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米主要3指数が揃って最高値を更新 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し113円26銭まで売られる。ユーロドルでドル安が
進んだ影響もあり、米金利が上昇したにもかかわらず上値の重い1日だった。
◆ECB政策会合後、利上げ観測がやや早まったことからユーロドルは上昇。
約1カ月ぶりとなる1.1692までユーロ高ドル安に振れる。
◆株式市場では主要3指数が揃って最高値を更新。キャタピラーなど、
企業の好決算が相場を押し上げ、アマゾンや、テスラなども買われた。
◆債券は反落。長期金利は1.58%台へ上昇。
◆金と原油はともに買われる。

◆7-9月GDP(速報値)      →  2.0%
◆ 新規失業保険申請件数       →  28.1万件
◆9月中古住宅販売成約件数     →  -2.3%

本日の注目イベント

◆豪   豪9月小売売上高
◆豪   豪第3四半期生産者物価指数
◆日   9月失業率
◆日  9月消費者物価指数
◆日  10月東京都区部消費者物価指数
◆日   9月鉱工業生産
◆独   独7-9月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏7-9月期GDP(速報値)
◆欧   G20財務・保健相合同会合(ローマ)
◆英   英9月消費者信用残高
◆米   9月個人所得
◆米   9月個人支出
◆米   9月PCEコアデフレータ
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   7-9月雇用コスト指数  

上値が重くなってきたドル円は昨日のNYでは113円26銭まで売
られました。米長期金利が上昇し、株式市場でも主要3指数が揃って
最高値を更新するなど、「リスクオン」が強まったにもかかわらずド
ル売りが優勢でした。
これはユーロドルでドルが売られ、ユーロが買われたことに影響され
たものと見られます。

ECBは金融政策会合で、市場予想通り政策金利を据え置きましたが
、ラガルド総裁は会見で、インフレは「当初の想定よりも長く続く見
込みだ」との見方を示したことで市場の利上げ観測が高まったことが
、ユーロ買いにつながったものです。ただラガルド氏は続けて、「来
年中には低下すると考えている」と述べ、「市場が利上げを想定して
いる時点、あるいはその時点から近い将来においても、ECBのフォ
ワードガイダンスの条件が満たされることをわれわれの分析は全く支
持していない」と続け、市場の利上げ観測を打ち消しています。また
今回の会合で政策委員会は、パンデミック緊急購入プログラム(PE
PP)を少なくとも2022年3月末まで継続することも確認してい
ます。

米国の第3四半期GDP速報値は「2.0%」と、第2四半期の「6
.7%」から急激に減速しました。個人消費の減速が最大の要因です
第2四半期には「12.0%」だった個人消費が「1.6%」まで減
速したことが、全体の足を引っ張った格好です。
「この先を展望すると、サプライチェーンの混乱と原材料不足に伴う
下振れリスクで、向こう数カ月は経済の拡大が抑制される可能性があ
る。しかし、10-12月は家計支出の回復を受けて、成長ペースが
より強いものになるだろう」との見方を、ブルームバーグは紹介して
います。

このような状況の中、早期の経済対策の実施が望まれますが、バイデ
ン大統領は28日、税制・支出計画について当初の規模を大幅に縮小
し、1兆7500億ドル(約200兆円)規模の枠組を発表しました
。子育てと医療、気候変動対策における連邦支援を拡大する内容で、
法人税の15%最低税率課税や自社株買いへの課税、1000万ドル
を超える年間所得に対する新たな課税などで財源を確保する計画です
。バイデン氏はこの日議会を訪れ、下院民主党に対し、同枠組みとは
別のインフラ法案を早期に可決させ、署名のため送付するよう呼び掛
けています。

余り注目されなくなった日銀の政策決定会合でしたが、会合後の記者
会見で黒田総裁は、現状の為替水準は「若干の円安」と認識しながら
も、「ファンダメンタルズの範囲内」とし、「現時点の円安は日本経
済にプラスなのは確実」との見方を示しました。
また米国が量的緩和の縮小を進めることについて問われると、「米国
の金融当局自体が言っているが、金利引き上げではない。そのため直
接的に金利や為替に影響が出て来ることは想定されない」と答えてい
ました。
やや上値の重い展開が続いているドル円ですが、この間のドルの下落
幅は大きくありません。
金融政策の違いは明確で、今後も円が売られる展開は想定しやすいと
考えます。

本日のドル円は113円20銭~114円程度を予想します。


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ドル円米金利低下で一時113円台半ばを割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米長期金利の低下を受け、朝方には113円39銭まで
売られる。その後は上昇に転じ113円80銭台で取引を終える。
◆ユーロドルは膠着感を強め、依然として1.16を挟む展開が
続く。
◆株式市場はナスダックが小幅に続伸したものの、ダウとS&P500は
反落。前日最高値を更新したダウは266ドルの大幅安。
◆債券は続伸し、長期金利は1.54%台まで低下。
◆金は反発し、原油は2ドルに迫る大幅安。

◆9月耐久財受注      →  -0.4%

本日の注目イベント

◆豪   豪7-9月四半期輸入物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独10月雇用統計
◆独   独10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏10月景況感指数
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   7-9月GDP(速報値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   9月中古住宅販売成約件数
◆米  企業決算 → キャタピラー、アップル、アマゾン

やや上値は重いと感じていたドル円でしたが、NYの朝方には米長期金利が
大きく低下したことを受け、113円39銭までドル売りが進みました。
先週末に記録した113円42銭のドル安値をわずかですが下回りましたが
、見方を変えれば113円40銭前後が底堅いとも言えそうです。
ドル円の上値がやや重くなった背景は、先週木曜日には1.7%台まで急伸
した米長期金利が1.54%台まで低下し、低下傾向を強めてきたことが主
因です。

ただ世界的にインフレ傾向が強まり、多くの国で利上げのタイミングを探っ
ている状況の中、米長期金利の低下も限定的かと思われます。
オーストラリアの10年債利回が1.82%台まで急騰し、約7カ月半ぶり
の高水準を付けました。第3四半期のCPIトリムが前年比で2.1%まで
上昇したことで利上げ観測が高まり、債券が売られた結果でした。RBAは
2024年まで利上げを行わないというシナリオを維持していますが、前倒
しになるとの観測が強まってきました。
また昨日はブラジル中銀が政策金利を150bp引き上げ、7.75%にし
ました。
さらにカナダ中銀も量的緩和を終了すると発表しています。
同中銀は声明で、「インフレ高進を伴わない経済成長の余地が供給面の制約
によって限定されていることから、早ければ4月にも政策金利の翌日物貸し
出し金利を引き上げる用意がある」としています。
このような状況の中、日銀は依然として量的緩和を継続しており、ゼロ金利
政策を維持する意向です。
今後日銀だけが「蚊帳の外」というわけにはいかないとは思いますが、依然
として出口が見えないのは事実です。日本の9月の生鮮食品とエネルギーを
除くコア・コアCPIは「-0.5%」でしたが、米国の同指数は「4.0
%」でした。

週内にも合意すると見られているバイデン大統領の提唱する経済対策案です
が、民主党穏健派のマンチン上院議員は、その原資の一部となる増税案には
賛同しないとしています。
同氏はバイデン大統領が、富裕層が保有する含み益を標的にした増税案は「
複雑だ」として高所得者に対する15%の最低課税率を設ける案を主張して
おり、これを「愛国税」と呼んでいるようです。
また下院歳入委員会のニール委員長は27日、富裕層「ビリオネア」の資産
への課税案について、年収1000万ドル(約11億4000万円)超の富
裕層に対し、最高税率に加え3%の付加税を課す案を下院は協議していると
語り、バイデン大統領の経済施策の週内合意に黄信号が灯りはじめています。

昨日この欄で「中国当局は、中国恒大集団の債務危機を緩和するため同社創
業者で富豪の許家印氏に対し、個人資産をなげうつよう指示した」との報道
内容を掲載しましたが、
ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、許氏の資産は76億ドル(約8
664億円)と、2017年のピーク時の420億ドルから大きく減少して
いると推計されるとのことです。
これは、許氏が保有する中国恒大集団の株価が今年に入り80%以上減少し
たことによるものですが、一方で2009年に同社が上場して以来、70億
ドル以上の配当を受け取っている資金の再投資先は不明のようです。
「中国恒大集団の債務3000億ドルに対してわずかな額である可能性は高
いが、それでも中国のクレジット市場を混乱させ、不動産セクターの信頼を
揺るがせている危機の深刻度を決定付けるかもしれない」と、ブルームバー
グは報じています。

本日はECBが政策金利を発表します。
政策金利は据え置きかと思いますが、ラガルド総裁のコメントが注目されま
す。足元のインフレを一時的と考えているラガルド氏の認識に変化があるの
かどうかで、来年3月まで予定されているPEPP(パンデミック緊急購入
プログラム)後の政策にも影響を与えそうです。

本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想します。


ドル円は反発し114円30銭台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発。日本株が500円を超える上昇を見せ、
NY株も3指数が上昇したことからリスクオンの流れに
伴い円が売られ、114円31銭まで上昇。
◆ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、引き続き
1.16を挟んでもみ合う。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って上昇。ダウと
S&P500は連日で最高値を更新。
◆債券は続伸。長期金利は1.60%台へと低下。
◆金は反落。原油は上昇し引け値で84ドル台に。

◆8月FHFA住宅価格指数         →  1.0%
◆8月ケース・シラ-住宅価格指数      →  19.66%
◆9月新築住宅販売件数           →  80.0万戸
◆10月消費者信頼感指数          →  113.8
◆10月リッチモンド連銀製造景況業指数   →  12

本日の注目イベント

◆豪   豪第3四半期消費者物価指数
◆中   中国9月工業利益
◆独   独11月GFK消費者信頼感
◆欧   ユーロ圏9月マネーサプライ
◆米   9月耐久財受注
◆米  企業決算 →  マクドナルド、コカ・コーラ、イーベイ、ボーイング
◆加   カナダ中銀政策金利発表
    
ドル円は114円台を回復し、NY市場では114円31銭まで「円売り」
が進みました。想定通りとはいえ、先週末には113円42銭までドルが売
られた割には、戻りが速いといった印象です。特にここ3日は米債券が買わ
れ、長期金利は低下傾向にある中での反発でした。消費者マインドなど、発
表された米経済指標が概ね良好だったこともありましたが、昨日は日米で株
価が上昇したことからリスクオンの流れが強まり、ドル高というよりも、「
円売り」と言った側面が強かったようです。市場がリスクオンに傾くと低金
利の円はどうしても売られる傾向にあり、昨日はクロス円も軒並み上昇して
います。

昨日の東京株式市場では日経平均が500円を超える上昇を見せました。
主要株式市場に比べ出遅れが鮮明で、特に岸田政権が発足するとの観測が出
た辺りから株価は下落基調でした。NYではダウとS&P500指数が最高
値を更新し、ナスダックも最高値をうかがう展開が続いている状況です。
今度の日曜日の衆院選では与野党が拮抗しているとの事前予想もあり、投票
率次第では「政権交代」もありうるとの極端な予想もあります。
政権交代が実現するかどうかは別として、今回の衆院選は人々の関心も高そ
うで、投票率も上振れする可能性はありそうです。
このことが、株価の上値を重くしている部分があり、選挙後に株価が再び大
きく下げるようなことがあると円が買い戻され、ドル円も113円を試す展
開があるかもしれません。いずれにしても、今回の衆院選の結果が株価の変
動を通じてドル円を動かしそうです。

