パウエル議長の発言待ち
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は前日と同じ展開。アジアから欧州にかけて137円台
後半まで売られたドル円は、NYでは138円85銭まで上昇。
米長期金利の上昇がドルを支える。
◆ユーロドルもドル高の流れから、1.0320まで売られる。
◆株式市場はまちまち。朝方には上昇する場面もあったが、前日の
地区連銀総裁のタカ派発言への警戒感が残り3指数はマイナス圏に。
引けにかけてダウのみが小幅高で取引を終える。
◆債券は続落。長期金利は3.74%台へ上昇。
◆金と原油は買われる。
◆9月ケース・シラ-住宅価格指数 → 10.43%(前年同月比)
◆9月FHFA住宅価格指数 → 0.1%
◆11月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 100.2
本日の注目イベント
◆豪 豪10月住宅建設許可件数
◆日 10月鉱工業生産
◆中 11月中国製造業PMI
◆中 11月中国サービス業PMI
◆独 独11月雇用統計
◆欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値)
◆米 7-9月GDP(改定値)
◆米 11月ADP雇用者数
◆米 11月シカゴ購買部協会景気指数
◆米 10月求人件数
◆米 10月中古住宅販売成約件数
◆米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米 ボウマン・FRB理事講演
◆米 クック・FRB理事講演
◆米 パウエル・FRB議長講演
パウエル議長の講演や、今週末には雇用統計を控え、様子見気分が強まる
環境の中でもドル円は相変わらず神経質な動きを見せ、しかも値幅もそこ
そこあります。昨日も前日とほぼ同じような動きを見せ、NY市場からは
139円台で帰ってきても
東京市場ではドル売り意欲が強く、ドル円は138円台に押し戻される展
開でした。さらに欧州市場に入るともう一段のドル売りが見られ、前日同
様、NY市場にかけては137円台後半を試す動きになっています。
これまでに比べ、1日に2~3円といった大きな値動きは見られないもの
の、落ち着きどころを探りながら137-139円のレンジ内で上下して
います。
中国の抗議デモは当局が警察を大量配備したことで鎮静化の兆しを見せて
いますが、NY株式市場は相次ぐタカ派発言の影響も残り、「リスクオフ
」の流れが優勢になっています。株価は軟調で、債券も売られたことで金
利上昇を材料にドル円は、NYでは連日底堅い動きが続いています。
まずまずの売上げを記録した「ブラックフライデー」でしたが、それに次
ぐ「サイバーマンデー」も、アドビによれば「最大116億ドル(約1兆
7200億円)」と、1日のオンラインショッピングとしては過去最高と
なる見込みのようです。
大幅な値引きが高インフレに苦しむ消費者を引き付けたようで、ブルーム
バーグは「サイバーファイブと呼ばれる商戦期(感謝祭から翌週月曜日ま
での期間)は2021年とは様変わりだ。昨年は、サプライチェーンの混
乱で消費者が買い物の前倒しを迫られ、小売り業者は値引きを渋った。こ
れに対して、今年は過剰な売れ残り品を抱える店側が、食料品、光熱費高
騰の負担を埋め合わせるためバーゲン品を狙う消費者の呼び込みに向け、
大幅な値下げを強いられている」とコメントしています。
人手不足に伴う賃金の高騰が、個人消費と労働市場の底堅さを支えている
構図が見て取れます
日増しに気温が下がり、夜には外の気温が零下にまで下がることも珍しく
なくなってきたウクライナでは、ロシアの発電施設への攻撃で、寒さの中
「節電」を強いられています。
ウクライナの国営電力会社は、同国の発電量は、需要の73%まで低下し
ていることを明らかにしています。天候悪化で電力需要が増える中、急速
に電力不足が広がっているようです。
NATOのストルテンベルグ事務総長は「ロシアのプーチン大統領がウク
ライナのエネルギーインフラを攻撃して住民から電力や暖房を奪うことで
、冬を『武器』として利用している」と非難しています。
同国のゼレンスキー大統領も、「ロシアがミサイルを保有している限り静
まることはないだろう。今週は先週と同じくらい厳しい週になる可能性が
ある」とビデオ演説で述べています。
ロシア側もこれまでに失った兵力の数は、負傷者や脱走者などを含めると
10万人に達しており、これは侵攻開始時の兵力の5割にも及ぶと言われ
ています。
さらに弾薬の不足や、戦車など攻撃車両も多く破壊されており、劣勢に立
たされていることは疑いのないところです。
このような状況の中プーチン氏は、最後の切札として「食料とエネルギー
」を標的にしてきたのではないかと考えられます。軍事専門家の一人は、
「この冬が一つのヤマ場となる」と分析しています。
注目のパウエル議長の講演は、現地時間(est)13時30分~14時
30分(日本時間12月1日、5時半~6時半)の予定です。
本日のドル円は137円~139円50銭程度を予想します。
*********************************
明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせて頂きます。
読者の皆様にはご不便をお掛け致しますが、ご理解の程、宜しくお願いい
たします。
- [2022/11/30 09:37]
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ドル円乱高下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆上値の重いドル円は東京時間に138円台前半まで下げ、その流れが
欧州市場でも続き、欧州市場の朝方には137円49銭まで下落。
NYでは一転してドル買いが強まり、139円近辺まで上昇するなど、
乱高下の一日だった。
◆ユーロドルも一時は1.0476まで買われたがその後反落。
◆株式市場は3指数が揃って大幅下落。中国での抗議行動の拡大に加え、
FOMCメンバーが揃ってタカ派的な発言を行ったことが背景。
ダウは495ドル下げ、3万4000ドルの大台を割りこむ。
◆債券は小幅に下落し、長期金利は若干上昇。
◆金は4日ぶりに反落。原油は76ドル台から反発。
本日の注目イベント
◆日 10月失業率
◆独 独11月消費者物価指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 ユーロ圏11月景況感指数
◆英 英11月消費者信用残高
◆米 9月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米 9月FHFA住宅価格指数
◆米 11月コンファレンスボード消費者信頼感指数
東京市場では139円台前半で始まった昨日のドル円でしたが、乱高下した
一日でした。
上値が重くジリジリと値を下げ、午後には138円18銭近辺まで売られま
した。中国での「ゼロコロナ」政策に対する抗議行動が北京や上海にまで拡
大したことで上海や香港株式市場では株価が大きく売られ、その影響もあり
「円が買われた」側面もありました。
欧州市場に入ると、ドル円はさらに下げ足を早め、一時は137円49銭辺
りまで売られ、今月15日につけた137円68銭を割り込み、8月26日
以来となるドル安水準を記録しました。
ここ最近のドルの上値の重さに加え、中国でのコロナ対策に関わる混乱から
「リスク回避」の流れが強まり、円が買われるのもある程度予測できた状況
でした。
ところが、NYでは一転してドル買いが強まり、ドル円は138円台を回復
し、139円辺りまでドル高に変わっています。
結局「往って来い」の相場展開となりましたが、反発のきっかけは、やはり
FOMCメンバーのタカ派的な発言でした。
この日は3人のメンバーによる発言がありましたが、中でも影響力を見せた
のはセントルイス連銀のブラード総裁です。
ブラード総裁は、マーケットウオッチとバロンズによるインターネット配信
のインタビューで、「米金融当局がインフレ抑制のために来年、一段と積極
的に利上げを行う必要が生じる可能性を金融市場が過小評価している」と指
摘しました。
またNY連銀のウイリアムズ総裁も講演で、「需給バランスを回復させ、向
こう数年にインフレ率を2%へ戻す上で、金融政策の一段の引き締めが助け
となろう。時間はしばらくかかるだろうが、持続的な物価安定を取り戻せる
と確信している」と述べています。
さらにクリーブランド連銀のメスター総裁は、「政策が景気抑制的な領域に
入り始めていることから、われわれとしては利上げペースを落とし、その効
果を評価する機会を得ている」と述べた上で、「明るいニュースにのめり込
むのは非常にたやすいが、希望的観測が真に説得力ある証拠に取って代わる
のは望ましくない。
時期尚早に停止した場合の代償は極めて大きい。この点についてわれわれは
極めて入念でありたい」と語っています。(ブルームバーグ)
いずれの発言も「まだ気を緩める段階ではない」と、市場の楽観論をけん制
する内容だと受け止められます。地区連銀総裁であり、FOMCのメンバー
でもあることを考えれば、当然と言える発言ですが、市場の反応は極めてス
トレートでした。これでますますパウエルFRB議長の発言が注目されるこ
とになりそうです。
パウエル議長は30日、ブルッキング研究所主催のイベントで「経済見通し
と労働市場について」講演を行う予定です。来月13-14日に開催される
今年最後のFOMCを控え、ブラックアウト期間入り直前のFRB議長によ
る発言機会の一つになります。
ブルームバーグは、「インフレとの闘いが2023年も続くことをあらため
て指摘する一方、金融当局として12月の次回FOMC会合で利上げペース
を落とすとの見通しを補強する」と見込んでいます。
中国で週末に拡大していたコロナ政策に対する抗議活動は、当局が北京など
の主要都市に警察を大量配備したことを受けて鎮静化に向っているようです
が、今回の抗議活動では上海市などで、多くの市民が白い紙を掲げ、あから
さまに習近平指導部への批判を行うなど、中国共産党の統制が強い中国では
異例の事態になっています。
この事態を受け、すでに香港で見られたように、さらに警察当局の締め付け
が厳しくなることも予想されます。
本日のドル円は137円50銭~139円50銭程度を予想します。
- [2022/11/29 09:42]
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WTI原油価格76ドル台まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は小動きの中、堅調に推移。債券と株式市場が
短縮取り引きであったこともあり、139円台前半から半ばで推移。
◆ユーロドルはやや下落したものの、前日とほぼ同じ水準で推移。
1.04を挟みもみ合いに。
◆株式市場は薄商いの中、まちまち。ダウは152ドル上昇したが、
S&P500とナスダックは小幅に反落。
◆債券は短縮取り引きの中、小幅に買われる。長期金利は3.67%台
で推移。
◆金は3日続伸し、原油は売られる。
本日の注目イベント
◆豪 豪10月小売売上高
◆欧 ユーロ圏10月マネーサプライ
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、オンラインイベントで講演
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁、ライブイベントでインタビュー
◆米 サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日)
依然として高インフレが続き、株式市場も低迷する中、個人の消費意欲を占う
意味でも注目されていた今年の「ブラックフライデー」は、事前予想では厳し
いと見られていただけに、まずまずの結果だったようです。実店舗での売り上
げは前年比「2.9%増」でした。また、ネット通販の売上高は「2.3%増
」の91億2000万ドル(約1兆2700億円)でした。
全体としては緩やかな伸びにとどまり、やはり高インフレと消費センチメント
の落ち込みが需要を抑えたようです。
小売り各社が衣料品などの在庫過剰を抱えていたこともあり、年末商戦の値引
き率は過去最高水準になったと見られ、その安さに引かれ、早めに「クリスマ
スプレゼント」を買っておくといった行動も見られたようです。
本日28日(月)は、ネット企業が一斉にセールを行う「サイバーマンデーで
す。家具や電子機器の割引が予定され、アドビ・アナリティクスは前年比5.
