fc2ブログ

米主要3指数久しぶりの大幅上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆ドル円は欧州時間朝方に115円68銭まで買われたが、
NYでは米長期金利が低下したこともありジリ安の展開。
115円16銭まで売られ、安値圏で越週。
◆ユーロドルは小幅に続落し、1.1127まで売られる。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に反発。ダウは564ドル買われ、
ナスダックは3%を超える大幅な上昇に。連日の下げに、一時的な
底入れ観測も。
◆債券は続伸。長期金利は1.77%付近まで低下。
◆金は3日続落。原油は小幅に反発。

◆10-12月雇用コスト指数           →  1.0%
◆12月個人所得                 →  0.3%
◆12月個人支出                 →  -0.6%
◆12月PCEデフレータ             →  5.8%
◆12月PCEコアデフレータ           →  4.9%
◆1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  67.2

本日の注目イベント

◆日   12月鉱工業生産
◆日   日銀金融政策決定会合議事録等(2011年7-12月開催分)
◆独   独1月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(速報値)
◆米   1月シカゴ製造業指数
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンラインイベントで講演

先週末の東京市場では日経平均株価が大きく反発したこともあり、ドル円は堅
調に推移し、夕方には115円68銭近辺まで買われました。
NY市場でのもう一段の上昇も期待されましたが、そこからはじり安の展開で
した。堅調に推移したとはいえ、116円台を回復するにはさらなるドル支援
材料が不可欠のようです。NY株式市場では久しぶりに3指数が揃って大幅な
上昇を見せました。ダウは564ドル上昇し、ナスダックは3%を大きく超え
る上昇で、連日の下げから値ごろ感の買いが大きく入ったようです。
ただ、これで本格的な底入れをしたと多くの投資家は考えておらず、まだまだ
ボラティリティーの高い動きが続き、底値を探る展開が続くと見ているようで
す。

アトランタ連銀のポスティック総裁は英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)
とのインタビューで、インフレ抑制でより積極的なアプローチが必要な場合、
政策金利の50bp引き上げを選択することもあり得るとの見解を示しました
。同総裁は、自身の予想である3月から計3回の25bp利上げが最も可能性
の高いシナリオだとしながらも、「50bpの動きが必要、あるいは適切にな
るような状況に発展しているとデータが示した場合、私はその方向に傾くだろ
う。連続した会合での動きが理にかなうなら、それに賛成するだろう」と話し
ています。今後のデータ次第という条件は付けたものの、FOMCメンバーか
ら50bpの可能性があることに言及したのは初めてのことと思います。
因みにFOMCが前回50bpに利上げに踏み切ったのは2000年5月が最
後で、それ以降ありません。

先週末に発表された経済指標も、インフレの高進を示すものでした。
12月のPCEデフレーターは年率で「5.8%」と、1982年以来、約4
0年ぶりの高水準でした。またコア指数も「4.9%」と、こちらも1983
年以来の高い伸びとなっています。
12月の消費者物価指数は39年ぶりの高水準でしたが、FRBはPCEデフ
レーターをより重視していると言われ、ポスティック総裁の言葉もこの辺りを
意識しているものと思われます。
またこの日発表された昨年10-12月の雇用コスト指数も通年で20年ぶり
の大きさとなっており、労働力確保の点からもコスト高が続き、これが価格に
転嫁されることからインフレにつながっていることも確認されています。
パウエル議長も先週のFOMC後の会見で、「われわれが目にしている高イン
フレが長期化したり、一段と加速したりするリスクがある。これらの想定され
る結果全てに金融政策で対処する態勢になければならない」と述べており、今
後オミクロン変異株の感染拡大や株価の下落、さらにはウクライナ情勢などで
余程の状況の変化がない限り、3月利上げ開始に始まり、6、9、12月での
利上げシナリオは維持される公算が高いと見られます。

依然として緊張が続くウクライナ情勢を巡り、バイデン大統領は近く米軍を東
欧に派遣することを表明しています。
ジョンソン英首相もプーチン大統領と電話会談をするほか、東欧訪問を計画し
ていると伝えられています。また、フランスのルドリアン外相とドイツのバー
アボック外相もロシアへの対応を協議するため2月7-8日にウクライナ政府
を訪問することを発表しています。
ロシアはウクライナ国境に10万人規模の兵士を集結させていると見られ、緊
迫した状況は続いています。

113円台半ばまで売られ、その後115円台半ばまで反発したドル円は、今
回の下落局面でも結局日足の重要な雲の下限を完全に抜け切ることなく上昇し
てきました。
今回は米長期金利の上昇が強力な支援になりましたが、同時にユーロドルで大
きくドル高が進んだことも影響したとみています。
ユーロドルは1.11台前半まで売られ、約1年半ぶりの水準まで売られてい
ます。
こちらは「雲の下限」を月足まで全て抜け切っており、2020年3月に記録
した1.06台を目指す動きになっています。仮にユーロドルがこの水準を試
す展開になるようだと、ドル円も再び116円台を回復するものと予想してい
ます。ユーロの動きにも注視したところです。

本日のドル円は114円80銭~115円60銭程度を予想します。


スポンサーサイト



ドル円115円台半ばまで続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆ドル円は続伸。米第4四半期DGPが上振れしたことで、
利上げが加速するとの見方からドル円は115円49銭まで上昇。
◆ユーロドルは続落。一時は1.1132まで売られ、約7カ月ぶりの
ユーロ安を記録。
◆日中には反発してプラス圏で推移していた株式市場は
結局3指数は揃って続落。特にナスダックの下げがきつく、189
ポイント下落。
◆債券は反発。長期金利は1.8%前後で推移。
◆ドルが買われたことで金は大幅安となり、1800ドルを割り込む。
原油は反落。

◆新規失業保険申請件数        →  26.0万件
◆12月耐久財受注          →  -0.9%
◆10-12月GDP(速報値)     →  6.9%
◆12月中古住宅販売成約件数     →  -3.8%

本日の注目イベント

◆豪   豪第4四半期生産者物価指数
◆日  1月東京都区部消費者物価指数
◆独   独10-12月期GDP(速報値)
◆欧   ユーロ圏1月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏1月景況感指数
◆米   10-12月雇用コスト指数
◆米   12月個人所得
◆米   12月個人支出
◆米   12月PCEコアデフレータ
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

前日のFOMC後のパウエル議長の会見を境に上昇したドル円はさらに
買われ、NYでは115円台半ばまでドル高が進みました。日米大幅株
安の影響や、ウクライナ情勢の緊迫から「リスク回避の円買い」がドル
の上値を抑え、重苦しい展開が続いていましたが、約2週間ぶりに11
5円49銭まで買われています。昨日は米金利が低下しましたが、今後
はさらに米金利が上昇するとの観測が支えとなりドル買いが優勢となっ
たようです。

26日(日本時間27日4時30分)に行われたパウエル議長の記者会
見では、個人的にはそれほどタカ派的だったとは思えませんでしたが、
市場の反応は異なったようです。
議長は会見で「政策金利を引き上げるのが適切だ」と述べ、3月の会合
で政策金利を引き上げることを示唆した格好になりました。ただ、ここ
の部分は既に予想された通りです。
注目された引き上げ幅と、引き上げの回数については「何も決まってい
ない」と述べるに留まり、明確な方向性は示していません。
ただ、市場は「0.5%引き上げることを否定しなかった」とか、ある
いは、「0.5%引き上げの余地を残す発言だった」と受け止め、ドル
が買われ、株と債券売りに走りました。
「人は、窮地に立たされると物事を悪い方に考える」ということでしょ
うか。
昨日発表された2021年10-12月GDPは前期の「2.3%」を
大きく上回り、市場予想をも超える「6.9%」でした。通常なら好材
料としてドルが買われ、株式も買われる展開が予想されますが、この日
のGDP上振れは「FRBが利上げを加速する」と捉えられ、ドルと債
券は買われましたが、結局株は売られています。


FRBが3月会合からいよいよ政策変更に舵を切り直すことになります
が、これは厳密に言えば「金融引き締め」政策への転換ではなく、「金
融緩和」政策の終焉を意味するものだと理解していますが、これまで長
い間「ゴルディロックス相場」(適温相場)に浸ってきた市場、特に株
式市場には大きな転換を迫っているものと思われます。
FRBが今後粛々と利上げを行うことになりますが、利上げ回数につい
ては、市場は4回の利上げを織り込みつつありますが、パウエル議長も
述べたように依然として不確実性が高いと見ています。
今後インフレがどこまで進むのかが最大のカギですが、それは同時に原
油価格がどこまで上昇するかにもよります。また、足元のオミクロン変
異株の感染拡大がどこで終息するのかも、重要なファクターです。

115円台半ばまで上昇してきたドル円も、ここから116円台を回復
できるかどうかが正念場になります。
今回のドル高は米長期金利の上昇に素直に反応したものですが、これま
で米金利が上昇してもドルが買われなかったことは何度もあります。
現状では米長期金利がさらなる上昇を見せれば、ナスダックを中心に株
価が下落し、再びリスク回避の円買いモードになる可能性もあります。
株式市場が落ち着きを取り戻して、「金利上昇は景気が拡大している証
拠」だということを織り込み始めることが必要かと思います。

本日のドル円は114円90銭~115円70銭程度を予想します。


ナスダック続落。米国株下げ止まらず 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆ドル円は欧州市場で114円15銭近辺まで買われたが、
NYでは朝方、株価の下落に113円79銭まで売られる。
大きな動きはなく113円台後半から114円程度で推移。
◆ユーロドルではドル買いが優勢となり、1.1264近辺まで
ユーロ安に振れる。
◆株式市場はこの日も乱高下。ダウは朝方800ドルを超える
下げを見せたがその後急回復。午後にはプラスに転じたが引けに
かけては再びマイナス圏に。
◆債券は小動き。長期金利は横ばい。
◆金と原油は上昇。いずれもウクライナ情勢の緊迫化が背景。

********************(何もない時は空欄のままにします)

◆11月FHFA住宅価格指数         →  1.1%
◆11月ケース・シラ-住宅価格指数      →  18.29%
◆1月消費者信頼感指数            →  113.8
◆1月リッチモンド連銀製造業景況指数     →  8

本日の注目イベント

◆日  11月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日   日銀金融政策決定会合における主な意見(1月17、18日分)
◆米   12月新築住宅販売件数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見
◆米  企業決算 → テスラ、インテル、ボーイング、AT&T、アボット
◆加   カナダ中銀政策金利発表

「オーバーキル」・・・・。
FOMCの結果発表を前に、この言葉が頻繁に市場関係者から聞かれます。
明日の朝方に発表されるFOMCでは、3月の利上げ開始はほぼ間違いない
ようです。問題はその際の上げ幅と、その後の利上げペース。さらにはFR
Bが保有する資産の縮小開始に関する姿勢が非常に重要であり、注目を集め
るところです。
インフレ阻止を前面に掲げ、タカ派姿勢を強めるようだと、景気を冷やすこ
とになり、これが「オーバーキル」につながるということのようです。