10月の消費者マインドは市場予想を上回る「113.8」でした。
「仕事が豊富にある」と答えた比率は前回よりも若干低下していましたが、
依然として高水準を維持していました。
また期待指数は前回よりも大きく伸び、今後景気回復が続き消費が伸びるこ
とを示唆していますが、コンファレンスボードの景気指数担当者は、「短期
的なインフレ懸念が景気信頼感に与えた影響は限定的だった。10月は住宅
や自動車、大型家電の購入を計画する消費者の割合がいずれも増加した」と
説明しています。(ブルームバーグ)その住宅市場では9月の新築住宅販売
件数が6カ月ぶりの高水準となり、基調的な需要の底堅さを示していました
。ただ一方で住宅価格の高騰が続き、さらに、住宅ローン金利も徐々に上昇
してきていることから、人々が購入を前倒しにしている可能性があり、この
まま高水準を維持できるかどうかは不透明です。
同時に発表された8月のケース・シラー住宅価格指数を見ると、主要20都
市では引き続き価格上昇は止まらず、20都市平均では年率19.6%も上
昇し、7月では20%を超えていました。
1年たてば2割も価格が上昇してしまうことを考えたら、可能であれば早め
に買うか、あるいは購入をあきらめるしかありません

最後に中国の不動産バブルに関するニュースです。
中国当局は、中国恒大集団の債務危機を緩和するため同社創業者で富豪の許
家印氏に対し、個人資産をなげうつよう指示したとの報道があります。
ただ、許氏の個人資産が恒大の債務削減に十分寄与できるほど大きいのか、
また流動性があるのかについては定かではないようです。公表されている許
氏の資産の大半は、恒大の株式と、同社が2009年に香港市場に上場して
以来払われてきた現金配当が大半を占め、その配当額は過去10年で約80
億ドル(約9200億円)にも上りますが、その配当金を許氏がその後どの
ように再投資したかについては明らかでないようです。
恒大にとって次の難関はドル建て債務払いで、30日の猶予期間が終わる今
月29日です。またこれをクリアしても、2022年に合計で74億ドル(
約8440億円)の支払い期限が来ます。

ドル円は再び114円台前半まで戻ってきましたが、ここからレジスタンス
・ゾーンの入口である114円台半ばを超えて行くことができるかどうかが
焦点です。

本日の予想は113円70銭~114円50銭程度でしょうか。


NYダウ、S&P500は最高値を更新 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発し上昇したものの114円には届かず。
底堅い動きを見せ、113円91銭までドルが買い戻された。
◆ユーロドルは小幅に下落、独10月ifo景況感指数が予想を
下回り、4カ月連続で悪化したことで1.1591までユーロが
売られる。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ダウとS&P500は最高値を
更新。企業の好決算が株価上昇をけん引。
◆債券は小幅に上昇。長期金利はほぼ横ばいの1.63%台で
推移。
◆金は続伸し1800ドル台を回復。原油も続伸し、一時は85ドル台に
乗せたものの、その後は売りに押され、引け値では前日比変わらず。

本日の注目イベント

◆米   8月FHFA住宅価格指数
◆米   8月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   9月新築住宅販売件数
◆米   10月消費者信頼感指数
◆米   10月リッチモンド連銀製造景況業指数
◆米  企業決算 →  UPS,GE,マイクロソフト、アルファベット、ツイッター

トルコのエルドアン大統領は25日、米国など主要西側諸国との関係が悪化し、
通貨リラが急落する原因となった外交問題を鎮静化させる意向を示唆しました。
欧米など10カ国の大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」
に指定すると演説し、国外追放を警告しましたが、この発言からトルコリラが売
られ、対ドルなどで最安値を更新していました。
ブルームバーグによると、この問題で政府関係者がエルドアン氏に翻意するよう
懸命に説得したようです。上級顧問らは新たな外交問題で生じ得る経済的な影響
を大統領に説明し、大使らを実質的に国外追放に追い込むような措置を取らない
よう勧告したとのことです。
週明けの月曜日には11円50銭前後まで売られたリラ円は11円80銭台まで
やや値を戻していますが、高インフレに悩むトルコでは最大のリスクは「エルド
アン氏自身」だと思います。

バイデン大統領が掲げる経済政策アジェンダを巡り、ペロシ下院議長は民主党内
で90%の合意が出来ていると述べていましたが、同党穏健派のマンチン上院議
員は25日、「今週中に合意できるはずだ」と語っています。
この発言は、増税や支出の増加を巡り党内の論争が数カ月にわたって続いて来た
バイデン大統領の経済政策に大きな追い風になると見られ、党内で合意に至れば
、「下院は5500億ドル(約63兆円)規模のインフラ法案を週内に可決でき
る可能性がある」(ブルームバーグ)ようで、ようやく政策実施のメドがたつこ
とになります。バイデン大統領も「COP26会合に向け出発する28日前に合
意することを望んでいる」と述べています。

このニュースは米株式市場にも好材料として働いたようですが、NY株式市場で
は再び株価の上昇が続き、昨日はダウとS&P500が最高値を更新しました。
ナスダック指数も最高値に150ポイントほどに迫り、金利が高止まりしている
中でも最高値更新が視野に入って来ました。
背景にあるのが、企業が予想を上回る好決算を発表していることが挙げられます
。大手金融機関を皮切りに、クレジット会社や資源関連会社などが利益を積み上
げたことで株価を伸ばし、昨日は電気自動車メーカーのテスラが大口受注を材料
に買われ、同社の時価総額が初めて1兆ドル(約114兆円)を突破しています。
今年に入って何度も最高値を更新してきた主要3指数はそのたびに「買われ過ぎ
」との評価を受けてきましたが、株価の調整局面では個人投資家の大量の資金と
、同じく大量の自社株買いが相場を切り返して来ました。金融正常化への道筋は
見えてきたものの、「利上げはまだ先の話だ」との認識も相場を支えているよう
です。

ドル円は9月下旬から一貫して一目均衡表の「転換線」がサポートとして機能し
てきましたが、先週末のドル急落で同サポートを割り込み、昨日は反対に上昇局
面でのレジスタンスとして上値を抑える役割を果しています。
目先はこの「転換線」を上抜けすることが肝要で、そのためには114円台を回
復する必要があります。1.7%台まで上昇した米長期金利が果した役割は大き
く、今後も同金利がどこまで上昇するのかが焦点の一つになります。

本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想しています。


ドル円1週間ぶりに113円台半ばまで売られる 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は反落。米長期金利が低下したことで一旦ドルロングを手仕舞う動きもあり、113円42銭まで売られる。

  • ユーロドルはやや水準を切り上げたものの、1.16台半ばが抜け切れず。

  • 株式市場はまちまちながらダウは上昇し、約2カ月ぶりに最高値を更新。

  • 債券は反発し長期金利は前日の1.7%台から1.63%台へと急低下。

  • 金と原油は揃って反発。

本日の注目イベント

  • 日 8月景気先行指数(CI)
  • 独 10月ifo景況感指数

トルコリラが先週に引き続き再び安値を更新しています。トルコのエルドアン大統領は米独仏など西側10カ国の駐トルコ大使を、「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定すると演説し、国外追放を警告しました。きっかけはトルコ人実業家で人権活動家、オスマン・カバラ氏の釈放を求めた10大使館の共同声明にあるようです。エルドアン氏は、「外務省に対して、10人の大使のペルソナ・ノン・グラータ指定を迅速に処理するよう必要な指示を行った」と説明しています。この発言を受け、トルコリラは対米ドルで1%強売られ、対円でも今朝は11円50銭台で取引が開始されています。先週は高インフレが続いているにもかかわらず、「高金利は悪」と言い放ち、強硬に政策金利を引き下げリラ売りを誘いましたが、今度は自身の独裁政治を批判する人権派に同調する動きを封じ込めるという「暴挙」に出ました。通貨安がさらにインフレを加速する可能性もあり、リラ円の底値が見えない展開です。

パウエル議長は先週末バーチャル形式のパネル討論会で、「われわれは資産購入のテーパリング開始へと順調に向かっており、経済がおおむね想定通り展開すれば、来年半ばまでに完了する見通しだ」としつつ、「私はテーパリングを始める時が来たと考えているが、利上げの時期とは考えていない」と述べ、改めて利上げはまだ先であることを強調しています。また、イエレン財務長官はNCCの番組で、「米国がインフレに対するコントロールを失いつつあるとは考えていない」と発言し、米国がインフレリスクを十分留意していないとするサマーズ元財務長官の批判に反論しています。(ブルームバーグ)イエレン氏はさらに足元のインフレの高進について、「このところ経験しているようなインフレは米国では長い間みられなかった。しかし正常に戻る中でこれも終わると予想する」と語っています。これら一連の発言から、FRB執行部や財務長官は物価上昇は一時的であるとの見方を依然として崩していないことがうかがえます。

バイデン大統領は、米国は台湾を守るコミットメントがあり、台湾が中国から攻撃を受けた場合には米国が防衛に向うと表明しました。大統領はCNNがメリーランド州ボルティモアで行ったタウンホール集会で、「中国は、米国は世界最強の軍を有していることを知っている」と述べ、懸念するのは中国が深刻な間違いを犯しかねない活動に従事していることだ」と付け加えていました。中国は台湾海峡での圧力を強め、台湾が西側諸国との経済的結びつきを強めていることに対しても批判し、警戒を強めています。半導体受託生産の世界的大手である台湾のTSMCがソニーと共同で熊本に半導体生産工場を建設することに伴い、日本政府がその資金(4000億円程度)半分を拠出することや、台湾外交トップがスロバキアやチェコなど欧州諸国を歴訪し、経済外交を推し進めていることに強く反発しています。

ドル円は113円台半ばまで下落してきましたが、これは米長期金利の低下に伴った動きであり、これも想定内と言えます。ただ、ドル円が111円台から114円台まで上昇した際のスピードと、先週の動きは明らかに異なってきました。米国のテーパリング開始は完全に相場に織り込まれ、中国恒大集団を始め中国不動産リスクが徐々に表面化する中で、円に対する見方にもやや変化が出て来た可能性があります。そのため「調整局面」も想定以上に長くなることも予想されますが、ドルの上昇トレンドにまだ変化はないとみています。

本日のドル円は113円20銭~114円程度を予想します。


米長期金利5カ月ぶりに1.7%台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 昨日の午後日経平均株価が急落したことで、ドル円は114円台を割り込み、NYでも朝方に113円65銭までドルが売られた。ただその後は株高と債券安がリスクオンを高めたため、ドル円は114円台を回復。

  • ユーロドルは1.16台前半から半ばでの膠着が続く。

  • 株式市場ではナスダックとS&P500が続伸し、S&P500は最高値を更新。ダウはIBMの下げが影響し、小幅安で引ける。

  • 債券は5日続落し、長期金利は5カ月ぶりに1.7%台に乗せる。

  • 金と原油は揃って反落。

本日の注目イベント

  • 独   独10月製造業PMI(速報値)
  • 独   独10月サービス業PMI(速報値)
  • 欧   ユーロ圏10月製造業PMI(速報値)
  • 欧   ユーロ圏10月総合PMI(速報値)
  • 欧   ユーロ圏9月サービス業PMI(速報値)
  • 英   英10月製造業PMI(速報値)
  • 英   英10月小売売上高
  • 米   10月マークイット製造業PMI(速報値)
  • 米   10月マークイットサービス業PMI(速報値)
  • 米   8月マークイットコンポジットPMI(速報値)
  • 米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演(オンライン)
  • 米   パウエル・FRB議長、パネル討論に参加

    本日の話題は3つあります。
    一つは、日米の株価の動きと中国恒大集団のデフォルトリスク。
    二つ目は米長期金利の動向。
    そして三つめはトルコ中銀の金融政策です。

