米2期連続のマイナス成長
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落。昨日の東京の午前中から135円台半ばまで下げ、
NYではGDPがマイナスだったこともあり134円20銭まで売られる。
約1カ月ぶりの水準を記録。
◆ユーロドルではドル安が進まず、1.01台前半から後半で推移。
ユーロは対円で5月30日以来となる136円台半ばまで下落。
◆株式市場は大幅に続伸。マイナスだったGDPを受け、積極的な
利上げは回避できるとの見方から買いを集めた。
◆債券にも見直し買いが入り、長期金利は2.67%台へと急低下。
◆ドルが売られたことで金は大幅に反発。一方景気減速懸念から
原油価格は反落。
◆4-6月GDP(速報値) → -0.9%
◆新規失業保険申請件数 → 25.6万件
本日の注目イベント
◆豪 豪第2四半期生産者物価指数
◆日 7月東京都区部消費者物価指数
◆日 6月失業率
◆日 6月鉱工業生産
◆独 独7月雇用統計
◆独 独4-6月期GDP(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
◆英 英6月消費者信用残高
◆米 6月個人所得
◆米 6月個人支出
◆米 6月PCEデフレータ
◆米 6月PCEコアデフレータ
◆米 7月シカゴ購買部協会景気指数
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米 4-6月雇用コスト指数
◆米 企業決算 → エクソンモービル、P&G、シェブロン
FOMCの結果発表と、その後のパウエル議長の会見では思ったほど動かなかった
ドル円は昨日の東京時間10時過ぎから動き始め、NYでは134円20銭と、お
よそ1カ月ぶりの水準まで「ドル安円高」が進みました。昨日の東京時間で136
円を一気に割り込んだ時からドルの下落はある程度想像できましたが結局、FOM
C前の水準からは3円ほど動いたこととなり、結構な値幅です。
やはり今年の夏は例年とは異なるようです。
この欄でも今週触れたように、ドルが売られるとすればざっくり3つのケースがあ
ると考えていましたが、昨日はその一つが顕在化した格好です。
米第2四半期GDPが「マイナス0.9%」と市場予想の「プラス0.4%」を下
回り、これで「2四半期連続のマイナス成長」となったことで、教科書的には「リ
セッション」と捉えることができます。すでに予想されていたのか、バイデン大統
領は「テクニカル・リセッション」は実際のリセッションとは異なると、強調して
いましたが、パウエル議長も前日の会見で「米経済がリセッションに陥っていると
は考えていない」と述べていました。
マイナス成長を受けてイエレン財務長官も、「経済がリセッションに陥っているこ
とを証明するものではない」とし、「本当の意味でのリセッションとは、広範囲に
及ぶ経済の弱まりだ」と説明し、「現在そういう状況は見られない」と、GDPの
結果に対して「持論」を述べました。
またイエレン氏は、「インフレ率が依然として高すぎ、これを下げることが政府の
最優先事項だ」と指摘し、「消費者物価の伸びは、近いうちに低下する可能性が高
い」と述べています。
著名な経済学者として大きな成果を残しており、FRB議長も経験しているイエ
レン氏の言葉はそれなりに説得力がありますが、今回だけはやや「ポジション・
トーク」の可能性が高いとみています。
ただこのような状況は想定されたことで、そのために短期間で急激な利上げを行
ったわけです。心配されるのはマイナス成長に陥りながらも、物価上昇が止まら
ないケースです。
FRBは連続利上げで経済活動を鈍化させることで物価上昇が抑制されると想定
しているわけですが、ウクライナ情勢の長期化などからインフレが止まらない、
いわゆる「スタグフレーション」に陥ることはFRBとしても避けたいところで
す。同じく昨日発表された週間失業保険申請件数も「25.6万件」と高水準で
、前週分も「25.1万件」から「26.1万件」に下方修正されています。
申請件数が「26万件」を超えるのは、手元のデータでは今年1月の第4週以来
のこととなります。4月は17~18万件で推移していたことを考えると、好調
な労働市場でもいずれその影響が出て来ることが予想されます。
バイデン大統領は中国の習近平主席と28日、電話会談を行いました。
両首脳が直接言葉を交わすのは今年3月以来のこととなり、バイデン氏は習氏に
対して、武力による台湾統一に警告を発した一方、台湾が正式に独立宣言を行う
ことは支持しないと伝えたようです。
一方中国外務省は会談終了後に声明を発表し、「中国の国家主権と領土の一体性
を断固として守ることが中国人民の意思だ」と主張し、「火遊びする者はやけど
を負う」と、これまでの警告を繰り返しています。
中国側の声明発表後にホワイトハウスも声明を発表しており、それによると、バ
イデン氏は習氏に対し、「台湾に関する米国の方針は変わっていない」とし、台
湾海峡の現状を一方的に変更する取り組みには「強く反対する」との見解を繰り
返しました。
昨日の会談は2時間10分にも及んだようですが、ペロシ下院議長の台湾訪問に
関しては議論されなかったようです。
米国側の今回の声明には、過去の両首脳の会談後に盛り込まれていた「建設的だ
った」といった表現は見当たらなかった(ブルームバーグ)とされ、今回の会談
では両国関係が依然厳しい状況であることを浮き彫りにした格好でした。
GDPの結果を受け、NY株式市場では3指数が前日に続き大きく上昇しました。
マイナス成長で積極的な利上げが避けられるとの見立てで、金利上昇に弱い株式
に買い戻しが入ったようですが、景気後退は企業業績の悪化にもつながり、株価
の大幅上昇には疑問がつきます。単なるショートの買い戻しだったのでしょうか。
債券も買われ、長期金利は一時2.64%台まで低下し、ドル売りの材料になっ
ています。
139円39銭の高値を付けてからこれで5円ほど下げ、この状況がこれまで
と同じ「調整の範囲」と捉えるべきかはまだ何とも言えませんが、上昇トレンド
が転換したとは判断できません。
本日のドル円は133円70銭~135円50銭程度を予想します。
- [2022/07/29 10:08]
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FOMCで0.75ポイントの追加利上げ決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆FOMCの政策発表後に行ったパウエル議長の会見直後、
ドル円は137円45銭まで買われたがその後136円台半ばを
下回って下落。議長発言で米長期金利が低下したことでドル売りに。
◆ユーロドルは朝方から売り優勢で1.01を割り込む。
政策金利引き上げ後は買い戻しが強まり1.02台まで急反発。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高。パウエル議長の「いずれ利上げペースを
落とすことになる」との発言を手がかりに、ナスダックは4%を超える上昇。
◆債券相場は上昇。長期金利は2.78%台へ低下。
◆金と原油は反発。
◆6月耐久財受注 → 1.9%
◆6月中古住宅販売成約件数 → -8.6%
本日の注目イベント
◆豪 豪6月小売売上高
◆豪 豪4-6月四半期輸入物価指数
◆独 独7月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(確定値)
◆欧 ユーロ圏7月景況感指数
◆米 4-6月GDP(速報値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 イエレン財務長官、経済に関し記者会見
◆米 企業決算 → アップル、コムキャスト、マスターカード、インテル、アマゾン
注目のFOMCでは、予想通り0.75ポイントの利上げを決定しました。
これで3月に0.25ポイントの利上げを決めてから4会合連続の利上げと
なり、この間の利上げ幅は「2.5%」にもなります。
米国の6月の消費者物価指数(CPI)は「9.1%」と、およそ40年半
ぶりの高水準にまで上昇したことから、その後は1.0ポイントの利上げ観
測も強まりましたが、結局、6月と同じ幅の0.75ポイントに落ち着いた
ようです。0.75ポイントであったら、ドル円は下がる可能性が高いと予
想していた通り、発表直後は買われたドル円でしたが、136円35銭まで
売られました。
ここまではほぼ想定通りでした。しかし、その後のパウエル議長の会見では
よりタカ派な発言を予想していましたが、議長は「いずれ利上げペースを落
とすことになる」と発言し、その上で明確なガイダンスを示すのではなく、
政策は会合ごとに新たに設定されると説明し、これが株式市場に安心感を与
え、主要3指数は揃って大幅高を演じました。
特に金利上昇に弱いとされるナスダック指数は436ポイント上昇し、今年
最大の上昇率を記録しています。
声明文では「支出と生産に関する最近の指標は軟化している。それでも雇用
はこの数カ月、堅調に伸びており、失業率は低いままだ。インフレは高止ま
りし、それはパンデミックに関連した需給の不均衡と食品・エネルギー価格
の上昇、より広範な価格圧力を反映している」とし、「委員会はより長期に
わたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。金融政策
の適切なスタンスを見極める上で、委員会は公衆衛生や労働市場の状況、イ
ンフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢など幅広く
考慮して判断する」と明記されています。(ブルームバーグ)
今回の0.75ポイントの利上げは全会一致で決まっています。
会合後の会見でパウエル議長は「次回の会合で異例に大幅な利上げをもう一
度行うことも適切となり得るが、判断は今から次回会合までのデータ次第だ
」と述べ、「いずれ利上げペースを落とすことになる」と説明し、「米経済
がリセッションに陥っているとは考えていない」と述べています。
今回のFOMCの決定とパウエル議長の会見は、今後もデータ次第では大幅
な利上げの可能性を残しながらも、利上げペースが鈍化することにも言及し
、市場の先行きに対する不安を和らげることに成功したように思えます。リ
スクオンが強まり、株価が上昇し、債券も買われ金利が低下しました。
リスクオンになると低金利の円が売られるケースがこれまでにも多く見られ
ましたが、昨日は金利低下により反応したようで、ドル円は下落しています
。昨日も述べたように、「真夏の夜のラリー」を予想していた投資家にはや
や肩すかしだったようです。
バイデン大統領は28日に中国の習近平主席とオンラインで会談する予定で
す。懸念されたコロナ感染は、26日の夜と27日の朝、簡易検査が行われ
陰性が示されたようです。大統領は依然として多少の症状が残るものの「ほ
ぼ完全に回復した」とホワイトハウスの医師は述べています。
因みに治療にはファイザー製の経口薬「Paxlovid」(パキロビッド)が投与
されたとのことです。また、中国が激しく反対しているペロシ下院議長の台
湾訪問を巡っては、いまだその予定は公式日程にはないようです。
ペロシ氏は8月初旬のアジア歴訪で日本やインドネシア、シンガポールなど
を訪問する予定になっていますが、依然として日程からは外されているとの
ことです。
米中首脳会談でもこの件が議題となることが予想され、どのような受け答え
があるのか、この辺りにも注意が必要です。
本日のドル円は135円50銭~137円程度を予想します。
- [2022/07/28 09:43]
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IMF世界成長を下方修正
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は朝方売りから始まったが徐々に切り返し、午後には
136円96銭まで上昇。この日の高値圏で引ける。
◆ユーロドルは続落。1.0108まで売られたが1.01台は
キープ。
◆株式市場は3指数が下落。ウォルマートなど小売り銘柄が
大きく売られ、ダウの下げをけん引。ハイテク株の下げも
止まらず、ナスダックは220ポイント下げる。
