ドル円134円台半ばまで上昇
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 東京市場で134円台に乗せたドル円はその後133円台に押し戻されたものの、NYでは再び134円に乗せ続伸。長期金利の上昇もあり、134円50銭までドル高が進む。
- ユーロドルは堅調に推移し、1.06台で変わらず。
- 株式市場は3指数が大幅に続落。中国の「ゼロコロナ政策」の終了が世界中で感染拡大につながるとの警戒感が広がる。ダウは365ドル下げ、3万3000ドルの大台を割り込む。
- 債券は続落し、長期金利は3.88%台まで上昇。
- 金は3日ぶりに反落。原油は小幅に上昇。
本日の注目イベント
- 欧 ECB経済報告
- 米 新規失業保険申請件数
先週から何度も取り上げている中国での「コロナ感染の急拡大」が、2023年にも世界の景気に悪影響を与えるとの懸念が浮上し、金融市場では早くも警戒感が広がっています。イタリア・ミラノの保健当局は28日、中国からの航空便2便の乗客のほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったことを明らかにしました。ミラノ地域保健局の責任者は会見で、北京発と上海発の航空機でそれぞれ到着した乗客の検査を空港当局が実施したと説明し、イタリア保険省は、この検査結果のゲノム解析を行っていると発表。そこで新たな変異株が検出されれば、中国からの渡航に厳格な制限を課す可能性があるとしています。これを受けてイタリア政府は中国から到着する航空便について、全乗客の検査を義務付けることを命じています。また米国でも、複数の連邦保健当局者は28日、中国から直接入国する人のほか、米国に向け出発する10日以内に中国滞在歴がある人も、PCRないし抗原検査による陰性証明が必要になると話しています。この措置は米東部時間2023年1月5日午前0時1分から実施されるとしています。
このように、中国の「ゼロコロナ政策」緩和後、感染拡大を巡る懸念が世界で広がっており、今後欧州やアジアの他の国でも同様な措置を取る可能性も指摘されています。ただ一方で、中国では感染者の急増を受けて経済が3月末にかけてさらなる混乱に見舞われる可能性が高いものの、コロナ規制を緩和したことでその後は回復が速まり、力強さも増す可能性が高いと見られています。「経済損出は春節(旧正月)、その前後に集中しそうで、迅速な方針転換により一層着実な経済回復への道が開かれる」と予想しているシティのコメントを、ブルームバーグは紹介しています。
昨日の海外では多くの市場で、この影響を受けています。NY株式市場ではダウが365ドル安になるなど、主要指数は大きく下げ、リスク回避の流れからドル円でも円売りが優勢となり、134円50銭までドル高が進んでいます。
米国ではコロナ感染拡大に対する懸念に加え、大寒波による景気減速懸念も浮上しています。記録的な寒波はテキサス州からNY市に至る広範囲に広がっており、大寒波の影響から多くの航空会社が運航に支障をきたしています。中でも特にサウスウエスト航空の立ち遅れが目立っているようです。同社は27日には運航予定本数の約3分の2を欠航しており、ホリデーシーズンに入っている米国民の不評を買っています。米運輸省も、同社の欠航率は「容認できない」として調査に乗り出す方針です。
ドル円は先週20日、日銀によるイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正発表後に130円57銭までドル安が進みましたが、その後は大きな動きにはつながらず、小動きの中、ドルを買い戻する流れになっています。「閑散に売りなし」という格言がありますが、このような状況では実需のドル買いが優るようです。20日の発表前には137円40銭近辺で取引されていましたので、下げ幅は6円83銭ほどになります。すでにこの下落幅の半値(133円99銭)は達成しており、次は61.8%戻しに当たる134円79銭が目先のターゲットになろうかといったところです。135円台に乗せれば、市場のセンチメントにもやや変化が出て来ると考えますが、年末にかけてそのような動きになるかどうかを注視しています。
本日のドル円は133~134円80銭程度を予想します。
今年の「アナリストレポート」は本日が最後となり、新年は1月4日(水)から始めることになります。この1年のご愛読に感謝申し上げます。また、「2023年の相場展望」は、1月13日(金)13時30分から当社セミナールームにて、「対面形式」で行います。ご興味のある方は、お早目の申し込みをお勧めいたします。
では、良いお年を・・・・・。
- [2022/12/29 10:30]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
中国の緩和規制を受け、世界的に債券が売られる
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京時間には132円台後半まで売られたドル円は、欧州市場では
終始133円台で推移。NYに入ると、米長期金利の上昇に133円60銭まで
ドルが買われ、1週間ぶりの高値に。
◆ユーロドルでもドル高が進んだが、1.0612前後でとどまる。
◆株式市場はまちまち。ダウは小幅高ながら、ナスダックはアップルなど
ハイテク株が中国情勢を背景に売られ、144ポイント下落。
◆債券は大幅続落。中国のコロナ緩和規制がインフレを加速させるとの
見方から債券が売られ、長期金利は3.84%台まで上昇。
◆金は上昇し、原油はほぼ横ばい。
◆10月FHFA住宅価格指数 → 0.0%
◆10月ケース・シラ-住宅価格指数 → 8.64%
本日の注目イベント
◆日 11月鉱工業生産
◆日 日銀金融政策決定会合における主な意見(12月19、20日分)
◆米 11月中古住宅販売成約件数
131円台後半から132円台で推移していたドル円は、1週間ぶりに133円台
半ばまで上昇し、131-133円の狭いレンジ内の上限を試す動きになってきま
した。
昨日は薄商いの中、中国のコロナ規制緩和がインフレをあおるとの懸念が高まり、
世界的に安全資産の債券が売られました。米国債も大きく売られ、金利が上昇した
ことでドルが買い戻され、ドル円は133円60銭を付けています。
欧州債の下げがきつく、特にドイツ国債が売られています。
ブルームバーグは「良いニュースは悪いニュースといった屈折した世界がなお続い
ている」との投資家のコメントを紹介しています。
中国では新型コロナ感染が拡大しているにもかかわらず、国民の大抗議デモの影響
もあり、これまでかたくなに進めてきた「ゼロコロナ政策」を一気に解除しました
。中国での感染者数の桁違いの拡大は、今週月曜日の「今日のアナリストレポート
」で紹介した通りですが、感染者数の拡大は中国に製造拠点を置く、アップルなど
ハイテク株の売りにもつながっており、これがナスダック全体のセンチメントを悪
化させている側面もあります。
今朝の報道では、何かと話題の多いイーロン・マスク氏創業の「テスラ株」は7営
業日続落し、今年の下落幅は67%にも達したようです。これにより、2020年
12月にS&P500株価指数に採用されてから維持してきた「時価総額上位10
社」からも外れたと報じられています。ここでも、「山高ければ、谷深し」といっ
たところでしょうか。
今年4月に「402.667ドル」の最高値を記録したテスラ株は昨日、「108
.76ドル」で引けています。
ロシアのラブロフ外相は国営タス通信のインタビューで、「ウクライナは降伏する
必要がある。さもなくば、戦争は継続する」と述べています。
ラブロフ氏は、ロシアが戦争を開始したのはウクライナの「非ナチ化と、非軍事化
」が目的だと、根拠のない主張を繰り返し、「クレムリンの目標を、敵はよく分か
っている」とし、「ロシアの目標を達成させた方が、身のためだ。さもなければ、
この問題はロシア軍によって決定されることになる」と、恫喝とも思える発言を行
いました。
ウクライナのゼンレンスキー大統領は、断固としてこれを受け入れる意志はなく、
戦争終結への道筋は全く見えてきません。先週末、クリスマスを迎えたウクライナ
の高官は、「We wish your merry Christmas」という言葉に替えて、「Christmas
in coming. We wish we make on that day will come true 」という言葉を投稿し
ていたのが印象的でした。ウクライナに平和なクリスマスは来なかったのです。
ECBのデギンドス副総裁はスペインでのインタビューで、「ユーロ圏は非常に厳
しい経済状況に直面している」と述べ、「個人も企業も賢明な姿勢になり長期的視
点に焦点を絞ることが非常に重要だ」と語っています。
ユーロ圏ではロシアのウクライナ侵攻に伴う同国からの天然ガス供給ストップの影
響もあり、「高インフレと景気減速、さらには低成長」が続き、三重苦に見舞われ
ているとしています。またデギンドス氏は2023年について、「短く浅いリセッ
ションに見舞われた後、4-6月期(第2四半期)には再びプラス成長になる」と
の見方を示しています。
ドル円は133円台半ばまで値を戻したことで、円高に対する過度の警戒感もやや
後退しています。
短期的な動きを示す「1時間足」でも、先週23日夕方に132円台半ばを超えた
辺りから「一目均衡表の雲」を上回った状態が続いています。
先週の「黒田ショック」を境に、急速に円高予想が高まり、1週間が経過しました
が、130円割れを試す動きにはなっていません。
ただ、130円割れを試すという見方は、筆者を含め多くの市場関係者がなお維持
していると思われます。
今週末から日本が年末年始の休みに入ります。参加者が減少する中、相場は乱高
下しやすい状況になるため、ポジション管理には十分注意が必要です。
本日のドル円は132円50銭~134円30銭程度を予想します。
- [2022/12/28 09:41]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
米11月PCE価格指数、鈍化するも小幅
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はPCE価格指数が予想された程低下していなかった
ことから続伸。133円13銭までドル高が進む。
◆市場参加者が少ないこともあり、ユーロドルは小動き。
引き続き1.06を挟む展開に。
◆株式市場は3指数が揃って反発したものの、上昇幅は限定的。
S&P500は22ポイントの上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.74%台に上昇。
◆金と原油は揃って上昇。
◆11月耐久財受注 → -2.1%
◆11月個人所得 → 0.4%
◆11月個人支出 → 0.1%
◆11月PCEデフレータ(前月比) → 0.1%
◆11月PCEデフレータ(前年比) → 5.5%
◆11月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2%
◆11月PCEコアデフレータ(前年比) → 4.7%
◆12月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 59.7
◆11月新築住宅販売件数 → 64.0万戸
本日の注目イベント
◆ 黒田総裁、経団連で講演
◆ 欧米主要市場休場
11月のPCE価格指数は、消費者物価指数(CPI)と同様に、物価上昇圧力
の緩和とインフレの頭打ちを示唆しましたが、鈍化傾向はいまいちでした。
PCEデフレータは市場予想と一致の「5.5%」で、コア指数は「4.7%」
でした。(いずれも前年同月比)ブルームバーグのエコノミストは、「力強い賃
金収入と実質所得は、労働市場がまだ意味ある形で落ち着いていないことを示唆
する。この統計を受けて、フェデラルファンド(FF)金利は最終的に5%を超
えるとの見解を金融当局が撤回する可能性は低い」と指摘しています。一般的に
は、PCE価格指数はCPIよりも緩やかに減速すると考えられており、米金融
当局はコア指数が来年末までに3.5%前後まで低下すると予想しています。
先週末のNYではコア指数が思ったほど低下していなかったことや、ミシガン大
学消費者マインドも速報値から上方修正されたことで、「FRBの利上げスタン
スに変化はない」との見方から長期金利が上昇。ドル円は133円台まで買われ
る場面がありました。
中国国家衛生健康委員会は25日、新型コロナウイルス感染の日次データ公表を
取りやめることを発表しました。
同委員会は声明で、方針変更の理由は示しませんでしたが、中国疾病予防コント
