fc2ブログ

ドル円1年7カ月ぶりに112円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し、1年7カ月ぶりとなる112円乗せを示現。
7月2日の直近高値を抜け、112円05銭までドル高が進む。
◆ユーロドルも続落。1.1590までドルが買われ、こちらは
2020年7月以来の水準に。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は上昇したものの、
ハイテク銘柄の多いナスダックは4日続落。
◆債券は反発。長期金利は1.51%台に低下。
◆金は続落し1722ドル台に。原油も小幅ながら続落。
  
◆8月中古住宅販売成約件数   →  8.1% 

本日の注目イベント

◆豪   豪8月住宅建設許可件数
◆日   8月鉱工業生産
◆中   9月財新製造業PMI
◆中   9月中国サービス業PMI
◆中   9月中国製造業PMI
◆中   9月中国財新製造業業PMI
◆独   独9月消費者物価指数(速報値)
◆独   独9月雇用統計
◆英   英4-6月期GDP(改定値)
◆英  英4-6月期経常収支
◆欧   ユーロ圏8月失業率
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   4-6月GDP(確定値)
◆米   9月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、ウェビナーで開会の辞
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、イベントで開会の辞
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論に参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

ドル円は昨日の海外市場でも続伸し、NYでは2020年2月17日以来となる
112円台を示現しています。
ドルの直近高値である111円66銭近辺が、意識されるレジスタンス・ゾーン
と見ていましたが、やはりその水準を抜けるとストップロスなども発動され上昇
に弾みが付いた可能性があります。昨日はドル円の支えである米長期金利が低下
したにも拘わらずドル高が進み、ドルは主要通貨に対してほぼ「全面高」の様相
でした。

この先のレジスタンスを一応確認しておきたいと思いますが、2020年2月に
はこの上に112円23銭という高値があることから、目先はこの辺りでしょう
か。仮にこの水準をけると2018年まで遡らなければなりません。
この年の12月には113円台がありますが、ここまでドルがさらに上昇するに
はまだ時間がかかるとみています。重要なのはやはり、米長期金利がどこまで上
昇するかという点です。早ければ年内にもテーパリングが開始される可能性はあ
りますが、ここからさらにドルが買われて115円方向を目指すには「利上げ」
が不可欠になろうかと思います。
金融正常化への第一歩は踏み出すものの、そこから利上げにはまだ時間を要しま
す。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も講演で、「テーパリングをゆっくり
、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考える
グループに私は属する」と述べ、緩やかな資産購入縮小ペースをイメージしてい
ます。また利上げについても、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデ
ラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ
私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」と
語っています。(ブルームバーグ)

債務上限問題を巡って米下院は29日、連邦政府債務の法廷上限の適用を202
2年12月まで停止する法案を賛成多数で可決しました。ただ、共和党が同法案
に反対していることから、上院は通過しない見通しです。
連邦政府資金は余裕がなく、このままでは10月18日前後に資金が枯渇するこ
とになると、イエレン財務長官は警告していますが、議会共和党がどの段階で妥
協してくるのかが注目されます。現時点ではデフォルトのリスクはほぼ無視され
ており、市場ではドルが買われています。

前日民主党のウォーレン上院議員がパウエル氏を「金融当局を率いる人物として
は危険だ」として再任を支持しない意向を示しましたが、共和党のクレーマー上
院議員は29日、「パウエル氏に代わる人物は、パウエル氏より優れてはいない
だろう」と述べ、パウエル氏の再任を支持する考えを示しています。
ブルームバーグによると、上院銀行委員会の共和党12人のうち、パウエル氏の
再任を支持するメンバーはクレーマー議員で6人目となったようです。

昨日の自民党総裁選挙で岸田氏が総裁に選ばれ、順当にいけば次期首相になりま
す。岸田氏は昨日の会見では、「数十兆円規模の経済対策を年内に策定する」と
述べ、「成長なくして分配なし」、「分配なくして、次の成長なし」と述べ、国
民の所得を引き上げる政策を実施していく考えを示しました。
為替にはほとんど影響はありませんが、今日の東京株式市場がどのような反応を
見せるのか、注目されます。

早朝のドル円は112円を少し割り込んだ水準で推移しています。東京時間では
ここから大きく上昇する可能性は低く、はやり主戦場はNYでしょう。
ただ、111円に乗せてからのドルの上昇はややピッチが速いと感じます。
一方でここまでくれば、輸出筋は余裕でしょう。
ドルが緩やかに上昇するにしても、一旦上昇が止まる展開もあると予想していま
す。「MACD」と「シグナル」の差である「マックDオシレーター」は既に下
降し始めています。

本日のドル円は111円50銭~112円30銭程度を予想します。


スポンサーサイト



米長期金利の上昇を受けドル円111円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日に続き米長期金利の上昇を手掛かりに
続伸。朝方には111円64銭までドル高が進んだが、
その後はもみ合いに終始。
◆ユーロドルは小幅に続落。1.1668まで売られ、約1カ月
ぶりの安値に並ぶ。
◆株式市場は3指数が大きく下げる。債務上限を巡る交渉が進展しない
ことや、消費者マインドの結果が予想を下回ったことが背景。
ナスダックは423ポイント下げ、今年2番目となる大幅下落に。
◆債券は続落し長期金利は一時1.565%台まで上昇。
◆金は反落。原油も小幅に売られる。

◆7月ケース・シラ-住宅価格指数      →  19.95%
◆7月FHFA住宅価格指数         →  1.4%
◆9月消費者信頼感指数           →  109.3
◆9月リッチモンド連銀製造景況業指数    →  86.6

本日の注目イベント

◆日   自民党総裁選
◆欧   ユーロ圏9月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏9月景況感指数
◆欧   ECBフォーラム(最終日)、日銀総裁、BOE総裁、ECB総裁、FRB議長がパネル討論に参加
◆英   英8月消費者信用残高
◆米   8月中古住宅販売成約件数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン会議で講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演

前日に続き米長期金利の上昇が止まらず、米債券市場では債券が売られています。
10年債利回りは一時1.565%台まで上昇し、約2カ月半ぶりの高水準を付け
ました。昨日のNY金融市場では株が売られ、債券や金(きん)も売られ、さらに
原油も売られています。金利上昇によりドルが買われ、ドル円は111円64銭ま
でドル高が進みました。この水準で一旦上昇が止まったのも、7月に記録したドル
の直近高値である111円66銭が意識されたからであって、ほぼ同水準で上昇に
ブレイキがかかったことになります。その意味ではテクニカル通りの動きとも言え
ます。

パウエル議長とイエレン財務長官は28日上院公聴会でそろって証言を行い、債務
上限が引き上げられず、そのため米国がデフォルトに陥れば壊滅的な影響が及ぶと
警告しました。
上院では債務上限引き上げを目指す民主党の動きを共和党が妨害しており、米財務
省では連邦政府のデフォルト回避に回す資金が、約3週間後に尽きる可能性がある
とブルームバーグは伝えています。
イエレン財務長官も「10月18日前後に手元資金が尽きる」と警告を発していま
す。この問題が嫌気され、上述のように株式や債券が売られましたが、この債務上
限問題は今に始まったことではなく、ある意味毎年この時期に繰り返される「年中
行事」のようなものです。理論的には米国のデフォルトもあり得ますが、最後の最
後には議会がソフトランディングに持って行ったのが、これまでの歴史です。
これまでにも財政の壁(フィスカリ・クリフ)問題が現実に起き、連邦政府の職員
が自宅待機を余儀なくされ、通関や入国審査など連邦政府の業務が停止されたこと
もあります。
楽観視し過ぎることは避けなければなりませんが、個人的には最後に解消すると見
ています。ただそれでも昨日のNY株の下げは大きく、債務上限問題だけでは説明
がつかないような気もします。

パウエル議長は議会証言に臨みましたが、その席でパウエル氏のFRB議長再任を
巡る動きもありました。民主党のウォーレン上院議員は公聴会で、パウエル氏のF
RB議長再任を支持しない意向を示しました。ウォーレン氏は、「あなたの実績は
私に大きな懸念を抱かせる」と発言し、「あなたは米国の銀行システムの安全性を
低下させる行動を取っているため、金融当局を率いる人物としては『危険』であり
、私が再任に反対する理由はここにある」と述べています。パウエル議長の任期は
来年2月ですが、現時点では再任される可能性が高いとみられています。ただウォ
ーレン氏はご存知のように、2020年の民主党大統領候補の1人として、バイデ
ン氏とも争った大物議員であり、彼女の強硬な意見はバイデン大統領の判断にも影
響を及ぼすかもしれません。パウエル氏の後任にはすでにブレイナードFRB理事
の名前も取りざたされており、同氏はウォール街の規制に関してはパウエル議長と
異なった意見を持っています。

イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバーのマン委員は28日、英国
の現在のインフレ加速は一時的なものであり、厄介な問題ではないと述べ、急いで
対処する必要はないとの姿勢を見せました。英国の直近コアCPIは3.1%と、
2011年1月以来となる高水準に達しており、一部には利上げ観測も出ている状
況ですが、マン委員は景気はコロナ禍前には戻っていないことを理由に挙げていま
す。この発言をきっかけにポンドは対ドルで100ポイントを超えて大きく売られ
ています。

引き続きNY株が大きく下げたことから「リスクオフ」の流れが主流かと思います
が、債券も売られているため、金利差から円が買われる展開にはなっていません。
本日は日経平均も場合によっては500円を超えるような大幅な下げが見込まれま
すが、自民党総裁選挙があり、誰が選ばれるのかによって多少影響があるかもしれ
ません。東京時間ではここからのドルの上値は重いとみており、予想は111円1
0銭~111円80銭程度といったところでしょうか。


ドル円は続伸し、111円台に乗せる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間では上値が重かったドル円は、NYでは長期金利が
上昇したことを受け111円台に乗せる。111円05銭近辺まで
ドル高が進み7月5日以来の水準に。
◆ユーロドルでもドル高は進み、1.1692までユーロが
売られる。
◆株式市場ではダウが4日続伸。長期金利の上昇が重荷となり
ナスダックは下落。
◆債券は続落。長期金利は1.5%台を回復し、6月28日以来と
なる1.51%台まで上昇。
◆金は小幅に続伸。原油も大幅に続伸し75ドル台に。
  
◆ 8月耐久財受注  → 1.8%

本日の注目イベント

◆豪   豪8月小売売上高
◆中   中国8月工業利益
◆独   独8月GFK消費者信頼感
◆欧   ECBフォーラム(オンライン)、ラガルドECB総裁が開会の辞
◆欧   OPEC、2021年世界石油見通し(WOO)
◆米   7月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   7月FHFA住宅価格指数
◆米   9月消費者信頼感指数
◆米   9月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米   ボウマン・FRB理事、オンラインイベントで講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン会議で講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加

