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米6月消費者マインド大幅に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に下落し110円44銭を付ける。新型コロナの感染が
世界的に再拡大してきたことが背景。大きな値動きが見られない中、
円を買う動きが優勢に。
◆ユーロドルは水準を切り下げ約1週間ぶりに1.1878まで下落。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って上昇。ナスダックは2日連続、
S&P500は4日連続で最高値を更新。
◆債券市場はほぼ横ばい。長期金利は1.47%台と小幅に低下。
◆金は反落し、原油は反発。

◆4月ケース・シラ-住宅価格指数   →  14.88%
◆4月FHFA住宅価格指数      →  1.8%
◆6月消費者信頼感指数        →  127.3

本日の注目イベント

◆日   5月鉱工業生産
◆中   6月中国製造業PMI
◆中   6月中国サービス業PMI
◆独   独6月雇用統計
◆欧   ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
◆英   英1-3月期GDP(改定値)
◆英   英1-3月期経常収支
◆米   6月ADP雇用者数
◆米   6月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   5月中古住宅販売成約件数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論会に参加
◆加   カナダ4月GDP

週末の雇用統計を控え様子見気分が強まったことで各市場では大きな変化
は見られません。ドル円はやや下値を切り下げ、110円44銭までドル
安に振れましたが、これは英国などでコロナの感染者数が増え、経済活動
の鈍化が予想されることで円買いがやや優勢になったようです。
また、金(きん)が値を下げ、昨日のNYでは引け値で1760ドル台と、
4月15日以来、約2カ月半ぶりとなる安値を記録しています。
金利の付かない金は、金利上昇局面では常に売り圧力にさらされることに
なりますが、足元の米長期金利は、上昇というよりもやや低下傾向にあり
ます。FRBによる利上げを先取りしていると考えればいいのかもしれま
せんが、一方で金はインフレには強い面もあり、このままさらに値を下げ
る可能性は低いと見ていますが、どうでしょう。コロナによる「巣ごもり」
から、世界的に人々の貯蓄は増加しており、宝飾品の売れ行きは好調です。
フランスの「エルメス」や「カルティエ」の株価は最高値圏で推移してい
ます。

米経済指標は引き続き好調さを維持しています。
昨日発表された6月の消費者信頼感指数は「127.3」と予想を大きく
上回り、新型コロナウイルスがパンデミックとなってからの最高を記録し
ました。市場予想は「119」で、5月の数字も「117.2」から「
120」に上方修正されています。コロナワクチン接種が進み、カリフォ
ルニアやNYといった大きな州での経済再開が本格化しており、経済や労
働市場に対する見方に楽観的な予想が広がっています。
コンファレンスボードの担当者は、「短期のインフレ期待は上昇したが、
消費者信頼感や購入計画にほとんど影響していない」と指摘し、「実際に
は住宅や自動車、大型家電のいずれについても、買う予定があるとの回答
比率が上昇した。個人消費が短期的に経済成長を支え続ける兆候だ」と分
析しています。(ブルームバーグ)仕事が豊富にあるとの回答比率は20
00年以来の高水準になっています。

住宅価格の上昇も続いています。
4月のケースシラー住価格指数は、過去30年余りで最大の伸びを示して
いました。
米20都市の価格指数は前年同月比で「14.9%」も上昇し、全米ベー
スでも「14.6%」と、統計開始以来最大です。その背景としてS&P
ダウ・ジョーンズの指数担当者は、「買い手候補が都市部の集合住宅から
郊外の住宅に移っており、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応が
米住宅市場の強さの一因になっていると、われわれが以前示唆した。4月
のデータは引き続き、その仮説と一致している」と述べています。
20都市の中でも特に、フェニクス、サンディエゴ、シアトルの3都市は
」「20%」を超えており、フェニクスは前年同月比「22.3%」の上
昇でした。米国人にとって「終の棲家」はやはり、暖かく、温暖な西海岸
や西部ということなのでしょうか。

昨日もFOMCメンバーの講演が多くありましたが、雇用については概ね
楽観的な見方を示していました。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は講演で、雇用を妨げている短期的な
要因が後退すれば、「労働市場はこの秋、極めて力強く回復すると私は見
込んでいる」と語り、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「雇用の面で
の道のりは長いとなお考えている」と発言し、雇用者がコロナ禍前の水準
を760万人下回っていることに言及していましたが、それでも、雇用の
最終的な回復を妨げる「構造的な」理由があるとは考えていないとし、「
8-9月までに力強い雇用の伸びが見られると予想している」と語ってい
ます。(ブルームバーグ)今週末に発表される6月の雇用統計では、非農
業部門雇用者数は70万人増と、先月よりも大幅な増加が見込まれていま
す。人手不足が続いており賃金も上昇している中、手厚い失業給付金の上
乗せが徐々になくなることを考慮すれば、雇用は急拡大する可能性もある
と予想しています。2か月連続で期待を裏切られた雇用。今回は3度目の
正直となるのか、期待したいと思います。

本日のドル円は110円30銭~111円程度と見ています。


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英国で新規感染者急拡大 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方に111円台乗せを試す動きを見せたが、110円
97銭止まり。その後は米長期金利の低下に伴い110円台半ばまで
下落。
◆ユーロドルは引き続き小動き。1.19台前半から半ばで推移し、
方向感も見えず。
◆株式市場はまちまちながらこの日はハイテク株が上昇。ナスダックは
140ポイント上昇し、初の1万4500ポイント台に。S&P500は
上昇し、3日連続で最高値を更新。
◆債券は反発。長期金利は再び1.5%を割り込み、1.47%台まで
低下。
◆金は続伸し、原油は4日ぶりに反落。

本日の注目イベント

◆日   5月失業率
◆日   5月小売売上高
◆独   独6月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏6月景況感指数
◆欧   ユーロ圏6月消費者信頼感(確定値)
◆英   英5月消費者信用残高
◆米   4月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   4月FHFA住宅価格指数
◆米   6月消費者信頼感指数
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、討論に参加(オンライン)

ドル円はNY時間朝方には上値を試し111円テストを試みましたが、110円
97銭で上昇が抑えられ反落しています。
米長期金利が再び低下し、1.5%を割り込んだことでドル売りが強まった側面
はありましたが、111円台に届かなかったことも影響したかもしれません。2
日の雇用統計発表まではこのような、「一進一退」の動きが続きそうです。

英国では新型コロナの「デルタ変異株」感染が急拡大し、昨日の新規感染者数は
2万2868人と、今年1月以来最多となって来ました。英国では成人の84%
がワクチン接種1回目を、62%が2回目を済ませています。
それでもジョンソン英首相は、イングランドでの活動制限措置が「7月19日に
終了する公算が非常に大きい」と述べており、入院率と死亡率が比較的低い水準
にあることに言及しています。(ブルームバーグ)
英国での感染者急拡大を受け、香港は英国を「極めてリスクが高い国」に指定し、
7月1日から英国発の全旅客便の乗り入れを禁止する措置を決めています。
また欧州では、ポルトガルとスペインが英国からの渡航者に対して新たな制限措
置を設けましたが、ドイツなどでは渡航制限を変更する計画はないとしています。

ブルームバーグがまとめる新型コロナウイルス感染症時代の世界で最も安全な国
・地域番付「COVIDレジリエンスランキング」では、米国が首位に踊りでま
した。2位はニュージーランドでスイスが3位と続きます。
因みに日本は23位で、今回急速に感染が拡大した英国は9位です。
このランキングは、「ワクチン接種した人の割合」、「ロックダウンの深刻度」、
「フライト能力」さらに「ワクチン接種後の越境可能ルート」を総合的に勘案し、
「耐性スコア」を導き出しています。

日本も同じような状況で手綱を緩めることはできません。
ワクチン接種は順調に進んでいるようですが、若者の感染が急拡大しています。
東京都の新規感染者数は高止まりしており、試算では、今後オリンピック・パラ
リンピックの開催や夏休みなどで、1日に1000人を超える新規感染者が出る
可能性も指摘されています。
このまま感染者数が高止まりすれば、再び「緊急事態宣言」が発出されることも
ないとは言えません。
東京オリンピック・パラリンピック開幕まで1カ月を切りました。
ホワイトハウスのサキ報道官は、「大統領が東京五輪に出席する予定はない」と
言明しています。同時に、「これまでと同じように米国は選手団を派遣する」と
述べ、大統領夫人のジル・バイデン氏が五輪選手団を率いる可能性を検討してい
ると説明しています。

ドル円の短期的な動きを見ると、今後も111円台のテストを何度か繰り返すこ
とになりそうですが、下値の方は「1時間足チャート」の「200時間移動平均
線」にサポートされる展開が続いています。先週の21日からこの移動平均線に
跳ね返されているのが確認できます。
一方上値の方は1時間足の雲に抑えられています。この結果、コアレンジは11
0円50銭~110円80銭ということになり、本日の予想レンジは110円3
0銭~111円程度に落ち着きそうです。


PCEデータ予想を下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方のPECデータを受け下落。110円48銭
までドル売りが進んだが、株価や長期金利の上昇に、110円
80銭近辺まで反発して越週。
◆ユーロドルは方向感の欠ける展開が続く。1.19台半ばを
挟みもみ合う。
◆株価はまちまち。ダウは237ドル上昇したものの、ナスダックは
金利上昇の影響もあり小幅安。S&P500は最高値を更新。
◆債券は続落。長期金利は1.52%台に上昇。
◆金は反発し、原油は続伸。

◆5月個人所得                  →  -0.2%
◆5月個人支出                  →  0.0%
◆5月PCEコアデフレータ            →  3.4%
◆6月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  85.5

本日の注目イベント

◆中   習主席、ロシアのプーチン大統領とオンライン会議
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、BIS主催パネル討論に参加
◆米   バイデン大統領、イスラエル大統領と会談(ワシントン)

注目された個人消費支出は市場予想を下回り、FRBは利上げを急がないとの
観測が広がり、ドル円は110円台半ばまで押し戻される局面がありました。
ダウは237ドル高と、前日に引き続き大幅な上昇を見せましたが、ナスダッ
ク指数は長期金利が1.5%台を回復したことで小幅なマイナスで取引を終え
ています。ドル円も長期金利の上昇に110円台後半まで反発しています。

5月の個人消費支出はほぼ横ばいでした。個人所得は「-2.0%」と、2カ
月連続のマイナスとなり、個人支出は「0.0%」でした。個人所得の大幅な
マイナスは政府の経済対策による個人給付金を背景に、3月が急騰していた影
響と見られています。またPCEコア指数は前月比「0.5%」でしたが、前
年同月比では「3.4%」と、1991年以来となる高い伸びでした。
FRBによるテーパリング開始の時期が早まるといった見方もやや下火になっ
た印象ですが、消費者物価指数の高水準は続いており、さらにWTI原油価格
も上昇傾向を見せています。同指数は先週末にNY市場では引け値で74ドル
台に乗せて、取り引きを終えています。

18日のブラード・セントルイス連銀総裁の発言、「ブラード・ショック」に
株式市場が大きく下落しましたが、先週はその下落分をほぼ埋め、ナスダッッ
クとS&P500は最高値を更新する勢いを見せていました。恐怖指数と呼ば
れる「VIX指数」も、一時14.19前後まで低下し、今年の最低水準近辺
で推移しています。
市場では再び「リスクオン」ムードが高まり、投資家は株式市場へ資金を振り
向けているものと思われます。
FRBがいずれ、資産購入を減らすテーパリングに踏み切ることは間違いなく、
いわば時間の問題と言えます。
FRBは今後、利上げと株価の安定という難しいオペレーションを迫られるこ
とになります。注目点は、パウエル議長が繰り返し述べているように、物価上
昇が一時的な現象なのかどうかといった点と、労働市場の回復スピードです。
パウエル議長は、労働市場についても秋口からの回復に自信を見せています。
今週末には早くも6月の雇用統計が発表されますが、これまで以上に注目され
そうです。


