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ウクライナ、ロシア交渉実施で合意 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円台半ばから後半で推移。ウクライナ情勢に
関するヘッドラインで上下しながらも、NY株の大幅高から
底堅く推移。
◆ユーロドルは前日の1.11台から反発。1.1274まで
ユーロが買い戻される。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に上昇。ダウは834ドル高と
今年最大の上昇を見せ、3万4000ドル台を回復。個人消費支出が
高水準だったことや、ウクライナ情勢を受け、FRBが積極的な利上げを
行う見通しが後退したことなどが材料に。
◆債券は横ばいでほぼ変わらず。
◆ウクライナ情勢の緊迫で買われた金は、利益確定の売りに押され
大幅安。原油も反落し91ドル台に。

◆1月個人所得                 →  0.0%
◆1月個人支出                 →  2.1%
◆1月PCEデフレータ             →  6.1%   
◆1月PCEコアデフレータ           →  5.2%
◆1月耐久財受注                →  1,6%
◆1月中古住宅販売成約件数           →  ‐5.7%
◆2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  62.8

本日の注目イベント

◆豪   豪1月小売売上高
◆日   1月鉱工業生産
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論会に参加

ウクライナはロシアとの交渉に前向きな姿勢を見せてはいましたが、その
会談場所を巡り双方に隔たりがあり開催が危ぶまれていました。昨日、ウ
クライナ大統領府は、同国の代表団がロシア側とベラルーシ国境で交渉す
ることで合意したと発表しました。
交渉に関する日時などの詳細は不明ですが、代表団はすで首都キエフを出
発したと報じられています。ただ、この交渉で戦闘が停止されるかどうか
は分かりません。
ロシアはすでにキエフ郊外にも軍を進めており、一般市民を含む多数の死
傷者が出ている模様です。またロシア側にも死傷者が出ているようです。

ロシアに対する欧米の経済制裁は、ついに「SWIFT]にも及んできま
した。世界の銀行が加盟し、日々の送金や貿易に伴う決済を行う「SWI
FT」から、ロシアの銀行が排除され、日本もこの制裁に参加することか
ら、今後ロシアは金融的には孤立し、同国の経済に与える影響は大きいと
見られます。日経新聞によると、ロシアの外貨準備は6300億ドル(約
73兆円)で、そのうちドルとユーロなどの外貨が5000億ドルあり、
円についても数兆円が日銀に預けられているようです。
単純な例で言えば、在日ロシア大使館に勤務する大使館員への給料も円で
受けとれなくなる可能性もあります。
仮に自国通貨ルーブルで受け取っても、国内の金融機関で円に交換するこ
とも出来なくなる可能性があります。
またロシアは金も1300億ドル相当保有していると見られますが、金は
ドルで決済されることから、金を売却出来たとしても受け取ったドルをル
ーブルに交換することができません。

さらに世界の投資家が、保有するロシア資産やルーブルを急いで売却しよ
うとすることから、ルーブルの価格が急落する可能性があります。ロシア
中銀が「ドル売り・ルーブル買い」の市場介入をしようにも、「SWIF
T」が止められている以上、決済できません。「SWIFT」から排除の
制裁を受けても直ぐにその影響は出ませんが、今後継続されればジワジワ
と自国経済あるいはロシア国民にも影響をもたらすと見られます。
ただ、通貨ルーブルが売られとしてもその影響がドル円にどのように及ぶ
のかについては、不透明です。
週明けの今朝も、早朝に115円を割り込む場面がありましたが、その後
115円78銭までドルが買われるなど、荒っぽい動きを見せ、市場関係
者もその影響を読み切れていない状況を映し出しています。

本日は先ずは日本株の動きに注目ですが、先週末のNYが大幅高だったこ
とから堅調に推移すると見られますが、ここでも「SWIFT」の影響を
読み切れない可能性があります。
またドルが買われた際に、116円台に乗せることが出来るかどうかも焦
点になります。116円台に乗せれば、約2週間ぶりです。

本日のドル円は115円10銭~116円10銭程度を予想します。


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ロシアのウクライ侵攻で金融市場は乱高下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場で114円台半ばまで売られたドル円は海外市場で
大きく反発。ウクライナが侵攻されたことで、ポンドやユーロが
対ドルで大きく下落したこともあり、ドル円も115円69銭まで
上昇。
◆ユーロドルは大きく売られ、1.1106までユーロ安が進む。
地政学的リスクが顕在化した。
◆ロシアのウクライナ侵攻で株式市場は売りが先行したが、その後
急反発。ダウは92ドル上昇し、ナスダックは前日比3.4%の
上昇となる436ポイント反発。
◆債券は買われ長期金利は1.96%台へと低下。
◆金は大きく買われ、一時は1976ドル台まで上昇。
WTI原油価格も大きく上昇し100ドル台を示現したが、その後
上げ幅を大きく縮小。

◆新規失業保険申請件数        →  23.2万件
◆10-12月GDP(改定値)    →  7.0%
◆1月新築住宅販売件数        →  80.1万件

本日の注目イベント

◆日  2月東京都区部消費者物価指数
◆日  12月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独   独10-12月期GDP(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏2月景況感指数
◆米   1月個人所得
◆米   1月個人支出
◆米 1月PCEデフレータ   
◆米   1月PCEコアデフレータ
◆米   1月耐久財受注
◆米   1月中古住宅販売成約件数
◆米   2月ミシガン大学消費者マインド(確定値)

ついにと言うか、やはりと言うべきか、ロシアはウクライナへの侵攻を断行
しました。「ロシアのウクライナ侵攻が秒読み段階に入った」とのコメント
を昨日のこのレポートでも書きましたが、昨日の昼過ぎ、一部メディアが「
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部のドンバス地方を『守る』ため
、特別作戦を命じたことを明らかにした」と報じました。ウクライナ侵攻の
始まりです。
バイデン大統領は、「ロシアによるウクライナ国民に対するいわれのない不
当な攻撃だ」と直ちに非難し、NATOのストルテンベルグ事務総長も、「
欧州・北大西洋の安全保障への重大な脅威だ」とロシアを非難しました。


これらの報道を受けドル円は114円台後半から114円台半ばまで売られ、
前場は288円安で引けた日経平均株価も後場の取引開始から一気に下げ、
一時は670円程の下げを演じました。
動きのなかったドル円も、やはり侵攻と武力行使が実際に行われたことで、
リスク回避の円買いが進みましたが、思いのほか底堅く、NYでは115円
台後半まで上昇しています。
侵攻が開始されればユーロが最も売られると予想していましたが、ユーロド
ルは2020年6月以来となる1.1106近辺までユーロ安が進みました。
ユーロ円も一旦は売られましたが、ドル円の急激な反発もあり、想定以上に
戻っています。
昨日のコメントで株価は反発するかもしれないとも書きましたが、結局ハイ
テク株を中心に大きく反発しました。「噂で売って、事実で買う」という市
場のセオリー通りの動きと言えます。WTI原油価格も同じような動きでし
た。昨日の夕方には100ドルの大台に乗せたものの、その後上げ幅を大き
く縮小しています。

バイデン大統領は24日ホワイトハウスで追加の制裁措置を発表しました。
ロシアの主要行へ制裁を行い、外貨取引能力を制限するとした上で、「現在
は欧州全体にとって危機的状況だ。ウクライナ国民にとって今後数週間ない
し数カ月は厳しいものになろう」と語っています。
イギリスのジョンソン首相も全てのロシア主要銀行に対する資産を凍結し、
ロシア企業が英国市場で資金を調達することを禁止する計画を含む、厳しい
制裁パッケージを公表しました。ただ現時点では、世界の金融機関が加盟し、
資金決済を一元化している「SWIFT」からロシアの銀行を排除するには
至っていないようです。

ロシア軍はミサイルや大砲による攻撃や空爆を全土に広げており、ウクライ
ナの防空能力は事実上、無力化されているようです。
西側情報当局の高官によると、首都キエフは数時間以内に陥落してロシア軍
に掌握される可能性があると述べている(ブルームバーグ)ようです。
ウクライナへの侵攻を行った以上、プーチン氏は早急にウクライナの非軍事
化を行い、現政権を倒し、ウクライナに「かいらい政権」を樹立することを
目指しているとの観測があります。
伝えられるように、今後はいつ首都キエフが陥落し、「かいらい政権」が樹
立されるのかが注目されます。

ウクライナ情勢は最悪のシナリオとなりましたが、FOMCメンバーはそれ
でも3月の利上げスタンスは変わらないとの発言を行っています。
クリーブランド連銀のメスター総裁は「経済が予想外に転換しない限り、3
月にFF金利を引き上げ、今後数カ月で追加利上げを行うことが適切だと考
える」と述べ、アトランタ連銀のポスティック総裁も同様な考えを示してい
ます。同総裁は、「緊急時レベルの緩和策を解除する必要性を変えるとは思
わない」と述べ、その上で、「今後の展開を見守る必要がある。過去数週間
で石油価格は天然ガスと同様に急上昇した。それが波紋を広げる可能性があ
る」と話しています。

ロシアのウクライナ侵攻は、想定されていたこともあり、市場への影響は現
時点ではそれほど大きくはありません。
もっとも、株式市場に目をやれば、これまでに大きく下落していたこともあ
り、実際に侵攻が開始されたことで買い戻しが入ったと見られます。
これで終わったわけではなく、仮にキエフが陥落したとしも今後はロシアと
欧米とのつば競り合いは続くとみられます。

本日のドル円は115円~116円程度を予想します。


ウクライナ情勢はさらに悪化へ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円前後で小動き。ウクライナ情勢の緊迫で
円が買われる場面もあったが、114円93銭止まり。
◆ユーロドルも1.13台で方向感が見られない展開。
今週はほぼ1.13台での推移。
◆株式市場は前日に続き大幅続落。ダウは464ドル下げ、
S&P500は1.8%下落。引き続きウクライナ情勢の悪化と
金利上昇が重石に。
◆債券も売られ、長期金利は1.99%台まで上昇。
◆金は反落し、原油は続伸。

本日の注目イベント

◆欧   G7首脳会談(議長国ドイツ、オンライン)
◆英   ベイリー・BOE総裁、会議で開会の挨拶
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10-12月GDP(改定値)
◆米   1月新築住宅販売件数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総、オンライン討論会に参加
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   2月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演、オンライン討論会に参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会に参加
◆米   ウォーラーFRB理事講演


24日に予定されており、外交的解決への最後の機会であったかもしれない「米ロ外
相会談」が中止され、さらに実現の可能性があった「米ロ首脳会談」についても、ロ
シア大統領府のペスコフ報道官は「具体的な計画はない」と述べ、緊迫度はさらに増
し、ウクライナへの侵攻は秒読み段階に入ったとの見方もあります。

バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、「ロシアのプーチン大統領が取った
行動はウクライナへの侵攻の始まりだ」と非難しました。
その上でバイデン氏は対ロシア制裁を発表し、「第一弾」として、インフラ整備と軍
需産業の資金調達を担うロシア国営の大手2行が米国内で取引ができないようにする
ことを発表しています。またロシアが新規に発行する国債の取引を欧米の市場で取引
できなくなることも含まれ、ロシアの今後の資金調達が困難になると見られます。
またバイデン氏はロシアへの制裁措置をさらに拡大する意向も示し、プーチン大統領
に近い層に対する制裁で対象者を増やす他、ロシアとドイツを結ぶ天然ガス海底パイ
プライン「ノルドストリーム2」の建設業社も対象に含める意向です。
ただ、バイデン氏はホワイトハウスの演説で、何百万人もの人々に計り知れない苦し
みをもたらす最悪のシナリオを回避するための時間はまだある。われわれはロシアの
言葉ではなく、行動で判断する。外交手段がまだあると期待している」と述べていま
す。

バイデン氏は演説で外交手段はまだ残っていると述べていましたが、プーチン氏は報
道される映像を見る限り、形相がさらに険悪になり、聞く耳を持たないように見受け
られます。
リスク資産である米国株は下げ止まらず、ダウは約半年ぶりの安値を記録し、恐怖指
数の「VIX指数」も再び大きく上昇し、昨日は「31.02」で引けており、市場
全体がリスク回避の動きを強めています。一方でドル円では、リスク回避の流れが高
まっている割には、「リスク回避の円買い」が起きていません。
それどころかドル円は、株式市場の大幅な値動きにもかかわらず、今週に入っての値
幅がわずか75銭程度と、1円にも満たない状況です。
やや異例な動きと言えますが、これはリスク回避の円買いと米金利の上昇に伴う円売
りが「拮抗している」ことが要因かと思います。実際に侵攻が開始され、武力行使が
行われたら円が買われる可能性は残っていると見ていますが、金利差による円売りの
圧力も相当なもののようです。

ウクライナ情勢がさらに激化し、最悪の事態になるようなら、FRBの利上げペース
にも影響が出て来るのではないかといった見方もできなくはありませんが、現時点で
はその可能性は低いようです。
侵攻がさらに激化すれば、原油を含む資源価格が一段と上昇し、インフレ加速につな
がる可能性もあります。FRBとしても遅すぎる対応は、その後大きな代償を払わさ
れることになりかねないと考えている部分もあろうかと思います。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は23日、「インフレ率は高すぎる。インフレ
圧力はパンデミック関連の混乱から直接影響を受けたセクター以外にも拡大し始めて
いる」とし、「予想外の重大な悪材料がない限り、3月は金融政策を調整し始める適
切な時期である」との認識を示しています。

ウクライナ情勢はいよいよ秒読み段階に入ったかもしれません。今週末にかけて警戒
が必要かもしれませんが、下落を続けている株式市場はひょっとしたら、侵攻が開始
されたら反発するのかもしれません。もっとも、その先には利上げも控えており、簡
単ではなさそうですが。「前門の虎、後門の狼」といった状況です。

本日のドル円は114円60銭~115円30銭程度といったところでしょうか。


ウクライナ情勢の進展見られず 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆ドル円はNY市場が休場のなか、緩やかに下落し、114円73銭
までドル安に。ウクライナ情勢の解決への兆しもなく、地政学的
リスクが続く。
◆欧州株式市場も軒並み下落し、ユーロドルはじり安となり、
1.1306近辺まで売られる。
◆英FTや仏CACも下げ、ロシア株式市場では2008年
以来となる大幅な下げを記録。

本日の注目イベント

◆独   独2月ifo景況感指数
◆米   12月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   12月FHFA住宅価格指数
◆米   2月マークイット製造業PMI(速報値)
◆米   2月マークイットサービス業PMI(速報値)
◆米   2月マークイットコンポジットPMI(速報値)
◆米   2月消費者信頼感指数
◆米   2月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論会に参加

フランスのマクロン大統領の仲介により、条件付きとは言え「米ロ首脳会談」が実施
されるとの報道もあり、昨日の東京時間でドル円は一旦115円台を回復し、500
円以上も下げていた日経平均株価が下げ幅を大きく縮小する場面もありましたが、「
具体的な計画はない」と、ロシア大統領府のペスコフ報道官が電話会見で述べており
、実現するかどうかは不明のようです。
そのようななかプーチン大統領は、ウクライナ東部の親ロシア分離主義勢力が実行支
配する2地域を独立国家として正式に承認すると発表しました。
この2つは、「ドネツク人民共和国」と、「ルガンスク人民共和国」で、この2つを
独立国家として承認したことで、ウクライナへの侵攻がより可能となったとの見方が
あります。
プーチン氏は、21日に時間は明らかになっていませんが、国民向けにテレビで演説
する予定だとしています。
ウクライナ情勢はむしろ悪化の一途を辿っているようで、ウクライナ侵攻が回避でき
るかどうかは、まさに「正念場」と言えます。

一方米国では、サキ報道官が21日の声明で、バイデン大統領が間もなく、親ロシア
武装勢力が実行支配しているウクライナ東部地域への米国民の新たな投資、貿易、資
金供給を禁じる大統領令を発令することを明らかにしました。
サキ報道官は、「今日のロシアのあからさまな国際公約違反に関する追加措置も間も
なく発表する」と説明し、「米国が同盟国と協力して準備してきた経済制裁に新たな
措置が加わる」と述べています。(ブルームバーグ)
こうした動きに対して欧州市場では、英、仏、独の代表的な株価指数は大きく売られ、
ロシアの株価は一時17%程下げるなど、記録的な下落になっています。
米株価先物指数も下げており、市場は急速に「ウクライナへの侵攻」を織り込む動き
を見せています。

FRBのボウマン理事は21日、カリフォルニア州で開かれた会議の講演で、「私は
3月の会合でのFF金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数
カ月中にも追加利上げが適切になる」と述べ、「インフレ抑制に向け強力な行動を取
るべきだ」とし、
0. 5ポイントの利上げの可能性に「肯定的な姿勢」を示しました。
FRB幹部が0.5ポイントの利上げを容認する姿勢を見せたのは、筆者が知るかぎ
り初めてのことかと思います。市場では0.5ポイントの利上げを予想する向きが徐
々に増えてはいますが、FOMCメンバーではセントルイス連銀総裁以外にはいませ
ん。今後の利上げ幅の議論に影響が出て来るかもしれません。


上でも述べたように、ウクライナ情勢は外交的解決の扉はまだ開かれてはいるものの
、その扉も徐々に閉まりかけている印象です。
連休明けのNY市場の動きが注目されますが、株安からリスク回避の円買いが続きそ
うな気配です。

本日のドル円は114円~114円90銭程度を想定しています。


米長期金利1.93%前後まで低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円を中心に小動き。引き続き軟調な株価と
ウクライナ情勢からドルの上値が限定的となり115円17銭が
この日のドルの高値。
◆ユーロドルも1.13台前半から半ばでもみ合い。年内の利上げ観測
を巡り見方も分かれる。
◆株式市場では3指数が揃って下落。ダウは232ドル下げ、ナスダック
とともに3日続落。FRBによる利上げとウクライナ情勢から上値の
重い展開が続く。
◆債券は3日続伸し、長期金利は1.93%前後まで低下。
◆金と原油は揃って下落。ともに連休前のポション調整の売りに押される。

◆1月中古住宅販売件数      →  650万件
◆1月景気先行指標総合指数    →  -0.3%

本日の注目イベント

◆独   独1月生産者物価指数
◆独   独2月製造業PMI(速報値)
◆独   独2サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏2月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏2月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏2月総合PMI(速報値)
◆英   英2月製造業PMI(速報値)
◆英   英2月サービス業PMI(速報値)
◆米    NY休場(プレジデンツデー)

この週末は北京オリンピックもありましたが、TVではウクライナ情勢一色の
印象でした。バイデン大統領はホワイトハウスで、「ロシアのプーチン大統領
がウクライナ侵攻を決定したと確認している」と明言し、近日中(Coming few
days)に攻撃する可能性があると語っていました。
ロシアは20日が終了予定日だったベラルーシとの合同軍事演習を延長するこ
とを決め、その理由に「ウクライナ情勢の緊迫」を挙げていますが、そもそも
緊張を高めているのはロシアです。
西側のメディアも招待されたなか公開された軍事演習は、かなり本格的なもの
で、ロシアの軍事力を見せつけるに十分でした。
ホワイトハウスのサキ報道官は、「ロシアはいつでも侵攻できる状況にある」
と述べています。

北京オリンピックも昨日で終わり、もし実際にこの後侵攻を開始したとすれば
、「北京オリンピック開催中には侵攻はない」と、素人考えで予想したことが
正しかったことになりますが、救いなのは、バイデン政権がこの局面でも外交
的解決へのドアを開いていることであり、ウクライナのゼレンスキー大統領も
首脳会合を行うことを提案していることです。
もし今週中にもウクライナへの侵攻があれば、リスク回避の円買いが進み、ド
ル円は下落。さらにユーロ円などが大きく売られ、「円全面高」の展開が予想
されます。足元で軟調な展開が続いている株価も一段と下げ、安全資産の債券
が買われ、金利が低下すると見られますが、債券についてはFRBの利上げと
いった逆風もあり、どこまで金利が低下するのか、読めない状況です。
また、ウクライナ侵攻が開始されれば株価の一段の下げもあり、景気そのもの
が悪化し、利上げも足元の想定通り行うことができないのではないかといった
見方もできますが、現時点では「たとえ侵攻があっても、利上げシナリオへの
影響はない」とする見方が大勢のようです。

シカゴ連銀のエバンス総裁は、「インフレ高進を踏まえ、金融政策の大きな転
換が必要だ」と指摘する一方、長期にわたる引き締めについては慎重な姿勢を
見せています。またNY連銀のウイリアムズ総裁は、「3月の利上げは適切」
としつつも、「最初に大きな一歩を踏み出すべきだとの説得力ある議論は見ら
れない」と述べ、0.5%の引き上げ幅には消極的な姿勢を示しています。
このようにFOMCメンバーは、一部を除いて概ね利上げにはハト派の姿勢を
示しており、市場の見方との乖離がさらに広がっているとみられます。
米大手金融機関では、バンク・オブ・アメリカとゴールドマンが今年の全ての
会合での
利上げを予想しており、JPモルガンは「米金融当局は今後9回の会合で毎回
0.25ポイントの利上げを決め、来年の早い時期までに政策金利を中立的な
状態に近づけるとみている」と、さらにタカ派的なレポートを発表しています
。(ブルームバーグ)この見方が正しければ、利上げは毎回行われ来年3月ま
で続くことになります。
因みにFOMCは年に8回開催され、今年は1月会合が終わっているため、今
年残りの会合7回と、来年1月と3月の都合9回利上げということになります。