ロールセンター(中国CDC)が研究用などにコロナ関連情報を公表するとしてい
ます。ブルームバーグニュースは先週、最大で中国の人口の18%近くに相当す
る2億4800万人が12月1-20日に感染した模様だと報道しており、この
数字が正確であれば、先週1日当たりの感染者数が3700万人近くになった可
能性があると伝えています。
同数字は、国家衛生健康委員会の内部資料に掲載されたものをベースに推計され
ています。実際に、上海に隣接する浙江省では1日当たりの新規感染者数が10
0万人を超えており、
ピークには200万人に達するとみられています。中国本土全体をまとめた公式
のデータでは23日の新規感染者はわずか4103人で、実際の数字とは大きく
異なっています。
今回の日次データの公表とりやめも、こうした桁違いの数字を背景に中止した可
能性もありそうです。
その中国が来年の米中関係を「再調整」と位置付け、正しい方向に持って行く方
針を示しています。
王毅外相は25日、外交に関するシンポジウムで、「われわれ中米の首脳間で合
意された共通の理解を実行に移し、二国間関係を正しい方向に戻すよう取り組む
」と語っています。習近平国家主席は先月、インドネシアのバリ島でバイデン大
統領と初めて対面で会談を行っており、その後目立った成果は出ていないものの
、外交関係の修復を模索しているものと受け止められています。2023年には
その成果が出て来るのか注目されます。
筆者が毎日利用しているブルームバーグ社が、米通信大手のダウ・ジョーンズか、
米紙ワシントン・ポストの買収に関心を示していることが明らかになりました。
同社の創業者マイケル・ブルームバーグ氏が明らかにしたもので、どちらかの買
収に成功すれば、巨大情報会社が誕生することになります。
ブルームバーグ氏は、2020年大統領選の際、民主党の候補者として名乗りを
上げ、最後に辞退した経緯があります。
本日はクリスマスの祝日の振替休暇で市場参加者が少なく、配信レートのスプレ
ッドが拡大するものと思われます。ドル円は132円10銭~133円50銭程
度を予想します。
*********************************
東京市場終了後、世界の市場は休みとなり、動きはないと思われます。
明日の「アナリストレポート」は、お休みとさせて頂きます。
- [2022/12/26 09:40]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
米3QGDP確定値、上振れ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は前日と同じ展開。東京時間には131円台半ばまで売られる場面もあったが、NYでは132円72銭まで上昇。GDPの上振れなど、依然底堅い景気を示す経済指標に反応。ユーロドルは依然として1.06を挟んで推移。
- 株式市場は大幅反落。3QGDP確定値が上方修正されたことや、決算発表の結果を受け、S&P500は一時3%を超える下げを見せる。引けにかけては3指数とも下げ幅を縮小。
- 債券は小幅に反落。長期金利は3.67%台に上昇。
- 金は大幅に下落。底堅い動きが続くも、1800ドル台に乗せると売られる展開。原油も小幅に下げる。
本日の注目イベント
- 日 11月消費者物価指数
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(10月27日、28日分)
- 米 11月耐久財受注
- 米 11月個人所得
- 米 11月個人支出
- 米 11月PCEデフレータ(前月比)
- 米 11月PCEデフレータ(前年比)
- 米 11月PCEコアデフレータ(前月比)
- 米 11月PCEコアデフレータ(前年比)
- 米 12月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
- 米 11月新築住宅販売件数
- 米 債券市場短縮取引
東京時間の昼前、ドル円は132円を割り込み、131円68円前後まで売られ、再び130円台を試すのではといった雰囲気もありましたが、その水準からは底堅く、NYでは132円72銭までドルが買われています。2023年に向けては「ドル安」を予想する向きが多いなか、方向感に乏しい動きとなっています。市場は今週火曜日の「黒田ショック」を消化しつつ、次の一手を探っているようにも思えます。一方NY株式市場では引き続き大きな値動きが見られ、値幅を伴って上げ下げを繰り返しています。
米第3四半期GDP確定値が改定値の「2.9%」から「3.2%」に上方修正されました。特に個人消費が「2.3%」と、改定値の「1.7%」から大幅に上方修正され、引き続き米個人消費が好調なようです。これは、力強い労働市場と賃金の伸びが家計支出を下支えしているとみられ、金利上昇や高インフレの中でもGDPの押し上げにつながっています。米国の個人消費はGDPの7割を占めており、この状態が続けばGDPの下振れを防ぎ、ひいてはインフレ率の鈍化にブレイキを掛けることになります。昨日のNY株式市場はこの指標発表後に大きく値を下げています。また、失業保険申請件数も前週からほぼ変わらず、「歴史的な低水準近辺になおとどまっており、供給不足の労働市場において企業が人員削減に消極的なことを浮き彫りにしている」(ブルームバーグ)とみられます。
米国を訪れているウクライナのゼレンスキー大統領はバイデン大統領との会談の後、上下両院合同会議で27分間にわたる演説を行い、議員からは万雷の拍手を受けていました。ゼレンスキー氏は演説で、「あなた方の支援は極めて重要だ。戦いのためだけではなく、戦場で勝利するための転換点に向うためにだ。あなた方の資金は慈善事業ではなく、世界の安全保障への投資だ」と述べていました。そして、今後の米国の支援は必要だとし、ロシアによる軍事侵攻を撃退するため、戦車や軍用機などの兵器供与や追加支援を強く訴え、最後に「Merry Christmas‼」という言葉で締めくくりました。米議員の中には、ウクライナに対する膨大な軍事支援に反対する人もいます。明日で侵攻開始からちょうど10カ月が経過しますが、この戦争が2023年も続く可能性を誰も否定しません。これから冬本番に向うウクライナにとって西側諸国の支援は不可欠です。その意味では、今回米国がウクライナへ供与する「パトリオット」はかなりの抑止力になるとみられています。
ロンドンに本社を置く調査会社「エアフィニティー」は最新の分析を発表し、中国での新型コロナの新規感染者が1日当たり100万人、コロナ死者は5000人に上っている可能性があると伝えています。さらに同社の推計によると、来年1月には新規感染者が1日当たり370万人、3月には420万人に増える恐れがあるそうです。中国の公式発表では、21日の新規感染者は2966人で、12月初め以降の死者数はわずか10人足らずです。しかし実態は、遺体の火葬も追いつかず、葬儀場も確保できない状況であることはすでに周知の事実です。今後この中国での感染の急拡大が、金融市場へも「リスク回避」という形で波及してくる可能性もあります。
本日のドル円は131円~133円程度と予想します。
------------------------------------------
今週火曜日の昼過ぎ、日銀の長期金利変動幅の拡大決定を受け、マーケットに激震が走りました。
翌日のブルームバーグの記事に興味深いコラムがありましたので、紹介したいといと思います。
タイトルは「市場を驚かせる達人、黒田総裁最後の一撃」です。
2013年就任後の「バズーカ」で、市場の意表をつき、16年には検討していないと述べながらも、1週間後に「マイナス金利の導入」を決定したとあります。
今回のサプライズも、「このような動きはある時点では広く予想されていたが、総裁はこれまで何カ月も声を大にして否定してきた」そのため、「ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト47人は全員、小さな修正さえ予想していなかった」と続けています。
最後に、「最後のサプライズとしては完璧だった。しかも、特大のサプライズだ」と結んでいます。
黒田総裁の任期は、2023年4月8日です。
「これが最後のサプライズ」という言葉が、再びサプライズにならないよう願っています。
良い週末を・・・・・。
- [2022/12/23 10:11]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
米12月の消費者マインド大幅に改善
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はやや落ち着きを取り戻す。131円台に押し戻される
局面はあったものの、概ね132円台で推移。
◆ユーロドルも引き続き1.06台で推移。
◆株式市場は大幅に続伸。消費者マインドの改善やナイキなど
好決算を発表した銘柄が上昇をけん引。ダウは526ドル上げ、
S&P500も56ポイント高。
◆債券は小幅に反発。長期金利は3.66%台へと低下。
◆金は前日比変わらず。原油は2ドルを超える上昇に。
◆ 経常収支(7-9月) → -217.1b
◆11月中古住宅販売件数 → 4.09万件
◆12月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 108.3
本日の注目イベント
◆日 10月景気先行指数(CI)(改定値)
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆英 英7-9月期経常収支
◆英 英7-9月期GDP(改定値)
◆米 新規失業保険申請件数
◆米 7-9月GDP(確定値)
◆米 11月景気先行指標総合指数
「黒田ショック」から一夜明けて、市場はやや落ち着きを取り戻して来た
ようです。ドル円はここ24時間では、131円台まで売られる場面は何
度かあったものの、おおむね132円台で推移しています。
一方、今回の長期金利の変動幅引き上げが、「実質的な利上げ」と受け止
められていることから、国内の債券市場では債券を売る流れが止まらず、
金融政策の見通しが反映されやすいとされる2年債は、7年ぶりにプラス
圏に浮上し、今後の利上げを織り込む動きとなっています。また10年債
は0.48%台まで上昇し、今回日銀が許容した「0.5%」に迫る水準
に近づいてきました。
NYでも目立った動きはなく、株式市場だけが大きく変動しています。
ダウは前日比526ドル高と続伸し、3万3000ドルの大台を回復して
います。
フェデックスやナイキが好決算をたたき出したことに加え、12月の消費
者マインドが大きく改善したことが材料になりました。
12月の同指数は「108.3」と、市場予想の「101」を大きく上回
り、今年4月以来の高水準でした。同指数は今年1月の「113.8」か
らほぼ一貫して下落基調が続き、7月には「95.3」と、節目の「10
0」を割り込んでいました。今後6カ月の見通しを反映する期待指数も「
82.4」と、今年1月以来のいい数字を示しています。
コンファレンスボードの担当者は、「最近のガソリン価格の下落が大きな
要因だ」と述べています。車社会の米国では、ガソリン価格の推移が家計
にも直接影響を及ぼすことから、一時ガロン当たり5ドルを超えていた価
格が3ドル台まで低下したことが消費者のマインドを明るくさせたようで
す。
ウクライナのゼレンスキー大統領は2月のロシアによる軍事侵攻後初めて
ウクライナを離れ、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談しました。
バイデン氏はジル夫人とホワイトハウスの執務室でゼレンスキー氏を迎え
、会談を行いました。ゼレンスキー氏は、ロシアの侵攻から「300日だ
。信じがたい」と語り、「その間に、プーチン大統領は、ウクライナが国
家として存続する権利と罪のないウクライナ国民に残虐な攻撃を行った」
と非難しました。
これに対してバイデン氏は、プーチン氏がウクライナの電力や水道など、
民間インフラをミサイルやドローンで砲撃することで、「冬を兵器として
利用しようとしている」と指摘。
「だが、ウクライナ人は世界を奮い立たせ続けている」と述べ、「米国は
正義の平和を求める」と語っています。
バイデン政権はこの日、ウクライナに地対空ミサイル「パトリオット」を
含む18億5000万ドル(約2450億円)の追加軍事支援を発表して
います。
プーチン氏は21日、モスクワで開かれた国防省の年次会合で、「ロシア
とその政府は、軍の要求に全て応じる。全てだ」と述べ、ウクライナでの
戦争に使う軍事費に「制限がない」ことを強調しています。また、「11
