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NY株FOMCを前にポジション調整進む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は130円台を回復。米長期金利が上昇したことで、
ドル買いが強まり130円56銭までドル高に。
◆ユーロドルは再び1.09台に乗せ、1.0911まで
ユーロ高が進む。ECBによる大幅利上げ観測が根強く、
ユーロ高を支える。
◆株式市場は3指数が大幅に下げる。FOMCの結果発表と
ハイテク企業の決算発表を前に、利益を確定する動きが加速。
ダウは260ドル下げ、ナスダックも227ポイント下落。
◆FOMCを前に債券も売られ、長期金利は3.53%台に上昇。
◆金と原油は続落。

本日の注目イベント

◆豪   豪12月小売売上高
◆日   12月失業率
◆日   12月鉱工業生産
◆中   1月中国製造業PMI
◆中   1月中国非製造業PMI
◆中   12月中国工業利益
◆新   IMF、世界経済見通し(WEO)、(シンガポール)
◆独   独1月雇用統計
◆独   独10-12月期GDP(速報値)
◆独   独1月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(速報値)
◆英   英12月消費者信用残高
◆米   10-12月雇用コスト指数
◆米   11月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   1月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   11月FHFA住宅価格指数
◆米   1月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米  企業決算 → UPS、GM、キャタピラー

ドル円は再び130円台を回復し、NYでは130円56銭前後までドル高が
進んでいます。株価の下げがきつく、「リスクオフ」が進んだ印象ですが、債
券も売られ長期金利が上昇したことでドルが押し上げられた格好です。
NY株は連日上値を追う展開でしたが、さすがにFOMCという重要イベント
を前にポジション調整の売りが出たようです。また今週2日にはアップルやア
マゾン、アルファベットといったIT大手の決算発表が控えていることも、調
整売りを加速させています。

本日からFOMC会合が始まり、明日(日本時間では2日の朝4時)には決定
内容が発表されますが、0.25ポイントの利上げはすでに市場に織り込み済
みで、焦点は3月会合も含めて、今後の利上げスタンスがどのように見込まれ
るのかという点に移っています。
ブルームバーグは今朝の記事で、「米金融当局は今週のFOMC会合で利上げ
ペースの一段の減速に踏み切る方針の一方で、当局としては引き締めキャンペ
ーンを終了する用意があるとの誤った印象を与えることを避けたい意向と考え
られる」と予想しています。筆者も同じように、パウエル議長はインフレ率の
鈍化は鮮明であると認めながらも、まだ引き締めの手綱を緩めるタイミングで
はないことを強調するのではないかと予想しています。
株価の大幅下落という「痛み」も和らいでおり、ここでややタカ派的な発言を
行い、前のめりになる市場のセンチメントを軌道修正する意味合いもあると考
えられます。市場とコミュニケーション取ることに長けているFRBは、強弱
の材料をうまく織り交ぜて、市場との対話を進めるものと思われます。

ブルームバーグはさらにタカ派的な予想もしており、「FOMC会合では利上
げ幅を0.25ポイントに圧縮する決定を下すと広く予想されているが、パウ
エル議長はインフレ率を2%の当局目標に押し下げる取り組みを感じさせるも
のではないとの強いメッセージを発し、バランスを図るものと見込まれる。必
要であれば、楽観的となっている金融市場に冷水を浴びせることも辞さない可
能性がある」と報じています。
2008年の金融危機を予言し、ベストセラーとなった「ブラック・スワン」
の著者でもあるタレブ氏を擁する、米ユニバース・インベストメンツは、「客
観的に見ても、金融史上最大の発火装置および時限爆弾といえる。その規模は
1920年代後期よりも大きく、当時のような結果を市場にもたらす可能性が
高い」と警鐘を鳴らしています。同社はブラック・スワン的なイベントに備え
るファンド「ブラック・スワン・ファンド」を運用しています。
やや衝撃的なメッセージに聞こえますが、市場には常に両極端な見方が跋扈す
るのは特別なことではなく、特にFOMCのような重要イベントを前にした際
には普通のことです。

中国外務省の報道官は30日の定例記者会見で、マッカーシー下院議長に台湾
を訪問しないよう呼び掛けています。「われわれは特定の米個人に対し、一つ
の中国政策に真摯に従うよう促す。国際関係の基本的規律に反するいかなる行
動も控えるよう」と発言しました。
同報道官はマッカーシー氏を名指しはしなかったものの、同氏の台湾訪問計画
を伝える先週の報道に関する質問に答えての発言でした。
昨年ペロシ前下院議長が中国の度重なる警告にもかかわらず台湾を訪問し、米
中間に緊張が高まったことは記憶に新しいところです。
中国はまた、海警局が日本の船舶に尖閣諸島周辺の海域には入らないよう警告
しています。
海警局は声明で、「日本の船舶が尖閣諸島周辺の海域に入らないよう強く求め
るとともに、日本は尖閣諸島を巡り発言する権利はない」としています。

本日のドル円は129円~131円程度を予想します。


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12月のPCEデータ市場予想と一致 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動き。PCEデータが予想通りだったものの、
インフレ率の鈍化傾向が確認され、ドル売りがやや優勢に。
◆ユーロドルは前日の高値から小幅に低下。
◆株式市場は3指数が続伸。ダウは小幅ながら6日続伸。
ナスダックは連日で大幅続伸。
◆債券相場はほぼ横ばい。長期金利は3.5%台で越週。
◆金と原油は下落。

◆米   12月個人所得                    →  0.2%
◆米   12月個人支出                    →  -0.2%
◆米 12月PCEデフレータ(前月比)           →  0.1%
◆米 12月PCEデフレータ(前年比)            →  5.0% 
◆米 12月PCEコアデフレータ(前月比)         →  0.3%
◆米 12月PCEコアデフレータ(前年比)         →  4.4%
◆米   12月中古住宅販売成約件数              →  2.5%
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)       →  64.9

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏1月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏1月景況感指数



先週末のNYではPCEデータが発表されましたが、結果は市場予想とほぼ一
致し、相場を大きく動かす材料にはなりませんでした。為替市場も比較的小動
きで、米金融当局が利上げペースを減速させるという見方に変化はないという
ことで、ドル円はやや売りが優勢となる展開でした。このところ好調な株式市
場も、小幅ではありますが、ダウは6日続伸し、他の2指数も上昇して引けて
います。
株価が堅調に推移するという観点からすると、利上げペースが今後も減速する
ことにつながり、ドル円にとっては下落要因になりますが、一方でリスク資産
の株式が買われるということは、相対的に安全資産の債券が売られ易く、金利
上昇傾向からドル円が買われると、読むこともできます。重要なのは、やはり
今後の消費者物価指数がどこまで低下するのかといった点と、好調な雇用がい
つ崩れるのかといった部分です。

イエレン財務長官はブルームバーグとのインタビューで、最近のインフレと雇
用に関するデータは心強いとしながらも、金利が高い水準にとどまる中で米経
済がリセッションに陥るリスクがあることを認める発言を行っています。
イエレン氏は、「これまで目にしたデータにはそこそこ満足している」としつ
つも、金融当局が経済を減速させつつあることを踏まえ、「リセッションのリ
スクを最小化したくはない」と述べています。ブルームバーグの調査では、米
経済が向こう1年間にリセッションに陥るリスクは65%程度と予想されてい
ます。「経済が予期せぬショックを回避した場合、米金融当局がソフトランデ
ィングを達成できるか否かは労働市場の状況次第だ。ただそれは、失業率の上
昇回避を意味する訳ではない」と説明しています。

12月のPCE(個人消費支出)価格指数は、総合指数、コア指数ともに前月
から鈍化し、過去1年余りで最も低い伸び率となっていました。
総合指数は「5.0%」の上昇、(11月は5.5%)で、コア指数は「4.
4%」(11月は4.7%)(いずれも前年同月比)でした。パウエルFRB
議長はPCEコア指数について、「インフレ動向を測る上でより正確な指標だ
と考えている」と述べたこともあり、FRBが同指標をCPIよりも重要視し
ている可能性があります。
同指数が低下傾向を鮮明にしていることから、米国のインフレ率は昨年6月に
ピークを付けたことがより確実になったと思われます。

米予算が債務上限に達し、暫定措置が実施されている中、マッカーシー下院議
長はバイデン大統領と、上限引き上げや歳出削減、米国債のデフォルト回避を
巡り、2月1日に会談することをCBSの番組で明らかにしました。
バイデン大統領は連邦債務上限を交渉材料とすることを拒否し、当初、会談に
は応じない姿勢を見せていましたが、ホワイトハウスの報道官は、「債務上限
は交渉材料ではない。経済的混乱の回避はこの国およびその指導者の義務だ」
との姿勢をもって会談に応じるようだと述べています。

ドル円はもみ合いが続いています。上値は130円台後半、一方下値は127
円台前半が抜けない限り明確な方向性が出ないと思われます。
今週は、その方向性が出る可能性があります。
1日(水)には今年最初のFOMC会合の結果が発表され、週末には早くも1
月の雇用統計です。

本日のドル円は128円50銭~130円50銭程度を予想します。


東京都区部のCPI上昇を受け、ドル円朝方に下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上昇し、NYでは130円台半ばまで買われた。
米10-12月期GDPが2.9%と、市場予想を上回ったことで、
米経済ソフトランディング可能との見方が広がり、リスクオンの
流れに。
◆ユーロドルはドル高にもかかわらず、1.08台半ばで下げ
止まる。上値は再び1.09台前半まで上昇。ドイツを中心に
経済指標の上振れが支えに。
◆このところ上昇傾向を見せている株式市場は3指数が揃って
続伸。ダウは205ドル上昇し5日続伸。この間の上げ幅は900
ドルを超える。
◆債券は反落。株が上昇したこともあり、債券は売り優勢に。
長期金利は3.49%台に上昇。
◆ドルが買われたことで金は反落。原油は続伸。

◆米新規失業保険申請件数       →   18.6万件
◆10-12月GDP(速報値)     →   2.9%
◆12月新築住宅販売件数       →   61.6万戸
◆12月耐久財受注          →   5.6%


本日の注目イベント

◆豪   豪第4四半期生産者物価指数
◆豪   豪10-12月四半期輸入物価指数
◆日  1月東京都区部消費者物価指数
◆米   12月個人所得
◆米   12月個人支出
◆米 12月PCEデフレータ(前月比)
◆米 12月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 12月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 12月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   12月中古住宅販売成約件数
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米  企業決算 → アメックス

FOMCを前に、ドル円は一進一退の動きとなっています。
短期的にはこれといったはっきりした方向感もない中、値幅だけはあり、まずまずの
展開です。昨日のNYでは130円62銭前後までドル高が進み、再び131円をテ
ストするかの雰囲気もありました。

発表された米第4四半期が「2.9%」と、市場予想の「2.6%」を
上回りましたが、第3四半期の「3.2%」よりは減速しており、また内容的には強
弱まちまちでした。市場では米景気がソフトランディングできるとの見方も浮上し、
安心感からか、株価は続伸し、債券が売られるといった「リスクオン」の流れが強ま
ったようです。
米GDPの7割を占めると言われる個人消費は「2.1%」と、予想を大きく下回っ
ていましたが、企業の在庫積み増しがGDPを押し上げたと分析されています。
これはFRBにとっては願ってもない「朗報」で、今後インフレ率が低下する可能性
が高まる一方、リセッション入りが避けられる状況も想定されます。
また高騰を続けていた米国のアパート賃料が、昨年12月は低下していたことが明ら
かになりました。
12月の賃貸料は前月比で「1.4%」低下し、全米ベースの賃料の中央値は197
8ドル(約25万7000円)となっています。これは今後、インフレ率の押し下げ
に寄与するはずですが、消費者物価指数(CPI)に反映されるには一定の時間がか
かるとみられています。