1%増の112億ドルの売り上げを予想しています。米国では「ブラックフラ
イデー」を皮切りに年末商戦が始まりますが、この状況が年末まで持続できる
のかは依然として不透明です。
中国でのコロナ感染の拡大が厳しい規制を続けていながらも止まらず、27日
には、住民や学生による制限措置に対する抗議の動きが広がりました。
きっかけは新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層マンションで24日夜発生し
た火災で、少なくとも10人が死亡したことが挙げられています。
この火災で助けを求める女性の映像がSNSで出回り、ロックダウンが救出を
妨げたのではないかと、市民の怒りに火を付けたようです。
オンラインで広がった抗議の動きは北京や上海などの大都市にも及び、地元当
局や中国共産党にも矛先を向け、習近平国家主席の退陣を訴える声も聞かれた
(ブルームバーグ)ようです。
先週後半、ドル円は138円07銭近辺まで売られる局面がありました。
FOMCでの利上げペースの見直し観測がドルの上値を重くし、さらにテクニ
カルでも「日足の雲を下抜け」したことで、ドルの持ち高を調整する動きが続
き、これらがドル円を押し下げたと見ています。
FOMCメンバーの多くは、目先のインフレ率の低下に対する市場の楽観的な
見方に対してけん制する発言を行ってきましたがドルの戻りは鈍く、今のとこ
ろそれほど効果的ではありません。今週も引き続き地区連銀総裁など、メンバ
ーの発言には注意が必要です。
ドル円は139円台まで戻してきましたが、チャートでは依然として雲の下で
推移しており、雲の形状が上方に伸びているため、さらに雲とローソク足の間
にあるギャップは拡大傾向にあります。
今後ドル円が何らかの材料に反応して戻る可能性もありますが、その際「雲の
下限」が今度はレジスタンスとして機能することになります。
今日現在で言えば、その水準は「141円73銭前後」にあります。
WTI原油価格も76ドル台まで低下してきました。
原油価格の低下は日本の貿易赤字の減少に寄与してきます。
徐々にではありますがドル需要の減少につながり、「ドル安要因」の小さな一
つにはなり得ると考えられます。
本日のドル円は138円~140円程度を予想します。
- [2022/11/28 09:41]
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ドル円続落し138円ぎりぎりまで売られる
ひと目で分かる昨晩の動き
欧州市場
◆ドル円は続落。米国が感謝祭の祝日だったものの、欧州市場で
138円07銭前後までドル売りが進む。欧州株も堅調で
リスクオンの流れが継続。
◆ユーロドルは小幅に続伸し1.0429まで上昇。
独ifo景況感が改善していたことも好材料に。
本日の注目イベント
◆日 11月東京都区部消費者物価指数
◆独 独12月GFK消費者信頼調査
◆独 独7-9月期GDP(改定値)
◆米 株式市場は午後1時まで。債券市場は午後2時までの短縮取引
(いずれも米東部時間)
◆米 ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)
米国は感謝祭の祝日で、NYでは恒例のパレードに多くの人が詰めかけたとの
報道です。感謝祭が終わり、いよいよ本日は「ブラックフライデー」で、年末
商戦の始まりです。米国人の多くは年間の支出額の多くをこの期間に使うとも
言われ、GDPの70%を占める個人消費の行方が、今後のFRBの金融政策
判断の一つになるかもしれません。今年はその行方に注目したいと思います。
百貨店大手の「メイシーズ」ではすでに「Black Friday Special Price」と記
して、セールを開始しているようです。米国の子供達にとっては、これからク
リスマスに向かうこの時期が、1年で最もわくわくする時期なのでしょう。
一方、アマゾンでは倉庫で働く従業員らが25日の「ブラックフライデー」に
合わせ、世界約40カ国で抗議行動やデモ行進に参加する予定になっています。
ドル円は昨日の東京市場朝方には139円台を割り込み、その後値を戻す場面
もありましたが、欧州市場では大きくドルが売られ138円07銭前後までド
ル売りが進みました。およそ10日ぶりの138円台前半までの下げです。
12月のFOMC会合では0.5ポイントの利上げが有力とみていますが、こ
れはこれまでの予想と同じで、一時0.75ポイントまで上昇した見方が元へ
戻っただけです。
それでもドル円は徐々に上値を重くしており、今週何度か触れていますが、日
足の一目均衡表で「雲を下抜け」したことが影響している部分もあろうかと思
います。昨日のブルームバーグのニュース配信の中でも、このことに触れてい
るものもありました。
センチメント的にも「ドルの戻りを売る」といったスタンスが強まってきたと
みていますが、主にヘッジファンドなどの投機筋が利用しているシカゴ先物市
場(CBOT)では、主要通貨のポジションを見ると、円を除く主要通貨では
すでに「ドルショート」が形成されておりこの先のドル安を想定したポジショ
ンメイクを行っていることが見て取れます。
円に対するポジションではまだ「ドルロング」の様ですが、その枚数は確実に
減少しています。また、原油価格が下落しており、これもドル売りにつながり
やすいでしょう。
原油の輸入量は変わらなくても、価格の低下により、輸入額の減少が貿易赤字
の減少に寄与することになります。
ただ、まだこのままドルがさらに下落するかどうかは不透明です。
来週の雇用統計や11月の消費者物価指数(CPI)が上振れすれば、この雰
囲気が一気に変わる可能性もあります。目先の下値のメドは先週15日に記録
した137円68銭前後かと思います。そのレベルがブレイクされた場合、や
はり次は、135円という大台が視野に入ってきそうです。
中国の新型コロナ感染が急拡大しています。
23日には新規感染者が2万9754人となり、日次ベースでは過去最多とな
ってきました。日本での感染者数に比べればまだ驚くほどのことはありません
が、一旦タガが外れれば増加数は想像を超えるペースで増える可能性がありそ
うです。
中国指導部は、コロナ感染拡大を幾分容認するのか、経済を犠牲にしてでも感
染を抑え込むため厳格な規制に回帰するのか判断しなければならないタイミン
グに差しかかっているとみられます。
トルコ中銀が24日、再び政策金利を引き下げました。
1週間物レポ金利を「9%」と、「1.5ポイント」の大幅利下げでしたが、
市場予想通りの結果でした。年内に1桁にするよう主張していたエルドアン大
統領の意向に沿った形となり、金融政策員会(MPC)は声明文で、「現在の
政策金利は適切であり、8月に開始した利下げサイクルを終了することを決め
た」と説明しています。
トルコではインフレ率が85%を超えていますが、世界的な引き締めの流れに
逆行してエルドアン大統領の圧力の下、4回連続で利下げを実施し、8月から
の利下げ幅は合計で5%に達しています。
この決定を受け、リラ円は7円38銭前後まで下げています。通貨リラは歴史
的な低水準で推移しており、なかなか浮上のきっかけがつかめない状況が続い
ています。
本日のドル円は137円50銭~139円80銭程度を予想します。
- [2022/11/25 09:39]
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ドル円10日ぶりに142円台まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は急反発。欧州時間に141円台に乗せ、NYでは
142円25銭までドル高が進む。特段目立った材料はなかったものの、
ユーロドルでドル高が進んだ影響との声も。
◆ユーロドルは1.0223まで売られる。中国でコロナ感染の拡大に
伴い、ロックダウンが強化されるとの見方もユーロ売りにつながる。
◆株式市場では3指数が揃って反落。依然として大幅利上げ観測が
消えない状況の中、ダウは45ドル下げ、ナスダックも121ポイント
の下落。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は3.82%台で推移。
◆金は4日続落。原油は「OPECプラス」が12月会合に向け、
増産を協議しているとの報道に一時75ドル台まで急落。
本日の注目イベント
◆欧 ユーロ圏9月経常収支
◆欧 ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧 OECD経済見通し
◆米 11月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁、同行主催のイベントで挨拶
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁、政策パネルに参加
◆加 カナダ9月小売売上高
ドル円が予想外に上昇しています。昨日の東京市場でも底堅い動きを見せ、
これまで何度も140円台では押し戻される展開でしたが、昨日は140円台
後半までドルが買われる場面もあり、これまでの東京市場とはやや異なる動
きではありました。
その後ドル円は欧州市場に入ると141円台に乗せ、NYでは142円台前
半まで上昇しています。ドル円との相関が高い米長期金利は小幅ですが低下
しており、株価の下落でリスク回避の流れから円が売られたとの説明も苦し
いものがあります。
となると、消去法で言えばやはりユーロドルで、「ドル高・ユーロ安」が進
んだことがドル円にも影響したと考えるしかありません。言うまでもなく、
ユーロ圏はドイツを中心に中国との経済的結びつきは強く、その中国ではコ
ロナ感染に対する政府の政策が上手く機能していません。
北京市ではコロナの感染者が死亡し、「ゼロコロナ政策」にもほころびが見
えています。
厳しい統制が敷かれており、規制を破った外出者には禁固4年の刑が科され
たとの報道もあります。
今後中国政府がさらに規制強化に動くとの見方からユーロが売られたようで
す。目立った材料が不足する中、市場は無理やり材料を仕立てているように
も思えます。
今月5日には92ドル台まで急伸したWTI原油価格が荒っぽい動きを見せ
ています。
先週後半から下げ足を早め、昨日は一時80ドルの大台を割り込み、75ド
ル台まで下げ、今年1月下旬以来となる安値を付ける場面もありました。
石油輸出機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成する「OPECプラス」
が12月会合に向け、日量最大50万バレルの増産を協議しているとの報道
がきっかけでした。
その後、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相が、国営サウジ通
信を通じた声明で、「OPECプラスが現在実施している日量200万バレ
ルの減産は2023年末まで継続される」と、否定したことで80ドル台ま
で戻して引けています。
SFシスコ連銀のデーリー総裁は講演で、「インフレは容認できないほど高
い」としつつも、「調整が行き過ぎれば、不必要な痛みを伴う景気低迷を招
きかねない」と述べ、インフレの減速が示された直近のCPI統計について
、「期待が持てる」と述べています。デーリー総裁はややハト派的な立場と
みられ、FF金利と金融市場の引き締まりとの間の乖離を意識し続けること
が重要だとし、「それを無視すれば、引き締め過ぎとなる可能性が高まる」
と続けています。
また、クリーブランド連銀のメスター総裁も同様な認識を示し、「利上げの
停止に多少でも近づいているとは考えられない。インフレ率が実際に2%に
向けて持続的な減速の道筋にあることを確認する必要がある」としながらも
、これまで4会合連続で0.75ポイントずつの利上げを踏まえて、「次回
会合で0.75から減速することができると考える。それに全く異存はない
」と語っています。(ブルームバーグ)この2人の総裁はハト派の代表的な
立場にいますが、特にメスター総裁は今年のFOMCでの投票権を持ってい
るだけに、市場からは注目されそうです。
米長期金利の上昇という援軍もないまま142円台まで上昇したドル円です
が、今日は142円台を維持できるかどうかが注目されます。
原油価格の大幅な下落は日本の貿易赤字改善に寄与することから、こちらは
円高要因とみられますが、137円台までドルが売られてから、10日ぶり
の142円台ということでドル売り注文も集まりやすいのではないかと予想
しています。151円94銭からの今回の下落局面では、フィボナッチリト
リースメントの「38.2%」戻しが143円13銭辺りになります。
本日のドル円は141円~142円80銭程度を予想します。
- [2022/11/22 09:28]
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WIT原油価格一時77ドル台まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は上昇。FOMCメンバーのタカ派的な発言から
大幅利上げが継続されるとの見方が強まり、ドル円は
140円43銭までドル高に。