やはりドル円は米長期金利が上昇したことを受け、NY市場朝方には今年7月5日
以来となる111円台に乗せました。昨日の東京時間では実需のドル売りも散見さ
れ、上値の重い展開でしたが、NY市場では素直に金利高に反応した結果です。
ただ、ここからは久しぶりの水準であることから、実需のドル売りも出易いと見て
います。
111円台で踏みとどまる時間が長ければドル売りも一旦後退し、その後の動きを
確認する状況にはなると思われますが、そのためには110円50銭以上で推移す
ることが求められます。
多くの輸出企業の2021年下期の想定レートが「105円」程度であるため、余
裕を持って相場に対峙することは可能です。
上昇傾向を鮮明にしてきた米長期金利がこの先も上昇し、1.6%台に向うかどう
かがカギになります。

先週のFOMC後に、「早ければ次回の会合で決定する可能性がある」と述べたパ
ウエル議長の発言を受け、テーパリング開始が「秒読み段階」になってきたことか
ら、債券には売り圧力がかかり金利が上昇しています。
ただ、テーパリングから利上げまでの工程やインフレに対する見方を巡っては、F
OMCメンバーの間でも温度差があることは事実です。
シカゴ連銀のエバンス総裁は講演で、「足元で見られる供給サイドに起因する一過
性のインフレ率上昇では、目的を達成するには十分ではないと考える」として、「
2%を持続的にオーバーシュートするインフレ期間が必要」との認識を示していま
す。利上げに関しては、「23年に1回の利上げを想定し、その後は極めて緩やか
な傾斜になるだろう」と語っています。

ブレイナード理事は、「雇用は依然として、一段と顕著な進展があったと私が判断
する基準にわずかに届いていない」としながらも、「私が望んでいるような進展が
継続すれば、その基準に近く達成する可能性がある」と述べています。
またNY連銀のウイリアムズ総裁も講演で、「インフレ目標の達成において一段と
大きな進展を遂げたことは明らかだと思う。雇用の最大化に向けても、非常に良い
進展がある」と語り、「私の予想通りに経済が改善し続けると仮定すれば、資産購
入ペースの減速は近く正当化されるかもしれない」と述べています。(ブルームバ
ーグ)このように、11月の会合では今後想定外の事象が起きないかぎり、テーパ
リング開始を決定し、そのスケジュールを発表することになるだろうと思われます。

サプライズだったのは、2人の地区連銀総裁が辞任を発表したことです。ボストン
連銀のローゼングレン総裁は、健康問題を理由に今週辞任すると発表しました。ま
たダラス連銀のカプラン総裁も10月8日付けで辞任することを発表しています。
両総裁を巡っては、金融当局がコロナ禍で市場を積極的に支えていたこの1年間、
さまざまな金融商品に投資し、保有していたことが今月の債務開示で明らかになっ
ていたようです。これを受け、利益相反の可能性が指摘されるなど、批判が高まっ
ていたことに対応したものとみられます。
ローゼングレン総裁は12地区連銀の中でも最も長く総裁を務めており、存在感も
あっただけにやや残念に思います。


ラガルドECB総裁は27日欧州議会での証言に臨み、ユーロ圏のインフレ率はこ
の秋、8月に達成した3%の水準からさらに上昇する見込みだとした上で、「上昇
の大部分は一時的なものだと引き続き考えている」と証言しました。
ラガルド氏はこれまでも大幅な物価上昇は一時的なものだと認識を維持していまし
たが、その根拠として今回、原油価格の上昇とドイツの付加価値税(VAT)減税
の巻き戻しなどを挙げています。
その上で、「ECBの基本シナリオとして、引き続き中期的なインフレ率が目標を
下回り続けるとみている」と述べています。

本日の注目材料は米9月消費者信頼感指数です。
6月には今年最も高い水準を記録しましたが、その後やや軟調な展開が続いていま
す。市場予想は「115.0」で、先月よりも改善していると見られていますが、
予想を上回るとテーパリング開始への好材料とみられ、金利上昇につながる可能性
があろうかと思います。

本日のドル円は110円60銭~111円30銭程度を予想します。


ドル円110円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸。110円79銭まで買われ、8月11日
以来となるドル高水準を付ける。米長期金利の上昇と
地区連銀総裁の発言が支えに。
◆ユーロドルは小動きの中、1.17台割れを試す展開。
1.1701まで下落したものの、1.17台は堅持。
◆株式市場はまちまちの展開.ダウとS&P500は3日
続伸したが、ナスダックは小幅安。
◆債券は続落。地区連総裁の発言もあり、売り優勢の展開から
長期金利も1.46%台半ばまで上昇。
◆金は小幅に反発。原油は一時74ドル台まで買われ、
73ドル台後半で引ける。
  
◆8月新築住宅販売件数  → 74.0万戸 

本日の注目イベント

◆日  7月景気先行指数(CI)(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月マネーサプライ
◆欧   ラガルド・ECB総裁、欧州議会の公聴会に出席
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   8月耐久財受注
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講
◆米   ブレイナード・FRB理事講演

先週金曜日の本欄で、「ひょっとしたら?」ドル高が進むのではないかとの
コメントを残しましたが、NYでは110円79銭までドル高が進み、8月
11日以来の水準を付けています。
もちろんこれで、これまでのレンジを抜け上昇トレンドに入ったとは判断で
きませんが、金融正常化への「第一歩」であるテーパリングが早晩開始され
ることは確実であり、「日米金融政策の違い」が意識される展開から、大き
な流れはドル高方向に進む可能性が徐々に高まって来るように思います。

クリーブランド連銀のメスター総裁は24日、米経済は金融当局が11月の
資産購入のテーパリングを開始するための条件を満たしており、来年末まで
には利上げの条件も整う公算が大きいとのと見方を示しました。
総裁は、「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデ
ラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」と述べてい
ます。(ブルームバーグ)
またカンザスシティー連銀のジョージ総裁も、「私が考えるに、一段と顕著
な進展という基準は満たされた。こうした状況下で、資産保有高を毎月増や
し続ける理由は薄れてきており、資産購入の終了について近く検討すると示
唆することは適切だ」と述べ、テーパリング開始に前向きな発言を行ってい
ます。
先週のFOMCではパウエル議長もテーパリングが11月にも開始されるこ
とを示唆しており、デルタ変異株の感染拡大と、中国不動産バブルという国
内外のリスクは残っているものの、利上げに向けての工程は維持されるよう
です。
この発言を受け、米長期金利は1.464%台まで上昇し、ドル円上昇に足
場を与えています。

米長期金利はご存知のように、今年3月には1.77%台まで急騰しました
。ただその後は米債券への需要の拡大に伴い1.22%台まで低下し、8月
からは一進一退の展開が続いていました。
先週のFOMCの結果から、テーパリング開始の確実性と利上げ開始時期の
前倒し観測
から金利上昇が鮮明となり、週末に1.46%台まで上昇しました。約2カ
月半ぶりの高水準を記録したことで、米長期金利は緩やかな上昇傾向に入っ
た公算が高いと見ています。
そのため、米金利との相関が強いドル円は金利上昇に引っ張られる形で上昇
すると見ていますが、どうでしょうか?
もっとも、7月に記録した111円66銭を抜くのは、これまでの動きから
するとそう簡単ではないのかもしれませんが、「日足の雲」は完全に上に抜
け切っており、チャート的にもドルロング有利の状況に見えます。
ただ、今回のフェーズでも再び上値を重くし109円台半ばを割り込むよう
だと、これまでの109-111円のレンジを当面抜けるのは厳しいと言わ
ざるを得ません。

26日開票のドイツ連邦議会選挙では中道左派の社会民主党(SPD)と保
守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の2大勢力の獲得票が拮
抗しており、まだどちらが勝利するのか判断できない状況です。
いずれの政党も単独過半数には届ないと見られ、今後連立政権樹立に向けた
動きが活発になることが予想されます。
ブルームバーグは、上記政党は環境保護政党の「緑の党」と、中道の「自由
民主党」(FDP)を取り込んで連立を組む必要があるため、「これは複雑
な交渉となりそうだ」と報じています

本日のドル円は110円30銭~111円程度を予想します。


ドル円2週間ぶりに110円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し、110円35銭まで上昇。
「中国恒大集団」の信用不安が一時和らぎ、長期金利が
上昇したことでドルが買われた。
◆前日1.16台後半まで売られたユーロドルは反発。
1.1750まで買われ、対円でも129円台半ばまで上昇。
◆株式市場は大幅に続伸。恒大に対する懸念が後退したことや
売られ過ぎた反動から主要株価は急上昇。ダウは前日の大幅高
に続き500ドルを超える上昇。
◆債券は急落。長期金利は大幅に上昇し、1.43%台に。
◆ドル高に金は大幅安。原油は反発し73ドル台を回復。

  
◆9月マークイット製造業PMI(速報値)      →  60.5
◆9月マークイットサービス業PMI(速報値)    →  54.4
◆9月マークイットコンポジットPMI(速報値)   →  54.5
◆ 新規失業保険申請件数               →  35.1万件
◆9月景気先行指標総合指数             →  0.9%
◆4-6月期家計純資産               →  5849b

本日の注目イベント

◆日  8月消費者物価指数
◆独   独9月ifo景況感指数
◆米   8月新築住宅販売件数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   FRB、オンラインイベント開催。(パウエル議長、クラリダ副議長、ボウマン理事が参加)
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、Q&Aイベントに参加
◆米   日米豪印「クアッド」、初の対面首脳会議(ワシントン)


日本が祝日の間に、金融市場は大きく変化しています。
昨日は「中国恒大集団」への信用不安が一時的に和らぎ、株高、債券安
が大きく進行。米長期金利は1.4%台に乗せ、7月6日以来となる1
.43%台まで上昇しました。ドル円はこれに伴い110円台を回復し
、110円35銭までドル高が進んでいます。こちらは2週間ぶりのド
ル高水準ですが、先週まで109円前半を試したドル円は、結局「往っ
て来い」の展開となり、今度は再び上値ブレイクを試そうとしている状
況です。ここから110円台半ばの水準ではこれまでにも何度も押し戻
され、今回はどこまで「粘れるのか」、が注目されるところです。米金
利との相関が高いドル円ですが、今回は米長期金利が想定以上に急上昇
していることから、「ひょっとしたら?」との期待も膨らみます。

