米第1四半期GDP予想を下回る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆109円台後半で小動きだったドル円はNYで売られる。
GDPなど経済指標が軟調だったことで109円43銭まで
ドル安に。
◆ユーロドルは反発。ユーロ圏の7月景況感が過去最高の
結果を示したことなどを手掛かりに1.1893まで
買われ、約1カ月ぶりのユーロ高を示現。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは153ドル上げ、
3万5000ドル台を回復。
◆債券は反落。長期金利は1.27%近辺まで上昇。
◆金は大幅に上昇。原油も買われ73ドル台に。
◆4-6月GDP(速報値) → 6.5%
◆ 新規失業保険申請件数 → 40.0万件
◆6月中古住宅販売成約件数 → -1.9%
本日の注目イベント
◆豪 豪第2四半期生産者物価指数
◆日 6月失業率
◆日 6月鉱工業生産
◆独 独4-6月期GDP(速報値)
◆欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏6月失業率
◆米 4-6月雇用コスト指数
◆米 6月個人所得
◆米 6月個人支出
◆米 6月PCEコアデフレータ
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米 7月シカゴ購買部協会景気指数
◆米 ブレイナード・FRB理事講演
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 企業決算 → キャタピラー、P&G、エクソンモービル
FOMCを終え、やや材料難からまったりとした相場展開を予想していましたが、
昨日のNYではGDPなどの経済指標が予想を下回ったことから、「金融正常化
への道のりはまだ遠い」との見方が広がり、ドルが売られました。
ドル円は109円50銭を下抜けしたものの109円43銭で下げ止まり、ここ
からもう一段下げるのか、テクニカル的には重要な水準に差し掛かってきました。
米国でも感染力の強いデルタ変異株による感染拡大が続き、今後さらに勢いを増
すようだと、改善傾向にある雇用情勢にも再び悪影響を与える可能性が指摘され
ています。
バイデン大統領は連邦政府職員に対して新型コロナウイルスワクチン接種証明を
義務付け、未接種の職員にはマスク着用と頻繁なコロナ検査を義務化すると述べ
ています。また、家賃を払えない借り手の立ち退きを猶予する措置を延長するよ
う議会に求めています。同措置は7月31日で失効するようです。
さらにバイデン政権は州や地方自治体に対して、ワクチン接種者に100ドルを
贈呈することも求めています。
米4-6月期のGDP速報値は「6.5%」と、市場予想の「8.4%」を大き
く下回りましたが、GDPの額ではコロナウイルスがパンデミックとなる前のピ
ークを上回っています。GDPの70%以上を占めると言われている個人消費で
は、前期比11.8%増加し、パンデミック禍でも依然として消費が好調である
ことを示しています。一方で、住宅在庫と住宅投資はそれぞれマイナスに沈んで
います。ワクチン接種が進み経済活動が再開したことに伴い、消費者は政府支援
もある中で、外食などサービス支出を増やしていますが、今後は連邦政府の支援
も徐々に縮小するため、先行きは不透明だと見られています。今後のデルタ変異
株の感染をどこでくい止めることが出来るかがカギを握っています。
日本でも感染は止まるどころか急拡大しており、専門家の予想を遥かに超えるス
ピードで感染が広がっています。
昨日は東京都で3865人の新規感染者が確認されこれで、2日連続で過去最多
を更新し、全国の感染者数も1万人を超えてきました。
昨日の専門家の予想では、このままのペースでは9月には東京都だけで1日1万
人を超えるといった衝撃的な意見もありました。コロナ感染拡大が株式市場にも
暗い影を落とし、日本株の上昇を抑えています。このセンチメントがリスク回避
につながり、ドル円も上値が抑えられている部分もあります。政府は本日にも東
京と沖縄に加え、首都圏3県と大阪を「緊急事態宣言」に切り替える予定です。
またその期限も8月末の見込みです。
「どうやら2021年末でも、コロナの感染拡大を明確に阻止できないのでは」
といった悲観的な見方も漂い始めました。
金メダルラッシュに沸く日本と、コロナの第5波に苦しむ日本の明暗が連日テレ
ビで放映されています。
米長期金利が低位で安定していることからドル円もやや上値を重くし、足元では
重要な「日足の雲の下限」をうかがう気配です。
現在109円30銭にある雲の下限を割り込むようだと、その下にある「120
日移動平均線」が次のターゲットになりそうです。
ここを割り込むようだと、市場センチメントも徐々に変わってくる可能性があり
、注意が必要です。また「MACD」を見ても、トレンドの転換を示唆する「ゼ
ロの軸」に差し掛かっています。まだ上昇トレンドが終わったとは判断できませ
んが、テクニカル指標には目配りが必要かと思います。
本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。
- [2021/07/30 09:33]
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FOMC平穏に終わる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆FOMC声明文では金融正常化への進展が見られたと
受け止められ、ドル円は110円台を回復。110円29銭
まで上昇したが、パウエル議長の会見を境に軟調となり
109円台に押し戻される。
◆ユーロドルも声明文発表後に1.1772まで売られたが、
その後反発し、1.18台半ばに。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は売られたが、
ナスダックは好決算を発表したアルファベットなどが
けん引し、102ポイント高。
◆債券は声明文発表後売られたが、その後買い戻され、
長期金利は前日とほぼ変わらず。
◆金は前日と同水準。原油は反発。
本日の注目イベント
◆豪 豪4-6月四半期輸入物価指数
◆独 独7月失業率
◆独 独7月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月景況感指数
◆欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(確定値)
◆英 英6月消費者信用残高
◆米 4-6月GDP(速報値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月中古住宅販売成約件数
◆米 企業決算 →メルク
注目されていた今回のFOMCでしたが、結果は予想通りで、特にテーパリング
開始時期に影響を与える文言も発言もなく、やや「肩透かし」をくらった印象で
す。ただ冷静に考えれば、今月中旬に予想を超える6月のCPIが発表され、市
場のテーパリング開始観測が前のめりになった時期はあったものの、その後長期
金利が急低下し、一部には「米景気ピークアウト論」が浮上し、さらにデルタ変
異株が拡大したことなどを鑑みれば、FRBが債券購入縮小を急ぐインセンティ
ブは低下していました。そう考えれば、今回の声明文、パウエル議長の発言も順
当なものだったと言えるでしょう。
朝方3時に発表された声明文では、会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘
導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決め、「経済は目標に向かって
進展しており、委員会は今後数会合において引き続き進展度合いを精査する」と
記されています。今回の会合での政策決定は「全会一致」でした。
新型コロナウイルスのデルタ変異株が成長を脅かすリスクが高まっているものの
、労働市場が力強さを増し、インフレが高進する中で米経済へ強力な支援を弱め
る時期が近づきつつあることを示唆しているものの、パウエル議長はその後の記
者会見で、「その段階にはない。そうした状況に達するにはまだ距離があると、
われわれは考えている」と述べました。また議長は「進展は続いている。一段の
進展を見込んでおり、順調に進めばその目標を達成するだろう」と語っています
。(ブルームバーグ)議長は、適切な時期が訪れた際にどのように債券購入を縮
小させるかについて、今回の会合で「初めて深く掘り下げた議論」を行ったこと
を明らかにしましたが、テーパリングを開始する時期については「何も決定して
いない」と説明しています。
声明文発表直後には「テーパリングに関する議論が進展している」との観測から
株価が下げ、債券も売られたことから金利が上昇し、ドル円は110円29銭ま
で急伸しましたが、パウエル議長の会見が進むにつれて巻き戻しの動きが出て、
ドル円は再び109円台に押し戻される展開でした。
本リポートでも何度か触れましたが、FRBとすれば、少なくともあと数回の雇
用統計の結果を確認したいのは明らかで、今回の声明文でも「数会合において精
査」という文言が記されています。足元ではデルタ変異株の拡大リスクも浮上し
ており、ここは何としても「拙速」だけは避けたいと思うのが共通した認識かと
思います。この様に考えれば、来月26~28日に行われるジャクソンホールで
のシンポジウムでも、「テーパリング開始の示唆」の可能性は極めて低いと見る
のが順当でしょう。来週には早くも7月の雇用統計が発表されます。
7~9月の雇用統計の内容はますます注目されることになります。
パウエル議長は会見では、利上げの開始時期について、「ずっと先であることは
明白だ」とも語っています。
注目されていたFOMCも無事通過し、これでいよいよ「夏枯れ相場」へと突入
するのかもしれません。
注目すべき点は、デルタ変異株の拡大がどこまで進むのかというところでしょう
。本日のドル円は109円50銭~110円30銭程度と予想します。
- [2021/07/29 09:36]
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ドル円は反落し109円台半ばに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は反落。中国IT株の下落が米国株にも波及し、
リスク回避の流れから米金利が低下。ドル円は109円
59銭まで売られる。
◆ドル安の流れからユーロドルはやや水準を切り上げ
1.18台半ばまで上昇。
◆株式市場は3指数とも下げる。上昇が続いていたこともあり、
中国ハイテク株の影響からナスダックが売られ、ダウも85ドル安。
◆債券は反発。長期金利は1.24%台まで低下。
◆金は小幅ながら3日ぶりに反発。原油は続落。
◆6月耐久財受注 → 0.8%
◆5月ケース・シラ-住宅価格指数 → 16.99%
◆7月リッチモンド連銀製造景況業指数 → 27
◆5月FHFA住宅価格指数 → 1.7%
◆7月消費者信頼感指数 → 129.1
本日の注目イベント
◆豪 豪第2四半期消費者物価指数
◆日 5月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独 独8月GFK消費者信頼感
◆独 独6月輸入物価指数
◆欧 米国、ロシア、「戦略的安定対話」(ジュネーブ)
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
◆米 企業決算 → ファイザー、ボーイング、マクドナルド、フェイスブック
ドル円は方向感が定まりません。
昨日のNYでは思った以上にドルが売られ、ドル円は109円59銭まで
売られています。米長期金利の低下が主因でしたが、この日投資家に債券
を買わせ金利が低下したのは中国の影響が大きかったようです。
中国政府が同国のIT企業への規制を強めていることから、米ナスダック
