WTI原油価格、1カ月ぶりに76ドル台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ロンドン市場などが休場のこともありドル円は小動き。東京市場では114円95銭まで買われる場面があったが、NYでは114円台後半に終始し、値幅も17銭にとどまる。
- ユーロドルはやや水準を下げ1.13を挟む展開。
- ダウは5日続伸したものの、ナスダックとS&P500は反落。世界で1日当たりの感染者数が過去最多を記録したことなどへの懸念が広がる。
- 債券は横ばい。長期金利はほぼ変わらず1.48%台で推移。
- 金は反発。原油は5日続伸し、約1カ月ぶりに76ドル台に乗せる場面も。
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏11月マネーサプライ
- 米 11月中古住宅販売成約件数
ドル円は昨日の東京市場で114円95銭まで上昇する場面がありましたが、115円台乗せには至っていません。ロンドン市場など、英国系の国では引き続き休場であったことから、NYでも動きはほとんどなく、年末相場の様相を呈してきました。一方WTI原油価格は76ドル台を回復する場面があり、約1カ月ぶりの高値を付けています。オミクロン株の感染が拡大するものの、ロックダウンなど厳しい行動制限を規制すうことにはならないとの見方や、米航空旅客輸送量の増加を示す統計が、需要の底堅さを示すものと受け止められ原油価格を押し上げています。原油価格の動きもこのところ大きく、2022年に向けてさらに上昇し、再び10月に記録した85ドルを目指すのかどうかが注目されます。2022年を「インフレと闘う年」とすれば、原油価格の動向が大きなカギを握
っていると言えます。
新型コロナウイルスは世界で1日の感染者数としては過去最多を記録するなど、感染拡大が続いています。米疾病対策センター(CDC)は、米国のコロナ感染症例でオミクロン株が占める割合は12月25日までの週に「58.6%」との推計を示しています。従来推計の「73%」から下方修正した格好ですが、前週の「22.5%」からは大きく上昇しており、デルタ株の割合(推計41.1%)をも大きく上回っています。また同センターのデータによると、26日時点での新型コロナ新規感染者数の7日間平均は20万6577人と、過去最多を記録した今年1月11日を約18%下回る水準で、入院患者数の7日間平均は8964人に増加したものの、1月のピーク時の半分に過ぎないことを報告しています。
一方イギリスの免疫学者であるオックスフォード大学のジョン・ベル教授はオミクロン変異株について、「1年前のコロナとは同じ病気ではない」と述べ、同変異株の性質が比較的穏やかだとする見解を示しました。同教授はBBCラジオの番組で、「集中治療室が満床で、多くの人が若くして亡くなっていくという1年前に見られた恐ろしい状況は、私の見解では今や過去のものだ。こうした傾向は続く可能性が高いと安心すべきだと思う」と話しています。(ブルームバーグ)オミクロン株の特性をまだ特定できないまでも、現時点で報告されたデータが示す限り「感染力は強いものの、重症化へのリスクはデルタ株に比べ低い」というものに、帰結しそうな気配です。もちろん、まだ安心するのは先の話です。
10月のケース・シラー住宅価格指数は高水準を維持しているものの、上昇率は確実に鈍化しているようです。20都市の住宅価格指数は前年同月比で「18.4%」と、これで、3カ月連続で伸びが減速しています。7月の同指数は「20.02%」まで上昇しましたが、その後ピークアウトしています。都市別ではアリゾナ州のフェニクスが32%上昇し、フロリダ州のタンパとマイアミが28%、26%と続いていますが、上昇率は鈍化してきたようです。コロナ禍の中で住宅価格は高騰してきましたが、余りの高さに一般国民には手が届かないほどの価格になってきたこともあるようです。新築住宅販売件数でもその傾向を見ることができます。
本日もドル円は114円台半ばから後半で推移するものと見られます。予想レンジは114円50銭~115円程度といったところでしょうか。
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「アナリスレポート」は本日が今年最後となります。
今年1年を振り返れば、結局1月の102円台が大底で、11月には115円台と、ほぼ一貫してドルが買われたことになります。
新型コロナウイルスの感染拡大懸念に始まり、予想外のインフレの高進に振り回されたとも言えます。新年は1月4日から掲載する予定宇です。
この1年のご愛読を感謝申し上げるとともに、来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
良いお年を・・・・・。

- [2021/12/29 10:12]
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リスクオンからドル円115円に迫る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間午後から緩やかに上昇し、114円台半ばを
超える。NYでは株高を背景としたリスクオンが強まり114円
91銭まで上昇。
◆ユーロドルは1.13台で推移し、ややドル安ユーロ高に。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高。ダウは351ドル上昇し、
S&P500は最高値を更新する。
◆債券は小幅に買われ、長期金利は1.47%台に低下。
◆金は反落。原油は続伸し75ドル台に。
本日の注目イベント
◆豪 シドニー市場休場
◆日 11月失業率
◆日 11月鉱工業生産
◆英 ロンドン市場休場
◆米 10月FHFA住宅価格指数
◆米 10月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 12月リッチモンド連銀製造業景況指数
「今年もサンタクロースはやってきた・・・」NY株式市場関係者から
はそんな声が聞こえて来そうな株価の大幅高でした。参加者が少なく薄
商いだったとの報告はありますが、日本流に言えば年末にかけての「掉
尾の一振り」といったところでしょうか。ダウは3万6000ドルの大
台を回復しS&P500は最高値を更新し、これで今年の最高値更新は
「69回目」になるそうです。
足元ではオミクロン株の感染拡大が続き、来年はFRBによる3度の利
上げが見込まれているにもかかわらず、相変わらず大量の待機資金と強
気のシナリオが資金を株式市場に向わせているようです。
株価の大幅高に伴いリスクオンが強まり、ドル円は114円91銭まで
買われ、約1カ月ぶりに115円に迫っています。
その他の主要通貨では資源高から豪ドル・ドルが買われ、豪ドル円は8
3円台前半まで買われるなど、クロス円は総じて上昇しています。米長
期期利が上昇しなかったにもかかわらずドル円が上昇した背景には、ク
ロス円からの円売り圧力があったかもしれません。
足元のドル円は114円台を固め、いよいよ115円をテストする段階
に入ったようです。これからの年末年始にかけてNY株が順調であれば
、その可能性が高いと思われますが、先月記録した、今年のドルの最高
値である115円52銭を超えることが出来るどうかが焦点ですが、今
年の最高値に近いということで、115円台ではかなりのドル売り注文
が発生することが想定されます。一方、最高値を超えてしまえば、意外
にするすると上昇してしまうものです。先週までの114円台回復の過
程がそうだったように。
オミクロン株の感染拡大は続いています。
米国では23日に全米で27万人を超える新規感染者が出て、その後は
やや減少傾向をみせてはいますが、NY州では24日、過去最多となる
4万9708人の新規感染者が確認されています。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、オミクロン変異株の
感染は一部の州でコロナ禍最大規模に広がり、全米各地で交通の便に支
障が生じていることから、「国内便搭乗前にワクチン接種を義務付ける
ことを、検討するのは妥当だ」との見解を示しています。
米国以外でも、オーストラリアでは新規感染者数が初めて1万人を超え、
オミクロン株での初の死亡も確認しています。また北京冬季オリンピッ
クまで1カ月余りと迫っている中国では、感染が拡大している西安市で
住民1300人を対象にロックダウンを実施し、大規模な消毒作業に着
手しています。
本日は低調な日経平均株価にも上昇が見込めるようです。
その意味では、ドル円も下がりにくい状況かと思いますが、欧州ではロ
ンドン市場が休みのため、NYが開く午後10時前後までは大きな動き
はないと思います。経済指標も、住宅関連が中心で市場への影響は限定
的でしょう。
115円台乗せはNYまでお預けかもしれませんが、上昇するにしても
スピードは緩やかなものと予想されます。
本日は114円50銭~115円20銭程度といったところでしょうか。
- [2021/12/28 09:32]
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S&P500最高値を更新
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆市場ではリスクオンが続き、ドル円は緩やかに続伸。
114円47銭までドルが買われ、約1カ月ぶりのドル高
水準を示現。
◆ユーロドルは前日と同じような展開。
◆株式市場は3日続伸。オミクロン株の経口薬が承認される
など、景気に対する楽観論が優勢となりS&P500は
最高値を更新。
◆債券は反落。長期金利は1.5%に迫る水準まで上昇。
◆金と原油は続伸。原油は3日連続で大幅に上昇し、73ドル台
後半まで買われる。オミクロン株の景気に対する懸念もやや後退。
◆新規失業保険申請件数 → 20.5万件
◆11月個人所得 → 0.4%
◆11月個人支出 → 0.6%
◆11月PCEコアデフレータ → 4.7%
◆11月耐久財受注 → 2.5%
◆12月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 70.6
◆11月新築住宅販売件数 → 74.4万戸
本日の注目イベント
◆日 11月消費者物価指数
◆欧 主要欧州市場休場
◆米 NY市場休場
ドル円は緩やかですが上昇傾向を続け、昨日のNYでは114円47銭まで
買われています。114円台半ばが多少意識されたのか、半ば超えはできま
せんでしたが、参加者が徐々に減る中、市場全体の「リスクオン」は続いて
います。
その象徴がNY株式市場の動きで、昨日も主要3指数が揃って買われ、引け
にかけては上げ幅を縮小したものの、S&P500は今月12日以来となる
最高値更新でした。米国を含めてオミクロン株感染拡大が世界中で広がって
います。昨日の米国の新規感染者数は27万3000人と、勢いを増してい
ます。欧州でもイギリスを初め、フランス、イタリアで過去最多の感染者数
を記録している状況ですが、昨日もこの欄で触れたように、感染力は強いも
のの、重症化リスクは低いとのデータが集まってきており、オミクロン株に
対する特性もこの辺りで落ち着きそうな気配です。少なくとも、南アフリカ
共和国で最初にオミクロン株が確認された頃の恐怖感は後退していると考え
られます。英保険安全保障庁(UKHSA)は23日、オミクロン株感染者
が入院に至る確率はデルタ株に比べ50-70%低く、救急治療が必要にな
る確率も31-45%下回ると発表しました。一方でブースター(追加免疫)
接種はオミクロン株に対しても防御効果を高めるものの、効果が薄れ始める
ペースがデルタ株と比べ速く、接種から10週間で効果は15-25%低減
するとの結果も発表しています。(ブルームバーグ)
米食品医薬品局(FDA)は、前日ファイザー製の経口薬「パクスロビド」
に緊急使用許可を与えましたが、昨日はメルク製の「モルヌピラビル」につ
いても緊急使用許可を与えています。
このような状況下、現時点での各国の対応は感染拡大にもかかわらずロック
