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米雇用コスト指数堅調。ドルをサポート 

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

◆146円台で推移していたドル円は、黒田日銀総裁の
会見が始まると上昇し147円台に。NYでは米長期金利の
上昇もあり、147円84銭までドル高が進む。
◆ユーロドルは再びパリティを割り込み、0.9929
まで下落。
◆株式市場は3指数が大きく上昇。ダウは828ドル高と、6日
続伸。ナスダックとS&P500も2%を超える上昇。
◆債券は反落。長期金利は4.0%台まで上昇。
◆金と原油は揃って下落。

◆9月個人所得 →  0.4%
◆9月個人支出 →  0.6%
◆米9月PCEデフレータ(前月比)         →  0.3%
◆9月PCEデフレータ(前年比)          →   6.2%  
◆9月PCEコアデフレータ(前月比)         →  0.5%
◆9月PCEコアデフレータ(前年比)         →  5.1%
◆7-9月雇用コスト指数               →  1.2%
◆10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  59.9
◆9月中古住宅販売成約件数              →  -10.2%
 
本日の注目イベント

◆日   9月鉱工業生産
◆豪   豪9月小売売上高
◆中   10月中国製造業PMI
◆中   10月中国サービス業PMI
◆独   独9月輸入物価指数
◆欧   ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏7-9月期GDP(速報値)
◆欧   OPEC、2022年世界石油見通し発表
◆英   英9月消費者信用残高
◆米   10月シカゴ購買部協会景気指数

「今すぐ金利引き上げとか出口が来るとは考えていない」。先週金曜日、
金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁はあらためてこのように述べ
ました。
また、円安は金融政策の失敗ではないかとの質問に、「金融政策は為替を
目的にしていない。
為替の水準について申し上げるつもりはないが、日本は円高で非常に困っ
てきた歴史を持っている」とこれまでの主張を繰り返しています。
さらに総裁は、YCC(イールドカーブ・コントロール)が円安の原因で
ないかとの、もう一歩突っ込んだ質問に対しても、「YCCは金融政策の
やり方であって、量的緩和と違って特に円安に影響することはない。そも
そも各国の米国との金利差と為替はきれいに相関していない。経済理論的
に正しいかどうかもわからないし、YCCと関係しているとは誰も考えて
いないと思う」と答えていました。
ただ市場の反応は厳しく、9月22日の会見後に円安が進んだ状況と同じ
ようにドル買い円売りが進行しました。ドル円は146円台半ばから14
7円前後まで上昇し、その後147円台後半までドル高が進んでいます。
総裁は、足元の円安が経済に与える影響についても言及しており、「最近
の円安は急速かつ一方的なもので望ましくない。経済にプラスでない」と
述べています。

先週のドル円は米長期金利の低下に伴い一時は145円10銭までドル高
が修正される局面もありましたが、再び147円台まで戻してきました。
150円台から上では介入警戒感があるものの、145円前後ではすかさ
ずドル買いも入ることから、神経質な展開が続きながらも145円~15
0円のレンジ内で収まる可能性もやや高くなってきたようです。もっとも
、今週は2日(水)にFOMCがあり、焦点は12月会合での利上げ幅に
集中しています。パウエル議長がその点に関してどのようなヒントを与え
てくれるのか、その内容次第では上記レンジのどちらもブレイクすること
も予想されますが、基本的なドル高の流れは続いています。

先週末に発表された7-9月の雇用コスト指数は市場予想と一致しました
が、堅調な数字であったことから、FRBの積極的な利上げ姿勢に寄与し
そうです。また9月のPCEコアデフレータも市場予想を若干下回ったも
のの、「5.1%」(前年同月比)と、少なくともインフレの鈍化を示唆
するものではなく、FRBの大幅利上げにブレイキを掛けるものにはなり
ません。
米長期金利も4%台を回復し、ドル上昇を側面から支援していますが、気
になるのはNY株式市場の値動きです。
先週末、NYダウは828ドル高と大幅上昇を見せ、これで、6日連続で
上昇し、上昇幅は2500ドルを超えています。依然としてFRBによる
大幅利上げの可能性を残しながらも、これほどの大幅反発を見せたNYダ
ウの動きは、何を示唆しているのでしょうか?
先週市場で噂され、ドル円下落の一因にもなった「次回FOMCで12月
会合での大幅利上げを縮小する議論を行う」ことを織り込む動きなのかも
しれません。

現時点での市場のコンセンサスは次回会合で0.75ポイントの利上げを
行い、12月会合では0.5ポイントの利上げを見込んでいます。
12月会合で0.25ポイントの利上げの可能性は低いとは思いますが、
頭の片隅には入れておいた方がいいのかもしれません。

本日のドル円は146円50銭~148円90銭程度と予想します。


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ECB2会合連続で0.75ポイントの利上げ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆上値を徐々に重くしているドル円は、東京時間夕方に145円10銭
近辺まで急落。その後欧州市場にかけては値を戻し、NYでは146円台
後半まで上昇したが、米長期金利の低下に146円を割る場面も。
◆ECBが市場予想通り0.75ポイントの利上げを決定したが、
ユーロドルは1.0052まで上昇後軟調に推移。
◆株式市場はまちまち。GDPの上振れを受けダウは上昇したが、
大手ハイテク株の下げがきつく、ナスダックとS&P500は
続落。
◆債券は続伸。長期金利は3.91%台まで低下。
◆金は3日ぶりに下げ、原油は続伸。

◆新規失業保険申請件数      →  21.7万件
◆7-9月GDP(速報値)     →  2.6%
◆9月耐久財受注         →  0.4%
 
本日の注目イベント

◆豪   豪第3四半期生産者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆日  10月東京都区部消費者物価指数
◆独   独7-9月期GDP(速報値)
◆独   独10月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月消費者信頼感指数
◆欧   ユーロ圏10月景況感指数
◆米   9月個人所得
◆米   9月個人支出
◆米 9月PCEデフレータ(前月比)
◆米 9月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 9月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 9月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   7-9月雇用コスト指数
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   9月中古住宅販売成約件数
◆米  企業決算 → エクソンモービル
 
ECBは27日の理事会で、市場が予想した通り0.75ポイントの利上げを決定
しました。一部には、景気減速が鮮明なことから、このままではリセッション入り
の可能性が高いこともあり、0.5ポイントの利上げを予想する向きもありました
が、ECBは景気よりもインフレ抑制を優先した形になりました。今回の大幅利上
げで、2会合連続で0.75ポイントの利上げを行ったこととなり、中銀預金金利
も1.5%に引き上げられました。ECBは声明で、「インフレ率は引き続きあま
りにも高く、長期にわたって目標を上回り続ける見込みだ。委員会は一段の利上げ
を想定している」と表明しています。
ユーロ圏の9月の消費者物価指数(CPI)は「9.9%」と、米国のそれを上回
り過去最高を更新中です。
ラガルド総裁は会見で、「ユーロ圏の経済活動は第3四半期に著しく減速した公算
が大きい。今年の残り期間と来年序盤にかけて一段と軟化すると予想している」と
語り、金利見通しに関する質問にラガルド氏は、「正確な道筋は会合ごとに決定す
る。今後数回の会合での利上げの可能性は十分にある」と述べ、「金利の正常化は
まだ完了しておらず、まだしなければならないことがある」と語っています。(ブ
ルームバーグ)ユーロドルは大幅利上げを決めたものの上昇せず、1.00台半ば
から軟調な動きとなっています。利上げは本来、当該通貨の買いにつながるケース
が多いものの、ユーロ圏では今後も景気の一段の減速が意識され、「金利か景気か
」といった選択につながっています。

米第3四半期GDPは速報値で年率「2.6%」と、3四半期ぶりにプラス成長と
なりました。ただ、内訳を見ると、GDPの7割を占める個人消費は「1.4%」
増加していましたが、第2四半期の「2.0%」からは鈍化しています。また住宅
投資のGDPに対する寄与度はマイナスでしたが、輸出が大きく伸びGDPを押し
上げた格好になっています。
3四半期ぶりにプラス成長を記録しましたが、多くのエコノミストは、米経済は今
後1年以内にリセッション入りするとの見方は維持しているようです。
GDPの上振れにもかかわらず米債券市場では債券が続伸し、長期金利は4%を割
り込んでいます。来週のFOMC会合では大幅利上げの是非を議論するといった観
測が根強く、債券に買いが入っています。株式市場では大型ハイテク株の下落が大
きく、決算が予想に届かなかったアマゾンは引け後の取引きでは一時21%下落す
る場面もあったようです。また予想を上回ったアップルでも株価は下げています。

本日は日銀が金融政策決定会合の結果を発表しますが、変更はないものと予想され
ます。注目は午後3時半から行われる黒田総裁の会見ですが、9月の会見では自身
の発言で円安が加速し、24年ぶりの市場介入を決断させる一因につながった経緯
もあり、慎重に言葉を選ぶかもしれません。これまでのように「粘り強く大規模な
金融緩和政策を続けていく」という発言を繰り返すようなら、再び円が売られる可
能性もあるかもしれません。

NY時間には個人消費支出の発表もあります。金曜日ということもあり、注意して
ください。

本日のドル円は145円~148円程度と予想します。


ドル円146円台前半まで売られる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆148円台前半で小動きだったドル円は夕方4時以降には
下げ足を早め、NYでは米長期金利の低下を手掛かりに146円
23銭まで売られる。
◆ユーロドルは反発し9月13日以来となるパリティーを回復し、
1.0088まで上昇。
◆株式市場はまちまち。ダウは小幅ながら4日続伸するも、
ナスダックとS&P500は反落。
◆債券は続伸。長期金利は一時4%の大台を割り込んだが4%
近辺で引ける。
◆金と原油は続伸。

◆9月新築住宅販売件数    → 60万3千戸 
 
本日の注目イベント

◆中   中国9月工業利益
◆独   独10月GFK消費者信頼調査
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   7-9月GDP(速報値)
◆米   9月耐久財受注
◆米  企業決算 → メルク、マクドナルド、コムキャスト、アップル、インテル

ドル円は徐々に上値を重くし、NYでは146円23銭までドル売りが進み
ました。来週行われるFOMCでは0.75ポイントの利上げが確実で、市
場の関心は12月会合での「利上げ幅」にフォーカスされていますが、ここ
で利上げ幅の縮小が議論されるのではないかといった見方がやや強まり、ド
ル円を押し下げています。
NY株式市場では、昨日は目立った動きはなかったものの、前日までの主要
3指数は3日連続で大幅に上昇し、「大底を打ったのでは」といった感触も
得られるほどの上昇を見せました。
債券市場でも先週は長期金利が一時15年ぶりとなる4.33%台まで上昇
しましたが、昨日は4%を割り込む水準まで低下し、これがドル売りにつな
がっています。ユーロドルもドルが売られたことで1.0088までユーロ
高が進み、約1カ月半ぶりの高値を付けています。

