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オミクロン株への不安、一旦和らぐ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発し上昇したものの、114円には届かず。
米長期利が上昇し、変異株に対する不安がやや和らいだ
ことで円が売られた。
◆ユーロドルは1.12台半ばから後半でもみ合い。
◆株式市場は反発。バイデン大統領の「パニックになる必要は
ない」とのコメントも支えとなり、3指数とも大幅に上昇。
ナスダックは先週末の下げを8割程埋める291ポイント高。
◆債券は反落。長期金利は1.56%近辺まで上昇し、1.5%台
で取引を終える。
◆金は小幅に反落し、原油は反発。

◆10月中古住宅販売成約件数    → 7.5%

本日の注目イベント

◆豪   豪7-9月期経常収支
◆豪   豪10月住宅建設許可件数
◆日   10月失業率
◆日   10月鉱工業生産
◆中   11月中国製造業PMI
◆中   11月中国サービス業PMI
◆独   独11月雇用統計
◆欧   ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
◆米   11月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   11月消費者信頼感指数
◆米   9月FHFA住宅価格指数
◆米   9月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   パウエル議長とイエレン・財務長官、上院で証言
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
◆米   クラリダ・FRB副議長とメスター・クリーブランド連銀総裁、FRBの独立性巡り討論

新型コロナウイルス「オミクロン株」への不安は一旦和らいだようです。先週末
大きく下げたNY株式市場は、朝方から大幅に反発し、引け値でも主要3指数が
揃って大幅高でした。バイデン大統領は29日ホワイトハウスで、新型コロナウ
イルスの新たな変異株への対応で必要とあれば新しいワクチンやブースター(追
加免疫)接種の開発を急がせるが、そういった追加の措置は必要ないというのが
現時点での当局者らの考えだと述べ、「この変異株は懸念すべきだが、パニック
の必要はない」と発言しています。

週明けの動きが注目されていた昨日の朝方の東京市場でしたが、ドル円は早朝か
ら113円70銭台近辺で推移しており、落ち着いた動きを見せていました。
東京株式市場の方も、朝方には売られましたが、昼前にはプラスに転じる場面も
あり、こちらも先週末のような混乱には至らなかったようでしたが、引けにかけ
て下げ幅を拡大し、結局467円安で取引きを終えました。ちょうどこのタイミ
ングでドル円も下げ足を速め、瞬間でしたが、113円を割り込む局面もありま
した。NYでは長期金利が一時1.56%台まで上昇したこともあり、ドルは反
発し、114円台回復には至っていませんが、113円96銭までドルが買い戻
されています。

ただ、今回の「オミクロン株」の出現はまだ始まったばかりです。
専門家の間でも「データが少なく、今後の予想も難しい」といった声が多く、ま
だまだ予断は許しません。一方で今回の新たな変異株に対する各国の対応は素早
く、日本でも30日の零時から全ての国からの新規入国を停止する措置を決める
など、迅速な水際対策を講じています。またファイザーやモデルナだけではなく
、日本でも第一三共や塩野義といった製薬会社が「オミクロン型」へのワクチン
開発に着手しています。
変異株「オミクロン」の存在を最初に指摘した南アフリカの科学者らは、「オミ
クロンは他の変異株に比べて感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や
死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い」との見解を示しています。
さらに「G7」は緊急保健相会合を開き、「オミクロン型」への対応で連携を強
める方針を確認しています。ゲノム解析など、「オミクロン型」への免疫学的デ
ータや検証結果は、今後1~2週間たてば、ある程度集まるとの見方もあるよう
です。

パウエルFRB議長は上院銀行委員会で本日(30日)証言を行うことになって
いますが、公聴会に先立ち証言テキストが発表されています。パウエル議長はそ
の中で、「このところの新型コロナ新規感染の増加とオミクロン株の発生は、雇
用と経済活動に下振れリスクとなるとともに、インフレ動向を巡る不確実性の高
まりをもたらした」と指摘し、「ウイルスに関する懸念が強まれば、対面での勤
務の意欲がそがれ、労働市場の前進を遅らせてサプライチェーンの混乱を深める
ことになる」と説明するようです。議長が新たな変異株について発言するのはこ
れが初めてです。(ブルームバーグ)
公聴会では、さらに足元の物価上昇に対する見方やテーパリングの終了時期、あ
るいは利上げのタイミングに関する質問なども予想され、市場への影響が強まる
ことも予想されます。

115円台半ばから113円割れまで、わずか3営業日で2円50銭を超える下
げとなったドル円ですが、やはり下落スピードの早さは相変わらずです。
ここから再び115円台乗せがあるのか、あるいはもう一段下げて112円割れ
を試すのか、現時点では不透明感が強く、何とも言えません。上でも触れたよう
に、「オミクロン株」の猛威に翻弄され再び世界的に警戒感が強まり、ロックダ
ウンなどの厳しい措置が取られるかどうにかかっていますが、最大の朗報は「既
存のワクチンでも有効」だというデータです。ここしばらくは神経質で値幅も大
きな動きが予想されます。いよいよ12月に入ることもあり、ポジション管理に
は注意してください。

本日のドル円は113円40銭~114円30銭程度を想定します。


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オミクロン拡大懸念からドル円急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は114円台から急落。リスク回避の流れが急速に
強まり円が買われ、ドル円は一時113円05銭まで売られる。
◆ユーロドルも急反発。1.1333まで買い戻しが進む。
◆株式市場は全面安。ダウは905ドル安と、今年最大の下落幅
を記録し、ナスダック、S&P500の下げもきつい。
◆債券は買われ、長期金利は1.47%台まで低下。
◆金は小幅に買われたが、原油は大幅安。新型の変異株「オミクロン」
の感染懸念から前日比13%の下げに。

本日の注目イベント

◆独   独11月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏11月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏11月景況感指数
◆英   英110月消費者信用残高
◆米   サイバーマンデー
◆米   10月中古住宅販売成約件数
◆米   パウエル・FRB議長、ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで冒頭挨拶
◆米   ボウマン・FRB理事講演

この週末は南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの変異株
「オミクロン」の報道一色でした。先週末、日経平均株価が800円
を超える急落からドル円も、安全通貨と見られている
円が買い戻され、115円台前半からじりじりと値を下げる展開でし
た。あわててドル売りの原因を探したところ、「南アフリカで新型コ
ロナウイルスの変異株が確認された」との情報に行き着き、株式市場
ではすでにその影響が出始めていたところでした。

ベルギーやオランダなど欧州で確認された「オミクロン」は香港やオ
ーストリアでも確認され、米国ではアフリカ南部8カ国からの渡航を
禁止し、イスラエルは全ての国からの渡航を禁止する厳しい措置を決
めています。
ただ、今朝の情報では今回の変異株について最初に警告を発した医師
を含め南アフリカ共和国の医療専門家2人は、「新型コロナウイルス
の新たな変異株『オミクロン』に感染した人の症状はこれまでのとこ
ろ軽い」と述べています。
またWHOは声明で、「オミクロン株の重症度がわかるには数日から
数週間かかる。オミクロン株の感染による症状が他の変異株と異なる
ことを示唆する情報は、現時点ではない」ことを発表しています。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は27日、「オミクロ
ンが米国に既に流入している可能性はある」と述べた上で、「そうだ
としても、驚かない」とコメントしています。
新たな変異株「オミクロン」の出現で、世界の金融・商品・債券市場
は大きく反応し、特に金融の中心地であるNYでは、先週末は感謝祭
に伴う短縮取引だったにもかかわらず、
NYダウは一時1000ドルを超える下げに見舞われ、引け値では9
05ドル安だったものの、今年最大の下落幅を記録しています。
リスクオフの高まりから円が買われ、ドル円は一気に113円05銭
まで下げ、恐怖指数と言われる「VIX指数」も「10ポイント以上
」も上昇し、「28ポイント台」と、投資家のリスク許容度は急速に
縮小しています。
本稿執筆時の7時前では、ドル円は113円台後半で推移し、やや落
ち着いているかに思えますが、9時の東京株式市場開始が待たれる状
況です。

米モデルナは感謝祭の25日の早い時間に数百人のスタッフを動員し
、既存のワクチンが「オミクロン株」に有効かどうかを突き止める作
業を迅速に進めており、2つのブースター(追加免疫)候補を試験し
ていることを発表しました。
また、「オミクロン」が既存のワクチンをかいくぐる可能性がある場
合には、改良したワクチンを2022年の早い時期に供給できる見通
しも発表しています。
日本では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかり、ようやく
落ち着きを取り戻してきた状況の所に「新たな闖入者の出現」です。
これから年末年始を迎え、これまでと全く同じというわけにはいかな
いまでも、それに近い「日常」が過ごせる期待が高まっていたところ
に「新たな強敵」です。
ただ、すでに経験もあり、手洗いやマスクはすでに「常態化」してい
ます。これまで通り、警戒感を緩めずに行動することが最大の予防か
と思います。

急落したドル円は113円手前で下げ止まりましたが、日足では「雲
の上限」が112円台後半にあり、ここからサポートゾーンが始まる
ことから意識された可能性もあろうかと思います。
今後の感染状況とワクチンの有効性を確認しないと、この混乱がいつ
まで続くのかはわかりませんが、断定的なことは言えないまでも、F
RBの利上げに向けた道筋には変わりはないと考えます。
本日はパウエル・FRB議長とウィリアムズ・NY連銀総裁がオンラ
インイベントの冒頭で挨拶する予定です。今回の「オミクロン」の発
生を含めて、議長がどのような見方を示すのか注目したいと思います
。「金融市場に想定外の混乱が生じた場合には、適切な行動を取る」
といった、市場を落ちつかせる発言も想定されるところです。

本日のドル円は113円10銭~114円30銭程度を予想します。


米感謝祭のため市場は閑散 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆米国が感謝祭の祝日のためドル円は115円台前半
から半ばで推移。参加者は少なく取引は閑散。
◆ユーロドルも同様に1.12台前半から半ばで推移。域内の
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、上値は重い
展開が続く。
◆原油は小幅に下げながらも78ドル台は維持。

本日の注目イベント

◆豪   豪10月小売売上高
◆日  11月東京都区部消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏10月マネーサプライ
◆米   株式・債券市場、短縮取引ブラックフライデー

昨日の海外市場では米国が「感謝祭」の祝日だったことからほぼ無風
状態でした。ドル円は東京時間から115円台半ばをやや下回る水準
で張り付いたまま、動意はありませんでした。
115円台半ばという、2017年1月以来となるドル高水準だとい
うこともあり、もう少し実需を中心にドル売りが出るのではと予想し
ていましたが、実際には相場を
下押しするほどの売りは見られなかったようです。日本企業の多くは
中間決算の発表を終えましたが、その中で輸出企業の今年度下期の為
替レートは概ね110円以下で利益計画を立てているようです。仮に
110円としても足元のレートからは5円以上の「為替益」が見込め
るため、企業の為替担当者にも余裕があるようです。
現段階ではあわててドル売り注文を持ち込むような状況ではないと見
られます。

米国は10月のCPIが年率で「6.2%」の上昇と、FRBの目標
値から大きく超えており、さらに今週発表されたPECコアデフレー
ターも「4.1%」の高水準でした。このため、FOMCメンバーの
中には、今月から始まったテーパリングを加速させるべきだと主張す
る動きも出て来ました。その結果、その先にある利上げのタイミング
も早まる可能性があり、大手金融機関の調査部では、2022年6月
に第一回の利上げが行われ、9月と12月にも利上げを見込んでいま
す。さらに2023年にも2回の利上げを見込んでおり、このシナリ
オではテーパリングの終了は来年3月と予想しています。