◆債券は続落。長期金利は2.80%台まで小幅に上昇、
◆金と原油は揃って下落。
◆5月ケース・シラ-住宅価格指数 → 20.5%
◆5月FHFA住宅価格指数 → 1.4%
◆7月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 95.7
◆7月リッチモンド連銀製造業景況指数 → 0
◆6月新築住宅販売件数 → 59.0万戸
本日の注目イベント
◆豪 豪第2四半期消費者物価指数
◆日 5月景気先行指数(CI)(改定値)
◆中 中国6月工業利益
◆独 独8月GFK消費者信頼感
◆欧 ユーロ圏6月マネーサプライ
◆米 6月耐久財受注
◆米 6月中古住宅販売成約件数
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
◆米 企業決算 → ボーイング、クアルコム
ドル円はNYで136円96銭まで買われ、先週末のNYでの急落からおよそ
1円40銭ほど戻したことになります。上昇には勢いがないものの、明日朝の
FOMCを前にしてドルを買う動きが優勢だったようです。
先週末のドル円急落を受けて、市場にはドルに対してやや弱気の見方が増えて
きましたが、今週何度もこの欄で述べたように、筆者はドル高基調は変わって
いないとの見方を維持しています。ただ、それも明日のFOMCの結果とパウ
エル議長の会見内容次第では全く分かりません。
利上げ幅はほぼ0.75ポイントで決まりかと思いますが、焦点はパウエル議
長がどのような発言を行うのかという点に絞られます。
会見で、依然として高いインフレ率を理由に今後も積極的な利上げを続ける姿
勢を見せれば、再びドルが買われる展開になる可能性が高い一方、明らかに景
気の鈍化を示す指標が続いていることで、積極的な利上げに懐疑的な姿勢を示
すようならドルが一気に売られることもあり得ます。
IMFは26日世界経済見通し(WEO)で、今年の世界成長率は「3.2%」
に減速する見通しだと発表しました。
今年の4月時点では「3.6%」、1月時点では「4.4%」と予測していま
したが、ロシアのウクライナ攻撃が続き、世界の主要国が利上げを行っている
ことで成長が鈍化すると下方修正しました。
下方修正の幅が最も大きいのは米国で、4月の「3.7%」から「2.3%」
に、中国も「4.4%」から「3.3%」に修正されています。
日本は主要国ではイギリスに次いで修正幅が少ないものの、「2.4%」から
「1.7%」となっています。
IMFは4月の時点で、ウクライナでの戦争の悪化やロシア制裁のエスカレー
ト、中国での予想より急激な景気減速、新型コロナウイルス感染の再燃、さら
には中銀に利上げを迫るインフレの波などのリスクに言及しましたが、今回の
報告ではこうしたリスクの顕在化を指摘しています。
今回は「リスクへの見通しは圧倒的に下振れ方向だ」とし、「欧州向けロシア
産ガス輸入の突然の停止やインフレの長期化、中国での不動産危機のエスカレ
ートなど、懸念要因は多く、世界経済が近くリセッション入りの瀬戸際に立た
される恐れがある」と警告しています。
パウエル議長の記者会見は明日の朝3時半にありますが、市場の一部にはパウ
エル氏は
明確な発言を控えるのではないかといった見方もあるようです。
インフレが止まらない中、経済データでは景気の減速を示すものが多く、議長
としても今後の選択肢を確保しておきたいとする考えもあるのではないかとい
った見方です。この夏最後のラリーになるかもしれないと予想している市場参
加者にとっては、やや肩すかしになるかもしれません。
ただ、それでも翌日28日には米4-6月期GDP速報値の発表もあります。
事前予想では「0.4%」とわずかながらプラス成長を予想していますが、マ
イナスに陥る可能性もあります。
1-3月期が「マイナス1.6%」だったことから、今回マイナス成長を記録
すると、教科書的に言えば「リセッション入りした」ということになります。
バイデン大統領はすでに28日のGDP発表に備えて、仮にマイナス成長だと
しても、これは「テクニカル・リセッション」と呼ばれるもので、必ずしも本
物のリセッションとは言えないと「予防線」を張っていました。
またイエレン財務長官も24日、「リセッションとは経済が広い範囲で弱くな
ることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」と述べ、バイデン
大統領と歩調を合わせています。
そのバイデン大統領が28日、中国の習近平主席と会談することになりました。
ペロシ下院議長の台湾訪問を巡って中国側は、ペロシ氏の台湾訪問があった場
合には「真剣に準備している」とけん制していました。フィナンシャル・タイ
ムズ(FT)は、これは、これまでにない強い警告で、軍事的行動も含むもの
だと伝えた経緯もあり、米中関係はかなり厳しい状況です。
会談の議題は分かっていませんが、米国が中国からの輸入品に対する関税を引
き下げる意向を示すことと、ウクライナ情勢について意見を交わすのではない
かと予想しています。会談で習氏が、ペロシ氏が台湾を訪問しないよう要請す
るかもしれません。
本日のドル円は、FOMC後に動きがあることを踏まえ、136円~138円
程度を予想します。
個人的には景気鈍化のデータが相次ぐ中でも、議長はインフレ制御に向けた強
い決意を示すのではないかと予想していますが、どうでしょう・・・・
- [2022/07/27 09:37]
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FOMCを控えドル円の戻りは緩慢
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小動き。経済指標の発表もなく、明日のFOMCを
控えドル円は終始136円台で推移。米長期金利の上昇に
136円78銭まで上昇。
◆ユーロドルは反発。ECBの利上げスタンスが今後も
続くとの見方から1.0255近辺までユーロ高に。
◆株式市場ではダウとS&P500は反発したものの
ナスダックは続落。
◆債券は反落。長期金利は2.96%台まで上昇。
◆金は反落し、原油は反発。
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(6月16、17日分)
◆米 5月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 5月FHFA住宅価格指数
◆米 7月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米 7月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米 6月新築住宅販売件数
◆米 IMF、最新の世界経済見通し(WEO)
◆米 企業決算 → GM、UPS、GE,アルファベット、コカ・コーラ、マクドナルド、3M、マイクロソフト、VISA
先週末のNYでの円急騰を受け、昨日の東京市場でも朝方に135円台後半
を付ける場面のあったドル円でしたが、昨日のNYでは長期金利の上昇もあ
り、終始136円台で推移し、136円台後半までドルが買い戻される場面
もありました。
明日(日本時間28日の朝方3時)のFOMCで政策金利が発表されること
もあり、その結果を見極めたいとの雰囲気が支配的となり、値動きの少ない
NY時間でした。一方、ユーロドルは買い戻され、1.0255までユーロ
高に振れましたが、この水準は今回の戻りでも何度か記録している水準で、
この先もう一段上昇できるかどうかがポイントの一つです。
ECBの政策メンバーの一人でもある、ラトビア中銀のカザークス総裁はフ
ランクフルトのインタビューで、ECBの大幅利上げはまだ終わっていない
可能性がある、と述べています。カザークス氏は「先週の大幅利上げが唯一
の前倒しだとは言えない。9月の利上げもかなり大きくする必要があると言
える」と述べています。
FRBが6月に行ったように、ECBの次回の利上げ幅が0.75ポイント
とさらに大きくなる可能性があるかとの問に対して同氏は、「不確実性とイ
ンフレのダイナミクス、持続性のリスクを踏まえ、もちろんわれわれは議論
にオープンであるべきだと思う」と答えていますが、ただ、単純に米当局に
追随すべきではないとも語っています。(ブルームバーグ)
ECBは今月の理事会では、予想を超える0.5ポイントの利上げを決めて
います。
米国のペロシ下院議長の台湾訪問が取り沙汰されていますが、英フィナンシ
ャル・タイムズ(FT)は「ペロシ氏の台湾訪問について、中国外務省は1
9日、米中関係に重大な影響を及ぼすとして、『断固とした強力な措置を講
じる』と公式に発表していたが、非公式の警告は従来のものよりもかなり強
い内容だった」と報じ、これには軍事的な対応も含まれる可能性を示唆する
内容だったと伝えています。
ペロシ氏は8月に代表団を率いて台湾を訪れる計画で、米下院議長による台
湾訪問は1997年以来のことになるそうです。
ロシアによるウクライナ侵攻以来、台湾でも同じようなことが起こるのでは
といった懸念が急速に高まっています。米国は軍事的にも経済的にも台湾へ
急接近しており、日本を含むアジア全体で緊張がやや高まっています。
台湾国内でも有事に備えた大規模な訓練が行われており、昨日のNHKの報
道では、台北市内で空襲警報が鳴り響き、人々が真剣に防空壕へ避難する光
景が映し出され、台北市民からもウクライナ情勢を想定した発言がかなり聞
かれました。
昨日もこの欄で述べましたが、ドル円の上昇傾向は変わっていないと考えま
す。米国のインフレにピークアウトの兆候が出るか、あるいは米景気が完全
にリセッション入りしたことが確認できるか、そして日米金利差の一方の主
因である日銀の金融政策に変更または修正があるかどうか。ざっくり言えば
この3つのどれか一つが認識されるようであればドル円は大きく下げる可能
性があるとみていますが、現状ではいずれも未確認です。
7月14日にドル円は139円39銭まで上昇し、先週末には135円58
銭まで下落しました。この間の値幅は3円81銭となり、フィボナッチ・リ
トリースメントに基づいて計算すると、38.2%戻しが137円03銭、
半値戻しは137円49銭となります。
「半値戻しは全値戻し」という言葉もあり、ひとまず137円台半ばが戻
りのメドと考えます。
本日のドル円は135円70銭~137円20銭程度と予想しますが、FO
MC前ということもあり、動きは少ないと思われます。
- [2022/07/26 09:20]
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ドル円2週間ぶりに135円台半ばまで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は大きく下落。長期金利が2.75%台まで低下したことからドルを売る勢いがつき、NYでは午前中に135円58銭までドル売りが進む。
- ユーロドルは1.02台半ばから徐々に下落。1.0170までユーロ安が進んだが、前日と同様な流れに。
- 株式市場はサービス業と総合PMIが「50」を下回ったことで3指数が揃って反落。ハイテク株が大きく下げ、ナスダックの下げが突出。
- 債券相場は大きく上昇。長期金利は一時2.72%台まで低下し、約2カ月ぶりの低水準を記録。リスクオフが進み、安全資産の債券が買われる。
- 金は続伸。原油は3日続落し94ドル台に。
本日の注目イベント
- 独 7月ifo景況感指数
先週末のNYでドル円は2週間ぶりとなる135円台半ばまで売られました。NYではドルの上値が重い欧州市場の流れを引き継ぐ中、低調なPMIの発表を受けて「リスクオフ」が進みました。株式が売られ、債券が買われ長期金利が急低下したことで、ドルを売る動きが活発となり、ドル円は135円58銭まで売られました。特徴的だったのが債券市場の動きでした。FRBは今週27日にもFOMCで大幅な利上げを行うことは確定的となっていますが、すでに0.75ポイントの利上げは織り込まれているといった動きでした。
