NY株再び大幅な下げに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆145円前後が重いものの、ドル円は堅調に推移。
米金利の上昇に144円78銭まで買われたが145円
テストには至らず。
◆ユーロドルは反発。ドイツのCPIが2桁に上昇し、
ECBの政策メンバーが0.75ポイントの利上げを示唆した
ことで0.9815前後までユーロが上昇。
◆株式市場は大幅に反落。長期金利が上昇に転じたことや
アップルの投資判断が引き下げられたことでダウは458ドル安。
ナスダックは2.8%の下落。アップルは4.9%売られ、下げを
けん引。
◆債券は反落。長期金利は3.78%台に上昇。
◆金と原油も反落。
◆新規失業保険申請件数 → 19.3万人
◆4-6月GDP(確定値) → -0.6%
本日の注目イベント
◆日 8月失業率
◆日 8月鉱工業生産
◆中 9月中国製造業PMI
◆中 9月中国サービス業PMI
◆中 9月財新製造業PMI
◆独 独9月雇用統計
◆欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏8月失業率
◆英 英4-6月期GDP
◆米 8月個人所得
◆米 8月個人支出
◆米 8月PCEデフレータ(前月比)
◆米 8月PCEデフレータ(前年比)
◆米 8月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 8月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米 9月シカゴ購買部協会景気指数
◆米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米 ブレイナード・副議長、会議冒頭の挨拶
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、会議開会の挨拶
◆米 ボウマン・FRB理事講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
ドル円は昨日も144円80銭手前まで買われましたが、145円には届いて
いません。米長期金利が上昇に転じドルが買われましたが、ユーロドルではユ
ーロ高ドル安が進んだ影響もあり、ドル円の上昇が抑えられた側面もありまし
た。ユーロドルは0.96台半ばから0.98台前半まで買われています。
ECB政策メンバーであるリトアニア中銀のシスカム総裁が、ブルームバーグ
テレビジョンの番組で、「100ベーシスポイントの利上げは現時点では確か
に行き過ぎだろうが、50bpは最低ラインだ」と発言。「75bpが私の選
択になるだろう。ユーロ圏の9月の
インフレ率がさらに高くなっても驚きではないだろう」と語ったことがユーロ
を押し上げました。この日発表されたドイツの9月の消費者物価指数(CPI
)は前月からさらに上昇し「10.9%」でした。通貨ユーロを導入して以来
初の2桁台のインフレ率でした。
米金利も上昇し、ユーロ圏でも大幅利上げが示唆されたことで、この日はユー
ロが最強で、円が最弱通貨となり、金利水準が相場の行方を決める構図は変わ
っていません。
昨日は米経済指標の好調さも米金利の押し上げ要因でした。
失業保険申請件数は5月の中旬以来となる20万件を下回り、先週分も下方修
正されています。また、米商務省経済分析局が公表したGDPの年次改定でも
、昨年末時点の実質GDPは従来発表値から1%、額にして約2000億ドル
(約29兆円)の上方修正でした。
「米経済の新型コロナウイルス禍からの持ち直しは、これまで考えられていた
以上に堅調だった」とブルームバーグは論じています。
「経済指標の好材料は、金融市場への悪材料」となる傾向も続いています。
昨日もFOMCメンバーの発言は総じてタカ派的でしたが、目立った市場への
インパクトはありませんでした。
SFシスコ連銀のデーリー総裁は、FRBは物価の安定を取り戻すまで利上げ
を行うことにコミットしていると述べ、クリーブランド連銀のメスター総裁も
、高インフレを抑制するための利上げを継続する必要があるとの見解を示して
います。
また、セントルイス連銀のブラード総裁は、FOMCでのドットプロットで年
末までにFF金利が4.4%に達するという見通しが示されたことに関して、
「その見通しは市場で消化されており、正しい解釈がなされているようだ」と
述べています。
ブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ元財務長官は、日本の
政策に内在する緊張に注目していると述べています。日本は先週円買い介入を
行って市場から資金を吸い上げた一方、日銀による金融緩和政策を通じて流動
性を供給している動きを「異例の事態だ」と表現し、「それが今後どう展開す
るか興味深い」と述べ、「日本の投資家が世界中の債券を『大量に保有してい
る』点に留意が必要だ」との見方を示しました。
先週22日(木)に政府日銀が市場介入を実施してから1週間が経過しました
。翌23日からのドル円の動きは概ね142-145円に収まっていますが、
ここ3日は144-145円で、1日の値幅もほぼ1円以内に収斂してきまし
た。
過去最大規模となる約3兆6000億円程度と言われる介入で5円を上回るド
ルの押し下げには成功しましたが、その後ジリジリと値を戻し再び145円に
迫る動きになっています。
それでも145円台に乗せないのは、「介入警戒感がある」ことは間違いない
所ですが、同時に「介入がそれほど効果がない」ことを、多くの投資家が理解
していることも事実かと思います。
昨日も述べましたが、「誰が猫に鈴をつけるのか」状態であると思われます。
上述のように、多くのFOMCメンバーはタカ派寄りで足並みは揃っており、
現時点では11月会合では0.5~0.75ポイントの利上げが有力とみてい
ます。0.75ポイントの可能性がより高まるようだと145円台を回復する
と予想していますが、これも今後のデータ次第です。来週の雇用統計などが注
目されますが、先ずは、今夜の個人消費支出(PCE)データが大注目です。
本日のレンジは143円50銭~145円50銭程度でしょうか。
- [2022/09/30 09:34]
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米長期金利急低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は144円台後半から反落。米長期金利が急低下したことからドル売りが優勢となり143円91銭まで下落。145円目前で足踏み状態に。
- ユーロドルでもドルが売られユーロは急上昇。ユーロは0.9751まで買われ、約200ポイントの反発。
- 株式市場は大幅に反発。連日下げが続いていたことや、米長期金利が急低下したことから3指数が揃って大幅高に。
- 債券は急反発。長期金利は3.71%台に低下。
- 金と原油も大幅に続伸。
本日の注目イベント
- 豪 消費者物価指数(7、8月)
- 独 9月消費者物価指数
- 欧 ユーロ圏9月景況感指数
- 欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(確定値)
- 英 8月消費者信用残高
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 4-6月GDP(確定値)
- 米 メスター・クリーブランド連銀総裁ら、パネル討論に参加
- 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
ドル円は145円を目前にして反落しています。やはり、介入に対する警戒感の影響でしょうか。前日のNYでは144円90銭まで買われ、昨日の朝方にも144円87銭近辺まで買われ、さらに夕方にも144円80銭を超える水水準までドル高が進みながらも、あと10銭~15銭が遠かったようで、145円台には届いていません。イングランド銀行は債券市場の崩壊を防ぐため、劇的な形で介入に入りました。英国の長期国債を無制限で購入すると表明し、「目的は秩序だった市場環境を回復することだ。目的達成に必要なだけの規模を購入する」との声明を発表しています。イングランド銀行の介入で英長期金利は急低下し、この影響からNYでも債券と株が買われ、前日までの動きを巻き戻すような展開になりました。0.95台半ばまで売られたユーロドルは0.97台半ばまで、およそ200ポイント反発し、金と原油も大きく値を戻しています。
米国のインフレ高進に伴う連続利上げで、ほぼ全ての市場が想定外の動きを見せていますが、昨日はやや落ち着きを取り戻したようです。しかしまだまだ市場の混乱は続くとみられます。資産家のドラッケンミラー氏は昨日NYで開かれたCNBC主催の会議で、「来年にリセッションが起きなかったら驚きだ」と発言し、「2023年のリセッションを予想しており、その後10年にわたって市場は低迷する可能性があるとみている」と述べています。昨日もFOMCメンバーによるタカ派発言がありましたが、ほぼ影響はなかったようです。昨日のこの欄でも述べたように、市場のこの種の発言に対する感応度も徐々に薄れてきたとみられます。シカゴ連銀のエバンス総裁は、「世界の金融市場でボラティリティーが高まっているものの、FRBはインフレ抑制のため利上げを推し進める必要がある」と述べ、現在のFF金利の誘導目標レンジである3-3.25%について、「これは景気抑制的な領域に入り始めたところだが、現在のインフレの高さやインフレ抑制が責務であることを考慮すれば到底十分ではない」と指摘しています。アトランタ連銀のポスティック総裁はさらにタカ派的な発言を行いました。同総裁は年末までに政策金利を合計でさらに1.25ポイント引き上げることを支持すると表明し、「これまで進展が見られないことから、緩やかに抑制的な政策スタンスにする必要があると一層強く考えている」とし、「私としては、それは政策金利が4.25-4.5%のレンジにあることを意味する。年末までにその水準に達することが望ましい」と、電話会見で記者団に述べています。(ブルームバーグ)9月のFOMCで公表されたドットプロットで、メンバーが予想する年末の金利水準が平均で4.4%だったことに驚きましたが、ポスティック総裁の発言はこれを裏付けた形になっています。仮にこの予想通りだとすれば、11月会合で再び0.75ポイントの利上げを行い、さらに12月会合でも0.5ポイントの利上げを行うというシナリオが描けます。1年間で合計4.5%もの大幅利上げを行った記憶は、少なくとも筆者にはありません。
米国ではハリケーン「イアン」がフロリダ州南西部に上陸し、同州ではほぼ全域で停電や洪水が警戒されています。既に80万世帯・企業が電力を失っていると報告されています。ハリケーン「イアン」は5段階で上から2番目に強い「カテゴリー4」とされ、風速は最大で時速155マイル(秒速69メートル)と、5段階で最も強い「カテゴリー5」にあと2マイルまで迫っているとのことです。皮肉な見方をすれば、これも景気抑制的となり、高インフレに苦しむFRBにとって「干天に慈雨」といったところでしょうが、映像を見る限りかなり危険度が高い様子です。
本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想します。

- [2022/09/29 10:06]
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米長期金利3.99%まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小幅ながら続伸。米長期金利の上昇を背景に
144円90銭まで上昇。
◆ユーロドルは続落。0.9570までユーロ安が進み、
前日の水準を下回る。
◆株式市場はまちまち。ダウは一時400ドルを超える上昇を
見せたが、結局マイナスで終わり、これで6日続落。
◆債券も続落し、長期金利は一時3.99%台まで上昇。
◆金と原油は反発。
◆8月耐久財受注 → -0.2%
◆7月FHFA住宅価格指数 → -0.6%
◆7月ケース・シラ-住宅価格指数 → 16.06%
◆9月リッチモンド連銀製造業景況指数 → 0
◆9月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 108.0
◆8月新築住宅販売件数 → 68.5万件
本日の注目イベント
◆豪 豪8月小売売上高
◆日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月20日、21日分)
◆日 7月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独 独10月GFK消費者信頼調査
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 8月中古住宅販売成約件数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答に参加
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁、イベントで歓迎の挨拶
◆米 パウエル・FRB議長、会議で歓迎の挨拶
◆米 ボウマン・FRB理事講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米10年債利回りが上昇し、昨日のNYでは一時3.99%と、4%に迫る水準まで
上昇しました。この動きに伴い、ドル円も買われ144円90銭までドル高が進みま
したが、145円には届いていません。NYでも介入警戒感があり、l45円手前で
止まったようです。
145円台に乗せれば、再び政府日銀のドル売り介入を誘発することにもなりかねな
いとの警戒感から、足踏みした格好です。
ユーロドルでも引き続きドル買いユ―ロ売りが続いていることから、ドル円も145
円台を攻めたいところですが、「誰が猫に鈴をつけるか」といった状況です。
昨日も多くのFOMCメンバーの発言がありましたが、ほぼ押しなべてタカ派寄りの
発言でした。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はウォールストリート・ジャーナル
(WSJ)のイベントで、「われわれは非常に積極的に動いている。かなりの引き締
めが進行中だ。物価の安定を回復させることにコミットしているが、時間差があるこ
とを踏まえれば、やりすぎのリスクがあることも認識している」としながらも、「現
在のペースが適切だ」と語っています。
また、セントルイス連銀のブラード総裁はロンドンの講演で、「政策金利は景気抑制
的な領域に入ったと言える段階に達したばかりだ。インフレ問題を確実に抑え込むた
めにも、しばらくは金利を高水準に据え置く必要がある」と述べています。
シカゴ連銀のエバンス総裁も「今から6カ月で、金融政策の遅行効果が労働市場に現
れるはずだ」と述べるとともに、米当局はインフレが上昇し始めた際に、間違いを犯
し「判断を誤った」と認め、「今になって考えると、私は恐らく引き締めをもっと早
期に開始していただろう」と続けています。(ブルームバーグ)