カ月目に近づく侵攻で、自身が掲げた目標を実現するよう軍に促した」(
ブルームバーグ)と伝えられています。
一方、ロシアの前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は中国を訪
れ、習近平国家主席と会談しています。
会談で習氏は、ウクライナ問題を巡って「関係各方面が理性と抑制を保つ
ことを望む」と述べ、「全面的な対話によって、政治的に解決すべきだ」
と強調したと、中国国営の新華社が報じています。
市場は日銀のサプライズ発表を消化しつつあります。やや落ち着きを取り
戻し、今日辺りからクリスマス休暇入りを感じさせる雰囲気にもなってき
そうです。
ただ、今年は明らかに例年と異なる動きを見せているドル円です。このま
ま凪に転じることはないかもしれませんが、注意しながらもやや一息つけ
そうな雰囲気です。
本日のドル円は131円50銭~133円程度を予想します。
- [2022/12/22 09:45]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
日銀、大規模金融緩和修正を決め市場は大混乱
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆昼すぎ、日銀がYCCの修正を行うことを発表したことで
ドル円は137円台から急落。午後には132円台まで下げ、
その後133円台まで戻したが、NYでは一段とドル売りが加速。
一時は130円58銭までドル安に。
◆対円でドルが売られたものの、ユーロドルは水準をやや切り上げたが、
上値は限定的。ユーロ円の売りも活発でユーロドルの上値は1.06台
半ばでキャップされる。
◆株式市場は3指数が反発したが、引けにかけては上げ幅を縮小。
ダウは92ドル高、ナスダックはほぼ横ばいで取引を終える。
◆債券は続落。長期金利は3.69%台に急騰。
◆金は大幅に反発。原油も小幅に上昇。
◆11月住宅着工件数 → 142.7万件
◆11月建設許可件数 → 134.2万件
本日の注目イベント
◆独 独1月GFK消費者信頼調査
◆米 経常収支(7-9月)
◆米 11月中古住宅販売件数
◆米 12月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆加 カナダ11月消費者物価指数
「黒田ショック」・・・・。
今朝のブルームバーグはこのようなヘッドラインを掲げ、昨日の日銀の緩和政策
の修正による金融市場への影響を表現しています。
確かに、大きなサプライズというか、「寝耳に水」でした。
筆者も今回の長期金利の変動幅拡大は全くノーマークで、驚きでした。
昨日のコメントの最後に「本日は日銀決定会合後の黒田総裁の会見に注意が必要
です。
会見では、政府・日銀の共同声明改定に関する報道を巡る質問も出ると思われま
す。
松野官房長官は同報道を否定していましたが、質問があった場合、どのように答
えるのか注目されます」と、一応注意は促しましたが、イールドカーブ・コント
ロール(YCC)
での長期金利の変動幅を従来のプラス・マイナス0.25%から0.5%に拡大
との変更は全くの想定外でした。
ドル円は昼過ぎにこの一方が伝わるとドル売り円買いが強まり、一気に133円
07銭辺りまでドル売りが進みました。
日経平均株価も、前場はプラスで引けていましたが、午後からは一転して大幅な
マイナスで始まり、一時は前日比820円程下げる場面もありました。
また、債券市場でも上限が外れたことで、債券が大きく売られ、長期金利は一時
0.46%近辺まで上昇しています。
10月には151円94銭まで上昇したドル円は、米国のインフレ抑制に伴う大
幅利上げが続き、日米金利差拡大が大きな要因でした。
このドル高が修正されるのは、基本的には二つしか方法はなく、米国の利上げの
停止、もしくは利下げか、または日本が利上げをするしかありません。もちろん
これだけではありませんが、金利差に着目したドル買いが急速に進んだことを考
えれば、最も重要なファクターです。先週のFOMC会合では利上げは行われた
ものの、利上げ幅は0.5ポイントで、これまで4会合連続で0.75ポイント
の利上げを実施してきたスタンスからは異なり、今後の利上げペースの緩和もう
かがうことが出来ました。これが、ドル円が急速に下げてきた理由ですが、ここ
に今回は日銀の長期金利の変動幅拡大が加わったことで、ドルが大きく売られた
ことは自然の流れです。
黒田総裁は昨日の午後の会見では、長期金利の変動幅拡大は「利上げではない」
と執拗に述べていましたが、つい最近まで許容幅の拡大は「実質的には利上げだ
」と、述べており、誘導幅の拡大には否定的な考えを示していました。日銀の内
田理事も5月10日の参院財政金融委員会で、変動幅の拡大は「事実上の利上げ
であり、日本経済にとって好ましくない」と述べており、さらに若田部副総裁も
6月1日の会見で、長期金利の変動幅を拡大することは「やはり事実上確かに金
利を上げることにつながるだろう」と答えています。(ブルームバーグ)
昨日の会見で総裁は、このタイミングで長期金利の変動幅を拡大した理由を質問
され、「YCCがよりよく機能するように市場機能の改善を図った」と答え、さ
らに「さらなる拡大は必要ないし、考えていない。YCCや量的・質的緩和を見
直すことは当面考えられない」とも述べています。
余りにも身の代わりの速さに市場には「激震」が走りましたが、「金融政策の先
行き指標(フォワードガイダンス)を示すことで市場の混乱を避け、政策効果を
高めることが世界の金融政策の潮流だ。日銀のサプライズはこうした流れに背を
向けたものといえる」と、今朝の日経新聞は珍しく批判的な論調でした。
さらにいえば、日銀の「中央銀行」としての信頼性にもかかわってくる可能性も
あります。
ブルームバーグの今朝の記事には「市場を驚かせる達人、黒田総裁最後の一撃」
という見出しのコラムがありました。内容についてはいずれ触れてみたいと思い
ます。
ドル円は昨日のNYで130円58銭まで売られる局面もありました。今朝は1
31円台後半とやや反発していますが、130円割れも視野に入ったと考えます
。10月21日には151円94銭までドル高が進み、今年の上昇幅は38円4
7銭を記録しました。そこから下げ基調を強め、すでに20円を超える「ドル高
の修正」が見られています。
上昇幅の「半値戻し」は132円70銭となり、昨日はその水準を超えて下落し
ています。こうなると、『半値戻しは全値戻し』という格言が頭をよぎります。
この先の展開は、米国のインフレ鎮静化のペースが最大の変動要因になります。
今朝の専門家の意見では、来年に向け120円という声も出て来ました。個人的
にはそこまではないと予想していますが、今年の相場は想定外の動きが多く、ア
ナリスト泣かせの展開が多く、正直「相場観」というよりも「相場感」といった
方が実態に近いといえます。
130円割れはあるとしても、せいぜい125円前後がここ数カ月の底値かとみ
ています。米国のインフレは、そう簡単には収束しないのではないかといった見
立てです。
本日のドル円は130円~133円程度といったところでしょうか。
- [2022/12/21 09:51]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
NY株4日続落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円はアジア、欧州市場からは反発。長期金利が大幅に
上昇したことを受け、137円15銭までドルが買われる。
◆ユーロドルは水準をやや切り下げたものの、1.06を挟んだ
もみ合いに。
◆株式市場は3指数が4日続落。FRBが利上げを継続するとの
見方が依然として重しとなり、ダウは下げ幅を縮めたものの、
162ドル安。
◆債券は大幅に下落。英国債の下げも影響し、長期金利は3.58%
台まで上昇。
◆金は続落し、原油は小幅に反発。
◆12月NAHB住宅市場指数 → 31
本日の注目イベント
◆豪 RBA議事録
◆日 日銀金融政策決定会合
◆日 黒田日銀総裁記者会見
◆独 独11月生産者物価指数
◆欧 ユーロ圏11月経常収支
◆欧 ユーロ圏12月消費者信頼感指数
◆米 11月住宅着工件数
◆米 11月建設許可件数
◆加 カナダ10月小売売上高
ドル円は一進一退の動きが続いています。
昨日の東京では早朝に、「岸田政権が政府と日銀の役割を定めた共同声明を初
めて改定する方針を固めた」との共同通信社の報道を受け、ドル円は135円
台後半までドル売りが進みました。その後は値ごろ感から買いが優勢となり1
36円台後半まで値を戻しましたが、欧州市場の朝方にかけては再び136円
を割り込みましたが、NYでは株価の下落はあったものの、債券も大きく売ら
れ、金利が上昇したこともあり137円15銭近辺までドルが買われています。
米国債は本日の日銀決定会合と英国債が売られた影響から大きく値を崩してい
ますが、いまいち、決定的な売り材料を探すのが困難な状況かと思います。
ただNY株の下げには厳しいものがあります。
ダウは引け値では下げ幅を縮小していますが、一時は300ドルを超える下げ
を見せ、依然としてFRBによる利上げ継続に対する懸念が重荷になっていま
す。
今後の株価やインフレの見方についても投資家の間では意見が異なっており、
世界最大の資産運用会社ブラックロックのストラテジストは、インフレ率につ
いて、「2023年末にかけて3.50%にしか鈍化しない」と予想し、「根
強い労働者不足や賃金上昇、在庫減少などがその理由だ」とし、インフレ率が
米金融当局の2%目標に向って下がるとのコンセンサスには賛同しない姿勢を
見せています。同社のストラテジストは、「CPIの数字のボラティリティー
を市場は想定しておかなければならない。月間ベースの数字を予想するのは難
しくなるだろう。しかし、7%から5%に下がる方が、5%から3%になるよ
り恐らく容易だろう」と述べ、来年度の国債のショートを推奨しています。
一方、投資会社大手のKKRは来年の米インフレ率見通しを3.9%と、従来
の4.8%から引き下げ、米国のインフレがピークに達し、リセッション懸念
が以前ほど強くないとして、「投資家は来年、賢明な判断の下でリスクを一段
と取る必要がある」と指摘しています。
米下院特別委員会は、トランプ前大統領の支持者らが昨年1月に連邦議会議事
堂を襲撃した事件で、襲撃での役割を巡りトランプ氏の刑事訴追を司法省に勧
告する決定を下しました。トランプ氏を内乱罪などで刑事訴追するよう司法省
に付託する案は全会一致で可決されています。ラスキン下院議員は「トランプ
氏が有罪となれば公職就任の資格を失うだろう」と述べています。「特別委員
会の付託決定は、司法省は正式な法的影響を及ぼさず、司法省はトランプ氏の
刑事訴追を義務付けられないが、連邦・州の検察当局や世論にとって大きな意
味をもつだろう」とブルームバーグは伝えています。
今後の成り行きによっては、2024年の大統領選に出馬出来ない可能性もあ
るようです。
ウクライナの首都キーウで19日早朝に爆発音があり、市当局はロシア軍のイ
ラン製ドローン(無人機)9機を撃墜したと発表しています。これに先立ち、
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、ロシアが再び大量動員を実施し
て冬季に攻撃を仕掛け、軍事行動をエスカレートさせる可能性があると警告し
ています。
前線での劣勢が続いているロシアは、昼間でも零度を上回ることがない日もあ
るウクライナでインフラを中心に攻撃を強めており、市民を暖房から孤立させ
る作戦に出ている模様です。
武器弾薬なども枯渇していると見られるロシアが「冬を武器」にしようとして
いることは明らかのようです。
本日は日銀決定会合後の黒田総裁の会見に注意が必要です。
会見では、政府・日銀の共同声明改定に関する報道を巡る質問も出ると思われ
ます。
松野官房長官は同報道を否定していましたが、質問があった場合、どのように
答えるのか
注目されます。また昨日発表されたように、9月末現在では、日銀が保有する
国債の残高は536兆円に達し、発行残高1066兆円の実に「50.26%
」と、初めて50%を超えたことが明らかになっています。
足下の残高はさらに増えているとみられますが、今後大規模金融緩和策を終え
る際、金利上昇圧力になるのは衆目の一致するところです。
すでに天文学的な評価損を抱えていますが、当の日銀は「償還まで保有するた
め、問題はない」としていますが、同時に保有するETFとともに、金融市場