米国では物価上昇が続き、昨日の感謝祭では必需品の「七面鳥」の値
段が前年比24%も値上がりしているとの報告もあり、物価高は人々
の大切な年中行事の祝い方にも影響を及ぼしているようです。
本日から始まる「ブラックフラーデー」でも値上がりを目の当たりに
することになろうかと思います。米国の物価高は、メーカーが仕入れ
コストや賃金の価格に転嫁しやすいことに一因があるとも言われてい
ます。翻って日本では、長い間続いたデフレの影響もあり、米国のよ
うに簡単には価格に転嫁できない事情があります。価格競争が激しい
ということもあり、人々の価格を見る目も肥えているようです。
それでも今秋は値上げラッシュのようですが、ちょうど今市場に出回
ってきたいちごでも、価格を上げずに、パックの中のいちごを1個減
らすといったような努力がなされているようです。

日本の10月のCPIは「+0.1%」でした。
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアでは「-0.7」で、今年の
4月以降マイナス圏に沈んでいます。
携帯電話料金の値下がりが大きな要因と見られていますが、この状況
下でも日本ではインフレは来ないのでしょうか?
「失われた30年」で染みついた「物価は上がらない」といった根拠
なき幻想は、筆者も含めて多くの日本人が持っている認識です。
あの日銀による「異次元緩和」でも物価上昇が続かなかったのは事実
です。しかし、今回はこれまでとは異なると、筆者は考えています。
サプライチェーンの混乱、人手不足、さらに原油高による原材料や物
流コストの上昇。また資源高は原油だけではなく多くの資源にも及ん
でいます。そこに「円安」という要因も加わり、物価上昇のマグマは
相当溜まっていると思われます。
いずれゼロ金利政策は解除になり、徐々に金利は上昇すると予想して
います。困るのは「変動型」の住宅ローンを組んでいる住宅購入者で
す。金利が上昇すれば当然「変動型」から「固定型」へ変えようと多
くの人が考えますが、その時は「固定型」の金利は一気に上昇するは
ずです。長期になればなるほど上昇幅は大きくなるでしょう。
今、「0.4%台」や、「0.6%」台で借りている人は、いまのう
ちに内入れ原資を貯めておく必要があろうかと思います。
因みに筆者が最初に借りた住宅ローン金利は「4.25%」でした。
それも「変動型」で、優遇も受けての金利です。1983年のことで
した。

本日もNYでは債券と株が短縮取引となり、ドル円は大きな動きには
つながらないと見ていますが、115円台半ばから上値を抜け切るこ
とが出来るかどうかです。
115円を割り込む場面もあろうかとは思いますが、深く押す可能性
は低いと思われます。米長期金利の動きと原油価格の動向を睨みなが
らの展開となります。

本日のドル円は114円70銭~115円50銭程度といったとろで
しょうか。


ドル円続伸し115円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間では日経平均株価が500円を超える下げを見せたことで
ドル円も114円を割り込んだが、海外市場では反発。NYでは
115円52銭までドル高が進む。
◆ユーロドルでもドル高が加速し、ユーロは1.1186まで下落。
◆株式市場は前日と対照的な動きとなる。長期金利が低下したことで
ナスダックは上昇しダウは下落。ただ終盤にかけては下げ幅を縮小し
ダウは9ドル安で引ける。
◆債券は反発。長期金利は1.63%台へ低下。
◆金は小幅に反発し、原油は反落。

◆7-9月GDP(改定値)            →  2.1%
◆10月個人所得                 →  0.5%
◆10月個人支出                 →  1.3%
◆10月PCEコアデフレータ           →  4.1%
◆11月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  67.4
◆10月新築住宅販売件数             →  74.5万戸
◆ 新規失業保険申請件数              →  19.9万件

本日の注目イベント

◆日  9月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独   独12月GFK消費者信頼感
◆欧   ECB議事要旨
◆米 NY休場(感謝祭の祝日)

「42年ぶり」、「31年ぶり」・・・といった文字が踊った昨日の米経済
指標の結果でした。
新規失業保険申請件数は「19万9000件」と、先週から「7万1000
件」も減少し、コロナ前の水準をも下回り、1969年以来となる低水準で
した。労働市場の改善傾向が続く中、やはり失業手当の手厚い上乗せ分が終
わり、人々が外に仕事を見つけに出て、そこで好条件の仕事を手に出来たこ
とが大きく影響していると考えられます。
人手不足が続いており、職種さえ選ばなければ容易に仕事を見つけることが
でき、しかも
賃金もそこそこもらえる、「売り手市場」の状況が続いています。この結果
は、来週の雇用統計にも影響してくると思われ、利上げのタイミングも前倒
しになる可能性があります。
パウエル議長も今月のFOMC後の記者会見で、まだ利上げの時期ではない
とする理由に、「労働市場の一段の回復を目にしたいからだ」と述べていま
した。
利上げに関する市場の見方も、すでに2022年には2回の利上げを見込む
水準まで織り込んでおり、フェデラル・ファンド金利先物市場では、202
2年12月の利上げの確率は「59.1%」にまで高まって来ました。


11月2-3日に開催されたFOMCの議事録が公開されました。
この会合でテーパリングの開始が決定されたわけですが、議事録では「幾人
かの参加者は、インフレがFOMCの目標と整合する水準を上回る状態が続
いた場合に、FOMCは資産購入ペースを調整し、フェデラル・ファンド金
利誘導目標レンジの引き上げ開始を参加者が現在想定する時期から早める準
備を整えるべきだと主張した」と記されていました。
これまでは高進するインフレに対して「一過性」だと繰り返し述べてきたF
RB執行部でしたが、「一過性」だとしながらも、想定以上に続いた場合に
はテーパリングのスピードを早めるべきだとの表現に替わってきました。
またインフレに対する懸念から、クラリダ副議長とウオラー理事、ブラード
・セントルイス連銀総裁、さらにデーリー・サンフランシスコ連銀総裁など
、一部の金融当局者は、12月14-15日に開催される次回のFOMCで
、テーパリングのペース加速について議論するのが適切になるかもしれない
との見解を示していました。(ブルームバーグ)

デーリー総裁は昨日のヤフー・ファイナンスとのインタビューでも、「これ
までの状況が続けば、私はテーパリングのペース加速を全面的に支持するだ
ろう」と述べ、「それを加速させるべき論拠は確かにある。次回の会合前に
発表される重要なデータは2つある」とし、「これまで発表された雇用の数
字の一部が上方向に修正されたことを示している。雇用市場では人員採用が
実に活発に続いているようだ」と説明し、また「インフレの数字については
、月間ベースで数カ月にわたって減速した後、CPIの月間の数字が再び高
進した。これが続けば、これらはテーパリングの加速が必要なようだと示唆
するものになる」と語り、12月3日の雇用統計と同10日のCPIの発表
を念頭に置いているとみられます。因みに、デーリー総裁は今年のFOMC
での投票権を有しています。

昨日の東京時間では、理由もあまり明確ではない中、日経平均株価が一時5
00円を超える下げを見せたことで、ドル円も115円を割り込み114円
83銭まで下押しされました。しかし「主戦場」の海外では再び上昇し、N
Yでは115円52銭までドル高が進んでいます。
昨日も述べたように、115円から上方にはこれと言ったレジスタンスはな
く、予想外に上昇スピードが速まることも考えられます。
上昇基調が続いていた金価格も、さすがに足元のインフレ懸念やパウエル氏
の議長再任から大きく下げてきました。ただやや懸念されるのは、新型コロ
ナウイルスの感染が欧州だけはなく、米国でもじわじわと再拡大してきたこ
とです。昨日も新規感染者数は10万人に迫るところまで増えてきました。
再びロックダウンの導入といった措置が取られるようだと、利上げシナリオ
にも修正が加えられる可能性もあります。インフレを示す経済指標とともに
、コロナ感染の状況にも目配りが必要です。

本日のドル円は115円~115円80銭程度を予想します。


ドル円4年8カ月ぶりに115円台前半へ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は欧州市場では114円台半ばまで売られる場面が
あったものの、NY市場では再びドルが買われ、115円19銭まで上昇。
米長期金利が上昇したことでドルが買い戻され、4年8カ月ぶりのドル高を記録。
◆ユーロドルは前日と変わらず、1.12台半ばから後半で推移。
◆株式市場は前日の動きと異なり、ダウとS&P500が上昇し、
ナスダックは下げる。パウエル氏再任で金融政策が安定することが
好感された一方、長期金利の上昇からナスダックは売られる。
◆債券は続落。長期金利は1.66%台に上昇。
◆金は大幅に続落し1780ドル台に。原油は米国が備蓄原油の
放出を決めたものの、織り込み済みとの理由で大幅に上昇。

◆11月マークイット製造業PMI(速報値)       →  59.1
◆11月マークイットサービス業PMI(速報値)     →  57.0
◆11月マークイットコンポジットPMI(速報値)    →  56.5
◆11月リッチモンド連銀製造景況業指数         →  11

本日の注目イベント

◆独   独11月ifo景況感指数
◆米   7-9月GDP(改定値)
◆米   10月耐久財受注
◆米   10月個人所得
◆米   10月個人支出
◆米   10月PCEコアデフレータ
◆米   11月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   10月新築住宅販売件数
◆米   FOMC議事録(11月2-3日分)
◆米   新規失業保険申請件数

先週金曜日の本欄で、「個人的にはパウエル氏を支持するけど、何の根拠もないが、
ただ漠然とブレイナード氏がFRB議長に指名されるのでは・・・」と書きました
が、バイデン大統領は、パウエル氏をFRB議長に再任することを決めました。
金融政策の安定を優先した形となり、バイデン大統領は「堅実で断固としたリーダ
ーシップで市場は安定し、経済は力強い回復軌道に乗った」と、パウエル氏のこれ
までの実績を
評価し、同氏が共和党員であることから、「党派を超えた支持を得られるリーダー
であることが重要だ」と述べました。
また議長候補であったブレイナード理事を副議長に任命し、今後上院での承認を経
て、正式に就任することになります。
足元で高進するインフレに対処するには、ブレイナード氏の「ハト派寄り」の姿勢
がややネックになった可能性もありそうです。

パウエル氏の議長再任の報を受け、23日の昼前にはドルが買われ、ドル円は11
5円台に突入しました。
その後一旦114円台半ばまで押し戻される場面もありましたが、米長期金利の上
昇を受け昨日のNYでは、2017年3月以来となる115円19銭までドル高が
進んでいます。

バイデン大統領は原油高に対応するため、戦略的石油備蓄の放出を決めました。
ホワイトハウスの発表によると、米国は早ければ12月半ばから下旬に5000万
バレルの石油備蓄を放出する模様で、日本、中国、インド、韓国、英国にも協調を
呼びかけており、日本は本日にも国家備蓄の放出について発表する予定です。
ただ昨日のNY原油先物市場では、米国の放出決定にもかかわらず原油価格は大き
く上昇しています。
10月下旬には一時85ドル台まで買われた原油価格は、備蓄放出の可能性が報道
された後、75ドル台まで急落しており、すでに織り込み済みだったというのが背
景のようです。また備蓄放出後に、放出される石油の大部分を将来的に戦略備蓄に
返還させること
が義務づけられていることもあり、結局需給バランスを変えないとの見方もあった
ようです。昨日のWTI原油価格は1ドル75セント上昇して取り引きを終えてい
ます。

