fc2ブログ

米長期金利再び低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ジャクソンホールを終えてやや材料不足の中、ドル円は
109円台後半で小動き。
◆ユーロドルも前日と同じ水準で推移。1.18台を巡る
攻防が続く。
◆株式市場はまちまちながら、ハイテク株がしっかり。
ダウは反落したものの、ナスダックとS&P500は
連日で最高値を更新。
◆債券は続伸。長期金利は1.27%台へと低下。
◆金は3日ぶりに下落。原油はハリケーン「アイダ」の
影響もあり続伸。69ドル台に乗せる。

◆7月中古住宅販売成約件数  → -1.8% 

本日の注目イベント

◆豪   豪4-6月期経常収支
◆豪   豪7月住宅建設許可件数
◆日   7月失業率
◆日   7月鉱工業生産
◆中   8月中国製造業PMI
◆中   8月中国サービス業PMI
◆独   独8月失業率
◆欧   ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   6月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   6月FHFA住宅価格指数
◆米   8月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   8月消費者信頼感指数
◆米   米軍、アフガニスタン撤退期限

先週末のパウエル議長のやや穏健な発言を受け、市場ではドルが売られ、利上げ
は急がないとの見方から債券と株価が上昇しています。併せて金利の付かない金
(きん)も上昇し、WTI原油価格も上昇し、昨日は69ドル台に乗せて取引を
終えています。もっとも、こちらの方はハリケーン「アイダ」の影響が大きく、
「アイダ」は米南部ルイジアナ州に上陸し、同地域では火災が多数発生している
ほか、100万人以上が停電に見舞われています。その後ハリケーンは熱帯低気
圧に勢力を弱めたようです。
「アイダ」は「カテゴリー4」と、5段階で2番目に強いハリケーンで、偶然で
しょうが、16年前の同じ日にハリケーン「カトリーナ」が同州に上陸し、米史
上最大級の被害をもたらしました。筆者も本欄でハリケーン「カトリーナ」に関
するコメントを載せた記憶が蘇ってきました。
今回のハリケーン「アイダ」のよる保険業界の損出額は、少なくとも150億ド
ル(約1兆6500億円)に上る可能性があるとブルームバーグは伝えています。

元リッチモンド連銀総裁のラッカー氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタ
ビューで、パウエル議長はインフレが手に負えなくなるリスクを抱えていると指
摘しています。ラッカー氏はインタビューで、「金融当局は困難な状況に置かれ
ていると、私は思う。このインフレ高進で当局が抱える危険は、それが根強く続
くことだ。6カ月ベースのインフレは1983年以降に見られたものを上回って
いる」と述べ、さらに、「1980年代初めにインフレ率を低下させるべく取り
組んだが、それには極めて大きな痛みを伴った。よって、そうした経験を持つ当
局者は時とともにより予防的な政策を主張するようになった」とした上で、「金
融当局は戦略に関して昨年発表した文書で、そうした予防策から遠ざかってしま
った」と指摘しました。
ラッカー氏は現在バージニア・コモンウェルス大学で教授を務めているそうです。

米中央軍のマッケンジー司令官は米国時間30日午後、「アフガンからの撤収完
了と、米国民や第三国の国民、脆弱な立場のアフガン人の退避の軍事的ミッショ
ンを終了する」と発表しました。その後、「要員を乗せた最後の飛行機が現在、
アフガン上空を飛行中だ」と続けています。
アフガニスタンではこの日も、米軍が自爆テロリストが爆弾を輸送していると見
られる車をドローンで攻撃し、子供を含む市民も犠牲になっています。
これで米国はアフガニスタンの正常化への軍事支援は終了しますが、米国ならび
に米国人に対するテロには攻撃の手を緩めるつもりはないようです。
タリバンに実質的に支配されたアフガニスタンですが、そのタリバンと敵対する
過激派イスラム国(IS)との間でも戦闘が繰り返されることが予想され、多く
のアフガン国民が国外への脱失を試みている状況です。アフガンの平和は当分望
めそうもありません。

昨日も述べましたが、短期的にはドルの上値が重い展開を予想しています。
ジャクソンホール前には1.35%近辺まで上昇した米長期金利は、足元では1
.27%台まで低下しています。金利が低下した割にはドルが底堅い動きを見せ
てはいますが、109円50銭前後を割り込むとドル売りが加速してくる可能性
もありそうです。
今朝の経済紙は投機筋のドル買いポジションが約91億ドル(約1兆円)に膨ら
んでおり、1年半ぶりの高水準になっていると報じています。
FRBによるテーパリング開始に伴い、ドルが上昇することを見越してポジショ
ンを作っていると見られます。109円を明確に割り込むと、そういったポジシ
ョンも損切を迫られ、ドル下落に拍車をかける状況も考えられます。
ただ一方で、早ければ年内にもテーパリングが開始される可能性もくすぶってお
り、ドルが大きく値を下げる可能性は少ないといった見方もできます。先ずは、
今週末の雇用統計を見極めたいところです。

本日のドル円は109円50銭~110円20銭程度を予想します。


スポンサーサイト



パウエル議長、年内縮小が適切との認識を示す 

続きを読む

ジャクソンホールを控え、タカ派発言相次ぐ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円台前半で底堅く推移しながらも神経質な
展開に。ジャクソンホールを控え、FOMCメンバーからは
タカ派寄りの発言が相次いだこともドルの支えに。
◆ユーロドルは1.17台半ばを中心に小動き。
◆株式市場は3指数が揃って反落。このところ上昇が
続いたが、アフガニスタンでの爆発を受け利益確定の売りが
優勢となる。
◆債券相場は小幅に続落。長期金利は1.35%近辺まで上昇。
◆金は反発し、原油は反落。

◆新規失業保険申請件数      → 35.3万件
◆4-6月GDP(改定値)    → 6.6%
 
本日の注目イベント

◆豪   豪7月小売売上高
◆日  8月東京都区部消費者物価指数
◆中   中国7月工業生産
◆米   7月個人所得
◆米   7月個人支出
◆米   7月PCEコアデフレータ
◆米   8月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   カンザスシティー連銀主催年次シンポジュウムで
     パウル議長が講演

パウエル議長は、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジュウムで昨年に
続きオンライン形式で日本時間午後11時に講演を行います。物価上昇が続
き、懸念材料であった労働市場にも改善傾向の兆しが見える中、テーパリン
グ開始が適切かどうかについてメッセージを送ってくるものと思われますが
、一方で足元ではデルタ変異株の感染拡大が急速に高まっており、今後長引
くようだと景気への影響も予想されます。どのような判断を下すのか世界中
が注目しています。ブルームバーグは「年内のテーパリング開始が恐らく適
切となるであろうとのメッセージを補強するものと見込まれる」と、今朝の
配信で報じています。

パウエル議長の講演を前に、テーパリングの早期開始を主張する発言が相次
ぎました。「超タカ派」と見られる、セントルイス連銀のブラード総裁はC
NBCとのインタビューで、「米国は好景気に沸いており、現時点での一段
の刺激策は恐らく必要ない」と発言し、「テーパリングを着手する必要があ
る」と述べました。その上で、来年第1四半期(1-3月)末までのテーパ
リング終了を支持するとあらためて表明し、それによってゼロからの金利引
き上げを決定する時期に関して「選択制」が広がると主張しています。
またダラス連銀のカプラン総裁も同じくCNBCとのインタビューで、「現
時点で把握できる状況に基づき、この見通しを大きく変更せざるを得ないよ
うな事象は見受けられない」と発言。「9月会合までの数週間、このことを
注視し続ける。9月会合の時点で資産購入を調整する計画を発表する状況が
十分に整い、10月かそのすぐ後に実行に移せるとみているが、これからの
注視後にこの見解は変わりないだろう」と述べました。
さらにカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「新型コロナウイルスのデ
ルタ変異株が米経済見通しと雇用の拡大にとってリスクだとしても、政策当
局者は資産購入ペースを落とす行動の『スタートを切る』必要がある」との
認識を示しました。そして、「われわれがこれまで目にした進捗を考えれば
、そのような調整に着手する時期だという私自身の計算が変わるとは考えな
い」と語っています。

昨日はFOMCメンバー以外からも発言があり、世界最大のヘッジファンド
である米ブリッジウォーター・アソシエーツのジェンセン共同最高投資責任
者(CIO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「経済が金
融当局に行動を迫るだろう。インフレは当局の目標を大きく上回っている状
況だ。当局が行動しないなら、インフレは加速を続けると考えている」と述
べています。
このように、テーパリング開始が適切との発言が相次ぎ、パウエル議長も「
外堀が埋められた」ような状況になってきましたが、特にジョージ総裁の発
言は、デルタ変異株の感染拡大が続いていることを認識しながらも、それで
もテーパリング開始が適切と述べている点が印象的です。
やや注意が必要なのは、上記3地区連銀総裁はいずれも本年度のFOMCで
の投票権は持っていません。

アフガニスタンの首都カブールの国際空港近くで2回の爆発があり、米兵1
2人とアフガニスタン人少なくとも60人が死亡し、多数の負傷者がでまし
た。米国防総省は恐らく過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行との見解
を示しています。
バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、「この攻撃を実行した者と
米国の不幸を願う者にこう告げる。われわれは許さないし、忘れない。必ず
見つけ出し、報いを受けさせる」と語り、この爆発はIS系組織「イスラム
国コラサン(ISIS-K)」の過激派の仕業である可能性が高いと情報機
関が結論を下したと説明しました。

米株価が下げ、長期金利はじわじわと上昇傾向を見せ、さらにドル円は11
0円台前後で推移しています。
上でも述べたように、テーパリング開始が適切との発言がパウエル議長から
も出て来ることを想定したような動きを感じさせますが、慎重なパウエル氏
がどのような言い回しをするのか、この夏最後の重要イベントです。
パウエル氏自身、この難局を混乱なく政策変更へと移行できれば、来年2月
の任期満了以降も、「再任」という形で評価されるはずです。

本日のドル円はややワイドに、109円50銭~110円50銭程度とした
いと思います。


ナスダック初の1万5000台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は欧州からNYにかけてジリ安となり、NYでは
109円42銭まで売られる。米長期金利の上昇もこの日は
ドルの支えにならず、やや上値を切り下げる。
◆ユーロドルは小幅に続伸。ドイツのGDP改定値が上方修正された
こともあり、1.1765までユーロが買い戻される。
◆株式市場ではナスダックが連日で最高値を更新し、初の1万
5000ポイント台に乗せる。S&P500も最高値を更新。
◆債券相場は軟調な展開となり、長期金利は1.29%台に上昇。
◆金と原油は続伸。

