WTI原油価格5ドルを超える急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆138円台前半で取引が始まったドル円は、好調な労働市場を示す
指標や、連銀総裁の相次ぐタカ派発言を受け上昇。一時は139円08銭
まで買われ、138円台後半で引ける。
◆ユーロドルはドイツのCPIが上振れしたことから買われ、再び
1.00台まで上昇したものの続かず。
◆株式市場はFRBが大幅な利上げを継続するとの見方から3指数が
続落。ダウは308ドル下げ、先週末のジャクソンホール以降約1500
ドルの大幅下落。
◆債券は横ばい。長期金利も変わらず3.10%台で推移。
◆金は3日続落。前日大きく買われた原油は急反落。世界的な景気後退で
原油消費量が減少するとの見立てから5ドルを超える下げに。
◆6月ケース・シラ-住宅価格指数 → 18.65%(前年同月比)
◆6月FHFA住宅価格指数 → 0.1%
◆8月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 103.2
本日の注目イベント
◆日 7月鉱工業生産
◆中 8月中国製造業PMI
◆中 8月中国サービス業PMI
◆独 独8月雇用統計
◆欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
◆米 8月ADP雇用者数
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 8月シカゴ購買部協会景気指数
ジャクソンホール以降、再び「好材料は悪材料」といった構図が強まってきま
した。昨日のNYでは、それまでのアジア、欧州市場では上値を抑えられる展
開で推移していたドル円は、138円台前半でオープンを迎えました。その後
労働市場の好調さを示す指標が発表されると買いが強まり、午前中には139
円台に乗せ、一時は139円08銭と、今週月曜日の東京時間に記録した13
9円ちょうどを上抜けました。ただ、その後は一進一退で、高値圏で推移して
はいたものの、上昇の勢いは見られませんでした。
良好な経済指標は、FRBが積極的な利上げを続ける根拠の一つとなり、ドル
円が買われる構図です。この日はドイツの8月の消費者物価指数(CPI)も
「8.8%」と発表され、米国のそれを上回る数字でした。
ユーロドルもこの発表後に買われ、結局欧米では今後大幅な利上げが避けられ
ないことから、日銀との政策の違いが意識され「円全面安」の展開でした。
さらにこの日はFOMCメンバーによる講演では、ジャクソンホールでのパウ
エル議長の講演内容と足並みを揃えるように「タカ派的」で、これもドルを押
し上げ、株価の大幅安につながっています。
主要中銀がインフレ抑制に全力を注ぎ、敢えて景気の減速を強めるとの観測か
らWTI原油先物市場では原油が大きく売られ、前日比5ドル37セント(約
5.5%)も下げています。この日はハンガリー中銀も基準金利を1%引き上
げ、今後もイギリスやカナダ、あるいはスウェーデンなどが大幅な追加利上げ
に踏み切る可能性が高く、それら中銀と異なる日銀の政策スタンスがさらに際
立ってきました。
NY連銀のウイリアムズ総裁はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙
主催のバーチャルイベントで、「いくらか景気抑制的な政策を講じて需要を減
速させる必要があり、まだそこには到達していない」と述べ、9月のFOMC
での利上げ幅はデータの全体像次第だとしながらも、「抑制的な水準の維持は
2023年末まで続く可能性がある」と語っています。また、リッチモンド連
銀のバーキン総裁は、「われわれはインフレ率を目標の2%に戻すことをコミ
ットしており、そのため必要な措置を講じる。
金融当局が物価抑制に向けた取り組みでひるむことはない」と、やはりタカ派
的な発言を行っています。アトランタ連銀のボスティック総裁はややニュアン
スを異にしており、「今後の指標がインフレの鈍化が始まったことを明確に示
すようなら、利上げ幅をここ最近の75bpから巻き戻す理由になるかもしれ
ない」と述べていますが、「どんなデータが出て来るか見極める必要がある」
としています。(ブルームバーグ)
9月のFOMC会合では0.75ポイント利上げの可能性が徐々に高まって来
た印象ですが、ドイツのCPIが高水準だったことを受け、ECBにも大幅な
利上げ圧力が強まってきました。
ECBの政策メンバーであるミュラー・エストニア中銀総裁は「インフレ見通
しが改善していないことを踏まえると、0.75ポイントは9月の選択肢の一
つに入るだろうと」と語り、同じく同メンバーのバレス・スロべニア中銀総裁
も、「7月に実施した0.5ポイントの利上げより大幅となり得る利上げを、
来週の政策委員会で支持する」と述べています。
米国だけではなく、ユーロ圏でも0.75ポイントの利上げの可能性が強まっ
てきました。
仮にECBが0.75ポイントの利上げを決めれば、通貨ユーロ発足以来、初
めてのこととなります。
今朝の報道で、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の死去が伝えられています。
同氏がソ連で拘束された際には、筆者も現役で、第一線で為替の売買を行って
いましたが、懐かしい思いもします。
一方ロシア・ウクライナ戦争では、ウクライナがロシアへの反撃を強め、クリ
ミアへ通じる要衝であるヘルソン州で強硬策に出ている模様です。
ウクライナ軍が米国から供与された高機動ロケット砲システム「ハイマース」
を使って、遠隔地からロシア軍の軍事施設を攻撃しており、ロシア軍の被害も
拡大しているようです。
本日のドル円は138円~139円50銭程度を予想します。
- [2022/08/31 09:29]
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ドル円東京市場で139円を付けるが上値は追えず
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆先週末のNYの流れを受けたドル円は、東京時間午後には
139円ちょうどをワンタッチ。NYでは上値は重く、138円台
前半まで下げたが、その後は反発。
◆ユーロドルは「パリティ」を挟んだもみ合いが続く。
◆株式市場は3指数とも続落。ダウはプラスに浮上する場面もあったが、
結局184ドル安で引ける。
◆債券は続落。長期金利は一時3.13%台まで上昇し、3.10%
台で取引を終える。
◆金はほぼ横ばい。原油はリビアで武装組織同士が衝突したことを
受け大幅に続伸。
本日の注目イベント
◆豪 豪7月住宅建設許可件数
◆日 7月失業率
◆独 独8月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏7月消費者信頼感指数(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月景況感指数
◆欧 ロシア軍事演習「ボストーク2022」中国軍参加
◆米 6月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 6月FHFA住宅価格指数
◆米 8月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
やはり先週末のジャクソンホールでのパウエル議長の講演は影響が大きく、
昨日の東京市場でも金融市場は大きな動きを見せました。
ドル円は朝方には早くも138円に乗せ、午後には一気に139円ちょうど
までドルが買われました。東京時間にしては動きが速くやや驚きでしたが、
その影響か、欧州からNYではもう一段の上値追いは見られませんでした。
東京株式市場は大きく反応しました。NYダウが1000ドルを超える下げ
で取引を終えたことを受け、日経平均株価はザラ場で850円を超えて下落
する場面もあり、米国が利上げ政策を続けるとの見方にもかかわらず、日本
株が大きく下げ、いつものことですが、「米国がくしゃみをすれば、日本が
風邪をひく」といった構図は変わりません。
昨日のNY市場の動きに注目していましたが、株式と債券市場にはまだパウ
エル議長のタカ派発言の余韻が残っていたようで、主要3指数は続落し、債
券も引き続き売られました。
その結果、米長期金利は3.13%台まで上昇し、約2カ月ぶりの高水準を
付けましたが、上述のように、ドル円は動きが先行していたせいか、東京時
間に付けた139円を抜くことはありませんでした。ストップロスのドル買
いも巻き込み上昇しましたが、昨日も指摘したように、138円台半ばから
上方ではかなりのドル売り注文が集まっていたようです。
先週末、講演が始まる前には136円台半ばで推移してことを考えれば当然
のことかもしれません。
ドル円は、7月14日に記録したドルの高値ブレイクを試しに行く動きを見
せており、個人的にもその可能性が高いと予想していますが、まだ下方に振
れることがないとも言えません。
9月20-21日のFOMC会合までに発表される経済データと、今夜もあ
りますが、FOMCメンバーの発言によっては、どちらにも振れる可能性が
あるということです。
139円39銭を付けた後、130円39銭まで下げたここ1カ月余りの動
きをよくよく吟味してみると、市場は発表されたデータやFOMCメンバー
の発言に「過剰反応する」傾向があることに気が付きます。システム売買が
盛んなことが最大の理由かとは思いますが、それらに反応し一気に上にも下
にも大きく動き、その後行き過ぎたことで「修正」が始まる展開です。そう
でなければ、1カ月余りで、ここ数年間ではほぼ1年間の値幅にも等しいほ
どの動きを見せることはないはずです。
そう考えれば、先週末のジャクソンホールでの講演から、市場の取引時間で
言えば、わずか12時間後に2円40銭ほどもドル高に振れた今回の動きに
も注意が必要なのかもしれません。
早速昨日、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、ジャクソンホールでのパ
ウエル議長の講演を受けた株価急落について、ブルームバーグのインタビュ
ーに答えています。
カシュカリ総裁は、「パウエル議長のジャクソンホールで講演の受け止め方
を見て、嬉しく思う」と発言し、「インフレ率を2%まで押し下げるという
われわれの決意の真剣さが理解された」と説明し、「前回のFOMC後の株
価上昇については素直に喜べなかった。インフレを引き下げるわれわれの決
意の固さを認識し、市場はそれについて思い違いをしていると思っていたか
らだ」と語っています。
また総裁は、「1970年代に当局が犯した最大の過ちの一つはインフレが
鎮静化に向うと思ったことだ。経済は悪化していたため手を緩めたところイ
ンフレは再燃し、その後、ようやく制圧した。この過ちを繰り返してはなら
ない」と述べ、パウエル議長が講演の中で「過去の記録は早急過ぎる政策緩
和を強く戒めている」と述べたことを詳しく説明した形になっています。
8月もまもなく終わり、欧州では長袖が必要な季節になります。
これから冬に向いますが、心配なのは欧州のエネルギー不足です。特にエネ
ルギー不足が懸念されるドイツでは「原子力発電」の再開まで議論される状
況になってきました。
フォンデアライエン欧州委員会委員長は、「急騰している電力価格はさまざ
まな理由において、現行電力市場の仕組みに限界があることを露呈している
」と指摘しており、引き続きエネルギー問題がユーロの売り圧力になりそう
です。
本日のドル円は137円80銭~139円30銭程度を予想します。
- [2022/08/30 09:24]
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パウエル議長がタカ派発言
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を受けドル円は上昇。137円75銭まで買われ、先月22日以来となるドル高水準に。
- 講演前には1.00台後半で推移していたユーロドルは0.9957まで売られる。
- 株式市場は3指数が揃って大幅に急落。ダウは30銘柄全てが売られ、1000ドルを超える下げに。
- 債券は続落。長期金利は3.04%台に上昇。
- 金は4日ぶりに下落。原油は反発し93ドル台に。
本日の注目イベント
- 豪 7月小売売上高
- 日 2月景気一致指数(改定値)
- 米 ブレイナード・副議長講演
「物価の安定を回復するためには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高い。過去の記録は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」・・・。世界中の注目を集めたジャクソンホールでの講演でパウエル議長はこのように発言し、インフレを根絶するため今後も利上げを行い、金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆しました。ある程度予想された通りの内容だったと思いますが、タカ派的な発言を行ったことで、金融市場では各市場とも発言を受け反応しましたが、とりわけNY株式市場の反応が大きく、ダウは1000ドルを超える下落で全面安の展開でした。ナスダックも大きく売られ、アップルなどのハイテク株も大きく値を下げました。一方債券市場では債券が売られましたが、思ったほどの下げではなく、長期金利も上昇しましたが、24日(水)に記録した3.1%台には届いていません。ドル円もドル高が進みましたが、137円75銭までで、長期金利の動きと同じように上昇の勢いはいまいちでした。