この日はイエレン財務長官の発言もあり、協調介入の可能性に関してのヒントがあっ
たようにも思えます。
イエレン氏は足元の株式、債券市場の動きについて、投資家の間で動揺が広がってい
ることを受け、「金融市場は良好に機能していると考える。秩序を欠いた状況にはな
い」との認識を示しました。
さらに長官は、「米国は他の多くの国々よりも早いペースで進んでいるため、ドルに
は上昇圧力が見られる」と指摘した上で、「私にとって、金融市場の引き締まりを反
映するこの種の展開は、インフレ対策に関わるものの一環だ」と語っています。
言うまでもなく、この発言はインフレの高進に苦しむ米国にとって、ドル高は好都合
だといった意味合いになります。
言い換えれば、「インフレを抑制するため、ドル高による効果も見込んでいる」とい
った意味にも受け取れると考えます。予想されたことですが、現時点では米国が「協
調介入」に賛同する可能性は極めて低いと考えられます。ドル円が再び145円を超
えて上昇し、政府日銀の介入が見られたとしても、結局「単独介入」であり、その効
果は限定的だということになります。
3会合連続で0.75ポイントの利上げを行い、3月に利上げを開始してからの利上
げ幅は3.0%に達しています。「やりすぎのリスクがあることも認識している」と
言ったカシュカリ総裁の言葉にもあったように、大幅利上げによる景気の急激な後退
も期待されていましたが、現実には米経済の足腰は思った以上に強く、その効果も想
定されたものではありません。昨日発表された9月の消費者マインドも市場予想を上
回り、2カ月連続で上昇していました。「好材料は、悪材料」というパターンが定着
し、この指標を受け金利が上昇し、株価の下落につながっています。
本日も多くのFOMCメンバーによる発言が予定されています。
基本はタカ派寄りの発言で変わりはないと思われますが、市場も徐々にそのような発
言にも慣れて、反応も限られてきそうです。
11月FOMCでの利上げ幅が焦点になりますが、そこに大きな影響のある9月の雇
用統計とCPIが最も大きな材料になります。
本日のドル円は143円50銭~146円程度を予想します。
- [2022/09/28 09:31]
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英ポンド変動相場制移行後最安値に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸。米長期金利が上昇したことや、対ドルで
ユーロやポンドが売られたことで円もつれ安に。144円79銭まで
ドル高が進み、高値圏で引ける。
◆ユーロドルは続落。独ifo期待指数の悪化が続き、ユーロは
0.9599まで下落。
◆ポンドが急落。トラス政権が表明した財政政策と追加減税がインフレを
加速させるとの懸念が広がり、ポンドドルはアジア時間に1.0360
近辺まで売られる。
◆株式市場は大幅に続落。ダウは329ドル下げ、S&P500は
5日続落。
◆債券は反落。長期金利は2010年4月以来となる3.93%台
まで上昇する場面も。
◆金は大幅に続落し、原油も2ドルを超える下げに。
本日の注目イベント
◆中 中国8月工業利益
◆欧 ユーロ圏8月マネーサプライ
◆米 8月耐久財受注
◆米 7月FHFA住宅価格指数
◆米 7月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 9月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米 9月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米 8月新築住宅販売件数
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米 パウエル・FRB議長、パネル討論会に参加
◆米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、質疑応答に参加
予想通り、FOMCメンバーのタカ派発言が相次ぎ、FRBはインフレを抑制
するため当面は大幅利上げを継続せざるを得ないとの観測が広がり、金融、商
品市場では混乱が続いています。
債券市場では債券が売られ、米長期金利は2010年4月以来となる3.93
%台まで上昇しました。米金利との相関が強いドル円は金利上昇を手掛かりに
、「介入警戒感」がありながらも、144円79銭までドル高が進みました。
先週木曜日の市場介入で5円以上もドル円は押し戻されましたが、その値幅の
8割程度を回復したことになります。
もっともドル円が上昇した背景には、ユーロやポンドなど、欧州通貨が対ドル
で軒並み安値を記録したことで、「つれ安」した面もあります。
特にポンドドルは、昨日の朝方のアジア市場で大きく売られ、一時は1.03
60前後までポンド安が進みました。
この水準は1973年に変動相場制に移行して以来の安値を記録したことにな
ります。
昨日のこの動きは「フラッシュ・クラッシュ」の可能性もあり、バンク・オブ
・イングランド(BOE)は緊急声明を発表しましたが、ポンドの戻りは限定
的となっています。
トラス政権が表明した財政政策と追加減税がインフレを加速させ、借り入れを
増大させるとの懸念が広がっています。
ユーロドルも連日安値を更新しており、昨日のNYでは0.9599まで売ら
れています。
独ifo期待指数の悪化が続いていることと、25日のイタリアの上下院の総選挙
で、野党の「イタリアの同胞」が第1党に躍進したことで、同国の政治的リス
クが高まりユーロ売りにつながっています。
株式市場ではダウが連日大きく値を下げ、昨日も329ドル安で引けています。
今年1月に記録した3万6799ドルからはすでに7500ドル(約20.49
%)以上も下げています。投資家の多くは、まさにパウエル議長の言った「さら
なる痛み」を感じていることでしょう。
商品市場でもWTI原油価格は売られ、一時は76ドル台半ばまで下げ、金も1
628ドル台まで下げる場面がありました。
いずれもFRBがインフレ抑制のため今後も大幅な利上げを継続するとの見方が
影響しています。
「ブラックアウト」明けで、多くのFOMCメンバーの講演などが予定されてい
ますが、メンバーの中ではほぼインフレ阻止に向って意志統一が出来ていると思
われます。従って、予想される発言もタカ派寄りになる可能性が高いことを、昨
日のコメントに残しました。
クリーブランド連銀のメスター総裁は、「根強い高インフレを退治するために追
加の利上げが必要だ」と述べ、「インフレ期待の抑制が効かなくなるのを防ぐに
は、引き締めより長期間維持すべきだ」との認識を示し、ボストン連銀のコリン
ズ総裁は就任後初となる講演で、「インフレを目標に回帰させるには、金融政策
のさらなる引き締めが必要だ。最近のFOMCの予測でもそれは示されている」
と指摘し、「インフレが鈍化しているという明確かつ説得力ある兆候を目にする
ことが重要だ」と述べています。また、アトランタ連銀のポスティック総裁も、
「米経済が最も良く機能するのは、経済の先行きや短期および中期の軌道に対す
る信頼がある時で、高インフレはそれを損なう。従って金融当局がすべきことは
、インフレをもっと抑制することだ」と語っています。
このように、FOMCメンバーである地区連銀総裁は今後の利上げには前向きと
いうか、さらに積極的な利上げも辞さないといった姿勢を見せていました。
一方でFOMCメンバーではありませんが、急激な利上げを懸念する声もありま
す。ペンシルベニア大学ウォートン校のシーゲル教授はCNBCとのインタビュ
ーで、「米金融当局は、過度に強固かつタイトな姿勢をあまりにも長期にわたっ
て続ける可能性が高い」とした上で、「フォワードルッキングな実際のインフレ
率を踏まえれば、FF金利先物はタイト過ぎる」と述べています。
さらに教授はインフレに関して、「中身のない話を続けるより、リセッションの
リスクの方がはるかに高い」と論じていました。(ブルームバーグ)
先週、政府日銀は市場介入に踏み切りましたが、その介入規模がほぼ明らかにな
っています。ドル売り円買い介入を行ったことで、スポット取引の決済日は本日
になりますが、26日に発表された当座預金残高の推計から「3兆円規模の円買
いドル売り」を行った模様です。今回の介入は円を買うことから、市場から円を
吸い上げることにつながり、基本的には短期金利の上昇要因となります。
黒田総裁は今回の介入について「金融政策と為替政策は目的や効果が異なり、矛
盾するとは思わない」と述べ、「(年明け以降に)2%を割ることは確実だと思
っており、賃金の上昇を伴った2%の物価上昇が来年実現されるとはみていない
」と語っています。(日経新聞)
本日のドル円は145円台に乗せることが出来るかどうかですが、昨日のNYで
はドル高が進みながらも同水準をテストするには至っていません。
東京時間では当然介入警戒感もあります。今後ドルがさらに上昇するとしても、
一旦利益が出るポジションを手放す水準を探るスタンスでいいのではないでしょ
うか。
レンジは143円~145円50銭程度とみています。
- [2022/09/27 10:16]
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市場介入を受けドル円乱高下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆政府日銀による市場介入で140円35銭近辺まで急落した
ドル円は再び上昇傾向に。NYでは143円45銭まで買われ、
この日の高値圏で引ける。
◆ユーロドルは大きく値を下げ、0.9669前後まで下落。
約20年ぶりのユーロ安水準を示現。
◆株式市場では再び売りが加速し、3指数が揃って大幅続落。
米景気のハードランディングが避けられないとの見方が強まり、
株価を押し下げる。
◆債券は反発。長期金利は3.68%台へ低下。
◆金は大幅に反落。一時は1650ドルを割り込む。
原油も大幅に売られ、一気に80ドルの大台を割り込み78ドル台に。
世界景気の減速を織り込む動きが続く。
********************(何もない時は空欄のままにします)
◆8月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 51.8
◆8月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 49.2
◆8月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 49.3
本日の注目イベント
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆独 独9月ifo景況感指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁、欧州議会の公聴会でスピーチ
◆欧 OECD経済見通し
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
政府日銀はついに先週22日(木)の午後5時前後に市場介入に踏み切り
ました。予想していたタミングよりやや早かったと考えていますが、翌日
が日本の祝日で東京市場が休場であったことを考えると、ギリギリの選択
だったのではないかと思います。
今考えると、それらしい動きもあったように思います。
22日(木)の昼前、それまでやや「壁」となっていた「145円」が抜
け、145円33銭までドルが買われ、「いよいよ145円を突破し、上
昇に勢いがつくのか」と考えていた矢先、ドル円がわずか10分程度の間
に143円30銭前後まで急落した場面です。
通常、このような動きは余程の材料がない限り考えにくく、懸命にその材
料を探しましたが、見当たりませんでした。
想像するに、恐らく何らかの介入の動きや打診のようなものが本邦銀行を
通じてあった可能性が高いとみられます。その動きを察知したAIが自動
的に発動されたのではないかと思います。
財務省の神田財務官のコメントがあったのも午後で、一部邦銀に介入の意
思が伝えられたか、漏れた可能性がありそうです。
財務官はその後の会見で、介入はまだやっていないとする一方、「ステル
スでやる場合も正直ある」と述べ、「必要な時は必ずやることになる」と
も強調し、さらに今すぐにでも対応できる状況かとの問いには「そうです
」と答えていました。明らかにこれまでの口調とは異なっています。
市場介入のタイミングを早めたのは日銀の決定会合の結果と、その後の黒
田総裁の会見も挙げられそうです。
午後3時半から始まった会見で総裁は、一方的な円安に懸念を示しなが
らも「金融緩和を当面続けることは全く変わらない」と述べると、ドル円
は徐々に上昇し、さらに「金利を引き上げることはない」と述べると、ド
ル円は145円90銭までドル高が進みました。総裁が金融政策に変更が
ないことを口にするたびに、円が売られる展開でした。
このままでは146円台に乗せ、ドルがさらに上昇すると見られたこのタ
イミングで、24年ぶりとなる市場介入が実施されたことになります。
「仮に市場介入があれば、3~5円程度円高方向に振れる可能性がある」
と予想していましたが、ドル円は140円台までは押し下げられ、その後
は神経質に上下を繰り替えし先週末のNYでは143円台半ばまで押し戻
されています。
日銀は円安を懸念しながらも、円が売られ易い状況を作り出す一方、財務
省は円買いドル売りの介入を行うといった、一般投資家からみれば「やや
ちぐはぐな行動」にも思えるのではないでしょうか。
今後ドル円が再び145円台を回復し、再び介入を引き出す展開になった
としても、「その効果は徐々に薄れる」と筆者は予想しています。
筆者も現役の頃介入局面には何度も遭遇していますが、その経験からも、
介入は繰り返せば繰り返すほどその効果は低減していきます。
もっとも、当時は急激な円高が進んでいた時で、今回とは異なり「ドル買
い円売り介入」でしたが。
ドル円の流れは構造的な部分にあって、ドル高傾向は簡単には変わらない
と考えます。
日米金融当局の金融政策に伴う「金利差」と、日本の常態化した「貿易赤
字」から、ドルが買われ円が売られる構図に変化がない限り、人為的に円
高にする以外にはなかなか円が買われる状況にはなりにくいのではないで
しょうか。
円はかつて「有事の円買い」などとも称されましたが、今回のロシアによ
るウクライナ侵攻でも円が買われる局面はほとんどありませんでした。
最近では「有事のドル買い」といった言葉さえ目にします。
今回のウクライナ情勢では、エネルギー価格の急激な上昇から「エネルギ
ーに弱い日本」が意識された面さえあります。
今後の焦点は、「145円台が介入のメド」ともみられるため、ドル円が
再び買われこのレベルに届いた時、再度介入が見られるのかどうかといっ
た点です。また、米国の今回の日本の単独介入に対する認識も重要になる
とみています。
米経済がハードランディングする可能性が徐々に高まってきているようで
、NY株式市場はこの動きを織り込み大きく下落しています。ダウは大台
の3万ドルを割り込み、2020年12月以来の低水準に沈んだばかりか
、高値から20%を超える下落をみせたことから「弱気相場入り」したと