市場の「ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数」が下げ足を強めており、
同指数は2月の高値から約半分近くまで下落しています。特に昨日は、前
週末に中国共産党と政府が、小中学生向け学習塾の非営利団体化を柱とし
た規制策を公表したことで教育関係の株も下げています。
この影響はNY株式市場へも波及し、昨日はナスダック銘柄が売られまし
た。アップルなど、巨大IT企業は昨日決算発表を行いました。
同社は4-6月期の売上高が過去最高を記録し、他にもグーグルを傘下に
持つアルファベットやマイクロソフトなども好決算を発表しています。中
国のIT株が大きく売られたことで、好決算を発表した米IT株も割をく
った形です。もっとも、好決算の内容は既に市場に折り込まれており、典
型的な「Buy on rumor、Sell on news」といった具合でした。
IMFは27日、最新の世界経済見通し(WEO)を発表しました。
2021年の世界成長率予測は「6.0%」と、据え置きましたが、米国
は前回よりも0.6%上方修正して「7.0%」とし、ユーロ圏も0.2
%上方修正して「4.6%」としました。
一方日本は、0.5%下げ「2.8%」とし、G7では唯一の下方修正で
した。IMFは報告書で、「ワクチンへのアクセスが主要な断層線となり
、世界は景気回復について2つのグループに分断された。今年中にさらな
る活動正常化が望めるグループと、依然として感染再拡大および死者増加
に直面するグループだ。先進国・地域の大半が前者に入る」と分析し、そ
の上で、「しかしながら、現時点で感染者数が非常に少なくなっている国
々でも、他の国・地域でウイルスが猛威を振るっている限り、回復は確実
ではない」と釘をさしています。(ブルームバーグ)
やはりワクチン接種の遅れが「かぎ」となったようです。
昨日は東京都で過去最大となる2848人の新規感染者が確認されていま
す。26日(月)のリポートでも触れましたが、専門家の予測する「8月
7日に3000人に達する」とのシミュレーションよりも事態は急速に悪
化しているようです。
オリンピック、夏休み、お盆の帰省などを考えると、8月中には5000
人を超えることになるかもしれません。
IMFも指摘したように、ワクチン接種が進んでいる米国でも安心はでき
ません。
米疾病対策センター(CDC)が27日に公表予定の新しい指針によれば
、CDCは幼稚園から高校までの教育機関において教職員や生徒、訪問者
はワクチン接種の有無にかかわらず、屋内でマスクを着用するよう勧告す
るようです。
カリフォルニア州やNY市でも職員全員のマスク着用を義務付ける方向で
す。一方、米国の消費者は先行きにかなり明るい見通しを持っていること
も明らかになっています。
コンファレンスボードが発表した7月の消費者マインドは市場予想を上回
る「129.1」でした。
これは6カ月連続のことで、新型コロナウイルスがパンデミックとなって
からの最高を記録したことになります。
項目別では現況指数が「160.3」と、コロナ禍となって以来の最高を
更新し、「仕事が豊富にある」との回答比率は21年ぶりの高水準でした。
米国の多くの消費者が、現在の事業・雇用環境に対して楽観的な見通しを
持っていることが浮き彫りになった格好です。
明日の朝方3時にはFOMCの結果が発表されます。
株式・債券市場とも動きが荒っぽくなっており、ドル円も大きく動く可能
性があります。
会合ではテーパリングの開始時期について議論が交わされる予定です。そ
の結果を踏まえてパウエル議長がどのような認識を示すのか注目されます。
また、デルタ変異株の拡大リスクをどのように捉えているかにも注目が集
まります。
本日のドル円は109円30銭~110円30銭程度と予想しています。
- [2021/07/28 09:44]
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米3指数連日の最高値更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆28日のFOMCを見極めたいとする雰囲気が広がり
ドル円は小動き。朝方はドル売りが先行したものの、
終始110円台で推移。
◆ユーロドルも小動きで推移する中、1.18を挟み
もみ合いが続く。
◆株式市場は小幅ながら主要3指数が揃って2日連続で
最高値を更新する。
◆債券は小幅には反落。長期金利は1.29%台に。
◆金と原油はともに下落。
◆6月新築住宅販売件数 → 67.6万戸
本日の注目イベント
◆中 中国6月工業利益
◆欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
◆米 6月耐久財受注
◆米 5月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 7月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米 5月FHFA住宅価格指数
◆米 7月消費者信頼感指数
◆米 IMF世界経済見通し最新版
◆米 企業決算 → UPS,3M、GE、スターバックス、アップル、VISA、アルファベット、マイクロソフト
ドル円は昨日の朝方からすれば水準を切り下げたものの110円台は維持され、
NYでは株価と長期金利の上昇が支えとなり、結局昨日の水準から大きな変化
はありません。本日から始まるFOMCを控え、28日の結果を見極めたいと
する雰囲気が市場に広がったようです。
そんな中でも、NY株式市場ではこの日も株価が堅調な動きを見せ、引け値で
は小幅ながら主要3指数が2日連続で「最高値を更新」しました。
今朝の経済紙にもありましたが、「世界株、強まる米1強」といった状況です。
紙面でも紹介されていましたが、世界の時価総額のシェアを見ると、米国の時
価総額が初めて50兆ドル(約5500兆円)を超えました。日本のGDPの
およそ10倍の規模になることを考えると、いかに大きいか理解できます。
世界シェアは44%で2010年末の30.7%から大きく伸びています。
第2位は欧州ですが、これはイギリスやドイツ、フランスなどの合計で、国別
で言えば第2位が日本ですが、そのシェアはわずか5.9%だそうです。
米国1強がさらに強まった背景は、GAFAに代表される巨大IT企業が次々
に生まれる米国のダイナミズムが、その理由かと思います。
日本で募集した新規のETFでも今や、若い人を中心に「米国株」への資金流
入が鮮明になっています。
成長性の乏しい日本株よりも、大きく成長する可能性のある米国株が選好され
ています。
ただ昨日も述べたように、買われ過ぎとの指摘もあり、買われ過ぎたものは必
ず下がります。FOMCの結果がその「導火線」にならなければいいと考えて
います。
訪中した米国のシャーマン国務副長官は天津で中国の謝外務次官と会談しまし
たが、事前に伝えられていたように、米国は香港と新疆ウイグル地区の人権問
題に言及しましたが、中国は「内政干渉」と一蹴し、逆に米国の対中政策を厳
しく非難しています。
謝次官は、米中関係は「行き詰まっている」と指摘しましたが、一方で中国政
府は共通点を探り、対等な立場で米国と向き合う用意があるとも述べています。
シャーマン国務副長官はこの後に王毅外相とも会談する予定ですが、現時点で
の詳細は不明です。また、この会談では「G20」での米中首脳会談について
の話題は、出なかった模様です。
6月の新築住宅販売件数が発表されましたが、予想に反して大きく減少してい
たのが気になります。
新築一戸建て住宅販売は前月比6.6%減の67万6000戸でした。この戸
数は今年最低の数字で、昨年14カ月ぶりとなる低水準でした。
米国では巣ごもりの影響もあり、多くの主要都市で住宅価格が高騰しています
。加えて、木材の調達も困難になっており、その影響がもろに出たのではない
かと思われますが、今後の推移を見極める必要があります。個人的に頭をよぎ
るのは「米景気ピークアウト論」です。
偶然でしょうが、米ゴールドマンは、米国の経済成長は2022年に大きく減
速する公算が大きいとの見方を発表しています。
その主な理由に、新型コロナウイルス感染拡大の継続を挙げています。
リポートでは、「大規模接種がサービス部門の活動に大きな影響を与えた一方
で、ウイルスの不安がすぐに完全に消えるとの期待は非現実的であることがま
すます明らかになっている」としています。(ブルームバーグ)
本日はアップルをはじめ。多くの有力IT企業の決算が発表されます。すでに
好決算を織り込む形で株価は上昇しており、ダウは先週19日に今年最大とな
る725ドルの下落を演じた後、一転して5営業日連続で上昇しました。その
上昇幅は1182ドルに達しています。
市場予想を若干上回る程度の結果では株価が下がることも考えられ、ドル円の
上値を抑えることにもつながりかねません。
本日のドル円は109円80銭~110円60銭程度を予想します。
- [2021/07/27 09:30]
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米主要株価指数再び最高値を更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は小動きの中、堅調に推移し110円台半ばまで上昇。主要株価指数が揃って最高値を更新したことでリスクオンが広がる。
- ユーロドルは終始1.17台で推移。1.1755まで売られたが、1.17割れをテストする流れにはつながらず。
- 株式市場は3指数が揃って最高値を更新。ダウは238ドル上昇し、引け値で初の3万5000ドルの大台に乗せる。
- 債券小動き。長期金利は小幅に低下し1.27%台で推移。
- 金は反落し、原油は4日続伸。
本日の注目イベント
- 独 7月ifo景況感指数
- 米 6月新築住宅販売件数
- 中 米国務副長官、中国外相と会談(中国、天津)
- 米 企業決算 → ロッキード、テスラ
NY株の反発には目を見張るものがあります。1週間前には2日で1000ドルを超える下げを見せ、一部には「米景気ピークアウト論」が盛んに議論され、同議論を正当化するように、米長期金利も低下傾向を鮮明にしました。先週20日には米長期金利は節目の1.5%を大きく割り込み、一時は1.126%近辺まで急低下しています。そのような動きも拘わらず、日本がオリンピック開催に伴う連休の間に急反転し、ダウは引け値で初となる3万5000ドルの大台に乗せました。ドル円もリスクオンの流れから110円59銭までドル高が進み、約10日ぶりのドル高水準です。長期金利の動きを見ると、依然として低水準で推移しており、やや金利離れと言えます。株価の上昇がリスクオンを促し、株と債券が買われ、低金利の円が売られた格好です。ユーロ円などクロス円も軒並み「元の定位置」へ戻る軌道にいる印象です。
先週末のNY株式市場ではカード大手のアメックスの決算が好感され、同社株は大きく上昇しています。クレジットの使用額が増加し、個人消費が活発なことを表しているとの見立てでしたが、ハイテク株も大きく買われています。ハイテク株の決算発表は今週から本格的に始まり、投資家は先回りして資金を投入しているといった具合です。QUICK・ファクトセットによると、米主要500社の4-6月期の売上高は前年同期比2割増、純利益は7割増しと試算されています。ただ、機関投資家がベンチマークに据えている
「S&P500」で見ると、株価収益率(PER)は伸びているものの、それ以上に株価の上昇が進んでおり、「買われ過ぎ」との指摘もあります。足元の為替は米国の株と債券の動きで、その水準が決定されている状況です。