に大きな影響を与える不気味な存在であることは確かです。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度と予想します。
- [2022/12/20 09:46]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ドル円早朝に135円台後半まで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 前日138円台前半まで急伸したドル円は反落。株価の下落や経済指標の下振れを受け、米景気への懸念からドル売りが優勢となる。
- ユーロドルも前日の水準から下落。1.0593まで売られ、ユーロ円も大きく下げる。
- 株式市場は3指数が揃って3日続落。この日発表されたPMIがいずれも予想を下回ったことなどが響いた。ダウは281ドル下げ、3万3000ドルの大台を割り込む。
- 債券は小動きの中小幅に売られる。長期金利は3.48%台に上昇。
- 金は反発し、原油は続落。
本日の注目イベント
- 独 12月ifo景況感指数
- 米 12月NAHB住宅市場指数
前日138円18銭までドル円が急伸したことに、やや違和感を覚えたことはこの欄でも述べましたが、ドル円は結局ジリジリと下げて、元の鞘に戻った印象です。先週末に発表されたPMIが、製造業、サービス業、さらに総合でも、拡大と縮小の境目である「50」を大きく割り込んだだけではなく、市場予想も大きく下回る結果だったことで、ややリスク回避が進んだことが背景です。さらに週明けのオセアニア市場ではドル円が大きく「窓を開け」、下落して取引が始まっています。共同通信が、「岸田政権が政府と日銀の役割を定めた共同声明を初めて改定する方針を固めた」と報じたことが材料視されました。日銀が黒田総裁の下で進めてきた大規模金融緩和策の修正につながる可能性があるとの見方から円を買う動きが強まり、今朝の5時半頃には135円82銭辺りまで売られる場面もあったようです。
先週のFOMCとその後のパウエル議長の発言が「タカ派寄り」であったことで、株価が大きく売られ、「リスク回避」の流れからドル円も下値を試す展開でした。今年最後の重要イベントは終わりましたが、「ブラックアウト」期間も終わり、それと共にFOMCメンバーの発言が活発になってきました。NY連銀のウイリアムズ総裁は16日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘し、インフレ率は来年に3-3.5%に減速するとの予想を示した上で、「2%にどうやって持っていくかが真の問題だ」と述べています。「必要なことをやるしかない。政策金利は必要ならば、FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」と語っています。市場は、この「FOMCメンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もある」という部分に反応したようで、株価は一時大きく売られ、リスク回避の流れが強まりました。パウエル議長の発言に続き、FOMC会合では常に議長を務めるNY連銀総裁の言葉だけに影響力もあったようです。
また、SF連銀のデーリー総裁も「道のりはまだ長い。当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」と述べ、クリーブランド連銀のメスター総裁も「インフレに対してはまだすべきことがあるので、利上げを続けなければならない」と発言し、「インフレを鎮静化させるには時間がかかる」と語っています。(ブルームバーグ)このように、3地区連銀総裁はこぞって「タカ派寄り」の発言を行い、パウエル議長に足並みを揃えた格好でした。未だ高水準でありながらも、5カ月連続で鈍化しつつあるインフレ率に対する市場の楽観的な見方をけん制する意味合いも大きいかと思います。ただ、タカ派発言の割には、ドル円への影響は現時点では限定的となっています。
中国の新型コロナを巡る情報が不透明感を増しています。厳しい行動規制に対する住民の抗議デモを受け、一気に規制緩和を行った中国では感染が急拡大している可能性がある一方、なかなか実態が明らかになってきません。メディアによると、北京の葬儀場や火葬場に運ばれる死者の数が増加しているそうです。北京のある火葬場の従業員は英フィナンシャル・タイムズ紙に対して、今月14日に少なくともコロナ感染者の死者30人以上を火葬したと証言しており、ロイター通信によれば、北京の葬儀場は能力を超えた状態に陥っているそうです。中国でのコロナ感染者は「12月下旬から1月上旬に感染のピークを迎え、1日の感染者数は500万人から1300万人に達する」(ゴールドマンのエコノミスト、フイ・シャン氏)との予想もあります。人口が多いだけに、驚くべき数字です。中国当局は再び行動制限を強める可能性があり、今後中国景気の落ち込みが、市場のリスク回避の流れを高める事態も想定されます。
本日のドル円は135円20銭~137円50銭程度を予想します。
- [2022/12/19 10:31]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ECB、BOE揃って0.5ポイントの利上げ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 前日134円台半ばを付けたドル円は急騰。ECBとBOEが揃って0.5ポイントの利上げを決め、ラガルドECB総裁のタカ派発言もあり138円18銭までドル高に。やや予想外のドル高にサプライズ。
- ECBが0.5ポイントの利上げを決めた直後、ユーロドルは1.0737まで上昇。約半年ぶりの高水準を記録。
- 株式市場は大幅続落。前日のパウエル議長のタカ派寄りの発言に加え、ECBのラガルド総裁がタカ派的な発言を行ったことも影響。ダウは764ドルの大幅下落。
- 債券は買われ、長期金利は3.44%台に低下。
- 金は大幅に続落。原油も売られる。
本日の注目イベント
- 独 独12月サービス業PMI(速報値)
- 独 独12月総合PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏12月製造業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏12月総合PMI(速報値)
- 欧 ユーロ圏10月貿易収支
- 欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)
- 英 英11月小売売上高
- 米 12月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
- 米 12月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
- 米 12月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
- 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
- 加 カナダ10月小売売上高
手ごわいインフレを相手に、FRBに足並みを揃える形で、ECB、BOEは政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めました。両中銀とも0.5ポイントの利上げは予想されていましたが、前日のパウエル議長のタカ派寄りの発言をなぞるように、ラガルドECB総裁も市場の楽観論をけん制するかのようにタカ派的な発言を行い、域内のインフレ抑制は簡単ではないこと強調しています。リスク回避の流れが強まり、株価は大きく下落。安全資産の債券が買われたことで金利が低下しました。通常、この流れでは、金利低下を受けドル円は売られるのがこれまでのパターンでしたが、昨日はドル円だけではなく、ドルが主要通貨に対して買われています。ただ、その上昇幅はユーロやポンドの利上げの影響もあり限定的となっており、円の全面安の展開でした。目先は133-138円台のレンジ内で推移し、先に133円をテストするのではないかと予想した筆者の見方は外れています。引き続き欧米のインフレの波は高く、手ごわいということのようです。
ECBは今回の理事会で政策金利を0.5ポイント引き上げ、2.5%にすることを決定しました。また中銀預金金利は2.0%となり、約5兆ユーロ(約730兆円)に上る保有債券のポートフォリオ圧縮も来年3月に開始することを発表しています。ラガルド総裁は記者会見で、今回の利上げ幅が前回より小幅だったことを「ECBが政策転換だと考えるのは誤りだ」とし、「0.5ポイントのベースが一定期間続くことを見込むべきだ」と述べ、今後も利上げが続くことを示唆しています。また、「まだ先へ進まなければならない。これは長期戦だ」とも述べています。(ブルームバーグ)ただ米国よりもリセッション入りの可能性が高いと見られているユーロ圏で、今後も大幅な利上げを継続することは景気の腰を完全に折ることにつながり、ECBとしても難しい立場に立たされています。
日本の11月の貿易収支が発表されました。
11月単月の貿易赤字額は「2兆274億円」と、11月としては過去最大の赤字額を記録しています。輸出は伸びているものの、それ以上に原油や、LNGなどエネルギーの輸入が伸びており、これで16カ月連続の「貿易赤字」となっています。1月から11月までの赤字額累積でも18兆5124億円に達し、2022年度の赤字額合計が20兆円に達するのではとの見方もありますが、12月には原油価格の低下と大幅な円安の修正が進んできたことで、微妙な状況です。貿易赤字の拡大はドル買い需要が増加することを意味し、筆者も含め、多くの専門家が2023年には円高が進むと予想する流れとは逆に作用することになります。今後どれだけインバウンド効果が見込めるかにもよりますが、それも「コロナウイル第8波次第」というところです。
昨日のNYでは欧米でのインフレ高進が簡単には収まらないことから、利上げスタンスが長期化するとの見方に株価が大きく下げました。リスクの高い株式が売られリスクの低い債券が買われるケースでは円高に振れるケースが多いのですが、昨日はタカ派発言により大きく反応し138円台を回復したようです。ただそれでも、今後米国もリセッション入りの可能性が高く、米景気の悪化を材料にドル売りが進む可能性があると考えます。特に昨日は多くの経済指標が発表されましたが、失業保険申請件数を除いた多くの指標が予想を下回る結果で、いわば「総崩れ」の状況でした。米国のインフレ率は6月の「9.1%」をピークに鈍化しています。この傾向は緩やかではあるものの、鈍化傾向は続くとみています。米国のインフレが6月のピークを超えるような事態になれば状況は異なりますが、ドル円の上値は現時点では限定的と予想しています。ただ相場のことですから、140円を大きく超えるようだとストーリーも違ってくる可能性があります。連日の大相場、なかなか息をつく暇もありません。
本日のドル円は136円50銭~138円50銭程度を予想します。
--------------------------------------
電気自動車メーカー「テスラ」の創業者であるイーロン・マスク氏が世界一の富豪の座から滑り落ちたことが話題になっています。
マスク氏の資産の多くがテスラの株式によるもので、同社の株価が大きく下げたことが主因です。
テスラ株は昨年11月には「414ドル50セント」(約5万6164円)近くまで上昇しましたが、13日の引け値は「160ドル95セント」と、およそ61%下げています。
つまり半分以下になったということです。
マスク氏が失った資産は、今年だけでも1000億ドル(約13兆5000億円)に上るとみられています。歯に衣着せぬ言動のマスク氏は、ツイッターの買収など、「本業をおろそかにしたからだ」とも言われています。
マスク氏にとって代わって世界一の富豪の座を獲得したのは、LVMH(ルイヴィトン・モエヘネシー)グループを率いるベルナール・アルノー氏です。
同グループはヴィトンの他、クリスチャンディオール、ジバンシー、フェンディ、ロエベ
ティファニー、ブルガリなど、ここでは挙げられないほどの世界のトップブランドを傘下に持っています。
コロナ禍であってもブランド品の売り上げは伸びているそうです。
これこそが「ブランド力」というものでしょうか。
良い週末を・・・・・。
- [2022/12/16 10:10]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
FOMC、市場予想通り0.5ポイントの利上げ