ドル円は米長期金利の高止まりにサポートされる展開ですが、ロシアがウクラ
イナ侵攻を行えば、ドルの下値を試すことになるのはほぼ間違いないところで
しょう。
まだ、外交的な解決の可能性も残されているとは思いますが、株価や債券の動
きをみると、徐々にその可能性を意識してきたという印象です。
特に債券では、上述のように、FRBの利上げが加速するといった観測が強ま
るなかでも、2%まで上昇した金利が真逆の動きを見せています。

本日のドル円は114円30銭~115円10銭程度を予想します。


NY金価格8カ月ぶりに1900ドル台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ウクライナを巡る緊張がさらに高まったことから、リスク回避の
円買いが強まり、ドル円は115円を割り込む。
米長期金利が大きく低下したこともあり、114円85銭まで
ドル安に。
◆ユーロドルではドル安は進まず、ほぼ前日と同水準で推移。
◆NY株は3指数が揃って大幅安。ウクライナ情勢の混迷と
フィラデルフィア連銀景況指数が予想を下回ったことで
ダウは622ドル安。ナスダックも3%近い下げに。
◆債券は反発。長期金利は3日ぶりに2%を下回り、
1.96%台まで低下。
◆金は大きく買われ、昨年6月以来となる1900ドル台乗せ。
原油は反落。

◆新規失業保険申請件数         →  24.8万件
◆1月住宅着工件数           →  163.8万件
◆1月建設許可件数           →  189.9万件
◆2月フィラデルフィア連銀景況指数   →  16.0

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏12月経常収支
◆欧   ユーロ圏2月消費者信頼感指数(速報値)
◆英   英1月小売売上高
◆米   1月中古住宅販売件数
◆米   1月景気先行指標総合指数
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演、ウォーラーFRB理事、フォーラムに参加
◆米   ブレイナード・FRB理事講演
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、パネル討論に参加
◆加   カナダ12月小売売上高

ウクライナを巡る緊張は、ロシア軍の一部が撤収したとの発表がありましたが、
むしろその真偽を巡り混迷を深める結果になっています。
米国は、ロシアが軍事演習を終えた戦車などがクリミア半島を離れる映像を公開
しましたが、それは確認されていないとして「偽装工作」との見方を強めていま
す。
バイデン大統領はホワイトハウスの庭で記者から、ロシアのウクライナへの侵攻
の可能性を問われると、「近いうちにある」と述べ、「ロシアは7000人の兵
士を増強している」と警戒感を強めています。
グリンフィールド米国連大使は、「ロシアの侵攻が目前に迫っているという証左
を得ている」と語っています。
これに対してロシア側は引き続き、米国からはNATOの拡大停止を求めるロシ
アの要求に対して誠意ある回答を得ていないと、両国の主張は平行線をたどって
います。今朝の報道では、ロシアは米国の駐ロシア大使館ナンバー2である、ゴ
ーマン次席大使を国外追放したことを発表しました。

一旦鎮静化したかに見えたロシアによるウクライナ侵攻リスクが再び高まったこ
とで、昨日のNY市場ではリスク回避の円買いが活発となり、ドル円は114円
85銭まで売られています。
FRBによる利上げが連続すると見られていることから軟調だった米債券も昨日
は買われ、長期金利は2%を割り込んでいます。
株式市場は戻り基調を維持できず、ダウは622ドル安と大幅下落となり、ナス
ダックも2.9%安と、ほぼ全面安の展開でした。また金も大きく買われ、19
00ドルの大台を約8カ月ぶりに回復するなど、「Flight toQuality」(質への
逃避)が大きく進んだことが分かります。
ウクライナへの侵攻はないと主張するロシアと、侵攻は目前に迫っているとする
米国の主張が真っ向から対立していますが、今週末から来週にかけて、どちらが
「嘘」を言っているのか判明するかもしれません。

もう一つの焦点であるFRBの利上げ観測を巡り、JPモルガン・アセット・マ
ネジメントのマイケル最高投資責任者(CIO)はブルームバーグとのインタビ
ューで、「FRBが50ベーシスポイントの利上げに踏み切ることを望んでいる
」と、資産運用担当者としてはやや異質な発言を行っています。マイケル氏はそ
の理由について、「消費者物価の急激な上昇は債券投資家にとって悪いニュース
だ。資産価格上昇が見込めない上に、クーポン支払の価格が目減りするからだ」
とし、「50bp利上げをしなければ、市場は金融当局への信頼を失い、クレジッ
トや株式などリスク資産への投資は考えられなくなる」と述べています。

1月のFOMC議事録が公開され、多くのメンバーが早期の利上げを支持し、市
場は3月会合ではウクライナ情勢など不確実性はあるものの、0.5%の利上げ
の可能性を一段と強めている印象です。
どうやら、超タカ派のブラード・セントルイス連銀総裁の見方が[正鵠を射てい
る]といった状況になってきました。
そのブラード総裁は昨日も講演で、インフレがこの先長引く可能性があると指摘
していました。
ブラード氏は、「一部ではインフレが落ち着くと期待する向きもあるが、われわ
れが落ち着かなくなるリスクに対処する必要がある」と述べ、「市場は、ある程
度妥当な期間でインフレが落ち着くということに対して、やや信頼感を失いつつ
ある」と語っています。

FRBによる利上げを根拠とした「円売り」と、ウクライナ情勢や株価の下落に
伴う「円買い」に大きく振らされる状況は、足元では再び後者にシフトしつつあ
るようです。
本日の日経平均株価も再び2万7000円の大台を割り込むと見られ、最悪の場
合には前日比500円程の下げがあるかもしれません。ドル円では円買いが優勢
な展開が予想され、114円台半ばを割り込む可能性もあるかもしれません。

予想レンジは114円30銭~115円20銭程度と見ます。ウクライナ情勢が
最大の注目材料です。


ロシア軍の一部撤収にも欧米は警戒感を崩さず 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に下落。欧州通貨が対ドルで買われたこともあり、
115円36銭まで下落。
◆ユーロドルは反発。ECBの政策メンバーが年内の利上げに
言及したことで1.1395までユーロ高に。
◆株式市場は大きく下げる場面はあったが、小幅安で終える。
S&P500は下げを埋めプラス圏で引ける。
◆債券は小動き。長期金利はほぼ横ばい。
◆金と原油は共に反発。


◆1月小売売上高        →  3.8%
◆1月輸入物価指数       →  2.0%
◆1月鉱工業生産        →  1.4%
◆1月設備稼働率        →  77.6
◆2月NAHB住宅市場指数   →  82

本日の注目イベント

◆日   1月貿易統計
◆豪   豪1月雇用統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧   ECB経済報告
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   1月住宅着工件数
◆米   1月建設許可件数
◆米   2月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演

ロシアがウクライナ国境から軍の一部を撤収したことを発表したものの、
欧米各国は慎重な姿勢を崩していません。
ブリンケン国務長官は16日、「ロシア軍の撤収は確認していない」と指
摘し、「ウクライナ国境沿いには今なお非常に脅威的な形で結集している。
有言実行になれば良いが、今のところそれは見られない」と述べています。
このような見方はNATOのストルテンベルグ事務総長も同様で、「今のと
ころロシアでの緊張緩和は見られない」と話し、ブリュッセルではNATO
国防相会議が開催されています。
また19日には緊急のG7外相会合がドイツで開催され、ウクライナ情勢に
ついて話し合うことになりました。
コロナの影響もあり、オンライン会合になる可能性もあるようです。
さらに「G7首脳会合」開催の可能性も浮上しています。
これに対してロシア側はウクライナ侵攻の計画を繰り返し否定し、軍事行動
が迫っているとの米国の警告をヒステリーだと一蹴しています。
実際、ロシアのウクライナ侵攻の可能性はこれで終わったわけではなく、ま
だ緊張は続くと考えた方が良さそうです。

1月会合のFOMC議事録が公開されました。
議事要旨では、「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の
想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加
者は指摘した」とありましたが、概ね想定内の内容でした。
またバランスシート縮小の議論もあり、議事要旨では、「幾人かの参加者は
現状から判断して、いずれ年内にバランスシートの規模縮小を開始すること
が正当化される可能性が高いとコメントした」とありました。
この点も含めて全体的にはそれほど「タカ派的」ではなかったことから、市
場には安心感が広がり、大きく下げていた株価も反発しプラス圏に浮上する
場面もありました。
米長期金利は2%台で推移し、ドル円はやや下値を切り下げましたが、これ
も想定内の動きでした。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はオンラインイベントでの講演で、「も
し非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済を
リセッション入りさせるリスクを冒すことになる」と述べ、「同僚や自分自
身への戒めは、やりすぎないようにということだ」と語っています。
またインフレ率については、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、
着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」との予想を示しまし
た。
今週もこれまでに多くのFOMCメンバーによる発言がありましたが、セン
トルイス連銀総裁のブラード総裁を除けば、概ね急激な利上げには慎重な姿
勢を示していると思われます。
ゴールドマンなどは既に2回も年内の利上げ回数予想を上方修正し、バンク
・オブ・アメリカは7回の会合全てでの利上げを予想するなど、「FOMC
当局者と市場との認識の違いが、かなり乖離している」と感じます。
先走る市場を牽制する意味合いもあるのでしょうが、ここでも「中央銀行と
けんかはするな」という言い伝えは生きてくるのでしょうか?