足元ではインフレの伸びに止まる気配がない一方、発表された経済指標はす
でにオミクロン変異株の感染拡大の影響を受けていることを示唆しています
。前日発表されたマークイットのPMIでは、コンポジットで前月比「6.
2ポイント」低下していました。
昨日発表された消費者マインドも「113.8」と、4カ月ぶりの低下とな
っています。
市場の一部で予想されている「0.5%」の引き上げがあるようだと、市場
はFRBのインフレに対する並々ならぬ強い意志を感じ取って、利上げ観測
がさらに高まりナスダックを中心に株価が一段と下げる可能性があります。
市場の見方では「0.25%」の引き上げか、「0.5%」かは五分五分の
ようですが、個人的には前者ではないかと予想しています。
「オーバーキル」に加えて、株価のさらなる下落は個人消費を通じて景気の
下振れにつながる恐れがあります。
また、オミクロン変異株の感染拡大はピークを過ぎたとはいえ、まだまだ不
透明です。
さらに、緊迫化しているウクライナ情勢でも軍事衝突の可能性も排除できま
せん。
これら外部環境の不透明さを考えると、一気に「0.5%」の引き上げは難
しいのではないかというのが見立てです。
これまで米株式市場にとって、事あるごとにパウエル議長の言い回しや行動
が株価を支えてきた、いわゆる「パウエル・プット」が今回も発揮されるの
か非常に注目されます。

バイデン大統領は25日、ロシアがウクライナを侵攻すればプーチン大統領
個人に制裁を科すことを検討するだろうと述べました。
バイデン政権はNATO部隊を支援するため米軍8500人の派遣を決めま
したが、ロシアはウクライナ国境に10万人余りの兵士を集結させているよ
うで、緊張が続いています。

NY州では、新規感染者数が9万人を超えた今月7日のピークから86%減
少したと報告されています。一方で死者数と入院者数は依然として高止まり
しているようです。
専門家の話ではオミクロン変異株の感染拡大は発生後2カ月程度でピークを
迎え、減少するといった見方もあるようですが、東京都の昨日の新規感染者
数は1万2813人と、過去最多でした。2カ月程度でピークを迎えるとす
れば、日本では2月下旬ということになるのでしょうか。

英国のジョンソン首相が窮地に立たされています。
ロックダウン中に自身の誕生祝いにパーティーを開くなど、政府の新型コロ
ナウイルス対策規制に違反したとしてロンドン警視庁が正式な捜査を開始し
たと報じられています。
ジョンソン首相に対しては与党の一部議員からも辞任を求める声が上がって
おり、捜査の進展具合によっては辞任に追い込まれる可能性があるとのこと
です。

株式市場の喧騒をよそに、ドル円には大きな動きが見られません。
一つは米債券市場が予想外に穏やかで、金利に大きな動きが出ていないこと
が挙げられます。米長期金利は先週19日に1.9%まで上昇した後は1.
75-1.8%の範囲で一進一退の動きを見せています。
たださすがに明日の朝方のFOMC後には相当荒っぽい動きを見せることが
予想されます。
ドル円も米金利上昇に支えられているとは言え、株価次第では下値を試す可
能性も否定できません。

FOMCの結果発表は明日の朝4時です。
それまでは大きな動きはないと見られますが、材料は株価の動きです。
本日の日経平均は下げそうですが、昨日は一時2万7000円の大台を下回
る場面もありました。
買い手不在の中、先物中心に売られる展開が予想されますが、引け値で2万
7000円の大台を下回るのかどうかに注目しています。

本日のドル円は113円30銭~114円50銭程度を予想します。

明日27日(木)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせてい
ただきます。ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほ
どお願い申し上げます。


NYダウ一時1100ドルを超える下げのあとプラスに 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ウクライナ情勢の緊迫からドル円は欧州時間に113円47銭前後まで売られる。NYでは株価が反発したことから午後にかけて買い戻され、114円まで上昇。

  • ユーロドルは小幅に水準を切り下げ、1.1291までユーロ売りが進む。

  • ウクライナ情勢や経済指標の悪化に株式市場は朝方から大きく売られる。ダウは一時1100ドルを超える下げを見せたが、その後大きく反発。引け値では99ドルのプラスで取引を終える。

  • 債券は小動き。長期金利は1.76%台で推移。

  • 金は反発し、原油は続落。

本日の注目イベント

  • 豪 第4四半期消費者物価指数
  • 豪 12月NAB企業景況感指数
  • 独 1月ifo景況感指数
  • 米 11月FHFA住宅価格指数
  • 米 11月ケース・シラ-住宅価格指数
  • 米 1月消費者信頼感指数
  • 米 1月リッチモンド連銀製造業景況指数
  • 米 IMF、世界経済見通し発表
  • 米 企業決算 →  マイクロソフト、GE、ロッキード、アメックス、ベライゾン、J&J、3M

ウクライナ情勢の一段の緊張の高まりや、経済指標の下振れを背景に、週明けの米株式市場は乱高下の展開でした。NYダウは朝方から売りが先行し、午前中には1100ドルを超える下げに。午後からは買い戻しが入り、引けにかけてはプラスに転じ、結局99ドル高と7日ぶりに上昇して取引を終えました。他の主要指数もほぼ同じような展開でした。ドル円は株価の下げにリスク回避の円買いが優勢となり、欧州市場では113円47銭近辺まで売られましたが、その後のNYでは114円辺りまで反発し、株価の動きに引っ張られる展開でした。今月14日に記録した113円48銭が意識されたようで、昨日の下落も結局、この前後がサポートになった感じです。

緊張が高まっているウクライナ情勢を巡ってNATOは24日、同国周辺の東欧地域に加盟国の艦船や航空機を増派すると発表しました。フランスはルーマニアに部隊を派遣し、オランダはブルガリアに戦闘機を送り、デンマークはバルト海にフリゲート艦を派遣することを決めた(日経新聞)と報じられています。また米国防総省の報道官も24日、必要ならNATO部隊を支援するため8500人の米軍部隊の準備態勢を高めたと述べ、同部隊の派遣はまだ決定していないと説明しています。バイデン大統領は、独仏を含む欧州主要国や国際組織の首脳らとウクライナ国境でのロシアの軍事力増強についてオンラインで会談を行っています。バイデン大統領は会談後、「非常に良い話し合いを持てた。欧州首脳全員と完全に一致した」と説明しています。このように、ウクライナ情勢を巡ってはこれまでにない緊張が高まっており、地政学的リスクは金融市場にとっても大きな「変動要因」になっています。

IHSマークイットが発表した米1月のPMI速報値が急激に悪化していました。コンポジットPMIは「50.8」と、前月から「6.2」ポイント低下し、18カ月ぶりの低水準でした。またサービス業PMIも「50.9」と、2020年7月以来の低い水準です。同指数は「50」を上回ると生産活動が拡大しており、「50」を下回ると縮小していることを示唆するものです。米国ではオミクロン変異株の感染拡大はピークを過ぎたとの指摘もありますが、サービス業を中心に再び警戒感が広がってきたことを示しているようです。

ドル円は今のところ113円台半ばでサポートされています。上でも述べたように、この水準は今月14日の下落でも抜け切れなかったレベルですが、テクニカルから見てもここには日足の一目均衡表の雲の下限があり、理解できます。ただこの雲は非常に薄く、さらに雲の形態が切り上げっているため、このまま113円70-80銭で推移すれば、結果的に雲を下抜けしたことにもなります。その場合、ローソク足が自ら雲を下抜けしたのとは異なり、下落の勢いが強いわけではありませんが、一応注意した方がいいでしょう。ローソク足が雲の下で推移するのは昨年9月22日以来のこととなります。

本日のドル円は113円60銭~114円30銭程度を予想しています。


NY株の下げ止まらず。ダウは6日続落 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は小動きながら米長期金利が低下したことからやや水準を切り下げる。113円60銭まで売られ、安値圏で越週。

  • ユーロドルも1.13台半ばで大きな動きは無く、今週のFOMCを見極めたいとする姿勢が強まる。

  • 株式市場の下げは止まらず。ダウは450ドル下げ6日続落。ナスダックも下落幅が2.7%に達する。

  • 債券は続伸。長期金利は1.75%台へ低下。

  • 金と原油は続落。

本日の注目イベント

  • 独 1月製造業PMI(速報値)
  • 独 1月サービス業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1月製造業PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1月総合PMI(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(速報値)
  • 英 1月製造業PMI(速報値)
  • 英 1月サービス業PMI(速報値)
  • 米 1月マークイット製造業PMI(速報値)
  • 米 1月マークイットサービス業PMI(速報値)
  • 米 1月マークイットコンポジットPMI(速報値)
  • 米 企業決算 →  IBM

為替市場は小動きでしたが、株式市場の方は相変わらず売り圧力が強く、主要3指数が揃って大きく続落しました。ダウは450ドル下げ、これで6日続落。ハイテク銘柄の多いナスダックは、長期金利が低下したにもかかわらず2.7%の大幅下落でした。S&P500も長期のトレンドを示す移動平均線を割り込み、下落トレンド入りしたと見られています。FRBによる早期の利上げを警戒するあまり、株を売って現金に替える動きが一段と強まってきましたが、その資金の一部は債券にも向かっているようです。

FOMCが明日から開かれ、市場はどのような結果が出されるのか、警戒感を強めています。利上げは3月から開始されるようで、今回はそのフォワードガイダンス的な意味合いかと思います。利上げのタイミングと資産縮小に関するコメント、あるいは引き上げ幅や今年の引き上げ回数などを、パウエル議長の発言から読み取りたいところです。議長も足元の株価の急激な下げに、予想以上にタカ派的な発言を行えば、さらに株が売られることになるため、ある程度の配慮は行うのではないかと予想しています。インフレに対処する毅然とした姿勢を見せる一方で、株価のさらなる下げを回避するといった難しい対応が求められます。IMFのゲオルギエワ専務理事は21日、FRBの利上げに関して、「新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた新興国や発展途上国の景気回復に、冷や水を浴びせる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。新興国の多くはドル建ての債務を保有しており、金利上昇が返済額の増加につながる可能性があり、さらにドルが買われることで自国通貨の価値が大きく下がることにもつながります。果たしてパウエル議長がインフレに対峙しながら、株価をソフトランディングさせることが出来るのか、注目されます。

ウクライナを巡り米国のブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相がジュネーブで会談を行いましたが、ラブロフ外相の方がどこか余裕があったように見えました。対話を継続することで合意をみましたが、今朝の報道では米国務省は、在ウクライナ米大使館員の家族らに国外退避を指示する検討に入ったと伝えられています。また、強気の姿勢を示しているロシアに対して、米国は欧州同盟国と共にロシアが侵攻すれば「重大な結果」を招くと重ねて警告しています。