東京オリンピックが始まり、日本は開幕ダッシュに沸いていますが、一方でコロナの感染拡大は止まりません。東京都では昨日、日曜日としては過去最多の1763人の新規感染が確認されています。京都大学の専門家のシミュレーションではこのままでいくと、8月7日には3000人を超えると予想されています。米国でも、アンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長は、新型コロナウイルスの新たな感染拡大の波との闘いで米国が、「間違った方向」に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人はブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性があるとの考えを示しています。ファウチ氏はデルタ変異株により全米で感染者が急増する中、ワクチン接種を受けた人のマスク着用に関する新たな勧告が現在検討されていると説明し、最悪のシナリオでは冬季にコロナによる死者数が、昨年冬季のピーク時と同水準の1日あたり4000人に達する恐れがあると指摘しています。(ブルームバーグ)
シャーマン米国務副長官は本日、天津で中国の王毅外相と会談する予定です。会談では米国側が、香港と新疆ウイグル自治区の人権問題など、中国側は国際社会のコミットメントと原則に反していると米国が考える分野について懸念を表明すると同時に、米国は反中国同盟を構築しようとしているわけではないと中国側に説明する予定のようです。今回の会談で成果が出れば、10月のG20などでバイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談が実現する可能性もあると伝えられています。
本日のドル円は日経平均株価が大幅に上昇すると見られることから、堅調に推移すると予想していますが、上でも述べたように、米国の株と債券の動きには注意が必要です。特に今週は27-28日に夏休み前最後のFOMCが開催され、内容次第では金融市場全体に大きな影響が出る可能性も否定できません。本日のドル円は110円20銭~110円90銭程度を予想しています。

- [2021/07/26 10:19]
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NY株大幅反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はやや値を戻し110円手前まで上昇。前日のNYで
109円目前まで売られたが、109円台を割り込まなかった
ことで安心感も。
◆ユーロドルは水準を切り下げ、1.1755まで下落。
ドルが反発した流れから、4月以来となるユーロ安を示現。
◆株式市場は大幅に反発。前日大きく売り込まれた反動と見られるが、
荒っぽい動きが続く。ダウは549ドル上昇し前日の下げの8割
ほどを埋める。
◆債券は反落。長期金利はやや上昇し1.22%台に。
◆金は3日ぶりに反発し、原油も買われる。
◆6月住宅着工件数 → 164.3万戸
◆6月建設許可件数 → 159.8万件
本日の注目イベント
◆豪 豪6月小売売上高
◆日 6月貿易収支
◆米 企業決算 → J&J、コカ・コーラ、ベライゾン
NY株が大幅な反発を見せたことでドル円は110円手前までドル高に
振れています。前日のNYでは109円07銭まで売られたドル円でし
たが、昨日のレポートでも指摘したように、109円前後には一目均衡
表の「日足の雲の下限」があり、ここを下抜けするとトレンド転換の可
能性も浮上することから、非常に重要な水準でした。昨日の東京時間で
も日経平均株価が大きく売られましたが、それでも109円台半ばで推
移し、底堅い動きを見せていたことと、何よりも109円台を維持でき
たことが安心感につながったと見られます。NY株が反発し、長期金利
も小幅ではありましたが上昇したことで、円を売り戻す流れとなり、ク
ロス円全般が買い戻された格好になりました。
「米景気ピークアウト論」・・・・・。
前日のNY債券市場で債券が買われ、長期金利が一時1.17%台まで
急低下した動きについて、米国のエコノミストの間では、米景気はすで
にピークを過ぎているのではないかといった見方が広がっています。そ
の動きを織り込んだのが長期金利の1.2%割れだという論拠です。
確かに、今後景気が下り坂になるとすれば、期間の長い長期債が買われ
、金利が低下するのが一般的です。20日にはさらに長い30年債でも
大幅に金利が低下し、イールドカーブの「フラットニング化」が進みま
した。
景気後退は企業の収益低下にもつながり、そのため前日は好業績の大型
株が軒並み売られたとの指摘もあります。
長期金利の大幅低下だけで米景気のピークアウトを決めつけるのはやや
乱暴ですが、1.2%を割り込んだ長期金利が「何を示唆しているのか」
疑問は残ります。仮に「米景気ピークアウト論」が正しいとすれば、F
RBによる政策金利の引き上げなど論外で、テーパリング開始時期を巡
る議論も急速にしぼむはずです。
この点についても来週のFOMCで、メンバーの考え方や議論の内容が
ますます注目されることになります。
6月の住宅着工件数は予想以上の増加を見せました。
市場予想の「159万戸」に対して「164.3万戸」と、前月比6.
3%増加し、3カ月ぶりの高水準でした。
一戸建ての着工件数は6.3%増、集合住宅の着工件数も6.2%増と
、いずれも好調でした。一方、着工件数の先行指標となる建設許可件数
は159.8万件に留まり、昨年10月以来の低水準で、今後数カ月は
住宅建設の伸びが減速することを示しています。
専門家は、「住宅建設業者が建築資材と労働力を確保するのに苦慮して
いることが浮き彫りになった」と説明しています。(ブルームバーグ)
世界の目が再びコロナの感染状況に向けられてきました。
米国では、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長が20日
の上院公聴会で、米国では新型コロナウイルス新規感染症例の83%を
「デルタ変異株」が占めていると証言しています。
遺伝子配列の解析で明らかになったもので、7月初旬時点の50%から
大幅に増加しています。NY市では新規感染者数が増える中、1日あた
りのワクチン接種回数が、4月中旬の10万回から、1万5000回未満
に減少していると報告されています。
またシンガポールでは感染拡大により規制が強化され、オーストラリア
でもビクトリア州は5回目のロックダウンを延長しています。
日本でも東京都を中心に感染拡大が止まりません。
昨日の専門家の意見では、これまで「今後2000人を超える可能性が
ある」と述べていたものが、「3000人を超える可能性」に変わって
いました。週末にはオリンピックが開催され、さらなる感染拡大が危惧
されています。
世界の歴史の中でも初めての「コロナ禍でのオリンピック開催」という
ことになります。コロナに打ち勝つのか、あるいはコロナの勢いに負け
るのか、ここでも注目されることになります。
本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度を予想します。
- [2021/07/21 09:36]
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米変異株の拡大でリスク回避の流れ強まる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は大幅なドル安が進み、109円07銭まで売られる。
米国でコロナの再拡大懸念が広がりリスク回避の流れが急速に
広がった。
◆ユーロドルではドル安の勢いは限定的。1.1824まで
ユーロが買われたが1.18台半ばから上方が壁に。
ユーロは対円で128円台後半まで下落。
◆株式市場は大幅安となる。変異株の感染拡大が景気回復に
重しとなる見方が広がり、ダウは一時900ドルを超える下げに。
引けではやや反発したものの、725ドル安と、今年最大の下げを
記録。
◆債券は大幅に続伸し、長期金利は一時1.17%台まで低下。
今年2月以来となる低水準に。
◆金は続落。原油は世界的なコロナ感染の拡大から需要が減る
との見通しから大幅安。先週末から5.80ドル下げ、一気に
66ドル台に。
◆7月NAHB住宅市場指数 → 80
本日の注目イベント
◆豪 RBA議事録
◆日 6月消費者物価指数
◆独 独6月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏5月経常収支
◆米 6月住宅着工件数
◆米 6月建設許可件数
◆米 企業決算 → ネットフリックス
高値圏で推移していた米国株が何かのきっかけで大幅安に転じる懸念
を感じていました。FRBによるテーパリングを巡る議論が大きく前
面に出ている中、いずれは金利引き上げが行われるわけで、その状況
下でも「最高値」を更新し続けるNY株式市場に違和感を禁じ得ませ
んでした。先週1週間だけを見ても、ダウは2回、ナスダックも2回、
S&P500に至っては3回も「最高値」を更新しています。
昨日のNY市場では、新型コロナウイルスの変異株感染拡大が景気回
復に暗い影を投げかける格好となり、リスク回避の流れが急拡大。リ
スク資産が大きく売られ、安全資産が買われる展開でした。
NY株式市場ではダウ銘柄が最も厳しい下げに見舞われ、他の主要指
数も大きく下げ全面安の展開でした。一方債券が買われ、長期金利は
今年2月以来となる1.2%割れまで低下しています。米金利の急低
下を受け、ドル円でもドル売りが強まり、昨日の東京市場の朝方には
110円台で推移する場面もあったドル円は、109円ぎりぎりの水
準まで円高に振れています。
このようなケースでは良く見られる「円全面高」の流れから、クロス
円はほぼ全て円高に振れています。
ここまで株価が下げ、長期金利も低下したことで、来週のFOMCで
のテーパリング開始時期の議論にも影響を与える可能性があります。
少なくともここ2週間ほどの長期金利の動きを見る限り、FRBが債
券購入の縮小に動く可能性は感じられず、一部のタカ派的な予想であ
る「8月にテーパリングを示唆し、9月に正式に宣言。11月にテー
パリング開始」といったシナリオも修正を迫られると考えます。
英国では19日、イングランドでの新型コロナ関連の規制が解除され、
英国民がナイトクラブで気勢を上げる姿が放映されていましたが、感
染が急速に再拡大している中での規制解除です。昨日の英国の新規感
染者数は4万7848人でした。この数は、今最も感染拡大が懸念さ
れているインドネシアの4万4721人を超えています。
それでも規制解除に踏み切ったジョンソン英首相は、「冬にかけてさ
らに感染が拡大することも予想され、今やらなければいつやるんだ」
と、専門家が反対する状況下でも解除を決めました。また感染者数は
急激に増加しているものの、死者の数は極端に少なく、明らかにワク
チンの効果が出ていることも英首相の背中を押したようです。
一方で皮肉にも、米疾病対策センター(CDC)は19日、英国への
渡航警戒レベルを最高レベルに引き上げ、可能な限り渡航は避けるよ
う勧告しています。
今年の春先、新型コロナウイルスの感染状況が世界の金融市場の動向
を見る上での「カギ」になっていました。今再びコロナ感染が金融市
場を揺さぶり始めています。今週開幕する東京オリンピックが成功す
るかどうかも含めて、コロナ感染の再拡大を封じ込めることが出来る
のか、重要な局面にいます。
米政府は英国や日本など同盟国と、米マイクロソフトに対するサイバ
ー攻撃は中国政府に関係するハッカーが行ったとの見解を正式に示し、
3カ国に加え、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、EU、
NATO(北大西洋条約機構)を巻き込み、一斉に中国を非難しまし
た。ラーブ英外相は声明で、「中国政府はこうした組織的なサイバー
妨害工作をやめなければならない。やめないなら、責任が問われるこ
とになる」と主張し、ホワイトハウスも、「中国に責任をとらせるた
めの追加行動を排除しない」と表明しています。
ドル円は昨日のNY市場で109円07銭まで売られ、今朝はその安
値からは大きく反発しています。これまでにも何度か述べてきました
が、109円前後が非常に重要な値位置だと考えています。この水準
は、「日足の雲の下限」にあたり、昨日の下げもちょうどこのレベル