パウエル議長はインフレ率を2%に下げる取り組みには、「金利上昇と成長減速、労働市場環境の軟化はインフレを鈍化させるが、企業と家計に痛みをもたらすことにもなる」と述べ、景気よりもインフレ抑制を優先することを言明しました。今回のジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容については、それまでに様々な憶測が出ました。22日(月)には議長が「タカ派的」な発言を行うといった観測が広がり、ドルが買われ、ドル円は137円64銭、ユーロドルも0.9914までドル高が進む局面もありました。ところが翌日には、一連の経済指標が悪化していたことで米国の景気後退も高まり、パウエル議長が「タカ派的」な発言を封印するのではとの見方が広がり、ドルが一転して売られ135円台を記録しています。結局、パウエル議長は多くのFOMCメンバーと足並みを揃えるように「タカ派的」な発言を行いましたが、9月会合での利上げ幅について言及することはしませんでした。議長は、「9月会合の決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」と述べ、これも想定内の発言でした。
パウエル議長の講演を持って、この夏の一連のイベントは終わった印象ですが、今後も「残暑」は残り、暑苦しい夜は続きそうです。今週末には早くも8月の雇用統計が発表されます。パウエル議長の述べていたように、9月の利上げ幅は「データ次第」ということから、発表されるインフレ関連データだけではなく、その他の経済指標も注目され、結果次第では相場が動く可能性も出てきました。
個人的は9月の会合でも0.75ポイントの利上げとなれば、ドル円は再び139円台を試すのではないかと予想していますが、ここで注意したいのはユーロドルの動きです。先週ユーロドルは再びパリティを割り込み、0.9914まで売られました。今後のECBの金融政策にも当然注目しなければなりませんが、ジャクソンホールではパウエル議長以外にも各国中銀総裁がパネルディスカッションを行っています。その中でECBのシュナーベル理事は、「現行の物価上昇でインフレ予想が定着する可能性とコストは不快なほど高い。こうした環境では中銀は力強く行動をしなければならない。人々が法定通貨の長期的な安定性に疑問を持ち始めるリスクに対し、断固として対応する必要がある」と述べ、政策メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁も「政策当局者は後になって『不必要に厳しい』金利の動きを強いられるのを回避するため、記録的なインフレに対応する決心が必要だ」と主張しています。一方、こうした流れと一線を画したのが日銀の黒田総裁でした。黒田総裁は、日本のインフレのほぼ全てはが商品価格上昇によるものだとし、日銀は金融緩和策を維持する必要があるとの見解を示しました。「国内のインフレ率は年内2%または3%に近づく可能性があるが、来年には1.5%に向けて再び減速すると予想している」と述べています。(ブルームバーグ)
ドル円は週明けの本日には138円台で推移しています。上記金融政策トップの発言の違いで、再びドル買い円売りが強まった印象です。本日のドル円は137円30銭~139円程度を予想します。

- [2022/08/29 10:18]
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米長期金利2カ月ぶりに3.1%台に上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は137円台を回復。ジャクソンホールでのパウエル
議長の講演を見極めたいとの雰囲気の中、米長期金利が3.1%台に
乗せたことでドルが買われ、137円23銭前後までドル高に。
◆ユーロドルも小幅に続落し直近安値を更新。9月の会合では0.75
ポイントの利上げ観測もユーロ安の流れを止められず。
◆株式市場は4日ぶりに反発。このところ連日下げていた
ことから買い戻された。ダウは59ドル上昇し、ナスダックも
50ポイント買われる。
◆債券は続落。長期金利は一時3.12%台まで上昇し、
2カ月ぶりの高水準に。
◆金は小幅ながら続伸。原油も続伸し94ドル台を回復。
◆7月耐久財受注 → 0.0%
◆7月中古住宅販売成約件数 → -1.0%
本日の注目イベント
◆独 4-6月期GDP(改定値)
◆独 独8月ifo景況感指数
◆欧 ECB議事要旨
◆米 4-6月GDP(改定値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 ジャクソンホール会合(27日まで)
前日135円台後半まで売られたドル円は再び137円台まで上昇してきました。
明日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演が「タカ派」になるのか、あるい
は「ハト派」になるのか、全ての金融市場が固唾を飲んで見守る中、債券市場では
連日債券が売られ、金利が上昇しています。
10年債は4日続落し、長期金利は2カ月ぶりに3.12%まで上昇し、これがド
ル円を137円台に押し上げています。
債券市場ではパウエル議長の講演内容が「タカ派」になると想定しているようです
が、こればかりは蓋を開けてみなければ分かりません。
市場の読みも、議長が当初はインフレ抑制を前面に出し、「タカ派」寄りの内容に
なるとの観測が強まり株価が大きく売られました。
しかし、その翌日にはPMIなど米景気減速を示す一連の経済指標を受け、今度は
「ハト派」の見方が広がり、ドル円は135円台後半まで売られる展開でした。
7月のCPIなど、インフレ指標が鈍化したことは事実ですが、ロシアからのエネ
ルギーの供給懸念も予想され、資源価格の先行きが見通せない状況下、「もう数カ
月はインフレのピークアウトを示す確かなエビデンスが欲しい」というのが、パウ
エル議長の本音なのではないかと思います。
これまでの急激な大幅利上げの効果も見られ、今後のインフレ抑制にもある程度の
「目安」がついてきたものの、まだ「踏み続けているブレイキを離すわけにはいか
ない」といった状況かと思います。
ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は、過
度に急激な利上げはインフレを悪化させる可能性があると、やや逆説的な発言を行
っています。同氏はドイツでのインタビューで、「利上げは供給サイドの問題解決
にはならない」と指摘し、「問題を悪化させることすらあり得る。今やった方がい
いのは供給サイドのボトルネックへの投資を増やすことだから、利上げはそうした
投資を行うのを一段と難しくする。その上で、「利上げがどのようにして、食品や
エネルギーの増大につながるのだろうか。また半導体供給の問題を解決させるのだ
ろうか。それは一切ない。問題の根源には行き当たらない。状況を悪化させるとい
うのが現実のリスクだ」と論じています。(ブルームバーグ)
ロシアからの「独立記念日」に、ロシアの侵攻からちょうど半年を迎えたウクライ
ナではゼレンスキー大統領がビデオ演説を行い、「ウクライナはクリミア半島とド
ンバス地方を奪回するまでロシアとの闘いを諦めない」と改めて表明しました。
バイデン大統領はウクライナへ、これまで1回あたりの支援額としては過去最大と
なる29億8000万ドル(約4100億円)相当の追加軍事支援を行うと発表し
ました。
また、ジョンソン英首相は首都キーウを電撃訪問し、ウクライナへのドローンなど
5400万ポンド(約87億円)相当の軍事支援を表明しました。
ジョンソン首相はゼレンスキー大統領と会談を行い、「ウクライナはこの戦争に勝
利すると信じている」(I believe Ukraine can and will win this war )とゼレ
ンスキー氏にエールを送っています。
パウエル議長の講演は明日夜11時に予定されていますが、講演を前にポジション
調整も予想されますが、今週に入ってもそこそこの値幅もあり、ある程度の調整は
済んでいるのではないでしょうか。
一時は85ドル台まで売られたWTI原油価格も昨日は94ドル台後半までじわじ
わと上昇してきました。
ジャクソンホールの前になりますが、21時半に7月のPCEデフレータの発表が
あり、それ以降も来週からは、8月の雇用統計、8月のCPIなど、相場変動材料
には事欠きません。結局、9月のFOMC(20-21日)まではこのような状況
が続くと予想されます。
本日のドル円は136円~137円80銭程度を予想します。
*************************************
明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。
宜しくお願い致します。
- [2022/08/25 09:24]
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ドル円一転して下落。一時135円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆137円台で推移していたドル円は軟調な経済指標を受け急落。
135円82銭まで売られたが、その後136円台後半まで値を
戻すなど、荒っぽい動きが続く。
◆ユーロドルは続落し、朝方には0.9914前後まで売られたが、
その後反発。
◆株式市場は続落。ナスダックはほぼ横ばいながら、ダウは3日
続落。
◆債券は続落。長期金利は3.04%台に上昇。
◆金と原油は揃って上昇。
◆8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 51.3
◆8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 44.1
◆8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 45.0
◆8月リッチモンド連銀製造業景況指数 → -8
◆7月新築住宅販売件 → 51.1万件
本日の注目イベント
◆米 7月耐久財受注
◆米 7月中古住宅販売成約件数
ドル円は荒っぽい動きが続いています。
前日、ジャクソンホールでパウエル議長が「タカ派的」な発言を行うとの見方が
強まり、株と債券が大きく売られ、金利が上昇したことでドル全面高の展開にな
りましたが、昨日は米経済指標の下振れを受け、ドルが大きく売られました。
S&PグローバルPMIなど、一連の経済指標が悪化していたことで、米国の景
気後退懸念や、パウエル議長が「タカ派的」な発言を封印するのではとの見方が
広がり、ドルが一転して売られました。
ドル円は137円65銭レベルから137円を割り込み、一気に135円台後半
まで急落。さらにその後136円台後半まで値を戻す荒っぽい動きでした。わず
か30分ほどで1円80銭ほど動いたことになります。
パウエル議長の発言が「タカ派」になるのか「ハト派」になるのかを巡って、投
資家の思惑が交錯しているようです。
昨日は債券も売られ株も売られましたが、一方で金は7日ぶりに反発し、原油も
大きく買われています。ブルームバーグ・テレビジョンの番組で、ゴールドマン
のチーフエコノミストであるハッチウス氏はパウエル議長について、「前回の記
者会見の場合と同様、彼は先行き利上げペースを落とす方針を示すのではないか
。これまでに2回連続の0.75ポイント利上げがあった。データ面で大きなサ
プライズがない限り、9月の動きは0.5ポイントというのがわれわれの予想だ
」と述べ、さらに「議長が数字を特定することはないと考えられるが、引き締め
過ぎのリスクがあり、大幅な引き上げよりも、ややゆっくり進めることが理にか
なうと指摘すると私は想定している」と説明しています。
この番組の影響も多少あったのではないかと思われますが、「タカ派的な発言を
封印」との観測が一夜で高まるなど、市場は手掛かりを求めて右往左往している
状況です。
議長が9月利上げの幅について言及することはまずないと考えますが、大幅利上
げを2回連続で実施した後だけに、「その効果を見極めながら引き続きインフレ
抑制に全力で取り組む」といったコメントも予想できそうです。
ただその場合、ドル買いなのか、ドル売りなのか、難しい判断になりそうです。
そんな中、FRBが23日に公表した議事要旨では、12地区連銀のうち2行が
、7月に公定歩合を1ポイント引き上げることを支持したことが明らかになって
います。
7月のFOMCでの利上げ幅は0.75ポイントでしたが、「こうした投票は、
各地区連銀がどのくらいの利上げ幅を選好するのかを示すサインとして重要にな
り得る」(ブルームバーグ)とのことです。
本日24日で、ロシアがウクライナ侵攻を始めて半年になります。
ウクライナのゼレンスキー大統領は24日の独立記念日を前に、2014年に併
合されたクリミア半島からロシアを排除するとの決意を改めて表明しています。
この間、ロシアの執拗な攻撃により、ウクライナでは少なくとも972人の子供
の死傷が確認されたと、国連児童基金(ユニセフ)の事務局長が電子メールで配
信した資料で初めて明らかになっています。「実際の数字はこれよりもかなり大
きいとわれわれは考えている」とラッセル事務局長はコメントしています。
また、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ロシアとの戦争で9000人近く
のウクライナ兵が死亡したことも明らかにしています。
一方クリミア南部の軍施設を爆破されたロシアは、向こう数日間にウクライナの
政府施設やインフラへの攻撃を強化する準備を行っていると、米当局者が明らか
にしており、戦闘がさらに激化する可能性もありそうです。不毛な戦争はいつ終
わるのか予想もつきません。
値動きの大きいドル円は日足の雲の上限を一旦抜けましたが、再び押し戻され、
同上限を挟んで上下しています。
ジャクソンホールまでまだ2日以上ありますが、米長期金利が3%台を維持して
いれば、ドルの支援材料になりそうです。ただ、NYダウは先週戻り高値を記録
してからすでに1250ドルほど下げています。