「パウエル議長がインフレ制御に成功すると、債券市場は信じたようだ」(ブルームバーグ)といったコメントが見られましたが、多くの投資家は27日に発表されるFOMCの結果に身構えているようですが、この日の債券市場では安全資産の債券が買われ、金利は大きく低下しています。特に投資家がインフレ期待の主要な指標として捉えている、5年間のインフレ期待の平均値を示す数値が21日、2月18日の水準を若干下回り、ロシアのウクライ侵攻以前の水準を付けました。「米利上げ局面について、従来の予想よりも早期に終了し、金利政策のピークが以前考えられていたほど高くならないとの見方が強まっている」とブルームバーグは伝えています。イエレン財務長官はNBCの番組で、「雇用創出ペースがやや減速する可能性が高い」としつつ、「それはリセッションではないだろう。リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」と述べ、また金融当局によるインフレ抑制への取り組みについては「成功すると見込んでいる」と語り、当局への信頼を示しています。
米国では、インフレの高進を背景に市場ではFRBの積極的な利上げスタンスを背景に、低金利の円を売って高金利のドルを買う動きがドル円を押し上げてきましたが、ややその見方にも変化が出てきたのかもしれません。筆者はまだその見方を維持していますが、もしそうだとしたら想定よりもかなり早いと言えます。市場の一部にそのような見方が出て来たことだけは頭の片隅に入れておいてもいいのかもしれません。因みに日足チャートではやや変化は見られますが、全体的には変わっていません。ローソク足が「基準線」の位置まで低下しており、これは6月1日以来のこととなり、早期の動きを示す「MACD」は先週も触れたように、「デッドクロス」を示現していますが、まだ依然として「プラス圏」で推移しています。結局チャートでも、上昇トレンドは続いてはいますが、ややその傾向に早期の警戒シグナルが点灯したといった状況です。
今週は26-27日のFOMCが「真夏の夜の最大イベント」となります。上述のように、会合では大幅な利上げが見込まれ、筆者は「0.75ポイントで決まり」かと考えています。イエレン財務長官はリセッションの兆候は見られないと述べていますが、経済データは確実に景気の鈍化を示しています。先週末のNYで、ドル円急落のトリガーとなったPMI速報値では、製造業は「52.0」と、景気も拡大と縮小の境目である「50.0」を辛うじて上回っていましたが、サービス業と総合PMIはいずれも「50.0」を下回っています。また消費者マインドや失業保険申請件数も明らかに悪化しており、その他の経済データも同様です。FRBは米景気が減速することを狙っているわけで、その減速次第では今後の利上げ幅や、利上げのペースも大きく異なってきます。今後のインフレ率はもとより、他の経済データにもより注目しなければならないことになります。
本日のドル円は135円50銭~137円程度を予想します。

- [2022/07/25 10:21]
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ECB、0.5ポイントの利上げを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は黒田日銀総裁の会見を境に上昇したが、NYでは
米長期金利が急低下したことから下落。137円30銭まで
売られ、この日の安値圏で引ける。
◆ユーロドルはECBの利上げ決定を境に買われ、1.0279
近辺まで上昇。その後は売りに押され、1.02を挟みもみ合う。
◆株式市場は大型株を中心に3日続伸。ダウは162ドル上昇し、
3万2千ドルの大台を回復。力強い業績を背景に投資家の
センチメントが改善したとの声も。
◆債券相場は急上昇。長期金利は2.87%台へと急低下。
◆金は反発。原油は続落し、再び100ドルの大台を大きく割り込む。
◆新規失業保険申請件数 → 25.1万件
◆7月フィラデルフィア連銀景況指数 → -12.3
◆6月景気先行総合指数 → -0.8%
本日の注目イベント
◆日 6月消費者物価指数
◆独 独7月製造業PMI(速報値)
◆独 独7月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月総合PMI(速報値)
◆英 英7月製造業PMI(速報値)
◆英 英7月サービス業PMI(速報値)
◆米 7月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米 7月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米 7月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米 企業決算 → アメックス、ベライゾン、ツイッター
◆加 カナダ5月小売売上高
ECBは事前に予告していた通り11年ぶりの利上げを決定しました。
利上げ幅は0.25ポイントではなく、0.5ポイントだったことで発
表直後ユーロは買われ、対ドルでは1.0279まで80ポイントほど
上昇しましたが、その後元の水準に押し戻されています。
ドラギ・イタリア首相が辞任したことによる政局不安がユーロ売りにつ
ながったようです。
ECBは利上げと同時に、中銀に預ける預金金利をマイナス0.5%か
ら0%に引き上げることも決めました。
今回の0.5ポイントの利上げ幅はややサプライズであったと思われま
すが、足元では高インフレが続く中、ECBとしてはインフレ阻止に向
けた強い意志を示すとともに、FRBに追随したともみられます。
ラガルド総裁は会見で、「価格上昇圧力はより多くのセクターに広がり
つつあり、ユーロ安が拍車をかけている」と指摘し、「基調的インフレ
の指標のほとんどがさらに上昇した。インフレは当分、望ましくない高
水準にとどまる見込みだ」と述べています。
総裁はまた、「9月の金利決定に関する従来のガイダンスはもはや当て
にはならない。9月の行動はその時のデータ次第だ」とし、その上で、
「利上げを加速させるが、最終的に目標とする金利水準を変えるわけで
はない」と説明しています。(ブルームバーグ)
この日は各国中銀の政策会合が多くあり、南アフリカ中銀も利上げを決
めています。
そのような中、日銀は予想通り金融政策の据え置きを決め、午後3時半
から始まった黒田総裁は会見で、「物価上昇に賃金の上昇が追いついて
おらず、景気の腰折れを招く懸念があるため金融緩和を続ける」と述べ
ていました。
また急速に進む円安についての認識を求められると、「最近の急速な円
安進行は経済にマイナスで望ましくない」と述べ、これまで「日本経済
全体からみればプラス」と何度も述べた発言から変化しています。前回
の会合後の発言から「プラス」が「マイナス」に変わっており、139
円台まで急上昇したドル円の水準を意識したものかもしれません。
一方でこの日発表された「展望リポート」では2022年度の消費者物
価指数(生鮮食品を除くコアCPI)を2.3%と、従来の1.9%か
ら上方修正しています。
ブルームバーグは「他の主要中銀がインフレ抑制のため金融引き締めに
動き、24年ぶりの円安が物価を押し上げる中、緩和を続ける日銀の独
自路線が際立っている」と論評しています。
昨日はトルコ中銀も政策金利の据え置きを決めており、これで7カ月連
続の据え置きになります。トルコの6月のCPIは「78.6%」で、
インフレ調整後の実質金利のマイナス幅は世界最大になっています。
しかも発表される指標の信ぴょう性も疑問視されており、イスタンブー
ル商工会議所は6月のCPIは「94%」と発表しており、さらに学者
らでつくるENAグループは同月のCPIは「175%」だったとの調
査結果を発表しています。トルコ国民の生活苦もかなり深刻なものにな
っていると思われます。
本日のドル円は136円70銭~138円程度といったところでしょう
か。
- [2022/07/22 09:30]
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為替、日欧の金融政策を前に様子見
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は138円を挟み小動き。日銀とECBの政策会合を
見極めたいとする雰囲気が広がり値幅も50銭程度に収まる。
◆ユーロドルは反落。ECBの利上げ幅が注目される中、
イタリアの政局不安がユーロ売りにつながり、1.0156まで
下落。
◆株式市場は続伸。ダウは47ドル上昇。ハイテク株と
消費財が上昇しナスダックは184ポイント高と大幅続伸。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は3.02%台で変わらず。
◆金は3日ぶりに反落。原油も在庫が増えていたことから下落。
◆6月中古住宅販売件数 → 512万戸
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆日 6月貿易統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 6月景気先行総合指数
◆米 企業決算 → AT&T、ブラックストーン
為替市場は全体的に小動きでした。
ドル円は138円を挟み一進一退の動きが続き、久しぶりに大きな値動きもなく
静かな1日でした。
本日、昼前後には日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、夜にはECBの政
策金利の発表があり、結果を見るまでは動きにくいといった状況です。
日銀については、政策変更はない見通しですが、約24年ぶりとなる円安が進行
しており、何らかの政策の修正があるかもしれませんが、その可能性は低いと思
われます。午後3時半から恒例の黒田総裁の記者会見があります。これまでと同
様に「粘り強く緩和策を続けていく」といったコメントが出ると、直ぐに円が売
られる展開が続いてきましたが、今回も同じような動きになるのか注意したと思
います。個人的には、足元ではジワジワと物価上昇が続く現状をどのように総括
するのか。
さらには、今後の物価見通しについてどのような見解を示すのかといった点に注
目しています。
ECBは利上げ幅が焦点です。
0.25ポイントになるのか、0.5ポイントになるのかが最大の注目点です。
足下では0.5ポイントの利上げもあり得るとの見方が強まりユーロが買い戻さ
れ、一時パリティを割り込んだユーロドルも1.02台半ばまで上昇しました。
昨日はイタリアの政局不安から再びユーロが売られましたが、ユーロショートの
積上がりも高水準であることから再びパリティを割り込むかどうかも焦点の一つ
です。日足チャートでは「ドル高・ユーロ安」トレンドは鮮明で、昨年6月以降
ローソク足は雲の上抜けを一度も見せていません。ただ比較的早いシグナルを発
する「MACD」ではマイナス圏ですが、すでに「ゴールデンクロス」を示現し
ています。本日の会合で0.25ポイントの利上げであればユーロ売りで反応す
ると思われますが、これまでのように無条件で売っていくようなスタンスではな
いように思います。
ECBは難しい立場に立たされています。
足元のインフレは米国に匹敵するほど進んでいるものの、0.75ポイントの利
上げといった大胆な政策を行えない状況です。
ロシアの影響をもろに受け、ドイツを中心に景気減速が鮮明になっているため、
大幅利上げは景気をさらに押し下げてしまう可能性があるからです。
大幅な景気悪化を避けたい一方、インフレを抑制し、ユーロ安を止めるためには
利上げが必要といった、難しい選択を迫られています。
イギリスでは、ジョンソン首相の後任を選ぶ与党保守党の党首選は、トラス外相
とスナク前財務相の一騎打ちとなりました。
新しい党首は9月5日に決まる見込みですが、トラス外相は「インフレ抑制の成
功例として日銀を見習うべきだ」と述べており、金融政策には詳しくないとの評
価が出ています。そのイギリスの6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月
比で「9.4%」と、米国を凌駕しています。
「イギリスの最大のリスクはトラス氏の政策だ」といった声もあるようです。
本日のドル円は137円50銭~139円程度と予想します。
- [2022/07/21 09:24]
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ECB0.5ポイントの利上げか?