日本でも新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が止まらず、2日連続で全国の新規感染者数が5万人を超えてきました。デルタ株に比べ重症化リスクは低いと言われていますが、それでも昨日時点で重症者は430人程に達してきました。一方で米国、英国、南アフリカでは感染拡大がピークを超えたとの専門家の指摘もあり、感染が拡大して1カ月程度を過ぎれば、感染がピークを超えるとの見方もあるようです。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は23日、「過信は禁物だが、現時点では正しい方向に向っていると見受けられる」とABCテレビの番組で語っています。

先週末の米国株の大幅続落を受け、本日の日本株も大きく下げそうな気配です。その際、ドル円も売られ易い流れになりそうですが、先週末と同様に、113円台半ばでサポートされるのかどうかという点が注目されます。また、日経平均株価も2万7000円の大台が維持出来るかどうかという所が意識されます。
本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想しますが、あくまでも株価次第です。

米長期金利1.80%台に低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は緩やかに下落し、113円96銭まで売られる。
米長期金利の低下と、株安が重石となり円を買う動きが優勢に。
◆ユーロドルは前日と同じように1.13台前半から半ばで推移。
◆株式市場は大幅続落。朝方は大きく買われ、ダウは400ドル
程上昇する場面があったが、引けは313ドル安。ナスダックも
同様に2%を超える上昇から186ポイント安で取引を終える。
◆債券は続伸。長期金利は1.80%台へ急低下。
◆金と原油は揃って小幅に反落。

◆新規失業保険申請件数          →  28.6万件
◆1月フィラデルフィア連銀景況指数    →  23.2
◆12月中古住宅販売件数         →  618万戸

本日の注目イベント

◆日  12月消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏1月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧   米ロ外相会談(ジュネーブ)
◆英   英12月小売売上高
◆米   12月景気先行指標総合指数
◆米   日米首脳会談(オンライン)
◆加   カナダ11月小売売上高

日米ともに株式市場では乱高下が続き、ドル円もその動きに沿って上下する
状況が続いています。軟調な展開が続く米株式市場では朝方、久しぶりに大
きく上昇して取引が始まりましたが、その後ジリジリと値を下げ、結局引け
値でダウは313ドル安と、3万5000ドルの大台を大きく割り込んでい
ます。今月4日に記録した最高値からは2084ドル、率にして7.6%以
上下落したことになります。昨日の日経平均株価も同じように値幅を伴い乱
高下しています。FRBによる早期の利上げ観測が高まり、米長期金利は前
日1.9%台まで急騰しました。


ドル円は米金利上昇という「ドル高要因」と、株安やオミクロンの感染拡大
という「円買い要因」が引っ張り合う格好になっています。
114-115円台でもみ合っているのは、そういった状況からこの先どち
らに振れるのか考えあぐねていることを反映している結果と見られます。
来週のFOMCで、足元の高インフレを意識するあまり、予想以上にタカ派
的な姿勢を示すようだと、株価がさらに下げ、ひいては米景気を冷やすこと
にもつながりかねません。
一方で、前日のバイデン大統領の記者会見にあったように、パウエル議長の
手腕に対する期待も大きく、それに答える必要もあります。仮に市場の一部
で予想されている「0.25%ではなく、0.5%の利上げ」を断行した場
合市場はどのように反応するのか、現時点での予想も難しい状況です。
恐らく株価は下落し、長期金利は上昇しドル円は多少買われる可能性がある
のではないかと予想しますが、目先の材料出尽くしから、株式、債券とも反
発する可能性がないとは言えません。

株価の大幅な下げに、リスク回避の円買いが強まることも予想される中、ウ
クライナ情勢に緊張が高まってきました。バイデン大統領は19日のホワイ
トハウスでの会見で、「私の推測では彼は侵攻するだろう」と述べ、ロシア
がウクライナへの軍事侵攻に踏み切るとの考えを示しました。
ブリンケン国務長官も、「われわれは重大な岐路に立っている。いかなるも
のであれロシア軍がウクライナ国境を越え、ウクライナに対して新たな攻撃
行為を取る場合には、米軍と同盟国は速やかかつ厳しい、団結した対応を打
ち出す。われわれの姿勢は一貫して極めて明確だ」と、改めてロシアに警告
しています。(ブルームバーグ)
また大統領はロシアが侵攻した場合の制裁措置として、ロシアの金融機関が
ドルの取引を行えなくなる措置を検討しているとも述べ、本日スイスのジュ
ネーブで開催されるブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相との会談が
非常に注目されます。

ECBの議事録が公開され、12月15-16日の会合では目先のインフレ
の加速は「主に一時的要因に起因し、これは2022年中に和らぐとの見方
で一致したものの、一部のメンバーは『高インフレが長期化するシナリオも
排除できない』と警鐘を鳴らしていた」ことが明らかになりました。
また、金融緩和と資産購入の尚早な縮小への懸念も表明されていました。
ラガルドECB総裁は20日仏紙とのインタビューではこれまでの主張を繰
り返し、「1年前に想定していたほどではないが、インフレ率は低下するだ
ろう」と語っています。
また、米国とユーロ圏を比較して「米連邦準備制度について想定し得るほど
迅速かつ急激な対応をECBが行わない理由はある」として、「(米国の)
インフレははるかに激しい」と指摘しています。その上で、「もちろん、数
字とデータ、事実がその必要性を示せば金融政策で対応する用意がある」と
付け加えています。
ECBの政策メンバーの多くは、インフレの高進は今後鈍化するとの姿勢を
崩さず、この点がFRBとの違いと見られ、今年夏ごろと見られていた利上
げ観測は後退しています。

ドル円は株価の下落傾向がより重荷になりつつあるように思えます。
仮にドルがもう一段下げた場合、先週末に付けた113円台半ばがサポート
として機能するかどうかがポイントです。

本日のドル円は113円50銭~114円40銭程度を予想します。


米長期金利1.9%まで上昇後低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆ドル円は114円台前半から半ばでもみ合い。
114円53銭まで買われたものの、米長期金利が低下した
ことで小幅に下落。
◆ユーロドルも小動き。1.13台半ばで一進一退。
◆株式市場は続落。ダウは引けにかけて下げ幅を拡大し
339ドル安。ナスダックは高値から10%を超える下落となり
調整入りとの声も。
◆債券は小幅に反発。長期金利は1.86%台で推移。
◆金は大幅に上昇。原油は3日続伸し87ドル台を示現。

◆12月住宅着工件数     →  170.2万件
◆12月建設許可件数     →  187.3万件

本日の注目イベント

◆豪   豪12月雇用統計
◆日   12月貿易収支
◆独   独12月生産者物価指数
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧   ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ECB議事要旨(12月会合)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   1月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   12月中古住宅販売件数
◆米  企業決算 → ネットフリックス

インフレへの警戒感が世界的に高まり、株式市場から大量の資金が流れ出して
いるようです。昨年後半から上昇傾向が続いていた米株式市場でもダウが昨日
も下げ、4日続落。3万5000ドル割れの水準まで売られています。
ハイテク株の多いナスダックも高値から10%以上下げ、これで「調整局面入
り」したと見られています。日経平均株価も、昨日は想定以上の下げを見せ、
午後には一時1000円に迫る下落となり、引け値では760円安と、昨年の
最安値に接近しています。

米長期金利の上昇に支えられているドル円も、さすがに「リスクオフの円買い
」の圧力に押され、昨日は114円20銭近辺まで売られる場面もありました
が、一気に円高に振れる流れは回避できています。
株と債券市場から流出した資金の一部は金(きん)と原油に向っています。
昨日のNYではドルが売られたこともあり、金は大きく上昇しました。WTI
原油価格は続伸し、一時は88ドルに迫る水準まで上昇しました。2014年
10月以来、実に7年3カ月ぶりの高値ということになります。
IEA(国際エネルギー機関)は昨日、「オミクロン変異株による需要への影
響が驚くほど少ないため、世界の石油市場は以前の想定より逼迫している」と
の見方を発表し、2022年の世界の石油需要を上方修正しています。
多くの石油アナリストも、「100ドルに達するのはそう先の話ではない」と
の見方に傾いています。
恐らく投機筋も先回りをしてロングポジションを積み上げていることと思いま
す。ほぼ全ての石油を輸入に頼っている日本では、原油価格の上昇はドル需要
が増えることを意味し、円安要因であることも認識しておく必要があります。

バイデン大統領は19日、就任1年を翌日に控えてホワイトハウスで記者会見
を行いました。過去数十年ぶりのペースで上昇しているインフレに関して、「
物価高が定着しないよう確実にする重要な責務は連邦準備制度に託されている
」とし、「米経済の力強さや最近の物価上昇ペースを踏まえれば、パウエル議
長が指摘するように、金融当局がインフレ抑制のため現在の必要に応じて支援
を『再調整』することが適切だ」と語っています。
また大統領は、「連邦準備制度の独立性を私は支持する」とも述べています。
バイデン大統領はパウエル氏のFRB議長再任を任命したことからも、インフ
レ率の急騰を止めるパウエル氏の手腕に期待しているとみられますが、一方パ
ウエル議長にとってはこの発言はプレッシャーとなり、7%という高いインフ
レ率を低下させるため、早期の利上げに踏み切らざるを得ないことにもなりま
す。
3月の会合で利上げ開始を宣言する可能性がさらに高まったと言えます。
イエレン財務長官も19日全米市長会議で講演を行い、「確かにオミクロンは
試練であり、今後数カ月のデータに一定の影響を及ぼす可能性が高い」としな
がらも、「しかし、この1世紀でも傑出して力強い景気拡大局面が、これで脱
線することはないと確信する」と語り、オミクロンの感染拡大が足元で続く景
気回復を妨げることはないとの見方を示しています。

上でも述べたように、ドル円はFRBが利上げを急ぐとの見方から長期金利が
上昇していることに支えられています。
今後株式市場の調整が想定以上に長引くようだと、リスク回避の流れが続き、
円に見直し買いが入る可能性もないとは言い切れません。
また地政学リスクも高まっています。
ウクライナ国境ではロシア軍の攻撃がいつあってもおかしくはない状況だと報
告され、これまで以上に緊張が高まっています。
また今年に入ってすでに4回のミサイル発射を行った北朝鮮情勢も気になると
ころです。仮に有事が勃発すれば、円やスイスフランが買われてきたこれまで
の歴史もあります。世界情勢にも目配せが必要かと思います。

本日のドル円は113円90銭~114円80銭程度を予想します。


米長期金利一時1.88%台に上昇し、ナスダックは2.6%下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆東京時間に115円台を回復したドル円は「リスク回避」が
強まったことから小幅に下落。114円46銭まで売られ、115円台
維持に失敗。
◆米金利上昇にドルが買われ、ユーロドルは1.1315まで下げる。
◆株式市場は3指数が揃って大幅安。早期利上げ観測の高まりから
ダウは543ドル安。金利上昇を背景にナスダックは2.6%の
厳しい下げに。
◆債券は続落。長期金利は一気に1.88%台まで上昇。
◆金は3日続落。原油は続伸し、約7年ぶりとる85ドル台を付ける。
中東情勢の悪化とOPECの強気の石油需要見通しが背景。