◆7月新築住宅販売件数           →  70万8千戸
◆8月リッチモンド連銀製造景況業指数    →  9

本日の注目イベント

◆日  6月景気一致指数
◆独   独8月ifo景況感指数
◆米   7月耐久財受注

投資家の資金が再びNY株式市場に向かっているようです。
今週末にジャクソンホールでのパウエル議長による講演を控え、発言内容によっては
急激にリスクが高まる可能性もある中、昨日のNY株式市場ではアマゾンなどIT銘
柄に資金が集まり、ナスダック指数は連日で最高値を更新しました。引け値でも初と
なる1万5000ポイントの大台に乗せています。他の株価指数も上昇し、先週まで
の調整気分は終わったような雰囲気です。ドル円はやや上値を切り下げる展開でした
が、WTI原油価格が連日で上昇していることから、資源国通貨が買われドルが売ら
れる展開でした。

ジャクソンホールでのパウエル議長の講演ではテーパリング開始に関する手掛かりを
得ようと、投資家の耳目が集まりますが、基本的には慎重姿勢を貫くパウエル議長は
余りヒントを与えない可能性もありそうです。
公開された7月のFOMC議事録の内容や、これまでのFOMCメンバーの講演での
発言を総合すれば、来月9月の会合でのテーパリング示唆はないとしても、11月の
会合での示唆と2022年開始のシナリオは動かしがたいところ。
多くの機関投資家も「そのシナリオ」に沿ったポジションを構築しているものと思わ
れます。こうなると最大のリスクは「テーパリング開始が遠のいた」場合です。
ダラス連銀のカプラン総裁は先週20日の講演で、「新型コロナウイルスのデルタ変
異株の感染拡大が長期化し、経済の進展に悪影響を及ぼすようであれば、資産購入の
テーパリングを早めに開始すべきだという自身の見解を『調整』する可能性を否定し
ない」と述べています。ブルームバーグによると、カプラン総裁は今年のFOMCで
投票権を持たないが、FOMCメンバーの中では『タカ派』に位置付けられており、
それだけに市場が受け流すことが出来る発言ではないと報じています。
やはりカギとなるのはデルタ変異株の感染がどこまで拡大するのかという点ですが、
専門家でも予想がつかない難しい問題でもあります。
パウエル議長もこの辺りの不透明さを前面に出して「テーパリングの開始は時期尚早
だ」といった発言をするようだと、株価が急騰し、金利が低下。ドル円は109円を
割り込むドル安に振れることも、可能性は低いもののないとは言えません。
昨日までのNY株の上昇が、この辺りを嗅ぎ取っての動きと見るのは、穿ち過ぎでし
ょうか?

バイデン大統領は、アフガニスタンの首都カブールの空港からの米国人らの撤退につ
いて、バーチャル形式で行われたG7では各国が8月31日の撤退期限の延長を要請
しましたが、当初設定した期限を堅持することを決めたようです。
米軍がイスラム過激派グループなどからテロ攻撃を受ける可能性といった安全保障上
のリスクを踏まえ、米国防総省がバイデン大統領に対して撤退期限をあくまで維持す
るよう提言したことを受け入れた形です。またワシントンポスト紙は、バーンズ米中
央情報局(CIA)長官が、アフガニスタンの首都カブールで23日に、タリバンの
事実上の指導者アブドゥル・ガニ・バラダル師と秘密会談を行っていたと報じていま
す。
タリバンの報道官は記者会見で、「空港は現在閉鎖されている。アフガニスタン人が
空港に行くことは認められておらず、外国人だけが許される」と述べています。

大きな値動きはないものの、神経質な展開が続いている為替市場ですが、上述のよう
に、メインシナリオは11月のFOMCでテーパリングを示唆し、2022年から開
始するといったものに近いと思いますが、パウエル議長がどのような見解を示すのか
、当日にならないと分かりません。過度のリスクは避けたいところです。

本日のドル円は109円30銭~110円10銭程度を予想します。


WTI原油価格3ドルを超える反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州市場から堅調に推移したドル円はNYの朝方には
110円13銭まで買われたが、そこを天井にじり安に。
◆ユーロドルは反発。8月のユーロ圏サービス業PMIが
引き続き拡大していることを好感。1.17台半ばまで
ユーロが買われる。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高に。ナスダックは227
ポイント上昇し、今月5日以来となる最高値更新。
◆債券は横ばい。長期金利はほぼ変わらず1.25%台で推移。
◆金は大幅に続伸し1800ドル台を回復。原油も8日ぶりに大きく上昇。

◆8月マークイット製造業PMI(速報値)       →  61.2
◆8月マークイットサービス業PMI(速報値)     →  55.2
◆8月マークイットコンポジットPMI(速報値)    →  55.4
◆7月中古住宅販売件数                →  599万戸
 
本日の注目イベント

◆独   独4-6月期GDP(改定値)
◆米   7月新築住宅販売件数
◆米   8月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   キャシー・ホークル氏NY州知事に就任
◆米   G7首脳会議(オンライン)

ドル円は欧州市場からNY市場にかけて再び110円台に乗せる場面も
ありましたが、今回も110円台は維持できず、109円台後半に押し
戻される展開でした。これまでにもこの種の動きは何回も繰り返されて
きており、109円台で仕込んだものは110円台のどこかで手放すと
いったオペレーションが機能しているようです。
今週末のジャクソンホールまではこのパターンが崩れそうもありません
が、そろそろ身構えておく必要はあるかもしれません。
NY株式市場は再び強気に転じたのか、3指数が揃って上昇し、ナスダ
ックは約20日ぶりに最高値を更新し、初の1万5000ポイントが射
程圏内に入ってきました。一方債券相場の方は不気味なほど小動きで、
「嵐の前の静けさ」といった状況です。

アフガニスタン情勢を巡り、イギリスのジョンソン首相はオンライン緊
急会合をG7首脳に呼び掛けています。同首相はバイデン大統領に対し、
アフガンからより多くの人を安全に退避させるべく米軍撤退を遅らせる
よう促す意向だとブルームバーグは伝えています。
これに対してタリバンは、米国が軍撤退期限の8月31日を過ぎて延長
すれば、「相応の結果」を招くと警告しています。
カブール国際空港には国外に脱出しようとする人が多く集まり、一部で
はタリバンによる銃での死者も出ていると伝えられています。
タリバンがアフガニスタンを掌握した際に発出したバイデン大統領のコ
メントでは批判も多く、バイデン氏もここで計画通り軍の撤退を実行す
るわけにもいかない状況です。
またタリバンに対する武装勢力も根強く存在することから、アフガニス
タンの混乱は当面続くと見られています。

米食品医薬品局(FDA)は、米ファイザーと独ビオンテックが共同開
発した新型コロナワクチンを正式に承認しました。
FDAは23日付け資料で、新型コロナウイルス感染症の予防のため同
ワクチンを16歳以上に投与することを承認すると発表しました。商品
名は「コミナティ」となるようです。
この発表を受けファイザー株は大きく上昇したようですが、同社はまた、
がん免疫治療薬を手掛ける米トリリウム・セラピューティクス社を22
億6000万ドル(約2480億円)で買収することを発表しています。

ペロシ下院議長は23日、下院民主党議員の会合を開き、バイデン大統
領の総額4兆1000億ドル(約450兆円)に上る経済対策を、早急
に議会を通過させるよう求めました。
民主党内では、進歩派と穏健派が3兆5000億ドル規模の予算決議案
と5500億ドル規模の超党派のインフラ包括案を巡り優先順位で、立
場を異にしています。
ペロシ議長は「議会で民主党が多数派を占めるという状況を無駄にして
はならない」と訴えています。(ブルームバーグ)

ドル円は日足の「120日移動平均線」が上手く機能し、これがサポー
トになっていますが、「先行スパン1」と「先行スパン2」で構成する
「雲」が「抵抗帯」を形成していることから、まだ上昇するには日柄が
必要かもしれません。110円30銭をしっかりと超えることができれ
ば、上昇に弾みが付く可能性もあると見ていますが、上でも述べたよう
に足元では一進一退の展開が続いています。

本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度と見ています。


ユーロドル1.16台半ばへ続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はやや値を戻したが、109円台半ばから後半で
小動き。長期金利が若干上昇したことで109円87銭まで
ドルが買われる。
◆ユーロドルは引き続きユーロ売りが勝り、1.1664
までユーロ安が進む。ユーロは対円でも一時128円を
割りこむ。
◆株式市場は3指数とも揃って上昇。ダウは4日ぶりに225ドル
の上昇。
◆債券は反落。長期金利は1.25%台へ上昇。
◆金は小幅に反発。原油は7日続落し、62ドル台に。

本日の注目イベント

◆独   独6月製造業PMI(速報値)
◆独   独8月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
◆英   英8月製造業PMI(速報値)
◆英   英8月サービス業PMI(速報値)
◆米   8月マークイット製造業PMI(速報値)
◆米   8月マークイットサービス業PMI(速報値)
◆米   8月マークイットコンポジットPMI(速報値)
◆米   7月中古住宅販売件数

ドル円は109円台半ばから後半で推移し、110円を挟むもみ合いに終始。
膠着状態が続いています。一方、ユーロドルは「ドル買い・ユーロ売り」がじ
わじわと進み、先週末のNYでは1.1664まで売られています。米長期金
利はやや上昇に転じましたが、依然として予想外の低水準に留まっています。
米国でもデルタ変異株の感染拡大が続いており、特にフロリダ州などでの感染
が著しく、21日には米国全体での死者数は1000人を超え、今年3月以来
の高水準になっています。株式市場では、デルタ株の感染拡大が景気へも影響
を与える可能性があるとの見方も出て、先週は概ね、利益確定の売りに押され
下落傾向でした。もっとも、ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を控え
、利益確定の売りが出易い状況であったことも事実です。

その「ジャクソンホール会議」が新型コロナウイルスの感染が再拡大している
ことを理由に、オンライン方式に切り替わりました。主催するカンザスシティ
ー連銀は20日、当初対面方式を予定していましたが、参加者の健康上のリス
クが高まっているとして急遽オンライン方式に変えることを発表しました。
同連銀のジョージ総裁は、「予定していたように対面で集まれないことは残念
だが、出席者と地域の安全を最優先する」との声明を出しています。また当初
予定されていた26-28日の日程も27日に限るとしています。
パウエル議長の講演は東部時間27日午前10時(日本時間同午後11時)か
ら行う予定です。7月のFOMC議事録では「多くの参加者が年内のテーパリ
ング開始が適切」との議論があったことが明らかになり、パウエル議長の講演
内容が極めて重要になっています。