新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染危機が身近に迫っている印象
ですが、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は16日の会見で、
米国内の新型コロナウイルスの感染状況を示す指標が急激に減少を示してい
ると指摘していました。
欧州でもドイツやギリシャでは新型コロナ対策で導入していた制限措置を解
除する動きが進んでおり、スイスとオーストリア、オランダでも制限解除を
計画しています。
日本でも昨日、厚生労働省の専門家組織の脇田座長は「2月上旬にピークを
越えたと考えている」と述べています。確かにピークを付けたようには見え
ますが、新規感染者数は高止まりしており、死亡者数がかなり高水準なのが
懸念されます。
幼稚園や小学校での感染の広がりが家庭内でも広がり、親や高齢者が感染す
るケースが多いと聞いています。


オミクロンのリスクはやや後退し、市場は引き続き米国でのインフレの高進
状況とウクライナ情勢に左右される展開です。
WTI原油価格は依然上昇傾向を維持し、どうやら「100ドル」に達しな
いと済まない雰囲気です。ドル円も底値は堅いものの、116円台定着には
至っていません。
ただ考えようによっては、「113円台半ばから116円台半ばのレンジ相
場」だと割り切り、その中でのトレーディングであれば勝機は何度もありま
す。ただし、上記レンジを明確に突破した時には注意が必要です。抜けた方
向に大きく動く可能性があるからです。

本日のドル円は115円~115円80銭程度を予想します。


ウクライナ情勢の緊張やや緩和 

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

◆ドル円は欧州時間朝方から上昇に転じ、NYでは115円88銭
までドル高に。ウクライナ情勢の緊張がやや後退したことで
円売りが進む。
◆ユーロドルは買い戻しが入り、1.1368まで反発。
◆株式市場では3指数が揃って大幅に反発。ウクライナ情勢の
緊張がやや緩和されたことからダウは422ドル上昇。ナスダックも
2.5%買われ、1万4000ポイント台を回復。
◆債券は続落。1月のPPIが予想を上回ったことや、リスクが
やや後退したことが背景。長期金利は一時2.05%台まで上昇。
◆金と原油はリスクオフの流れが後退したことで共に下落。

◆1月生産者物価指数      →  1.0%
◆2月NY連銀製造景況業指数  →  3.1

本日の注目イベント

◆中   中国1月消費者物価指数
◆中   中国1月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏12月鉱工業生産
◆欧   NATO国防相会合(ブリュッセル、17日まで)
◆英   英1月消費者物価指数
◆英   英1月生産者物価指数
◆米   1月小売売上高
◆米   1月輸入物価指数
◆米   1月鉱工業生産
◆米   1月設備稼働率
◆米   2月NAHB住宅市場指数
◆米   FOMC議事録(1月15-16日分)
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

ウクライナ情勢を巡る緊張がやや緩和したことで、金と原油が大きく売られ、
下落基調だったNY株が大幅に反発しました。債券市場では1月の米PPI
が市場予想を超えたことや、リスクオフがやや後退したことで債券が売られ
長期金利は2.04%台で取引を終え、これがドル円を押し上げ、NYでは
115円88銭までドルが買い戻されています。

ロシアのプーチン大統領は、米国およびその同盟国との間の緊張状態につい
て、外交による解決を望んでいると述べました。ウクライナ国境付近に集結
させている部隊については、一部撤収を明らかにしています。その上で、ウ
クライナのNATO加盟を認めないようにというロシアの要求を巡る西側の
対応を、ロシアが永遠に待ち続けることはないとも警告しました。
プーチン氏は会見で、「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を
通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争につい
ては、ノーだ」と言明しました。
ただ、「ロシア側は一貫して侵攻の意図を否定しているが、プーチン氏はロ
シアの安全保障に関する要求が対処されない場合に、緊張を一段と高める可
能性も排除していない」(ブルームバーグ)との見方が一般的のようです。
バイデン大統領もホワイトハウスで演説し、「われわれは外交努力による解
決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対
処する現実的な方法が存在すると私は考える」と語り、さらに「ロシアの市
民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクラ
イナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」と語りかけていま
す。
同時に、一部部隊をウクライナ国境付近から撤収させたとするロシアの主張
については、米国はまだ確認していないとして、ウクライナ侵攻はなお起こ
り得るとする考えを見せています。

1月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る「1.0%」でした。
前年同月比でも「9.7%」の上昇で、生産過程でのインフレ圧力がなお強
いことが示され、これは、消費者物価の最終コストに引き続き波及する可能
性が高いことになります。
NYのエコノミストは、「根強い供給混乱にエネルギー価格の高騰が重なっ
ているため、生産者物価が正常なパターンに戻るのは年内のもっと先になる
だろう」と話しています。
PPIの上振れを受け、米債券市場では債券が一段と売られ、長期金利は2
019年7月以来となる2.04%台で引けています。
一方日本の長期金利も徐々に上昇傾向を見せていますが、14日には日銀が
「0.25%」で無制限に債券を買いとる「指し値オペ」を通知しましたが
、結局応札はなかったようです。現行の金融政策における長期金利の上限に
あたるため、市場に介入したことになります。
日米中銀の金融政策の差から今後も金利差が拡大すると見られますが、金利
面だけに限って言えば、円はさらに売られ易い状況にあります。


本日は1月のFOMC議事録(1月15-16日分)が公開されます。
会合では「3月会合での利上げが適切だ」との意見が多くあったかと思われ
、1月のCPIとPPIの上振れもあり、「0.5%利上げ」への圧力がさ
らに高まってきそうです。ドル円は引き続き「深押ししたところを拾う」ス
タンスが有効かと思いますが、上述のように、ウクライナ問題はまだ終わっ
たわけではありません。引き続き、「米金利高による円売りと、リスク回避
の円買い」に振られる展開です。

本日のドル円は115円20銭~116円程度を予想します。


WTI原油価格95ドル台に 


ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円近辺から上昇。米長期金利の上昇に
115円75銭まで買われた。
◆ユーロドルではドル高が進み、1.1280近辺まで
ユーロ安に振れる。
◆株式市場は続落。依然としてウクライナ情勢が重石となり
ダウは171ドル下落。プラス圏で推移していたナスダック指数は
ほぼ横ばいで取引を終える。
◆債券は下落。長期金利は1.95%台まで上昇。
◆金は7日続伸し1869ドルに。原油も大幅に買われ95ドル台に。


ドル/円  115.37 ~ 115.75

ユーロ/ドル 1.1280 ~ 1.1331

ユーロ/円  130.21 ~ 130.92

NYダウ  -171.89 → 34,566.17

GOLD  +27.30 →  1,869.40ドル

WTI  +2.36 →  95.46ドル
 
米10年国債 +0.050 → 1.987%


本日の注目イベント

◆日   10-12月GDP(速報値)
◆日   12月鉱工業生産(確定値)
◆独   独2月ZEW景気期待指数
◆欧   ユーロ圏12月貿易収支
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(改定値)
◆英   英1月失業率
◆米   1月生産者物価指数
◆米   2月NY連銀製造景況業指数
◆加   カナダ1月住宅着工件数

ウクライナ情勢を巡りやや明るい兆しは見せたものの、依然として緊張は高まった
ままのようです。今週中にもロシアはウクライナへの侵攻を開始するとの報道もあ
りますが、ロシアではラブロフ外相が、欧州での安全保障を巡る自国の要求につい
て米国および米同盟国との協議を続けるべきだと、プーチン大統領に述べたと伝え
られています。プーチン氏はその直後ショイグ国防相とも会談し、ショイグ氏は、
現在実施中の大規模軍事演習の一部は既に終了し、その他の演習も追って終了予定
だと報告したとしています。
また、部隊を基地に戻す計画については明言しなかったものの、他の複数の当局者
は、演習が終了すれば部隊は帰還するだろうと述べています。(ブルームバーグ)

一方でサリバン大統領補佐官は13日CNNとのインタビューで、「ごく間近に大
規模な軍事行動が起きる確かな可能性がある」と発言していました。
G7財務相は、緊迫するウクライナ情勢を受け、ロシアがウクライナに侵攻した場
合、「迅速かつ協調された強力な対応を取る」との声明文を発表しました。
ロシアに対して大規模な金融制裁を行うと同時に、ウクライナに対して経済支援を
行うことも発表しています。
昨日の夜のNHKテレビ「NW9」では、NHKのキャスタ―が在日ロシア大使の
ガルージン氏に直接、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性を問う番組がありまし
た。
大使は流暢な日本語で「ロシアは戦争をする意図も計画もない」と明言していまし
たが、
それでも最後に、ロシアは「軍事技術的な措置を取る可能性はある」と微妙な言い
方をしていました。
「軍事技術的な措置」が何を意味するのかについては触れていませんでしたが、結
局はプーチン氏の判断が全てなのでしょう。

商品市場ではロシアのウクライナ侵攻に備える動きが活発化しています。
WTI原油価格は昨日も大きく上昇し、95ドル台後半まで買われています。
軍事侵攻が開始されると原油供給が逼迫するといった読みのようですが、さらに世
界を襲っている「寒波」の影響から、原油需要も高水準のようです。
また金価格も上昇し、昨日は7日続伸し、一時は1876ドル台まで買われる場面
もありました。世界的な金利上昇が見られるなか、金利のつかない金には不利な状
況かとは思いますが、「有事の金」といったところでしょうか。
また、本来なら安全資産の「債券」が買われ、金利が低下するところですが、今回
はFRBによる利上げが見込まれることから債券は売られ、金利上昇につながって
います。

FOMCメンバーによる発言も相次いでいます。
タカ派の代表格であるセントルイス連銀のブラード総裁は14日、高インフレに対
応するため7月1日までに政策金利を合計で100ベーシスポイント引き上げ、F
RBのバランスシート縮小を4-6月に開始することが望ましいとの見解をあらた
めて示しました。
ブラード氏は、「計画されている緩和解除をより従来よりも前倒しする必要がある
」と指摘し、「(元FRB議長の)アラン・グリーンスパン氏が一度も目にしこと
がなかった数字が出ている」とし、「問われているのはわれわれの信頼性であり、
われわれはデータに応じて行動しなくてはならない」と語っています。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「パンデミック前の水準に向けて踏み出し、
着実に戻っていくのは時宜にかなっている」と述べ、正常化への着手を支持する意
向を示しました。
また、カンザスシティー連銀のジョージ総裁も、緩和解除を始めることが肝要との
見方を示し、「7.5%のインフレ率とタイトな労働市場のなかで、ゼロ金利が正
しい調整だとは思わない。一方で行き過ぎた誘導を避けるべきだとも考えている。
従ってこの先重要になるのは、体系的であることであり、何に向っているのかを意
思伝達することだと考えている」と述べています。(ブルームバーグ)
ブラード総裁の超タカ派の意見に従えば、政策金利を3月に0.5%、5月、6月
に0.25%引き上げることになるのでしょうか?