◆ユーロドルも反発。NYでは終始1.03台で推移し、1.0386
までユーロが買われる。
◆株式市場では3指数が揃って上昇したもののまちまちに。
ナスダックはほぼ横ばいで取引を終え、ダウは200ドルに迫る上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.82%台まで上昇。
◆金と原油は揃って下落。原油価格は一時80ドル台を割りこみ、
77ドル台まで売られる。引き続き世界景気の後退懸念が重しに。
********************(何もない時は空欄のままにします)
◆10月中古住宅販売件数 → 443万件
◆10月景気先行指標総合指数 → -0.8%
本日の注目イベント
◆独 独10月生産者物価指数
一時ほど大きな値動きを見せず、明確な方向感もないドル円は、NYでは
長期金利の上昇が支えとなり再び140円台に乗せています。
先週末の東京時間では140円台では徐々にドル売りが優勢となり、13
9円台半ばまで下げましたが、欧州からNYにかけては140円台まで反
発しています。
底堅い動きを見せながらも、140円80銭辺りから上方が抜け切れない
展開が続いています。
やはりFOMCメンバーによるタカ派的な発言がドル買いに働きました。
ボストン連銀のコリンズ総裁は18日CNBCのインタビューで、12月
FOMC会合での利上げ幅について、選択肢はオープンだとしながらも、
0.75ポイントの利上げになる可能性もあると述べています。
コリンズ総裁は、「期待の持てる兆しがいくらか見られ始めているが、現
時点では、全体のインフレ率が低下しているという明白かつ一貫した証拠
はまだない」と指摘し、「われわれのやるべき仕事はまだある」と述べて
います。利上げ幅については「現在は金融政策が引き締め領域にあると大
半の人が考えるレンジにある。だが、75も依然として選択肢だ。そう指
摘しておくことも重要だと私は考える」と語っています。(ブルームバー
グ)
先週講演のあったブラード総裁ほどではないものの、0.75ポイントの
利上げの可能性を排除しないとの発言は、やはり当局のインフレ見通しに
対する慎重さと同時に、市場を牽制する意味合いもあると受け止められま
す。
19日には、アトランタ連銀のポスティック総裁も12月会合の利上げ幅
について触れています。
ポスティック総裁はハト派寄りの発言を行い、「ペースという点では、経
済が向こう数週間に私の予想通りに推移するなら、次回会合から75bp
利上げから離れ始めることに抵抗を感じないだろう」と語っています。
このように、FOMCメンバーの中には景気を冷やしすぎることへの懸念
から、利上げペースを減速させるほうが良いとの意見もありますが、現時
点ではまだ少数派だということです。
年内最後の会合で利上げ幅がどの程度になるのか、今後発表される11月
の雇用統計、11月の消費者物価指数(CPI)が極めて大きな意味を持
ちそうです。
発表される経済指標では、住宅市場では明らかに金利上昇の影響を受けて
いる兆候がうかがえます。また先週末の「景気先行総合指数」でも、3月
以降ほぼマイナス圏で推移しています。
一方個人消費や労働市場は依然として好調さを堅持しています。
今週末の「ブラックフライデー」でも、好調だとする予想もありますが、
株価の推移を考えると、個人的には大幅な伸びは期待できないのではない
かと予想しています。
ユーロドルが今後さらに上昇するのか、あるいは再び下落に向かうのか、
テクニカル的には非常に重要な値位置に来ています。
パリティを大きく超え、先週は1.04台後半まで上昇する場面もありま
した。
ただ、それ以降は上昇するものの、1.03台後半で押さえられる展開が
続いています。
重要な移動平均線である日足の「200日移動平均線」が1.04付近に
あることで、もう一段の上昇が抑制されています。
何しろこの日足の「移動平均線」、ローソク足は昨年6月以降一度も上回
ることなく低下しています。
もし、この線を明確に上抜けすれば、ほぼ1年半ぶりのこととなり、それ
は「トレンドの転換」を意味することにもつながります。
ユーロ圏では12月の理事会でも0.5ポイントの利上げが意識されてい
る一方、リセッション入りの可能性は米国よりも高いと見ています。
これから本格的な冬に向かうと、法人、個人を問わず、エネルギー価格の
上昇による景気の悪化がさらに強まるとみられます。
本日のドル円は139円~141円程度とみています。
- [2022/11/21 09:44]
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米長期金利上昇でドル円140円台後半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は139円台から上昇し、NYでは140円74銭まで
買われる。セントルイス連銀総裁のタカ派発言に米長期金利が
上昇し、ドル買いを促す。
◆ドル高の流れにユーロドルはやや売られたものの、1.03台を維持。
◆株式市場はブラード総裁の発言で大きく下げたが引け値では小幅安。
ダウは7ドル安まで下げ幅を縮小し、S&P500も12ポイント安で引ける。
◆債券は反落し、長期金利は3.76%台に上昇。
◆金は続落。原油は3日連続で大幅安となり81ドル台に沈む。
世界経済の減速をにらんだ荒っぽい値動きが続く。
◆新規失業保険申請件数 → 22.2万件
◆10月住宅着工件数 → 142.5万件
◆10月建設許可件数 → 152.6万件
◆11月フィラデルフィア連銀景況指数 → -19.4
本日の注目イベント
◆日 10月消費者物価指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆英 英10月小売売上高
◆米 10月中古住宅販売件数
◆米 10月景気先行指標総合指数
セントルイス連銀総裁、ジェイムス・ブラード・・・・・・。
やはり、この人の発言は大きかったです。
昨日のコメントの最後に「個人的にはブラード・セントルイス連銀総裁の講演内容
に注目しています」と書きました。ブラード総裁は、FRBは今年3月のFOMC
で最初の利上げを行いましたが、それ以降も米インフレの高進について再々、「あ
などってはいけない」と警告を発し、早くから大幅利上げを提唱してきました。
FOMCでは3月の「0.25ポイントの利上げ」に始まりましたが、その後もイ
ンフレの加速が続き、ご存知のように全ての会合で利上げを行い、今月の会合でも
「0.75ポイント」の大幅利上げを4回連続で決めました。
12地区連銀の中ではNY連銀が圧倒的に存在感が大きく、同連銀総裁は常にFO
MCでの「投票権」が付与されているだけではなく、FOMC会合では副議長とし
て重要な役割もあります。それだけにNY連銀のウイリアムズ総裁の発言は常に注
目されていますが、今年に限ってはブラード総裁の後塵を拝している印象で、ブラ
ード総裁が「旬」だと言えます。因みに、同総裁は今年の「投票権」を持っていま
す。
昨日の発言は金融市場に大きな影響を与えていました。
総裁は17日、ケンタッキー州で講演を行い、「十分抑制的な政策にするという金
融当局の目標を達成するには、政策金利の水準をより高くする必要がある」と指摘
し、「そうした寛容な想定の下であっても、政策金利はまだ十分抑制的と見なされ
る領域にはない。十分抑制的な水準に達するためには、政策金利はさらに引き上げ
られる必要がある」と述べています。
また同総裁は記者団に対して、「私は以前、4.75-5%との見解を示していた
が、きょうのこの分析に基づけば、5-5.25%ということになろう。その水準
なら少なくとも(十分抑制的とみなされる)領域に達する」と語っています。(ブ
ルームバーグ)
ブラード総裁が示した金利水準の算出は、スタンフォード大学のジョン・テイラー
教授が考案した「テイラー・ルール」が用いられているとしています。
この発言を受け、株式と債券が売られ、長期金利が上昇したことでドル円は139
円台後半から140円台後半まで買われています。
また、大幅利上げ観測が修正されるとの観測が後退し、景気減速からWTI原油価
格は3ドルを超える下げとなり、10月3日以来となる81ドル台まで売られてい
ます。
今週初めに予想したように、10月のCPIが市場予想を下回り、米国のインフレ
がピークアウトしたとの見方が一気に台頭しましたが、多くのFOMCメンバーは
先走る市場のバイアスをけん制する発言を行い、これがドルの下落を支える役割を
しています。
筆者も個人的には、米国のインフレがピークアウトした可能性は高いのではないか
と考えていますが、まだ「単月」での話であって、これが少なくとも数カ月継続し
て示される必要があります。
米国のインフレについてはまだ予断を許さないと見ておいた方がいいかと思われま
す。
ポーランドに着弾し、2人の死亡者を出したミサイルを巡って、ウクライナのゼレ
ンスキー大統領と米国の見方に違いが出ています。
バイデン大統領は「軌道からするとロシアから発射された可能性は低い」と述べて
いますが、ゼレンスキー大統領は「ロシアのミサイルだと確認している」としつつ
も、「100%は分からない。何が起きたのか、世界も100%は知らないと思う
」と述べ、「これがウクライナの防空ミサイルだと具体的には言えないだろう」と
続けていました。
ロシアは15日、大規模なミサイル攻撃を行い、ウクライナ当局の発表によると、
ロシアは約100発のミサイルを発射し、このうち70発余りをウクライナ軍が撃
ち落としたとしています。
今後米国とNATOが調査を進めていくことから、ロシアからのものなのかどうか
は判明すると思われますが、ポーランドでは犠牲者も出ていることから、ゼレンス
キー氏としては認めたくないのかもしれません。
3年ぶりとなる「日中首脳会談」がインドネシアで行われましたが、これまで台湾
を巡る問題で緊張が高まっていただけに、対面で直接話が出来ただけでも効果があ
ったと考えます。
今後継続的に会談が行われるのかどうかが重要ですが、習近平体制がますます強化
されている中で、あまり楽観的には見られないのではないかとも思います。
本日のドル円は139円~141円といったところでしょうか。
目立った材料が不足する中、ドル円のボラティリティーは3カ月で「11.8%」
と依然高水準です。
- [2022/11/18 09:54]
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米長期金利1カ月ぶりに3.67%台まで低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は140円台まで値を戻すも、欧州やNYでは反落。
米長期金利が3.7%を割る水準まで低下したことで139円05銭
までドル売りが進む。
◆ユーロドルは引き続き堅調に推移し、高値は1.0423近辺。
◆株式市場は小売売上高など、一部の経済指標が良好だったことで
大幅利上げ修正観測が後退。3指数は揃って下げ、ナスダックは
174ポイントの下落。
◆債券は続伸し、長期金利はおよそ1カ月ぶりに3.67%台まで低下。
◆金は小動き。原油は反落し85ドル台に。
◆10月小売売上高 → 1.3%
◆10月輸入物価指数 → 4.2%
◆10月鉱工業生産 → -0.1%
◆10月設備稼働率 → 79.9%
◆11月NAHB住宅市場指数 → 33
本日の注目イベント
◆豪 豪10月雇用統計
◆日 10月貿易統計
◆欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 10月住宅着工件数
◆米 10月建設許可件数
◆米 11月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 ジェファーソン・FRB理事、カシュカリ・ミネアポリス連銀
パネル討論に参加
◆米 ボウマン・FRB理事講演
ドル円は東京時間には140円台前半まで上昇する場面があり、前日のNY
では137円台半ばまでドルが急落したものの、やはり135-137円台
は底堅いとの印象がありましたが、140円台を維持することは難しかった
ようです。
米長期金利が3.67%台まで低下し、約1カ月ぶりの低水準を付けたこと
がドルの上値を抑えた格好でした。
10月の小売売上高が市場予想以上の伸びを示し、8カ月ぶりの高水準でし
た。高インフレ下でも財への需要が堅調であることが示され、その背景にな
っているのが好調な労働市場に支えられている賃金上昇です。
個人消費の伸びが加速したことは、今後のFRBの大幅利上げ見直し議論に
とって「逆風」とも言えます。
一方で10月の鉱工業生産指数では、製造業の生産指数が前月比0.1%上
昇と、予想を下回り、全米ホームビルダー協会(NAHB)が発表した11
月の住宅市場指数は、コロナ禍に陥った直後を除き、10年ぶりの低水準で
した。
強弱入り混ざった結果は今後も予想され、株、債券、為替も一方方向には動
きそうもない気配も感じます。
それでも大手米銀などは来年には「米景気が緩やかな景気後退に入る」との
見立てを崩しておらず、米国のインフレがピークアウトを示唆するデータに
加え、リセッション入りの可能性がさらに高まると、それ自体がドル売り材