ただ「好材料」だけではありません。
新規失業保険申請件数を見ると、そう安心はしていられない状況も浮かび上がってき
ます。申請件数は先週から6000件減少の「18.6万件」でした。
これは昨年4月以来、9カ月ぶりの低水準で、減少は2週連続となります。
失業保険申請件数の減少は、労働市場が依然として拡大していることを示唆し、個人
消費の伸びは鈍化しているものの、基本的な「人手不足」の状況は続いていると想定
されます。今夜発表される個人消費支出やPCEデフレータなどで、より詳細が判明
することになりそうです。

IMFは26日、日本経済に関する審査(対日4条協議)報告書を公表しました。
報告書では、「日本銀行はインフレの上振れリスクと下振れリスクの両方に対応でき
るように長期金利変動のさらなる柔軟化が必要である。市場で起こる多くは日銀のコ
ミュニケーションに左右される。超高水準の金融緩和から離れる条件や長期金利の許
容変動幅を動かす条件について、日銀がいかに明瞭に伝えられるかが重要だ」と提言
しています。また、「許容変動を突破されるかされないかを決定付ける上で、コミュ
ニケーションは絶対的に重要だ」とした上で、「確かに単純な作業ではない」と付け
加えていました。(ブルームバーグ)
筆者はIMFが日本経済について評価したことを目にしたのは初めてですが、市場と
の対話が極めて重要で、コミュニケーション不足であることを鋭く指摘している点が
印象的でした。FRBとの差は歴然です。

連日ウクライナ情勢に触れていますが、昨日ウクライナではロシアのミサイル攻撃で
少なくとも11人が死亡したと発表されています。
攻撃では、2発以上の超音速ミサイルを含む55発の巡航ミサイルが発射され、軍用
ドローンも参加したとされています。アメリカやドイツが主力戦車を多数ウクライナ
に提供することを決めた翌日の攻撃で、その前に軍事行動を起した格好です。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、上記戦車に加え、軍用機や長距離ミサイルなど
他の高度な兵器の供与も望むと語っています。
バイデン大統領は、ロシアのウクラナ侵攻開始から約1年となる2月に欧州を訪問す
ることを検討しているとNBCは報じています。

本日のドル円は128円30銭~130円80銭程度を予想します。

130円台半ばでNYでの取引を終えたドル円は、すでに129円65銭辺りまで
下げています。
1月の東京都区部のCPIが「4.3%」と、41年8カ月ぶりに高水準となり、
日銀への金利引き上げ圧力が高まっていることが背景です。


ユーロドル9カ月ぶりの高値に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は引き続き上値は重いもののレンジ内で推移。
NYでは129円27銭まで売られる。カナダ中銀が利上げを決めた
ものの、今後の利上げスタンスを見極めるとの声明文が重荷になった。
◆ユーロドルは続伸し、昨年4月以来9カ月ぶりの高値となる
1.0923までユーロ高が進む。独ifo景況感指数が7カ月ぶり
となる高水準だったことが材料に。
◆株式市場は朝方にはマイナス圏で取り引きが始まったが、
その後買いが優勢に。ダウはプラスで引け、他の2指数は小幅な
マイナスで引ける。
◆債券は荒っぽい動きの中、結局長期金利は小幅に低下。
◆金は続伸し1942ドル台まで上昇。原油は横ばい。


本日の注目イベント

◆豪   豪第4四半期生産者物価指数
◆豪   豪10-12月四半期輸入物価指数
◆日    1月東京都区部消費者物価指数
◆米   12月個人所得
◆米   12月個人支出
◆米  12月PCEデフレータ(前月比)
◆米  12月PCEデフレータ(前年比)    
◆米  12月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米  12月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   12月中古住宅販売成約件数
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米    企業決算 → アメックス

ドル円は上値を切り下げ、NYでは129円27銭まで売られる場面もありました。
カナダ中銀の声明文が重しとなり、FRBも近いうちに引き締め政策を停止するので
はとの観測がドルを押し下げたようです。ただ、現時点では引き続き127円台前半
から131円台でのレンジ内で推移しています。「レンジ」と言っても、値幅はそこ
そこあるため、取引が細ることはない印象です。
来週行われるFOMC会合に向けて、どのようなポジションで臨むのか、調整期間と
いった様子です。2月1日に決定内容が発表されますが、FRBはその後のパウエル
議長の記者会見は対面で行うと発表しています。
議長は先週、新型コロナウイルス検査の結果、陽性だったこともあり、記者会見の形
態が流動的でしたが、いつも通り2日の日本時間午前4時半からワシントンンのFR
B本部で行うと発表されています。会合では利上げ幅は、個人的には0.25ポイン
トになると予想しており、これはすでに市場に織り込み済みでしょう。
焦点はパウエル議長の会見です。ここで3月の会合でも利上げスタンスが継続される
のか、あるいは一部ハト派が予想しているように利上げ休止があるのかどうかです。
0. 5ポイントの利上げの可能性はないので、このままではドル買い材料になる
可能性は低いと考えられますが、議長がインフレ見通しに対してより慎重な発言を行
うようだと、引き締め政策の長期化観測が台頭し、ドル買いに振れる可能性もないと
は言えません。
多くのFOMCメンバーは足元のインフレ低下傾向を歓迎する考えを示しながらも、
慎重な姿勢を崩していないというのが、筆者のこれまでの印象ですが、同時にこれは
パウエル議長のスタンスにも通ずるものだと思います。

バイデン大統領は25日ホワイトハウスで、米主力戦車「MIエイブラムス」31両
をウクライナに提供すると発表しました。
バイデン氏は会見で、「戦車はウクライナの戦略目的達成を助けることになる」と説
明し、「戦車の供給には時間がかかるだろう」としつつも、具体的なめどについては
言及していません。
またそれに先立って、ドイツは同盟国と協力して同国製の戦車「レオパルト2」をウ
クライナに100台以上供給することを発表しています。
声明によると、ドイツとそのパートナー国は合計112台の提供を目指し、ドイツは
同盟国によるレオパルト2の再輸出に必要な承認も付与するとしています。
ドイツはまず第一弾として、連邦軍が保有する「レオパルト2A6」を14台提供す
るとしており、ビストリウス国防相によると、最初の戦車は3カ月以内にウクライナ
に到着する可能性があるとのことです。ただ、ウクライナは冬の終わりとともにロシ
ア軍が攻撃を強めるとみており、早ければ来月にも始まる可能性があり、これには間
に合わない公算が大きいようです。
これに対してロシア大統領府のペスコフ報道官は、「ウクライナの同盟国は戦争に対
する戦車の影響を過大評価している。深い思い込みだ」と述べ、「ウクライナに提供
されるエイブラムスとレオパルトは他の戦車と同様に燃え尽きるだろう」と語ってい
ます。(ブルームバーグ)ロシアとNATOの戦争になることを避けてきたドイツの
ショルツ首相も、米国の意向や、ロシアによるウクライナの集団住宅への攻撃などで
多くの市民が犠牲になったことを受け、ようやく決断したとみられます。

カナダ中銀は25日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.5%にすることを
決めました。ただ声明で、これまでの急速な金融引き締めの影響を見極めるために、
利上げを見合わせる見通しであるとしたため、発表後カナダドルは下落しています。
カナダ中銀は昨年の利上げ開始の際に、先進国の中でもいち早く利上げを決めるなど
、非常に政策決定が早いという印象を筆者は持っています。またその政策判断も正鵠
を射ていると言えます。今回の声明文が正しければ、いずれFRBも同様な判断を下
す可能性があるのではないかと思われます。

本日のドル円は128円~130円50銭程度を予想します。


ドル円一時131円台に乗せるも続かず 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は乱高下。朝方には一時131円12銭まで買われたが、
米長期金利の低下に129円台後半まで売られた。
◆ユーロドルは小幅ながら続伸し、1.0889を付ける。
1月のPMIが予想を上回ったことが背景。
◆株式市場はまちまち。ダウは104ドル高で取引を終え、
3日続伸。一方ナスダックはこのところの急上昇もあり、
利益確定の売りに押され30ポイント安。
◆債券は反発。長期金利は3.45%台に低下。
◆金は反発し原油は続落。

◆1月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)        →  46.8
◆1月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)      →  46.6
◆1月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)     →  46.6
◆1月リッチモンド連銀製造業景況指数            →  -11

本日の注目イベント

◆豪   豪第4四半期消費者物価指数
◆日  11月景気先行指数(CI)(改定値)
◆独   独1月ifo景況感指数
◆米  企業決算 → AT&T、ボーイング、IBM,テスラ
◆加   カナダ中銀政策金利発表

東京時間でのドル円の上値は重く、午後には130円を割り込み、129
円72銭前後まで売られました。ただ、NYでは朝方に131円台まで急
伸する場面もありましたが、米長期金利の低下に伴って元の値位置まで押
し戻される展開でした。

昨日この欄で、ドル円が「日足のレジスタンス・ライン」を上抜けしたこ
とに触れましたが、その影響もあったのか、131円台から押し戻された
ものの、底堅い動きです。
「レジスタンス・ライン」の上抜けについては、当社のチャートでは明ら
かに抜けてはいますが、筆者が寄り処にしているブルームバーグのチャー
トでは、必ずしも上抜けが完成したとは言えず、微妙な値位置になってい
ます。これは、後者は24時間の動き全てを網羅した中でチャートが出来
上がっており、当社のそれは全ての動きを反映していないからだと思われ
ます。月曜日の早朝がいい例です。当社は月曜日は朝7時からレートが配
信されますが、それ以前のオセアニア市場のレートはチャートに反映され
ていません。

例えば、その前の金曜日に雇用統計が発表され、相場が大きく動いた時な
どは、翌月曜日のオセアニア市場でもその動きが継続され、大きな値動き
になるケースがあります。
また大きなニュースは土日に発表されるケースがあり、そのニュースを受
け月曜日のオセアニア市場でレートが飛ぶケースもあります。ブルームバ
ーグのデータでは、基本的にはその全てのレートが反映されます。
それは、ブルームバーグの端末自体が電子ブローキングとして機能してい
ることから「為替市場」となっており、そこで取り引きが行われているか
らです。オセアニア市場で相場が大きく動いたデータはブルームバーグの
チャートには反映されており、一方当社のチャートでは7時からの動きし
か反映されていません。移動平均線など、多くのデータは過去のレートの
積み重ねです。そのため、平均値などで誤差が出るのは不可避と言えます。
ただ、昨日も述べたように、テクニカル指標は数多くこれが全てではあり
ません。あくまでも、その中の一つが変化を示唆したと捉えればいいと思
います。

米1月のPMIは、製造業、サービス業、総合の全ての数字が活動の縮小
を示す「50」を7カ月連続で割り込んでいましたが、一方で全てが市場
予想を上回り、12月分から改善しています。指数の上振れは、米インフ
レの長期化にもつながる可能性があり、S&Pの担当者は、「企業は物価
高と金利上昇の影響を心配しているほか、供給と労働者不足を巡る懸念を
引き続き抱いている」と分析しています。(ブルームバーグ)
この日発表されたユーロ圏の1月のPMIは予想に反して拡大しており、
米国のそれとは対照的でした。
総合PMIは3カ月連続の縮小でしたが、活動が拡大とみられる「50」
を超えています。
米国よりもリセッション入りの可能性が高いとみられていたユーロ圏でし
たが、今回の結果を受けてリセッション入りが回避できるのではとの観測
も出てきました。
ECBの理事会は2月2日に開催され、ここでも0.5ポイントの利上げ
が予想されていますが、今後のデータ次第では0.75ポイントの可能性
も噂されています。
この大幅利上げの継続観測がユーロドルでのユーロ高につながっている面
もあり、今後大幅利上げが避けられるようだと、ユーロ売りにつながる可
能性もありそうです。

ドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を巡り、ポーランド
はドイツに対して同戦車の供与を正式に申請したと報じられていましたが
、ブルームバーグは、ドイツが同戦車のウクライナへの再輸出を25日に
も認める見通しだと報じています。
また米国もまだ決定はされていないものの、戦車「M1エイブラムス」を
ウクライナへ提供することを、25日にもホワイトハウスが発表する可能
性があると伝えています。
昨日のNHKの番組で駐日ウクライナ大使は、今年9、10月にはウクラ
イナがロシアに総攻撃を行い、戦争を終結させる計画があることを明らか
にしていました。
そのためウクライナは、今後の地上戦を有利に進めるためにも最新鋭の戦
車が必要だということです。

本日のドル円は129円~131円50銭程度を予想します。


ドル円130円台で底堅く推移 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場では129円台前半まで売られたドル円は上昇し、
NYでは130円88銭前後まで反発。リスクオンの流れから
長期金利が上昇したことでドル円はしっかり。
◆ユーロドルは1.08台で堅調に推移。ECBによる引き締め政策の
継続観測が支えに。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。S&P500は4000
ポイントの大台を回復し、ナスダックも大幅高。
◆債券は3日続落。長期金利は3.51%台に上昇。
◆金と原油は小幅に反落。

◆12月景気先行総合指数    →  -1.0%

本日の注目イベント

◆豪   豪12月NAB企業景況感指数
◆独   独2月GFK消費者信頼調査
◆独   独1月サービス業PMI(速報値)
◆独   独1月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏1月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏1月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏1月総合PMI(速報値)
◆米   1月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米   1月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米   1月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米   1月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米  企業決算 → GE、3M、ロッキード、J&J、マイクロソフト、ベライゾン

昨日の東京時間昼頃には129円04銭辺りまで売られたドル円はその後上昇に転じ、
NYでは長期金利の上昇もあり、130円88銭前後までドルが反発しています。
131円台を前に上昇の勢いは止められた格好でしたが、先週末のNYで付けた、13
0円62銭の高値を抜いています。NY株式市場では連日株価の大幅高が続き、「リス
ク資産の株が買われたことで、安全資産の債券が売られる」展開が続いています。言い
換えれば、「リスクオン」の流れが強まり円が売られ、ドル円が上昇しているとみられ
ます。昨日はマイクロソフトなどが上昇していますが、このところIT企業の人員削減
が相次ぎ発表されたことが好感され、株価の上昇につながっている面もあります。

先週後半からは、ドル円が128円台から130円台で底堅い動きを続けていたことで、
「日足」チャートではやや変化が出て来ました。昨年10月21日に記録した151円
94銭の高値を起点として11月4日の高値、さらには今年1月12日の高値を結んだ
トレンドラインは抵抗線として機能しており、ドルの上昇を抑えてきましたが、昨日の
ドル高によってこの線を上抜けしています。
日足の「レジスタンス・ライン」を上抜けしたことで、ここから見る限り「短期的には
ドルが底を打って上昇に転じるシグナル」の可能性があります。
もちろん、このラインの上抜けだけで必ずドル高に転じると判断することは危険です。
テクニカル指標に「だまし」はつきもので、今回の上抜けも「だまし」であって今後
数日して再び下落に転じる可能性もないとは言えません。また、「MACD」を見ても
、上昇を示唆するゴールデン・クロスを点灯させています。ただし、「MACDとシグ
ナル」の両線は依然として「マイナス圏」で推移しており、「ゼロの軸」を越えていな
い点には注意が必要です。
「一目均衡表」では、まだ「日足」での雲抜けにはかなり距離がありますが、短い「1
20分足」では雲抜けを完了しています。
これらを総合して勘案すれば、「短期的にはドルが上昇トレンドに入っているものの、
依然として中長期トレンドではドル安の流れは変わっていない」ということでしょう。
従って、ドルの下落を見込んでいる「ドルベア」スタンスの人であれば、注意が必要だ
ということです。チャートの「足」は短ければ短いほど早くサインを出します。
重要なのは、どの足に変化が出たら、ポジションの入れ替え、あるいは手仕舞いをする
のかを、しっかりと決めておくことです。

ザンビアを訪問しているイエレン財務長官は記者団に、「現在目にしているのは、サプ
ライチェーン問題の著しい緩和と在庫の増加、輸送費用の低下だ」とし、「従って、そ
うした部分のインフレはもはやあまり有意な形で寄与していない」と述べ、「昨年下期
の物価上昇圧力に大きく寄与した住宅市場の過熱も今年半ばまでに冷めるだろう」と語
っています。その上で、「向こう6カ月で、米国のインフレに対する住宅価格の押し上
げはほぼなくなるはずだ。極めて有益な兆しだ」と話しています。(ブルームバーグ)
確かに、米住宅市場では新築、中古を問わず昨年中盤からの鈍化傾向は鮮明です。
住宅着工件数は昨年4月の「181万件」をピークに12月には「133万件」にまで
減少しています。また、中古住宅販売件数も昨年1月の「649万件」から12月には
「402万件」と、大きく減少しています。
金利上昇の影響がいち早く出る住宅市場の鈍化は当然ですが、この先賃金上昇がどこま
でこの傾向に抗うのかといったところです。

本日のドル円は129円~131円50銭程度を予想します。


ドル円130円台半ばまで上昇後反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は欧州市場でのドル高の流れを受け朝方に
130円62銭の高値を付けたがその後反落。
黒田総裁のダボス会議での発言が重しとなり、129円45銭
まで売られる。
◆ユーロドルは引き続き堅調に推移。次回会合で0.5~0.75
ポイントの利上げ観測が支えに。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高に。大きく売られたダウは330ドル
上昇し、ナスダックも大幅高に。
◆債券は続落。長期金利は3.47%台に上昇。
◆金と原油は続伸。

◆12月中古住宅販売件数   → 402万件

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(12月19日、20日分)
◆欧   ユーロ圏1月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   12月景気先行総合指数

ドル円はNY市場の朝方には130円62銭まで上昇しましたが、その後は
129円台半ばまで押し戻されています。
先週水曜日には3.3%台まで低下した米長期金利が3.47%台まで上昇
したものの、ダボス会議でパネル討論会に出席した黒田総裁が、持続的なイ
ンフレを実現するために金融緩和を続ける自身の決意は揺るぐことはないと
の考えを示したことで、日銀の政策変更観測が後退し、ドル売りにつながっ
ています。
先週末に発表された日本の12月の全国CPIは「4.0%」と、先行して
発表されていた東京都の同指数と一致し、1981年以来、実に41年ぶり
の高水準でした。
それでも日銀は春以降には1.5%程度に向ってインフレ率は減速するとの
見方を変えて
おらず、金融緩和姿勢を維持しています。
岸田首相は昨日のテレビ番組で総裁人事に触れ、「新総裁は4月時点の経済
状況をしっかり考えた上で誰がふさわしいかをこれから判断していかなけれ
ばならない。まずは人選。人は代わる」と述べ、新総裁人事を進めているこ
とを明らかにしています。黒田総裁の任期は4月8日に満了を迎えます。

FRBのウォラー理事は今月31日―2月1日に開催されるFOMCでは利
上げ幅を再度縮小することを支持する考えを示しました。
ウォラー理事はNYでの講演で、「現時点においては、今月末の次回FOM
C会合では25ベーシス・ポイントの利上げを支持する」と発言し、「それ
以降については、当局の2%インフレ目標に向け、まだかなりの道のりがあ
る。金融引き締めの継続を支持する見通しだ」と話しています。(ブルーム
バーグ)
すでに多くのFOMCメンバーが「さらなる利上げペースの縮小」に言及し
ており、次回FOMCでの利上げ幅は「0.25ポイントで当確」といった
ところでしょう。
こうなると焦点は、パウエル議長の会見での発言に集まります。
ここで議長が、今後のインフレ率の低下傾向に楽観的な考えを示すのかどう
かという点が鍵になります。昨年6月には「9.1%」まで上昇した米CP
Iは12月には「6.5%」まで低下してきました。
急激な利上げに、景気抑制効果が確実に出てきているとみられますが、それ
でもまだFRBの物価目標の3倍以上にあたるインフレ率です。
パウエル議長が楽観的な見通しを示す可能性は低いとみています。

中国の春節が始まり、この間に21億人の人口が移動すると言われています
が、中国疾病予防コントロールセンターは21日、春節連休を控えた今月1
3-19日に、医療機関で新型コロナウイルス感染症に関連した死者が1万
2658人に上ったと発表しました。
また、同センターの疫学主席専門家の、呉尊友氏によれば、今回の感染拡大
で全人口の約80%がコロナに感染したとの見方を示しています。
中国の昨年末の人口は約14億1000万人であることから、80%が感染
したとすれば、11億人余りが感染した計算になり、膨大な数になります。
呉氏は、「春節連休の移動で一部地域では感染が増える可能性があるが、今
後2、3カ月で全国的に大規模感染や第2波感染が起きる可能性は極めて低
い」と指摘しています。

現時点では最新鋭といわれているドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライ
ナへの供与を巡り、ドイツのピストリウス国防相は、「NATO同盟国と合
意できれば速やかに動くことは可能だ」と述べていますが、ドイツ国内には
NATOとロシアの全面戦争となる可能性のある事態は避けるべきとの意見
も強く、結論は出ていません。
一方ウクライナの国防相は、同国の軍がレオパルト2の訓練を近くポーラン
ドで受けることを発表し、「大きな前進だ」と語っています。
リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国はドイツに対し、レオパル
ト2のウクライナへの供与を呼びかけており、「ドイツには欧州の大国とし
て、この件に関して特別な責任がある」と、リトアニアの外相は述べていま
す。マスコミは「ウクライナ情勢は新たな段階に入った」と伝えており、侵
攻1年を前に空中戦から地上戦に移る可能性を指摘しています。

本日のドル円は128円50銭~130円50銭程度を予想します。
今週は米企業の決算発表が本格化し、週末にはPCEデータが発表されます。


NYダウ3日続落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は終始128円台で推移し、128円80銭まで買われる
場面も。労働市場の底堅さを示す指標や、FRB高官からのややタカ派的な
発言がドルを支える。
◆ユーロドルは水準を切り下げたものの、底堅く推移。
ラガルドECB総裁の発言に1.0840まで上昇。
◆株式市場は3日続落。ブレイナードFRB副議長のタカ派寄りの
発言もあり、ダウは252ドル安。ここ3日間で1250ドルに
迫る下落幅を記録。
◆債券は反落。長期金利は小幅に上昇し、3.39%台に。
◆金と原油は揃って上昇。

◆新規失業保険申請件数          →  19.0万件
◆12月住宅着工件数           →  138.2万件
◆12月建設許可件数           →  133.0万件
◆1月フィラデルフィア連銀景況指数    →  -8.9

本日の注目イベント

◆日  12月消費者物価指数
◆独   独12月生産者物価指数
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆英   英12月小売売上高
◆米   12月中古住宅販売件数
◆米   ウォラーFRB理事講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆加   カナダ11月小売売上高

1日で4円も上昇し、その日のうちに4円下落するなど、連日の荒っぽい相場
に疲れたのか、昨日の為替市場はここ数日では極めて静かな1日でした。
ドル円は127円台後半まで売られる場面もありましたが、勢いはなく、NY
では128円台前半から後半での推移でした。
経済指標の発表と、FRB高官による発言はありましたが、流れを大きく変え
るような動きにはなっていません。ただ、NY株式市場では株に対するネガティ
ブな見方が続き、ダウは3日続落。
FRBによる利上げが長期化するとの見方や、米景気そのものに対する懸念も
株価の重荷になっているようです。