日柄的にも戻す可能性があり、株高、債券高に伴い、金利低下を手掛かりにドル
が売られる展開もないとは言えません。
テクニカル的には上昇傾向を辛うじて維持しているドル円ですが、ニュース一つ
で荒っぽい動きをみせるためどちらにも振れる可能性もありそうです。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭といったところでしょうか。
- [2022/08/24 09:34]
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ユーロドル、20年ぶりに0.9928前後まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸し137円65銭まで上昇。東京時間の夕方には
136円70銭まで売られたが、NYでは長期金利の上昇やユーロ売りが
一段と進んだことにも反応し上昇。
◆ユーロドルはパリティを割り込み、0.9928まで売られ、2002年
以来約20年ぶりの安値を記録。ガス価格の上昇を手掛かりにユーロ売りが加速。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続落。26日のパウエル議長の講演で
タカ派色が強まるとの観測が拡大。ダウは600ドルを超える大幅な下げに。
◆債券も続落。長期金利は3%台に乗せる。
◆ドル高、金利高に金は6日続落し、約1カ月ぶりの安値に。原油も
小幅安。
本日の注目イベント
◆トルコ トルコ8月消費者物価指数
◆独 独8月製造業PMI(速報値)
◆独 独8月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏8月製造業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(速報値)
◆欧 ユーロ圏8月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏8月総合PMI(速報値)
◆英 英8月製造業PMI(速報値)
◆英 英8月サービス業PMI(速報値)
◆米 8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米 8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米 8月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米 7月新築住宅販売件
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答で発言
◆米 中間選挙予備選(フロリダ、NY州)
市場は26日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演内容を巡り、大きく揺れ動いて
います。昨日も触れたように、パウエル議長が「タカ派的」な発言を行うとの見方が急速
に強まり、為替、債券、株式、あるいはそれらの先物市場も値動きが大きくなっており、
「タカ派発言」に備える構えを見せています。
株式と債券は売られ、金利上昇を背景にドル円は137円65銭まで上昇。
昨日の東京時間ではいつものようにドルの上値が重い展開でしたが、NYでは一変してド
ル買いが強まり、137円50銭を超えています。
もっとも、昨日に限って言えば「主役」はユーロでした。
ユーロドルは「パリティの1.00」を割り込み、一時は2002年以来となる0.99
28まで売られました。パリティ割れは時間の問題と見られておりましたが、ロシアの国
営天然ガス企業ガスプロムが、同国からドイツに至る主要パイプライン「ノルドストリー
ム」を通じた欧州への天然ガス供給を8月31日から9月2日まで3日間停止すると発表
したことで、この冬に向けドイツなど資源エネルギー確保への懸念が広がりました。
複数のストラテジストは、「ユーロ安のほんの始まりだ」とみており、モルガンスタンレ
ーは7-9月期(第3四半期)にユーロドルは2000年代始め以来となる0.97まで
下落すると予想し、ノムラ・インターナショナルも9月末までに0.975が目標としつ
つ、エネルギー供給面の圧力で停電のリスクが強まるなどして期中には0.95、それ以
下が視野に入る場面があるかもしれないと予想しているといった記事を、ブルームバーグ
は配信しています。仮にユーロドルがそこまで売られるようだと、ドル円も140円台乗
せは十分可能で、さらに上昇しているものとみられます。
パウエル議長がタカ派的な発言を行うのではないかとの見方の背景は、やはりインフレが
ピークアウトしたという「エビデンス」が欲しいということに尽きます。
原油価格が下がり、ガソリン価格も低下したものの、いつまた反発するかもしれません。
景気そのものが減速すれば、経済活動が停滞し原油使用量も減少すると予想されることか
ら、原油価格の下押し圧力になります。
そのため、FRBは「景気拡大を封印してもインフレ抑制を優先する政策」を採る必要が
あるといった見立てなのでしょう。
昨日のNY株式市場ではダウが一時700ドルを超える下げを見せ、長期金利は3.04
%近辺まで上昇する場面もありました。
金利上昇とドル高の影響から金も売られ、原油も下げており、まさに「タカ派発言」に備
えた動きだったと言えます。投機筋も先物市場で金利上昇に備えた動きを加速させており、
米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、債券のショートポジションは
過去最大の69万5493枚に達しています。債券が売られ、金利が上昇したら利益が出
るポジションです。またユーロドルのネットショートポジションも260万枚を超え、今
年最高水準付近まで積み上がっています。
例年ジャクソンホールでのシンポジウムは注目されていますが、今年は特に米国が40年
ぶりのインフレに見舞われていることで、金融政策のヒントを得たいという意味でさらに
注目度が増しているようです。
市場の関心はドル円からユーロドルに移ってきた印象で、ドル円を手掛けている投資家も
ユーロドルの動きには目が離せません。ドル円は日足の雲の上限を抜けてきました。また
MACDも「プラス圏」に浮上してきており、ここから見る限りドル円は再び上値を試す
動きが強まってきたと見られます。
問題は、ジャクソンホールでパウエル議長が、本当に市場が想定する「タカ派的な発言」
を行うのかどうかという点です。
「市場は時折間違う」ということも意識の中に入れておき、日々市場と対峙することが肝
要です。
本日のドル円は136円80銭~138円30銭程度を予想します。
- [2022/08/23 09:52]
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ドル円3週間ぶりに137円台に乗せる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸し約3週間ぶりに137円台に乗せる。
FOMCメンバーのタカ派的な発言もあり、長期金利が一時
3%に迫る水準まで上昇したことで137円22銭までドル高に。
◆ユーロドルも続落。1.0032まで売られ、7月15日以来
となるユーロ安水準を付ける。
◆株式市場は3指数が揃って売られる。長期金利の上昇に
ナスダックは260ポイントの下落。
◆債券は反落。長期金利は一時2.99%台まで上昇し、
2.97%台で引ける。
◆ドル高が進む中、金は5日続落。原油は3日続伸。
本日の注目イベント
◆ 米韓合同軍事演習(9月1日まで)
先週末のNYではドル円が7月27日以来となる137円台を回復し、一時は
137円22銭までドル高が進みました。
今月2日には130円台半ばまでドル安が進み、市場では「ドル高トレンドは
終わった」といった見方が急速に高まりましたが、筆者は「まだ終わっていな
い」との見方を維持し、その根拠にも触れてきました。(参照:8月2日付け
「今日のアナリストレポート」)ドル円は結局130円を割り込むことなく1
37円台まで反発したことになります。
セントルイス連銀のブラード総裁が9月のFOMC会合では0.75ポイント
の利上げを支持する考えを改めて表明したほか、リッチモンド連銀のバーキン
総裁は講演で、「われわれはインフレ率を目標の2%に回帰させることをコミ
ットしており、その達成に向けて必要な措置を講じる」と語り、「インフレを
抑制する道はあるが、その過程でリセッションが起きる可能性もある」と述べ
ています。
先週末のNYでは、リスク回避の流れが強まり、株式と債券が売られ、金利が
上昇したことでドルが買われ、金が売られています。
今週は26日にカンザスシティー連銀主催で、夏の恒例イベントとなっている
「ジャクソンホール」での経済シンポジウムがあり、ここでのパウエル議長の
講演が最大の注目イベントとなっています。
パウエル議長は26日午前10時(日本時間同午後11時)に講演を行う予定
ですが、
9月のFOMCを前にどのような考えを示すのか市場は注目しています。
先週の幾人かのFOMCメンバーの発言では、メンバーの中でも意見が分かれ
ていたことが判明したことも、より注目度を高めています。ブルームバーグ・
エコノミストは「タカ派に傾く可能性がある」と分析していますが、それでも
9月の利上げ幅に言及することはないとみられます。
7月の強い雇用統計が発表された一方、CPIとPPIは低下傾向を見せるな
か、9月の利上げ幅が0.5ポイントになるのか0.75ポイントになるのか
が焦点です。
基本的には会合までに発表されるデータ次第ということになるとは思いますが、
議長はインフレ抑制への強い意志を示すと同時に、ここで手綱を緩めることは
ないはずで、その意味ではタカ派寄りの発言になりそうだと、個人的にも予想
しています。
ウクライナの南部クリミア半島でロシア軍施設での爆発が相次いでいます。公
式には認めていないものの、ウクライナ軍による攻撃とみられています。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「今後も(攻撃が)増える」と述
べ、ロシアとの協議再開はロシア軍の同半島を含む「全土からの完全撤退が条
件だ」と、日経新聞の取材に答えています。またゼレンスキー大統領は「ロシ
アがザポリージャ原子力発電所で核の恐怖を続ければ、今年の夏は欧州の歴史
の中で最も悲劇的なものになる恐れがある」と警告しています。西側当局者の
分析によれば、このところロシア側の軍事作戦はほぼ停滞している模様です。
バイデン政権はウクライナへの7億7500万ドル(約1062億円)の追加
軍事支援パッケージの一環として、地雷除去用の車両や無人偵察機などの兵器
を供与する計画だと、米国防総省は発表しています。
中国四川省は21日、7月からの猛暑と降雨不足にエアコン使用のための需要
急増が加わり、電力不足が「極めて顕著だ」とし、電力不足に対応するため、
工業向け電力の供給制限措置を延長し、最高レベルの緊急対策を発動しました。
この地区では電気自動車(EV)用のバッテリーやソーラパネルの生産設備が
集中しており、日本のトヨタ自動車や米テスラなど、多くの企業が生産中止に
追い込まれています。
中国では電力不足以外にも、新型コロナウイルスの感染拡大を受けロックダウ
ンに踏み切るなど、国内景気だけではなく、世界の景気動向に与える影響も大
きいとみられます。
上でも触れましたが、ドル円は今月2日に一時、「日足の雲の下限」を割り込
む場面がありましたが、その日のうちに133円台まで反発したことで「長い
下ヒゲ」を示現させ、このレベルでは買い圧力の強いことが確認された形にな
っています。
チャートでは結局、雲の下限に抑えられて反発した形状を残し、137円台ま
で反発したことで今度は、「雲の上限」を抜け切れるかどうかの段階に差し掛
かっています。
ドル円は市場のセンチメントに大きく左右されています。
インフレ率の低下やリセッションを示すデータが出ると、大きくドル売りに傾
き、反対にタカ派観測が強まるとドル買いが一気に増えます。言ってみれば、
市場参加者はそれほど先行きが読めないということです。
今週のジャクソンホールとPCEデータ、そして来週2日の雇用統計、さらに
はCPIを経て9月のFOMCが控えています。為替市場の「残暑」はまだま
だ続きそうです。
本日のドル円は136円10銭~137円80銭程度を予想します。
- [2022/08/22 09:42]
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ユーロドルおよそ1カ月ぶりに1.00台後半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間は上値が重い展開だったが、NYでは
135円台半ばを超え135円90銭まで上昇。7月28日以来
となるドル高水準を付け、高値圏で取引を終える。
◆ユーロドルも下げが加速し、約1カ月ぶりに1.0080まで
下落。
◆株式市場は小幅ながら3指数が上昇。経済指標の後押しもあり、
ややリスク選好の流れから株式が買われた。
◆債券は反発。長期金利は2.88%台とやや低下。
◆金は4日続落。原油は続伸し90ドル台を回復。
◆新規失業保険申請件数 → 25.0万件
◆8月フィラデルフィア連銀景況指数 → 6.2
◆7月中古住宅販売件数 → 481万戸
◆7月景気先行指標総合指数 → -0.4
本日の注目イベント
◆日 7月消費者物価指数
◆独 独7月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏6月経常収支
◆英 英7月小売売上高
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆加 カナダ6月小売売上高
ドル円は昨日の東京時間ではいつものように上値が重い展開が続いて
いましたが、NYでは一転して上昇。135円台半ばを超え、135