でサポートされたことが確認できます。
仮にこの雲を下抜けするようだと、1月下旬以来のこととなり、日足
でのトレンド転換の可能性が高まることから重要なポイントだと見て
います。本日もNY株の大幅安を受け、日経平均株価の大幅下落は避
けられない状況かと思いますが、すでに日経平均は下げを先取りして
おり、展開によってはそれほどの下げを見せないことも考えられます。
ドル円は109円~109円80銭程度を予想します。
- [2021/07/20 09:40]
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7月の米消費者マインド予想を大きく下回る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅ながら続伸。110円台で底堅く推移し、
110円34銭までドルが買われる。
◆ユーロドルは前日とほぼ水準が変わらず、1.18前後で
小動き。
◆株式市場は消費者マインドの下振れなどが影響し3指数が
揃って下落。ダウは299ドル下げ、ナスダックは先週火曜日に
最高値を記録して以降4日続落。
◆債券は小動きながら底堅く推移。長期金利は1.29%と
ほぼ変わらず。
◆金は3日ぶりに下落し、原油は反発。
◆6月小売売上高 → 0.6%
◆7月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 80.8
本日の注目イベント
◆日 7月例経済報告
◆米 7月NAHB住宅市場指数
発表された経済指標はまちまちでした。
7月のミシガン大学消費者マインド速報値は、市場予想を下回る「80.8」で、
経済成長の持続性に対する懸念が意識され、株価を押し下げています。
市場予想は「86.5」で、インフレは特に「低所得層と中間層において生活水
準をさらに圧迫し、高所得層においても高額な裁量支出を見送る原因になった」
とミシガン大学消費者調査の担当ディレクターは分析しています。
中でも、住宅や自動車など耐久財購入を巡る消費者の見方を示す指数が「101
」と、新型コロナウイルスがパンデミックとなって間もない昨年4月以来の低水
準でした。
一方6月の小売売上高は予想に反して幅広い分野で増加が見られています。
市場予想の「0.3%減少」に対して結果は「0.6%増加」でした。
13分野のうち9分野で売上高が増加し、特に電気製品(3.3%増加)や衣料
品(2.6%増加)、さらに飲食店の伸びも目立っています。ただここでも、自
動車・同部品ディーラーの売上高は2%の減少でした。
その理由として、サプライチェーン障害の影響で在庫が低くなっていることを反
映しており、さらに世界的な半導体不足で自動車生産が抑制され、価格が押し上
げられていることが影響していると見られているようです。(ブルームバーグ)
先週の経済紙に、ドル円は「米10年債利回り」に連動することは知られている
が、このところの動きは、より短い「2年債利回り」により相関が強いとの記事
がありました。もともと2年債は政策金利の影響を受けやすく、FRBによるテ
ーパリングが強く意識され始めた6月15日から急騰していています。
もちろんこの日は10年債利回りも上昇していますが、2年債の方がより上昇率
が大きく、その後10年債と2年債との金利差は徐々に縮小しています。
10年債が1.74%台まで急騰した3月での金利差は1.58%程ありました
が、足元では1.07%(10年債1.29%-2年債0.22)程に縮小して
います。
6月のFOMC以来、テーパリング開始の議論が急速に高まり、市場が金融正常
化を織り込み始めたことで金利差が縮小しています。
この傾向はFRBがテーパリング開始を正式に宣言するあたりまでは続くと見ら
れます。
一方、1.74%台まで急騰した10年債利回りは低下傾向が続き、先週は1.
4%台から1.3%を割り込む水準まで低下してきました
長期に渡る金融緩和政策の影響から市場にあふれた資金が、相対的な金利の高さ
に加え、流動性や安全性などの観点から米国債に向かっていると見られますが、
FRBによる金融正常化への舵の切り直しは、遅かれ早かれ実施されることは分
かっていますが、足元のコロナ変異種の世界的な拡大が再び投資家を安全資産に
向かわせている可能性もあります。
債券ディーラーの見方では「1.25%が分水嶺」だといった見方があります。
仮に10年債が1.25%を割り込むようだと、米国を中心に再び経済活動への
制限措置が発せられている可能性が考えられます。
今週は異例な状況の中、いよいよ東京オリンピックが開幕します。
東京市場は22日(木)から休みに入るため、今週は3日しか営業日がありませ
ん。常識的には「夏枯れ」相場を想定していますが、これまでの夏と異なるのは、
テーパリング開始時期への関心度の高さです。今週は「無風」でも、来週にはF
OMCが開催されます。FOMCと8月のジャクソンホールでの内容からテーパリ
ング開始時期を巡り、例年以上に暑い夏になるかもしれません。
本日のドル円は109円50銭~110円30銭程度を予想します。
- [2021/07/19 09:34]
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米長期金利再び1.3%近辺まで低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆アジア時間では109円台半ばを超える水準で推移していた
ドル円はNYで110円台に乗せる。米長期金利が再び1.3%
前後まで低下したものの、ドルは小じっかり。
◆ユーロドルは目立った動きもなく、1.18台前半で推移。
◆株式市場は前日と同様にまちまちの展開。ダウは53ドル上昇した
ものの、ナスダックは続落。
◆債券相場は続伸し、長期金利は再び1.3%を割り込む。
◆金は続伸。原油は大幅に続落し71ドル台に。OPECプラスで
減産合意が縮小され、供給が増えるとの見立て。
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月輸入物価指数
◆米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 6月鉱工業生産
◆米 6月設備稼働率
◆米 7月NY連銀製造景況業指数
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆欧 ユーロ圏6月消費者物価指数
◆米 6月消費者物価指数
◆米 5月貿易収支
◆米 6月小売売上高
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
◆米 財務長官とFRB議長、金融安定監視評議会の会合で住宅市場について議論
◆米 APEC非公式首脳会議(オンライン)、バイデン大統領、習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、菅首相らが参加
◆加 カナダ6月住宅建設許可件数
前日に続きこの日上院で議会証言を行ったパウエル議長は、引き続きハト派姿勢
を堅持したことで米長期金利は1.3%を割り込む水準まで低下し、価格は上昇
しました。ドル円はそれでも売り込まれることなく、NYでは一時110円台を
回復する局面がありました。ただ主要通貨ではドル高が進んだことからクロス円
全般ではやや円高方向へシフトしています。注目のパウエル議長の議会証言も終
わり、来週は異例な状況の中での東京オリンピックが開催されることもあり、市
場では材料難から値動きは限定されると思われます。
パウエル議長はこの日も、インフレが「心地よくない」水準で推移する中、米経
済への支援を続ける金融当局のスタンスについて、その正当性を主張しました。
議長は、「これは経済活動の再開に伴いシステム全体に衝撃が及んでいる状況で
あり、それが2%を大きく上回る水準にインフレ率を押し上げている。当局とし
てはもちろん、心地よくない」と述べ、このところの物価上昇については、「歴
史において他に類を見ないものだ」と発言しています。
またその上で高インフレについて、「一時的なものにとどまる限り、それに対応
するのは理にかなっていない」と述べ、これまで通り価格上昇は一過性のものだ
との見通しを改めて示しました。
また資産購入の縮小を巡る議論についても言及し、「FOMCは6月の会合で、
資産購入を縮小する可能性について議論を開始した。FOMCは今月27、28
日に開く会合で、この議論をさらに進める」と、議長は語っています。(ブルー
ムバーグ)
6月の会合で議論を行ったことは既に明らかにしていましたが、引き続き今月の
会合でも
議論を重ねることを明言したことで、同会合の議事録や8月のジャクソンホール
でのシンポジウムが一段と注目されることになりそうです。
いずれにしても、「資産購入縮小開始の始まりの第一歩」を踏み出していること
は間違いありません。
パウエル議長は前日の下院での証言で「資産購入の縮小を開始できるだけの『一
段と顕著な進展』は見られない」と述べていましたが、FOMCメンバーの中で
は最も「タカ派」と目されているセントルイス連銀のブラード総裁は15日、ブ
ルームバーグとのインタビューで「真逆な認識」を示しています。
ブラード総裁は、「米金融当局はインフレと雇用の両方に関して『一段と顕著な
進展』を遂げるという目標を達成した」とし、「テーパリングできる状況にある
と考える。市場を動揺させるようなことは望んでいないが、こうした緊急措置を
終了する時期だと思う」と述べ、景気刺激策の縮小で前進するよう求めました。
東京都を中心にコロナウイルス感染の「第4波」がじわじわと押し寄せています。
感染の再拡大に伴い日本株が一段と「一人負け」の様相を強めており、足元では
日本株が売られると、円高方向に動く傾向が確認されます。
今朝の経済紙でも触れていましたが、コロナ後の成長を巡る主要国の財政支出で
は、その規模において日本は欧米の10分の1以下であり、しかも成長戦略にメ
リハリも効いていないと論評されています。
これらは本来は円売り材料と見られますが、日本のアフターコロナはまだ先の話
です。希望が持てればいいのですが・・・
本日のドル円は109円30銭~110円10銭程度を予想します。
- [2021/07/16 09:57]
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パウエル証言を受けドル下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は再び110円を割り込む。パウエル議長の議会証言を
受け、米長期金利が低下したことで109円94銭までドル売りが
進む。
◆ユーロドルは反発。1.1839まで上昇したが、依然上値が重い
展開が続く。
◆株式市場はまちまち。ダウは小幅に反発したものの、ナスダックは
高値警戒感から小幅に続落。
◆債券相場はパウエル議長の議会証言後に急伸。長期金利は
1.34%台まで急低下。
◆金は続伸。原油は在庫の増加とOPECプラスの対立解消が
進んだことで2ドルを超える(2.8%)下落。
◆6月生産者物価指数 → 1.0%
本日の注目イベント
◆豪 豪6月雇用統計
◆中 4-6月GDP
◆中 中国6月小売売上高
◆中 中国6月鉱工業生産
◆英 英6月失業率
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月輸入物価指数
◆米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 6月鉱工業生産
◆米 6月設備稼働率
◆米 7月NY連銀製造景況業指数
◆米 パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言
◆米 米独首脳会議(ワシントン)
◆米 企業決算 → モルガンスタンレー、アルコア
前日に発表された6月のCPIは前月比で「0.9%」と、13年ぶりの
高い伸びを見せましたが、この日発表された6月のPPIも前月比で「1.