    昨日の午後、日経平均株価が前場は小幅安だったものが急落し、前日比546円安で引けました。株価の急落にリスク回避の円買いが強まり、ドル円は114円台前半から113円90銭前後まで売られる場面がありました。株価急落の原因はよくわかっていませんが、先物主導の売りに、トレンドに追随するCTAなどの売りが加わったとの説明です。NYでは中国恒大のデフォルトリスクが意識され、ドル円は朝方にはこの日の安値となる113円65銭までドル安が進んでいます。中国恒大の社債を保有するオフショア債権者は、支払期限が過ぎても直ちに返済を要求しない計画だとブルームバーグは伝えています。猶予期間が終わる23日までに同社が支払いを実施しない場合、債権行使を留保するスタンドスティル(猶予)および債務についての交渉を始める可能性があるとのことです。21日の香港市場で取引を再開した同社株は一時14%ほど売られ、12.5%安で取り引を終えています。それでもNY株は上昇して取引が始まり、S&P500は7日続伸し、最高値を更新し、ダウとナスダックも最高値に迫る水準まで買われています。NY株が大きく下げるとほぼ間違いなく日本株は売られ「瀕死の重症」に陥るものの、反対に昨日のように日経平均株価が546円安と大きく下げても、NY株は「かすり傷」程度です。世界の株式市場がNYを中心に動いている証(あかし)です。

    米長期金利が5月13日以来となる1.7%台まで上昇しました。そのため、朝方は113円65銭まで売られたドル円は114円台まで押し戻されています。先日講演で、「2022年の利上げの可能性」に言及したウォラーFRB理事は、公的通貨金融機関フォーラムが主催した行事での質疑応答で、「今後数カ月間が極めて重要だ」と述べ、インフレ高進が根強い場合には、「当局は来年の政策スタンスにおいて、私が予測していたよりずっと積極的になる必要があるだろう」と語っています。また当局が目指す2%へ低下する基本シナリオについては、「この状況が続くだろうと私が想定していたよりも、ずっと大きな上振れリスクがある」と答えていました。一方クリーブランド連銀のメスター総裁は、テーパリング開始を支持する考えを示しながらも、「利上げに関する検討は当面、全く考えられない」と利上げには否定的な考えを見せていました。(ブルームバーグ)今週もFOMCメンバーの発言が相次ぎました。
    それらは、次回FOMCでのテーパリング開始決定には異論はないものの、その先の利上げについては、最も「タカ派」のウォラー理事やブラード・セントルイス連銀総裁以外は概ね慎重な姿勢を崩しておらず、高インフレは「一時的」との見方を維持しています。

    最後はトルコ中銀です。トルコ中銀は21日金融政策会合で先月に続く利下げを行いました。政策金利である1週間物レポ金利を「18.0%」から「16.0%」と、200ベーシスも引き下げました。エルドアン大統領が中銀に対して利下げ圧力をかけ続けていることから、市場予想も100ベーシスの引き下げは読んでいましたが、200ベーシスとは正直、驚きました。大幅な利下げを受けてトルコリラは対米ドルで最安値を更新し、対円でも12円25銭近辺から11円90銭前後までリラ安が進み、最安値更新です。

    トルコの直近のインフレ率は「19.6%」です。インフレ率を下回る政策金利の引き下げで、トルコの実質金利はマイナス幅を拡大しています。本来は政策金利を引き上げ、リラ安を防がなければならいのが、トルコ中銀はエルドアン大統領の執拗な利下げ圧力に屈した形になっています。それもそのはず、大統領の意にそぐわなければ逆鱗に触れ、直ちに「更迭」されるからです。エルドアン氏は過去2年半弱の間に、中銀総裁を3人交代させています。さらに今月13日には3人の政策委員会メンバーを更迭し、その中には副総裁も含まれていました。金融政策にも「恐慌政治」の影響が色濃く反映されている状況です。リラ安が続いていることから輸入物価は大幅に上昇し、さらにインフレを加速させ、インフレの影響を回避するため国民は手持ちのリラを売り、ドルを買っているのが実情です。「政策金利引き下げ→リラ安→インフレ加速」といった悪巡回に陥っており、さらにドル建て債務の多い同国企業にとっても、実質的には債務の増大につがっています。2015年1月には52円前後だったリラ円はついに12円を割り込み、4分の1以下になったことになります。高金利通貨の宿命といえばそれまでですが、トルコリラは「負のスパイラル」に陥っています。

    本日のドル円はやや上値の重い展開になりそうです。株価次第というとことろはありますが、中国恒大問題もくすぶっています。レンジ予想は113円50銭~114円30銭といったところでしょうか。
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    「ニューヨークの伝統の味がついに東京でも・・・」
    ミシュランガイドでも紹介されているNYの「ピーター・ルーガー・ステーキハウス」がNY以外で初となる店舗が今月14日、東京恵比寿に開店したそうです。
    同ハウスは130年の歴史を誇り、東京で使用する牛肉は毎週、米国から日本に空輸され、店舗内の専門の熟成庫で28日以上熟成されるそうです。
    既にオープンから60日間の予約は受け付け開始から数時間で埋まっています.

    気になるお値段の方ですが、看板メニューの「Tボーンステーキ」(2人用)はオープン時で
    2万2000円(消費税・サービス料抜き)だそうで、NYの店舗と同様、時価での提供となるそうです。

    これを高いとみるのか、安いとみるのかわかりませんが、高級和牛でもこれくらいは
    することを考えると、「恵比寿でNYの味を・・・」、案外安いのかもしれません。

    良い週末を・・・・・。

WTI原油価格一時84ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間に114円69銭まで上昇したドル円は
NYでは上値を伸ばせず。米長期金利の上昇にもかかわらず
利益確定のドル売りに押され、114円08銭まで下げる。
◆ユーロドルは1.16台で小動き。値幅も36ポイントと
来週の金融政策会合を控え方向感が見えない展開。
◆株式市場はまちまちながらダウは一時最高値を更新する場面も。
ナスダックは6日ぶりに反落し、ダウとS&P500は上昇。
◆債券は続落。長期金利は1.65%台に上昇。
◆金は続伸。原油も5日続伸し一時は84ドル台を付ける。

本日の注目イベント

◆トルコ  トルコ中銀政策金利発表
◆欧  ユーロ圏10月消費者信頼感指数(速報値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   9月景気先行指標総合指数
◆米   9月中古住宅販売件数
◆米   ウォラー・FRB理事講演、講演(オンライン)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論に参加
◆米  企業決算 →  AT&T、ブラックストーン、インテル

ドル円は昨日の東京時間に日経平均株価の上昇に歩調を合わせ、114円
69銭までドル高が進みましたが、その後の海外市場では上値を追う動き
とはならず、結局ほぼ前日と同じ水準で戻ってきました。
米債券はやや売られ長期金利は上昇しましたが株式市場は底堅い動きを見
せ、NYダウは一時最高値を更新する場面もありました。
WTI原油価格は増加していると見られていた在庫が減少していたことを
受け、84ドル台まで上昇。約7年ぶりの高水準を付けています。
原油価格の上昇が、ドル円でもドル買いを増加させるとの見立てから、原
油価格の動きを睨みながら売買を行う手法も見られるとか。足元の原油価
格の急上昇で今後、年末にかけて多くの物の値段が上昇する懸念も出て来
ました。

ベージュブックが公開され、全体として「米経済は緩慢ないし緩やかなペ
ースで拡大している」と報告されていました。
一部の地区では成長の減速が報告され、供給面の制約と新型コロナウイル
スのデルタ変異株に対する懸念が活動に影響したとあります。
また物価上昇については、供給不足と輸送面での障害、労働力の制約が影
響しているとの認識が示されています。そうした状況から、「大半の地区
は著しい価格の高騰を報告した」とし、「多くの企業は販売価格を引き上
げた。これは力強い需要を背景に、企業でコスト上昇分を顧客に転嫁する
能力が高まっていることを示唆している」と説明しています。

依然として市場の大きなリスクとして受け止められている中国の大手不動
産開発会社恒大は、自社の不動産管理部門「恒大物業」の売却交渉を打ち
切ったことを発表しました。
また香港市場では自社株式取引を21日に再開するため、申請を行ったこ
とも明らかにしています。恒大集団は9月23日が期限だった米ドル建て
債券の利払いが出来ず、30日間の支払い猶予があったことから、10月
23日にその期限が迫っています。ここで利払いが出来ないと、正式に格
付け会社からデフォルトと認定されることになり、今後市場からの資金調
達の道が閉ざされることになります。
同社は「恒大物業」の株式51%を保有しており、売却が進めば利払いも
出来るのではと見られていましたが、交渉が打ち切りになったことで今後
は、国内金融機関や政府の支援が焦点になります。

前日のウォラーFRB理事に続き、クオールズFRB理事も11月FOM
Cでのテーパリング開始決定を支持する考えを示しました。
クオールズ氏はロサンゼルスで行われた講演で、米金融当局による資産購
入プログラムについて「こうした買い入れの縮小開始を11月の会合で決
定することを、私は支持するだろう」と述べました。
ただ、現在の高インフレについては「一過性」だとの見方に賛同するとし
、米当局は金融政策で「後手に回ってはいない」と言明しています。その
上で、「過去数カ月、より広範囲にわたる物価は緩やかに上昇し始めてい
る兆候があり、こうした動向を注視している」と述べています。(ブルー
ムバーグ)
同理事が依然として「物価上昇は一時的」との姿勢を崩していないことか
ら、次回FOMCで、「一時的」といった文言が声明文やパウエル議長の
発言から削除されるのかどうかが、改めて注目されます。

ドル円は底堅い動きを見せながらも、先週まで見られた力強い上昇力はや
や影を潜めています。引き続き114円台半ばから115円にかけてのゾ
ーンがレジスタンスになっています。
米長期金利の推移に加えて、上でも述べたようにWTI原油価格の動きに
も注意が必要です。

本日のドル円予想は、113円90銭~114円70銭程度とみています。


米長期金利5カ月ぶりに1.64%台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間の夕方114円台を割りこみ、113円88銭
近辺まで売られたが、その後切り返しNYでは114円40銭まで
上昇。米長期金利の上昇がドル円を押し上げる。
◆ユーロドルではドル安・ユーロ高が進み、1.1658まで
続伸。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500は
5日続伸。インフレ懸念が残る中、ネットフリックスやJ&J
などの好決算が相場全体を押し上げる。
◆債券は続落し、長期金利は一時1.643%まで上昇。
約5カ月ぶりの高水準を付ける。
◆金と原油はともに上昇。

◆9月住宅着工件数    →  155.5万件
◆9月建設許可件数    →  158.9万件

本日の注目イベント

◆日   9月貿易収支
◆独   独9月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏8月経常収支
◆欧   ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
◆英   英9月消費者物価指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   クオールズ・FRB副議長講演
◆米  企業決算 →  バイオジェン、ベライゾン、IBM、テスラ
◆加   カナダ9月消費者物価指数

昨日のコメントでドル円は、上値は114円50銭を明確に上抜けできるか
どうか、下値は114円を割り込むかどうかに注目し、どちらかと言えば後
者の可能性が高いと予想しました。
東京時間の夕方、ドルはジリジリと値を下げ114円を割り込み、113円
88銭前後まで売られました。ただその後は反発し、NYでは米長期金利の
上昇という「助っ人」もあり、114円40銭まで買われ、結局元の鞘に戻
った形です。主要通貨全般の動きでは、明らかに「ドル安」が進み、ユーロ
ドルでは約3週間ぶりに1.16台半ばまで「ユーロ高・ドル安」が進み、
対豪ドルでは約3カ月ぶりに0.7485近辺まで「ドル安」が進んでいま
す。ドル円だけが上昇した格好となり、ドル円がいかに米金利との相関が強
いかを如実に表した格好です。ドル円では「円安」が進み、他の主要通貨で
は「ドル高」が進行したことから、クロス円は軒並み上昇し、「円の独歩安
」の展開が続いています。