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は朝方、ユーロドルでドル安が進んだ影響もあり
137円台半ばで取引が始まる。その後米長期金利が上昇し、
株価の大幅高を手掛かりに138円25銭まで上昇するも
上値は限定的。
◆ユーロドルは、明日の理事会で0.5ポイントの利上げを
検討しているとの報道にユーロの買い戻しが続く。
約2週間ぶりに1.0265まで上昇。
◆株式市場は3指数が大幅に上昇。ダウは754ドル上昇し、
ナスダックは3%を超える上昇に。
◆債券は続落。長期金利は3.02%台に上昇。
◆金と原油は続伸。
◆6月住宅着工件数 → 155万9000戸
◆6月建設許可件数 → 168万5000戸
本日の注目イベント
◆独 独6月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏5月経常収支
◆英 英6月消費者物価指数
◆米 6月中古住宅販売件数
◆米 企業決算 → アルコア、テスラ
◆加 カナダ6月消費者物価指数
上値がやや重くなってきたドル円は138円を挟みもみ合う展開です。
昨日のNYでは今月の会合で1.0ポイントの利上げ観測が急速に後退したことから
株価が全面高となり、リスクオンが強まったことで債券が売られ、長期金利が上昇し
ました。ただ、ドル円は長期金利の上昇にはそれほど反応せず、ユーロドルでユーロ
が買い戻されたことにより反応しました。
長期金利が3.02%台まで上昇したものの、ドル円の高値は138円台前半で限定
的といった展開です。
先週パリティを割り込み、一時は0.9952まで売り込まれたユーロドルは1.0
2台半ばまで買い戻しが進んできました。もともとユーロショートの積み上がりが高
水準だったことに加え、昨日は、明日の会合でECBが0.5ポイントの利上げを実
施する可能性が取り沙汰されたことがユーロの買い戻しを誘いました。
ブルームバーグによると、ECBは先月には0.25ポイントの利上げ方針を示して
いましたが、想定を超えるインフレの高進で、明日の会合で0.5ポイントの利上げ
を真剣に検討していると、事情に詳しい関係者が明らかにしたと報じています。
実際に会合で0.5ポイントの利上げが支持を得られるかどうかは依然として不透明
ですが、ラガルド総裁は6月28日の講演で、0.25ポイントを超える利上げの可
能性に含みを持たせていました。その後発表された6月の消費者物価指数(CPI)
は「8.6%」と、過去最高を記録し、米国をも超える勢いでした。これはECBが
目標とする2%物価上昇の4倍を超えています。
ラガルド総裁は、「例えばインフレが加速し、インフレ期待の抑制が脅かされるよう
な場合、もしくは潜在的経済がより恒久的に失われ、資源利用を制限する兆しが表れ
る場合には、早急に緩和策を引き上げる必要があるだろう」とも話していました。
ブルームバーグの調査によると、エコノミストの過半数は明日の利上げ幅を0.25
ポイントと予想しており、0.5ポイントの利上げを予想したのは53人中4人だけ
だったと伝えています。
明日の発表で0.5ポイントの利上げであれば、すでにその多くは織り込まれている
と思われますが、0.25ポイントであった場合、ユーロドルは再びパリティを目指
す動きになるのではないかと予想します。
前日発表された7月のNAHB住宅市場指数に続き、6月の住宅着工件数は年率換算
で「155万9000戸」と、市場予想を下回っていました。住宅ローン金利が急激
に上昇していることと、価格そのものが上昇していることで、一般的な市民には徐々
に手が届かなくなっていることが背景です。
着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数も168万5000戸と、昨年9月以来
の低水準でした。
因みに昨年12月は189万5000戸でしたので、ここ半年で20万戸以上の減少
が見られます。
FRBの積極的な金融引き締めで、最も大きな影響を受けるのは住宅市場かと思いま
すが、今後さらに大幅な利上げが見込まれることから一段と減速する可能性がありま
す。
ロシアのプーチン大統領はイランのテヘランを訪れ、トルコのエルドアン大統領、イ
ランのライシ大統領と会談し、穀物輸出について協議を行った模様です。
2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、プーチン氏が旧ソ連構成国以外を訪問す
るのはこれが初めてのことになります。
3カ国首脳はシリアについて共同声明を発表する予定のようですが、議題の中心はウ
クライナでの戦争に関することと思われます。戦争の終結につながることにはならな
いとみられますが、結果が注目されます。ウクライナ侵攻から間もなく5カ月になり
ますが、事態は悪化の一途をたどっており、ロシアはウクライナ各市で集合住宅への
ミサイル攻撃を行うなど、今や無差別的に総攻撃を行っています。
双方に相当数の死傷者も出ており、消耗戦もかなり厳しい段階に来ているのではない
でしょうか。
本日のドル円は137円50銭~139円程度を予想します。
- [2022/07/20 09:34]
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WTI原油価格大きく反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆FRBの大幅利上げ観測がやや後退したこともあり
ドル円は軟調な展開。137円97銭まで売られ、利益
確定の売りが優勢に。
◆ユーロドルも大きく反発し、一時は1.02台を回復。
ドル売りの流れが強まり、ユーロを買い戻す動きが
活発に。
◆株式市場は3指数が揃って反落。前日に大きく上昇
したこともあり、この日は金融大手の決算発表が相場を
押し下げた。
◆債券相場は下落。長期金利は2.98%台に。
◆金と原油は揃って上昇。
◆7月NAHB住宅市場指数 → 55
本日の注目イベント
◆豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
◆英 英6月失業率
◆英 ベイリー・BOE総裁講演
◆米 6月住宅着工件数
◆米 6月建設許可件数
◆米 イエレン財務長官、ソウルで会合に出席
◆米 米中間選挙予備選(メリーランド州)
◆米 企業決算 → J&J、ネットフリックス、
先週木曜日には139円39銭前後まで上昇したドル円は、140円という大台
を前に利益確定の売りが優勢となる展開です。
来週のFOMCで1%の利上げ観測も浮上したことからドル高が進みましたが、
その後FRB高官らが大幅な利上げには否定的な発言を行ったこともあり、市場
の大幅利上げ観測もやや沈静化しています。
昨日発表された全米ホームビルダー協会(NAHB)が発表した7月の住宅市場
指数は、2020年5月以来の低水準でした。金利上昇の影響を大きく受けた結
果かと思われます。
また大手米銀の決算発表でもM&Aなどの部門収益が低調で全体の利益を押し下
げており、株式市場全体の下落の一因になっています。
アップルが来年、一部の部門に関して採用と支出のペースを落とす計画であると
の報道もあり、企業の景気減速に対応する動きが続いていることもドルの上値を
重くしつつあります。
ドル円は昨日のNYでは再び138円を割り込む水準まで売られています。
一時パリティを割り込み、0.9952まで売られたユーロドルが1.02台ま
で急速に値を戻したことも円を買い戻す動きにつながったようです。
ドル円との相関が強い米長期金利は昨日上昇していますが、ドル円への影響はな
かった模様です。米長期金利もここ1週間は2.9%~3.0%台で一進一退の
動きを見せており、約1カ月前に3.4%台まで急騰したあの勢いはありません。
来週のFOMCでは0.75ポイントの利上げを予想していますが、市場はその
先の9月会合での利上げ幅を模索しています。景気減速が鮮明な中、さらに大幅
な利上げを実施し「インフレの息の根を止める」大胆な政策に打って出るのか、
あるいは今月の利上げも含めこれまでの4会合連続の利上げの効果を見極めるた
め様子をみるのか、8月、9月の雇用統計と消費者物価指数のデータが注目され
ます。
バイデン大統領は先週中東サウジアラビアを訪問し、サルマン国王やムハンマド
皇太子と会談を行い原油の増産を要請しましたが、サウジは具体的な回答を避け
た模様です。バイデン大統領にとって、ガソリン価格の上昇はそのまま支持率の
低下につながるため、何としてもこれ以上の価格上昇は避けたいところです。
原油価格の今後の動向はバイデン大統領にとっても重要ですが、ドル円の今後の
動きにも大きく影響してきそうです。
今回の大幅な円安は日米金利差による影響が最も大きいと思われますが、日本の
貿易赤字が定着しつつあることも見逃せません。
日本の貿易収支は昨年8月以降輸出額よりも輸入額の多い「貿易赤字」が続いて
います。今週発表される6月の貿易収支でも「赤字」が確定的で、これで11カ
月連続の「赤字」となります。輸出額も増えてはいますが、輸入額がそれを上回
る勢いで増加しています。その大部分はエネルギーの輸入額が増えていることが
主因です。特に原油とLNGの増加が際立っていますが、同じ量の輸入であって
も価格が大きく上昇しているため、「輸入額が増大する」構図になっています。
北海ブレントが125ドルまで上昇すると、ドル円は140円を付けるとの観測
もあります。WTI原油価格は全ての原油のベンチマークになっているため、為
替を見る上でも今後はWTI原油価格の動きからも目が離せません。
本日のドル円は137円50銭~139円程度を予想します。
- [2022/07/19 09:37]
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ドル円139円台に続伸
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はさらに上昇し、欧州からNYでは139円39銭前後まで
買われ、いよいよ140円が視野に。前日カナダなど、多くの
国で利上げが決定され、日銀との差がより鮮明に。
◆ユーロドルは続落。イタリアのドラギ首相が辞任との報道もあり、
0.9958までユーロ安が進む。
◆株式市場はまちまち。ダウは142ドル下げ、5日続落。
ナスダックはマイナス圏から浮上し、辛うじてプラスで引ける。
◆債券は反落。長期金利は2.95%台に上昇。
◆金は反落し一時は1700ドル台を割りこむ。原油も小幅に
反落。
◆6月生産者物価指数 → 1.1%(前月比)
◆6月生産者物価指数 → 11.3%(前年比)
◆新規失業保険申請件数 → 24.4万件
本日の注目イベント
◆中 4-6月GDP
◆中 中国6月小売売上高
◆中 中国6月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏5月貿易収支
◆米 6月小売売上高
◆米 7月NY連銀製造業景況指数
◆米 6月輸入物価指数
◆米 6月鉱工業生産
◆米 6月設備稼働率
◆米 7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 企業決算 → ブラックロック、シティーグループ、ウェルズファーゴ
ドル円は欧州勢が参入して来た昨日の夕方には139円台に乗せ、NYでは139円
39銭前後までドルが続伸しています。先週末に雇用統計が発表される前には135
円台後半で推移していたドル円は、再び「大台替えショー」を演じ、136、137、
138円と上昇し、ついに140円が視野に入ってきたようです。
米国では労働市場が依然として好調だったことに加え、6月のCPIが予想を大きく
上回る「9.1%」だったことで、今月のFOMCでは1ポイントの利上げもあり得
るといった見方が急速に台頭したことが背景です。
さらに日本以外の国に目を向ければ、カナダ、ニュージーランド、韓国、さらにはハ
ンガリーなど、世界中の国が「利上げ競争」の真っただ中にあり、そのトップランナ
ーが米国といった位置付けです。
動かない日本の存在がいやがうえにも目立ち、投資家が主要通貨に対して円売りに走
るのも無理はありません。
水は高い所から低い所に流れますが、マネーは金利の低い所から高い所に流れます。
6月の米卸売物価指数(PPI)は年率で「11.3%」と発表されました。市場予
想が「10.7%」であったことから、予想を大きく上回る伸びを見せましたが、一
方で、インフレ圧力が若干緩和した兆しも一部に見えていました。
ブルームバーグによると、6月の上昇分の4分の3は、エネルギー価格などが大きく
上昇したことが指数を押し上げています。
サービスは前月比「0.4%」の上昇に留まり、食品全体の伸びは年初来で最少でし
た。
ひょっとしたら前日発表されたCPIも6月がピークだったということもあるかもし
れません。
6月のCPIを受けて今月の利上げ幅が1ポイントになるとの観測も台頭しましたが、
FRBのウォラー理事は14日アイダホ州での講演で、「6月のCPI統計について
は最大級の失望だ」とし、今月26-27日のFOMC前に発表される小売売上高や