米国のインフレがピークを付けたとの客観的なデータは未だ確認されてはい
ませんが、住宅市場ではすでに減速傾向が鮮明になっています。昨日発表さ
れた9月の一戸建て新築住宅販売件数は再び減少となりました。
8月は「68.5万戸」と予想外の増加でしたが、9月は「60.3万戸」
と減少に転じ、8月分も下方修正されています。
FRBが急激な利上げを行ってきましたが、ここにきて「急激過ぎる」とい
った声も一部に出て来たようで、12月会合では「さすがに0.75ポイン
トの大幅利上げはないだろう」といった見方も徐々に増えてきているようで
す。昨日はカナダ中銀が追加利上げを行いましたが、利上げ幅は0.5ポイ
ントと、市場予想を下回ったことも上記の見方に追い風となり米金利の急低
下につながったようです。カナダ中銀はこれで、3会合連続で利上げを決め
ましたが、利上げ幅は1ポイントの大幅利上げに始まって、先月は0.75
ポイント、そして今回は0.5ポイントと上げ幅を徐々に縮小させています
。マックレム・カナダ中銀総裁は「引き締め局面は終わりを迎える。そこに
近づきつつあるが、まだ到達していない」とのコメントを残しています。

ブルームバーグは元財務官の篠原尚之氏とのインタビュー記事を昨日配信し
ました。
同氏は2007年から2年間、現在市場介入の最前線で指揮を執っている神
田財務官と同じ立場の職にあった人です。篠原氏はインタビューで、「為替
介入は円安進行による物価への影響から、政治的にやらざるを得なかった」
と述べ、一方円安につながる異次元金融緩和の下での円買い介入は、「マー
ケットから見るとものすごくちぐはぐ感がある」と指摘し、「金融緩和策や
財政政策が一緒に動員できないと本当の効果はない」と語っています。
日銀は本日から金融政策決定会合を開催し、明日その結果を発表しますが、
今回も変更はないものと思われます。ただ、前回9月の会合後の黒田総裁の
会見をきっかけに円安が急速に進み、24年ぶりとなる市場介入を誘発した
経緯があるだけに、黒田氏の今回の会見は慎重な言い回しになるかもしれま
せん。本日はECBの理事会があり、政策金利を0.75ポイント引き上げ
る予想です。2会合連続の大幅利上げの可能性が高く、これがユーロの支え
になっている部分もあります。

上述のように、12月のFOMCでの利上げ幅が焦点ですが、今後のデータ
次第では再び大幅利上げ観測が強まる可能性もあり、相場はまだまだ波乱な
動きを見せると予想されます。

本日のドル円は145円~147円50銭程度を予想します。


米経済指標の下振れからドル円147円台に下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は下落。東京時間から欧州時間にかけては
148円台後半から149円程度で方向感がなかった
が、NYでは経済指標の下振れを材料に米長期金利が
低下したことで147円52銭まで下落。
◆ドルが売られたことでユーロドルも反発。0.9977
まで買われ、3週間ぶりのユーロ高に。
◆株式市場は3営業日連続で大きく上昇。ナスダックは
2%を超える上昇を見せ、1万1000ポイント台を回復。
◆債券相場は大きく買われ長期金利は4.1%台まで急低下。
◆金と原油は揃って反発。

◆8月ケース・シラ-住宅価格指数(20都市住宅価格指数) →  13.1%
◆8月FHFA住宅価格指数                →  -0.7%
◆10月コンファレンスボード消費者信頼感指数       →  102.5
◆10月リッチモンド連銀製造業景況指数          →  -10
 
本日の注目イベント

◆豪   豪第3四半期消費者物価指数
◆日  8月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日  8月景気一致指数
◆米   9月新築住宅販売件数
◆米  企業決算 → ボーイング、フォード、
◆加   カナダ中銀政策金利発表

昨日のNY市場までのドル円は、149円台に乗せると売られるものの、
148円台半ばまでは下げないといった、方向感のない動きでしたが、N
Yでは一転してドル売りが優勢となり、ドルが147円台半ばまで押し下
げられる展開でした。
「悪材料は好材料」・・・・といった市場の反応は変わっておらず、その
意味では主要市場の動きは分かりやすいものでした。

10月のコンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数は「102.
5」に低下し、市場予想の「105.9」を大きく下回っていました。今
後6カ月の見通しを反映する
期待指数も「78.1」と低水準で、広範囲に及ぶインフレと、経済見通
し懸念、株価の大幅下落などが消費者マインドを悪化させたようです。
また8月のケース・シラー住宅価格指数も全米ベースでは前年同月比13
%上昇しましたが、上昇率は過去最大の減速を記録しています。FRBの
急速な利上げが住宅ローンなど、借り入れ金利の大幅上昇につながり、潜
在的な買い需要を後退させているようです。
一般的な住宅ローンの金利は7%に近づいているとみられ、住宅市場はす
でに「景気抑制策」の影響が明らかに出ている模様です。
FRBにとってこれが、まさに意図しているところで、「悪材料は好材料」
と言えます。

これら「好材料」を受け、NY株式市場では急反発が続いています。ここ
3日間でダウは1500ドルを超える上昇を見せ、ナスダック指数の上昇
も580ポイントを超えています。
恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も、直近ピークであった7月の「36
.45」から「28.46」まで低下してきました。
株式関係者にはやや安堵感が広がってきたようですが、現時点ではFRB
は依然として景気の拡大にブレイキを踏み続けており、今後米景気がリセ
ッション入りするリスクを考えると、まだ枕を高くして眠れる状況ではな
いと予想されます。

米経済指標の下振れに債券は買われ、長期金利の低下にドルを手放す動き
が、ドル円を147円台半ばまで押し下げましたが、個人投資家の多くは
「ドルが下がれば買う」というスタンスを維持しています。
日米金利差が大きく縮小する可能性はしばらくないことに加え、資源価格
が大幅に低下する見込みもないことから日本の貿易赤字もしばらく続き、
ドル買い需要の減少も見込まれません。
注意すべきは政府・日銀によるドル売り介入ということになりますが、こ
れも足元では「急激な動きが見られる時」と、「150円台での介入が意
識される」と思いますが、ドルの水準を押し下げる、いわゆる「押し下げ
介入」の可能性は低いと予想されます。
ただ、気を付けたいのは昨日のように、今後発表される経済指標が下振れ
するケースが増えて来る点です。
雇用統計やCPIは当然ですが、普段あまり注目されない指標でも大きく
下振れするとドル売りにつながる可能性があるということです。
背景には多くの市場参加者がもう一段のドル高を予想し、ドルロングを維
持していると見られることが挙げられます。
ドル高観測が優勢とは言っても、ドル円が何らかの理由でテクニカル上重
要な水準を割り込むと、そこでストップロスのドル売りが誘発され、さら
にドルが下がることもないとは言えません。特に機関投資家やヘッジファ
ンドなどはそういったオペレーションがルール上設定されているケースが
多いと言われています。現時点ではその水準は140円程度と個人的には
予想しています。
今週で言えば、明日のECB理事会後の政策金利の発表と、金曜日の日銀
金融政策決定会合ということになります。

本日のドル円は147円~149円30銭程度を予想します。


ドル円乱高下後、落ち着きを取り戻す 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間に大きく動いたドル円はNYでは小動き。
介入に対する警戒感のせいか、値幅も久しぶりに小幅で
60銭程度に収まる。
◆ユーロドルはやや買い戻され、終始0.98台で推移。
◆株式市場は先週末の流れを引き継ぎ大幅に続伸。
ダウは417ドル上昇し、ここ2日間で1500ドル余りの
上昇に。
◆債券は反落。長期金利は4.24%台へと上昇。
◆金と原油はともに反落。

◆10月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)     →  49.9
◆10月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)   →  46.6
◆10月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)  →  47.3
 
本日の注目イベント

◆独   独10月ifo景況感指数
◆米   8月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   8月FHFA住宅価格指数
◆米   10月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米   10月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   ウォラーFRB理事講演
◆米  企業決算 → UPS、GM、コカ・コーラ、3M、アルファベット、VISA

昨日の朝のドル円は大きく上下し、荒っぽい動きでした。
介入とみられるドル売りに、朝方8時37分ごろ、149円70銭辺りで
推移していたドル円は一気に145円台半ばまで急落しました。ただ、そ
の後の戻りも速く、直に148円台までドルが反発しています。
これで先週末に続き、2日連続の市場介入となったようですが、特に驚き
はありません。昨日の朝方の介入がなければ、おそらくドル円は再び15
0円台まで上昇しただろうと思います。それは、9月22日に145円台
で介入を行い、140円台までドルを押し下げたにもかかわらず、結局そ
の水準を大きく上回る152円近辺までドルが上昇したことでも理解でき
ます。
何もしなければドルが買われる構図は続いており、その勢いは以前よりも
増していると見られます。最初の介入からちょうど1カ月で、ドル円が1
40円台から152円近辺まで11円以上もドル高が進んだことで理解で
きます。この値幅は数年前なら「1年間の値動き」に相当します。
一方で、政府・日銀が本腰を入れて市場と対峙していることもうかがえま
す。現時点では150円台には行かせないといった「決意」のようなもの
も感じられます。
先週末のNY時間での介入は、5.5兆円規模だったと今朝報じられ、こ
れが事実であれば、9月22日の過去最大規模の介入額のほぼ倍となりま
す。先週末と昨日の介入については、10月24付けの筆者「ウィークリ
ーレポート」をご参照ください。

日本の単独介入についてイエレン財務長官は、日本政府が為替市場に再び
介入しているとの報道について、米国政府は日本からそのような通知を受
けていなかったと語っています。イエレン氏はNYでの講演後に、「日本
のいかなる介入も知らない」とし、「介入が行われる場合、以前は日本か
ら確かに通知があった。ボラティリティーに対する懸念からだと理解した
」と説明しています。ただ、「新たな介入に関して米財務省はあらためて
連絡を受けてはいなかった」と続けています。(ブルームバーグ)
このイエレン氏の発言をどのように解釈するのかは難しいところです。通
知なしに介入を行った日本政府に対して不快感を示したものなのか、ある
いは円の独歩安が進んでいる中で理解を示したものなのか、判断に迷うと
ころです。
仮にこの発言を「不快感を示したもの」と理解するなら、ドル高材料とな
りドル円は上昇することになります。同時に日本政府としても安易に介入
に踏み切れなくなる恐れも出てきます。
イエレン氏は為替介入について7月12日には、「まれで例外的な状況で
しか正当化されない」と、慎重な考えを示していました。また9月27日
にも、「米国は他の多くの国々よりも早いペースで進んでいるため、ドル
には上昇圧力が見られる」と指摘した上で、「私にとって、金融市場の引
き締まりを反映するこの種の展開は、インフレ対策に関わるものの一環だ
」と語っています。言うまでもなく、この発言はインフレの高進に苦しむ
米国にとって、ドル高は好都合だといった意味合いになります。
3度の介入を行ったと見られる日本政府の行動に対してイエレン氏がどの
ような見解を示すのか、今後のイエレン氏の発言を待ちたいと思います。