0%」と、高水準でした。市場予想の「0.5%」を上回り、企業が一段
と値上げ圧力にさらされていることが示された格好です。コアPPIも前
月比で同じく「1.0%」の上昇で、前年同月比では2010年の統計開
始以降で最大の伸びを記録したと伝えられています。
そんな中、注目のパウエル議長の議会証言が行われました。
議長はこれまで「足元の物価上昇は一時的だ」と繰り返し述べており、上
述のように、足元ではさらに一段の物価上昇が示された中での証言でした。
「物価上昇は一時的だ」との認識を変えるのかどうかに注目していました
が、議長は「生産のボトルネックなど供給面の制約で生産が限定されてい
る業種で強い需要が見られ、それが一部の財とサービスに特に急速な物価
上昇をもたらしている。だがそうした物価上昇は、ボトルネックの影響が
解消されるのに伴い一部反転するだろう」と指摘し、これまでの考えを維
持し、「金融当局による大規模な資産購入の縮小を開始できるだけの進展
はまで見せていない」と証言しています。
議長はその理由を、「労働市場の状況は改善が続いているが、まだ長い道
のりが残っている」と指摘しています。ただその見通しについては、「公
衆衛生の状況が引き続き改善し、現在雇用の重石となっているパンデミッ
ク関連要素の一部が後退するにつれて、雇用の伸びは向こう数カ月に力強
さを見せるだろう」との認識を示しました。(ブルームバーグ)
債券購入のテーパリングに踏み切る基準に達したとどのように判断するの
かとの委員からの質問に対しては、「正確に言うことは非常に難しい」と
し、「進展に伴い当局は多く通知していく」と答えるに留めていました。
市場ではこの証言を、「テーパリング開始時期を早めるものではない」と
受け止められ、株と債券が買われ、金利低下に伴いドル円は110円台半
ばから110円割れまで下落しました。
証言内容にサプライズはありませんでしたが、依然として物価上昇が続き
足元の状況にも、「一時的」といった見方を変えていなかったことがカギ
でした。
ただこのまま適温相場が続き、株価が再び最高値を更新する状況が続けば、
株価急落のリスクはさらに高まり、テーパリング開始の宣言を行うタイミ
ングをはかるのが、ますます難しくなります。どのようにソフトランディ
ングに持って行くのか、パウエル議長の手腕が試され、引いてはFRB議
長再任の道への岐路だとも言えます。
ベージュブック(地区連銀報告)が公表されました。報告書では、米経済
は回復ペースが加速した。新型コロナウイルスのパンデミックからの経済
活動再開を受け、求人や受注対応の上で負担が増大したと記されており、
パウエル議長の証言と一致しています。
「健全な労働需要は幅広く見られたが、低技能の職種で最も需要が強かっ
た」とし、「幾つかの地区連銀で企業は困難な求人状況が初秋まで続くと
予想した」と記されています。さらに、「労働者の確保や引き留めで賃金
外の現金報酬の使用が増えたと、全地区が報告した」とありました。
本日も引き続きパウエル議長の議会証言がありますが、基本的な認識が確
認されたことから、大きな動きにはならないと見ています。
予想レンジは109円60銭~110円40銭程度といったところでしょ
うか。
- [2021/07/15 09:45]
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米6月のCPI、13年ぶりの高水準
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸。長期金利の上昇にドルが買われ、110円65銭
までドル高が進む。
◆ユーロドルは売られ、1.1772前後までドル高が進み、
約3カ月ぶりのユーロ安水準に
◆株式市場は3指数が揃って反落。ダウは朝方3万5千ドルに
乗せる場面もあったがその後値を崩し、107ドル安で引ける。
◆債券は続落。30年債の入札が不調に終わり金利が上昇。
長期金利は1.41%台まで上昇。
◆金と原油はともに反発。
◆6月消費者物価指数 → 0.9%
◆6月財政収支 → -1742億ドル
本日の注目イベント
◆豪 豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
◆日 5月鉱工業生産(確定値)
◆トルコ トルコ政策金利発表
◆欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
◆英 英6月消費者物価指数
◆英 英6月生産者物価指数
◆米 6月生産者物価指数
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
◆米 企業決算 → バンクオブアメリカ、ウェルズファーゴ、ブラックロック、
シティグループ、デルタ航空
◆加 カナダ中銀政策金利発表
ドル円は110円台半ばを超え、110円65銭まで買われています。大きな値動
きはなかったものの、主要通貨では概ねドルが買われ、ユーロドルも1.1772
前後まで売られ、4月以来となる「ドル高」水準を記録しています。6月のCPI
が前月比で「0.9%」上昇し、2008年以来となる高水準でした。前月の「0
.6%」を超えただけではなく、市場予想も上回りFRBの金融政策に影響を与え
るとの見方も強まっています。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPI
も前月比「0.9%」上昇しており、インフレ圧力はさらに強まっていると見られ
ます。項目別では中古車やホテル宿泊、レンタカー、航空運賃などが大きく上昇し
ており、原油高を反映し、ガソリン価格も上昇しました。
総じて見れば、ワクチン接種が進み、行動制限が解除された影響が如実に出ている
ことが窺えます。
ただそれでもFOMCのメンバーはそれほど懸念していないようです。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、6月のCPIが大幅に上昇したのは想定
内の「上振れ」だと述べる一方で、金融当局は年末までに大型資産購入の段階的な
縮小を開始できる可能性があるとCNBCとのインタビューで答えています。
デーリー総裁は、「恐らく年末か来年早々にはテーパリングの状況が整うだろうと
いうのが、私の見解だ」と述べ、「資産購入を段階的に縮小し、経済に供給してき
た緩和の一部を引き揚げることについて協議を始めるには適切だ」と述べる一方、
利上げについて協議するには「極めて時期尚早な段階だ」と語っています。
またリッチモンド連銀のバーキン総裁は、低所得労働者の賃金上昇がインフレ圧力
に寄与しつつあると指摘し、「より持続的な変化の見通しは9月末までには明らか
になる」と語っています。(ブルームバーグ)
両総裁は今年のFOMCでの投票権を有しています。
さらに最も「タカ派寄り」と見られる、セントルイス連銀のブラード総裁はウォー
ルストリートジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで、「米経済が7%の成長
を遂げ、新型コロナウイルス流行がますます制御されつつある今、緊急措置を縮小
する潮時だと思う」と述べた上で、「明日、開始する必要はないが、FOMC内で
機が熟したとの見解が共有されれば、態勢は整っていると思う」と語っています。
米国では早くも第2四半期の決算発表が始まりました。
昨日第一陣で発表を行ったJPモルガンとゴールドマンはともに好決算を発表して
います。
JPモルガンは投資銀行部門がM&Aなどで手数料収入を大きく伸ばし、ゴールド
マンは同じく投資銀行部門の収益を伸ばし、特にM&A助言では83%の手数料
収入増となっています。米国はコロナ禍からいち早く脱却し、株式市場では連日「
最高値」が続き、企業もアフターコロナを見すえ、積極的に経営資源の再配分を行
っています。今年上期の世界のM&Aは過去最高の2兆5000億ドル(約276兆
円)にも上っており、この傾向は当面続くものと見られています。
仮に手数料が1%としても、3兆円余りの手数料がどこかの投資銀行部門に落と
される計算です。
予断ですが、筆者の娘も米大手コンサルに勤務していますが、この夏臨時ボーナス
が出ると、はしゃいでいました。米国「一人勝ち」の様相とも言えそうです。
本日はパウエル議長の議会証言があります。
東部時間14日正午(日本時間15日午前1時)から開かれる下院金融委員会で行
われます。注目されるのは、6月のCPIの上振れを受けてもなおまだ「物価上昇
は一時的なもの」との認識を変えていないのかどうかといった点です。
その認識に変化があるかどうかで、テーパリング開始時期に微妙な影響を与える可
能性があり、市場が過大に反応することにつながります。
また今回の証言で、バイデン大統領は今後、パウエル議長続投の是非の検討に入る
見通しだとブルームバーグは伝えています。パウエル氏の任期は来年2月で満了で
す。今回の証言はパウエル氏をテストする意味合いもあるのだと報じています。
本日はパウエル議長の議会証言をきっかけにドル買いが強まるのかどうか。ドル円
は111円、ユーロドルは1.17台前半をテストすることになるのかどうかが注
目されます。予想以上に冷静な認識を示すようだと債券が買われ、金利低下から
ドル円反落の可能性もあるかもしれません。
本日のドル円は110円20~111円10銭程度を予想します。
- [2021/07/14 09:40]
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NYダウ一時3万5千ドル台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅な値動きながら底堅い。株価が堅調に推移した
こともあり、110円台前半から半ばで小動き
◆ユーロドルは1.18台半ばを中心に大きな動きもなく、
ユーロ円では上昇。
◆株式市場は2日連続で3指数が揃って最高値を更新。ダウは午後
3万5000ドルの大台に乗せる場面があったが、終り値では維持できず。
◆債券は小動きの中、長期金利はほぼ横ばい。
◆金と原油はともに反落
本日の注目イベント
◆中 中国 6月貿易統計
◆独 独6月消費者物価指数
◆米 6月消費者物価指数
◆米 6月財政収支
◆米 企業決算 → ゴールドマン、JPモルガン、ペプシコ
NY株が堅調に推移していることもありややリスクオンの流れが強まる中、
ドル円は110円台前半から半ばで大きな動きは見られません。
ユーロドルも先週は1.18台を割り込みましたが、下落も一服です。
パウエルFRB議長の議会証言を明日に控えていることから、市場は様子
見ムードが広がったようです。
ダウは引けにかけて一時、初の3万5000ドルの大台に乗せる場面があ
りましたが、引け値では大台に届いていません。
ただ、先週末に続き3指数が揃って最高値を更新するなど、堅調な動きを
見せています。
米長期金利が下げ続け、先週は1.25%を下回る水準まで低下しました。
金利低下を歓迎する形で株価が上昇したことは理にかなっていますが、金
利が反発してもNYから聞こえてくる声は、「急ピッチの金利低下に歯止
めがかかったことで、株が一斉に買われた」といったもので、何やら「買
う材料」を無理やり作り上げているような印象です。
