低調な雇用統計を受け、FRBによる金融緩和が
長期化するとの見方から続伸。ダウは3日連続で最高値を更新し、
S&P500も最高値を更新する。
◆債券相場は雇用統計を受け急騰したものの、その後売りに
押され前日とほぼ変わらず。長期金利は一時1.46%台まで
低下したが、1.57%台に戻して引ける。
◆金は続伸し、原油は反発。

◆4月失業率          →  6.1%
◆4月非農業部門雇用者数   →  26.6万人
◆4月平均時給 (前月比)   →  0.7%
◆4月平均時給 (前年比)   →  0.3%
◆4月労働参加率        →  61.7
◆3月卸売在庫         →  1.3%
◆3月消費者信用残高      →  258.41億ドル

本日の注目イベント

◆豪   豪4月NAB企業景況感指数
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、オンラインイベントに参加

4月の雇用統計はサプライズでした。
ADP雇用者数の増加や新規失業保険申請件数の減少傾向が続いており、
4月の非農業部門雇用者数でも100万人を超えている可能性が出てい
たほど期待値が高かった同指数でしたが、結果は「26.6万人」と市
場予想を大きく下回りました。さらに3月分についても、速報値の「9
1.6万人」から「77万人」に下方修正され、あらゆる面で景気の回
復を示す指標が相次いでいますが、「労働市場」の回復には至っていな
いことが確認された形です。
パウエル議長が好んで使う「FRBの目標からはほど遠い」という言葉
が思い出されます。
失業率も市場予想の「5.8%」から大きく悪化し「6.1%」でした。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はこの日の結果を受け、「今回のデ
ータは米金融当局が刺激措置を継続している理由を正当化する」と指摘
したうえで、「この日の雇用統計はわれわれの道のりが長いことを示す
一例だ。尚早に勝利宣言してはならない」とブルームバーグテレビジョ
ンとのインタビューで述べています。バイデン大統領も、「経済は正し
い方向に向かっているが、われわれは回復までの長い道のりにあること
がはっきりした」と語っています。
また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も、「需要の急増を踏まえ、私
や大方の識者が予想していた強さとは程遠い内容だ」と発言しています。
今回の予想を大きく下回る雇用についてウェルズファーゴのシニアエコ
ノミストは「労働者を解雇するペースの方が雇用するよりもはるかに早
い」と指摘し、「労働力に復帰している人もいるが、十分に速いペース
ではない」と分析しています。

ドル円は雇用統計の結果を受け109円20銭台から急落し、一時は1
08円34銭前後までドル安が進みました。米10年債利回が1.46
%台まで急低下したことでドル売りが進んだ訳ですが、金利の方はその
後前日と同水準まで反発しており、この日は長い「下ひげ」を描いてい
ます。物価上昇が続き、市場のインフレ観測も高まり、長期金利は一時
1.77%台まで急騰する局面があった中でも、労働市場の先行きには
慎重な姿勢を崩さなかったFRBは今後、より労働市場の行方を重視し
てくることが考えられます。2022年末までにFRBがテーパリング
を開始するといった市場の見方も、今回の雇用統計に冷や水を浴びせら
れた格好になりましたが、ワクチン接種が一段と進み、人々の行動制限
が緩和され、経済活動が再開することはほぼ間違いありません。
雇用の回復は今後着実に進むと個人的には予想しており、今回の結果だ
けを見て、米労働市場回復の趨勢を見誤ってはいけないと考えます。

アジアではインドを中心に感染拡大が続いていますが、ワクチン接種が
進んだ欧米ではワクチンの効果が明らかです。
イギリスでは成人の3分の1強が規定回数のワクチン接種を終えており、
約3分の2が1回目の接種を受けています。9日に報告されたコロナに
よる死者はわずか2人だったそうです。ジヨーンズホプキンス大学の集
計によると、すでに350万人以上の感染を記録したスペインで9日に
は、感染者数、死者数とも「ゼロ」でした。
米国でも9日の新規感染者数は3万4433人と、7日間移動平均が昨
年9月末以来の少なさとなっています。
ただそんな中、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、「米
国の新型コロナウイルスによる死者数が実際より少なく数えられている
ことは疑いない」と、NBCの番組「ミート・ザ・ワールド」で述べて
います。(ブルームバーグ)
その可能性はあるにしても、ワクチンの効果は明らかです。
日本でも本日10日から大量のワクチンが国から地方自治体に配布され
る予定で、菅首相が宣言した「1日100万回の接種」が達成できるか
どうか注目されます。

本日のドル円は108円20銭~109円程度を予想します。



ユーロ円131円台後半へ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は下落。日米の株価の大幅上昇に底堅い動きを
見せていたが、雇用統計を前に持ち高調整のドル売りに
押され109円近辺まで下落。
◆ユーロドルは反発し、1.2071まで上昇。ユーロは
対円でも131円85銭前後まで買われ、2018年10月
以来となる高水準を記録。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇。特にダウは318ドル
上昇し、連日で最高値を更新。新規失業保険申請件数など、
良好な経済指標に安心感が広がる。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.57%台と小幅に上昇。
◆金は大幅に続伸し1800ドル台を回復。原油は続落。