ダウンなどの厳しい行動制限には踏み切っていません。景気に配慮している
こともありますが、デルタ株の様な、爆発的な感染拡大には至らないという
観測もあるようです。
11月のPCEデフレーターは前年比で「5.7%」上昇しており、198
2年以来39年ぶりの高い伸びを示しました。
コア・デフレーターでも、同「4.7%」と、こちらは1983年以来の高
水準でした。この影響もあり、11月個人消費支出は前月とほぼ変わらず横
ばいです。PCEデフレーターは、CPIよりも、よりFRBが注視してい
る指標で、先週行われたFOMCでテーパリングの加速を決定し、早ければ
来年2月にもテーパリングを終了させ、来年には3回の利上げを見込む、F
OMCメンバーの「ドットプロット」にも整合するものと考えられます。
サマーズ元財務長官は「インフレ動向はかなり深刻となっている」とし、「
今後リセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見
舞われるリスクがあり、これから何年間かは困難な局面が懸念される」と警
告しています。
ドル円は緩やかですが、下値を切り上げています。
クロス円でも豪ドル円が約1カ月ぶりに83円に迫るなど、円売りが進んで
います。クロス円の上昇がドル円でも円売りにつながっているとも言えます。
ちょうど1カ月前にドル円は115円52銭の高値を付け、その後112円
台半ばまで押されましたが、その後今回の反発です。テクニカルでも、ドル
円は「月足」の雲を抜けており、「日足」も右肩上がりの雲の動きに沿って
上昇している印象です。
今夜からいよいよクリスマス休暇に伴う流動性の低下が見込まれることから
、注意したいのはドルの下方リスクです。「閑散に売りなし」と言われます
が、システム売買が盛んなことを考えると、想定以上の値幅が出る可能性も
あります。
本日のドル円は114円10銭~114円70銭程度を予想します。
本日24日(金)の海外市場は全て休場でコメントできないため、来週27
日(月)の「アナリストレポート」はお休みとさせていただきます。宜しく
お願い申し上げます。
- [2021/12/24 09:43]
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ドル円114円台半ばへ続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅に続伸。主要通貨に対してドルが売られる中、
前日と同様にリスクオンがやや強まりドル円は114円37銭
まで買われる。
◆ユーロドルは続伸。一時は1.1342まで上昇。
オーストリア中銀のホルツマン総裁が2022年にも利上げの
可能性を示唆したことなどが背景。
◆株式市場は続伸。オミクロン株の感染拡大も景気への影響は
限定的との観測が広がり、ダウは261ドル高。
◆債券は小幅に反発。長期金利は1.45%台へと小幅に低下。
◆金と原油は揃って上昇。
◆7-9月GDP(確定値) → 2.3%
◆11月中古住宅販売件数 → 646万戸
◆12月消費者信頼感指数 → 115.8
本日の注目イベント
◆日 10月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日 黒田日銀総裁講演
◆トルコ トルコ11月消費者物価指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 11月個人所得
◆米 11月個人支出
◆米 11月PCEコアデフレータ
◆米 11月耐久財受注
◆米 12月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米 11月新築住宅販売件数
◆米 債券市場短縮取引
米国ではオミクロン株の感染拡大が続いていますが、それでも経済への影響は
限定的との観測が広がり、NY株式市場では前日ほどではないものの、主要3
指数が揃って大幅高で取引を終えました。
ドル円はリスクオンが継続したことで、114円37銭まで円売りが進み、先
週記録した114円28銭を若干上回りましたが、依然として114円台半ば
が意識され、ドルが大きく上昇する状況ではないようです。
もっとも、昨日の為替市場では、ユーロやポンドなど、主要通貨がドルに対し
て上昇し、ドル安が進んだ中での円安でした。
ドルと円が売られたことで、ユーロ円などのクロス円は軒並み上昇して、主要
通貨の中では円が「最弱通貨」の様相を呈しています。
ECBの政策メンバーである、オーストリア中銀のホルツマン総裁は会見で、
「インフレ率が予想に沿って低下しなければ当局者にとって『警鐘』がなるだ
ろう」と述べ、「従来の資産購入プログラムであるAPPを終了すれば、その
後の利上げがあるという『非常に強いシグナル』を市場に送ることになる」と
語り、極端なケースなら2022年にも利上げがある可能性を示唆しました。
この発言をきっかけにユーロは対ドルで1.1342前後まで買われています。
12月の消費者マインドは市場予想の「111.9」を上回り、「115.8
」と大きく好転しました。11月分も上方修正され、新型コロナウイルスのオ
ミクロン株や物価上昇への懸念が強まる中でも、雇用と経済に対する見通しは
悪くはないといった結果でした。一方で「現況指数」は若干低下し、「仕事が
豊富にある」とした回答比率も「55.1%」と小幅に低下していました。
コンファレンスボードの景気指数担当のシニア・ディレクターは発表文で、「
2022年に目を向けると、物価上昇および冬季に予想される感染急拡大によ
り、信頼感と個人消費は引き続き逆風に直面するだろう」と説明しています。
(ブルームバーグ)
本指標の上振れも、NY株式市場のセンチメントに好影響を与えた部分もあっ
たようです。
日本でも昨日は大阪で3人の「市中感染」が確認されたオミクロン株ですが、
世界中で急拡大しています。
まだ断定はできないものの、オミクロン株に関するある程度「特性」も徐々に
分かってきたようです。
まず感染力ですが、デルタ株に比べ数倍強いようです。
医師で、国際航空旅運協会(IATA)のデービッド・パウエル最高医療顧問
は、「航空機利用中に新型コロナウイルスに感染する確率は、オミクロン株の
出現で2倍または3倍まで高まった」と指摘し、「人が密集するエコノミーク
ラスよりもビジネスクラスの方が安全かもしれない」との見解を示しています
。一方で、重症化へのリスクについては、これまでイギリス等で確認されてい
る症状から判断すれば、デルタ株に比べ低いとされているようですが、WHO
は軽視すべきではないと、警告している状況です。また、これらを証明するよ
うな研究結果も二つ報告されています。
南アフリカの国立伝染病研究所(NICD)はリポートで、現在の新型コロナ
ウイルス感染の第4波で、「オミクロン株の感染者はその他の変異株などに感
染した人と比べ、入院に至る割合が80%低い」ことを明らかにしています。
ただ、「入院に至れば、重症化のリスクは他の変異株と変わらない」とリポー
トは指摘しています。オミクロン株に関するデータは、11月末までの2カ月
に収集されたものです。(ブルームバーグ)
さらにスコットランドの研究者らは、オミクロン株の感染力は従来の変異株に
比べて強いものの、「入院に至るリスクは7割近く低いと考えられる」との見
解を示しています。
また昨日も触れましたが、ファイザー製のコロナ感染症経口薬について、米食
品医薬品局(FDA)は緊急使用許可を出しています。FDAの資料では、使
用許可の対象は年齢が12歳以上、体重40キロ以上の患者としています。
検査で陽性となり、入院もしくは死亡を含む重症化リスクが高い場合に投与さ
れるといった条件が付与されています。ファイザーも、米国内向けに直ちに供
給を開始する準備が整っていることを発表しています。
オミクロン株との闘いはこれからが本番なのかもしれませんが、一方で研究デ
ータやワクチン開発は急ピッチで進められているようです。株価の上昇もその
辺りを睨んでの動きのようです。
ドル円は昨日の東京時間に114円台を割りこむ場面もありましたが、直ぐに
114円台に押し戻されるなど、前回よりは底堅い動きにはなっていますが、
まだ114円台を固めるには至っていないとみています。
本日のドル円は113円80銭~114円50銭程度を予想しますが、本日は
NY債券市場が短縮取引になるなど、今晩辺りからいよいよ市場の流動性の低
下が本格化しますので注意してください。
- [2021/12/23 09:41]
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リスクオンが強まりドル円は再び114円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆リスクオンが一気に進み円は主要通貨に対してほぼ全面安の
展開。ドル円は114円台を回復し、114円22銭まで買われる。
◆ユーロドルは小動き。1.13前後で推移したが、ユーロ円の
買いも入り、ユーロは底堅な展開。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に反発。ダウは560ドル上昇し、
ナスダックは2%を超える上昇。前日まで大きく売られた反動との
声もあり、ハイテク株の上昇が目立った。
◆債券は続落。長期金利は1.46%台まで上昇。
◆金は続落し、原油は大きく買われる。
◆ 経常収支(7-9月) → -214.8b
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(10月27日、28日分)
◆英 英7-9月期GDP(改定値)
◆英 英7-9月期経常収支
◆米 7-9月GDP(確定値)
◆米 11月中古住宅販売件数
◆米 12月消費者信頼感指数
昨日のNYではリスクオンが一気に強まり、円は主要通貨に対してほぼ
全面安の展開でした。NY株式市場では株価が大きく反発し、ハイテク
株を中心にリ
スク資産を買い戻す動きが加速し、ダウは前日比568ドル高で引けて
います。ナスダック指数も2%を超える上昇を見せましたが、一方で債
券が売られ、長期金利が上昇したことでドル円は急反発しています。
ドルが買われたことで金(きん)は売られ、景気回復期待から原油価格
も大きく上昇しています。典型的なリスク選好型の動きにはなりました
が、ドル円の114円台前半までの上昇は、先週木曜日にも記録してお
り、ここまでのドル高は「これまでも来た道」です。
問題はここから114円台半ばを超えることができるかどうかと、11
4円台を定着させることが出来るかどうかといった点です。
ここから再び113円台半ばまで押し戻されるようだと、「やっぱりド
ルの上値は重い」といった印象が投資家の間で強まってくる可能性もあ
りそうです。
オミクロン株を巡る情報が続いています。
米国では新型コロナウイルスの新規感染者が20日には25万4000
人と急増し、9月以降最多を記録しました。
また米疾病対策センター(CDC)は、米国で解析された全ての新型コ
ロナウイルス感染症例に占めるオミクロン株の割合が「73%」となり
、先週の「3%前後」から大きく上昇したと発表しています。
オミクロン株は感染しても重症化するケースがデルタ株ほど多くない兆
候はあるものの、今回の数字は感染力が非常に強いことを表しており、
今後感染者が急増すれば病院などに感染者があふれ、医療が逼迫する恐
れがあります。
バイデン政権は家庭で行える検査キット5億回分を来月から一般世帯に
無料で配布し、病院には軍に所属する医師や看護士1000人を派遣す
ることを発表しています。
報道によれば、バイデン大統領自身もホワイトハウスで感染者と30分
以上接触しており、検査の結果「陰性」であったことが判明しています。
「ひゃっ」とした瞬間でした。バイデン氏が感染した場合、「ご高齢」
ということもあり、市場へもそれなりの影響があると考えられます。
一方、ワクチンに関する朗報もあります。
米食品医薬品局(FDA)はファイザー製およびメルク製の新型コロナ
ウイルス感染症経口薬について、早ければ今週中に承認する予定のよう
です。
ブルームバーグは事情に詳しい3人の話として、FDAは22日にも承