先週末から中国では習近平氏の3期目の政権が発足し、長期政権が確立さ
れたとの報道がマスコミを賑わしています。

特に中国共産党大会で、胡錦涛前総書記が途中退席したシーンは何度も繰
り返し放映され様々な憶測を呼んでいます。
胡錦涛氏は退席させられたのか、あるいは体調不良のため退席したのか、
真実はわかりませんが、今後習氏の一強体制が続くことは間違いないよう
です。
習氏が今後さらに統制強化路線を強め、経済や民間企業の成長を抑制する
との懸念が強まり、昨日のナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数が
急落しました。同指数はアリババやバイドゥなど、中国株65銘柄で構成
されており、昨日1日だけで14%も下げ、1日の下げ率としては過去最
大となっています。最早「暴落」と言ってもいい程の下げでした。
この下げでおよそ1300億ドル(約19兆4000億円)の時価総額が
吹き飛んだことになります。
同指数の担当者からは「売り局面は始まったばかりかもしれない」との声
も聞かれました。

今年もあと2カ月余りを残すのみとなりました。
現時点で今年を振り返るのは時期尚早ですが、それにしても今年のドル円
の動きには驚かされます。
ロシアによるウクライナ侵攻、米国の高インフレ、日銀の超低金利と大規
模な金融緩和策の継続、さらには24年ぶりとなる市場介入と、円を動か
す材料に事欠きません。また、それらは今だ継続中で現在進行形の様相で
す。残り2カ月余り、まだ何が起こるかわかりません。
言えることは、今年は最後までこの動きが続く可能性が高いということで
す。2022年は多くの投資家にとって忘れられない年になることは間違
いないでしょう。

本日のドルは147円~150円程度を予想します。


政府、2度目の市場介入をNY時間に実施 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間から上昇の勢いを強め、NYの朝方には
151円94銭までドル高が進行。この時点で政府・日銀の介入と
見られるドル売り円買いが入り、ドル円は一気に146円台に。
◆ユーロドルは0.9705まで売られたが、その後0.98台
まで急反発。
◆株式市場は大幅に反発し、3指数は揃って上昇。ダウは748ドル
買われ、ナスダックは244ポイントの上昇。FRBが12月の会合で
利上げ縮小の議論を始めるとの報道が材料に。
◆債券は小幅に上昇。朝方は大きく売られ、長期金利は4.33%台
付近まで上昇したが、FRBが利上げ幅縮小を議論するとの報道に
4.21%台まで低下。
◆金と原油は上昇。

◆9月財政収支  →  -429.7b

本日の注目イベント

◆独   独10月製造業PMI(速報値)
◆独   独10月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏10月総合PMI(速報値)
◆英   英10月製造業PMI(速報値)
◆英   英10月サービス業PMI(速報値)
◆米   10月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米   10月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米   10月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)


先週末(10月21日)のアナリストレポートで、筆者はこのように
記述しました・・・。

『その間、覆面介入を行った形跡はあるようですが、結局2回目の大
規模な介入は実施されず、「介入があったらドルを買おう」と考えて
いた投資家は「肩すかし」をくった格好となり、我慢しきれずにドル
を買った側面もあるようです。
一方、政府日銀としてもこのような状況は分かっていて、介入の効果
に対する懸念もあるように思えます。ただ、だからと言って今後も介
入の可能性がなくなったわけではなく、当局はより効果的なタイミン
グを狙っているのではないかと考えています』。
さらに、コメントの後半で『150円台で戻ってきたドル円ですが、
市場のセンチメントはこの1週間でかなりドルブル(ドルに対して強
気)に傾いてきたようにも思えます。
なかなかドルが下がらず、ドルを買えていない投資家も多いのではな
いかと思いますが、介入の可能性は高まる一方で、安易なドルロング
には注意したいところです。』

そして、最後のレンジ予想では、『本日のドル円は149円~151
円程度と見ていますが、これは通常の市場環境での予想です』と結び
ました。

150円を超えてドル高が急激に進み、2度目の介入の可能性が非常
に高まっていましたが、
夕方5時までの「東京市場」では介入がなかったことでドル円はさら
に上昇し、NYでは「満を持して」介入に踏み切ったものと思われま
す。介入規模はいずれ明らかにされますが、現時点の推計では300
億ドル(約4兆5000億円)と見られているようですが、もしこれ
が正しいとすれば、前回9月22日の介入規模よりも多いということ
になります。筆者は、最初の介入が行われ140円台までドルが売ら
れた後、145円台まで再び戻った10月7日(金)に介入すべきだ
ったと、何度もこの欄で述べました。今回のNYでの介入は筆者も「
予想外」でした。NY時間に行ったことで、それなりの効果はあった
ようですが、週明けの執筆時点ではすでに149円台まで再びドルが
買われています。
これも何度も触れていますが、介入の効果は1度目よりも2度目の方
が小さく、今後回を重ねる度にその効果は薄れていくと見ています。
市場参加者のスタンスもむしろ「介入を待つ」姿勢を強め、介入があ
れば「絶好のドルの買い場」と考えるようになります。

当たり前と言えば当たり前です。
足元のドル高円安を是正するには、「1.米国のインフレがピークを
付けたという、持続的かつ説明できるデータが必要」、「2.あるい
は円安を引き起こしている要因の一つである日銀の政策変更もしくは
政策の修正」が必要です。
そして最後は今回行われた「力ずくの水準訂正」、つまり「3.市場
介入」です。
3番目の市場介入には限界があります。9月22日の介入がそうであ
たったし、今回も151円台後半で介入に踏み切り、146円台まで
水準を押し下げましたが、すでに149円台まで値を戻しています。
やはり「市場の流れ」を「力」で変えるのは簡単ではありません。
出来たら、今日にも再び介入すべきでしょう。さもなければドル円は
再度150円台を回復し、151円台に上昇する可能性が高いと
予想します。その結果、結局投機筋などに、安くドルを供給しただけ
ということにもなりかねません。
因みに、先週末のNYでの介入で、日経新聞は「ドル円は一時144
円台まで下げた」と報じていますが、筆者が調べたところ、146円
台前半辺りがこの日の安値の可能性があります。今回の介入はEBS
など、いわゆる電子ブローキングを使ったようで、相場の出会いは相
当混乱していたものと思われ、出会いレートに大きな差が見られてい
るようです。筆者が参考にしているブルームバーグのプラットフォー
ム上では、「146円356銭」となっていました。
また今回の介入についても、政府・日銀は「介入したかどうかコメン
トしない」としており、正式には介入したかどうかは未確認となって
います。

今回の介入が「それなりの効果」を発揮したのは、まず安全地帯と見
られていたNY市場での介入だったことが挙げられます。
さらに、介入前にはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報
道が 米金利の低下を促していました。
WSJは「一部のFRB当局者らは政策の引き締め過ぎを懸念してい
る。利上げは3月以降で合計3ポイントに達し、11月のFOMCで
も75bpの再利上げが予想されている。
12月の利上げ幅が比較的小幅になる可能性があることを示唆すべき
かどうか、政策当局者らは議論する可能性が高い」と報じています。
この報道をきっかけに、4.33%台付近まで上昇していた米10年
債利回りは低下に向い、ドル円も上値が重くなったタイミングでドル
売り円買いに踏み切ったことが功を奏したとみられます。
デーリー・SFシスコ連銀総裁は21日、カリフォルニア大学バーク
レー校が主催したイベントで、政策当局者らは利上げ幅の縮小を計画
し始めるべきかについて、「現時点では少なくとも検討すべきことで
はあるが、これまでのところデータは協力的ではない」と述べながら
も、「市場で織り込まれているはずの75bpの再利上げとなる可能
性はありそうだが、いつまでも75bpだという考えに固執しない方
が良いと心から勧めたい」と語っています。(ブルームバーグ)

ドル円は8時50分の時点ですでに149円71銭まで上昇しています。
本日のドル円は146円~150円50銭程度と予想します。


ドル円ついに150円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 東京時間に150円台に乗せたドル円はNYでも続伸。長期金利が4.24%近辺まで上昇したことを受け、150円29銭までドル高が進む。

  • ユーロドルの水準は変わらず、0.98を挟んでもみ合いが続く。

  • 株式市場は続落。FOMCメンバーの相次ぐタカ派発言に3指数は揃って下落。

  • 債券は続落。長期金利は4.24%近辺まで上昇し、株安とドル高を誘う。

  • 金と原油は小幅に上昇。

本日の注目イベント

    日 9月消費者物価指数
    英 9月小売売上高
    米 10月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントの開会挨拶
    米 企業決算 → アメックス、ベライゾン
    加 8月小売売上高

ドル円は昨日の東京時間夕方、ついに150円台に乗せました。実に1990年8月以来32年ぶりの「円安」になります。ドル円はその後、鈴木財務相や神田財務官の発言を受け149円台半ばまで売られる場面もありましたが、「口先介入」だけで相場の流れを変えられるはずもなく、NYではFOMCメンバーの相次ぐ「タカ派発言」に米長期金利が上昇。ドル円は150円29銭近辺まで買われています。

9月22日に市場介入が実施され、ドル円は140円台まで押し戻されましたが、わずか1カ月でその水準から10円も「ドル高円安」が進む結果になっています。その間、「覆面介入」を行った形跡はあるようですが、結局2回目の大規模な介入は実施されず、「介入があったらドルを買おう」と考えていた投資家は「肩すかし」をくった格好となり、我慢しきれずにドルを買った側面もあるようです。一方、政府日銀としてもこのような状況は分かっていて、介入の効果に対する懸念もあるように思えます。ただ、だからと言って今後も介入の可能性がなくなったわけではなく、当局はより効果的なタイミングを狙っているのではないかと考えています。この欄でも述べましたが、先週金曜日に「ドル円が146円台に乗せた局面で介入を実施していれば・・・」という思いが残ります。

一方で円を取り巻く環境を考えたら、円が売られるのもやむを得ず、そう簡単に円が急伸することも考えにくいことも事実です。財務省が昨日発表した2022年度上半期の貿易収支の速報値は、半期で過去最大となる11兆74億円でした。原油高と円安が赤字幅を拡大したと見られていますが、先月行われた過去最大の介入でも介入額は2兆8000億円の赤字と言われており、実需面からもドル需要の大きさが理解できます。また米国のインフレの勢いは依然として収まる気配はなく、FRBとしても中間選挙を前に何とかしたいと躍起になっているのではないかと推測できそうです。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は20日、「当面は利上げを続ける。インフレ抑制で進展が不十分という率直に残念な状況を踏まえれば、金利は年末までに4%を大きく超えると私は見込んでいる」と述べています。またFRBのクック理事もパネル討論の冒頭で、「インフレは高すぎであり、下げなくてはならない。これは利上げを継続し、その後に政策を景気抑制的な状況で当面維持することを要する可能性が高い」と語り、「インフレは予想だけでなく、データで実際に減速しているかどうかに政策は基づかなくてはならない。政策は物価安定の回復に引き続き焦点をしぼるべきだ。それは持続的に力強い労働市場の土台も設定する」と述べています。(ブルームバーグ)