円90銭まで買われ、ほぼこの日の高値圏で取引を終えています。
フィラデルフィア連銀製造業景況指数が良かったことや、失業保険申
請件数も3週間ぶりに減少するなど、経済指標の好転という材料があ
りましたが、ドル円を押し上げるにはそれほど強い材料ではありませ
ん。ドル円と相関関係が高い米長期金利は小幅ですが低下しており、
やや説明がつきにくい状況です。
ここはやはりユーロドルに引っ張られた側面が強いと思われます。
ユーロドルは1.01を割り込み、1.0080辺りまで「ドル高・
ユーロ安」が進み、約1カ月ぶりの安値まで沈んでいます。このドル
高の影響がドル円にも波及したと思われます。
8月も後半に入り、9月のFOMCでの利上げ幅に焦点が移ってきま
した。
昨日も複数のFOMCメンバーによる発言がありましたが、金融当局
者の彼らの中でも意見が分かれていました。
SFシスコ連銀のデーリー総裁はCNNとのインタビューで、「われ
わらは政策金利を少なくとも中立水準の3%をやや上回る水準に政策
金利を引き上げる必要があるが、恐らく年内に景気抑制的な領域であ
る3%をやや上回る水準に、来年には3%をさらにやや上回る水準と
する必要性がありそうだ」と述べ、「利上げ後は水準を維持するとい
う戦略は、歴史的に見ても奏功してきたと考えている」と説明してい
ます。
また、タカ派のブラード・セントルイス連銀総裁はダウ・ジョーンズ
通信とのインタビューで、9月のFOMC会合で0.75ポイント利
上げすることへの支持を考えているとの報道があります。
一方カンザスシティー連銀のジョージ総裁は大幅な利上げには慎重な
トーンを示しており、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「リセ
ッションに陥ることなくインフレを抑制できるかどうか確信を持てな
い」と述べています。(ブルームバーグ)
こうなってくると来週のジャクソンホールでのパウエル議長の発言が
ますます重要になってきますが、今月のデータで示されたようにイン
フレのピークアウトが来月も示されるのかどうかが最も重要になって
きます。
パウエル議長がどのような発言を行おうと、結局、利上げ幅はそれま
では「白紙」だということです。
今週はNZ準備銀行が追加の大幅利上げに踏み切るなど、世界的にも
ほぼ全ての中銀がインフレファイターとして政策運営を行っている中
、またあのトルコ中銀が流れに逆行する「利下げ」を断行しました。
トルコ中銀は政策金利である1週間ものレポ金利をこれまでの14%
から13%に引き下げました。トルコでは直近のCPIが年率で「7
9.6%」(7月実績)と記録的なインフレに見舞われている中、7
カ月ぶりの「利下げ」はサプライズです。発表直後リラは急落しまし
たが、その後は水準を戻しています。
トルコ中銀の発表では「政策金利は現在の見通しでは適切な水準だ」
としていますが、エルドアン大統領の意向が強く働いていることは明
らかで、ブルームバーグは記事の中で、「インフレ率が24年ぶりの
高水準となっている同国の利下げは予想外で、市場に衝撃が走った」
と伝えています。
昨日もこの欄で触れた、ワイオミング州の予備選挙で敗北したリズ・
チェイニー氏が共和党の大統領候補に出馬する意向のようです。
チェイニー氏はこれまでにも、2024年の大統領選でトランプ氏が
ホワイトハウスへの復帰を目指すのを阻止するため、「必要なことは
何でもする」と述べていました。
チェイニー氏はCNNの番組で、「トランプ氏は引き続き重大な脅威
を突き付けており、わが国に対するリスクだと私は信じている。彼を
打ち負かすには、共和党員と民主党員、無党派層の幅広い共同戦線が
必要になると思う。私はそれに関与するつもりだ」と述べています。
24年の大統領選で共和党候補になるのは簡単ではありません。
知名度、お金、組織力、パワーなど、どれをとってもトランプ氏有利
は動きませんが、もし実際に出馬するのであれば、個人的にはこの決
断に拍手を送りたいと思います。
ドル円は再び136円手前で推移しています。
ここから136円台に乗せることがきれば、今度はショート筋のスト
ップロスを巻き込む可能性もありそうです。今週に限って言えば、多
くの市場関係はドル下落を見込んでいました。
本日のドル円は135円~136円70銭程度を予想します。
- [2022/08/19 09:33]
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FOMC議事録は材料にならず
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京市場では朝方に133円台後半まで売られたドル円は
欧州市場から上昇。NYでは長期金利の上昇に伴い135円台に
乗せ、135円50銭までドル高に。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.02前後まで反発。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ダウは6日ぶりに売られ、
上昇も一服。
◆債券も売られ、長期金利は2.89%台まで上昇。
◆金は続落し、原油は反発。
◆7月小売売上高 → 0.0%
本日の注目イベント
◆豪 豪7月雇用統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 8月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 7月中古住宅販売件数
◆米 7月景気先行指標総合指数
◆米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、Q&Aセッションに参加
7月26-27に開催されたFOMC議事録が公開されましたが、思ったほ
ど「タカ派的」ではなかったものの、株は売られ、債券も売られ、長期金利
が上昇。
ドル円はその動きに呼応するかのように135円台を回復し、135円50
銭までドル高が進む場面がありました。
この水準は今月5日(金)の雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想の
2倍以上だった結果を受け、ドルが急騰した水準になります。ただ、昨日も
この水準を抜け切れずに135円台前半まで押し戻されるなど、依然として
一進一退の展開から抜け出てはいません。
ドル円の上昇は、英国の7月のCPIが「10.1%」に上昇し、40年ぶ
りに2桁のインフレ率を記録したことで、欧米などでもなおインフレ圧力は
続くといった見方が影響した可能性があります。
議事録では、「金融政策が経済に効果をもたらす上では長く不規則な時間差
を伴う事実を考慮すると、委員会が物価安定を回復するために必要以上に政
策スタンスを引き締めるリスクも存在すると、多くの参加者は指摘した」と
した上で、「いずれ利上げペースを減速すると当局者らは認識した」とあり
ました。2会合連続で0.75ポイントという大幅な利上げに踏み切ったこ
とで、その効果を見極めながら、利上ペースをいずれ減速させるとの見方が
示されています。これは会合後の記者会見で述べたパウエル議長の発言とも
整合していました。
11月の中間選挙に伴う予備選挙がワイオミング州で行われ、同州共和党の
現職下院議員のリズ・チェイニー氏がヘイグマン氏に敗れました。
ワイオミング州は圧倒的に共和党支持者が多く、特にトランプ前大統領が根
強い支持を受けている「共和党の牙城」です。
ここで、チェイニー氏は現職共和党員でありながらトランプ氏は次期大統領
には相応しくないとの論陣を張り予備選挙を闘ってきましたが、大差で敗北
しています。同氏はチェイニー元副大統領の長女で、ブッシュ政権時代には
国務副次官補まで務めた「大物」です。トランプ氏もじきじきに現地入りし
て応援を行ったヘイグマン氏に敗れたことは、2024年の大統領選にも影
響するかもしれません。
「貿易赤字が常態化」・・・こんな見出しがつくほど、日本の貿易収支で輸
出額より輸入額が上回る状況が続いています。
昨日発表された7月の貿易収支は1兆4367億円の赤字で、これで12カ
月連続の赤字となりました。
要因はいうまでもなく原油などの資源価格が急騰しているからで、円安が追
い打ちをかける格好になっています。
ただ、円安が進むと通常輸出も増えます。実際に7月の輸出額は前年同月比
で19%増え、過去最大でした。
結局、輸入額がそれ以上に増えていることになりますが、報道によると輸出
は金額では増えているものの、「数量」では減少しています。
これは半導体不足や中国のロックダウンの影響が大きかったとみられていま
す。貿易赤字が続くということはその分だけ市場では、主にドルの調達が増
えるということになります。
今後もこの傾向が続けば、仮に円高に振れる局面があったとしても振れ幅は
限定的だということかもしれません。
ロシア・ウクライナ戦争も新たなステージに入ったのかもしれません。
2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島で、9日にロシア軍の
航空基地が爆破されたのに続き、16日には北部のロシア軍の弾薬庫で大規
模な爆発が起きました。
ウクライナ側は明言を避けていますが、ゼレンスキー大統領はビデオ演説で
攻撃したことを示唆しています。
またゼレンスキー氏はクリミアを取り戻すと何度も述べており、一連の攻撃
はロシアの補給網や拠点にダメージを与えることで、戦局を有利にする狙い
がありそうです。米国から提供された高機動ロケット砲システム「ハイマー
ス」を使うことで、遠距離からの攻撃を可能にし、ウクライナも攻勢に出た
とみられます。一方で、一連の攻撃を受けたロシアがさらに攻撃を強めてく
る可能性もあり、来週で半年を経過する勝者のない戦争もまだ終わりが見え
ないようです。
135円50銭まで買われたドル円ですが、今朝は135円を挟んでもみ合
っています。ここから再び押し戻されるようだと、132円台半ばから13
5円台半ばのレンジが続きそうです。目先は135円台半ばが抜けるかどう
かですが、FOMCメンバーの発言と来週のジャクソンホールあたりが材料
になるのでしょう。
本日のドル円は134円10銭~135円70銭程度を予想します。
- [2022/08/18 09:59]
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WTI原油価格約6カ月ぶりの安値に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は欧州市場で134円台を回復、NYでは
長期金利の上昇もあり134円68銭まで買われる。
◆ユーロドルは続落。ドイツZEW期待指数が悪化しており、
ユーロ売りが優勢に。およそ3週間ぶりに1.0125まで下落。
◆株式市場はまちまちながらダウは5日続伸。ウォルマートなど小売り
企業の良好な決算が支えとなり239ドル高。約3カ月半ぶりに
3万4千ドルの大台に乗せる。
◆債券は売られ、長期金利は2.80%台に上昇。
◆金は続落。原油はイラン産原油の市場復帰が近いとの見方から
大幅に下落。一時は85ドル台まで売られ約6カ月ぶりの安値を
付ける。
◆7月住宅着工件数 → 144.6万件
◆7月建設許可件数 → 167.4万件
◆7月鉱工業生産 → 0.6%
◆7月設備稼働率 → 80.3%
本日の注目イベント
◆日 7月貿易統計
◆欧 ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)
◆英 英7月生産者物価指数
◆英 英7月消費者物価指数
◆米 7月小売売上高
◆米 FOMC議事録(7月26.27日開催分)
◆米 ボウマン・FRB理事講演
131円台半ばから135円台半ばのレンジ内での動きが続くドル円は、昨日の
欧州市場から134円台に乗せ、NY市場では134円68銭までドルが買われ
ています。ドルの底堅い動きとみるのか、あるいは依然としてドルの上値が重い
とみるのか、見方が分かれるところです。
株価が上昇しリスクオンの流れがあることに加え、本日公表される7月のFOM
C議事録では、タカ派の内容が出るのではないかとの見方が広がり、米長期金利
が上昇したことがドル円を押し上げました。
7月会合では2カ月連続で0.75ポイントの追加利上げを決め、会合後の会見
でパウエル議長は「次回の会合で異例に大幅な利上げをもう一度行うことも適切
となり得るが、判断は今から次回会合までのデータ次第だ」と述べたこともあり
、データ次第では大幅な追加利上げの可能性にも言及していた会合でした。
もっとも、パウエル議長は「いずれ利上げペースを落とすことになる」とも述べ
ており、この発言を契機にドル安・株高が急速に進んだ経緯もあります。
結局は、大幅利上げを行うかどうかは「白紙」状態で、まさにデータ次第という
意味合いかと思います。
ただその割には、その後講演を行った複数のFOMCメンバーの発言は概して「
タカ派的」でした。これは、当局としては「持続的かつ説得力のあるエビデンス
」を入手するまでは、慎重な姿勢を崩すことはできないということかと理解して
います。
米国では16日、税制改正や気候変動対策、ヘルスケア措置などを盛り込んだ「
インフレ抑制法」がバイデン大統領の署名で成立しています。
バイデン大統領は、「この法で米国民が勝利し、特別利益団体は敗北した。進歩
と繁栄を米国の家庭にもたらすものだ」と発言しています。
11月の議会中間選挙を控え、「この法案成立は、バイデン氏にとっては大きな
勝利を手にしたもの」とブルームバーグは論じています。
NYの株価が大きく出直ってきました。
NYダウは5日続伸し、この間の上げ幅は1380ドルに迫り、5月4日以来と
なる3万4000ドルの大台を回復してきました。
またS&P500も大幅に下げた下落幅の「半値戻し」を達成しており、これら