の見方も広がっています。金も大きく下げ、WTI原油価格も80ドルを
大きく下回ってきました。
アトランタ連銀のポスティック総裁は25日CBSの番組で、ソフトラン
ディングの見通しについて「厳しい状況が予想される。容易ではない」と
しながらも、「経済は比較的、秩序ある形で減速することが可能だ」と述
べ、「米金融当局はあらゆる可能な措置を講じるだろう。シナリオは複数
ある」と、やや楽観的な見方を示しています。
また、パウエル議長はFRBが主催したイベントで、金融政策には言及せ
ず、「われわれは極めて異例な一連の混乱に対応し続けている」と語り、
「ニューノーマル(新常態)に入りつつある可能性がある」と述べていま
す。
本日のドル円は142円~144円50銭程度を予想します。
- [2022/09/26 09:53]
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FOMC、3会合連続で0.75ポイントの引き上げ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はFOMCの結果発表を受け乱高下。
発表直後は144円70銭まで買われたが、その後143円41銭
まで売られる。長期金利がやや低下したことや、ユーロ円の
売りもあり、神経質な動きに。
◆ユーロドルは大幅に続落。プーチン氏が21日、兵士の部分動員を命じた
ことでユーロ売りが加速し。NYでは0.9810までユーロ安が
進む。
◆FOMCの結果発表を受け株式市場は全面安。ダウは522ドル
下落。S&P500は66ポイント下げ、3800ポイントを
割り込む。
◆債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。
◆金は反発し、原油は続落。
◆8月中古住宅販売件数数 → 480万件
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 ECB経済報告
◆英 BOE金融政策発表
◆英 BOE議事録
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 経常収支(4-6月)
◆米 8月景気先行指標総合指数
注目のFOMCでは政策金利を0.75ポイント引き上げ、フェデラルファンド
(FF)金利の誘導目標を3.0~3.25%に決定しました。政策金利の引き
上げ幅は、予想通り1ポイントではなく、0.75ポイントで、その後のパウエ
ル議長の会見も、タカ派色を前面に出すもので、これも想定通りでした。
これで3月の会合以来「5会合連続の利上げ」を行い、直近では「3会合連続で
0.75ポイントの大幅利上げ」を実行したことになります。
声明文では、「最近の指標は支出と生産の緩慢な伸びを示している。雇用はこの
数カ月、堅調に伸びており、失業率は低いままだ。インフレは高止まりし、それ
はパンデミックに関連した需給の不均衡、エネルギー価格の上昇、より広範な価
格圧力を反映している」とし、「委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2
%のインフレを達成することを目指す。
これらの目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド金利誘導目標のレ
ンジを3.00-3.25%に引き上げることを決めた」としています。
パウエル議長は会見で、「われわれはインフレを過去のものにする必要がある。
痛みを伴わずにそうする方法があれば良いが、それはない」と述べ、「金利上昇
と成長減速、労働市場の軟化は全て、われわれが仕える国民に痛みをもたらすが
、物価の安定を取り戻せず、将来的に再びやり直さざるを得なくなるほどの痛み
ではない」と国民に理解を求めるような発言を行いました。
声明と同時に公表されたFOMC参加者のFF金利見通しを示すドット・プロッ
ト(金利予測分布図)では、今年末までに4.4%を見込んでおり、今回の大幅
利上げ後も1.25ポイントの利上げを示唆していることについて、パウエル氏
はこれを認めつつも、次回11月会合での利上げ幅について特定はなされていな
いとし、年末までの追加利上げ幅を合計1ポイントにとどめることを支持するメ
ンバーもかなり多くいたことを強調していました。
また議長は「インフレを目標の2%に押し下げることを当局者らが強く決意して
いるというのが、主要なメッセージだ」とし、「この任務が完了するまで根気強
く続けていく」と付け加えています。(ブルームバーグ)
パウエル議長は「さらなる痛みを伴う」と発言しましたが、NY株式市場では株
価が全面安の展開となり、ドル円は144円70銭まで上昇する場面はあったも
のの、今回も145円を前にして反落しています。
145円という壁と介入を意識したものなのか、あるいは昨日は長期金利が伸び
ず小幅ながら反落したことに反応したのか分かりませんが、明確な方向感は見ら
れませんでした。引き続き11月と12月会合でも追加利上げを行うことは間違
い無いようですが、その上げ幅も、ドット・プロットも今後のデータ次第だとい
うことは変わりません。
プーチン氏はウクライナ侵攻に関して、戦闘継続のために部分的な動員に署名し
たと発表しました。ウクライナ軍の予想外の攻勢に劣勢を余儀なくされているこ
とを考慮して兵士の増員を急いだものと思われますが、バイデン大統領は国連総
会で演説し、「この戦争はウクライナが国として存続する権利、国民として存在
する権利を消滅させるのが目的であり、それは単純明快だ。あなたが誰であろう
と、どこに住んでいようと、何を信じていようと、これは血の凍る思いをさせる
はずだ」と、プーチン氏を厳しく非難しました。
プーチン氏は、「わが領土の一体性が脅威にさらされる場合には、もちろん、わ
れわれが保持する全ての手段を利用する」と、核兵器使用の可能性にも触れてい
ます。
今日の最後のコメントはトランプ氏に関するものです。
NY州のジェームズ司法長官は21日、トランプ前大統領が自身の不動産会社で
資産評価に関し不正行為を働いたとして、同氏を提訴しました。
裁判所に提出された訴状には、トランプ氏のほか、トランプ・ジュニア、イバン
カ、エリックの3名の名前も挙がっており、トランプ氏ら被告が「トランプ氏の
財務状況に関する年次報告書を作成する上で、数多くの不正行為と虚偽記載に及
んだ」と記されています。米中間選挙予備選ではトランプ氏が推す候補者が思い
のほか苦戦しており、今後の捜査の進展次第では2024年の大統領選に出馬で
きない事態もあるかもしれません。
FOMCを終え、今後の展開を考えるとやや動きにくい状況ですが、今後は発表
されるデータと、FOMCメンバーの発言が相場を動かすことになろうかと思い
ます。本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想しますが、何
度かテストして抜けていない「145円が抜ければ」上昇に勢いが付く可能性も
ありそうです。介入警戒感と粛々と利上げを行うFRBをどのように相場に織り
込んでいくのか、ドル円はまだまだ動きそうです。
- [2022/09/22 09:47]
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FOMCでの大幅利上げ懸念広がる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はじり高となりNYでは143円92銭まで買われる。
米長期金利が一段と上昇するなど、FOMCの結果に備える
動きが顕著に。
◆ユーロドルでもドル高が進み、0.9956まで下げる。
◆株式市場は3指数が揃って反落。ダウは一時500ドルを超える
下げを見せるなど、全面安の展開。
◆債券は続落。長期金利は一時3.60%まで上昇し、連日2011年
4月以来となる高水準を付ける。
◆金は続落し先週記録した安値を下回る。
原油は大幅に反落し84ドル台に。
◆8月住宅着工件数 → 1575千件
◆8月建設許可件数 → 1517千件
本日の注目イベント
◆米 8月中古住宅販売件数
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
ワシントンではFOMCが始まり、明日の朝方3時には政策金利が発表
されます。市場は明日の発表を前に大幅利上げに対する構えをさらに加
速させ、各金融市場では下落に備える動きが顕著になった1日でした。
債券市場では安全資産の債券がさらに売られ、10年債利回りは一時3
.6%台に達しました。米金利高を手掛かりにドル高が進み、ドル円は
143円92銭まで買われ、ユーロドルも0.99台半ばまで売られて
います。金利高に弱い金価格も続落し1671ドルまで売られ、大幅利
上げを見越した動きと捉えられます。
一方、株式市場もほぼ全面安の展開となり、ダウは再び3万1000ド
ルの大台を割り込んでいます。
今回の会合での利上げは0.75ポイントと予想していますが、昨日の
NYの金融市場全体を見渡すと「1ポイントの利上げ」もないとは言え
ないのかもしれません。
0.75ポイントの利上げ幅は依然として維持していますが、投資家と
しては、「1ポイント」の可能性も意識しておくべきなのかもしれませ
ん。また仮に0.75ポイントだったとしても、その後のパウエル議長
の会見では、ハト派姿勢を前面に出し、データ次第としながらも今後も
インフレ抑制に向け全力で立ち向かう趣旨のコメントが予想されます。
昨日、スウェーデン中銀が政策金利を1ポイント引き上げることを発表
しています。
0.75%から1.75%へと大幅に引き上げ、約30年ぶりの大幅利
上げでした。世界の中銀が利上げに踏み切る中、1ポイント利上げの先
陣を切った格好になっています。
著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は20日のインタビューで、
「ごく普通のリセッションでさえ、S&P500は30%下げる可能性
がある」とした上で、自身が予想する「真のハードランディングが実際
に起きた場合は、同指数の下落は40%に達し得る」との見方を示し、
米国は長く、厄介なリセッション入りする可能性が高いことを予想して
います。同氏は2008年の金融危機を正確に予想したことで知られて
おり、「破滅論者」との異名を取っています。(ブルームバーグ)
20日には日本の8月の消費者物価指数(CPI)も発表されました。
生鮮食品を除く総合指数は前年同月比「2.8%」と、高水準でしたが
、米国の「8.3%」、ユーロ圏の「9.1%」に比べ上昇率はまだ3
分の1程度で、世界でも稀にみる「低インフレ率」と言えます。もっと
も長い間デフレが続いた日本では、それでも30年11カ月ぶりの「高
インフレ」ということになります。
今後もこの傾向が続けば、日銀による金融緩和策の解除にもつながり、
円安を止めることが出来るかもしれませんが、日銀は「年内は2~3%
くらいまで上昇するが、2023年春以降には再び1.5%程度まで低
下する」と予想しており、だから、「金融緩和策の継続は適切」との立
場を維持しています。実際にこの予想通りになったら、世界中でインフ
レ観測が異常なくらい高まり、各国中銀がその対策に苦慮する中、日銀
は極めて冷静で、優れた先見性というか洞察力を持っていたことになり
、世界から称賛されることになります。
バイデン大統領は18日に放送されたCBSの番組「60ミニッツ」と
のインタビューで、北京冬季オリンピックが開幕した2月4日に北京で
習氏がロシアのプーチン氏と会談した直後に習氏に電話したと述べてい
ます。バイデン氏は習氏に対し、「対ロシア制裁に違反する行動を取れ
ば、大きな間違いになる」と警告していたことを明らかにしました。
電話会談がいつ行われたかは明らかにしていませんが、北京冬季オリン
ピック後の2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始したことを
考えると、その直後に行われたとみられ、中国が武器の供与を含むロシ
アへの援助を行うことをけん制したものとみられます。
本日はFOMCの結果発表を前に動きにくいかと思われますが、発表前
にポジションの整理による動きも想定されます。
ドル円は142円50銭~146円程度としますが、予想しにくい状況
であまり参考にはなりません。
- [2022/09/21 09:34]
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米長期金利11年半ぶりに3.5%を超える
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は19日朝方の142円台半ばから上昇し、終始
143円台で推移。米長期金利の上昇に143円64銭まで
買われたが勢いはなし。
◆ユーロドルは1.01台前半から下げ、0.9976まで売られる。
景気の悪化と利上げの綱引きが続く
◆株式市場は3指数が揃って反発。ダウは197ドル上昇し、
S&P500も26ポイント上昇。
◆債券は売られ、長期金利は一時3.51%まで上昇し、2011年
4月以来となる高水準を付ける。
◆金は続落し、原油は小幅に続伸。
◆9月NAHB住宅市場指数 → 46
本日の注目イベント
◆豪 RBA議事録
◆日 8月消費者物価指数
◆独 独8月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏7月経常収支
◆米 8月住宅着工件数
◆米 8月建設許可件数
◆加 カナダ8月消費者物価指数
今日からFOMCが始まり、明日(日本時間22日3時)には政策金利が
発表されます。今回の会合では当初0.5ポイントの利上げが市場のコン
センサスでしたが、その後好調な雇用統計を受け、0.75ポイントの利
上げ観測が急浮上しました。さらに8月のCPIが市場予想を上回った「
CPIショック」を受け「1ポイントの利上げ」を予想する金融機関も出
て来るなど、利上げ幅を巡っては見方が大きく揺れ動いた経緯がありまし
た。
いよいよ会合を前にして、どうやら市場の見方も0.75ポイントの利上
げで落ち着いてきたように見受けられます。
それでも、もし実施されれば、「3会合連続で0.75ポイントの利上げ
」ということになり、FRBのインフレ抑制への強い意志は理解できるも
のの、通常の3倍の利上げを3会合連続で行う影響は大きく、昨日は債券
市場でその動きが見られました。
米10年債利回りは上昇し、一時2011年4月以来となる3.51%ま
で上昇しました。米長期金利は6月14日には3.47%台まで上昇し、
3.5%超えは時間の問題かと思われましたが、その後ジリジリと低下し
、7月29日には2.6%台まで下げています。昨日は3.5%台まで上
昇したことで、ドル円ももう少し買われ、144円台を試すのかと思われ
ましたが、上昇も143円台半ばまででした。長期金利の3.5%台まで
の上昇は株式市場にも逆風でしたが、株価は前日も下げたこともあり、3
指数は揃って反発しています。
金利の付かない金も、ほぼ2年半前の水準に戻るなど、低水準で推移して
います。
では、予想通り0.75ポイントの利上げが決定された場合の市場の反応
はどのようなものになるのでしょうか?