このように、足元ではなかなかFOMCメンバーが期待するような方向にインフレが鎮静するデータが得られず、タカ派的な発言を余儀なくされているようにも思えます。このような発言を繰り返すことで、人々のインフレ感を減少させようとしている面もあるように思えます。一方で、黒田日銀総裁は先週のワシントンでの会合でも、「粘り強く金融緩和を続けていく」との姿勢を崩していません。鈴木財務大臣は昨日ドル円が150円台に乗せたことを受けて、「投機による過度で急激な変化は容認できない。これからも細かく緊張感を持って動向をしっかりと見ていきたい」と述べ、神田財務官も、「一夜に大きくファンダメンタルズ自体が変わることがないとすれば、相場が大きく変動すること自体、危険信号だと考えざるを得ない」と述べ、為替介入の原資については「無限にあると思っている」とコメントしています。「必要なら行動する」と繰り返し述べていますが、行動しない現在は「介入は必要ない」とも理解できるかもしれません。金利差の拡大と実需面からのドル買い需要が相場を押し上げているのが実状です。

トラス・イギリス首相が20日、辞任を表明しました。就任わずか44日での辞任で、イギリスでは政治的混迷が続いており、ポンドの売り圧力になっています。後任は24日にも決定されるようですが、タイムズ紙は、ジョンソン前首相が保守党党首選に立候補する見込みだと伝えています。

150円台で戻ってきたドル円ですが、市場のセンチメントはこの1週間でかなりドルブル(ドルに対して強気)に傾いてきたようにも思えます。なかなかドルが下がらず、ドルを買えていない投資家も多いのではないかと思いますが、介入の可能性は高まる一方で、安易なドルロングには注意したいところです。

本日のドル円は149円~151円程度と見ていますが、これは通常の市場環境での予想です。

ドル円上昇に勢いが付き148円86銭まで買われる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は一段と上昇し、NYでは一時148円86銭まで
買われる。経済指標が上振れしたことで長期金利が上昇し、
東京時間でも市場介入が見られなかったことなどが背景。
◆ユーロドルは前日と変わらず0.97台を中心に推移。
円安が一段と進んだことで、ユーロ円は2014年12月以来と
なる144円84銭前後まで上昇。
◆株式市場は大幅に反落。ダウは403ドル下げ再び3万ドルの
大台を割り込み、ナスダックは3%を超える下げを見せる。
◆債券は続落し、長期金利は4.01%で引ける。
◆金と原油は再び大幅下落。

◆9月小売売上高                →  0.0%
◆9月輸入物価指数               →  -1.2%
◆10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)  →  59.8

本日の注目イベント

◆日   8月鉱工業生産(確定値)
◆欧   ECBチーフエコノミスト、レーン理事講演
◆米   10月NY連銀製造業景況指数
◆米  企業決算 → BofA

先週末の東京市場では、政府日銀による介入の可能性が高いと予想しましたが、
結局介入はなく、空振りに終わりました。
案の定、ドル円は東京市場が終わった後上昇に向かい、NYでは朝方に148円
台に乗せ、一時は148円86銭までドル高が進みました。
いよいよ、150円が視野に入ってきました。
政府日銀の介入がなかったことで、市場参加者は「警戒しながらも、安心してド
ルを買っている」状況です。このままでは150円に達してしまい、そうなった
ら仮に介入が実施されても、前回のように5円以上も水準を押し戻すことが非常
に難しくなると同時に、9月22日に介入が実施された145円台にさえ水準を
戻すことも困難になる可能性があります。
週明けのオセアニア市場では148円台半ばで推移していますが、本日介入がな
ければ足元の勢いであれば150円に届いても不思議ではありません。
先週金曜日だけでもドル円は安値から1円80銭以上もドル高が進んだわけです
から。もちろん、水準が水準だけに警戒感は先週末よりも必要かと思います。

ドル円が148円台まで上昇した背景は米長期金利の上昇がありますが、先週末
に発表された10月のミシガン大学消費者マインドの速報値では、1年先のイン
フレ期待が7カ月ぶりに上昇していたことが挙げられます。また消費者マインド
指数も「59.8」と、半年ぶりの上昇を示していました。
米国の9月の消費者物価指数(CPI)は「8.2%」と、市場予想を上回る結
果でしたが、どうやらこれで、11月の会合で0.75ポイントの引き上げが確
実となり、12月の会合でも0.75ポイント引き上げる可能性が高まってきま
した。セントルイス連銀のブラード総裁はワシントンのイベントで、11、12
月の残り2回のFOMC会合について、利上げ幅を予想するには時期尚早だとし
つつも、「自分としては利上げの前倒しを支持しており、インフレを抑制する水
準にまで早急に金利を引き上げた段階で一時停止し、状況を評価できるようにし
たい考えだ」と、あらためて説明しています。

ドル円が一段と上昇する中で、財務省の神田財務官はワシントンで会見し、「警
戒が高まり、また必要な措置をとらなければならない可能性が高まっている」と
の認識を示し、「断固たる行動を取る用意がある」と述べていました。また、こ
れに先立ち鈴木財務相は「円には、過去にないような急速で一方的な動きがみら
れる」と述べています。
一方で、黒田日銀総裁はワシントンで開催された「グループ・オブ・サーティー
(G30)」のセミナーで、「日本のインフレはコストプッシュ要因が主導して
おり、米国や欧州のそれとは異なる」と説明。「日銀として金融緩和を続け、経
済を支えてノルム(社会規範)を確実にシフトさせ、持続的かつ安定的な方法で
物価安定目標を確実に実現することが適切と考えている」と語っています。(ブ
ルームバーグ)

日本の金融当局者は介入を匂わすような発言を行っていますが、やはりと言うか
、当然というべきか米国の金融当局の認識は異なっています。
イエレン財務長は14日、ワシントンで開催されたIMFと世銀の総会で「ドル
高については、国、地域ごとの経済的ショックと、そうしたショックへの政策対
応の違いを主に反映している」と指摘し、「市場が決定する為替レートがドルに
とって最善の仕組みであり、われわれはそれを支持している」と介入には否定的
な考えを示しました。
さらにバイデン大統領も15日、オレゴン州ポートランドで記者団に対し、「ド
ルの強さに関しては心配していない。他国について懸念している」とし、「米経
済はものすごく強い」と語っています。
いずれも、米国の足元の高インフレを抑制するためには金利上昇は当然で、その
結果としてドルが強いとしても懸念していないといった認識を示したものと受け
止め、一部にある「第二のプラザ合意」の可能性もほとんどないと考えます。
日本の金融当局が、それでも再度介入に踏み切る覚悟があるのかどうかも問われ
ていると思われます。

本日のドル円は146円~150円程度を予想しますが、再び介入があるかどう
かで相場展開は大きく変わってきます。

************************************

18日(火)から20(木)の「今日のアナリストレポート」は都合によりお休
みとさせていただきます。
市場のボラティリティが高まっている中、読者の皆様にはご迷惑をおかけ致しま
すが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。


米9月のCPI上振れ、ドル円147円台半ばへ 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆9月のCPIが市場予想を上回ったことからドル買いが一気に強まり
ドル円は147円台に乗せ、147円67銭まで上昇。その後146円
台半ばまで下げたが再び147円台に戻して引ける。
◆ユーロドルでもドル高ユーロ安が進んだが、0.9632までと、限定的。
ユーロ円の買いが、ユーロの下落を支えた格好に。
◆株式市場は3指数が大きく反発。ダウは827ドル上げ、S&P500も
92ポイントの上昇。このところ下げが続いていたことから、テクニカル的な
上昇との声も。
◆債券は反落。長期金利は4%に乗せたが、3.94%台まで低下。
◆金は小幅安。原油は上昇。

********************(何もない時は空欄のままにします)

◆9月消費者物価指数     →  0.4%(前月比)
◆新規失業保険申請件数    →  22.8万件

本日の注目イベント

◆中   中国 9月貿易収支
◆中   中国9月消費者物価指数
◆中   中国9月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏8月貿易収支
◆米   9月小売売上高
◆米 9月輸入物価指数
◆米   10月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米   クック・FRB理事講演
◆米   ウォラーFRB理事講演
◆米  企業決算 → ウェルズファーゴ、JPモルガン、モルガンスタンレー、シティーグループ


非常に注目された米9月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を
上回る結果でした。前月比、前年同月比とも市場予想を上回り、コ
アCPIは前年同月比「6.2%」と、1982年以来、実に40
年ぶりの高水準でした。
この結果を受けて、11月1-2日のFOMCでは4会合連続とな
る、0.75ポイントの引き上げがほぼ確実とみられます。一部に
はさらに12月会合でも同じ幅の利上げが実施されるのではといっ
た見方も出たようです。

指標発表前には146円台半ばで推移していたドル円は、発表後わ
ずか15分ほどで147円67銭までドル高が進み、1998年8
月に記録した147円64銭を上回る場面もありました。ただドル
円はその直後、「介入の噂」もあり、146円46銭前後まで一気
に売られる場面もあり、荒っぽい動きを見せました。
長期金利も一時は4.08%台まで上昇しましたが、3.94%台
まで低下して引けています。やや理解に苦しむのがNY株式市場の
動きでした。
これまでの定石であれば、CPIの上振れから株価は大きく売られ
ていいはずでしたが、引け値ではダウが827ドル高となるなど、
3指数は揃って大幅に上昇しています。
連日売られたことによるテクニカル的な反発との声もありますが、
JPモルガンはCPIが8.1-8.3%に上昇した場合、S&P
500は1.5-2%下落する可能性があると指摘していました。

バイデン大統領はCPI発表後の声明で、「米国は私の経済計画に
より、この難題に取り組むにあたって他のどの主要経済国よりも強
い立場にある」と述べています。
またイエレン財務長官も、コアCPIが40年ぶりの上昇を見せた
ことに関して「米国は1980年代以来最悪のインフレ退治に向け
、さらにやるべきことがある」と述べています。ナットアライアン
ス・セキュリティーズの債券責任者は「ぞっとするようなCPIの
数字だ。米金融当局は100ベーシスポイントの利上げを実施する
のだろうか」といったコメントを残しています。(ブルームバーグ)

今回のCPIの発表で、結局米国の物価上昇は依然として収まる気
配がないことが明らかになりました。原油価格が一時76ドル台ま
で下落する局面もあったことから、前月よりも低下している可能性
も指摘されていましたが、そう簡単でもないようです。
今後原油需要が拡大する冬場に向い、さらに「OPECプラス」が
減産を決めていることもあり、原油価格は再び100ドルを目指す
可能性もあります。FRBの責務の一つである「2%の物価の安定
」を確保するにはまだ高いハードルが立ち塞がっているようです。