トランプ前大統領が再びメディアに登場してきました。
テレビ画面で観た限りではやややせた印象でしたが、トランプ氏は26日、オ
ハイオ州クリーブランド郊外で開いた集会で演説を行いました。ブルームバー
グはその状況を、「トランプ氏は昨年の大統領選挙の結果を巡る不満を再び漏
らし、誇張された主張をあらためて展開した。また、来年の中間選挙に向けて
自身が推す候補者への支持を聴衆に呼び掛けた」と報じています。
トランプ氏は演説で、「われわれはこの選挙に2度勝った。3回目も勝利しな
ければならないかもしれない」と述べ、演説は1時間半に及び、前政権時代の
実績を延々と語り、バイデン政権の実績を厳しく批判する中で、昨年の大統領
選が盗まれたと、根拠のない主張を何度も繰り返したとのことです。
集会には若者も含めた熱狂的なトランプ支持者が多く集まり、分断された米国
という事実を、あらためて見せられた気がします。
2024年の米大統領選にバイデン氏が出馬することはないでしょうが、もし
かしたら、「ハリス対トランプ」の対決になるかもしれません。

今週は何と言っても2日(金)の雇用統計が最大イベントになります。
その前にはISM製造業景況感指数もあり、今週後半は再び荒っぽい動きも想
定されます。
ドル円は米景気の回復を確認し、111円台を固める動きになるのか。あるい
は、111円台で再び「壁」を作り110円を挟む展開になるのか、引き続き
微妙な値位置にいます。

本日のドル円は110円40銭~111円20銭程度を予想します。


米インフラ投資計画合意 

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ドル円1年3カ月ぶりに111円台に乗せる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間でも堅調に推移したドル円は、ロンドン時間
昼頃には111円台に乗せ、111円10銭まで上昇。
その後一旦ドル売りに押されたが、NYでは再び111円に
乗せたものの、上値は限られた。
◆ユーロドルは小幅に反発。域内のPMIが予想を上回り、
1.1970までユーロが続伸。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は反落したが、
テスラ株などが上昇し、ナスダックは小幅ながら最高値を更新。
◆債券は反落。長期金利は1.48%へと上昇。
◆金と原油はそろって反発。原油は一時74ドル台に乗せる。
米大手金融機関では100ドルに達するとの予想も。

◆6月マークイット製造業PMI         →  62.6
◆6月マークイットサービス業PMI       →  64.8
◆6月マークイットコンポジットPMI       →  63.9
◆ 経常収支(1-3月)             →  -1957億ドル
◆5月新築住宅販売件数             →  76.9万戸

本日の注目イベント

◆独   独6月ifo景況感指数
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE議事録
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月耐久財受注
◆米   1-3月GDP(確定値)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総、パネル討論に参加
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、オンラインイベントで講演

昨日の東京時間でも堅調に推移していたドル円は欧州市場で111円台に乗せ、
l11円10銭までドル高が進みました。2020年3月26日以来となるド
ル高水準です。ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進んだこともあり、ユー
ロ円を含むクロス円全般で円安が強まり、再び先週まで続いた「円全面安の定
位置」に戻った感があります。米株式市場もやや落ち着きを取り戻し、リスク
オンの流れが強まったことから投機筋を中心に円売りが活発化したようですが、
ただこのまま現在の状況が続くのかどうかは不透明です。FRBによるテーパ
リング開始のタイミングがまだ読み切れないからです。

アトランタ連銀のボスティック総裁は23日、米金融当局が資産購入ペースの
減速を向こう数カ月に決定する可能性があると述べたほか、2022年の利上
げ開始が望ましいとの見解を示しました。ボスティック総裁は、「最新のデー
タが示す上方向へのサプライズを考慮し、米金融当局の最初の動きに関する自
分の予測を2022年終盤へと前倒しした」と発言し、「2023年には2回
の動きもあると考えている」とも述べています。(ブルームバーグ)
その理由として同総裁は、予想以上に早い景気回復を挙げ、インフレ率も想定
を上回っていると指摘していました。
その上で、「私の見解では、われわれはこうした目安の達成に近い。それを踏
まえると、資産購入のテーパリング開始を計画していくことが十分に適切だと
考える」と述べています。ボスティック総裁はこれで、セントルイス、ダラス
連銀両総裁に次いで「タカ派」を宣言したことになりますが、これまでの両総
裁に比べると、より具体的、かつ積極的な姿勢が目立った印象です。


一方昨日はFRB執行部の一人であるボウマン理事の講演もありました。
ボウマン理事は、物価上昇圧力は経済再開に伴うサプライチェーンの目詰まり
が解消されれば弱まるはずだが、それが早急に実現することはなさそうだと述
べ、「物価上昇圧力の要因が解消されたら、ほどなくインフ率は鈍化するだろ
う」とするパウエル議長の見解とはやや異にしています。
ボウマン氏は、「こうした物価上昇圧力はボトルネックが解消されれば緩和さ
れるかもしれないが、いくらか時間がかかる可能性がある。状況を引き続き注
視し、必要に応じて自身の見通しを調整する」としています。

このようにFOMCメンバーの中で、テーパリング開始の時期を巡る意見が分
かれていることははっきりして来ました。
焦点は、物価上昇が一時的なものなのかという点と、雇用の回復がどの程度早
まるのかという点です。
雇用は、ここ2か月連続で市場予想を下回っています。
経済活動が再開し、飲食などのサービス業が急回復しているにも拘わらず雇用
が伸びない理由の一つが、「手厚い失業給付金の上乗せ額」だと指摘されてい
ます。
その失業給付金も州によっては6月で終了するところもあり、9月には大方の
州で終了すると見られています。
そうなると、雇用者増という形でその影響が跳ね返ってくるのは、早くて10
月8日に発表される「9月の雇用統計」ということになり、場合によっては年
末までずれ込むことも考えられます。
9月あるいは11月のFOMCでテーパリング開始を決定する可能性が高いと
予想しています。

本日のドル円は110円60銭~111円30銭程度と予想します。


米ナスダック最高値更新 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸。パウエル議長の議会証言を受けドルを
買う動きが強まり110円79銭まで上昇。証言に目新しさは
欠けたものの、利上げを急がないとの見方につながる。
◆ユーロドルは引き続き1.19を挟む展開ながら、やや
ユーロを買い戻す流れが強まり1.1952まで上昇。
◆株式市場は揃って続伸。債券市場が落ち着きを取り戻した
こともあり、ナスダック指数は111ポイント上昇し、最高値を更新。
◆債券は反発。長期金利は1.46%台へ低下。
◆金と原油はともに値を下げる。

◆6月リッチモンド連銀製造景況業指数     →  22
◆5月中古住宅販売件数            →  580万戸

本日の注目イベント

◆日  4月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月26日、27日分)
◆中   中国5月消費者物価指数
◆独   独6月製造業PMI(速報値)
◆独   独10月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏6月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏6月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏6月総合PMI(速報値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁、イベントで講演
◆米   6月マークイット製造業PMI
◆米   6月マークイットサービス業PMI
◆米   6月マークイットコンポジットPMI
◆米  経常収支(1-3月)
◆米   5月新築住宅販売件数
◆米   ボウマン・FRB理事講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
◆加   カナダ4月小売売上高


ドル円は続伸し、NY市場では米長期金利が低下したにも拘わらず110円79銭まで
ドル高に振れています。先週木曜日の東京市場で付けた110円83銭に迫る水準まで
ドルが買われましたが、目先はこの水準を抜けるかという点と、その先の111円台に
乗せることができるかという点が焦点になります。
111円台を回復すれば昨年3月以来ということになり、今年の3月にも目前まで上昇
しましたが、結局抜け切れずに押し戻されており、その意味では「近いようで遠い11
1円台」と言えます。
日米株式市場では依然として荒っぽい動きが続いている中、このまま順調に111円台
に乗せ、その水準を固める展開も予想しづらいところです。
仮に111円台を回復すれば、1年半ぶりの水準ということもあり、実需のドル売りも
構えていることが予想されます。

NYでドルが買われた背景には、パウエル議長の議会証言を経てリスクオンがやや進み、
株高、債券高に振れたことが挙げられます。
市場参加者は、それだけ今後のテーパリング開始に関する「手がかり」を欲していると
いうことです。
パウエル議長の議会証言の内容が事前に公表されたことは、昨日のこの欄でも述べまし
たが、証言内容はそのテキストとほぼ一致していました。
議長は、「インフレのオーバーシュートのかなりの部分、もしくは恐らく全てが、中古
の乗用車やトラックといった経済活動再開で直接影響を受ける分野で生じている。これ
らは上昇が止まり、いずれ鈍化し始めるとわれわれが予想する項目だ」と述べ、足元の
物価上昇は想定よりも大きいことを認めながらも、時間とともに低下する可能性が高い
と認識していることを改めて述べました。
また労働市場についても、新型コロナウイルスワクチンの接種が進むことで、雇用は改
善するとの考えを示しています。
その上で議長は、「われわれは雇用が好調すぎるとの考えや、インフレの兆候への警戒
を理由に予防的に利上げすることはない。実際のインフレやその他不均衡の事実に基づ
いた証拠を待つ」と述べ、辛抱強く利上げの時期を待つ考えを示しました。(ブルーム
バーグ)投資家はこの部分の発言で安心感を強め、「FRBは利上げを急がない」との
認識を強めたと考えられます。

この日はFOMCメンバーである地区連銀総裁の発言も多くありました。
ウイリアムズNY連銀総裁は、利上げについて、「まだずっと先の話だ」と発言し、「
今はテーパリングに焦点が絞られていると思う」と述べています。インフレ率について
も、来年2%近くに低下するとも予想しています。
クリーブランド連銀のメスター総裁は、テーパリングに必要な米経済の顕著な進展を検
証する前に、「向こう数カ月における雇用のさらなる伸びを確認したい」と述べ、さら
にサンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、「テーパリングの実施時期にはまだないが、
準備を始めるのは適切だ」と指摘し、「現在、金利変更についての協議は議題にさえな
っていない」と語っています。
ブルームバーグはこれら一連の発言を「異口同音」と題して伝えています。
上記メンバーの言わんとすることは「利上げのタイミングはまだまだ先のことだ」とい
う事ですが、メンバーの中にはセントルイス連銀総裁のブラード総裁や、ダラス連銀の
カプラン総裁のような「タカ派」も多くいることから、FOMCでの会合全体では「同
床異夢」と言い直すことも出来そうです。
いずれにしても、サプライチェーンなど、一時的な物価上昇要因が正常化し、その結果
今後物価上昇率が鈍化すのかどうかという点と、労働市場の推移を注意深く見極めてい
くしかありません。

本日のドル円は110円20銭~111円程度を予想しますが、上で述べてるうように、
今夜のNY市場で株価がさらに上昇し、リスクオンが強まるようだと、111円が見られ
るかもしれません。


NYダウ586ドル高と急反発。 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆昨日の東京時間昼過ぎには109円72銭まで売られた
ドル円は反発。米長期金利の上昇とNY株式が急反発した
ことから円を売る動き加速し、110円35銭までドル高に。
◆ユーロドルは水準を大きく変えることなく1.19を挟み
もみ合う。ユーロは対円で131円台半ばまで反発。
◆株式市場は急反発。金融当局は金利引き締めに際しても、
斬新的なペースになるとの観測が広がり、ダウは586ドル高。
前日の大幅な下げを埋める荒っぽい展開に。
◆債券は売られ、長期金利は1.49%近辺まで上昇。
◆金は反発。原油価格は、原油在庫の減少観測やイラン産原油の
輸出解禁が遅れるとの見方が材料となり2ドルを超える上昇。
引け値でも73ドル台半ばを記録。

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏6月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   6月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   5月中古住宅販売件数
◆米   パウエル・FRB議長、下院で証言
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   NY市長選予備選

FRBの利上げのタイミングを巡り、金融・商品市場では荒っぽい展開が続い
ています。先週末のNY株の大幅下落を受け、昨日の東京株式市場ではその影
響をもろに受け、日経平均株価は寄り付きから大きく下げ、午後には1100
円を超える下げに見舞われました。利上げが早まるのは米国であって、日本で
はないにもかかわらず、「離れ」の日本が「母屋」の米国を上回る厳しい下げ
になってしまいました。今朝の経済紙でも、日本株の下げが突出する理由の一
つに、「アジア市場の中では株価指数先物市場が発達しており、注文量が多く
ても安定して想定した価格で約定しやすい」という点を挙げていました。その
ため投機筋の対象になり易いということの様です。