料として意識されるようになるかもしれません。
SFシスコ連銀のデーリー総裁は16日CNBCとのインタビューで、「次
回の会合を迎える上で、頭に入れておくべき水準としては4.75-5.2
5%程度が妥当と思われる」と述べ、「利上げの一時停止は現在のところ選
択肢にはない。議論すらされていない。現時点での議論はペースの減速であ
り、それが妥当だ」と語っています。また、ウォラーFRB理事もアリゾナ
州フェニクスでのイベントで講演を行い、「この数週間のデータで0.5ポ
イントの利上げ幅縮小を検討する違和感は弱まった」とし、「しかし、さら
なるデータを見るまでは判断を下さないつもりだ」(ブルームバーグ)と述
べ、直ちに大幅利上げを見直すことには慎重な姿勢を維持しています。
米金融当局者から出て来る発言としては、前のめりになりがちな市場をけん
制するという意味で、想定通りの内容でした。今後も12月会合まではこの
様な発言が多く出て来ると予想していますが、それでもFOMCメンバーの
中で意見の違いが出て来ることも想定されますが、これも驚きではありませ
ん。「Data depends」(データ次第)の基本姿勢は変わりません。
前日ポーランドに着弾し、2人の死亡者が出たミサイル発射について、バイ
デン大統領は「軌道を考えれば、ロシアから発射された可能性は低い」と語
っています。またNATOのストルテンベルグ事務総長も「ロシアの巡航ミ
サイル攻撃から領土を守るためにウクライナが発射した迎撃ミサイルが原因
だった公算が大きい」と述べ、「意図的な攻撃の結果だったことを示唆する
ものは何もない」と説明しています。ポーランドのドゥダ大統領も「不幸な
事故だった可能性が高い」として、ロシアからのミサイルではないことを認
めている模様です。
予想されていた通り、昨日フロリダ州にあるトランプ氏自身が所有する高級
リゾート地「マール・ア・ラーゴ」で、トランプ氏は2024年の大統領選
に出馬することを宣言しました。
ただ、次回の大統領選は前回のそれよりもハードルが高いように思います。
予備選挙で先ずは共和党での代表候補を勝ち取らなければなりませんが、噂
ではペンス前副大統領やフロリダ州のデサンティス知事が出馬するとの声も
あります。
今回の中間選挙では共和党の議席が思ったほど伸びず、その責任を問う声も
大きくなっています。
下院の議席がまだ最終的に決まっていませんが、今朝の時点ではNBCとC
NNが「共和党が僅差で多数派の地位を確保した」と報じています。
本日もFOMCメンバーの講演が多くあります。個人的にはブラード・セン
トルイス連銀総裁の講演内容に注目しています。
本日のドル円は138円~140円50銭程度を予想します。
- [2022/11/17 09:44]
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ロシアミサイルのポーランド着弾報道でドル円一時137円台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京市場では140円台半ばまで上昇したドル円はNYでは
急落し、一時は137円68銭までドル安が進む。米10月のPPIが
予想を下回ったことや、ロシアのミサイルがポーランドに着弾し2人が
死亡したことなどが背景。
◆ユーロドルも続伸する場面があり、一時1.0481まで上昇。
◆株式市場はロシアミサイルのポーランド着弾の報道に売られる
場面もあったが、堅調に推移。3指数は揃って反発。
◆債券は地政学的リスクの高まりを受け上昇。長期金利は3.77%台に低下。
◆金は横ばい。原油は反発。
◆11月NY連銀製造業景況指数 → 4.5
◆10月生産者物価指数 → 0.2%
本日の注目イベント
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆欧 ECB金融安定報告
◆英 英10月消費者物価指数
◆英 英10月生産者物価指数
◆米 10月小売売上高
◆米 10月輸入物価指数
◆米 10月鉱工業生産
◆米 10月設備稼働率
◆米 11月NAHB住宅市場指数
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米 バー・FRB副議長。下院金融委員会で証言
◆米 ウォラーFRB理事講演
ドル円は再びNY市場で乱高下を繰り返しています。
東京市場では140円台半ばで推移していましたが、NYでは朝方10月の生産者物価
指数(PPI)の発表が市場予想を下回ったことから、先週のCPIの時と同様に株式
と債券が買われ、ドル円が売られました。加えて、ロシアのミサイルがポーランドに着
弾し、2人が死亡したとのニュースが飛び込み、ドル円は一気に137円68銭まで売
られています。ドル円はその後139円台まで値を戻していますが、引き続き外部から
の情報には敏感に反応しやすい状況が続いています。
ポーランドへの着弾は意図的かどうかは分かっていませんが、ロシアがウクライナへの
攻撃で発射したミサイルの一部の可能性もありそうです。
ウクライナ軍報道官によると、約100発のミサイルが黒海やロシアのロストフ州、カ
スピ海から発射され、ウクライナ北部や中央部で最も大きな被害が出ている模様です。
NATO加盟国であるポーランドはこの事態を受け、臨時の国家安全保障会議を開催す
ることを発表しています。一方ロシア側はこの報道を否定しています。その数時間前に
は、ウクライナのゼレンスキー大統領が、和平交渉実現にはロシアが国境を受け入れ、
ウクライナ全土から軍を撤退させる必要があると演説を行っていました。
また、今回の事態はインドネシアのバリ島で「G20首脳会議」が開かれている最中に
起きており、ホワイトハウスはロシアの攻撃を非難しています。
米10月のPPIは市場予想の「0.4%」に対して「0.2%」と鈍化しており、前
年同月比でも「8%」と、市場予想の「8.3%」を下回る結果でした。
CPIに続き、インフレ圧力が緩和し始めている兆候として受け止められています。
PPIは「川上」での価格であり、この先消費者物価へ転嫁されることから、今後もC
PIの鈍化につながるとみられます。
これで10月については「川上」、「川下」で、物価上昇率が鈍化してきたことが確認
されたことになりますが、問題はこの傾向が今後も続くかどうかです。
このことに関して、アトランタ連銀のポスティック総裁は、「インフレ目標を達成する
ために十分抑制的な金融政策にすることがゴールだ」と述べ、「まだそこまでには達し
ていない。従ってさらなる利上げが必要になると考えている」と、引き続き慎重な
姿勢を見せています。一方、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁はやや楽観的な認識
を示し、「これまでに行った累積的な引き締めを踏まえると、金融政策は十分に景気抑
制的スタンスに近づいており、今後数カ月で利上げのペースは減速すると予想する」と
して、「来年のどこかの時点で金融政策が効果を表す様子を見守りつつ、景気抑制的な
水準に金利を維持することになると考えている」と語っています。(ブルームバーグ)
ただ、ハーカー総裁の見方はFOMCメンバーの中ではまだ少数派とみられ、多くのメ
ンバーが慎重な姿勢を崩していないのが現状です。
本日、日本時間午前11時にトランプ前大統領は「Big announcement」(大きな発表)
を行うと言っていました。
2024年の大統領選への出馬を宣言するとみられていますが、米中間選挙前と現在で
はやや情勢が異なってきました。
中間選挙では期待外れの結果となっている共和党内では、票が伸び悩んだ責任はトラ
ンプにあると非難する声が増えているようです。
今回の中間選挙では、まだ最終的な結果は出ていませんが、直近でもアリゾナ州知事選
で、共和党のレーク候補が民主党のホップス候補に敗れるという大波乱がありました。
レーク氏は、2020年大統領選でのバイデン氏の当選を認めない「選挙否定派」の中
でも最も知名度が高く、今回の知事選でも「当選確実」と見られていただけに、トラン
プ氏にとっても手痛い敗北だったようです。その他、トランプ氏を後押した候補者が複
数敗北を喫しています。このような中での「出馬宣言」のようですが、今回の結果につ
いて、「敗因はマコネル上院院内総務にある」と言ってはばからないトランプ氏、米国
の「分断」だけではなく、共和党をも「分断」させる可能性もありそうです。
本日の「出馬宣言」に関しても、共和党内ではジョージア州での決選投票が行われる1
2月16日まで発表を先送りするよう説得されていましたが、強行する模様です。
ブルームバーグは政治ストラテジストのコメントを引用して、「ジョージア州決選投票
を待たずにトランプ氏が発表するのは、国政史上最も利己的な政治的行為の一つとして
語り継がれるだろう」と述べています。
本日のドル円は137円50銭~140円程度を予想します。
- [2022/11/16 09:43]
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ドル円140円台後半まで反発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は急反発。先週末の138円台半ばから東京時間には
139円台を回復し、欧州での140円台乗せを引き継ぎ、
NYでは140円70銭までドルが買われる。
ブレイナード理FRB副議長の発言からFRBの金融引き締めが
継続されるとの観測が強まる。
◆ユーロドルは前日に続き堅調に推移。この日の高値は1.0359
◆株式市場は3指数が揃って下落。3指数とも小幅な下落だったが
引けにかけて大きく下げる。ダウは211ドルの下げに。
◆ブレイナードFRB副議長が利上げ停止には否定的な見方を示した
ことで債券は下落。長期金利は3.85%台へと上昇。
◆金は3日続伸。原油価格は大幅に反落。
本日の注目イベント
◆豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆日 7-9月GDP(速報値)
◆日 9月鉱工業生産(確定値)
◆中 中国10月小売売上高
◆中 中国10月鉱工業生産
◆独 独11月ZEW景気期待指数
◆欧 ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)
◆欧 ユーロ圏9月貿易収支
◆英 英ILO失業率(7―9月)
◆米 11月NY連銀製造業景況指数
◆米 10月生産者物価指数
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米 バー・FRB副議長、上院銀行委員会で証言
◆米 クック・FRB理事講演
◆米 トランプ前大統領、「大きな発表」(フロリダ州)
およそ3年5カ月ぶりの対面での米中首脳会談がバリ島で行われました。
会談に先立ち、両首脳は堅く握手をかわしましたが、バイデン氏はにこや
かな笑顔を見せていた一方、習近平氏は終始硬い表情を崩さず対象的な印
象でした。もっとも、習氏のこのような表情は今に始まったことではなく
、先日の党大会の席でも同様で、ポーカーフェイスぶりは変わらないよう
です。
会談は3時間にも及び、米中はロシアの核使用には反対であることで一致
しました。台湾問題では議論の応酬があったものの、バイデン氏は、「中
国側に台湾侵略の差し迫った意図があるとは考えない」と述べ、「新たな
冷戦は必要ないと固く信じている」と一定の評価をしていました。
一方習氏も「紛争や対立を防ぎ、平和的共存を達成することはお互いの基
本的な利益にかなう。両国経済は深く相互に関わっており、いずれも発展
における新たな課題を抱えている」と述べています。
会談後の声明でホワイトハウスは、ブリンケン国務長官が中国を訪問する
ことを明らかにしています。
ドル円は昨日の早朝には138円台半ばで推移していましたが、徐々にド
ル高に振れ、東京市場では139円台後半まで上昇する場面がありました
。その後の欧州市場でもドルが買われ、ドル円は140円80銭前後まで
反発する場面もありました。NYでは140円台後半から徐々に売りが優
勢となり再び139円台まで押し戻されましたが、やはり138円台まで
のドル売りはオーバーシュートだったのでしょうか。
オーバーシュートは為替には付き物で、151円94銭までドル高が進ん
だことも同様にオーバーシュートで「行き過ぎ」だったのかもしれません。
この先、相場はまだまだ落ち着きませんが、140円を中心にもみ合うこ
とになるかもしれません。
「FRBが利上げを停止するまでには、まだ道のりは長い」と発言したウ
ォラーFRB理事に続いて、ブレイナードFRB副議長も14日ブルーム
バーグとのインタビューで、「恐らく利上げペース減速への移行が近く適
切になるだろう」と発言した上で、「われわれは多くのことを行ってきた
が、追加でしなければならないことがある。強調すべき真に重要なことは
それだ」と語っていました。この最後の部分が市場に影響を与えたとみら
れ、為替、株、債券の各市場は再び値を崩す動きになっています。
またダラス連銀のローガン総裁もヒューストンで開かれた会合で同様に、