ドル円は9月22日に過去最大規模の介入を行った146円前後の
水準を大きく超えてきました。もともと、市場介入で流れを変える
ことはできない(参照:9月26日付け今日のアナリストレポート
)と予想していましたが、この勢いを放置しておけば、やがて1
50円も見えて来そうな雰囲気です。
昨日もこの欄で触れましたが、仮にそのような状況になった場合、
今度は介入したとしても145円を割り込むのが難しくなる可能性
があります。2回目の介入では、その効果も1回目ほど期待できま
せん。
個人投資家の指値注文のレベルを考えると、「介入を待っている」
と思える水準にドル買いが増えているように思えます。
「介入でドルが下がったら、絶好の買い場」といった相場観を個人
投資家が持つようになると、介入の効果は全くなくなるといっても
いいと考えます。
その意味からも、本日の東京時間では介入の可能性は高いと予想し
ていますが、どうでしょう・・・・。
ただ昨日のNYでの動きを「投機的」と言えるかどうかは疑問です。
ファンダメンタルズに沿った動きとも言えるからです。

今日は週末です。水準が水準だけに、なかなか難しい展開かと思い
ます。介入がないとしても、昨日のNYのように、「それらしい動
き」はあるかもしれません。
悪までも戯言ですが、筆者が当局の為替担当者であれば、ここは介
入するでしょう。
本日のドル円は144円~148円程度と、ワイドレンジを予想し
ます。


ドル円一段と上昇し147円に迫る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場で146円台に乗せたドル円はNYではさらに
買われ、147円目前までドル高が進む。介入に対する警戒感が
あるも、緩やかなドル高に、介入へのハードルが高いとの
見方も。
◆ドル高が進んだが、ユーロドルはやや水準を切り下げたが、
前日の水準から大きな変化は見られず。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ナスダックとS&P500は
6日続落。
◆債券は反発。長期金利は3.89%台へと低下。
◆金は反落し、原油は3日続落。

◆9月生産者物価指数 → 0.4%(前月比)

本日の注目イベント

◆独   独9月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ロシア・トルコ首脳会議
◆米   9月消費者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米  企業決算 → ブラックロック

9月22日以来の市場介入を警戒しながらも、投資家はドルを買う姿勢を
維持し、ドル円はジリジリと上値を追い、NYでは147円に迫る、14
6円98銭までドル高が進みました。予想した通り、145円台後半では
介入はなく、ドル円はゆっくりですが、しかし、確実に上昇する展開でし
た。
ドル円は昨日の東京市場開始とほぼ同時に146円台に乗せ、一旦は14
5円台後半まで押し戻されましたが、再び146円台を回復してからは1
46円割れを見ることはありませんでした。
実質的な「介入ライン」と見られていた、146円前後を抜けても介入は
行われず、投資家は「おそるおそる」ではありましたが、小刻みにドルを
買って行くスタンスのようにも見えました。

神田財務官はワシントンに向う際、「為替の水準ではなく、われわれが注
視しているのは急激な変動であり、いつでも必要な措置を取る用意はして
いる」と述べ、一定の水準を意識しているわけではないとし、さらに「急
激な変動」といった言葉を使っていました。
裏を返せば、昨日のようにドルがジリジリと買われる展開では、介入しづ
らいということにもつながります。市場もその辺りを見透かしてドル買い
を進めているようにもみられます。ただ、さすがに先週末から比べるとほ
ぼ2円も円安が進んだことから、介入警戒感はさらに強まったと考えます
。もし本日147円台に乗せ、昨日と同じような展開になれば、1998
年8月に記録した147円64銭という直近高値を上回るドル高となり、
150円も視野に入ってくることになります。
そうなると仮に介入があったとしても、今度は145円を下回ることさえ
難しくなることも予想されます。介入を行ったとしても145円台が維持
される状況になれば、9月22日の過去最大級の市場介入は「一体何だっ
たんだろう」ということにもなります。
投機筋に「絶好のドルの買い場を提供しただけ」だったということにもな
りかねません。
このように考えると、本日と明日は「最大限の介入警戒感が必要」だと思
っています。

米9月の生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る結果でした。
総合PPIは前年同月比で「8.5%」と、市場予想の「8.4%」を上
回り、食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年同月比「7.2%」と
、高水準でした。ブルームバーグのエコノミストはこの結果を受けて、「
予想を上回る9月PPIの伸びは、一部の商品価格は下落し、サプライシ
ョックは緩和しているにもかかわらずインフレが一段と定着してきたとの
懸念を強める。特にサービス分野での賃金価格のスパイラルが起こる可能
性を背景に、FOMCメンバーらは大幅利上げ継続の必要性に関して今後
も見解が一致するだろう」と分析しています。
PPIの結果がNYでドルがさらに上昇した背景になっていますが、黒田
総裁のワシントンでの発言もドル買いを後押ししています。
黒田総裁はIMFでのイベントで、「2%の物価目標を持続的に、安定的
に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」と、これまでの常套句を
繰り返し、ドル買いに安心感を与えた格好になっています。
「物言えば唇寒し・・・・」といったところでしょうか。

9月20-21日に開催されたFOMC議事録が公表されました。
議事録では、「当局者が政策金利を景気に抑制的な水準に今後短期間で引
き上げ、インフレ率を目標値まで押し下げるためにその水準で維持する方
針を示した」と記されており、ただ一方で、「経済見通しへの著しい悪影
響のリスクを和らげることを目的に、追加引き締めのペースを調整するこ
とが重要であろうと幾人かの参加者が指摘した」とありました。
同会合では、0.75ポイントの引き上げが3会合連続で決定されていま
す。公開された議事録では特段目新しいことはなく、前半の部分はおおむ
ねパウエル議長のその後の会見内容と整合し、後半の部分はブレイナード
副議長が講演で発した言葉と合致します。

イエレン財務長官は12日IMF年次総会で講演を行い、「米国では、経
済面の最優先課題は堅調な労働市場を維持しながらインフレを抑制するこ
とだ」としながらも「われわれは差し迫るリスクに対し注意深く対応して
いる」と述べ、米国の政策が世界に与える影響も考慮していると説明して
います。

次回FOMC会合は11月1-2日になりますが、今月27日にはECB
の理事会があり、ここでも再び利上げが見込まれ、市場はその利上げ幅を
巡って奔走している状況です。政策委員会メンバーであるホルツマン・オ
ーストリア中銀総裁は12日、「今月27日の会合で政策金利を0.75
ポイント引き上げた後に、恐らく12月に再び0.75ポイントまたは0
.5ポイントの利上げでも、中立金利とみられる水準付近になる」と語っ
ています。また、クノット・オランダ中銀総裁も「中立金利をなお大きく
下回っている」と発言し、「中立と推計されるレンジに入る前に少なくと
も2回の大幅利上げが必要だ」と述べています。
ユーロ圏の9月のCPIは「9.1%」と、米国のCPIをも上回ってい
ます。
これまで大幅な利上げにはやや慎重なスタンスを採っていたECBも「
尻に火がついており」今後一層の引き締めに向かうとみられ、米国を追う
格好になってきました。

本日のドル円は145円50銭~147円50銭程度を予想しますが、も
し介入があれば、ドルの下値をさらに拡大するとみられます。上でも述べ
たように、今日、明日は注意が必要です。


ドル円再び145円90銭まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は介入の可能性を意識しながらもドル高が続く。
NYでは米金利が上昇したことで145円90銭までドルが買われる。
9月22日に記録したレベルに達し、さらに介入の警戒感が広がる。
◆ユーロドルはやや水準を切り下げ、0.9691まで売られる。
◆株式市場は、日中は3指数が上昇する場面もあったが続かず。
ダウは小幅ながらプラスを維持したが、他の2指数は5日続落。
◆債券は売られ、長期金利は一時4%まで上昇。
◆金は反発し、原油は続落。

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏8月鉱工業生産
◆欧   NATO国防会議(ブリュッセル、13日まで)
◆英   英8月鉱工業生産
◆英   英8月貿易収支
◆米   9月生産者物価指数
◆米   FOMC議事録(9月20-21日分)
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、タウンホール討論会に参加
◆米   ボウマン・FRB理事講演
◆米   バー・FRB副議長講演
◆米  ラガルド・ECB総裁講演(IMF年次総会)
◆米   G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13日まで)

145円台で小動きなドル円は、政府日銀による市場介入を意識しながらも
堅調に推移。NYでは一時145円90銭までドルが買われ、9月22日に
介入が実施される前の水準に達しています。
NY市場での到達であったため、基本的には介入の可能性はないものの、警
戒感はさらに強まり、その水準から上値を追うことはありませんでした。

債券が売られ、米長期金利が今年最も高い4%の水準まで上昇したわりには
、ドル円のもう一段の上昇は見られなかったことからすると、9月の介入は
相当な抑止力を発揮していると考えられます。ドル円はその後145円70
銭前後まで押し戻される場面もありました。
ただ、昨日の様な1銭ずつ刻むように上昇した場合、当局としてもなかなか
介入には踏み切れない事情もあります。
介入の指揮を執る責任者である神田財務官も、「為替の水準ではなく、われ
われが注視しているのは急激な変動であり、いつでも必要な措置を取る用意
はしている」と述べると共に、G20財務相・中央銀行総裁会議に出席する
ため「ワシントンへ移動する飛行機の中からでも介入を下すことはできる」
と語っていました。
ここからさらにドルが上昇すれば、再び介入に踏み切る可能性は高いと思い
ますが、米国との協調介入のハードルは決して低くはないようです。
今朝の日経新聞も市場介入の可能性に関する記事を載せ、10月9日までに
行われたフィナンシャルタイムズ(FT)のインタビューでイエレン財務長
官は最近の為替市場について「われわれは通貨の動きとその影響を注意深く
観察。国や政策、経済状況の基調的な違いを考えれば、市場はかなりうまく
機能しており、おおむね適切であると考え続けている」とのコメントを残し
ています。
今夜のFOMC議事録の内容や生産者物価指数の結果次第では再びドルが上
値を追う可能性もあり、さすがに細心の警戒感が必要かと思います。

IMFは11日、世界経済の見通しを発表し、2023年の世界成長率を下
方修正しました。「成長は依然として脆弱で、市場はストレスの兆候を見せ
ている。世界経済の約3分の1は、来年縮小する恐れがある。米国と欧州連
合(EU)、中国は失速が続く」との見方を示し、来年の世界成長率予想を
「2.7%」とし、7月時点の「2.9%」や1月時点の「3.8%」から
下方修正しました。
その上で、IMFのピエールオリビエ・グランシャ、チーフエコノミストは
「最悪期はこれからだ。暗雲が立ち込める中、政策当局者はしっかりとした
手段を続ける必要がある」と述べています。(ブルームバーグ)