認を発表する可能性があるが、予定変更もあり得るとしています。また
FDAは承認にあたって、使用できる患者を限定する可能性もあるとし
ていますが、新型コロナとの闘いにおいて、治療法の拡大に向けた画期
的な出来事だと報じています。
米国以外でも、ドイツでは行動制限を強化し、28日以降同席できる人
数を10人までに制限します。イギリスではクリスマス前に新たな行動
制限措置を導入することはないと、ジョンソン首相は明言しています。
いずれも、ロックダウンなど強硬な措置の導入は避けたい意向のようで
す。
先週も触れましたが日本でも全国の新規感染者数が、まだわずかですが
、再び上昇傾向を見せ始めています。
上でも述べたように、オミクロン株の強い感染力を考えれば、一気に感
染が拡大してしまうことは明らかです。第3回目の接種を出来るだけ早
めるほかありません。
トルコ政府が前日発表した、リラ預金の支援策の詳細が明らかになりま
した。それによると、支援策は満期が3.6.9、12カ月のリラ建て
預金口座を持つ個人に適用されるとのことです。
中銀が毎日午前11時に公表するドル買いレートに基づきリラの下落率
が計算され、下落率が満期時の預金金利よりも大きい場合、差額がリラ
で預金者の口座に振り込まれるというものです。
ただこの措置はエルドアン大統領が、低迷する自身の支持率を押し上げ
るため、中央銀行に圧力をかけた結果だとの見方もあり、4カ月連続で
行った利下げの根拠に、「イスラム教の教え」を持ち出すなど、かなり
追い詰められている状況も浮かび上っています。
NY株が大きく上昇したことを受け、本日の日経平均株価も底堅く推移
すると予想されます。ただ昨日すでに「想定外の大幅反発」を見せてい
ることで、今日の上昇幅は限定的と
見ています。
仮に昨日のような上昇力を見せるようだと、「ドル円も114円台半ば
をテスト」といったシナリオも描けますが、その公算は低いでしょう。
本日のドル円は113円70銭~114円50銭程度といったところで
しょうか。
- [2021/12/22 09:50]
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NYダウ大幅に続落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はリスク回避の流れから朝方は売られたものの、その後反発。
米金利の上昇と、株価が下げ幅を縮小したことで113円77銭まで上昇。
◆ユーロドルは1.13台から下げ、1.1269前後まで売られる。
◆株式市場は続落。バイデン政権の税制・支出法案を巡る不透明感や、
オミクロン株に対する懸念からダウは433ドル下げ、3万5000
ドルの大台を割り込む。
◆債券は反落。長期金利は小幅に上昇し1.42%台に。
◆金は反落し、原油は大幅に続落。
◆11月景気先行指標総合指数 → 1.1%
本日の注目イベント
◆豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆独 独1月GFK消費者信頼感
◆米 12月消費者信頼感指数
◆米 経常収支(7-9月)
◆加 カナダ10月小売売上高
日米の株式市場でこの時期にしては珍しく、株価が大きく下げています。
昨日の日経平均株価は600円を超える大幅な下げでした。NY株の大幅
安を受けて下げ幅が拡大し、ドル円も「リスクオフ」から円が買われる場
面もありましたが、来年には3度の利上げが見込まれることが「支え」と
なり、円買いドル売りは限定的でした。昨日のNYではさらに株が売られ、
ダウは節目の3万5000ドルの大台を割り込んでいます。
オミクロン株への警戒感に加え、バイデン政権の税制・支出法案成立を巡
る不透明感が広がり、主要3指数が揃って大幅に下落しています。
民主党中道派のマンチン上院議員が、バイデン大統領の経済施策に盛り込
まれた2兆ドル(約227兆円)規模の税制・支出法案について反対し、
自身が望む変更内容を具体的に説明しました。
同議員はバイデン大統領が交渉すると約束したにもかかわらず、数カ月前
から反対している法案の条項を強硬に成立させようとしたことに強く反発
しています。マンチン議員は、「税制をより公正なものに改正し、現行の
法案よりも幅広く処方薬価格を引き下げるほか、規模を1兆7500億ド
ルに縮小する場合に限り支持する」と述べています。(ブルームバーグ)
イギリスでは新型コロナウイルスの新規感染者数が9万人を超え、オミク
ロン株がまん延しているようです。特にロンドンでは感染状況が深刻化し
ており、ジョンソン首相はロックダウンなどの行動制限を強化すべきかど
うかの判断を迫られています。
一方オミクロン株に対するワクチン開発や既存ワクチンの有効性に関する
報告も相次いでいます。
モデルナは、同社の新型コロナウイルスワクチンは3回目の投与によりオ
ミクロン変異株に対する抗体レベルが上昇したと発表しています。
発表によると、認可された量である50マイクログラムのブースター接種
によって中和抗体が37倍増加し、100マイクログラムの場合、抗体レ
ベルは2回接種の83倍に増加したと述べています。
また同社はオミクロン株に特化したワクチンの開発も進めており、来年初
めに臨床試験を開始する計画だと発表しています。
ドル円は昨日の午後、日本株が大きく下げたことに伴い113円34銭前
後まで売られる場面がありましたが、来年にはFRBによる3回の利上げ
が見込まれていることが支えとなり、ドル売りの勢いも限定的でした。
欧州市場に入ると、オミクロン株の感染拡大が続いていることでユーロや
ポンドがドルに対して軟調に推移したこともあり、ドル円も113円67
銭まで上昇しましたが、上値も限られ小幅な値動きになっています。
そんな中、大きく動いたのはトルコリラです。
トルコ政府が、為替変動からリラ建て預金を保護する新たな政策を導入す
ると発表したことで、ドル・リラは「18」近辺から「14.27」リラ
まで、12%ほど急反発する場面がありました。
エルドアン大統領は「これからは誰も、為替レートに対する懸念を理由に
預金をトルコ・リラから外貨に切り替える必要はなくなる」と主張してい
ます。
この発表後、リラ円も6円15銭近辺から8円台半ばまで大きく値を戻す
場面がありました。トルコ政府が、「ハードカレンシーに対するリラの下
げが、銀行が約束する金利を上回る場合、リラ建て預金者が被る損出を政
府が保障する」というもののようです。
この政策により、投機的なリラ売りは一旦縮小する可能性はありますが、
高インフレが続き、実質金利がマイナス幅を拡大している状況を改善しな
い限り、根本的に通貨安を止めることはできないはずです。
エルドアン大統領は前日、金融政策を正当化するために宗教を持ち出し、
金利引き下げを、
「私はイスラム教徒として実行し続ける」と述べ、イスラム教が高利貸を
禁じていることを挙げていました。中銀による「市場介入」でも通貨安が
止まらないリラに、異例とも言える政策がどこまで効果を発揮できるのか
、注目したいと思います。
本日のドル円は113円20銭~113円90銭程度と予想します。
- [2021/12/21 09:43]
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NYダウ500ドルを超える下げに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はリスク回避の流れが強まり、米長期金利の低下から
ドル売りが優勢となり113円15銭まで下落。
◆ユーロドルは小幅に反発し1.13台に乗せる。
◆株式市場は続落。オミクロン株への懸念や利上げに対する警戒感
からダウは532ドル安。ナスダックの下げは小さく10ポイントに
留まる。
◆債券は続伸し、長期金利は1.40%台に低下。
◆金は続伸し、約4週間ぶりに1800ドル台を回復。
原油は大幅安に。
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏10月経常収支
◆米 11月景気先行指標総合指数
先週ドル円が114円台を回復し、114円28銭まで上昇した際、
「115円は近いようで遠い距離」とコメントしましたが、ドル円
は再び113円台前半まで押し戻され、FRBがタカ派姿勢を明確
にしたにもかかわらず、上値の重い展開が続いています。
その最大の理由が米株式市場の乱高下に伴う、ボラティリティーの
高さにあるとみています。先週のNYダウは、300ドルを超える
上昇を見せた後、週末には532ドルの大幅安を見せるなど、不安
定な動きに終始しています。このため安全資産の債券が買われ、金
利がなかなか上昇できず、先週末には一時1.4%を割りこむ場面
もありました。金利上昇の勢いが鈍っていることでドル円も上値を
重くしているともみられます。
ウォラーFRB理事は、FOMCは早ければ来年3月15-16日
の会合で利上げを開始する可能性があるとの考えを示しました。
同理事は17日のイベントで講演を行い、「テーパリング加速で最
も重要な点は、当初よりずっと早い3月にプログラムを終了させる
ことだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テー
パリング加速の意図はそこにある」と述べ、「今後入手するデータ
の内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になり得る
」と語っています。さらに「オミクロン株による深刻な影響が労働
市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月
が利上げの開始検討の重要な時期から外れることはない」と、明確
に述べ、「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極め
て高い」と語っています。(ブルームバーグ)
またNY連銀のウイリアムズ総裁も17日のCNBCとのインタビ
ューで同じように、「米金融政策スタンスを好位置に置くというこ
とだ。もちろん、来年のある時点でフェデラルファンド(FF)金
利誘導目標の引き上げを実際に開始し得るという選択肢を作るとい
う意味もある」と発言し、「実際に利上げとなれば、景気サイクル
のどの時点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となろう
」と述べています。さらにサンフランシスコ連銀のデーリー総裁も
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のバーチャル形式の
イベントで、「米経済が、私の予想通り勢いを増し、新型コロナウ
イルスを切り抜けるように、1四半期は成長が低迷してもその後は
回復するといった状況であれば、来年2、3回の利上げは適切だと
思う」と説明しています。このように、FRBの幹部からの発言は
既に来年2~3回の利上げを規定路線としているような言い回しに
なっていました。もっとも、これらも市場に2~3回の利上げがあ
ることを徐々に浸透させ、利上げによる混乱を排除するための「フ
ォワードガイダンス」的な意味合いもあると思われます。
ただ、それでも米長期金利が上昇せず、1.4%台で推移している
ことに首を傾けざるを得ません。
パウエル議長も先週のFOMC後の会見の席で同じような質問を受
けた際に、「日本やドイツの国債利回りを見てほしい。米国債の利
回りははるかに高く、多くの投資需要がある」と答えていました。
また機関投資家の間には、「FRBが利上げに踏み切っても、FR
Bが想定しているほど米経済が強くなく、利上げを途中で断念する
のではないか」といった見方もあるようです。
米金利が相対的に高いのと同時に、米国債の流通規模や流動性の高
さもあり、さらに長い間の超緩和的な政策の影響から、大量の資金
が行き場を探している構図も無視できない事実かと考えています。
オミクロン株を含むコロナ感染が欧州でさらに拡大しています。
特にイギリスでは感染拡大が続いており、「サーキット・ブレーカ
ー」と呼ばれる短期間のロックダウン措置を数日以内に導入される