中国の金融規制当局は、深刻な資金難が続く不動産開発大手、「中国恒
大集団」に対する幅広い支持を発しました。
建設中の物件を完成させることと、個人投資家への債務を返済すること
に集中的に取り組むとともに、ドル建て社債で目先のデフォルト回避に
全力を尽くすよう求めています。同社の債務危機を巡る警戒感がひとま
ず和らいだことが、欧米の株価急伸につながっていますが、一方で中国
金融当局は具体的な助言を与えてはいません。同社はドル建て社債83
50万ドル(約92億円)のクーポン支払が23日に期限を迎えました
が、30日間の猶予期間があり、どのような対応がなされるか注目され
ます。

FOMCについても触れておかなければなりません。
21.22日に開催したFOMCでは、FF金利を据え置き予想通り、
テーパリングが近く開始されることを示唆しています。
 パウル議長は記者会見で、新型コロナウイルス禍に対応した経済支援
の引き揚げに向けた最初のステップを説明し、「早ければ次回の会合で
決定する可能性がある」と述べています。議長は、「資産購入縮小のタ
イミングとペースは、利上げ開始のタイミングに関して直接のシグナル
を送ることを意図しない」と述べ、テーパリングが利上げを意味するわ
けではないと、従来の考え方を強調しています。
また、今回発表された四半期ごとの経済予測では、早ければ2022年
の利上げ開始が適切か否かに関して当局者の見解が二分されていること
も分かりました。6月時点の予測では、「2023年まで利上げはない
」ということがドット・プロットで示されていましたが、足元の物価上
昇の継続がメンバーの利上げ開始に関する意識を変化させたようです。
今回の予側中央値では、23年末のFF金利は「1.0%」で、24年
末では「1.8%」が示唆されています。23年末については6月時点
では「0.6%」で、24年末についの予測は今回初めて公表されまし
た。「中国恒大集団」の債務問題についても議長は、「中国恒大の状況
は非常に中国特有のものと見受けられる。中国は新興市場国としては債
務水準がかなり高い」と語っています。(ブルームバーグ)

トルコ中銀は23日、サプライズの「利下げ」を行いました。
政策金利である1週間物レポ金利をこれまでの「19.0%」から「1
8.0%」に引き下げることを決めました。この決定を受けてトルコリ
ラは対円で12円43銭近辺まで売られ、対ドルでは一時8.80台ま
で売られ「過去最安値」を更新しています。トルコでは先月のインフレ
率が「19.25%」と高インフレが依然として続いており、市場では
、「今回の会合での利下げはない」と予想されてだけに驚きを持って受
け止められています。「エルドアン大統領の圧力に屈した」ということ
でしょうか?カブジュオール中銀総裁も、結局は利下げ圧力に抗しきれ
なかったということになります。

本日のドル円は109円90銭~110円60銭程度を予想します。
本日は、日経平均株価の大幅高を見込んでいますが、どこまでリスクオ
ンが進み、円売りが出るのかを見たいと思います。



リスク回避の流れ継続でドル円続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間に109円70銭前後まで戻したドル円はNYでは続落。
リスク回避の流れが継続し、ドル円は109円19銭まで売られる。
◆ユーロドルはほぼ水準を変えず、1.17台前半から半ばで推移。
◆株式市場は、朝方は反発を見せたがその後軟調な展開が続く。
ダウは4日続落し、ナスダックは小幅にプラスで引ける。
◆債券は小幅に下落。長期金利は1.32%台で推移。
◆金は続伸。原油も小幅に反発。

◆経常収支(4-6月)    →  -190.3b
◆8月住宅着工件数      →  161.5万戸
◆8月建設許可件数      →  172.8万戸

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆欧   ユーロ圏9月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   8月中古住宅販売件数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見

ドル円は昨日の東京時間では底堅い動きを見せ、これまでと同じように
NYでドル安が進んでもじりじりと押し戻される展開でしたが、NYで
はリスク回避の流れが依然として続き、円を買う動きから109円19
銭までドルが売られています。
クロス円でも総じて円が強含んでおり、この局面では「リスク回避の円
買い」が鮮明です。
昨日の東京株式市場では日経平均株価は予想通り大きく下げ、660円
安で引け、NYではダウは4日続落でした。

「中国恒大集団」は、主力銀行の少なくとも2行に対する20日期限の
利払いをしなかったことで、銀行が正式にデフォルトを宣言するかどう
かが注目されています。
次に注目される支払い期限は23日で、人民元建てとドル建て2本の社
債のクーポン支払期日が来ます。
「多くの中国ウォッチャーは政府が何らかの措置を講じると予想してい
るが、当局の沈黙は投資家を不安にさせている。中国人民銀行が連休明
けの22日に公開市場操作を再開した時に、当局の意向についてヒント
を得られるかもしれない」と、ブルームバーグは報じています。
昨日は恒大に関する多くの報道がされていましたが、概ね今回の不祥事
は中国国内で限定的だといったものでした。

2008年のリーマンショックは、同社がグローバルな金融業務を行っ
ており、その破綻のあおりで金融だけではなく自動車最大手のGMが破
綻。保険大手のAIGも破綻の危機に直面し、あのゴールドマンでさえ
ウォーレンバフェット氏が手を差し伸べなかったら破綻していた可能性
があるほど大きな出来事でした。
ただ恒大が破綻した場合、このところ弱含みの中国景気をさらに悪化さ
せる懸念があります。また社会問題化すれば、習主席の指導体制への悪
影響も懸念されます。今しばらく成り行きを注視するしかありません。

注目のFOMCは明日の朝方に結果発表とパウエル議長の会見がありま
す。中国発のリスクの影響もあり、NYダウは8月16日の最高値から
すでに1700ドルを超える下落を見せています。
今回のFOMCではテーパリング開始の宣言はもともとないと予想して
いましたが、金融市場への影響を考えると、「11月に宣言、2022
年から開始」の公算が高まってきたと見ています。
恒大問題が表面化する前までは多くのFOMCメンバーが「年内のテー
パリング開始が適切」と口を揃えてきました。これら「タカ派」の意見
をどう取りまとめるのか、パウエル議長の判断が注目されます。
記者会見でのコメントで予想される文言は、「デルタ変異株の感染拡大
」、「労働市場の不透明さ」、「物価上昇圧力の継続」、そして「中国
発のリスク」といったところでしょうか。

足元のドル円はやや売り優勢といったところです。
109円が目先のサポートで、ここを抜けたら8月4日に記録した10
8円72銭が次のサポートです。
この水準を完全に下抜けするようだと、チャート上は「レンジ相場の下
っ放れ」を示唆することになりそうです。

本日のドル円は108円70銭~109円80銭程度を予想します。


NY株急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日110円台を回復する場面もあったが、この日は
NY株が大幅に下げ、リスク回避の流れから円が買われ、
一時109円33銭まで売られる。
◆ユーロドルは前日から水準をやや下げ、1.17台前半で推移。
◆株式市場は全面安。「中国恒大集団」のデフォルト懸念から大きく
下げ、ダウは1000ドルに迫る下げを記録する局面も。
ナスダッックは前日比2.2%の大幅下落。
◆債券は買われる。長期金利は1.31%台へ低下。
◆リスク回避が進み金は上昇。原油は1ドルを超える下げに。

◆9月NAHB住宅市場指数   →  76

本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆米  経常収支(4-6月)
◆米   8月住宅着工件数
◆米   8月建設許可件数

本「アナリストレポート」でもこれまでに何度か触れた「中国恒大集団」
の資金繰り懸念が強まり、金融市場に大きな影響を与え始めました。
NY株式市場は全面安の展開です。ダウは一時1000ドル近い下げを見
せ、ナスダックは2.2%の下げに見舞われました。同じように、原油も
大きく売られ、ドル円では「円買い」が活発となり、先週金曜日には11
0円台まで上昇したドル円は再び109円台前半まで売られています。
リスク回避の流れが強まり、債券と金(きん)が買われ、昨日はビットコ
インなど、仮想通貨も大きく値を下げています。

「中国恒大集団」の資金繰り懸念から、香港市場では不動産株を中心に株
価が急落し、これがNY市場にも広がっています。
「恒大」を巡っては中国住宅都市農村建設省が先週、同社が20日に融資
の利払いを行えない見通しだと、同社の主要債権金融機関に伝えていまし
たが、23日にも米ドル債8353万ドル(約92億円)と、人民元債2
億3200万元(約39億円)の利払い日が来ます。
その後も、今月29日と、10月にはさらに多額の利払いが到来します。
報道によると、同社は社員や個人投資家などから「理財商品」を通じて多
額の資金調達を行っており、負債額は33兆円を超えている模様です。
格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、同社の
長期格付けを「CC」(ダブルC)に格下げしたばかりでした。
中国には、恒大と同業で経営難に陥っている華夏幸福基業など1000億
元を超える負債を抱えている企業も少なくはないと見られており、これが
不動産業全体の懸念につながり、NY株式市場に伝播した形です。

本日から2日間の日程でFOMCが開催されます。その前日に株価の急落
が起きてしまい、FOMCの政策決定にも影響を与える可能性もあります
。米経済指標に目を向けても、最近では「強弱まちまち」で、8月の雇用
統計の結果など、予想を大きく下振れするものも目立つようになっていま
す。ただ、それでも個人的には「11月の会合で正式にテーパリングを宣
言し、2022年からの開始」とするシナリオは維持するつもりです。
本日は日経平均株価も大きく下げると見られますが、この流れが再びNY
に引き継がれ、「負の連鎖」に陥らない限り、といった条件は付けたいと
思いますが、FRBが中国発のリスクに言及することは予想されても、基
本方針は維持されると思われます。
また、FOMCではNY株価の下落に対する議論もあるかもしれません。
米国人にとって株価の行方は自身の将来設計に大きな意味を持っており、
消費行動にも大きな影響を与えます。
恐怖指数である「VIX指数」も「25.7」と、5月12日以来となる
高水準になってきました。

今後の株価次第というところもありますが、ドル円は依然として110円
を中心とする展開は変わっていないと考えます。
リスク回避が進み、安全資産の債券が買われ金利は低下してはいますが、
それでもまだ1.3%台は維持しています。従って今のところは、中国発
の「恒大ショック」はグローバルな景気押し下げにはつながらないと考え
ており、「リーマンショック」級の金融不祥事には至らないと予想してい
ます。今日の日本株がどこまで下げるのかを見極めながら、ドル円のレン
ジは108円90銭~109円70銭程度と予想します。