FRBのブレイナード副議長は19日、シカゴ大学で講演を行い、「インフレ
は最近緩やかになったものの、依然として高い水準にあり、これが持続的なペ
ースで2%に下がることを確実にするためには、十分に抑制的な金融政策をし
ばらく続ける必要があるだろう」と述べ、今後も景気抑制的な政策が続く可能
性に言及しました。
ブレイナード氏は今月末から開催されるFOMCでの利上げ幅については触れ
ていません。一方ボストン連銀のコリンズ総裁は、「政策金利が景気を抑制す
る領域に入り、最新の指標に基づくとピークに近づいている可能性が示唆され
た現在、当初の急速な引き締めペースをより緩やかな速度にシフトしたのは適
切だと考える」(ブルームバーグ)とし、次回FOMCでは0.25ポイント
の利上げを支持する考えである可能性を示唆しています。
両者の認識は、これまで多くのFOMCメンバーが発言した内容と足並みが揃
っていると受け止めています。

米財務省は19日、連邦債務が上限に達したことから、デフォルトを回避する
ための特別措置の活用を開始したと発表しました。
イエレン財務長官はすでに先週の時点で特別措置を講じる意向を議会に示して
いたこともあり、混乱はありませんが、今後議会で上限引き上げが議論される
ことになり、ウクライナに対する継続的な支援についても、財源の観点から議
論されるかもしれません。
財務省は、連邦債務支払い継続のため、政府が運用する退職者向け基金2つの
財源を活用する見込みです。

ウクライナ支援に向けて追加の武器供与を表明する国が相次いでいます。
バイデン政権は、25億ドル(約3200億円)規模の軍事支援で、米軍の装
甲車「ストライカー」を約100台供与する計画で、英国も地上・空中発射型
ミサイル「ブリㇺストーン」を追加で600発、デンマークもフランス製の戦
車などを供与するようです。
そんな中最新の戦車を保有するドイツの判断が注目されていますが、ショルツ
首相はNATOとロシアの全面的な戦いを避けたい意向から同戦車の供与には
やや消極的です。
ドイツ製の戦車を保有するポーランドは、ドイツの承認が必要としながらも、
「ドイツの承認が得られなくても行う可能性がある」と、モラウィエツキ同国
首相は語っています。
一方ロシアは戦争の長期化をにらんだ中、プーチン氏はロシア軍の規模を15
0万人まで拡大する計画を明らかにしており、間もなく侵攻開始から1年が経
過しますが、停戦どころか、戦況がさらに悪化しそうな状況になっています。

ドル円は依然としてドルの上値が重い展開が続くと予想します。
次回FOMCでは上述のように、0.25ポイントの利上げで決まりの様相で
す。ただ、今後の米インフレ率がどのようなペースで、どこまで減速するのか
が鍵であることに変わりはありません。
FOMCのほぼ全てのメンバーは、インフレ率の減速には慎重な見方を崩して
いません。もしその見方が正しいとなると、データ次第では「ドル先安観測の
修正」もないとは言えません。方向性は維持しながらも、フレキシブルに。

本日のドル円は127円~129円50銭程度を予想します。


ドル円再び乱高下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆日銀決定会合で金融政策の現状維持が決められたことで、
ドル円は東京市場で131円57銭まで上昇。欧州市場にかけては
ドル売りが優勢となり、NYでは朝方に129円台前半の高値を付け、
その後ドルが急落。127円57銭までドル売りが進み、「往って来い」の
展開に。
◆ユーロドルはじり高が続き、NYでは1.0887を記録。
昨年4月以来のユーロ高を示現。
◆株式市場は3指数が揃って大きく下落。特にダウは613ドル下げ、
前日の大幅安と合わせ2日間で1000ドルの下げに。
◆債券価格は急騰。長期金利は3.37%台に急低下。
◆金と原油は反落。

◆12月小売売上高        →  -1.1%
◆12月生産者物価指数      →  -0.5%
◆12月鉱工業生産        →  -0.7%
◆12月設備稼働率        →  78.8
◆1月NAHB住宅市場指数    →  35

本日の注目イベント

◆豪   豪12月雇用統計
◆日   12月貿易統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆欧   ユーロ圏11月経常収支
◆欧   ECB議事要旨(12月会合分)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   12月住宅着工件数
◆米   12月建設許可件数
◆米   1月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   コリンズ・ボストン連銀総裁講演
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   ブレイナード・副議長講演
◆米  企業決算 → ネットフリックス、P&G

「オーマイガァ!!」
まさにそう言いたくなるようなドル円の動きでした。

昨日の午前11時半過ぎ、日銀金融政策決定会合の結果が出るのを「固唾を飲んで」
見守っていましたが、予想した通り、政策の修正はなく「現状維持」でした。市場で
は、3日連続で長期金利が上限である「0.5%」を超えたこともあり、「何らかの
変更がある」との見方が強かっただけに、発表直後からドルの買い戻しが強まり、ド
ル円は急騰。結局、発表前の水準からちょうど3円程ドル高円安が進み、131円5
7銭前後まで上昇しました。さらに昨日のドル円の乱高下はそれで終わらず、今度は
NYで経済指標の下振れが続き、また米景気そのものへの懸念も広がりドルを売る動
きが活発となり、一時は127円57銭辺りまで押し戻される展開でした。
「往って来いの展開」を絵に書いたような動きでしたが、米インフレが徐々に鈍化す
ることを考えれば、NYでの動きが基本かなと思います。
今週に入り先月の「黒田ショック」の影響もあり、ドル安へのバイアスが増していた
ことで、ドル円の動きも上下に大きく動きました。
年が明けてからの動きは、6日の米雇用統計前には134円80銭近辺までドルが買
われたと思いきや、今週月曜日には127円22銭までドルが急落し、そして昨日は
131円58銭まで急騰した後、元の水準に押し戻されています。さながら、嵐に見
舞われて大きく揺れ動く「大海」の中にいるようです。

金融政策決定会合では全員一致で「現状維持」を決めましたが、黒田総裁は記者会見
の席で、「長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えていない」と述べ
ていました。日銀は同時に投機筋の「空売り」に対抗するために金融機関に国債の購
入を促す異例の資金供給も決めています。
国債の利回りよりも低利で資金を供給し、金融機関が国債を購入しやすいようにする
ものです。国債の売り圧力に対して日銀単独で対抗するのではなく、いわば「チーム
ジャパン」を構築しようとする意図のようです。
ただ、今後も日本のインフレ率上昇が止まらないようだと、いずれ国債の価格も下落
する可能性が高く、購入した国債が含み損を抱えることにもなりかねません。
果たしてどの程度の金融機関がこの「共通担保資金供給オペ」に賛同して投機筋に対
抗するのか、注目していきたいと思います。

昨日も多くのFOMCメンバーによる発言がありましたが、概ね「タカ派」とまでは
言えないものの、米国のインフレの鈍化には慎重な見方を維持しています。そのため
、今後も利上げは継続していく方針を支持するとの認識でした。

タカ派の代表格で、このところのインフレの鈍化傾向を受け、その姿勢にも変化が見
て取れるセントルイス連銀のブラード総裁は、ウォールストリート・ジャーナル(W
SJ)とのインタビューで、「あと少しで景気抑制的と呼び得る領域に入る状況だが
、まだそこには達してはいない」と指摘し、インフレ率が2%目標へと確実に低下す
ることを考えており、「その点では、ためらいたくはない」と述べています。
またダラス連銀のローガン総裁は、テキサス大学のイベントで、「ペース減速はまさ
に最善の決定を確実に行うための方法だ」とし、「われわれは利上げペースが減速し
たとしても金融状況を景気抑制的に保つため全体的な政策戦略を調整することができ
、必要なら調整すべきだ」と述べており、現在の状況は、「今月末の会合では0.2
5ポイントへと利上げ幅を縮小することを正当化する」と語っています。
同総裁は今年のFOMCでの投票権を持っています。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁もデラウエア大学のイベントで、「今年は数回
の利上げがあると私はみているが、75ベーシスポイント利上げの時期が過ぎたこと
は確かだろうと思う。私の見解では、今後は25bpの利上げ幅が適切になるだろう
」と話しています。(ブルームバーグ)
昨日のNYでは株が売られ、債券が買われ、長期金利は急低下し、これがドル売りの
大きな要因になっていましたが、これらの発言は中立と受け止められたようです。

複数の経済指標が下振れしていたことを考慮すると、インフレ率の低下に伴ってFR
Bの利上げペースが緩和される可能性につるながることから、もう少しNY株は買わ
れてもおかしくはなかったかと思いますが、経済指標の予想以上の悪化から米景気そ
のものへの懸念が株価を押し下げたようです。12月の小売売上高は「-1.1%」
と、予想以上に悪化し1年ぶりの大幅減でした。
11月分も下方修正され、この日発表された鉱工業生産など他の指標の下振れと相ま
って、景気懸念が広がったとみられます。

日米の中央銀行の政策決定や発言などで相場が大きく変動する展開が続いています。
これまでは「基軸通貨ドルの番人」であるFRBの動きをウオッチすれば何とか凌げ
ましたが、昨年12月からは日銀の動きにも注意深く目配りする必要があります。
また、債券市場での長期金利の推移についても同様です。それだけに、相場の動きを
予想するのが難しくなっています。長期のポジションを維持しにくい状況ですので、
ここはある程度利益が出たら、一旦は手仕舞いすることも考えた方がよさそうです。

本日のドル円は127円~130円程度と予想します。


日銀決定会合を前に、ドル円神経質な動きに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆日銀決定会合を前にドルの買い戻しが入り、ドル円は東京から
欧州では129円台に乗せる場面も。NYではドル売りが優勢と
なり128円前後まで下落。
◆ユーロドルは水準をやや切り上げたが、1.08台後半が
やや壁になりつつあることから、1.09台には届かず。
◆株式市場ではダウが、ゴールドマンやトラベラーズの決算発表を受け
大きく下落。一方ナスダックは小幅ながら7日続伸。
◆債券は下落。長期金利は3.54%台に上昇。
◆金は反落。原油は続伸し、これで8日連騰。昨年12月1日以来
引け値で80ドル台に乗せる。

◆1月NY連銀製造業景況指数    →  -32.9

本日の注目イベント

◆日   11月鉱工業生産
◆日   日銀金融政策決定会合。 終了後に結果と展望リポート公表
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆欧   ユーロ圏12月消費者物価指数(改定値)
◆英   英1月消費者物価指数
◆米   12月小売売上高
◆米   12月生産者物価指数
◆米   12月鉱工業生産
◆米   12月設備稼働率
◆米   1月NAHB住宅市場指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   ローガン・ダラス連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合で挨拶
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   イエレン財務長官、中国の劉鶴副首相と会談(チューリヒ)
◆米  企業決算 → アルコア

昨日の東京時間やその後の欧州時間で、ドル円は129円台前半まで上昇する
場面もありましたが、130円を試す展開ではありませんでした。本日の日銀
金融政策決定会合で、何らかの修正があるとの見方が先行していたことでドル
円は16日の東京市場で127円22銭まで売られましたが、発表前にポジシ
ョン調整が入ったようです。

本日の決定会合では政策変更はないとの見方が市場のコンセンサスですが、債
券市場では金利上昇圧力が続いています。昨日も長期金利は上限の「0.5%
」を超え、「0.505%」を付ける局面がありました。たかが「0.005
%」の話ですが、日銀が許容範囲の上限を「0.5%程度」と決めていること
が市場をナーバスにさせ、投機的な動きと日銀の攻防が続いています。
もっとも、投機的な動きとは一概に言えず、本来市場にあるべき機能に沿った
動きとも言えます。
上限超えは、これで3営業日連続となり「たかが0.005%」ですが、「さ
れど0.005%」といった状況です。債券トレーダーの中には、「イールド
カーブ・コントロール(YCC)の修正がある」との立場に立っている人も多
いとのことです。
個人的には先月長期金利の上限を「0.5%」に拡大したこともあり、日銀の信
頼性という観点からも再度の上限引き上げはないと予想していますが、修正の
内容はこれだけではないと考えられるため、正直不透明感が強いと言えます。
「トレーダーはドル円がいずれかの方向に2%以上変動する可能性にかけてい
る」とブルームバーグは報じていますが、これはボラティリティーの変化から
推測しているようです。
ドル円が大きく動けばボラティリティーが急上昇し、利益が得られるポジショ
ンが膨らんでいるようです。
決定会合の発表は、会合終了後となっており、発表時間はFOMCのように事
前に決まっているわけではありません。
因みに前回12月の会合では12時前に発表があり、ドル円はこの日だけで6
円を超える下落を記録したことは、記憶に新しいところです。
どのような変化があるかは分かりませんが、ポジション管理は怠らないよう、
準備をお願いしたいと思います。