との見方もあります。フランスやキプロス、ドイツなどがイギリス
からの渡航者に対する規制を厳格化しています。
またオランダではオミクロン株の広がりに対応するため、19日か
ら少なくとも1月14日までロックダウンを再実施することを決め
ています。一方我が国ではオミクロン株への感染者が6-7人程度
で、昨日の新型コロナウイルスによる感染者数も全国で177人と
、極めて低い水準を保っています。ただ厳密には、少しずつですが
感染者数が増えてきたことも確認できます。
仮にこのまま感染者数の拡大を防ぐことできれば、景気への影響等
から円が見直される可能性も、確率は高くはないものの、あるので
はないかと考えます。その意味で112円50銭近辺を割り込むよ
うだと、円高が加速するリスクも頭の片隅に入れておきたいもので
す。
本日のドル円は113円10銭~113円80銭程度を予想します。
- [2021/12/20 09:46]
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BOEサプライズの利上げを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆BOEが利上げを決めるなど、ポンドやユーロがドルに対して
上昇したことを受けドル円も反落。114円台前半から114円台を
割りこみ、113円58銭までドル売りが進む。
◆ユーロドルも急伸。ECBが来年3月にPEPPの終了を決めた
ことで1.1360近辺まで買われたがその後下げに。
◆株式市場は反落。特にナスダックの下げがきつく、前日の上昇分を
全て吐き出す385ポイントの下落。
◆債券は上昇。長期金利は1.41%台へ低下。
◆金は3日ぶりに大幅反発。原油も大きく買われ72ドル台に。
◆11月住宅着工件数 → 167.9万戸
◆11月建設許可件数 → 171.2万戸
◆ 新規失業保険申請件数 → 20.6万件
◆12月フィラデルフィア連銀景況指数 → 15.4
◆11月鉱工業生産 → 0.5%
◆11月設備稼働率 → 76.8%
◆12月マークイット製造業PMI(速報値) → 57.8
◆12月マークイットサービス業PMI(速報値) → 57.5
◆12月マークイットコンポジットPMI(速報値) → 56.9
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆独 独11月生産者物価指数
◆英 英11月小売売上高
◆独 独12月ifo景況感指数
◆欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)
◆米 ウォラー・FRB理事講演
各国中銀の金融政策会合が集中した昨日、多くの中銀が利上げに踏み切りました。
サプライズだったのがBOEの利上げです。
物価上昇が続くものの、オミクロン株の感染拡大を考慮して、今回は利上げを見送
るといった観測が市場のコンセンサスだったことから、利上げ後にはポンドドルが
急伸し、1.3374近辺まで買われ、約3週間ぶりの高値を付けています。
BOEは声明で、「金融政策委員会(MPC)は8対1で、政策金利を0.15ポ
イント引き上げて0.25%にすることを決定した」と発表しました。
イギリスでは昨日も新型コロナウイルスの新規感染数が7万8000人を超え、中
でもオミクロン株の割合が急拡大しています。
このような状況にもかかわらず利上げに踏み切ったことは、足元の物価上昇の勢い
は看過することが出来ないというBOEの強い意志の表れであると同時に、オミク
ロン株の感染はいずれ克服できるといった読みが背景にあるとも考えられます。因
みにBOEの利上げは「G7」諸国の中では初めてのことになります。
ECBも政策会合で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での純購
入額を来年3月で終了することを決めましたが、従来の資産購入プログラム(AP
P)の購入を増額すると発表しています。
ラガルド総裁は会合後の記者会見で、「以前にも述べたように、2022年に利上
げする可能性は極めて低い。これは変わっていない」と述べました。ただ「インフ
レ見通しには上振れリスクがある可能性もある」と釘をさしています。
ユーロドルは一時1.1360まで上昇しましたが、これはポンドドルでドルが売
られポンドが買われたことによる「連れ高」の影響と見られます。ラガルド総裁の
会見を受け、その後ユーロはじりじりと値を下げています。
上記以外にも、ノルウェー中銀が今年2回目となる利上げを行い、メキシコ中銀も
政策金利を引き上げています。そんな中、「我が道を行く」のがトルコ中銀です。
トルコ中銀は昨日4カ月連続となる「利下げ」を発表しました。1週間物レポ金利
を1.0%引き下げ、14.0%にしています。この「利下げ」は市場予想通りで
した。 トルコでは20%近いインフレが続いており、度重なる利下げを受け、ド
ルリラが15近辺までリラ安が進み、過去最安値を更新しています。
これに対してトルコ中銀は「市場介入」でリラ安に対抗してはいますが、介入時に
は一時的にリラは反発しますが、今月3回の「市場介入」が確認されている中で、
リラの下落圧力はそれほど弱まってはいません。
トルコ中銀が利下げを発表するとドルリラは一時、前日比5.7%安の15.65
前後までリラ安が進みました。今年1月は7.44前後で推移していたリラはこれ
で、110%を超える価値が減少したことになります。対円でも再び7円台前半ま
で下げ、リラに対する恐怖心も収まりません。
「利下げが物価抑制につながる」といったエルドアン大統領の意向に沿った利下げ
ですが、同国のネバティ財務相も、「われわれは金利を上げない」と、中銀に圧力
をかけています。金融政策とインフレの「ねじれ」が「大幅な通貨安」を引き起こ
しており、「市場介入」の原資となる外貨準備も潤沢ではありません。
トルコの最大の外貨獲得手段である「観光」は、本来ならリラ安でさらに観光客を
呼び込む格好の材料になりますが、こちらは「新型コロナウイルスのパンデミック
」が立ちはだかり、機能不全です。泣きっ面に蜂状態と言えます足元のリラ安には
多分に投機的な部分はあろうかと思います。そうである以上、どこかの時点で必ず
大きく反発するのが「市場の原理原則」です。ただリラについてはその見通しが立
てられないのが非常に難しい点です。
ドル円は今回も114円台は回復したものの、前半で押し戻されました。
各国が利上げに向け足並みを揃えて来る中、日銀だけが、まだその列に加わってい
ません。今後も円売り圧力が大きく弱まる可能性は低いと思われます。
「非難通貨」の一面を持つ円と、「低金利」が続く円との微妙な綱引きは2022
年にも持ち越されそうです。
本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想します。
- [2021/12/17 09:40]
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FOMC、テーパリング加速を決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆FOMCではテーパリングの加速が決定され、2022年の利上げ
回数も3回が示唆されたことでドル円は114円台を回復。
株価の大幅上昇もあり、114円28銭までドル高に。
◆ユーロドルは1.1222まで「ドル高ユーロ安」が進む。
◆FOMCの結果が市場予想通りだったとして、株式市場は
堅調に推移。終盤にかけて上げ幅を拡大しダウは383ドル高。
ナスダックも327ポイント高で引ける。
◆債券相場は比較的落ち着いた動きだったが、結局小幅に売られ、
長期金利は1.45%台と、小幅に上昇。
◆金は続落し、原油は反発
◆12月NY連銀製造景況業指数 → 31.9
◆11月小売売上高 → 0.3%
◆11月輸入物価指数 → 0.7%
◆12月NAHB住宅市場指数 → 84
本日の注目イベント
◆豪 豪11月雇用統計
◆日 11月貿易収支
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆欧 ユーロ圏11月貿易収支
◆欧 ユーロ圏12月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏12月総合PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)
◆英 BOE金融政策発表
◆英 BOE議事録
◆米 11月住宅着工件数
◆米 11月建設許可件数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 11月鉱工業生産
◆米 11月設備稼働率
◆米 12月マークイット製造業PMI(速報値)
◆米 12月マークイットサービス業PMI(速報値)
◆米 12月マークイットコンポジットPMI(速報値)
今朝方発表されたFOMCでは、テーパリングを2倍に加速させることと、
2022年にはフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標を0.25%
ずつ3回引き上げることが示唆されました。
ややタカ派的と受け止められた部分はありましたが、ほぼ市場予想通りの
決定で、市場の事前予想に突き動かされた決定ではないかとの印象も残り
ます。そのようなことはないと思いますが、現在月額150億ドル(約1
兆7000億円)減額している資産購入を、国債とMBSを合わせて月額
300億ドル倍に増させます。これによって2022年の早期には資産購
入プログラムを終えることになります。
FOMC声明文では、「FRBは現在の困難な時期に米経済を支えるため
、あらゆる手段を用い、それによって最大限の雇用と物価安定という目標
を促進することにコミットしている」と記されています。
また、「雇用はこの数カ月堅調に伸びており、失業率は大幅に低下した。
パンデミックと経済再生に関連した需給の不均衡は、引き続き高水準のイ
ンフレにつながっている」とし、「経済の道筋はウイルスを巡る状況に引
き続き左右されている」として、足元のオミクロン株の感染拡大が景気へ
のリスクであることに言及しています。
会合後の記者会見でパウエル議長は、「10月の雇用統計や7-9月の雇
用コスト指数の力強い数値に加え、1990年以来の大幅上昇となった1
0月のCPIを受けて、CPI発表後の週末に資産購入のテーパリング加
速の必要があると認識し、当局としてそのための作業に着手した」と説明
しました。
この内容を受け、ドル円は113円台後半から114円台に乗せ、一時は
114円28銭までドルが買われ、約3週間ぶりのドル高水準を付けてい
ます。株式市場も決定が想定通りだったと受けとめ株価が大幅に上昇し、
ナスダックは2%を超える上昇となっています。
ただ、この日の株価は大きく買われましたが、FOMC声明文が触れたよ
うに、オミクロン株の感染拡大は容赦ありません。
米国の1日の新規感染数は14日には20万人に迫る状況でした。
イギリスでも15日に報告された新規感染数は7万8610人と、新型コ
ロナがパンデミックとなって以降の最多となっており、中でもオミクロン
株の感染が急速に広がっています。香港大学は、新型コロナウイルスのオ
ミクロン株はデルタ株や変異前のウイルスに比べ、およそ70倍のスピー
ドで他人に感染する一方、症状はそれらに比べてずっと軽い可能性がある
との分析結果を発表しています。
またイギリスの保健当局は、アストラゼネカ、ファイザー・ビオンテック
が開発した両ワクチンの効果に関して、2回の接種後でオミクロン株の有
症状感染を防ぐ効果はデルタ株に比べはるかに低いが、ブースター接種を
すれば接種後初期には有症状の70-75%防げる水準に効果があるとの、
暫定結果を発表しています。(ブルームバーグ)
114円台を回復したドル円ですが、115円は「近くて遠い距離」かも
しれません。
その根拠の一つが米長期金利の上昇力が鈍っていることが挙げられます。
2022年には3回の利上げが見込めるにもかかわらず、長期金利は1.