住宅関連といった追加のデータに左右されると強調しました。
同理事はその上で、「75bpという利上げ幅は極めて大きい。FOMCがそうした
幅の利上げを選択した場合、金融当局が役割を果たしていないことにはならない」と
述べ、「行き過ぎた利上げはしない方が良い」と、75bpの利上げを支持する考え
を示しました。
また、タカ派の重鎮であるブラード・セントルイス連銀総裁も、「これまでわれわれ
は50bpか75bpという枠組みで議論してきた。私は75bpにかなり利点があ
ると考えている」と述べ、「今日時点では、私は次回会合で再び75bp利上げする
ことを支持する」と語っています。
ユーロドルがパリティを明確に割り込み、0.9952までユーロ安が進みました。
エネルギー供給の影響からドイツを中心に景気減速が意識され、来週の理事会で実施
されるとみられている「利上げによる効果も帳消し」といったところです。
加えて、FRBによる積極的な利上げスタンスに比べ消極的だとの見方も広がり、ド
ル高の流れに押し流される形でユーロが売られています。
さらに昨日は、イタリアのドラギ首相が連立政権の足並みの乱れを理由に辞任の意向
を示したこともユーロ売りに拍車をかけたようです。
ユーロ圏では、米国にひけをとらない程インフレが進んでおり、0.25ポイントの
利上げ幅ではその効果も限られそうです。
ユーロ安は止めるという意味からも、来週の会合で0.5ポイントの利上げに踏み切
る可能性もあるかもしれません。
日本では18日(月)が祝日で3連休ということもあり、連休前の動きにもやや注意
が必要かもしれません。
多くの市場関係者が「140円」という数字を口にしていることもあり、その前に利
益を確定する動きがあるのか注意したいところです。
ドルが上昇したものの、まだ135-140円のレンジが続く公算が高いと予想して
います。140円という水準はこれまで以上に「重要な」水準であり、数値であると
考えますが、どうでしょう。
本日のドル円は138円~139円80銭程度を予想します。
- [2022/07/15 09:52]
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米6月のCPI9.1%に上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆6月のCPIが市場予想を大きく上回る9.1%と発表された
ことから、136円台で推移していたドル円は137円87銭
まで上昇。ただその後は米長期金利の低下もあり137円台前半まで
押し戻される。
◆ユーロドルも指標発表直後にドル買いユーロ売りが加速し、
パリティを割り込む0.9998を記録。
◆株式市場は3指数が続落。ダウは208ドル下げ、4日続落。
FRBが大幅な利上げに動くとの観測が重しに。
◆債券はCPIを受け売られ、長期金利も3%台に乗せたが、
景気減速が意識されその後反発。結局前日より低下し、2.93%台で
引ける。
◆金と原油はともに反発。
◆6月消費者物価指数 → 1.3%
◆6月財政収支 → -88.8b
本日の注目イベント
◆豪 豪6月雇用統計
◆日 5月鉱工業生産(確定値)
◆米 6月生産者物価指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 ウォラーFRB理事講演
◆米 企業決算 →JPモルガン、モルガンスタンレー
非常に注目度の高かった今回の米6月CPIでしたが、結果は前年同月比で
「9.1%」と市場予想の「8.8%」を上回り、前月比でも「1.3%」
でした。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも、前年同月比「
5.9%」、前月比「0.7%」と、全て市場予想を上回る結果でした。
「米国の物価上昇は収まるどころか、さらに上昇の勢いを増している」と
の声も聞かれました。
異例なことですが、CPI発表から約1時間後にバイデン大統領は声明を発
表しました。6月のインフレ率について「容認し難いほど高い」としつつも
、「今日のデータは、ここ30日近くにわたるガソリン値下がりの影響を完
全には反映していない。ガソリンスタンドでの価格は6月半ば以降、約40
セント下がっている」と述べました。その上で、「こうしたガソリンの値下
がりで、米国の家計には一息つく余裕が生まれている」と語っています。
(ブルームバーグ)
米大統領がCPIの発表直後に、その結果について言及したことは筆者の記
憶にはありませんが、それほど関心を示していたことと、支持率に直結して
くるだけに何としても止めたいという気持ちの表れなのでしょう。
先日この欄でも触れた、NYタイムズとシエナ大学が行った調査でも、バイ
デン氏を支持しない理由の一つに足元の急激な物価上昇を挙げています。
6月のCPI発表を受け、金融市場も大きく乱高下しています。
発表前には136円台後半で推移していたドル円は直後に137円87銭ま
で買われ、今週月曜日に記録したドルの高値をわずかですが更新しました。
下落の続いていたユーロドルはパリティを割り込み、0.9998と、約2
0年ぶりの低水準を付けました。わずか2ポイントだけ下回ったのは「ご愛
嬌」ですが、ドイツを中心にユーロ圏の景気鈍化が深刻化していることを反
映しています。
CPIの結果を見れば当然の動きかとは思いますが、なかなか理解できない
のがその後の動きでした。ユーロドルは「達成感」が出たのか、その後大き
く反発し1.0122近辺まで買い戻され、ドル円も137円台前半まで押
し戻されています。
一時は3%台を回復した10年債利回りも2.93%台まで低下し、結局前
日よりも低い水準で取引を終えました。
CPIの上昇が止まらず、FRBにはさらに積極的に金利を引き上げなけれ
ばならないプレッシャーがかかるとの見立てから、景気の「オーバーキル」
への懸念も台頭し、これが株安、債券高、金利低下に伴うドル下落につなが
ったと思われます。今後は、米金利の上昇がドル高につながる一方、急激な
利上げが景気を押し下げ、リセッションに入る可能性があることも認識して
おくことも重要かと思います。この日の短期金融市場ではオーバーナイト・
インデックス・スワップ(OIS)は大きく上昇し、今月のFOMCでの0
.75ポイントの利上げをほぼ織り込み、4分の3前後の確率で利上げ幅が
1.00ポイントとなることを示唆しています。
一部のマーケット・エコノミストは今月の会合で「100bpの利上げとい
う歴史的な決定がある」といった方向に傾きつつあります。
6月のCPIを受けて、アトランタ連銀のポスティック総裁はフロリダ州で
記者団に対して、「CPIの数字は懸念すべき要素だ」とし、「あらゆる行
動が考慮される」と説明しました。そうした行動に1ポイントの利上げが含
まれるのかという質問には、「全てという意味だ」と答えています。
(ブルームバーグ)
今月会合では0.75ポイントの利上げが確実になったと思われ、タカ派的
な見方をすれば1ポイントの利上げも考えられ、9月会合でも0.75ポイ
ントの利上げといったシナリオもあるかもしれません。それほど今回のCP
本日から米企業の四半期決算の発表が始まります。
先ずは先陣を切って、JPモルガンなどの金融機関の発表が相次ぎます。
今四半期はほぼ全ての金融、商品市場が大混乱に陥り、大きな値動きを見せ
ました。各行ともトレーディング部門の収益が好調と予想されます。
本日のドル円は136円70銭~138円20銭程度を予想します。
- [2022/07/14 09:52]
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ユーロドル、パリティ割れ目前
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆前日137円75銭まで上昇したドル円は反落。
米長期金利の低下や、債券市場で再び逆イールドが
発生したことから136円47銭まで売られた。終盤には
やや買い戻しも。
◆ユーロドルはパリティを探る動きが継続。独ZEW期待指数
が大幅に悪化したこともあり、欧州市場では1.0005まで
ユーロ安が進む。NYでは1.0034が安値。
◆株式市場は続落。プラス圏で推移していたダウは
午後に売られ192ドル安と3日続落。
◆債券は続伸。長期金利は2.96%台まで低下。
◆金は続落。原油は景気減速懸念が重しとなり前日比
8ドルを超える大幅下落。
本日の注目イベント
◆豪 豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中 中国 6月貿易収支
◆独 独6月消費者物価指数(改定値)
◆欧 ユーロ圏5月鉱工業生産
◆英 英5月鉱工業生産
◆英 英5月貿易収支
◆米 6月消費者物価指数
◆米 6月財政収支
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 バイデン大統領、中東歴訪
◆加 カナダ中銀政策金利発表
前日のNYでは137円75銭までドル高が進み、昨日の東京でも137円53銭
近辺までドルが買われ堅調に推移していたドル円でしたが、NYでは米長期金利が
低下し、2年債と10年債の利回りが逆転する「逆イールド」が再び発生したこと
から、ドル円は136円台半ばまで売られています。
やはり今後急速な利上げから米景気がリセッション入りした場合、ドルが売られる
公算が高いと言えるようです。同時に足下では「1歩後退・2歩前進」する展開を
踏まえて、ドルロングで攻める姿勢を維持しながらも常に「高値警戒感」を意識す
る必要もあります。
昨日の午後、来日中のイエレン財務長官は鈴木財務大臣と1時間半にわたって会談
を行い、会談後に共同声明を発表しています。声明文では、「為替市場に関して緊
密協議し、為替の問題について適切に協力する」と記されているに留まり、予想通
り、足元の水準を「円は安過ぎる」といった認識や、「協調介入」についての話は
なかったようです。
両者の認識の違いは会談後のコメントからも推測できそうです。
鈴木財務大臣は「日本政府としては最近の円安を懸念している」と説明したのに対
し、イエレン財務長官からは特段コメントはなく、ロイター通信などによると、イ
エレン氏は為替介入について、「まれで例外的な状況でしか正当化されない」と、
慎重な見解を示した(日経新聞)とされています。
高インフレを早期に抑え込む必要がある米国にとって、ドル高はむしろ「追い風」
となっており、インフレ率抑制に一役買っている部分もあります。その点からも協
調介入はそう簡単ではなく、米国の理解を得るのは難しい状況かと思います。
今後さらに円安が進んだ際に採れる方法は、事前に米国に通知を行った上で、「単
独介入」に踏み切ることかと考えます。
その水準が140円なのか、150円なのかは分かりませんが、日本が単独で市場
介入する可能性はあると考えています。
もちろんその場合には「為替操作国」に認定されるリスクはあります。
興味深い世論調査が出ています。前日、次期大統領選で「民主党を支持する回答者
の64%は、次回の大統領選で別の候補者を希望し、そのうちの3分の1はバイデ
ン氏の年齢を理由に挙げています。また32%がバイデン氏の仕事ぶりを理由に挙
げたほか、10人中1人が進歩的な姿勢が不十分と回答した」という調査結果を発
表したNYタイムズとシエナ大学の世論調査は、共和党支持者に対しても行われま
した。
それによると、共和党を支持する有権者の半数近くが、2024年大統領選でトラ
ンプ氏以外の候補者に投票する考えを示していることが明らかになりました。トラ
ンプ氏支持が49%と、依然として他の5人の候補者に対しリードしているものの、
46%が対立候補のうちの1人に投票すると回答しています。5人の中ではフロリ
ダ州のデサンティス知事が25%と最も高いようです。
また共和党支持者でテスラCEOのイーロン・マスク氏は、「トランプ氏は202
4年の大統領選への出馬を断念し、デサンティス氏に道を譲るべきだ」と主張して
います。
マスク氏は、現在76歳のトランプ氏が再選されれば、2期目の終わりには82歳
にすることから、「高齢」であることを理由に挙げています。
マスク氏は、これまでのインタビューで「誰を支持するかはまだ決めていない」と
していましたが、今回1億人いると言われるフォロワーに対し、自身の考えをツイ
ッターに投稿しました。(ブルームバーグ)
バイデン氏もトランプ氏も、いずれも「年齢」が大きな壁になっていると考えられ
ますが、
ロシアのウクライナ侵攻で、世界的にも軍事衝突の可能性が高まる中、米大統領の
「役割の大きさ」が改めて意識されていることが背景と思います。
本日は21時半に6月の米CPIが発表されます。
事前予想では5月の「8.6%」を上回る「8.8%」が見込まれており、コアC
PIは前月よりも低下するとみられています。
どちらにもぶれる可能性はありますが、予想値が高いだけに、予想を下回った場合
の反応には注意したいところです。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。
- [2022/07/13 09:49]