トルコリラの下げが止まりません。
昨日の海外市場でリラは次々と節目を割りこみ、対米ドルでは一時18%安となる
13.45近辺までリラ安が進みました。
ドルに対する下げは20年ぶりとなる11営業日連続で、これで今月だけでも対ド
ルで3分の1も価値を減らしたこととなり、相場の動きからしても異常な状況が続
いています。リラは対円でも8円台半ばを割り込む場面があったようです。
直接のきっかけとなったのが、エルドアン大統領がトルコ中銀のカブジュオール総
裁と会談していたことが明らかになったことでした。
具体的な会談内容は明らかになってはいませんが、市場は、エルドアン氏が再び利
下げ圧力を中銀総裁にかけたのではないかとの疑念がリラ売りにつながったとみら
れます。
トルコ中銀は先週の金融政策会合で政策金利を「16%」から「15%」に引き下
げたばかりです。20%近いインフレが続いている中、金融政策の原則を無視し、
「利下げを行えば、景気が良くなる」とのエルドアン氏の「妄信」からトルコ中銀
は猛烈な利下げ圧力を受けており、12月の会合でも再利下げがあるとの見方も浮
上しています。
これまでにもリラの急落は何度か見ていますが、今回の下げには正直驚いています。
「エルドアン氏と中銀総裁が会談した」との報道だけで、これほど売られるリラは
非常にリスキーだと言わざるを得ません。今後反転する際にも、その幅は結構大き
なものになると見ています。

緊張が続くウクライナ国境を巡って、米国とロシアの軍トップが23日電話会談を
行いました。「ロシアがウクライナに侵攻なら、極めて重大な結果を招く」と、フ
ランスのルドリアン外相が警告を発している中、ミリー米統合参謀本部議長とロシ
アのグラシモフ第1国防次官兼参謀総長は、「安全保障に関するいくつかの疑念事
項について話し合った」、と米統合参謀本部が声明で明らかにしています。
会談内容については、「慣例に従い、両者は会談内容の詳細を非公開とすることで
一致した」と説明しています。(ブルームバーグ)

ついに115円台に乗せてきたドル円ですが、115円というのは大きな節目であ
ったと同時に、チャートではここから上方にはこれといった重要なレジスタンスが
見当たりません。
敢えて探せば、2016年12月から翌年1月にかけてドルが急上昇し、118円
台後半までドル高が進んだ、あの局面です。
2016年の米大統領選で予想に反してトランプ氏がクリントン氏に勝利し、ドル
円は直後に100円を割り込みましたが、その後のトランプ氏の言動が思いのほか
ノーマルであったことなど、一転して政策期待が先行して118円台を付けた経緯
があります。

米インフレが今後どこまで進行するのかとも大いに関係しますが、115円台に乗
せたことで、再びドルの上昇に弾みが付く可能性も出て来た印象です。

本日のドル円は114円70銭~115円50銭程度を見ています。


欧州での感染拡大からユーロドル1.1250まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に下落。欧州で新型コロナウイルスの感染が
再拡大していることで、株安・債券高となり、円を買う
動きが強まった。
◆ユーロドルは続落し、1.1250まで売られる。新型コロナ
ウイルスの感染拡大で、オーストリアが最大20日間のロックダウン
を決めたことなど、景気への懸念が強まる。
◆株式市場は欧州での感染拡大の影響からボーイング株などが
大きく売られ、ダウは268ドル安。一方ナスダック指数は金利低下を
好感し最高値を更新。
◆債券は続伸。長期金利は1.54%台へと低下。
◆金と原油は揃って下落。

本日の注目イベント

◆欧  ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
◆米  10月中古住宅販売件数
◆米  企業決算 → ズーム

欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大し、過去最多の感染者数を記録
する事態になってきました。
オーストリアでは全国規模で感染が広がっており、22日から最大20日間
のロックダウンを決め、20日はこれに抗議する数万人規模のデモが首都ウ
イーンでありました。
またドイツでは連日5万人前後の新規感染者が出ており、フランスやイタリ
アでも同様に感染者数が急拡大しています。
行動制限の導入で景気への影響は必至と見られ、ユーロは連日安値を更新し
ており、先週末のNYでユーロドルは1.1250まで売られ、2020年
7月以来となる安値を付けています。
ユーロは対円でも2カ月ぶりの安値です。
欧州での感染拡大の影響は米国にも及び、NY株式市場ではボーイングなど
、航空株が大きく売られ、ダウの下げをけん引しています。
日本では依然として感染者数が減少傾向で、安心感が漂ってはいますが、北
海道では感染者数が微妙に増加傾向を示しており、「第6波」への懸念も残
っています。これから寒さも増し、年末年始で人の移動なども増えてきます。
警戒感を緩めるわけにはいきません。

米政府は、ロシア軍はプーチン大統領からの命令が下りれば直ちにウクライ
ナの複数の箇所から大規模な攻撃を始められるよう、国境付近に軍の配備を
増強しているとして、地図などの情報を欧州同盟国と共有しています。バイ
デン大統領も警戒を強めるよう指示している模様です。
そのバイデン氏は79歳の誕生日を迎え、健康診断でも極めて健康で、大統
領の職務を全うできるとのお墨付きをもらったようです。そのこともあって
か、ワシントンポスト紙は、バイデン氏が2024年の大統領選に出馬する
意向を関係者に伝えたと報じています。
仮に事実だとすれば82歳での大統領選出馬ということになり、勝利すれば
86歳まで大統領職を務めることになります。さすがに「ご高齢」です。
すでにトランプ氏は2024年の大統領選には出ると見られており、稀に見
る高齢者同士の闘いになるかもしれません。

ウオラーFRB理事は講演で、「労働市場の急速な改善とインフレデータの
悪化を受け、私はテーパリングを加速し、来年には金融緩和をより急速に解
除することを支持する方向に傾いている」と発言し、「最新のデータを見守
るつもりだが、金融政策はこれに基づいてテーパリング加速の方向へとかじ
を切る必要があるかもしれないと考える」と語っています。
セントルイス連銀総裁のブラード総裁もすでに同様な考えを示しており、来
年中ごろに予定しているテーパリング終了が早まる可能性もあります。
そしてその結果、さらに利上げ開始のタイミングにも影響が出て来ることも
考えられます。

先週「115円台乗せ」に失敗したドル円はやや上値を抑えられ、重苦しい
展開です。
FRBによる金融正常化への道筋が着々と進められると見られ、長期金利は
緩やかに上昇していくと想定されています。米金利との相関が強いドル円は
その影響から同じ様に、緩やかにドル高が進むとみていますが、気になるの
は足元での各国のコロナ感染の影響です。
今年春先から夏にかけては、日本のワクチン接種の遅れや、爆発的な感染者
数の増加から円が売られ、円は「全面安」の展開でした。
今回欧州で感染が再拡大し、米国でも感染者数は高止まりしています。
一方日本では遅れていたワクチン接種率が今や世界でもトップクラスです。
今度は円が見直され、主要通貨に対して円が「全面高」になる可能性もない
とは言えません。
金融政策の差は明らかに「円安」を示唆してはいますが、主要国のコロナ感
染の状況にも注意しておくにこしたことはありません。

本日のドル円は113円50銭~114円30銭程度を予想します。


トルコ中銀3カ月連続で利下げを断行 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小刻みに買戻しが入り、NYでは114円48銭まで上昇。
失業保険申請件数など、経済指標が好調だったことも支えに再び
114円台半ばを回復。
◆ユーロドルも買い戻され終始1.13台で推移し、1.1374まで
上昇。
◆株式市場はまちまち。ダウは60ドル下げたもののハイテク株
は上昇し、ナスダックとS&P500は上昇。S&P500はわずかに
最高値を更新し、これで今年に入って66回目の更新となる。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.58%台で推移。
◆金は反落し、原油は上昇。

◆新規失業保険申請件数             →  26.8万件
◆11月フィラデルフィア連銀景況指数      →  39.0
◆10月景気先行指標総合指数          →  0.9%

本日の注目イベント

◆日  10月消費者物価指数
◆独   独10月生産者物価指数
◆英   英10月小売売上高
◆欧   ユーロ圏9月経常収支
◆米   ウォラー・FRB理事講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、イベントで講演
◆米   クラリダ・FRB副議長講演(オンライン)
◆加   カナダ9月小売売上高


トルコ中銀は予想通り政策金利を「1.0%」引き下げ、「15.0%」にしました。
これで3カ月連続の利下げとなり、この間の下げ幅は「4.0%」に達しています。
また市場は12月会合でも引き下げることを見込んでいます。世界中で急激にインフレ
が高まっていることに対応するため政策金利の引き上げが続く中、トルコ中銀だけはエ
ルドアン大統領の利下げ圧力に屈した形で政策金利の引き下げを続けています。
エルドアン氏は前日の議会での演説でも「金利引き下げの闘いを、自分が大統領である
限り続けていく」と明言しており、今後も利下げ圧力は続くと見られます。
利下げを受けて、通貨リラの下落が止まらず、リラ円は一時初めてとなる10円を割り
込む場面もありました。
一方で、国内のインフレは20%に迫る水準まで進んでおり、国民は輸入物価の上昇に
厳しい生活を余儀なくされているようです。
リラは対米ドルでの下げが一段と進み、街の両替店では持っているリラを米ドルに交換
する国民も多く見られるとの報告もあります。

また「リラ売りドル買い」を最も活発化させているのは投機筋ではなく、トルコ国民だ
といった笑えない事実もあるようです。
トルコ中銀の政策委員会は声明で、「金融政策の統制が及ばない供給サイドの要因によ
る物価上昇への一時的影響は来年前半いっぱい続くと見込んでいる」とし、「そのため
利下げ打ち切りを来月検討することになるだろう」と説明しています。

バイデン大統領は18日、カナダのトルドー首相と会談するにあたって記者団の質問に
応じ、来年2月に開催される北京冬季オリンピックを外交的にボイコットすることを「
検討中」であることを認めました。
米国の一部議員が、最近の中国の経済的および軍事的な行動のほか、香港や新疆ウイグ
ル自治区における人権侵害に対する非難を示す手段として、オリンピックボイコットを
求めていたことに応じたものです。(ブルームバーグ)
先週には中国側が、バイデン大統領を開会式に招待するのではといった報道もありまし
たが、仮にボイコットが決まれば、1980年の「モスクワ五輪」以来の不参加という
ことになるのでしょうか。

ウイリアムズNY連銀総裁は18日の講演で、「米国の長期インフレ期待はかなり上昇
した」との認識を示し、「長期インフレ期待のさらなる上昇は望ましくない」と述べて
います。同総裁は足元の物価上昇は一過性であり、来年半ばまでには鎮静化するとの考
えを示していましたが、10月のCPIが年率で「6.2%」上昇した現実を受け止め
、やや認識を変えて来たような感があります。
またシカゴ連銀のエバンス総裁は依然としてハト派姿勢を崩しておらず、利上げ時期に
ついて、「資産購入プログラム終了後の来年に始まるか、2023年にずれ込む可能性
がある」と述べ、最近の物価上昇については、「こうした大幅上昇は剥落し始めるだろ
う。インフレ率を2%に近づける可能性のある多くの要因があると考える」と語ってい
ます。