この利上げ幅はすでに織り込まれていると考えられ、市場は次回11月会
合のヒントを探ることになります。
ブルームバーグは、「市場は0.75ポイントに傾いている。だが、米リ
セッションを来年引き越しかねないと投資家が考えるリスクを踏まえると
、米金融当局はこれよりも大幅な利上げを恐らく避けたいところだろう。
そのような市場の反応を招けば、2023年の米利上げ観測が拡大すると
いう意図しない影響が生じて長期債利回りが低下。金融環境も緩和に転じ
、金融政策が誤った方向に進む可能性もある」と論じています。
ただ一方で11月の会合は1、2日に開催され、インフレが主な争点の一
つとなる中間選挙の1週間前に開催されることを考慮すると、それまでに
決着を付けておきたいFRBとすれば、今回大幅な利上げを決定する可能
性も幾分残しているのではとの見方もあります。
インフレ抑制を最優先課題にしているFRBも出来れば、「ハード・ラン
ディング」は避けたい意向もあるようですが、世界最大規模の資産運用会
社であるブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンCEOはFR
Bの金融政策について、「不況なしでインフレ率2%を達成することは難
しい」との見方を示し、米経済はまだ強いことを理由に、2%達成にこだ
われば、大幅な利上げの継続を迫られ、景気後退に陥るとみられ」一方、
「3~4%程度のインフレ水準を容認する方針に転換すれば、不況は避け
られるかもしれない」と日経新聞のインタビューで語っています。
FRBの現在置かれている立場を的確に言い表していると思います。
バイデン大統領は18日CBSの番組で、米軍が台湾を防衛するのかとの
問いに対して、「実際に前例のない攻撃があればYESだ」と答えました。
また、ロシアが侵攻しても派兵しなかったウクライナと違って、米軍は中
国の侵攻があった場合に台湾を守るということかとの問いにも、「YES
」と答えています。一方で、これまで通り、米国の「一つの中国政策」は
変わっていないことも改めて指摘しています。
米国にとっての脅威は「ロシアではなく中国だ」ということを明確に言い
表した言葉かと思われ、その中国に対して台湾周辺で行われている威嚇行
動をけん制したもの思われます。
本日のドル円は142円50銭~144円程度を予想します。
- [2022/09/20 09:42]
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ドル円は143円台で落ち着いた動きに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は久しぶりに小動き。143円台前半から後半まで
上昇したが144円には届かず。長期金利の上昇がドルの支えに。
◆ユーロドルは景気後退と金利上昇観測を手掛かりに、パリティを
挟みもみ合いが続く。
◆株式市場は3指数が続落。ダウは173ドル下げ、今週の大幅
安の余韻が残る。
◆債券は反落。長期金利は3.44%に上昇。
◆金は3日続落。金利高とドル高の影響から金から資金が流出との見方。
一時は1668ドル台まで売られ、2020年4月以来の安値に沈む。
◆原油も世界景気の減速懸念から大幅に下落。
◆9月NY連銀製造業景況指数 → -1.5%
◆8月小売売上高 → 0.3%
◆9月フィラデルフィア連銀景況指数 → -9.9
◆8月輸入物価指数 → -1.0%
◆8月輸出物価指数 → -1.6%
◆8月鉱工業生産 → -0.2%
◆8月設備稼働率 → 80.0
◆新規失業保険申請件数 → 21.3万件
本日の注目イベント
◆中 中国8月小売売上高
◆中 中国8月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(改定値)
◆欧 NATO会合(エストニア、18日まで)
◆英 英8月小売売上高
◆米 9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆加 カナダ8月住宅着工件数
昨日のNYは比較的静かな取引きに終始したようです。
朝方の東京市場では143円を割り込み、142円80銭近辺まで売られ
る場面もありましたが、その後は143円台に戻し、その流れが海外でも
維持された格好です。日銀の「レートチェック」が話題になり、個人投資
家からも市場介入の可能性について問い合わせもあり、警戒感はあるも
のの徐々に消化している状況です。
政府日銀は145円に迫る円安を放置できないとして、14日には市場介
入を匂わす「レートチェック」を行いました。
仮に日銀が市場介入しても、その効果は限定的だと昨日のコメントで述べ
ましたが、根本的な要因は、米国がインフレを抑制するため大幅な利上げ
を継続する一方、日本ではいまだにゼロ金利政策が取られていることに大
きな差があり、これが円安の最大の理由になっています。加えて、15日
に発表された8月の貿易収支では13カ月連続の「貿易赤字」となり、赤
字額は比較可能な1979年以降単月で「過去最大」でした。
輸出も増えてはいますが、輸入はそれを上回るペースで拡大しています。
資源価格の高騰に加え円安が拍車をかけており、原油と原粗油は90.3
%増え、LNGでは2.4倍、石炭は何と3.4倍に増え、8月の貿易赤
字額は2兆8173億円でした。
赤字額が増えると、単純に言えば市場でドルを買う人が増えるということ
になり、上記金利差以外の「構造的要因」となっています。仮に市場介入
で短期的にドルを押し下げたとしても、この「構造的な要因」が解消され
ないかぎり、円安の流れは簡単には止まらないのかもしれません。
もっとも、円安がさらに大幅に進めば海外生産を行っているメーカーも採
算が取れなくなり、国内に生産拠点を回帰させる動きも徐々に出てくるか
もしれません。
そうなると、国内で人員不足がさらに高まり、賃金の上昇にもつながる可
能性がありますが、やや時間の長い話になります。
いよいよ来週にはFOMCが始まり、21日には政策金利の発表がありま
す。現時点での予想は、0.5ポイントの利上げの可能性はほぼ「ゼロ」
と見て良く、0.75か、1.0ポイントの利上げ幅に絞られます。
米国ノムラやJPモルガンなどが、1ポイントに傾いているようですが、
基本は依然として0.75ポイントの利上げということかと思います。筆
者も0.75ポイントの予想を維持しています。
FOMCで1ポイント利上げといったサプライズの可能性も全くないわけ
ではないと思われますが、冷静に考えれば、0.75ポイントでも通常の
3倍であり、しかも3会合連続ということになり、かなりタカ派的行動と
いうことになります。サマーズ元財務長官などは、早めの行動がより効果
的だと言及していますが、FRBが3月に利上げを開始してからすでに2
.25%に達しています。大きく売られているNY株式市場の状況を考え
ると、FRBが1ポイントの利上げを行うリスクは取れないのではないか
と考えます。仮に1ポイントの利上げを決定したら、NYダウは再び10
00ドルの下げを見せる可能性もあり、ドル円は145円を超えて上昇す
ることになりそうです。
ブルームバーグは、「インフレの筋道を変えるには政策を引き締める必要
があることを金融当局は分かっている。そしてそれはまだ始まっていない
」、「遅れを取り戻そうとしている状況だ」といった、KPMGのチーフ
・エコノミストのコメントを紹介しています。
中ロ首脳会談がウズベキスタンで行われました。
プーチン氏は、「ウクライナ危機について中国の友人たちが示すバランス
の取れた姿勢」をたたえる一方、「米国とその衛星国による台湾海峡での
挑発」を非難しました。
習氏はプーチン氏を「旧友」と呼び、「両国それぞれの中核的利益に関す
る問題について、強力な相互支援を拡大する用意がある」と述べています。
ウクライナ南部でロシア軍の形勢が急速に悪化している状況に直面してい
るプーチン氏にとって、中国の後ろ盾が欲しいということでしょう。
中国にとっても、ロシアの窮地を外交上の手段としてうまく使いたい思惑
がありそうです。
昨日は多くの経済指標が発表されましたが、雇用の方は引き続き拡大傾向
を維持しているようです。NY連銀製造業景況感指数など、その他の指標
では明らかにブレイキがかかっている状況がうかがえますが、同時に底堅
さも示しています。本日はミシガン大学消費者マインドの結果が注目です。
予想レンジは142円50銭~144円50銭程度とします。
- [2022/09/16 09:24]
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日銀レートチェックか?
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は昨日の早朝に144円96銭まで買われたが、その後
財務大臣の口先介入や日銀が「レートチェック」を行ったとの報道から
ドル売りが優勢となる。NYでは142円56銭までドル売りが進んだが
その後143円台に戻す。
◆ユーロドルはパリティを挟みもみ合い。
◆株式市場は前日の大幅な下げから反発したが上げ幅は限定的。
依然としてインフレへの警戒感が根強く、S&P500は13
ポイントの上昇にとどまる。
◆債券は反発。長期金利は3.40%台へ低下。
◆金は続落し、原油は1ドルを超える反発。
◆8月生産者物価指数 → -0.1%
本日の注目イベント
◆豪 豪8月雇用統計
◆日 8月貿易統計
◆欧 ユーロ圏7月貿易収支
◆米 9月NY連銀製造業景況指数
◆米 8月小売売上高
◆米 9月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 8月輸入物価指数
◆米 8月輸出物価指数
◆米 8月鉱工業生産
◆米 8月設備稼働率
◆米 新規失業保険申請件数
「日銀がレートチェック!」昨日の午後日経電子版が市場介入の準備段階である、
日銀が市場の状況を銀行に問い合わせる「レートチェック」を行ったと報じました。
前日CPIが予想を上回り、FRBのさらなる利上げ観測が高まったことからドル円
は一気に3円以上もドル高に振れ、その流れから昨日の朝方7時ごろには、144円
96銭までドル高が進みました。筆者もこの動きを見て、145円突破を予想しまし
たが、その後鈴木財務大臣が重ねて口先介入を行い、「(為替介入を)やるときには
間髪入れずに瞬時に行う」と、これまでよりも強い口調の発言を行ったことや、午後
には上記レートチェックの報道からドル売りが優勢となり、142円台までドルが押
し戻されました。
海外勢がこの報道をどのように受け止めるのか注目していましたが、NYではややド
ル売りが勝る場面もありましたが、結局143円台に戻して取引きを終えています。
もし市場介入への警戒感が強まれば、141円台もあるのではと予想していましたが
、海外勢は東京市場での受け止め方ほど、深刻には受け止めなかったようです。仮に
政府日銀が介入に踏み切れば、ドル円は5円~8円程度円高方向に振れる可能性はあ
りますが、それでもドル高の流れを変えることは出来ないと思われます。
米国ではインフレの高進が続き、今後も政策金利の引き上げが続くという構図は何ら
変わりません。
むしろ日銀が大規模な金融緩和政策の修正に踏み切ってくれた方が余程効果があると
考えます。また単独介入ではその効果も限られます。
米国との協調介入で、東京市場でドルの押し下げ介入を行い、さらにNYに入っても
NY連銀がドルの押し下げ介入を行えば、相当な効果も見込め、投機筋のドル売りも
引き出すことがより容易になります。
ただ、ドル高は米国のインフレを軽減してくれる効果も見込めることから、米財務省
の同意を得るのは簡単ではないでしょう。イエレン財務長官は7月に来日した際、為
替介入についての可能性について問われ、「まれで例外的な状況でしか正当化されな
い」と、明確に答えています。