45%台と小幅な上昇に留まっています。
115円台を回復するためには同金利が少なくとも、1.65-1.7%
台まで上昇するといった「援軍」が必要かと思います。
またオミクロン株の感染状況次第では日米株価の大幅下落も想定され、リ
スクオフから再び円が買われる局面もないとは言えません。
FRBが金融正常化への第一歩を踏み出し、そのスピードを加速したこと
はドルにとって最大の支援材料であることは間違いありませんが、目まぐ
るしく変わる世界情勢の中で、米中関係の悪化や中国の不動産バブル、あ
るいはウクライナ情勢など、一夜にして円が急速に買われる材料は無くな
りません。筆者は「7:3」の割合でドル高を予想していますが、この割
合は非常に流動的であるのも事実です。
本日はECBの番です。ユーロ圏でも11月のCPIは「4.7%」と、
1997年以降で最大の上昇を示しています。ECBはそれでも物価の上
昇は一時的で、来春には落ち着くとの考えを堅持しており、利上げには否
定的です。またドイツを中心にオミクロン株の広がりも懸念材料と見られ、
緩和的な政策を続けると予想されます。
本日のドル円は113円70銭~114円60銭程度を予想します。
- [2021/12/16 09:34]
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米11月のPPI年率で9.6%の上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆FOMCを控え小動きの中、米11月のPPIが
年率で9.6%の伸びを見せたことで長期金利が上昇。
ドル円は113円76銭まで買われた。
◆ドル高が進む中、ユーロを買い戻す動きは限定的となり、
1.13台前半から半ばが徐々に重くなる展開が続く。
◆株式市場は続落。PPIの上振れを嫌気し、3指数とも揃って
大幅安に。
◆債券は反落。長期金利は1.44%へと小幅に上昇。
◆金と原油はともに反落。
◆11月生産者物価指数 → 9.6%
本日の注目イベント
◆豪 豪12月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中 中国11月小売売上高
◆中 中国11月鉱工業生産
◆英 英11月消費者物価指数
◆米 12月NY連銀製造景況業指数
◆米 11月小売売上高
◆米 11月輸入物価指数
◆米 12月NAHB住宅市場指数
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
消費者物価指数(CPI)と歩調を合わせるかのように、米11月の
生産者物価指数(PPI)も記録的な伸びを見せました。総合PPI
は前年比で「9.6%」上昇し、統計でさかのぼれる2010年以降
で最大の伸びでした。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIも前年比で「7.
7%」と過去最大の伸びでした。物流網のボトルネックや堅調な需要、
さらに労働力の制約といった状況の中、原材料の価格は今年に入り急
速に上昇しています。多くの事業者はそうしたコスト上昇分を値上げ
という形で消費者に転嫁しており、このままでいけば、2022年1
-3月期のCPIも引き続き高い伸びを見せる可能性がありそうです。
記録的なPPIの伸びを受けて、各市場の反応はこれまでとはやや異
なり単純な「リスクオフ」ではなかったようです。
株式市場では金利上昇を嫌い、前日に続き主要3指数が揃って続落し
ましたが、債券も売られ金利上昇を受けてドル円は113円76銭ま
でドルが買われています。明日の朝方発表されるFOMCでは、テー
パリングが加速されることがほぼ規定路線と見られており、高いPP
Iの伸びがさらにその可能性を高めた側面もあります。
ブルームバーグ・エコノミクスは、FOMCが債券購入の縮小額を3
00億ドル(約3兆4000億円)と、これまでの2倍にし、購入を
来年3月に停止することを表明するとともに、物価圧力を「一過性」
と表現しないといった見方を示すと予想しています。また、金利予測
分布図に基づく2022年の利上げ予想回数は3回になるとみていま
す。注意したいのは、仮にこの予想通りであっても、市場では予想が
ほぼ織り込まれており、必ずしもドルが買われるわけではないという
事です。筆者は来年の利上げ回数は2回と予想しており、金利予測分
布図が3回を示唆するようだと、さすがにドル高に振れる公算は高い
とは思いますが、今回のFOMCでのタカ派寄りの決定はかなり織り
込まれているのも事実です。ドル安材料にはならないとしても、どこ
までドルを押し上げるドライバーになるのか見極める必要があります。
オミクロン株を巡る情報が引き続き市場に飛び交っています。
ファイザーは14日、同社が開発中の新型コロナウイルス感染症経口
薬「パクスロビト」について、入院が必要になるほどの重症化を防ぐ
かなりの効果があるが、ワクチン接種後のブレークスルー感染に関係
することが多いより軽度の症状を消すにはそれほど有効でないことが
、二つの研究報告で示されたと発表しました。
同社の資料によれば、「パクスロビト」はコロナ合併症を起こす標準
リスクのある673人を対象に実施したところ、自覚症状を減らす主
要目的を達成できなかった。ただ、このグループでは入院が70%減
る傾向が見られたそうです。また別の研究では、発症から3日以内に
「パクスロビト」を使用した場合、高リスクのワクチン未接種患者の
入院をなお89%防ぐ効果が確認されたとも報告されています。(ブ
ルームバーグ)
一方WHOのテドロス事務局長は「このウイルスを過小評価すれば危
険を冒すことになると、これまでにわれわれが学んだのは確かだ」と
述べ、オミクロン株について、従来のどのウイルス型よりも急速に広
がっているにもかかわらず、軽症として片付けられてしまうことに警
鐘を鳴らしています。
記録的な伸びを見せたCPIとPPIの結果を認識した中でのFOM
Cですが、パウエル議長がどこまでタカ派的な姿勢に傾くのかも注目
されます。
オミクロン株への懸念も日増しに高まってきており、今後景気拡大の
足かせになる可能性もくすぶる状況ですが、一方でケンタッキー州な
どで起きた竜巻被害の影響もあり、今後も物価上昇が鎮静化する兆し
はありません。
サマーズ元財務長官は「インフレの大きな減速を見込める説得力のあ
る根拠はない」と、引き続き厳しいコメントをしています。パウエル
議長の発言を待ちたいと思います。
本日のドル円は113円30銭~114円30銭程度を予想していま
す。
- [2021/12/15 09:34]
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米国のコロナ感染者5000万人を超える
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はFOMCを前にやや買いが優勢となり113円68銭まで
買われたが、オミクロン株への警戒感が強まり113円37銭まで反落。
◆ユーロドルはドル高の流れの中、1.1274まで下落。
◆株式市場は英国で初のオミクロン株による死者の報告を嫌気し、3指数は
揃って大幅安。ダウは航空株などを中心に320ドルの下落。
◆債券は3日続伸。長期金利は1.41%台へと低下。
◆金は続伸し、原油は小幅に反落。
本日の注目イベント
◆豪 豪11月NAB企業景況感指数
◆日 10月鉱工業生産(確定値)
◆欧 ユーロ圏10月鉱工業生産
◆英 英ILO失業率(8-10月)
◆米 11月生産者物価指数
引き続きオミクロン株を巡る情報に金融市場は動かされている状況です。
昨日のNYでは、イギリスでオミクロン型の感染者が急増したことや、同
変異種による初の死亡が確認されたことなどから株価が大きく下げ、安全
資産の債券が買われ金利が低下しています。
この状況では通常ドルが売られるパターンですが、本日から始まるFOM
Cでテーパリングの加速について議論され、FRBは利上げの時期を早め
るとの観測が支えとなりドル円は比較的堅調に推移しています。
オミクロン株を巡っては、ワクチンブースター(追加接種)が高い防御効
果を発揮する可能性があるとイスラエルの研究チームが発表しています。
一方、英オックスフォード大学の研究者が13日に発表した論文によると
、ワクチンを2回接種した人の血液サンプルでオミクロン株を検査した調
査では、中和抗体が大幅に低下していたことが判明しています。
ファイザーのワクチンを2回接種した人の血液中に含まれるオミクロン株
に対する中和抗体が、デルタ株に比べて約30分の1に低下した結果が得
られたようです。
このようにオミクロン株を巡っては、初期段階のデータが徐々に報告され
てきましたが、まだその感染力や既存のワクチンの有効性などについては
共有できる結論が出ていない状況です。
そのような中、イギリスではオミクロン株による感染者数が急増しており
、米国では新型コロナウイルス感染者が累計で5000万人を超え、死者
も80万人に達しています。
また、南アフリカでは新型コロナウイルス感染による入院者数が6198
人で、そのうち6.8%が集中治療室(ICU)入りしています。デンマ
ークでは今週、オミクロン株がデルタ株に代わって感染の主流となること
や、1日の感染者数が1万人に達することが見込まれています。さらに中
国本土でも初のオミクロン株感染が確認されています。(ブルームバーグ)
OPECは13日公表した月報で、1-3月期の石油消費予想を大幅に引
き上げ、日量110万バレルとしました。
月報では、「新型コロナウイルス感染症とそれに関連した困難に対し、世
界の備えは向上しており、新たに出現したオミクロン変異株による影響は
軽度かつ短期的なものになると見込まれている」としています。
この月報によるNY原油先物市場への影響はなかったものの、オミクロン
株への警戒感から原油価格は小幅に下げています。
本日からFOMCが開催され、日本時間16日の早朝にはその結果と、パ
ウエル議長の会見が予定されています。
今回のFOMCでは、テーパリングの加速について議論がなされることは
必至で、焦点はその加速スピードと、テーパリング終了後の利上げのタイ
ミングに集中しています。
オミクロン株への懸念が徐々に広がるものの、インフレがFRBの目標値
を大きく超えている状況が続いている以上、利上げの前倒しは避けられな
いと見られます。
最もタカ派的な見通しでは、2022年3月にも第一回目の利上げが開始
されるという予想がありますが、筆者はテーパリング終了後株式市場の動
向や物価状況を見た上で、6月会合から利上げが開始されるのではないか
と予想しています。
本日のドル円は113円20銭~113円90銭程度を予想します。
- [2021/12/14 09:20]
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米11月のCPIは前年比で6.8%の上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は米CPIの発表を受け下落。113円22銭まで
売られたがその後は小幅に反発して越週。
◆ユーロドルは引き続き1.13を挟んでもみ合う展開。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。CPIは高水準だったものの、
S&P500は44ポイント上昇し、3週間ぶりに最高値を更新。
◆債券は小幅に続伸。長期金利は1.48%台へと低下。
◆金と原油はともに上昇。
◆11月消費者物価指数 → 0.8%
◆12月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 70.4
◆11月財政収支 → -191.3b
本日の注目イベント
◆日 10-12月期月日銀短観
◆欧 OPEC月報
注目された米11月の消費者物価指数は前月比で「0.8%」の上昇。前年同月比では
「6.8%」と、10月の「6.2%」よりもさらに上昇し、39年ぶりの高水準でし
た。ただ、この数値は市場予想と合致し、「FRBの利上げをさらに前倒しするもので
はない」と、市場は受け止め株価が上昇。債券も買われ金利が低下したことで、ドル円
は113円台前半まで下落しています。