基本は、長い間続いた超金融緩和による「カネ余り状況が続いている」と
いうことのようです。出遅れ感満載の日本株も昨日は大幅高を見せました
が、それでも2万8569円。ドルと円の違いはあるものの、かたや3万
5000と、その差は開く一方です。
イエレン財務長官は12日ユーロ圏財務相会合で演説を行い、中国とロシ
アと向き合うための支援をEUに要請し、米国とEUとの関係を修復する
必要性を新たに主張しました。イエレン氏は、「開放性と公正な競争、透
明性、説明責任の原則に対する脅威に、われわれは一体となって立ち向か
う必要がある」と指摘し、「こうした課題には、中国の不公正な経済慣行
や有害な行動、人権侵害のほか、ベラルーシのルカシェンコ政権下で続く
不正など、さらに拡大している有害な行動が含まれる」と述べ、中国とロ
シアに対しこれまでになく辛辣は批判を展開したとブルームバーグは報じ
ています。このような発言は財務長官としてはやや異例で通常、国務長官
から発せられることが普通ですが、バイデン大統領の外交政策を反映して
いるものと思われます。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は講演で、目標を上回るインフレ率に
言及し、「一過性のものだとの考えに、私は同感だ」と述べ、先行き持続
的なベースでどの程度インフレになるのか、「最も重要な要素は労働市場
だと考える」と発言しています。
FRBの首脳が、足元の高いインフレ率は一時的なものだとし、労働市場
の行方を注視していることを代弁したようにも思えますが、明日のパウエ
ル議長の議会証言でも同様な発言が予想されます。
またリッチモンド連銀のバーキン総裁もウォールストリート・ジャーナル
(WSJ)紙とのインタビューで、当局が緩和策の縮小時期を決める上で、
就業率が重要だと述べ、「債券購入の縮小を始めるには59%を上回る程
度の就業率が望ましい」との考えを示しています。
先週109円台ミドルまで売られたドル円でしたが、その要因は米長期金
利の急低下でした。想定を超えるような金利低下でしたが、やはりドル円
との相関が強いことも確認された形です。従って今後ドル円が再び上昇し、
111円あるいは112円台に乗せるには米長期金利の上昇が不可欠だと
いうことです。
2021年も前半が終わり、ここからの半年は「FRBの金融政策の変更」
が最大のテーマです。その時期を巡り米長期金利が上下することになりま
すが、今後米長期金利が1%を割り込むことは、まずないと考えれば、こ
こから下がっても30ベーシスが限界で、
一方上昇については50ベーシス以上も無いとは言えません。そう考える
と、ドル円の下値も限られてくるのではないかと思われます。
もっとも、「デルタ株」といった、米長期金利以外の要素も無いとは言え
ませんが、少なくとも昨年12月に見られたように、1日で30万人以上
の新規感染者が出るような事態は想定しづらいと思います。
本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。
- [2021/07/13 09:35]
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米金利低下でドル円110円を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は110円を割り込み、109円54銭まで下落。
米長期金利の低下や株価の大幅な下落、さらにはコロナ変異種の
感染拡大など、リスク回避の流れが強まった。
◆ユーロドルは1.18台半ばを中心に小動き。クロス円が
下げ、ユーロ円は4月下旬以来の129円台に。
◆株式市場はほぼ全面安。新型コロナの変異株の感染拡大が
成長見通しを一変させるとの懸念が広がった。ダウは259ドル下げ、
堅調だった他の2指数も大幅に売られた。
◆債券は続伸。長期金利はこの日も低下し、一時は1.247%まで
下げる。長期金利はこれで8営業日連続の低下。
◆金は6日ぶりに反落。原油は小幅に反発。
◆新規失業保険申請件数 → 37.3万件
◆5月消費者信用残高 → 352.8億ドル
本日の注目イベント
◆中 中国6月消費者物価指数
◆中 中国6月生産者物価指数
◆欧 英中銀総裁、ECB総裁とパネル討論に参加
◆欧 ECB議事要旨
◆英 英5月鉱工業生産
◆英 英5月貿易収支
◆英 ベイリー・BOE総裁講演
◆加 カナダ6月就業者数
◆加 カナダ6月失業率
昨日のレポートで、「ドル円は米長期金利が急低下するわりには堅調だ」と記述
しましたが、さすがにその金利がさらに低下し、一時は1.247%台まで低下
したことで、底堅く推移していたドル円も持ちこたえられなかったようです。
ドル円は110円台を割りこむと下げが加速し、109円70銭台では一旦下げ
止まり反発する動きも見せましたが、110円台を回復することなく再び下げに
転じ、109円54銭近辺まで売られています。
米10年債利回りは昨日も下げ、これで8営業日連続で水準を切り下げたことに
なります。
因みに、1.24%台は2月16日以来ということになりますが、この日のドル
円は105円台半ばから106円台に乗せた水準で推移しており、米長期金利の
低水準の割にはまだ「ドル高」だと言えそうです。
これは偏に日本のコロナワクチンの接種状況が反映されているものと考えられま
す。米国でワクチン接種が一段と進み、日本での接種遅れが鮮明になった5月か
ら6月にかけては円が大きく売られ、ドル円は110円台から111円台まで買
われ、ユーロ円も134円台まで上昇するなど、「円全面安の展開」でした。
この時は、米長期金利は既にピークを付け低下傾向を示していましたが、それで
も円は売られ易い状況でした。
コロナワクチン接種はその後日本でも進んできましたが、それでも昨日政府が東
京都に4回目となる「緊急事態宣言」の発令を決めるなど、依然として欧米との
差は歴然です。結局ドルが売られたのは米長期金利の急低下が最大の要因である
と分析しています。それにしても、米国の利上げ開始時期を巡る議論が活発にな
る中、長期金利が1.25%を割り込む足元の状況がどのような意味合いを持つ
のか、理解に苦しむ筆者ですが、過去の経験から言えば、「市場は時として間違
うことがある」という、この言葉を前面に押し出して説明したいところですが、
どうでしょう?
昨日のレポートでも述べましたが、ECBは従来のインフレ目標である「2%を
下回るがそれに近い水準」から目標を引き上げることを決めました。
新たな物価目標は「中期で対称的な2%」とし、「一時的には上振れを容認する」
姿勢を明確にしました。
従来の物価目標は「文言があいまいすぎる」との指摘が政策委員会のメンバーか
らもあり、ラガルド総裁は会見で、「新原則はあいまいさを全て取り除くととも
に、2%は上限ではないと明確に伝えている」と説明しています。
また新戦略は、「情報開示やリスク評価、担保の枠組みや企業セクターの資産購
入といった分野の金融政策運営で、気候変動への考慮を加味する」としています。
今月22日の政策会合をもって新戦略の適用を開始することとし、次回の点検を
2025年に予定するとしました。
今回、新たな戦略に「気候変動」という文言を入れたことは、環境に厳しい欧州
の姿勢を如実に表していると受け止めています。
菅首相は昨日の夜7時から会見を行い、東京都と沖縄県に「緊急事態宣言」の適
用を行うこと発表しました。また同時に開催された、2週間後に開催される東京
オリンピック・パラリンピックの観客対応について、来日したバッハIOC会長
を含めた5者協議では、1都3県の全会場で無観客とすることを決めました。
開会式と閉会式が開かれる国立競技場も対象になるそうで、無観客開催による経
済的損出は2兆4133億円に上るとの試算(関西大学宮本勝浩名誉教授による)
もあるようです。
109円台半ばまで売られてきたドル円ですが、日足までの短期チャートでは全
て売りサインが点灯してきました。
従って、日足でさらに明確なネガティブなサインが点灯するかどうかが一つの焦
点になります。雲の下限は現在「109円30銭前後」にあることから、ざっく
り109円を割り込むようだと、今回の上昇トレンドも長い調整局面入りとなる
可能性があります。ただ移動平均線を見ると、日足では「200線」が最も下方
にあり、依然として「順目」に並んでいることから、まだ明確なトレンド転換は
確認できていないと判断しています。
本日のドル円は109円30銭~110円10銭程度を予想します。
- [2021/07/09 09:56]
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米長期金利一時1.3%を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は前日と同水準で推移。110円台半ばから後半で
取引され、FOMC議事録公表後やや円高に振れたが110円台
半ばは維持。
◆ユーロドルは1.18台を割りこみ、1.1782まで
ユーロ安が進む。ドイツの鉱工業生産が予想を下回ったことが
手掛かりに。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇。ナスダックは前日に続き
最高値を更新し、S&P500も最高値を塗り替える。
◆債券は続伸し、長期金利は一時1.3%を割り込み、1.29%台
まで低下。
◆金は5日続伸。原油は大幅に続落。
本日の注目イベント
◆日 5月貿易収支
◆日 5月国際収支
◆日 5月景気ウオッチャー調査
◆独 独5月貿易収支
◆独 独5月経常収支
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 5月消費者信用残高
6月15-16日に開催されたFOMC議事録が公表されました。
同会合では2023年までに利上げを見込むとするメンバーが18人中
13人に増え、2022年の利上げを予想するメンバーも7人に増える
など、一気にタカ派寄りになったこともあり、注目されていました。
議事録では「委員会が定める『一段と顕著な進展』の基準にはまだ達し
ていないと概して見なされたが、参加者は進展が続くと予想した」とあ
りました。「資産購入のペース減速を開始するための条件は、以前の会
合時に予想されていたよりも幾分か早く達成されるとの見通しを、幾人
かの参加者は示した」とあり、インフレについては、その要因となって
いる労働力不足と供給障害の解消にどの程度時間がかかるかについて、
委員会は強い不透明感があるとし、「労働市場とインフレの道筋につい
て確固たる結論を導き出すのは時期尚早だと、幾人かの参加者は強調し
た」となっています。
また、MBSの購入についても議論され、米国債よりもMBSを速いペ
ースで縮小させるかどうかについては意見が分かれたと記されていまし
た。(ブルームバーグ)
全体的に見ると、思ったほどタカ派的ではなく、資産購入縮小に対する
慎重な認識も示されたと受け止められ、株式と債券が買われ、ドル円は
ややドル売りが優勢な展開でした。
株式市場では主要3指数が揃って上昇し、ナスダックは小幅ながら連日
の最高値更新でした。債券も続伸し、長期金利は一時1.3%を割り込