「レートチェック」という言葉にも違和感を覚えます。
政府日銀は市場で幾らのレートが出合っているのかは、これだけネットや情報が発達
した現在ではコンマ以下のレートまで把握しているはずです。
しかも現在は電子ブローキングが主流で、いわゆる人が介して行うブローキングは極
めて少量になっているはずです。
筆者が第一線でやっているころはブローカー経由の取引が盛んで、インターバンクの
ディーラーはどの水準にどの程度の注文が入っているのか、比較的把握し易い状況で
した。
そのため、日銀も銀行との間に設置してある「ホットライン」で、「今、市場はどう
ゆう状況?」と尋ねる「レートチェック」を行いました。
「EBS」など、電子ブローキングが主流の現在では、市場の状況も掴みにくいので
はと思われます。
「レートチェック」というよりも、「マーケットチェック」の方が実態に合っている
ような気がします。
ただ今回の政府日銀の行動は、これまでより一歩踏み込んだ強硬な姿勢を見せたこと
は事実で、市場に警戒感を植え付けたことは間違いありません。
個人的にはこの水準で実弾を伴う介入に出ることはないと予想していますが、145
円の節目を超えると、もう一段円が売られる可能性があるため、145円に接近した
この段階で実施したものと受け止めています。
実際、今のところその効果もあったように思えます。
筆者は市場介入は「おばけ」の様なものだと考えています。「おばけ」は最初に出く
わしたら相当怖いに違いありません。ただ、何度も姿を現すようだと、だんだん「お
ばけ」にも慣れてきて、最後は恐怖心さえ覚えなくなるのでしょう。市場介入も最初
に出くわせば驚きもありますが、たびたび姿を見せるようだと、その効果も低減して
いくものです。もっとも、「怖いもの見たさ」というものもありますが。
本日は「市場介入」に終始した感がありますが、リーマン・ブラザーズが経営破綻し
たのが2008年の今日です。投資銀行全米第4位だった同社の破綻は金融市場に衝
撃を与え、その後ベアスターンズなどが相次ぎ破綻し、あのゴールドマンでさえ、経
営危機に直面しました。それを救ったのが著名投資家ウォーレン・バフェット氏でし
た。足下ではインフレの高進でFRBが大幅利上げを続け、米株式市場はリーマンシ
ョックとまではいかないものの、ブルームバーグによるとすでに今年に入り7兆60
00億ドル(約1090兆円)という膨大なお金が失われたとか。
足下のドル円のボラティリティーはその頃に匹敵するほど高くなっています。
本日のドル円は141円70銭~144円程度を予想します。
- [2022/09/15 09:46]
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米8月のCPIは8.3%と市場予想を上回る
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は急騰。CPI発表前には141円55銭近辺まで
下げていたドル円は、発表後ドル買いが加速し144円67銭まで
上昇し、この日の高値圏で引ける。
◆1.02手前まで買われたユーロドルも急落。0.9966まで
売られ、ユーロ安が再燃。
◆株式市場は3指数が急落。ダウは1200ドルを超える下げと
なり、ナスダックは5%を超える下落に見舞われるなど全面安の展開。
◆債券は続落。長期金利は3.40%台へ上昇。
◆金と原油は反落。
◆8月消費者物価指数 → 8.3%(前年同月比)
◆8月財政収支 → -219.6b
本日の注目イベント
◆日 7月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏7月鉱工業生産
◆欧 欧州委員長、施設方針演説
◆英 英8月消費者物価指数
◆米 8月生産者物価指数
米8月の消費者物価指数(CPI)の発表を受けて、金融市場は大混乱
でした。「米国のインフレ動向が全ての金融商品の価格を決定付ける」
といった構図が続いており、この傾向はまだ当面続きそうです。
8月のCPIは前年同月比で7月の「8.5%」からは鈍化したものの
、市場予想の「8.1%」を0.2ポイント上回る「8.3%」でし
た。前月比でも予想の「-0.1%」に対して「+0.1%」と上回っ
ており、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数では先月(5
.9%)よりも上昇し、前年同月比で「6.1%」でした。
ガソリン価格は低下していましたが、居住費などの生活費はなお上昇し
ており、FRBのインフレ目標である2%を達成するにはなお高い壁が
続き、長い道のりが控えているようです。
結果は予想に対してわずか「0.2%の誤差」でしたが、金融市場の反
応は過剰とも思えるものでした。
ドル円は発表前の安値からはわずか30分ほどで3円以上も上昇し、1
44円67銭を記録しています。まさにAIのなせる技と言えます。
それまでジリジリと続いていたドル安の流れが一気に変わってしまいま
した。
株式市場の反応も為替に負けてはいませんでした。
ダウは1200ドルを超える下げを演じ、それまで4日続伸して得た上
昇分を全て吐き出してしまいました。ナスダック指数に至っては5%を
超える大幅な下げに見舞われています。
この日の混乱を「過剰反応」と見るのか、あるいは「再び下落基調に戻
る始まり」と見るのか、難しい判断です。「神のみぞ知る」といったと
ころでしょうか。
8月のCPIが市場予想を上回ったことで、来週のFOMCでの0.7
5ポイントの利上げはすでに確実であるとこの欄でも書きましたが、一
部には「1ポイントの利上げ観測」まで出ています。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルは「一連のインフレ上
振れリスク顕在化の可能性が示唆された」として、「次回会合では1ポ
イントの利上げが見込まれる」としています。個人的にはこの見方を支
持しませんが、11月の会合でも0.75ポイントの利上げといった観
測も出てきました。
10月半ばに発表される9月のCPIを見なければ何とも言えませんが
、米国のインフレ抑制の道が前途多難であることは間違いないところで
す。ブルームバーグ・テレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ元財務長
官はこの発表を受け、「20-21日のFOMC会合で、利上げ幅につ
いて0.5ポイントと1ポイントのどちらとするか選択を迫られた場合
、自分なら『信頼性を高めるため1ポイント』を選ぶだろう」(I would
choose a 100 basis points move to reinforce credibility )とコメ
ントしています。
今朝早い時間のドル円は再び145円に迫る水準までドル高が進んでい
ます。先週7日には144円99銭と、145円まで1銭届かない水準
までドルが買われましたが、その後政府日銀などの口先介入にやや変化
が見られたこともあり、ドルがじりじりと売られる展開になりました。
本日はFRBが今後も大幅利上げを回避できないとの見方が支えとなり、
再び145円突破を目指す動きとなっています。
同水準突破を一度失敗していることもあり、145円前後にはドル売り
注文が相当多く集まっていることは想像に難くありません。本日は14
5円前後を巡る攻防になると思われますが、海外市場まで見た場合、上
抜けする可能性の方が高いと予想します。
もっとも、もし今回も145円突破に失敗したとしたら、この水準が強
固な壁になる可能性もあります。
レンジは143円80銭~146円程度といったところでしょうか。
- [2022/09/14 09:43]
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ユーロ円約8年ぶりに145円台半ばへ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間夕方には143円台半ばまで上昇する
場面もあったが続かず。NYでは今夜発表のCPIを見極める
雰囲気の中、ドルは下げ基調となり再び142円台前半へ。
◆ユーロドルはECBメンバーのタカ派発言から買い戻しが進み、
欧州市場では1.0198まで上昇。ユーロは対円でも145円台
半ばまで続伸。
◆株式市場は底堅く推移し、3指数は揃って4日続伸。
ダウは300ドル程上昇し、ナスダックも買われた。アップルが
上昇をけん引。
◆債券は反落。長期金利は3.35%台へ上昇。
◆金と原油は続伸。
本日の注目イベント
◆豪 豪9月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪 豪8月NAB企業景況感指数
◆独 独8月消費者物価指数(改定値)
◆独 独9月ZEW景気期待指数
◆欧 OPEC月報
◆英 英8月ILO失業率
◆米 9月消費者物価指数
◆米 8月財政収支
◆米 米中間選挙予備選(デラウェア、ニューハンプシャー、ロードアイランド州)
ドル円は昨日の夕方、143円台前半から143円50銭まで急伸する場面
がありましたが、勢いは続かず、その後はじり安の展開でした。今夜発表の
8月の消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとする雰囲気の中、売
買も低調な模様で、結局昨日の水準に戻って来ました。
一方ユーロドルは大きく買われ、欧州市場では一時1.0198まで上昇。
ECBメンバーのタカ派的な発言をきっかけに大幅に上昇し、約4週間ぶり
の高値を付けました。ユーロは対円でも145円63銭前後まで買われ、2
014年12月以来、約8年ぶりの高値を付けています。
ECB政策委員会メンバーのシクルーナ・マルタ中銀総裁はNBCとのイン
タビューで、「今回が唯一の利上げではない。あと数回あるだろう」と述べ
ましたが、ただ、「0.75ポイントの利上げ幅はECBにとって標準とな
るわけではない」とも述べています。
また、ECBのシュナーベル理事は会議のスピーチで、インフレ率を目標の
2%に戻すために、「今後数回の政策委員会会合で追加利上げをすることに
なるだろう」と語っています。これらタカ派発言からユーロを買い戻す動き
が加速されましたが、先週0.75ポイントという、これまでに行ったこと
のない大幅利上げを決めた後のラガルド総裁の発言からは容易に想定される
内容ではありました。
ユーロドルは先安感が根強く、投機筋のユーロ売りポジションも大きく積み
上がっていることから、ストップロスの買いが相場を押し上げる展開も想定
されます。ただ昨日は1.02台という節目を前に反発が止まりましたが、
これは「日足の雲の下限」がこの付近にあり、これに上昇を抑えられた側面
も大きかったと思います。
この「日足の雲」はユーロドルにとって大きな存在であり、また意味もあり
ます。何しろ、ユーロドルがこの雲の上方で推移していたのは、2021年
6月までさか上らなければなりません。その間何度も雲の上限突破を試みま
したが、ことごとく押し戻される展開が続いており、雲全体が非常に強い「
抵抗帯」となっています。反対に、この雲を明確に上抜けすることが出来れ
ばユーロドルは大きく上昇する可能性がありますが、現在の雲の上限は1.
0370前後にあり、この水準を超えられるかどうかといったところです。
ただ、今回のユーロの反発はECBメンバーのタカ派発言とショートの買戻
しが要因で、これから冬場に向いエネルギー問題が景気に与える影響が大き
く、今後も大幅な利上げが続くようなら域内の景気はさらに悪化させること
も予想されます。
ユーロ圏には少なくとも米国のような景気の底堅さや経済基盤はないと言え
るでしょう。
NY連銀が12日に発表した最新の消費者調査で、インフレ期待が大幅に低
下したことが明らかになりました。3年後のインフレ期待は、前月の「3.