ドル円は日経平均株価の大幅な下げに「リスク回避が進み」、昼過ぎには10
9円72銭までドル安が進みました。ドル円はその後欧州市場に入るとFTな
ど欧州の株価が堅調だったことから110円台を回復し、NYではダウが60
0ドル近い反発を見せたことで、110円35銭までドルが買い戻されていま
す。結局、金曜日と週明け月曜日で「往って来い」の展開になっており、為替
も株も金利も概ね元の水準に戻っています。株価の大幅な下落が今回の金融市
場混乱の源だったと思いますが、昨日のNYでは金融当局の引き締めスタンス
は変わらないが、そのペースは斬新的になるとの見方が広がったことで、投資
家心理が落ち着きを取り戻したことが大きかったと思われます。

ブラード・セントルイス連銀総裁の「2022年末には利上げ」という発言を
きっかけに今回の混乱が始まったわけですが、昨日も地区連銀総裁の発言が相
次ぎ、まとめてみると、FOMC委員の間でも意見が分かれていることが鮮明
になっています。
ブラード総裁は先週末に続いて、「FOMCが先週にテーパリング議論を開始
したのは適切だ」と述べ、MBS(住宅ローン担保証券)の購入縮小を提言し
ました。
また、ダラス連銀のカプラン総裁も、「債券購入のテーパリングを比較的早期
に開始することを支持する」と述べ、「タカ派的」な認識を見せています。
一方、ウイリアムズNY連銀総裁は。「今年3%前後のインフレ率が2022
年と23年には2%近くに低下する」と予想しており、ただ物価上昇には「強
い不透明感」があることも認めています。(ブルームバーグ)

パウエル議長は本日(22日)、下院特別小員会の公聴会で証言を行うことに
なっていますが、事前に準備した証言の内容が公開されました。
公聴会の前に証言テキストの内容が公開されるのは、異例のことと思いますが
、これも市場の混乱を避けるための配慮かと思われます。テキストでは、米経
済の再開に伴う消費の回復と原油高に言及し、「インフレはここ数カ月で顕著
に加速した。これらの一時的な供給の影響が弱まれば、インフレ率はわれわれ
の長期目標に向け再び鈍化すると予想される」とあります。(ブルームバーグ)
議長はこれまで「足元の物価上昇は一時的」との言葉を何度も繰り返して述べ
ていましたが、このテキスト内容を見る限り、「一時的」との認識は変えてい
ないと見られます。
一方で、雇用の見通しについては引き続き楽観的で、「新型コロナウイルスワ
クチン接種が進み、現時点で下押し圧力となっているパンデミック関連要因の
一部が緩和されれば、雇用の伸びは今後数カ月で上向くはずだ」との予想を明
きらかにするようです。

またサマーズ元財務長官と世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォータ
ー・アソシエーツの創業者ダリオ氏は、カタールで行われた経済フォーラムで、
米経済は過熱しインフレに向っているとの認識を示しています。
サマーズ氏は、「2月時点では、今年はインフレ率が2%を若干上回る水準に
なるという見方で、市場予想の専門家はほぼ一致していた」とした上で、「今
年最初の5カ月間ですでにそれを上回るインフレ率になっている」と指摘。「
そうした状況を見ると、専門家らは予想を修正するだけではなく、大きく外れ
た予想につながった誤った分析についても考えるべきだ」と話しています。
ダリオ氏も、インフレが加速し景気回復を脅かす恐れがあるため、「金融当局
は、そうなる前に対応すべきだ」と述べています。

「ゼロ金利政策から金融正常化へ舵を切り直す」には、それなりの説得力とそ
れを行うことの正当性を証明することは不可欠です。
よしんば、それらが出来たとしても市場のある程度の混乱は必至とも言えます。
リスク資産は金利上昇を嫌いますが、それも相対的なもので、長期金利の1.
5%程度は受け入れ出来るのではないかと思います。株式に代表されるリスク
資産でも平均して1.5%を上回る配当利回りは享受でき、その上「キャピタ
ルゲイン」も期待できます。いずれ株式と債券がソフトランディングする時期
があると予想しています。

本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想しています。


NYダウ500ドルを超える下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆FRBによる利上げ開始が早まるとの観測が強まり、
ドル円は110円48銭まで上昇。その後は米株の厳しい
下げに円を買う流れが強まり、110円06銭まで売られる。
◆ユーロドルは下落が止まらず、1.1847まで売られる。
◆株式市場では3指数が大きく下落。セントルイス連銀総裁の
発言も売り材料となり、ダウは533ドル下げ、5日続落。
◆債券は続伸。長期金利は1.43%台へと低下。
◆金は続落し、原油は反発。

本日の注目イベント

◆豪   豪5月小売売上高
◆欧   ラガルド・ECB総裁、欧州議会に出席
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演、オンラインイベントで講演

NYダウの下げが止まりません。
この日は前日比533ドルの大幅な下げに見舞われ、これで5日続落。つまり、
先週は全ての営業日で下げたことになります。この間の下げ幅も1180ドル
(3.4%)に達し、好調だった米株式市場にも先行きに対する懸念が広がっ
ています。先週金曜日の大幅な下げのきっかけになったのが、セントルイス連
銀のブラ―ド総裁の発言でした。

ブラード総裁はCNBCとのインタビューで、16日に公表された最新の金利
予想分布図(ドット・プロット)に言及し、「私は2022年終盤の開始を予
測している」と述べています。総裁はさらに、「ただし、これらは予想の内容
に関連していると考えなければならない。私の予想は21年のインフレ上昇率
(コアPCEインフレ率)が3%、22年のコアPCEインフレ率は2.5%
だ」と説明しています。その上で、「これが実際に起こると考える場合、22
年末までに既に2年間にわたって2.5-3%のインフレが続くことになる」
と語っています。
今回の経済予測では、22年に利上げを予測した参加者は7人おり、3月時点
から4人増えていました。ただブラ―ド総裁は今年のFOMCでの議決権を持
っていません。
ブラード総裁はタカ派として知られていますが、物価上昇率が続く中、「イン
フレが想定以上だ。われわれが若干タカ派に傾斜したのは当然のことだと思う」
(ブルームバーグ)とも語っています。
一方ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は慎重な立場を示し、「労働市場が新
型コロナウイルス禍前の力強さを取り戻せるようにするため、少なくとも20
23年末まで事実上のゼロ金利政策が維持されることを望む」と、ロイター通
信とのインタビューで述べ、早期の利上げには反対の立場を見せています。
筆者は、カシュカリ総裁のこの発言が現状のFOMCメンバーの総意に近いも
のだと考えており、先ずは労働市場の回復が最優先課題で、労働市場がコロナ
禍前の状況に戻れば、利上げは自然と付いて来るものと思います。
もっとも、ブラード総裁のタカ派的な発言であっても、利上げまではまだ1年
半先の話で、その間に経済状況はまだまだ上下する可能性もあります。

バイデン大統領は、連邦ガソリン税をインフレ指標に連動させる案について反
対しているとホワイトハウスは述べています。
ホワイトハウスのベイツ報道官は声明で、「失業や収入減、家計の圧迫など一
般市民が2020年に非常に困難な時期を経験した後、最も苦しんでいる人々
に議会が増税するのをバイデン氏は認めるつもりはない」と説明しています。
ただ、バイデン大統領が提案した2兆2500億ドル(約248兆円)規模の
インフラ計画は、超党派の議員によりその規模の縮小を迫られていますが、そ
れでもその財源にはガソリン税などが含まれており、インフラ計画の実現が懸
念されることになります。

クロス円はほぼ全て大きく下落しています。
ユーロドルなどで大幅な「ドル高・ユーロ安」が進行していますが、ドル円で
は110円台には乗せたものの、上値が抑えられる展開が続いていることが要
因と見られます。ドル円が今回のステージで110円台を回復した先週火曜日
には、ユーロドルは1.21台前半でしたが、足元ではドル円の水準がほぼ変
わっていないにも拘わらず、ユーロドルは1.18台後半で推移しています。
「ユーロ円の下落分」の全てが「ユーロドルの下落分」に起因しているという
ことが言えます。これは他の主要通貨についても言えることです。
株価の大幅な下落が起きている中、リスク回避の流れからこれまでのポジショ
ンの巻き戻しが活発になっているということでしょうが、株価がどこまで下げ
るかがポイントです。本日の日経平均株価も大幅な下げが避けられない状況で
す。今週はこの動きが継続されるのかに注目してきたいと思います。

本日のドル円は109円80銭~110円60銭程度を予想しています。


ドル円反落するも110円台は維持 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間には110円83銭まで買われたドル円は反落。
米長期金利が一時1.5%を割り込む場面があり、110円
17銭までドル安が進む。
◆ユーロドルは続落。4月中旬以来となる1.19割れとなり、
1.1890まで売られる。対円でも1カ月半ぶりに131円
前後まで下落。
◆株式市場はまちまちとなり明暗を分ける。ダウは銀行株が
下落をけん引する形で4日続落。一方ナスダックは金利低下を受け
ザラ場では最高値を更新する場面もあったが、引け値では更新
できず。
◆債券は反発。前日大きく売られた債券は買われ、長期
金利は1.50%台に。
◆金は大幅に売られ5日続落。1800ドル台を割り込む。
原油も大きく売られ71ドル前後に。

◆新規失業保険申請件数          →  41.2万件
◆6月フィラデルフィア連銀景況指数    →  30.7
◆5月景気先行指標総合指数        →  1.3%

本日の注目イベント

◆日  5月消費者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独5月生産者物価指数
◆独   独5月小売売上高
◆欧   ユーロ圏4月経常収支


前日のFOMCでFRBは政策金利引き上げを前倒しにし、2023年末まで
には少なくとも1回利上げすることを決めました。市場ではFRBの思った以
上の「タカ派的」な見通しに株と債券が大きく売られ、金利上昇を好感しドル
が買われ、ドル円は110円台後半まで急伸しました。その流れは昨日の朝方
の東京市場にも伝播し、午前中には110円83銭までドル高が進んでいます
。ただ地球が1回転して帰ってきた昨日のNYではその熱も冷めたのか、一転
して巻き戻しが起きました。長期金利は1.5%を割り込む水準まで債券が買
われ、ハイテク銘柄の多いナスダックはザラ場で最高値を更新する局面もあり
ました。
ただ、各市場の動きはまちまちで、ダウは一時300ドルを超える下げで4日
続落。目立ったのが金(きん)です。一時は90ドル(5.05%)を超える
下げを見せました。今後確実に金利が上昇していくとすれば、「定石的には」
株と債券と金が売られ、ドルと原油が買われるはずですが、昨日の動きは良く
わからない展開でした。

バイデン大統領は,スイスのジュネーブでロシアのプーチン大統領と,大統領
就任後初となる会談を行い、ある程度の成果があったと見られますが、今度は
中国の習近平国家との会談も計画しているようです。
ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は「会談の時期や形式についてはまだ
何も決まっていない」と述べていましたが、「G20」会合を利用するのか、
あるいは独自の方法で行うのか今後詰められるようです。米国とロシアの関係
が「最悪」である以上に、対中国との関係は悪化しており、解決しなければな
らない問題は「人権」や「サイバー攻撃」だけには留まりません。米ロ会談
と同様に、トップ同士が会って直接話し合うことで、何か解決の糸口が見つか
る可能性があります。
その中国では、米国による制裁の克服に向けて国内半導体メーカーを支援する
施策を巡り、習近平国家主席は、最側近の1人である劉鶴副首相を責任者に充
てる人事を発表しています。トランプ前政権が発動した制裁によりファーウェ
イなど、中国のハイテク企業は大きな影響を受けており、「脱米国」を目指し、
最先端の技術で米国を凌駕することへの布石とも言えます。

昨日発表された新規失業保険申請件数は、4月後半以降で初めて増加していま
した。前週比3万7000件増えて、41万2000件と、市場予想を上回っています。
特にペンシルベニア州、カリフォルニア州、ケンタッキー州で大幅に増加して
おり、詳しい要因は分かっていません。一方、ミシガンとアラバマの両州では
大幅に減少しています。今後の見通しについては、「経済再開に伴って労働市
場が改善する中、一時的な増加に留まる公算が大きい」(ブルームバーグ)と
の見方が優勢のようです。

ドル円は「110円台を維持できるのかどうか」が引き続き焦点です。
今回は110円台後半まで上昇したこともあり、このままずるずると109円
台に突入するようだと、「やっぱり110円台は重い」といったイメージが拡
大し、今後のドル高を抑制することにもつながります。
ただ、FRBの政策スタンンスが明らかになっており、今後金利が緩やかに上
昇するとすれば、ドル高が進む公算が高いでしょう。