それでも、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も「4.9%」と、30年
ぶりの伸びを示し、FRBに対して金融引き締め圧力が強まり続ける可能性はありそう
です。
項目別では前月と同様に大半の分野で上昇が見られましたが、中でもガソリン、住居費
、食品、自動車などの上昇が目立っています。
今週火曜日からは今年最後のFOMCが開催されますが、先の議会証言でパウエル議長
が証言したように、「テーパリングの加速について議論される」ことは間違いないよう
です。
11月のCPI発表を受けて、バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に、「今が危
機のピークだ。この状況は大半の人が考えているよりも早期に、かつ早いペースで終わ
るだろう」と語り、雇用や生産の伸びを挙げ「米経済におけるその他の側面はどれも急
進展している」と指摘するなど、インフレは近いうちに鈍化するとの考えを示していま
す。
一方専門家の間では、足元のインフレは来年1-3月まで続く可能性があるとの見方が
優勢のようです。物価上昇の最大の要因は、コロナ禍から回復する過程で生じた深刻な
サプライチェーンの問題であり、それがトラックのドライバー不足と相まって物流の混
乱を通して著しい物価上昇を引き起こしていると見られます。
懸念されるのは10日夜から複数の州で発生した竜巻の影響で、さらにサプライチェー
ンが混乱することです。
ケンタッキー州では70人余りが死亡し、イリノイ州ではアマゾンの倉庫の一部が被害
を受けています。ケンタッキー州では、「州の歴史で最も壊滅的な竜巻被害」だったと
見られ、非常事態宣言が発令され、死者の数も100人を超える可能性があるようです。
オミクロン株による感染は日本でも4例が確認されていますが、英ロンドン大学衛生熱
帯医学大学院が11日に発表したリポートによると、英政府が追加的な予防措置を取ら
なければ、新型コロナウイルスのオミクロン変異株がイングランドで相次ぐ感染を引き
起こし、今冬のコロナ死者が7万5000人近くに達する恐れがあると警告しています
。同大学院のバーナード教授は、「マスク着用や社会的距離の確保、ブースター(追加
免疫)接種は不可欠だが、それだけでは十分ではない可能性がある」と述べています。
(ブルームバーグ)またイギリス保険安全局は、オミクロン株はデルタ株に比べ、再感
染や家庭内感染のリスクが高いと報告しています。同局は初期段階の分析結果だとしな
がらも、オミクロン株の再感染リスクはデルタ株の5.2倍(3.4倍~7.6倍)と
なったことを発表しました。
イギリスでは12日に確認されたオミクロン株の新規感染者数は1239人と、前日の
ほぼ2倍になっています。
イギリスのリバプールで開催された「G7外相会議」では共同声明で、「ロシアの軍備
増強およびウクライナに対する攻撃的な発言を非難することで一致した」と表明しまし
た。会合の主催国であるイギリスのトラス外相は、「緊張の段階的緩和や外交手段の模
索、軍事活動の透明性に関する国際公約の順守をロシアに求める」と会合後の会見で語
っています。バイデン大統領は主催した「民主主義サミット」に合わせ、米国に加えて
オーストラリア、デンマーク、ノルウェーの4カ国が「監視技術の輸出を管理する多国
間の枠組み」を正式に立ち上げ、中国の監視カメラ大手「ハイクビジョン」を念頭に、
事実上輸出を禁止する措置を課しました。
カナダ、フランス、オランダ、イギリスも支持を表明し、いずれ同枠組みに参加する見
込みです。
S&P500が再び最高値を更新するなど、市場ではリスクを取る流れが徐々に高まっ
てきました。利上げ観測が高まる一方で、利上げに踏み切ってもそのペースが緩やかに
なるといった見方や、大量の待機資金が相場を支えているとみていますが、ドル円の上
昇は一服です。
14-15日のFOMCまでは、112円50銭~114円前後での推移が続くと思わ
れます。実際にはさらに値幅が限定されるとみています。
本日のドル円は113円10銭~113円80銭程度を予想します。
- [2021/12/13 09:37]
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中国恒大集団一部デフォルトに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は売られ113円27銭まで下落。長期金利の低下や
コロナ感染に伴う英国での規制強化を受けて円を買う動きが
強まった。
◆ユーロドルは1.13を挟みもみ合う。
◆株式市場は反落。変異株に対する制限措置が経済に及ぼす
影響が意識され、ダウはほぼ横ばいながらナスダックは269
ポイント下げる。
◆債券は反発。長期金利は低下し、1.5%台を割り込む。
◆金は3日ぶりに反落。原油価格も4日ぶりに下落。
◆新規失業保険申請件数 → 18.4万件
◆家計純資産(3Q) → 2326b
本日の注目イベント
◆独 独11月消費者物価指数(改定値)
◆英 英10月鉱工業生産
◆英 英10月貿易収支
◆米 11月消費者物価指数
◆米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 11月財政収支
中国恒大集団が流動性危機の中で初めて、デフォルトに陥りました。
6日に猶予期間が終了したドル建て債の利払いが確認できなかったことにより、
格付け会社フィッチ・トレーティングは同社の格付けを「一部債務不履行(R
D)」に引き下げました。フィッチはまた、同業の佳兆業集団の格付けも「R
D」に引き下げています。
中国人民銀行の易綱総裁は9日、「不動産開発大手の中国恒大集団が債務を履
行できないのは市場の問題であり、市場に基づくやり方で扱われることになる
」と述べ、中国当局は3000億ドル(約34兆円)の負債を抱える中国恒大
を救済するつもりはないことを、あらためて示唆したものと、ブルームバーグ
は伝えています。これまで何度か流動性危機が伝えられてきましたが、何とか
しのいできたものの、今回デフォルトに認定されたことで、中国の不動産バブ
ルに対する警戒感が高まりそうです。現時点では、「中国の国内問題」に留ま
っているようですが、今後どのように金融市場に伝播して来るのか注意が必要
かと思います。
米ファイザーが暫定結果としながらも、ワクチンのブースター(追加免疫)接
種の有効性を発表したことや、南アフリカの最大民間病院ネットワークを運営
する「ネットケア」の「患者にみられる症状は、これまでのものに比べはるか
に軽い」との報告により、オミクロン株への警戒感がやや後退していましたが
、昨日の海外市場では再びリスクオンの流れに傾き、NYでは株価が下げ長期
金利の低下に伴い、ドル円は113円27銭近辺まで押し戻される局面もあり
ました。前日には113円96銭まで上昇したものの114円台乗せには至っ
ていません。来週のFOMCまでは、112円台半ばから114円程度のレン
ジ内で推移しそうな気配も漂ってきました。
バイデン大統領は9日、2日間の日程で「民主主義サミット」を開催しました
。約110の国や地域が参加しましたが、権威主義国家とみなされている中国
とロシアを念頭に置いたもので、両国はこのサミットに招待されていません。
バイデン大統領はオンライン形式の中で、「われわれが見ているデータはおお
むね間違った方向を示している」と指摘し、「民主主義的な価値観の後退がか
つてなく複雑化している世界的な課題によって深刻化しつつある。こうした懸
念に対応するには協調した取り組みが求められる」と述べています。
バイデン政権はこれに先立ち、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピ
ックに「外交的ボイコット」を行うことも発表し、これにイギリスやオースト
ラリア、ニュージーランドが同調する決定を行っており、中国の人権問題やロ
シアのウクライナ侵攻リスクに対して強い姿勢を見せています。こうした地政
学的リスクや外交問題が折に触れて市場を揺るがす場面も、今後は予想されそ
うです。
今夜は米11月の消費者物価指数が発表されます。
10月は「6.2%」と、1990年以来31年ぶりのインフレ率でしたが、
今回はさらにこれを上回る物価上昇率が予想されています。
市場予想は「6.8%」と見込まれており、この予想通りであれば、1982
年以来の高い伸びとなります。
その結果を踏まえて来週14-15日には今年最後のFOMCが開かれ、結果
次第ではテーパリング加速の議論に大きな影響を与えるとみています。
仮に予想を上回るようだと、利上げ観測が前倒しとなり、ドル円が上昇する公
算が高いと思われますが、一方で株価が下げリスク回避の流れにつながる可能
性もあり、注意したいところです。
本日のドル円は113円~113円90銭程度を予想します。
- [2021/12/10 09:38]
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NY株連日の大幅上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆日本株が大幅高になったことに伴い、ドル円は堅調に推移。
NYではリスクオンが強まり113円78銭まで買われたが
その後小反落。
◆ユーロドルは軟調に推移し、1.1228まで下落。
◆株式市場は前日に続き大幅続伸。オミクロン株が経済に与える
影響は大きくないとの見方からダウは492ドル上昇。ナスダックは
ハイテク株を中心に3%の上昇。
◆債券は続落。長期金利は1.47%台に上昇。
◆金は反発。原油はオミクロン株への懸念がさらに後退したことから
2ドル56セント上昇し、72ドル台を回復。
◆10月貿易収支 → -67.1b
◆10月消費者信用残高 → 16.897b
本日の注目イベント
◆日 7-9月GDP(改定値)
◆日 10月貿易収支
◆日 10月国際収支
◆日 11月景気ウオッチャー調査
◆独 ドイツ連邦議会が新首相の指名選挙を予定、ショルツ政権発足へ
◆加 カナダ中銀政策金利発表
予想通り、新型コロナウイルス「オミクロン株」への過度の恐れが徐々に後退し、
昨日のNYではダウを始め主要3指数が前日に続き大幅高でした。ダウはこの2日
間で1000ドルを超える上昇を見せ、ここ最近の沈滞ムードを一気に吹き飛ばし
た感があります。ここ2日間の上昇を受け、バークレーズとUBSは株式に対する
強気の見方を発表していますが、一方ゴールドマンは、リスク指標はまだ買いシグ
ナルを発していないとして、強気の姿勢に警鐘を鳴らしています。
南アフリカの専門家はオミクロン株感染者が、呼吸器官への負担が従来の変異株に
比べて軽いとの報告を行いました。今後さらに検証する時間が必要としながらも、
重症化に対する過度の警戒感がやや和らいでいます。
英グラクソ・スミスクラインとカナダのメディカゴが行った試験結果によれば、両社
の開発したワクチン候補は、複数の変異株に対する後期臨床試験で71%の有効性
を示したと発表しました。7日発表された試験結果では、植物由来の同社のワクチ
ン候補は感染力の強いデルタ株に対して75%、ブラジルで最初に発見されたガン
マ株に対しても89%近い
有効性を示したとされています。臨床試験には2万4000人が参加し、この中で
重症化もしくは深刻な副反応が報告された例は1件もなかったということです。
(ブルームバーグ)まだ初期段階のデータしか集まっていないようですが、来週の
今頃にはさらに信頼できるデータが報告されていることが期待できそうです。
バイデン大統領とプーチン大統領がオンラインで会談を行い、2時間にも及ぶ会談
でバイデン大統領はロシアがウクライナに侵攻するなら米国は同盟国と共に「強力
」な措置で対応すると警告しました。
バイデン大統領はまた、ロシアが侵攻した場合、米国はウクライナに防衛装備品を
供与することも警告していますが、対応措置は軍事的なものではなく、経済制裁を
念頭に置いているものと見られます。
具体的にはドイツの新政権に対して、ロシアがウクライナに侵攻した場合、海底ガ
スパイプライン(ノルドストリーム2)の停止に合意するよう求めるようです。
またロシアの大手銀行とロシアルーブルの外貨交換能力を標的にした制裁も検討し
ているようで、この場合ロシアの一部大手銀行や政府系ファンドのロシア債購入も