2%」から「2.8%」に低下し、1年後についても7月の「6.2%」か
ら「5.7%」に低下していました。
3年後のインフレ期待はこれで4カ月連続の低下となり、実際ガソリン価格
はかなり下がっていることから、FRBの積極的な利上げを評価し、同時そ
の手腕に期待していることもうかがえます。
昨日もウクライナ情勢について触れましたが、ウクライナ軍の反攻が成功裏
に進んでいることから、今朝の報道では「ウクライナ、かつては考えられな
かった勝利が現実の領域に」といった見出しの報道がありました。
「ウクライナ軍による同国北部での反転攻勢の脅威的な速さと成功を受け、
2月のロシア侵攻が始まった当時ではほとんど考えられなかった可能性が浮
上している。ロシア軍が敗北し、崩壊さえあり得る」と伝えています。
米CIA長官や国防長官を務めたレオン・パネッタ氏はブルームバーグの番
組で、「極めて重要であるとともに危険でもあると思う」と語り、「危険な
のは、プーチン氏が追い込まれることで反撃しなくてはならなくなるからだ
」と指摘し、敗北リスクに直面するロシアが、戦術核による攻撃の可能性を
含め、戦争をエスカレートさせる恐れがあると説明しています。
本日は21時30分に米8月のCPIが発表されます。
予想は現時点で「8.1%」と、7月の「8.5%」よりも鈍化していると
みられていますが、コアCPIでは逆に上昇しているとの予想です。
レンジ予想は141円50銭~143円50銭程度といったところでしょう
か。
- [2022/09/13 09:42]
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ドル円欧州で141円台後半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はアジア・欧州市場で売られた流れを引き継ぎやや円高
方向に。朝方には142円17銭まで下げたが勢いはなく142円
半ばを超える水準まで反発。
◆ユーロドルは反発。この日は終始1.00台で推移し、1.0062
まで上昇。
◆株式市場は3指数が揃って3日続伸。ダウは377ドル上昇し、
ナスダックも2%を超える上昇。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は3.31%台で推移。
◆金と原油はともに買われる。
本日の注目イベント
◆英 英7月貿易収支
ドル円はややドルが売られ、欧州市場では一時141円80銭前後まで下げる
場面もありました。
先週金曜日、黒田日銀総裁が官邸で岸田首相と会談し、首相からは特段の指示
や要望はなかったとしながらも、「為替相場が1日で2円も3円も動くのは急
激な変化と認識している。急激な為替変動は企業の不確実性を高め好ましくな
い」と述べたことがドル売りを誘いドル円は下落。その流れが欧州からNYに
も伝播した格好でした。先週1週間を振り返ると、140円台を回復したドル
円は144円99銭まで一気に買われ、その後141円台後半まで売られる展
開となり、かなり荒っぽい動きを見せたことになります。
FOMCを前に、主要中銀が揃って大幅な利上げを決定したことも影響し、パ
ウエル議長を始め多くのFOMCメンバーが「タカ派的な発言」を行ったこと
がドル高に勢いを付けたようです。現時点でも次回会合では0.75ポイント
の利上げは確実と予想していますが、すでに市場にはほぼ織り込まれたと考え
ます。先週金曜日も、数人のFOMCメンバーによる発言がありました。
ウォラーFRB理事は講演で、「インフレはあまりに高すぎる水準にあり、イ
ンフレが下方向に意味ある形で持続的に推移しつつあるかどうか判断するのは
時期尚早だ」と述べ、「政策金利が明確に需要を抑制する水準になるよう、9
月20-21日の次回会合で大幅な利上げを支持する」と語っています。
ここで言う「大幅な利上げ」は、0.75ポイントを指すことは言うまでもあ
りません。
またセントルイス連銀のブラード総裁も、「75bpの方向に傾いたところ、
先週2日に発表された雇用統計の数字はまずまず良好だった」とし、来週発表
される消費者物価指数(CPI)でインフレ抑止の進展が示される可能性はあ
るが、「単一のデータに次回会合で決定を左右させるわけにはいかない。従っ
て、現時点では75bpへの傾斜をより強めているところだ」と語っています。
ブラード総裁はまた、「こうした利上げの前倒しを試みる全般的な戦略は奏
功しており、インフレに間もなく低下圧力を加える政策金利水準に到達し得る
状況をもたらす」と述べ、「私の考えでは、実施は早ければ早いほど良い傾向
にある」と続けています。(ブルームバーグ)ブラード総裁は今年のFOMC
での投票権を有しています。一方、FOMCメンバーの中では最も「ハト派寄
り」ではないかと思える、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「米イン
フレ率は依然として高すぎ、米金融当局には金融緩和の解除を継続する単純明
快な理由がある」としながらも、金融政策の急な引き締めが裏目に出ることも
あり得ると警鐘を鳴らし、「重要な問いは、それをどの程度、どれだけ早く実
施していくかだ」と話しています。
このように、次回会合では、6月、7月に続き3会合連続で0.75ポイント
の利上げを実施する可能性が高いとみていますが、この急激な利上げが景気を
抑制することは明らかだと思われ、その効果がいつ明確に表れて来るかが焦点
です。
明日13日(火)には8月のCPIが発表されますが、総合CPIは「8.0
%」と予想されており、7月の「8.5%」(いずれも前年同月比)から大き
く鈍化するとみられています。ただ、それでも会合では0.75ポイントの利
上げを回避することにはならないだろうとみられます。
ブラード総裁の言うように、「単一のデータでは判断できない」ことと、好調
な労働市場の存在が挙げられます。
SFシスコ連銀の分析では、「インフレ率は2025年の早い時期までに金融
当局の目標である2%まで下がる見通しだ」としていますが、仮に見通し通り
だとすれば、あと3年もかかることになります。
ウクライナ軍が攻勢を強め、ロシア軍が主要都市から撤退を余儀なくされてい
るとの報道が相次いでいます。
ウクライナ軍の司令官は、同国が今月に入りこれまでに奪還した領土は300
0平方キロメートル余りになると発表しています。
米国から供与された「ハイマース」がその威力を発揮しているとみられ、遠隔
地からロシアの弾薬庫など重要な拠点を爆破していることが影響しているよう
です。
これから厳しい冬に向うウクラナですが、この戦争は今年中には終結しないだ
ろうとの見方が一般的なようです。
本日のドル円は141円50銭~143円50銭程度を予想します。
- [2022/09/12 09:54]
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ECB0.75ポイントの利上げを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は欧州市場からNYの朝方にかけて143円台半ばを
下回っていたものの、パウエル議長のタカ派的な発言から上昇。
144円43銭まで上昇したが上値は追えず。
◆ECBが0.75ポイントの利上げを決定し、ユーロドルは
下げから反転。想定内であったこともあり、上値は1.0030
近辺と限定的。
◆株式市場は続伸。パウエル議長の発言に驚きもなく、3指数とも
終盤に上値を伸ばす。
◆債券は反落。長期金利は3.31%台に上昇。
◆金は続落し、原油は反発。
◆新規失業保険申請件数 → 22.2万件
◆7月消費者信用残高 → 23.811b
本日の注目イベント
◆中 中国8月消費者物価指数
◆中 中国8月生産者物価指数
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米 ウォラーFRB理事講演
◆米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆加 カナダ8月就業者数
◆加 カナダ8月失業率
RBA、BOCに続いてECBも大幅利上げに踏み切りました。
ECBは昨日の政策委員会で通常の3倍となる0.75ポイント
の利上げを決め、中銀預金金利も0.75%に引き上げられまし
た。この決定を受けユーロドルは上昇しましたが、市場の想定内
であったため、上値は限定的でした。
3中銀が連日利上げに踏み切り、しかも「想定された利上げ幅の
上限」を採用したことで、今月20-21日のFOMCでの利上
げ幅も「0.75ポイントで決った」という印象です。
ECBは声明で、「この大きな一歩は現在の極めて緩和的な政策
金利水準からインフレ率を
適切な時期に目標の2%に戻す金利水準への移行を前倒ししたも
のだ」とし、「今後数回の会合でさらなる利上げを想定している
」と表明しました。ラガルド総裁も会見で、「利上げは全会一致
だった。0.75ポイントの利上げは標準ではない」とした上で
、「断固とした行動を取る必要があった」と説明していました。
また、「会合ごとに見直す指標が大幅な利上げが必要だと示唆す
るなら、そうするだろう」と明言。利上げが想定される今後「数
回」とは何回を指すのかとの質問には、「恐らく今回を含めて2
回を上回るが、5回は下回るだろう」と答えています。(ブルー
ムバーグ)
ECB内部には大幅利上げが今後域内の景気をさらに下振れさせ
るリスクもあり、反対の意見もありましたが、今回の利上げ幅を
「0.5ポイント」ではなく、「0.75ポイント」に決めたの
は、ECB内部でインフレ高進への警戒感がさらに強まった背景
があります。8月の消費者物価指数(CPI)が「9.1%」と
過去最高を更新し、今後冬場に向えばエネルギー価格の上昇から
インフレ率が一段と高まる可能性もあり、「背に腹は代えられな
い」と判断したとみられます。これでECBはFRBと足並みを
揃え、「インフレ抑制を最重要課題」に掲げ、景気の減速には目
をつぶる政策に踏み出したと言えます。
パウエル議長は、20-21日のFOMC会合を前にし、最後の
発言になるだろうとみられる講演を、ワシントンで開かれた金融
政策関連会議で行いました。
議長は、「われわれはこれまでと同様、直ちに、真っすぐに、力
強く行動する必要がある」と述べ、「同僚と私は、このプロジェ
クトに強くコミットしており、根気よく続けていく」と述べてい
ます。ジャクソンホールでの発言と大きな相違はありませんでし
たが、今回の発言は何やら出陣式での「決意表明」のような印象
で、パウエル氏自身、自分を鼓舞しているように感じました。
上でも述べましたが、これで「0.75ポイントの利上げは決ま
り」で、問題のその先の政策スタンスについて、会合後にどのよ
うな言及があるかという点に関心が移ります。
また、0.75ポイントの利上げはすでに市場には織り込まれた
と受け止めています。
ドル円は145円に1銭届かない水準まで買われた後、やや上値
を重くしていますが、それでも下値は143円台半ばまでとなっ
ています。急激な円安を受けて、財務省と日銀、金融庁は8日、
「3者会合」を開き、協議を行いました。神田財務官は、「投機
的な動きも背景に、一方向で急速な円安の進行が見られる」とし
、「政府としては、動きが継続すれば、あらゆる措置を排除せず
、為替市場において必要な対応を取る準備がある」と述べました。
145円付近まで円が売られたことで、これまでよりも強めの「
口先介入」があると予想していましたが、想定内の発言でした。
市場の反応もほとんどなく、個人的には150円を超えれば、実
際の行動が見られるのではないかと予想しています。
もっとも、それで流れを変えられるとは思いませんが、やはり、
鍵となるのは米財務省のスタンスが「ドル高は行き過ぎ」といっ
た方向に変わるかどうかです。
本日のドル円は143円~144円90銭程度を予想します。
- [2022/09/09 09:45]
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ドル円145円目前から反落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は連日大台替えを見せ、NY市場開始前には
144円99銭までドル高が進む。その後ブレイナード
FRB副議長の発言を手掛かりに一転してドルが売られ、
143円68銭まで下落。
◆ユーロドルも朝方の0.98台後半から買い戻され、
1.00台を回復。
◆株式市場は久しぶりに3指数が揃って反発。ナスダックは
2%以上買われ、8日ぶりの上昇。
◆債券は反発。長期金利は3.26%台へと低下。
◆金は続落。原油は大きく売られ、今年1月以来となる
81ドル台まで下落。主要国中銀が大幅利上げを行い、
景気減速により石油需要の減少がさらに進むとの観測が
広がる。
◆7月貿易収支 → -70.6b
本日の注目イベント
◆豪 豪7月貿易収支
◆日 7月貿易収支
◆日 7月国際収支
◆日 8月景気ウオッチャー調査
◆欧 ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 7月消費者信用残高
◆米 パウエル・FRB議長講演
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
ドル円はついに145円にあと1銭に迫る水準まで上昇しましたが、
「145」という数字を見ずに反落しています。
昨日の東京市場午後に144円台に乗せたドル円は欧州市場でも投機
的なドル買いが続き、NY市場が始まる20時半ごろには144円9
9銭までドルが続伸しました。しかしNY市場ではブレイナードFR
B副議長の発言を手掛かりに143円68銭までドルが売られました。
ちょうど145円という大台を前に、この発言が利益確定のドル売り
を誘ったというところでしょうか。
それにしても今週に入ってからのドル円の上昇は急ピッチです。昨日
までですでに5円に迫る値幅で上昇しており、投機筋は「政府日銀は
動かない」というよりも「動けない」と見透かしているようです。
144円台まで円が売られた昨日、鈴木財務大臣は「円安方向に一方
的に振れており憂慮している。継続することになれば、必要な対応を
取る」と話し、必要な対応の詳細については「私の不用意な発言が相
場に影響を与えてはいけないため、一切コメントしていない。まさに
どうゆう対応を取るかは、為替に大きな影響与えるためコメントしな
い」と述べていました。
市場に影響を与えるために発言すべきだと思いますが、なんとも消極
的なコメントです。
仮に市場介入を行う場合には、財務大臣が最高意思決定者になり、そ
の指示に基づいて
国際局長→為替市場課長へと命令系統が降り、その指示に従い日銀が
動くというのが基本的な流れです。市場介入の最高責任者である財務
大臣のこのような言葉から市場は「介入はない」と読んでドル買いを
仕掛けているのが実情のようです。
もっとも、日銀が介入したとしても、多くの市場関係者はこの円安の
流れを変えることができるとは考えていません。介入には少なくとも
米国、できればユーロ安が進んでいることもあり、日米欧が協調する
ことが必要です。
現時点では米財務省が協調介入に同意するとも思えません。インフレ
に苦しむ米国にとって「ドル高」はインフレを相殺してくれる一要因
だからです。
ブルームバーグは、「米財務省のダウィン報道官は7日、イエレン財
務長官が7月の訪問時に円相場や為替介入について議論して以降、同
省のスタンスが変わったか否か質問を受け、『現時点で付け加えるこ
とはない』と答えた」と報じています。
ブレイナードFRB副議長のNYでの会議で行った発言が、株高、債
券高、さらには金利が低下したことでドル売りを誘いました。
ブレイナード氏は、「インフレを押し下げるため、われわれは必要な
限り対応を続ける」と述べ、「インフレ率が目標に向けて低下してい
るとの確信をもたらすため、金融政策を当面、景気抑制的な水準にと
どめる必要がある」と語っています。
ここまでは、これまでもパウエル議長が発言してきたことと同じで、
特に目新しい内容ではなかったですが、続けて、「引き締めサイクル
における迅速さとそのグローバルな性質、さらに金融環境引き締めの
効果が総需要に行き渡る速さを巡る不透明感は、過度の引き締めに関
連したリスクを生み出す」と述べ、「時期尚早に退くリスクを回避す
ることも重要だ」と指摘しています。その他にも、ボストン連銀のコ
リンズ総裁は、「9月の金融政策行動として何がまさしく適切かあま
り具体的に言及するのは時期尚早だが、さらなる行動が必要だとあら
ためて申し上げたい」と発言し、「物価はまだ大幅には下がっておら
ず、われわれはこれを目指すことになる」と話しています。
また、クリーブランド連銀のメスター総裁も、「金融政策に関する自
身の考えを構築するにあたっては、インフレというけだものとの闘い
で尚早に勝利宣言しないよう注意したい」と述べ、あらためてフェデ
ラルファンド(FF)金利を早い時期に4%超に引き上げ、その後し
ばらくその水準で据え置くことが必要との考えを示しました。
このように、総じてFOMCメンバーはタカ派的な発言を行っていま
す。来週13日の8月のCPIを確認しなければなりませんが、個人
的には0.75ポイントの利上げを予想しています。
前日のオーストラリア準備銀行(RBA)に続いて、昨日はカナダ中
銀も予想通り追加利上げを決めました。ただ利上げ幅は想定以上の0
.75ポイントでした。カナダ中銀はこれで、4会合連続の利上げを
行い、昨日のコメントではさらに今後の利上げも示唆しています。
RBA,カナダ中銀が大幅利上げに踏み切ったことで、FOMCメン
バーにも多少影響を及ぼす可能性があります。さらには今夜のECB
の決定にも影響があるかもしれません。同時に、日銀との違いがいや
が上にも目だってきます。
今夜もFOMCメンバーの講演が多くあります。
特にパウエル議長の講演には注目です。来週にはFOMCを前に「ブ
ラックアウト」期間に入ることから、おそらくこれが会合前の最後の
パウエル氏の発言かと思われます。
市場は連日値動きが大きく、昨日のブレイナード副議長の発言で動い
たように、発言には過敏になっています。
本日のドル円は143円~145円程度の動きでしょうか。
- [2022/09/08 09:57]
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ドル円一気に143円台まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間終盤に141円台に乗せたが、さらに上昇し
NYでは143円08銭前後までドル高が進む。経済指標の上振れに
FRBのタカ派姿勢は変わらないとの観測が強まる。
◆ユーロドルも続落。0.9864まで売られ、直近安値を更新。
ユーロは対円でも141円台後半まで上昇。
◆株式市場では3指数が下げ止まらない。ナスダック指数は85ポイント
下げ、これで7日続落。
◆債券も売られ、長期金利は3.35%近辺まで上昇。
◆金は売られ、原油は横ばい。
◆8月ISM非製造業景況指数 → 56.9
◆8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 43.7
◆8月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 44.6
本日の注目イベント
◆豪 豪4-6月期GDP
◆日 7月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中 中国 8月貿易収支
◆独 独7月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏4-6月期GDP(確定値)
◆英 BOE総裁ら、議会証言
◆米 7月貿易収支
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 バー・FRB副議長講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、質疑応答に参加
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 ブレイナード・副議長講演
◆加 カナダ中銀政策金利発表
ドル高が止まりません。とりわけ、対円では昨日1日で2円80銭以上も
円が売られ、NYでは一時143円08銭までドルが買われています。
ジャクソンホールでのパウエル議長の講演前から比較すると、約7円も大
幅な円安が進んだことになります。昨日は、前日の動きと同じように、東
京時間午後3時前辺りに欧州勢が参入し、ドル円は141円台に乗せまし
た。そこからNYでは「大台替え」を2回も示現し、143円台へと上昇
しましたが、きっかけは今回も経済指標の上振れでした。
米供給管理協会(ISM)が発表した8月の非製造業景況指数は「56.