ロシアがウクライナへのミサイル攻撃をさらに強める中11日、G7首脳は
オンライン会議を開催し、声明草案では「G7は、ウクライナが主権と領土
の一体性を守る上で必要とする支援を提供するというわれわれのコミットメ
ントは確固としており、阻止するものではないことを、ゼレンスキー大統領
に伝えた。今後も資金、人道、軍事、外交、さらに法的な面での支援を続け
、必要な限り断固としてウクライナを支持していく」と表明される予定です
。G7首脳は、民間人への無差別攻撃は戦争犯罪だとし、プーチン氏ら、し
かるべき立場の者に責任を取らせることも表明しています。
10日、11日のロシアのミサイル攻撃はウクライナ全土の20都市以上に
及んでおり、2月24日の侵攻開始以降、最大規模のミサイル攻撃とみられ
ています。ウクライナでは今回の攻撃により、すでに民間人を含む20人以
上が死亡した模様です。

ドル円は今日も介入水準を試す動きが続きそうです。
米長期金利も4%を超えそうな気配で、英国ではBOEのベイリー総裁が、
国債市場での介入を予定通り停止すると述べたこともあり、米金利には上昇
圧力がかかっています。
最も重要なのは明日発表の「9月のCPI」ですが、上述のように、今夜の
経済指標などの発表でも大きく動く可能性もあります。

本日のドル円は144円80銭~146円90銭程度を予想します。


ドル円再び145円80銭まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は米債券市場が休場のため小動だったが
ドル高が続き、145円80銭まで買われる。
◆ユーロドルでもややドル高が進み、0.9685まで
ユーロが売られる。
◆株式市場は4日続落。前日630ドルの大幅下落を演じた
ダウはこの日も93ドル下落。
◆債券市場は「コロンブスデー」のため休場。
◆金は続落し、原油は反落。

◆9月財政収支  →  -39.2b
 
本日の注目イベント

◆豪   豪10月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪   豪9月NAB企業景況感指数
◆日   8月貿易収支
◆日   8月国際収支
◆日  9月景気ウオッチャー調査
◆英   英9月失業率
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   IMF、世界経済見通し
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演

145円70銭・・・。午前6時半現在ドル円はジリジリと値を戻し、
NYのこの日の高値よりはやや下げているものの、ほぼ高値圏での推移
が続いています。
ここまで来ると、焦点は一つ。9月22日に続く市場介入があるのかど
うかです。連休前のコメントでも述べましたが、ドル円が145円台に
乗せても介入は見られませでした。昨日は東京市場が休場で値動き自体
が緩慢で、145円台半ばで推移していましたが、休日のため介入はあ
りません。
市場は再び介入に対する警戒感を維持しながらも、米金利の先高観測を
材料に緩やかにドル買いを進めている状況です。
145円台では介入がないのではとの見方を維持していますが、146
円台に入ったら注意は必要です。あるいは146円前後と言うべきかも
しれません。

先週金曜日の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は「26万3000
人」と、市場予想は超えたものの、前月の「31万5000人」からは
大きく減少していました。
ただ、失業率が前月の「3.7%」から「3.5%」に改善しており、
再び50年ぶりの低水準に並んでいます。結局9月の雇用統計では、「
FRBの積極的な大幅利上げ観測を後退させる結果ではなかった」との
見方が、結果を受けての市場のコンセンサスでした。
ドル円はこの発表を受け、直後は144円台半ばまでドル売りが進みま
したが、直に切り返し145円44銭までドル高が進み、昨日の市場で
は介入警戒感を維持しながらもジリジリとドルが買われる展開でした。
今回の数字では、米雇用市場の強さが維持されていることがあらためて
示された形になりました。米求人件数の減少や一部セクターでのレイオ
フ増加など、労働需給の鈍化が幾らか示されていたものの、雇用主の多
くはまだ人材不足に見舞われており、堅調なペースで採用を続けている
とみられます。また、こうした強さは個人消費を支えているだけではな
く、賃金上昇につながっているとブルームバーグは分析しています。

景気の底堅さを背景に、今後もFRBによる大幅利上げは続くとの見方
から、米株式市場では再び売りが優勢となり軟調な展開となってきまし
た。JPモルガンのダイモンCEOは、米経済および世界経済が「深刻
な」逆風を受けて来年半ばまでにリセッションに陥る可能性が高いとの
見方を示しています。また既に年初来ではおよそ25%下げているS&
P500指数について、「一段の下落余地があるかもしれない。さらに
20%下げる可能性がある」と、CNBCとのインタビューで語ってい
ます。
シカゴ連銀のエバンス総裁は講演で、「中立金利を大幅に下回ったこと
を考えると、利上げ前倒しは良い政策だった。しかし、オーバーシュー
トも犠牲が大きい」とし、「利上げが行き過ぎるリスクを低減するため
、金融当局は安心して休止できる水準まで政策金利を早急に引き上げる
必要がある」との認識を示しました。
一方ブレイナード副議長は、「慎重にデータ次第の姿勢で前進すること
で、経済活動と雇用、そしてインフレがこれまでの利上げにどう順応し
ているかを知ることができ、それが政策金利の道筋に関するわれわれの
判断形勢につながる。金融政策はしばらく抑制的なものになる」と述べ
、積極的な利上げにおける慎重姿勢の重要性を主張していました。エバ
ンス総裁とはやや認識を異にしています。

ロシアによるウクライナへの攻撃はさらに激化しています。ウクライナ
のキーウやオデーサ、ドニプロ、リビウなど数都市がミサイル攻撃を受
け、戦争開始当初以降最も激しいものとなった模様です。
プーチン氏はクリミア半島とロシア本土を結ぶ橋が被害を受けた攻撃へ
の報復だとし、ウクライナのインフラにさらに攻撃を加える可能性を示
唆しています。
バイデン大統領はロシアを非難し、「必要な限りウクライナの人々を支
持するというわれわれのコミットメントを強めるだけだ」と述べ、欧州
各国の首脳は攻撃が「戦争犯罪」に相当すると語っています。(ブルー
ムバーグ)

ドル円は9月22日の高値145円90銭に近づいていることから、介
入警戒感と共に、ドル売り注文も集まり易い水準にいます。
財務相あたりから、「断固とした対応を行う」といったコメントもある
かもしれません。
そのため、東京時間では上値が重く、146円台テストはないかもしれ
ませんが、直に流れが変わることはないと予想しています。

本日のドル円は144円50銭~146円50銭といったところでしょ
うか。


ドル円三度目の145円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は145円台を回復。タカ派発言が相次ぎ、FRBの利上げスタンスは変わらないとの見方が再びドル買いにつながる。

  • ユーロドルは続落。0.9789までユーロ安が進み、ドル全面高の様相に。

  • 株式市場は続落。FOMCメンバーのタカ派発言が相次ぎ、FRBのスタンスは変わらないとの見方から3指数とも揃って売られる。

  • 債券も売られ、長期金利は一時3.84%台まで上昇。

  • 金は変わらず、原油は4日続伸。

本日の注目イベント

  • 日 8月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 中 9月外貨準備高
  • 独 8月鉱工業生産
  • 米 9月雇用統計
  • 米 8月消費者信用残高
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、質疑応答に参加
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、フォーラムに参加
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 加 9月就業者数
  • 加 9月失業率

4日のオーストラリア準備銀行(RBA)による追加利上げの幅が0.25ポイントと、市場予想よりも小幅だったことから、FRBも含め世界の中銀による過度の利上げスタンスが和らぐといった見方が広がり、債券と株が買われ、ドル円は一時143円台半ばまで売られましたが、やはり、インフレ高進を前に、利上げペースを緩めるにはまだハードルが高いようです。

景気の鈍化を示唆する経済指標や、FOMCメンバーによる発言に対して、市場は極めて敏感になっており、昨日は後者のタカ派的な発言が今週前半の「楽観的な雰囲気」を一気に崩してしまいました。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は6日、「まだやるべき仕事がある」と発言し、「基調的なインフレがしっかりとピークを付け、出来れば再び下向きになる幾らかの兆候が見られるまで、私は休止を宣言する用意はない。休止はかなり遠い先になると考える」と、これまでよりも一段とタカ派的な発言を行いました。さらに同総裁は、米経済の下振れリスクには留意が必要だが、「しかし、政策スタンスを実際に変更するハードルは高い」と述べています。また、FRB理事に就任後初の講演を行ったクック氏は、「インフレ率が当局の長期的な目標である2%を大きく上回って推移していることを踏まえると、物価の安定を取り戻すには、インフレ率が目標の2%にしっかり向っているとわれわれが確信できるまで利上げを継続し、その後政策をしばらく景気抑制的な水準で維持することが必要になる可能性が高い」と説明しました。この内容は、これまで多くのFOMCメンバーが口にしてきたことと相違はなく、足並みを揃えた形になっています。

さらに昨日はシカゴ連銀のエバンス総裁もイリノイ州で行われた会議で、「政策金利は来年のどこかの時点までに4.5-4.75%に達すると考えられ、これまでの利上げの速さを踏まえると、その時期は春になる可能性が高い」との認識を示しました。(ブルームバーグ)これまで、利上げの終点であるターミナルレートについては、4.25-4.5%といった見方、これでもどちらかと言えば高目だったと思われますが、エバンス総裁はそれを超える金利水準に言及しています。現行の政策金利からは少なくても1.5ポイントの大幅利上げが必要だということになります。カナダ中銀のマックレム総裁も、市場のセンチメントを厳しいものにする一役をかっています。マックレム総裁は「経済はまだ明白に過剰な需要がある状況だ。企業は極度にタイトな労働市場に直面し、賃金上昇が広がり、基調的なインフレ圧力に緩和の兆しは一切見られない」とし、「インフレは自然には消失しない。簡潔に言えば、さらにすべきことがある」と語っています。

これらの発言から市場の楽観ムードは再び元の軌道に戻され、株と債券が売られ、長期金利は3.84%まで上昇。金利上昇に呼応するかのように、ドル円は145円台を回復し、145円14銭までドル高が進んでいます。先月22日の政府日銀による市場介入で145円台後半から140円台前半まで一気にドルが下押しされましたが、日米金融当局の政策スタンスは全く変わらず、政府日銀は「双方の政策行動に矛盾はない」と説明に躍起になっていましたが、市場は冷静にドル買い円売りスタンスを維持しているようです。今週3日には介入後としては二度目となる145円台に乗せ、145円29銭前後までドル円が急伸する場面もありましたが、この時は時間的にも非常に短く、その後米金利の低下に伴い143円台半ばまでドルが下げました。