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ドル円24年ぶりに137円台後半まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京市場でのドル高の流れを受け続伸。
NYでは137円75銭まで買われ、24年ぶりのドル高
水準を記録。
◆ユーロドルも続落し、こちらは約20年ぶりとなる
1.0034までドル高ユーロ安が進む。
◆株式市場は反落。ダウは164ドル下げ、ナスダックは
6日ぶりに反落。
◆債券は反発。長期金利は3%を割り込み、2.99%台に
低下。
◆金と原油は売られる。
本日の注目イベント
◆豪 豪6月NAB企業景況感指数
◆日 イエレン財務長官、訪日(13日まで)、鈴木財務大臣と会談
◆独 独7月ZEW景気期待指数
◆英 ベイリー・BOE総裁講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
ドル全面高の展開が続いています。
ドル円は再び137円台に乗せ、NYでは137円75銭までドル高が進み、
実に1998年9月以来の水準を付けました。
ドルは対ユーロでも買われ、ユーロドルは1.0034まで続落。こちらは
2002年12月以来という水準です。
ユーロドルは「パリティー」に近づいており、ここまで来たら一度はパリテ
ィー割れの可能性が高いと思われます。
ドル円よりもユーロ円の方が「絶対値」が小さいという状況が発生するかも
しれません。
ドル高の流れは先週末のNYで良好な雇用統計が発表されたことが「伏線」
となっており、FRBの大幅利上げを正当化する好調な結果がドル買いを促
しています。
東京市場の昨日の11時前には日銀支店長会議で、黒田総裁が「必要があれ
ば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の
長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している
」と述べたことが伝わると、ドル円は137円台に乗せ、137円28銭ま
で上昇しました。
黒田総裁の「定型文」が円安を加速させているとの印象は否定できず、これ
まで繰り返してきた言葉を口にするだけで円が売られる状況です。
日米の金融政策の違い、円とドルの金利差、さらには日本の貿易赤字の定着
といった構造的な要因など、多くのドル買い材料が揃っています。
常に「高値警戒感」はあるものの、上記ユーロドルと同じように、ここまで
来たら140円という数字を1回は見ないわけにはいかないのかもしれませ
ん。
FOMCメンバーの発言も多くありました。
アトランタ連銀のポスティック総裁は記者団との電話会見で、「経済が次の
行動に耐えられると確認している。0.75ポイントの利上げを支持する」
と改めて述べています。
同総裁は先週すでに、0.75ポイントの利上げを「完全に支持する」との
発言を行っています。
セントルイス連銀のブラード総裁はAP通信とのインタビューで、「今は強
いインフレがあるが、問題は景気の腰を折らずにインフレ率を2%に戻せる
かどうかだ。私は可能だと考えている」と述べ、「過去2四半期に米国がリ
セッションにあったようにはまず見受けられない」と話しています。
一方6月の会合で0.75ポイントの利上げに反対票を投じたカンザスシテ
ィー連銀のジョージ総裁はミズーリ州の講演で、「政策金利の軌道について
の意思伝達は、そこに至るまでの速さよりも、はるかに重要だろう。金利を
あまりに速く動かすとオーバーステアとなる可能性を高める」と、金融政策
の急速な引き締めが裏目に出ることもあり得る警鐘を鳴らしていました。
(ブルームバーグ)
インフレ率に関して、NY連銀は消費者の3年後のインフレ期待は、昨年1
0月には「4.2%」に達していましたが、5月は「3.9%」となり、6
月には「3.6%」に鈍化したという「最新調査」を公表しています。
支持率が低下しているバイデン大統領に、さらに強い「逆風」が吹いていま
す。NYタイムズとシエナ大学が実施した世論調査によると、民主党を支持
する回答者の64%は、次回の大統領選で別の候補者を希望し、そのうちの
3分の1はバイデン氏の年齢を理由に挙げています。また32%がバイデン
氏の仕事ぶりを理由に挙げたほか、10人中1人が進歩的な姿勢が不十分と
回答しています。
ブルームバーグは「インフレが高進し、バイデン氏の仕事ぶりに厳しい見方
が広がる中、ホワイトハウスが政治的な逆風に直面している状況が浮き彫り
となった」と論評しています。
137円前後では高値警戒感から、ある程度の抵抗もあり、一気にドルが上
昇しないと予想していましたが、ドル円の上昇は黒田総裁の発言を材料に1
37円台後半まで上昇しています。
水準が水準だけに、ここからロングで追随すべきかどうか、ますます悩むと
ころです。本日は来日するイエレン財務長官が鈴木財務大臣と午後1時45
分に会談する予定です。ロシアに対する制裁の強化などが話し合われるとみ
られ、少なくとも「協調介入」などについて話し合うことはないと思われま
す。
現在のドル高について何らかの発言はあるかもしれませんので注意は必要で
すが、仮にあったとしても米国のインフレ状況を考えると、ドル売り材料と
なる発言は想定しにくいと考えます。
本日のドル円は136円50銭~138円程度を予想します。
- [2022/07/12 09:41]
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米6月のNFPは37.2万人の増加
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆6月の雇用統計の結果を受け、135円台後半で推移していた
ドル円は136円56銭まで上昇。その後やや売りに押され、136円
手前で越週。
◆ユーロドルもドル高の勢いから1.0116まで下落。連日売られ、
直近安値を記録する。
◆株式市場はまちまち。ダウは小幅に下げたが、ナスダックは小幅
ながら5日続伸。
◆債券は雇用統計の結果を受け売られた。長期金利は3%台に乗せ、
3.08%で引ける。
◆金と原油は続伸。
◆8月失業率 → 3.6%
◆8月非農業部門雇用者数 → 37.2万人
◆8月平均時給 (前月比) → 0.3%
◆8月平均時給 (前年比) → 5.1%
◆8月労働参加率 → 62.2%
◆5月消費者信用残高 → 22.347b
本日の注目イベント
◆日 黒田日銀総裁、挨拶
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
先週末の「安倍元首相銃撃される」のニュースで列島に激震が走りました。
為替市場ではリスク回避の円買いが進み、135円台後半から135円33
銭近辺まで円高が進み、株式市場でも株価の下落が進む場面がありました。
その後も「安倍氏死去」の報道がありましたが、海外市場ではその影響もほ
とんどなく、NYでは雇用統計を迎えました。
米労働市場では引き続き拡大が続き、6月の非農業部門雇用者数は「37.
2万人」と、市場予想を大きく上回りました。失業率は予想通りで、賃金の
方も前月比では市場予想と一致し、前年比は「5.1%」と、予想を上回っ
ていました。
好調な雇用統計を受け、今月のFOMCでは大幅な利上げが実施されるとの
見方から、ドル円は135円台後半から136円56銭までドル高が進み、
再び上昇傾向を見せています。
アトランタ連銀のポスティック総裁は8日のCNBCとのインタビューで、
「米経済の勢いが非常に強いことを踏まえると、次回会合で75ベーシスポ
イントで動くことは可能であり、広範な経済へのダメージが長引くことはな
いだろう」とコメントし、同幅の利上げを「完全に支持する」と述べました。
また、ブラックロックのシニア・ポートフォリオマネージャーのローゼンバ
ーグ氏も6月の雇用統計の結果を受けて、「7月会合での0.75ポイント
の利上げを確実なものにする」と語っています。(ブルームバーグ)
昨日行われた参議院選挙では、自民党が圧勝し単独で過半数を超える議席を
獲得しました。岸田首相は昨日のインタビューで「貯蓄から投資に振り向け
る政策を検討する」と述べていました。今回の参院選を終え、しばらく国政
選挙がないことから岸田政権が長期政権になるとの予想もあります。
岸田氏が首相に就任してからは、自身が政策にかかわったわけではないもの
の、円安が進み、株価も低迷しています。
新たに打ち出す政策如何では、円売り、株売りだけではなく国債も売られる
「日本売り」の局面もないとは言えません。ここは大胆な、かつ効果のある
政策を望みたいものです。
再び136円台半ばまで上昇したドル円ですが、6月29日に記録した13
7円を抜けることができるかどうかが焦点の一つです。
今朝早朝には136円台を割り込む場面もあり、136円台半ばから上方で
は高値警戒感もあり、これまでのように一気に抜ける状況でもないように思
えます。
一方、好調な雇用統計を受け労働市場の急速な悪化は見込めないといった雰
囲気もあります。FRBは今後も大幅な利上げに突き進むしかなく、筆者も
予想する今月の0.75ポイントの利上げの可能性が高まってきました。
タカ派の予想では9月も大幅な利上げは避けられないといった予想も出始め
ていますが、「今月0.75ポイントの利上げを実施し、9月は、3月以降
合計で2.25%の利上げを行ったその効果を見極める」といった見方が、
現在の基本シナリオかと思います。
本日のドル円は135円40銭~136円90銭程度を予想します。
- [2022/07/11 09:17]
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ジョンソン英首相辞任
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円に大きな動きはなく135円台半ばから136円前後
で推移。米長期金利が上昇したことで136円10銭まで買われたが
続かず。
◆ユーロドルは連日で20年ぶりの安値を更新。1.0145まで
売られ、前日記録した安値をやや下回る。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。ダウは346ドル
買われ、S&P500も57ポイントの上昇。
◆債券は続落。長期金利は再び3%に迫る。
◆金は8日ぶりに反発。原油も上昇し102ドル台を回復。
◆6月ADP雇用者数 → 月次統計方法の変更により発表を一時停止。
◆5月貿易収支 → -85.5b
◆新規失業保険申請件数 → 23.5万件
本日の注目イベント
◆日 5月国際収支
◆日 5月貿易収支
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演(フランス)
◆米 6月雇用統計
◆米 5月消費者信用残高
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演(プエルトリコ)
◆加 カナダ6月就業者数
◆加 カナダ6月失業率
イギリスのジョンソン首相が辞任を表明しました。
不祥事が相次ぎ、閣僚や与党・保守党内の離反が相次ぐ中で3年にわたった波乱
の政権に幕を下ろすことになります。
当初、首相は「続ける」と述べ、最後まで戦い抜く意志を示していましたが、つ
いに辞任が避けられないことを認めた形です。ジョンソン氏は新党首選出のスケ
ジュールを来週発表するとし、新党首が決まるまで首相職にとどまる意向を示し
ています。余談ですが、「ジョンソン氏はバッキンガムシャーにある英首相の公
式別荘『チェッカーズ』を利用できなくなるようです。ジョンソン氏はここで延
期されていた結婚パーティーを今月開く予定でした。招待状は既に発送済みで、
しかも同氏のパーティー好きは周知の通り」と、ブルームバーグはやや皮肉めい
た記事を配信しています。
タカ派のFOMCメンバー二人は、やはりその姿勢を維持していました。
ウォラーFRB理事はオンラインイベントで、「もっと大いに抑制的な設定に向
う必要がある。可能な限り迅速に動くべきだ」と述べ、7月会合で2会合連続と
なる75ベーシスポイントの利上げを支持する考えを示しました。またさらに9
月会合では「恐らく50bpの利上げを支持する」と語っています。
セントルイス連銀のブラード総裁も講演で、「米国のインフレ期待は、連邦準備
制度による信頼できる行動がなければ動揺し、高インフレと実体経済の不安定な
動きを伴う新たな状況につながりかねない」とし、次回会合での0.75ポイン
トの利上げを支持する意向を示しています。
筆者もこの欄で何度か述べたように、今月のFOMCでは0.75ポイントの利
上げがあると予想していますが、発表される経済指標の結果はその可能性を低下
させています。
昨日発表された新規失業保険申請件数も23.5万件と、おおむね18万件台で
推移していた4月からは大幅に悪化していました。
ただその割には、NY株式市場は堅調でした。債券は売られ長期金利は再び3%
前後まで上昇してきましたが、主要3指数は揃って大幅高で取り引きを終えてい
ます。
これまで大幅に売られてきたことで、割高感がなくなって来たと同時に、利上げ