1月のNY連銀製造業景況感指数は「-32.9」と、市場予想の「-8.6
」から大きく下振れしていました。2020年5月以来の低水準となり、項目
別でも、仕入れ価格、販売価格、新規受注、出荷、さらには雇用者数など、ほ
ぼ全てでマイナス幅を拡大しています。FRBによる景気抑制効果が出て来た
と見られますが、本来このような結果には、株高、債券高、そしてドル安で反
応するケースが多く見られてきましたが、昨日の動きは異なりました。
株と債券が売られ、金利が上昇したにもかかわらずドルが売られています。
株価はゴールドマンや保険大手トラベラーズの決算発表を受け、両社の株価が
大きく売られたことによるものです。ドル円の下落はやはり、本日の日銀会合
を巡る思惑が金利高を凌駕したものと考えられます。

ウクライナのゼレンスキー大統領はスイスで行われている「ダボス会議」でス
ピーチを行い、ウクライナ人の解放を訴え、既存の問題が本格的な世界危機と
ならないよう、ロシアの攻撃を封じ込めるための取り組みで団結するよう会議
参加者に強く求めていました。
一方、ウクライナを支援する武器供与では同盟国との足並みの違いを指摘され
ているドイツのショルツ首相はブルームバーグとのインタビューで、「使える
手段を全て用いて必要な限りウクライナを支援する」と述べ、「この戦争がロ
シアとNATOの直接衝突にエスカレートすることは常に回避する」と語って
います。

本日のドル円は予想も立てにくく、126円~130円と、かなりワイドです。


ドル円127円台前半まで下落後反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

欧州市場

◆ドル円は東京市場で一時127円22銭近辺まで売られたが、
その後は反発。欧州市場では朝方に128円台後半まで戻し、
その後はもみ合う展開に。
◆ユーロドルは小動きの中、終始1.08台前半で推移。


本日の注目イベント

◆豪   豪1月ウエストパック消費者信頼感指数
◆中   中国12月小売売上高
◆中   中国12月鉱工業生産
◆中   10-12月GDP
◆独   独12月消費者物価指数(改定値)
◆独   独1月ZEW景気期待指数
◆英   英ILO失業率(9ー11月)
◆米   1月NY連銀製造業景況指数
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
◆米  企業決算 → モルガンスタンレー、ゴールドマン
◆加   カナダ12月消費者物価指数
◆加   カナダ12月住宅着工件数


ドル円は昨日の東京市場昼前には127円22銭近辺まで売られましたが、
その後の欧州市場では反発し、終始128円台での推移でした。
NY市場が「キング牧師生誕記念日」のため祝日だったこともあり、ドル
売りの勢いも限定的でした。年初のドルの高値からわずか10日余りで7
円以上ものドル下落は、短期的にはオーバーシュートの可能性があること
を「ウィークリー・レポート」で書きましたが、基本的な流れは依然とし
てドル安であることは動かないでしょう。

ただ、明日は日銀の金融政策決定会合の結果発表があり、債券市場での金
利上昇圧力を考えると、12月に次いで、何らかの修正発表があっても不
思議ではありません。昨日も債券市場では長期金利が一時上限の「0.5
%」を超え、「0.51%」まで上昇したことを受け、日銀が2兆円を超
える国債買い入れを実施するなど、防戦に躍起でした。
「0. 5%」超えはこれで2日連続になります。イールドカーブの「ゆ
がみ」に着目した投機筋は、国債を借りて「空売り」し、日銀が12月と
同様に長期金利の上限を拡大すれば、大きな利益につながるポジションを
構築しているようです。
明日の決定会合で修正がなかったとしても「0.5%の壁」を巡る攻防は
続くとみられます。

毎年恒例のダボス会議(世界経済フォーラム)がスイス東部の保養地ダボ
スで16日から開幕しました。
例年と異なるのは、先ず雪がほとんどないということと、ロシアからの参
加者がいなかったことが挙げられます。
一方で、中東ペルシャ湾岸諸国からの参加者が増えているとブルームバー
グは報じています。
ロシアのウクライナ侵攻や原油価格の高騰など、グローバルの大変動や権
力構造の変化が
参加者の顔ぶれにも如実に表れており、興味深い変化と言えます。
会議で講演を行った著名人の発言は総じて景気に対してネガティブなもの
だったようです。世界最大の資産運用会社ブラックロックのヒルデブラン
ト副会長(元スイス中銀総裁)は、金利政策緩和を期待するトレーダーの
見方に反して、「中央銀行はインフレの低下傾向を確実にすべく今年も利
上げを継続する」、「率直に言って年内緩和の可能性は全くないと私は思
う」と述べています。
一方で中国から参加している劉鶴副首相は18日、チューリッヒでイエレ
ン米財務長官と会談するとの報道もあります。
昨年11月、対面による初めとなる米中首脳会談が実施されましたが、そ
の後両国関係に目立った進展はありません。
経済運営トップ同士の会談は、今後の通商問題の改善につながる可能性が
ありそうです。

中国が発表した新型コロナウイルスによる死者数約6万人に対して、やは
り専門家からは疑問の声が上がっています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の帳作風疫学部長は「発表された新型
コロナ死者数は氷山の一角かもしれない」と指摘し、病院での死者数とし
ては同氏の推計とほぼ一致するものの、「これは中国全土での合計死者数
に対して一握りに過ぎない」と述べています。
ブルームバーグの分析によれば、公式の死者数は人口100万人に対して
1日当たり1.17人が死亡したことを意味するが、これは当初のゼロコ
ロナ政策を転換して制限を緩和した他国の平均を大きく下回っており、こ
こからも数字の信ぴょう性が疑われるとのことです。

本日のドル円は127円~129円50銭程度を予想します。


ドル円7カ月半ぶりに127円台半ばまで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落。128円を割り込み一時は127円46銭と、
昨年5月30日以来となるドル安を記録。日銀の金融緩和修正
観測が円買いにつながる。
◆ユーロドルもドル安の流れから買われたが、前日の水準には
届かず、1.0837どまり。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。ダウは4日続伸し、ナスダックは
6日続伸。
◆債券は反落。長期金利は3.5%台に上昇。
◆金は続伸し、1921ドル台に。原油も7日続伸。


◆12月輸入物価指数              →  0.4%
◆1月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   →  64.6 

本日の注目イベント

◆米 株式、債券市場休場 (キング牧師生誕記念日)
◆欧   世界経済フォーラム(WEF)年次総会(スイス、ダボス、20日まで)

ドル円の下げは止まらず、先週末のNYでは128円を割り込み、127円46
銭までドル安が進んでいます。予想していた以上にドル安の進行が速い印象です
が、これは、日銀の緩和政策で、イールドカーブ・コントロール(YCC)が再
び修正されるとの観測が広がっていることが最大の理由かと思います。

ご存知のように、日銀は昨年12月の会合で長期金利の誘導目標をそれまでの「
0.25%」から「0.5%」に拡大し、ドル円はその日だけでも6円を超える
円高に振れ、「黒田ショック」とも呼ばれました。
先週末の円の債券市場では債券の売り圧力がさらに増し、長期金利は一時「0.
545%」まで上昇する場面がありました。
昨年12月の会合から1カ月もたたないうちに上限の「0.5%」を超えたこと
で、今月の会合で再び何らかの政策修正が行われるという見方も債券売りに拍車
をかけたようです。
その布石となったのが、読売新聞が12日の記事で、「日銀は17、18日の会
合で大規模緩和の副作用を点検し、必要な場合は追加の政策修正を行う」と報じ
たことでした。
先週金曜日の長期金利は、日銀の大量の買い支えもあり、引けでは0.5%前後
に戻ったようですが、この日の日銀オペによる長期債の買い入れ額は5兆83億
円に上り、1日の買い入れ額としては2日連続で「過去最大」を記録しています。
日銀は今日の臨時オペを事前に通知しており、債券市場の動き次第では再び買い
オペを実施する可能性があるとみられています。
債券市場のイールドカーブの「ゆがみ」を突いた投機筋の空売りに、どこまで日
銀が買い向かっていくのか、今日の債券市場の動きもドル円を見る上で重要です。
長期金利が0.5%を大きく超えて上昇するようだと、ドル円に下落圧力がかか
ります。

「米債務上限問題」が再び材料になりつつあります。
やや恒例行事化しているようにも思えますが、米財務省は債務残高の上限を回避
するため、今月19日から会計上の特別措置を講じる意向だと、イエレン財務長
官が超党派の議会首脳部に宛てた書簡で明らかにしています。
イエレン氏は、「特別措置の有効期間は様々な要素による著しい不確実性に左右
される。向こう数カ月、米財政収支を予想することが難しい点などが影響する」
とし、「6月上旬より早い時点に賃金と特別措置を使い切ることになるとは考え
にくい」としながらも、債務不履行という事態を避けるため、早期の上限引き上
げを議会に求めています。
米国では何年か前の債務上限問題では、議会での議論が紛糾し、上限引き上げが
決められず、公務員給与の遅延が起きています。一部公務員は自宅待機を余儀な
くされ、通関などの業務が停止したこともありました。
最終的には議会で合意をみるとみられますが、下院では「ねじれ議会」となって
いることもあり、合意までは時間がかかるかもしれません。米国のリセッション
入りの可能性も含めて、「ドル売り材料」と受け止められます。

予想通りと言いますか、やはりと言いますか、中国国家衛生健康委員会は14日
、昨年12月8日から今年1月12日までに本土の医療機関で5万9938人が
新型コロナウイルス関連で死亡したと発表しました。
中国当局はコロナ感染の日次データの公表を中止したり、コロナ感染による死亡
の定義を狭めたりしましたが、多くの専門家からは「余りにも多い数字のため公
表できないのでは」と推測されていました。ただこの6万人という数字は、在宅
での死者は含んでいないため、実際の死者数ははるかに多いのではないかとみら
れています。「英医療調査会社エアフィニティは12月以降の累計死者数が34
万人を超えたと予測。米保険指標評価研究所(IHME)は死者数が23年中に
100万人を超えるとみており、6万人はなお少ないとの見方もある」と日経新
聞は伝えています。

ドル円は昨年1月の113円47銭を底値に上昇したとすれば、すでに上昇分の
半値戻しは達成し、61.8%戻し(128円17銭)さえクリアしています。
当面は戻り売りのスタンスかと思います。

本日のドル円は126円50銭~129円50銭程度を予想します。


ドル円、米CPIを受け一気に128円台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場から欧州にかけてもドル売りが優勢だったドル円は
米12月のCPIを受け、130円台半ばから130円を割り込み、
一気に128円87銭前後まで急落。1月3日に記録した円高水準を下回る。
◆ユーロドルでもドル売りが鮮明となり、昨年4月以来となる1.0867
までユーロが続伸。
◆株式市場はCPIの鈍化を受け3指数が揃って3日続伸。
ダウは3万4000ドル、ナスダックは1万1000ポイントの
大台をそれぞれ回復。
◆債券も買われ、長期金利は3.44%台へと急低下。
◆金は続伸し一時1900ドル台を達成。原油も6日続伸。