「金融・経済情勢の展開をよりきちんとした形で評価できるよう、利上げ
ペースを緩めることが近く適切になり得ると思うが、ペース減速が一段と
緩和的な政策を意味すると受け止めるべきではないとも考えている」と述
べ、市場の拙速な利上げ停止観測をけん制していました。これらFOMC
メンバーの発言には驚きはなく、当然予想されたことです。
今後も、次の確かなデータが出るまでは前のめりになる市場をけん制する
発言が何度もあると、筆者は予想しています。(参照:11月14日付け
、マーケット情報「今週のレンジ予想」)
先週の米消費者物価指数(CPI)の発表を境に、市場の流れが変わって
きました。
ドル円はその直後の2日間で7円50銭以上も急落し、米長期金利も急低
下しました。
株式市場ではそれ以前にその予兆がありました。ダウは今月だけでも先週
末時点では1000ドルを超える上昇を見せ、9月末の直近安値からは5
000ドル以上(約17.5%)も上昇しています。
多くの金融機関の専門家が「米株はまだ20%ほど下げる可能性が高い」
との観測を発表していた中での急反発でした。ただ、まだ市場の先行きと
いうか、FRBの金融政策の行方も不透明です。
いずれ米国のインフレ率は鈍化して行くことは間違いないところだとは思
いますが、その低下幅や、どの程度の時間をかけて低下するのかも不明で
す。低下の途中では揺り戻しもあるでしょう。また、2%の物価目標を達
成する前に米景気がリセッション入りする可能性もないとは言えません。
不確実な要因が多く存在する中で、為替も右往左往することになります。
今年も残りひと月半となりました。最後の最後まで荒っぽい値動きが続く
かもしれませんが、それは来年にも持ち越される可能性が高いと見ておく
べきでしょう。
本日のドル円は139円~141円程度を予想します。
- [2022/11/15 09:25]
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ドル円続落し138円台半ばへ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落し、NYでは138円47銭近辺まで下落。
債券市場が休場だったこともあり、大きな値動きはなかったものの、
前日のドル急落の余韻を残す。
◆ユーロドルでもドル安の流れは続き、ユーロは1.0364まで
買われ、8月10日以来、およそ4カ月ぶりの高水準を記録。
◆株式市場は前日の大幅高に続き、この日も上昇。ナスダックは209
ポイント高となり、他の2指数も続伸。
◆債券市場は休場。
◆金と原油は揃って続伸。
◆11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 54.7
本日の注目イベント
◆亜 米中首脳会談(インドネシア、バリ島)
◆欧 ユーロ圏10月鉱工業生産
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁パネル討論に参加
◆中東 OPEC月報
ドル円が140円の大台をあっさりと割込み、欧州からNYにかけては138円
台半ばまでドル安が進みました。前日のCPIの下振れをきかっけに急速にドル
高の修正が進んでいます。率直に言って、想定を超える「速さ」です。米国のイ
ンフレがピークアウトを示唆するデータが出れば、ドル安が進むことは誰しもが
考えていたところですが、その下落スピードはやや急激過ぎる印象です。それほ
どドルロングが積み上げっていたのかもしれませんが、ここは冷静に考える必要
があろうかと思います。
米国のインフレがピークを付けたとすれば、物価上昇率は今後緩やかに減速して
いくことになりますが、それでもFRBが目指す2%はかなり遠い距離です。
5%を下回る水準まで低下したのであれば話は別ですが、そこまで低下するのも
早くても、来春のことと思われます。原油価格も85ドル~90ドルで高止まり
しており、日本の貿易赤字を解消するには至っていません。
日米金利差は多少縮小することにはなりますが、構造的なドル買い需要はそう簡
単には変わらないと考えられます。
また先週指摘したように、トレンドが転換したと判断し得る「日足」チャートで
は、雲の下限を前に、ローソク足が反転している形状になっています。
つまり、多くの投資家が一旦は下げ止まる水準として注目していたことがうかが
えます。
この水準で、先に売った投資家の中には買い戻した人もいるし、新規に買った人
もいるということで、ここまではテクニカル通りです。
個人的は、ここは一旦「打診買い」の水準ではないかと考えています。
今朝6時半時点でのドル円は138円台半ばで推移しています。
151円94銭を天井に、すでに13円47銭程下げたドル円でしたが、相変ら
ず下げのスピードは速いということを痛感させられた感じです。
そもそも今年の大幅な円安の進行そのものが「想定外」であったわけですから、
この先何が起こるか正直わかりません。一旦は買い場と考えてはいますが、注意
は必要です。「山高ければ、谷深し」ということでしょう。
本日インドネシアのバリ島で、米中首脳会談が行われます。
米中間選挙では大方の予想に反して、民主党が上院で多数派維持を確実にし、下
院でも開票当初に比べ、民主党が議席を伸ばし、過半数の議席数である218議
席を巡る接戦が続いています。
現時点では共和党211、民主党203で、どちらが過半数を獲得するのか依然
判明していません。
このような状況を受けバイデン大統領は「一段と強い立場で」習近平氏との会談
に臨むことになると発言しています。
バイデン氏は、「私は習近平氏を知っており、彼は私を知っている。レッドライ
ンが何かを見つけねばならないだけだ」と話しています。(ブルームバーグ)
米中首脳会談に先立ち、13日には米日韓による首脳会談が行われています。
ここでは「北朝鮮のミサイルによる挑発行為や、台湾海峡周辺での中国の威嚇行
動に対する認識」が共有されたようです。
暗号資産交換業者FTXの破綻に関して、バハマ警察はバハマ証券委員会と協力
し、刑法違反行為の有無を捜査している模様です。同社のCEOを辞任したバン
クマンフリード氏はすでに警察の聴取を受けており、英フィナンシャル・タイム
ズ(FT)によれば、FTXトレーディング・インターナショナルの流動資産は
10日時点でわずか9億ドル(約1250億円)だったのに対して、負債は90
億ドルだったと報じており、サマーズ元財務長官は、不正の臭いが漂うとしなが
ら、「リーマン危機に例える人が多いが、どちらかと言えばエンロンに近いだろ
う」と述べています。代表的な暗号資産であるビットコインはさらに下げて、1
万6300ドル台まで売られています。昨年9月に記録した過去最高値の6万7
734ドルからは、実に76%程下げたことになります。
本日のドル円は138円50銭~140円80銭程度を予想しています。
- [2022/11/14 09:39]
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米CPIを受け、ドル円一気に140円台前半に急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は10月の米CPIが予想を下回ったことから一気にドル売りが
加速し、一時は140円20銭と、9月5日以来となる円高水準を記録。
◆ユーロドルでもドル安が加速。8月以来となる1.02台前半まで上昇。
◆株式市場はインフレのピークアウトを示唆する結果に3指数が大幅高。
ダウは1200ドルを超える上昇を見せ、S&P500も200
ポイントを超える上昇。
◆債券価格も大幅に上昇。長期金利は3.8%台まで低下する場面も。
◆ドルが売られたことで金は大幅高。1750ドル台まで上昇。
原油は小幅に上昇。
◆10月消費者物価指数 → 0.4%
◆新規失業保険申請件数 → 22.5万件
◆10月財政収支 → -87.8b
本日の注目イベント
◆米 NY休場(ベテランズデー)
◆独 独10月消費者物価指数(改定値)
◆欧 欧州委員会、秋季経済見通し
◆英 英7-10月期GDP(速報値)
◆英 英9月鉱工業生産
◆英 英9月貿易収支
◆米 11月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
昨日の朝方、あるラジオ番組で為替の話をしましたが、最後にキャスターの方から、
「明日の米国のCPIをどのように予想しますか?」と聞かれました。「開けて見
なければ分からないとは思いますが、どちらかと言えば、良い結果(CPIの低下
)が出るのではないかと予想しています。仮にそうなれば、株価が大きく上昇し、
金利が低下し円高が進むことになります」と答えました。
あくまでも「勘」でしたが、昨日の夜10時半、米国の10月の消費者物価指数(C
PI)は事前予想の「7.9%」に対して「7.7%」(いずれも前年同月比)と
発表され、インフレ率の上昇がようやく鈍化してきたことが確認されました。
もし「勘」があたれば円高、株高が進むとは見ていましたが、それにしても市場の
反応にはすさまじいものがありました。
ドル円は146円台前半から一気に140円20銭近辺まで円高ドル安が進み、N
Y株式市場ではダウが1200ドルを超える上昇でした。
多くの市場関係者が「待ちわびていた」インフレのピークアウトを示唆する結果に
、これまでのポジションを一気に巻き戻したとみられます。
ドル円はロングのストップロスを巻き込み、142円台まではほぼ一直線に下げ、
その後も一旦値を戻しましたが、再び下げに転じ140円台前半を記録しています。
今回のCPIの下振れ予想は「勘」ですが、それでもその気配を感じ取った理由は
あります。このレポートでも何度か触れましたが、直近ではFRB、ECB、BO
Eの主要3中銀が揃って「0.75ポイントという大幅な利上げ」を決めましたが、
一方でカナダ中銀とRBAは市場予想を下回る小幅な利上げにとどめました。そろ
そろインフレのピークが近いことを感じさせる決定だったわけです。そのため、「
3中銀が0.75ポイントの利上げを決めるのは、ひょっとしたらこれが最後にな
るかもしれません」という言葉をコメントとして残しておきました。
また、これも昨日のコメントで触れましたが、エジプトで行われた「COP27」
で講演を行ったIMFのゲオルギエワ・専務理事が「データを入手する前に判断を
急ぐつもりはないが、世界のインフレはピークに達しつつある可能性は非常に高い
」と述べています。IMFも独自の調査部門を有しており、その調査には定評があ
ります。ある程度のデータを基に専務理事の言葉は発せられた可能性があると判断
したわけです。さらに言えば、昨日のラジオでも「ユーロドルがチャートで上昇気
配を示しており、日足で上昇トレンドを示唆するのは昨年6月以来、およそ1年半
ぶりのことです。ドル安、ユーロ高が鮮明になってきました」とコメントしました。
米国のCPIの結果を受けて、これほどマーケットが反応を見せた記憶は筆者には
ありませんが、円高に振れるとすれば「三つの要因」が考えられました。その一つ
である「米インフレのピークアウトを示唆するデータ」がついに出て来たことにな
ります。
この結果を受け、ドルロングの投資家は苦渋を味わい、ショートの人にはようやく
やって来たチャンスに胸を撫でおろしていることと思いますが、最も喜んでいるの
は「パウエル議長」でしょう。
さて、問題はここからです。インフレ率は鈍化したとはいえ、まだFRBの目標と
する2%の4倍近い水準です。
2%まではかなり長い道のりになります。一時76ドル台まで下げたWTI原油価
格も今週は91ドル台まで上昇する局面もありました。CPIの揺り戻しもあろう
かと思います。クリーブランド連銀のメスター総裁は、「午前中に発表された10
月のCPIも総合およびコアの幾分の緩和を示唆しているが、一方で、傾向的に根
強いサービス分野のインフレ率はまだ鈍化の兆しを示していない。加えてインフレ
は引き続き広範だ」と慎重な見方示しています。
また、ダラス連銀のローガン総裁も、「CPI統計は安心感を生む歓迎すべき材料
だが、まだ先は長い」とこちらも慎重さを崩していません。
チャートでは「12時間足」までの短いものはすでに、「雲を下抜け」し、トレン
ドの転換を示しています。
筆者が基本とする「日足」では、ローソク足は雲の中に突入してきましたが、雲の
下限である138円43銭まではまだ距離があります。
昨日から市場のセンチメントは大きく変わってきましたが、140円前後は「まだ
買い場」と見たいと思います。
ただ、雲を下抜けしたらトレンドの大転換が確認されることと、これまでのように
「ドルを買って待てばいい」といった発想はやや危険です。
市場はドルの戻りを売るセンチメントが支配的になってきたと思いますが、ここし
ばらくは市場の気迷いが収まるのを見極めたいと思います。
本日のドル円は140円~144円程度を予想します。
- [2022/11/11 09:48]
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米中間選挙上院は接戦
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間の145円台前半から大きく反発。