FOMCは年内9月、11月、12月と、あと3回を残すのみです。
12月については、年末ということもあり、また多くの米企業が「12月決算
」ということもあるため、一般的には「政策変更は行いにくい」と言われてい
ます。そうなると、9月か11月のテーパリング開始宣言が最も可能性が高い
と見られます。もちろん上述のように、足元ではデルタ株の感染が猛威を振る
っており、いましばらくはその行方を見守るという選択肢もあろうかと思いま
す。また労働市場の確実な回復を確認するには8月の雇用統計の結果だけでは
なく、9月分も確認したいという考えもありそうです。
あと2回の雇用統計の結果を確認するという意味で、筆者は11月のFOMC
でのテーパリング開始宣言を支持する次第です。
この辺りの状況を、パウエル議長がどのように説明するのか、世界中が注目し
ています。

イエレン財務長官は、次期FRB議長にパウエル議長の再任を支持する考えを
ホワイトハウスのシニア・アドバイザーに伝えました。
パウエル議長の任期は来年2月に迫っており、バイデン大統領は9月6日のレ
ーバーデー前後には決定すると見られています。
すでにブレイナードFRB理事の名前も候補に挙がっていますが、バイデン大
統領に信任の厚いイエレン長官がパウエル議長再任に支持を表明したことは、
議長人事に大きな影響を与えると見られます。
パウエル議長の再任には議会の承認が必要となりますが、多くの民主党議員は
パウエル氏を評価している一方、ブラウン、ウォーレン両上院議員は、金融規
制を巡るパウエル氏の対応を批判しており、必ずしも民主党が一枚岩ではない
状況です。

昨日の横浜市長選で、野党系の山中氏が勝利しました。
菅首相のおひざ元での選挙とういうこともあり、当初から相当注目度が高い中
での選挙でしたが、山中氏が他の7人の候補を破って当選しています。
衆議院選挙を前にしての与党候補の敗北で、菅政権への打撃は小さくはないよ
うです。今後、政局という新たなリスクが発生し、これが低迷している株価に
追い打ちをかける可能性があります。
為替への影響はほとんどないと思いますが、自民党総裁が誰になるのかという
点と、その先の衆院選挙の結果次第では為替にも影響がありそうです。

本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度を予想します。


WTI原油価格6日続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場昼頃に110円23銭前後まで買われたドル円は
その後軟調な展開となり、欧州市場では109円台半ばまで下落。
NYではやや買い戻されたものの、従来のレンジを抜け切れない
展開が続く。
◆ユーロドルは続落。1.1673までユーロ安が進む場面も
あり、前日の安値を更新。
◆株式市場はまちまち。ダウは3日続落したものの、ナスダックと
S&P500は反発。
◆債券相場は続伸。長期金利は1.24%台へと低下。
◆金は3日続落。原油はさらに売られ63ドル台で引ける。

◆新規失業保険申請件数             →  34.8万件
◆8月フィラデルフィア連銀景況指数       →  19.4
◆7月景気先行指標総合指数           →  0.9%

本日の注目イベント

◆日  7月消費者物価指数
◆独   独7月生産者物価指数
◆英   英7月小売売上高
◆加   カナダ7月小売売上高
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁講演

昨日の東京市場の午前中は底堅い動きを見せたドル円でしたが、欧州時間
の朝方には再び109円台半ばまで売られ、109円~110円台後半の
「岩盤レンジ」は今回も機能しています。東京時間には110円23銭前
後まで上昇する場面もあり、やや上昇機運が高まったものの、結局押し戻
されています。
一方ユーロドルでは「ドル高・ユーロ安」の流れが継続しており、昨日の
NYでは1.1673までユーロ安が進みました。
こちらはやはり、「1.1704」というこれまで機能していた強いサポ
ートを割り込んだという事実が、市場心理をさらにユーロ安に傾けた結果
ではないかと思います。
ドル円で円が買い戻され、ユーロドルでユーロが売られたことで、ユーロ
円は128円台前半まで下げ、約半年ぶりの安値を記録しています。

WTI原油価格の下げ基調が続いています。
昨日も一時は62ドル台まで売られ、引け値では63ドル台でしたが、前
日比1ドル77セント安、率にして2.7%も下げました。6月には77
ドル台まで買われた原油でしたが、デルタ変異株の感染が世界中で拡大し
ており、景気の減速から原油需要が減るといった見方が主因です。ただテ
クニカルでもこの77ドル前後という水準は、これまでにも「天井」を付
けてきた経緯があります。
2018年4月と10月にはいずれも、75-77ドルの水準を抜けずに
反落し、今回で3度目となります。原油や金(きん)も通貨と同様、投資
対象になるため、足元では原油と金が売られ、ドルが買われている状況と
も言えます。

発表された新規失業保険申請件数は4週連続の減少でした。
「34.8万件」と、前週比2万9000件の減少で、景気回復に伴い、
労働市場の状況が改善しつつあることを示唆しています。また失業保険の
継続受給者数も280万人に減少し、コロナ禍の最低水準になっています
。失業保険申請件数の減少の理由の一つである、手厚い「上乗せ給付金」
に関してバイデン大統領は、予定通り失効させることが「適切」だと指摘
し、その上で新型コロナウイルスのデルタ変異株が広がっている状況を踏
まえて、同給付金の失効後も州・地方政府がコロナア関連の救済資金を活
用して支援を続けることは可能だとの見解を示しています。(ブルームバ
ーグ)

7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り10
0万人に近い増加を見せました。
ウオラー・FRB理事は先の講演で、「6日発表の雇用統計、翌月の雇用
統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」と述べ、「明
日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万
人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことに
なる」と質疑応答で答えています。その上で、「他の人が考えているより
も早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」と話
していました。
最近発表される経済指標は予想を下振れするケースが多く、テーパリング
開始を懸念する声もありますが、テーパリングの最大の足かせとなってい
る「雇用」に明確な改善が見られれば、FRBがテーパリング開始をため
らう理由は多くありません。
その意味では、8月の雇用統計が非常に重要で、今から注目度は高いと言
えます。

アフガニスタンを掌握したタリバンについて、バイデン大統領は、「国際
舞台における役割という面では、存在に関する危機に面している」との認
識を示し、「タリバンが方向性を抜本的に変えたとは考えていない」と述
べています。
またアフガニスタンからの米軍撤退期限である8月31日を過ぎても、全
ての米国民が退避できるまで同国に米軍を駐留させる考えを表明していま
す。
オンライン形式で行われた「G7」外相会合でも、タリバンと国際社会と
の関係は「タリバンの行動次第」との見解で一致しています。

109円~110円台半ばから後半のレンジを抜け切れない展開が続いて
いますが、それでも値動きはあることから、小刻みに利益を確定していく
しかありません。
大局的に見れば、FRBによるテーパリング開始はそう遠くない時期に実
施され、コロナ関連では日本の対応の遅れが鮮明であり、ドルが買われて
円が売られる公算が高いと予想していますが、最大の懸念材料はデルタ変
異株の感染拡大です。
米長期金利の動きがその辺りを感じ取っているのでしょうか?
無いとは思いますが、これが制御不能になるようだと、シナリオは異なっ
てきますが、仮にそのような状況になったとしても日本が米国よりも優位
な立場に立てるとは思えません。

本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度と見ています。


ユーロドル1年9カ月ぶりに1.16台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は底堅い動きを見せ、NYの午後には110円台を
回復したが、110円台維持はならず押し戻される。
FOMC議事録で年内のテーパリング開始予想が明らかに
なったことがやや重荷に。
◆ユーロドルは続落し、節目の1.17台を割り込む。
一時は1.1694までユーロ安が進み、2020年11月4日
以来となる水準を示現。
◆株式市場は3指数が揃って続落。堅調に推移していた株価は
FOMC議事録公開を境に売りが加速。ダウは382ドル安で、
3万5000ドルを割り込む。
◆債券相場は小動きが続き、長期金利は1.125%台と
やや低下。
◆金は続落。原油は5日続落し、65ドル台まで売られる。
デルタ変異株の感染拡大が続いており、世界需要が減少するとの
見立てから売りが優勢に。

◆7月住宅着工件数     →  153.4万件
◆7月建設許可件数     →  163.5万件

本日の注目イベント

◆豪   豪7月雇用統計
◆欧   ユーロ圏6月経常収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   8月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   7月景気先行指標総合指数

先月の27-28日に開催されたFOMCの議事録が公開されました。
公開された議事要旨によれば、大半のメンバーが年内に債券購入ペース
の減速を開始し得るとの見解で一致していたことが明らかになりました。
「経済・金融環境に基づくと、向こう数カ月に縮小が正当化される可能
性が高いと一部の参加者が言及した」とあり、また「他の幾人かは、資
産購入ペースの減速は来年の早い時期に適切となる公算がより大きいと
の認識を示した」とも記されていました。(ブルームバーグ)
一方インフレについては、「幾人かの参加者は、インフレ率が再びパン
デミック前に見られた2%目標を下回るトレンドに戻るのではないかと
なお懸念している」とし、インフレ加速がどの程度続くのか、見解が分
かれていました。
労働市場に関しては進展が見られたとの認識でしたが、パンデミックに
関連した雇用の混乱を踏まえ、短期と中期の両方でのスラック(たるみ)
を巡る不透明感が示されています。

この議事録が公開されたことで、テーパリング開始時期がそれほど遠く
ないとの見方が強まり、110円台に上昇していたドル円は株価の急落
を受け、110円台を維持できずに109円80銭近辺まで押し戻され
ています。連日最高値を更新していたダウは引けにかけて大きく下げま
したが、「何をいまさら」といった気もします。
本リポートでも度々述べてきたように、今月に入ってから講演を行った
FOMCメンバーの多くがテーパリング開始は適切との見解を見せてお
り、FOMC会合ではタカ派的な議論が高まっていたことを示唆してい
ました。
それでも株価の方は連日最高値を更新し、ダウとS&P500は5日連
続で最高値更新でした。FOMCメンバーの発言と株価の上昇に、違和
感を感じていたのは筆者だけではなかったのでは思います。タカ派寄
りの発言の象徴がセントルイス連銀のブラード総裁でした。
同総裁は昨日もオンラインのイベントで講演を行い、米経済について、
「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展
を遂げた」と述べ、その上で、テーパリングに関して、「2022年1
-3月までに終わらせることが望ましい」とし、「それにより、多くの
選択肢が生まれる」との考えを示しました。
また利上げ開始時期についても、「22年10-12月が利上げを開始
する上で、理にかなった時期だ」(ブルームバーグ)と、具体的な時期
についても言及しています。