本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。


ドル円2カ月半ぶりに110円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆FOMCでは予想よりもタカ派的だったことで米金利が
上昇。ドル円も110円72銭と、約2カ月半ぶりの水準
まで上昇。
◆ユーロドルは下落。5月6日以来となる1.1995まで
ユーロ安が進む。
◆株式市場ではFOMCを受け3指数が揃って大幅に下落。
ダウは3日続落で一時は3万4000ドルを大きく割り込む場面も。
◆債券は売られ、長期金利は一時1.59%台まで上昇し、
高値圏で引ける。
◆金は反発。原油は小幅に続伸。

◆5月住宅着工件数      →  157.2万件
◆5月建設許可件数      →  168.1万件
◆米5月輸入物価指数     →  1.1%

本日の注目イベント

◆豪   豪5月雇用統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧   ユーロ圏5月消費者物価指数(改定値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   6月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   5月景気先行指標総合指数
◆米   米証券取引委員会(SEC)、ビットコインETFを巡る判断
◆米   イエレン財務長官、下院歳入委員会で証言


ほぼ全ての市場の動きが予想通りでした。
金(きん)が小幅に反発したのがやや予想外でしたが、前日まで3日続落し
ていたことからドル高にも拘わらず上昇しましたが、値ごろ感での反発とみ
ます。

FOMCでは政策金利を据え置きましたが、公表された「ドットチャート」
では2023年末までに2回の利上げを見込んでいることが示唆され、株式
と債券が大きく売られ、発表前までは1.48%台で小動きだった米長期金
利は1.59%台まで急騰しました。米金利の上昇に引き寄せられる格好で
ドル円は素直に上昇。110円台半ばを超え、110円72銭までドル高が
進みました。この水準は4月6日以来となり、現時点では110円台前半か
ら半ばにあった「壁」を抜けたと見られます。
ただそれでも「月足」では雲の中に入った状況で、雲全体が「抵抗帯」であ
ることを考えると、これで上昇が一気に加速するとはまだ判断できません。

声明文では、「ワクチン接種の進展により、米国内の新型コロナウイルス感
染症の広がりは抑えられてきた。こうした進展と強力な政策支援が施される
中、経済活動や雇用の指標は強さを増した。インフレ率は上昇し、これは主
として一過性の要因を反映している。金融政策の適切なスタンスを見極める
上で、委員会は今後の情報が経済見通しに与える意義を引き続き監視する」
としています。
パウエル議長は会見で、資産購入の縮小について当局者らが議論を始めたこ
とを明らかにし、「今日も議論した」と述べ、「米経済は明らかに進展した
」と語っています。その上で、「今回の会合は議論することについて議論す
る会合だという考え方も可能だ」と、禅問答のような言い回しもしています。
「ドットチャート」では、参加者18人のうち13人が2023年末までに
少なくとも1回の利上げがあると予想。3月時点では7人だったことから、6
人も利上げ前倒しにシフトしたことになります。また、早ければ2022年
度中に利上げがあると見込んだ参加者も7人おり、前回から4人増えていまし
た。

経済が回復する中で、利上げ開始の時期が前倒しされる可能性が高まったわ
けでが、金利上昇を嫌気してNY株式市場は大きく値を下げています。
ただ今回の金利上昇は景気回復を伴う、いわば「良い金利上昇」です。
景気回復は企業業績を押し上げることにつながるため、今後は必ずしも株価
の下落要因になるとは限りません。
以前にも指摘しましたが、株式市場が、長く続いて来た低金利という「ぬる
ま湯」に慣れ切ったしまった反動と捉えています。

バイデン大統領はスイスのジュネーブで初となるプーチン大統領と会談を行
いました。米ロトップが直接会って会話を行ったことで、やはり意義のある
会談だったと思います。会談は2時間半程度だったようですが、米国とロシ
アはそれぞれの大使を相手国の首都に戻すことが決まったようで、一定の成
果はありました。
ただ人権問題での対立は続いており、バイデン大統領は会談後の会見で、「
プーチン氏に今回指摘したような人権侵害について黙っているなら、米国の
大統領でいられるだろうか」と発言し、「だからこそ、ナワリヌイ氏のよう
な事件には懸念の声を上げていく」と語っています。プーチン大統領も今回
の会談を「全体として生産的で、本質的、具体的なもので、結果を得ようと
する雰囲気の中で行われた。最も重要なのは、信頼の兆しがわずかに見られ
たことだ」と評価しています。双方とも重要な問題についてお互いのレッド
ラインを理解していたと語っています。(ブルームバーグ)

イエレン財務長官は16日、上院財政委員会で証言を行い、「米経済は新型
コロナウイルスのパンデミックからの力強い回復に向け、順調に進んでいる
」と説明しました。一方で、米国は賃金格差や労働参加率の低下、人種間の
格差、気候変動といった困難を抱えており、そうした問題への対処には相当
規模の公共投資が必要だとして、バイデン大統領が提示している複数年にわ
たる4兆ドル(約442兆円)規模の歳出案を支持するよう呼び掛けました。
イエレン氏の証言は今夜も下院で行われることになっています。

上でも述べたように、ドル円はなかなか抜け切れなかった110円台前半か
ら半ばの「壁」を抜けています。
ここまで来ると、本邦輸出業者は「余裕を持って」相場に向かうことができ
ます。これまでは110円に入ればドル売りを持ち込んでいたものが、次の
ターゲットは111円台のどこかの水準か、あるいは昨年のドルの高値であ
った112円台を狙うことになることが考えられます。
トヨタ自動車など、まだ多くの輸出企業の「社内レートは」105~107
円程度に設定されています。

本日のドル円は110円30銭~111円程度を予想します。


米EUとの航空機を巡る報復関税に終止符 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はFOMCを前に小動き。110円割れを試す
場面もあったが、ほぼ110円台前半で推移。
◆ユーロドルも1.21台前半で小動き。
◆株式市場は3指数が揃って下落。エネルギー株は上昇したが
全体の流れは売りに押される。
◆債券は小幅に上昇。長期金利は1.49%台とほぼ変わらず。
◆金は3日続落。原油は大幅に反発し、72ドル台に乗せて引ける。


◆5月生産者物価指数          →  0.8%
◆5月小売売上高            →  -1.3%
◆6月NY連銀製造景況業指数      →  17.4
◆米5月鉱工業生産           →  0.8%
◆5月設備稼働率            →  75.2  
◆6月NAHB住宅市場指数       →  81

本日の注目イベント

◆日   5月貿易収支
◆中   中国5月小売売上高
◆中   中国5月鉱工業生産
◆スイス 米ロ首脳会議(ジュネーブ)
◆英   英5月消費者物価指数
◆米   5月住宅着工件数
◆米   5月建設許可件数
◆米 5月輸入物価指数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見
◆加   カナダ5月消費者物価指数

日本時間明日の朝方に発表されるFOMCの結果を前に、ドル円は110円台で
小動きです。欧州時間に110円割れを試す場面もありましたが、直ぐに値を戻
し前日と同じ水準で戻って来ました。ユーロドルも1.21台前半で動意がなく、
債券市場でも動きは限定的でした。
原油先物市場だけが元気で、この日は前日比1ドルを超える上昇を見せ、引け値
でも72ドル台と、2018年10月以来となる高水準です。米国ではコロナワ
クチンの接種が進み、経済活動再開だけではなく、人々の生活やレジャーでも今
後車を利用する機会が大幅に増加するとの見立てです。
米ゴールドマンなど、今後の原油価格の推移には強気の見方が多く、専門家の中
には「100ドルを目指す」との指摘もあります。

カリフォルニア州では新型コロナウイルス対策の制限措置を解除し、経済活動を
完全再開しました。またNY州のクオモ知事は州内の成人の70%が新型コロナ
ワクチンの接種を少なくとも1回受けたとして、残る制限措置全てを解除しまし
た。イタリアでも新型コロナワクチンを少なくとも1回受けた人が人口の半数を
超えたと報告されています。またロシアは、国産ワクチン「スプートニクV」に
ついて、インドで最初に特定された変異種「デルタ」に対して有効だと表明しま
したが一方では、モスクワでは重症患者の入院がこの数日で70%増加したと、
インタファクス通信が伝えています。

FOMCを前に、多くの予想や観測、あるいは専門家の見方も出揃った感じです。
バンク・オブ・アメリカが実施した6月のファンドマネージャー調査では、回答
者の63%が、米当局は8月か9月にテーパリングを示唆すると予想しており、
インフレが一時的と見なす回答は72%で、少なくとも2024年まではリセッ
ションがないとの予想は
68%だったと伝えられています。また、米10年物国債の利回りが2%を超え
ると、株式に悪影響がでるとの見方が大勢を占めています。(ブルームバーグ)
ただ今回のFOMCでは、政策金利据え置きはほぼ多くの専門家のコンセンサス
になっており、ブルームバーグ所属のエコノミストは、最近のインフレ急上昇に
ついて、金融当局は「一過性」との判断を維持するとみています。また、テーパ
リングについても、4月の会合以降に発表された2回の雇用統計がいずれも予想
を下回ったことから、協議は先送りされる可能性があると予想しているようです。
ただ筆者も「今週のレンジ予想」で述べたように、「ドットチャートには注意が
必要だ」と指摘しており、「参加者のうち2名でも利上げ予測を2023年に変
更すれば、全体の方向性が傾斜することになる」としています。

米5月のPPIは市場予想を上回る上昇率でした。
前月比では予想の「0.5%」を上回る「0.8%」で、前年同月比では「6.
6%」(予想は6.2%)と大幅な伸びでした。
企業では人出不足が続いており賃金も上昇していることから、消費者への値上げ
圧力が一段と高まっていることを示唆していると観られます。

米国とEUは、欧州の航空機メーカー、エアバスおよび米ボーイングへの補助金
を巡る紛争の解決で合意しました。EUの行政執行機関である欧州委員会は、米
国と今年3月に報復関税の停止で合意しており、解決策を模索していましたが、
今後5年にわたって停止することを発表しました。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は「約20年にわたる紛争に終止符を打っ
た」とはれやかに語っていました。

本日は昨日にも増して動きのない日中になりそうです。
FOMCの結果発表は朝方3時で、3時半からパウエル議長の会見が始まる予定
です。本日のドル円は109円60銭~110円60銭程度と予想しますが、サ
プライズがあれば、まったく役に立たないことも考えられます。


ドル円110円台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円台を回復。米長期金利の上昇を
好感しドル買いが進み、110円10銭までドル高に。
◆ユーロドルもやや水準を切り上げたものの、1.2131
止まり。1.21割れは底堅いとの指摘も。
◆株式市場は明暗が分かれ、ナスダックとS&P500は
最高値を更新したが、ダウは85ドルの下落。銀行株の
下げが重石に。
◆債券は続落し、長期金利は一時1.5%台まで上昇。
◆金は続落し、原油は小幅安。

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆独   独5月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ユーロ圏4月貿易収支
◆欧   米・EU首脳会議(ブリュッセル)
◆英   英5月失業率
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   5月生産者物価指数
◆米   5月小売売上高
◆米   6月NY連銀製造景況業指数
◆米   5月鉱工業生産
◆米   5月設備稼働率
◆米   6月NAHB住宅市場指数


ドル円は5月以降4度目となる110円台乗せを見せました。
109円台でのもみ合いが続き、ボラティリティーも大きく低下するなか、
明確な方向性が見つけにくい状況が続いています。先週は、週を通じてほ
ぼ米長期金利は低下傾向でしたが、それでもドル円は109円30銭前後
までの下落にとどまっていました。米金利低下に対する抵抗力がついてき
たのでしょうか?昨日のNY市場ではその長期金利が上昇し、一時1.5
%台まで上昇したことに伴ってドル円は110円台まで上昇しています。
この動きを見て、「ドル円は上に行きたがっている」と判断するのは早計
ですが、金利低下には反応薄で、金利高には高反応といった状況です。
「4度目の正直」という言葉はないと思いますが、今回も110円台を維
持できるのかどうかという点で、再び注目されます。