146円79銭までドルが買い戻され、中間選挙の開票状況と
インフレ率の高止まり観測がドルを支える。
◆ユーロドルは小幅ながら4日ぶりに反落。
◆株式市場は大幅に反落。CPI前のポジション調整に加え、
低調な企業決算や仮想通貨の急落がセンチメントを悪化させた。
ダウは646ドル下げ、他の2指数も大幅安。
◆債券は続伸。長期金利は4.1%を割り込む。
◆金と原油は売られる。
本日の注目イベント
◆欧 ECB経済報告
◆米 10月消費者物価指数
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 10月財政収支
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
◆米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
◆米 ウォラーFRB理事講演(豪、ブリスベン)
◆米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、座談会に参加
ドルの上値が徐々に重くはなっているものの、一方でドル円は145円台
では底堅い動きを見せています。昨日も朝方には145円19銭近辺まで
ドル売りが進みましたが、145円割れは回避し、その後も昼頃と夕方に
同水準まで売られる場面がありましたが、同じように底堅い動きを見せ、
その後のNYではドルが大きく反発し、146円台後半まで上昇していま
す。もっともNYでのドル反発は、米中間選挙で事前予想以上に民主党が
健闘していることも背景になっているようです。
8日に投開票が行われた米中間選挙では、下院では事前調査通り共和党が
過半数議席に向け議席数を伸ばしていますが、予想よりも僅差の闘いにな
っています。
一方上院では今朝6時の時点でも「48対48」と接戦が続いており、残
り4議席を巡る闘いは予断を許さない状況です。中でも激戦州の一つであ
るジョージア州の上院選挙では、民主党の現職ウォーノック議員と共和党
ウォーカー議員の両候補とも、過半数の50%以上の票を獲得できなかっ
たことから「決選投票」が行われることが決まっています。
また、フロリダ州では共和党のデサンティス知事が勝利したことで、20
24年大統領選の共和党候補者指名争いでは、トランプ氏の対抗馬になる
可能性が高まってきました。
日本時間今夜10時半に発表される米10月の消費者物価指数(CPI)
を前に、市場は神経質になっているようで、多くの市場で「ポジション調
整」と見られる動きがありました。
株式市場では連日上昇していたNYダウが大きく売られ、前日比646ド
ル下げています。直近は上昇が続いていたことからある程度予想された動
きとも言えます。
WTI原油先物市場では、先週92ドル台まで上昇した原油価格が85ド
ル台まで値を下げています。
一方金価格の方は、昨日は若干売られたものの、約1カ月ぶりとなる17
00ドル台を維持しています。
いずれも、今後の米政策金利の引き上げペースと中国のゼロコロナ政策の
行方をにらんでの動きとみられます。
その米利上げペースについてシカゴ連銀のエバンス総裁は9日、「今後数
カ月のインフレデータが予想外の上振れが続いたとしても、これまで既に
どれほど高く金利を引き上げてきたかを考えれば、FRBが猛烈な利上げ
ペースを落とし始める時期が訪れた」との認識を示しました。FOMCメ
ンバーがこのように明確に利上げペースの減速に言及したのは、これが初
めてのように思います。
エバンス総裁はインタビューで、「政策金利をさらに大幅に高くすれば、
リセッションリスクを高め、FRBの雇用に関するマンデート(責務)を
脅かしかねない」と警告しています。
また、NY連銀のウイリアムズ総裁は、金融政策や米経済に関して自身の
見通しに触れることはなかったものの、「ニュースは総じて良いものだ」
と述べ、「米国の長期インフレ期待は米金融当局の目標におおむね一致し
た水準で際立って安定した状態が続いている」と語っています。
講演後の質疑応答では、「インフレ率は明らかに当局の長期的目標を大き
く上回っている。
FRBがインフレ率を2%に戻す責務を遂行することが、非常に重要だ」
とも述べています。一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁はタカ派姿勢
を崩さず、「インフレ悪化やインフレ期待の上昇を金融当局は放置できな
い。景気悪化を恐れて手を緩めれば、インフレはかえって勢いを増して戻
ってきて、より一層の抑制が必要になる。状況が落ち着くのを待っている
わけにはいかないのはこのためだ。インフレが痛みを伴い、誰もがそれを
嫌うのは承知している」(ブルームバーグ)と、これまでパウエル議長を
始め、多くのFOMCメンバーが口にしてきた言葉を繰り返しています。
今夜の米CPIは上昇率が若干鈍化しているとみられていますが、仮に予
想を上回った場合、ドルが買われますが、それでも150円に届くのは簡
単ではないと予想しています。
予想を上振れたとしても、「12月会合でも0.75ポイントの利上げ」
とは単純に結びつかないのではと思っています。一方予想を下回る好結果
が出た場合、ドル売りが加速するとは思いますが、それでも現時点では「
12月会合では0.5ポイントの利上げ」というスタンスは変わらないの
ではないかと思われます。インフレがピークに近いとは思いますが、まだ
しばらくは高水準でのインフレが続くのではないでしょうか。
本日のドル円は144円50銭~148円程度とみますが、予想を下回る
インフレ率が示された場合、上述のように下値では底堅い145円台を割
り込むのかどうかにも注目しています。
- [2022/11/10 09:46]
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ドル円145円台前半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落。米中間選挙で共和党が優勢なことと、CPIを
控えたポジション調整からドル売りが強まり、145円32銭まで
下落。
◆ユーロドルはさらに上昇し、1.0096近辺まで買い戻しが
進む。
◆株式市場は続伸。日中にはマイナス圏に沈む場面もあった
ナスダックは51ポイント上昇。ダウは3日続伸し、3万3000ドル
台を回復。
◆債券は反発。長期金利は4.12%台に低下。中間選挙で共和党が
優勢との情勢も影響。
◆金は大幅に続伸し、1716ドル台に。一方原油は大幅続落。
本日の注目イベント
◆日 9月貿易収支
◆日 9月国際収支
◆日 10月景気ウオッチャー調査
◆中 中国10月消費者物価指数
◆中 中国10月生産者物価指数
◆米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演(チューリッヒ)
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論に参加
ドル円はNY市場で先週水曜日に続き145円台まで売られています。
東京時間では底堅い動きを見せ、146円台後半まで買われる場面も
ありましたが、NYに入ると、株価の上昇と長期金利の低下を手掛か
りにドル売りが進み、145円32銭前後までドルが下落しています。
歴史的に見て、過去の中間選挙後には株価が上昇する「アノマリー」
があり、実際、第二次世界大戦以降19回の中間選挙が行われました
が、1年後のS&P500指数は全て上昇しているそうです。
この「アノマリー」のせいか、昨日のNY株式市場でも買い物を集め、
S&P500は上げ幅を縮めたものの、21ポイント高でした。
米中間選挙では、期日前投票を行った人が4000万人を大きく超え
、このままでいくと過去最高の投票率になるとみられています。
共和党の優勢が報じられ、世論調査分析会社の「ファイブサーティー
エイト」によると、共和党が下院の過半数を奪回する確率は84%で
、上院でも59%だとしています。投票は多くの州で日本時間の午前
中に締め切られ、即日開票されます。
昨日も触れましたが、共和党が大勝すればねじれ議会となり、バイデ
ン大統領が掲げる大規模な財政支出や減税などの法案が議会で成立し
にくくなり、場合によってはウクライナへの武器を含む経済支援も減
額される可能性も考えられます。これらは財政支出の減少となり、債
券発行額の減額につながるとして、債券価格は上昇しています。
債券が買われたことで金利が低下し、ドル円の下落につながったよう
です。商品市場でも、ドルが売られたことで金が大幅に上昇し、金価
格はおよそ1カ月ぶりの高値を付け、さらに原油価格は中国がゼロコ
ロナ政策の継続を表明したことから大きく下げ、ビットコインも急落
するなど、金融市場以外でも神経質な展開になっています。
ただそうは言っても、現時点で最も重要なのは、「米国のインフレが
いつ止まるか」という点です。
ややリスクオン的な雰囲気が強まってきましたが、明日のCPIの結
果次第ではこのセンチメントも一気に吹き飛んでしまう可能性もあり
ます。反対に、「7.9%」と予想されている総合CPIが予想を下
回るようだと、さらにリスクオンが進み、株高、金利低下、そしてド
ルが売られるとみられます。
「データを入手する前に判断を急ぐつもりはないが、世界のインフレ
はピークに達しつつある可能性は非常に高い」と、エジプトで行われ
た「COP27」に出席した、ゲオルギエワ・IMF専務理事が述べ
た言葉も正当化されることになります。
今回の中間選挙で多くの有権者を投票所に向かわせた要因の一つに、
「高進するインフレ」があったと言われています。昨日のNHKのニ
ュースでも、インフレを放置しているとしてバイデン政権に対する厳
しい声が多く聞かれました。
自身を支持する候補者を積極的に応援に駆け付けたトランプ氏は、今
月15日(火)自身が所有するフロリダにある会員制高級避暑地で「
Big announcement at Mar‐a‐Lago」(大きな発表)を行うことを表
明しています。今回の中間選挙で勝利を収め、その勢いで2024年
大統領選への「出馬宣言」を行うのではないかと予想されています。
2016年の大統領就任で米国を分断させたトランプ氏、2度目の大
統領となればさらに米国の分断が強まり、修復不能になるのではない
かと危惧する人は決して少なくはありません。先ずは、中間選挙の結
果に注目したいと思います。
本日のドル円は144円~147円とワイドに見ます。
ドル円は151円94銭をピークに下落が続いているため、短い動き
を示すチャートではほぼサポートを割り込んでいます。
日足の雲の上限(先行スパン1)は144円前後にあることから、ひ
とまずこの水準は意識されるかと思います。
重要なのは雲の下限(先行スパン2)で、現在138円21銭に位置
しています。ここを割り込めば「トレンドの転換」が確認できると考
えていますが、やはりその前の140円前後が重要なサポートになる
のでしょう。水準としてはまだかなり離れていますが、一応意識して
おいた方がいいかもしれません。
- [2022/11/09 09:43]
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米長期金利2週間ぶりに4.2%台まで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は147円台を維持できず下落。NYでは終始146円台
で推移し、朝方の146円73銭から146円10銭まで下げる。
CPIを前にポジション調整との声も。
◆ユーロドルは続伸。ユーロは再びパリティを超え、1.0035まで
買われる。
◆株式市場は大幅に続伸。取引終盤にかけて買われ、ダウは423ドル高、
S&P500も36ポイントの上昇。
◆債券は続落。長期金利は2週間ぶりに4.2%台まで上昇。
◆金は小幅ながら続伸、原油は反落。
◆ 9月消費者信用残高 → 24.976b
本日の注目イベント
◆豪 豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪 豪10月NAB企業景況感指数
◆欧 ユーロ圏9月小売売上高
◆米 米中間選挙
東京時間夕方には147円台半ばまで買われたドル円でしたが、147円
台は維持できず、NYでは146円10銭前後まで売られる場面もありま
した。
NY株式市場では株価が続伸し、ダウは先週末に続いて400ドルを超え
る上昇を見せ、リスクオンの流れから債券は売られ、10年債利回りは2
週間ぶりに4.2%台まで上昇しています。
このパターンは、これまででは明らかにドル高が進むケースが多かったの
ですが、昨日はドル安の流れとなり、ユーロドルでもユーロ高が見られま
した。
金利高とドル円が相関しなかったわけですが、目立った理由もなく、NY
からはCPIの発表を前にした「ポジション調整」といった声が聞かれる
だけでした。
昨日の調整は、もしかしたら「中間選挙」を意識した調整もあったかもし
れません。
米国では本日、連邦議会と州知事の投開票が行われます。
引き続き下院では共和党優勢との調査が目立ちますが、仮に共和党が上下