アフガニスタンを制圧したタリバンの広報官の記者会見が昨日テレビで
も放映されていましたが、会見では女性の権利や自由が保証されている
ことや、これまでの破壊的なタリバンとは異なる点を主張しているよう
に受け止めました。
大混乱に陥っていた空港はやや落ち着きを取り戻したようですが、タリ
バンが空港を包囲している状況は続いているようです。
国外脱出を図ったカニ大統領は、アラブ首長国連邦(UAE)に家族と
共にいることが確認されています。
また今朝の報道では、米国はタリバンに利用されないよう、アフガニス
タン中央銀行が米国内に持つ資産約95億ドル(約1兆400億円)を
凍結し、本国への現金輸送を停止したと発表しています。
タリバンの目指す「アフガニスタン・イスラム首長国」樹立に向け、ま
だまだ紆余曲折がありそうです。

引き続きNY株の動きから目が離せません。
今のところ、米長期金利に大きな動きは動きはなく、FOMC議事録が
公開された割りには冷静さを見せています。
もっとも、債券は来週のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を前
に動けないのかもしれません。

本日のドル円は109円50銭~110円20銭程度を予想します。


NYダウ、S&P500、6日ぶりに反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発。経済指標の悪化に株価が大きく下げたことから、
「リスク回避のドル買い」といった動きとなりドル円は上昇。
109円65銭までドル高が進み、109円割れは今回も
お預け。
◆ユーロドルでもドル高が進み、一時は1.1707まで下落。
今年3月31日に記録した安値に接近。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ダウとS&P500は6日
ぶりに大きく売られる。
◆債券相場は横ばい。長期金利は1.26%台と変わらず。
◆金は反落し、原油は4日続落。

◆7月小売売上高         →  -1.1%
◆7月鉱工業生産         →  0.9%
◆7月設備稼働率         →  76.1%
◆8月NAHB住宅市場指数    →  75

本日の注目イベント

◆日   7月貿易収支
◆欧   ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)
◆英   英7月消費者物価指数
◆米   7月住宅着工件数
◆米   7月建設許可件数
◆米   FOMC議事録(7月27-28日分)
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆加   カナダ7月消費者物価指数

アフガニスタン全土を制圧した「タリバン」は17日、報道官が記者会見を開き、
「国際社会、特に米国や近隣国への攻撃にアフガニスタンが利用されることはない
と保証する」と述べました。また懸念されている女性の権利や自由についても、「
イスラム法の範囲内で女性を守る」とし、今後樹立が見込まれる新政権にも、一定
の条件下で女性が加わることも認めると説明しました。
さらに報道官は、米国や旧アフガン政権に協力、あるいはそのために戦った人々は
「全員、罪を許された」として、「タリバン」によりアフガニスタン・イスラム首
長国はこうした人々への報復を目指さないとも言明。銃が大量に流通している全土
で兵器を回収し、アヘンの生産を取り締まる意向も明らかにしています。(ブルー
ムバーグ)しかし、国際社会は「タリバン」がこれらの公約を実際に実行するかど
うかについては依然懐疑的と見られ、新政権樹立後の行動を注視している状況です。

NY株式市場が久しぶりに大きく下げました。
ダウとS&P500が5日連続で最高値を更新していたことを想えば、当然の下げ
と見ていますが、気になるのはその下落のトリガーです。
7月の小売売上高は市場予想の「-0.3%」から大きく乖離し、「-1.1%」
と、大幅な減少でした。13分野のうち8分野で売上高が減少し、減少した分野は
かなり広範囲に及んでいました。特に、自動車ディーラーやネットでの売上高が落
ち込んでいます。
すでに発表された、ミシガン大学消費者マインド、NY連銀製造業景況感指数、そ
して今回の小売売上高と、軒並み下振れ結果が続出しています。
さらに言えば、この日発表された8月のNAHB市場市指数も「75」と、予想を
下回り3カ月連続で下げています。

米国でもデルタ変異株の感染拡大が続いており、企業経営者の心理だけではなく、
消費者の心理も先行きに対して慎重になっていることを表していると思われます。
これらのデータが来週のジャクソンホールでのパウエル議長の発言や、9月のFO
MCに微妙な影響を及ぼす可能性もありそうです。
そのパウエル議長は昨日、教育者や学生とのオンライン対話集会で発言しましたが
、金融政策や経済成長への言及はなく、新型コロナウイルスの感染に触れるのみで
した。議長は、コロナ禍について、「いまは異例の時代であり、これが結果的に並
外れた世代を生み出すと思う。この世代の世界の見方は従来と異なる。人生にとっ
て何が真に重要か、他の人々より早く考えざるを得なかったためだ」(ブルームバ
ーグ)と説明したにとどまっています。

小売売上高の大幅な下振れを受け、NY株は大きく下げました。ダウは282ドル
安で取引を終えましたが、一時は500ドルほど下げ、リスク回避の流れが強まり
ました。ドル円は109円台前半から109円台半ばを超える水準まで反発しまし
たが、今回は「リスク回避の円買い」ではなく、「リスク回避のドル買い」だった
ようです。この辺りが個人投資家にとっても判断が難しい所で、リスクが急激に高
まった時にはどのように対応すべきか迷う部分です。
言えることは、これまでのような「リスクが高まったら安全通貨の円を買え」とい
うことではないということです。コロナに対する対応に象徴されるように、「安全
通貨の円」は最早神話になりつつあります。

それにしても、110円台半ばから後半が抜け切れないのと同じように、109円
前後が明確に抜け切れません。今回の「タリバン」によるアフガン制圧をきっかけ
にドルが下値を試すと予想していましたが、どうも緩慢な値動きからは抜け出せま
せん。ただ、来週のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を始め、雇用統計、
FOMCと来月に向けては「材料が豊富」です。まだ気を緩めるわけにはいきませ
ん。

本日のドル円は109円10銭~109円80銭程度を予想します。


ドル円109円台前半まで続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は109円12銭まで続落。アジア市場でも上値は重く、
NYでは朝方株価が大きく下げ、金利も低下したことで円を
買う流れが強まった。
◆ユーロドルは反落。ユーロ円の売りも活発となり、ユーロを
押し下げ、1.1768までユーロ安に。ユーロ円は3月下旬以来と
なる128円台半ばまで続落。
◆株式市場はタリバンのカブール制圧を受け朝方は大きく下げたが、
その後反発。結局、ダウとS&P500は5日連続で最高値を更新。
◆債券は続伸し、長期金利は1.26%台へと低下。
◆金は続伸。原油は大幅に続落。

◆8月NY連銀製造景況業指数   →  18.3

本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆欧   ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)
◆英   英7月失業率
◆米   7月小売売上高
◆米   7月鉱工業生産
◆米   7月設備稼働率
◆米   8月NAHB住宅市場指数
◆加   カナダ7月住宅着工件数
◆米   パウエル・FRB議長、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁。
     タウンホール会議を開催

昨日のこの欄で、NY株の下げに伴うリスク回避の流れから、109円前後
の円高を予想しましたが実際の動きは109円12銭まで売られ、想定内の
展開でした。株価の方も、ダウは朝方280ドルを超える下げを見せました
が、その後は急反発し、結局110ドル高で取引を終え、これで5営業日連
続の最高値更新です。S&P500も同じように最高値を更新し、NY株の
上昇には驚きを禁じ得ません。
デルタ変異株の感染拡大も、タリバンによるアフガン制圧も、さらに昨日発
表された8月NY連銀製造業景況感指数が市場予想を大きく下回る結果にも
、「なんのその」と買われ、ダウは朝方の底値から400ドル近く上昇した
ことになります。
ただこれらの影響は、債券市場では安全資産の債券が買われ金利は低下する
形になっていますが、結局、株式も債券も買われたことになります。
先週末のミシガン大学消費者マインドといい、昨日のNY連銀製造業景況感
指数といい、これまでに見られなかったほど景気の下振れを示唆する指標に
、何か危うさを感じている次第です。

バイデン大統領は16日ホワイトハウスから全国向けの演説を行いました。
その中でバイデン氏は、アフガニスタンからの米駐留軍撤退を決めた自身の
判断について、適正だったと擁護しています。
「20年を経て、米軍を撤退させる上で適切な時期などないと経験を通じて
知った」と語り、「われわれのアフガニスタンでのミッションは決して国家
建設ではなかったはずだ」と述べ、「テロとの闘い」であったことを強調し
ていました。報道によると、米国はこの20年にわたる戦いで、戦費は少な
くとも2兆2610億ドル(約250兆円)もの莫大な資金をついやし、2
300人以上の米兵が命を落としています。
国民の間にも今や厭戦気分が広がっており、世論、人的・物的コストの面ら
も撤退を決めたものと思われます。ただ今後タリバンが「9・11」のよう
に、米国を標的にする行動を起こすようなら、再び米国が軍事力を行使する
可能性もあります。タリバンの報道官は「誰も命を心配する必要はない」と
表明し、ナンバー2であるバラダル師も、「われわれは思いあがってはいな
い。われわれがいかに住民に奉仕し、安全を守り、可能な限り良い生活と未
来を確実にすることができるか、試される時がきた」(ブルームバーグ)と
述べていますが、その保障もなく、国際社会もこの言葉を受け入れてはいま
せん。中東の地政学的リスクという意味でもタリバンの今後の行動を注視す
る必要があります。

政府は1都5県に発出されている「緊急事態宣言」の期限を来月12日まで
延期する方針のようです。さらに福岡など7府県を追加する予定です。
夜のニュースではどの番組でも、「医療崩壊」が既に起きていることを報じ
ていました。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、今月15日までのお盆の人の移
動は、昨年を大きく超えていたようです。この影響が今週どのように出るの
か、専門家のみならず多くの人にとっても関心があります。欧米では爆発的
な感染後ワクチン接種が急速に進み、これが経済再開を促し景気の急回復に
つながったことはGDPなどでも確認できました。日本の場合、一時的な景
気浮揚もないままデルタ変異株の感染に襲われている状況です。
昨日発表された4-6月期のGDPは、前期比年率で「1.3%」と2期ぶ
りのプラス成長でしたが、その成長力は欧米に比べるとかなり見劣りのする
ものでした。コロナウイルス第5波の感染状況を考えると7-9月期は再び
マイナス成長に逆戻りする可能性もありそうです。
「最大の景気対策は、コロナの感染拡大を防ぐことです」昨日のNHKキャ
スターの言葉が正鵠を射ていると思います。

本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。


8月のミシガン大学消費者マインド大幅に悪化 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は急落。8月のミシガン大学消費者マインドが
予想を大きく下回ったことで、米長期金利が低下。ドル売りを
誘った。ドル円は109円55銭まで売られ、ほぼこの日の
安値圏で越週。
◆ユーロドルは反発。1週間ぶりに1.18台を回復。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って上昇。ダウとS&P500は
この日も上昇し、これで4日連続の最高値更新。
◆債券相場は急騰し、長期金利は1.27%台へ急低下。
◆金はドル安が進んだこともあり、26ドルを超える上昇。
原油は続落。