昨日のドル円は朝方には115円台半ばを超えていましたが、日経平均株価が70
0円を超える下げになったことで115円30銭台まで売られ、欧州市場では11
5円前後まで下げた後、NYでは115円75銭まで反発するなど、引き続き荒っ
ぽい動きです。

本日のドル円は115円10銭~116円程度を予想します。


ドル116円近辺から115円手前まで急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は急落。前日116円34銭まで上昇したものの、
この日はウクライナ情勢のさらなる緊張や、株価の大幅安から
円が買われた。一時は115円04銭まで売られ、元の水準に
戻る。
◆ユーロドルも水準を切り下げ1.133近辺まで下落。
◆株式市場は大幅続落。FRBによる利上げが加速するとの見方や
ウクライナ情勢の緊迫から、ダウは連日500ドルを超える下げに。
◆債券は横ばい。長期金利は1.93%台で推移。
◆金は6日続伸。原油も大幅に買われ一時は94ドル台に。


◆2月ミシガン大学消費者マインド(速報値)→  61.7

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏12月鉱工業生産
◆欧   ラガルド総裁、欧州議会に出席

先週10日に発表された米1月の消費者物価指数は、先月の「7.0%」を超え、
市場予想の「7.2%」をも超える「7.5%」でした。
エネルギーと食品を除いたコア指数も「6.0%」と、あらゆる分野で一段と物
価上昇が進んでいることが浮き彫りになりました。
この発表を受け、3月のFOMCで「0.5%の利上げ」の可能性がさらに高ま
り、「FRBは利上げ加速を余儀なくされる」といった観測も高まりました。ド
ル円はCPI発表を受け116円34銭までドル高が進み、昨年10月以来、お
よそ3カ月半ぶりのドル高水準を付けました。
一方NY株式市場では再び株価の大幅下落が進み、10日(木)と11日(金)
の2日間でダウは1000ドルを超える下げを演じ、ナスダック指数もそれを上
回る下落になっています。
116円台半ばまで買われたドル円は、株価の大幅な下げとウクライナ情勢の緊
迫から円を買う動きが強まり、先週末には115円割れ目前の水準まで押し戻さ
れ、株価ほどではないものの、大きな値動きになっています。
米金利上昇によるドル買いと、ウクライナ問題や株安などによる円買いが交錯し
ている状況が続き、一方方向には行きにくい展開が続いていることは、この欄で
何度も指摘している通りです。
当面は小まめに利益を確定しながら、チャートに沿ったオペレーションをするこ
とが肝要です。

ウクライナ情勢は「一触即発」と言ってもいい状況のようです。
ロシアは10日、ベラルーシで大規模な共同軍事演習を始め、ウクライナだけで
はなく、隣接するポーランドにも警戒感が高まっています。
そのため、米国防総省はポーランドに3000人の兵を派遣することを決めてい
ます。
バイデン政権も手をこまねいているだけではなく、ウクライナ国境でのロシアの
活動拡大を阻止するため、米日韓外相会議をハワイで行い、共同声明も発表して
います。またバイデン氏自身も12日に、プーチン大統領と直接電話会談を行い
ましたが、事態の進展はほぼなかったようです。
バイデン氏はプーチン氏に対し、「ウクライナに侵攻すれば、ロシアは『深刻な
代償』を払うことになる」と再度警告したと、ホワイトハウスは発表しました。
一方ロシアは「NATOの東方拡大停止といった安全保障に関するロシアの要求
は 米国に無視されている」とし、米国の警告を「前例のないヒステリー」と一
蹴しており、両国の批判合戦が続いている状況です。
ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は「脅威は差し迫っている」として、ウ
クライナに滞在する米国人に48時間以内に撤退するよう促したと語っています。

11日に発表された2月のミシガン大学消費者マインド速報値は前月に続いて低
下しており、約10年ぶりの低水準になりました。速報値は「61.7」と、2
011年10月以来となり、特に期待指数は「57.4」と、ここ10年余りで
最低となっています。
家計状況の悪化を見込むとの回答比率が26%と、1980年以来の最高水準に
達し、インフレ高進が家計のバランスシートに悪影響を与えていることを示唆し
ている(ブルームバーグ)と見られます。米調査機関の調べでは、CPIの上昇
率が7%の経済環境では、2%だった2019年に比べ平均的な家計で年間30
00ドル(約34万円)の追加負担になる(日経ラウンドアップ)との試算もあ
ります。

この様な状況の中1月のCPIが一段と加速しており、FRBは非常に厳しい政
策運営に直面していると言えます。高進するインフレを阻止するため、かなり強
力な利上げを行えば、景気をオーバーキルする可能性もあり、景気後退の中物価
だけが上昇してしまう「デフレ」に陥る危険性があります。一方で、手ぬるい利
上げでは、インフレがさらに進み国民の生活を圧迫するだけではなく、バイデン
政権の支持率にも悪影響が出て来る可能性があります。
加えて、ウクライナ情勢など読めない要素もあり、救いは、まん延していたオミ
クロン変異株の感染拡大がどうやらピークを超えた可能性が高いことくらいです。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はCBSの番組で、「急激でアグレッシブ
な行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になり
かねない」と指摘し、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を
注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える
時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会
合になることも考えられる」と述べ、保守的ながら、個人的にはFRBが取るべ
き道筋を示したとものと受け止めています。

米1月のCPIを見極める姿勢強まる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動き。米長期金利がやや低下したことで
115円38銭まで売られたが、その後元の水準に。
今夜のCPI発表を前に動きにくい展開。
◆ユーロドルはドイツ連銀総裁の発言などもありやや反発。
1.1448までユーロが買われる。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。大型株やハイテク株に
買いが入り、ダウは300ドルを超える上昇。S&P500も
65ポイントの上昇。
◆債券は反発。債券の売り圧力はやや低下。長期金利は1.94%台
へと低下。
◆金は3日続伸。原油は3日ぶりに小幅に反発。

本日の注目イベント

◆欧   欧州委員会、経済見通し発表
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   1月消費者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米 1月財政収支
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演(オンライン)

ウクライナ情勢の緊迫が続いているにもかかわらず、米株式市場では株価
の上昇が続き、これで今年の大幅な下げの半分程度を取り戻しています。
ダウは305ドル買われ、1月27日の引け値からは1500ドル程上昇
しています。また、さらに下げのきつかったナスダックも安値から114
0ポイントほど反発しています。このまま上昇を続けるかどうかは分かり
ませんが、少なくとも足元のボラティリティの高さは当分続きそうです。
1月26日には「31.96」まで上昇し、市場の恐怖感が急速に高まっ
た「VIX指数」も、昨日は約4週間ぶりに危険水域とされる「20」を
下回り、「19.96」で取引を終えています。市場の恐怖感が大きく後
退したことを表しています。
ドル円は115円台半ばまで上昇したものの、そこから116円台をテス
トする動きには至っていません。
1. 97%近辺まで上昇した長期金利も上げ一服といった状況で、い
ずれも本日の米1月の消費者物価指数の発表を待っているところです。

クリーブランド連銀のメスター総裁は欧州経済・金融センター主催のオン
ラインセミナーで、3月の会合で0.5ポイントの利上げは適正かとの質
問に、「どの選択肢も検討から外したくない」と答えながらも、「50ベ
ーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」と
、0.5%の利上げには消極的な考えを示しました。
アトランタ連銀のポスティック総裁も9日CNBCとのインタビューで、
今年は25ベーシスポイントの利上げが3回あるとの予想を示した上で、
「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」と述べていま
す。(ブルームバーグ)
いずれも、ややハト派的なニュアンスを示し、市場の予想に比べるとかな
り保守的だと言えます。
市場ではすでに4回の利上げは織り込んでおり、5回の利上げも正当化さ
れそうな勢いです。
ただ、今夜の1月のCPIが予想を上回るようだと、0.5%利上げへの
圧力が増し、
FOMCメンバーもその方向に引き寄せられる可能性もありそうです。
現時点では3月の会合で0.5%の利上げの可能性は低いものの、サマー
ズ元財務長官などから「FRBの対応は後手にまわっている」と批判され
ていることもあり、仮に今夜のCPIが予想を上回り、3月会合で0.5
%の引き上げを行えば、FRBが政策の遅れを認めたことになるため、パ
ウエル議長も難しい判断を迫られることになります。

一方インフレの伸びが米国ほどではないものの、ECB政策委員会ではE
CBが発表済みの現在のインフレ予側に疑問を示す委員が増えているとの
報告もあります。
ユーロ圏の1月のインフレ率は「5.1%」でしたが、委員会の今年平均
の予測は「3.2%」で、その予測の中心にいるレーン理事は、域内のイ
ンフレは年後半に向けて緩やかに低下するとみています。これに対してド
イツ連銀のナーゲル総裁は、「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、
リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」と述べ、ドイツ連銀の専
門家チームはドイツのインフレ率が今年4%を優に上回る公算が高いと予
測していることを明らかにしています。ECB内部ではドイツ連銀総裁を
筆頭に、オーストリア連銀総裁などが早期の利上げに傾いています。
こちらも今後のインフレ指標が多いに注目されるところです。

新型コロナウイルスの感染者数が世界で4億人を超えました。
パンデミックが始まって2年余りで4億人を超えたことになり、死者数も
576万人を上回りました。
日本でも感染者数が高止まりしており、死者数が急激に増えていることが
気になります。
オミクロン変異株は、感染力は強いが重症化のリスクは低いとみられてい
ましたが、やはり高齢者や基礎疾患を持った人が罹患すると危険なことは
変わらないようで、軽度の感染者が爆発的に増大していることが医療逼迫
を引き起こし、助かる人も亡くなっているのが現状のようです。
海外に目を向けると、NY州では屋外でのマスク着用義務を9日に解除す
ることを決め、香港では感染が急拡大していると報告されています。
コロナとの闘いはまだまだ続くと考えざるを得ません。

本日のドル円は115円10銭~116円程度を予想します。


米長期金利1.96%台に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は米長期金利の上昇もあり大幅に続伸。東京市場から欧州市場にかけても堅調な動きとなり、NYでは115円63銭まで買われた。

  • ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、依然1.14台を維持。

  • 株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは371ドル上昇し、金利上昇にもかかわらずナスダックも178ポイント買われる。

  • 債券は続落。長期金利は1.96%台まで上昇し、2%も視野に。

  • 金は続伸。原油は需給の緩和もあり続落。90ドル台を割りこむ。

本日の注目イベント

  • 豪 2月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 独 12月貿易収支
  • 独 12経常収支
  • 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演(オンライン)
  • 米 ボウマン・FRB理事講演

米長期金利が一段と上昇し、昨日のNYでは1.96%台を記録しました。先月末が1.77%台であったことを考えると、金利上昇が急ピッチで進んでいることが分かります。3月の会合での利上げ開始は完全に織り込まれており、今や関心の的は、年内の利上げ回数が5回なのか、6回なのかという点に移っています。そういった事情もあり、債券が売られ金利が上昇しています。大きく売りこまれた米株市場でもジリジリと反発する動きもあり、資金が再び債券から株へ流れつつあるのもしれません。米シティーグループは長期金利は2%まで上昇すると予想しており、JPモルガン・アセットは年内に3%を試す可能性もあるとみています。(ブルームバーグ)