米債券が売られ、長期金利はついに1.64%台まで上昇し、これがドル円
を動かした直接の要因でしたが、その背景にはウォラーFRB理事の発言が
あったようです。
ウォラー理事は19日の講演で、高インフレ率が続くようなら2022年に
も利上げを行うことを支持すると述べました。
ウォラー氏はスタンフォード大学経済政策研究所が主催したオンライン形式
のイベントで、「金融当局の責務のうち、雇用に関してはなお改善の余地が
あるものの、十分な前進を遂げたため、資産購入のテーパリングを2週間後
のFOMCの後に始めるべきだと私は考える」と述べ、2カ月連続で市場予
想を大きく下回った雇用統計の結果がテーパリングを引き延ばす要因にはな
らないとの考えを示しました。
さらに2023年初旬と見られている「利上げ」についても、「2022年
に入ってもインフレ率が2%をかなり上回って、私の上振れリスクが現実化
した場合は、現在の予想よりも早い利上げを支持するだろう」とも述べてい
ます。
また同理事は、「政策の方向性を決める上で、家計調査と金融市場の双方を
ベースとするインフレ期待指標をモニターすることが重要になる」と指摘し
ています。(ブルームバーグ)
FRB執行部の一人がかなり「タカ派寄り」の発言を行ったことが注目され
ます。
11月2~3日のFOMCでは、すでにテーパリング開始が決定されること
は織り込み済みと思われ、市場の関心は「いつ利上げが開始されるのか」と
いう点に移っています。
ウォラー理事の「2022年にも利上げ」といった発言はまだ少数派に属し
ますが、今後足元の高インフレ率が続くようだと、多数派に属してくる可能
性があり、ウォラー理事がその先陣を切ったようです。

テーパリング開始を織り込む形で、米長期金利がジワジワと上昇しています
が、一方でNY株式市場では株価が堅調に推移し、金利上昇に弱いとされる
ナスダック指数は5日続伸しています。企業の好決算が投資家を強気にさせ
ているようです。
先週は大手米銀が軒並み好決算を発表したことで、軟調だった株式市場が大
きく反発しましたが、昨日の主役は「ネットフリックス」だったようです。
韓国の大ヒットドラマ「イカゲーム」の人気が追い風となり、7-9月期の
会員数は438万人の純増となり市場予想を上回っていました。同社株は時
間外取引で3.8%上昇しているようです。

民主党のシューマー上院院内総務は、バイデン大統領の経済課題について議
会民主党が今週中の合意を目指していると述べ、党の進歩派と穏健派がそれ
ぞれ、バイデン氏とハリス副大統領、イエレン財務長官と会談することにな
っています。
合意できれば、増税や気候変動対策、育児と教育、医療向けの連邦支援の拡
大などの他、上院ですでに可決し下院での採決が待たれる5500億ドル(
約62兆9150億円)の公共事業計画も進められるとのことです。
米長期金利の上昇を手掛かりに底堅い動きを見せるドル円ですが、本日は米
株高と円安が続いていることから日本株も上昇する公算が高いとみられます
。リスクオンが進み、再び円が売られ易い状況になりそうな雰囲気もありま
す。

本日のドル円は114円10銭~114円90銭程度を予想します。


米長期金利は1.6%へ上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間に利益確定の売りと見られる売りに押され
114円前後まで下落したが、114円台はキープ。NYでは
米長期金利が上昇したことでドルは底堅く推移。
◆ユーロドルは引き続き1.16を挟みもみ合い。
◆株式市場はまちまち。ダウは3日ぶりに反落したが、
ナスダックは124ポイント上昇し1万5千ポイント台を回復。
◆債券は続落し、長期金利は1.6%台に乗せる。
◆金は続落。原油は小幅ながら3日続伸。

◆9月鉱工業生産           →  -1.3%
◆9月設備稼働率           →  75.2%
◆10月NAHB住宅市場指数     →  80

本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   9月住宅着工件数
◆米   9月建設許可件数
◆米   ボウマン・FRB理事とサンフランシスコ連銀総裁、フォーラムに参加
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベントに参加
◆米  企業決算 → エリクソン、J&J、フィリップモリス、P&G、ネットフリックス

ドル円は底堅い動きが続いています。
ユーロドルが連日1.16を中心にもみ合い、明確な方向性も確認しづらく、
小動きな動きを見せているのとは対照的になっています。
昨日も東京時間では、久しぶりの水準でもあったことからドル売りが優勢とな
り、114円近辺まで押される場面もありましたが、114円を割り込むこと
なくその後上昇に転じています。
NYでは米長期金利が1.6%台を回復したこともあり、114円36銭まで
ドル買いが進みましたが、前日の高値を更新するには至っていません。
114円台半ばから115円にかけてはレジスタンスもあり、ドル売り注文も
並んでいるとみられることから、やや足踏み状態が続いています。
この水準を抜け切ることが出来るかどうかは、今後の水準を予想する上でも重
要かと思います。

中国の第3四半期GDPは大きく減速していました。
前期比「0.2%」増、前年同期比でも「4.9%」増と、第1四半期の「1
8.3%」はおろか、第2四半期の「7.9%」増からも大きく減少していま
した。
9月に本格化した電力制限や不動産への規制強化が影響しており、さらには資
源高から企業収益の悪化も目立っており、企業は増加したコストを価格に転嫁
できずに収益を圧迫しているものとみられます。
また中国恒大集団の経営危機問題もくすぶっており、不動産開発業界には同様
な企業が他にも多く見られるとの報告もあります。
中国の不動産開発は規模が大きく、GDPの3割程度を占めているとみられま
す。
中国恒大集団が破綻すればその影響も大きく、現時点では中国政府は同社の救
済には消極的のようですが、これらは習近平指導部の評価にもつながり、自身
の政権維持にも大きく関わってきそうです。

ドル円は底堅い動きを見せてはいるものの、これまでのようなスピードを伴っ
た上昇には一旦ブレイキがかかるのでないかと予想しています。
FOMCでのテーパリング開始を巡る決定もほぼ織り込まれ、市場はその先の
利上げの時期を探る展開になっています。
一方で、米債務上限を巡る問題は未解決です。
イエレン財務長官は18日、議会主導部に書簡を送りその中で「最近の債務上
限引き上げは一時的な猶予を与えるものにすぎない」と指摘しています。
連邦債務の法定上限を引き上げる法案は成立し、12月3日までやりくりが可
能にはなったものの、財務省は上限突破を回避するため引き続き非常手段を使
う必要があると警告しています。

中長期的なドル円の上昇傾向は引き続き継続されるとみていますが、11月の
FOMCでの委員のインフレに対する認識の変化や、12月には上述のように
債務上限問題が再びクローズアップされますが、その際の政治的なかけひきの
行方などが材料になるとみられます。
本日は底堅い動きが予想されますが、材料にも乏しく、上値では114円50
銭が明確に抜け切れるかどうか。一方下値では昨日抜け切れなかった114円
が破られるかどうかが注目されます。

本日のドル円は113円80銭~114円60銭程度を予想しています。


ドル円3年ぶりに114円台半ばへ上昇 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し114円台に乗せる。NYでは114円47銭まで
ドルが買われ、2018年10月以来、3年ぶりのドル高を示現。
◆ユーロドルは小動きとなり、1.16を中心にほぼ横ばいで推移。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。ゴールドマンの好決算が
相場をけん引し、ダウは382ドル高。
◆債券相場は反落。長期金利は1.57%台へ上昇。
◆金は4日ぶりに反落。原油は続伸し、82ドル台に。

◆10月NY連銀製造景況業指数         →  19.8
◆9月小売売上高                →  0.7%
◆9月輸入物価指数               →  0.4%
◆10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)  →  71.4

本日の注目イベント

◆中   7-9月GDP
◆中   中国9月小売売上高
◆中   中国9月鉱工業生産
◆米   9月鉱工業生産
◆米   9月設備稼働率
◆米   10月NAHB住宅市場指数
◆米 9月財政収支
◆米   カンザスシティー連銀総裁とミネアポリス連銀総裁、フォーラムで講演
◆加   カナダ9月住宅着工件数

ドル円は一段と上昇スピードを速め、先週末のNY市場では114円47銭
までドルが買われています。これで、この欄でも度々触れている2018年
9月から12月にかけて形成した「レジスタンス・ゾーン」にほぼ到達しま
した。この先には114円台後半から115円にかけてはマイナーなレジス
タンスがあり、それを抜けると、いよいよ2016年から2017年にかけ
、ドルが急上昇した118円に挑むことになります。


2016年12月と言えば、あのトランプ氏が市場やマスコミの予想を覆し
、クリントン女史を破って大統領選に勝利した直後です。
大方の予想がクリントンン女史の勝利でしたが、開票が進むにつれてトラン
プ氏が優勢となり、勝利が確定したあの時の相場の乱高下は今も鮮明に覚え
ています。102円~104円前後で推移していたドル円は勝利の瞬間、一
気に100円を割る水準までドル売りが加速し、実際にはドルがどこまで売
られ、いくらを付けたのかは不明でした。各社でその日のドルの安値はまち
まちで、インターバンクでも同様なことが起きていたことが原因で、98円
台半ばまで下げたとの報道もあり、100円台が安値とするところもありま
した。それほど混乱していたということです。
その後ドル円はチャートを見てもお分かりの様に、わずか3カ月余りで18
円以上も上昇して、天井を付けたのが上述の水準です。
トランプ氏の政治的手腕が不明であったことに加え、それまでの氏の言動が
ドル売りのきっかけになったものの、大統領就任演説を無難にこなし、その
後の言動も期待以上だったことから「想定していた以上にやるかも?」とい
った期待値が急激に高まりドル高に振れたものです。それからのトランプ氏
4年間は、皆さんご存知の通りです。

ドル円が114円~115円に達するには少なくとも米長期金利が1.6%
以上に上昇する必要があると考えていましたが、先週末のそれは1.57%
台です。金利水準以上にドル円の上昇が速いということになります。
これは、クロス円でも円売りがかなり活発だという理由を挙げることができ
ると思います。
ユーロ円は132円台後半まで円売りが進み、約4カ月ぶりの高水準となり
、豪ドル円も85円台まで買われ、こちらも6月11日以来の高水準です。
ポンド円に至っては157円台半ばと、実に5年4カ月ぶりの高水準を記録
しています。
主要国ではインフレ懸念が急速に高まり、これが米国と同様に金融正常化に
向うとの連想を喚起させ、一方のわが国では依然として金融緩和からの出口
が見えないことが大きな理由になっているとみられます。

原油にとどまらず多くの資源価格が急騰しており、加えて人手不足による賃
金の上昇も続いています。コロナからの脱却で、経済活動の再開と言う事情
もありますが、英国では物流の停滞が続きガソリンスタンドではガソリンの
供給が追い付かず、ついに軍隊まで動員してガソリンを運搬する事態になっ
ています。問題はこの状態がいつまで続くのかという点です。
予想外に続くようだと、「資源に弱い日本」が標的となり、円安が予想以上
に進行するリスクもやや意識される展開になっています。
またNY株も出直ってきており、リスクオンが進み易い状況にもあります。
資源価格、株式市場の行方にも目を向ける必要がありそうです。

本日のドル円は113円80銭~114円60銭程度を予想します。


NY主要株価指数が揃って大幅高 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日の水準からやや値を戻す。米長期金利は低下
したものの、株高からリスクオンの流れが優勢となり、ドル円は
113円71銭まで上昇。
◆ユーロドルではドルが売られ、約10日ぶりに1.16台
まで上昇。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高に。良好な経済指標に加え、
大手米銀の好決算が市場のセンチメントを一変。
ダウは534ドル上昇し、ナスダックとS&P500は1.7%の上昇。
◆債券は続伸。長期金利は1.51%台へと低下。
◆金は続伸し、原油も買われ81ドル台で引ける。