ドル円続落し109円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州時間からじり安が続いたドル円は、NYの朝方には
この日の安値となる109円11銭を付ける。その後は
米経済指標の結果にドルが小幅に上昇。
◆ユーロドルは横ばいの動きが続き、これで3日間連続して
1.18台前半から半ばで推移。
◆株式市場は3指数が揃って反発。ナスダックは6日ぶりに
123ポイント上昇。エネルギー株が上昇をけん引しダウも
236ドル高
◆債券は小幅に反落。長期金利は1.3%近辺まで上昇。
◆金は反落。原油は2ドルを超える上昇で72ドル台に。
ハリーケーン「アイダ」の影響が残り、在庫が予想以上に
減少していたことが手掛かりに。

◆9月NY連銀製造景況業指数     →  34.3
◆8月輸入物価指数          →  -0.3%
◆8月鉱工業生産           →  0.4% 
◆8月設備稼働率           →  76.4

本日の注目イベント

◆豪   豪8月雇用統計
◆日   8月貿易収支
◆欧   ユーロ圏7月貿易収支
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演(パリ)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   8月小売売上高
◆米   9月フィラデルフィア連銀景況指数
◆加   カナダ8月住宅着工件数

ドル円はNY市場の朝方、約1カ月ぶりのドル安水準となる109円11
銭まで売られました。欧州市場から続いたドル安の流れがNY市場にも伝
播した形でしたが、その直後に9月のNY連銀製造業景況指数が発表され
、ドル円は109円を割り込むことなく反発しました。同指数は予想の「
17.0」に対して「34.3」と急伸し、新規受注と出荷が持ち直した
ほか、販売価格は過去最高を更新していました。同指数は「ゼロ」が活動
の拡大と縮小の境目となっており、市場予想を大きく超えたことで製造業
を中心に活動が活発になったことを示唆していますが、経済指標全体を見
渡すと強弱まちまちとなっており、米景気のピークアウト観測を払拭する
には至っていません。

先週10日、唐突に米中首脳による電話会談があったことは本欄でも述べ
ましたが、その際にバイデン大統領は習主席に対して、対面での首脳会談
を提案し、習氏はこれに同意しなかったことが判明しました。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じたところによると、バイデ
ン氏は習氏に向こう数カ月のある時点で会談することを提案したようです
。ただバイデン氏はホワイトハウスで「習氏が対面での会談を望んでいな
いことに失望したか」との記者からの質問に、「真実ではない」と述べて
います。
10月にはイタリアでG20首脳会議が開催される予定ですが、この席で
米中首脳会談が行われるのか、米中関係が悪化しており関係修復の糸口が
つかめない中、注目されます。

新聞紙上でも「中国恒大集団」に関する記事が増えてきました。
格付け会社米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、同社
の長期格付けを「CC」(ダブルC)と、これまでの「CCC」(トリプ
ルC)から引き下げました。「流動性と資金アクセスが急激に縮小してい
る」ことが引き下げの理由としていますが、一般的には「BB」(ダブル
B)以上が「適格」とされており、「CC」は最も低い格付けとなり、最
も「投機的」とされます。S&Pは同社の格付け見直しは引き続き「ネガ
ティブ(弱含み)」としており、「極めて高い支払不能リスクがある」と
しており、今後債務返済と利払いを期日に行えない恐れがあり、その場合
はデフォルト(債務不履行)のシナリオにつながります。
中国当局は同社の主要債権銀行に、今月20日が期限の支払いを同社が行
わない見込みだと伝えたと、事情に詳しい関係者の話としてブルームバー
グは報じ、「国内最大級の債務再編が一歩近づいた」と伝えています。
香港株式市場に上場している同社株は、今月初めには4.38HKドルで
したが、昨日は2.81HKドル(35.8%安)まで売られています。
同社がデフォルトに陥れば、中国景気にも影響を与えるのではとの懸念も
出始めている状況です。

ファイザーは独ビオンテックと共同開発した新型コロナワクチンについて
、時間の経過につれ効果が低下することが米国とイスラエルのデータから
示されたと発表しました。
その上で、ブースター(追加免疫)接種は安全であり、変異株にも効果的
であることが示されたと説明しています。
英国では来週、50歳以上の住民と優先接種の対象者に新型コロナワクチ
ンのブースター
接種を開始することを決定しています。今後、冬に向い感染者が急増する
リスクが高まることが予想され、新規感染者数がようやく減少傾向を示し
ている日本でも、昨日は専門家から「第6波」への対策を早急に講じるべ
きだとの意見が出ていました。

ドル円は結局「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を下抜けしてきまし
た。セオリーから行くと、目先は下値を試す可能性が高いと見られますが
、先ずは109円を維持できるかどうかで、仮に109円を明確に割り込
んだら、8月4日に付けた108円72銭近辺が意識されそうです。
これまで通り、今回もここで底値を付けて再び110円台に押し戻される
のか、多いに注目される局面です。

本日のドル円は108円90銭~109円70銭程度を予想します。

明日のアナリストレポートは都合によりお休みとさせていただきます。
読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほど宜しくお願い
申し上げます。


米金利低下によりドル円109円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆110円台前半で推移していたドル円は、米8月CPIの発表を
境に急速に下げ、109円53銭まで売られる。
◆ユーロドルは反発し、1.1846まで買い戻される。
◆株式市場は3指数が揃って反落。CPI発表後は上昇する場面も
あったが続かず、法人税増税などが嫌気され大幅安に。
◆債券は大幅高。8月のCPIが予想を下回ったことが材料に。
長期金利は1.28%台へと低下。
◆金は続伸し、原油は横ばい。
  
◆8月消費者物価指数    →  0.3% 

本日の注目イベント

◆豪   豪9月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中   中国8月小売売上高
◆中   中国8月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏7月鉱工業生産
◆英   英8月消費者物価指数
◆英   英8月生産者物価指数
◆米   9月NY連銀製造景況業指数
◆米 8月輸入物価指数
◆米   8月鉱工業生産
◆米   8月設備稼働率
◆加   カナダ8月消費者物価指数


米8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想の「0.4%」を下回り、「0.3%」
だったことで、少なくともFRBは今後の金融政策に余裕が出てくるものと思われます。
消費者物価の上昇率は今年1月以来の低水準となり、上昇率の鈍化が意識されます。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も「0.1%」と、今年2月以来の低い伸
びとなり、インフレ圧力が低下しています。ただ、今回の結果だけでパウエル議長などが
主張する、「物価上昇は一時的だ」と見ることが出来るかどうかは判断できません。
また、多くのFOMCメンバ-が「年内のテーパリングを支持する」と主張する政策変更
への道筋は、今回のCPI下振れを受けたことだけでは、現時点では変わらないと予想し
ています。

CPIが予想を下回ったことで、発表後に株高が進む場面もありましたが続かず、結局リ
スク回避の流れとなりNY株は大きく下げています。特にダウの動きが気になります。
前日6日ぶりに大きく反発したものの、昨日はその上昇分を全て吐き出す展開でした。
企業業績への懸念や米景気のピークアウト観測などが重荷になっていると見られます。
一方日経平均株価の方は昨日も上昇して、31年ぶりの高値を記録していますが、
割安感を理由に海外からの買い物も集めているとの説明もあり、年内3万2000円程度
までの上昇も見込めるとする専門家の分析もありました。「米国株がくしゃみをすれば、
風邪をひく日本株」と言われて久しいですが、今回の上昇が日本株上昇の第一段階だとす
れば、ドル円をサポートすることにもつながります。

昨日もこの欄に登場した「中国恒大集団」ですが、同社を巡る問題に新たな火種が持ち上
がっています。ブルームバーグによると、同社が提供する個人投資家向けの高利回り商品
が償還遅延で投資家の抗議活動が活発になっているようです。
恒大は最大で年率約13%の高金利をうたって理財商品を販売し、獲得した資金を運転資
金に回していたそうです。また恒大の理財商品を購入した投資家の多くが従業員で、同社
も購入を奨励していたようで、購入した一人は、「恒大は世界の500社に選ばれている
から、この商品は非常に安全だと言われた」と語っています。
結局、高金利を「エサ」に資金を集め、当初はその資金で配当を行いますが、その後資金
が回らなくなる「自転車操業」を続けてきたわけです。同社理財商品のうち400億元(
約6830億円)程度が満期を迎えているそうです。この類(たぐい)の事件は、日本で
もたびたび起きています。2013年頃に起きた「AIJ投資顧問事件」が思い出されま
した。この世に、「元本保証」、「確定高利回り」、「一部の投資家限定」などという言
葉は、全てインチキで詐欺だと思うことが必要です。ここでは「金融リテラシー」が試さ
れます。

米長期金利の低下がドル円を押し下げていますが、109円50銭前後が今日のサポート
で、ここを抜けるかどうかが焦点になりそうです。

予想レンジは109円30銭~110円10銭程度でしょうか。


NYダウ6日ぶりに反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は再び110円台に乗せ、110円10銭まで買われた。
ただ勢いはなく、110円前後で取引を終える。
◆ユーロドルは続落し、約2週間ぶりに1.18台を割りこむ。
一時は1.1772まで売られ、対円でも129円台半ばまで下落。
◆株式市場ではダウが6日ぶりに大幅反発。前日まで大きく
売られていたことで、値ごろ感からの買いも入る。
◆債券は小幅に反発。長期金利は1.32%台に低下。
◆金は反発。原油も上昇し70ドル台に乗せる。

◆8月財政収支    → -170.6億ドル

本日の注目イベント

◆豪   豪第2四半期住宅価格指数
◆豪   豪8月NAB企業景況感指数
◆日   7月鉱工業生産
◆欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
◆英   英8月失業率
◆米   8月消費者物価指数

ユーロドルが約2週間ぶりに1.17台後半まで売られドル高に振れたことで、
ドル円も再び110円台に乗せ110円10銭まで上昇しました。
しかし、相変わらず勢いはなくレンジ内での取引きが続いています。本日は今週
の注目材料の一つである米8月消費者物価指数が発表され、結果次第では動意付
く可能性もありますが、為替市場の膠着感にはやや食傷気味の参加者も多いこと
と思います。
NY株式市場ではダウが6日ぶりに大幅な反発をみせ、一時は300ドルを超え
る場面もありましたが、市場全体のセンチメントを好転させるには至っていませ
ん。先週は週を通じて売りこまれていたこともあり、単なる反動との見方がコン
センサスのようです。
一方乱高下の続くビットコインは再び下げが加速し、4万5000ドル台まで売
られています。仮想通貨のライトコインがウォルマートとの提携で合意したとの
発表文が、グローブニューズワイヤから配信され、これを受けライトコインは一
時33%急騰しましたが、ウォルマート側がその後この文書は「本物ではない」
として事実関係を否定しました。ライトコインは一気に上げ幅を縮小し、同様に
買われていたビットコインも下げたようです。このような偽文書が出ること自体
、「あやしい」と言わざるを得ません。「ハイリスク・ハイリターン」の象徴と
もいえる存在です。