113円台後半まで売られたドル円は、1日で114円台半ばまで反発してきました。
焦点は再び115円をテストする動きになれるのかどうかです。
言い換えると、115円手前から一気に114円割れまで落とされたドル円が、再び1
15円を試すような動きを見せるということは、「ドルは上昇したがっている」と見る
こともできます。
一方最近の動きの中で、一気に1円を超える程のドル売りに押された事実は「重い」と
言うこともでき、ここからの動きに注目です。
FRB議長人事を巡って、バイデン大統領は今日にも次期議長名を発表するかもしれま
せん。
個人的にはパウエル氏を支持していますが、何の根拠もなく漠然と、ブレイナード氏が
指名されるのではないかと予想しています。
ハリス副大統領、イエレン財務長官、さらには来日中のキャサリン・タイUSTR代表
。全て、米国史上初の女性登用であり、しかもかなり重要な職位です。
女性に優しいバイデン大統領であれば、ブレイナードFRB議長の誕生もあるのでは、
と勝手に思い巡らせています。ブレイナード氏が「ハト派寄り」な点には注意です。

本日のドル円は113円80銭~114円60銭程度を予想します。


ドル円は115円テストに失敗し大幅反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間の朝方114円97銭まで買われたドル円は
その後じり安となり、NYでは大きく売られる。
米長期金利が低下したことや、軟調な経済指標の発表を受け
一時は114円を割り込む。
◆ユーロ圏では新型コロナウイルス感染の再拡大が続いている
こともあり、ユーロを売る動きは止まらず。ユーロドルは一時
1.1294まで続落。
◆株式市場は3指数が大幅に反落。ダウは211ドル下げ、ビザの
下落が全体の下げをけん引。
◆債券は反発。長期金利は1.59%前後まで低下。
◆金は反発。原油は2ドルを超える下げで一気に78ドル台に。
バイデン大統領がガソリン市場の調査を米連邦取引委員会(FTC)に
要請したことも重荷に。

◆10月住宅着工件数     →  152.0万件
◆10月建設許可件数     →  165.0万件

本日の注目イベント

◆トルコ  トルコ中銀政策金利発表
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   11月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   10月景気先行指標総合指数
◆米   米・カナダ・メキシコ首脳会議(ワシントン)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、Q&Aに参加
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

ドル円は難しい展開でした。
昨日の朝方には、前日のNY市場でのドル高を受け114円97銭まで
ドルが買われ、「115円テストは時間の問題」かと思われましたが、
その後は実需のドル売りに押され、軟調に。
NYでは米長期金利が低下したことや、住宅着工件数が予想を下回った
ことで、株価が大きく下げ、リスク回避の流れが強まったことでドル円
は大きく売られ、113円94銭まで押し戻されました
115円前後では実需のドル売りが集まり易く、抜け切るには簡単では
ないと思ってはいましたが、東京での高値から1円も押し戻されたこと
にやや驚きも感じています。これで市場には「115円台は重い」とい
った印象が強く残されたことになります。世界的にインフレ懸念が強ま
り、米金融当局は早ければ2022年後半にも利上げを迫られる可能性
があるため、「ドル高シナリオ」は変わってはいませんが、115円を
超えて上昇するには想定以上に時間がかるかもしれません。

そのインフレが加速している元凶の一つに原油価格の高騰が挙げられま
すが、昨日のNY原油先物市場ではWTI原油価格が前日比2ドル36
セント下げ、一気に78ドル台まで売られ、6週間ぶりの水準を付けま
した。
原油価格の高騰を背景に米政府が備蓄原油を放出するといった根強い観
測がある中、バイデン大統領が、ガソリン市場で違法行為がはびこって
いる可能性があるとして、米連邦取引委員会(FTC)に調査を要請し
たことも影響したようです。
大統領はカーンFTC委員長に宛てた書簡で、ガソリンの小売価格と卸
売価格の差について懸念を表明し、「石油・ガス企業が反消費者的な行
為に及んでいる証左は山のようにある」と指摘しました。その上で、「
反競争的もしくは違法の可能性がある行為のため、勤勉な米国民が高い
ガソリン代を払わされるのを私は容認しない」と、調査を求めました。
(ブルームバーグ)米国のガソリン価格は昨年10月から49.6%も
上昇し、CPIを押し上げているだけではなく、自動車を主な移動手段
とする米国民の家計にも相当な重荷になってきています。
英国でも、昨日発表された10月のCPIが前月比で「4.2%」上昇
しており、BOEの目標である「2%」を大きく超えていました。BO
Eは物価上昇率が来年の早い段階で「5%」に達すると想定しており、
利上げに踏み切らざるを得ない状況に追い込まれている印象です。

NYダウ構成銘柄でもある「VISA」が大きく売られ、ダウ指数の下
げをけん引しましたが、これは、アマゾンが英国で発行されたビザのク
レジットカードを来年から利用できなくなると発表したことの影響です
。アマゾンは「顧客にベストプライスを提供しようと取り組んでいる各
ビジネスにとって、カード決済のコストが引き続き障害になっている」
と発表し、手数料の高さを理由に来年1月19日からアマゾンでは同社
のカードが利用できなくなる予定です。
これに対してビザは、「アマゾンが将来的に消費者の選択を制限すると
脅していることに非常に失望している。消費者の選択が制限されれば誰
も得をしない」と説明し、「当社はアマゾンとの長年の関係があり、解
決に向けた努力を続けていく」と発表しています。

本日はトルコで政策金利の発表があります。
トルコ中銀は先月、市場にとってサプライズの「利下げ」を行いました
が、今回もエルドアン大統領の圧力の下、「1%の利下げを断行する」
ものと見られています。
本日の政策決定会合を前にエルドアン大統領は17日、低金利を目指す
闘いを続けることと表明しました。
エルドアン氏は議会演説で、「金利を擁護する人たちと同じ道をたどる
ことはできない。市民から金利の重荷を取り除く」と表明し、中銀に圧力
をかけています。
この発言を受けトルコリラはすでに下落していますが、トルコのインフ
レは上記米国や英国とは比較になりません。直近10月のCPIは前年
比で「19.89%」上昇し、9月の「19.58」を上回り、5カ月連続で上
昇しています。
原油などエネルギー価格の上昇が最大の要因ですが、通貨リラ安の影響
もあり、コア指数でも「16.82%」と、桁違いの数字です。
本来は「利上げ」を行い通貨安に歯止めをかけるべきですが、「低金利
志向」の極めて強いエルドアン大統領の意向が強く、トルコ中銀は「利
下げ」を行っています。「利下げ」を行うことで通貨リラが売られ、それが
再び輸入物価を押し上げインフレにつながるという「悪循環」から
抜け出ることが出来ない状況が続いています。通貨リラの浮上がまだま
だ見通せません。

再び上値を重くしたドル円ですが、日足では「転換線」が113円85
銭近辺にあり、先ずはこの水準がサポートと見られます。

本日の予想は113円80銭~114円60銭程度と見ています。


ドル円4年8カ月ぶりに114円後半へ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京タイムから欧州にかけては114円台前半で推移して
いたドル円は、NYでは114円台半ばを抜け、114円85銭
まで上昇。2017年4月以来となるドル高を示現。
◆ユーロドルも続落。1.1309前後まで売られ、こちらは
1年4カ月ぶりの安値を記録。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。小売売上高が市場予想を
上回ったことを好感して上昇したが、引き際には伸び悩み
ダウは54ドル高。
◆債券は3日続落。長期金利は1.63%台に上昇。
◆金は続落し、原油も売られる。

◆10月小売売上高        →  1.7%
◆10月輸入物価指数        →  1.2% 
◆10月鉱工業生産        →  1.6%
◆10月設備稼働率        →  76.4%
◆11月NAHB住宅市場指数   →  83

本日の注目イベント

◆日   10月貿易統計
◆欧   ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ECB金融安定報告
◆英   英10月消費者物価指数
◆米   10月住宅着工件数
◆米   10月建設許可件数
◆米   ボウマン・FRB理事講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   ウォラー・FRB理事講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、Q&Aに参加
◆加   カナダ10月消費者物価指数

10月の米小売り売上は好調でした。市場予想の「1.4%増」を上回る
「1.7%」の伸びでした。
数十年ぶりのインフレが高進する中でも、個人消費は堅調だったこととな
り、株高による資産効果の影響に加え、今後物価がさらに上昇するとの思
惑もあり、消費を早めている可能性もありそうです。また賃金が上昇して
いる上に、比較的楽に仕事に就けることも個人消費の増加を促しているよ
うですが、先週末に発表された11月のミシガン大学消費者マインド速報
値では予想外の落ち込みが確認され、今後インフレを主因とした消費マイ
ンドの落ち込みが消費需要を抑制するリスクはあるのかもしれません。


昨日NYで発表された経済指標を見ると、小売売上高だけではなく、他の
全ての指標が予想を上回っていました。
鉱工業生産も、前月の「0.9%」から大幅に伸び「1.6%」でした。
また設備稼働率も「76.4%」と、今年の最高水準です。
コロナ禍からの経済再開や、ハリケーン「アイダ」の被害からも立ち直り
、企業経営者が生産を増やす意識を高めていることが窺える結果かと思い
ます。

ドル円は長期金利の上昇と相まって、この欄でも何度も触れている114
円台半ばから115円の重要なレジスタンス・ゾーンを果敢に攻めており
、114円85銭までドルが買われました。まだ完全に抜け切れてはいな
いものの、115円を明確に超えるようだと、
「これで上昇に弾みが付く」といった観測も高まり、ストップロスのドル
買いも巻き込んで上昇する可能性もあります。
114円台半ば近辺ではドルショートで何度も「おいしい思い」をして来
た市場参加者も115円を超えたら「上値の蓋が外れた」と、これまでの
予想レンジを上方修正してくることが考えられるからです。

ユーロドルでも1.13割れを試す水準まで売られ、昨日のNY市場は急
速にドル高へ傾いた印象でしたが、「超タカ派」のブラード・セントルイ
ス連銀総裁の発言もドル高に拍車をかけたようです。
ブラード総裁は16日、インフレ率の急上昇に対応して金融当局は刺激策
の縮小を加速すべきだとの見方を示しました。
同総裁は「インフレのリスクを適切に管理するためには、FOMCは次の
会合でよりタカ派的な方向に進むべきだ」と述べています。さらに、「こ
れまでも提案してきたが、議論したいもう一つの案は、テーパリングが終
わった時点で決定を待たずにバランスシートのランオフ(償還に伴う保有
資産の減少)を認めることだ」とし、「これを行えば、若干ながらよりタ
カ派的な政策となると思う」と語っています。(ブルームバーグ)

昨日の米中首脳会談は「旧友に会えたようで、嬉しい」などと、なごやか
に始まったものの、結局人権問題や台湾問題など重要な部分では双方の主
張が並行線をたどり、これといった成果はなく終わった印象です。
特に台湾問題について習主席は、「レッドラインを突破すれば、われわれ
は断固とした措置をとらざるを得ないだろう」と述べ、台湾独立を支持す
るバイデン政権には一歩も譲る意志のないことを鮮明にしていました。
お互いに「軍事衝突は避けたい」という考えがあることは確認できたもの
の、今後の米中関係改善の兆しは見えてきませんでした。
来年2月の冬季北京オリンピックでは、中国側がバイデン大統を招待する
との報道もありましたが、先行きは極めて不透明です。