一方、株式についてはJPモルガン・チェースがリポートで、「株式は依然として上向きで、サイクルはまだ到底終わったとは思えない」と発表しています。上昇が見込まれ、絶好の買い場との見立てですが、モルガン・スタンレーは全く逆の見立てをしており、「株式はまだ下げる余地がある」との見解を示しています。どちらかが正しく、どちらかが間違っていることになりますが、春先にはその結果が示され、興味深いところです。米長期金利が3%に向うようだと、株式には「相当な逆風」となることは間違いないと思われますが、それを跳ねのけるほどの企業業績の上積みが見込めるかどうかです。ドル円にとっては追い風となりそうです。米金利の上昇に伴い、より魅力的な金利水準を求めた本邦からの投資も活発になろうかと思います。昨日時点では、日本の長期金利は一段と上昇したとはいえ、「0.205%」で、米国のそれは「1.963%」です。金利差を背景に米国への投資は続くと予想され、基本的は「ドル買い・円売り」の需要が発生することになります。

数日中にもロシアのウクライナ侵攻があり得るとの観測も出ているほど緊張が増しているウクライナ情勢ですが、ロシアのプーチン大統領との会談を終え、ウクライナのキエフに向う途中、マクロン仏大統領は「ロシアのプーチン大統領から、ウクライナを巡る情勢をこれ以上悪化させることはないとの保障を得た」と記者団に述べています。具体的な内容には触れていないようですが、6時間にわたるプーチン大統領との会談の中で得たものとのことです。これに対してロシア大統領府は、マクロン氏の主張についてはコメントを控え、「プーチン大統領はマクロン大統領の考えには合理的な要素があり、それを基に今後作業を継続できると指摘した」と説明しています。

状況からするとマクロン氏の「フライング」の印象は否めませんが、仮にロシアが実際にウクライナに侵攻した場合、為替市場ではどのような反応が予想されるのかといったアンケートが、筆者が毎月投稿している「QUICK社」からも依頼がありました。先ず、最も売られるのは「ユーロ」かと思います。他には「ポンド」も売られると思いますが、ウクライナ周辺に兵を派遣している米国の「ドル」も売られる可能性があります。そして、買われる通貨がスイスフランと円ということになりそうです。そう考えるとドルストレートよりもユーロ円などのクロス円の方がより下落する可能性が高いと見ていますが、足元の動きではその気配は全くなく、むしろ円全面安の展開になっています。ただ、これはあくまでも個人的な予想で、実際にどのような展開になるのかは不透明です。アンケートの最後に、「ロシアは実際にウクライナに侵攻すると思いますか」といった質問もあり、それには希望も込めて「ない」と答えておきました。

明日は1月のCPIが発表されます。総合CPIは「7.3%」(前月は7.0%)、CPIコアは「5.9%」(前月は5.5%)と、いずれも12月より一段と上昇していると予想されています。予想を上回るようだと、長期金利がさらに上昇し、ドル円も116円方向を試すことになりそうですが、株価の下落が「どの程度円買に」直結するのか、注意が必要です。

予想レンジは115円20銭~116円10銭程度とします。

WTI原油価格7日ぶりに下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動きの中緩やかに下落。一時は114円93銭まで
売られたが115円台に戻して引ける。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。
◆株式市場はもみ合いながら下げ基調に。ダウは辛うじて
プラス圏で取引を終える。ナスダックとS&P500は下落。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は1.91%台で推移。
◆金は続伸。原油価格は7日ぶりに下げる。

◆12月消費者信用残高   →  18.898b  

本日の注目イベント

◆豪   豪1月NAB企業景況感指数
◆日   12月貿易収支
◆日   12月国際収支
◆日  1月景気ウオッチャー調査
◆欧   マクロン大統領、ウクライナ訪問
◆米  12月貿易収支
◆米  企業決算 →  ファイザー
◆加   カナダ12月貿易収支

ウクライナ情勢は日増しに緊迫感が高まっているようです。
昨日この欄で、「素人考えでは、北京オリンピック開幕中にロシアがウクライナ
に侵攻する可能性は低いのでは」とコメントしましたが、やはり素人考えのよう
です。ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官はABCテレビの番組で、「ロシ
アはオリンピック開催中でもウクライナに軍事進攻する可能性がある」と述べて
います。

バイデン大統領はホワイトハウスでドイツのショルツ首相と会談し、ロシアがウ
クライナに侵攻した場合、米独で一致した対ロ制裁を行うことを確認しました。
ショルツ首相は、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリー
ム2」計画は進まないと強調し、「結束して対応する。全ての必要な措置を取る
」と語っています。
また、支持率低下に直面しているフランスのマクロン大統領は訪問先のロシアで
プーチン大統領と会談し、「戦争を回避し、信頼、安定、予見可能性を築くため
の有益な対応を模索している」と話しています。
プーチン大統領はこれに対して、「欧州の安全保障の分野で起きていることに懸
念を共有している」と答え、フランスは危機解決に向けて多くの取り組みを行っ
ているとの認識を示しています。
4月の大統領選で再選を目指すマクロン氏は、今回の危機解決に向け「仲介役」
を果たそうと積極的な外交を進めており、本日はウクライナを訪問する予定です
。ロシアのウクライナ侵攻についてマクロン氏は、「即座に奇跡が起きるとは考
えていないが、楽観的に構えている」と述べています。

1月の雇用統計発表を終えた月曜日のマーケットは比較的大人しい動きでした。
115円台半ばまで買われたドル円は緩やかに下落し115円台を割りこむ場面
もありましたが、再び115円台に戻しており、ユーロドルは先週末の水準とそ
れほど変わっていません。米長期金利も1.91%台で推移し、高止まりといっ
たところです。
ただ、世界的なインフレを背景に日本の円金利が上昇傾向を強めています。
昨日の債券市場では、新発10年債の利回りが一時「0.205%」まで上昇し
ました。これは2016年以来6年ぶりの水準になります。金利上昇は長期金利
だけではなく、30年債や40年債といった超長期金利も上昇し、それまでマイ
ナス圏で推移していた5年債もプラス圏に浮上しています。
長期金利に対する現行の日銀の政策スタンスは、「ゼロ%を中心にプラスマイナ
ス0.25%」であることから、長期金利がさらに上昇し、0.23%前後では
日銀が「指し値オペ」に出て来る可能性が高いと債券トレーダーは分析していま
す。昨日の東京株式市場で銀行株が大きく上昇した背景には、金利上昇が利ザヤ
の拡大を通じて金融機関の利益増大につながるといった思惑もあったようです。

利上げ観測が徐々に高まっているユーロ圏ですが、ラガルド総裁は欧州議会で、
「今後入って来るデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響
を慎重に分析する」と発言し、「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」と述
べ、拙速に結論を急ぐ必要はないとの認識を示しました。

市場は10日に発表される米1月の消費者物価指数に注目しています。
1月の雇用統計を受け、再び利上げが加速されるといった見方が強まり、投資家
は今年5回の利上げを織り込みつつあります。また利上げ幅も「0.5%」を予
想する市場関係者が徐々に増えている状況です。
ただ、市場の趨勢は「FRBは年前半には利上げを急ぎ、その後はデータを見な
がら適切に対応するだろう」といった見方です。また、利上げ幅についても「3
月会合での0.5%引き上げの可能性は低い」といったものです。
ただし、それでも1月のCPIが予想を上振れするようだと、利上げ加速を一気
に想定し始めることも考えられ、10日のCPIが非常に重要になります。

本日のドル円は114円80銭~115円60銭程度と予想します。


米1月の雇用者数46.7万人 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆雇用統計の上振れを受け、ドル円は115円43銭まで上昇。
長期金利が上昇したこともあり、FRBの利上げスタンスが加速される
との見方が支えに。
◆ユーロドルは続伸。年内の利上げ期待が高まり1.1468まで上昇。
◆株式市場は金利高にも拘わらず、S&P500とナスダックが上昇。
ダウは21ドル安と小幅に続落。
◆好調な雇用統計を受け債券は大幅安。長期金利は一時1.93%台まで
上昇し、1.90%台で越週。
◆金は続伸。原油は6日続伸し、一時は93ドル台まで買われる。
ウクライナ情勢の緊張に加え、米南部などに寒波が押し寄せた
ことも材料に。

◆8月失業率          →  4.0%
◆8月非農業部門雇用者数   →  46.7万人
◆8月平均時給 (前月比)   →  0.7%
◆8月平均時給 (前年比)   →  5.7%
◆8月労働参加率        →  62.2%

本日の注目イベント

◆日  12月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中   1月財新サービスPMI
◆中   1月財新コンポジットPMI
◆中   中国1月外貨準備高
◆独   独12月貿易収支
◆独   独12月鉱工業生産
◆欧   フランス大統領ロシアを訪問
◆米   12月消費者信用残高
◆米   米独首脳会談(ワシントン)

1月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の「15.0万人」に対して
大きく上振れ「46.7万人」でした。
さらに12月分も「50.3万人」と、大幅に上方修正され、失業率は0.1ポ
イント悪化したものの、平均時給も前年比で「5.7%」と、「どこから見ても
良好な」雇用統計でした。この欄でも指摘したように、3日に発表されたADP
雇用者数は市場予想を大きく下回る
「30.1万人の減少」でしたが、本番の雇用統計とはかならずしも趨勢が一致
しないことも多く、注意を促しました。
好調な労働市場のデータを受け、3月のFOMCでの利上げ開始はもとより、利
上げ回数も「6回」といった観測が高まり長期金利を押し上げました。


サマーズ元財務長官はブルームバーグテレビジョンで、「市場は毎会合での利上
げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントよ
り大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」と語り
、FRBが後手に回っていることを指摘しています。それまで、利上げが加速す
るといったムードに支配されていた市場でしたが、FOMCメンバーのややハト
派的な発言や、発表された経済指標などから、利上げに対する市場のバイアスは
やや解消されたと感じていましたが、今回の雇用統計の結果を受け、上記サマー
ズ氏の発言にあったように、再び利上げ加速ムードが台頭し、それが長期金利を
押し上げたといった状況です。

3月のFOMCまでには、もう1回雇用統計があり、さらにCPIやPCEデフ
レータもあります。3月の会合で利上げが開始されることはほぼ間違いないとし
ても、その後の利上げ回数を6回以上と想定するのは、まだ時期尚早かと思いま
す。オミクロン変異株の感染状況や、ウクライナ情勢次第では大きく状況が変わ
る可能性があるからです。また3月の利上げ幅についても、金利先物市場の値動
きから金融政策を予測する「fedウオッチャ-」では、「0.5%」の利上げ
を決める確率は30%を超えてきましたが、まだ「0.25%」引き上げが大勢
を占めています。