そして今回の145円台乗せが「3度目」ということになります。当然市場参加者には「介入警戒感」が依然として残っています。「どの水準で介入に踏み切るのか」、「介入水準」を探る展開になろうかと思いますが、ひよっとしたら、このままドルが上昇し、仮に145円台が定着するような状況になっても、「介入はないのではないか」と個人的には考えています。再度介入するのであれば、より効果的な介入をしたいと思うのが政府日銀の考えでしょう。市場が、「今か今か」と構えている所に実施するよりは、「介入はない」と思わせ、安心した所で実施するほうが、より効果が見込めます。単なる個人的な想像でしかありません。東京市場が来週月曜日に休場だということを考慮すれば、前回9月22日の状況と条件は一緒です。さらに今夜は雇用統計が控えています。結果次第では大きくドルが買われる可能性も否定できません。果たして「おばけ」は再び姿を現すのでしょうか。

本日のドル円は143円50銭~146円50銭程度とします。

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今週、ウクライナ情勢に関して、「ウクライナでの戦争は年単位ではなく、恐らく月単位で終わるだろう」といったコメントが、同国大統領府長官顧問から発せられたという報道がありました。確かに、ロシアが予備役の部分的な動員を決めたことで国内で動揺が広がり、これまでには見られなかった「反プーチン運動」も各地で起きています。
隣国ジョージアに避難するロシア人の車の列が何十キロも続いているといったニュースもありました。
日経新聞「春秋」では、「ロシアでは動員逃れのため意図的に骨折する方法を指南するネット投降もある」といったコラムに、評論家山本七平氏が、戦時中に日本の若者が徴兵逃れに取った、もっともらしい手口について記述した著書を紹介していました。
それによると、当時、軍隊が最も嫌ったのは結核患者で、徴兵検査の際に結核と誤診させる方法として、「検査の前々日にツベルクリン注射をして、その朝にナマズの生き血を飲む」という珍説が広く流布したそうです。
本当に効果があるのかかどうかは分かりませんが、何か、聞いただけで気味が悪い感じもします。徴兵されるよりは良かったのでしょうか。
この著書、「私の中の日本軍」がロシア語に翻訳されて店頭に並んでいたら、飛ぶように売れ、ベストセラー間違いなしでしょう。

良い週末を・・・・・。




OPECプラス、減産で合意 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間朝方には143円台半ばまで売られたドル円は
NYでは上昇に転じる。米長期金利が上昇したこともあり、
144円85銭までドル高が進む。
◆前日パリティー目前まで上昇したユーロドルは反落。
0.9835まで売られ、0.97~1.0のレンジを
形成しつつある。
◆株式市場は3日ぶりに反落するも小幅にとどまる。
ここ2日間大幅に上昇したこともあり、大きく下げて
取引が始まったが、午後には下げ幅を縮め、ダウは
42ドルの下落。
◆債券は下落。長期金利は大幅に上昇し、3.75%台に。
◆金は4日ぶりに反落。原油は「OPECプラス」が減産に
合意したことを受け続伸。

◆9月ISM非製造業景況指数    →  56.7
◆9月ADP雇用者数        →  20.8万人
◆8月貿易収支           →  -67.4b

本日の注目イベント

◆豪   豪8月貿易収支
◆日   10月日銀地域経済報告(さくらリポート)
◆独   独8月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏8月小売売上高
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   クック・FRB理事講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、質疑応答に参加
◆米   ウォラーFRB理事講演

昨日の朝方の東京市場オープン時にドル円は143円53銭近辺まで売られ、
もう少し下値を試す展開も予想していましたが、その水準を底値にジリ高とな
り、NYでは144円85銭までドルが買われています。
再び144円80銭-145円のゾーンが「壁」になっており、上昇に勢いは
見られませんでした。前日はISM製造業景況指数が下振れしたことで株式と
債券が買われ、長期金利の低下を手掛かりにドル売りが進みましたが、長くは
続かなかったようです。3市場とも引き続きボラティリティの高い動きが見込
まれます。

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC加盟国で構成する「OP
ECプラス」は、日量200万バレルの生産枠削減で合意しました。
この合意を受けてWTI原油価格は上昇し、一時は88ドル台半ばまで買われ
ましたが、結局、前日比1ドル24セント高の87ドル76セントで引けてい
ます。
今年6月には123ドル台まで買われた原油価格でしたが、インフレ率の高ま
りから各国中銀が大幅利上げ競争に走り、世界的に景気が減速するとの見方か
ら下落基調が続いていました。
先月下旬には76ドル台まで売られた価格の下落を止める意味でも、今回は減
産に合意した側面もあったようです。ナイジェリアの石油資源相は「OPEC
は90ドル前後の価格を望んでいる。その水準を下回ると一部の国が不安定化
する」と会合後に発言しています。
一方、「OPECプラス」の決定した日量200万バレルの減産計画について
バイデン大統領は、「詳細を見なければならないが、(減産は)不必要だ」と
述べ、サリバン大統領補佐官とディース国家経済会議(NEC)委員長は声明
文で「米国の消費者を守りエネルギー安全保障を高めるため、適切な限り大統
領はSPR(戦略石油備蓄)の直接放出を続ける」と説明しています。(ブル
ームバーグ)

昨日発表されたISM非製造業景況指数は前月よりも低下したものの、堅調な
水準を維持していました。また、ADP雇用者数も市場予想を若干上回り堅調
でした。
同指標は8月分も速報値の13万2000人から18万5000人と大幅に上
方修正されています。
明日の雇用統計でも堅調な数字が予想されますが、ADP雇用者数の結果につ
いてブルームバーグは「労働需要にいくらか鈍化の兆しも見られるが、ADP
のデータは労働市場が依然として力強いことを浮き彫りにしており、失業の急
増を引き起こすことなく数十年ぶりの高インフレ抑制を目指す米金融当局の取
り組みを複雑にしている」と論じています。
また、金融政策に関するFOMCメンバーのスタンスも変わっていません。
アトランタ連銀のポスティック総裁は、「40年ぶりの高水準付近にとどまる
インフレ率を押し下げるため、政策金利を年末までに4-4.5%に引き上げ
て金融引き締めを維持することを支持する」と語り、SFシスコ連銀のデーリ
ー総裁は、「データ次第だ。われわれが必要とする状況をデータが示せば、そ
の時はシフトダウンするだろう。データがそれを示さない場合、われわれは現
在やっていることを続けなければならないだろう」と述べています。

このように、多くのFOMCメンバーが発表されるデータに細心の注意を払っ
ており、明日の雇用統計の結果が最大の焦点になりますが、今夜の週間失業保
険申請件数も、その意味では材料になり得ます。
彼らは、景気が減速し、インフレのピークアウトを示すデータが喉から手が出
るほど欲しいはずですが、FRBが利上げに転じてから半年が経つにもかかわ
らず、依然として米景気に大きな崩れは見られません。米国の底力というべき
でしょうか。

本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度と予想します。


NYダウ2日で1500ドル上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上値を重くし続落。各国中銀による過度の利上げ観測が
後退したことでドル売りが続き、143円90銭前後まで下げる。
◆ユーロドルも買われ、パリティー目前まで反発。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。米金融当局の大幅利上げに
対する見方がやや後退。ダウは825ドル上昇し、ここ2日間で1500
ドルを超える上昇。ナスダックも3.3%の大幅上昇。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は3.63%台で推移。
◆金と原油は大幅に続伸。

◆8月製造業受注  → 0.0% 
 
本日の注目イベント

◆独   独8月貿易収支
◆独   独9月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏9月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏9月総合PMI(改定値)
◆米   9月ISM非製造業景況指数
◆米   9月ADP雇用者数
◆米  8月貿易収支
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演

世界的にインフレ高進が続く中、各国中銀による大幅な利上げ観測
がやや後退してきました。インフレ抑制のため過度の利上げ観測が
強い中、その可能性がやや薄れてきたことで、NY株式市場では連
日の大幅上昇となり、ダウは2日間で1500ドルを超える上昇。
ナスダックも昨日だけで3.3%も買われています。
金利の先高観が薄れたことで金もここ2日で60ドルに迫る上昇を
見せ、下落基調にあった流れが急転しています。また過度の利上げ
により世界景気の鈍化が見込まれていましたが、これが避けられる
との期待からWTI原油価格もここ2日間で7ドル(約8.9%)
の上昇を見せ、大きく売られていたビットコインも一時4%を超え
る上昇となり、2万ドルの大台を回復しています。
上値の重かった日経平均株価も、連日大幅な上昇となり、本日も上
昇する見込みとなっています。米金利の大幅な上昇にややブレイキ
がかかったことからドル円は上値が重くなり、NYでは143円台
後半まで売られる場面がありました。

「Thanks to RBA !」、株式関係の人たちからはそんな声も聞かれ
そうです。オーストラリア準備銀行(RBA)は4日、政策金利で
あるキャッシュレートを0.25ポイント引き上げ、2.6%にす
ると発表しました。
利上げは想定通りでしたが、利上げ幅を「0.5ポイント」と予想
していた市場にはややサプライズでした。
RBAのロウ総裁は声明で、「キャッシュレートは短期間に大幅に
引き上げられた」とした上で、「インフレ率を目標に戻す政策委員
会の断固とした決意は変わらず、目標達成のため必要な対応を行う
」と、あらためて表明しました。この決定を受け豪ドルは売られま
したが、この影響が世界の債券市場にも伝播し、多くの国の債券市
場では債券が買われ金利が低下しています。RBAの予想外の動き
は、今年に入り世界の債券と株式相場を圧迫してきた積極的な利上
げの波が終わりに近い兆候と解釈されるだろうといった声も聞かれ
ました。ブルームバーグは、「世界的な大幅利上げが始まりではな
く、終わりに近づいていると論じる根拠になる」と報じています。
昨日、日経平均株価が776円高と大幅高を演じたのも、この影響
とみられています。

多くのFOMCメンバーがタカ派寄りの発言で足並みを揃える中、
昨日のRBAの決定が「干天に慈雨」といった格好になりました。
大きく売り込まれていた日米の株価は大幅に反発しましたが、まだ
このまま簡単にインフレが収まるとも思えません。
FRBのジェファーソン理事は4日の講演で、「物価の安定回復に
はしばらく時間がかかるとみられ、潜在成長率を下回る経済成長の
期間が必然的に伴う可能性が高い」と述べ、「私も同僚も、インフ
レ率を2%に戻す決意だ」と語っています。
ジェファーソン氏は今年5月にFRB理事に就任し、今回の講演が
就任後初めてとなります。
このように、FRBのインフレに対する姿勢は全く変わっていませ
ん。今週末には米雇用統計の発表もあり、良好な結果が出れば再び
大幅利上げ観測が浮上し、株安、債券安が進み、ドルが買われる可
能性はあります。
また、今夜発表されるADP雇用者数の結果次第でも同様なことが
言えます。
その意味では、まだ、大幅利上げの終焉を見込むのは時期尚早と考
えます。
ただ、市場は常に先を読む傾向があり、昨日のRBAの動きのよう
に、利上げがあっても、今後大幅な利上げはなく、「利上げペース
の鈍化が見込まれれば」、それが好感され、市場が大きく反応する
可能性があります。
いずれにしても、今後も為替、株式、債券の乱高下が続くことだけ
は間違いないと言っていいでしょう。