み1.2946%まで低下しました。
この水準は2月中旬以来ということになり、金利低下がドル円の上値を
抑えた格好になっています。ただ、見方を変えれば、長期金利の急低下
の割にはドル円が底堅く推移しているとも言えます。
米長期金利は先月末には1.46%台でしたが、そこから19bpほど
低下しており、金利水準からすればドル円が110円を割り込んでいて
もおかしくはないといった印象があります。
7日に終了したECBの戦略を点検する特別会合で、政策委員会メンバ
ーはインフレ目標を2%に引き上げ、必要ならオーバーシュートの余地
を容認することで合意したと、事情に詳しい複数の当局者の話としてブ
ルームバーグが報じています。
ECBのこれまでのインフレ目標水準は「2%を下回るがそれに近い
水準」とされてきましたが、実際にはインフレ率が目標を何年も下回っ
ている状況でした。今回の決定は大きな転換点になる(ブルームバーグ
)可能性がありそうです。戦略転換の結果公表はフランクフルト時間8
日午後1時(日本時間同午後8時)の予定で、ラガルドECB総裁が2時
半から記者会見を開く予定です。
ドル円は上でも触れたように、健闘していると言えます。
これには、輸出企業が慌ててドル売り注文を持ち込まなくなったという
背景もあると見ています。
6月の日銀短観で明らかになった輸出企業の前提レート(社内レート)
は106円でした。現在の水準でも4円以上の「為替益」が見込まれ、
トヨタ自動車は1円の円安で400億円の為替益が発生すると言われて
います。単純計算で1800億円ですから、大変な利益です。
円安は日本企業にはプラスだと言われていますが、その割には株価の低
迷には目を見張るものがあります。今朝の経済紙の記事で4-6月の株
価の推移は、G20では最下位のトルコに次ぐパフォーマンスの悪さに
なっているようです。まだまだ「貯蓄から投資へ」という標語は、国民
の間には浸透していないと見られます。
本日のドル円は110円20銭~110円90銭程度といったところでしょうか。
- [2021/07/08 09:33]
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米長期金利急低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆米長期金利の急低下を受け、ドル円は110円52銭まで売られる。
NYダウが下げ幅を拡大する中、リスク回避の円買いが強まった。
◆ユーロドルはやや上値を切り下げる展開。独IFO景況指数が
予想を大きく下回り、ユーロの上値を重くした。
ユーロ円は130円台半ばまで売られ、約2週間ぶりの安値に。
◆株式市場ではISM非製造業景況指数が予想を下回り、景気回復が
遅れるとの見方が株価を押し下げた。ダウは208ドル下落したが、
長期金利の低下にナスダックは最高値を更新。
◆長期金利は急低下。1.4%を大きく割り込み、1.34%台まで低下し、
この日の最低水準で取引を終える。
◆金は4日続伸。原油は77ドル目前まで買われた後、下げ足を速める。
◆6月マークイットサービス業PMI(改定値) → 64.6
◆6月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 63.7
◆6月ISM非製造業景況指数 → 60.1
本日の注目イベント
◆日 5月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中 中国6月外貨準備高
◆独 独5月貿易収支
◆独 独5月鉱工業生産
◆米 FOMC議事録(6月15-16日分)
連休明けのNY市場では10年債利回りが急低下し、金利低下を受けドル円は11
0円52銭まで売られています。米10年債は節目の1.4%を大きく割り込み、
1.346%まで低下しました。これは2月23日以来となる低水準になります。
きっかけは、6月のISM非製造業景況指数の悪化でした。
6月は「60.1」と、市場予想を下回っただけではなく、2月以来の低水準でし
た。項目別では「雇用」が「49.3」(前月は55.3)と、拡大、縮小の境目
である「50」を割り込んだことが全体を押し下げたようです。ただ外食や宿泊、
旅行といったサービスへの需要は依然底堅いことが示されています。ISM非製造
業景況調査委員会のニエベス委員長は、「過去最高をつけた前月からやや衰えたが、
サービス業界はそれでも高い活動拡大ペースを維持している」と指摘し、「資材の
不足やインフレ、物流、人材に関する課題が事業環境への阻害要因であり続けてい
る」と説明しています。(ブルームバーグ)
確かに今回の結果は予想を下回ってはいますが、それでも総合指数は「60.1」
と高水準です。この結果だけで10年債が大きく買われ、金利がここまで下げたこ
とはやや理解に苦しみます。独DAXなど、欧州株が大きく下げたことも影響した
模様です。
中国政府は、データセキュリティや国際間のデータ移動、機密情報に関する規制を
改定し、国外で上場している同国企業への監督を強化すると声明で発表しました。
中国企業はNY証券取引所に新規公開するケースが多く、米調査会社によると、2
021年に入っての中国企業の新規公開件数は36件、調達額は125億ドル(約
1兆4000億円)にも上っています。(日経新聞)この発表を受けてアリババな
ど、中国企業の株価は軒並み売られています。先月公開した、中国配車アプリ最大
手の「ディディ」は一時25%安まで売られ、この日だけで約220億ドル(2.
4兆円)の時価総額が消失したと報じられています。今回の発表で、「米中の分断
が資本市場にまで及んできた」と日経新聞は伝えています。
昨日のNYではリスク回避の流れが強まったことからクロス円が総じて軟調でした。
豪ドル円は昨日、RBA(オーストラリア準備銀行)が金融政策会合で予想通り政
策金利据え置きを決め,一部で予想されていた債券購入の縮小についても、現行通
り11月半ばまで予定しているとの声明で84円台まで上昇しました。
その後のNYではドル円の下落に伴って、クロス円全般が売られたことで82円台
後半まで急落しています。オーストラリアでは最大都市のシドニーで新型コロナウ
イルス感染が再び拡大しているといった懸念材料はあるものの、景気回復は順調で
す。住宅市場にやや軟調な結果が出ていますが、住宅価格の高騰が続いたため「買
い控え」が起きていると見られ、これがどこまで続くのかを注視する必要がありま
す。
ドル円は110円台ミドルまで売られてきましたが、米長期金利の推移を基準に見
れば、やむを得ないところでしょう。
日足チャートでは「基準線」がサポートしている流れが続いており、この「基準線」
を割り込むのかどうかが一つのポイントになろうかと思います。もし明確に割り込
めば、約1カ月ぶりとなり、111円台半ばが再び「壁」になることも予想されま
す。111円63-65銭では「ダブルトップ」が形成されつつあります。
本日のドル円は110円20銭~110円90銭程度を予想します。
- [2021/07/07 09:26]
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6月米雇用者数は85万人の増加
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆雇用統計発表直後に111円65銭まで買われたドル円は
下落。FRBがテーパリングを早めるほどで
はないとの見方から
110円96銭まで売られる。
◆ユーロドルも一時1.1807まで売られたがその後反発。
1.1874前後まで買い戻された。
◆株式市場は3指数が揃って最高値を更新。S&P500は
7日連続で最高値を更新。
◆債券は続伸し、長期金利は1.42%台まで低下。
◆金は続伸し、原油は小幅に下落。
◆6月失業率 → 5.9%
◆6月非農業部門雇用者数 → 85.0万人
◆6月平均時給 (前月比) → 0.3%
◆6月平均時給 (前年比) → 3.6%
◆6月労働参加率 → 61.6%
◆5月貿易収支 → -712億ドル
◆5月製造業受注 → 1.7%
本日の注目イベント
◆豪 豪5月住宅建設許可件数
◆日 7月日銀地域経済報告(さくらリポート)
◆中 6月財新サービス業PMI
◆中 6月財新コンポジットPMI
◆独 独6月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月総合PMI(改定値)
◆米 NY市場休場(独立記念日の振り替え休日)
6月の米雇用統計では、注目された非農業部門雇用者数が「85.0万人」と、
市場予想の「72.0万人」を大きく上回り、前月から大幅に増加していまし
た。発表直後は、雇用の上振れを受けドル円は111円65銭まで、ユーロド
ルも1.1807近辺まで「ドル高」が進みましたが、直ぐに切り返し、ドル
円は111円割れまで売られました。失業率は「5.9%」と、予想より悪化
し、FRBがテーパリングを早めるほどではないとの見方が広がり、株と債券
が買われ、長期金利は1.42%台まで低下しました。
NY主要株価指数は3指数が揃って「最高値を更新」するなど、適温相場が継
続されています。NYのマーケットアナリストは、「6月の雇用統計は全体的
に力強さを増したが、インフレや引き締めに対する懸念を強めるほどではなか
った」とコメントし、金融当局が資産購入のテーパリングを性急に開始するこ
とはないとの見方につながりました。
ただFRBがテーパリング開始について議論を始めたのは事実で、その際に最
も懸念される材料になっていると見られる「労働市場の回復の遅れ」に明かり
が見えてきたのも事実です。
今回の結果だけではまだ判断できませんが、この傾向が続くようなら、年内、
あるいは来年早々のテーパリング開始も考えられます。
AP通信はサンフランシスコ連銀のデーリー総裁とのインタビューを2日に配
信し、その中で総裁は、「米経済が一段と自律的に機能し始めていると私は実
際に見ており、これは金融緩和策を若干縮小できることを意味する。もちろん、
大部分ではない。われわれはまだ完全雇用という目標に近くないからだ」と述
べ、多くのFRBメンバーの懸念を代弁しているような発言を行っています。
その上で総裁は、「われわれは債券購入のテーパリングの時期やペース、構成
について議論を開始する準備が出来ている。私はそれが適切だと思う」と語っ
ています。引き続き、7月、8月の雇用統計が最大の焦点になります。
バイデン大統領は7月4日の独立記念日の講演で、新型コロナウイルスとの闘
いが終わりにはまだ程遠く、全国民にワクチン接種を受けるよう促す方針のよ
うです。大統領は米国での新型コロナのパンデミック対応について、1月以降
に感染件数と死者数が90%減ったことなど、これまでの成果をたたえる一方、
60万人が死亡したことにも触れる予定です。
バイデン政権では7月4日の独立記念日までに成人の70%に1回の接種を受
けさせることを目標に掲げていましたが、成果は67%程度だと見られており、
さらなる接種を呼び掛ける方針です。
日本でも政府は、11日に期限の来る1都3県に適用中のまん延防措置を延長
する方針だと一部のメディアが伝えています。仮に1カ月延長を決めた場合、
23日に開幕し、8月8日に閉幕する東京オリンピック・パラリンピックの期