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 134円台後半から135円台前半で推移していたドル円はパウエル議長の会見後に136円手前まで上昇。発言内容がタカ派寄りとの判断からドル買いが優勢となったが、その後は続かず。
- ユーロドルも会見後に一旦売られたが、その後上昇し、1.0695までユーロ高が進む。
- FOMCを受けて荒っぽい動きとなった株式市場は反落。パウエル議長がタカ派寄りの発言を行ったことから3指数は大きく売られたが、引け値ではやや戻す。ダウは前日比142ドル安。S&P500も24ポイント安で取引を終える。
- 債券も大きく上下したが、結局価格は小幅に上昇し、10年債利回りは3.47%へとやや低下。
- 金は売られ、原油は続伸。
本日の注目イベント
豪 11月雇用統計
日 11月貿易統計
中 11月小売売上高
中 11月鉱工業生産
英 BOE議事録
英 BOE金融政策発表
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
米 新規失業保険申請件数
米 11月鉱工業生産
米 11月設備稼働率
米 12月NY連銀製造業景況指数
米 11月小売売上高
米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
今年最後のFOMCでは予想通り、0.5ポイントの利上げを決めましたが、その後のパウエル議長の会見では、動きはあったものの、想定していたほどは動かなかった印象です。そして、これも想定通りでしたが、「パウエル議長の発言内容はタカ派寄り」のものでした。
FOMC委員会はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.25-4.5%に引き上げを決め、声明文では、「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」と記されています。また委員会メンバーの予測する政策金利の中央値は、2023年末が5.1%、2024年末が4.1%に低下する見通しが示され、いずれも9月時点での予側から引き上げられています。大注目されていたその後のパウエル議長の会見でしたが、議長は、「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」とし、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」と述べ、「まだ十分に景気抑制的なスタンスではないというのが、われわれが今日下した判断だ」と説明し、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」と言明しています。(ブルームバーグ)
FOMCではこれまで4会合連続で「0.75ポイント」という大幅利上げを実施し、経済成長を抑えるといった強い姿勢をみせてきました。今回、0.5ポイントの利上げにとどめたことで、今年3月以降の利上げステージで初めて利上げ幅を緩和したことになります。これは前日発表された11月のCPIが総合で「7.1%」まで低下し、インフレ率が5カ月連続で前の月から鈍化していることを考慮した結果です。ただ、それでもなおFRBの物価目標2%の3倍を超える高水準であり、先走る市場をけん制する意味でも、タカ派寄りの発言になるのではと予想していました。「米国のインフレはピークアウトしたと見られるもののまだ水準は高く、予断を許すわけにはいかない」というのが、委員会の一致した見方かと思われます。今後年末にかけて「ブラックアウト」期間も解け、セントルイス連銀のブラード総裁などタカ派の認識も披露されると思いますが、これらも相場変動の一因になる可能性があり、ひとまず大きな動きは避けられましたが、こちらもまだ予断を許さない状況です。ダドリー前NY連銀総裁は今回のFOMCの結果を受けて、「金融当局が望む状況を達成するまではまだしばらく時間がかかる」と指摘し、「労働市場に十分なスラック(たるみ)をもたらし、2%のインフレ率と整合する形で賃金のトレンドを低下させるには、経済を十分減速させる必要がある」と語っています。2%達成まで、まだ時間がかかることは衆目の一致するところですが、その過程でインフレが再燃するリスクもあります。FRBの物価目標である2%まで戻るのには「年単位」の時間が必要かもしれません。
ウクライナ情勢は依然として厳しい状況が続いており、停戦のメドは全くたっていません。ウクライナの国防トップは、停戦交渉にはロシア軍がウクライナから完全撤退するのが条件だとして、それ以外では交渉の余地がないことを明言しています。一方、米国がウクライナに地対空ミサイルシステム「パトリオット」の提供を検討していることに関して、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「その場合、ウクライナ領内に配備される全てのパトリオットが攻撃対象になるだろう」と述べています。ロシアのミサイル攻撃に対するウクライナの防衛強化が期待されるパトリオットの提供は、現在バイデン大統領の最終的な承認待ちの状況です。
今年最後の重大イベントは終わりましたが、来週には「消費者マインド」や「PCEデータ」などが発表され、まだ気が抜けない状況が続きます。ドル円も135円台前半と、微妙な位置におり、ここから再び133円台を目指すのか、あるいは138円台に戻すことが出来るのか、なかなか読み切れない状況が続いています。目先は133-138円のレンジ内で推移すると予想しますが、まだまだ分かりません。
本日のドル円は134円~136円程度を予想します。
- [2022/12/15 10:20]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
米11月のCPI7.1%に低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆アジア市場から137円台半ばで推移していたドル円はCPI
発表直後に急落。一時は134円66銭前後まで売られたが、
135円台を回復して取引を終える。
◆CPI発表を受け、ドル安ユーロ高が進む。ユーロドルは1.067
辺りまで上昇し、6月9日以来となるユーロ高を記録。
◆11月のCPIが市場予想を下回ったことを受け株価は
朝方から大きく上昇。ダウは一時700ドルを超える上昇を
見せたがその後失速。結局、103ドル高で取引を終え、他の
2指数も同様な動きに。
◆債券価格は大幅に上昇。長期金利は3.5%台に低下。
◆ドルが売られたことから金は大幅に上昇。原油も続伸し、
75ドル台を回復。
◆11月総合消費者物価指数 → 7.1%(前年同月比)
◆11月コア消費者物価指数 → 6.0%(前年同月比)
本日の注目イベント
◆日 10-12月期日銀短観
◆日 10月鉱工業生産(確定値)
◆欧 ユーロ圏10月鉱工業生産
◆英 英11月消費者物価指数
◆米 11月輸入物価指数
◆米 11月輸出物価指数
◆米 FOMC 政策金利発表
◆米 パウエル議長記者会見
注目された米国の11月の消費者物価指数(CPI)でしたが、結果は総合で
「7.1%」、コアで「6.0%」と、いずれも市場予想を下回り、これで、
5カ月連続で物価上昇の伸びが鈍化したことになります。(いずれも前年同月
比)総合CPIでは食品価格が上昇した一方で、ガソリン価格を中心としたエ
ネルギー価格が大きく下落したことが影響しています。
FRBの物価上昇目標である「2%」からは依然として大きく乖離してはいる
ものの、米国のインフレは今年6月をピークに和らぎつつあることは確実で、
市場の一部には「コアインフレが減速を示したが、セクションを超えて広く見
られる米国のデータと整合する。つまり、米国のインフレは過去の問題となっ
た可能性が高いということだ」(ブルームバーグ)といった声も聞かれました。
予想を下回るCPIの結果を受けて、ドル円は急落。発表前は136円台後半
で推移していたドル円は一気に135円台を割り込み、一時は134円66銭
前後までドル売りが進みました。FRBによる「利上げの長期化観測」が後退
し、株と債券が買われ、ダウは一時700ドルを超える上昇を見せました。債
券価格が急騰したことで、長期金利が低下し、これがドル円を押し下げていま
す。ユーロドルでもドル安ユーロ高が進みましたが、円の上昇が突出しており
、このようなケースでは「円全面高」の様相が良く見られます。
今年最後のFOMC会合は昨日から始まっており、当然今回の結果も加味され
ます。利上げ幅は0.5ポイントで動かないものと思われますが、予想を下回
るCPIの結果に、一段の引き締めペースの減速とその後の政策金利維持を主
張する「ハト派」の声が強まる可能性があります。
また、ブラード・セントルイス連銀総裁のような「タカ派」メンバーのトーン
がどこまで減速するのかにも注目です。
結局、これでパウエル議長の発言がますます注目されることになり、来年以降
の金融政策を予想する上でのヒントを探ることになります。今回の様なペース
でインフレ率が鈍化するのであれば、来年の早い時期に利上げが停止され、そ
の後しばらくその水準が維持される可能性もありそうです。
一方で議長は、前のめりになりがちな市場のセンチメントをけん制するような
、依然として慎重な言葉を選んでくるかもしれません。
昨日のNYの朝方では、為替も株も一気に「インフレの終焉」を織り込むよう
な動きを見せましたが、その後は徐々に修正するような動きになりました。
この辺りも、パウエル議長の慎重な発言を想定した動きと捉えることができる
かもしれません。
どちらにしても今夜も、ドル円は大きく動く可能性が高いと予想されます。
慎重な対応をお願いしたいと思います。
本日のドル円は134円~137円程度でしょうか。
- [2022/12/14 09:23]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
重要指標を前にポジション調整の動き活発
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 重要指標を前にドル円は底堅く推移。NYでは金利が上昇したことで137円85銭近辺までドル高が進んだが、ポジション調整との声も。
- ユーロドルは引き続き1.05台で推移し、1.0580まで小幅に続伸。
- 株式市場は大幅に上昇。NY連銀の調査の影響との見方もあるが、こちらも重要指標発表前の買戻しとの見方が優勢。
- 債券は小幅に売られ、長期金利は3.61%台に上昇。
- 金は5日ぶりに反落。原油は反発し、73ドル台に。
本日の注目イベント
- 豪 12月ウエストパック消費者信頼感指数
- 豪 11月NAB企業景況感指数
- 中 10月小売売上高
- 中 10月鉱工業生産
- 中東 OPEC月報
- 独 11月消費者物価指数(改定値)
- 独 12月ZEW景気期待指数
- 英 ILO月失業率(8-10月)
- 米 11月消費者物価指数
11月の消費者物価指数とFOMC会合を控えていることから、様子見気分が強まると見られていましたが、各相場は結構な値動きでした。NY株式市場が一番の驚きでした。ダウは前日比528ドルも上昇し、3万4000ドルの大台を回復しています。他の主要2指数も大幅に買われ、「リスクオン」が進んだ格好です。債券も売られ、金利上昇に伴ってドル円は137円台後半まで上昇しています。これまで株価の上昇は、米金利の先行き低下が想定されることや、FRBがハト派的金融政策に転じるとの観測といった条件の中で上昇する傾向が見られ、その場合ドル円は円高に振れるケースが多かったのですが、昨日の動きはややそれとは異なっていました。
NY連銀が12日に公表したインフレ期待調査によると、1年後のインフレ期待は5.2%と、10月調査の6%に近い水準から低下していました。また、3年後と5年後のインフレ期待もそれぞれ低下しています。この調査結果が株価を押し上げた側面はあろうかと思いますが、この調査結果にそこまでの影響力があったかどうかはやや疑問です。ここは、やはり今夜のCPI発表を前に「ショートカバー」が相場を押し上げたと見られます。ドル円についても同様で、米金利の上昇もあり、ショート筋の買い戻しを誘ったものと考えられます。4日続伸していた金価格も利食いに押され、6日続落していたWTI原油価格が昨日は7日ぶりに反発しているのも、この動きの一環と見られます。