やや市場の変化を感じるは、長期金利が上昇したにも拘わらず、NY株式
市場ではナスダックとS&P500が揃って最高値を更新したことです。
金利上昇は株価の抑制要因ですが、この日はハイテク株を中心に買い物を
集め、ナスダックは4月26日以来の最高値更新でした。
一方金利が上昇したことで金は続落し、約1カ月ぶりの安値を付けていま
す。FOMCを睨んでのポジション調整と見られますが、そのFOMCは
本日から会合が始まり、注目度はさらに増しているようです。声明は17
日(木)朝方に発表されますが、個人的には物価上昇を認めながらも、「雇
用がFRBの期待に届いていない。もうしばらくは労働市場の動向を注視
したい」と言った内容を予測しています。JPモルガンのストラテジスト
は、「米金融当局がテーパリングの道筋について議論を開始し、今後数回
の会合のいずれかで実施のタイミングを示唆する可能性がある」とのレポ
ートを発表しています。

英国でのG7首脳会議を終え、その結果は必ずしも万全とは言えないまで
も、貧困国へのワクチン提供と中国への対応で結束したことで、バイデン
大統領にとっては、トランプ前大統領との違いを打ち出すことに成功した
と見られます。バイデン大統領は記者会見で、「会議全体の結果に非常に
満足しているというのが結論だ。われわれの最も親しい友人の間で米国の
信用と、われわれの価値への信頼の回復で前進したと思う」と語っていま
す。バイデン氏はその後NATO首脳会議に出席し、トルコのエルドアン
大統領とも会談しました。「ムードは明るかったものの、トルコによるロ
シア製地対空ミサイルシステム購入の問題では進展には至らなかった。エ
ルドアン氏は会談後、トルコ政府の立場は変わらないと述べた」とブルー
ムバーグは伝えています。この報道後、トルコリラは下落しています。


新型コロナウイルスのワクチンに関する動きも様々です。
日本ではワクチン接種が軌道にのり、ようやく先行きにメドもついてきた
ように思えます。筆者が住んでいる市でも、「16歳から64歳までのワ
クチン接種の受け付けを開始します」という広報が今朝の朝刊に折り込ま
れていました。英国では今月21日に予定されていたイングランドの制限
措置の解除を7月19日まで延期すると発表されました。インドで最初に
確認された「デルタ株」の感染が拡大しており、2回目のワクチンを接種
する人々を増やす必要があると判断されたようです。NYでは、未接種者
を連れて来て接種させたコミュニティ・グループに、1人あたり100ドル
(最大で2万ドルまで)支払うキャンペーンを16日から実施するそうです。
また来月7日には新型コロナとの闘いで最前線に立った人々をねぎらうパ
レードも行われるそうです。

本日は5月小売売上高や、6月NY連銀製造景況業指数など、比較的重要
な経済指標が発表されます。いずれも景気回復が順調に進んでいるのかを
見極める重要な指標です。ただFOMCを前に動きは限定されると思われ、
本日のドル円は109円80銭~110円40銭程度を予想します。


G7首脳会議閉幕 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は堅調に推移。長期金利が下げ止まったことで
109円84銭まで上昇。値幅は30銭を下回り動意に
欠ける展開。
◆ユーロドルは反落。約1カ月ぶりに1.21台を割りこみ
1.2093まで売られる。
◆株式市場は前日に続き3指数は揃って上昇。
S&P500は8ポイント上昇し、連日で最高値を更新。
◆債券は朝方には買われ長期金利は1.42%台まで
低下する場面もあったがその後反発。1.45%台まで
上昇して越週。
◆金は反落し、原油は続伸。71ドル台に迫る。

◆ 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   → 86.4 

本日の注目イベント

◆日   4月鉱工業生産(確定値)
◆欧   ユーロ圏4月鉱工業生産
◆欧   NATO首脳会議(ブリュッセル)
◆英   ベイリー・BOE総裁講演

英国コーンウォールで行われていた「G7首脳会議」が閉幕しました。
声明文の内容を巡り、中国に対してどの程度直接的な文言を用いるかに
関して非公式な場で活発な議論が行われたようですが、「香港と新疆ウ
イグル地区での人権問題について中国を明確に名指ししたものの、強制
労働を巡っては中国へ言及を避けた(ブルームバーグ)ようです。
G7首脳はまた、「不安定な行動」を取っているとしてロシアを強い表
現で非難することで合意しています。
バイデン大統領はこの後EU首脳との会談を経て、16日にスイスのジ
ュネーブでロシアのプーチン大統領と会談することになっています。バ
イデン氏はG7首脳会議後の会見で、プーチン大統領が「現在の両国関
係は近年で最低の状況にある」と指摘したことについて、「彼は正しい。
関係は最悪だ」と述べています。ただその上で、米大統領選挙への介入
や米企業へのサイバー攻撃を挙げて、「悪化した両国関係の責任はロシ
ア側にある」と主張しています。
菅総理はG7首脳会議後の会見で、東京五輪・パラリンピック開催につ
いて、「全首脳から大変力強い支持をいただいた」と述べ、その上で「
何としても大会を成功させなければならない」と、約40日後に迫って
いる大会開催に強い意欲を示していました。

G7首脳会議はこれまでにも、すでに形骸化しているとか、単なるセレ
モニーだと批判されてきました。さらにトランプ前大統領がG7に批判
的であったことが首脳会議を「しらけさせた」部分もありましたが、今
回は新型コロナウイルスのパンデミックから脱却できるかどうかのタイ
ミングでもあった中、向こう1年間に少なくとも10億回分のコロナワ
クチンを追加供給する方針で合意するなど、一定の成果はあったと思わ
れます。

イスラエル国会は13日、新しい連立政権を信任し、これにより12年
間という長期にわたったネタニヤフ首相は退陣することになりました。
ネタニヤフ氏は汚職事件での起訴や社会の二極化で求心力を失い、そこ
に3月の総選挙で第2党となった中道政党「インシュアティド」のラピ
ド党首がイデオロギーの違いを超えて反ネタニヤフで結集に成功したこ
とが今回の勝利につながった模様です。後任の首相には右派政党「イエ
ミナ」のベネット党首が就任すると見られますが、連立政権はイスラエ
ル史上初めてのことだと、ブルームバーグは報じています。
今後パレスチナ問題などに対して新政権がどのように対応するのか、み
ていきたいと思います。

ユーロドルは5月14日以来となる1.21台割れを見せました。
このままユーロがずるずると下げる印象はありませんが、上値では1.
22台半ばが「壁」になっているのも事実です。
当面は1.20~1.2250のレンジ内の動きを予想していますが、
今週は夏休み前最後のFOMCが開催されます。
大きな値動きにはつながらないとみていますが、市場はFRBの資産購
入縮小の時期に非常に敏感になっています。
そのタイミングの変化を示唆するような発言があると想定以上に動く可
能性はありますが、引き続き「物価上昇は一時的だ」ということと、労
働市場のさらなる「趨勢を見極めたい」とする発言を予想しています。
長期金利の動きが、そのようなことを示唆していると考えられます。

本日のドル円は109円30銭~110円程度を予想します。


米CPI前年同月比5%に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米5月のCPIが市場予想を上回ったことを受け
109円80銭まで上昇。ただその後は、物価上昇は一時的だとの
見方が広がり長期金利の低下に沿う形で下落。
◆ユーロドルはECBが予想通り政策維持を決めたこともあり
1.21台半ばから後半でもみ合う。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。S&P500は19ポイント
上昇し、最高値を更新。ナスダックも1万4000ポイントを
回復する。
◆債券は続伸。CPI発表後売られたがその後上昇に転じる。
長期金利は1.43%台と、3カ月ぶりの低水準に。
◆金と原油はともに上昇。

◆ 新規失業保険申請件数      →  37.6万件
◆5月消費者物価指数       →  0.6%
◆5月財政収支          →  -1320億ドル

本日の注目イベント

◆英   英4鉱工業生産
◆英   英4月貿易収支
◆英   G7首脳会議(英コーンウォール、13日まで)
◆米   6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

米5月のCPI発表と、ECBの政策発表の重大イベントを受けて、それなりの動
きはありましたが、それでもドル円は結局109円台を上にも下へも抜け切れない
展開でした。これで来週のFOMCを終えても109円台で推移しているようだと、
さらに膠着感が強まる恐れもあります。

米5月のCPIは前月比「0.6%」の上昇でした。さらに前年同月比では「5.
0%」と、2008年8月以来となる上昇率です。本来ならこの発表を受け、株と
債券が売られ、長期金利が上昇することでドル円が買われるシナリオを描き易くな
りますが、昨日の動きはやや異なっていました。
発表後、債券は売られ長期金利が上昇し、ドル円も109円80銭まで買われまし
たが、その後金利が急低下したことでドル円も値を下げ、109台前半まで押し戻
されています。CPIは市場予想を上回ったものの項目別の内訳を見ると、中古車
・トラックが全体の上昇分の3割を占めており、「FRBが資産購入の縮小を急ぐ
ほどの内容ではない」といった見方が急速に広がり債券が買われました。
長期金利は1.43%台まで低下し、3月3日以来の低水準を付けています。
ただ米国では物価上昇圧力は続いており、政府の経済対策を一因とした財への強い
消費需要で受注残の増加や在庫不足が生じたほか、コロナ対策の制限措置解除やワ
クチン接種の広がり、社会活動の増加は、サービス需要の拡大につながっており、
インフレ要因になっている(ブルームバーグ)ことは確かのようです。

ECBは10日の理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入
を高いペースで続ける方針を決め、政策金利も据え置きました。
ラガルド総裁は政策発表後の記者会見で、「市場金利の持続的な上昇が経済全体の
調達環境のタイト化を招く可能性がある」とし、「そのようなタイト化は時期尚早
であり景気回復へのリスクになる」と指摘。そのため、「年初の数カ月を著しく上
回るペース」での購入を続ける理由だと説明しました。ECBは最新の経済見通し
も発表しましたが、緊急購入プログラム終了の時期については、
「PEPP終了の議論はそのうち始まるが、現時点では尚早だ」としています。

中国全人代常務委員会は10日、外国が中国を制裁した場合に報復する「反外国
制裁法」を成立させました。これは米バイデン政権が進めている「中国包囲網」を
念頭に置いたもので、中国へ制裁を加えた場合、「やられたらやりかえす」ことを
正当化するための法案です。「法的根拠が整ったことで、今後はより強力な報復措
置を発動できるようになるとの見方がある」(日経新聞)といったように、中国も
相手国の制裁に対して一歩も怯む構えはありません。G7諸国を中心に、新疆ウイ
グル地区や香港の人権問題を非難する声が高まり、米国では関係する中国高官の資
産凍結に踏み切るなど、中国に対する制裁措置の発動が続いています。
トランプ政権では「関税引き上げ」と言った伝家の宝刀を武器に中国と対峙してき
ましたが、バイデン政権では米国単独ではなく、同盟国を巻き込んだ組織的な面で
対抗しています。米議会では民主、共和を問わず、中国への強硬策では一致してい
ると言われています。

ますます動きの取れないドル円ですが、ここはこまめに利益確定をしていくしかあ
りません。それでも「根っこの美味しい部分」はキープしておく必要があるとは思
いますが、ドルが下がったら買い入れる余裕は保持したいところです。

本日のドル円は109円~109円80銭程度といったところでしょうか。


米長期金利一時1.47%台に低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日より小幅に水準を切り上げ109円66銭
まで上昇。米長期金利はさらに低下したものの、リスク回避の
ドル買いが優勢だった。
◆ユーロドルは底堅い動きを見せ、1.22台を回復。
1.2218まで上昇したが、動意はなく低調な動きが続く。
◆株式市場は3指数とも揃って下落。ダウは152ドル下げ、3日
続落。S&P500は最高値を上回る場面もあったが、引けでは
マイナスに。
◆債券相場は続伸し、長期金利は一時1.47%台まで低下。
引けに掛けてはやや売られ、1.49%台まで上昇。
◆金は小幅に上昇し、原油は小反落。

本日の注目イベント
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆欧   OPEC月報
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月消費者物価指数
◆米 5月財政収支

本日米国では5月のCPIが発表されます。市場の最大の関心は、FRBによる
資産購入の段階的縮小がいつ開始されるのかという点です。資産購入縮小の先に
は、政策金利の引き上げが行われ、「金融政策の正常化」へ舵を切り直すことに
なります。CPIはその政策に大きな影響を及ぼすことから俄然注目度が高まっ
ており、昨日のNY市場ではドル円をはじめほとんどの通貨に目立った動きはあ
りませんでした。CPIの結果を見極めてから動きたいということなのでしょう。