◆1月NY連銀製造景況業指数    →  -0.7
◆1月NAHB住宅市場指数     →  83

本日の注目イベント

◆豪   豪1月ウエストパック消費者信頼感指数
◆独   独12月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ユーロ圏11月経常収支
◆英   英12月消費者物価指数
◆米   12月住宅着工件数
◆米   12月建設許可件数
◆米   バイデン大統領、記者会見
◆米  企業決算 → P&G、バンク・オブ・アメリカ、モルガンスタンレー、アルコア
◆加   カナダ12月消費者物価指数


日銀の金融決定会合の結果を受け昨日の昼過ぎには115円台を回復し、115円
06銭近辺まで上昇したドル円でしたが、115円台維持には失敗しています。
NY市場では利上げ観測の高まりから長期金利は大幅に上昇したものの、ドル円は
株価の大幅下落に引っ張られ、「リスク回避の円買い」が進み、再び114円台半
ばまで押し戻される展開でした。クロス円も全体的に下げており、ドルと円が買わ
れた格好です。

ダウは500ドルを超える大幅な下げとなり、さらに金利上昇に弱いナスダック指
数は386ポイント売られています。リスク回避の流れが強まったことで円が買わ
れましたが、長期金利の上昇がドルを支える格好となり、ドル円の下げは小幅に留
まっています。NY債券市場では3月のFOMCで利上げ開始との観測が強まり、
さらに「0.25%」の引き上げ幅ではなく、「0.5%引き上げ」といった見方
も高まったことから債券が売られ、長期金利は先週末から一時10bpほど上昇し
、1.88%台まで上昇しました。

久しぶりに注目が集まった日銀決定会合では、一部で予想された利上げへの言及は
なく、政策が現状維持だったことで円が売られ115円台に乗せました。黒田総裁
は記者会見の席でも、「物価が直ちに2%に近づくことは考えづらい」と語ったり
、「オミクロン株で物価が2%に近づく可能性は極めて低い」と述べています。さ
らには「利上げ議論は全くしていない」と発言したことで日米金融政策の違いから
円が売られました。
また円相場については、「悪い円安とは今、考えていない。考える必要もない」と
述べ、これまでの認識に変化がないことに言及しています。
ただ、物価見通しについては今年度の消費者物価指数の見通しをこれまでの「0.
9%」から「1.1%」へ上方修正し、2023年度についても「1.0%」から
「1.1%」へ引き上げています。全体的には「ハト派的」だった印象が残り、新
型コロナウイルス感染症の影響に注視しながらも、「必要があれば躊躇なく追加的
な金融緩和措置を講じる」と、これまでの常套句を繰り返していました。

米国では、株式市場への豊富な資金流入や、オミクロン変異株の感染拡大が米景気
に大きな影響を及ぼすことはないといった楽観的な見方に支えられ、ダウが引け値
で3万6799ドルの最高値を記録したのはわずか2週間前でした。
その後1日の新規感染者数が146万人にも達したことはご承知の通りです。
懸念されるのは、経済指標にも、やはりその影響がジワジワと表れてきた可能性が
あることです。
昨日発表された1月のNY連銀製造業景況指数は市場予想の「25」を大きく下回
る「-0.7」まで低下していました。同景況指数の「32.6」ポイントの低下
幅は、新型コロナのパンデミックが始まった直後の2020年4月以来の大きさと
なっています。
12月の同指数が「31.9」だったことを考えると、受注と出荷の指数が大きく
落ち込み、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大で活動が抑制された
ことを示唆している(ブルームバーグ)可能性があります。今後の米経済指標が注
目されます。

ドル円は115円台維持には失敗していますが、今後FRBによる利上げ回数の上
振れなど不透明な部分も多くあります。肝心なのは米株価がどこで下げ止まるかと
いう点でしょう。米長期金利の上昇がドル円の下げをある程度抑制すると見られま
すが、株価がされに下げると大量の資金が株式市場から債券市場に流れ込むことに
もなり、こちらは米金利上昇を抑えることにもつながります。昨日もこの欄で触れ
ましたが、来週のFOMCを前に市場では「タカ派見通しの波」が急速に高まって
来たように思います。FRBとしても株価のさらなる下げは避けたいところ。
先走る市場の利上げ観測が行き過ぎなのか、あるいは市場の見方が正鵠を射て、F
RBが市場観測に引き寄せられることになるのか、今後数週間で答えが出ると見て
います。個人的にはFRBは、先走る市場に再考を促すようなスタンスを示すので
はないかと予想していますが、再び厳しい判断を迫られます。「前門のインフレ、
後門のオミクロン」といった状況でしょうか。

本日のドル円は114円20銭~115円程度を予想しますが、日中は日経平均株
価次第です。どこまで下げるのか注目です。


ドル円小動きながら114円台半ばで堅調に推移 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆NY市場が休場のためドル円は小動き。
東京時間から緩やかなジリ高が続き、114円65銭
近辺までドルが買われた。
◆ユーロドルはほぼ横ばい。1.13台後半から1.14台
半ばで推移。

本日の注目イベント

◆日   11月鉱工業生産
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独1月ZEW景気期待指数
◆欧   OPEC月報
◆英   英12月失業率
◆英   英ILO(9-11月)失業率
◆米   1月NY連銀製造景況業指数
◆米   1月NAHB住宅市場指数
◆米  企業決算 → ゴールドマン

先週末のNYで113円台半ばまで売られたドル円は底堅く推移。NY市場
が休場だったため動きそのものは緩慢だったものの、「閑散に売りなし」の
格言通り、ドル円は114円台前半からジリ高となり、欧州時間には114
円65銭近辺までドルが反発しました。先週末のNYのドル最安値から1円
以上も値を戻したこととなり、値動きが少ない状況にしては結構な値幅です
。113円台半ばではドルへの需要が強いと見ることもできそうですが、ど
うでしょう。

今日の東京時間は日銀の決定会合とその後の黒田総裁の会見待ちですが、基
本的にはNYが参入して来るまで動きは限定的とみられます。
FOMCが来週に迫ったことでブラックアウト期間に入り、メンバーからの
発言もありません。
そんな中、JPモルガンのダイモンCEOは14日、米金融当局が最大7回
の利上げを実施する可能性があるとアナリストらに語ったと伝えられていま
す。この7回という数字が「今年7回」なのか、「今後7回の利上げがある
」という意味なのかははっきりしませんが、「高騰するインフレと闘うため
最大7回の利上げ」( as many as 7 times to fight rising inflation )
という言い回しのようです。すでに市場では今年4回の利上げが浸透してお
り、39年ぶりの高インフレ発表後はバイアスが加速しているように思えま
す。

一方でやや想定外なのが、ECBによる利上げ観測の後退です。
ユーロ圏でもインフレは進み、12月の消費者物価指数は「5.0%」と、
ユーロ創設以来最も高い水準でした。米国ほどではないものの、ECBの物
価目標を大きく超えているのは事実です。
昨年12月は主要国で最初にイギリスが利上げに踏み切り、早ければ3月に
もFRBがこれに次ぎます。
そして、その後には当然ECBが続き、その時期は夏前ごろではないかと予
想していましたが、バークレイズ・リサーチなどは、ECBの利上げ時期を
2023年に後退させています。
その理由として、「新型コロナウイルスの動向からして、2022年は成長
率が低下し、インフレがより持続する可能性が高い。しかし、来年後半には
需給ギャップが縮小し、2023年のインフレ率は2%を下回るだろう。こ
のため今年のECBの政策にはサプライズはなく、2023年末には利上げ
が開始されるだろう」と分析しています。
仮にこの見通しのような展開になるとすれば、1.14台後半まで買われた
ユーロドルは再び1.12割れを目指す動きになると予想されますが、EC
Bメンバーの中には、今後も続く高インフレを抑えるため早期の利上げに踏
み切るべきだという意見も根強くあります。

東京都を含む1都6県が「まん延防止等重点措置」の申請を行うことを決
めました。
政府は本日にも協議を行う予定ですが、申請が認められれば制限期間は、2
月11-13日頃までの3週間程度になる模様です。
NY州では知事が「オミクロン変異株の感染のピークは過ぎた模様だ」と宣
言しましたが、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、オミクロン
変異株の急速な感染拡大がパンデミックの終焉を早めるのか判断するのは時
期尚早だと述べています。一方、ファイザー製薬のブーラCEOは仏フィガ
ロ紙とのインタビューで、「間もなく通常の生活を再開できるだろう」と述
べ、「春にそうできる態勢は整っている。検査、非常に効果的なワクチン、
自宅で可能な一次治療が全て利用できるようになったことが大きい」と話し
ています。同時に同CEOは「ただ、コロナが消えてなくなるという意味で
はない」と注意を促し、「新型コロナのパンデミックが始まって以来、多く
の予想外の事態が起きた。極めて根絶が難しいウイルスと、われわれは恐ら
く長年共存していかなければならないだろう」と続けています。(ブルーム
バーグ)

先週の底値から1円以上も値を戻したことで、短期的な値動きを示す「1時
間足」では雲を上抜けし上昇傾向を示しています。
115円台に乗せることが出来れば、再び上昇トレンド回復に期待が持てま
すが、114円80-85銭辺りに軽い抵抗線があり、ここを抜けることが
出来るかどうかにも注目しています。

連休明けのNYで株式市場がどのような動きを見せるのか。また高値圏にあ
るWTI原油価格の動きも気になるところです。

本日のドル円は114円20銭~115円程度を予想します。


ドル円一時113円台半ばまで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場で113円67銭前後まで売られたドル円は、
NYでは経済指標が予想を下回ったことなどから113円48銭
まで売られる。ただその後は長期金利の上昇もあり、ドルが買い戻され
114円台を回復。
◆ユーロドルは朝方には1.14台半ばで推移していたが、ドルが
買い戻されたことで、1.13台に下落。
◆ハイテク銘柄の多いナスダックとS&P500は反発。一方
ダウは200ドルを超える下落。JPモルガンなど金融株の下落が重荷に。
◆債券は下落。長期金利は1.78%台まで上昇。
◆金は続落し、原油は上昇。

◆米   12月小売売上高              →  -1.9%
◆米 12月輸入物価指数             →  -0.2%
◆米   12月鉱工業生産              →  -0.1%
◆米   12月設備稼働率              →  76.5%
◆米   12月企業在庫               →  1.3%
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(速報値)  →  68.8

本日の注目イベント

◆中   10-12月GDP
◆中   中国12月小売売上高
◆中   中国12月鉱工業生産
◆米 NY休場(キング牧師生誕記念日)


日米の株価の下落が円相場には重荷になっています。
先週末の東京市場では、日経平均株価が一時550円ほど下げたことに
伴い、ドル円もジリジリと下げ、113円67銭近辺まで売られる場面
もありました。この流れはNYでも見られ、NY市場の朝方には113
円48銭までドル安が進みました。
FRBがインフレ阻止に向け、いよいよ本格的な利上げモードに突入す
ることが見込まれ、ドル高が予想される状況の中でも116円台を頂点
にドル安が進んできました。
米国の株価が、特にナスダックを中心に売られていることで「リスク回
避」の円買いが進んでいるのが足元の動きです。
円との相関が強い米長期金利の方も、1.8%台まで上昇した後は軟調
な動きになっています。株式を売った資金が一部債券に流れているとい
うことのようです。