米下院歳入委員会の民主党メンバーは13日、一連の増税案を発表しました。
今回提示された案では、法人税率が現行の21%から最高で26.5%に引き上
げられ、キャピタルゲイン税の最高税率も現行の20%から25%に引き上げる
ものです。
今回の増税案では2兆ドル(約220兆円)余りの歳入が見込めますが、バイデ
ン大統領が目指す増税案を下回っています。バイデン氏は法人税率を28%、キ
ャピタルゲイン税については39.6%を計画しています。
今回の案は、「企業に配慮する民主党議員の支持を得るため規模の縮小が当初案
より縮小された」(ブルームバーグ)とのことです。
米国では新型コロナ対策への費用が重石となり、財政赤字が急拡大しています。
財政の急激な悪化を避けるためにも増税は避けられないところですが、これは日
本にも当てはまることで、コロナ禍がある程度収束した後には「増税」が待って
います。それでも日米の場合、財政立て直しは簡単ではないと見られます。

先週本欄でも若干触れましたが、中国の不動産開発大手の「中国恒大集団」に対
するリスクが顕在化してきているようです。
ブルームバーグによると、同社が手掛けた住宅の購入者や個人投資家から強く抗
議を受けているだけではなく、自社の従業員の反発も招いているようです。深圳
にある恒大の主要オフィスには未払いとなっている資産運用商品(WMP)、い
わゆる理財商品に返金を求める多くの人が詰めかけ、13日夜には警察が出動す
る事態になっています。

12日時点での抗議者は数百人に上っていたと伝えられ、中国当局は同社の債務
危機が社会不安をあおらないよう、警戒を強めているとのことです。
今後恒大問題が「中国発のリスク」として拡大しなければいいと思いますが、同
社はドル建ての債券も多く発行しています。

政府は昨日、新型コロナワクチンを2回接種した人の数が、全人口の5割を超え
たと発表しました。1回の接種を終えた人の数も7984万人と63%に達して
おり、ようやく欧米に手が届くところまで接種が進んできました。現在のペース
でいけば、米国の接種率を抜くのもそう遠くはないようです。若い人の接種が急
速に進んだせいか、昨日の東京都の新規感染者数は611人と、劇的に減少して
います。ただ、まだ安心はできません。これから冬に向い気温も低下し、コロナ
感染が拡大しやすい状況になります。まずは新規感染者の数を減少させ、病床の
ひっ迫を解消する必要があります。引き続き感染対策を怠らないよう注意したい
ものです。

本日のドル円は109円70銭~110円40銭程度を予想しています。


米8月のPPIは0.7% 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米長期金利が上昇したものの、ドル円は109円台後半で
膠着が続く。
◆ユーロドルも前日と同じ水準で推移。値幅も30ポイント
前後と小動き。
◆株式市場は続落。特にダウは271ドル下げ、これで5日
続落となる。
◆債券は反落。長期金利は1.34%台に上昇。
◆金は反落し、原油は反発。

◆8月生産者物価指数    → 0.7%

本日の注目イベント

◆米 8月財政収支
◆欧    OPEC月報

ドル円だけではなく、ユーロドルも1.18台前半から半ばでの膠着
状態が続いています。米経済指標にやや変調の兆しが見え、デルタ変
異株の感染拡大が懸念される中、FRBがそれでも年内にテーパリン
グ開始を決めるのかが大きな焦点になっていますが、それには今後1
、2回の雇用統計を見極める必要があることが、目下コンセンサス
となっているところです。

これまでFOMCメンバーの多くがテーパリング開始を支持する発言
を行っています。先週金曜日も、クリーブランド連銀のメスター総裁
は講演で、「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の
雇用統計後も変わっていないと考える」と述べ、「年内のテーパリン
グ開始を望む」と発言しています。
また急激な物価上昇に警告を発し続けているサマーズ元財務長官はブ
ルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「2桁のインフレ率
というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年
代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常
に深刻な危機にさらされていると考える」と述べ、当時との類似性を
警戒すべきと発言しています。
8月の生産者物価指数は前月比「0.7%」増と、市場予想を超え、
総合指数では前年比「8.4%」上昇し、伸び率は統計開始後の最大
を更新しています。
原料不足や輸送面でのボトルネック、労働コストの上昇など、生産面
のあらゆる過程で厳しい状況が続いているようです。企業の多くはこ
こ数カ月、こうしたコスト上昇分を「値上げ」という形で消費者に転
嫁しており、インフレを加速させていると見られます。
NY株式市場はこうした物価上昇を警戒するかのように、先週は軟調
な展開でした。
ダウは5日続落で、この間の下げ幅は760ドル余りとなっており、
恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も約3週間ぶりに警戒レベルの「20」を超
えて来ました。実際にはまだそれほど警戒する状況ではないと考えま
すが、先行性のある株式市場の動きには注意が必要です。
先週末には米中の対立が一段と強まる中、バイデン大統領と習近平国
家主席との電話会談が突如実現しました。
ホワイトハウスは、「両首脳は広範囲の戦略的な話し合いを持ち、そ
れぞれの利益が一致する分野と、利益と価値、視点が異なる分野につ
いて意見を交わした」と発表しましたが、バイデン大統領は、中国側
に対話への真剣さが見られないことへの不満を伝え、習主席は、両国
関係に対し「米国の対中政策が時には深刻な問題を引き起こした」と
バイデン氏に伝えたと報じられています。
また、この会談はバイデン大統領が呼び掛けたということのようです。
NY株式市場は、米中首脳による電話会談の効果もなく、大きく下げ
ました。

FOMCまで1週間余りとなりました。上でも述べたように、これま
でのFOMCメンバーの発言からすると、年内のテーパリング開始の
可能性は高いようですが、来週のFOMCでの決定はなさそうです。
好調だったNY株式市場にもやや変化が見られ、早すぎるテーパリン
グ開始は景気を後退させることにもなります。
「物価上昇」、「デルタ変異株の感染拡大」、さらに「株価の動向」
などを睨みながらFRBは厳しい判断を迫られます。

本日のドル円は109円50銭~110円20銭程度を予想します。


ECB、緊急債券購入のペース減速を決定 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円台から再び反落。米景気への懸念から
長期金利が低下し、ドル円は109円63銭まで売られる。
◆ユーロドルはECBの決定を受け上昇する場面もあったが、
1.18台半ばまで買われた後、前日の水準に落ち着く。
◆株式市場は続落。ダウは151ドル下げ、4日続落。
◆債券は続伸。長期金利は1.29%台まで低下。
◆金は反発。原油は中国の戦略原油備蓄放出を材料に1ドルを
超える下げに。

◆新規失業保険申請件数高    → 31.0万件

本日の注目イベント

◆独   独8月消費者物価指数(速報値)
◆英   英7月鉱工業生産
◆米   8月生産者物価指数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演

ECBは政策委員会を開きパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)
の購入ペースを10―12月期(第4四半期)に減速させることを決めま
した。第2、第3四半期は月額800億ユーロ(約10兆4000億円)
の購入を続けていましたが、これを新たに月額600億~700億ユーロ
に設定した模様です。ユーロ圏では直近の消費者物価指数が「3.0%」
と、ECBの目標である「2.0%」を大きく超えており、政策メンバー
の多くから「政策見直し」声が多く挙がっていました。これに対して「物
価上昇は一時的である」と、慎重な姿勢を示してきたラガルド総裁でした
が、今回はそうした意見を受け入れ購入ペースの減速を決めたようです。

ラガルド総裁は会見で、「ユーロ圏経済の回復がますます進展している」
と、購入を減速させても回復が続くことに自信を示しながらも、今回の決
定は「テーパリングではない」と言明し、「PEPPを向こう3カ月につ
いて微調整する」と述べていました。この発言を受け、ユーロドルの上昇
が抑制されています。ECBは3カ月ごとにPEPPの見直しを行ってお
り、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染次第では今後も続けて減速
するかどうか不透明です。またインフレの脅威を巡る認識では政策メンバ
ーの間で異なっており、緊急措置の終了方法と時期の議論は、まだ機が熟
していないことも示唆していました。
3カ月の購入ペースを決めたことで、「12月16日の会合がPEPPの
先行きに関する重大な決定の場となる」と、ブルームバーグは伝えていま
す。

カナダ、オーストラリアに次いでECBが債券購入ペースの減速を決めた
ことで、FRBの判断がますます注目されてきます。
昨日も多くのFOMCメンバーがテーパリングを巡る発言を行いました。
ボウマンFRB理事は米銀行協会向けのオンライン形式の講演で、「私が
期待するようなデータが出てくれば、年内に資産購入縮小の過程に入るこ
とは適切となる可能性が高い」と述べ、テーパリングに前向きな発言を行
いました。質疑応答では、「私は入ってくるデータに勇気づけられている
ことに変わりはないが」、FOMC次回会合での「われわれの協議結果を
事前に判断したくない」とも述べています。
また、アトランタ連銀のボスティック総裁はダウジョーンズとのインタビ
ューで、「夏の前半には強いデータが出ていたので、私は多くの予想より
も早期のテーパリング開始支持に相当傾いていた」と語っています。(ブ
ルームバーグ)
その上で、「最近の弱いデータはまだ幾らかの駆け引きがある可能性を示
唆したが、私は今も年内のある時点が適切だと考えている」と付け加え、
かなりタカ派寄りの発言を行っています。

一方シカゴ連銀のエバンス総裁はなお慎重な姿勢を示し、「昨年に経済活
動が深刻かつ急激に落ち込んだ後、経済は力強く成長した。しかし、サプ
ライチェーンや労働市場で広がるボトルネックが示すように、課題は山積
している」と述べています。
また自身の慎重な見方の理由として、「新型コロナウイルスの新たな変異
株が全米で健康や安全性に影響を及ぼす中、全ての共通要素は引き続き不
確実性が高いということだ」と指摘しています。
労働市場にやや鈍化の傾向が見られ、デルタ変異株感染拡大の収束が見え
ない状況下でありながらも、FOMCメンバーの多くはテーパリング開始
を支持しているのが現状です。エバンス総裁の発言は少数派に属するかと
思いますが、11月のFOMCでのテーパリング開始に関する発表がある
ことは、最早「既成事実化」していると言えます。
今後金利は緩やかな上昇に向かい、ドルをサポートすると予想します。
今週のドル円は一時110円45銭まで買われ、「上っ放れる」形を見せ
ましたが、結局失敗に終わっています。再来週のFOMCまで膠着は続く
かもしれません。