◆12月消費者物価指数      →  6.5%(前年同月比)
◆ 新規失業保険申請件数      →  20.5万件   
◆12月財政収支         →  -85.0b

本日の注目イベント

◆中   中国 12月貿易収支
◆欧   ユーロ圏11月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏11月貿易収支
◆英   英11月鉱工業生産
◆英   英11月貿易収支
◆米 12月輸入物価指数
◆米   1月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁、インタビュー
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、開会挨拶
◆米  企業決算 → バンクオブアメリカ、ウェルズファーゴ、JPモルガン、シティグループ、ブラックロック
◆米   日米首脳会談


昨日の朝方、月4回ほど出演している「NIKKEIラジオ」の番組の中で、
キャスターの岸田さんから「佐藤さんは昨年からドル円が130円方向に向か
うと予想されていました。一旦130円を割った後、135円近くまで戻しま
したが、まだ130円を割ると予想していますか?」と質問を受けました。
筆者は、「そう思います。ひょっとしたら今夜のCPIがそのきっかけになる
かもしれません」と答えましたが、ズバリ的中というよりも、それ以上に円高
が進みました。
2日前には134円87銭近辺までドルが買い戻されていたわけですから、わ
ずか2日でちょうど6円もの「円高ドル安」が進んだことになります。
昨年12月の「黒田ショック」に次ぐ、「CPIショック」とも言える状況で
す。いつもの事ですが下げ相場は、そのスピードが違います。

12月の総合CPIは、前月比で「-0.1%」と、前月比でマイナスを記録
するのは約2年半ぶりのこととなります。
前年同月比では「6.5%」と、いずれも市場予想と一致していました。
コアCPIでは「5.7%」(前年同月比)と、こちらも前月の「6.0%」
から大きく鈍化しています。
原油価格の低下に伴うガソリン価格の下落が大きく、ピークからは4割ほど下
がっています。この欄で昨日も触れたように、今回のCPIについて市場では
予想よりも「0.1%程」下振れるとの観測が広がっており、この見方をはや
して株高が続いていました。発表された数字は予想通りでしたが、それでも各
市場は大きく反応しています。株高、債券高、金利低下からドル売りが強まり
、ユーロドルも1.0867と、昨年4月以来約8カ月ぶりの高値を付けてい
ます。
この結果を受けて、今月末から開催されるFOMCでは0.5ポイント利上げ
の芽はなくなり、0.25ポイントがコンセンサスになりつつあります。
特筆すべきは、一部のトレーダーからは、「利上げそのものが見送られる可能
性すらある」との見方も出て来たことです。

こうした動きの中、今年のFOMCで投票権を持つ、フィラデルフィア連銀の
ハーカー総裁はペンシルベニア州でのイベントで、「今年はあと数回の利上げ
を実施する見通しだが、私の考えでは一度に75ベーシスポイント引き上げる
局面は確実に過ぎ去った」と発言し、「私の見解では、この先は25bpの利上
げが適切になる」と述べています。
またリッチモンド連銀のバーキン総裁は、ハーカー氏ほど「ハト派」ではなか
ったものの、「インフレ鈍化に向けて取り組む中で、より慎重にかじを切るの
が理にかなう」と述べ、インフレ率については、「鈍化しつつあるものの、依
然として高すぎる」との認識を示しました。(ブルームバーグ)
米国のインフレ率は昨年6月の「9.1%」でピークを付け、鈍化傾向にある
のは間違いありません。今後はどの程度のペースで鈍化していくのかという点
がポイントで、そのペース次第ではFRBの引き締め終了の次期が早まる可能
性もあります。
筆者は現時点では、今月末の会合と、3月の会合で0.25ポイントの利上げ
を実施するとの見方を維持しながら、1月のCPIを待ちたいと思います。
昨日発表された週間失業保険申請件数は予想を下回り、依然として低水準を維
持しています。金利を大幅に引き上げて景気を抑制しようとするFRBの目論
見は、こと労働市場に関しては道半ばです。
今後も、少なくとも今年前半は「雇用統計」と「消費者物価指数」の二つが為
替を見る上で最重要指標であることは変わりません。

本日も多くのFOMCメンバーの発言が予定されています。
すでに、セントルイス連銀、ボストン連銀、そしてフィラデルフィア連銀総裁
などが「ハト派寄り」の発言を行っています。今後どの程度の連銀総裁が「タ
カ組」から「ハト組」に集まってくるのか、今日のコメントも注目されます。
中でも、やはりウィリアムズNY連銀総裁の発言が最も影響力があると思われ
ます。

筆者は本日午後から対面によるセミナーを約3年ぶりに開催します。このタイ
ミングでドル円が一気に128円台まで売られるとは、絶妙というか微妙とい
うか、参加者からは多くの質問の声があがりそうです。

本日のドル円は127円50銭~130円程度を予想しますが、今回の動きが
本格的な円高方向への始まりになるのか、それとも今月の第1週のように、単
なるオーバー・シュートに終わるかここ数日の動きが大切です。


ユーロドル昨年4月以来の高値を示現 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は132円台で推移。132円台後半までドル高が進むも、
今夜のCPI発表を控え上値は限定的だった。
◆ユーロドルは続伸し、1.0776まで上昇。昨年4月25日以来
となる高値に。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。今夜のCPIが市場予想よりも
下振れするとの観測が根強く、ダウは268ドル高。
◆債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。
◆金は続伸。一時は1890ドルまで買われ、昨年5月以来の高値に。
原油も買われ、これで5日続伸。中国の景気回復観測が支えに。

本日の注目イベント

◆豪   豪11月貿易収支
◆日   11月貿易収支
◆日   11月国際収支
◆日  12月景気ウオッチャー調査
◆日   日銀地域経済報告(さくらリポート、1月)
◆中   中国12月消費者物価指数
◆中   中国12月生産者物価指数
◆台  企業決算 → TSMC(台湾)
◆欧   ECB経済報告
◆米   12月消費者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米 12月財政収支
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベントに参加
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆加   日加首脳会談

市場では今夜発表される米12月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回る
との観測が依然根強く、NY株式市場では主要3指数が揃って大幅続伸しまし
た。前日と異なったのは、債券も買われ金利は低下しています。金利低下にド
ルは売られ、ユーロドルでは「ドル安ユーロ高」が進みましたが、ドル円は逆
行高となり、132円80銭(NY時間10時前には132円88銭)までド
ルが買われています。ユーロドルでドル安が進んだことで金は小幅ですが続伸
し、1900ドルを目指す動きになっています。

12月のCPIは前月の「7.1%」から「6.5%」に減速すると見られて
いますが、市場ではさらに「0.1%程度」低下するとの見方が広がっており
、株式市場からは「CPIが予想通りか、予想を下回る内容となれば、相場は
上昇する可能性が高い。一方で、強い数字となれば、想定がたやすく崩れてし
まう恐れがある。景気にとって良いニュースは市場にとって良いニュースとな
り得る」といった声も聞こえてきました。
(ブルームバーグ)仮に予想を下回る結果になるようだと、FRBによる利上
げ継続の根拠も弱まり、ドルが徐々に売られる展開が予想されます。

今月31日―2月1日に開催される今年最初のFOMCでは0.5ポイントの
利上げがコンセンサスですが、ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、NYタ
イムズとのインタビューで、「25(ベーシスポイント)ないし、50が妥当
だろう。私自身は現時点で25に傾いているが、あくまでもデータ次第だ」と
し、「われわれは利上げを停止する水準に近づいており、ゆっくりと調整する
ことで、毎回の判断を下す前に入手する情報を精査する時間が増える。より小
幅な変更を行うことで、われわれの柔軟性は高まる」と語っています。
(ブルームバーグ)コリンズ総裁は今年のFOMCでの投票権を持っていませ
んが、タカ派寄りの発言が相次ぐ中、かなりハト派寄りとして特筆できます。
タカ派の代表的な存在だったセントルイス連銀のブラード総裁も最近の発言で
は変化も見られてきたことから、労働市場が依然として好調とはいえ、FRB
の金融引き締めにもやや終点が見えてきたと考えられるかもしれません。
予想では今回の会合で0.5ポイントの利上げを行い、3月に最後の0.25
ポイントの利上げを実施した後、その効果を見極めるため様子を見るといった
シナリオがメインですが、今夜のCPIが予想を下回るようなら、その可能性
がさらに高まります。

ユーロドルが堅調な動きを見せています。
昨年9月には0.95台半ばまで売られましたが、昨日は1.0776近辺ま
でユーロ高が進み、この間の上昇率は13%程になります。
ユーロ圏では、成長が鈍化しているところにロシアによるウクライナ侵攻が勃
発し、ロシア産の天然ガスに大きく依存していたドイツを中心に「エネルギー
危機」が深刻な問題となり、そこに米国を上回るインフレが直撃しました。
米国よりもリセッション入りの可能性が高いと見られたユーロ圏では、米国の
ように思い切った大幅利上げには踏み切れず、おりからの「ドル高の波」に押
される格好でユーロ安が進みました。
その後はドル高の修正局面が訪れ、ECBが大幅利上げに踏み切ったこともあ
り、昨年11月辺りからユーロの買い戻しが進みました。加えて、今年に入り
「異例な暖冬」が欧州に広がり、「エネルギー危機」が後退したこともユーロ
高につながっています。ECB高官からは引き続き大幅利上げを示唆する発言
が続いていることもユーロを支えています。
テクニカルでもユーロドルの上昇は鮮明です。
すでに「日足」でのレジスタンスは全て抜き去り、「週足」の「一目の雲の上
限」である1.0935-40近辺が重要な上値のメドと予想しています。
ユーロドルでの「ドル安ユーロ高」は、ドル円でも「ドル安円高」として影響
を受けやすい動きになります。

本日のドル円は130円~133円程度とワイドに予想します。


明日の米CPI予想下振れ観測が台頭 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は132円台でもみ合う。欧州時間朝方には131円70銭
近辺まで売られたが、NYでは長期金利の上昇に132円47銭まで
ドルが買われる。
◆ユーロドルは小幅に続伸し、1.07台でもみ合い。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。12日発表のCPIが鈍化するとの
観測が広がり、ダウは186ドル高。S&P500も27ポイント高で
取引を終える。
◆債券は反落し、長期金利は3.61%台に上昇。
◆金は小幅に反落し、原油は4日続伸。

本日の注目イベント

◆豪   豪11月小売売上高
◆豪   豪11月消費者物価指数
◆日  11月景気先行指数(CI)(速報値)
◆英   日英首脳会談

明日12日に発表される米12月の消費者物価指数(CPI)が市場予想
以上に鈍化するとの観測が広がり、NYでは株価が上昇し、債券が売られ、
金利上昇に伴ってドル円は132円台半ばまで上昇しました。
CPIの楽観的な観測でしたが、各市場はまちまちの展開のようでした。
大幅利上げが回避できる可能性があることから、株価が上昇するのは納得
できますが、同時にこれは債券にとっても好材料で、本来ならば債券が買
われて金利が低下し、ドル円は下落するパターンかと思いきや、債券は売
られ金利が上昇したことでドル円も底堅い動きでした。もっともこの日は
、年初来続いている大きな値動きもなく、比較的おとなし目の動きだった
と言えます。
明日のCPI予想は前年同月比「6.5%」で、先月の「7.1%」から
の減速が見込まれていますが、昨日の市場では事前予想よりも「0.1%
」改善する確率が3分の2弱あるとの見方が出ていました。消費者物価指
数には市場が極めて敏感に反応する環境になっており、仮にその通りだと
してもわずか「0.1%」ですが、市場予想を下振れする「事実」が重要
なのかもしれません。NY株式市場の上昇は、これを先取りした格好にな
っています。