は米国のインフレがピークを過ぎたという見方が定着しつつある証左かと思われ
ます。
バンク・オブ・アメリカのストラテジストは「センチメントは依然弱いが、イン
フレを金利の衝撃が今後数四半期で終わるとの期待が高まる中で、もはや終末論
的な弱気ではない」と述べています。
ロシアとウクライの闘いはさらに激しさを増し、台湾海域での緊張は高まり、さ
らにはコロナ感染の日常化など、周りを見れば多くのリスクが混在する中、果た
してインフレの鎮静化という材料だけで楽観論を支持していいのか、個人的には
迷うところです。
実際、台湾を巡る問題について中国の泰剛駐米大使は、米議員団の台湾訪問につ
いて、地域の緊張をエスカレートさせているとした上で、「この問題に関する中
国の決意をバイデン政権は軽視するべきではない」と警告しています。
中国側の報復はまだ終わっていないのかもしれません。
1.02台の半ばから上がキャップされていたユーロドルは、ドル安の流を受け
1.0368近辺まで上昇しましたが、再び下落に転じてきました。これから冬
を迎え、エネルギー問題が景気に及ぼす影響が意識されユーロの上昇は限定的と
なっています。
再び1.01割れを試すようならドル円にも上昇余地がありそうですが、ドル円
の上値の重さもまだ払拭されてはいません。
来週のPECデータや、その先のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発
言を待つしかありません。
本日のドル円は133円50銭~135円程度を予想します。
- [2022/08/17 09:41]
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米インフレ、ピークアウト観測強まる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は133円台でもみ合う。ミシガン大学消費者マインドが
予想を超えていたことでドルを買う流れが強まり133円89銭まで
ドル高が進む。
◆ユーロドルは売りが優勢となり、1.0239前後まで下落。
前日までの1.03台は維持できず。
◆株式市場は大幅に続伸。輸入物価指数がマイナスだったことで
インフレ圧力が大きく低下したとの見方が支えに。S&P500は
72ポイント上昇し、今回の大幅な下落分の半値戻しを達成。
◆債券も買われ、長期金利は2.83%台へと低下。
◆金は反発し、原油は反落。
◆8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 55.5
本日の注目イベント
◆日 4-6月GDP(速報値)
◆日 6月鉱工業生産
◆中 中国7月小売売上高
◆中 中国7月鉱工業生産
◆中 中国7月工業利益
◆米 8月NY連銀製造業景況指数
◆米 8月NAHB住宅市場指数
7月のCPI、PPIが予想を下回る上昇率だったことに加え、先週末に発表された
7月の輸入物価指数も前月比「マイナス1.4%」と、市場予想よりも改善していた
ことで米国のインフレがピークを付けたとの見方が強まってきました。
インフレ指標の頭打ち傾向が見えてきたことから、FRBの大幅利上げのペースが
緩やかになるとの観測から、NY株式市場では主要3指数が揃って大幅に続伸し、S
&P500は、今回の大幅な下げで失った下落分の「半値戻し」を達成しました。
それに伴い恐怖指数と言われる「VIX指数」も、4月以来約4カ月ぶりに恐怖心理
が低下したとみて取れる「20」を下回ってきました。
グランホルム米エネルギー長官は14日、米国のガソリン価格はさらに低下するとの
見方を示しています。
足許の米国のガソリン価格は1ガロン当たり4ドルを下回り、3月以来の低水準とな
っています。WTI原油価格は7月11日以来100ドルの大台を下回っており、今
月4日には一時87ドル台まで売られる局面もありました。
ロシアによるウクライナ侵攻もあり、3月には130ドル台まで急騰した原油価格で
したが、世界的なインフレの高進から各国中銀が積極的な大幅利上げを行い、景気拡
大に急ブレイキがかかりました。景気が世界的なリセッションに入る可能性が出てき
たことから、製造業を中心に原油の使用量も減少するといった見方が大きな理由です
が、投機筋の今後の「相場観」にも変化が出て来たようです。
ただ今後の見方はまだ予断を許しません。
台湾問題では、ペロシ下院議長の訪台をきっかけに中国側が猛反発をし、台湾周辺地
域では「一触即発」の状況にもなり米国も危機感を強めていましたが、中国の再三の
強い警告は今のところ「脅し」の域を出ていません。
しかし14日、マーキー米上院議員(民主党)率いる米議員団が台湾を訪問していま
す。
議員団にはマーキー氏の他3名の民主党下院議員と、1名の共和党下院議員も含まれ
ており、蔡英文総統や呉外相らと、米台関係や地域の安全保障、貿易、サプライチェ
ーンなどについて話し合われる模様です。これを巡っては再び中国の反発が強まりそ
うです。
また、まもなく半年になろうとしているロシアのウクライナ攻撃も一向に終わりが見
えません。ウクライナ軍は南部ヘルソン州で高機動ロケット砲システム「ハイマース
」を使ってロシアの弾薬庫を攻撃するだの、反撃を強めています。さらにドンバス地
域でも「激しい戦闘」が続いており、ロシア側も砲兵や軍事機器、兵士を大規模動員
させており、長期戦を意識した戦闘態勢を敷いているとの情報もあります。
ゼレンスキー大統領は欧州最大の原子力施設であるザポリージャ原発をロシアが攻撃
すれば、ウクライナ軍はこれに対応するとけん制しています。
このような状況の中、原油価格を中心に世界的な物価高騰がこのまま落ち着きをみせ
るのかどうかは、まだ不確実性が高いと思われます。
今週はさすがに大きな動きは一服かと思いますが、トランプ氏とFBIの対決も今後
の米大統領選に影響する可能性もあり、注目していきたいと思います。
コロナの陽性から回復したバイデン氏は2024年の大統領選にも出馬し、再選を目
指す計画を始動させる準備を進めていると、ブルームバーグは報じています。
本日のドル円は132円50銭~134円30銭程度を予想します。
**************************************
明日(8月16日)のアナリストレポートは都合によりお休みとさせて頂きます。
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- [2022/08/15 09:38]
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ドル円一時131円台後半まで売られる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は7月のPPI発表後に急落。131円74銭まで売られ、
10日ぶりの円高水準を記録。その後は長期金利の上昇にドルを
買い戻す動きが急速に強まり133円台まで反発。
◆前日1.03台半ばまで買われたユーロドルは上昇したが、
この日も同水準までの上昇にとどまる。
◆株式市場はまちまちながらダウは続伸。長期金利の上昇に
ナスダックは下げ、S&P500はほぼ横ばい。
◆債権相場は大きく下げる。長期金利は2.88%台まで上昇。
◆金は4日ぶりに反落。原油は続伸し94ドル台を回復。
◆7月生産者物価指数 → -0.5%
◆新規失業保険申請件数 → 26.2万件
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏6月鉱工業生産
◆英 英4-6月GDP(速報値)
◆英 英6月鉱工業生産
◆英 英6月貿易収支
◆米 7月輸入物価指数
◆米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米国のインフレ関連指標の結果を受け、ドル円は大きく上下しています。
前日10日の動きから振り返ってみると、7月のCPIは市場予想の「8
.7%」を下回り「8.5%」でした。コア指数も予想を下回ったことで
ドル円は135円近辺から132円ぎりぎりの水準まで一気に売られまし
た。どちらかと言えば、上値の方にリスクがあると予想していましたが、
残念ながら外れてしまいました。ドル円はその後133円台まで値を戻し、
昨日は東京市場が祝日だったこともあり、概ね133円台で推移していま
したが、NYでは再びドルが急落しました。
7月の生産者物価指数(PPI)が前月比「マイナス0.5%」と、市場
予想の「+0.2%」を下回り、コロナ禍の初期以来のマイナスとなり、
2年ぶりの低下となりました。
前日のCPIに続き、PPIも低下したことで、FRBが大幅な利上げを
回避できるとの見方が強まり、ドル円は一気に131円74銭まで売られ
ましたが、その後は米長期金利が大きく上昇したことに引っ張られ133
円前後まで反発しています。まるでシーソーの様に上下に揺れ動き、荒っ
ぽい展開でした。
システム売買が活発になり、ヘッドラインだけで瞬時に売買を行う取引が
増え、さらに今年のドル円はボラティリティが高く、利益が取れる機会が
多くなったため、投機筋にとってもドル円は「主役の座」に近い位置を
占めているものと思われます。
加えて、個人投資家の参入も増えており、これらがドル円の大きな値動き
を醸成しているものと思われます。正に「熱い夏の夜」といった様相です。
10日のCPI発表後にNY株は急上昇をみせましたが、昨日のPPI後
にはダウ以外は売られました。CPIの低下に過剰反応したといったとこ
ろですが、その前の週末の雇用統計発表直後の反応と真逆の動きでした。
それは、米国のインフレの行方が市場の最大の関心事であることの証左で
あって、為替も株も債券も、あるいは金や原油についても、ほぼ全ての相
場の動きを決定するからです。
インフレの高進が続いていた米国で、ようやくトンネルの前方に明かりが
見えてきたといった状況ですが、ただインフレ率の低下はまだ1カ月を確
認しただけです。今後もこの傾向が続くようならFOMCでの大幅利上げ
の継続は回避できそうですが、まだその判断は早計です。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は英フィナンシャル・タイムズ(F
T)とのインタビューで、「インフレは依然として高水準にあり、われわ
れの物価安定目標にはほど遠い」と述べ、「高水準にあるインフレとの闘
いで米金融当局が勝利宣言するのは時期尚早だ」と語っています。また9
月のFOMCについては、「9月に0.5ポイントの利上げが自身の基本
シナリオだ」と説明しています。(ブルームバーグ)
全米自動車協会(AAA)のデータでは、米国のガソリン平均小売価格は
1ガロン3.99ドルに低下し、3月上旬以来となる低水準になっていま
すが、まだFRBが金融引き締めの手綱を緩める段階ではないと言えるで
しょう。
クリミア半島のロシア軍基地で9日に起こった爆発で、少なくとも8機の
ロシア軍機が破壊されたと報じられています。詳細は分かっていませんが
、ウクライナの特殊部隊が関わっているとされています。
ゼレンスキー大統領は10日夜のビデオ演説で、「ロシア軍はクリミア半
島で航空機9機を失い、ザポリージャ地方でもう1機失った」と述べてい
ます。
まもなくロシアのウクライナ侵攻から半年が経とうとしていますが、事態
は一向に解決しません。米国はウクライナへの軍事面での支援を継続する
意向を示しており、欧州各国はこの冬のエネルギー不足への対応を今から
準備しています。このままでは再びあの厳しい冬の環境下での殺戮が続く
可能性が高いようです。
引き続き荒っぽい動きを見せるドル円は、今後も現在の上昇トレンドを維
持できるかどうかという意味でも非常に重要な水準にいます。今月2日に
は130円台半ばまで売られ、日足の「雲の下限」を一旦は割り込みまし
たが、その日のうちに133円台まで反発したことで、結果的には「雲の
下限が抵抗線となり押し戻された」形になっています。
昨日は131円台後半まで売られましたが、今度は見事に「雲の下限」で
下げ止まり、再び押し戻される展開でした。結局、現時点では「日足の雲
が機能している」ことになります。
ただ注意したいのが、この雲を構成する「先行スパン1」が「先行スパン
2」を上から下へと割り込んできたという現象です。
つまり「雲の逆転」が起きたことになり、これは昨年10月以来のことと
なります。相場の先行きを示す「先行スパン」がドルの下落を示したこと
となり、これは今後も注意深く見ておく必要があります。
本日のドル円は132円~134円程度を予想します。
- [2022/08/12 10:05]
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市場は米CPIの発表待ち
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はCPI発表を控え小動き。135円を挟む展開から
米長期金利の上昇を手掛かりに135円20銭まで買われた。
◆ユーロドルは反発し、NYでは終始1.02台で推移。
◆株式市場は3指数が揃って下落。マイクロンのネガティブな業績
見通しが波及しハイテク株を中心に下げる。
◆債券は反落。長期金利は2.77%台へと上昇。
◆金は続伸し、原油は小幅に反落。
本日の注目イベント
◆豪 豪8月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中 中国7月消費者物価指数
◆中 中国7月生産者物価指数
◆トルコ トルコ7月消費者物価指数
◆独 独7月消費者物価指数(改定値)
◆米 7月消費者物価指数
◆米 7月財政収支
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
ドナルド・トランプ氏が再びマスコミの注目を集めています。
今回は、2024年の大統領選挙に関わる話題ではなく、FRB当局の捜査を
受けたというものです。トランプ氏が大統領在任中に接した機密文書をホワイ