◆新規失業保険申請件数      →  29.3万件
◆9月生産者物価指数      →  0.5%

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏8月貿易収支
◆米   10月NY連銀製造景況業指数
◆米   9月小売売上高
◆米 9月輸入物価指数
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、パネル討論会に参加
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン会議で講演
◆米   財務省、半期為替報告書の議会への提出期限
◆米  企業決算 →  ゴールドマン

NY株式市場で久しぶりに主要3指数が揃って大幅高となりました。
ダウは500ドルを超える上昇を見せ、ナスダックとS&P500は1.7%
の上昇と急騰でした。
新規失業保険申請件数が30万件を下回り、パンデミック以降の最小を更新し
たことや、バンクオブアメリカやモルガンスタンレーの決算が予想を上回った
ことが市場のセンチメントを大きく好転させました。
債券も買われ金利は低下しましたが、ドル円は113円台の半ばを超え、前々
日の水準近くまで買われ、クロス円は軒並み大幅に上昇しています。
主要国との金融政策の差に加え、原油価格の上昇が円を売る動きに拍車をかけ
ているとみられます。
ほぼ全ての原油を輸入している日本にとって、原油高は支払い代金の増加につ
ながり、ドル需要が増すことになります。新型コロナ変異株からの脱却を実現
させ、コロナ感染拡大による円売りを克服したと思いきや、今度は原油高によ
る円売りが強まっている状況です。

米国では原油高だけではなく他の資源も上昇していることや、サプライチェー
ンの混乱による物価高、さらには人手不足に伴う賃金の上昇などからインフレ
懸念が強まっています。バイデン大統領はサプライチェーン危機対策を解消す
るため、ロサンゼルス港を24時間体制で稼働させるなど、国内の港湾の目詰
まりを解消して年末商戦での商品の不足や遅延を防ぎたいと、物流への取り組
み強化を発表しています。24時間体制で稼働するのはロングビーチ港につい
で2港目だそうです。

インフレを巡る発言では、セントルイス連銀のブラード総裁が「高インフレ状
態は向こう半年で自然に解消する可能性はいくらかあるが、それを金融当局者
として当てにできるほど確かだとは言えない」とし、「テーパリングを11月
に開始し、2022年1-3月末までに完了させることを支持している」と表
明しています。
また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も「インフレが現在、より広範囲にな
っているように見える」と述べ、「テーパリングへの継ぎ目のない移行を期待
する」と語っています。(ブルームバーグ)
金融当局者の認識も徐々に市場に沿った形になってきましたが、先行きの見通
しについては市場関係者よりも楽観的であることは確かです。
モルガンスタンレーのゴーマンCEOは、「このバブルに少し穴を開ける必要
がある」と指摘し、「マネーは現在やや自由になり過ぎ、あまりに簡単に利用
できる状態にある」と述べ、さらに、「賃金上昇とサプライチェーンのボトル
ネック、商品価格の急騰がインフレを押し上げている。それら全てが一過性と
いうわけではなく、金融当局は現在の想定よりやや積極的に動かざるを得なく
なるだろう」との見解を示しています。

クロス円が軒並み上昇していますが、豪ドル円の上昇は中でも際立っています
。9月22日に78円84銭の直近安値を付けた後は一本調子で上昇し、今朝
の本レポート執筆時点では84円44銭まで買われています。3週間で5円6
0銭、率にして7.1%の上昇です。
RBAは先週の政策会合で、政策金利を「0.1%」で据え置くことを決め、
ロウ総裁は「実質インフレ率が2-3%の目標レンジに持続的に推移するまで
キャッシュレートを引き上げない」と繰り返し述べており、さらに「この条件
は2024年まで満たされないというのが経済の中心シナリオだ」と述べ、政
策金利引き上げにはネガティブな考えを示しています。
それでも豪ドルは対米ドルでも上昇し、さらにドル円で急激な円安が進んでい
ることから上昇しています。
その背景は先ず、同国の主要輸出品である鉄鉱石など、資源価格の上昇が挙げ
られます。また、最大都市のシドニーではロックダウンが解除され、消費の拡
大が見込め、第2の都市メルボルンでも同様なことが期待できます。
このような背景からクロス円全般の上昇に沿って買われているものとみられま
す。上値のメドは、まさに現水準だとみています。
84円台半ばから85円台半ばは今年5月から6月にかけてもみ合った水準で、
その後77円台後半まで下落を始めた重要なレジスタンス・ゾーンです。
今後ドル円が115円台に乗せるなど、円安が一段と進めば同水準を抜け切る
可能性はありますが、簡単ではないとみています。

本日のドル円は113円40銭~114円20銭程度を予想していますが、N
Y株が大幅に上昇したことから東京でもリスクオンが進む公算が高いと予想し
ます。


ドル円113円台前半まで反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はNYの朝方には113円80銭まで小幅に続伸した
ものの、その後反落。米長期金利が低下したことを受け、
113円23銭まで売られ、この日の安値圏で取引を終える。
◆ユーロドルは反発し、1.16手前まで買い戻しが進む。
◆株式市場は反発したものの、ダウは小幅に下げ4日続落。
ナスダックとS&P500は反発。
◆債券は続伸し、長期金利は1.53%台へと低下。
◆金は大幅に続伸。原油は5日ぶりに反落。

◆9月消費者物価指数       →  0.4%

本日の注目イベント

◆豪   豪9月雇用統計
◆日   8月鉱工業生産(確定値)
◆中   中国9月消費者物価指数
◆中   中国9月生産者物価指数
◆トルコ  トルコ9月消費者物価獅指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   9月生産者物価指数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論会に参加
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論会に参加
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米  企業決算 → バンクオブアメリカ、モルガンスタンレー、シティーグループ、
            アルコア、TSMC

ドル円は昨日の東京市場では底堅い動きを見せながらも上値の重い展開
でした。しかし、海外市場では再び底堅い動きを見せ、NYでは朝方に
113円80銭を付け、前日の高値を若干上回りました。
ただドルを買う動きはそこまでで、その後は米長期金利が低下したこと
もありジリジリと値を下げ、113円23銭まで売られ取引を終えてい
ます。やや利益確定の売りに押された格好でしたが、これも「想定内の
動き」と言えるでしょう。

先月21-22日に開催されたFOMCの議事録が公開されました。
議事録では、「次回会合でテーパリング開始を決定する場合、そのプロ
セスは11月半ばあるいは、12月半ばに始まる月間購入スケジュール
に沿って開始できると参加者は皆指摘した」としています。
またテーパリングの内容についても、「月ごとの縮小幅として、米国債
が100億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)は50億ドル」と、米
国債を多めに縮小する方針であることも明らかになりました。
注目されたインフレに関する議論については「インフレは近年にないペ
ースで上昇しており、当局の目標である2%を大きく上回っている。コ
ロナ禍からの経済再生に伴う混乱に端を発した供給のボトルネックと生
産混乱で、物価圧力が想定よりも長期化する恐れがあると、一部の参加
者は指摘した」とあるだけで、市場認識とはややかけ離れている印象で
す。

イエレン財務長官も12日夜に放送された「CBSイブニング・ニュー
ス」のインタビューで、「それは一時的と考えているが、そうした圧力
が向こう1、2カ月で消えると示唆しているのではない」と述べたにと
どまり、大半の当局者はインフレに対する慎重な見方を維持しています。
昨日発表された9月の消費者物価指数は前月比「0.4%」の上昇で、
市場予想を上回っていました。年率では「5.4%」の伸びと、200
8年以来の高い上昇率を示しています。金融当局の保守的な認識とは異
なり、足元のインフレに対する警戒感を口にする市場関係者も増えてき
ました。
ゴールドマンのジョン・ウォルド社長は、「一過性ではない」とし、「
一過性と定義される事象と日々目にする事象との間に、これほど乖離が
あるのは見たことがない」と述べ、インフレの長期的影響が新興国市場
に及ぶ恐れがあると話しています。
また、世界最大の運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクC
EOも、「間違いなく一過性のものではない」とコメントし、JPモル
ガンのジェイミー・ダイモンCEOも決算発表後、「インフレは恐らく
今後数四半期にわたって低下しないだろう」と述べていました。(ブル
ームバーグ)
FOMC議事録から、来月2-3日に開かれる次回のFOMCでテーパ
リングが決定されることは、ほぼ確実になりましたが、2023年初め
と予想されている利上げも、想定よりも早まる可能性があるかもしれま
せん。

衆議院は本日解散し、事実上の選挙戦が開始されます。
岸田氏が首相に任命され、初の選挙になりますが、31日の開票で議席
を増やせば、出足から支持率の低かった岸田政権が安定的に政策を実行
しやすくなりますが、逆に議席を減らせば、同政権への信頼が大きく低
下することになります。
昨日は野党立憲民主党の枝野代表が同党の政策をぶち上げていましたが
、時限的に消費税率を5%に引き下げ、年収1000万円程度なら所得
税が実質免除されるなど、おいしそうなメニューが盛沢山でした。
実現性が乏しいとの印象は残りましたが、われわれサラリーマンは少な
くともここ20年ほどは社会保険料の負担増が続き、実質減収です。
コロナ対策にかかった費用やこれからもかかる費用を考えると、今後ま
すます実質収入が減少する可能性が高いと思われます。
「成長と分配の好循環」か、あるいは「1億総中流社会」か、われわれ
自身が選択する時が来ました。

本日のドル円は112円90銭~113円70銭程度を予想します。


ドル円は続伸し、113円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米長期金利が低下したにもかかわらず続伸。
113円78銭までドル高が進み、2年10カ月ぶりの
水準を記録。
◆ユーロドルでもドル高が進む。1.1522までユーロ安が進み、
こちらは1年3カ月ぶりのユーロ安を付ける。独ZEW景気期待指数が
5カ月連続で悪化したことも材料に。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って続落。ダウは、プラス圏と
マイナス圏を上下しながらも結局下落し、117ドル安。
◆債券は反発。長期金利は1.57%台へ低下。
◆金は反発し、原油は続伸。

本日の注目イベント

◆豪   豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中   中国 9月貿易統計
◆独   独9月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月鉱工業生産
◆欧   OPEC月報
◆英   英8月鉱工業生産
◆米   9月消費者物価指数
◆米 9月財政収支
◆米   FOMC議事録(9月21-22日開催分)
◆米  G20財務相・中央銀行会議(ワシントン)
◆米   ブレイナード・FRB理事講演
◆米   ボウマン・FRB理事講演 
◆米   バイデン大統領、世界のサプライチェーン問題について協議・発言
◆米  企業決算 →  JPモルガン、ブラックロック

前日が休場だったため休み明けの動きが注目されていた米債券市場では、
落ち着いた動きとなり、長期債が買われ金利は低下しました。10年債
利回りは1.57%台で取引を終えています。
ドル円はそれでも続伸し、NY市場では前日の高値を更新し、113円
78銭までドルが買われ、2018年12月以来となるドル高水準を付
けました。昨日はドルが主要通貨に対して買われ、ユーロドルでも1.
1522と、1年3カ月ぶりの水準です。
前日82ドル台まで上昇したWTI原油価格は小幅な上昇に留まり、8
0ドル台半ばで取引を終えており、本日発表される9月の消費者物価指
数を見極めたいとする姿勢が強まった1日でした。同指数は引き続き高
い数値が予想されています。

そんな中、アトランタ連銀のポスティック総裁はバーチャル形式の講演
で、「価格圧力を高めている今般の要因は主として激しく広範なサプラ
イチェーンの混乱だが、それが短期間では終わらないことがますます鮮
明になりつつある」と指摘し、「その点を踏まえれば、物価上昇の力は
一過性のものではない」との見方を示しました。
ポスティック総裁は、「一時的という言葉は禁句だ」として、「一時的
」と書かれたガラス瓶を横に置き、その言葉を使うごとに1ドルを入れ
たと、ブルームバーグは伝えています。サプライチェーンの混乱に加え
て足元の原油価格の高騰から、物価上昇圧力は一段と強まるとの見方が
徐々に増えています。