◆新規失業保険申請件数      →  49.8万件 
◆労働生産性指数(1Q)     →  5.4%

本日の注目イベント

◆中   中国4月外貨準備高
◆中   中国4月財新サービス業PMI
◆中   中国4月財新コンポジットPMI
◆中   中国 4月貿易統計
◆独   独3月貿易収支
◆独   独3月鉱工業生産
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   4月雇用統計
◆米   3月卸売在庫
◆米   3月消費者信用残高
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンライン討論に参加

昨日の東京時間では久しぶりに日経平均株価が大幅な上昇を見せたことから、
ドル円は堅調に推移し、その流れはNY市場にも引き継がれた格好でしたが、
今夜の雇用統計を前にポジション調整のドル売りが優勢となり109円前後
まで押し戻されています。労働市場の改善傾向は続き、発表された新規失業
保険申請件数は「49.8万件」と、市場予想を下回り、新型コロナウイル
ス感染がパンデミックとなって以来最小となっています。
失業保険申請件数は全米で減少していましたが、特にバージニア州とNY州
での減少が目立っています。コロナワクチンの接種が進み、経済活動が再開
されてきたことを表していると見られますが、今夜の雇用統計でも100万
人を超える増加があるかもしれません。アトランタ連銀のボスティック総裁
は、「4月の雇用者数が100万人増となっても驚きはしない」と述べてい
ます。

相変わらずコロナ関連のニュースで満載です。米ファイザーと独ビオンテッ
クは東京五輪・パラリンピックの選手団向けにワクチンを供給することで国
際オリンピック委員会(IOC)と合意したと発表しました。
一方でファイザーのブーラCEOは、ワクチン開発に伴う特許権の一時放棄
を支持すると表明したバイデン政権に対して反発しています。開発されたワ
クチンに関する特許が一時的に適用除外になれば、ジェネリック品の開発が
進み、途上国でのワクチン不足が一気に解決する可能性がありますが、ブー
ラCEOは「これから始めようとしても1~2年で作れるとは思えない。特
許権の放棄はむしろ生産を遅らせる可能性がある」と反対しています。
また特許権の放棄を巡っては欧州でも見解が分かれており、フランスのマク
ロン大統領は直ちに支持を表明しましたが、ドイツのメルケル首相は、「米
国の提案はワクチン生産に深刻な問題を生じさせる」とし、「製薬業界は、
研究開発への投資で利益が生まれるというインセンティブがなくなれば、各
社が将来のワクチン生産に積極的に動かなくなる恐れがある」と指摘してい
ます。

欧米ではワクチン接種が着実に進み、イギリスはレジャー目的の海外旅行を
今月中旬にも解禁する方向です。
一方インドでは感染拡大が止まらず、1日当たりの新規感染者数が41万2
262人、死者数も3980人と報告されており、いずれも過去最多を記録
しています。感染はインド国内にとどまらず、隣接していているネパールと
パキスタンはもとよりタイなどでも爆発的に広がっています。今後はアジア
での感染がどこまで拡大するのかが焦点になりそうです。日本でもゴールデ
ンウイーク後の感染拡大が懸念されています。ワクチン接種は医療従事者で
もまだ完了していません。2週間後に発症することが多いことから、19日
以降に発表される感染者数が注目されます。

トルコ中銀は6日、政策金利を現行の「19%」で据え置くことを決め、こ
れで2会合連続の据え置きとなりました。中銀は声明で、「高水準のインフ
レ率とインフレ期待に鑑み、4月のインフレ報告が示した見通しに沿って大
幅に低下するまでは、現行の金融政策姿勢が維持されるだろう」としていま
す。トルコの4月のインフレ率は「17.1%」で、7カ月連続で上昇して
います。カブジュオール総裁は、インフレ率はこれをピークに低下し始め、
年末には「12.2%」になるとの見通しを示しています。(ブルームバー
グ)トルコの高インフレ率は自国通貨安の影響も大きく、足元ではリラ安が
高止まりしています。
市場介入で「ドル売り・リラ買い」を行えば一時的にでもリラが強含む可能
性はありますが、その原資である「外貨準備」も潤沢ではありません。果た
してカブジュオール総裁の思惑通りインフレ率がそこまで低下するかどうか、
非常に未知数です。

本日のドル円は108円70銭~109円70銭程度を予想します。


ダウは小幅ながら最高値を更新 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円前半から半ばで推移。雇用情勢を
示す指標は良好だったものの、米長期金利が低下した
ことから上値は限られた。
◆ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.20を割り込む。
◆株式市場はまちまち。ダウは97ドル高と続伸し、
最高値を更新。ナスダックは続落。
◆債券相場は反発。長期金利は1.56%台へ下落。
◆金は反発し、高値圏で推移している原油は反落。