10年債利回りは2年ぶりとなる「1.93%」まで上昇し、ドル円は115円
43銭までドル高が進みました。ドル円はもみ合いながらも「日足の雲の下限」
にサポートされる展開が続いていましたが、今回再び115円台半ばまで上昇し
たことで、「雲を上っ放れた」格好になっています。目先は1月下旬に記録した
115円69銭近辺を抜け切る必要があります。
米長期金利の大幅上昇の割にはドル円の上昇力は弱いと感じますが、これは米株
式市場からのリスク回避の流れや、ウクライナ情勢などが影響していると見られ
ますが、加えて、ユーロドルでドル安が進んでいることも気になるところです。
日銀とECBとの金融政策の差を考えればユーロ円が買われるのは理解できます
が、ユーロは対ドルでも上昇していることには注意が必要かもしれません。
ECBの政策委員会メンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は6日、オラン
ダのテレビ番組で、「早ければ第4四半期(10―12月)中に利上げを見込ん
でいる」と述べ、さらに、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可
能だ」と、タカ派的な発言を行いました。

1.11台前半まで売られたユーロドルが急速に値を戻しているのは、域内のイ
ンフレが加速し、市場が「ECBはFRBの後に続く」とみていることも影響し
ている可能性があります。

本日のドル円のレンジは、114円80銭~115円60銭といったところでし
ょうか。


BOE2会合連続の利上げを決定 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動きの中、円売りが優勢となり114円99銭まで
上昇。株価の大幅安で円が買われる場面もあったが、米金利上昇
の影響がより強まった。
◆ユーロドルは大幅に続伸。ECBのラガルド総裁が年内の利上げを
排除しない姿勢を見せたことで買いが膨らみ、1.1451まで上昇。
◆株式市場は5日ぶりに大幅下落。ダウは500ドルを超える下げ
となりナスダックは3.7%の大幅下落。経済指標の
下振れや、欧州での中銀が利上げを加速させる動きに警戒感が強まった。
◆債券は大幅安。長期金利は1.83%台へと上昇。
◆金は反落。原油は大きく買われ、2014年以来となる
90ドル台乗せを示現。

********************(何もない時は空欄のままにします)

◆1月ISM非製造業景況指数            →  59.9
◆59.912月製造業受注             →  -0.4%
◆1月マクイットサービス業PMI(改定値)     →  51.2
◆1月マークイットコンポジットPMI(改定値)   →  51.1
◆ 新規失業保険申請件数               →  23.8万件

本日の注目イベント

◆豪   豪12月住宅建設許可件数
◆豪   RBA四半期金融政策報告
◆中   北京オリンピック開幕、ロシア大統領開会式参加
◆独   独12月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏12月小売売上高
◆米   1月雇用統計
◆加   カナダ1月就業者数
◆加   カナダ1月失業率

市場予想通り、BOEは政策金利を0.25%引き上げ、0.5%とする
ことを決定しました。これで2会合連続の利上げとなり、約18年ぶりの
こととなります。また7%を超えるインフレ率を視野に、金融政策委員会
メンバー9のうち、4人が0.5%の利上げを主張したことも明らかにな
っています。BOEのベイリー総裁は、「輸入インフレの一部が国内経済
に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」と語
っています。世界的に進む急激なインフレに各国中銀は「インフレ阻止」
を迫られていますが、これまでの「超低金利時代」は終焉を迎え、今後数
年は「インフレとの闘いの時代」に突入したとみられます。

「2022年度の利上げない」と再三コメントしてきたECBのラガルド
総裁も、押し寄せるインフレの波には抗しきれず、年内の利上げを排除し
ない姿勢に切り替えたようです。
ラガルド総裁は政策金利の据え置きを決めた後の記者会見で、「昨年12
月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的
に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について
非常に注意を払っている」と述べ、これまで繰り返してきた「年内の利上
げの可能性は低い」といった言葉を封印していました。
その上でラガルド氏は、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBの
フォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するに
おいて、極めて重要になる」と語っています。
市場では、BOEの2会合連続の利上げの影響もあり、ECBも第3四半
期には利上げに踏み切るとの観測が急速に高まってきました。
ユーロドルはこの会見をきっかけに買われ、1.14台半ばまで上昇し、
対円でも131円50銭台まで急騰しました。

ユーロやポンドなどが対ドルで上昇したことから、ドル円も円高圧力が強
まる局面もありしたが、米金利の上昇が円の「強ぶくむ」流れを抑制して
います。
ドル円は「リスク回避の円買い」と「日米金利差による円売り」が引っ張
り合う格好となりましたが、クロス円の買いもあり、やや円売りが優勢と
なり115円手前の水準までドル高が進んだものの、依然として大きな動
きにはなっていません。
ただユーロ円だけではなく、クロス円全般で円売りが強まってきたことも
あり、再び「円独歩安」の展開になるのか注視したいところです。

「インフレの先進国」と言ったら、やや言い過ぎかもしれませんが、トル
コの1月の消費者物価指数は何と、「48.69%」でした
昨年12月が「36.08%」でしたが、それを大きく上回っていました
。さらに大学教授らでつくる「ENAグループ」は、独自調査による1月
のCPIは「115%」だったと発表しています。
トルコでは原油高など資源高に加え、通貨安による物価上昇が追い打ちを
かけている状況が続いています。本来なら「金利を引き上げて」投機的な
リラ売りをくい止めなければなりませんが、トルコ中銀は昨年9月-12
月に連続「利下げ」を行い、この間の下げ幅は5%に及んでいます。
言うまでもなくエルドアン大統領の意向が強く働いているからですが、ト
ルコのネバーティ財務相は日経新聞とのインタビューで、「利上げはあり
得ない」と答え、「低金利で生産や輸出を拡大し、中長期的な為替相場と
物価の安定を図るのが、新たなトルコ型成長モデルだ」と説明しています。
また市場で「ドル売り・リラ買い」の為替介入を行ったことについても、
否定はしませんでした。

イエレン財務長官は、約40年ぶりの物価高騰をあおったとして多くの批
判を浴びているバイデン政権主導の包括的な景気刺激策について、「20
21年3月に成立した1兆9000億ドル(約217兆円)規模の米国救
済計画(ARP)はそのために必要な規模であり、使命を果たした」と擁
護する一方、「物価上昇を『一過性』と表現したのは誤りだった」と認め
ています。(ブルームバーグ)

ドル円は、引き続き株価の下落に伴う「円買い」と、米金利上昇に伴う「
円売り」との綱引きが続きそうです。
本日のドル円予想は雇用統計が発表されることもあり、114円50銭~
115円50銭とややワイドにみています。


ADP雇用者数予想外の減少 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は続落。経済指標が予想を下振れしたことや、ユーロなどがドルに対して上昇したことを受け、114円16銭までドル売りが進む。

  • ユーロドルは続伸し、約10日ぶりに1.1330までユーロ高に。ユーロ圏のCPIが5.1%と、過去最高だったことからユーロを買い戻す動きが加速。

  • 株式市場は続伸。これで今週に入り3指数が揃って昨年12月以来となる4日続伸。好決算を発表したアルファベットなどが上昇をけん引。

  • 債券相場は反発。長期金利は1.77%台へ低下。

  • 金と原油は小幅な動きながら続伸。

本日の注目イベント

  • 豪 12月住宅建設許可件数
  • 豪 12月貿易収支
  • 独 1月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏12月生産者物価指数
  • 欧 ユーロ圏1月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏1月コンポジットPMI(改定値)
  • 欧 ECB政策金利発表
  • 欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
  • 英 BOE金融政策発表、ベイリー総裁記者会見
  • 英 1月サービス業PMI(改定値)
  • 英 BOE議事録
  • 米 1月ISM非製造業景況指数
  • 米 12月製造業受注
  • 米 1月マークイットサービス業PMI(改定値)
  • 米 1月マークイットコンポジットPMI(改定値)
  • 米  新規失業保険申請件数
  • 米 バイデン政権、ウクライナ情勢で議会説明を予定

1月のADP雇用者数が市場予想に反して大きく減少していました。民間雇用者数であるADPは「30万1000人の減少」と、市場予想の「18万人の増加」から大幅な減少でした。また12月分も3万1000人下方修正されています。サービス部門の雇用が2万7000人減少し、2020年4月以来の大幅な落ち込みを見せ、特に娯楽とホスピタリティの減少が足を引っ張ったようです。ADPのチーフエコノミストは、「オミクロン株の影響で、労働市場の回復は2022年の初めに一歩後退した。雇用の伸びに与える影響は大
きいが、一時的となる可能性が高い」と説明しています。明日の雇用統計本番でも、今回は雇用の伸びが鈍化しているといった慎重な見方が出ていますが、オミクロン株の影響は避けられないところでしょう。現時点では「15万人の増加」が予想されていますが、仮にADP雇用者数のように、減少に転じている結果となれば、一時的とは言えFOMCでの利上げ回数や利上げ幅に影響を与える可能性があるかもしれません。異例なことですが、ホワイトハウスも1月の雇用統計については期待値を下げようとしています。ホワイトハウスの当局者は、「新型コロナウイルスのオミクロン変異株感染で短期間病欠となった労働者が失業とカウントされ、失業者数が実際よりも誇張された数字になる可能性がある」と指摘しています。(ブルームバーグ)

次回FOMCは3月15-16日に開催され、ここで第1回目の利上げが決定されると見られますが、それまでに雇用統計の結果は今週末と3月にもう1回確認することができます。2回続けて減少ということにはならないとは思いますが、FRBのデュアルマンデートの一つである「労働市場の最大化」に黄色信号が点灯することになれば、最大で今年7回と見られている利上げ回数にも影響が及び、市場の利上げバイアスも修正を迫られることになるでしょう。もっとも、毎度のことですが、ADP雇用者数と雇用統計本番では必ずしも趨勢が一致しないことは過去の結果が物語っており、注意が必要なことは言うまでもありません。

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はインタビューで、「インフレ率は高すぎ、労働市場は堅調であることは明らかだ。従ってわれわれは行動する必要がある」と述べ、「年内の毎回の各会合で何が実施されるかと思うかについて現時点で話したくない」と、利上げペースには言及しませんでした。また、「政策金利が今年を通して上昇すると確実に予想するが、どの会合でどの程度の幅、どの程度の迅速さになるかについてはオープンにしておく」と、具体的な予想を避けながらも「基本的なファンダメンタルズが政策調整で損なわれるという感覚は、私にはない」と語り、利上げにより景気が腰折れすることはないとの見方を示しました。

ユーロ圏の1月のCPIは「5.1%」と、先月の「5.0%」を上回り過去最高でした。エネルギーコストの上昇が物価を大きく押し上げており、変動の激しいエネルギーと食料品を除くコア指数は「2.3%」と、前月の「2.6%」から低下していました。本日はECBの政策会合があり、政策金利の据え置きが予想されていますが、「物価上昇は一時的」との姿勢を維持しているECBにとっても現実は厳しいものになっています。ラガルド総裁は「物価上昇は供給サイドの混乱が落ち着けば、緩やかに低下する」といった姿勢を崩してはおらず、ECB内部でもインフレの高進に強い危機感を表すドイツ連銀などを説得する根拠が剥落しつつあるようです。