院で勝利を収めた場合、市場にどのような影響が出るのか、なかなか読み
にくい状況です。
今朝のブルームバーグは、「共和党の全面勝利なら、財政支出が凍結され
歴史的高水準にある財政赤字が縮小する可能性が大きく高まる。10年債
利回りが低下し、これが株式相場の上昇を支えるだろう」と分析していま
す。
財政支出を抑えることで債券の発行額が減少し、これが債券高、株高につ
ながり、金利が低下することで、これは「ドル安要因」というストーリー
が描けそうです。ただ、この辺りの読みは不確実性も伴います。
今回の選挙で仮に共和党が勝利しても、大統領が変わるわけではありませ
ん。ねじれ議会となり、法案の成立が困難になるといった影響はあるでし
ょうが、調査によると、有権者は連邦議会選挙と州知事選挙で、異なる政
党に属する候補者を選ぼうとしていることが明らかになったと伝えられて
います。激戦州の大半で、無党派や共和党の有権者への訴えが目立つ民主
党の上院候補は、同党の州知事よりも高い支持を集めているそうです。
そんな中、何かと話題の多いイーロン・マスク氏は1億人を超えるフォロ
ワーに共和党議員候補への投票を呼び掛けています。
昨日の本欄ではサマーズ元財務長官が「フェデラル・ファンド(FF)金
利が最終的に6%を超えても驚かない」といった、やや衝撃的なコメント
を紹介しましたが、SFシスコ連銀の調査が興味深い結果を示しています。
同連銀が、フォワードガイダンスとバランスシートを考慮に入れた最新の
代理指標を算出したところによると、FF金利の誘導目標レンジが3-3
.25%だった9月時点の金融状況は、政策金利が5.25%に引き上げ
られた場合に相当する引き締まりの程度だったとリポートしています。
実際の金融市場では、政策金利が示すよりも引き締め状態になっていると
いうことのようです。
同調査とは直接関係ありませんが、米モルガンスタンレーは、FRBは2
023年12月に「利下げを開始する」との見方を発表しており、「米経
済がリセッション入りし、金融当局が1ポイント以上の大幅利下げを検討
するようになれば、さらに金融引き締めは早期に終了する可能性もある」
と予想しています。
さらにゴールドマンは米経済のリセッションに関して、「米金融当局の積
極的な引き締め策と地政学的な不確実性にもかかわらず、米経済はなおリ
セッション回避に向けた『非常に妥当と考えられる』道筋が残されている
」との見方を示しています。また「COP27」に出席しているIMFの
ゲオルギエワ専務理事は「データを入手する前に判断を急ぐつもりはない
が、世界のインフレはピークに達しつつある可能性は非常に高い」と、楽
観的な認識を示しています。(ブルームバーグ)
ここに来て、金融機関や投資家からFRBの積極的な利上げを「行き過ぎ
」と、諫める声も増えてきた印象です。先週にも述べましたが、FRB、
ECB、BOEの3中銀が「0.75ポイント」という大幅利上げを決定
しましたが、これが最後の大幅利上げになる可能性も高まってきたのかも
しれません。
本日のドル円は145円50銭~147円50銭程度を予想しています。
- [2022/11/08 09:32]
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米10月の雇用統計は強弱まちまち
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は雇用統計の結果を受け下落。発表直後はドルが
買われる場面もあったが、その後じり安が続き146円56銭
まで下落。
◆ユーロドルも0.97台半ばまで下げた後反発。0.9967
までユーロの買い戻しが進む。
◆株式市場は3指数が上昇。12月に利上げペースを
見直すとの見方が支えに。ダウは401ドル上昇。
◆債券は小幅に下落。長期金利は4.15%台へと若干上昇。
◆金と原油は揃って大幅に反発。原油価格は92ドル台後半まで
買われ、およそ1カ月ぶりの高値を付ける。
◆10月失業率 → 3.7%
◆10月非農業部門雇用者数 → 26.1万人
◆10月平均時給 (前月比) → 0.4%
◆10月平均時給 (前年比) → 4.7%
◆10月労働参加率 → 62.2%
本日の注目イベント
◆中 中国 10月貿易統計
◆中 中国10月外貨準備高
◆独 独9月鉱工業生産
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 9月消費者信用残高
◆米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
◆米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
前日のFOMCに次いで注目されていた10月の雇用統計では強弱まちまち
の結果が示され、判断の難しい内容でした。非農業部門雇用者数は「26.
1万人の増加」と、前月とほぼ変わらない結果となり、市場予想の「19万
3000人の増加」を大きく上回りました。また、9月分も「26万300
0人の増加」から「31万5000人の増加」へと上方修正され、ドル円は
発表直後に148円23銭まで買われています。
ただ、その後は失業率が「3.7%」と、市場予想の「3.5%」より悪化
していたことで、ドル売りが強まり、ドル円は146円台半ばまで下落して
います。
今回の雇用統計では強弱まちまちの結果が示されましたが、依然として米労
働市場では堅調な拡大が続いているといった印象です。
就業者数の増加ペースは新型コロナウイルスからの回復時には及ばないもの
の、高水準を維持しています。FRBは今年3月にそれまでの金融緩和策か
ら大きく舵を切り直し、利上げを開始しましたが、その3月以降の雇用者数
でも平均すると30万人を大きく上回っています。
平均賃金も年率で「4.7%」と増加しており、人手不足による高賃金と雇
用の増加は米国のGDPの7割を占める個人消費を押し上げる効果がありま
す。今回の雇用統計は、「速いペースでの利上げや景気見通し悪化にもかか
わらず労働者に対する需要が引き続き強いことを示唆しており、個人消費を
支えることで、インフレ鎮静化を目指す金融当局の取り組みを一層困難にさ
せ、この先何カ月にもわたり断固とした引き締めを継続することが示唆され
る」とブルームバーグは論じています。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は4日、雇用統計の結果を受け、「労働市
場はタイトな状況が続いており、それは一段の行動をまだ要することを意味
する。インフレを目標に戻すために金利に関して何でもやる必要がある」と
述べ、「米金利が最終的に5%を超えることは十分あり得る」と語っていま
す。
また、ブルームバーグ・テレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ元財務長官
は、「米経済が依然として力強いため、FRBがインフレ抑制のため政策金
利を6%以上に引き上げる必要性が生じる恐れがある」と、現時点ではかな
り「超タカ派的」な発言を行っています。
サマーズ氏は、「私はターミナルレートの可能性を巡る見通しを上方修正し
ている」と続け、「私がそう予想しているわけではないが、ターミナルレー
トが6%以上になっても驚かないだろう」と述べています。サマーズ氏の発
言はやや現実離れしている気もしないではないですが、ただ、これだけ急激
に金利を引き上げているにもかかわらず今後もインフレ鎮静化の兆しが見え
ないとすれば、6%のターミナルレートも「全く空想」だとは言い切れない
のかもしれません。
仮にこのストーリーが正しいとすれば、ドル円はいったいどこまで上昇する
のか予想もつきません。
先週のFOMCで、4会合連続で0.75ポイントの利上げを決めたことで
、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジは現在3.75%-
4.0%です。
12月会合での利上げ幅は現在0.5ポイントがコンセンサスとなっていま
すが、ターミナルレートを5%とすれば、来年会合でも0.5ポイント引き
上げれば5%に到達します。
12月会合での利上げペースの縮小議論を開始する可能性も残しているこ
とを考えれば、サマーズ氏の見方は「真逆」になります。
こうなると、さらに関心を集めるのが10月の消費者物価指数(CPI)で
す。今週10日(木)に発表されますが、予想では総合CPIが「7.9%
」と、9月の「8.2%」よりは上昇率が鈍化していると見られています。
また、コアCPIも「6.5%」と、9月よりは鈍化の予想です。
今週はCPI以外にも8日(火)には米中間選挙があり、相場が引き続き荒
っぽい動きを見せる可能性も十分あり、引き続き慎重に取引きをする必要が
あります。
本日のドル円は145円70銭~147円70銭程度を予想します。
- [2022/11/07 09:36]
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FOMC、4会合連続で0.75ポイントの利上げを決定
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は今後の政策金利の行方を掴み切れず明確な
方向感が出ないなか、147円台から148円台で推移。
前日のFOMC後には145円台まで下げたが、この日は
長期金利の上昇もあり、148円44銭までドルが買われた。
◆ユーロドルも再び値を下げ、0.9734まで下落。約
2週間ぶりの安値に沈む。
◆株式市場は続落。ダウは146ドル下落し、前日と合わせ650
ドルを超える大幅な下げに。
◆債券は続落し、長期金利は4.14%台に上昇。
◆金と原油は売られる。
◆新規失業保険申請件数 → 21.7万件
◆9月貿易収支 → -73.3b
◆10月ISM非製造業景況指数 → 54.4
◆9月製造業受注 → 0.3%
◆10月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 47.8
◆10月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 48.2
本日の注目イベント
◆豪 RBA四半期金融政策報告
◆独 独9月製造業新規受注
◆独 独10月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏10月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏9月生産者物価指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 10月雇用統計
◆米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
◆加 カナダ10月就業者数
◆加 カナダ10月失業率
FRBは2日、FOMC会合で4会合連続となる0.75ポイントの
利上げを決めました。これでフェデラル・ファンド(FF)金利誘導
目標のレンジは3.75-4.00%に引き上げられたことになりま
す。今回の大幅利上げは市場に織り込まれていたことも
あり、想定内でしたが、その後の声明文と、パウエル議長の会見を受
け、ドル円は乱高下しました。
声明文では、これまで通り委員会は最大限の雇用と2%の物価上昇の
達成を目指すとしていましたが、加えて、「金融政策の適切なスタン
スを見極める上で、委員会は今後の情報が経済見通しに与える意義を
引き続き監視する。委員会の目標達成が妨げられる可能性のあるリスクが
出現した場合、委員会は必要に応じて金融政策を調整する用意がある
。委員会は公衆衛生や労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待
を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する
」としていました。この部分を市場は、「大幅な利上げペースを縮小
する議論を開始する」と判断し、ドル売りを加速させ、ドル円は直後
に145円68銭まで売られています。
ところが、その後のパウエル議長の会見では幾つかの判断材料は提供
されましたが、最終的には「最近のデータを踏まえれば、最終的な金
利はより高くなる」との発言がドルを押し上げ、ドル円は147円台
まで買われ、昨日は長期金利の上昇も支えとなり、148円44銭ま
でドルが買われています。
パウエル議長の発言内容から、ドルを買うべきか売るべきかを判断す
るのはやや難しかったと思います。最終的に市場はドル買いで反応し
たものの、議長は「どこかの時点で、利上げペースを落とすことが適
切になるだろう」とも指摘しています。さらに、「その時期は近づい
ており、早ければ次回、ないしはその次の会合となる可能性はある。
何も決定していない」と述べ、その上で、「政策金利が十分引き締ま
った水準になるまでには、なお幾分か道のりが残されている」とも説
明し、「(利上げの)停止について考えるのはあまりにも時期尚早だ
」と語っています。結局、予想した通り、「今後のデータ次第」とい
うことと、「足元のインフレ抑制が最優先課題だ」という部分はブレ