一方で、クラリダFRB副議長は、インフレについて「米経済における
基調的なインフレ率は、金融当局の中長期目標である2%付近で推移し
ていると、私は引き続き考えている。
今年見られる望ましくないインフレ高進については、相対的な価格調整
が完了し、ボトルネックが解消されれば、最終的には大部分が一過性の
ものだと分かるだろう」と述べ、上記ポスティック総裁とは対照的な認
識を示しています。
クラリダ氏はFRBの副議長としての立場もあり、パウエル議長が「物
価上昇は一時的なものだ」と述べ、未だにその認識を変えていないこと
もあり、やや苦しい発言だったのではとの印象が残ります。
クラリダ副議長はその後、「ただし私も当局の大半の同僚と同様に、イ
ンフレに関するリスクは上方向だと考えている。引き続き基調的なイン
フレトレンド、特にインフレ期待の指数に注意を払っていく」と述べて
います。

IMFは12日、今年の世界の成長率を「5.9%」と、7月時点の予
想から「0.1」ポイント引き下げました。
米国の予想を「7.0%」から「6.0%」に引き下げ、中国は「8.
1%」から「8.0%」に、日本は「2.4%」から「2.0%」へ引
き下げています。米国の引き下げ幅が突出しており、IMFは、デルタ
変異株とサプライチェーンの逼迫、インフレの加速、食料と燃料の値上
がりをその理由に挙げています。新型コロナワクチンの入手が限られる
低所得国を中心に一部の国の成長予想は大きく下方修正し、「危険な格
差」だと警鐘を鳴らしています。

本日は米9月の消費者物価指数とFOMC議事録が注目されます。
消費者物価指数は前月比で「0.2%」の上昇が見込まれています。
FOMC議事録では「早ければ次回会合でテーパリングの発表がある」
と記されていたこともあり、その辺りの議論と、インフレに対する多く
の委員の認識も判明する可能性があります。
労働市場に一抹の不安は残るものの、現時点ではテーパリング開始に向
けた環境は整っていると見ています。

本日のドル円は113円10銭~113円90銭程度と予想します。


ドル円続伸し113円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆NY債券市場が休場であったが、ドル円はジリジリと買われた。
欧州市場で113円台に乗せ、NYでは113円41銭までドル高に。
◆ユーロドルではややユーロ高ドル安が進み、1.1584までユーロが
買い戻される。ユーロ買い、円売りも出た模様で、ユーロ円は
131円台前半まで上昇。
◆株式市場は3指数が揃って下落。特段材料はなかったものの、
原油価格が大幅に続伸し、インフレが加速するとの観測が重荷に。
◆金は3日続落。原油は上昇が加速し、一時82ドル台に乗せる。
アジアや欧州で電力危機が拡大する中、冬季を控えて原油需要が
高まったとの見方。

本日の注目イベント

◆豪   豪9月NAB企業景況感指数
◆独   独10月ZEW景気期待指数
◆英   英9月失業率
◆欧   EUウクライナ・サミット(キエフ)
◆米   IMF世界経済見通し
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(オンライン)
◆米   クラリダ・FRB副議長、国際金融協会(IIF)年次会合でオンライン討論に参加

『このところのドルの上昇はピッチが速く、当然調整局面があろうかと思いますが、
113円台に乗せるようだと、思った以上に上昇に弾みが付く可能性を意識して置
いた方がいいかもしれません。』昨日の「ウィークリー・レポート」でこのように書き
ましたが、ドル円は欧州市場で113円をワンタッチした後、NYでは債券市場が休
場で米長期金利の影響はなかったものの、113円41銭までドル高が進みました。
正確に言えば、ドル高ではなく「円安」が一段と進んだということになります。

「ウィークリー・レポート」ではさらにその理由として、『米国では早ければ11月のF
OMCでテーパリング開始の決定がなされる可能性もあり、金利が上昇しています
。すでに韓国では8月に利上げを決め、ノルウェーでも9月に利上げを行っています
。先週にはニュージーランドも政策金利を引き上げ、これに米国や英国、あるいは
ユーロ圏も方向的には同じような政策変更圧力を受けていることは明らかです。一
方わが国では、先日の日銀総裁の会見でも述べられていたように、「必要とあれば
、さらなる金融緩和も辞さない」スタンスが維持され、異次元緩和の出口は依然とし
て見えてきません。つまり、金利差から円が売られ易い傾向はまだ当面続くと考え
られます。』といった内容を挙げておきました。

また、昨日の東京時間でもドルが買われた背景は、岸田首相の金融所得課税を巡
る発言が大きく影響し、日経平均株価が500円を超える上昇を見せたことと無関係
ではありません。岸田首相は日曜日10日のテレビ番組で、「(金融所得課税を)当
面は触ることは考えていない。まずやるべきことをやってからでないとおかしなことに
なってしまう」と述べ、「誤解が広がっている」とした上で、「しっかり解消しないと関係
者に余計な不安を与えてしまう」と述べていました。さらに昨日の国会での所信表明
でも、金融所得課税については「選択肢の一つとしてあげてきた」と、トーンダウンし、
自民党の総裁選で勝利して以来、約2000円も下げた株式市場に配慮した言い回し
に終始していました。マイナスで始まった昨日の日経平均株価はこの発言を境に大き
く上昇し、円売りが進んだと見られます。

実際に、昨日の海外市場では主要通貨に対する円売りが活発となり、ユ-ロ円は7
月6日以来、約3カ月ぶりの高水準まで上昇し、オージー円も同様に83円台半ばまで
円安が進んでいます。ドル円はいよいよ2018年9月から12月にかけてもみ合った、1
13円台半ば~114円台半ばの「重要なレジスタンス・ゾーン」に入ってきました。ここを
抜くには米長期金利のさらなる上昇が必要かと思いますが、WTI原油価格が一時82ド
ル台まで急騰するなど、インフレを加速させる材料は着々と整っている状況です。シティ
ーグループの担当者は、足元では85ドル
台まで急騰した北海ブレントは「この冬一時90ドルに達する可能性がある」と述べてい
ます。

11月のFOMCは2~3日の予定で開催されます。
ここから3週間、9月のCPIの結果などを睨みながらの展開になります。9月の雇用統計
では雇用者数の増加傾向に一抹の不安は感じましたが、それでもテーパリング開始時
期を大きく先延ばしする程のものではないと考えます。上記113円台半ばから114円台
半ばは何度もトライして抜け切れなかった水準です。この水準が抜けるかどうかが、これ
から年末、あるいは2022年初頭のドル円相場にとって大きな意味を持つと見ています。
上昇ピッチが早いことから注意は必要ですが、先週末あたりから多くの市場参加者がド
高観測に大きく傾斜してきたものと想像できます。
個人的にはここから115円の間では、ゆっくりと一部利益を確定するチャンスを探るスタ
ンスが有利ではないかと思いますが、どうでしょう。

本日のドル円は112円90銭~113円70銭程度を予想します。


米9月の雇用者数予想を下回る 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆雇用統計を受けドル円はNY市場で112円台を回復し、
112円26銭まで上昇。米長金利が1.61%台まで上昇した
ことが手掛かりに。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げ1.1586まで買われる。
対円でも約10日ぶりに130円に迫る。
◆株式市場は3指数が揃って4日ぶりに反落。雇用統計の結果を受け、
次回会合でもテーパリングに向けたプロセスは変わらないとの
見方から株価は下落。
◆債券は反落し、長期金利は1.61%台まで上昇。
◆金は反落。原油は続伸し、一時は80ドルの大台に乗せる。
  
◆8月失業率          →  4.8%
◆8月非農業部門雇用者数   →  19.4万人
◆8月平均時給 (前月比)   →  0.6%
◆8月平均時給 (前年比)   →  4.6%
◆8月労働参加率        →  61.6%

本日の注目イベント

◆英   英8月鉱工業生産
◆英   英8月貿易収支
◆米   債券市場休場(コロンブスデー)


ドル円は先々週30日(木)に一時112円台に乗せた後、先週には110円
台後半まで押し戻される展開になりましたが、本欄では「想定内の動き」といっ
た表現を使い、ドル高の流れは変わっていないと記述してきました。ドル円は再
び112円台を回復し、先週末のNYでは112円26銭までドルが買われ、2
019年4月以来となるドル高水準を付けました。

9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が先月に続き予想を大きく下回る結果
となりました。本来なら、テーパリング開始の後ずれ観測が台頭し、株高、債券
高から金利が低下し、ドル円は下落するといった連想がはたらき易いと思われま
すが、過去2カ月の雇用者数が上方修正されたことで、「全体的にみれば悪くは
ない」といった見方が支配的となり、債券が売られ、長期金利は約4カ月ぶりに
1.61%台まで上昇し、ドル買いにつながっています。9月の雇用者数は市場
予想の「50万人」に対して「19.4万人」と大幅に増加幅が鈍化しましたが
、8月分では「23.5万人」が「36.6万人」に上方修正され、7月分も「
103.5万人」から「109.1万人」に上方修正されました.また失業率は
、市場予想の「5.1%」から「4.8%」に改善しています。

ただ、過去2カ月分が上方修正されたとはいっても、2カ月連続で市場予想を大
きく下回った「事実」は決して小さいものではないと考えます。
FRBは労働市場改善の目安として「一段と顕著な進展」を掲げており、この目
標からすれば、FRB首脳を落胆させる可能性もありそうです。
一方で、同時に発表された平均時給を見ると、9月は前月比「0.6%」増と、
4月以来の大きな伸び率を示しており、企業側がより高い賃金を提示しないと人
手を確保できない状況が続いていることを示唆していると思います。
企業側は、このような労働コストの上昇分を価格に転嫁していると見られ、物価
上昇の要因の一つと見られます。
今回の雇用統計を全体的に見れば、FRBの金融正常化へのアプローチを妨げる
ものではありませんが、来月の雇用統計がますます重要な意味を持ってきそうで
す。ただ、11月のFOMCは2~3日(水)に開催され、雇用統計の発表はそ
の週の5日(金)となるため、日程的には10月分を確認したうえでの開催とは
なりません。

米債務上限を巡る混乱は先週7日、連邦債務の法定上限を引き上げる法案が上院
で可決されたため、今後下院の採決を待たなければなりませんが、下院では可決
する見込みのため、米国史上初となる「デフォルト」はひとまず回避される見込
みです。
成立すれば、債務上限が4800億ドル(約53兆5800億円)引き上げられ
ますが、それでも約2カ月後には同じ問題が起こることになります。
ブルームバーグによると、共和党のマコネル上院院内総務は8日、バイデン大統
領に書簡を送付し、連邦債務の法定上限を巡り、次にこの問題が浮上した際には
支援しない姿勢を示し、民主党が単独で行動する必要があると述べているようで
す。12月初旬には再びこの問題が市場に影響を与える可能性が十分あります。

米長期金利の上昇を素直に反映し、ドル円は緩やかに上昇すると見られます。
2019年4月には112円40銭という高値を付けているため、目先はこの高
値が意識されますが、ここを抜ければ、いよいよ2018年10月~12月にか
けてもみ合った113円台半ば~114円台半ばのゾーンが視野に入りそうです
。上でも触れたように、中国の不動産バブルの行方もあり、前回同様にこのまま
ストレートで上昇するとも思えません。「一歩後退・二歩前進」といった展開を
予想します。

本日のドル円は111円80銭~112円60銭程度を予想します。


米9月のADP予想を上回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はアジア時間に111円79銭前後まで上昇したものの
続かず、NYでは上値の重い展開となる。株価の下落もあり
111円20銭まで売られる場面も。
◆ユーロドルは続落し、2020年7月20日以来となる
1.1533までユーロ安が進行。
◆株式は日中マイナス圏で推移したものの、マコネル上院院内総務が
債務上限引き上げで合意するとの報道を受け急伸。3指数ともプラス圏に
戻して取引を終える。
◆債券は3日ぶりに小幅に反発。長期金利はほぼ横ばいの1.52%台で
推移。
◆金は反発し、原油は大幅に反落。