本日のドル円は109円30銭~110円程度を予想します。


ベージュブック、米景気を下方修正 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間では日本株の上昇にドル円は110円45銭を付けたが
NYではリスク回避の流れから110円台前半まで下落。
◆ユーロドルは続落。1.1802までユーロ安が進む。
◆株式市場では3指数が揃って下落。ダウは68ドル安で3日続落。
ナスダックは朝方上昇していたが、利益確定の売りに押され
4日ぶりに反落。
◆債券は反発。長期金利は1.33%台へと低下。
◆金は続落し、原油は反発。

◆7月消費者信用残高    →  170.00億ドル

本日の注目イベント

◆中   中国8月消費者物価指数
◆中   中国8月生産者物価指数
◆独   独7月貿易収支
◆独   独7経常収支
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧  ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   地区連銀(NY,ダラス、ミネアポリス、ボストン)総裁、人種差別関連イベントで講演
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論に参加
◆米   ボウマン・FRB理事講演 

日経平均株価が連日の上昇で、昨日は引け値で3万の大台を回復し、
3万181円で引けました。昨日も述べたように、株価の上昇がリス
クオンにつながり、低金利の円が売られる展開となり、ドル円は午後
には110円45銭まで上昇しました、
このため、今朝の日足では「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を
上方に抜けた形になってきました。まだ明確に抜けたかどうかの判断
には迷うところですが、過去の経験則からすれば、ドルが上昇する可
能性が出て来たかもしれません。一応、注意する必要があります。

公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)によると、米国の経
済成長は7月初旬から8月末にかけて緩やかなペースへと若干、下方
へシフトしたと報告されています。
ベージュブックは、「経済活動が減速した主たる理由は、大半の地区
での外食や移動、観光分野の後退にある。新型コロナウイルスのデル
タ変異株の感染増加による安全性への懸念を反映した動きだ」と指摘
しています。さらに、先週末に発表された8月の雇用統計の結果を裏
付けるように、「労働者の需要は引き続き強まっているが、全ての地
区が広範に及ぶ労働力の不足を訴えた。労働力不足が雇用を制約し、
多くの場合、事業活動の妨げになっている」と記されていました。

8月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の3分の1以下と
いう衝撃的な結果でしたが、FOMCメンバーのインフレに対する警
戒感は相当なもので、テーパリングに踏み出すことへの考えはぶれて
いないようです。
タカ派の最右翼に位置するセントルイス連銀のブラード総裁はフィナ
ンシャル・タイムズとのインタビューで、8月の雇用者数の伸びの弱
さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段
階的にする計画を進めるべきだと述べています。
ブラード氏は、「労働者への需要は強く、失業者よりも求人の方が多
い」と指摘し、早期のテーパリング開始が必要なもう一つの理由に、
「金融政策が生じつつある『住宅バブル』をあおる一因となる可能性
があることだ」と述べています。

また、12地区連銀の中では別格で、FRB執行部の一員と見られて
いるNY連銀のウイリアムズ総裁も、テーパリング開始が適切との姿
勢を見せています。総裁は、「私が想定する通りに米経済の改善が
続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり
得よう」と話し、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済
見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変
異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」と説明しています
(ブルームバーグ)
これまでどちらかと言えば早期のテーパリング開始には慎重な姿勢を
示していた同総裁が、増加ペースが大きく鈍化した雇用統計を受けた
後にもかかわらず、このような発言を行った意味は決して小さくはな
いと、個人的には感じています。
ウイリアムズ総裁は、サンフランシスコ連銀総裁からNY連銀総裁に
「昇格」した人物で、いずれはFRB議長、あるいはその先には財務
長官にも就任する可能性があると見ています。

最近の経済ニュースで、中国の「中国恒大集団」の話題がにぎわって
います。同社は中国の不動産開発大手で、このところ財務内容が急激
に悪化していることが報じられています。昨日の香港株式市場では同
社の株価が大きく下げ、格付け会社ムーディーズは今年6月以降で同
社の格下げを3度発表しています。「中国恒大集団」は3000億ド
ル(約33兆1200億円)の負債を抱えており、仮に同社が破綻す
れば、貸し手である金融機関など、多くの関係企業に影響が出ると見
られます。同社のドル建て債券の多くが額面1ドルに対して、すでに
30セントを下回っていると報じられています。今後大きな中国リス
クにつながるのか、注意は必要です。

本日のドル円は109円90銭~110円60銭程度を予想します。


米長期金利一時1.38%台へと上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方に110円台に乗せ、110円32銭まで上昇。
米長期金利が一時1.38%台まで上昇したことを手掛かりに
ドル高が進む。
◆ユーロドルも水準を切下げ反落。1.1838まで売られ、
独ZEW景況感指数が軟調だったことも売り材料に。
◆株式市場ではダウが大きく売られ続落。一方ナスダックはアップルなど
大型ハイテク株が買われ小幅ながら4日連続で最高値を更新。
◆債券は反落。米景気がピークだとの見方が再び強まり、債券が
売られた。長期金利は一時1.38%台まで上昇。
◆ドルが買われたことで金は大きく反落。原油も売られる。

本日の注目イベント

◆日   4-6月GDP(改定値)
◆日   7月貿易収支
◆日   7月国際収支
◆日  8月景気ウオッチャー調査
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   7月消費者信用残高
◆加   カナダ中銀政策金利発表
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演(オンライン)
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、タウンホール会議開催(オンライン)


連休明けのNYではドル円が朝方に110円台を回復し、110円32銭まで
ドルが買われる場面がありました。110円台に入ると、最後は結局押し戻さ
れる展開がかなり長く続いていますが、今回はドルの水準がこれまででも「高
い」方です。直近では9月2日は110円09銭、8月30日は110円26
銭、8月26日は110円22銭を高値に反落しており、その意味では昨日は
ドルの高値を若干ですが「切り上げた」ことになります。
米景気のピークアウト論が再び蒸し返され、ダウは269ドル安。債券も売ら
れ金利が上昇したことでドルが全般的に買われています。
新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大が米経済再開を妨げるとの懸念が広
がっており、7-9月期の見通しが既に引き下げられ、成長は鈍化傾向を見せ
始めています。
ブルームバーグは、「今後数週間はかなり波乱含みの展開になるだろう。デル
タ変異株を巡る懸念だけが理由ではない。財政刺激策の縮小や議会の政策、一
部のセクターでの全般的な回復減速も要因だ」といった、エコノミストのコメ
ントを引用していました。

中米エルサルバドルは7日、世界で初めて仮想通貨(ビットコイン)を法定通
貨として認定しましたが、多難なスタートとなりました。
NY時間7日の取り引きでは、1時間に10%余り下落する展開となり、ビッ
トコインの価格は4万3050ドルまで売り込まれました。
エルサルバドルのブケレ大統領はこのプロジェクトに利用される公式の電子財
布「CHIVO(チボ)」について、技術的問題でアクセスを一時停止したと
発表したことが重荷となり大きく下落しました。
同国中銀総裁は「ビットコインはボラティリティーが高すぎる」と懸念を表明
していた中での船出で、今後世界の国々の中でも同国のようにビットコインを
法定通貨とする国は現れないだろうとのコメントを残しています。
ビッコインは4月21日に過去最高値である6万4869ドルを記録しました
が、その後急落し、2カ月後の6月22日には3万ドルを割り込み、2万88
24ドルまで売られました。この間の下落率は55.5%と強烈です。
その後再び上昇に転じ前日には5万3000ドル近くまで反発すると、「6万
ドルも視野に入って来た」とのコメントも出る状況でしたが、今回の急落に見
舞われています。
なるほど、ボラティリティーが高すぎると受け止めざるを得ません。ブロック
チェーンなど優れたシステムもあり、今後伸びる可能性はあると思いますが、
ボラティリティーの高さを考えると投資対象には不向きかと思います。

今朝7時台のドル円は110円30銭前後で推移しています。再び109円台
に押し戻されるのか注視していますが、21-22日のFOMCまでは「一進
一退」の展開が続くとみています。
次期首相に誰がなるのかは為替には余り材料になりませんが、株式市場は多い
に関心を持って注目しているようです。
岸田氏と河野氏の一騎討といった様相になりそうですが、「一寸先は闇」なの
が政治の世界。まだまだ紆余曲折はありそうです。
日本株の急騰が多少円売りに組している部分もあり、東京時間でのドル円は底
堅いと予想しています。

ということで、本日は109円90銭~110円60銭といったところでしょ
うか。


日経先物3万円台に乗せる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆ドル円はややリスクオンが強まり、109円93銭前後
まで買われたが、NY市場が休場だったこともあり、その後
小幅に反落。
◆ユーロドルは前日より水準を下げ、1.18台での取り引きに
終始。

本日の注目イベント

◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日  7月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中   中国 8月貿易統計
◆中   中国8月外貨準備高
◆独   独7月貿易収支
◆独   独7月鉱工業生産
◆独   独9月ZEW景気期待指数
◆欧   ユーロ圏-6月期GDP(確定値)
◆英   英8月小売売上高

NY市場が「レーバーデイ」の祝日により休場だったことで、為替市場は
閑散でした。ドル円は109円台後半で推移し、ユーロドルも前日からや
や水準を切り下げたものの、動意はなく値幅も限定的でした。活況だった
のは東京株式市場でした。
昨日も日経平均株価は朝方から大幅な上昇で始まり、終わってみれば53
1円高と、高値引けでした。東証株価指数トピックスに至っては、31年
ぶりに最高値を更新したようです。欧米などと比べ出遅れが鮮明な日本株
は、コロナ対応の稚拙さもあり、上値の重い展開が続いていましたが、9
月に入り海外からも買い注文が入り出したようです。
高値警戒感がくすぶるNY株式市場と異なり、出遅れた分上昇余地がある
のかもしれません。

菅首相が退陣表明したとたんに大きく上昇したことは分からなくもありま
せんが、新しい首相の経済対策に期待が先行している印象です。昨日の夜
間の大阪先物市場では日経平均は3万円の大台に乗せています。
現時点では河野氏への支持が最も高いようで、石破氏も河野氏支持を表明
したと伝えられています。今月末には新しい首相が決まっており、どの程
度の規模と、どこに重点的に配分する経済対策が打ち出されるか注目され
ます。
株価の上昇が続くようだと、市場はリスクオンに傾き易く、ドル円にとっ
てはサポート材料になると見られていますが、効果のほどは限定的かと思
われます。
8月の雇用統計の結果が予想外の鈍化を示したことが、21日から始まる
FOMCにも影響を与えるとの見方が強まってきました。
ブルームバーグは、発表を受けエコノミストの間では、金融当局者はテー
パリング開始前に雇用者数のさらなる増加を確認する必要があるのではと
の声が出ていると報じています。
FRBの元エコノミスト、ジュリア・コロナド氏は、「今回の雇用統計で
、9月のFOMCでテーパリングが決定する可能性は消えた」と指摘し、
その上で、「年内でのテーパリングはなお基本シナリオであり、発表の次
期やテーパリングのペースを決める上では今後数カ月のデータが重要にな
る」と述べています。