◆7月輸入物価指数               → 0.3%
◆8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   → 70.2    

本日の注目イベント

◆日   4-6月GDP(速報値)
◆日   6月鉱工業生産(確定値)
◆中   中国7月小売売上高
◆中   中国7月鉱工業生産
◆米   8月NY連銀製造景況業指数

ドル円は今回も111円台には届かず、109円台半ばまで押し戻される
展開でした。109円前後がサポートとなり底堅い動きを見せるものの、
7月以来約1カ月、110円台半ばから後半が抜け切れない展開が続いて
います。
今回も先週末のNYでは経済指標の発表をきっかけに、米債券が急騰し、
長期金利が大きく低下したことでドル円は、110円20銭前後から10
9円台半ばまで売られています。

8月のミシガン大学消費者マインド速報値は市場予想を大きく下回る「7
0.2」と、2011年12月以来となる低水準でした。
市場予想は「81.2」でしたので、そのギャップには驚きです。
新型コロナウイルスの感染が再拡大していることが、米国の消費者心理を
予想以上に慎重にさせていることがうかがえます。
ミシガン大学消費者調査ディレクターのリチャード・カーティン氏は、「
今後数カ月で景気が悪化すると消費者が正しく判断していることを示すも
のだ。景気への悲観が並外れて増したことは、主にコロナ禍が間もなく終
わるとの望みが打ち砕かれたことによる感情的反応も反映している」とリ
ポートで説明しています。(ブルームバーグ)
項目別に見ると、「期待指数」が大幅に悪化しています。株価は連日で最
高値を更新する日が続いており、求人件数も過去最高になっていますが、
一方で手厚い失業給付金はほぼ9月で切れることも影響している可能性が
あります。米国では新型コロナのデルタ変異株感染が深刻化してきました。

1日あたりの死者の数は7日平均が13日時点で「645人」と、過去2
週間で倍増し、5月以来の高水準です。一方、米疾病対策センター(CD
C)が発表した14日の全米ワクチン接種回数は99万
1000回と、1日当たりとしては7月初め以来の高水準になっています。
そんな中、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は15日、米国
は必要であれば基礎疾患のある人を対象にワクチンの「3回接種」を認め
る発言を行っています。デルタ変異株の強力な感染力を念頭に置いたもの
と思われますが、現時点では、ファイザーとモデルナのワクチンだけに限
定しているようです。
日本でも連日、これまでにない感染爆発が続いています。専門家の言う「
最悪のケース」も、シミュレーションだけの世界ではない状況に近づいて
いる気もします。一人一人が他の人との接触を避け、出来るだけ早い段階
で2回接種を終えるしか、方法はないように思います。

今朝の報道で、アフガニスタンの反政府勢力「タリバン」が15日、首都
カブールを制圧し、大統領府を掌握したとあります。
「タリバン」は近く、「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言
する構えのようです。
懸念されるのは、アフガン問題が再び金融市場に悪影響を及ぼしかねない
という点です。
好調なNY株式市場も、デルタ変異株の感染拡大に加え、アフガン問題が
中東に混乱を招き、それがリスク回避の動きを強めることもないとは言え
ません。ドル円も現時点では109円前後が非常に強いサポートになって
はいますが、仮に明確にその水準を抜け切るようだと、想定外の円高に振
れる可能性も出てきます。
まだそこまでの可能性は低いと思われますが、一応注意は喚起しておきた
いと思います。

本日のドル円は109円10銭~109円90銭程度を予想します。


米7月のPPI、1.0%上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は110円台半ばを中心に小動き。値幅も21銭程度と閑散な取引に終始する。

  • ユーロドルも目立った動きはなく1.17台前半から半ばで推移。

  • 株式市場は3指数が揃って上昇。ダウとS&P500は3日連続で最高値を更新。

  • 債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.35%台で推移。

  • 金と原油はともに小幅に下げる。

本日の注目イベント

  • 欧 6月貿易収支
  • 米 7月輸入物価指数
  • 米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

昨日のNY市場では、どのマーケットも閑散な取引で、典型的な夏相場といった様相でした。発表された新規失業保険申請件数は前の週より1万2000件減少し、これで3週連続の減少でした。また7月のPPIは「1.0%」と、市場予想を上回る伸びを見せ、インフレ圧力が継続していることが示されましたが、ドルの上昇は限定的でした。ドル円も、ユーロドルもほぼポジション調整の域を出ず、次の材料を待つといった展開で、相場を動かす原動力の長期金利もほぼ横ばいでした。NY株式市場では3指数が揃って上昇し、ダウとS&P500が3日連続で最高値を更新していますが、余り勢いは感じられません。行き場のない資金が株式に向かっているというだけのようです。

国際エネルギー機関(IEA)は月報で、年内の石油需要見通しを大幅に下方修正しました。主要消費国で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることをその理由に挙げています。IEAによると、世界の石油需要は7月に、日量380万バレル増だった6月から大幅に減少していると報じており、7-12月(下期)の需要見通しを日量55万バレルに下方修正しています。WTI原油価格も、7月中旬にかけては75ドル台まで上昇しましたが、今週初めには一時65ドル台まで下げています。2022年については、OPECプラスが減産縮小を計画通り進め、合意に加わっていない産油国が生産を増やした場合、市場は再び供給過剰に陥ると予測しています。(ブルームバーグ)

トルコ中銀は12日の政策会合で、政策金利の据え置きを決めています。1週間物レポ金利を19%に維持し、これで5カ月連続の据え置きになります。トルコでは高インフレが続いており、7月のインフレ率も18.95%に達しています。そのため、政策金利をさらに引き上げ、インフレを阻止したいところですが、エルドアン大統領が利下げ圧力を強めており、中銀も簡単には利上げが出来ない状況が続いています。エルドアン大統領は6月にカブジュオール中銀総裁と会談を行い、「今日私は、中央銀行総裁と話した。われわれは金利を引き下げる事が不可欠だ」と述べ、利下げ圧力を強め、目標の期日を7、8月にしたことにも言及していました。今回トルコ中銀はエルドアン氏の意向に抵抗した形になりましたが、声明で「政策金利は引き続き、インフレ率を上回る水準に設定され、恒久的なインフレ低下の兆候と、中期的インフレ目標5%の達成までは、強いインフレ低下圧力を維持する」と表明しています。ただ、このままエルドアン氏の意向を無視し続けと、カブジュオール総裁といえども「更迭」されるリスクがあり、どこまで利下げを避けることが出来るのか注目されます。エルドアン氏はここ2年半ほどですでに3度の「中銀総裁更迭」とう暴挙に出ています。エルドアン氏の意向に沿って利下げを行えば通貨「リラ」が売られ、さらに通貨安からインフレが加速する危険があり、トルコ中銀の政策余地も限られるのが現状です。

本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。

================
2018年4月。朝鮮半島の板門店で歴史的な南北首脳会談が行われ、文在寅韓国大統領が「こちら側にわたりますか」と声をかけると、南北を分ける境界線を越えて韓国側に立った金正恩朝鮮労働党委員長。感動さえ覚えたシーンでしたが、その良好な関係は長くは続きしませんでした。2020年6月には開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所が爆破され、南北関係は再び元の状態に戻ってしまいました。ところが先月、北朝鮮側は突如柔軟な姿勢を見せ、再度南北対話への道が開かれました。しかしまたまた、北朝鮮は復活した韓国との定時連絡に応ぜず、対話を中断する行為に出ています。「朝令暮改」とまではいかないまでも、こう対応がコロコロ変わるようでは、今後の国際社会への復帰や南北の緊張緩和への道は依然として険しいと言わざるを得ません。特にこのところ、金正恩氏の妹である金与正氏の攻撃的な発言が目だっています。南北が統一され、フォーククルセダーズが歌ったあの「イムジン河」が、過去の歴史を物語る歌になるのは、果たしていつのことになるのでしょうか・・・・?

良い週末を・・・・・。

米7月のCPIやや鈍化 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は欧州時間の朝方に110円80銭まで上昇したが、NYでは7月のCPIの上昇ペースが鈍化していたことを受け下落。110円32銭まで売られる。

  • ユーロドルは反発。1.1755まで買い戻されたが、依然として流れはユーロ安方向に。

  • 株式市場は前日と同様の展開。ダウとS&P500は連日で最高値を更新したが、ナスダックは続落。

  • 債券相場は反発。7月のCPIが上昇ペースを鈍化させたことで買い戻しが入る。長期金利は1.33%台に低下。

  • 金と原油は続伸。

本日の注目イベント

  • トルコ 中銀政策金利発表
  • 英   6月鉱工業生産
  • 英   4-6月期GDP(速報値)
  • 英   6月貿易収支
  • 欧   ユーロ圏6月鉱工業生産
  • 欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
  • 欧   OPEC月報
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   7月生産者物価指数

ドル円は昨日の東京時間では底堅い動きが続き、欧州時間の朝方には110円80銭までドル高が進みましたが、その後は軟調な動きとなり111円テストには至っていません。米7月のCPIは前月比で「0.5%」の伸びにとどまり、6月の「0.9%」から上昇
ペースを緩やかにしました。水準としては依然として高水準ではありましたが、これまで高騰を続けていた中古車価格がわずかな伸びにとどまったことや、航空運賃、自動車保険が低下したことが影響しました。一方で住宅や新車価格などが上昇しています。全体的に見ると、経済再開に伴う価格急騰は一部で収まり始めていますが、依然として「家庭外で消費される食品価格や、ホテル滞在を含む宿泊費は、前者が前月比0.8%、後者が同6%と高い伸びが続いている」(ブルームバーグ)ようです。

今月はFOMCが開催されないこともあり、多くのFOMCメンバーである地区連銀総裁が、テーパリングに関する自身の考えを披露しています。カンザスシティー連銀のジョージ総裁は全米企業エコノミスト協会向け講演で、「景気回復が進行していることを踏まえ、今こそ金融緩和政策からより中立的な政策設定へと移行する必要がある」と指摘し、「私が先に説明したように現在の引き締まった経済状態が、引き締まった金融政策を必要としているわけでは当然ないが、政策の設定を巻き戻す時期が来たというシグナルであることは確かだ」と述べています。リッチモンド連銀のバーキン総裁も、ロイター通信とのインタビューで、「われわれは近づきつつある。ただいつになるか正確には分からない。その時期が確実に近づいた時には、経済に無理が出ない範囲で早急にテーパリングを行い、正常な環境に向かって戻っていくことを私は強く支持する」と語っています。