バイデン大統領はFRB議長人事について、指名発表は「あと4日後にな
る見込みだ」と記者団に述べています。
そうなると、今週末あたりに発表される公算が高いと見られますが、候補
者としては、
パウエル氏の続投か、ブレイナード理事を指名するかどうかの選択とみて
間違いないと思われます。注意したいのが、仮にブレイナード氏が次期F
RB議長に指名された場合、同氏はややハト派寄りと見られていることか
ら、長期金利が低下しドルが売られる可能性がある点です。
もっともその場合、株式市場が好感して株高となり、リスクオンが強まる
ことになり、その面から円が売られることも考えられなくはありません。

本日は114円40銭~115円20銭程度を予想しますが、115円の
攻防が見られるのかどうか、注目です。


ユーロドル1.13台半ばまで続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆アジア市場では上値が重かったドル円はじり高となり、
NYでは米長期金利が上昇したことを受け114円21銭
までドル高が進む。
◆ユーロドルではさらにドル高・ユーロ安が進み、ユーロは
1.1356前後まで下落。2020年7月14日以来となる
ユーロ安を記録。
◆株式市場は好調な経済指標を受け、朝方は上昇していたものの
その後失速。金利が上昇したことからマイナスに転じたが、下げ幅は
限定的に留まる。
◆債券は続落。長期金利は1.61%台に上昇。
◆金は8日ぶりに反落。原油は小幅ながら上昇。

◆11月NY連銀製造景況業指数   → 30.9

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆欧   ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)
◆欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
◆英   英10月失業率
◆米   10月小売売上高
◆米 10月輸入物価指数
◆米   10月鉱工業生産
◆米   10月設備稼働率
◆米   11月NAHB住宅市場指数
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
◆加   カナダ10月住宅着工件数


間もなく米中首脳会談が始まります。
オンライン形式の会談ですが、日本時間9時45分から始まり、1時間半程度
行われる模様です。貿易や台湾問題、さらに人権問題や中国の経済慣行などが
話し合われるようです。事前の報道では両国にとって利益になる部分では関係
を深めていくことのようでしたが、今回の首脳会談でどこまで両国間に横たわ
る「溝」を埋めることが出来るのか注目したいと思います。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は今回の首脳会談に合わせて「米中関
係が新冷戦へと進んだ場合」のシミュレーションを行いました。幾つかのケー
スを挙げていますが、その中でも最悪のシナリオとして、米中関係がさらに悪
化し、両国間の全ての貿易が事実上停止した場合のシミュレーションが興味を
引きます。この場合、他の全ての国が米中いずれかの側につくことが余儀なく
され、中国のGDPは6%押し下げられます。また、アジアの近隣国およびブ
ラジルやロシアなど主要資源輸入国から成る「中国ブロック」も負け組となり
ます。一方、米国のGDPは約7%押し上げられ、カナダ、メキシコ、インド
、のプラス効果はさらに大きくなるといった分析結果を発表しています。
このシミュレーションにある程度の信頼性があるのであれば、さすがに中国も
危機感を抱くのではないでしょうか。

11月のNY連銀製造業景況感指数は予想を大きく上回る「30.9」と、前
月の「19.8」から力強い伸びを見せました。
同指数は「0」が活動の拡大と縮小の境目で、今回の指標では受注の伸びと雇
用の加速が寄与しており、販売価格の指数は統計でさかのぼれる2001年以
降で最高となっています。

足元で高進しているインフレをあなどるべきでないと警告を与え続けているサ
マーズ元財務長官は15日、今度は、過度なインフレへの対処に失敗すれば、
トランプ前大統領の返り咲きをもたらす可能性があると警告しています。
サマーズ氏はブルームバーグへの寄稿者であるため、同社のニュースに登場す
る頻度は高いものの、今回は「バイデン政権によるFRBの人事では、インフ
レ抑制という課題を認識する必要があり、それが金融政策全般に反映されるべ
きだ」とツイートし、さらに「過度のインフレとそれが抑制されていないとい
う感覚が、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンの当選を後押しした。
ドナルド・トランプ氏が権力を取り戻すリスクもある」と
指摘しています。
また英国でもBOEのベイリー総裁はインフレの状況を「非常に懸念している
」と述べ、「労働市場は逼迫している」と指摘。今月利上げを見送ったことに
ついては、「非常にぎりぎりの決断だった」と語っています。

日本でも第3回目のワクチン接種が来年そうそうにも開始される見込みですが
、欧州では感染の再拡大が懸念される中、昨日の全国の新型コロナウイルスの
新規感染数は「79人」と、今年最小を更新しています。
東京都でも「7人」と最小を記録し、医療従事者もようやく小休止といった状
況です。
米疾病対策センター(CDC)は、米国から日本への渡航について、警戒レベ
ルを引き下げることを発表しています。非常事態宣言が解除され、「リベンジ
旅行」も盛り上がり、さらにこれからは年末年始と、人の移動もより活発にな
ります。
専門家は声を揃えて「第6波は必ずくる」と、警戒を緩めないよう警告してい
ます。このままの状況で年末年始を迎えられることを祈念したいと思います。

ドル円は再び114円台前半まで戻ってきました。
114円台ミドルを試す動きになるのか、今回も注視したいと思います。
予想レンジは113円70銭~114円50銭といったところでしょうか。


ミシガン大学消費者マインド10年ぶりの低水準 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は朝方には売られ、113円77銭まで下落したが、
米金利の上昇に114円台を回復する場面も。
大きな値動きもなく小動きの中、取り引きを終える。
◆ユーロドルは小幅に続落し、1.1433まで売られ
、直近安値を更新。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。ダウは179ドル高となり、
ナスダックは156ポイント高と、上昇が目立った。
◆債券は小幅に売られ、長期金利は1.56%台へと上昇。
◆金は続伸し、1868ドル台に。原油は反落。


◆11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 66.8 

本日の注目イベント

◆日   9月鉱工業生産
◆日   9月設備稼働率
◆中   中国10月小売売上高
◆中   中国10月鉱工業生産
◆米   11月NY連銀製造景況業指数

金(きん)の上昇が目立った他、特に大きな動きはありません。
金は、先週発表された10月のCPIが前年比6.2%の上昇と、
記録的なインフレを示したことで買われています。
NY市場では一時1871ドルまで買われ、約5カ月ぶりの高値
を付けています。インフレヘッジとして金への資金流入が続いて
いる模様です。

バイデン大統領と習近平主席が15日にバーチャル形式で会談す
ることになりました。台湾問題や中国の経済慣行などが協議され
るようですが、両国の関係は冷えており、この会談で大きな成果
は期待できない模様です。
協議に先立ってブリンケン国務長官と中国の王毅外相が電話で協
議した際にも王外相は、「米国が本当に台湾海峡の平和を守りた
いなら、いかなる台湾独立につながる動きにも明確かつ断固とし
て反対すべきだ」と釘を刺すことを忘れず、一方米国は「懸念す
る分野について大統領が遠慮することはない」と、サキ報道官が
述べています。(日経新聞)両国とも関係の改善に向けた協議と
位置付けてはいますが、今年9月9日以来となる電話会談である
点は評価されるものの、余り期待はできそうもありません。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は足元で進行しているインフ
レについて、米金融当局は過剰に反応すべきではないと指摘しま
した。
カシュカリ総裁はCBSの番組で、「家計が支払っている高い価
格は本物で、人々は現在その傷みを経験している」と述べ、「わ
れわれはそれを非常に深刻に受け止める必要があるが、その痛み
が本物であっても、そうした一時的な要因の一部に過剰反応する
必要がないというのが私の見解だ」と語っています。(ブルーム
バーグ)
またイエレン財務長官は、米国では新型コロナウイルスの感染を
制御することがインフレ抑制へのカギとなるとの考えを示してい
ます。イエレン長官は同じくCBSの番組で、「今回のインフレ
の要因は新型コロナウイルスだと認識することが重要だ」と発言
し、「インフレ率を下げたいのであれば、われわれが出来る最も
重要なことはコロナ対策で進展し続けることだと考える」と述べ
ています。
さらにインフレがどこまで続くかについては、「労働供給や需要
パターンが正常化すれば、インフレ率が2022年後半までに鈍
化し、物価は正常に戻ると考える」と話しています。
ディース国家経済会議(NEC)委員長も、「企業や高所得者へ
の増税を通じて財源が十分に確保されるため、追加支出でインフ
レが高進することはない」と語っています。
一方「高インフレをあなどってはいけない」と再々にわたり警告
を発してきたサマーズ元財務長官は、インフレの勢いは「重大な
政策調整またはインフレ率が2%のレンジに戻る前に景気を減速
させる不幸なアクシデントをもたらす水準にまで積み上がってい
る」と指摘しています。

直近10月のCPIは1990年以来となる高水準を記録しまし
たが、金融当局は依然として、その期間は別としても、「一時的
だ」との認識を維持しており、サマーズ氏のように、それはもは
や「一時的」なものではなく、いずれFRBの行動が手遅れにな
るとの警告を発するなど、見方が大きく分かれています。
FRBが後手に回れば、その後の政策金利の引き上げは予想以上
に急ピッチになる可能性もあり、インフレを巡る対応が今後のド
ル円の水準にも大きく関わってきます。

本日のドル円は株価が再び上昇傾向を示し、リスクオンに傾きか
けていることから、113円60銭~114円40銭程度を予想
します。


米10月CPIは0.9%上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間には112円台後半で推移していたドル円は米CPIの
発表を受け急騰。金利上昇から114円台に乗せる場面もあり、
再び元の鞘に。
◆ドル高の流れからユーロドルも大幅に続落。1.1476まで
ユーロ安が進み、2020年7月以来の水準に。
◆株式市場は3指数とも続落。CPIが市場予想を大きく上回った
ことで利益確定の売りが株価を押し下げた。ダウは240ドル安。
◆債券は大幅に反落。長期金利は1.55%台へと急騰。
◆金は続伸し、1848ドル台に。原油は大幅に反落。政府による
備蓄分の放出観測が広がる。

◆10月消費者物価指数     →  0.9%
◆10月財政収支        →  -165.1b
◆新規失業保険申請件数     →  26.7万件

本日の注目イベント

◆豪   豪10月雇用統計
◆中   中国「独身の日」
◆英   英7-9月期GDP(速報値)
◆英   英9月鉱工業生産
◆英   英9月貿易収支
◆米   NY市場休場(ベテランズデー)

10月の米CPIは前月比「0.9%」上昇し、前年比では実に1990年以来の高い
伸びとなる「6.2%」の上昇でした。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIでも、前月比「0.6%」上昇し、前
年比では「4.6%」と、こちらは1991年以来の高水準でした。
賃金は上がっているものの、企業はコスト上昇分を価格に転嫁しており、幅広い分野で
物価が上昇しています。
項目別で見ると、エネルギーが30%、輸送費が18.7%、光熱費は10.4%(い
ずれも前年比)が目立っており、サマーズ元財務長官は10日の講演で、「市場が織り
込んでいるとみられるのは、長期的なスタグネーション(停滞)への逆戻り、つまり日
本化だ」と述べています。(ブルームバーグ)
サマーズ氏はこれまでにも足元の物価上昇は一過性のものではないと、FRBの見解に
真っ向から異議を唱え、早期に対応すべきだと警告してきました。
「極端に低い金利はレバレッジ拡大やゾンビ企業の延命化、金融バブル永続化への土台
を作る」とも述べており、「投機的なリスクの兆候が多く見られる。極端に低い金利や
マイナス実質金利には問題がある」と説明しています。
また、かつて「債券王」と称されたエラリアン氏は、「インフレを一過性と軽視するこ
とが経済的にも社会政治的にも真の問題になりつつある」と警告しています。