ロシアとウクライナの激しい闘いは続いていますが、ウクライナの
ポドリャク大統領府長官顧問は「ウクライナでの戦争は年単位では
なく、恐らく月単位で終わるだろう」との見方を示しました。
ロシアへの反撃を強め、これまでと比べ戦況を有利に進めているウ
クライナですが、プーチン氏は兵士の増員を決めており、「使える
兵器は全て使う」とまで豪語していたプーチン氏がウクライナから
撤収するとは今のところ考えられません。
「ウクライでの戦争は終わる」ことに言及した発言を筆者は初めて
耳にしましたが、長官顧問の発言には何か裏付けがあるのかもしれ
ません。「勝者のいない」この戦争の1日も早い終結を願っていま
す。

本日のドル円は143円~145円程度を予想します。


ドル円再び145円台に乗せるも続かず 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は昨日の東京市場午後1時過ぎに145円台を回復し、
145円28銭近辺まで一気に上昇したが、NYでは反落。
米金利の低下を手掛かりに144円16銭まで売られる。
◆ユーロドルは小幅に続伸。0.9844まで買われたが、
引き続き上値の重い展開が続く。
◆株式市場は大幅に反発。製造業の鈍化を示す指標に、ダウは
700ドルを超える上昇。S&P500も92ポイント買われ、
3指数は揃って大幅高に。
◆債券は大幅に反発。経済指標が予想を大きく下回ったことで、
FBBが過度の利上げを回避するとの見方から価格が上昇し、
長期金利は3.7%台を大きく下回る。
◆金と原油は大幅に買われる。

◆9月ISM製造業景況指数      →  50.9
◆9月自動車販売台数         →  1349万台
 
本日の注目イベント

◆日  9月東京都区部消費者物価指数
◆豪   豪8月住宅建設許可件数
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆欧   ユーロ圏8月生産者物価指数
◆米   8月製造業受注
◆米   カプラン・ダラス連銀総裁、イベントで挨拶
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁、イベントで挨拶
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、会議で挨拶
◆米   ジェファーソン・FRB理事講演
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演


「9月のISM製造業景況指数」、これが全ての市場に好影響を与え
ました。

同指数がコロナ禍初期以来の低水準となったことで、米金融当局が過
度の引き締めに向うとの懸念が弱まり、10年債が買われ長期金利が
急低下。ドル円はこの動きにドル売りが強まり、一時144円16銭
まで売られています。株式市場ではこれを好感してダウが700ドル
を超える上昇を見せ、S&P500、ナスダックも大幅高で取引を終
えています。先週は特に株価の下落がきつく、その反動もあったよう
です。
WTI原油価格は「OPECプラス」による減産の可能性を背景に大
幅高となり、金もドルが売られたことで30ドル高でした。結局「悪
材料は、好材料」となった典型的な動きだったと言えますが、「IS
M製造業景況指数」はそこそこ重要経済指標ではありますが、最重要
指標である今週末の雇用統計が予想を大きく下回った場合には、どの
ような影響があるのか、今から身構えておく必要があるかもしれませ
ん。3月の会合から全ての会合で利上げを行い、景気抑制を狙った政
策の効果がようやく目に見えてきたのかもしれませんが、米景気は予
想されているよりも腰が強く、「米国の経済指標が驚くほど堅調であ
り、これまでのところ、金融環境の引き締まりの影響はほとんど表れ
ていない」(バークレーズ証券)とのコメントもあります。今回の指
標だけでは、インフレの動向を判断する材料としてはまだ十分ではあ
りません。

米国では、特に労働市場が人手不足を背景に好調な雇用環境が続いて
いる可能性もあります。9月の雇用統計が予想の25万人か、それ以
上であったらまたドルが買われる可能性もありそうです。
ドル円は昨日の東京時間午後、144円80銭前後から一気に145
円28銭辺りまで買われ、9月22日の政府日銀による市場介入時以
来となる145円台を回復する場面もありました。ただ、その後も何
度か145円台に乗せましたが勢いはなく、NYでは長期金利の低下
を手掛かりに144円16銭まで押し戻される局面もありました。
145円台ではまだ介入警戒感があるようです。
いずれにせよ、今後のデータ次第でどちらにも振れる可能性があると
いうことです。

NY連銀のウィリアムズ総裁は講演で、「金融引き締めによる需要は
落ち着き始めており、インフレ圧力も後退し始めているが、われわれ
の仕事はまだ終わっていない」と述べ、今後もインフレ抑制に注力す
るとしながらも、「借入、住宅ローン金利や株価といった金融状況の
幅広い目安は、支出を後押しする威力が大幅に減じている」とし、「
その結果、住宅市場が落ち込み、個人消費や企業投資の鈍化の兆候が
見られる。こうした状況が続けば今年の実質GDPの伸びはほぼ横ば
いとなり、2023年も緩やかな伸びにとどまると予想する」と語っ
ています。現時点ではこのようなややハト派的な見方は少数かと思わ
れますが、さらにヤニデル・リサーチのエド・ヤニデル社長は「ドル
の上昇継続が示唆するように金融市場には既に不安定の兆しが見られ
る。米金融当局は11月にあと1回利上げした後は、引き締めサイク
ルの終了を検討すべきだ」との見方を示し、「大幅利上げやドル急伸
、量的引き締めに伴う金融市場のストレスは、政策当局が金融安定を
最優先にすべき状況にまで高まっている」と指摘しています。(ブル
ームバーグ)

トラス英政権は3日、所得税最高税率を45%から40%に引き下げ
る案を撤回することを明らかにしました。トラス首相は、経済対策の
一環として大幅減税を行うことを表明しましたが、その財源として国
債の発行が見込まれることから、債券、株、英ポンドが大きく売られ
る「トリプル安」の様相を呈しました。その後はイングランド銀行の
介入で値を戻しましたが、昨日のこの表明でポンド・ドルはさらに上
昇しています。結局1.0360近辺まで売られたポンド・ドルは1
週間で「約1000ポイント」値を戻したことになります。いやはや
恐ろしい通貨です。日本にとっても、国の借金である国債の発行残高
を考えると、「対岸の火事」とは言えません。

本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想します。


9月のユーロ圏CPIは10.0%に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は再び144円台後半を試すが、144円81銭で
上昇は抑えられる。
◆ユーロドルは反発。9月のユーロ圏のCPI速報値が
10.0%だったことを受け上昇。0.9818近辺まで
買い戻しが進む。
◆株式市場は下落が止まらず、この日も3指数が揃って
大幅に下げる。ダウは500ドル下落し2万9000ドルの
大台を割り込む。
◆債券は続落。長期金利は3.82%台に上昇。
◆金は反発し、原油は続落。

◆8月個人所得                 →  0.3%
◆8月個人支出                 →  0.4%
◆8月PCEデフレータ(前月比)        →  0.3%
◆8月PCEデフレータ(前年比)        →   6.2%    
◆8月PCEコアデフレータ(前月比)      →  0.6%
◆8月PCEコアデフレータ(前年比)      →  4.9%
◆9月シカゴ購買部協会景気指数         →  45.7
◆9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →  58.6

本日の注目イベント

◆日   4-6月期日銀短観
◆トルコ  トルコ9月消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏9月製造業PMI(改定値)
◆米   9月ISM製造業景況指数
◆米   9月自動車販売台数 
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁。会議挨拶

米8月の個人消費支出(PCE)は、インフレ指標は市場予想を上回り
ましたが、一方で消費支出の方も増加が示され、物価上昇が続く中でも
、家計の堅調な支出が続いているようです。
PECデフレータでは前月比では伸びており、コアデフレータでは前月
比、前年比とも伸びていました。この結果を受け、債券市場では債券が
売られ、金利が上昇。株式市場では下げが止まらず、主要3指数は大幅
に続落しています。一方、ドル円は堅調に推移してはいるものの、14
4円80銭~145円の水準が壁となり、この日も144円81銭で上
昇が止められ、先週1週間はほぼこの傾向が見られました。
ユーロドルは、9月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)が速報値で
10.0%と、前月から加速しており、これで5カ月連続でインフレ率
は上昇していました。今後も大幅な利上げが不可欠との見方からユーロ
ドルは上昇しましたが、エネルギー価格の上昇とイタリアの政局不安に
よるユーロ売りが、金利高によるユーロ買いとぶつかり合う展開が続い
ています。

FOMCメンバーによる講演では、相変らずインフレ抑制に向けて利上
げを継続するといった内容が多かったようですが、やや意見の違いも見
られ始めています。
SFシスコ連銀のデーリー総裁は、「最優先事項はインフレを抑制する
ことだ」とし、「追加利上げを実施すると確信しており、バランスの取
れた経済に戻すためには適切なことだと考えている」と述べています。
また、ブレイナード副議長はNYでの講演で、「金融環境引き締めの完
全な効果が様々なセクターを通じて波及し、インフレを押し下げるまで
には時間がかかる。しばらくの間は景気抑制的な金融政策を維持し、イ
ンフレが目標に戻りつつあるという確信を得る必要がある。従って、わ
れわれは時期尚早な政策巻き戻しを避けることをコミットしている」と
発言し、世界の金融市場混乱が深まる状況にあっても、米金融当局とし
て利上げを継続する決意であることを明確に示しました。(ブルームバ
ーグ)

一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「われわれが本気だという
ことは周知されている。優先するのはインフレを抑制することだ」とし
ながらも、「インフレは依然として広範囲に広がり根強いが、政策金利
の引き上げペースが高まる中で主要な物価押し上げ圧力は和らぎ始めて
いる兆候が見られる」と発言しています。
今年上半期の世界の債券、株式市場では、相場の下落により合計で44
兆ドル(約6300兆円)という膨大な金額が消滅し、半期ベースでは
過去最大になった(10月1日付け日経新聞)と伝えられています。
パウエル議長が述べた、「政策変更に伴う痛み」も、かなり具現化され
てきたように思います。今年も残り3カ月となりましたが、年内にイン
フレ鎮静化のデータが確認できるのかどうかが一つの焦点です。

先週のドル円は久しぶりに値幅も少なく、静かな週でした。
概ね144円台で推移し、145円に近づくと売られる展開で上値の重
い印象が残りましたが、それでも大きく売られることはありませんでし
た。この動きを見ていると、「どちらかと言えば、ドル円は上に行きた
がっている」と考えています。
145台では介入警戒感が強まり、仮に介入が入れば2~3円程度円高
に振れる可能性があることから、144円台前半から半ばでドルを買っ
た投資家は「それなら144円台後半で手放そう」とすることが、一時
的な「壁」につながっている部分はあるかと思います。その意味では今
のところ「介入の効果」が出ているとも言えます。
ドル円の今後の動きは、FRBの利上げスタンス次第ということになり
ますが、それもインフレのピークアウトを示すデータがいつ確認できる
のかということになります。

本日のドル円は143円80銭~145円50銭程度を予想します。


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