制限される可能性があると伝えられています。
オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日の午後の政策決定会合で、政策金利の据
え置きを決めました。また債券購入プログラムは、週40億豪ドル(約3200億
円)のペースで少なくとも来年2月まで継続し、政策委員会が2月の会合で再検討
することになっています。
この決定は市場予想通りでした。
ロウ総裁は会合後の会見で、「政策委員会は実質インフレが2-3%の目標レンジ
の範囲内で持続的に推移するまでキャッシュレートは引き上げない。これには現時
点よりかなり高い賃金の伸びを十分生むほど労働市場がタイトになる必要がある。
ある程度の時間がかかる可能性が高く、政策委員会としては忍耐強くある用意があ
る」と語っています。
またオミクロン株の発生については、「オミクロン株の発生が新たな不確実性要因
だが、景気回復を妨げるとは予想されていない。景気は2022年上期にはデルタ
株以前の軌道に戻るだろう」との考えを示しています。
オミクロン株への警戒感が和らいだことから、株式市場では一気にリスクオンが強
まり、金利が上昇しています。ただその割には、ドル円の上昇に力強さはありませ
ん。昨日のコメントでも述べましたが、113円60~90銭がやや壁になってお
り、この水準が抜けるかどうかが一つの焦点です。
またウクライナ情勢や中国恒大集団のデフォルト問題も、ドルの上値を抑えている
可能性があります。
112円台半ばから114円前後の動きが、来週のFOMCまで続くことも予想さ
れます。
本日のドル円は113円10銭~114円程度と見ています。
明日(9日)のアナリストレポートは都合によりお休みとさせて頂きます。
読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。
- [2021/12/08 09:36]
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ファウチ発言からドル円113円台半ばを回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は112円台から大きく上昇。オミクロン株感染者の
重症度がそれほど高くないとの報道から長期金利が上昇。
ドル円も引っ張られる形で113円55銭まで買われた。
◆ドル高が進み、ユーロが売られたものの、ユーロドルは
1.1266と、前日と同水準をキープ。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に反発。オミクロン株への
過度の不安が後退したことでダウは646ドル上昇。
◆債券は大幅に下落。長期金利は大きく上昇し1.43%台を
回復する。
◆金は反落。原油はオミクロン株への懸念が後退したことで
需要が高まるとの見方から3ドルを超える上昇。
本日の注目イベント
◆豪 豪第3四半期住宅価格指数
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆日 10月景気先行指数(CI)(速報値)
◆日 10月景気一致指数
◆中 中国11月外貨準備高
◆中 中国11月貿易収支
◆独 独12月ZEW景気期待指数
◆独 独10月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏7-9月期GDP(確定値)
◆米 10月貿易収支
◆米 10月消費者信用残高
◆米 米ロ首脳会談(オンライン)
◆加 カナダ10月貿易収支
ドル円は再び113円台半ばまで反発してきました。
米疾病対策センター(CDC)のファウチ所長が、「明確な見解を示
すには時期尚早だが、感染者の重症化の度合いはそれほど高くないよ
うだ」と述べたことで、オミクロン株へ警戒感が後退し、NY株式市
場では3指数が揃って大きく上昇。債券市場では債券が売られ、先週
末には1.31%台まで低下した長期金利が1.43%台まで上昇。
これがドル円を押し上げ、一時は113円55銭までドルが買い戻さ
れています。
日足チャートを見れば一目瞭然ですが、ここ5日間、ドル円は下値を
試してきましたが、全て112円50-80銭で下落が止められ反転
していることが確認できます。
オミクロン株への不透明さからドルの上値が重い展開が続いているの
も事実ですが、一方でドルが思いのほか底堅い動きを見せているのも
事実です。
昨日のファウチ所長の発言は、まだ免疫学的あるいは医学的な信頼で
きるデータによる裏付けはないとは思いますが、「米国を代表する専
門家」の意見として強い味方になったようです。
ドル円はこの先、115円台を回復するのか、あるいは10月8日以
来となる112円割れを示現するのか判断が難しいところですが、ド
ル上昇の材料となるのは、テーパリングの加速とその後の利上げ観測
の前倒しがあります。
一方、112円割れへの材料とすれば、オミクロン株の感染拡大が最
も大きな材料でしょう。感染が拡大すれば、ロックダウンなど行動制
限がひかれ、景気下振れの可能性が高まります。景気減速から株価が
下げ債券が買われ金利が低下することに伴って、ドルが下落するとい
った構図です。
従って、オミクロン株の感染が抑制されるか、有効性の高いワクチン
の開発あるいは既存ワクチンの有効性が確認されれば、全く逆の動き
が想定されることになります。
もっとも、それによって利上げ観測がさら高まることになれば、株価
の上昇にブレイキが掛かることも予想され、「リスク回避の円買い」
につながるシナリオも否定できません。
この辺りが足元のボラティリティーの高さにつながっており、例年ク
リスマスから年末にかけて見られる静かな動きとは異なっています。
ホワイトハウスのサキ報道官は、来年2月に行われる北京冬季オリン
ピック・パラリンピックに政府使節団を派遣しない「外交的ボイコッ
ト」を行うと発表しました。
その理由として、人道に対する罪など人権侵害に関する懸念を挙げ、
「バイデン政権は新疆ウイグル自治区で中国が続けるジェノサイド(
民族大量虐殺)や人道に対する罪など人権侵害を考慮し、2022年
北京冬季オリンピック・パラリンピックに外交や公式の代表を派遣し
ない」と記者団に語りました。
「外交的ボイコット」では選手団は派遣するようですが、今回のボイ
コットが米中間の新たな「火種」になりそうです。
中国外務省は直ちに、米国がボイコットすれば報復措置に踏み切るこ
とを発表しています。
中国人民銀行は6日、景気減速に対応するため大半の銀行を対象に今
月15日から預金準備率を0.5%引き下げると発表しました。
今年2度目の引き下げになりますが、中国恒大集団など、大手不動産
開発会社の経営危機が表面化し、さらなる景気の下振れを防ぐ狙いが
あるようです。
預金準備率は、市中の銀行が中央銀行に強制的に預金を預けなければ
ならない割合のことで、これを引き下げることは市中に資金を供給す
ることと同じ効果が期待できます。
人民銀行は引き下げについて、「定期的な金融政策行動」だとして、
今回の決定が緩和局面の始まりだとの見方を牽制しています。(ブル
ームバーグ)
先週3日には李克強首相が、預金準備率を適切な時期に引き下げると
述べていました。
本日のドル円は堅調な動きを予想しますが、これまで上値を抑えられ
てきた113円60-90銭の水準を抜けるかどうかがポイントでし
ょう。
オミクロン株に関する情報次第で一気にセンチメントが変わってしま
う地合いが続いていますが、一方的な相場観を持つのもややリスクが
あります。
ドル円は113円~113円90銭程度を予想しています。
- [2021/12/07 09:36]
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米11月の失業率は4.2%に低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想を大きく
下回ったものの、失業率は改善するなど強弱まちまちだったが、
リスクオフの流れが進みドル円は112円56銭まで下落。
長期金利の急低下もドル円を押し下げた。
◆ユーロドルは1.12台半ばまで下げた後反発。1.1334
まで買戻しが進む。
◆株式市場は3指数が揃って下落。雇用者数の伸びが予想に
届かなかったことや、オミクロン株感染への懸念からダウは
59ドル下落。ナスダックはさら厳しい下げに。
◆債券相場は大きく上昇。長期金利は9月23日以来となる
1.31%台まで低下する場面も。
◆金は大幅に上昇。原油も買われる。
◆11月失業率 → 4.2%
◆11月非農業部門雇用者数 → 21.0万人
◆11月平均時給 (前月比) → 0.3%
◆11月平均時給 (前年比) → 4.8%
◆11月労働参加率 → 61.8
◆11月ISM製造業景況指数 → 69.1
◆10月製造業受注 → 1.0%
◆11月マークイットサービス業PMI(改定値) → 58.0
◆11月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 57.2
本日の注目イベント
◆独 独10月製造業新規受注
11月の米雇用統計は再びサプライズでした。
非農業部門雇用者数は市場予想の「53.1万人増加」に対して、結果は
「21.0万人の増加」に留まりました。先月に比べると、項目別では広
義のサービス分野が「17.5万人」に留まり、先月の「53.4万人
」から大きく鈍化していました。またレジャーや小売りでも雇用の伸びが
鈍化しています。
一方で失業率は「4.2%」と、先月の「4.6%」から大きく改善して
おり、労働参加率も改善していました。結局今回の雇用統計では「強弱ま
ちまち」の結果でした。
米雇用統計は「事業所調査」と「家計調査」の2つで構成されており、雇
用者数と賃金に関わる「事業所調査」では今回、幅広い業種で採用ペース
が鈍化していることを示しています。
一方、失業と労働参加率を決定する「家計調査」では、雇用が114万人
急増したとの結果が明らかになっています。(ブルームバーグ)
もともと「ぶれやすい」雇用統計にはこういった背景がありますが、統計
発表後、ドル円は113円61銭まで買われ、この日の高値を付けていま
す。その後雇用者数の鈍化に反応したせいか、じりじりと売られ、112
円台半ばまでドル安が進みました。
もっとも、株式市場では株価が大きく下げ、リスク回避の流れが強まった
こともドル売りにつながったようですが、長期金利の急低下が最も大きな
要因だったようです。米長期金利は9月23日以来となる、1.31%台
まで低下し、1.34%台で引けています。また超長期の30年債も一時
1.66%台と、1月初旬以来約11カ月ぶりの低水準を付けました。
米国では「オミクロン株」の感染が広がり、マサチューセッツ州など新た
に3州で感染が確認されていますが、現時点で、このこと自体がFRBの
利上げに向けた政策に影響を及ぼすほどのことにはならないと思いますが
、やや過剰反応といったところでしょうか。
FRBのテーパリングの終了時期と、それに続く利上げのタイミングを巡
っては、最も「タカ派」の予想としては、英バークレーズの「4月にテー
パリングを終了し、5月に最初の利上げを行い、2022年には3回の利
上げを見込む」というものがありますが、サマーズ元財務長官は3日、イ
ンフレとの闘いで米金融当局が失った信頼を取り戻すためパウエル議長は
利上げを来年4回行う可能性を示唆すべきだと、さらに突っ込んだ意見を
述べています。
サマーズ氏は、「インフレの数値がどうなるかに左右されるが、私だった
ら来年4回の利上げを示唆するだろう」と述べた上で、「それは衝撃にな
るが、衝撃は信頼回復には必要なことだ」と語っています。
サマーズ氏はこの日発表された雇用統計についても、「重要な留意点は失
業率が4.2%と、前月の4.6%から急低下したことだ」と述べ、労働
市場改善の力強さが増している点を指摘しています。
ドル円は先週初めから、113円を挟んで一進一退の展開に変わってきま
した。これまでの115円前後の水準からやや円が買われる地合いになっ
ています。南アフリカで発生した「オミクロン株」の影響が、実際のとこ
ろまだ読み切れていないことで、不安がリスク回避につながり、為替も、