◆4月ADP雇用者数       →  74.2万人
◆4月ISM非製造業景況指数   →  62.7

本日の注目イベント

◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆独   独3月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏3月小売売上高
◆欧   ECB経済報告
◆英   BOE金融政策発表
◆英   英地方選(スコットランド議会選。ロンドン市長選など)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   労働生産性指数(1Q)
◆米   メスター・クリーブランド総裁、オンライン討論に参加
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、討論に参加

日本がゴールデンウィーク中ドル円は上昇し、3日(月)の欧州市場朝方
には109円68銭までドルが買われ、3週間ぶりとなるドル高を付けま
した。日足チャートでも一旦は「雲」の中までドルが下落したものの、直
ぐには跳ね返され、結局「雲」に沿った形で上昇していることが確認でき
ます。一方米長期金利の方は、4月29日(木)に1.68%台まで上昇
したものの、その後はどちらかと言えば、低下傾向です。
今回のドル高への回帰は、米長期金利の影響ではなく、やはり「コロナワ
クチン接種の進捗状況の差」と言えるのではないでしょうか。
日本は主要国でのワクチン接種率では圧倒的に遅れており、先月末にはユ
ーロ円が132円30銭近辺まで売られたように、クロス円でも概ね円安
が進んでいます。

また、第1四半期GDPに見られたように、米ファンダメンタルズは依然
として好調のようで、この部分もドル高に作用していると見ています。
明日には4月の雇用統計の発表もあります。
既に100万人程度の雇用者が予想されていますが、昨日のADP雇用者
数の結果を見ても、かなり伸びていることは間違いなさそうです。
ただドル円は、ここからが正念場です。3月末には110円98銭までド
ル高が進み、112円も近いと思われたドル円でしたが、
そこから約1カ月をかけ、107円48銭まで下落しました。すでに底値
からは2円以上反発しているものの、ここからもう1円以上ドル高が進む
には、やはり長期金利の上昇が不可欠かと思います。
足元では1.56%台で推移している米長期金利は、ドル円が上記高値を
付けた際には1.70~1.74%まで上昇していました。つまり、まだ
このままドル円が110円を超えて112円まで買われる地合いではない
と考えています。

イエレン財務長官は3日に米紙とのインタビューで「米経済が過熱しない
よう確実を期するには、金利はやや上昇せざるを得ないかもしれない」と
述べ、市場に動揺が広がりましたが、イエレン氏はその後、「私は予想し
たり、推奨しているわけではない」と述べ、発言の真意は、金融当局には
インフレが加速した場合に対応する手段があることを強調しています。昨
日も多くの金融当局者の発言がありましたが、総じてインフレについては
まだ懸念を深めてはいない状況です。
ダラス連銀のカプラン総裁は、「経済活動の再開が進む中で物価上昇圧力
を注意深く見守っている」と述べ、「インフレ率は年末までに2.25%
近辺で落ち着く」との認識を示しています。また、サンフランシスコ連銀
のデーリー総裁も、国内のインフレ上昇について、「一時的なものであり、
また若干の上昇はわれわれにとって良いことだ」との立場を示しています。
さらに、シカゴ連銀のエバンス総裁も、「このシナリオが起きる可能性は
極めて低い」と述べています。(ブルームバーグ)


上でも述べたように、ドル円はここからもう一段上昇できるかが注目され
ますが、同時にユーロドルの動きも気になるところです。
ユーロドルはゴールデンウイーク中に1.21台半ばまでユーロ高が進む
場面もありました。ドルが売られユーロが買われた訳ですが、その際に円
も売られたことになります。チャートでは「月足」でも上昇傾向が示され
ていますが、これはコロナ感染の拡大が落ち着き、経済活動の再開が見込
まれていることを反映していると見ています。ただ、この先まだ不確実な
点も多く、個人的にはユーロのさらになる上昇には懐疑的です。

本日のドル円は108円90銭~109円70銭程度を予想します。


このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判
断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊
社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外国為替証拠金取引とは、元本や利益が保証された金融商品ではありません。お取引した通貨にて、
相場の変動による価格変動やスワップポイントの変動により、損失が発生する場合があります。
レバレッジ効果では、お客様がお預けになった証拠金以上のお取引が可能となりますが、証拠金以上の
損失が発生するおそれもあります。個人のお客様の取引に必要な証拠金は、各通貨のレートにより
決定され、お取引額の4%相当となります。証拠金の25倍までのお取引が可能です。
(法人のお客様の取引に必要な証拠金は、通貨ペア、取引コースにより1万通貨あたり3,500円から
34,000円の範囲内であり、証拠金の約200倍までの取引が可能です。)当社では、
「オフセット注文™」以外の取引手数料、口座維持手数料を無料としておりますが、
取引レートの売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があり、
また諸費用等については別途掛かる場合があります。当社は法令上要求される区分管理方法の
信託一本化を整備いたしておりますが、区分管理必要額算出日と追加信託期限に時間差があること
等から、いかなる状況でも必ずお客様から預かった証拠金が全額返還されることを保証するもの
ではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。
通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から
決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。