インフレ率の下振れは今後の利上げ継続の停止を早める可能性があり、好
材料ですが、パウエル議長はストックホルムで開かれたフォーラムでは引
き続き厳しい見方を維持しています。
議長は「高インフレの状況で物価の安定を取り戻す上で、短期的に『支持
されない措置』が必要となることもあり得る」と述べて、これまで通りの
タカ派姿勢を維持していました。
またボウマンFRB理事もマイアミで開かれたイベントで、「過去数カ月
に一部インフレ指標で減速が見られたが、われわれにはやるべき仕事がま
だ多く残っている。従って、FOMCは12月会合後に表明した通り、金
融引き締めに向けて利上げを続ける見通しだ」と述べています。(ブルー
ムバーグ)一方JPモルガンのダイモンCEOは微妙な発言を行っていま
す。
ダイモン氏は、「現在の想定を上回る水準までFRBは金利を引き上げる
必要があるかもしれない」ただ、5%程度という現在の予想については、
「私は、十分ではないのでないかと考える方だ。3カ月か6カ月待ってみ
ることに害はないと思う」と述べ、引き締めを中断し、その効果を見極め
ることも重要だとの認識を示しています。

世銀は10日、半期に一度の「世界経済見通し」(GEP)を公表しまし
た。それによると、23年の世界成長率を「1.7%」と予想し、昨年6
月時点の見通しからほぼ半減させました。予想通りであれば、2009、
10の両年の縮小に次ぎ過去30年ほどで3番目の低成長になる見込みで
す。国別で見ると、米国は「2.9%」から「1.7%」に大幅に下方修
正され、欧州にいたっては「3.3%」から「0%」とゼロ成長になると
予想しています。日本は「1.2%」から「1.0%」と幾分下方修正さ
れましたが、軽微でした。目立ったのが中国で「2.7%」から「4.3
%」に大幅な上方修正です。中国政府は今年、過去に例のないほど巨額な
赤字国債を財源とし、景気刺激策に本腰を入れることを決めており、これ
が考慮されているものと思われます。
因みにロシアは「-3.5%」から「-3.3%」と、若干成長が伸びる
と見込まれていますが、マイナス成長からは抜け出ることが出来ないのは
当然のことです。

本日のドル円は小動きでしょうか。明日12日に発表される「12月の米
CPI」を巡る思惑で動く可能性はありますが、131円~133円のレ
ンジは抜け切れないと見ています。


ドル円再び131円台に下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落。前日の雇用統計後のドル売りの流れが継続し、
アジア時間には131円31銭近辺までドル安が進む、その後の
欧州では132円台を回復したものの、NYでは再びドル売りが
強まり131円台半ばまで下落。
◆ドル安の流れからユーロドルは続伸し、1.0760まで上昇。
◆株式市場は先週末に大幅高となり、この日も朝方は上昇して
始まったが、地区連銀総裁のタカ派発言にダウは121ドル安。
ナスダックは小幅ながら続伸。
◆債券は続伸し、長期金利は3.53%台に低下。
◆金は続伸し、一時は昨年8月以来となる1886ドル台まで
上昇。中国と見られる買いが続いているとの観測も。
原油も買われ、小幅高。

◆11月消費者信用残高  →  27.962b

本日の注目イベント

◆日  11月東京都区部消費者物価指数
◆欧   日伊首脳会談
◆欧   米英中銀総裁、スウェーデン中銀主催シンポジウムに参加
◆英   英12月消費者物価指数
◆米   11月生産者物価指数

ドル円は先週末のNYで134円80銭手前まで買われましたが、
予想通り雇用統計発表後は下落し、日本が祝日であった昨日のアジ
ア時間には131円台前半まで押し戻される展開でした。
予想通りとはいえ、雇用統計の内容を考えるとやや違和感も残る動
きでした。

12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の「20.
3万人」を超え、「22.3万人」でした。ただ11月分は「26
.3万人」から「25.6万人」に下方修正されています。
また、失業率も予想の「3.7%」から「3.5%」に低下し、1
1月分も「3.7%」から「3.6%」に改善しています。
12月の失業率「3.5%」は、昨年7月、9月に記録した50年
ぶりの低水準に並ぶものでした。
しかし、投資家が注目したのは同時に発表された「平均時給」にあ
ったようです。平均時給は「前月比」、「前年同月比」ともに伸び
が鈍化しており、今後消費に与える影響を考えると「良い材料」と
見られたようです。人出不足を背景に高賃金を提示しなければ適正
な労働力を得られないといった構図に変化が出て来たのかもしれま
せん。ここはもうしばらく注視する必要がありそうです。
雇用統計を受け、株式は大幅に買われ、ダウは700ドルを超える
上昇を見せ、債券も買われ、金利低下からドル円は132円台まで
売られました。
昨日はさらにドル安が進み、131円台前半まで売られたことで、
結局先週1週間は「往って来い」の相場展開でした。引き続き値幅
の大きい荒っぽい動きです。

雇用統計の後に発表された12月の「ISM非製造業景況指数」も
ドル売りを誘ったようです。同指数は2022年度では初めて好不
況の分かれ目である「50」を割り込み、「49.6」と、202
0年5月以来の低水準でした。
賃金とサービスの軟調な指標を受けて「市場ではサービス価格のイ
ンフレも和らぐとの期待につながった」(日経新聞)と受け止めら
れています。「悪いニュースは良いニュース」の典型だったようで
す。ただ、この指標も厳しい寒波の影響で、年末年始の移動が混乱
したことや、広範な地域で停電が起きたことが影響した可能性もあ
り、このままインフレ抑制に寄与していくかどうかは未知数です。

アトランタ連銀のポスティック総裁は9日に行われたイベントで、
「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」として、「経済か
ら過剰な需要を取り去るため政策金利を5-5.25%に引き上げ
ることが正当化される」と述べています。
また5%超の政策金利を維持する期間につては「長期だ。政策転換
は考えていない。利上げを停止してその水準を維持し、政策が結果
を表すのを見守るべきだ」と、政策金利を長期にわたり維持する考
えを示しています。またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁もウ
ォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「
政策金利は最終的に5%を幾分上回る水準まで引き上げられる」と
述べ、「ただ、利上げ終着点の具体的な水準は不明で、今後発表さ
れるインフレ統計次第だ」と語っています。(ブルームバーグ)
年明け早々からFOMCメンバーによる発言が相次いでいますが、
ほぼ全員がタカ派的な発言を繰り返し、市場の楽観的な観測をけん
制する姿勢を見せています。

ロシアのプーチン氏が突如行った「36時間の停戦」は全く意味を
持たなかったようです。
結果的にはウクライナとの将来の「停戦交渉」のハードルをさらに
上げてしまったかもしれません。
停戦は「ロシアによる時間稼ぎだ」としてウクライナはロシアを攻
撃し、多数の兵士が犠牲になりました。ロシアはその報復攻撃を行
い、ウクライナ兵600人以上を殺害したと発表しましたが、ウク
ライナ側はこれを否定しています。
フランスが軽戦車「AMX-10RC」のウクライナへの供与を決
め、バイデン政権も歩兵戦闘車「ブラッドリー」を提供する可能性
もあり、侵攻開始1年を前に戦況はさらに激しくなりそうな気配で
す。

本日のドル円は131円~133円程度を予想します。


12月ADP予想を大きく上回る 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は続伸。「ADP雇用者数」など、経済指標が予想を超え、FRBによる利上げ継続観測がドルを支えた。ドル円は134円台まで買われ、134円05銭を記録。

  • ユーロドルは水準を切り下げたものの1.0515前後で下げ止まる。

  • 株式市場は3指数が揃って反落。利上げ継続懸念が重荷となり、ダウは339ドル下げる。

  • 債券も売られ、長期金利は3.71%台まで上昇。

  • 金は反落。原油は大きく売られた反動から買い戻しが優勢に。

本日の注目イベント

  • 独 11月製造業新規受注
  • 独 11月小売売上高
  • 欧 ユーロ圏12月消費者信頼感(確定値)
  • 欧 ユーロ圏12月景況感指数
  • 欧 ユーロ圏11月小売売上高
  • 欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
  • 米 12月雇用統計
  • 米 11月製造業受注
  • 米 12月ISM非製造業景況指数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
  • 米 クック・FRB理事、パネル討論に参加
  • 米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論に参加(ECBのレーン氏も参加)
  • 加 12月就業者数
  • 加 12月失業率

「良いニュースは、悪いニュース」の流れは続いているようです。昨発表された12月の「ADP雇用者数」は市場予想の「15万人増」を大きく上回る「23.5万人増」でした。また11月分についても速報値の「12.7万人」から「18.2万人」に上方修正されました。雇用の伸びは従業員500人以下の中小企業で大きく伸び、500人以上の大企業では減少しています。また、業種別では娯楽、ホスピタリティなどの分野での増加が目立っています。ADPのチーフエコノミストは、「労働市場は力強いが、むらがある。人材採用の状況は業界と事業体の規模によって明確に異なっている」と説明しています。「ADP雇用者数」は公務員を除く雇用者の統計で、個人が受け取る給与明細表(Pay Roll)の数を基本としており、今夜発表の「雇用統計」とは異なりますが、同指数の上振れは「雇用統計」の上振れ期待を押し上げる効果もありそうです。

さらに同時に発表された「失業保険申請件数」も20.4万件と、予想を下回り、昨年9月以来の低水準でした。両指数の改善により「米労働市場は引き続き堅調」であることが確認された形となり、FRBによる利上げスタンスが継続されるとの見方から、株価は大きく下げ、債券も売られ、金利上昇からドル円も昨年12月29日以来となる134円台乗せを示現しています。ドル円は年明け3日の欧州市場で129円51銭まで売られたわけですから、1週間ですでに4円50銭の値動きがあったことになります。筆者は今年前半はドル下落を見込んでいますが、これほど好材料が出ればドルの上昇もやむを得ないところでしょう。言えることは、今年前半の鍵である「労働市場」はまだ堅調だということです。ただ、前日発表されたISM製造業景況指数は2カ月連続で「50」を割り込んでおり、昨日発表されたPMIも「50」を大きく下回っています。大幅利上げの効果はじわじわと浸透しているとみています。ドルの上値は、余程のポジティブな材料が出ない限り限定的との予想を維持しています。

昨日はFOMCメンバーのタカ派的な発言もドル円の上昇に一役かったようです。アトランタ連銀のポスティック総裁は講演で、「物価圧力が緩和しつつある兆しなど、最近の報告を歓迎するが、やるべき仕事はまだ山積している。世界中の中央銀行当局者がこれに関して私と同意見であることは間違いないだろう」と話し、「インフレを2%に戻すため、政策手段の活用を引き続き決意している」と述べています。またカンザスシティー連銀のジョージ総裁もCNBCとのインタビューで、フェデラルファンド(FF)金利予測に言及し、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」と述べ、「インフレが当局の2%に向って説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」と語っています。総裁は、24年になっても金利を5%超で維持することが適切になるのが予測かどうか問われると、「私にとってはそうだ」と答えています。(ブルームバーグ)さらにFOMCメンバーではないものの、IMFのギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は、「労働市場の指標とサービス価格など非常に粘着性のあるインフレ項目を見ると、米インフレがまだヤマを越えていないのは明らかだと思う」と話し、「米金融当局はこのまま利上げを続けることだ」とし、米政策金利が5%となり、今年いっぱいその水準にとどまることに賛成との考えを、英FT紙で語っています。一方で、昨年春以降タカ派の先頭を走ってきたブラード・セントルイス連銀総裁はややトーンを下げています。ブラード総裁は、「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」との認識を示しました。昨年来影響力を増しているブラード総裁ですが、この日も、この発言で株と債券が値を戻し、ドル円が下げる場面もありました。ブラード氏の予測には先見性があるだけに、個人的には同総裁の発言に非常に注目しています。