市場予想を大きく上回ったCPIを受け、債券が売られ長期金利は1.55%台へと急
騰しました。金利上昇から東京市場では112円台後半で推移していたドル円も急上昇
し、NY市場では一時114円台に乗せる場面もありました。
ユーロドルでもドル高が進み1.1476前後まで売られ、こちらは2020年7月以
来、約1年4カ月ぶりのユーロ安を付けています。
また金(きん)も5日続伸し、1870ドル台を付ける場面がありました。
このまま物価上昇が続くかどうかは不透明ですが、人々の意識の中で、物価は今後も上
昇するといった見方が定着すると、それがさらに物価を押し上げることにつながる可能
性もあり、FRBが早期の利上げを迫られることも考えられます。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はCPIの発表を受けて、目を見張るインフレに
注視しているとしながらも、「利上げに関するわれわれの計算式を変更し始めるのは、
まだ時期尚早だろう」と述べています。

10日に利払いができるかどうかが注目されていた中国不動産開発大手の「中国恒大集
団」が、デフォルトを再び回避できる模様だと報じられています。
国際証券決済機関クリアストームの広報が明らかにしたところでは、同機関の複数の顧
客が恒大の支払期日を過ぎていたドル建て債3本の利払いを受け取ったことを確認した
とし、また同債の2本を保有する投資家2人も支払いを受けたことを確認したとしてい
ます。

来年2月に任期を終えるパウエルFRB議長ですが、再任されるのか、あるいは他の候
補が新しい議長に就任するのか、バイデン大統領が決断する日が近いようです。
多くの市場関係者はパウエル氏が再任されると予想しているようですが、もし交代する
ようなら、現FRB理事のブレイナード氏が最有力のようです。
ブレイナード氏は9日にホワイトハウスでバイデン大統領と1時間半にわたって面談を
行っており、「バイデン政権は次期FRB議長にブレイナード氏を真剣に検討している
ことをうかがわせた」とブルームバーグは伝えています。
ブレイナード氏がFRB議長に就任すれば、金融行政初の女性ツートップとなります。
ブレイナード氏はパウエル氏と比べるとハト派的であることから、利上げのタイミング
が後ずれになるとの見方から債券が買われ、金利が上昇する場面もありました。
イエレン財務長官だけではなく、副大統領にハリス氏を抜擢するなど、女性の登用に積
極的なバイデン大統領だけに、ひょっとしたら「ブレイナード議長誕生」もあるかもし
れません。

本日のドル円は113円40銭~114円20銭程度を予想します。


ドル円約1カ月ぶりに112円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は昨日の東京時間に113円を割り込み、一時は
112円73銭近辺まで売られたが、NYでは113円台を
回復する場面も。ただ米長期金利の低下もあり上値が重い展開から
112円90銭前後で取引を終える。
◆ドル安の流れからユーロドルは1.1608までユーロの
買戻しが進む。
◆株式市場は3指数が揃って反落。ダウは112ドル下げたが、
それでも大きな下げにはつながらず、想定内の動きといった声も。
◆債券は反発。長期金利は1.43%台へ低下。
◆金と原油は続伸。

◆10月生産者物価指数    →  0.6%

本日の注目イベント

◆豪   豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中   中国10月消費者物価指数
◆中   中国10月生産者物価指数
◆独   独10月消費者物価指数(改定値)
◆米   10月消費者物価指数
◆米 10月財政収支
◆米   パウエル・FRB議長、会議冒頭で挨拶
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、質疑応答に参加

徐々に上値を重くしているドル円は、昨日の東京時間の昼前に約1カ月ぶりとなる
113円台を割込み、午後もその流れが続き112円73銭近辺までドル売りが進
みました。
NYでも米長期金利が低下したこともありドルの上値は重い展開が続き、113円
台を回復する場面もありましたが、112円90銭前後で戻ってきました。
この欄でも指摘したように、米金融政策の正常化を睨んだドル高観測を背景に、記
録的なドル買ポジションが積み上がり、その割には114円台半ばが抜け切れない
展開が続いていました。
短期的なドルの下値のメドである113円台前半を抜けたことから、ドルの見切り
売りが出たことで112円台後半まで下げたものと見ています。
NYではもう一段の下げも予想していましたが、昨日の東京時間に記録したドルの
安値を更新することはなく、本日発表される米10月のCPIの結果を待つ状況に
なっています。
金と原油は揃って続伸し、原油は引け値で再び84ドル台まで上昇してきました。

NY株式市場では久しぶりに株価が下落しています。
株価の支援材料が特段無かった上、利益確定の売りに押された格好でしたが、EV
専門メーカー「テスラ」のイーロン・マスク氏が保有している自社の株10%を売
却する可能性のあることが重しになった他、マスク氏の弟で同社の取締役であるキ
ンバル・マスク氏が11月5日にテスラ株8万8500株(約123億円)を売却
していたことも悪材料になったようです。テスラ株は昨日の市場で大きく売られ、
約8カ月ぶりの大幅安になっています。FRBも報告書でリスク資産の高騰に警告
を発していましたが、好調な米株式市場がこのまま終わるとも思えません。
高値警戒感があるのは事実ですが、行くとこまで行かないと収まらないような気も
します。

忘れてはならないのが、中国恒大集団が最大の正念場を迎えていることです。
同社は3本のドル建て債のクーポン1億4810万ドル(約167億円)を期日に
支払わず、デフォルト宣言されるまでの30日間の猶予期間が本日、10日に終了
します。ブルームバーグによると、支払ができない場合はクロスデフォルト条項が
発動される可能性があるようです。こちらの情報にも引き続き注意が必要です。


ブラックアウト期間が解禁になったことで、FOMCメンバーの講演も活発です。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、短期的なインフレ期待が押し上げられて
いるものの、長期的なインフレ期待はまだ上昇していないと指摘しています。
インフレについては、「2022年夏にはある程度の明確さが得られるだろう」と
も述べており、同総裁も物価の上昇は一過性と認識しており、来年の夏以降には正
常に向かうとみています。
一方ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、物価高が予想より長期に及んでいると
の見解を示し、「長期のインフレ期待の水準や長期の米国債借り入れコストを見る
と、いずれも極めて低く、かなり抑制されている。しかし、何か変化があれば、米
国債や行政府の資金調達にどんな意味があるかにかかわらず、米金融当局は2つの
債務を果たすため適切に対応すると大いに確信している」と語っています。

ドル円の昨日の下げは「一目均衡表」で言えば、日足の基準線近辺で抑えられたこ
とになっています。
目先の下値のメドは112円台半ば近辺と見ています。
「フィボナッチ・リトレースメント」で見た場合、今回の上昇が9月22日の10
9円12銭を大底として始まったと考え、高値は10月20日に114円70銭を
付けています。この間の上昇幅「5円58銭」の38.1%戻しが、112円57
銭になります。一応、目先のサポートと見たいと思います。

本日のドル円は112円50銭~113円30銭程度と予想します。


ドル円113円目前まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は113円08銭まで下落。クラリダFRB副議長の
発言に反応したものだが、格好のドル売り材料にされた面も。
◆ユーロドルは小幅に反発。ドル売りの流れに1.1595まで
ユ-ロが買われる。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って最高値を更新。
下院でインフラ法案が可決したことを好感し、ダウは104ドル高。
ナスダックとS&P500は8営業日連続で最高値を更新。
◆債券は3日ぶりに反落。長期金利は1.49%台に上昇。
◆金は続伸し1828ドル台に。原油も続伸。

本日の注目イベント

◆豪   豪10月NAB企業景況感指数
◆日  10月景気ウオッチャー調査
◆日   9月貿易収支
◆日   9月国際収支
◆独   独9月貿易収支
◆独   独9経常収支
◆独   独11月ZEW景気期待指数
◆英   ベイリー・BOE総裁らパネル討論に参加
◆米   10月生産者物価指数
◆米   パウエル・FRB議長、会議冒頭で挨拶
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、質疑応答に参加
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論に参加

依然として金融緩和の影響が色濃く残っているせいなのか、昨日のNYでは
株価が3指数とも揃って最高値を更新。一時マイナスに沈んだナスダック指
数は、S&P500とともに、これで、8営業日連続で史上最高値を更新し
ました。さらに昨日は、金(きん)と原油も買われ、金は一時1828ドル
台を付け、約2カ月ぶりの高値を付け、原油も82ドルに迫る水準まで上昇
しています。大量の待機資金が各市場で闊歩している状況が続いているよう
ですがFRBは8日、半期に一度の金融安定報告を発表し、その中で、リス
クの高い資産価格が上昇を続けており、経済情勢が悪化すれば危険な急落の
恐れがあると警告しています。一方ドル円は113円台ぎりぎりの水準まで
売られ、このところのレンジの下限までドル安が進んできました。先週から
指摘しているように、ドル先高感は依然として維持されてはいるものの、や
や利益確定のドル売りが優勢となり、上値を重くしています。

先週のFOMC後の会見でパウエル議長は利上げに対しては慎重な姿勢を維
持し、「まだ利上げの時期ではない」と、利上げに対して前のめりになる市
場を牽制していましたが、クラリダFRB副議長は8日、政策金利を引き上
げる「必要条件」が恐らく来年末までに満たされるだろうと述べています。
クラリダ氏は金融政策に関するシンポジウムで、「利上げを検討するのはま
だずっと先だということは明らかだ」としつつも、「フェデラルファンド(
FF)金利誘導目標を引き上げるために必要な3条件は、2022年末まで
に達成されていると確信する」と語っています。
またインフレ圧力については、「今年のインフレは現時点で、長期目標の2
%を『適度に』上回るというものを著しく上回っていると自分には見受けら
れる。来年も同様の状況となるなら、政策として成功とは見なさない」と述
べています。(ブルームバーグ)この発言は、これまで通り2023年の利
上げに向けた道筋に沿ったもので、パウエル議長の発言と異なるものではあ
りません。

これに対して「タカ派」の代表格であるセントルイス連銀のブラード総裁は
FOXテレビとのインタビューで、「必要に応じてテーパリングを幾分か早
期に終了することは可能だ」と述べ、「来年に2回の利上げを予想している
」と発言し、タカ派の代表格としての本領発揮といった発言を行いました。
さらにブラード氏は、「米金融当局は政策を一段とタカ派方向に動かすため
に多くのことをやってきた。もっとできるが、それはデータ次第になる。今
後のデータがどうなるか見極めなければならない」と語っています。
筆者の知る限り、現時点で最も早い利上げを予想しているのはゴールドマン
で、2022年7月と予想していますが、ブラード総裁は2022年に2回
と予想していました。その最初の利上げ時期には言及していませんが、第1
回目は7月である可能性もありそうです。2022年のFOMCは1月と、
3、4、6、7月に予定されていますが、1、3、4は考えにくく、6月か
7月の可能性が高いということになります。


またこの日はフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も講演を行っており、ハ
ーカー氏は「テーパリング完了前にFF金利誘導目標を引き上げることはな
いだろう。しかしわれわれはインフレ動向を非常に注意深く監視しており、
適切な状況となれば行動を取る用意がある」と、こちらはパウエル議長と同
様な考えに終始していました。