◆ 9月ADP雇用者数     → 56.8万人 

本日の注目イベント

◆日  8月景気先行指数(CI)(速報値)
◆日   10月日銀地域経済報告(さくらリポート)
◆中   中国9月外貨準備高
◆独   独8月鉱工業生産
◆欧   ECB議事要旨(9月会合)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   8月消費者信用残高
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論に参加

明日は9月の雇用統計が発表されますが、その前哨戦とも言えるADP雇用者数は
事前予想の「43万人」を上回る「56.8万人」の増加でした。7月、8月分は
ともに予想を大きく下回る結果に驚かされましたが、今回は6月以来の
高水準でした。ただ、7月分はさらに下方修正されています。今回の雇用者数の増
加は、9月6日に連邦政府による失業保険の上乗せ措置が終了したことで、企業の
人材確保がそれまでより進んだとみられます。
内訳では、サービス部門で46万6000人増加し、娯楽・ホスピタリティ分野で
26万6000人増えたことが寄与しており、前日に発表されたISM非製造業景
況指数の結果と整合するものです。
明日の雇用統計でも50万人の増加が予想され、8月の23.5万人から大幅な増
加が見込まれています。
仮に予想通りであるか、予想を上回るようであれば、市場はポジティブな反応を見
せると予想されます。

債務上限問題を巡る混乱が続いている米議会で、マコネル共和党上院院内総務は民
主党に対し、11月末までの債務上限引き上げで合意する案を明らかにしました。
これにより米国が直ちにデフォルトに陥るリスクは後退しています。
ただブルームバーグは、「マコネル氏の提案で合意すれば、債務上限問題を巡る民
主・共和両党の対立は一旦落ち着くものの、根本的な解決に至るわけではなく、1
2月になるまで財務省がやりくりするのに十分な額だけを引き上げることになるだ
けだ」と伝えています。この件に関して、民主党のウォーレン上院議員は、マコネ
ル氏は民主党に「屈服」したと指摘し、短期引き上げでの合意がまとまれば民主党
の勝利だと述べています。

米国と中国との間で緊張が高まるなか、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問
題担当)と中国の外交を統括する楊潔チ共産党政治局員は6日、スイスのチューリ
ッヒで会談し、両国関係のほか、利益を共有する国際的および地域的な問題を巡り
意見交換しました。
その結果、バイデン大統領と習近平国家主席が年内にオンラインで会談する計画で
あることが発表されています。
これまでにもバイデン大統領は中国側に会談の申し入れを行ったことがありました
が、断られており、実現すれば初の米中首脳会談となります。
中国は、オーストラリア、英国、米国の軍事同盟(AUKAS)に不快感を示すと
ともに、台湾の航空識別圏への進入を繰り返し、台湾海峡でも偶発的な武力衝突の
危険性が高まっています。アジア、太平洋地域にとっても、米中首脳会談の早期実
現が待たれます。

中国の不動産開発大手の花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グル
ープ)が、4日が期限だった社債2億570万ドル(約230億円)相当を償還で
きなかったことを受け、5日に同社を「一部デフォルト」に格下げる動きが相次ぎ
ましたが、投資家は10月15日に注目しているとブルームバーグは報じています
。同日には他の大手不動産開発会社のドル建て債2億2900万ドル相当の償還が
控えており、すでにフィッチ・レーティングは同社の格付けを「CCC」(トリプ
ルC)に1段階引き下げています。
11月にも同じように他の不動産開発会社のドル建て社債の償還が来ますが、まず
は10月15日がヤマ場になるといった見方が強まっているようです。

本日のドル円は111円~111円80銭程度を予想します。


WTI原油価格はさらに上昇し79ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発し、111円台半ばまで買われる。
米長期金利が1週間ぶりに1.53%近辺まで上昇した
ことでドルを買い戻す動きに。NYでは111円56銭
までドル高が進む。
◆ユーロドルでもドルを買う動きが強まり、ユーロは再び
1.16台を割りこみ、1.1581まで下落。
◆株式市場は3指数とも揃って反発。債務上限問題などが
依然くすぶるなか、ISM非製造業景況指数が予想を
上回ったことなどが好感されダウは311ドル高。
◆債券は続落し、長期金利は1.53%前後まで上昇。
◆金は4日ぶりに反落。原油はさらに買われ、一時は
79ドル台半ばまで続伸。
  
◆8月貿易収支                   →  -73.3b
◆9月マークイットサービス業PMI(改定値)    →  54.9
◆9月マークイットコンポジットPMI(改定値)   →  55.0
◆9月ISM非製造業景況指数            →  61.9

本日の注目イベント

◆独   独8月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏8月小売売上高
◆米   9月ADP雇用者数
◆米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演

米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業景況指数は、市場予想
を上回る「61.9」でした。デルタ変異株の感染拡大がやや鈍化してきて
はいるものの、今後再拡大の脅威はなくなっていません。そんななかでも、
人々が外食や旅行といったサービスへの支出を継続していることが示唆され
ています。
ISM非製造業景況調査委員会のニエベス委員長は、「サービス部門の力強
い拡大期が継続した。一方で、労働資源やロジスティクス、資材を巡る課題
はなおあり、供給の継続性に影響している」と説明しています。

同指標が上振れしたことで、軟調な動きが続いている株式市場では株価が買
い戻され、リスク回避の流れが後退したことから債券が売られ金利が上昇し
ました。この流れを受け、ドルが全面高の展開となり、ドル円は111円5
6銭まで上昇。同様に、ユーロドルでも1.1581までドル高が進んでい
ます。
ただこの流れが今後継続するかどうかは依然不透明です。テーパリング開始
が近いこともあり、上昇が見込まれる米金利が重荷となって、アマゾンやア
ップルなどのハイテク銘柄に軟調な動きが続いています。
足元のインフレは簡単には終わらず、原油高の影響もあり今後一段と上昇す
る可能性も指摘さています。
資産運用会社最大手の米ブラックロック副会長で元スイス中銀総裁のフィリ
ップ・ヒルデブラント氏は、「(インフレは)過去20年とは全く違った時
代に入ろうとしていると確信している。インフレ率は今後、これまでより高
い水準で落ち着くだろう」と述べ、「市場はそれに慣れなければならないと
いうことだ」と語っていました。
年初から相当買われた来たGAFA株を手放し利益を確定するのかどうか、
運用担当者は悩んでいることでしょう。

来年2月に任期が切れることから、間もなくバイデン大統領は次期FRB議
長の指名を行うものと思われますが、パウエル議長は、上院銀行委員会に所
属する共和党議員の過半数から支持を獲得したとブルームバーグは報じてい
ます。
クラポ共和党上院議員は5日、バイデン大統領がパウエル氏をFRB議長に
再指名した場合は、賛成票を投じると述べています。上院銀行委員会に所属
する共和党議員12人のうち、パウエル氏への支持を表明したのはクラポ議
員で7人目となり、同議員は上院財政委員会で、筆頭理事を務めていること
もあり、他の委員への影響力もあるようです。
一方パウエル氏の再任には真っ向から反対しているウォーレン民主党上院議
員は演説で、「米金融当局者が市場で積極的に取引を行えば、利益相反とイ
ンサイダー取引という当然の疑問が生じる。これら当局者の判断は控えめに
言っても極めて悪い」と批判しています。
ボストン連銀のローゼングレン総裁とダラス連銀のカプラン総裁が金融取り
引きを行ったことを阻止できなかったことを理由に、「パウエル氏はリーダ
ーとして失格」と手厳しい言葉で再任に反対しています。

連邦債務上限を巡る問題は依然先行きが読めない状況です。
イエレン財務長官はCNBCの番組で、連邦債務が上限に達すればリセッシ
ョンを引き起こす恐れがあると警告していますが、いまだに解決の兆しは見
えません。
米下院では9月29日に、法定上限の適用を2022年12月まで停止する
法案を可決していますが、上院ではマコネル院内総務が採決阻止に動く構え
のようです。
バイデン大統領は同氏を厳しく非難していますが、米国史上初めてのデフォ
ルトが近づきつつあるとして、その「Xデー」に備えるべきとの意見もある
ようです。

中国の大手不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディン
グス・グループ)は4日が期限だった社債2億570万ドル(約230億円
)相当を償還できなかったようです。これを受け、格付け会社S&Pグロー
バル・レーティングは同社の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げ、フ
ィッチ・レーティングも「RD(一部債務不履行)」に引き下げました。S
&Pは発表文で、「花年様が十分な手元資金があると報告しているにもかか
わらず支払いができなかったのは、資金繰りの逼迫を浮き彫りにする。一方
で資産の処分は予想以上に遅く、期限内に流動性を確保することができなか
った」との見方を示しました。

債務上限を巡る米国や中国の不動産バブルなど、リスクは隣合わせです。
万が一にもないとは思いますが、もし米国がデフォルトに陥った場合、ドル
円はどのように動くのでしょうか?基軸通貨ドルへの信認が急低下すること
から「ドル売り円買い」となり、円高に振れると見られますが、一方で米国
売り、債券売りが活発になることから米金利が急騰することも予想されます
。金利高からドル高という流れも想定されなくはありませんが、これまでに
誰も経験していないだけに難しい判断になります。これ以上考えるのは止め
ることにします。

本日のドル円は111円10銭~111円80銭程度を予想します。


WTI原油価格7年ぶりの高値に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆NY株が続落し、リスク回避の流れからドル円は小幅に
続落。110円82銭まで売られたが、その後は前日の
水準に戻し、111円を下回るレベルで推移。
◆ユーロドルは反発。この日は終始1.16台で推移し、
1.1640まで上昇する場面も。
◆債務上限問題を巡る不透明感やインフレ懸念から株式市場は
大幅に下落。ダウは323ドル下げ、ナスダックは2%を超える
下落。
◆債券は反落。長期金利は1.48%近辺まで上昇。
◆金は続伸。原油も大きく買われ、一時は78ドル台
半ばまで上昇し、2014年11月以来の高値を記録。
  
◆8月製造業受注 →  1.2%

本日の注目イベント

◆豪   豪8月貿易収支
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日  9月東京都区部消費者物価指数
◆独   独9月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月生産者物価指数
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米  8月貿易収支
◆米   9月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   9月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米   9月ISM非製造業景況指数
◆加   カナダ8月貿易収支

米国のインフレ懸念がさら強まってきました。
OPECプラスは原油の供給量を月ごとに斬新的に増やすことで合意し、
これを受けてNY原油先物市場では原油価格が上昇。一時は2014年
11月以来となる78ドル38セントまで上昇し、実に7年ぶりの高値
を付けました。原油価格の上昇は、ガソリン価格の上昇を通じて物流コ
ストや家庭のガソリン代など移動コストの上昇につながり、足元の物価
上昇を一段と押し上げる可能性が高くなります。
加えて、人手不足やサプライチェーンの混乱で物価上昇圧力は続いてお
り、企業が上昇分を価格に転嫁する動きも既に確認されています。

セントルイス連銀のブラード総裁は経済フォーラムでの講演で、米国の
インフレ率は数十年来の高水準になっていると指摘し、上昇ペースが落
ち着くには予想以上の時間を要するリスクがあるとの見方を示していま
す。
総裁は、「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高
進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%
上昇すると予想している」と述べています。
また資産運用会社最大手の米ブラックロック副会長のフィリップ・ヒル
デブラント氏は、1日のブルームバーグ・テレビジョンとのインタビュ
ーで、「(インフレは)過去20年とは全く違った時代に入ろうとして
いると確信している。インフレ率は今後、これまでより高い水準で落ち
着くだろう」と述べ、「市場はそれに慣れなければならないということ
だ」と語っていました。足元の高水準のインフレ率については、もはや
「一時的」という言い方は出来ないようです。