ドル円はその後のNYで114円台を回復していますが、米株式市場が
調整を終えて再び上昇トレンドを形成できるかどうかが、ドル円の先行
きにとっても極めて重要なファクターになっています。
今朝NYから届いた株式市場の見通しでは、「米5大ハイテク株の下落
はまだ続く可能性が高い」といったコメントがあります。これらハイテ
ク株は昨年後半から大きく上昇し、PER(株価収益率)は時価総額加
重平均でピーク時の28.1倍から20.7%低下しているとのことで
す。言い換えれば、株価が大きく上昇したことで、1株あたりの稼ぐ力
が低下したということになり、この傾向はまだ続くとの見通しです。
米長期金利が今後上昇することは間違いないところですが,金利以外の
要因が台頭しており、足元では株価の下落が最も影響していると見られ
ます。
FRBの政策スタンスについては、今年3月の会合で利上げを決め、そ
の回数も3回から4回に増えるといった見方がコンセンサスになりつつ
あります。
今後のインフレの加速次第であることは当然ですが、一部には「年内の
利上げ回数は5回」と予想する向きも出てきました。

先週末に発表された経済指標は予想を大きく下回るものが多く、特に1
月のミシガン大学消費者マインド速報値は「68.8」と、市場予想の
「70.6」を大きく下回り、この10年間で2番目の低水準でした。
インフレの急上昇や新型コロナウイルスのオミクロン変異株に対する懸
念が重しとなったことが指摘されています。また、12月の小売売上も
市場予想を大きく下回っていました。
こちらもオミクロン変異株の影響から店舗での買い物が減少し、さらに
ギフト配送の遅れへの懸念から多くの消費者が例年より買い物を前倒し
したことが影響したと見られています。

一方そのオミクロン変異株について、ホークルNY州知事は13日のバ
ーチャル形式のブリーフィングで、オミクロン変異株の感染急増が「峠
を越しつつある」と宣言しています。
13日の新規感染者数は州全体で4万9027人と、1週間前の9万人
から大きく減少したことを発表しました。
また既にピークを超えた南アフリカの研究者らは、「オミクロン変異株
はデルタ株に比べて、ワクチン未接種者や感染歴がない人が感染した場
合の症状が軽い」との調査結果を発表しています。
この調査は感染最初の3波における1万1609人と、直近の感染拡大
期に罹患した5144人を比較した結果だということです。
日本でもついにと言うか、感染者数が急激に増加し、東京都では3日連
続で4000人を超え、今月末には1万人を超えると見られています。
東京都が「まん延防止等重点措置」を発出するようだと、日本株が再び
売られ円が買われる流れが起きる可能性も想定されます。

本日のドル円は113円80銭~114円60銭程度を予想します。


米12月PPI、前年比9.7%上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆株価の大幅下落と長期金利の低下に反応し、ドル円は
114円ちょうどまで下落。リスクオフの流れが継続する
中、ドルの下値を探る展開が続く。
◆ドルが売られたことでユーロは続伸。1.1482近辺まで
ユーロの買戻しが進む。
◆株式市場は3指数が揃って続落。特にナスダックでは
ハイテク株の売りが加速し、前日比381ポイントの下落。
◆債券は反発。長期金利は1.70%台へ低下。
◆金は5日ぶりに反落。原油も下げる。

◆12月生産者物価指数    →  0.2%
◆ 新規失業保険申請件数    →  23万件


本日の注目イベント

◆中   中国12月貿易統計
◆欧   ユーロ圏11月貿易収支
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆英   英11月鉱工業生産
◆英   英11月貿易収支
◆米   12月小売売上高
◆米 12月輸入物価指数
◆米   12月鉱工業生産
◆米   12月設備稼働率
◆米   12月企業在庫
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、ウェビナーで講演
◆米  企業決算 → ウェルズファーゴ、ブラックロック、JPモルガン、シティーグループ


今月25日から開催される今年最初のFOMCを控え、ブラックアウト
期間の開始が迫っていることから、FOMCメンバーの講演もピークを
迎えています。その多くのメンバーがこぞってタカ派的な発言を行った
ことから、米株式市場の下落は止まらず、ドル円は長期金利の低下もあ
り、一時114円水準まで売られています。

最も影響があったのがブレイナード理事の発言だったと思われます。
今回FRB副議長に指名されたことに伴う指名承認公聴会での質疑応答
で、ブレイナード氏は「FOMCは向こう1年間に数回の利上げを予想
している」と述べ、「資産購入が終了し次第、われわれはそれを行える
立場にある。今後1年間、データから何が求められているのかを見てい
く必要がある」と語り、数十年ぶりの高水準にある物価上昇圧力を確実
に抑えるため、3月にも利上げに踏み切る可能性があるとの見解を示し
ました。ブレイナード氏の発言は、氏がもともと「ハト派」と見られて
いた上に、今回副議長に就任することもあり、ナスダックなど株式市場
が反応したものと見られます。ブレイナード氏はまた、「われわれには
強力な手段があり、今後インフレ率を押し下げるためそれを活用してい
く。全国の労働者世帯からインフレに関する声が上がっていることを、
しっかり認識している」と述べ、インフレに対する強い姿勢を示しまし
た。

またフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も3月の利上げ開始に加え、
年内に3回か4回の利上げを実施することが好ましいとの考えを示し、
「インフレが望ましい水準より高く、雇用市場が非常に堅調だという現
実から導かれる避けようのない論理的結論は、金融引き締めだ」と語っ
ています。さらに同総裁は質問に対して、「データに何ら変化がなけれ
ば、3月に0.25ポイントの利上げが実施されるというのが私の予想
だ」と述べ、その上で、「私は今年に関して3回の0.25ポイント利
上げを予想している。インフレが制御されない場合は、4回目の必要性
を確信するだろう。ただし、データを見極めなくてはならない」と語り、
かなり「タカ派的」な発言に終始していました。(ブルームバーグ)

この他シカゴ連銀のエバンス総裁も、「FOMCの予測中央値では今年
3回の利上げが見込まれていたが、インフレに関するデータが十分速や
かに改善しない場合には4回利上げする可能性がある」と述べています
。このように、FOMCメンバー幾人かが3月利上げ開始を予想し、さ
らに今年の利上げ回数も3回から4回に移行しつつある発言を行ってい
ます。
これだけ「タカ派的」な発言が揃えば、金利上昇に弱いナスダック指数
が大きく下げるのもうなずけるというものです。3回利上げは既に既定
路線化しており、4回が視野に入ってきた印象ですが、筆者は今年の利
上げは3回と予想しています。
12月のCPIやPPIが発表された直後でもあり、直近のインフレ圧
力にややバイアスがかかっているようにも思えます。
株価の調整や、オミクロン株の感染状況次第では、米経済がFOMCメ
ンバーが予想する程の成長を見せない可能性もあります。

ドル円は114円ちょうどで踏みとどまった感じでしたが、1.8%ま
で上昇した米長期金利が1.7%台まで低下してき、さらにナスダック
を中心に株価の調整も続き、「リスク回避」の流れが優勢になっている
状況下です。ドルの上値が徐々に重くなってきましたが、昨日も述べた
ように、中期的なチャートが示す方向性は変わっていません。
注目しているのは113円台前半にある「雲の下限」です。ここを割り
込むようだと、相場観も変えざる得えない可能性があります。

本日のドル円は113円70銭~114円50銭程度を予想します。



米12月のCPIは39年ぶりの高水準 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円台半ばから大きく下げる。CPIが
高水準ながら市場予想と一致したことや、長期金利の低下を
手掛かりに114円38銭まで急落。
◆ユーロドルでもドル安が進み、ユーロは1.14台半ばまで
買われ、昨年11月15日以来の高値に。
◆株式市場は3指数が小幅ながら揃って続伸。上昇して取引が
始まったがマイナス圏に沈む局面もあったものの、引け値では小幅高。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は1.74%台で推移。
◆金と原油は続伸。原油は一時83ドル台に乗せる場面も。

◆12月消費者物価指数     →  0.5%
◆12月財政収支        →  -121.3b

本日の注目イベント

◆欧   ECB経済報告
◆米   12月生産者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米   上院銀行委員会、ブレイナード理事のFRB副議長指名承認公聴会


米12月の消費者物価指数は前年同月比で「7.0%」と、市場予想と一致し
ていましたが、1982年以来、実に39年6カ月ぶりの高水準で、インフレ
の高進は止まりません。CPIは前月比でも「0.5%」と、市場予想を上回
っており、これで3月のFOMC会合で利上げが開始されることは、今後余程
の事がない限り確実視されそうです。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数でも前年比「5.5%」上昇
していました。上昇は広範囲にわたっており、項目別では食料品が6.3%、
光熱費が9.5%、輸送費が21.1%、居住費についても5.1%(いずれ
も前年同月比)などが目立っています。
オミクロン株の感染が猛威を振るう中、隔離措置や病欠などにより人手不足は
解消せず、サプライチェーンへの打撃を考えると、今後さらに物価上昇が続く
可能性もありそうです。
今回のCPIの上昇が3月のFOMCで、利上げ開始を後押しすることは間違
いないとみています。

39年ぶりの高いCPIを受けクリーブランド連銀のメスター総裁は、「当局
は金融市場を混乱させずに出来るだけ速やかにバランスシートを縮小すべきだ
。また3月の利上げ開始を支持する」との考えをあらためて示しています。
セントルイス連銀のブラード総裁もウォールストリート・ジャーナル(WSJ
)とのインタビューで、「実際のところ、現時点ではおそらく2022年に4
回利上げすべきだと考えている」と述べており、従来は3回の利上げを予想し
ていました。同総裁はさらに、「今年上期に2、3回の利上げを済ませれば、
より望ましい状況になるだろう」と説明し、「実態経済を混乱させない方法で
インフレを制御したいが、中期的に物価上昇率を2%に戻したいとの望みもし
っかりと持っている」と語っていました。
同総裁はタカ派の象徴として見られていますが、これまで同総裁が述べて来た
物価上昇の道筋は概ね予想通りの軌道を描いて来たこともあり、説得力がある
ように思えます。因みに、ブラード総裁は今年のFOMCでの投票権を持って
います。

12日に報告されたベージュブックでは、「楽観的な見方は依然として強いが
、幾分弱まった。今後6カ月間、経済成長が続くとの明るい見通しを示した企
業の割合が低下した」と記述されています。12地区連銀のうち10連銀では
、新型コロナウイルスのオミクロン変異株が活動に影響を及ぼし、労働市場を
巡る問題を深刻化させている」と指摘しています。(ブルームバーグ)また、
大半の地区で企業は物価の強い伸びを顧客に転嫁したとも報告されており、C
PIの上昇とも整合しています。