環境にも慣れてきたとも言えそうです。
株式市場は、今月の0.75ポイントの利上げはほぼ織り込んできたように思え
ます。
今度の日曜日は参議院選挙です。
事前予想では自公が安定多数を確保する見込みのようでが、多くの一人区の予想
は不透明で混戦が続いており、予断を許さない状況のようです。
岸田政権が安定的に継続されるようなら、現行の金融政策はそのまま維持される
と思われ、株価の安定からドル円も堅調に推移するとみられます。
21日の日銀金融政策決定会合でも、政策変更はないと思われますが、ひょっと
したらガイダンスに何らかの変化があるかもしれません。
6月の会合後の黒田総裁の発言がその後物議を醸したことは記憶に新しいところ
ですが、今度は慎重に言葉を選ぶと思われ、注目度は上がっています。
本日は雇用統計があります。
市場予想の「23.7万人」を下回るようだと、FRBの積極的な利上げスタン
スが後退するとの見方からドルが売られる可能性もあります。
一方予想を上回った場合は、雇用の拡大がインフレの高進につながり、パウエル
議長に圧力をかけることになります。
パウエル議長にとって、「悪いニュースは良い知らせであり、良いニュースは悪
い知らせ」といった構図が続いています。
ドル円は134円80銭~136円80銭程度を予想します。
- [2022/07/08 09:34]
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ユーロドル約20年ぶりの安値に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆朝方には一時135円を割り込んだドル円はその後反発。
長期金利が上昇し、ユーロやポンドでドル高が進んだことも
影響し、136円前後まで上昇。
◆ユーロドルは続落し、1.0162までユーロ安が進む。
2002年12月以来となる安値を付け、パリティーも視野に。
◆ポンドドルも大きく下落。主要閣僚の2人が辞任し、政府の要職に
就いていた保守党議員も30人余りが辞任したことで、2年4カ月ぶりの
安値を記録。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。
◆債券は大きく反落。長期金利は前日比12bp上昇し、
2.92%台に。
◆金は7日続落し、1736ドル台に。欧州通貨に対してドル高が
進んでいることで売りが優勢に。原油も続落し、98ドル台に。
◆6月ISM非製造業景況指数 → 55.3
◆6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 52.7
◆6月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 52.3
本日の注目イベント
◆豪 豪5月貿易収支
◆日 5月景気先行指数(CI)
◆日 5月景気一致指数
◆中 中国 6月外貨準備高
◆独 独5月鉱工業生産
◆欧 ECB議事要旨(6月開催分)
◆米 6月ADP雇用者数
◆米 5月貿易収支
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 ウォラーFRB理事、インタビュー
◆加 カナダ5月貿易収支
為替市場の主役がドル円から、ユーロドルに移ってきた様相を呈しています。
ユーロドルは続落し、NYでは1.0162までユーロ安ドル高が進んできま
した。
市場では等価(パリティー)割れは時間の問題との観測も出始めており、もし
1.0を割り込めば、ドル円よりも数値が小さくなります。ユーロ圏では6月
のインフ率が「8.6%」と過去最高を記録し、今月の会合では0.5%の利
上げの可能性が浮上していましたが、それ以上にロシアによるウクライナ侵攻
の影響が大きく、景気後退がユーロ売りにつながっています。
FRBが積極的に利上げを行うことでドル高が続くなか、景気減速からユーロ
売りが優勢となっていますが、ユーロのさらなる下落は域内のインフレ高騰に
もつながるため、ECBとしても金融政策のかじ取りが難しくなります。対ユ
ーロで、ドルが大きく買われていることから、ドルとの逆相関が高い「金」は
連日売られ、昨日のNYでは一時1730ドル台まで下落。今年3月に記録し
た2078ドルからは16.7%も下落しています。
もともとインフレには抵抗力があるとして買われてきましたが、一方で金利が
付かないこともあり、インフレ懸念が後退したり、ドルが買われる局面では売
られる傾向があります。
6月14-15日に開催されたFOMCの議事録が公表されました。
この会合では0.75ポイントの利上げが決定され、パウエル議長もタカ派的
な姿勢を強めた会合だったこともあり、その内容が注目されていました。
議事要旨では、「現在FOMCが直面する著しいリスクは、必要に応じて政策
スタンスを調整するというFOMCの決意に対して国民が疑問を抱き始めた場
合に、高インフレが定着しかねないということだと、多くの参加者が判断した
」と記されています。また当局者らは、「政策引き締めは経済成長ペースを一
時的に減速させ得るが、最大限の雇用を持続的なペースで達成するためには2
%へのインフレ率回帰が極めて重要」との見解を示し、その上で「高いインフ
レ圧力が続くようであれば、さらに抑制的なスタンスが適切となり得ることの
認識を示した。インフレ期待が固定されなくなった場合、インフレ率をFOM
Cの目標に再び引き下げる上でより多くの代償が必要になる」と指摘されてい
ました。(ブルームバーグ)参加者の多くは7月会合で50ないし75bp引
き上げることを支持しており、これがパウエル議長の発言にも影響したとみら
れます。独アリアンツの首席経済顧問を務めるエラリアン氏は議事録の公表を
受けて、「インフレが定着する可能性に当局がタイミングよく気付き行動して
さえいれば良かったのだが」とのコメントを残していました。
英ジョンソン首相が窮地に立たされています。
前日2人の主要閣僚が辞任したジョンソン政権から、政府の要職に就いていた
保守党議員が次々と辞任し、その数は30人余りに達したようです。
ジョンソン首相は来週にも与党・保守党党首としての信任投票に直面する可能
性もあるようですが、首相は「続ける」と言明しています。首相の側近の一人
であるシャップス運輸相も退陣を求めている(ブルームバーグ)ようで、政治
的な混乱が続くことからポンドドルは2年4カ月ぶりの安値を付けています。
本日はADP雇用者数の発表があり、さらにFOMCメンバーの中でもタカ派
に属するブラード・セントルイス連銀総裁とウォラーFRB理事の発言が注目
されます。
ドル円は135円~136円50銭程度を予想します。
- [2022/07/07 10:02]
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WTI原油価格100ドルを割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間朝方に136円37銭近辺まで買われたが、
NYでは米国のリセッション懸念から長期金利が低下し、
135円台半ばまで下落。
◆ユーロドルも欧州景気のリセッション入りの可能性が台頭し、
ユーロが大きく下落。一時は1.0236までユーロ安が進み、
2002年12月以来の水準を付ける。ユーロ円も139円台を
割り込む場面も。
◆株式市場はまちまち。ダウは129ドル下落したものの、金利低下
を好感し、ナスダックは129ポイント上昇。
◆債券は買われ、長期金利は2.80%台へ低下。
◆金は6営業日続落。先週末比37ドル安の1763ドル台で引ける。
原油も大幅に下落。世界的にリセッション入りする可能性が意識され、
需要の減少懸念から9ドル近く売られ100ドルの大台を割り込む。
◆5月製造業受注 → 1.6%
◆5月耐久財受注 → 0.8%
本日の注目イベント
◆独 独5月製造業新規受注
◆欧 ユーロ圏5月小売売上高
◆米 6月ISM非製造業景況指数
◆米 FOMC議事録(6月14-15日分)
◆米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米 6月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
今週はどちらかと言えば、ドルの上値は重く、ひょっとしたら下値を試す展開
もあるのではないかと予想していましたが、昨日の東京時間朝方にはドルが買
われ、一時は136円37銭前後までドル高が進みました。
バイデン政権が中国からの輸入品に対して関税引き下げを今週にも発表すると
の報道に反応したようですが、ここまでドルが上昇するとは、想定外でした。
そもそも中国からの関税引き下げは、インフレ抑制の一つの手段であり、実際
に輸入価格が下がれば、FRBの積極的な利上げスタンスは後退するはずで、
むしろドル売り材料ではないかと思います。
結局、この水準が昨日のドルの高値で、NYでは135円台半ばまで押し戻さ
れる場面もありました。
昨日のマーケットでは米国のリセッション入りの可能性がさらに意識され、W
TI原油価格が先週末比9ドル(8.2%)近い下げを見せています。米国だ
けではなく、世界景気がリセッション入りするとの見方から原油需要が大きく
減少するといった見立てのようです。
さらに金も大きく売られ、昨年12月以来となる1763ドル近辺で取り引き
を終えています。こちらはユーロドルなどで、ドルが大きく買われたことから
、ドルの代替品としての金の価値が下がったということでしょうか。主要通貨
が対ドルで売られたことで、ユーロ円など、クロス円は総じて売られるなど、
なかなか複雑な動きを見せた1日でした。
オーストラリア準備銀行(RBA)は昨日の午後、市場予想通り政策金利を0
.5ポイント引き上げ、1.35%にすることを決めました。2会合連続の大
幅利上げです。
利上げ決定後は、事前に予想されていたこともあり、豪ドル米ドルと、豪ドル
円はやや売られましたが、ロウ総裁は政策発表後に公表した声明で、「政策委
員会は今後数カ月の豪州の金融正常化プロセスでさらなる対応を取るつもりだ
。豪州のインフレ率が徐々に目標水準に戻るよう確実を期するために必要な行
動にコミットしている」と説明しています。
さらに声明ではインフレは年内にピークに達する見通しであることも発表して
おり、今後の利上げの大きさとタイミングの決定は、データを注視するとして
います。
NATOはスウェーデンとフィンランドの加盟手続き開始を正式に承認しまし
た。ストルテンベルグ事務総長は「歴史的な日だ」とコメントし、「ロシアは
欧州の平和を粉々にした。従って、この重要な時に団結することが重要だ」と
述べています。ただ、両国のNATO加盟に一転して賛成したトルコが、テロ
リストと見なす容疑者の引き渡しに両国が応じなければ加盟を阻止すると、あ
らためてけん制しています。
ドル円は先月29日に137円を付けた後、一進一退の動きが続いています。
134円台後半から136円台半ばで推移しており、一応値幅はそこそこあり
ますが、5月の末から6月の初めにかけて見せた、「ドル上昇の勢い」は見ら
れません。
高値警戒感もあろうかと思いますが、加えて米国のリセッション入りの可能性
も強まり、ドル高の勢いを弱めているとみられます。
この先は、一にも二にも、今週末の雇用統計の結果と6月のCPIが極めて重
要で、その結果次第で、今月のFOMCでの「利上げ幅」も決まってきそうで
す。個人的には依然として0.75ポイントの利上げを予想し、9月の会合で
は0.25ポイントの利上げ、あるいは場合によっては様子見になるのではと
みています。
ただ、昨日のWTI原油先物市場のように、各市場の動きも大きく、長期的な
予測は難しくなっているようです。
投資家にとっても、利益を取れるチャンスではあるものの、一夜に損出が拡大
するリスクもあるということです。
本日のドル円は134円70銭~136円20銭程度を予想します。
- [2022/07/06 09:26]
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ドル円135円台後半で推移
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
◆NY市場が休みのためドル円は小動き。
東京時間午後3時頃からドルが上昇し、135円台半ばまで
買われる。欧州市場では閑散な取引ながら、135円77銭まで
ドル高に。
◆ユーロドルはやや値を戻し1.04台前半から半ばで推移。
◆欧州株はまちまち。英FTと仏CACは続伸したものの、
独DAXは下落。
本日の注目イベント
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆中 6月財新サービス業PMI
◆中 6月財新コンポジットPMI
◆独 独6月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏5月小売売上高
◆欧 ユーロ圏6月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月総合PMI(改定値)