インフレ懸念の高まりからNY株式市場ではハイテク銘柄など、ナスダ
ック指数が大きく下げ、エネルギー関連銘柄以外はほぼ売られる展開で
した。リスク回避の流れが強まり、円が買われる場面もありましたが、
米長期金利の上昇が円高を抑制した効果があったようで、ドル円は11
0円後半でとどまっています。また中国恒大問題が市場のセンチメント
を悪化させている状況は続いており、昨日は香港市場で同社の株式が売
買停止になっています。新たに、中国の不動産開発会社、花様年控股集
団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が4日、満期だった
社債2億570万ドル(約229億円)相当を償還できなかったことも
明らかになっています。

債務上限問題で揺れている米国では、バイデン大統領がホワイトハウス
で、「このような状況に米国を追い込んだのは共和党のマコネル上院院
内総務だ」と非難しました。大統領は、米政府が債務上限を超えないこ
とを保証できるかと問われ、「いや、できない」と回答し、「それはマ
コネル氏次第だ」と述べました。さらに「共和党は非常に向こう見ずで
危険なことをしている。米経済に隕石が衝突しようとしている。それを
回避するため民主党はあらゆる手を尽くす決意だ。共和党は妨害しなけ
ればよいだけの話だ」と語っています。(ブルームバーグ)バイデン大
統領は債務上限問題だけではなく、インフラ投資を巡っても下院民主党
の進歩派との調整が難航しており、苦境に立たされています。

今朝のドル円は前日と同水準で推移しています。
本日も日本株の下落が予想され、昨日発足した「岸田新内閣」へのご祝
儀相場の可能性は低いと見られます。「新資本主義の実現」、「成長と
分配の好循環」など、綺麗な言葉が並んでいましたが果たしてそれらを
実現して、世界に「リーダーシップ」を示すことができるのか、はなは
だ疑問です。

本日のドル円は110円70銭~111円40銭程度予想します。


NY株大幅に反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はじり安となり一時は111円を割り込み、
110円91銭まで下落。米長期金利の低下が重荷に。
◆ユーロドルは小幅に反発。1.16台を回復し、1.1607
まで上昇。ユーロ圏の9月のCPIが13年ぶりの高水準だったこと
がユーロの支えに。
◆株式市場は3指数が揃って大幅反発。ダウは482ドル上昇し、
S&P500も49ポイントの上昇。
◆債券は続伸。長期金利は1.46%台に低下。
◆金と原油は続伸。
  
◆9月マークイットサービス業PMI(改定値)  →  60.7
◆9月個人所得                 →  0.2%
◆9月個人支出                 →  0.8%
◆9月PCEコアデフレータ           →  3.6%
◆9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  72.8
◆9月ISM製造業景況指数           →  61.1
◆9月自動車販売台数              →  1218万台

本日の注目イベント

◆日   9月マネタリーベース
◆トルコ  トルコ9月消費者物価指数
◆欧   「OPECプラス」閣僚級会合(オンライン)
◆米   8月製造業受注
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加(オンライン)
◆加   カナダ8月住宅建設許可件数

ドル円は小幅に続落し、先週末のNYでは111円台を割りこみ、110円91銭まで
ドル売りが進みました。
米長期金利の低下が主因でしたが、これまでの動きからすればドル円は急ピッチで上昇
していたため、当然の調整といったところで、想定内の動きと言えます。
移動平均線の順目での右肩上がりも崩れてはいません。日足では雲の上限が110円2
0銭前後にあり、目先は比較的強いサポートがこの前後にあろうかとみています。

ダラス連銀のカプラン総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁が、利益相反の疑いが
ある取引を行ったとして「辞任」に追い込まれましたが、今度はさらに重要な地位にあ
るクラリダFRB副議長に疑惑が生じています。
新型コロナウイルス禍への対応でパウエル議長が政策行動を講じる可能性を発表した前
日に、債券ファンドから株式ファンドに100万―500万ドル(約1億1100万―
5億5500万円)規模の資金を動かしていたことが、副議長の2020年財務開示で
明らかになりました。
ブルームバーグによると、米政府倫理局(OGE)への届け出では、20年2月27日
にPIMCOの債券ファンドから資金シフトし、同日にPIMCOのストックプラスと
iシェアーズMSCI米国ミニマム・ボラティリティ・ファクターETFそれぞれの買
いがいずれも同規模で取り引きされたと報じています。
パウエル議長は米東部時間2月28日午後2時半に声明を発表し、新型コロナウイルス
が変質しながら米経済成長を脅かすとして、成長を支えるため必要に応じて政策金利を
引き下げる用意があることを示唆していました。
その後3月3日には、FOMCが臨時会合を開き、0.5%の緊急利下げを決定したこ
とは記憶に新しいところです。
クラリダ副議長の報道官は20年の財務報告で開示されたこれらの取引きについて、「
事前に計画されていた口座のリバランスだ」と説明し、「取引は新型コロナ出現に対応
するFRBの行動に関する協議に副議長が関わる前に執行され、ブラックアウト期間の
最中でもなかった。当該ファンドはFRB倫理担当者から事前承認を受けて選択された
」と話しています。
言うまでもなく、金融政策の変更は金融市場に極めて大きな影響を与えるためFOMC
のメンバーにはブラックアウトなど、厳しい規制が課せられています。
クラリダ副議長の行動が実際どうであったのかは、今後はっきりしてくると思いますが、
「李下に冠を正さず」というところでしょう。
長い間市場に関わってきましたが、FOMCメンバーのこのような不祥事は、これまで
耳にしたことはありません。

債務危機に陥っている「中国恒大集団」が大きな試練に立たされているようです。
事情に詳しい複数の関係者によると、ジャンボ・フォーチュン・エンタープライズとい
う会社が発行したドル建て債、2億6000万ドル(約290億円)相当を中国恒大が
保証しているとのことです。
この社債の償還期限が3日で、当日は日曜日のため、実際には本日4日となります。
同社債には一般的な猶予期間が設けられていないため、元本を償還できなければデフォ
ルトとなり得るようです。ブルームバーグは、技術的ミスなどで償還できなかった場合
には5営業日の猶予が与えられているが、この社債の目論見書は開示されておらず、取
引所では売買されないため、中国恒大による保証の詳細は広く知られているわけではな
いとしており、ジャンボ・フォーチュン債の償還ができなかった場合、中国恒大の他の
社債がクロスデフォルトになるリスクがあると指摘しています。

9月のISM非製造業景況は「61.1」と、市場予想を上回り4カ月ぶりの高水準で
した。今回のデータは、製造業者がなお高水準にとどまっている受注残に対処しながら
、幾分前進しつつあることを示唆していますが、根強く続く輸送面での困難から、引き
続き入荷には時間がかかっていることを示しています。
9月の消費支出でも明らかだったように、堅調な消費需要と企業の設備投資が製造業活
動の拡大を今後も支えるものとみられます。

本日のドル円は110円60銭~111円40銭程度を予想します。


NYダウ、今週2度目の500ドルを超える下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反落。欧州市場では112円08銭まで上昇したが
NYでは株価が大幅に下げ、リスク回避から円と、債券が買われ、
111円24銭までドル安に。
◆ユーロドルは続落。前日の安値を下回る1.1563
までユーロ安が進む。
◆株式市場は3指数が揃って大幅安。ダウは今週火曜日に続き
546ドルの大幅安を記録。
◆債券は続伸。長期金利は1.48%台へと低下。
◆金は大きく反発し、原油も小幅に反発。
  
◆新規失業保険申請件数        →  36.2万件
◆4-6月GDP(確定値)      →  6.7%
◆9月シカゴ購買部協会景気指数    →  64.7

ドル/円  111.24 ~ 112.00
ユーロ/ドル 1.1563 ~ 1.1598
ユーロ/円  128.74 ~ 129.72
NYダウ  -546.80  → 33,843.92ドル
GOLD +34.11 → 1,757.00ドル
WTI  +0.20 →  75.03ドル 
米10年国債 -0.029 → 1.487%

本日の注目イベント

◆日   8月失業率
◆日   7-9月期月日銀短観
◆独   独9月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏9月サービス業PMI(改定値)
◆英   英9月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   9月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米   9月個人所得
◆米   9月個人支出
◆米   9月PCEコアデフレータ
◆米   9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   9月ISM製造業景況指数
◆米   9月自動車販売台数
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論に参加
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、オンライン討論に参加

ドル円は欧州時間に112円08銭まで買われる場面がありましたが、NY
では大きく売られる展開でした。
昨日のこの欄でも指摘したように、「日足の雲」を上抜けした後は急ピッチ
の上昇が続き、ローソク足を見ても「6営業日連続で陽線」を示しており、
そろそろ上昇も一服していいころ合いだったと思っていました。
この傾向は米長期金利にも当てはまり、2週間前の水準はまだ1.29%台
でした。
こちらも、早ければテーパリングが年内に開始される可能性があるとはいえ
、上昇ピッチは早すぎた印象です。また、昨日のNY株式市場では3指数が
揃って大幅安となり、ダウは今週火曜日に続き再び500ドルを超える下げ
に見舞われ、ナスダックは4日続落でした。株価の大幅な下落で久しぶりの
「安全通貨の円」が買い戻された格好でした。
昨日はドル円だけではなく、クロス円全般で円高が進み、リスク回避から円
が買われる際の特徴的な動きでした。

米下院では昨日、期間9週間の暫定予算案が可決し、上院では既に可決さ
れているため、同法案はバイデン大統領に送付され署名されることから、政
府機関の閉鎖は回避されることになりました。しかしこの好材料も株式市場
のセンチメントを変えるには至らなかったようです。

ただ、イエレン財務長官は、連邦債務上限の適用停止ないし、引き上げの法
的措置が講じられない限り、財務省の手元資金は10月18日前後には事実
上尽きると警告しています。米議会予算局(CBO)も同じく、連邦政府の
債務上限の引き上げ、ないし、再度の適用停止が実現しなければ、10月後
半か11月初めまでに財務省の資金が尽き、デフォルト回避の特別措置も使
い切る見通しだと発表しています。

デフォルトと言えば、中国恒大集団は29日に米ドル債の利払い期限を迎え
ていましたが、利払いを再び見送ったことを米投資家2人が明らかにしたよ
うです。一方で同社は30日のウェブサイトで理財商品の購入者に資金を返
還したことを明らかにしており、資金は既に投資家の口座に振り込まれてい
るようです。詳細は不明ですが、人民元建ての理財商品について返還されて
おり、米ドル建てのものについては支払いがなされていないようです。人民
元建ての理財商品については、同社の多くの従業員を含め7万人以上が購入
している模様です。

アトランタ連銀のポスティック総裁は電話会談で、「私のモデルでは経済は
2022年いっぱい非常に力強く推移し、22年末までに完全雇用に近づく
」と指摘し、「23年に関しては、利上げ回数予想を1回増やし、3回にな
るとみている」と述べ、さらに「私が描くような力強い成長になれば、さら
にもう1回利上げがあったとしても問題にならないと思う」と語っています
。(ブルームバーグ)0.25%刻みで利上げされたとして、フェデラルフ
ァンド(FF)金利は3回では0.75%、4回では1.0%になることを
意味します。

本日のドル円は111円~111円70銭程度を予想します。
下値のメドは節目の111円前後になろうかと思います。
今回のドル円の上昇は9月22日の109円12銭を大底として始まってい
ます。昨日の112円08銭までの上昇幅をフィボナッチから導き出しても
、38.2%戻しは110円95銭となり、ほぼ一致します。目先はこのレ
ベルがサポートとみています。


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