CPI発表を境にドル安が進み、ドル円は115円を割り込み、114円38
銭まで売られました。CPIが高水準だったことから、ここまでドル安が進ん
だことに「想定外」と感じる人も多かったかと思います。
余り明確な理由は見つかりませんが、115円を割り込み、114円80銭近
辺も割り込んだことで、ポジション調整や手仕舞いのドル売りが加速したと考
えています。
また、ユーロドルが1.14台に乗せ、ドル安ユーロ高が進んだことも影響し
たようです。
これで高値からほぼ2円下げたことになります。
ドルの上値は重くなってきましたが、テクニカル的には基本となる日足を見る
限りまだトレンド転換はありません。
ドル円は「一目の雲」の上で推移しており、「MACD」でもプラス圏を保っ
ています。デッドクロスを示してはいますが、プラス圏でのクロスであること
から、ここからの深押しは限定的と判断するのが定石でしょう。
ただこれは、あくまでもチャート上の判断です。注意しながらドルの買い場を
探るスタンスを維持したいと思いますが、昨日の様に、相場は上昇に比べ下落
が速いのも特徴で、過信は禁物です。

本日のドル円は114円10銭~115円程度を予想します。


パウエル議長の公聴会を受け米国株反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆朝方115円68銭まで買われたドル円は、パウエル議長の公聴会
での発言を契機に下落。長期金利が低下したことで115円28銭まで
売られる。
◆ユーロドルは上昇。1.13台に乗せ、1.1375まで買われ
10日ぶりのユーロ高に。
◆パウエル議長の公聴会の発言後株式市場は大幅に反発。
議長がインフレ抑制に強い姿勢を示したことで主要3指数が
揃って上昇。このところ軟調だったナスダックは1.4%の上昇を見せる。
◆債券価格は上昇。長期金利は1.73%台に低下。
◆金と原油は大幅高。原油は前日比3ドル近い上昇を見せ
81ドル台に乗せる。

本日の注目イベント

◆日   11月国際収支
◆日  12月景気ウオッチャー調査
◆中   中国12月消費者物価指数
◆中   中国12月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏11月鉱工業生産
◆米   12月消費者物価指数
◆米 12月財政収支
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

注目されたパウエル議長の公聴会での発言は、予想通りモデレートなもので、
思ったほどタカ派的な印象を示さなかったことから株式市場は急反発していま
す。軟調な動きが続いていた株式市場の動きに配慮したわけではないとは思い
ますが、発言内容はインフレ抑制に強い姿勢を見せたことが好感されたようで
す。

議長は、「時間をかけて利上げを追加で実施する必要があれば、そうする」と
述べ、「インフレを元に戻すために金融当局のツールを活用する」と語ってい
ます。また、「われわれが望むような参加率が高い非常に力強い労働市場を得
るには、長期の景気拡大が必要になる」と指摘し、その上で、「長期の景気拡
大を実現するには、物価安定が必要になる。高インフレは最大雇用達成への深
刻な脅威になると言える」と述べています。
バランスシート縮小について問われると議長は、「今年のある時点で自然減少
させ始める」と答え、「バランスシートの規模がかなり大きくなっているため
、自然減少も速いペースで可能になる。早く開始し、速いペースで実行するだ
ろう。そこまでははっきりしている」と述べるにとどまり、時期については言
及しませんでした。

この日は他のFOMCメンバーの発言も多く、カンザスシティー連銀のジョー
ジ総裁は、「当局が金融緩和解除への道筋を描く中で、早めにバランスシート
を自然減少させることが望ましいと、私自身は考えている」と述べ、「インフ
レ率が40年ぶりの高水準付近にあり、需要の伸びにも相当な勢いが見られる
。また労働市場の引き締まりを示す兆候とリポートの数も多い。そうした状況
を踏まえると、現在の極めて緩和的な金融政策スタンスは経済見通しと一致し
ていない」と指摘しています。またアトランタ連銀のポスティック総裁もブル
ームバーグとのインタビューで、「インフレが制御不可能とならぬようにする
ため、当局には行動の用意がある。それが私や同僚の発言で人々に伝えるべき
最も重要なメッセージだ」と述べ、3月にも利上げを開始し、その「かなりす
ぐ」後にバランスシートの削減に着手する必要があるかもしれないとの考えを
示しています。(ブルームバーグ)この他にも、クリーブランド連銀のメスタ
ー総裁も、3月の経済状況が現在と同様であれば、同月のFOMCの会合で利
上げを支持する意向を示していました。

こうしてみると、多くのFOMCメンバーが3月利上げ開始を支持し、バラン
スシート縮小に関しても早期に行うことが適切だといった認識を示しており、
ある意味、この日のパウエル議長の発言内容が最も「ハト派的」だった印象で
す。

発言後、115円半ばまで反発していたドル円は長期金利が低下したこともあ
り、115円台半ば超えから40銭程下げています。全体的に見れば、今回の
公聴会での発言は、これまでと同様、そつがなく、「及第点」だったと言えま
す。次の市場の関心は、本日の米12月のCPIに移ります。

ドイツ連銀の総裁に就任したナーゲル新総裁は11日のスピーチで、「信頼の
ためには金融政策が物価安定目標に焦点を絞ることが特に重要だ」とし、「従
って、中央銀行は独立性を維持し、責務を狭義に解釈すべきだ」と語ってい
ます。
ユーロ圏のインフレ率が昨年12月には5%に達したことに関しては、現在の
物価圧力には一過性の要因があると認め、不確実性があると指摘する一方で、
「不確実性にもかかわらず、一つだけ明確なことがある。物価安定のために必
要であれば、ECB政策委員会は行動し、金融政策の道筋を調整しなければな
らない」と強調しています。

本日は日本株も反発すると見られますが、ドル円はひとまず115円割れは避
けられた印象です。ただ、今夜の米CPIの数字次第では再び株価が軟調とな
り、リスクオフの円買いに傾く可能性はあります。

予想レンジは、114円80銭~115円70銭程度とみます。


ドル円続落し115円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落。株価が大きく下落したことでリスクオフが
強まり円が買われた。ドル円は115円05銭まで売られたが、
115円割れは回避。
◆ユーロドルはレンジ相場が続き、1.13を挟みもみ合う。
◆株式市場は続落したものの、値ごろ感からか押し目買いが
入り、ダウは下げ幅を縮小し162ドル安で引ける。ナスダックも
引けにかけて買いが入り6ポイント高とプラス圏で取引を終える。
◆債券は横ばい。先週末には1.8%台まで上昇した長期金利は
1.76%台に低下。
◆金は小幅に続伸。原油は続落。

本日の注目イベント

◆豪   豪11月貿易収支
◆豪   豪11月小売売上高
◆日  11月景気先行指数(CI)(速報値)
◆独   ヨアヒム・ナーゲル氏、ドイツ連銀総裁に就任
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁インタビュー
◆米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米   上院銀行委員会、パウエル議長のFRB議長再任指名承認公聴会

先週末に発表された12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が「19.
9万人」と、市場予想の「45万人」を大きく下回り、これで2ヵ月連続
で市場予想を下回る結果になりました。
オミクロン株の感染が急速に拡大する前のデータであり、ADP雇用者数
も予想を大きく上回ったこともあり、楽観的な予想をしていましたが、見
事に外してしまいました。ただ、失業率は予想より改善しており、「3.
9%」と、こちらはコロナ前の水準まで低下しています。
また、平均時給は前月比で「0.6%」上昇しており、労働参加率は横ば
いでした。結局、これらを総合的に考えると、高い賃金を提示してもなか
なか人が集まらない状況を示しており、依然として人手不足が続いており
、労働市場は「売り手市場」から抜け出ていないことが想像できます。

雇用統計を受け、債券市場では債券が大きく売られ、長期金利は一時1.
8%台まで上昇し、2年ぶりにコロナ前の水準を付けています。
ドル円は長期金利の上昇に反応せず116円台から下げ、115円台半ば
までドル売りが進み、昨日のNYではその流れが続き115円05銭まで
ドルが下落しています。
債券も株式もさらにドル円も、FOMC議事録公開を契機に利上げを織り
込む形で推移しましたが、ここで一旦今後の動きを見極める状況になって
います。
本日は上院銀行委員会でパウエル議長のFRB議長再任指名承認公聴会が
開かれます。
ここでパウル氏が再任に際して、今後のインフレの見通しや、FRBの利
上げスタンスなどについて質問されることが予想されます。
すでにパウル議長が「一時的」との言葉を撤回するほど高進しているイン
フレ率を背景に、今年3回と見られている利上げ回数を「4回の利上げを
見込む」といった具合に修正する動きもあります。
急激な利上げが逆風になるとことから米株式市場では、年初2日上昇した
後調整が続いています。またビットコインも昨日は続落し、昨年9月以降
の取引きで初めて4万ドルを割り込むなど、利上げを意識した動きが顕著
に見られます。パウエル議長はこの辺りの状況を十分考えて公聴会に臨む
ものと見られますが、厳しい判断を求められる状況が続きます。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は7日ダウ・ジョーンズ通信が行ったイ
ンタビューで、「FOMCによる3月会合で利上げの開始決定は想定可能
だと、当然考えている」と述べ、「インフレ圧力は2022年中には和ら
ぐ。サプライチェーンは新型コロナウイルスのパンデミックによる打撃を
引き続き受ける。その影響は23年になっても根強く残る可能性がある」
と語っています。(ブルームバーグ)
またサンフランシスコ連銀のデイリー総裁も7日、「我々が直面している
インフレは不快なほど高い」とし、「1~2回の利上げをした後に資産を
調整することは考えられる」との見方を示しています。
米ゴールドマンも、FRBは今年4回の利上げを実施する可能性が高く、
遅くとも7月にはバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)
を開始すると、調査リポートで明らかにしています。

NY市の保健・精神衛生局によると、新型コロナと考えられる症状で救急
医療施設を訪れた患者の数は12月末以降、7日平均ベースで全地区で大
きく減少しており、中でもブロンクス地区では、1月7日までの週に7日
平均の数字が35%低下したと発表し、「新型コロナウイルスの感染がピ
ークを打った可能性がある」とコメントしています。
米国では、1日の新規感染者数が108万人を記録した今月4日からは減
少傾向が続き、9日には37万人にまで減ってきました。
ただ、市はデータが修正される可能性があるとも指摘しています。
一方スイスの医薬品メーカー「ノベルティス」は10日、新型コロナウイ
ルス感染症の治療薬候補である抗ウイルス薬の中規模治験で患者の症状悪
化リスク低減が認められたことから、開発・製造・販売に向け提携企業か
らライセンスを取得することを発表しました。
発表によると、407人が参加した抗ウイルス薬「ensovibep」の治験で
救急治療や入院、死亡に至るリスクは78%低下したとあります。