その中でも比較的動きが目立ったのが米10年債でした。
債券は買われ、長期金利は1.5%を大きく割り込み、一時は1.4705%ま
で低下する場面もありました。
通常、米金利の低下はドル円の売り材料となり、ドル安が進むケースが多いので
すが、昨日はドルが買われています。
「リスク回避のドル買い」といった後講釈がNYからは聞こえてきましたが、「
リスク回避の円買い」は過去の話になってしまったのか、判断に迷うところです。
ユーロドルではやや「ユーロ高ドル安」が進んだことを考えても、あまり説得力
はありません。
本日のCPIは前月比「0.4%」と予想されています。4月は「0.8%」だ
ったので、伸び率は前月の半分程度ということになります。またコアCPIも伸
び率は「0.5%」と、前月(0.9%)を下回ると予想されています。ただ総
合が「4.7%」と、前月(4.2%)からの伸びが加速していると見られてい
ます。
市場は、この値に反応する可能性もありますが、昨日の債券市場の動きを見る限
り、FRBの政策変更が早まるとの観測は後退しています。

米議会上院は8日、人口知能や量子など先端技術の研究開発に290億ドル(約
3兆2000億円)を投じる法案を可決しました。
バイデン政権が「脱中国」、「中国包囲網」を強めていることへの一連の政策で
すが、中国が策定した「中国製造2025」に対抗する姿勢を明確にしたとも言
えます。これに対して中国は「新疆ウイグル地区を材料に中国への偏見はやめる
よう」警告しています。バイデン大統領は就任後初となる外国訪問を行い、11
-13日には英国でG7首脳会議に出席し、14日にはベルギーでNATO首脳
会談に臨みます。また16日にはスイスでプーチン大統領と初の首脳会談を行い
ます。一連の各国首脳との会談でバイデン大統領の指導力、外交力が試されると
見られます。

ドル円は動意のない展開が続いています。
先週末の雇用統計の結果を受けドル売りが強まり、110円台から急速に下落に
転じたものの、109円19銭前後で下げ止まりやや反発しています。
ドルの下値は底堅いものの、引き続き「月足の雲の下限」がドルの上昇を抑えて
いる状況が続いています。またユーロドルでも同じように、上昇しても1.22
台半ばが抜けずに「壁」になりつつあります。
ドル円自体、それほど独自の動きを見せることはまれなことから、ここはユーロ
ドルの動きも大きなヒントになると考えます。1.22台半ばを明確に抜けるよ
うなら、ドル円は108円台突入もあり得ると予想しています。反対に1.21
台を割りこむようなら、再び110円台が望める可能性があります。

本日はECBの政策金利発表もあります。
「政策据え置き」が市場のコンセンサスですが、ラガルド総裁の発言に関心が集
まります。コロナワクチンの普及で域内の経済活動再開が物価上昇につながって
くるとみられ、現行のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)での、毎月
850億ユーロ(約11兆3000億円)規模の縮小に言及があるのか注目です。

本日のドル円は109円20銭~110円程度を予想します。


米長期金利1カ月ぶりの低水準に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反発したものの109円台半ば止まり。
米長期金利が低下したがドルを買う動きが勝り、109円51銭
まで上昇。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。来週のFOMCを
見極めたいとする中、1.21台半ばから後半で小動き。
◆株式市場は前日と同様にまちまち。ダウは小幅に下げたが、
ナスダックは長期金利の低下傾向を好感し43ポイント上昇。
1万4000ポイントに迫る。
◆債券は上昇。長期金利は1.53%台まで低下し、約1カ月
ぶりとなる低水準に。
◆金は反落。原油は反発し、引け値で70ドル台に。

◆4月貿易収支 →  -689億ドル

【本日の注目イベント】

◆豪   豪6月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中   中国5月消費者物価指数
◆中   中国5月生産者物価指数
◆独   独4月貿易収支
◆独   独4経常収支
◆加   カナダ中銀政策金利発表

ドル円は昨日の東京市場では下値を試す場面もありましたが勢いはなく、
今のところ109円割れは回避されています。
NYでは米長期金利が1.53%台まで低下し、約1カ月ぶりとなる低
水準を付けましたが、その割には健闘していると言えます。昨日のロン
ドン時間正午前に、インターネット上でデータを素早く送信するネット
ワークを運営するファストリーのサービスに障害が発生したことで、N
Yタイムズやブルームバーグなどのウェブサイトが一時利用できなくな
ったことが影響して、米債券が買われ、金利が低下したとの報道です。
このところ米長期金利の動きに敏感になっているナスダック市場は、こ
れを「好感」して上昇したのも事実です。
「風が吹けば桶屋が儲かる・・・・」式の連想だったような気もします。


バイデン政権は8日、半導体などの戦略物資を調達するためのサプライ
チェーンを見直す考えを示し、日本、オーストラリア、インド(クアッ
ド)と、さらにG7と連携することで、安定的に戦略物資を調達する方
針を示しました。
具体的には、半導体、電気自動車用電池、レアアース、医薬品の4分野
の供給網を構築するようです。
同時にそれらの品目の安定供給を確保するためのタスクフォース(特別チ
ーム)を、レモンド商務長官、ブティジェッジ運輸長官、ビルサック農
務長官を中心に設置する方針です。
バイデン政権はさらに、トランプ前大統領が決定したEUに対する鉄鋼、
アルミなどの関税を撤廃する方針のようです。
来週15日にベルギーのブリュッセルで行われるEUとの首脳会談で伝
える模様です。
米国とEUではお互いが報復関税を掛け合う状況が続いており、EUは
米国からのハーレーダビッドソンのオートバイやリーバイスのジーンズ、
さらにはバーボンなど、米ブランド品に関税を掛けています。
バイデン政権のこれら一連の決定に、透けて見えるキーワードは「中国
包囲網」です。
バイデン政権は、人権問題や南シナ海での軍事行動などを理由に中国へ
の圧力を強めており、今後、中国からの輸入に頼っているレアアースな
どは供給が遮断されることも予想され、日欧との関係強化は不可欠にな
っています。そのため「クアッド」の創設や欧州との関係修復を急ぐ必
要があり、とりわけドイツとの関係修復は急務です。
G7首脳会議で、メルケル首相を中心に欧州勢がトランプ前大統領に冷
ややかな眼差しを注いでいた、当時の報道写真を記憶している方も多い
と思いますが、その横で微笑みながら温かい眼差しを投げかけていたの
が、安倍前首相でした。


毎年公表される「びっくり予想」でおなじみの、ブラックストーン・グ
ループのバイロンウイーン氏の名前が半年ぶりに登場しました。
ウイーン氏は、米経済が回復しインフレが抑制され続けることで、米国
株が2カ月にわたる停滞を抜け出して記録的な上昇相場を再開するとの
見通しを示しました。
S&P500指数は、年内のどこかの時点で「4500」に達すると予
想し、昨日の同指数は「4227」であったことから、ここからさらに
「270ポイント」ほど上昇することになります。また、価値保存の手
段としてはビットコインよりも金が望ましいとの見解も示しています。
そのビットコインは昨日の取り引きで10%ほど下落し、3万1000
ドルに迫っています。4月には6万4689ドまで急騰したビットコイ
ンでしたが、すでに「半値」を割り込む水準まで調整を続けています。

因みにウイーン氏の「2021年びっくり10大予想」の一部を紹介すると、

■5-10種類のワクチンの成功と治療法の進歩で、今年のメモリアルデ
ーまでに米国は何らかの形で『正常』に戻れる

・・・ほぼ予想通りです。

■S&P500種株価指数が21年前半に20%近く下げ、そこから4500まで上昇

・・・これが今回改めて示した予想です。

■米成長率は6%を上回り、10年債利回りが2%に上昇する

・・・こちらもほぼ予想通りですね。1.77%台まで急騰した長期金利
は記憶に新しいところです。

■景気敏感株がディフェンシブ銘柄をリードし、小型株のパフォーマン
 スが大型株を上回り、大型テクノロジー銘柄は出遅れる

・・・これはいまいちです。

■ グーグルとフェイスブックのサービスで実際には消費者が利益を得て
 いるとの主張に動かされ、米司法省は両社に対する態度を軟化させる

・・・これもデジタル課税の強化など、世界的に逆風です。

■経済活動の正常化に伴い、ウェスト・テキサス・インターミディエート(
WTI)原油65ドルに上昇する

・・・こちらは予想をはるかに超え、昨日は70ドルに達しています。


このように見ると、今回の強気の予想も、「あなどれない」と言えそうで
すが、どうでしょう。

本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。


WTI原油価格一時70ドルに 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は緩やかに下値を切り下げ109円19銭まで下落。小動きの中、上値の重い展開が続き、終始109円台前半で推移。

  • ユーロドルは小幅に続伸し、1.22台に乗せる。

  • 株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたが、ナスダックは67ポイント上昇。

  • 債券は小幅に反落し、長期金利は1.56%台に上昇。

  • 金は続伸。原油は一時70ドルを付けたがその後は軟調に。

本日の注目イベント

  • 豪 5月NAB企業景況感指数
  • 日 4月貿易収支
  • 日 4月国際収支
  • 日 1-3月GDP(改定値)
  • 日 5月景気ウオッチャー調査
  • 独 4月貿易収支
  • 独 4月鉱工業生産
  • 独 6月ZEW景気期待指数
  • 欧 ユーロ圏1-3月期GDP(改定値)
  • 米 4月貿易収支
  • 加 4月貿易収支

ドルは主要通貨に対して売られ、ドル円も109円19銭までドル安が進み、先週1週間の中ではサポートと見られていた109円30銭前後を抜けています。とりわけ円が買われる材料はなかったものの、クロス円も含めて、ややポジションの巻き戻しが優勢な展開でした。

イエレン財務長官はロンドンで行われたG7後にブルームバーグとのインタビューで、バイデン大統領が掲げる総額4兆ドル(約438兆円)規模の歳出計画について、来年にかけてもインフレ高進が続く状態を招き、結果として金利上昇につながったとしても、米国にとって好ましいものであり、推進すべきだと語っています。イエレン氏は、「やや金利が高い環境になったとしても、社会の観点ならびに米金融当局の観点では、実際にはプラスになるだろう」と述べ、「われわれは余りも低すぎるインフレおよび、余りにも低すぎる金利とこの10年にわたって闘ってきた」と説明し、「正常な金利環境に戻ることをわれわれは望んでいる」と述べています。また、「状況を若干是正する一助になるのであれば、それは悪いことではない。むしろ良いことだ」の語り、金利上昇を受け入れる姿勢を見せています。イエレン氏は「ここ10年低金利と闘ってきた」と述べていましたが、日本の場合は「20年以上も闘っている」ことになります。日本では長期金利が2000年以降2%を上回ったことはなく、「2%が壁」になっています。さらに2012年4月以降は「1%さえ」上回ったことがありません。われわれは米国民よりもさらに「低金利に慣れきっている」と言えます。そのため多くの住宅ローンを抱えている人は、「変動型」を選択し、低金利の恩恵によくしていますが、将来金利が上昇したらパニックになるのではないかと思っています。今から金利上昇に備えておくことが肝要かと考えますが、かく言う筆者も長期にわたって低金利を享受している一人です。

ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で6日行われた州議会選挙で、メルケル首相が所属するキリスト教民主同盟(CDU)の勝利が確実となりました。CDUは3月の地方議会選挙2州で大敗を喫していましたが、今回の勝利で9月に行う連邦議会選挙で首相候補として戦うラシェットCDU党首にとっては追い風となってきました。メルケル氏はこの秋に引退を決めており、ドイツの次期首相に焦点があたっていましたが、これまでの地方選ではメルケル氏率いるCDUの人気はいまいちでした。今回の勝利でCDUの人気が再び高まった格好になりましたが、世論調査では支持率では緑の党と拮抗しており、秋に向けて連邦議会選挙での戦いは本格的になります。

G7財務相は、グルーバル企業の利益率10%を上回る部分の一部利益に他国で課税する枠組みを設けることで一致しています。今後、アマゾンや、フェイスブックなど米テクノロジー大手に対して各国が課税する権利を有することにつながります。昨日のNY株式市場はこの材料で売られた側面もあり、国際課税の歴史に新たな1ページが加えられたとの評価もあるようです。