トハウスから持ち出した疑いがあるということで、同氏が保有するフロリダ州
にある豪邸「マール・ア・ラーゴ」に家宅捜査が入りました。
さらにトランプ氏には2021年1月6日の議会占拠事件にかかわる疑いや、
脱税の疑惑もあるようで、今後はトランプ氏自身へ捜査の手が及ぶのかどうか
が注目されています。
トランプ氏は声明で、「フロリダ州パームビーチにあるマール・ア・ラーゴの
私の素晴らしい自宅が現在、大人数のFBI捜査官に包囲されて捜索を受けて
おり、占拠されている」と説明し、「24年の大統領選に私が出馬することを
望まず、必死になっている民主党からの不当な扱いを受けている」と主張して
います。(ブルームバーグ)
中国からの執拗な警告にもかかわらず台湾訪問を終えたペロシ下院議長も舌を
滑らかにしています。
ペロシ氏は、NBCの番組で自身の台湾訪問に対する中国の反応に米議会メン
バーがひるむことはないとし、中国の習近平国家主席について、「おびえたい
じめっ子のように振る舞っている」と述べています。
また同氏は他の番組でも、「中国が議会のメンバーのスケジュールを管理する
ことはできない」とし、「われわれは習氏による台湾の孤立化に加担するつも
りはない」と言明しています。
ただ今回のペロシ氏の訪台は中国にとっても「好機」で、「中国は、ペロシ氏
の台湾訪問に反発して実施した一連の軍事演習を通じて、台湾の『新たな現状
』を定着させることを目指した」と指摘する専門家の意見もあり、これを契機
に「一つの中国」を一気に加速させる可能性もあるかもしれません。
今夜9時半には7月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。今回も前
回と同様に非常に注目されています。
FOMCで投票権を持つタカ派の代表格的存在であるセントルイス連銀のブラ
ード総裁は9日、「インフレ上振れのサプライズが続くのであれば、米金融当
局として高めの金利を長期にわたり維持する用意がある」と述べました。
一方「インフレ率が鈍化しつつあるのなら、その間に金利を高めに維持するこ
とができると考えられる」と指摘しながらも、それをもって、「インフレ率が
ピークに達したと主張するには時期尚早だ」とコメントしています。
7月のCPIは6月の「9.1%」からやや鈍化し、「8.7%」と予想され
ていますが、
ブルームバーグは「クリーブランド連銀のインフレ指標は10日発表の7月の
CPIが予想中央値の8.7%を上回り9%に近いことを示唆している」と伝
えています。
もしこのような結果が出たら、債券が売られ長期金利は急騰。先週末に発表さ
れた「完璧な雇用統計」の影響も残っており、ドル円は再び136円~138
円をテストする可能性があると予想しますが、一方でNY連銀は前日、インフ
レ期待が急低下している点に触れ、消費者の期待インフレ率が低下しているこ
とで、金融当局の懸念を和らげる可能性があるとも指摘しています。(参照:
8月9日付け今日のアナリストレポート)
もっとも、結果は開けてみなければわかりません。
わかっていることは、FRBがインフレ制御にやっきになっており、結果が予
想通りだったとしても、それで直ぐに金融引き締めの手綱を緩めることはない
ということです。
何度も述べているように、先ずはインフレがピークを打ったという「エビデン
ス」を手に入れることであって、少なくともそれまでは慎重姿勢を崩すことは
ないとみています。
その意味では上記ブラード総裁の言葉がFRBの姿勢を象徴していると考えら
れます。
本日のドル円は134円~137円とワイドなレンジ予想となりますが、若干
上値へのリスクの方が高いように思えますがどうでしょう。
- [2022/08/10 09:29]
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ドル円反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 135円台半ばが抜け切れないものの、135円台で堅調に推移していたドル円はNYで売られる。134円36銭まで下げたが、その後再び135円近辺まで値を戻す、「往って来い」の展開に。
- ユーロドルは上値も下値も抜けない動きが続き、1.02を挟むもみ合いに。
- 株式市場は上昇して始まったがその後は軟調な展開に。ダウは小幅にプラスを維持したが、ナスダックとS&P500は続落。
- 債券は反発。長期金利は2.75%台へ低下。
- 金は反発し原油は続伸。
本日の注目イベント
- 豪 7月NAB企業景況感指数
- 米 米中間選挙予備選(コネチカット、ミネソタ、バーモント、ウィスコンシン州)
昨日の東京時間に135円58銭近辺まで上昇する場面もあったドル円でしたが買いは続かず、135円台は維持していたものの、NYでは米長期金利の低下を手掛かりに134円36銭まで売られました。明日のCPIを前に動きにくい状況の中でも1円以上も値幅があり、やはり今年の夏は例年とは異なる動きです。ドル円はその後135円近辺まで値を戻しており、結局「往って来い」の展開でした。先週末の雇用統計が大きく上振れしたことで、9月のFOMCでは0.5ポイントの利上げは確実で、ひょっとしたら0.75ポイント利上げの可能性も大きく浮上してきました。「大幅利上げ継続」を材料にドルが再び上昇すると見込む一方、大幅利上げで
米景気はさらに悪化すると同時に、原油価格の下落が続いていることから、「米国のインフレはピークを打った」とする見方からドルの下落を予想する向きが対峙する構図で、やや不透明な状況です。
実際に今朝のNYからの情報を確認しても、同じように「強弱」入り混じっています。NY連銀の最新の調査で、米消費者の1年後、3年後、5年後のインフレ期待がいずれも急低下したことが明らかになりました。調査によると、3年後のインフレ期待は6月の「3.6%」から7月には「3.2%」に低下。1年後のインフレ期待も6月の「5.8%」と前月の「6.2%」から低下しています。ここ数週間ガソリン価格が下落していることが、家計の不安緩和に大きく寄与したとみられています。明日発表の7月のCPIにも影響があるかもしれません。一方良好な7月の雇用統計を受け、大手米銀の担当者は9月のFOMCでは大幅利上げを見込む声が増しています。JPモルガンのフェロリ氏とLHマイヤーのタン氏は、9月のFOMC会合では75ベーシスポイントの利上げを予想していることを明らかにし、シティーグループは9月の会合で政策金利が1ポイント引き上げられるリスクに留意しているとしています。フェロリ氏は、「米金融政策当局を突き動かしているインフレ懸念は、雇用統計でますます強まった。統計の数字でリセッションへの不安は和らぐが、今後も一層の利上げが続くという懸念は増幅される。9月の利上げ幅が0.75bpになる可能性は高くなってきたようだ」とリポートで指摘しています。(ブルームバーグ)また7月の非農業部門雇用者数が52万8000人増加し、失業率も3.5%まで低下し、賃金の伸びも加速したという結果が、高インフレを相手に闘うFOMCに「6月、7月に続いて9月も0.75bpの利上げを決定する動機を与えた」との指摘もあります。
7日に終了予定だった台湾周辺の軍事演習について、中国人民解放軍は8日、「台湾島周辺の空・海域で対潜ならびに海上攻撃訓練を実施した」ことを発表しています。中国共産党機関紙系の環球時報前編集長の胡氏は「軍事演習は台湾だけではなく、米国、日本、オーストラリアの3カ国への警告でもあり、台湾問題に関してこれら3カ国は、紙で出来たトラ、犬、猫である。(paper tiger , paper dog and paper cat)とツイートしています。これに対して台湾外交部は、中国が軍事演習の延長を決めたことを非難する声明を発表しました。バイデン大統領は8日、「私は心配していないが、中国が軍事演習に動いていること自体は懸念している。だがそれ以上のことはしないと思う」と語っています。
大きな値動きが続いているドル円をしり目にユーロドルではレンジ相場が続いています。ここ1週間ほどは1.01台前半から1.02台後半のレンジ内に見事に収まっています。米国と肩を並べる程のインフレが進む中、景気後退が鮮明で大幅利上げが難しいユーロ圏を象徴している動きと言えます。今後ドル高がさらに進むとみれば、ユーロドルのパリティ割れがもう一度見られる可能性がありそうですが、逆にドルが売られる展開であったとしても、ユーロドルの上昇には限りがありそうです。日足のローソク足はすでに1年以上も「雲の下方」で推移しており、下落基調が続いています。1.05台を明確に上抜けするまではユーロドルの戻り売りスタンスは維持されそうです。
本日のドル円は134円~135円60銭程度を予想します。

- [2022/08/09 09:56]
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米7月の雇用統計は完璧
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は急伸。7月の雇用統計が予想を大きく上振れた
ことからドル円は一気に135円台を回復し、一時は135円52銭
までドル高が進む。
◆ユーロドルは反落。ドル高が進みユーロは売られたが、大きな
値動きはなく1.0142で下げ止まる。
◆株式市場は、FRBによる大幅利上げが継続されるとの観測が高まり
売られる。それでもダウは買いが優勢となりプラスで引ける。
ナスダックとS&P500は小幅に下落。
◆債券相場は大幅に下落。長期金利は一時2.86%台まで上昇し、
2.82%台で取引を終える。
◆金は反落し、原油は反発
◆7月失業率 → 3.5%
◆7月非農業部門雇用者数 → 52.8万人
◆7月平均時給 (前月比) → 0.5%
◆7月平均時給 (前年比) → 5.2%
◆7月労働参加率 → 62.1%
◆6月消費者信用残高 → 40.154b
本日の注目イベント
◆日 6月貿易収支
◆日 6月国際収支
◆日 7月景気ウオッチャー調査
「雇用統計は完璧だった」という声も聞かれるほど、7月の雇用統計は
予想を大きく上回り、リセッションによる労働市場への影響は全く見ら
れない状況でした。
7月の非農業部門雇用者数は「52.8万人の増加」と、市場予想「2
5万人の増加」の倍以上の結果でした。6月分も上方修正され、バイデ
ン大統領は「歴史上、最も多くの人々が働いている」と、雇用統計発表
1時間後に異例のコメントを発表しています。
失業率の「3.5%」も、前回の数字よりも0.1ポイント改善してお
り、賃金も上昇しています。
40年ぶりのインフレが高進する中、企業は人員を確保するため、より
魅力的な賃金を提示し、労働力を維持している構図のようです。
7月雇用者数の予想を大幅に上回る伸びを受け、リセッションへの懸念
が和らぐとともに、FRBは今後も大幅利上げを継続する必要に迫られ
るとの見方が強まり、ドル円は133円前後から一気に135円台を回
復し、135円52銭まで上昇しました。上値の重い展開が続いていま
したが、ここ最近は抜け切れずにやや「壁」になりつつあった134円
50-80銭を突破し、再び上昇トレンドに戻りそうですが、中国によ
る台湾周辺での軍事演習継続や、ウクライナ情勢の混迷、さらには中東
イスラエルの混乱など、まだ不確実性要素が多く、単純にドル高と判断
するわけにはいきません。
ただ、FRBの積極的な利上げ姿勢は維持されそうなことから、これが
ドル円のサポート材料になるとみています。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は7日CBSの番組で、「インフ
レを抑制するという点で金融当局が役割を果たしたと言える状況からは
まだ遠い」と指摘し、9月会合で50ベーシスポイントの利上げが実施
される可能性について問われると、「もちろんだ。だがデータに基づく
姿勢を取る必要がある」とし、「考え方をオープンにしておく必要があ
る。インフレ指標がさらに2つ、雇用統計もあと1回発表される」と述
べています。
また、FRBのボウマン理事は雇用統計の結果を受け、さらにタカ派的
な意見を述べています。ボウマン氏は、「インフレ率が明白に低下する
までは先月決めた0.75ポイント利上げと同様の大幅な利上げを検討
し続けるべきだ」との考えを示し、「現在進めているような利上げが適
切だと予想しているが、データや状況がどのように展開するかについて
は不確実性を踏まえ、そうした情報を指針としてどの程度の利上げが必
要かを判断する」と述べています。(ブルームバーグ)
先週までに、GDPの2期連続マイナスやPMIが「50」を大きく下
回るなど、米経済指標が予想を下振れするケースが多く、さらに前回の
FOMC後のパウエル議長の発言などから、ドル円は急速に値を下げ、
一時は130円台半ばまでドルが売られました。
テクニカルでも「ドル高の終焉」が近いことを示唆するサインもありま
した。筆者もその流れに巻き込まれそうな状況でしたが、「130円を
明確に割りこむまでは」ということで「ドル高の終焉」を封印していま
したが、結果オーライといったところです。
上記FOMCメンバーも口を揃えて言っているように、経済指標の結果
も流動的で、今後も大幅利上げが継続されると想定されるものの、オー
プンでいる必要もあります。データ次第では再びドル売りが再燃しない
とも言い切れません。130円割れは回避できたものの、直ぐに140
円をテストする地合いではないという相場観で対峙することが必要かと
思います。今後もインフレ指標が極めて重要になります。
次の最重要経済指標は10日(水)の7月の消費者物価指数です。
熱い夏はまだまだ続きそうです。
本日のドル円は134円50銭~136円程度を予想します。
- [2022/08/08 09:39]