◆英 英6月サービス業PMI(改定値)
◆英 BOE、金融安定報告書発表
◆米 5月製造業受注
◆米 6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
NY市場が独立記念日のため相場を動かす材料もなく、為替市場は閑散とした
取引に終始しました。
昨日の東京時間ではドル売りが先行し135円を割り込みましたが、先週末の
NYでの安値と同水準の134円79銭前後で下げ止まり、その後135円台
を回復しています。
やや想定外だったのはドル円がその後も続伸し、夕方には135円台半ばまで
ドル高が進み、欧州時間には135円77銭までドルが買われたことです。
目先は、米国のリセッション入りの可能性が高まってきていることを手掛かり
に、ドルの上値は重いと予想していただけに、予想外の展開でした。
先週末の米債券市場では10年債が買われ、長期金利が一時2.8%割れの水
準まで低下したことでドルの上値を抑えると思っていましたが、NY市場が休
みの割にはドル高が進んだイメージです。
ウクライナの復興を議論する国際会議がスイスのルガノで開催されました。
ウクライナのシュミハリ首相は演説の中で、復興には7500億ドル(約10
1兆円)が必要になると訴え、「ロシアがこの血にまみれた戦争を起こし、こ
の大規模な破壊をもたらした。責任を取る必要がある」と述べ、「押収したロ
シアの資産を財源にすることも可能だ」と説明していました。また、ゼレンス
キー大統領はオンラインで参加し、「ウクライナの復興は世界平和への最大の
貢献となる」と演説しています。
米国のバーンズ駐中国大使は4日、精華大学主催の世界平和フォーラムで、ロ
シアのウクライナ侵攻を巡る危機解決に向けて中国ができることは何かとの質
問に、「今回の戦争を始めたとしてNATOを非難するのをやめるよう期待す
る。これはロシアのプロパガンダだ」と答え、「また、ウクライナに米国の生
物兵器研究所は存在せず、中国外務省報道官がこれに関するうそをやめること
も私は望んでいる」と述べ、さらに、「これらは全てロシアからもたらされて
いる。残念ながら中国がこれを取り上げている」と、米国の駐中国大使として
は、直接的かつ公に非難するのは異例(ブルームバーグ)の発言を行いました。
ダウ・ジョーンズ(DJ)通信は、バイデン大統領は中国からの輸入品に対す
る一部の関税を引き下げる決定を今週発表する可能性があると報じています。
衣服や学用品など消費財に対する関税停止や、輸入業者に関税免除の申請を認
める全般的な枠組み設置が盛り込まれる可能性があるとしています。
高インフレに見舞われている米国は、関税を引き下げることで輸入物価を押し
下げる効果を期待する措置ですが、詳しい内容はまだ分かっていません。
本日は午後にオーストラリア準備銀行(RBA)のキャッシュ・ターゲットが
発表されます。
前回に次ぎ、政策金利(キャッシュレート)を0.5ポイント引き上げる可能
性が高く、声明で今後数カ月の追加利上げを示唆する可能性もあります。
RBAのロウ総裁は先の講演で、オーストラリアのインフレ率は今年10-1
2月に7%に加速した後、2023年始めになってようやく鈍化し始めるとの
見通しを示しています。
本日のドル円は135円~136円50銭程度を予想します。
- [2022/07/05 09:26]
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米長期金利一時2.78%台に低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は朝方長期金利の低下に134円80銭まで売られたが
その後はジリジリと反発。135円台前半で越週。
◆ユーロドルも1.04台から下落し、1.0366近辺まで
下げたがその後反発。
◆株式市場はマイナス圏で始まったが、長期金利の低下に
持ち直す。ダウは321ドル上昇。
◆債券は大幅高に。ISM製造業景況指数が2年ぶりの低水準を
記録したことで債券に買い戻しが入る。長期金利は一時2.878%
へと急低下。
◆金は5日続落。原油は反発。
◆6月ISM製造業景況指数 → 53.0
◆S&Pグローバル6月製造業PMI(改定値) → 52.7
◆6月自動車販売台数 → 1300万台
本日の注目イベント
◆独 独5月貿易収支
◆トルコ トルコ6月消費者物価指数
◆欧 ユーロ圏5月生産者物価指数
◆欧 ウクライナ復興会議(スイス、ルガノ)
◆米 NY休場(独立記念日)
6月のISM製造業景況指数は「53.0」と、活動の拡大と縮小の境である
「50」は上回ったものの、市場予想の「54.5」を下回り、約2年ぶりの
低水準でした。
また、新規受注は6ポイント近く低下し「49.2」と、2020年5月以来
の低水準でしたが、一方で在庫の指数は「56」と、2010年以来の高水準
になっており、製造業への需要が弱まっていることを反映しているとみられま
す。同指標の低下を受け、債券市場では債券が買われ、長期金利は一時2.7
8%台まで大幅に低下し、約1カ月ぶりの低水準を付けました。
ドル円も長期金利の低下に呼応するかのように、135円を割り込み、134
円80銭まで売られました。ただその後は再び135円台前半まで値を戻して
おり、金利低下の割には円売りの勢いが止まっていない印象です。朝方に売ら
れたNY株も値を戻し、主要3指数は揃って上昇しています。
連日発表される米経済指標では、下振れ傾向が鮮明になっています。
アトランタ連銀が、発表された経済指標を基に算出する「GDPナウ」は4―
6月期が前年同期比2.1%減少し、GDPが2期連続のマイナス成長の可能
性も浮上してきました。
このような状況の中、米経済がリセッション入りする可能性はさらに高まって
おり、多くのエコノミストはリセッション入りを予想しています。ただそれで
も仮にリセッションに陥ったとしても、程度としては緩やかな一方で「長期間
におよぶ可能性がある」といった見方が強まっています。
NY連銀のウイリアムズ総裁は「景気後退は基本シナリオではない」としてい
ますが、同総裁のお膝元である、NY連銀の分析チームは6月17日、「経済
のハードランディングの可能性は80%」と予想するリポートを発表していま
す。(日経新聞)またJPモルガンも「当社の予想はリセッションに危険なほ
ど近い」と予想し、「しかし、製品需要が軟調な時期でも雇用主が人員削減を
控える可能性なども踏まえ、引き続き景気拡大には期待感を持っている」と顧
客向けのリポートで述べています。
景気拡大に急ブレイキがかかるようなら、今後FRBが積極的に大幅な利上げ
を急ぐ必要性が低下し、ドル円も上値を重くしてくると予想することもできま
すが、そのタイミングは早くも秋以降と予想しています。
FRBとしては、早急にインフレの芽を摘み取ることが先決で、経済の下振れ
も想定内でしょう。先ずはインフレ指標にピークアウトの兆しが確認で出来る
までは、粛々と利上げを実施していくものと思われます。
今週末には6月の雇用統計も発表されます。
景気の下振れを示す結果が多く発表される中、すでに非農業部門雇用者数も5
月の「39万人」から大きく減少して「27.3万人」と予想されています。
もっとも失業率の方は「3.6%」と、5月から横ばいとみられており、急激
な雇用の悪化は予想されていません。
パウエル議長は急激な利上げは労働市場にも影響が出て来ることを想定してい
ましたが、雇用統計で依然として堅調なことが示されるようだと、今月の会合
でも大幅な利上げ観測が高まることになります。
本日のドル円は134円~135円50銭程度を予想します。
- [2022/07/04 09:27]
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米長期金利一時3%を割り込む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は緩やかに下落。米長期金利が一時3%の大台を
割り込んだこともあり、135円56銭まで売られる。
◆ユーロドルは続落。1.0385まで売られ、再び下値を
模索する流れに。
◆株式市場は続落。ダウは253ドル下げ、ナスダックと
S&P500は4日続落。
◆債券は続伸。長期金利は一時3%を割り込み、3.01%
台で取引を終える。
◆金は4日続落。原油はOPECプラスが8月の生産を引き上げる
ことを決めたことで、4ドルを超える下げに。
◆5月個人所得 → 0.5%
◆5月個人支出 → 0.2%
◆5月PCEデフレータ → 0.6%
◆5月PCEコアデフレータ → 0.4%
◆新規失業保険申請件数 → 23.1万件
◆6月シカゴ購買部協会景気指数 → 56.0
本日の注目イベント
◆日 5月失業率
◆日 4-6月期日銀短観
◆中 中国財新6月製造業PMI
◆独 独6月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏6月消費者物価指数(速報値)
◆欧 S&Pグローバルユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
◆英 英6月製造業PMI(改定値)
◆英 英5月消費者信用残高
◆米 6月ISM製造業景況指数
◆米 S&Pグローバル6月製造業PMI(改定値)
◆米 6月自動車販売台数
2022年も前半を終え、今日から後半に入ります。
振り返れば、2月24日ロシアによるウクライ侵攻を境に金融市場は大きく動揺し、
混乱しました。2022年2月24日のロシアの暴挙は今後の歴史に大きな汚点を残
したことになります。
この半年で、為替も株も金利も大きく変貌し、水準を変えています。
主要指数を昨年末とざっと比較してみると、ドル円は昨年末では115円10銭で取
り引きを終えており、今週137円まで上昇したことで、21円90銭(19%)も
のドル高円安が示現しました。
同様に、NYダウは3万6338ドルから6月19日には2万9888ドルで645
0ドル(約17.7%)、米長期金利は1.51%から6月15日には3.5%まで
ほぼ倍になっています。日本でも日経平均株価は2万8791円から2万5000円
台(約13%)まで下げ、長期金利は0.071%から0.25%前後まで上昇しま
した。いずれも半年間という期間の値動きとしては極めて大きいと言えます。
米国では、コロナからの脱却で急速に需要が高まり、そこにサプライチェーンの混乱
が加わり、今度は供給不足も加わりました。需給ギャップの急拡大が物価上昇につな
がり、インフレが急速に高まりました。
そして2月には上記ロシアの蛮行が加わり、原油をはじめとするエネルギー価格の上
昇がさらにインフレを加速させ、現在もその過程にいます。今やインフレは世界共通
の課題となり、さすがの日本もその例外ではないと考えます。
日本の消費者物価指数(CPI)も4月、5月と、2カ月連続で2%を超えて来まし
た。
一方米国では昨年3月あたりから物価上昇が始まり、この時のCPIは前年同月比で
2.6%でした。すでにインフレの勢いは増していたにもかかわらず、FRBは「一
時的」との判断をしており、その後の見通しも誤りました。そんな中、セントルイス
連銀のブラード総裁は昨年11月16日の講演で「インフレのリスクを適切に管理す
るためには、FOMCは次の会合でよりタカ派的な方向に進むべきだ」、「これまで
も提案してきたが、議論したいもう一つの案は、テーパリングが終わった時点で決定
を待たずにバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を認めることだ
」、「これを行えば、若干ながらよりタカ派的な政策となると思う」と述べ、早くか
ら早期の金融政策の転換を主張してきました。
パウエル議長もその後は、自身の見通しが誤っていたことを認めていますが、火がつ
いたインフレの勢いを出来るだけ早く鎮火させるかに躍起になっている状況です。
また、元財務長官のサマーズ氏もかなり早い時期にインフレの高進を警告していたと
記憶しています。
そのインフレの動向を示すPCEデフレータは市場予想よりも低下していました。
コアデフレータも同様に予想を下回っており、この様な結果が発表されると通常、株
価は上昇し、債券も買われ、金利低下からドル円は下落すると想定されます。
昨日の各市場の反応は、株式以外は想定通りの動きを見せましたが、株式市場は下落
しています。
NYからは「インフレよりもリセッションへの懸念が市場では強まっている」とのコ
メントがあり、株価の下落はそちらに反応したようです。
すでに多くの経済指標が予想を下振れする結果になるなど、米経済には急ブレイキが
かかってきたのは明白です。パウエル議長を始め、FRB執行部はタカ派色を強めて
いますが、筆者は7月の会合でも
0. 75ポイントの利上げを予想していますが、13日に発表される6月のCP
Iの数字次第では0.5ポイントの利上げ予想に「修正」する可能性も出て来ました。
本日のドル円は135円~136円50銭程度を予想します。
- [2022/07/01 09:37]
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