FRBによる利上げが2023年よりも早まるのかどうかは、今後の物価上
昇や労働市場の動向がカギになります。引き続き注意深く見ていきたいと思
います。

本日のドル円は112円90銭~113円70銭程度を予想します。


米10月非農業部門雇用者数は53.1万人 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆10月の雇用者数が市場予想を上回り、発表直後はドルが
買われ、114円台に乗せたがその後失速。米長期金利が
1. 43%台まで低下したこともあり、113円30銭まで
ドル安が進む。
◆ユーロドルは続落し、2020年7月以来となる1.1514を示現。
◆株式市場は雇用者の上振れを好感し、3指数が最高値を更新。
インフラ法案が可決したことも材料視され、ナスダックとS&P500は
7営業日連続で最高値を更新する。
◆債券は続伸。長期気金利は一時1.43%台まで低下し、1.45%
台で取り引きを終える。
◆金と原油は揃って大幅に反発。

◆9月消費者信用残高       →  29.91b
◆10月失業率          →  4.6%
◆10月非農業部門雇用者数   →  51.3万人
◆10月平均時給 (前月比)   →  0.4%
◆10月平均時給 (前年比)   →  4.9%
◆10月労働参加率        →  61.6%

本日の注目イベント

◆日  9月景気先行指数(CI)(速報値)
◆日   日銀金融政策決定会合における主な意見(10月27、28日分)
◆中   中国共産党、6中総会(11日まで)
◆米   パウエル・FRB議長、会議冒頭で挨拶
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   クラリダ・FRB副議長、オンラインイベントで講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   ボウマン・FRB理事講演

今回の雇用統計については、筆者は強気でしたが、やはり10月の非農業部門雇用
者数は「53.1万人」と、市場予想を上回っていました。
さらに9月分と8月分も大幅に上方修正され、この2カ月分だけで約25万人の上
乗せでした。
また失業率も前月よりも0.2%改善し「4.6%」と、米国で新型コロナウイル
スのパンデミックが始まった2020年3月以来の低水準となり、米労働市場は着
実に改善傾向を示しています。今年9月から失業保険の加算が終了したことで、人
々が本格的に職探しに奔走しているようですが、市場が「売り手市場」であるため
、より賃金が高く、条件の良い仕事が見つかるまで就職することを我慢する人も多
くなっているとの報告もあります。実際平均時給を見ても、年率で「4.9%」上
昇しており、今年4月の「0.4%」をボトムに上昇傾向を維持しています。

雇用統計の結果を受けドル円は直後に114円台に乗せる場面もありましたが続か
ず、その後は株高、債券高を背景に113円30銭までドル売りが進みました。
本来ならドルがもう少し買われても良かったと思いますが、株価の上昇以上に長期
金利が低下したことが、利益確定のドル売りを誘ったようです。
株式市場では3指数が揃って最高値を更新し、10月下旬からこれで何度「最高値
更新」の文字が本欄を飾ったことでしょう。
早ければ2022年夏にも利上げが見込まれる状況下でも株価は「どこ吹く風」と
ばかり、上昇を続けています。大量の待機マネーが相場を押し上げているのは分か
りますが、下げに転じた際の下落幅が相当大きくなることは想像に難くありません。

足元のインフレについて「長期のインフレになるとは少なくとも今は思えないが、
こんな状況は何十年も起きていない」と、元FRB理事のクロズナー氏は述べてい
ます。(11月8日、日経新聞)
またカンザスシティー連銀のジョージ総裁は会合で、「サプライチェーンが正常化
し、需要が弱まるにつれ、インフレはいずれ落ち着くと想定するのが妥当だが、高
いインフレが長期化するリスクが高まったことも同様に明白だ」と指摘し、「こう
したインフレ圧力を前に、辛抱強くなれるとの主張は説得力が薄れた」と述べ、パ
ウエル議長の言葉に異を唱える姿勢を見せています。

米下院は5日夜、バイデン政権の提唱するインフラ包括法案を可決しました。
道路や橋、公共交通などの整備に5500億ドル(約62兆4000億円)を投じ
る内容で、下院での採決を巡っては民主党進歩派と穏健派の対立で数カ月にわたっ
て法案が未決状態でした。
これでバイデン大統領の署名を持って成立することになりますが、ブルームバーグ
は「支持率低下にも見舞われていた大統領にとって勝利を意味する」と分析してい
ます。ただ、バイデン大統領とペロシ下院議長にとってはもう1本の柱である1兆
7500億ドル余りの税制・支出法案の採決には至っておらず、今後の政策実施に
ついては不透明であることには変わりはありません。

ドル円はこのところ続いているレンジの下限近くまで売られましたが、焦点は11
3円を割りこむことが出来るかどうかといった点です。

仮にここを明確に割り込むようだと、ドル高基調が続く中でも一旦ドルの下値を試
しに行く可能性もあるのではないかと予想しています。
113円から115円、さらに厳密に言えば、113円20銭から114円60銭
のレンジが続いています。
今回のFOMCでもFRBの利上げ姿勢は慎重でした。一方で、市場の利上げ観測
は前倒し傾向にあります。
FRBが後手に回って利上げを急ぐことになるのか、あるいは格言通り「FRBに
はさからわない方が良かった」ということになるか、ドル円の水準もそれによって
変わってきます。

本日のドル円は113円~113円80銭といったところでしょうか。


BOE政策金利を据え置く 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京市場での114円台前半から急落。
BOEが政策金利を据え置いたことに伴い、米長期金利も急低下し、
ドル売りが活発に。113円51銭まで下げる。
◆ユーロドルは下落。1.1528まで下げ、このところ続いていた
レンジを下抜けした可能性も。
◆株式市場ではダウが下げたものの、ナスダックとS&P500は
最高値を更新。ナスダックはこれで10連騰を記録。
◆債券価格は急騰。長期金利は前日の1.6%台から1.52%台に
急低下。
◆金は大幅に反発。原油は大きく続落し、78ドル台に。

◆新規失業保険申請件数    →  26.9万件
◆9月貿易収支        →  -800.9億ドル

本日の注目イベント

◆豪   RBA四半期金融政策報告
◆独   独9月貿易収支
◆独   独9月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏9月小売売上高
◆米   9月消費者信用残高
◆米   10月雇用統計
◆加   カナダ10月就業者数
◆加   カナダ10月失業率

BOEは4日、市場予想に反して政策金利の据え置きを決めました。
金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.1%に据え置くことを7対2
で決定しています。
市場は利上げを見込んでいたため、この決定が「サプライズ」として受け
止められ、発表後にポンド円は156円前後から153円台前半まで急落
しました。ベイリー総裁は記者会見で、「インフレ率を将来的に目標以下
に引き下げる公算が大きいであろう規模の利上げ予想に対しては警告する
」と述べ、利上げを行うことでインフレ率が目標の2%を下回り、経済成
長が減速する懸念を考慮した形となりました。

この影響もありNY市場でも長期金利が急低下し、ドル円は113円51
銭まで売られました。FOMCではテーパリング開始を決めたものの、利
上げには慎重な姿勢を維持し、これが株式市場に好感されるなど、今回の
政策変更では市場の混乱を回避し、見事にソフトランディングさせたFR
Bでした。米金利の上昇にドル円も昨日の東京市場では114円28銭ま
で買われ、再び114円台半ばを試すのではないかといった期待も膨らん
でいましたが、今回も失敗に終わっています。
金融正常化へ第一歩を踏み出した米国では、余程の事態の急変がない限り
いずれ利上げへと歩みを進めることになるわけで、金利の上昇に伴ってド
ル円も上昇する公算が高いと予想していますが、114円台半ばから上方
の水準がなかなか突破できないのも事実です。
現時点では113円台前半が底堅く見えますが、ドル高予想を維持しなが
らも、想定外のドル安にも注意が必要かもしれません。

原油価格も大きく動いています。
「OPECプラス」は4日の会合で、減産計画を徐々に解除する従来方針
を維持することを決め、増産加速を求めていたバイデン大統領の圧力には
屈しない姿勢を見せました。
4日の会合は早々に終了し、12月に生産を日量40万バレル引き上げる
計画を承認しました。
米国は、このペースでは多くの石油消費国が需要を満たせないとして、最
大2倍のペースで増産を求めていました。
「OPECプラス」の決定に対してホワイトハウスは直ちに反応し、「経
済を守るためにあらゆる手段を検討する」とあらためて表明しています。
(ブルームバーグ)
この一連の動きを受けWTI原油価格は前日の3ドルを超える下落に続き
、2ドルを超える下げとなり、一気に78ドル台まで下落しました。
WTI原油価格は先月25日には85ド台半ばまで上昇し、7年ぶりの高
値を記録しましたが、ここ数日はロングの利益確定を誘発した模様です。
原油価格が再び85ドル台まで上昇するようだと、バイデン政権は戦略石
油備蓄(SPR)の放出も検討するようです。

9月の米貿易収支が発表されましたが、過去最悪となる「80億ドルの赤
字」でした。ただ、米国は景気が好調である時には貿易赤字が拡大する傾
向が以前からあり、このことはコロナ禍からの米景気の立ち直りを現して
いるのかもしれません。
9月の収支では、輸入が前月比0.6%増加していたことに対し、輸出は
3%の減少でした。
事実、感染拡大が減少傾向をみせ経済活動が再開した5月以降、輸入は確
実に増加していることが確認できます。
また、米国の輸入額の増加は、日本や中国などの輸出額の増加を意味し、
ドル需要が増すことにもつながります。

本日は雇用統計です。
今回の発表は日本時間21時30分ですが、サマータイムの終了に伴い来
月からは22時30分となり投資家にとっても時間的に厳しい環境に変わ
ります。
非農業部門雇用者数は「45万人の増加」と予想されていますが、今回は
予想を上振れする可能性の方が高いと個人的には考えています。昨日発表
された新規失業保険申請件数も「26.9万件」と、パンデミック以降の
最少を更新しており、人々が徐々に仕事に就いていることを示唆している
と考えるからです。
また前日発表されたISM非製造業景況指数でも、サービス業の伸びが見
られます。予想を上回れば利上げのタイミングが前倒しになり、反対に下
回った場合には利上げが先延ばしとなり、ドルが売られる可能性が高いと
考えられます。

本日のドル円は113円30銭~114円50銭と、ややワイドレンジを
予想します。


FOMC、今月よりテーパリング開始を決定を決定 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆113円77銭前後で推移していたドル円は、パウエル議長の
会見をきっかけに上昇。114円21銭まで買い戻される。
◆ユーロドルは引き続き1.16を挟みもみ合う。
◆株式市場は軟調な展開だったが、パウエル議長の会見を境に
上昇。結局主要3指数は揃って4日連続で最高値を更新。
◆債券は売られ、長期金利は1.60台%を回復。
◆金は大幅に続落。原油は在庫が予想以上に増加していたことや、
米国の原油生産もハリケーン「アイダ」以前の水準を回復したことで
3ドルを超える大幅な下落に。

◆10月ADP雇用者数               →  57.1万人
◆10月ISM非製造業景況指数           →  66.7
◆9月製造業受注                  →  0.2%
◆10月マークイットサービス業PMI(改定値)   →  58.7
◆10月マークイットコンポジットPMI(改定値)  →  57,6