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WTI原油価格一時87ドル台まで続落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 欧州市場の朝方には134円43銭近辺まで買われたドル円でしたが続かず。NYではややリスクオフが強まり132円77銭までドル安に。
- ユーロドルは反発したものの、1.02台半ばから上が抜けない展開が続く。
- 株式市場はまちまち。雇用統計を控え、ポジション調整に終始。ダウは85ドル下げ、ナスダックは小幅に続伸。
- 債券は続落。長期金利は2.68%台に。中国が台湾海峡周辺にミサイルを発射したことでリスク回避の流れに。
- 金は大幅に続伸し、1800ドル台を回復。原油は大幅に続落。ロシアのウクライナ侵攻以降初めて87ドル台を付ける。
本日の注目イベント
- 豪 RBA四半期金融政策報告
- 日 6月景気先行指数(CI)(速報値)
- 独 6月貿易収支
- 独 6月鉱工業生産
- 米 7月雇用統計
- 米 6月消費者信用残高
- 加 7月就業者数
- 加 7月失業率
中国人民解放軍は台湾周辺で軍事演習を開始し、台湾沖に11発のミサイルを発射しました。演習はペロシ米下院議長の訪台への対応と見られ、台湾海峡を巡る緊張が高まってきました。防衛省は弾道ミサイル4発が台湾本島上空を飛翔し、5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられると発表しました。岸防衛相は中国を強く非難すると声明を発表しましたが、中国は7日まで演習は続ける予定で今後さらに緊張が高まる可能性もあります。中国外務省が、カンボジアで予定していた日中外相会談を取りやめると発表しています。
ペロシ訪台への報復が始動したようですが、ペロシ氏は昨日の夜米軍横田基地に到着し、本日岸田首相、細田衆院議長と会談する予定です。中国が実弾を用いた演習に、日本でも地政学的リクスが高まってきています。加えて、北朝鮮は発足した韓国の尹政権を露骨に批判しており、前政権より関係が悪化しています。ロシアのウクライナ侵攻のような事態は想定されませんが、日本の周りでも地政学的リスクが一気に高まる可能性がないとは言えません。「リスク回避の円買い」が進むとの見方が強い中、日本周辺での出来事であることから、必ずしも円を買えばいいという訳でもないような気もします。ただ、株式市場では株価の下落につながり易く、株価の下落がドル売り円買いに向かう可能性はありそうです。
イングランド銀行(BOE)は4日、政策金利の0.5ポイント引き上げを発表しました。金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうち8人が0.5ポイントの利上げを支持し、これで政策金利は1.75%になります。BOEが通常の2倍の大幅利上げを行うのは27年ぶりのこととなり、その上でBOEはインフレ加速の重圧により英経済が1年超のリセッションに向いつつあると警告しました。英国の6月のCPIは前年同月比で「9.4%」と米国のインフレ率を上回っています。この発表を受け、ポンドドルは一時上昇しましたがすぐに売られる展開でした。ポンドドルは、昨年6月の1.42台前半から一貫して下げており、今年だけでもおよそ10%程売られています。これに関してBOEのベイリー総裁は「ポンドの下落は今のところ危機ではない」とした上で、「景気見通しを見極めるため政策当局は為替を含むあらゆる指標を注視している」と述べていました。(ブルームバーグ)
ドル円はまだ上値の重い展開が続いています。昨日もそうでしたが、特に134円台の半ばから上が重いようで、134円50~80銭の水準が抜けないことから135円台に乗せることができない状況です。本日の雇用統計の結果次第ではその可能性はありますが、一方で再び130円台テストの可能性もくすぶります。非農業部門雇用者数だけではなく、平均時給にも注視したいところです。
クリーブランド連銀のメスター総裁はピッツバーグでのイベントで講演し、「米金融当局はインフレ抑制にコミットしており、需要を緩和するために政策金利を、4%を少し上回る水準まで引き上げる必要がある」との認識を示しました。メスター総裁はさらに、「われわれは利上げを行い、そして有力な証拠で裏付けられる十分に高い水準に至ったらその水準をしばらく維持し、インフレが目標に近づいた段階で引き下げることができる」と説明。また、9月の利上げ幅については「0.75ポイントは不合理ではないものの、0.5ポイントもあり得る」との見方を示しており、これらは、FOMCメンバー全体のスタンスを集約した発言かと受け止めています。「有力な証拠で裏付けられた」といった部分が重要で、要は、「インフレのピークアウトを示す具体的、かつ説得力のあるデータ」ということになり、それが入手されるまでは現行の引き締め政策が維持されるということです。因みにメスター総裁は今年度のFOMCで投票権を持っています。
本日のドル円は131円~134円50銭とワイド過ぎますが、展開が読めない上ボラティリティーが高いことを加味しています。
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今週はペロシ米下院議長の台湾訪問を巡り、多くの個人投資家が緊張感を持って市場と対峙したことと思われます。あの醜いほどの言葉を駆使した「恫喝」にもかかわらず、今のところ目立った報復はみられません。
ペロシ氏が台湾に到着した2日には、中国メディアの中国新聞網は、『ペロシ米下院議長が台湾に到着した夜に台北市内で<ペロシ帰れ>と叫ぶ市民による抗議デモが行われた』と報じています。記事は、『ペロシ議長が台北到着後に滞在する予定のグランドハイアット台北(君悦飯店)の外で2日夜、ペロシ議長の訪台に反対する市民が続々と集まり、警察官約1000人が厳戒態勢を敷き、2000人が出動待機する中で<ペロシ、帰れ>とシュプレヒコールを上げた』と伝えています。この種のニュースは他のどのメディにも報道されていません。この記事を目にし、「本当かいな・・・?」と思ったのは筆者だけではないと思います。情報操作だとしても余りに露骨で、ミエミエのような気もしますが・・・。
良い週末を・・・・・。

- [2022/08/05 10:13]
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WTI原油価格90ドル台まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は米経済指標の上振れとリスクオンの流れから134円台を回復し、134円55銭まで買われる。ただその後は長期金利の低下と共に、133円台後半まで下落。
- ユーロドルは1.02台から下げ、1.0123近辺まで売られる。
- 株式市場は3指数が揃って大幅に上昇。企業業績と良好な経済指標を好感。ダウは416ドル買われ、前日の下げを埋める。
- 債券は反落。長期金利は2.70%台に低下。
- 金は6日ぶりに売られる。原油価格は在庫が予想よりも積み上っていたことから大幅に下落。90ドル台はほぼ5カ月ぶりの水準。
本日の注目イベント
- 豪 6月貿易収支
- 独 6月製造業新規受注
- 英 BOE金融政策発表
- 英 ベイリー総裁会見
- 英 BOE議事録
- 米 6月貿易収支
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
ペロシ米下院議長は昨日の夕方6時ごろ、台北の松山空港を離れ、次の訪問国韓国に向いました。台湾の蔡英文総統と会談を行い、会談でペロシ氏は「米台の団結を明確にするため訪問した」と述べ、「米国は揺るぎない決意で台湾と世界の民主主義を守る」と発言する一方、「一つの中国」政策を尊重し、台湾への関与を放棄しないことを強調しました。ペロシ氏の訪台を巡っては中国側の再三にわたる強い警告がありましたが、台湾海峡周辺での軍事演習を強行した以外、現時点では目立った報復は見られません。それでも中国の王毅外相は3日異例の談話で、「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」(日経新聞)と、かなり過激な発言を行いました。王毅氏はかつて在日大使を経験したこともあり、流暢な日本語をあやつり、個人的には「温厚な紳士」だった印象がありますが、今回のらしからぬ発言には驚きです。ペロシ氏訪台を阻止するために強硬派が提案していたような措置が取られなかったことで、一部本土市民が失望したことに対して中国政府は、「米国と台湾は中国の対抗措置を徐々にかつ執拗に感じるだろう」として、市民に「しばらく辛抱してほしい」と呼び掛けていると伝えられています。ペロシ氏は韓国訪問の後は日本に向い、岸田総理との会談も予定されていることから、中国の強力な「報復措置」の可能性はまだ完全に消えていないと考えておいた方がベターです。
ドル円はNYで134円55銭まで上昇する場面もあり、これで2日の130円40銭近辺からは4円以上もドルが反発したことになります。まだ「ドル高トレンドは変わっていない」とした筆者の見方も、現時点ではやや正当化されそうです。日足チャートでは、雲の下限を一旦割り込みましたが、翌日のローソク足が雲の下から出ることにはならなかったことで結局、雲の下限に支えられて反発した形状になっています。139円39銭から130円40銭までの下落幅の「半値戻し」はおよそ「134円89銭」となり、昨日のNYではそこまで戻してはいません。直近の戻りのメドとしは意識される水準で、さらに「基準線」も134円90銭にあります。従って、この水準を抜き135円台を回復するようだと、目先の130円割れは遠のくとみられます。
今回のドル円急落は6月のCPI発表後に急速に盛り上がった大幅利上げ観測が、FOMC後、特にパウエル議長の会見を境に急速に後退し、それ歩調を合わせたように米長期金利が低下したことが主因でした。ところが、「いやそうではなく、FRBによる大幅な利上げスタンスは変わっていない」との見方が再び台頭してきました。前日のシカゴ連銀総裁やSFシスコ連銀総裁の発言に加え、昨日はリッチモンド連銀のバーキン総裁が、金融当局はインフレ抑制にコミットしているとしつつ、「その過程でリセッションは起こり得る」と発言し、セントルイス連銀総裁のブラード総裁も大幅な利上げを「前倒しで実施する」戦略への支持を表明しています。また、SFシスコ連銀のデーリー総裁は、大量失業と景気低迷を引き起こさずにインフレを抑制することは可能だとの認識を示し、「経済データが予想通りとなれば、9月のFOMCで政策金利を50bp引き上げることが適切になりそうだ」と発言しています。
このように、今後の経済指標が余程の下振れを示さない限り、FRBの利上げスタンスは変わらないとみられます。むしろ、明日の雇用統計が上振れすれば、9月の利上げは50bpから75bpがコンセンサスになる可能性も残しています。今後のデータ次第だということですが、相場の振れは大きく、荒っぽい展開は続きそうです。
本日のドル円は133円~135円程度といったところでしょうか。

- [2022/08/04 09:57]
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ドル円130円台から133円台に急反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は東京時間に130円39銭前後まで売られ、130円テストも迫ったが、NYでは急反発。FOMCメンバーによるタカ派的な発言から米長期金利が急騰し、ドル円は一気に133円18銭まで上昇。
- ユーロドルはやや水準を切り下げ、1.02を挟む展開。
- 株式市場は続落。ペロシ訪台により、米中関係の緊張が高まったことからダウは400ドルを超える下げに。S&P500とナスダックは小幅な下げにとどまる。
- 債券は急落し、金利は急騰。SF連銀のデーリー総裁などの発言から債券は売られ、長期金利は一時2.77%台まで上昇。
- 金は小幅ながら5日続伸。原油も反発。
本日の注目イベント
- 中 7月財新サービス業PMI
- 中 7月財新コンポジットPMI
- 独 6月貿易収支
- 独 6経常収支
- トルコ 7月消費者物価指数
- 欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏7月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏6月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏6月小売売上高
- 英 7月サービス業PMI(改定値)
- 米 7月ISM非製造業景況指数
- 米 7月サービス業PMI(改定値)
- 米 7月総合PMI(改定値)
- 米 6月耐久財受注
- 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、オンライン座談会に参加
市場の注目人物は、バイデン大統領でも習近平主席でも、ましてやプーチン氏でもありません。ナンシー・ペロシ、米下院議長です。
ペロシ氏は昨日の夜米軍用機で台湾松山空港に到着しました。失礼ながら、やや派手目のピンクのスーツに身を包みながら、82歳とは思えない足取りで空港に降り立ちました。ペロシ氏は到着後の声明で、「われわれのパートナーへの支援を再確認し、自由で開かれたインド太平洋地域といった共通の利益を促進することに焦点を絞る」と表明しました。さらに「世界は専制主義と民主主義との間で選択を迫られており、2300万人の台湾住民と米国との団結はこれまで以上に重要になった」と指摘し、「今回の訪台
は長期にわたって維持している米国の方針と矛盾するものではなく、米国としては今後も一方的な現状変更の試みに反対していく」と表明しています。(ブルームバーグ)ペロシ氏は日本時間11時53分に蔡英文総統と共同記者会見を開く予定になっています。