両総裁は異常な金融政策を元に戻すタイミングが近いという点で一致しています。ただ早すぎる緩和政策の停止は、今後デルタ変異株の感染が急拡大した場合には「拙速」と判断される可能性もあり、ここはやはり向こう2~3カ月の雇用統計とデルタ変異株の感染状況を注視することが必要と考えます。一方、アトランタ連銀のポスティック総裁は依然として政策変更には慎重な姿勢を崩してはおらず、「FOMCはもはや、過熱気味の労働市場は最終的にインフレにつながるとの懸念を理由に『予防的な利上げ』を実施することはない」と明言し、「インフレ高進の問題が発生し、それが持続する可能性が高いことを示すデータが実際に示されない限り、労働市場については成り行きにまかせるだろう。それが雇用の最大化という長期的な目標に向けた進展につながり得ると考える」と、その理由を述べています。(ブルームバーグ)

ドル円は111円台テストには至らず小幅に反落しましたが、依然として109-111円のレンジ相場が機能しているようです。111円台に乗せるかどうかは上で述べたように、テーパリング開始がいつになるのかという事と多いに関係します。FRBの執行部も含めてFOMCメンバーが「タカ派寄り」の発言をするケースが増えてきたようにも思えます。9月から11月にかけての時期が非常に大きな意味を持ち、相場の方向性も決まってくると思われる「秋の陣」に備えたいと思います。

本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。

ユーロドル5カ月ぶりに1.1710まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小幅ながら続伸し、110円60銭まで上昇。動きは緩慢だったものの、ユーロドルでのドル高に引っ張られる格好で上昇。

  • ユーロドルは続落し一時は3月31日以来となる1.1710までユーロ安が進む。独ZEW期待指数が予想を下回ったこともユーロ売りに拍車。

  • 株式市場では日替わりで最高値を更新する展開が続く。この日はダウとS&P500が最高値を更新し、ナスダックはマイナス圏で引ける。

  • 債券は小幅ながら続落。長期金利は1.35%近辺まで上昇。

  • 金と原油は共に反発。

本日の注目イベント

  • 豪 8月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 独 7月消費者物価指数(改定値)
  • 米 7月消費者物価指数
  • 米 7月財政収支
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演

ユーロドルがさらに売られ、NY市場では一時1.1710までユーロ安が進みました。この水準は今年3月31日以来となる低水準で、非常に重要なサポートと見られている同日に記録した1.1704に迫って来ました。この日は米長期金利がじわじわと上昇しドルが買われ易い状況の中、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が発表した8月の期待指数が前月の「63.3」から「40.4」と大幅に低下したことで、ドイツ経済の先行きに対する懸念が広がりユーロ売りが加速したものです。この同指数は昨年11月以来の低水準で、ドイツでは人口の半分以上が新型コロナワクチン接種を完了していますが感染拡大が続いています。ドイツ政府は既に一部の移動制限を強化していますが、今後制限措置がさらに強化される見通しが数値悪化につながっています。ドル円もユーロでドル高が進んだ影響を受け、110円台半ばを超える水準までドル高に振れています。

米上院は5500億ドル(約61兆円)規模のインフラ包括法案を賛成69、反対30の大差で可決しました。今後下院に回され審議されることになりますが、成立すれば過去十年で最大の公共投資法となり、バイデン大統領の経済対策にとって大きな勝利になるとブルームバーグは報じています。法案が通過すれば全ての州に及び、道路、橋の整備のほか、EVの充電拠点整備にも資金が使われます。ただ、ブルームバーグは同法の早期成立に向けたハードルは高く、下院が9月20日まで休会していることに加え、民主党のペロシ下院議長は党内進歩派からの圧力を受け、より広範な支出・税制計画が上院を通過するまで、超党派のインフラ投資法案を採択せず保留する方針を明確にしているようです。一方で穏健派はより早い段階で同法案を取り上げるよう下院に強く要求しており、さらには下院がインフラ法案の修正に動く可能性も指摘されています。上院での同法案成立を受け、株式市場ではキャタピラーなど、インフラ関連銘柄が値を伸ばしていました。

ウオラー・FRB理事やポスティック・アトランタ連銀総裁に加え、昨日はシカゴ連銀のエバンス総裁もテーパリング開始に前向きな発言を行っています。エバンス総裁はテーパリング開始の目安に言及し、「恐らく年内に『一段と顕著な進展』が見える段階に達すると私は予想している。それが来年にずれ込むとは思わない」と述べ、テーパリングに関する決定を前に、「さらに数回の雇用統計を見てみたい」との考えを示しました。共通することは、いずれも「あと1~2回の雇用統計を確認したい」という点であり、7月のような結果が続けば、「早期にテーパリングを開始すべきだ」という点です。FOMCのメンバーの中にはこの他にもテーパリング開始を支持する委員もおり、クラリダFRB副議長なども同じような立場にいます。このように考えると、次回9月のFOMCでの議論は、テーパリング開始に相当傾くと見られます。ひょっとしたら、26-28日に行われるジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容の草稿をブルームバーグなどが事前に入手し、配信する可能性もないとは言えません。今年はやはり、例年の夏とは異なるようです。

本日のドル円の予想は110円20銭~110円80銭程度といったところでしょうか。

米長期金利1.32%台へ上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は先週の雇用統計後に110円台を回復。この日は110円35銭まで買われたが、米国内でのコロナ感染拡大で円を買う動きもあり、小幅な値動きの中もみ合う。

  • ユーロドルは続落し、1.1735までユーロ安が進む。

  • 株式市場はまちまち。ダウは反落し、ナスダックは小幅に上昇。

  • 債券は続落し、長期金利は約3週間ぶりに1.32%台まで上昇。

  • 金は大きく売られ1726ドル前後に。原油も下げ66ドル台に。

本日の注目イベント

  • 豪 7月NAB企業景況感指数
  • 日 6月貿易収支
  • 日 6月国際収支
  • 日 7月景気ウオッチャー調査
  • 独 8月ZEW景気期待指数
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演

先週末に発表された7月の雇用統計について触れておかなければなりません。非農業部門雇用者数は「94.3万人」と、市場予想を上回り、6月分も「85万人」から「93.8万人」に上方修正され、2カ月連続で高水準の雇用増が確認されました。また7月の失業率も「5.4%」と、前月から大幅に改善され、平均時給も前年比で「4.0%増」と、コロナワクチン接種が進みと経済活動が再開された効果がはっきりと映し出された格好です。申し分のないの結果だっといえます。

先週木曜日の講演でウオラーFRB理事は、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」と語りその上で、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」と話していました。ウオラーFRB理事の期待した「100万人」には届かなかったものの、一旦後退したテーパリング開始の可能性が再び高まってきました。アトランタ連銀のポスティック総裁も9日、7月の非農業部門雇用者数が94万3000人の増加になったことが、「かなり心強いのは確かだ。これが次の1-2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」と語り、上記ウオラーFRB理事と同様の考えを示しました。またリッチモンド連銀のバーキン総裁は依然として慎重な姿勢を見せながらも、「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」と述べ、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」と語っています。今回のデータでも労働参加率は「61.7%」と、依然として伸びていないことに着目した発言かと思われます。また同総裁は「インフレ期待は目を見張るほど安定している」とも語っています。(ブルームバーグ)

雇用統計の発表を受け、長期金利の上昇がドル円を再び110円台に押し上げています。上記2名の総裁発言を聞くまでもなく、物価上昇が続く中、テーパリング開始へのボトルネックになっているのが労働市場の停滞です。この部分が解消に向かえば、FOMC会合内でもテーパリング開始を支持する委員が増えてくるのは明らかでしょう。9月には失業保険給付金への手厚い上乗せ加算も終了すると見られています。また9月は米国では新学期が始まり、学校に通う子供を持つ親が、仕事を見つけ外に出易い状況にもなります。働き手への需要は強く、「ケンタッキー州にあるレストランでは時給16ドル(約1800円)を提示しても応募者がゼロだった(セントルイス地区連銀)」といった報告もあると日経新聞は伝えています。こうなると次のハードルになるのは、デルタ変異株の感染状況だと言えます。米国では感染力の強いデルタ変異株の感染拡大が続いており、新規感染者数も1日で2万4000人を超え、2月以来の高水準になっています。

ドル円は今回も109円台を割りこむことなく110円台を回復してきました。米長期金利の上昇が支えとなっていますが、日本を含む世界的なデルタ変異株の感染拡大もあり、このままドルが買われる展開でもありません。ただ、FRBによるテーパリング開始の議論はさらに進むと見られ、個人的にはまだネガティブですが、今月26-28日のジャクソンホールでのテーパリング示唆も可能性としては再び浮上してきそうです。本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。

ウオラーFRB理事、雇用統計に期待 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 雇用統計を控え、ドル円は小動きながら堅調に推移。
    株価と長期金利の上昇に109円80銭までドル高が進む。

  • ユーロドルは依然として膠着状態が続く。
    この日も1.18台半ばを中心に値幅は30ポイントにも届かず。

  • 株式市場は3指数が揃って上昇。中でもナスダックとS&P500
    が最高値を更新する。

  • 債券相場は続落。長期金利は1.22%台に上昇。

  • 金は反落し、原油は反発。

本日の注目イベント

  • 豪 RBA四半期金融政策報告
  • 日 6月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 独 6月鉱工業生産
  • 米 7月雇用統計
  • 米 6月消費者信用残高

世界的にデルタ変異株の感染拡大が続く中でも、NY株式市場では昨日3指数が揃って上昇。一進一退を繰り返しながらも結局ナスダックとS&P500は最高値を更新するなど、米景気のピークアウトがささやかれる状況にも投資家は株式に対する強気の姿勢を崩していません。それを正当化するように、米ゴールドマンはS&P500の目標株価を引き上げています。同社はリポートで2021年末の目標を「4700」に引き上げ、さらに2022年末の目標も「4600」から「4900」に引き上げました。「S&P500種企業の予想よりも高い利益と、予想よりも低い金利の組み合わせが、株価目標引き上げの言動力だ」と説明し、「企業コストをうまく管理していることと、利益率の高いテクノロジー企業が指数に占める割合が高くなっていることから、当社はコンセンサスよりも大きな収入の伸びと税引き前利益率の拡大を見込んでいる」とリポートで述べています。一方、日本では新型コロナウイルスの爆発的拡大が株価の上昇を抑制しており、非常に重苦しい雰囲気になっています。昨日は予想されていたこととはいえ、東京都の新規感染者数が5000人を超えました。今後さらに感染が進み、最悪のケースでは9月には1日で9万人を超えるとのシミュレーションもあります。いよいよ「非常事態宣言」ではなく、不要不急の外出を規制する「法的整備」も必要になってくる可能性も出てきました。ワクチン接種のさらなる進展と、個人個人が出来るだけ他の人とは会わない行動が求められます。