またFRBの楽観的な物価見通しに警鐘を鳴らしているサマーズ元財務長
官は、財政・金融政策による景気刺激が「度を超す」ことへの懸念をあら
ためて示すとともに、8月の雇用統計の結果について、「雇用主が新規採
用を望んでいないわけではなく、雇用の伸びを抑えているのは多くの場合
、雇いたいと望んでいる人を見つけるのが非常に難しい点にある」と指摘
し、「企業は価格上昇分を転嫁する上ではそれほど困難に直面してはいな
い様子だ」とも述べています。
サマーズ氏は、今後も物価上昇は続き、一時的なものではないとの認識を
示しています。
FRBによるテーパリングの開始が先延ばしになるとの見方から世界株式
市場で株価の上昇が続いていますが、9月の雇用統計が仮に大きく上振れ
した場合には、株価が急落する可能性もあります。
いずれにしても、FRBによるテーパリングの時期は来年の春先までには
実施されると見ています。

本日のドル円は109円50銭~110円30銭程度を予想します。


米8月非農業部門雇用者数予想を大きく下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は110円近辺から反落。8月の雇用統計で雇用者数が
予想を大きく下回ったことで、緩和縮小判断に影響が出る
との見方からドルが売られた。
◆ユーロドルは続伸。6月29日以来となる1.1909まで
ドル安ユーロ高が進む。
◆株式市場は景気敏感株が売られ、大型ハイテク株が買われた。
ダウは74ドル下げ、ナスダックは3日連続で最高値を更新。
◆米景気に対する懸念から債券は反落。長期金利は1.32%台に
上昇。
◆金は反発し、原油は反落。

◆8月失業率                    →  5.2%
◆8月非農業部門雇用者数              →  23.5万人
◆8月平均時給 (前月比)             →  0.6%
◆8月平均時給 (前年比)             →  4.3%
◆8月労働参加率                  →  61.7%
◆8月ISM非製造業景況指数            →  61.7
◆8月マークイットサービス業PMI(改定値)    →  55.1
◆8月マークイットコンポジットPMI(改定値)   →  55.4

本日の注目イベント

◆独   独7月製造業新規受注
◆米 NY市場休場 (レーバーデー)
◆米   失業保険の上乗せ給付期限切れ
◆米   米国防長官、カタール訪問


先週水曜日のADP雇用者数に続き、8月の雇用統計では非農業部門雇用者数
(NFP)が市場予想の「73.7万人」を大きく下回る「23.5万人」で
した。予想を大きく下回る結果に、FRBが年内に債券購入を縮小させるかど
うかの判断を難しくさせるのではないかといった見方が浮上し、債券が売られ
金利は上昇しました。ドル円は109円台半ばまで売られ、ユーロドルでは1
.19台までドル安・ユーロ高が進みました。テ―パリング開始時期が遅れる
のではないかとの懸念がドル売りにつながったようです。

確かに、今回の数値は速報段階ですが、ADPと雇用統計でのNFPが予想を
大きく下回ったことは、驚きです。デルタ変異株の感染拡大がすでに消費活動
を抑制しており、企業のオフィス復帰計画の妨げにもなっています。こうした
状況で雇用主は採用に一段と慎重になり、一部労働者が他の人と接触する機会
の多い仕事を敬遠している可能性があると、ブルームバーグは分析しています
。今回の雇用統計の内訳でも、娯楽・ホスピタリティー業界の雇用者数は前月
比横ばいで、レストラン・バーの雇用者が4万2000人減少でした。また、
建設業、小売業、政府機関、ヘルスケア関連の雇用も減少しています。
デルタ変異株の急激な感染拡大が消費や雇用を通じて米景気そのものを悪化さ
せる可能性があるとの声も出てきました。

しかし、今回の雇用結果だけで米景気の減速を判断するのはやや早計かと思わ
れます。8月分のNFPは増加傾向が大きく鈍化しましたが、7月分と6月分
はともに、上方修正されています。
7月分は「94.3万人」から「105.3万人」に、6月分は「93.8万
人」から「96.2万人」へと上方修正され、その合計は13.4万人にもの
ぼります。特に7月分は「100万人の大台」を大きく超えています。
また失業率も2020年3月以来の低水準で、コロナパンデミック以降最低で
す。さらに言えば、毎週発表される新規失業保険申請件数も減少傾向を示して
います。今回の期待外れの雇用統計を受けてバイデン大統領は、「これまで実
施してきた措置により、米国は経済の急降下から抜け出した。雇用は増えつつ
あり、失われていない」と強気の発言を行っています。

言えることは、9月のFOMCでのテーパリング開始に関する言及がなされる
可能性はほぼなくなったということと、そもそもパウエル議長は数回の雇用統
計の結果を見極めたいと述べていたこともあり、8月だけではなく9月の雇用
統計の結果も見極める必要があったということです。
連邦政府が失業給付金に上乗せする特別加算(週300ドル=3万3000円
)は9月4日に期限切れとなっています。手厚い上乗せが無くなったことで、
多くの人は本確的に仕事探しに奔走することが予想されます。
また、米国では8月から新学期が始まったことも、人々が外に仕事を求め易く
なったと考えられ、雇用に好影響を与える材料になります。
デルタ変異株の感染状況をしっかりと見極める必要があることは当然ですが、
10月に発表される「9月の雇用統計の結果」が政策判断に大きく影響するこ
とになります。

ドル円は110円台に乗せると押し戻される展開が続いています。
一方株式市場の方では、ようやく日本株の上昇が話題になるほど上昇傾向を強
めています。
本日も日本株の上昇が予想され、株価の上昇はひとまず「リスクオン」という
ことになり、ドル円は底堅い動きを見せると予想しています。
NY市場がレーバーデイで休場のため、大きな動きはないと思いすが、レンジ
予想は109円40銭~109円90銭程度といったところでしょうか。


豪ドル円約1カ月ぶりに81円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は雇用統計の発表を控えて小動き。
110円を挟み、値幅も20銭を切る。
◆ユーロドルは小幅に続伸。1.1876までユーロが
買われ、主要通貨ではドル安の流れに。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500は
揃って最高値を更新する。
◆債券は続伸。長期金利は1.28%台に低下。
◆金は続落。原油は大幅に上昇し一時70ドル台を回復。
ハリケーン「アイダ」の被害が大きいことも価格を押し上げた。

◆新規失業保険申請件数 →  34.0万件
◆7月貿易収支     →  -701億ドル
◆7月製造業受注    →  0.4%

本日の注目イベント

◆中   8月財新サービス業PMI
◆中   8月コンポジットPMI
◆トルコ  トルコ8月消費者物価指数
◆独   独8月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月小売売上高
◆英   英8月サービス業PMI(改定値)
◆米   8月雇用統計
◆米   8月ISM非製造業景況指数
◆米   8月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   8月マークイットコンポジットPMI(改定値)

今夜の雇用統計発表を控え、為替市場は小動きの展開でした。
リスクオンがやや強まり、米長期金利が低下し、株価が上昇。主要通貨では
ドル安が若干進みましたが、ドル円では円を買う動きはさほど高まらず、コ
ロナワクチン接種率の影響や、政治的リスクが影響していそうです。
そのため、クロス円はさらに水準を切り上げ、豪ドル円は先月12日以来と
なる81円台半ばまで上昇しています。クロス円全般の上昇がドル円の下落
を抑制しているとも言えます。

今夜の雇用統計では非農業部門雇用者数が72万5000人増と予想され、
失業率も5.2%へ低下するとみられています。
昨日発表の失業保険申請件数は34万件と予想以上に減少しており、パンデ
ミック以降の最小を更新しています。この通りであれば、パウエル議長が口
にした「一段と顕著な進展」に近づくことになります。
アトランタ連銀のポスティック総裁は講演で、「われわれは予防的な措置を
講じるのではなく、インフレの兆しが確認できるまで経済を引き続き展開さ
せる形に長期的な枠組みを見直した」と述べ、タカ派とはやや異なる発言を
行っています。

ルイジアナ州に上陸した大型のハリケーン「アイダ」は熱帯低気圧へと勢力
を弱めましたが、残した傷跡は大きく、各地で被害が広がっています。
NY州やニュージャージー州などでは竜巻や豪雨により、一部の地域では道
路が冠水、鉄道などの交通が停止し、少なくとも9人が死亡したとブルーム
バーグは伝えています。
NY市のデブラシオ市長とNY州のホークル知事は、それぞれ非常事態を宣
言しています。またメキシコ湾石油生産の9割以上が停止したままとなって
いることでWTI原油価格は一時70ドル台に乗せています。

米株式市場では「一歩後退二歩前進」といった展開が続いており、昨日は主
要3指数が上昇。ナスダックとS&P500は最高値を更新しています。
いずれの指数もPER(株価収益率)が上昇しており、高値警戒感がありな
がらも最高値を更新しています。
投信などを通じて大量の資金が流入しており、株価に関わらず買わなければ
ならい状況が続いているとの報告もあります。
日本株の出遅れが鮮明で、さすがに今週に入っては連日上昇しています。
市場はややリスクオンが優勢な状況かと思いますが、今夜の雇用統計でサプ
ライズの好結果が出るようだと、テーパリングが意識される展開となり、株
安ドル高が進む可能性もあり、注意が必要です。

本日のドル円は109円50銭~110円50銭と見るのが順当かと思いま
す。底堅いドル円ですが、110円台半ばを超え111円に向かうには、長
期金利が1.5%を超えることが必須条件かもしれません。


ADP雇用者数予想を大きく下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間夕方に110円42銭近辺まで買われたドル円は
ADP雇用者数の発表を契機に反落。110円を割り込み
109円88銭まで売られる。
◆ユーロドルは続伸。ECBによる資産購入縮小観測を
支えに、1.1857まで上昇。
◆株式市場はまちまちながら、大型ハイテク株の上昇にナスダックは
連日で最高値を更新。ダウは小幅に下げ、S&P500は小幅高。
◆債券は反発。長金利は1.29%台に低下。
◆金は反落し、原油は小幅に反発。