ウクライナ情勢も来月で1年にもなろうとしており、新しい局面に入りつつある気がします。欧米はこれまでミサイルなど対空兵器を中心に支援をしてきましたが、地上兵器の支援を拡充させる方針のようです。フランスのマクロン大統領は、同国製の軽戦車「AMX―10RC」をウクライナ軍に供与することを発表し、バイデン大統領も歩兵戦闘車「ブラッドリー」を提供する可能性があると述べています。ウクライナ国防省の情報総局長は、ウクライナ軍が春に大規模な攻撃を計画しており、3月に戦闘が「最も激化する」との見通しを示していると、ブルームバーグは伝えています。ウクライナとしても戦闘が開始されてから1年を前に、早期に決着を付けたいという思惑もあるようです。ちょうどこのタイミングでロシアのプーチン氏は、ロシア正教のクリスマスに合わせて「36時間」の一方的停戦を命じています。ウクラナ側は「自国の軍用車両や砲弾、兵員を再配置するための口実だ」とし、「停戦の条件としてロシア軍の撤退」を要求しています。

本日のドル円は132円50銭~134円50銭程度を予想しています。今夜22時半に発表される雇用統計では非農業部門雇用者数が「20.2万人」と予想されています。昨日のADPのように予想を大きく上回ると135円テストがあるかもしれませんが、ADPと雇用統計が足並みを揃えないことは良くあります。

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11月に開催された「サッカー・ワールドカップ」は、日本の快進撃もあり、サッカーファンだけではなく、多くの国民を魅了しました。日本代表の活躍は「ドーハの奇跡」とも呼ばれ、技術力、展開力の高さを世界に示すことができました。そんな中、日経新聞で連載中の中川恵一氏によるコラム「がん社会を診る」に、「サッカー選手、少ないがん死亡」という見出しの記事がありました。記事によると、フランスの調査では、プロサッカー選手の全死亡率は一般市民よりも3割も少なく、がん死亡率は33%少ないという結果が出ています。適度な運動どころか、激しい運動も体にはプラスのようです。一方でサッカー選手には認知症が多いとか。
ただゴールキーパーにはその傾向がないことから、「ヘディング」による小さな積み重ねが脳に影響を与えているそうです。また、選手経験が長ければ長いほどリスクも高まるそうです。スポーツ選手を目指すなら、がんや認知症になるリスクが低い、サッカーの「ゴールキーパー」がいいのかもしれません。

良い週末を・・・・・。

ドル円130円割れから132円台後半に急伸 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州市場の朝方には130円を割り込んだドル円はNYで急伸。
FOMC議事録の内容や地区連銀総裁の論文、さらには労働市場の
堅調さを示す指標にドル円は132円71銭まで上昇。
◆ユーロドルは再び1.06を挟む水準まで値を戻す。
◆株式市場はFOMC議事録の内容に反応し売られたが、引けにかけては
買い戻しが活発となり3指数は揃って上昇。
◆債券は続伸。長期金利は3.68%台に低下。
◆金は続伸し1859ドル台に。原油は大幅に続落し、昨年12月半ば
以来となる72ドル台まで下落。

◆12月ISM製造業景況指数     →  48.4
◆12月自動車販売台数        →  1331万台(年率換算)

本日の注目イベント

◆中   12月財新サービス業PMI
◆独   独11月貿易収支
◆独   独11月経常収支
◆欧   ユーロ圏11月卸売物価指数
◆米   12月ADP雇用者数
◆米  11月貿易収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   12月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米   12月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、会議冒頭で挨拶
◆加   カナダ11月貿易収支


新しい年になってまだ3日目の取引ですが、昨日の海外市場でもドル円は大きな
値動きを見せました。東京市場では131円台が重く、ドルがジリジリと売られ
る展開となり、欧州時間の朝方には130円を割り込み、129円92銭前後ま
でドル安が進みました。このままNYでも上値の重い展開が予想されましたが、
一転してドル買いが強まり、大台を二つ替えながら132円71銭までドル高が
進みました。米長期金利が前日に続き低下する中、やや想定外の動きでした。

きっかけは、12月のFOMC議事録の内容でした。
12月の会合では、それまで4会合連続で0.75ポイントという大幅な利上げ
を実施してきましたが、0.5ポイントの利上げに抑え、利上げペースを減速さ
せた会合でした。
市場ではその後、2023年には「利下げ」を予想する声も一部に出るなど、市
場全体がハト派寄りにシフトする契機にもなった会合でした。
議事録では、「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する
世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組み
を複雑化させる」と記されており、先走る市場をけん制する内容でした。
ただこの内容は決して唐突なものではなく、12月会合後の会見でパウエル議長
は、「なお幾分か道のりは残っている」と発言し、「インフレ率が持続的な形で
2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはない
とみている」とし、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスを
しばらく維持する必要がありそうだ」と述べ、「まだ十分に景気抑制的なスタン
スではないというのが、われわれが今日下した判断だ」と、議事録の内容に沿う
発言を行っていました。(参照:12月15日付け、今日のアナリストレポート
)議長の発言自体、タカ派的なものでした。

昨日はさらにミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の小論文もドル買い円売りに拍
車をかけました。
同総裁はミディアム・ドット・コムに4日掲載された論文で、「インフレがピー
クを付けたとわれわれが確信するまで、少なくとも今後数会合は利上げを続ける
のが適切になる」と指摘し、「私としては5.4%での利上げ停止を想定してい
るが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で
2%へと戻すのには十分な高さにあるのかどうか直ちには分からない」とし、「
インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆
候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化さ
れると私は考えている」と説明しています。(ブルームバーグ)
同総裁は今年のFOMCで投票権を持つことから、このタカ派寄りの論文がより
影響した可能性もあります。

またこの日発表された11月の求人件数が、前月よりは減少していたものの、市
場予想を上回り、引き続き高水準を維持していたことで、労働市場の堅調さが意
識され、明日発表される12月の雇用統計にもポジティブなイメージを与えたよ
うです。
FRBが昨年3月から全ての会合で利上げを実施して来たことにより、発表され
る多くの経済指標では、住宅関連指標に代表されるように「鈍化傾向」が明らか
になっています。
しかし、最後の砦と言うべき「労働市場」だけが、人手不足を背景に好調さを維
持しています。FRBは失業率が上昇してでも景気の拡大を抑制する姿勢を鮮明
にしています。
もともと「雇用統計」は重要経済指標の一つですが、今年はその動向が「消費者
物価指数」と並んで、一段と注目されそうです。
グリーンスパン元FRB議長は、同氏がアドバイザーを務める投資会社のウェブ
サイトで、「最近2回の月間統計で消費者物価の減速が示されたものの、少なく
とも軽度のリセッションを回避するのに十分なほどの当局の方針転換を保証する
ものでないと思う」と述べ、「米国のリセッションは最も可能性の高い結果だ」
との認識を示しました。
米景気が春から夏にかけてリセッション入りする可能性は非常に高く、問題はそ
れが軽度のものに終わるのか、それともかなり深いものになるのかが焦点とも言
えます。いずれ、米国のリセッション入りが市場の大きな材料となるタイミング
が来ると予想しています。従ってドルの上値は限定的かと思いますが、昨日の様
なこともあり、断定的な判断は避けなければなりません。

本日のドル円は131円~133円程度を予想します。


ドル円乱高下、一時129円台半ばまで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場が休場の中、ドル円はアジア時間に129円51銭近辺
まで下落。昨年6月以来の円高を付けたがその後は上昇に転じる。
NYでは131円20銭までドルが反発し、荒っぽい展開に。
◆ユーロドルはドイツのCPIが予想を大きく下回ったことで下落。
1.0531前後まで売られ、約3週間ぶりのユーロ安に。
◆株式市場は朝方には上昇したものの、その後マイナス圏に。
アップルやテスラ株が大きく下げたが、引けにかけては下げ幅を
縮小して取引を終える。
◆債券価格は大幅に上昇。長期金利は3.73%台まで低下。
◆金は大幅に買われ、一時昨年6月以来となる1856ドル台まで上昇。
一方原油は中国のPMIの悪化もあり大きく売られる。

◆12月S&P製造業PMI(改定値)→  46.2

本日の注目イベント

◆中   12月財新サービスPMI
◆中   12月財新コンポジットPMI
◆独   独12月輸入物価指数
◆独   独8月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月サービス業PMI(改定値)
◆英   英11月消費者信用残高
◆米   12月ISM製造業景況指数
◆米   FOMC議事録(12月13-14日分)
◆米   12月自動車販売台数

ドル円は東京市場がまだ正月休みの昨日、節目の130円を割り込み、一時129円
51銭近辺までドル安円高が進みました。130円割れが1月中にはあると予想し
ていましたが、参加者が少ない3日にやや投機的とも思えるドル売りであっさり13
0円を割り込んでしまいました。ただ、その後のNYでは131円20銭までドルが
買い戻され、荒っぽい年明けとなり、今年もドル円は、昨年のような「大相場になる
」ことを予感させる動きでした。

129円台まで売られたドル円は,投機的な動きとはいえ、その背景には今月の日銀
金融決定会合で昨年12月の「サプライズ」同様、金融引き締めを実施する可能性が
意識されたようです。4月の黒田総裁交代までに、もう一段の政策修正があるといっ
た観測も根強くあります。ただ、129円台から131円台前半まで戻した理由はは
っきりとはしませんが、ユーロドルで、「ドル高ユーロ安」が進んだ影響もありそう
です。
ドイツの12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で「9.6%」と、市場予
想の「10.2%」を大きく下回ったことで、ECBの大幅利上げへの懸念が後退し
、ユーロ売りが加速しました。ユーロドルは昨年12月13日以来となる1.051
9前後まで売られ、ユーロ円も137円台半ばまで売られる場面がありました。

昨年12月28日にイタリア・ミラノの保健当局は、中国からの航空便2便の乗客の
ほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったことを明らかにし、イタリア政府は
中国から到着する航空便について、全乗客の検査を義務付けることを命じました。そ
の後米国でも
同様な動きがあり、欧州でもこの動きに追随する可能性が高くなっています。
これに対して中国政府は、これらの一連の制限は「政治目的」だと主張し、導入した
国・地域に対して報復する意向を打ち出しています。
個別の国名には言及していないものの、日本も含まれる可能性があるようです。
一方で米中関係には昨年12月からやや改善の兆しも見えてきた中、中国の新しい外
相の泰剛氏は米国との外交がより改善する可能性を示唆する発言を行っています。
泰氏は3日、「私が会った多くの勤勉で友好的、かつ有能な米国民に対して深い感銘
を受けた」とツイ-トし「全米で多くの友人を作った」と付け加えていました。
(ブルームバーグ)
泰氏は駐米大使から外務大臣に起用された人物で、今後習近平政権での外交責任者と
いう立場です。
泰氏は引き続き「両国関係の発展を支援し、平和と繁栄を促進する」と表明していま
す。
このようなコメントが中国の対米関係をどの程度改善させていくのかどうかは未知数
ですが、台湾海峡を巡って米中の緊張が続いている状況下、期待したいと思います。

IMFのゲオルギエワ専務理事は2023年について、世界経済にとって「厳しい年
になり、昨年を上回る厳しさになる」と警鐘を鳴らしています。
専務理事はその理由として「米国、欧州連合(EU),中国の三大経済がそろって同
時に減速するからだ」と語っています。
実際、昨年末に発表された中国のPMIでは、製造業が「47.0」(11月は48
.0)、サービス業が「41.6」(11月は46.7)、コンポジットでは「42
.6」(11月は47.1)といずれも前月を下回り、拡大、縮小の境目である「5
0」を大きく下回っていました。2008年の「リーマン・ショック」の時でさえ1
0%を超えるGDPをたたき出し、世界経済がさらに深刻化するのを防いだとされる
中国も、今年の成長率が5%に達しないとみられていることを考えると、ゲオルギエ
ワ専務理事の言葉も正鵠を射ているかもしれません。

本日のドル円は130円~132円程度を予想しますが、大きな値動きには引き続き
注意が必要です。


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