米6月のCPI9.1%に上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆6月のCPIが市場予想を大きく上回る9.1%と発表された
ことから、136円台で推移していたドル円は137円87銭
まで上昇。ただその後は米長期金利の低下もあり137円台前半まで
押し戻される。
◆ユーロドルも指標発表直後にドル買いユーロ売りが加速し、
パリティを割り込む0.9998を記録。
◆株式市場は3指数が続落。ダウは208ドル下げ、4日続落。
FRBが大幅な利上げに動くとの観測が重しに。
◆債券はCPIを受け売られ、長期金利も3%台に乗せたが、
景気減速が意識されその後反発。結局前日より低下し、2.93%台で
引ける。
◆金と原油はともに反発。
◆6月消費者物価指数 → 1.3%
◆6月財政収支 → -88.8b
本日の注目イベント
◆豪 豪6月雇用統計
◆日 5月鉱工業生産(確定値)
◆米 6月生産者物価指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 ウォラーFRB理事講演
◆米 企業決算 →JPモルガン、モルガンスタンレー
非常に注目度の高かった今回の米6月CPIでしたが、結果は前年同月比で
「9.1%」と市場予想の「8.8%」を上回り、前月比でも「1.3%」
でした。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも、前年同月比「
5.9%」、前月比「0.7%」と、全て市場予想を上回る結果でした。
「米国の物価上昇は収まるどころか、さらに上昇の勢いを増している」と
の声も聞かれました。
異例なことですが、CPI発表から約1時間後にバイデン大統領は声明を発
表しました。6月のインフレ率について「容認し難いほど高い」としつつも
、「今日のデータは、ここ30日近くにわたるガソリン値下がりの影響を完
全には反映していない。ガソリンスタンドでの価格は6月半ば以降、約40
セント下がっている」と述べました。その上で、「こうしたガソリンの値下
がりで、米国の家計には一息つく余裕が生まれている」と語っています。
(ブルームバーグ)
米大統領がCPIの発表直後に、その結果について言及したことは筆者の記
憶にはありませんが、それほど関心を示していたことと、支持率に直結して
くるだけに何としても止めたいという気持ちの表れなのでしょう。
先日この欄でも触れた、NYタイムズとシエナ大学が行った調査でも、バイ
デン氏を支持しない理由の一つに足元の急激な物価上昇を挙げています。
6月のCPI発表を受け、金融市場も大きく乱高下しています。
発表前には136円台後半で推移していたドル円は直後に137円87銭ま
で買われ、今週月曜日に記録したドルの高値をわずかですが更新しました。
下落の続いていたユーロドルはパリティを割り込み、0.9998と、約2
0年ぶりの低水準を付けました。わずか2ポイントだけ下回ったのは「ご愛
嬌」ですが、ドイツを中心にユーロ圏の景気鈍化が深刻化していることを反
映しています。
CPIの結果を見れば当然の動きかとは思いますが、なかなか理解できない
のがその後の動きでした。ユーロドルは「達成感」が出たのか、その後大き
く反発し1.0122近辺まで買い戻され、ドル円も137円台前半まで押
し戻されています。
一時は3%台を回復した10年債利回りも2.93%台まで低下し、結局前
日よりも低い水準で取引を終えました。
CPIの上昇が止まらず、FRBにはさらに積極的に金利を引き上げなけれ
ばならないプレッシャーがかかるとの見立てから、景気の「オーバーキル」
への懸念も台頭し、これが株安、債券高、金利低下に伴うドル下落につなが
ったと思われます。今後は、米金利の上昇がドル高につながる一方、急激な
利上げが景気を押し下げ、リセッションに入る可能性があることも認識して
おくことも重要かと思います。この日の短期金融市場ではオーバーナイト・
インデックス・スワップ(OIS)は大きく上昇し、今月のFOMCでの0
.75ポイントの利上げをほぼ織り込み、4分の3前後の確率で利上げ幅が
1.00ポイントとなることを示唆しています。
一部のマーケット・エコノミストは今月の会合で「100bpの利上げとい
う歴史的な決定がある」といった方向に傾きつつあります。
6月のCPIを受けて、アトランタ連銀のポスティック総裁はフロリダ州で
記者団に対して、「CPIの数字は懸念すべき要素だ」とし、「あらゆる行
動が考慮される」と説明しました。そうした行動に1ポイントの利上げが含
まれるのかという質問には、「全てという意味だ」と答えています。
(ブルームバーグ)
今月会合では0.75ポイントの利上げが確実になったと思われ、タカ派的
な見方をすれば1ポイントの利上げも考えられ、9月会合でも0.75ポイ
ントの利上げといったシナリオもあるかもしれません。それほど今回のCP
本日から米企業の四半期決算の発表が始まります。
先ずは先陣を切って、JPモルガンなどの金融機関の発表が相次ぎます。
今四半期はほぼ全ての金融、商品市場が大混乱に陥り、大きな値動きを見せ
ました。各行ともトレーディング部門の収益が好調と予想されます。
本日のドル円は136円70銭~138円20銭程度を予想します。
- [2022/07/14 09:52]
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