9」と、前月から上昇し、4カ月ぶりの高水準でした。市場予想は「55
.3」と、前月より低下すると見込んでいたことから、指標の上振れを受
けFRBは今後もタカ派的な金融政策を継続するとの見方が広がり、株式
が売られ、債券も売られ、金利上昇からドル高が進むといったいつものパ
ターンでした。
先週末の雇用統計に続いて、昨日のISM非製造業景況指数でも、景気の
鈍化を感じさせない結果を示し、3月以降大幅な利上げを続けているFR
B首脳も首を傾けたくなるような状況です。
為替市場では特に円売りの勢いが強く、円は全面安の展開でした。
ユーロ円は141円台後半まで買われ、約1カ月半ぶりの「ユーロ高・円
安」で、主要通貨間では「ドルが最強で円が最弱」といった様相でした。
昨日はオーストラリア準備銀行(RBA)も0.5ポイントの利上げを決
め、4会合連続で大幅利上げに踏み切り、本日のカナダ中銀、明日のEC
Bも利上げが見込まれており、日銀の金融政策がいやが上にも目立ちます。
円が売られるのも、やむを得ないと言えます。ただ、それにしても円売り
の勢いは想定外の動きです。
昨日は債券も売られ、米長期金利は一時3.35%台まで上昇し、これが
ドル円上昇の一因にもなっています。しかし、米長期金利は6月14日に
は3.49%台まで上昇しました。その際にドル円も買われましたが、1
35円台でした。米金利との相関が強いドル円ですが、円売りの勢いが金
利上昇を上回っていることが見て取れます。
円の下落スピードは速すぎる印象ですが、ここまで来たら次のターゲット
は145円ということになりそうです。
上でも触れましたが、FRBがインフレ抑制を最優先課題とし、金利を大
幅に引き上げることで景気を減速させる意図があることは明らかです。
その影響は一部の経済指標では鮮明になっていますが、それもで思ったほ
どインフレ率が低下しない場合、「金融政策だけではインフレの高進を止
めることはできない」、「金融政策の限界」といった議論にも発展しそう
です。
米国のウォルシュ労働長官は、「米国には全ての求人を埋められるだけの
労働者がいない」と発言し、「現時点では経済にとってインフレよりも、
リセッションよりも深刻な脅威だ。これらの仕事を埋める必要がある」と
し、米移民制度について、「いずれ見直す必要がある」との考えを示しま
した。(ブルームバーグ)
この発言は現在の好調な米労働市場の実態を表しているように思います。
人手不足が続き、経営者は労働力を確保するため「高賃金」を提示し、そ
の原資を確保するために販売価格を上げざるを得ないといった構図です。
ウォルシュ労働長官の発言が事実だとすれば、米国の賃金上昇とインフレ
の高進は当分続く可能性もあるかもしれません。
ドル円は東京市場の始まる前にすでに143円56銭まで上昇しています。
政府の口先介入も、これまでとはトーンを異にし、厳しい口調に変わる可
能性もありそうです。
本日のドル円は142~144円50銭程度を予想します。
- [2022/09/07 09:35]
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ユーロドル20年ぶりに0.98台後半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
◆NY市場が「レーバーデー」のため休場だったこともあり、
ドル円は140円台半ばを中心に小動き。
◆ユーロドルは続落。東京時間午後3時頃には0.9880まで
下げ、2002年12月以来となるユーロ安を記録。
本日の注目イベント
◆豪 豪4-6月期経常収支
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆独 独7月製造業新規受注
◆米 8月ISM非製造業景況指数
◆米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米 8月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
◆米 米中間選挙予備選(マサチューセッツ州)
NY市場が休みのためドル円は140円台半ばを中心に小動きでしたが、
ユーロドルは下げが加速し、欧州勢が参入した午後3時前後には0.99
台を割りこみ、0.9880までユーロ安が進みました。
ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムが、欧州向けにガスを供給するパイ
プライン「ノルドストリーム」の稼働を当初の予定通り再開できないと発
表したことから、ドイツなど欧州主要国のエネルギー不足が懸念され、イ
ンフレの高進と景気後退が同時進行する「スタグフレーション」の可能性
が台頭。ユーロ売りにつながりました。
ユーロドルは2002年12月以来となる安値に沈みましたが、ドル円の
140円台後半も1998年8月以来ということで、「ドル全面高」の様
相がさらに加速しています。
エネルギーに関わるニュースはもう一つあります。
OPECと非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は、10
月の生産量を日量10万バレル削減し、8月の生産量に戻すことを発表し
ました。
「OPECプラス」は、世界的な景気減速から原油価格が過去3カ月に2
0%下落したことを受け、「相場の安定を図る」という観点から減産を決
めたとしています。また、市場の動きに対応するため必要となれば、臨時
の閣僚会議を開催する考えも強調しており、次回会合は10月5日に予定
されています。(ブルームバーグ)
この発表を受けて、WTI原油先物価格は急伸し10月限は、1バレル当
たり90ドル付近まで上昇しています。先週末の引け値は86.87ドル
でした。
イギリスの次期首相に事前予想通り、ジョンソン政権で外相を務めたトラ
ス氏に決まりました。
与党・保守党の決選投票を経てトラス氏がサッチャー、メイ両氏に次ぎ、
英国史上3人目の女性首相になります。
トラス氏は当選後、「私は保守党員として選挙戦を戦った。そして保守党
員として政府を運営していく。今後2年間に政策実行力があることを示す
必要がある。減税と経済成長のため思い切った計画を実行する」と述べて
います。
イギリスでも高インフレが進んでおり、経済は厳しい逆風に直面していま
す。先ずは早期に減税を実施し、景気立て直しに注力するようですが、一
方で、今回のロシア・ウクライナの戦争では、米国に次ぎウクライナに肩
入れしていますが、この路線は継承されるとみられます。ロシアに対して
はさらに強硬な姿勢を見せるとの指摘もありますが、「第2の鉄の女」に
なれるのか、お手並み拝見といったところです。
本日は午後1時半にオーストラリア準備銀行(RBA)がキャッシュレー
トの引き上げを決めると予想されています。
現行の「1.85%」から0.5ポイントの利上が見込まれています。
オーストラリアの消費者物価指数(CPI)は4-6月期に「6.1%」
と、RBAの2-3%の目標レンジ上限の2倍となっており、雇用も順調
なことから0.5ポイントの利上げが見込まれています。実現すれば、
4会合連続の0.5ポイント利上げとなります。
本日は連休明けのNY勢が戻ってきます。
ドル円は引き続き底堅い動きを見せていますが、今後も米経済指標の結果
と要人発言に振らされる展開となるのでしょう。
ドル円のレンジは139円50銭~141円程度を予想します。
- [2022/09/06 09:06]
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米8月のNFPは31.5万人増加
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆雇用統計発表直後にドル円は140円80銭まで買われたが
その後140円割れまで反落。NFPは予想を上回ったものの、
失業率は悪化。
◆ユーロドルも0.9946まで下げたあと反発。
◆株式市場では午前中は上昇したものの、午後には失速。3指数が
揃って下げ、ナスダックは6日続落。
◆債券は反発。長期金利は3.19%前後まで低下。
◆金と原油は反発。
◆8月失業率 → 3.7%
◆8月非農業部門雇用者数 → 31.5万人
◆8月平均時給 (前月比) → 0.3%
◆8月平均時給 (前年比) → 5.2%
◆8月労働参加率 → 62.4%
◆7月製造業受注 → -1.0%
本日の注目イベント
◆中 8月財新サービスPMI
◆中 8月財新コンポジットPMI
◆独 独8月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月総合PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏7月小売売上高
◆英 英8月サービス業PMI(改定値)
◆英 英保守党党首選、決選投票の結果発表
◆米 NY市場休場 (レーバーデー)
難しい判断でした。
8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は市場予想の「30万人」を若干
上回る、「31.5万人」だったため、ドルが買われましたが、失業率が予
想の「3.5%」よりも悪化し「3.7%」だったことからドル円はその後
売られました。株式市場では、今回の雇用統計の結果がFRBの大幅な利上
げスタンスを変化させるには不十分だと受け止められ、午前中はプラス圏で
推移していた株価は、結局3指数ともマイナスで取引を終えています。
特にナスダック指数は154ポイント売られ、これで6日続落となっていま
す。金と原油が反発したのは、売られ過ぎからの自律反転といった状況でし
た。雇用者数の増加ペースは7月に比べて鈍化したものの、30万人を超え
ていたことで、なお底堅く、「インフレ高進と金利上昇、経済見通しの不確
実性の中でも健全な労働需要があることが示された。労働力の需要の強さは
引き続き消費支出の支えとなる」(ブルームバーグ)と市場は理解したよう
です。
サプライズだった7月分(52.8万人)は若干下方修正されましたが、F
RBが3月から連続利上げを行い、景気拡大に急ブレイキをかけているにも
かかわらず、労働市場は依然として拡大しています。
パウエル議長は先のジャクソンホールでの講演、「9月の利上げ幅は今後の
データ次第だ」と述べていましたが、個人的にはこの段階で今月20-21
日の会合では0.75ポイントの利上の可能性はやや高まった印象ですが、
今後は13日の「8月のCPI」に関心が移ることになります。また、引き
続き原油価格の動向にも目を凝らしたいと思います。
ドイルのショルツ首相率いる連立政権は、電力価格の高騰に苦しむ家計を支
援するために
650億ユーロ(約9兆円)規模の救済計画で合意しました。
政府は声明で、「高いエネルギー価格による急激な負担増のため、市民およ
び経済への迅速かつ適切な救済策が必要になっている」と説明しています。
これから冬に向い、エネルギー需要がさらに高まることが予想されることか
ら今回の支援策が決められたようですが、
救済パッケージは連邦政府と州政府、地方自治体の拠出から成るようです。
またエネルギー危機が深刻化しているEUでは、高騰する電力・天然ガス価
格の抑制を目指し、ガス価格への上限設定や電力デリバティブ取引の一時停
止といった非伝統的な措置を検討しているとブルームバーグは報じています。
EU議長国のチェコは緊急介入措置の選択肢のリストにそうした非伝統的措
置を含める見通しで、域内のエネルギー担当相は、電力価格急騰とロシアに
よる欧州向け天然ガス供給制限の動きへの対応で9日に臨時会議を開く予定
です。
インフレ高進の波は依然として続いており、むしろ加速している感もありま
す。
FRBを始め、世界の中央銀行がインフレ阻止のため積極的に利上げを行っ
ており、その影響をもろに受けているのが世界の株式市場です。
日経新聞は昨日、「ジャクソンホールから1週間。世界の株式時価総額は約
5兆ドル(約700兆円)失った」との記事を掲載していました。
日米欧の中では米国が最も減少額が大きく、日本が相対的に小さいようです
が、それもそのはず、日本のインフレ率は欧米の4分の1程度であり、そも
そもそれまでの株価の上昇率が欧米と比較して「小粒」だったことがありま
す。それでもNY株式市場の影響を強く受けているのが現状です。
世界経済がよりグローバル化していることを考えると、日銀が想定している
「物価上昇は年内に2~3%まで上昇するが、来年は1.5%程度まで低下
する」といったシナリオは、果して実現性があるのかどうか、やや疑問です。
物価上昇がいずれ低下し、目標である2%を下回るという見通しが、金融緩
和策継続の理由の一つになっています。その結果、140円台後半まで「円
安」が進んでいます。
本日のドル円は139円50銭~141円程度を予想します。
- [2022/09/05 09:45]