一方中国側は外務省の報道官が米国に対して「再度警告する」と発言し、ロイター通信は複数の中国機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」の付近を飛行したと報じています。先週行われた電話による米中首脳会談でも、習氏は「火遊びをする者はやけどを負う」と述べており、これまでよりも強い警告を発してきました。中国側の報復に備え米軍は、1日時点で沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の近くに原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする打撃群と強襲揚陸艦2隻を配備し、ハワイには原子力空
母「エイブラハム・リンカーン」が控えていると、中国をけん制しています。中国側の強い警告が、いつものように「単なる脅し」なのかどうか、今日あたりはっきりするかもしれません。仮に不測の事態に発展するようだと、最初の動きとしては、リスク回避の動きから株が売られ債券が買われ、金利低下から再び円高方向に振れる可能性があります。さすがに厳しい事態にはならないと思われますが、注意するにこしたことはありません。
ドル円は昨日も触れましたが、東京市場でのドル売りが強く、東京時間に「大台替え」を見せるケースが特徴的となっています。昨日の朝方は、NYで131円台半ばまで円高が進んだことを受け取引が始まりましたが、9時のオープン直後からドル売りが強まり、1時間余りで130円40銭近辺までドルが急落しました。連日のドル下落で日足の雲の下限である「131円48銭」を大きく下回ってきました。昨日コメントしたように130円という大台を割れば、「上昇トレンドの終焉」と相場観を変えると考えていましたが、同時に米国のインフレはこれで終わったわけではなく、市場に、急速にハト派観測が台頭したことが主因で、今週末の雇用統計などをきっかに再びドルが買い戻される可能性も排除できないと思っていました。
ほぼ想定通りの動きでした。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はリンクトインのインタビューで、「われわれは良いスタートを切った。これまでに達成してきたことに非常に満足している」としつつ、「インフレははるかに高すぎる。われわれは物価安定の達成をなお強く決意しており、完全に団結している。物価安定は9.1%のインフレではなく、2%に近いインフレを意味する。従って、道のりはまだ長い」と述べ、引き続きインフレの抑制に全力で取り組む姿勢を見せています。また、シカゴ連銀のエバンス総裁も2日記者団に、9月のFOMC会合で決定する利上げ幅について、「50ベーシスポイントが妥当な判断となり得るまでに十分な時間があると思われるが、75bpでも問題ないかもしれない」と述べました。この2名の発言が、ハト派寄りの観測を強めていた市場に大きなインパクトを与えました。特に債券市場では債券が大きく売られ、長期金利は一時2.77%台と、前日比20ベーシスも上昇する場面
がありました。株式市場でもダウは400ドルを超える下げとなり、ドル円はNY時間だけも2円50銭以上もドル高に振れています。これまでも述べてきましたが、FRBはインフレがピークアウトしたという「明確で、説得力のあるエビデンス」を手にするまでは金融引き締めの手綱を緩めることはないということです。今後も雇用統計を始め、インフレ関連指標の発表には十分注意が必要です。
上でも述べたように、本日は台湾に関する情報と中国の動きに関心が集まります。このままドル円が元の鞘に戻る可能性は、「130円割れは簡単ではない」ことが確認されたものの、現時点は低いでしょう。ペロシ訪台が無事終われば、やや落ち着きを取り戻すとみられますが、寝苦しい夏はまだ半分です。今後も熱い相場展開は続くと覚悟すべきです。
本日のドル円は132円50銭~134円30銭といったところでしょうか。
- [2022/08/03 10:12]
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ドル円続落し131円台半ばに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は続落し、NYの午後には131円60銭まで売られる。ISM製造業景況指数が前月に続き低下したことからドル売りが優勢に。米長期金利の低下もドル円にとって重石に。
- ユーロドルでもドル安が進み、ユーロは1.0275まで上昇。
- 株式市場は4日ぶりに反落。日中では上昇する場面もあったが、利益を確定する売りが優勢となり、3指数は小幅に下落。
- 債券は続伸。長期金利は4月7日以来の低水準となる2.57%台まで低下。
- 金は4日続伸。原油は中国を始め世界的に製造業が低迷するとの見方から4ドルを超える大幅な下げとなる。
本日の注目イベント
- 豪 6月住宅建設許可件数
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 日 7月マネタリーベース
- 米 7月自動車販売台数
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
- 米 米国務長官、カンボジアやフィリピンなど歴訪
- 米 中間選挙予備選(アリゾナ、カンザス、ミシガン、ミズーリ、ワシントン州)
- 米 企業決算 → パイパル、プルーデンシャル、スターバックス、
昨日もこの欄で述べたペロシ下院議長の台湾訪問問題で、筆者はどちらかと言えば訪問を避けると予想していましたが、昨日の夜の報道と今朝の情報によると、ペロシ氏は今日にも台湾を訪問する見通しです。ペロシ氏の台湾訪問が実現した場合、現職の下院議長としてはギングリッチ氏以来25年ぶりになるそうです。中国外務省は、これまで再々議長が台湾を訪問した場合、「断固とした措置をとる」と警告したきましたが、1日には「中国人民解放軍は決して座視することはない。必ず断固として強力な報復措置をとる」と、さらにエスカレートしたコメントを発表しています。ロシアのウクライへの軍事進行を目の当たりしている今、ややきな臭いにおいがしないでもありません。直ぐに米中が軍事衝突するとは思えませんが、台湾海峡へのミサイル発射や、新たな軍事行動に着手する、あるいは台湾当局が設置した「飛行禁止区域」への侵犯といった、中国による不穏な動きがあるかもしれません。今朝の報道では、ホワイトハウスは中国に対し、ペロシ議長の台湾訪問計画を巡り緊張をエスカレートしないよう求めたようで、バイデン政権が中国の報復に備えていることを示唆しています。米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官は会見で、「ペロシ議長には台湾を訪問する権利がある」と述べ、「議長は軍用機で移動しているため、台湾に到着すればホワイトハウスには分かるだろう」と述べています。また、メネンデス米上院外交委員長はペロシ氏の台湾訪問に関して、「台湾を訪問できる人とできない人を中国側が指示するのをわれわれが認めれば、台湾をすでに中国に譲ったことになる」(ブルームバーグ)と、やや強硬な発言を行っています。ペロシ議長は昨日シンガポールでリー・シェンロン首相と会い、今日にも台湾を訪れ一泊したのち、明日には蔡英文総統と会談する見込みのようです。
ドル円は早朝には131円48銭まで下落しました。昨日も述べた日足の「雲の下限」は、今朝の時点では131円48銭にあり、ちょうどこの水準突破を狙った動きのようにも思えます。この水準を明確に抜ければ130円台も覚悟する必要があり、130円を抜ければ筆者の相場見通しも「ドル高は終わった」と相場観を変えることになります。ただ、ペロシ氏の台湾訪問を巡る中国の「断固たる措置」の内容次第では、台湾海峡の危機は日本の危機にもつながり、円が売られる可能性もあるのではないかと思います。日本は製造業を中心に中国との結びつきが強いことは言うまでもなく、今日は日本株が売られるのは確実ですが、株安は円高傾向につながり易いこともあり、なかなか展開は読みにくいところです。
RBAは本日の会合でキャシュレート(政策金利)を引き上げる可能性が高いとみています。RBAは前回会合でもさらなる利上げを示唆しており、今回も0.5ポイントの利上げが見込まれます。実際に同幅の利上げになった場合、3会合連続の利上げとなり、利上げ幅は合計で1.75ポイントになります。
本日のドル円は130円50銭~132円50銭程度を予想します。

- [2022/08/02 09:51]
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ドル円急落。東京時間では132円台半ばに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は東京時間午後に132円50銭近辺まで急落したが、欧州市場では133円台を回復。NYでは朝方PCEデータが高水準だったことで134円60銭まで買われたが続かず。133円20銭前後で越週。
- ユーロドルは反発。朝方1.0147近辺まで売られたが、そこを底値に上昇。1.022まで買われる。
- 株式市場は3日連続で大幅高。ダウは315ドル、S&P500は57ポイント上昇。アップルやアマゾンなども買われ、ナスダックも228ポイント上昇
- 債券も続伸。長期金利は2.64%台に低下。
- 金と原油は揃って上昇。
本日の注目イベント
- 中 7月財新製造業PMI
- 独 7月製造業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏6月失業率
- 英 7月製造業PMI(改定値)
- 米 7月ISM製造業景況指数
- 米 7月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
先週末の東京市場ではドル円は終始売られる展開で、午後3時過ぎには132円50銭前後までドル安が進みました。7月に記録した139円39銭から6円以上も円高に振れたことになります。筆者は先週、「それでもまだドル高トレンドは変わっていない」とのコメントを残しましたが、その根拠の一つである一目均衡表では、ローソク足が日足の雲の上限に差しかかったところでサポートされているという点がありました。NYでは一転してドルが買われ、134円60銭までドル高に振れましたが、その勢いは続きませんでした。再び133円台前半で推移していますが、現時点でもローソク足は雲の上限付近でもみ合っている状況で、ここから雲の中に入って行くのか、あるいは跳ね返されるのか、重要な値位置にいます。先週末に発表された6月の個人消費支出(PCE)はデフレータで「6.8%」と、過去40年で最大でした。コアデフレータも「4.7%」で、いずれも市場予想は下回っていましたが、高水準であることに変わりはありません。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はNYタイムズとのインタビューで、「FOMCではインフレ率を2%以下に下げるとの決意で一致している。インフレが2%に低下する軌道に十分乗ってきていると確信するまで、われわれは必要なことを続けるだろう。そこに至るまでには長い道のりがある」と述べています。また、アトランタ連銀のポスティック総裁も公共ラジオNPRとのインタビューで、「米国がリセッション下にあるとは考えていない」と述べ、その上で、「われわれは高インフレに真剣に対応する必要があり、米国経済をより安定的かつ持続的な状態に戻されなければならない」と述べ、今後もインフレ抑制に全力で向かっていく決意を見せています。(ブルームバーグ)
先週は米経済指標で、GDPが2四半期連続のマイナス成長だったことや、PMIが景気拡大と縮小の境目である「50」を大きく下回ったことが、米景気のリセッション入りを示唆し、「今後FRBは大幅な利上げを回避できる」との見方からドル円が大きく売られました。今後のドル円を予想する上で、今後もインフレ指標が極めて重要になりますが、先ずは今週末の「7月の雇用統計」が重要です。引き続き好調な結果を示すようなら、ドル円は買われる可能性がありますが、逆に労働市場にまで景気悪化の影響が大きく出ているようであれば、ドル円が再び下値を試すことになろうかと思います。
ペロシ下院議長のアジア歴訪の公式日程が発表になりましたが、台湾は含まれていません。同議長が台湾訪問を計画していると報じられたことで激しく反発していた中国は30日、台湾海峡で実弾射撃訓練を行っています。台湾訪問の可能性についてペロシ氏は「どこへ行くかは、行ってみればわかる」と煙に巻いたような発言をしていましたが、ここで台湾訪問を避けるようだと、中国の圧力に屈したと見られ、米国の弱腰が批判されることになる一方、強行すれば米中関係をさらに悪化させ、台湾に対する中国の圧力をさらに高めることにもなり、難しい判断になります。ここは一旦無為な争いは避ける可能性が高いとみています。
新型コロナウイルスに感染し、その後陰性が確認されたバイデン大統領でしたが、7月31日午前に受けた検査では「陽性」でした。ホワイトハウスは、陽性反応は2日連読だったと発表しています。ただ、バイデン氏のように経口薬「パキロビッド」を投与されたケースでは、いったん陰性になった後に再び陽性になる「リバウンド現象」が生じることがあるそうです。バイデン氏の担当医師は「陽性結果が2回示されることは意外ではない」とし、「大統領は症状再発がまったくなく、体調は引き続きとても良好だ。現時点で治療を再開すべき理由はないが、経過観察を注意深く続けていく」とコメントしています。
今日から8月ですが、今月もドル円のボラティリティーは高そうで、動きは大きいと思われます。例年の夏とは明らかに異なりますので、「夏休み中」といえども気が抜けません。本日のドル円は132円50銭~134円程度を予想します。

- [2022/08/01 10:46]
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