米長期金利が1.8%台まで上昇したにもかかわらず、ドル円は116円
台から反落しています。一旦「手仕舞い」の部分はあったとは思いますが
、この欄でも指摘してきたように、株価の大幅な下げが「リスク回避の円
買い」につながったようです。
現時点では115円台は維持しているため、115~120円程度の新た
なレンジを形成しつつある可能性は残っていると思いますが、今週の動き
が注目されます。

本日の予想は、114円80銭~115円60銭程度といったところでし
ょうか。


米長期金利1.75%台まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は前日と同じような展開となり、NYでは
115円63銭前後まで下げたがその後反発。米長期金利の
上昇が支えとなり115円95銭まで買い戻される。
◆ユーロドルは再び1.13を挟む展開に戻る。
◆株式市場は小幅ながら3指数が揃って続落。
日中はもみ合う展開だったが、引けにかけてマイナス圏に沈む。
◆債券は続落。長期金利は一時1.75%台まで上昇し、昨年の
最高水準に接近。
◆金は大きく反落し1800ドルを割り込む。原油は続伸。
カザフスタン情勢が買いを誘い、一時は80ドル台に乗せる。

◆新規失業保険申請件数         →  20.7万件
◆11月貿易収支            →  -80.2b
◆11月製造業受注           →  1.6%
◆12月ISM非製造業景況指数     →  62.0

本日の注目イベント

◆日  12月東京都区部消費者物価指数
◆中   中国 12月外貨準備高
◆独   独11月貿易収支
◆独   独11月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏12月消費者信頼感指数(確定値)
◆欧   ユーロ圏11月小売売上高
◆欧   ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏12月景況感指数
◆英   BOE総裁、パネル討論に参加
◆米   12月雇用統計
◆米   11月消費者信用残高
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論に参加
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加
◆加   カナダ12月就業者数
◆加   カナダ12月失業率

ドル円は底堅い動きをみせながらも、なかなか116円台を維持する動きに
はなっていません。昨年後半から年明けまで好調な動きを見せた米国株が急
速に下げに転じたことで、「リスクオン」が「リスクオフ」の流れに変化し
てきたことが主因です。前日公開されたFOMC議事録では、3月の利上げ
開始の可能性も浮上し、さらにFRBが保有する資産の縮小も開始すべきと
の議論もあり、予想以上に「タカ派的」だったことから、債券と株式に売り
圧力が増しています。債券が売られたことで、米長期金利は急上昇し、昨日
は一時1.75%台まで上昇する局面がありました。昨年末が1.51%前
後であったことを考えると、わずか4営業日で24bpの上昇は「急騰」と
いう他ありません。
もっとも、FRBが金融正常化に向けて利上げに踏み切るとの予想は、昨年
秋頃には分かっていましたが、それでも当時の長期金利は低水準で留まって
おり、この欄でも「長期金利は何故上昇しないのか」と、筆者は幾度となく
困惑しましたが、ようやく正常な動きになってきたという印象です。

長期金利の上昇がドル円をサポートしており、昨日も前日同様に115円6
3銭辺りで下げ止まっています。株価の下落を主因とする「リスクオフ」に
伴う「円買い」と、金利上昇という「円売り」の綱引きといった状況です。
ただ今後さらに株価が下げ米金利が上昇すると、大量の資金が株式から債券
に向かい、金利上昇を抑制する可能性もあります。その時は円が買われると
予想しますが、本邦の機関投資家にとっても、日本国債が0.12%台で推
移している中、1.7%台の金利は純投資としても投資妙味があり米国債が
買われることも予想されます。
一方で本邦機関投資家が米国債購入に動けば、基本的には「円売り・ドル買
い」というオペレーションを行うこととなり、ヘッジをかけない限り「ドル
高要因」と言えます。この様に米長期金利がこのまま一方的に上昇すること
はないと思われますが、今後のインフレの動向とオミクロン株の経済への影
響次第といったところです。

FOMCメンバーの中でも「超タカ派」とみられるセントルイス連銀のブラ
ード総裁は6日の講演で、「FOMCはインフレの制御を高めるため、早け
れば3月会合で利上げを開始することが可能だ」と述べ、「それに続く20
22年中の利上げはインフレ動向次第で、前倒しも後ずれもあり得る」と語
っています。
さらに同総裁は、「資産購入は向こう数カ月で終了を迎えるが、FOMCは
適切なペースで金融緩和を巻き戻すため、バランスシートの受動的な縮小と
いう選択肢を取ることもあり得る」との見方も示しました。(ブルームバー
グ)さすが「超タカ派」といった印象です。一方サンフランシスコ連銀のデ
ーリー総裁もバーチャルイベントで講演を行い、「現時点で、資産購入の縮
小ペースを加速させ始めることは非常に適切だとの感触を得ている」と述べ
、「FRBのバランスシート縮小とは極めて異なる議論だ。バランスシート
縮小はFF金利誘導目標の正常化を始めた後に実現する」と話し、早期の資
産購入縮小議論を牽制した格好になっています。

米国では1日の新規感染者数が108万人に達するなど、オミクロン株の感
染が爆発的に広がっています。WHOのテドロス事務局長は、「オミクロン
変異株は感染しても従来株より重症度は低いように見えるが、軽度と考える
べきではない」と指摘し、「オミクロン株は人々を入院させ、命を奪ってい
る」と述べています。一方で、これまでと同様に楽観的なデータも報告され
ています。
6日の南ア医学研究審議会の発表によると、オミクロン変異株を主流とする
新型コロナウイル感染拡大期での「超過死亡」が、それまでの変異株による
感染拡大期を大きく下回る水準で頭打ちとなったと説明しています。
2021年初めにつけたピークの「超過死亡」数は1万6115人で、デル
タ株が主流だった昨年7月のそれは1万人強でしたが、12月26日までの
「超過死亡」は3016人と、前週の3087人から減少したと発表してい
ます。

本日は12月の雇用統計が発表されます。
非農業部門雇用者数は11月の「21万人」から「44.7万人」と、大き
く増加していると予想されています。
今回の数字は昨年12月12日の週を基準としており、オミクロン株の感染
が急拡大する前の数字であるため、良好な数字が発表されると予想してい
ます。

本日のドル円は115円40銭~116円40銭程度とみています。


米長期金利、FOMC議事録を受け1.71%前後まで急伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆堅調だったドル円は欧州時間からNYにかけては売られ、
115円62銭前後まで下落。NYではFOMC議事録が
公開され、米長期金利の上昇に伴い116円台を回復。
116円18銭まで反発。
◆ユーロドルは小幅に水準を切り上げ、1.13台で推移。
◆株式市場は前日までの「リスクオン」が急速に後退し大幅安に。
公開されたFOMC議事録がタカ派的であったことから3指数が
大きく売られ、中でもナスダッックは3.3%の下落。
◆債券は急落。タカ派的なFOMC議事録を受け、長期金利は
一時1.71%前後まで上昇。
◆金は続伸。原油価格も3日続伸。

◆12月ADP雇用者数                →  80.7万人
◆12月マークイットサービス業PMI(速報値)    →  57.6
◆12月マークイットコンポジットPMI(速報値)   →  57.0

本日の注目イベント

◆中   12月財新サービス業PMI
◆中   12月財新コンポジットPMI
◆独   独12月消費者物価指数(速報値)
◆独   独11月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏11月生産者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  11月貿易収支
◆米   11月製造業受注
◆米   12月ISM非製造業景況指数
◆米   トランプ前大統領、議事堂乱入事件から1年で記者会見(中止)
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演(オンライン)
◆加   カナダ11月貿易収支

『NYでは「リスクオン」もそろそろ一旦後退するタイミングも近いと予想
しますが、どうでしょうか。』昨日の本欄でこのようなコメントを残しまし
たが、昨日のNY市場では正に、これまで市場を覆っていた楽観論が急速に
しぼみ、株価が大きく下げました。
年明け連日で最高値を更新し翌日急落するなど、この辺りも今年の相場を予
感させるような動きです。

昨年12月14-15日に開催されたFOMC議事録が引き金を弾きました
。議事録では、経済が力強さを増し、インフレが加速すれば、従来想定より
も早期かつ迅速に利上げに踏み切ることもあり得るとの見方が示され、一部
のメンバーはバランスシート縮小を利上げ後の早い時期に開始することが望
ましいとの見解を明らかにしました。
「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基
づきフェデラルファンド(FF)金利を参加者の従来想定よりも早期に、あ
るいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」
と議事録には記されています。
議事録ではまた、「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備
制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部
の参加者が留意した」とも書かれています。(ブルームバーグ)

議事録の内容が予想以上に「タカ派的」だったことから、3月の利上げが確
実視され、さらにFRBが保有する資産の売却まで議論されたことで、債券
市場では債券価格が急落し、長期金利は一時昨年4月以来となる1.71%
近辺まで上昇しました。
「リスクオン」が急速に後退したことから、年明けから最高値を更新して来
たNYダウやS&P500は大きく下げ、特に金利上昇に弱いとされるナス
ダック指数は、前日比522ポイント安と、3.3%の下落を記録しました
。利益確定の売りが膨らんだことで下落幅が拡大したものと思われますが、
「リスクオン」が後退したことで、本来ならドル円でも「円買い」が急速に
進むところですが、今回のケースでは「早期の利上げ観測」に株価は反応し
たものの、長期金利の急上昇からドル円はサポートされる展開になっていま
す。

ドル円は昨日の東京時間では115円台後半が維持されていましたが、欧州
時間ではジリジリと値を下げ、115円62銭辺りまで売られる場面もあり
ました。ただ、米長期金利との相関が強いドル円はNYでは再び116円台
まで反発しています。
恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」が一気に「19.3」前後まで急上昇し
たことを考えると、円がいかに米金利に左右されるかが理解できると思いま
す。今後FRBは粛々と利上げを実施していくことになりそうですが、もし
米株価がさらに下落し「調整局面入り」するようなら、さすがにドル円も円
高方向に振れる可能性があるとみています。
引き続きインフレの動向がカギを握りそうですが、昨日発表された12月の
ADP雇用者数では市場予想を大きく超える「80.7万人」でした。これ
は昨年5月以来の高水準で、7カ月ぶりの大幅増加でした。
米労働市場では引き続き労働人口が増え、過去最高水準に増えている求人に
求職者が応じている状況がうかがえます。
FRBの金融政策判断にとって極めて重要な労働市場で改善傾向がみられた
ことも、FRBのタカ派的なメンバーを後押することになりますが、明日の
雇用統計本番でも良好な数字が予想されます。

本日は日本株の動向をにらみながらの展開で、ドル円は115円60銭~1
16円40銭程度を予想します。


ドル円5年ぶりに116円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間に昨年のドルの高値を抜いたドル円は、海外
市場でも続伸。116円台に乗せ、116円34銭までドル高が
進む。
◆ユーロドルは引き続き1.13を挟む展開。
◆株式市場はまちまち。ダウは214ドル上昇し最高値を更新
する一方、ナスダックは金利上昇が嫌気され210ポイントの
大幅下落。
◆債券は続落。長期金利は1.68%台まで上昇し、1.64%台
まで低下して引ける。
◆金は反発し、原油は続伸。