◆8月ADP雇用者数              →  37.4万人
◆8月ISM製造業景況指数           →  59.9
◆8月マークイット製造業PMI(改定値)    →  61.1
◆8月自動車販売台数              →  1306万台

本日の注目イベント

◆豪   豪7月貿易収支
◆日   8月マネタリーベース
◆米   新規失業保険申請件数
◆欧   ユーロ圏7月生産者物価指数
◆米  7月貿易収支
◆米   7月製造業受注
◆加   カナダ7月住宅建設許可件数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで質疑応答に参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、ウェビナーに参加
◆加   カナダ7月貿易収支

ドル円は昨日の東京時間から底堅い動きを見せ、夕方には110円42銭
近辺までドル高が進みました。「ひょっとしたら、110円台を固める動
きの前兆か」との見方も台頭しましたが、そうは簡単にいかないところが
ここ数カ月の相場展開。
NY時間朝方に発表された8月のADP雇用者数の結果にあえなく110
円台を割り込み、109円88銭まで押し戻れ、110円前後で取引を終
えています。米長期金利の低下がドル円の上値を抑える展開になっている
一方、ユーロ円など、クロス円が再び上昇基調に転じてきたことがドル円
を支える構図になっています。

8月のADP雇用者数は事前予想の「62.5万人」に対して「37.4
万人」と、予想を大きく下回りました。7月の時も予想を大きく下回り、
これで、2カ月連続で下振れしたことになります。7月分はさらに下方修
正され、ここから窺えることは、企業の人材確保が依然として困難だとい
うことを示唆しています。さらに新型コロナウイルスのデルタ変異株の感
染拡大で外食などサービス業への消費支出が大幅に減少すれば、人員採用
へのさらなる向い風になる恐れもあります。
ただ予想を大きく下回ったものの、8月の雇用はあらゆる規模の企業で幅
広く増加しています。従業員5000人以上の企業では13万8000人
増え、小規模企業でも8万6000人増加しています。(ブルームバーグ)

明日は雇用統計の発表です。
7月はADP雇用者数が予想を大きく下回ったものの、雇用統計では予想
を大きく上回る結果だったことは記憶に新しいところです。
さて、今回も前月のように「逆相関」を見せるのか、あるいは予想を大幅
に下回り「相関」を見せるか注目されます。
言えることは、両データにははっきりとした相関関係はないと言うことで
す。相関係数で言えば「ゼロ」に近い値と言えます。
因みに「+1」であれば極めて相関関係が強く、「-1」に近づくほど「
逆相関」が強まるということになります。果たして今回は?

ECBの政策委員会のメンバーであるワイトマン・ドイツ連銀総裁は講演
で、「物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は
、上向きのリスクが優勢だ」と語り、「緩和的な金融政策は依然として適
切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」と述べてい
ます。
8月のユーロ圏のCPIは前年同月比3.0%上昇し、10年ぶりの高イ
ンフレを記録しました。中でもドイツやフランスでは3%を大きく超えて
います。
ECB内ではドイツに近いとされる、オランダ中銀とオーストリア中銀の
総裁が、ユーロ圏の景気回復の進展に照らし、債券購入を減速させるべき
だという意見を主張していますが、ギリシャ中銀総裁は反対に、インフレ
急上昇を過剰に解釈してはならないと反論しています。来週9日に開催さ
れるECB理事会での議論と、ラガルド総裁の判断が注目されます。
ユーロドルは先月20には1.16台ミドルまで売られましたが、すでに
底値から200ポイント程の反発を見せており、ECBのテーパリングを
意識した動きと見られます。

ジャクソンホールのシンポジュウムでのパウエル議長の講演を踏まえるま
でもなく、明日の雇用統計と来月の雇用統計の結果が非常に重要な意味合
いを持ちます。
議長の発言がややハト派寄りであったことから、株と債券が買われ、ドル
はやや軟調に推移しています。底堅いドル円はコロナワクチンや政治的リ
スクがやや織り込まれているのかも知れません。短期的にはドルの上値が
重いと予想している筆者の見方がどこまで有効か、あるいは読み違えなの
か、明日の雇用統計が教えてくれそうです。

本日のドル円は109円60銭~110円40銭程と予想します。


ユーロ圏8月CPIは3%に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は軟調な経済指標に、朝方は109円59銭まで
売られたがその後110円台を回復。米長期金利の上昇が
ドルを押し上げる。
◆ユーロドルは水準を切り上げ1.1839まで上昇。
8月のCPIが予想を上回る3%だったことでユーロを
買い戻す動きにつながる。
◆株式市場は3指数とも下げる。ただ、いずれも下げ幅は小さく
上昇基調は変わらずとの声も。
◆債券は反落。長期金利は1.30%台を回復。
◆金は反発し、原油は反落。

◆6月ケース・シラ-住宅価格指数   →  19.1%
◆6月FHFA住宅価格指数      →  1.6%
◆8月シカゴ購買部協会景気指数    →  66.8
◆8月消費者信頼感指数        →  113.8

本日の注目イベント

◆豪   豪4-6月期GDP
◆中   8月財新製造業PMI
◆独   独8月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏7月失業率
◆英   英8月製造業PMI(改定値)
◆米   8月ADP雇用者数
◆米   8月ISM製造業景況指数
◆米   8月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   8月自動車販売台数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで質疑応答に参加
◆米   ケリー大統領特使、訪中(3日まで)

今日から9月です。
コロナに翻弄された8月だったという印象ですが、ドル円の8月の値幅は2円強と、
7月よりも縮小しています。ここ3カ月は多くても2円50銭程度の値幅で推移し、
さらに110円を中心としたもみ合いが続いています。
特に8月は、事前に大きく盛り上がったジャクソンホールがありましたが、「大山
鳴動して鼠一匹」といった状況でした。
今月は21-22日にFOMCが開催され、政策変更はないとしても、テーパリン
グに関する言及があるかもしれないとの観測もあります。また、今週末の雇用統計
が非常に注目されていることもあり、今月はもう少し値幅を伴って動いて欲しいも
のです。少なくとも110円中心の動きから脱却し、次への期待が持てる値動きを
希求したいところです。

バイデン大統領は31日演説を行い、アフガニスタンでの20年に及ぶ米軍の軍事
活動の終了を宣言しました。「私はこの長い戦争を延長するつもりはなく、長い撤
収を先延ばしするつもりもなかった」と述べ、さらに「この戦争を終わらせる時だ
った」と強調しました。米軍は撤退期限の最終段階でISの自爆テロにより13人
の兵士を失っており、国民の一部からは批判の声も上がり、支持率も低下していま
す。バイデン氏は、「歴史上、このようなことを過去に成し遂げた国はない」と反
論していました。

6月のケース・シラー住宅価格指数は主要20都市で「19.1%」(前年同月比
)と、過去最大の伸びを見せました。全米ベースでも「18.6%」の上昇で、デ
ータがさかのぼれる1988年以降で最大だとブルームバーグは報じています。
個別に20都市を見ると、全ての都市で20~40%ほど上昇していますが、特に
アリゾナ州の州都であるフェニクスは「52.5%」と、20都市では最大の伸び
を示しています。
ハイテク企業の多いカリフォルニア州からの企業や人口の流入が続いているようで
す。コロナ禍の影響によりリモートワークが主流になったことや、低金利の住宅ロ
ーンを背景に購入希望者が多く、人気が集まっているようです。また株価の上昇に
よる資産効果の影響も大きいと見られます。ただこれほど価格が高騰すると、一般
的な市民には手が届かないことになり、「格差の拡大」がさらに進むことにもなり
ます。

一方で消費者の先行きに対する心理は悪化しています。
コンファレンスボードが発表した8月の消費者マインドは、6カ月ぶりの低水準と
なる「113.8」でした。
7月分も下方修正され、特に現況指数の「147.3」は4月以来の低水準でした
。先月13日に発表されたミシガン大学消費者マインド速報値でも、市場予想を大
きく下回る10年ぶりの低水準であったことが市場にインパクトを与えました。
同指数は調査対象人数が300人と限られることから、全体的な趨勢を推し量るに
はやや「難」もありましたが、今回のコンファレンスボードの同指数は対象人数も
5000人規模と言われており、それなりに精度に信頼性があります。
デルタ変異株の感染拡大が人々の行動様式や消費行動に悪影響を与えていると考え
られます。すでにレストランの予約や航空旅行、ホテル稼働率などにも影響が出て
おり、加えて「ガソリンや食品価格の上昇が消費者心理を一段と悪化させている可
能性がある」(ブルームバーグ)と分析されています。

ユーロ圏でも物価上昇が続いています。
8月のCPIは「3.0%」と、10年ぶりの高水準でした。
フランスでも8月は「2.4%」,ドイツは「3.4%」と、いずれも市場予想を
上回る上昇率です。
米国と同様にエネルギーや食品の価格が上昇しており、半導体などの世界的な供給
不足もコストを押し上げているようです。
ECBの政策メンバーであるクノットオランダ中銀総裁は、「来週開かれる政策決
定会合でパンデミック緊急債券購入プログラム(PEPP)の3月終了と矛盾しな
いか決定がなされると見込んでいる」と述べ、「つまり、購入ペースの減速を意味
する」と続けています。ホルツマン・オーストリア中銀総裁も「9月会合で危機対
応措置の縮小議論をすべきだ」と述べており、ECBもFRBの背中を追っている
状況が鮮明になってきました。

本日のドル円は109円60銭~110円30銭程度と見ています。


このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判
断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊
社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外国為替証拠金取引とは、元本や利益が保証された金融商品ではありません。お取引した通貨にて、
相場の変動による価格変動やスワップポイントの変動により、損失が発生する場合があります。
レバレッジ効果では、お客様がお預けになった証拠金以上のお取引が可能となりますが、証拠金以上の
損失が発生するおそれもあります。個人のお客様の取引に必要な証拠金は、各通貨のレートにより
決定され、お取引額の4%相当となります。証拠金の25倍までのお取引が可能です。
(法人のお客様の取引に必要な証拠金は、通貨ペア、取引コースにより1万通貨あたり3,500円から
34,000円の範囲内であり、証拠金の約200倍までの取引が可能です。)当社では、
「オフセット注文™」以外の取引手数料、口座維持手数料を無料としておりますが、
取引レートの売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があり、
また諸費用等については別途掛かる場合があります。当社は法令上要求される区分管理方法の
信託一本化を整備いたしておりますが、区分管理必要額算出日と追加信託期限に時間差があること
等から、いかなる状況でも必ずお客様から預かった証拠金が全額返還されることを保証するもの
ではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。
通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から
決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。