バイデン政権が台湾に7億5000万ドル(約820億円)の武器売却を承認したことを巡り、中国外務省は「断固」反対すると表明し、内政干渉であることと、具体的な行動には言及しなかったものの、状況に応じては対抗措置を講じると強く反発しています。バイデン大統領はこの件に臆することなく、今度は香港の政治的自由に対する中国政府の取り締まりに言及しています。バイデン氏は文書で、「香港で保障されている自由を奪われた人々に非難の場を提供することは、同地域での米国の利益を促進する」とし、「香港の人々に対する米国の支援は揺るがない」と説明しています。(ブルームバーグ)今回の措置でどれくらいの人数が対象になるかは分かりませんが、現在米国にいる香港の人々に最長1年6カ月の米国滞在を許可しています。

またバイデン大統領は5日、米国の新車販売に占めるEVなど電動車の比率を2030年に50%に引き上げる大統領令に署名しました。今回の政策では電動車の定義を、EV,燃料電池車(FCV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の3種類とし、トヨタ自動車が得意するハイブリッド車(HV)は含んでいません。バイデン氏はホワイトハウスのサウスローンで主要自動車メーカーの幹部らと署名イベントに臨み、「米自動車業界の未来は電化だ。後戻りはできない」と語っています。

ウオラーFRB理事はバーチャル講演の後で、「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」と述べ、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」と質疑応答で答えています。その上で、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」と話していました。

本日のドル円は109円30銭~110円40銭程度を予想します。ウオラーFRB理事が期待しているような良い数字が出るかどうかは開けてみなければ分かりませんが、むしろ失望に終わった時の反応には注意したいと思います。

----------------------------------------------------------------------------
米企業の決算発表も概ね終わりましたが、米金融機関の業績に目を向けて見ると、最大手のJPモルガンチェ-スの収益が群を抜いています。まだ第1四半期を終えただけですが、1日に稼ぐ純利益は何と、143億円に上るとか。日本の金融機関で最も収益をあげている三菱UFJフィナンシャルグループでも足元にも及びません。同行はもともとNYベースの名門銀行ですが、米金融業界に再編の波が押し寄せた際に、これも名門のチェース・マンハッタン銀行と合併し、その後のリーマンショックでは全米第5位だったベア・スターンズを救済買収したことも、今となったら投資銀行部門の飛躍につながっているようです。同行のCEOであるジェイミー・ダイモン氏は、FOXテレビのインタビューで、あと5年は同行トップを務めると述べています。ダイモンCEOは2015年にがんに罹患したことを告白し、その後の復帰が懸念されていましたが、いまでは完全にがんを克服したようです。ダイモン氏は、「ゴルフをしたり花を愛でたりして過ごすつもりはない」と、異例の長期政権に意欲満々でした。

良い週末を・・・・・。



7月ADP雇用者数、予想を大幅に下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は108円台から急伸。経済指標は強弱まちまち
だったが、長期金利の上昇にドル円は109円68銭まで
反発。
◆ユーロドルはこの日も1.18台半ばから後半でもみ合い、
膠着感が強まる。
◆株式市場は前日と真逆の動きとなり、ダウは323ドル下げ、
ナスダックは小幅に上昇。
◆債券は反落。クラリダFRB副議長の発言に反応し、
長期金利は1.18%台に上昇。
◆金は小幅に反発。原油は3日続落し68ドル台に。

◆7月ADP雇用者数               →  33.0万人
◆7月ISM非製造業景況指数           →  64.1
◆7月マークイットサービス業PMI(改定値)   →  59.9
◆7月マークイットコンポジットPMI(改定値)  →  59.9

本日の注目イベント

◆豪   豪6月貿易収支
◆独   独6月製造業新規受注
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE議事録
◆欧   ECB経済報告
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  6月貿易収支
◆加   カナダ6月貿易収支

7月のADP雇用者数は予想外のサプライズでした。
結果は「33.0万人」と、市場予想の半分以下で今年1月以来となる低い水
準でした。雇用増加ぺースの鈍化は、労働市場の完全な回復を達成する上で困
難がなお残っていることを浮き彫りにした格好です。
ADPのチーフエコノミストは、「7月のデータは、雇用の伸びが第2四半期
(4-6月)のペースから顕著に減速したことを示した。採用面でのボトルネ
ックにより、雇用の伸びが加速できない状況が続いている。特に新型コロナウ
イルスの変異株の感染に伴う懸念が影響している」と説明しています。(ブル
ームバーグ)

ADP雇用者数は前月6月分も下方修正されており、今週末の雇用統計にも下
振れ懸念が浮上しています。労働市場の行方は、FRBのテーパリング開始時
期を占う上でのカギとなっていることから、週末の雇用統計の結果と共に注目
が集まっています。ドル円はこの発表直後ドル売りが先行し、108円73銭
まで売られましたが、その後急反発し109円台半ばまで買い戻されています。

そのきっかけを与えたのがクラリダFRB副議長の講演でした。
クラリダ氏は、当局が債券購入のテーパリングについて年内に発表し、202
3年には利上げを開始するといった「タカ派的」な見通しを示しました。
クラリダ氏はピーターソン国際経済研究所が主催したウェビナーで講演し、「
FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに
達成されているだろう」と述べ、「23年には利上げを開始するだろう」と語
っています。
23年に利上げ始まるという自身の予想については、「インフレ率が期間平均
で2%になるという当局が昨年採用した目標と整合しているほか、拡張的な財
政政策の結果、家計の余剰貯蓄が2兆ドルを超えて積み上がっている現状を考
慮したものだ」と説明しています。
労働市場の回復の遅れを理由に、利上げには慎重な姿勢を見せるFRB執行部
でしたが、その一人が「2023年の利上げ開始」を口にしたことと、家計の
余剰貯蓄にも言及したことはやや想定外でした。
ただ、クラリダ氏も足もとで急拡大しているデルタ変異株については、「明ら
かに見通しに下方向のリスクになっている」と述べています。

クラリダFRB副議長の発言は、今後の米景気に対する自信の表れだろうと思
いますが、イエレン財務長官は、そのカギを握るのはバイデン大統領のアジェ
ンダにおける住宅や育児、教育を対象とした他の部分も米国を支える「重要な
要素だ」と語っています。
イエレン氏は、「われわれは世界で傑出した経済大国としての米国に慣れて育
ってきた。その地位にとどまる運命にあるとは限らないが、こうした投資を伴
うことで、私はそうなると確信する。米経済の壊れた基盤を修復する機会が今
訪れている。そして何より、これまでよりも公正かつ強力なものを築く機会が
訪れている」と主張しています。

WTI原油価格は3日続落し、68ドル台前半まで下げてきました。
この間の下げ幅は6ドル(約7.8%)に迫る大幅な下げとなっています。
昨日は米エネルギー情報局が発表した在庫が予想外に増えていたといった理由
もありましたが、2ドルを超える大幅な下落でした。
うがち過ぎかもしれませんが、ここに米景気のピークアウトを先取りする動き
があるかもしれません。景気の鈍化は製造業などの石油消費の減少につながる
ことから、商品市況は早くもその動きを示唆しているとも考えられます。

本日のドル円は109円20銭~109円90銭程度を予想します。


ドル円5月下旬以来となる108円台に下落 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落。米長期金利のなだらかな低下とデルタ変異株の
感染懸念から円を買う流れが優勢に。5月26日以来となる
108円88銭までドル安が進む。
◆ユーロドルは前日と同水準でもみ合う。1.18台半ばから
1.18台後半で膠着。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。S&P500は35ポイント
上昇し、最高値を更新。
◆債券相場は横ばい。長期金利は1.17%台と、低水準で推移。
◆金は反落し、原油は続落。


◆6月製造業受注       →  1.5%
◆7月自動車販売台数     →  1475万台

本日の注目イベント

◆中   7月財新サービス業PM
◆独   独7月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏6月小売売上高
◆米   7月ADP雇用者数
◆米   7月ISM非製造業景況指数
◆米   7月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   7月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントで講演
◆加   カナダ6月住宅建設許可件数

ドル円は5月26日以来となる109円を割り込み、108円88銭までドル安が
進みました。米長期金利が低位で推移し、一時は1.15%台を付ける場面もあり
ましたが、前日とほぼ同水準で取引を終えています。デルタ変異株の感染が拡大し
ていることもあり、市場のセンチメントはいまいち「リスクオン」へ傾斜しにくい
といった状況から、円が買われたと見られます。
昨日この欄でも指摘したように、ドル円は一目均衡表の「雲の下限」は抜けたもの
の、その下にある「120日移動平均線」が意識され、さらなるドルの下落を抑え
た格好になっています。

米景気を巡っては再び「景気ピークアウト論」が浮上し、しかもそれが現実味を帯
びてきた印象もあります。前日発表されたISM製造業景況指数などの経済データ
が軟調な結果を示したり、好決算を発表した米企業の株が売られたりしており、長
期金利も低水準で推移しています。今後発表される経済データを慎重に見ていかな
ければいけませんが、天気図でいえば、「快晴」だった青空に、西の方から「黒い
雲」が出て来たといった状況かもしれません。
そんな中、テーパリング開始に積極的な発言を繰り返してきたセントルイス連銀の
ブラード総裁はロイター通信とのインタビューで、「新型コロナウイルスのパンデ
ミックが米経済を、成長率と生産性は高いが、金利とインフレ率も高い『不安定な
時代』へと押しやった可能性がある」と指摘。「現在は、世界均衡が崩れ、これま
でと大きく異なる環境にある。この反響は続き、慣れ親しんでいるよりもはるかに
高いボラティリティーに皆が直面することになろう」と述べています。
(ブルームバーグ)

米国感染症学会は3日、新型コロナウイルスのデルタ変異株感染が拡大しているた
め、「集団免疫」が出来る目安が押し上げられており、人口の80%超が免疫を獲
得する必要があると指摘し、その目安は90%に近づく可能性があると発表しまし
た。集団免疫達成へのハードルは従来想定されていた60-70%と比較して、「
かなり高くなった」とし、デルタ変異株の感染力が従来ウイルスの2倍であること
を理由に挙げています。