ウクライナ情勢を巡り、米ロの緊張がさらに高まっています。ロシア軍がウクライナ国境に10万人規模の兵士を集結させていることに対応するため、米国防総省のカービー報道官は、ドイツに駐留する部隊から約1000人をルーマニアに派遣し、米本土から2000人を主にポーランドに派兵すると語っています。これに対してロシアのグルシュコ外務次官は「このような正当化できない、破壊的な措置が軍事的緊張を高め、政治的に解決する余地を狭める」と主張し、米国との非難合戦は続いています。米国防総省も状況次第ではさらなる増兵も検討している模様です。

本日のドル円は113円90銭~114円70銭程度を予想します。


RBA今月で量的緩和を終了 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場


◆ドル円は小幅に売られ、114円64銭まで下落。
FOMCメンバーによる発言が、急速な利上げ観測を予想する
市場の見方を牽制したことが背景。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.12台半ばを中心に
推移。
◆株式市場では3指数が揃って3日続伸。エネルギー関連
株などが買われ、ダウは273ドル高。
◆債券は小幅に続落。長期金利は1.78%台へと上昇。
◆金と原油は続伸。

◆1月ISM製造業景況指数            →  57.6
◆1月マークイット製造業PMI(改定値)     →  55.5
◆1月自動車販売台数               →  1504万台

本日の注目イベント

◆日   1月マネタリーベース
◆欧   ユーロ圏12月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏1月消費者物価指数(速報値)
◆米   1月ADP雇用者数
◆加   カナダ12月住宅建設許可件数

昨日の午後にオーストラリア中銀(RBA)の政策金利発表がありました。
政策金利の据え置きと、毎週40億豪ドル(約3240億円)ペースで実施
してきた債券購入プログラムを今月で終了すると発表しています。
市場予想通りの内容でしたが、市場ではその後7-9月にかけて利上げを行
うとのフォワードガイダンスも予想していましたが、RBAのロウ総裁は、
「債券購入プログラムに基づく購入の終了は近い将来の利上げの可能性を示
唆しない」と述べ、「インフレ率は上昇しているものの、目標レンジ内に持
続的に収まると結論付けるには時期尚早だ。供給面の問題解消に伴い、イン
フレ上昇がどの程度続くかについては不確実性がある」と指摘し、市場の利
上げ期待を打ち消す発言を行っています。
この結果を受け、豪ドル円は81円台前半から80円台後半まで売られる場
面もありました。
ただ、それでもRBAは今年の第3四半期には利上げに踏み切るとの観測は
根強くあるようです。

昨日のNYでは株価が3日続伸し、思った以上に買い戻しが進んでいます。
アップルの好決算に続き、昨日はアルファベットが好決算を発表し、好決算
銘柄が市場のセンチメントを好転させているようです。
日中は115円台に乗せる場面があったドル円はじり安の展開となり、NY
では114円64銭まで売られ、なかなか115円台を固める動きにはなら
ない状況です。
この日はFRBの利上げが加速するといった見方に水を差すような発言が相
次ぎ、これが重石になりました。
113円台半ば~115円台半ばでの推移が続き、今週末の雇用統計を見極
める展開のようです。

カンザスシティー連銀のジョージ総裁はインディアナ州のエコノミック・ク
ラブが主催したイベントで講演を行い、「バランスシートについて一段と積
極的な措置を講じれば政策金利の道筋を浅めにすることができるかもしれな
い」と指摘し、「その一方で、比較的急勾配な利上げの道筋と比較的緩やか
なバランスシート圧縮を組み合わせた場合、イールドカーブはフラット化し
、特にコミュニティバンクなどの民間部門の金融仲介のインセンティブをゆ
がめる恐れがある」と述べました。
タカ派的な発言が目立つ最近のFOMCメンバーの中では、やや異なった意
見で、ハト派的と言えます。
FRBがバランスシート圧縮を一段と強めれば、それほど積極的に利上げを
せずに済ますことができるかもしれず、金融不均衡を回避することにもつな
がる可能性があると主張しています。

またフィラデルフィア連銀のハーカー総裁もブルームバーグ・テレビジョン
とのインタビューで、今年4回の「0.25%」の引き上げを支持するとし
ていますが、「0.5%」
の引き上げが望ましいとは考えていないとの発言を行っています。
ハーカー総裁は、「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり
得るだろうが、そうするべきだろうか。
現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示
されるか見守る必要があるだろう」と述べています。
さらにタカ派の代表格でもあるセントルイス連銀のブラード総裁もロイター
通信とのインタビューで、3月と5月のFOMCでの利上げ決定が望ましい
と述べる一方で、「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくと
も現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律
あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている
」と説明しています。

緊張が続いているウクライナ問題を巡り、ブリンケン米国務長官とロシアの
ラブロフ外相が電話会談を行いました。
ブリンケン氏は、ロシアに対して即時の緊張緩和とウクライナ国境からの軍
撤収を求め、ウクライナの主権および領土保全に対する米国のコミットメン
トを改めて表明しました。両者は協議の継続では合意したものの、事態の打
開には至らなかった模様です。イギリスのジョンソン首相は「深く憂慮すべ
き状態だ」と述べています。

日本でも3回目のワクチン接種が急速に進められていますが、米厚生省は米
国の34州およびワシントンでは新型コロナウイルス感染による入院患者が
減少していると発表しています。ニュージャージー州とメリーランド州では
過去1週間で新規感染者数はそれぞれ31%減少し、首都ワシントン、コネ
ティカット州ではそれぞれ26%減ったと報告されています。
またNY州が公表したデータでは、数週間前のピーク時には約9万人に達し
ていた新規感染者が1月31日には7119人と、92%減少したと、ホー
クルNY州知事が会見で述べています。
オミクロン株が世界に先駆けて流行した南アフリカやイギリス、アメリカで
は感染拡大がピークを超えた可能性がありますが、今しばらくはデータを慎
重に分析する必要がありそうです。

本日のドル円は114円40銭~115円20銭程度を予想します。


ハイテク株が買われ、ナスダックは大幅続伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は115円台半ばから反落。主要通貨に対してドルが
売られたこともあり、ドル円は一時115円台を割りこむ。
◆ユーロドルは反発。1.11台半ばから1.1248まで
買い戻しが入る。ドイツのCPIが予想を上回ったことも
材料となった。
◆株式市場はハイテク株を中心に大幅に続伸し、ナスダックは
400ポイントを超える上昇。他の2指数も揃って大きく買われる。
◆債券は小幅に下落。長期金利は1.78%近辺で推移。
◆金は4日ぶりに反発。原油は続伸し88ドル台に。

◆1月シカゴ製造業指数    →  65.2

本日の注目イベント

◆豪   豪12月小売売上高
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆日   12月失業率 
◆独   独1月雇用統計
◆独   独1月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏12月失業率
◆欧   ユーロ圏1月製造業PMI(改定値)
◆英   英12月消費者信用残高
◆英   英1月製造業PMI(改定値)
◆米   1月ISM製造業景況指数
◆米   1月マークイット製造業PMI(改定値)
◆米   1月自動車販売台数

日米で株価が揃って大幅に反発し、先週後半まで続いていたリスク回避の流れも
「やや一服」といったところです。日経平均株価は週明け月曜日も朝方はマイナ
スで始まりましたが、その後プラスに転じ、結局284円高で取引を終えました
。ドル円も株価の上昇に呼応するかのように115円60銭辺りまで買われまし
たが、その後はもみ合いの中、NYでは115円を割り込む場面もありました。
ユーロドルが1.11台前半で下げ止まり反発したことも、ドル売り円買いを促
したものと推察できます。
NY株式市場では好決算を発表したアップルなどが大きく上昇してナスダック指
数をけん引し、先週末比3.4%の上昇を見せました。
1月半ばから大きく売られたことから、「自立反発」との声もありますが、3月
のFOMCでは利上げが開始されることがほぼ確定的なこともあり、まだまだ乱
高下がありそうです。

ブルームバーグが集計した大手金融機関の2022年度の米利上げ回数を見ると
、かなりばらつきがあります。これは、それほど不確実性が高いということと、
状況次第では回数が大きく変わる可能性があるということかと思います。
最小で3回、最多で7回という結果になっていますが、最もタカ派的な見通しは
バンク・オブ・アメリカが予想する7回です。
0.25%で7回の利上げということは、3月に利上げを開始して全ての会合で
利上げが実施されるというものです。
仏BNPパリバは11月以外の会合で6回の利上げを見込んでいます。上げ幅も
0.25%と変わりません。ゴールドマンとシティーグループは0.25%で5
回の利上げ。モルガンスタンレーが4回で、最も少ないのが英バークレーズで3
回の予想です。
共通するのが、現時点では3月に利上げが開始され、上げ幅は「0.25%」だ
ということです。少なくとも上記大手金融機関では「0.5%」の利上げは予想
していないということになります。アトランタ連銀のポスティック総裁は先週、
英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)とのインタビューで、「インフレ抑制で
より積極的なアプローチが必要な場合、政策金利の0.5%引き上げを選択する
こともあり得る」との見解を示しましたが、その可能性は極めて低いということ
だろうと思います。

本日はオーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利発表が午後12時半にあり
ます。オフィシャル・キャッシュレートの誘導目標は現行の「0.1%」に据え
置くと見られますが、週に40億豪ドル(約3240億円)ペースで行ってきた
債券購入プログラムを終了すると見られています。また利上げも今年7-9月の
間に決定されると予想されています。
足元では資源価格の上昇に伴い輸出が好調で、コロナ禍にもかかわらず雇用も拡
大しています。昨年11月の失業率も予想を大きく下回ったことからRBAのロ
ウ総裁は、債券購入終了を含む3つの選択肢を中銀が検討していることを先月述
べていました。
これは、再三繰り返してきた2024年初めの利上げといったRBAのガイダン
スよりかなり早いタイミングになります。本日の会合では利上げの準備を行い、
インフレ見通しを上方修正すると見られており、豪ドル・米ドルはこの動きを織
り込む形ですでに昨日から上昇しています。

またBOEも今週3日の政策会合で0.5%の利上げを実施すると見られていま
す。仮に予想通りであれば2会合連続の利上げということになり、これは200
4年以降で初めてのこととなります。ポンド・ドルも乱高下しながらも上昇して
います。今週は本日のRBAを皮切りに中銀の政策会合があるため、クロス円も
大きく動く可能性があり、やや注意が必要です。

本日のドル円は114円80銭~115円60銭程度を予想します。


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