間中全てで適用されることになります。
ドル円はどうやら110円台を固めつつあるように思えます。
「適温相場」が大きく崩れない限り、110-112円のレンジ内での動きを
想定していますが、今週は雇用統計も終わり、やや材料難と言えるかもしれま
せん。
本日のドル円は110円80銭~111円50銭程度を予想します。
明日は独立記念日の振り替え日で、NY市場は休場となるため「アナリストレ
ポート」はお休みとさせていただきます。
- [2021/07/05 09:19]
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ドル円昨年3月26日以来の111円台半ば超え
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸し、2020年3月26日以来となる111円
64銭まで上昇。米長期金利は低下したものの、ポンドドルで
ドル高が進んだことが影響した。
◆ユーロドルでもドル高が進んだが、小幅に留まる。1.1841まで
ユーロが売られたものの、さらに下値を試す動きにつながらず。
◆BOEのベイリー総裁は、一時的なインフレの加速には過剰反応
すべきではないと発言。ポンドドルは1.38台前半から
1.3760近辺まで下落。
◆債券は続伸。長期金利は1.43%台へと低下。
◆金は続伸。原油も大幅に続伸し、一時は76ドル台に乗せる。
引け値は75ドル前半まで下げたが、OPECプラスでは減産で合意
したものの、UAEが反対するなど、先行きは不透明。
◆新規失業保険申請件数 → 36.4万件
◆6月ISM製造業景況指数 → 60.6
◆6月マークイット製造業PMI(改定値) → 62.1
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏5月生産者物価指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 6月雇用統計
◆米 5月貿易収支
◆米 5月製造業受注
◆加 カナダ5月貿易収支
◆加 カナダ5月住宅建設許可件数
堅調に推移しているドル円はNY市場でさらに上値を伸ばし、111円64銭
までドル高が進みました。これは2020年3月26日以来のドル高水準です。
NY市場では債券が買われ、長期金利も低下し、さらにドルと逆相関の動きを
見せることの多い金(きん)も買われた中での「ドル高・円安」でした。ポン
ドドルで「ドル高・ポンド安」が進み、その影響を受けた格好です。
BOEのベイリー総裁はロンドンでの講演で、政策当局は一時的なインフレ高
進に過剰反応すべきではないと述べ、BOEが近く引き締めに動くとの観測が
打ち消されたことで、ポンドが売られました。
総裁は、「最近のインフレ加速の一部は、前年の物価水準が低いことによるベ
ース効果および、新型コロナウイルス対策の行動制限の緩和に伴う需給ひっ迫
によるものであり、こうした影響は長続きしないはずだ」と指摘しました。
さらに、「現時点では金融環境の早すぎるタイト化によって回復が損なわれな
いことが重要だ」と続けています。(ブルームバーグ)
こうした発言が、BOEが2%を超えるインフレ率を容認するとの観測を強め
たようです。英国の直近のCPIは前年同月比で「2.1%」、コア指数でも
「2.0%」と、高水準で推移しており、市場では金融正常化への期待も膨ら
んでいました。ベイリー総裁の発言は、FRBにとっても心強い援軍で、発言
内容はパウエル議長の考えと一致しているように受け止められます。
もっともドル円が続伸した背景には、米景気の堅調な回復を示す指標の影響も
あったと見られます。昨日発表された新規失業保険申請件数は「36.4万件
」と市場予想を下回り、新型コロナウイルス感染がパンデミックとなって以降
の最小件数を更新しました。
申請件数が減少したということは、裏を返せばそれだけ職に就いた人が多いと
いうことになり、今夜発表の雇用統計にも期待が膨らみます。
ただ今夜の数字は、6月12日を含む1週間の数字で速報値です。その週では
失業保険申請件数(41.8万件)はまだそれほど減少していなかったことも
あり、影響が出るとしても来月あたりからの可能性もあるため注意は必要です。
ISM製造業景況感指数も昨日発表されました。
6月の総合指数はやや鈍化していましたが、堅調なペースの拡大は維持してい
ます。仕入れ価格指数が急上昇し、「92.1」と、約42年ぶりの高水準だ
った一方、雇用指数は「49.9」と、今年の最小となっています。製造業で
は人手不足が依然として続いていると見られます。
今夜発表の6月雇用統計では、非農業部門雇用者数が「72万人」と、これま
での「70万人」からさらに増加していると、予想が「上方修正」されていま
す。市場予想通りなら3月以来の大きな伸びとなりますが、4月、5月の数字
はいずれも予想を下回り、市場はやや暗い雰囲気に包まれました。そのため、
「警戒ムードは漂っており、慎重ながらも楽観的だ」とブルームバーグは伝え
ています。テーパリング開始観測が一気に強まるのか結果が気になるところで
すが、仮に予想を上振れするようだと、株と債券が売られ、金利上昇に伴いド
ル円は112円を試す展開も予想されます。もちろん、予想を下回ればその逆
の動きになりますが、それでもドル円が大きく売られる可能性はそれほど高
くはないと見ています。もし112円をテストするような展開になれば、いよ
いよ「月足」の雲の上限が近くなってきます。
本日のドル円は111円~112円といったところでしょうか。
- [2021/07/02 09:40]
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ドル円再び111円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は111円台を回復し、111円12銭まで上昇。
米金利の低下から110円台半ばまで売られたが、そこから
切り返し、先月24日に記録した水準まで買われる。
◆ユーロドルは続落。1.1845まで売られ、4月26日以来となる
ユーロ安を示現。
◆株式市場はまちまち。S&P500は小幅ながらこの日も上昇し、
5日連続で最高値を更新。ダウは210ドル上昇し、3万4500ドル
台を回復。
◆債券は朝方には買われ、長期金利は1.43%台まで低下したが、
その後売られる。長期金利は1.46%台まで反発し、前日と同水準に。
◆金は反発し、原油は続伸。
◆6月ADP雇用者数 → 69.2万人
◆6月シカゴ購買部協会景気指数 → 66.1
◆5月中古住宅販売成約件数 → 8.0%
本日の注目イベント
◆豪 豪5月貿易収支
◆日 4-6月期月日銀短観
◆中 6月財新製造業PMI
◆中 中国共産党創建100周年記念日
◆独 独6月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏5月失業率
◆英 ベイリー・BOE総裁講演
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 6月ISM製造業景況指数
◆米 6月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米 6月自動車販売台数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加
ドル円は底堅い動きを見せ、再び111円台に乗せています。先月24日に付けた
111円12銭まで上昇し、そのままこの日の高値圏で取り引きを終えました。特
段目立ったドル買い材料は見当たらなかったものの、「月末要因と、テクニカルか
らドルが買われた」との説明ですが、要はドル高の流れが継続しているということ
です。ユーロドルでも「ドル高・ユーロ安」が進み、ユーロドルは1.1845ま
で下落。こちらは4月6日以来となるユーロ安水準です。ドル円はどうやら110
円台を固めたようにも思えます。このまま111円台を維持し、さらに一段の上昇
を見せるかどうかは、明日の雇用統計次第というところはありますが、主要通貨が
足並みを揃えて「ドル高」を鮮明に映し出して来ており、特にユーロドルが1.1
8台半ばまで売られ、1.20台が徐々に遠くなって来たことが一つの「支え」に
なりそうなイメージです。
今日から7月です。今年もちょうど半分が終わったことになりますが、今年の前半
を振り返ってみると、ドル安で始まり、ドル高で終わったことになります。1月6
日には102円59銭までドルが売られ、昨日6月30日には111円12銭まで
ドルが買われました。ほぼ今年の年初にドルの底値を記録し、6月末には今年のド
ルの最高値を記録したことになります。結局今年前半は上げ下げを繰り返しながら
も、終始ドル高が続いたということです。
ADP雇用者数は市場予想を若干上回る「69.2万人」でした。
部門別ではサービス部門の雇用が62万4000人増加しています。今回の新型コ
ロナウイルスのパンデミックで最も被害を受けた娯楽・ホスピタリティー分野での
さらなる雇用増加が引き続き進んでいることを今回の統計は示唆しており、明日の
雇用全体を押し上げるとの見方も浮上しています。ただ気を付けたいのは、繰り返
しになりますが、ADP雇用者数と、明日の雇用統計は明確な相関関係はありませ
ん。
アトランタ連銀のボスティック総裁は講演で、「雇用の回復にはしばらく時間がか
かるだろう」と述べ、インフレについては、制御不能なほど高進していないとしつ
つ、「注意を払う必要がある」との認識を示しました。
またダラス連銀のカプラン総裁もブルームバーグ・テレビジョンとのインタビュー
で、テーパリングについて、「市場に周知させたい。FOMCや公にも行われてい
るこのテーパリング議論は良いものだと考えている」と語り、「そうした調整が近
く行われると市場に認識させることになる。ここで唯一問題になるのはその時期だ」
と述べました。誰しもが知りたいその「時期」でしたが、カプラン総裁は「sooner
or later」(遅かれ、早かれ)と述べるに留まり、明言を避けました。その上で、
2013年の「テーパー・タントラム」(資産購入縮小に伴う市場のかんしゃく)
は避けるべきだと述べています。いずれもテーパリングは近い将来行われることか
ら、投資家はその準備を怠らず、混乱を避けるよう促した発言と捉えることが出来
ます。「最もタカ派的」な市場予想は、今月のFOMCでテーパリングを示唆し、
8月のジャクソンホールで正式にテーパリングを宣言し、11月に開始するという
ものですが、筆者は個人的に組みしません。労働市場の回復を少なくとも2~3回
ほど確認し、手ごたえを得た上でテーパリングを宣言すると予想し、早くても12
月。労働市場の状況によっては2022年になる可能性もあるのではないかと考え
ています。もっとも、明日の雇用統計が上振れするようだと、テーパリング開始議
論が一気に熱を帯び、先走ることもないとは言えませんが。
本日のドル円は110円80銭~111円50銭程度を予想します。
- [2021/07/01 09:27]
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