ウクライナとの戦いで苦戦の続くロシアのプーチン氏は、10年続けてきた年末恒例の大規模記者会見を今年は見送るようです。プーチン氏は2012年の大統領復帰以来、毎年12月に大規模な記者会見を行ってきました。国内外のメディアの代表数百人を集めてテレビで中継され、通常は3時間を優に超えて質問を受けていました。ロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、会見開催について「年内はない」と答えています。ウクライナへの攻撃は続いており、さらにウクライナからの大規模な反撃も受けているなか、記者会見を開く余裕もないように思えます。ロシアの激しい攻撃により停電に見舞われていたウクライナ南部のオデーサ州では、120万人余りへの電力供給が復旧したと州当局が発表しています。連日零下を下回る最低気温が続いている同州の住民にとって、ようやく暖を取れる環境が戻ってきました。
ドル円は137円台後半までは戻しますが、138円台には届いていません。138円台に乗せれば、約2週間ぶりのドル高水準となりますが、仮に乗せたとしてもここから140円まではドル売り注文が集まっていると見ています。140円台は先月24日以来示現しておらず、ここまで値を戻すことができれば市場のセンチメントもやや変化すると思われます。ここまでセンチメントを変えてくれるのは、本日のCPIと明日のFOMC後の会見でよほどタカ派的な結果が出て来る他ありません。CPIは今夜10時半、予想は総合CPIで「7.3%」となっています。
本日のドル円は136円~139円50銭を予想します。
- [2022/12/13 10:31]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
WTI原油価格小幅ながら6日続落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は欧州市場で135円台半ばまで売られたが、NYではPPIが予想を上回り、ミシガン大学消費者マインドも上振れしたことで一転して136円91銭まで上昇。
- ユーロドルは1.05台で推移し、明確な方向感も見られず。
- 株式市場は反落。好調な経済指標を手掛かりに、3指数が揃って売られる。
- 債券も売られ、長期金利は3.57%台に上昇。
- 金は4日続伸。一方原油は6日続落し、71ドル割れ手前まで売られる。
本日の注目イベント
- 英 10月鉱工業生産
- 英 10月貿易収支
- 米 11月財政収支
上値の重いドル円は先週末の欧州市場では135円58銭前後まで売られる場面もありましたが、NY市場では好調な経済指標を受け一転してドルが買われ、136円91銭までドル高が進んでいます。上も下も経済指標などの結果を材料に試しには行くものの、勢いはなく続きません。やはり今年最後の重要イベントを前に、見極めたいとする姿勢が強いということのようです。CPIとFOMCの結果発表、さらに最も注目されるとみられるパウエル議長の発言があり、その内容次第ではこれから年末にかけての相場だけではなく、年明けの動きにも影響してきそうです。
そんななか、今朝のブルームバーグは足元の高金利がどの程度長期化するかを巡り、金融当局と市場には認識の違いがあるといった興味深い記事を掲載しています。記事によると、「FOMCは今週の会合で0.5ポイントの利上げを実施し、来年早期の同じ行動を示唆することがほぼ確実視されており」とあり、ここまでは違和感は全くありません。続けて記事は、「短期的な見通しについては、市場もこれと同じ見方だが、来年遅くにピーク水準から急速に下がると予測している。インフレがFOMCの想定よりも鈍化する、あるいは失業増加が政策への圧力を強めるとの見方を反映したものだ。金利は景気抑制的な水準に『当面』とどまるとする」と述べています。市場の方がインフレに対してより楽観的に見ており、これが株安、債券高、さらにドル安につながっている可能性があるということのようです。記事では株式、債券、為替への言及はありませんが、「FOMCと投資家で見解の相違が鮮明になっており、パウエル議長の主張が試されることになる」と結んでいます。ブルームバーグが指摘するように、市場の見方がより楽観的であるならば、会合後のパウエル議長の発言は「タカ派的」になる可能性があり、前のめりになる市場をけん制することになるかもしれません。注目はCPIがどの程度鈍化しているのかという点と、パウエル議長の発言にしぼられそうです。
先週、核戦争の可能性に触れたロシアのプーチン氏でしたが、同氏は再びその可能性に言及しています。キルギスで首脳会談を終えたプーチン氏は記者団に、「(核の使用を)われわれは検討している」と発言し、「米国は高精度ミサイルを使って予防的な攻撃を仕掛ける戦略をとっている。敵の士気をくじくための攻撃ということであれば、米国側のアプローチをわれわれも取ることを考えるべきだろう」と述べています。プーチン氏が核問題について話すのは先週だけで2回目です。正式には認めていないものの、ウクライナ軍はロシアの軍事施設への攻撃を強めており、10日にはヘルソンから撤退したロシア軍が結集しているウクライナ南部のメリトポリにある同市の軍事基地で約200人のロシア兵士が死亡したとの報道もあります。EUはロシア制裁第9弾を発表しており、フォンデアライエン欧州委員長は「ロシアへの圧力を強める」と語っていました。追い詰められたプーチン氏が「核」を口にする機会はますます増えるかもしれません。
ドル円は依然として底堅い動きを見せるものの、先週末のように、良好な経済指標が出ると上値を試しますが、勢いはありません。140円台でドルを購入した投資家や、輸出企業も本格的にドル売予約の割合を増やし始めたことが、上値を抑えている可能性がありそうです。本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。
- [2022/12/12 10:16]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
WTI原油価格、5日続落で71ドル台に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京市場午後から欧州市場にかけてはジリ安の
展開が続いたが、NYではやや買い戻される。「リスク回避」の
流れがやや後退したが、値動きは緩慢だった。
◆ユーロドルは1.05台から上値を試す展開となり、1.0565
辺りまで上昇。
◆株式市場は3指数が揃って反発。連日売り込まれた反動
との声が大勢で、反発力も限定的。ダウは183ドル高。
◆債券は反落。長期金利は3.48%台に上昇。
◆金は続伸し1800ドル台を回復。一方原油は5日続落となり、
71ドル台前半まで売られる。
◆新規失業保険申請件数 → 23.0万人
本日の注目イベント
◆中 中国11月消費者物価指数
◆中 中国11月生産者物価指数
◆米 11月生産者物価指数
◆米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米 家計純資産(3Q)
前日と同じようにドル円は137円台まで上昇する場面もありましが、上昇の
勢いはなく136円台前半まで押し戻され、その後は目立った動きになってい
ません。
ユーロドルも1.05を挟むもみ合いが続いていますが、昨日はやや上値を切
り上げ、
1.0565近辺まで買われましたが、こちらも勢いはないようです。
今夜には米11月の生産者物価指数(PPI)が発表され、来週早々にはCP
IとFOMCを控えていることもあり、市場はやや小休止の様相でした。
NY株式市場では久しぶりに主要3指数が揃って上昇し、債券が売られるなど
、「リスク回避」の流れがやや後退していますが、米経済は来年にはリセッシ
ョン入りの可能性が高く、昨日の動きも「単なる綾戻し」との声が優勢でした
。下落が続いている原油価格は昨日も下げ、これで5日連続で売られました。
昨日は米国の戦略的在庫が想定以上に増えていたことが材料視されていますが
、来年も世界景気が一段と鈍化するとの観測を背景に、なかなか浮上のきっか
けがつかめないのが現状です。
米国では一時、ガロン当たり5ドルを超えていたガソリン価格が3ドル台まで
下がり、1年前の価格を下回ってきました。FRBにとっては願ってもない「
朗報」です。
FRBにとっては「手ごわい相手」である、好調な米労働市場にもやや鈍化の
兆しが見え、今後雇用統計にも影響を与える可能性も浮上しています。
昨日発表された週間失業保険申請件数は前週比4000件増えて、23万件で
した。
失業保険の継続受給者数も、前週比6万2000人増の170万人と、2月上
旬以来の高水準になっています。労働市場が一時的に冷え込んできた兆候とも
捉えられますが、サービス業を中心に「人手不足」は続いており、ここが解消
されないかぎり「高賃金→消費拡大→インフレの高進」という構図は崩れそう
もありません。
引き続き毎週発表される失業保険申請件数にも注意していきたいと思います。
6日に行われた米ジョージア州の上院決選投票では、最後の最後に民主党現職
のウォーノック氏が、トランプ前大統領から支持を受けた共和党候補のウオー
カー氏を破り勝利しました。これで上院の議席数は「51対49」となり、バ
イデン政権にとっては上院での法案可決において有利に働くことになります。
もっとも、決選投票前でも仮にウオーカー氏が勝利して「50対50」になっ
たとしても、副大統領であるハリス氏が民主党であることから「態勢」は決ま
っていましたが、問題は2024年の大統領選に出馬を決めているトランプ氏
への影響です。
共和党上院院内幹事のスーン議員は、「20年大統領選挙へのトランプ氏の執
着が汚点になり、特に激戦区で出馬していた人々に本当に不利益になったと思
う」と述べ、共和党の重鎮でトランプ氏と頻繁に論争を交わしたロムニー上院
議員も、「トランプ前大統領の支持を得ることは、党内の予備選挙で勝利して
も本選挙では敗れる可能性が高いことを意味した」
と指摘し、「選挙で実際に勝ちたい人にとっては、トランプ氏から支持を得る
ことは死への接吻だ」(ブルームバーグ)と、かなり辛辣な言葉で批判してい
ます。
「共和党圧勝」との事前予想が多かった今回の中間選挙でしたが、これでトラ
ンプ氏の再選の可能性はかなり低下したと思われます。党内のトランプ離れも
徐々に進み、「トランプ党」から「共和党」へ再び戻りそうな気配もします。
後は、仮にバイデン氏が出馬した場合、「年齢」だけが悪材料として意識され
そうですが、残り2年、ウクライナ問題や中国との関係も含めて、何が起こる
か分かりません。
本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度を予想します。
- [2022/12/09 09:52]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
米長期金利急低下
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間では底堅く、137円台後半を試す場面もあったが、
NYでは米長期金利が急低下しドル売りが優勢に。136円23銭まで
ドルが売られ、前日の水準に。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げたものの、依然として.1.05を
挟んでもみ合いが続く。
◆株式市場は前日比プラス、マイナスを繰り返す動きを見せたが、
主要3指数はまちまち。ダウはプラス圏で引けたが、他の2指数は
小幅安。米景気がリセッション入りする可能性の高いことが重荷に。
◆債券価格は大幅に上昇。米景気のリセッション入りの可能性や、
プーチン氏が核戦争の可能性に言及したことから「安全資産」の
債券に金が流れた。長期金利は急低下。
◆金は大幅に続伸。原油は4日続落し、一時は71ドル台まで下落。
◆10月消費者信用残高 → 27.078b
本日の注目イベント
◆豪 豪10月貿易収支
◆日 7-9月GDP(改定値)
◆日 10月貿易収支
◆日 10月国際収支
◆日 10月景気ウオッチャー調査
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 新規失業保険申請件数
ドル円は昨日の東京時間では堅調に推移し、137円台を回復。午後にはドル
が一段と買われ、137円86銭まで上昇する場面もありました。欧州市場で
も137円台半ばで推移しましたが、NYでは再び136円台に押し戻されて
います。
「リスク回避」の流れが強まり、安全資産の米国債に資金が流れ、債券価格が
急上昇。
長期金利は9月以来、およそ3カ月ぶりに3.40%台まで低下し、ドル売り
を誘いました。米景気のリセッション入りの可能性が高いことに加え、プーチ
ン氏が核戦争の可能性に言及したことが債券高につながっています。
プーチン氏は7日、テレビ中継された大統領府の人権評議会の会合で、米国と