ていなかったということです。
一方で議長が、利上げペースを落とすことに言及したのは今回が初め
てであり、一連の利上げはピークが近いとも言えそうです。個人的に
は「8合目には到達している」と、理解しています。
FRBに続き、3日にはイングランド銀行(BOE)も政策金利を0
.75ポイント引き上げることを決めました。
利上げ幅は過去33年間で最大となりましたが、将来も大幅利上げが
続くとの市場の予想を強く打ち消し、市場の予想通り金利が上昇すれ
ば、2年にわたるリセッションにつながると警告しています。
英国の消費者物価指数(CPI)は9月が「10.1%」と米国のそ
れを上回り、BOEも早期にインフレを抑制することが求められてい
ます。
これで、FRB、ECB、BOEと主要3カ国の中銀が揃って0.7
5ポイントという、通常の3倍もの大幅利上げを決定したことになり
、日銀との金融政策の差があらためて意識される状況になっています
。一方で、オーストラリアやカナダのように、インフレ鎮静化への手
ごたえを感じ取ったのか、利上げは行ったもののこれまでの大幅利上
げではなく、上げ幅を縮小する中銀も出てきたことには注意が必要か
と思っています。先行きのことは誰にも分かりませんが、今後も利上
げが続くと予想される中、ひょっとしたら上記3中銀の0.75ポイ
ントの利上げは、今回が最後かもしれません。
本日のドル円は147円~149円程度と見ますが、上値では介入警
戒感も意識される中、149円台に乗せることが出来るかどうかにも
注目です。
- [2022/11/04 09:53]
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ドル円、FOMCを前に神経質な動きに
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京時間では148円台半ばで推移していたドル円は、次第に
上値が重くなり、NYの朝方には147円を割る場面も。その後
米求人件数が予想外に増加したことを受け148円台を回復。
◆ユーロドルはほぼ前日と同じレンジ内で推移し、方向感は定まらない。
◆株式市場は続落。FOMCで利上げペース縮小に関する議論がある
との期待が後退。3指数は小幅に続落。
◆債券相場は横ばい。長期金利は4.04%とほぼ変わらず。
◆金と原油は揃って反発。
◆10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 50.4
◆10月ISM製造業景況指数 → 50.2
◆10月自動車販売台数 → 1490万台(年換算)
本日の注目イベント
◆日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(9月21日、22日分)
◆豪 豪9月住宅建設許可件数
◆独 独9月貿易収支
◆独 独10月雇用統計
◆独 独10月製造業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏10月製造業PMI(改定値)
◆米 10月ADP雇用者数
◆米 FOMC政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
◆米 企業決算 → クアルコム、イーベイ
明日の日本時間朝方に発表されるFOMCの結果と、その後に行われるパウエル
議長の会見を控え、ドル円は明確な方向感が見られない中、神経質な動きとなっ
ています。
結果発表前にポジションを整理する動きもあり、昨日のNY朝方には147円を
わずかに割り込み、146円99銭までドル売りが進みましたが、その後に発表
された9月の求人件数が、前月比43万78000件増加の1072万件だった
ことからドル円は再び148円台に乗せています。
労働市場では依然「人手不足」が続き、雇用は堅調に推移しているとの見方につ
ながっています。
この結果、今回のFOMCで12月会合で利上げ縮小の議論が開始されるとの観
測が後退し、これが株価の重石となりドルが買われる展開となりました。
注目は何と言っても、会合後のパウエル議長の発言です。
議長が12月会合の政策についてどのようなシグナルを送るのかといった点や、
9月時点よりも高いターミナルレートを示唆するかどうかに関心が集まっていま
す。
今回の会合では0.75ポイントの利上げが実施されることはほぼ確実ですが、
会見でハト派転換が示されれば、ドルが大きく売られ、株価と債券価格が上昇す
ることになります。先週のNY株式市場の動きはそれを先取りしていたのかもし
れません。
もっとも、ブルームバーグの寄稿者でもあるサマーズ元財務長官は「早期利上げ
停止は見当違いだ」とツイートしています。
サマーズ氏は、「これは新型コロナウイルス禍以来、インフレに関してひどく誤
ってきた実績のあるエコノミストのコンセンサスから来ている」と述べ、「金利
を4%超に引き上げることでコアインフレ率が6%超から2%割れの水準に押し
下げられると、誰か本当に信じているのか」と疑問を投げかけた上で、「現在の
コースにとどまり、その後、状況を評価すべきだ」と締めくくっています。(ブ
ルームバーグ)
米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業景況感指数は「50.2」
と、2020年5月以来の低水準を記録し、拡大、縮小の境目である「50」に
接近してきました。
受注の指数はこの5カ月で4回目の低下を示し、仕入れ価格の指数もこの2年余
りで最低の水準となっています。
このように、FRBによる積極的な利上げ政策の影響から明らかに景気が抑制さ
れてきた兆候が確認できる一方、上記求人件数では依然として労働市場の拡大を
示す数字も確認されています。
先週、株価の急騰、金利の急低下、そしてドル円の下落の主因となった「利上げ
幅縮小議論」については、確かに、これまで3会合連続で通常の3倍に当たる0
.75ポイントの利上げを実施してきたことで、今後米景気を必要以上に悪化さ
せるリスクもありそうです。オーバーキルを懸念する声も多く上がっています。
パウエル議長がどのような発言を行うのかはわかりませんが、基本は「今後のデ
ータ次第だ」と述べた、これまでの姿勢は変えず、12月会合では0.5ポイン
トの利上げが実施されると、個人的には予想しています。
12月会合は13-14日に行われることから、今週も含めあと2回の雇用統計
と2回の消費者物価指数の数字も確認できます。
もちろん、その結果次第では「0.75」も「0.25」もあり得るということ
です。
米中間選挙まで1週間となりましたが、バイデン与党である民主党の劣勢が伝え
られています。重要選挙区の一つであるジョージョア州では、今でも人気のある
オバマ元大統領が民主党候補の応援に駆けつけていましたが、劣勢の最大の原因
が進行中の「インフレ」だと報じられています。インフレの早期抑制は残り2年
のバイデン政権の行方にも大きく影響してきます。
明日は東京市場が休場ですが、FOMCの発表は朝方3時、会見は3時半に行わ
れる予定です。これから年末にかけてのドル円の方向性を決めることになるかも
しれないイベントだけに、大きく動く可能性もあります。十分注意する必要があ
ります。
本日のドル円は145円~150円とワイドに予想しますが、内容次第では上下
ともブレイクする可能性がないとも言えません。
- [2022/11/02 09:32]
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ユーロ圏10月CPIは10.7%の上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続伸。長期金利の上昇に伴い、ドル円は堅調に推移し、
148円84銭まで上昇。先週末より1円程度水準を切り上げる。
◆ユーロドルも続落。一時0.9874前後までドル高が進む。
◆株式市場は3指数が揃って反落。連日大幅上昇を
見せたこともあり、この日は売りが優勢に。ダウは128
ドル下げたが、下落幅は小幅にとどまる。
◆債券は続落。長期金利は4.04%台に上昇。
◆金は3日続落。原油も2日続落。
◆10月シカゴ購買部協会景気指数 → 45.2
本日の注目イベント
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆中 10月財新製造業PMI
◆英 英10月製造業PMI(改定値)
◆米 10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米 10月ISM製造業景況指数
◆米 10月自動車販売台数
◆米 企業決算 → ファイザー、イーライリリー、プルデンシャル、AIG
ユーロ圏10月の消費者物価指数(CPI)速報値は、9月の「9.9%」を
上回っただけではなく、市場予想の「10.3%」を大きく上回る「10.7
%」でした。(全て前年同月比)これで、6カ月連続で「過去最高」を記録し
、多くのエコノミストは、ユーロ圏のリセッションはほぼ不可避との見方を強
めています。
同日発表された7-9月期GDPは「0.2%」と、辛うじてプラスを維持し
ましたが、4-6月期の「0.8%」から鈍化していました。
エネルギー価格の上昇が、企業と家計に大きな打撃を与えており、さらに大幅
な金利上昇も負担になっており、10-12月期のマイナス成長は避けられな
い見通しです。
ユーロドルは前日の水準からレートを切り下げ、0.9874まで下落してい
ます。先週、ECBが理事会で2会合連続の0.75ポイントの利上げを決め
たこともあり、ユーロドルはパリティを回復し、一時は1.0088前後まで
上昇しましたが、その後は米長期金利の上昇を背景に再びドルが買い戻されて
いることもあり、上値を徐々に切り下げてきました。
もっとも、この動きはドル円でも同じで、先週一時145円10銭まで売られ
たドル円は
148円台後半まで反発しています。FOMCが近づく中で、今回の会合では
0.75ポイントの利上げが確実視されているものの、0.75ポイントとい
った大幅利上げが意識されたのかもしれません。米債券市場では長期金利が再
び4%台を回復し、昨日は4.11%近辺まで上昇する場面もありました。
ドル円も149円前後までの反発は想定されましたが、ここからが「正念場」
で、介入警戒感が強まる中、再び150円台に乗せることができるかどうかが
注目されます。
財務省は昨日、10月分(9月29日―10月27日)の為替介入額が6兆3
499億円だったことを発表しました。
これは、先月24年ぶりに介入を実施した9月分の介入額2兆8382億円を
超えて過去最大となります。
市場では10月の介入額は7兆円を超えているのではないかといった見方もあ
り、実感としては思ったより少額だったという印象です。
覆面介入が何回あったかは不明ですが、少なくとも3回の大規模なドル売り円
買い介入で4円~5円程度水準を押し下げることには成功しましたが、再び1
49円に迫る水準までドル高が進んでいます、個人投資家も「介入でドルが下
がったら買いたい」といった姿勢を維持しており、「介入を待つスタンス」が
見られます。ドル円が再び150円台に乗せれば介入を実施してくる可能性が
高いと予想していますが、それでも急激な変動ではなく、じりじりとドルが上
昇する動きが続いた場合、果たして介入してくるのか、そこはやや未知数です。
結局、米国のインフレがいつピークアウトを見せ、そのデータがいつ確認でき
るのかが鍵になってきます。インフレがピークを付け、FRBによる利上げが
休止し、今度は金利正常化のタイミングを探る展開になれば、ドルは必然的に
下げるはずです。
モルガンスタンレーのストラテジストであるマイケル・ウイルソン氏は31日
のレポートで「FRBの利上げは終わりに近づいている」との見方を示してい
ます。
同氏は、利上げの終了が近いことを示す兆候として、10年物と3カ月物の米
国債利回り逆転などを挙げています。この逆イールドはリセッションを予言す
る指標として過去に外れたことがないそうで、ウイルソン氏は「全てが、米金
融当局の意外に早い方向転換を示唆している。従って今週のFOMC会合は株
式相場の反発が続くのか、一時休止となるのか、それとも完全に終わるのか重
要な鍵を握る」と指摘しています。(ブルームバーグ)
通常リセッション入りしたかどうかの判断は10年債と2年債の逆イールドが
使われることが多いようですが、より短い3カ月でも逆イールドが発生すれば
、リセッション入りの可能性がさらに高まるというロジックなのでしょうか。
今後の大幅利上げが予想される中、先週のようにNY株式相場の急反発には個
人的には違和感がありました。しかし、これも、鼻の利く投資家が先回りをし
て買っているとすれば、納得できる部分はあります。
明日にはFOMCの結果発表とパウエル議長の会見、さらには4日には雇用統
計も控えており、ボラティリティーの高い相場が予想されます。
本日のドル円は147円50銭~149円50銭程度を予想します。
- [2022/11/01 09:36]
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