本日の注目イベント

◆豪   豪9月貿易収支
◆独   独9月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏9月生産者物価指数
◆英   BOE金融政策発表
◆英   BOE議事録
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  9月貿易収支
◆加   カナダ9月貿易収支

今朝方発表されたFOMCでは市場予想通り、今月からテーパリングを開始し、
その規模も月額150億ドル、さらにその内訳も国債100億ドル、MBS50
億ドルと、全て想定された通りの結果でした。
その後のパウエル議長の記者会見から市場は大きく動き始めています。パウエル
氏は、特にテーパリング開始が利上げを意味するものではない点を強調し、「わ
れわれは辛抱強くなれると考えている。対応が必要な状況になれば、ちゅうちょ
しない」と述べ、「現在は利上げに適した時期とは考えていない。労働市場の一
段の回復を目にしたいからだ」と説明しています。
注目していた「一過性」(transitory)という言葉が削除されたかどうかについ
ては、「インフレは高水準にあり、これは主として一過性と予想される要因を反
映している」と語っています。
微妙な言い方でしたが、これまで「一過性」と見ていたものが、想定以上に長く
続き、最早「一過性」とは言えなくなったことを認めたと、個人的には受け止め
ています。
結局、今回のFOMCでは想定以上にタカ派的ではなく、テーパリングの規模も
想定内であったことから株価の上昇につながったと思われます。

10月のADP雇用者数は市場予想を超え、「57万1千人」でした。
これは、ここ4カ月で最大の伸びとなり、雇用主による採用状況が改善しつつあ
ることを示唆しているものと受け止めることができます。
特にサービス部門の伸びが大きく、明日の雇用統計本番にも今回は期待が出来る
と、筆者は予想しています。また10月のISM非製造業景況指数も好調でした
。市場予想の「62」に対して「66.7」と、同指数の統計が始まって以来の
最高を更新しています。
新規受注と景況指数が特に高水準で、新型コロナウイルスのデルタ変異株による
脅威が薄れてきたことに伴い、需要が活発になってきたようです。

昨日米バージニア州で行われた知事選で民主党候補が敗れ、共和党候補のヤンキ
ン氏が勝利したと報じられています。同州は、昨年の大統領選の際にバイデン氏
が勝利した州です。
バイデン政権への失望の表れなのか、来年11月の中間選挙にも影響が出る可能
性も浮上しています。バイデン大統領としても、早急に経済計画を実行に移し、
評価をあげたいところです。
ペロシ下院議長は、バイデン氏の掲げる2つの法案について、今週中の採決を実
施することを表明しており、法案に反対している穏健派のマンチン上院議員の動
向が注目されています。

ドル円は113円台前半では底堅さを見せるものの、114円台半ばが壁になり
つつあります。FOMCではテーパリング開始は決まったものの、利上げはまだ
先の事だとけん制を行っていましたが、早ければ来年後半の利上げ開始を予想す
る専門家も徐々に増えているように思えます。
115円台に乗せることが出来るかどうかが当面の大きな課題と言えます。

本日のドル円は113円70銭~114円50銭程度を予想します。


NYダウ一時初の3万6千ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は昨日の東京時間に114円台半ばまで上値を
伸ばしたが、NYでは反落。113円94銭まで押し
戻される。
◆ユーロドルは小幅に反発したものの、上値の重い展開が続く。
◆株式市場は企業の好決算発表を材料に、3指数が最高値を更新。
ダウは朝方3万6千ドルを付ける場面もあったが、上げ幅を縮小。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は1.55%台で推移。
◆金は反発し、原油は続伸。


◆10月マークイット製造業PMI(改定値)     → 58.4
◆10月ISM製造業景況指数            → 60.8

本日の注目イベント

◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日   10月マネタリーベース
◆欧   ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
◆米   10月自動車販売台数
◆加   カナダ10月住宅建設許可件数
   
昨日のこの欄でも触れたように、日曜日の衆院選で与党自民党が単独
でも絶対安定多数を確保したことで昨日の日経平均株価は大幅高とな
りました。引け値では先週末比754円高と、2万9600円台まで
値を戻しました。株価の大幅高を受けて「リスクオン」が進み、ドル
円は緩やかに上値を切り上げる展開となり、夕方には114円44銭
までドル高が進みました。この動きから、海外でも重要なレジスタン
ス・ゾーンに挑むのではないかといった雰囲気もありましたが、NY
市場では株価は続伸したものの、米長期金利が横ばいだったことから
ドル売りが優勢となり、114円割れの水準まで押し戻されてい
ます。やはり114円台半ばから115円にかけての水準は一筋縄で
はいかないようです。昨日の攻撃はひとまず「不発」に終わっていま
す。

本日から注目のFOMCが開催され、発表は日本時間4日(木)の朝
方3時半になります。テーパリング開始に関する詳細も発表されるか
と思いますが、FRB執行部のインフレに対する認識に変化があるの
かどうかも興味のあるところで、パウエル議長の発言は今後の利上げ
のタイミングを計る上でも重要になります。
また、本日は午後にオーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利発
表もあります。こちらも俄然注目度が増してきました。
これまで同行のロウ総裁は利上げの条件を明確に示し、その条件は「
2024年まで満たされることはない」との認識を示してきましたが
、先週発表された7-9月期のCPIトリムが「2.1%」と、予想
を大きく上回ったことで修正を余儀なくされるのではないかとの観測
を、市場は強めています。

先週、豪3年国債の利回りが一時0.8%まで上昇したにもかかわら
ず、RBAは国債購入を行わず、利回り低下を促す行動を取らなかっ
たことが注目されています。RBAは利回り目標によるイールド・カ
ーブ・コントロール(YCC)を行い、3年債の利回りを0.1%前
後に抑制する政策を取ってきました。
3年債利回りを目標水準に抑制するための対応を行わなかったことか
ら、本日の会合では利回り目標の撤廃あるいは、修正を行うのではな
いかとの見方が急速に高まっています。
RBAは会合後にロウ総裁が記者会見を行うことを発表しており、こ
れは通常、重要な政策変更の後に行われることが多く、市場ではRB
Aの政策変更があるとの見方が強まっています。オーストラリアドル
の午後からの値動きには注意が必要です。

ブルームバーグがまとめたデータによると、中国では売上高上位30
社にランク付けされた不動産開発会社の3分の2は、中国政府が債務
の伸び抑制に向けて設けた「三条紅線」(3本のレッドライン)のい
ずれかに抵触していることが判明しました。国営メディアが報じてい
る「三条紅線」とは、
1.不動産会社の債務は資産の70%を超えてはならない
2.純負債は資本を超えてはならない
3.現金は少なくとも短期借入と同等の比率でなければならない
というものですが、データによると、広州富力地産など3社がいずれ
の条件も満たしていないことが判明しています。
中国では恒大集団の流動性リスクが市場を揺さぶっており、不動産開
発会社の財務には向かい風が強まっています。

ドル円は114円台半ばから上方が重いものの、下値は113円前半
辺りが限定的となっています。
金融政策の違いを材料に円が売られる地合いはまだ続くと思われます
。上記水準ではすでにドル売り注文も多く集まっていると思われ重い
のも事実ですが、一旦抜けてしまえば、上昇に弾みが付くことも考え
られます。

本日のドル円は113円70銭~114円50銭程度とみています。


衆院選の結果を受けドル円は早朝に114円17銭まで上昇14円17銭まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反発し114円台を回復。NYではPCE指数が
予想通り高く、インフレ懸念からドル円は114円09銭まで
買われる。
◆ユーロドルでもドル高が進み、一時は1.1535近辺まで下落。
◆株式市場は3指数とも揃って続伸し、最高値を更新。マイクロソフトが
買われ、時価総額でアップルを抜き米国最大に。
◆債券は反発し、長期金利は1.55%台へ低下。
◆金は3日ぶりに反落。原油は続伸し83ドル台に。

◆9月個人所得                  →  -1.0%
◆9月個人支出                  →  0.6%
◆9月PCEコアデフレータ            →  3.6%
◆9月PCEデフレータ              →  4.4%
◆10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  71.7
◆7-9月雇用コスト指数             →  1.3%

本日の注目イベント

◆中   10月財新製造業PMI
◆独   独10月製造業PMI(改定値)
◆欧   マーックイットユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
◆英   英10月製造業PMI(改定値)
◆英   COP26首脳会合(2日まで)
◆米   10月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   10月ISM製造業景況指数


ドル円は前日の113円台前半を底値に、NYでは週末に再び114円台
を回復してきました。発表されたPCEデフレータが年率で「4.4%」
と依然として高水準で、米ゴールドマンはそれまで、利上げは2023年
と予想していましたが、インフレの長期化を理由に、2022年7月の利
上げ予想を発表しました。
また昨日の衆院選で、事前予想とはやや異なり自民党が単独で過半数議席
を獲得し、公明党との連立では293議席を獲得したことでドル円は11
4円17銭近くまでドル高が進んでいます。
政権が安定するとの見方や、岸田政権が数十兆規模の経済対策を打ち出す
といった観測から「リスクオンの円売り」が連想された結果かと思われま
す。

米国の7-9月の雇用コスト指数が「1.3%」上昇し、過去最大の伸び
となりました。
労働力不足を背景に、あらゆる産業が報酬を引き上げ、賃金上昇圧力にさ
らされていることが浮き彫りになりました。業界別ではクレジット仲介業
界が「+7.7%」と突出しており、金融・保険も「3%」増と続いてい
ます。パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミストは「労働力
に復帰する人が増えるにつれ、賃金の伸びは減速する見込みだとしながら
も、ただし、それが起こらない場合、資産価格が深刻な圧力を受けること
になり、米金融当局は想定よりも早期の利上げを強いられる可能性がある
」と述べています。同氏は、インフレ懸念が継続し、最早FRBは「一過
性」との考えを捨てざるを得なくなり、早ければ6月にも利上げ開始を余
儀なくされると分析をしています。(ブルームバーグ)
インフレ圧力が続く中、株式市場では金利上昇局面が続くと利益確定の売
りに押され、「調整局面」が見られる場面もありますが、それは長くは続
かず再び上昇に転じ、最高値を更新する展開が続いています。
米株式市場にはETFを通じ巨額の資金が、それも世界中から集まってい
ると見られます。それらの資金が株価を支え、押し上げる好循環が続いて
います。
高値警戒感はあるものの、「船に乗り遅れないように」と、米株式市場で
は資金流入が止まりません。これが「リスクオン」につながり、低金利の
円が売られる一因にもなっています。

31日(日)に中国の10月PMIが発表され、製造業PMIは、拡大・
縮小の節目である「50」を割り込み、「49.2」でした。
これで、2カ月連続で「50」を割り込み、製造活動が縮小していること
を示す結果となっています。中国国家統計局は、「電力需要がなお逼迫し
ており、一部の商品価格がさらに上昇したことが原因である」と説明して
います。中国ではGDPの減速も鮮明で、中国人民銀行は年末までに、預
金準備率の引き下げなどを通じて、景気刺激への政策を講じる可能性が高
まっています。

本日は政権安定もあり、株式市場は上昇が見込まれます。
それに伴って円が売られる公算が高いとみています。
上値のメドは引き続き114円台半ばから115円にかけてのゾーンかと
思います。この水準を抜けない限り、水準を大きく変える可能性はなく、
目先の重要なゾーンと捉えています。

本日の予想レンジは113円90銭~114円70銭程度とみています。


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