同盟国が核で脅していると批判し、「われわれは核をカミソリのように振り回
して世界を走り回るようなことはしないが、当然ながら核兵器があるという事
実に則して進む。これは必然的に抑止要因で、紛争拡大を引き起こすのではな
く抑止するものだ。誰もがこれを理解していることを望む」と語り、自国と同
盟国を防衛するためには「あらゆる必要な手段」を用いると強調しました。
(ブルームバーグ)
ロシアがウクライナへ侵攻を開始してからすでに10カ月になろうとしていま
すが、このところ前線ではロシアが劣勢に立たされています。
今週5日と6日には、ロシア南部のジャギレボ空軍基地と、エンゲリス空軍基
地がドローンによる攻撃を受け、死者3人を含む大きな被害が出ています。
この攻撃は、無差別なミサイル攻撃を受けたウクライナによる報復と見られて
いますが、ウクライナ側は正式には認めていません。
ロシア軍は、侵略の長期化で兵器が枯渇しているとみられ、国民の間では多数
の死傷者が出たことや、予備役兵の動員で、戦争への忌避感情が増しています
。「そこにウクライナ国内からのドローン攻撃という新たな悪材料が加わり、
厭戦(えんせん)機運が一段と強まってきた」(日経新聞)とみられます。
このような状況からプーチン氏は今回の核使用の可能性に言及したのではない
かとも推測されています。
これまでも、「国家が危機にさらされた場合には、核兵器の使用もあり得る」
と発言してきたプーチン氏。追い詰められれば、追い詰められるほど「核リス
ク」は高まります。
米10年債はこの発言を受けて急騰し、長期金利は一時3.40%台まで低下
しました。
これにより、2年債との「逆イールド」はさらに広がり、投資家が米景気のリ
セッションの可能性を一段と意識させることにつながっています。
因みに2年債の利回りは「4.26%」で引けており、その差は0.84ポイ
ントまで拡大しています。
2年債の利回りが、より長い10年債の利回りを上回ると景気後退に陥ること
は、過去の歴史が物語っており、米景気は2023年春先にもリセッションに
入る可能性が非常に高いとみられています。
ドル円は先週末に133円61銭まで売られたことで、10月21日の高値か
らは短期間で、「18円33銭」下落したことになります。
結構な値幅と言えます。
足下では、その下落幅を埋めている状況ですが、ここでフィボナッチ・リトレ
ースメントを用いて戻りのメドをみると、「23.6%」戻しが「137円9
4銭」と導き出され、昨日の午後東京市場で付けた「137円86銭」は、こ
の水準が意識された可能性もあります。
因みに、この水準を抜けた場合に次のメドとなる「38.2%」は、「140
円61銭前後」になります。
米金利との相関がさらに強まっている印象のドル円ですが、今後は「米景気の
リセッション入りの可能性」がドル売り材料として前面に出て来るかもしれま
せん。
本日のドル円は135円~137円程度を予想します。
- [2022/12/08 09:19]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
WTI原油価格一時73ドル台に下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は東京時間に137円台を回復し、137円43銭近辺まで
上昇したが欧州では下落。NYでは再び底堅い動きを見せたものの、
金利低下もあり上値は限定的であった。
◆ユーロドルは1.05を挟む動きとなったが、値幅は伸びず。
◆株式市場は大幅続落。大手米銀CEOの相次ぐ景気悲観論を
嫌気してS&P500は4日続落。ダウも350ドル下げ、ここ
2日間で800ドルを超える下落に。
◆債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。
◆金は3日ぶりに反発。原油は大幅に続落し、一時はおよそ1年ぶりと
なる73ドル台を記録。米国の利上げ継続観測と景気悪化の見方が重荷に。
◆10月貿易収支 → 78.2b
本日の注目イベント
◆豪 豪7-9月期GDP
◆日 10月景気一致指数
◆中 中国11月貿易収支
◆中 中国11月外貨準備高
◆独 独10月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏7-9月期GDP(確定値)
◆米 10月消費者信用残高
◆加 カナダ中銀政策金利発表
ドル円は昨日の東京時間では底堅い動きを見せ、夕方には前日のNY市場の
高値を大きく上回る137円43銭近辺までドル高が進みましたが、NYで
は米長期金利の低下がドルの上値を抑える格好となり、136円台後半で取
り引きを終えています。先週末には133円台半ばまでドルが売られたこと
を考えると、戻しとしてはひとまず適切な水準かと思われます。
米株式市場のセンチメントがなかなか改善しません。
昨日も米大手銀行のCEOが相次いで景気に対して厳しい見方を示したこと
が嫌気されました。
ゴールドマンのソロモンCEOは経済に対して暗い見通しを示し、「ボーナ
ス減額や人員削減が実施されたとしても意外なことではない」と述べ、バン
クオブアメリカのモイニハン氏は、「個人消費の減速を理由に採用活動を鈍
化させた」と発言しています。
また、JPモルガンのダイモン氏も、「経済を取り巻く暗雲は、ハリケーン
かもしれない」と述べ、「来年は軽度から重度なリセッションに陥る恐れが
ある」と警告しています。
このような景気に対するネガティブな見方が「リスク回避」の流れにつなが
り、株式を売り、安全資産の債券に資金が流れ、金利低下がドルの上値を重
くしていました。
原油価格も、中国の「ゼロコロナ」を巡る規制が緩和されたといった好材料
はあるものの、米景気のリセッション入りの可能性が高まっていることから
下落基調が続いています。
来週13-14日のFOMCを控え、すでにブラックアウト期間に入ってい
るため、FOMCメンバーの発言は封じられていますが、利上げ幅は0.5
ポイントで決まりかと思われ、焦点は来年に向けた利上げスタンスに移って
います。
その利上げスタンスについても、パウエル議長の講演では急速にハト派観測
が強まり、そうかと思ったら、雇用統計やISM非製造業景況指数の上振れ
によりタカ派観測が一気に高まるといった「乱高下」が続いています。ドル
円が大きく乱高下するのも、「むべなるかな」といった状況と言えます。
今年最後の重要イベントである、13日の消費者物価指数(CPI)と翌日
のFOMCでも、相場は大きな動きを見せると予想されます。
半導体大手の台湾のTSMCが米アリゾナ州に、400億ドル(約5兆44
60億円)の巨額を投じ、最先端の半導体製造工場を新設すると発表しまし
た。
工場では3ナノと呼ぶ製品を製造し、主にアップルに供給する模様です。
バイデン大統領とアップルのクックCEOは6日にも同工場を訪れる予定に
なっています。
TSMCは今回の投資で、これまでよりさらに米国寄りに舵を切り、台湾海
峡での不安な動きもある中、米国への安定的な半導体供給に踏み切ることに
なります。これに対する中国側の反応は、今のところないようです。
オーストラリア準備銀行(RBA)は6日、市場予想通り政策金利であるキ
ャッシュ・レートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.1%にする
ことを決めました。
これで8会合連続の利上げとなり、政策金利は2012年11月以来の高水
準になりました。
RBAのロウ総裁は声明で、「政策委員会は今後さらなる利上げを見込んで
いるが、規定のコース上にはない」と説明し、「将来の利上げ幅とタイミン
グは引き続き今後のデータで決まる」と述べています。今回の利上げで打ち
止めになる可能性があると、市場では予想していますが、ロウ総裁はデータ
次第ではさらなる利上げ余地の可能性を残していました。
136円台後半で推移しているドル円は、短期的な動きを示す「1時間足」
では雲の上限(135円29銭前後)を大きく上回って推移しています。
しかしながら、市場のドル売りセンチメントは継続されていると見られ、ま
だ上値の重い展開が維持されそうです。
本日のドル円は135円50銭~137円80銭程度と予想します。
- [2022/12/07 09:16]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ドル円136円台を回復
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆東京時間ではほぼ134円台で推移していたドル円はNYで急反発。
11月のISM非製造業景況指数が予想を大幅に上回ったことで、FRBによる
利上げが続くとの観測からドル高が進む。ドル円は136円86銭まで買われ、
この日の高値圏で引ける。
◆ユーロドルは1.0594まで上昇し、約半年ぶりの高値を付けたが、
その後反落。
◆米経済指標の上振れから株式市場は全面安。
ダウは500ドルを超える下げとなったが、引けは482ドル安。
ナスダック、S&P500も大幅下落。
◆債券も下落。長期金利は3.57%台に上昇。
◆金はドル高が嫌気され大幅に続落。原油は朝方買われたものの、
その後急落し、77ドル台を割りこむ。
◆11月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 46.2
◆11月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 46.4
◆10月耐久財受注 → 1.0%
◆10月製造業受注 → 0.8%
◆11月ISM非製造業景況指数 → 56.5
本日の注目イベント
◆豪 豪7-9月期経常収支
◆豪 RBA、キャッシュターゲット
◆独 独10月製造業新規受注
◆米 10月貿易収支
◆米 ジョージア州、上院決選投票
◆加 カナダ10月貿易収支
ドル円は大きく反発し、NY市場では136円86銭前後まで買われる場面も
ありました。先週末の欧州市場でのドルの安値からはわずか1日で3円以上も
値を戻したことになり、結局「往って来い」の相場展開になっています。
昨日のコメントでもドルが反発する可能性が高いことに触れましたが、(参照
:12月5日付け、「今週のレンジ予想」)、米インフレはそう簡単に収まる
ことにはならず、その結果FRBは利上げ継続を余儀なくされるとの観測が強
まったことが背景です。
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業総合景況指数は、市場
予想に反して上昇していました。
予想は「53.5」でしたが、結果は「56.5」と、市場予想だけではなく
先月の「54.4」をも上回っていました。
先週発表された製造景況指数が「49.0」と、活動の拡大、縮小の境目であ
る「50」を2020年5月以来初めて下回っていたこともあり、昨日の非製
造業景況指数も弱目の数字が予想されていました。
それだけに予想を大きく上回る結果は、市場には「サプライズ」と受け止めら
れ、ドル円はNY時間だけでも1円80銭程上昇し、円は主要通貨の中では圧
倒的に売られ、全面安の展開でした。
予想外の強めの結果に、ドルが買われただけではなく、今後も利上げスタンス
が継続されるとの見方から、株式市場はほぼ全面安となり、低下傾向にあった
米長期金利も上昇。
さらには、1800ドル台を大きく超えた金も下げ、1781ドル台で引けて
います。
WTI原油価格も大きく売られましたが、これはEUとG7がロシア産原油に
設定した「1バレル当たり60ドル」という上限価格の適用初日であったこと
も影響したようです。
ISM非製造業景況指数は通常、あまり注目される経済指標ではありませんが
、投資家が米国のインフレの行方にいかに注目し、その結果が全ての金融資産
に大きな影響を与えると認識している証左でもあります。今後も消費者物価指
数(CPI)や雇用統計だけではなく、このようなやや注目度の低い経済指標
にも注意する必要があるようです。11月の非製造業では13業種が「拡大」
と報告され、特に不動産やレンタル、リース、鉱業、農業などで伸びが目立っ
ています。
ISMの担当者は、「ホリデーシーズンで事業者の活動が活発になった。財部
門ではディスインフレ傾向が一段と広がっているが、非製造業指数の仕入れ価
格サブ指数は、サービス業におけるインフレの勢いが依然強いことを裏付けた
」と述べています。(ブルームバーグ)
本日はオーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利の発表を行います。
市場では0.25ポイントの利上げを見込んでいますが、引き締めサイクルは
終わりに