ドル円は109円台前半まで売られたことで短い時間足ではネガティブな形を見せています。足元では「4時間足」の「200本平均線」に支えられている状況です。日本でもようやくワクチン接種が進み、人々にやや安心感が出てきたようですが、金融政策については出口への道のりは変わらず、1位米国、2位欧州、そして日本はずーと後方に位置しています。マラソンで言えば、上位は既に折り返し地点を通過し30キロを過ぎていますが、日本はまだ折り返し地点にも達していない状況と言えます。長い目で見て、円の弱さは変わっていないと考えます。
本日のドル円は108円90銭~109円60銭程度を予想します。


米5月の雇用者増加するも予想に届かず 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 5月の雇用者数の結果を受けドル円は反落。米長期金利が低下したことで109円37銭までドル売りが進む。

  • ユーロドルは反発。1.21台前半から買われ、1.2186前後まで上昇。

  • 株式市場は3指数が揃って上昇し、ダウとナスダックは最高値に迫る。5月の雇用者数が増加したものの勢いは鈍く、FRBがテーパリングを行なうには不十分との見方から株式が買われた。

  • 債券価格は上昇。雇用者数の伸びが予想に届かず、金融正常化観測が後退。長期金利は1.55%台へ低下。

  • 金と原油は反発。

本日の注目イベント

  • 日 4月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 中 5月貿易統計
  • 中 5月外貨準備高
  • 独 4月製造業新規受注
  • 米 4月消費者信用残高

5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月よりは増加していたものの、市場予想には届かない「55.9万人」でした。失業保険申請件数やADP雇用者数の伸びからすると、5月分は相当な上振れを予想していただけに、やや想定外の結果でした。業種別の内訳を見ると、飲食店が18万6千人増と大幅な伸びを見せましたが、建設業や金融などが伸びていません。失業率は「5.8%」と、前月よりも改善を見せ、予想よりも良い結果でしたが、コロナ禍前に比べるとまだ高く、雇用者数全体でも700万人ほど少ないと見られます。クリーブランド連銀のメスター総裁は「しっかりした雇用統計だとみている」としつつも、「さらなる進展を確認したい」と話していました。市場では、「悪材料は好材料」と言った声も聞かれ、FRBが資産購入の縮小を始めるには「不十分」との見方が広がり、株式市場では株価が大きく上昇しています。ダウは175ドル上昇し、先月8日に記録した最高値に20ドル余りと迫り、ナスダックも同様に最高値に迫る上昇を見せています。債券も買われ、金利は大幅に低下し。1.55%台で取り引きを終えています。ドル円は金利低下を手掛かりに利益確定の売りと失望感から大幅に下げ、109円37銭までドル安が進みました。バイデン大統領は雇用統計の結果には懸念を示さず、「雇用拡大が継続しているのは政府によるワクチン接種キャンペーンと、3月に成立した経済対策法の功績だ」とデラウェア州でのスピーチで述べています。

イエレン財務長官も5日、このところの物価上昇はいずれ収まるとの見方を示し、労働市場は改善しつつあるが、新型コロナウイルスのパンデミック前の強さを回復するには、まだ道のりは長いとの見解を示しています。またイエレン氏はロンドンで開かれたG7会合後の記者会見で、「幾分のインフレを目にしているが、恒久的だと私は考えていない」と述べ、「少なくとも前年比ベースでは、インフレ率の上昇が今年いっぱい続き、3%前後になるかもしれない」と語っています。インフレ率の上昇が続くとの認識を示しながらも、当局者が物価上昇を引き続き注視していると語り、「われわれはこれを非常に注意深く見守り、目を離さず、生じた問題に必要なら対処することになる」と話しています。(ブルームバーグ)

雇用統計も終わり、今度は来週のFOMCに市場の関心が移ります。ただ、今回の雇用統計の結果を考慮すれば、今回のFOMCでもFRBがテーパリング開始時期に関するフォワードガイダンスを発する可能性は低下したと考えます。もともと今後数カ月の雇用統計を確認し、雇用の持続的な増加が確認できなければ「FRBは動かない」と予想していますが、6月の雇用統計も今回のように不十分な結果だとすれば、フォワードガイダンスを発するのは早くて年内といった見方にシフトする必要があるかもしれません。

ドル円は今回も110円台が維持できずに押し戻されています。依然として「月足の雲」に上昇を抑えられている展開が続いていますが、大きな崩れは見られません。「日足」では一度「雲のねじれ」が生じ、ドルの下落が意識されましたが、先週110円台を回復したことで再び「上昇の雲」に転じています。「週足」ではやや上昇傾向に変化が出始めていますが、まだトレンドの変化までに至っていません。

本日のドル円は109円30銭~110円程度を予想します。


ドル円約2カ月ぶりに110円30銭台に乗せる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円台を回復し、110円32銭まで上昇。
景気回復を示す指標が相次ぎ、長期金利が上昇したことを受け
ドル買いが加速した。
◆ユーロドルは続落。1.2118までユーロ安が進む。
◆株式市場は揃って反落。長期金利上昇を嫌気し、ダウは23ドル安。
バイデン政権が計画している法人税率引き上げが見直されるとの好材料も
あったが、金利高に押し切られた。
◆債券は反落し、長期金利は1.62%台へと上昇。
◆金は大幅に下げる。原油はほぼ横ばい。

◆5月ADP雇用者数                 →  97.8万人
◆ 新規失業保険申請件数                →  38.5万件
◆5月ISM非製造業景況指数              →  64.0
◆5月マークイットサービス業PMI(改定値)      →  70.4   
◆5月マークイットコンポジットPMI(改定値)    →  68.7

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏4月小売売上高
◆英   G7財務相会合(LDN)
◆米   5月雇用統計
◆米   4月製造業受注
◆米   FRB議長とECB総裁、日銀総裁など、討論会に参加
◆加   カナダ5月就業者数
◆加   カナダ5月失業率


市場予想を上回る経済指標の発表→金融正常化が早まる→株式と債券が
売られる→金利上昇→金も売られる・・・・そしてドルが買われる。
予想通りで分かり易い展開でした。本来ならこれに原油高も加わること
になりますが、こちらはすでに高値圏にあることと、在庫が増えていた
ことで相殺されています。

ドル円は110円台に乗せ、4月6日以来となる110円32銭までド
ル高が進みました。
今夜の雇用統計の前哨戦と言われる5月のADP雇用者数が市場予想を
大きく超え、97万8000人の増加でした。これは昨年6月以来の伸
びで、娯楽、ホスピタリティーの分野での伸びが特に顕著になっていま
す。さらに新規失業保険申請件数も「38.5万件」と、新型コロナウ
イルスのパンデミック開始後、初めて40万件を下回ってきました。
今夜の雇用統計も「67.5万人」と予想されていますが、このままだ
と、上振れする可能性が高いと見られます。
ADP雇用者数は、民間の雇用に関する統計で、基本的には個人が受け
取る「給与明細」(Pay roll)の枚数で雇用者の増減を推計しており、
公務員はカウントされません。従って、厳密にいえば両指標の相関関係
はほぼないと言えます。
そのため、今夜発表の雇用統計が「予想を下回る」こともないとは言え
ませんが、その可能性は低いとみています。

さらにこの日発表された5月のISM非製造業景況指数も「64.0」
と、1997年の統計開始以来、過去最高でした。製造業指数に続き、
航空や宿泊業、外食など多くのサービス業に需要が戻っています。ワク
チン接種が進み新型コロナウイルス関連の制限が緩和されたことで、人
々の活動水準が高まっていることを表しています。
ISM非製造業景況感調査員会のニエベス委員長は、「事業再開や生産
能力の拡大を背景に、活動拡大ペースは非常に力強い」と指摘していま
す。5月は18業種全てで活動が拡大し、小売りや卸売り、建設、娯楽、
レクリエーションなどのセクターの伸びが目立った(ブルームバーグ)
と報じられています。米国ではコロナワクチンの接種が大きく進み、足
元の接種率が鈍化していると言われていますが、その中には接種を希望
しない人も多く含まれており、今後はそういった人たちに如何にして接
種を受けさせるかが焦点になっています。
やはり、経済活動が急速に拡大し、街ゆく人々の顔にも余裕が感じられ
る米国の景気回復は、日本よりも2歩も3歩も先を行っているのが実情
です。今後金利上昇圧力はさらに増していくと予想されます。

バイデン大統領はインフラ投資計画の財源として法人税率を現行の21
%から28%に引き上げることを提案していましたが、複数のメディア
がバイデン氏が税率の引き上げには柔軟な姿勢を見せていると報じてい
ます。
ただ法人税率の引き上げを見送った場合でも、法人税の最低税率15%
の導入は計画しているとしています。
バイデン大統領はこの日、トランプ前政権下で始まった中国企業への投
資禁止措置に修正を加える大統領令に署名しました。
ホワイトハウスの発表した資料では、禁止対象として防衛、監視技術の
業務を手掛けている中国企業「59社」を特定し、その中にはファーウ
ェイや通信大手3社が含まれているとのことです。
これら企業への新規投資は米東部時間8月2日午前0時1分時点で禁止
されるとのことです。既存の投資については、投資家は1年以内に完全
に売却するよう義務付けられ、罰則規定もあるようです。

セントルイス連銀のブラード総裁は講演で、「ワクチンによって新型コ
ロナウイルスを巡る危機が収まり、景気は速いペースで回復しつつある。
今の回復ペースは過去の多くの経済ショックと比べて相当速い」と述べ、
そのため「かなりひっ迫した労働市場を示している。労働者を雇用する
のが困難だとの事例報告にも一致するだろう」と語っています。

110円台を回復したドル円ですが、前回5月28日の上昇は「短命」
に終わっており、110円台維持に失敗しています。今回はどこまで1
10円台を維持できるかが焦点ですが、今夜の雇用統計がその機会を与
えてくれるかもしれません。

本日のドル円は109円70銭~110円70銭程度を予想します。


WTI原油価格さらに上昇 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円台半ばから後半で推移。ユ-ロドルで
ユーロが売られる場面もありドルが買われたが、110円台
には届かず。
◆ユーロドルはやや軟調に推移。1.2180まで売られ、
依然として1.22台半ばが「壁」に。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇したが、雇用統計の発表を
控えており上昇は限られた。ダウは25ドル上昇し、5営業日
続伸。
◆債券は反発。長期金利は1.58%台に低下。
◆金は続伸。原油価格は大幅に続伸し一時69ドルを記録。

◆5月自動車販売台数  →  1699万台(年率換算)  

本日の注目イベント

◆豪   豪4月貿易収支
◆中   中国5月財新サービス業PMI
◆中   中国5月財新コンポジットPMI
◆トルコ トルコ5月消費者物価指数
◆独   独5月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏5月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏5月サービス業PMI(改定値)
◆英   英5月サービス業PMI(改定値)
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   5月ADP雇用者数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   5月ISM非製造業景況指数
◆米   5月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   5月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演(オンライン)
◆米   クオールズ・FRB副議長講演(オンライン)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

本日はADP雇用者数の発表があり、明日は雇用統計の発表があります。
今回は、FRBによるテーパリング開始時期に注目が集まっていること
もあり、労働市場の趨勢が政策変更に影響を与えることから、かなり注
目度が高くなっています。ADP雇用者数はすでに前月比65万人の増
加が予想されています。経済活動再開の動きが広がる中、本日発表され
る新規失業保険申請件数の方も38万7000件と、前週の40万60
00件から減少するとみられています。また明日の雇用統計でも非農業
部門雇用者は65万5000人の増加と予想されており、労働市場を巡
る懸念がこの2日間で和らぐのか、あるいは増幅されるのか注目されま
す。昨日のNYでは雇用統計を前にユーロドルの持高調整とみられる「
ユーロ売りドル買い」の動きも散見され、ドル円でもドルが上昇しまし
たが、110円には届いていません。米長期金利の低下がブレーキにな
ったようです。

地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、米経済は過去2カ月
に回復ペースが幾分か加速し、企業が人出不足とコスト上昇に取り組む
中で物価上昇力が高まったと報告されています。
ベージュブックでは、「全体的な物価圧力は前回報告からさらに強まっ
た。販売価格は緩やかに上昇したが、仕入れコストはもっと明白に上昇
した」と記されており、今回のベージュブックをまとめたクリーブラン
ド連銀のチーフエコノミストは、「物価と賃金という面で、暑い夏にな
りそうだ。不足が第4四半期まで続くかどうかが正念場だ」と述べてい
ます。(ブルームバーグ)仕入れコストの上昇が続くようだと、価格へ
の転嫁がさらに進み、物価を押し上げることにつながりますが、原油価
格の上昇がさらにコスト上昇に拍車をかけることも予想されます。


フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は2日、バーチャル形式のイベン
トで講演を行い、現行の月間1200億ドル(約13兆1500億円)
規模の米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入について、「少な
くともテーパリングの議論を考えてみる時期だろう」と述べ、大規模な
財政支援や金融緩和策が講じられている中で、「インフレ上昇のリスク
が一定程ある」との認識を示しました。ただテーパリングについては「
ある日突然行うようなことではない」と述べ、パウエル議長が先に述べ
たように、何らかの方法で事前に開始時期が示唆されるようです。
また世界最大の資産運用会社であるブラックロックのフィンクCEOも、
「物価が急騰する可能性を投資家は過小評価しているかもしれない」と
語っていました。

日本でも65歳以上でワクチン接種を受けた人の数が1000万人を
超えたと報道されています。今後急速に接種率が進み、1日100万回
もひょっとしたら実現できるのかもしれませんが、依然として世界レベ
ルで見れば大きく遅れていることに変わりはありません。ハードワーク
が続く医療従事者の体力が持つのかどうかも心配されますが、頑張って
ほしいものです。関東圏や関西圏での感染は確実に減少していますが、
一方で北海道や沖縄などでの感染者数は高止まりしている状況です。こ
のまま来週も減少傾向が見られるようなら、今月20までに延長された
緊急事態宣言も一部地域で緩和される可能性があるかもしれません。
やはり、「1にも、2にもワクチン・・・・」といったところで、早期
の接種が望まれます。

バンク・オブ・アメリカはレポートで、FRBが資産購入を漸減するテ
ーパリングの計画を9月末に発表する可能性があるとの見方を示してい
ます。その場合、米10年物国債の利回りは年末までに1.62%前後
から2.15%に上昇すると予想しています。
2%を大きく超えると予想していますが、足元の長期金利は1.58%
台ですから、ここから57bpも上昇することになります。
そうなると、米金利との相関が高いドル円は果たしてどこまで上昇する
のでしょうか?手元のデータで調べてみると、米長期金利が2.15%
を付けたのは、直近では2019年5月29日です。
この時のドル円は109円30-70銭程度で、実は現在のレートとほ
とんど変わっていません。やや驚きですが、一体どうゆうことが考えら
れるのでしょうか?1.58%台でもドル円が109円台半ばで推移し
ているのは、円が過小評価されていると考えられますが、これは上記コ
ロナワクチン接種と関係していると考えられます。
また、日本の潜在成長率も当時と比べると低下しているのかもしれませ
ん。米金利が大きく上昇すればドル円でもドル高が大幅に進むと考えま
すが、それほど上昇しない可能性もあるのかもしれません。
因みに、この時のユーロドルは1.12前後で、足元のレートより約1
000ポイントも低く、ドル安は進んでいなかったことになります。

本日のドル円は109円20銭~110円程度を予想します。


WTI、2年8カ月ぶりの高値に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上値の重い展開が続き、NYでは109円35銭まで
下落。ほぼ前日の安値に並ぶ。
◆ユーロドルは小幅に上昇したものの、依然として1.22台半ばが
壁となり、抜けるかどうかが焦点に。
◆株式市場はまちまちの展開。朝方は買い先行で始まったが、
経済指標の発表を境に下落基調に。ダウは45ドル高。他の指標は
マイナス圏で引ける。
◆債券は反落。長期金利は1.60%台へと上昇。
◆金は小幅に下げる。原油は続伸し、一時は68.87ドルを
付け、2018年10月以来の高値を記録。

◆5月ISM製造業景況指数         →  61.2
◆5月マークイット製造業PMI(改定値)  →  62.1

本日の注目イベント

◆豪   豪1-3月期GDP
◆日    5月マネタリーベース
◆欧   ユーロ圏4月生産者物価指数
◆英   英4月消費者信用残高
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   5月自動車販売台数
◆米   ミネアポリス連銀、シカゴ連銀、アトランタ連銀、ダラス連銀各総裁、オンラインイベントに参加
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆加   カナダ4月住宅建設許可件数

金融市場も商品市場も、経済指標の発表に伴い、米国の金融政策変更時期を探る
動きが大きく影響する展開が続いています。

5月のISM製造業景況感指数は「61.2」と、前月を上回り、市場予想をも
上回っていました。同指数は「50」を上回ると活動が拡大していると見られま
すが、「新規受注」が高水準を記録しており、5月は拡大ペースがさらに加速し
たと見られます。
一方「雇用指数」は6カ月ぶりの低水準で、雇用には依然として課題が残る形と
なっています。ISM製造業調査委員会のフィオレ会長は、「調査対象の企業と
そのサプライチェーンは人材確保や労働者保持の困難を背景に、強い需要への対
応が引き続き難しい状況だ」と指摘し、政府の失業保険延長給付が失効すれば、
労働市場は「需要と供給のバランスがもっと取れてくる」と語っています。
(ブルームバーグ)

景気の回復基調が確認されたことで、朝から買い物を集めて上昇していたNY株
式市場は、金融政策の正常化が早まるとの観測が強まり上げ幅を縮小。債券も売
られ、長期金利が上昇しています。
また、景気拡大に伴い、原油の消費量も伸びるとの期待も、原油価格の上昇につ
ながっています。
WTI原油価格は一時68ドル87セントまで買われ、2018年10月以来と
なる高値を付けました。引け値ではやや利食いに押された格好でしたが、これか
ら本格的に始まる旅行シーズンを控え、需要の拡大が見込めることも、投機筋を
強気にさせているようです。さらにインフレ率の上昇がインフレに強いとされる
金(きん)相場にも影響しており、3月8日には1670ドル台まで売られた金
価格は1900ドル台まで上昇しています。ドル円は、昨日は終日上値の重い展
開が続き金利高にも反応薄でしたが、ドルに対してユーロが買われたことに引っ
張られた印象です。為替市場で最も取引量の多い「ユーロドル」では、明らかに
「ドル安・ユーロ高」傾向が続いており、ドル円を取引する場合でも、「ユーロ
ドル」の動きには目配りが欠かせません。「ユーロドル」でユーロ高が続くよう
なら、ドル円には下落圧力が働くことになるからです。
実際、投機筋のポジションを見ると、「ユーロ買い・ドル売り」の枚数が一段と
膨らんでいるのが確認できます。

トルコリラが再び急落しました。
この通貨は常に「リスクと隣合わせ」で、危険な通貨だと個人的には考えていま
す。きっかけは、エルドアン大統領の発言内容が伝わったことにあります。エル
ドアン氏は「私は中央銀行総裁ときょう話した。われわれは金利を下げることが
不可欠だ」と述べたことが明らかになり、エルドアン氏が再び中銀総裁に利下げ
を求めています。リラ円はこの報道を受け、12円80銭近辺から12円26銭
近辺まで下げ、昨年11月9日以来の安値を付けました。また対ドルでも8.7
5前後まで売られ、こちらはリラの最安値を更新しています。エルドアン大統領
は今年3月に2度目となる中銀総裁を更迭し、自分の息のかかったカブジュオー
ル氏を総裁に据えました。新総裁がエルドアン氏の意のままに利下げを行うのか
注目されてきましたが、4月の金融政策会合では「据え置き」を決めています。
エルドアン氏は利下げの期日を「7、8月を目標にした」とも伝えられており、
同月の会合が一段と注目を集めそうです。

ブレイナードFRB理事は1日、エコノミック・クラブ・オブ・NYで講演を行
い、「両面のリスクに注意を払っている」と話したうえで、「長期のインフレ期
待が望ましくない形で展開している兆しがあるかどうか、インフレ率に加えイン
フレ期待の指標を注視する」と語っています。また「私の短期見通しにあるイン
フレ率の水準は若干高めに移行したが、インフレ率の曲線が経済再開に基調的な
トレンドに回帰するという私の予想はほぼ変わっていない」と述べました。
(ブルームバーグ)

今週はADP雇用者数と雇用統計が発表されます。
今や、FRBが最も注視していると見られる労働市場の動向に市場の注目も集ま
ります。

本日のドル円は109円20銭~110円程度を予想します。


ドル円109円台前半まで反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆欧米の主要市場が休場だったことから小動きの中、
ドル円はじり安となり109円36銭まで下落。
◆ユーロドルはじり高となり、1.2232前後まで上昇。
独5月のCPIが予想を上回る上昇を見せ、金利高から
ユーロが買われた。

ドル/円  109.36  ~ 109.75
ユーロ/ドル 1.2185 ~ 1.2232
ユーロ/円  133.66 ~ 133.95
NYダウ  ------  → 34,529.45ドル
GOLD ------ → 1,905.30ドル
WTI  ------ → 66.32ドル 
米10年国債   ------ → 1.594%

本日の注目イベント

◆豪   豪1-3月期経常収支
◆豪   豪4月住宅建設許可件数
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆中   5月財新製造業PMI
◆独   独5月製造業PMI(改定値)
◆独   独5月雇用統計
◆欧   ユーロ圏5月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏4月失業率
◆欧   ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   5月ISM製造業景況指数
◆米   5月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   ブレイナード・FRB理事講演(オンライン)
◆米   クオールズ・FRB副議長、ライブイベントでインタビュー
◆加   カナダ1-3月期GDP

NYとLDN市場が休場の中、薄商いの中ドル円は終始じり安が続き、109円
36銭までドルが売られています。予想外にドルが売られた格好でしたが、ドイ
ツやフランスでは株式が売られ、金利が上昇したことが影響したと思われます。
ドイツの5月CPIは「2.4%」と、2018年10月以来の高水準でした。
ロックダウンが緩和され、レストランや店舗、文化施設に課してきた制限が解除
されたことが物価上昇につながり、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)は同国のイ
ンフレ率が年内に4%に達する可能性があると指摘しています。
ドイツ連銀の指摘通りに物価が上昇するようだと、ECBのテーパリング開始時
期にも影響を与えることになります。
ドイツ連銀は「インフレ・ファイター」として知られ、インフレに対する警戒感
は他の中銀に比べ非常に強いものを持っています。かつて、超高インフレで苦し
んだ経験が「インフレ・ファイタ-」の土台になっていると言われ、ドイツのC
PIが4%に達するようだと、ECBに対しても利上げ圧力を強める可能性があ
ります。

ECBの政策委員会のメンバーであるクノット・オランダ中銀総裁はイベントで、
物価上昇が一時的かどうかは「賃金に左右される」と指摘し、「この一時的な物
価上昇が二次的な影響や賃金の大幅な上昇圧力につながる可能性を示す兆候を、
私は現時点では見ていない」と述べ、インフレの持続的な上昇には否定的な見方
を示しています。その理由として、「ユーロ圏の労働市場には依然かなりのスラ
ック(たるみ)がある」と指摘し、一方で「多くの資産インフレが観測されてい
る」とも語っています。(ブルームバーグ)

経済協力開発機構(OECD)は世界経済見通しを発表し、新型コロナウイルス
のパンデミックからの回復が力強さを増し、多くの国が3月時点の見通しより引
き上げられましたが、日本は引き下げられています。
世界全体の成長率は3月時点よりも2%引き上げられ「5.8%」に上方修正さ
れています。
米国は「6.9%」、中国は「8.5%」、さらにユーロ圏も「4.3%」と、
0.4~0.7%上方修正されましたが、日本については「2.6%」と、0.
1%引き下げています。米国ではワクチン接種が進み、バイデン政権の経済対策
で個人消費が回復していることが理由として挙げられ、中国は新型コロナのまん
延を抑え、企業活動も堅調に推移すると予測されています。一方日本については、
輸出の回復は続くものの、ワクチン接種の遅れや潜在的な成長率の低さが指摘さ
れています。(日経新聞)

この欄でも何度か触れましたが、新型コロナウイルス感染はインドだけではなく、
東南アジア全体に広がってきた感があります。
特にマレーシアでは感染者が急増し、新規感染者数は29日には9020人と
、過去最多を記録しています。
人口100万人あたりの新規感染者数は200人を超え、インドを上回っていま
す。今朝の報道では、この影響からトヨタとホンダが生産工場を停止することを
発表しています。
先週からは「インド株」に替わる「ベトナム株」も確認されており、感染力もさ
らに強力に進化しているようです。コロナとの闘いはまだまだ続きそうです。

本日のドル円は109円10銭~109円90銭程度を予想します。


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