RBA(オーストラリア準備銀行)は3日午後、政策金利であるキャッシュレート
を0.1%に据え置くことを決めました。債券購入プログラムについては、100
0億豪ドル(約8800億円)規模の債券購入第2弾が9月初めに終了した後も、
週40億豪ドルのペースで少なくとも11月半ばまで継続する方針を確認していま
す。
市場もほぼ据え置きを予想していましたが、RBAは声明文で「新型コロナウイル
スの感染拡大が抑制されれば経済は急拡大する」と発表したことで、豪ドル円は8
0円40銭近辺から上昇し、80円台後半まで買われました。
オーストラリアは米国など先進国で新型コロナウイルスの感染が急拡大する中でも
、拡大の抑え込みに成功し、豪ドル円は5月には85円台まで買われました。しか
し7月からは再び感染が拡大し、オーストラリア第2の都市メルボルンでは感染が
拡大したことからロックダウンの措置が取られ、現在は解除されていますが、最大
都市のシドニーではロックダウンが今月28日まで延期されています。豪ドル円は
軟調な展開が続いていますが、79円台半ばから80円には、テクニカル的にも重
要なサポート指標が集まっています。

引き続きデルタ変異株の感染拡大と長期金利の低下でドル円の上値は抑制されてい
ます。週末の雇用統計までは一進一退の展開を予想していますが、その結果を起爆
剤に長期金利が反転するのか。あるいは雇用統計の結果が「景気ピークアウト論」
を正当化するのか、開けてみなければ分かりません。

本日のドル円は108円50銭~109円30銭程度を予想します。


米長期金利1.15%台に低下 


ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

◆ドル円は売られ、109円19銭までドル安が進む。
米景気の鈍化懸念が再燃し、長期金利が低下したことで
ドル売りが優勢となった。
◆ユーロドルはドル安の流れにも水準を変えず。上昇は
1.1890で止まり、1.19台には届かず。
◆株式市場はISM製造業景況指数が予想を下回ったことで
景気敏感株を中心に売られる。ダウは97ドル下げ、ナスダックは
金利が低下したことから小幅高。
◆債券相場は景気ピークアウト懸念から上昇。長期金利は
再び1.12台を割りこみ、一時1.15%台まで低下。
◆金は反発。景気減速懸念から原油は大幅に下落。


◆7月ISM製造業景況指数           →  59.5
◆7月マークイット製造業PMI(改定値)    →  63.4           

本日の注目イベント

◆日  7月東京都区部消費者物価指数
◆豪   豪6月住宅建設許可件数
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日    7月マネタリーベース
◆トルコ トルコ7月消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏6月生産者物価指数
◆米   6月製造業受注
◆米   7月自動車販売台数

「火のない所に煙はたたない」とでも言うんでしょうか・・・。
先月下旬には「米景気ピークアウト論」が浮上し、長期金利が急低下しました。
前日には1.3%を下回る水準で推移していた長期金利が一時1.12%台まで
急低下し、景気減速懸念からNYダウはこの日を含めて1000ドル近く売られ
たことは記憶に新しいところですが、昨日のNYの動きもややそれに似たもので
した。

7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回る「59.5」でした。これで2
カ月連続で予想を下回り、今年1月以来の低水準でした。
項目別では、在庫の取り崩しを反映し、「顧客在庫」が過去最低を記録したこと
が特徴的です。発表元は、「企業と供給業者は引き続き、需要の拡大に応えるの
に苦慮している」と説明し、「発注から納品までにかかる時間が過去最長に近い
ことや、必須基本材料の不足が続いていること、商品価格の高騰、さらに製品輸
送面の問題が、全セグメントに影響を及ぼした」と分析しています。(ブルーム
バーグ)
また先に発表されていた中国のPMIが予想を下回り、好不況の分岐点である「
50」に近づいていたことも景気後退をより連想させた面もあったようです。
中国の7月の財新製造業PMIは「50.3」でした。

ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで、株式市場では景気敏感株を中心
に下げに転じ、債券市場では債券が買われ、長期金利は一時1.15%近辺まで
低下する場面もありました。ドル円は金利低下に沿う形で売りが優勢となり、先
月19日以来となる109円台前半までドル安が進みました。
新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大が続くことも景気の先行きに影を
落としており、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、デルタ変異株の感染拡大
で労働者の労働意欲が抑制され、ひいては景気回復を損ねる恐れがあると講演で
指摘しています。
明日4日には7月のISM非製造業景況指数が発表されますが、このまま低水準
が続くようだと、FOMCでのテーパリング開始議論にも一石を投じる可能性が
あります。
今週末の雇用統計も含めて、さらに経済データには目配りが必要となります。

FRBのウオラー理事は2日CNBCとのインタビューで、次の2回の雇用統計
で労働市場の改善が続けば、債券購入の段階的縮小を近く発表することを支持で
きるだろうと述べています。
ウオラー理事は、「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」と述べ、
「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進
展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生
じるだろう」との見方を示しています。
この発言は、先月30日の講演でのブレイナード理事と歩調を合わせるもので、
FRB執行部の考えを代弁していると理解してもいいいと思います。
足元の物価上昇の勢いからすればテーパリング開始のタイミングだとは理解する
ものの、雇用の回復が遅れており、この局面での「拙速」を避ける意味でも、次
の2回の雇用統計の内容を確認したいという意向のようです。
ただ、上記ISM製造業景況指数のように雇用が改善傾向を示したとしても、今
後発表される経済データが低調に推移するようだと、テーパリング開始の可能性
は微妙となり、市場は判断に迷うことになります。
デルタ変異株の感染状況、労働市場の推移、さらには経済データと、これからは
注目すべき材料が多くなります。

本日の注目点は言うまでもなく、ドル円が109円台を維持できるかどうかです
。NYでのドル安値圏では一目均衡表の雲の下限(日足)は一旦抜けていますが、
現在はちょうどその下限近辺で推移しています。
仮に抜け切るとトレンドの転換も示唆されますが、その下方の108円90-9
5銭近辺には、これも重要なサポートである「120日移動平均線」があること
から、注意が必要です。

本日のドル円は108円90銭~109円60銭程度を予想します。


米6月PCEコア3.5% 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に反発。109円82銭までドルが買われたが、
依然として方向感に乏しい展開が続く。
◆ユーロドルも1.18台半ばを中心に低調な動きに
終始。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ダウは149ドル下げ、
ナスダックもアマゾンが下げをけん引。
◆債券は反発。長期金利は1.22%台へ低下。
◆金は反落し、原油は続伸。

◆4-6月雇用コスト指数             →  0.7%
◆6月個人所得                  →  0.1%
◆6月個人支出                  →  1.0%
◆6月PCEコアデフレータ            →  3.5%
◆7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  81.2
◆7月シカゴ購買部協会景気指数          →  73.4
           
本日の注目イベント

◆中   7月財新製造業PMI
◆独   独7月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
◆米   7月ISM製造業景況指数
◆米   7月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   米、中国企業59社への投資禁止措置発効


連日暑い日が続いていますが、相場の方はクールな展開が続き、FOMC終了後は
予想通り「材料難」から方向感の乏しい展開になっています。
109円台前半までドル売りが進む局面があっても、そこからさらに売り込む勢い
はなく、徐々に押し戻される展開が続いています。上値の方も110円台半ばが抜
け切れない動きです。
本日から8月相場が始まりますが、今月も大きな動きは期待できない展開が続きそ
うです。ただ今年の夏は本日から緊急事態宣言が発出され、不要不急、都県を跨ぐ
移動は避けるよう要請されており、引き続き「巣ごもりの夏」になりそうです。
相場に大きな動きはないと思われますが、警戒感は維持する必要があります。
例年より市場参加者は減少しない可能性があり、ちょっとした材料で思いがけない
動きになることも想定されます。

それにしても東京都を中心とする感染者の増加には、専門家が指摘した通りとはい
え、驚きもあります。このままでは東京都で1日1万人の新規感染者が出る日も、
遠からず来そうです。その時には全国では2万人を超えるとの予想のようです。今
回の爆発的な感染拡大で、毎日夕方にはテレビで映し出される新規感染者数の棒グ
ラフでも、第1波や第4波が比較的小さく見えるのは筆者だけではないと思います。

米国でもデルタ変異株の感染が拡大しており、フロリダ州では7月30日だけで、
新たに2万1683人の感染者が報告され、過去最多を記録しています。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、デルタ変異株の感染拡大で労働者の就労意
欲が抑制され、景気回復を損なう恐れがあると指摘しています。
その上で、景気刺激措置の縮小を開始するタイミングについては、「まだその時期
ではない」と発言しています。一方でセントルイス連銀のブラード総裁は、9月に
資産購入の縮小開始について決定することが望ましいと、これまでの持論を述べて
います。
またブレイナードFRB理事は、「テーパリング開始の基準を満たすには、雇用市
場にさらなる改善が必要だ」と述べ、9月の雇用統計を確認すれば、ある程度の方
向性は示せるとの考えを述べています。
9月の雇用統計は10月8日に発表される予定です。本蘭でも指摘したように、7
~9月の雇用統計の結果を踏まえて、11月か12月のFOMCでテーパリングを
宣言し、2022年1月から開始するとのシナリオも、ブレイナード氏の見方に沿
えば、メインシナリオの色合いも濃くなっています。

先週末に発表された6月のPCEコアデフレータは「3.5%」でした。
FRBが注目する本指標でも物価上昇が続いていることが確認され、テーパリング
開始が議論されることは最早必然です。
デルタ変異株の一段の感染拡大というリスクはありますが、よほどの事がない限り
FRBが金融正常化への道筋を歩んでいることは、間違いないと見ています。
そうなると足元の長期金利が低水準で推移している現状を正当化することが難しく
なりますが、金利上昇がドルをサポートする展開を想定しています。
このままドル高が進むとも思えませんが、何かのきっかけでドルが大きく売られた
際にエントリーする準備は必要かと思います。

本日のドル円は109円30銭~110円程度を予想します。


このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判
断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊
社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外国為替証拠金取引とは、元本や利益が保証された金融商品ではありません。お取引した通貨にて、
相場の変動による価格変動やスワップポイントの変動により、損失が発生する場合があります。
レバレッジ効果では、お客様がお預けになった証拠金以上のお取引が可能となりますが、証拠金以上の
損失が発生するおそれもあります。個人のお客様の取引に必要な証拠金は、各通貨のレートにより
決定され、お取引額の4%相当となります。証拠金の25倍までのお取引が可能です。
(法人のお客様の取引に必要な証拠金は、通貨ペア、取引コースにより1万通貨あたり3,500円から
34,000円の範囲内であり、証拠金の約200倍までの取引が可能です。)当社では、
「オフセット注文™」以外の取引手数料、口座維持手数料を無料としておりますが、
取引レートの売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があり、
また諸費用等については別途掛かる場合があります。当社は法令上要求される区分管理方法の
信託一本化を整備いたしておりますが、区分管理必要額算出日と追加信託期限に時間差があること
等から、いかなる状況でも必ずお客様から預かった証拠金が全額返還されることを保証するもの
ではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。
通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から
決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。