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ドル円1998年8月以来となる140円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京時間で139円台半ばまで上昇したドル円はNYでも続伸し、140円台に。140円23銭までドル高が進み、この日の高値圏で引ける。
- ドル高が進み、ユーロドルも下落。0.9910まで売られ、先月24日に記録した安値に並ぶ。
- 株式市場はダウとS&P500が反発したものの、金利上昇を嫌気したナスダックは6日続落。
- 債券は続落し、長期金利は一時3.29%台まで上昇。
- ドル高を背景に金は5日続落し一時は1700ドル台を割り込む。原油価格も大幅に続落し86ドル台に沈む。
本日の注目イベント
- 独 7月貿易収支
- 欧 ユーロ圏7月生産者物価指数
- 英 保守党党首選、党員投票締め切り
- 米 8月雇用統計
- 米 7月製造業受注
ドル円はついに節目の140円台に乗せました。1998年8月以来24年ぶりのこととなります。この年に生まれた赤ちゃんが社会人になっていると考えると、相当な年月が経っていると改めて感じます。ドル円は昨日の朝方には139円台前半まで買われており、東京市場が始まる9時には7月14日に記録した直近高値である139円39銭を上回るなど、すでに140円台テストの「予兆」もありました。NYでは8月のISM製造業景況感指数が市場予想を上回り、さらに失業保険申請件数も低水準であったことで、FRBの大幅な利上げ姿勢が維持されるとの観測から株安、債券安、金利高からドルが買われました。
前日は「ドル全面高」と「円全面安」が見られましたが、昨日は「ドル全面高」の展開となり、ユーロドルも先週記録した0.9910まで下落しています。当面の目標であった140円に達したことで、この先もう一段の上昇を見せるのか、あるいは「達成感」からもみ合い後一旦下落に転じるのかは、今夜の雇用統計がそのカギを握っていそうです。今夜の雇用統計では非農業部門雇用者数が「29万8000人」の増加と見込まれており、7月の「52万8000人」からは大きく減少しますが、仮にこの数字を見せるようなら、労働市場は極めて健全で好調だと判断され、少なくもドルが大きく売られる可能性は低いと予想します。ただ、結果は蓋を開けて見なければ分かりません。既に発表された8月のADP雇用者数は市場予想を大きく下回る「13万2000人」でした。一方、上述のように、新規失業保険申請件数は減少傾向にあります。
FRBは経済成長を犠牲にしてもインフレを抑制するという強い意志を見せています。1日、アトランタ連銀のポスティック総裁も、「当局はやるべき仕事が幾つかある。現在のインフレ率がFRBの目標である2%にはほど遠い」と指摘し、「われわれは経済を減速させる必要がる」と、当局が明確に景気減速を意図していることを口にしています。現時点では次回会合での利上げ幅は、0.5か0.75ポイントのどちらかであるかは確実ですが、今夜の数字が予想通りかそれ以上であれば、9月のFOMCで、3会合連続で0.75ポイントの利上げへの環境が整うとみています。いずれにしても、9月20-21日の会合までの不確実要素の一つが消えることになります。
7月に139円39銭を記録した後、先月2日には130円39銭まで短期間に9円もドル高が修正されたことで、市場関係者の中にもドル下落を見込む向きが増えていました。筆者はそれでもチャートが示す形状などから、「ドル高はまだ終わっていない可能性が高い」との立場を維持してきましたが、これは日足チャートにおける「雲の存在」が大きかったと思います。(参照:8月1日~3日の今日のアナリストレポート)130円台半ばまで売られたことで、ローソク足は一旦雲の下限を割り込みましたが、その日の内に133円台まで反発したことで、その日のローソク足は「長い下ひげを示現し、陽線で」取引を終えています。結果的には、雲の下限でサポートされた形になっています。今朝の時点ではローソク足は完全に雲の上限を抜き去り、上昇傾向を鮮明にしています。ただ、ここからもう一段の上昇を見せるようだと、今度は「移動平均線」からの「乖離率」を見ておく必要もありそうです。
本日のドル円は139円~141円程度を予想しますが、雇用統計の結果次第では上も下も予想値を超えるかもしれません。
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「ゴルビー」こと、ミハイル・ゴルバチョフ氏が死去し、西側諸国のメディアはこぞって「冷戦終結の立役者」、「鉄のカーテンをこじ開けた英雄」といった言葉でその死を報じていました.筆者も現役の為替ディーラーの時の思い出があり、ちょっと振り返ってみたいと思います。
あれは、確か1991年の夏だったと思いますが、当時はまだ通貨ユーロは創設されておらず、ドイツマルク(DM)が最も強い通貨でした。欧州では対マルクで取引をするケースが多く、マルクはその強さゆえに、ヘッジ通貨としても利用されていました。筆者が勤務していたパリバ銀行(現BNPパリバ)東京支店も、パリ本店から大量のマルクがらみの注文が入っており、欧州市場が開くまでその注文を管理する立場でした。しかし、通常東京時間では欧州通貨が大きな値動きを見せることはほとんどなく、注文を執行する機会はまずないのが実情でした。そんな時、「ゴルバチョフ拘束」のニュースが飛び込んで来て、市場が騒然となりました。本店からは億単位のマルク・パリ(DM/FFR)の売り注文が入っており、マルクパリが一気に上昇してしまい、注文レートを大きく超えてしまいました。もちろん、その上のレートで執行しましたが、利益のかなりの部分を注文先に還元した後でも、かなりの利益が残りました。執行直後に支店長がディーリングルームに来られ、事情を説明するとゴルバチョフの拘束を驚きながらも「Good for Paribas , bad for Gorbachev」の名文句を残したことを思い出しました。「たなぼた」でしたが、支店に大きな利益をもたらしたことで、その夜は支店長を含め、日比谷の「しゃぶしゃぶ」へ繰り出しました。もちろん、支店長のおごりで・・・・。
良い週末を・・・・・。

- [2022/09/02 10:14]
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ユーロ圏8月のCPIは9.1%と過去最高
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は前日と同じ展開。上値が重く、138円台前半で
取引が始まったが、その後米長期金利が上昇したことで
139円までドルが買われた。
◆ユーロドルも小幅に上昇。ユーロ圏の8月のCPIが予想を上回った
ことで1.0079まで上昇。ユーロは対円でも約1カ月ぶりに
139円台後半まで続伸。
◆株式市場は続落。地区連銀のタカ派発言や、FRBが利上げ姿勢
を長期にわたり維持するとの観測が重しに。ダウは280ドル下げ、
S&P500は4000の大台を割り込む。
◆債券は続落。長期金利は3.19%台と、2カ月ぶりの
高水準に。
◆金は4日続落。原油も大幅に続落し90ドルを下回る。
◆8月ADP雇用者数 → 13万2000人
◆8月シカゴ購買部協会景気指数 → 52.2
本日の注目イベント
◆中 8月財新製造業PMI
◆独 独8月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏7月失業率
◆英 英8月製造業PMI(改定値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米 8月ISM製造業景況指数
◆米 8月自動車販売台数
◆米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米 バイデン大統領、演説(ペンシルベニア州フィラデルフィア)
ドル円は神経質な動きを見せながらも底堅く、139円台を固める動きにも
思えますが、やはり明日の雇用統計を前に、値幅もやや縮小しています。
東京時間では、水準が水準だけに、実需のドル売りが出ていることもあり、
上値の重い展開が続いていますが、米10年債利回りの上昇がドルの支えに
なっています。
米10年債利回りは3.194%台まで上昇し、6月28日以来となる高水
準まで来ました。FRBが長期にわたって利上げ姿勢を維持するとの観測が
債券売りにつながっていますが、売られているのは債券だけではなく、株式、
コモディティなど、「世界的に中央銀行がインフレとの闘いを強化する中、
あらゆる相場が下落しているが、目先もそれほど楽観的なものではなさそう
だ」(ブルームバーグ)との見方が適切のようです。
NY株式市場では先週末、ジャクソンホールでのパウエル議長の講演をきっ
かけにダウが1000ドルを超える下げを見せましたが、今週に入ってもそ
の流れは変わらず、株価の下げが続いています。
多くの株式専門家も「まだ下げは終わっていない」とのコメントを残してお
り、その背景にはFRBが景気よりもインフレ抑止を政策の基本に据えてい
ることが挙げられます。
パウエル議長は講演で、「企業や家計が痛みを伴うこともある」と述べてい
ましたが、その痛みも「相当大きくて深い」と「覚悟」しなければならない
ようです。
クリーブランド連銀のメスター総裁は31日の講演で、「来年の早い時期ま
でフェデラルファンド(FF)金利を4%をいくらか上回る水準に引き上げ
て、そこで維持する必要があるというのが私の現在の認識だ」とし、「当局
が来年FF金利の誘導目標を引き下げるとは、私は見込んでいない」と述べ
ています。
市場の一部には、FRBはターミナルレートを4%を超える水準まで引き上
げるとの観測はあるものの、FOMCメンバーの一人がその水準を見込んで
いるとの発言はかなり「タカ派的」でした。
さらに金融緩和への移行は「2023年度中にはない」との予測も、かなり
大胆なものと言えます。この発言が株式と債券の売りに拍車をかけたと思わ
れます。
ただ、昨日発表された8月のADP雇用者数の結果を見ると、やや異なる景
色も見えてきそうです。民間の雇用統計である8月ADPは「13.2万人
」と、市場予想の「30万人」を大きく下回り、マイナスだった2021年
1月以来の低水準でした。ADPは統計手法を見直しており、先月はデータ
の発表を停止していました。昨日の発表によると、7月分は「27万人の増
加」でしたので、そこそこいい数字です。
業種別では、娯楽、ホスピタリティなどが増加している一方、金融、情報、
教育、ヘルスサービスでは減少しており、ADPのエコノミストは「雇用が
過熱気味に増加していた局面から、より通常のペースへと移る転換点にある
のかもしれない」と説明しています。
ADP雇用者数と雇用統計に、明確な相関関係はないと度々指摘しています
が、明日の雇用統計では「30万人の増加」が予想されており、そろそろ好
調な労働市場にもFRBの積極的な利上げの影響が出て来てもいいのではと
、個人的には考えています。
ユーロ圏8月の消費者物価指数(CPI)の発表もNY市場へ波及した可能
性があります。
同指数は「9.1%」と、市場予想を上回っただけではなく、これで、4カ
月連続で過去最高を更新しました。現時点では米国のCPIを上回る高水準
で、今月8日の政策委員会では大幅利上げは避けられないとの見方が強まっ
てきました。多くのものが値上がりしていますが、特にロシアの影響もあり、
エネルギーの値上がりが全体を押し上げています。
8月のエネルギーの上昇率は「38.3%」と他に比べ突出していましたが、
それでもここ半年を比較した場合、4月の「37.5%」に次いで低い上昇
率になっています。ここ半年の上昇率は平均でほぼ40%になっています。
この発表を受けて政策メンバーのオーストリア中銀のホルツマン総裁は「イ
ンフレ率を下げるというのがわれわれの立場と願いであり、そこに甘い顔を
見せる理由は見当たらない」として、0.5ポイントを上回る利上げ決定を
支持する考えを示しています。
これまで足元でインフレが高進する状況の中でも、ロシアとウクライナの影
響により景気が大きく減速していることで、FRBに比べ積極的な利上げ姿
勢を示してこなかった政策メンバーが多く見受けられましたが、足元に火が
ついた現在、悠長なことを言っていられなく、今後0.75ポイントの利上
げに向けた意見のすり合わせが焦点になってきそうです。
政策メンバーの中では依然として利上げ幅を巡って意見の違いがあるのも事
実です。
仮に大幅利上げに踏み切ったとしたら、下落基調が鮮明なユーロのハドメに
なるのか、この辺りも注目したいと思います。
本日のドル円は138円50銭~140円程度を予想します。
- [2022/09/01 09:47]
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