◆12月ISM製造業景況指数     →  58.7
◆12月自動車販売台数        →  1244万台

本日の注目イベント

◆日   12月マネタリーベース
◆欧   ユーロ圏12月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)
◆米   FOMC議事録(12月14-15日分)
◆米   12月ADP雇用者数
◆米   12月マークイットサービス業PMI(速報値)
◆米   12月マークイットコンポジットPMI(速報値)
◆加   カナダ11月住宅建設許可件数

昨日の東京時間、株価の上昇に呼応するかのようにドル円は買われ、昨年11月に
記録した115円52銭を抜きました。海外市場でもその流れが続き、欧州時間に
は116円台に乗せ、NY時間早朝には116円34銭までドル高円安が進んでい
ます。やはり昨年のドルの高値を抜けると、売り圧力が無くなることと同時に、ス
トップロスのドル買いも巻き込み、想定以上のスピードで上昇しました。
結局昨日1日では1円以上もドル高に振れたことになりますが、これまでと同様、
ドル高と言うよりも円安と言った方が適切な展開でした。
116円台半ばは、2016年トランプ氏が予想外の大統領選で勝利し、100円
割れから一気に118円台までドルが買われ、ピークを付けてから徐々に下げ始め
た頃の水準です。
チャートではこの先のドル高のメドとしては、上記118円台半ばが一つの目安に
なろうかと思います。
ドル円が、東京市場では今年最初の取引となる4日1日だけで、1円以上の値動き
があったということは、今年の1年の相場の乱高下を示唆していると受け止めてい
ます。

オミクロン株の感染拡大が止まらず、FRBが政策金利の引き上げに動き出すこと
が分かっている中でも、経済活動への影響は限定的といった楽観的な見方が市場を
覆っていることでリスクオンの流れが継続され、円を売る動きが強まっている状況
です。昨日のNY株式市場では、主要3指数の中でも「出遅れていたダウ」にも資
金が集まり、
ダウはここ2日間で460ドル以上上昇しています。また、昨年12月から比較す
れば2500ドル以上も上昇していることになり、個人的には警戒感を強める必要
があろうかと思っています。IT株の多いナスダックが金利上昇を嫌気して大幅な
下げを見せたことも、今後の楽観相場に一石を投じていると思われますが、どうで
しょうか。

米国の新型コロナウイルス感染者数は、3日に1日当たり100万人を超えました
。ホリデーシーズンが終わり仕事や学校が始まる時期に感染者が急増しており、米
疾病対策センター(CDC)のモデルによると、オミクロン株が新規感染者全体に
占める割合は1月1日までの週では95%に上り、前週の77%から急上昇してい
ます。これらの結果を受けてCDCは4日、ファイザーと独ビオンテックが共同開
発した新型コロナウイルスのワクチンについて、2度目の接種からブースター(追
加免疫)接種までの期間を、従来の6カ月から5カ月に短縮すると勧告しています
。(ブルームバーグ)

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は同連銀のウェブサイトに掲載された論文で、
「私が想定した以上にインフレが高く、かつ根強いため、私は2回の利上げ予想を
2022年に前倒しさせた」と説明しています。
また同総裁は、「根本的には、新たな高インフレのレジームに入るよりも、過去2
0年にわたって続いてきた低インフレのレジームに最終的には戻る可能性が高いと
確信している」としながらも、「しかし、高インフレレジームに陥ることのコスト
は、低インフレレジームに最終的に戻ることのコストよりも大きくなる可能性が高
い」と説明しています。
2022年の利上げが3回と見込まれている中、同総裁の「2回の利上げ」は別段
目新しいものではありませんが、同総裁は米金融当局者の中でも「最もハト派」と
見られているだけに、やや驚きを持って受け止めています。
言い換えれば、それほど足元で進行しているインフレが危機感を漂わせているとい
うことになります。

想定以上に速いスピードで116円台に乗せてきたドル円ですが、ここからは、こ
れまでのレンジを上抜けして新しいレンジである115-120円に入ったのかど
うかを見極める必要があります。
もし新たなレンジ入りしたのであれば、上記118円台半ばが目先のターゲットに
なりまが、さすがにその水準を試すのであれば、さらなるドル買い材料も必要かと
思います。
WTI原油格も77ドル台まで上昇してきました。また、米長期金利も昨日は1.
68%台まで上昇し、1.7%台が視野に入ってきました。
昨日書いた「ウィークリーレポート」でも触れましたが、バイロン・ウイーン氏の
「びっくり10大予想」では、「米長期金利が2.75%まで上昇」を、その中に
入れていました。
もちろん、「びっくり」ということで、「奇をてらった」部分はあるでしょうが、
同氏によると、「確率は自身が5割以上とみる事象を集めたもの」となっています。
今年の「びっくり」はどこまで的を得ていたことになるのでしょうか。

本日のドル円は115円70銭~116円50銭程度を予想します。
NYでは「リスクオン」もそろそろ一旦後退するタイミングも近いと予想しますが、
どうでしょうか。


米長期金利大幅に上昇し1.62%台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆今年最初のマーケットでは引き続き「リスクオン」が強まり、ドル円は
115円37銭まで買われる。ただ長期金利が急上昇した割には115円台
半ばには届かず。
◆ユーロドルは朝方に1.1364まで買われたがその後軟調に。
◆株式市場は幸先の良いスタートを切る。
主要3指数が揃って大幅高となり、中でもダウとS&P500は
最高値を更新。
◆債券は大幅下落。今年の早期の利上げを織り込む形で長期
金利は大幅な上昇をみせ、1.62%台まで上昇。
◆金は28ドル安と大幅下落。原油は続伸し76ドル台に。

◆12月マークイット製造業PMI(改定値)   →  57.7

本日の注目イベント
◆中   12月財新製造業PMI
◆独   独11月小売売上高
◆独   独12月失業率
◆英   英11月消費者信用残高
◆英   英12月製造業PMI(改定値)
◆米   12月ISM製造業景況指数
◆米   12月自動車販売台数


明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。

NYでは今年の最初の取引きも「リスクオン」で始まり、昨年記録的な株高を
演じた株式市場では、主要3指数が揃って大幅高となり、ダウとS&P500
はともに最高値を更新し、幸先の良いスタートを切りました。
「リスクオン」が加速したことで米債券は大きく売られ、全ての年限で金利が
上昇し、長期金利は1.62%台後半と、大幅に上昇して取引を終えました。
FRBは今年3回の利上げを行うことが見込まれていますが、市場では早くも
「4回利上げの可能性」を指摘する声も上がっています。
米金利の上昇を背景にドル円はドル高に振れてはいますが、上昇の勢いは限定
的だったようです。NYでは朝方に115円を割り込む場面もありましたが、
金利上昇に伴って115円37銭までドルが買われましたが、115円台半ば
突破には至っていません。

米国ではオミクロン株の感染拡大が止まりませんが、昨年同様、株式市場では
大量の資金流入に支えられ株価の上昇が続いています。
ただ、今年はオミクロンに加え「金融政策の正常化」という、株式市場にとっ
て「強い逆風」が吹き荒れることが分かっており、果たして「リスクオン」が
どこまで続くのか、不透明です。少なくとも昨年のように年間で20%を大き
く超えるような上昇は見込めないと予想していますが、どうでしょうか。

新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染者が世界各地で拡大する中、2
日までの1週間の新規感染者は1000万人を突破し、過去最多を記録しまし
た。
米国ではこの1週間の新規感染者数が1日当たり平均で約40万5000人に
達し、2021年1月のピーク時を約60%上回ったと報告されています。
さらに指摘されているのが、PCR検査で陽性反応が出る確率は17%と、2
020年4月以降の高水準で、12月31日時点では3人に1人が検査で陽性
と判断される確率です。
これらのデータを総合すると、「オミクロン変異株があまりにも広がり、多く
の感染が見落とされている可能性が浮上する。家庭用の検査キットを使ってい
るか、あるいは検査そのものをしていないことが原因と考えられる」といった
指摘です。(ブルームバーグ)
オミクロン株は、感染力は強いがデルタ株に比べて軽症で済むといったデータ
が徐々に集まってきているようですが、一方で若年層では重症化するケースが
多く報告されているようです。

ドル円は続伸したものの、昨年11月24日に記録した115円52銭には届
いていません。もっとも、この時の米長期金利の水準は1.66%台まで上昇
しており、もう少し金利面からのサポートが不可欠だったのかもしれません。
今週末には早くも昨年12月の雇用統計が発表されます。
引き続き労働市場の回復は順調かと思われますが、ここでもオミクロン変異
株の存在が気になるところです。
雇用統計で良好な数字が示されれば、ドル円のサポート材料となり、上記11
5円台半ば突破も十分考えられます。当面はFOMCでの利上げの根拠となっ
ている「インフレ」の動向と、そのインフレに直結する原油価格の動向などに
注意しながら、ポジションを構築していく姿勢が有効かと思います。
昨年は、1月が102円台で、12月が115円台と、上下しながらも結局大
きくドル高が進んだ年でした。
今年は同じようなことはないと予想していますが、少なくとも春先まではドル
が下げたところを拾うスタンスが効果的と考えています。

本日のドル円は115円~115円70銭程度と予想します。


このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判
断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊
社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外国為替証拠金取引とは、元本や利益が保証された金融商品ではありません。お取引した通貨にて、
相場の変動による価格変動やスワップポイントの変動により、損失が発生する場合があります。
レバレッジ効果では、お客様がお預けになった証拠金以上のお取引が可能となりますが、証拠金以上の
損失が発生するおそれもあります。個人のお客様の取引に必要な証拠金は、各通貨のレートにより
決定され、お取引額の4%相当となります。証拠金の25倍までのお取引が可能です。
(法人のお客様の取引に必要な証拠金は、通貨ペア、取引コースにより1万通貨あたり3,500円から
34,000円の範囲内であり、証拠金の約200倍までの取引が可能です。)当社では、
「オフセット注文™」以外の取引手数料、口座維持手数料を無料としておりますが、
取引レートの売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があり、
また諸費用等については別途掛かる場合があります。当社は法令上要求される区分管理方法の
信託一本化を整備いたしておりますが、区分管理必要額算出日と追加信託期限に時間差があること
等から、いかなる状況でも必ずお客様から預かった証拠金が全額返還されることを保証するもの
ではありません。ロスカット取引は、必ず約束した損失の額で限定するというものではありません。
通常、あらかじめ約束した損失の額の水準(以下、「ロスカット水準」といいます。)に達した時点から
決済取引の手続きが始まりますので、実際の損失はロスカット水準より大きくなる場合が考えられます。
また、ルール通りにロスカット取引が行われた場合であっても、相場の状況によってはお客様より
お預かりした証拠金以上の損失の額が生じることがあります。お取引の開始あたり、
契約締結前交付書面を熟読の上、十分に仕組みやリスクをご理解いただき、ご自身の判断にて
開始していただくようお願いいたします。