近づいていると見られます。利上げサイクルの終焉に言及するのかどうか、R
BAの声明文に注目が集まります。
ドル円は135-140円のレンジで推移するのではないかと予想しています
が、昨日のNYでの急反発を受け、短い「1時間足」では雲抜けを完成させ、
雲の形も、下落から上昇に転じて来ました。「先行スパン1」が「先行スパン
2」を上抜けしたことで上昇の雲を示現させています。ただ、このまま一方的
に上昇する可能性は低いと見ています。今日の目安は「2時間足」の雲の上限
である「137円32銭近辺」に注目しています。
この水準を抜けば、もう一段の上昇も期待できそうですが、市場のセンチメン
トは依然として「ドルベア」であることに変わりはありません。
本日のドル円は135円30銭~137円50銭程度と予想します。
- [2022/12/06 09:23]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ドル円欧州で133円台半ばまで下落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル売りの勢いは止まらず、欧州市場では一時133円61銭前後まで
ドル安が進む。その後、米11月の雇用統計が予想を上回った結果に
ドルが買われ、136円手前まで反発したが、134円台前半で引ける。
◆ユーロドルも雇用統計発表後には1.0430まで売られたが、その後
1.05台半ばまで上昇。
◆株式市場はまちまち。雇用統計発表直後は大きく売られたが、長期金利
の低下もあり、ダウはプラスで引ける。ナスダックとS&P500は小幅な
マイナスで越週。
◆債券は朝方売られ、長期金利は上昇したが、その後低下に転じる。
3.48%台で取り引きを終える。
◆金と原油はともに下落。
◆11月失業率 → 3.7%
◆11月非農業部門雇用者数 → 26.3万人
◆11月平均時給 (前月比) → 0.6%
◆11月平均時給 (前年比) → 5.1%
◆11月労働参加率 → 62.2%
本日の注目イベント
◆中 11月財新サービスPMI
◆中 11月財新コンポジットPMI
◆欧 ユーロ圏10月小売売上高
◆欧 ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値)
◆欧 ユーロ圏11月総合PMI(改定値)
◆欧 ラガルド・ECB総裁講演
◆米 11月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米 11月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
◆米 10月耐久財受注
◆米 10月製造業受注
◆米 11月ISM非製造業景況指数
◆加 カナダ10月住宅建設許可件数
多くの米経済指標が大幅な利上げの影響から、景気が抑制され始めている結果を
見せる中、最も注目される「雇用統計」では、依然として緩やかな拡大傾向が続
いています。「11月の雇用統計」では、非農業部門雇用者数(NFP)は事前予
想の「20万人の増加」を上回る「26.3万人の増加」でした。さらに10月
の速報値も「26.1万人」から「28.4万人」に上方修正され、労働市場の
底堅さがあらためて明らかになっています。失業率は「3.7%」と市場予想と
一致し、前月から横ばいでした。
人手不足の解消が進んでおらず、中小・自営業者の業界団体である全米自営業者
連盟(NFIB)の調査では、10月時点で経営者の46%が「求人が埋まらな
い」と答えています。(日経新聞)
ただそれでも、2022年のNFPの推移を確認すると、1月、2月が非常に好
調で50万~70万人もの増加を示し、市場に驚きの声が上がりました。
3月から7月辺りまでは、概ね40万~50万人とやや鈍化し、8月は31.5
万人の増加にとどまっています。
そして9月からは3カ月連続で20万人台後半で推移しており、労働市場は底堅
いとは言え、雇用者数の増加ペースは明らかに鈍化していると考えられます。
もっとも、米国では20万人の増加であれば、まずまずの水準と見られており、
人手不足を解消するにはさらに賃金を上げるしか方法がないのかもしれません。
そして、そのことがインフレの高止まりにつながることは明白です。
ドル円ではドル売りの勢いが止まらず、先週末の東京市場の夕方には節目の13
5円台を割り込み、欧州市場朝方には一時133円61銭辺りまで一気にドル安
が進みました。
135円割れでは「ストップロス」も多く執行されたと思われ、ドル下落を加速
させたようです。ここまでの動きはほぼ想定通りのものでした。
先週1週間だけでも6円を超える下落と、かなり厳しい下げとなっています。
こうなると、下値のメドは「130円の大台」ということになりますが、その前
に、今年のドル円の上昇分である38円47銭の「半値戻し」である、「132
円70銭近辺」が重要かと思います。
「半値戻しは全値戻し」という言葉があるように、ここを割り込むとさらに下落
が加速する可能性があります。
ただ、冷静に考えれば、まだ米国の高インフレは終息したわけではなく、今後の
データ次第ですが、インフレが息を吹き返すこともないとはいえません。135
円―140円のレンジに戻る可能性を意識したいと思います。
シカゴ連銀のエバンス総裁が2日講演で、「FF金利の引き上げペースは減速す
る可能性が高いが、ピークの金利水準は恐らく若干高めになりそうだ」と述べ、
「インフレ率は極めて高い。当局目標の2%に下げるため、われわれは金融環境
を適度に景気抑制的水準にする途上にある」と指摘しています。
エバンス総裁は来年1月9日にグールズビー・シカゴ大学教授とバトンタッチす
る予定で、今月のFOMCが最後の会合になります。
またタカ派のイメージの強いサマーズ元財務長官はブルームバーグテレビジョン
の番組で、「インフレ抑制の道のりは長い。金融当局は市場が現在判断し、当局
者が今発言しているよりも一段の利上げが必要になると思う」と述べ、「6%が
われわれが書くことができるシナリオだ。5%は最善の予測ではない」と話して
います。
バイデン大統領は1日、マクロン仏大統領との共同会見で「戦争を終わらせる方
法は一つだけだ。プーチン氏がウクライナから撤退することだ」と指摘しました。
さらに、「すぐに連絡をとる予定はない」としながらも、「もし戦争を終結させ
る方法を探っているなら、プーチン氏と話す用意がある」とも述べています。
ロシアによるウクライナへの攻撃はインフラ施設を中心に続いており、厳寒を迎
える中、双方とも相当な疲労が積み重なっており、早期の停戦が望まれます。
マクロン大統領は帰国後、プーチン氏と電話会談に臨む予定です。
本日のドル円は133円50銭~135円50銭程度を予想します。
- [2022/12/05 09:42]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
ドル円3カ月ぶりの135円台示現
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は大幅続落。パウエル議長の講演を境に、米金利が急低下し
ドル円も次々と大台替えを示現。NYでは135円21銭までドル売りが
進み、約3カ月ぶりのドル安水準に。
◆ユーロドルも大きく買われ、6月29日以来となるユーロ高に。
◆前日は3指数が揃って大幅に上昇したが、この日はまちまち。
ダウは大きく下げたものの、ナスダック指数は小幅に続伸。
◆債券は続伸。長期金利は3.5%台まで低下。
◆ドル安が急速に進んだことで金は大幅に反発。一時は1818ドル台
まで買われる。原油も小幅ながら4日続伸。
◆新規失業保険申請件数 → 22.5万件
◆11月ISM製造業景況指数 → 49.0
◆10月個人所得 → 0.7%
◆10月個人支出 → 0.8%
◆10月PCEデフレータ(前月比) → 0.3%
◆10月PCEデフレータ(前年比) → 6.0%
◆10月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2%
◆10月PCEコアデフレータ(前年比) → 5.0%
◆11月自動車販売台数 → 1414万台(年率換算)
本日の注目イベント
◆日 10月マネタリーベース
◆独 独10月貿易収支
◆独 独10月鉱工業生産
◆欧 ユーロ圏10月卸売物価指数
◆欧 ラガルド・ECB総裁、パネル討論に参加
◆米 11月雇用統計
◆米 エバンス・シカゴ連銀総裁。イベントで基調講演
◆米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆加 カナダ11月就業者数
◆加 カナダ11月失業率
今週水曜日のパウエル議長の講演を境に、ドル円は次々と大台を塗り替え、ついに
135円台前半までドル高が修正されてきました。筆者も本欄で、「137円68
銭の直近安値を切ると、135円が視野に入る」とコメントしてきました。
ドルは米国のインフレが一向に収まらないことで買われてきましたが、そのインフ
レがピークアウトした可能性が浮上し、それに伴ってFRBがこれまで行ってきた
大幅利上げのペースを見直すことになりそうなわけですから、ドル高が修正される
流れに、違和感はありません。ドル円は8月18日以来、およそ3ヵ月半ぶりに1
35円台前半まで売られました。
パウエル議長は今週30日(水)のブルッキング研究所での講演で、「利上げペー
スを落とす時期は早ければ12月の会合になる可能性がある」と発言し、「政策引
き締めにおけるわれわれの進展を踏まえれば、こうしたペースを落とすタイミング
の重要性は、インフレ抑制に向けあとどの程度金利を引き上げる必要があるのか、
また政策を景気抑制的な水準でいつまで維持する必要があるのかという問題の重要
性より著しく劣る」と述べました。
議長が12月会合での利上げペースの見直しを明確にしたことで、この日は株価が
大幅に上昇し、債券市場でも債券が買われ、3.7%台で推移していた長期金利は
、昨日は3.5%割れ目前の水準まで低下してきました。金利の低下が直接ドル売
りを誘い、講演前には139円90銭近辺まで買われる場面もあったドル円は、2
日間で5円に迫る急落ぶりです。昨日は商品市場でも金が大きく買われ、1818
ドル台まで上昇しています。
金はドルの代替品の側面が強いのと、金利の付かない金は金利上昇局面では売られ
易い傾向があり、昨日は金利低下をはやしたてたようです。
問題はFRBがどこまで利上げペースを落とすのかという点です。
12月の会合での0.5ポイントの利上げは確実でしょう。その後来年1月の会合
でも0.25ポイントの利上げが有力です。場合によってはその次の会合でもさら
に0.25ポイントの利上げも考えられます。そして、この辺りで利上げが一旦停
止される可能性があります。
結局ターミナルレートとしては、4.75~5.25%程度が落ち着き処と予想し
ています。
昨日講演したFRBのボウマン理事も、「フェデラルファンド(FF)金利は十分
に景気抑制的な水準に近づいており、目標レンジをどこまで引き上げる必要がある
かを見極める上で、利上げペースを減速させることが適切となろう」と、パウエル
議長と同様な発言を行っていました。
昨日発表された経済指標を見ても、PCEデフレータは明らかに鈍化しており、I
SM製造業景況指数も経済活動の「拡大と縮小の境目」を示す「50」を割り込み
、2020年5月以来の低水準でした。
また、週間失業保険申請件数でも、2月以来となる高水準となり、労働市場の減速
を示唆していました。
このように、景気抑制を狙った大幅利上げの効果が、ようやく目に見えて出て来た
といった印象です。
ドル円は今朝8時時点でも135円台前半で推移しています。135円割れを試し
にいきそうな雰囲気です。ここを大きく割り込むようなことになると、130-1
35円の新しいレンジに入る可能性がありそうです。135円は重要な節目です。
市場のセンチメントも、かなりドル売りに傾いてきたと思われます。
ただ、今夜の雇用統計で、労働市場の底堅さが確認されるようだと、ドルの反発余
地はあります。市場は上がっても下がっても、常にオーバーシュート(行き過ぎ)
する宿命のようです。その意味で、ここ2日間の下げと、センチメントもやや行き
過ぎかもしれません。実態としては、「日米金利差が縮小」するのではなく、「日
米金利差の拡大が鈍化」するということです。
本日のドル円は134円~136円60銭程度を予想します。
- [2022/12/02 09:49]
- デイリーコメント |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
- | HOME |