株も「ひとまず、ポジションを減らしておこう」といった考えにつながっ
ています。「オミクロン株」の発生から1週間が経ちました。早ければ今
週末辺りにはそろそろ、より信頼できるデータが出て来るのではないかと
思っていますが、どうでしょう。
上でも述べたように、「オミクロン株」の発生がFRBの金融正常化に急
ブレイキをかけるといった想定はしにくいと考えます。
原油価格が下落に転じてきたことで、米国のインフレ率も鈍化して来ると
の見方はできますが、それでもFRBが正常化への道筋を変更するほどで
はないと思われます。111円90銭前後にある「日足の雲の下限」を明
確に下抜けするかどうかが、トレンド転換の重要なポイントになると、筆
者は考えています。
本日のドル円は、先週末と同様に112円50銭~113円40銭程度と
予想します。
- [2021/12/06 09:47]
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オミクロン株への過度の懸念やや後退
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京市場で113円台を回復したドル円はNYの朝方には売られ、
112円74銭を付ける。その後FOMCメンバーのタカ派的な
発言がドル買いを促し、113円24銭近辺まで買われる。
◆ユーロドルも朝方は1.13台半ばまで上昇したが、その後1.13を
割りこむ水準まで下落。
◆株式市場は大幅に反発。連日の下げから押し目買いが
入りダウは617ドル高。他の主要指数も大幅に上昇。
◆債券は反落。長期金利は1.44%台と前日の水準まで上昇。
◆金は大幅に反落。原油は反発。
◆新規失業保険申請件数 → 22.2万件
本日の注目イベント
◆中 11月財新サービス業PMI
◆中 11月財新コンポジットPMI
◆トルコ トルコ11月消費者物価指数
◆独 独11月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏10月小売売上高
◆欧 ユーロ圏11月コンポジットPMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
◆米 11月雇用統計
◆米 11月ISM製造業景況指数
◆米 10月製造業受注
◆米 11月マークイットサービス業PMI(改定値)
◆米 11月マークイットコンポジットPMI(改定値)
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆加 カナダ11月就業者数
◆加 カナダ11月失業率
新型コロナウイルス「オミクロン株」を巡る見方はまだ定まっておらず、
ある程度各種のデータに基づいた分析結果が出て来るには、まだ1~2週
間はかかりそうです。
日本も含め、これまでに同変異株に感染した人の症状は概ね軽いというこ
とが分かっており、感染力は当初言われたほど強くはないのではないかと
いった見方がある一方、南アフリカの科学者は、変異株の症状が、軽症の
ケースだけかどうか判断するのは時期尚早だと警告しています。
米国では2例目と3例目となる変異株の感染が確認されています。
2例目はミネソタ州在住の成人男性で、ワクチンは接種済みで、11月2
2日に軽い症状が現れて24日に検査を受けたようです。
すでに症状はないと報告されています。また3例目はコロラド州に住む女
性と報告され、詳しい状況ははっきりしていません。
「オミクロン株」を巡る過度のリスクオフの流れは一旦落ち着き取り戻し
た兆候もあります。
昨日のNYでは主要3指数が揃って反発を見せ、大幅高で取引を終えてい
ます。
ドル円は昨日の東京時間では底堅く推移し、午後には113円台を回復し
ました。
NYでは朝方ドル売りで始まりましたが、その後再び113円台に押し返
されています。
米金融当局が今月のFOMCでテーパリングを加速させる議論を行うと見
られることもドルの支援材料になっています。
FOMCメンバーから発せられる言葉からも、「タカ派的」に変わってき
たことがうかがえます。
アトランタ連銀のポスティック総裁は2日、資産購入を来年1-3月期に
向けて終わらせることは「われわれの利益にかなう」と述べています。
同総裁は講演後の質疑応答で、「利上げ前倒しが適切となるかもしれない
」と発言し、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」と語り
、新型コロナウイルスの新たな変異株が与える影響については、「まだ結
論を導き出すには早すぎる」と答えています。またサンフランシスコ連銀
のデーリー総裁も、「テーパリングのペースをこれまでの想定よりも加速
させることには賛成だ」と述べ、クオールズFRB理事も同様な見方を示
しています。
OPECと非OPEC主要産油国で構成される「OPECプラス」は2日
、生産引き上げ計画の継続で合意しました。1月も原油供給を日量40万
バレル増やす計画で合意しましたが、オミクロン変異株が需要に及ぼすリ
スクが明確になれば、供給拡大を見直し、必要に応じて調整を行うと、コ
ミュニケに記してあります。原油の専門家は今回の会合では供給拡大が見
送られると予想していました。この結果を受けWTI原油先物価格は1ド
ル近く上昇して取引を終えています。
85ドル台まで上昇したWTI原油価格は、米国の備蓄放出宣言や、オミ
クロン変異株の発生で64ドル台まで急落しました。米国のインフレ率の
上昇にもややブレイキがかかるかもしれません。
ドル円は113円を挟んで一進一退の動きになっています。
今週に入り、それまでの115円台から一気に112円台半ばまで売られ
ましたが、その水準では底堅い印象も徐々に形成されつつあります。
もっとも、今後の「オミクロン株」の感染次第では再度下値を探る動きも
あろうかと思いますが、特徴的なのは値動きが早く、値幅も結構出て来た
ということです。もう1~2週間はこのような神経質な展開が予想されま
す。10日後には今年最後のFOMCが開催され、「オミクロン株」の感
染状況次第では、タカ派的な発言も再度静まる可能性もありますが、その
確率は低いと言えます。既に2022年には3回の利上げを予想する機関
も出ています。本日の雇用統計の結果がそれを正当化することも考えられ
、ドル円が再び115円を目指す可能性も当然残っているとみています。
本日のドル円は112円50銭~113円50銭程度を予想します。
- [2021/12/03 09:30]
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オミクロン株への感染、米国でも確認
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆「オミクロン株」の感染が初めて米国内で確認され、株安、
金利低下が進んだことでドルが売られる。ドル円は112円68銭
まで売られる。
◆ユーロドルは1.13台で推移し、1.1357まで反発。
◆株式市場は大幅続落。ダウは、朝方には500ドルを超える
上昇を見せたもののその後失速。米国内で「オミクロン株」の
感染者が出たことや、早期の利上げ観測が重荷となりダウは461
ドル安で引ける。
◆債券は続伸。長期金利は1.40%台へと低下。
◆金は反発し原油は続落。
◆11月ADP雇用者数 → 53.4万人
◆11月ISM製造業景況指数 → 61.1
◆11月自動車販売台数 → 1286万台
◆11月マークイット製造業PMI(改定値) → 58.3
本日の注目イベント
◆豪 豪10月貿易収支
◆日 10月マネタリーベース
◆欧 ユーロ圏10月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏10月失業率
◆欧 「OPECプラス」閣僚会議
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 クオールズ・FRB副議長講演
◆米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米 大統領、今冬に新型コロナと闘うための戦略詳細発表
新型コロナウイルス「オミクロン株」を巡るネガティブな情報が市場を混乱
させています。特にNY株式市場では株価への影響が大きく、昨日のダウは
上下で1000ドル程の値幅を記録しています。
ドル円もリスクオフの流れが止まらず、再び112円台半ばを試す展開にな
っています。
米疾病対策センター(CDC)は米国内で初めて「オミクロン変異株」の感
染が確認されたと発表しました。感染が確認されたのはカリフォルニア州で
、11月22日に南アフリカから戻った渡航者から検出され、この感染者は
ワクチン接種済で症状は軽く、改善しつつあり、現在は自己隔離中とのこと
です。
また昨日はノルウェー、アイルランド、サウジアラビア、そして韓国でも「
オミクロン株」の感染が確認され、急速に世界中に拡大している模様です。
現時点でも、「オミクロン株」に対する既存ワクチンの有効性などは分かっ
ていませんが、今朝の報道では、ファイザーのワクチン開発の責任者は、来
年3月には「オミクロン株」に対するワクチンが開発されるとインタビュー
で答えていました。
パウエルFRB議長は前日に続き昨日は下院金融委員会の公聴会で証言を行
いました。証言は基本的には前日に沿ったものでしたが、「インフレ高進が
根強く続くリスクが明らかに高まった」と述べ、(金融当局の)「政策はそ
うした状況に合わせて適応してきたし、今後も適応していく」と語っていま
す。その上で、「現在起きている高インフレが定着しないよう、当局として
手段を講じていくことを約束したい」と証言を行っています。
またNY連銀のウイリアムズ総裁は1日付けのニューヨーク・タイムズ紙と
のインタビューで、「経済がどれほど強いかを考慮し、これらの債券購入を
、数カ月程度かもしれないが、幾分早く終了することは理にかなうだろうか
。それが問題だ」と述べています。これまで、高インフレが持続するかにつ
いては慎重な見方を維持してきたFOMC高官メンバーが、ここにきて急速
に「タカ派寄り」に変わって来た印象です。
12月14-15日には今年最後のFOMCが開催されますが、その時まで
に「オミクロン株」の感染力やワクチンの有効性など詳しい情報が集約され
、ある程度の楽観的な見通しが立てば、会合でテーパリングの加速について
も議論される可能性がありそうです。
英大手金融機関のバークレーズは「1月にテーパリングの加速を発表し、4
月中旬に資産購入を終了し、5月に最初の利上げを行う。2022年には3
回利上げを行い、2023年にはさらに4回の利上げを見込んでいる」こと
を公表しています。この見通しは筆者が知る限り、「最もタカ派的」なもの
です。
下落が止まらないトルコリラですが1日、トルコ中銀はリラ下落を阻止する
ため、8年ぶりに為替市場に介入しました。
先月からトルコリラの下落に一段と拍車がかかり、昨日は対ドルで13.9
5近辺までリラ安が進み、今年2月の6.89からほぼ価値が半分になって
いました。
市場介入によりドルリラは8.5%程急反発しましたが、その後は再び軟調
な展開になっています。
トルコ中銀は声明で、「市場の不完全な価格形成が介入の理由だ」と述べて
います。
エルドアン大統領も会見で、「中銀は必要に応じ必要な介入を実施できる」
と語っています。
ブルームバーグは、「トルコ中銀がリラ急落に歯止めをかけようと約10億
ドルを費やして為替介入に動いたことは、エルドアン大統領の経済改革計画
に政策担当者がますます不安を募らせていることの表れだ」とのコメントを
掲載していました。
トルコでは高騰する物価が政治問題化しており、抗議デモも散発的に発生し
ています。今朝の時点でドルリラは13.40近辺で推移しています。
昨日も述べたように、ドル円は日足の雲の中で推移しており、雲の下限であ
る111円90銭近辺を試す動きのようにも思えます。
東京タイムでは日本株の上げ下げが材料となりドル円が動きますが、本日も
日経平均株価は下げ、底値を探る展開が予想されます。
本日のドル円は112円40銭~113円40銭程度を予想します。
- [2021/12/02 09:44]
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