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円、売られ易い地合いが続く 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小幅に続伸し132円96銭まで買われたが、
133円には届かず。引き続きリスクオンの流れが
優勢で円が売られ易い。
◆ドイツの3月のCPIが上振れしたことで、ECBの
利上げが継続するとの見方からユーロドルは続伸。
1.0926まで買われ、対円でも145円台を示現。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。ナスダックは87ポイント
上昇し、1万2000の大台を回復。
◆債券は小幅に上昇。長期金利は3.54%台に低下。
◆金と原油は反発。

◆新規失業保険申請件数        →  19.8万件
◆10-12月GDP(確定値)    →  2.6%

本日の注目イベント

◆日   2月失業率
◆日   2月鉱工業生産
◆中   3月中国製造業PMI
◆中   3月中国サービス業PMI
◆独   独3月雇用統計
◆英   英10-12月期GDP(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月失業率
◆欧   ユーロ圏3月消費者物価指数(速報値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   2月個人所得
◆米   2月個人支出
◆米 2月PCEデフレータ(前月比)
◆米 2月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 2月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 2月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   3月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米   クック・FRB理事講演

ドル円は引き続き底堅い動きが続き、日米の株価が持ち直していることも
あり、円が売られ易い展開となっています。円は対ユーロでも売られ、ユ
ーロ円は約2週間ぶりに145円台まで上昇しています。ドイツの3月の
CPIが予想の「0.7%」を上回る「0.8%」(前年同月比では7.
4%)だったことで、ECBの利上げが継続されるといった観測からユー
ロ円を買う動きもあったようです。

予定されていたFOMCメンバーである3地区連銀総裁による講演では、
概ねインフレに対する強い警戒感が維持されていたように思えます。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「シリコンバレー銀行が米経済に
影響を判断するには時期尚早だ」と述べ、「米金融当局はインフレ押し下
げに注力する必要がある」との見解を示しました。
ボストン連銀のコリンズ総裁は、「インフレ率は依然として高すぎる」と
指摘し、「物価の安定を伴いつつインフレ率を目標の2%まで引き下げる
にはまだ問題があるという私の見解を、最近の各指標が裏付けている」と
述べています。
さらに信用不安に関しても、「銀行システムは引き続き強固だが、最近の
動向によって銀行がやや保守的になって貸し出し基準を引き締め、その結
果、景気減速とインフレ圧力低下に寄与する可能性がある。
こうした動きが追加利上げの必要性を部分的に相殺するかもしれない」と
語っています。

さらにリッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレとの闘いで性急に
手を緩めればインフレは勢いを増して戻ってくる。金融当局はさらなる措
置をこうじなければならなくなり、そうなれば一層ひどいダメージを与え
る」とし、「インフレが高水準かつ広範囲で、根強いことを踏まえれば、
私はそのリスクを冒したくない」と述べ、その上で「インフレが根強く続
くようであれば、われわれは追加利上げで対応可能だ」と続けています。
(ブルームバーグ)
本レポートでも指摘したように、FOMCメンバーの発言は依然として「
タカ派寄り」を維持しており、これがドル円を支える一助になっていると
も考えられます。
この日はイエレン財務長官の講演もありました。長官は、2008年の
金融危機後に実施した規制強化の一部を緩和した取り組みについて、「そ
の行き過ぎが最近の銀行危機につながった可能性がある」との見解を示し
ています。
インフレ抑制を最優先課題として引き続き利上げを行うのか、あるいは金
融システムの安定化を念頭に利上げを見送るのかという点が焦点になりま
す。
次回のFOMC会合は、4月には開催されず5月2-3日となりますが、
この会合での利上げの確率は、現時点では「五分五分」となっており、見
方が分かれているのが現状です。

NY州マンハッタン地区の大陪審は、トランプ前大統領を起訴しました。
大統領経験者が起訴されるのは初めてのことになりますが、トランプ氏は
声明で、「これは歴史上、最高レベルでの政治的迫害と選挙介入だ」と主
張しています。すでに2024年の大統領選への出馬宣言を行ったトラン
プ氏にとって、今後の選挙活動に大きな影響を与えそうです。
共和党の大統領候補にはトランプ氏の他に、フロリダ州知事のデサンティ
ス氏、前副大統領のペンス氏、さらに国連大使やサウスカロライナ州知事
を務めたヘイリー氏が名乗りを上げており、激戦が予想されています。

本日は重要指標であるPCE価格指数が発表されます。
結果次第では、まだ先の話ですが、5月会合での利上げ確率に影響を与え
ることにもなります。

本日のドル円は132円~134円程度を予想します。


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ドル円大きく反発し132円台後半に。 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は大幅に続伸。日米で株価が大きく上昇したことで
「リスクオン」が強まり、NYでは132円89銭までドル高が進む。
◆ユーロドルは横ばい。1.08台前半から半ばで推移。
◆株式市場は3指数が大幅に上昇。ナスダックは210ポイント
買われ、「強気相場入りした」との声も。
◆債券はほぼ変わらず。
◆金と原油は反落。

◆2月中古住宅販売成約件数 → 0.8% 

本日の注目イベント

◆独   独3月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月消費者信頼感(確定値)
◆欧   ユーロ圏3月景況感指数
◆欧   ECB経済報告
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   10-12月GDP(確定値)
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   コリンズ・ボストン連銀総裁講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻から一気に金融システム不安が広がり、
リスク回避の円買いが強まり一時は、129円65銭まで売られたドル円でしたが
、昨日の東京時間から底堅い動きを見せていました。日経平均株価は期末配当を受
け取れる最終日ということもあり、高配当銘柄を中心に買いが先行し前日比365
円高と、ほぼ高値引けで取引を終えました。
「リスクオン」の兆しが見えたことでドル円も徐々に買いが優勢となり、夕方には
132円に乗せています。

NYでもその流れから132円89銭までドル高が進み、高値圏で引けています。
円は全面安の展開で、ユーロ円も144円台に乗せ約2週間ぶりの高水準を付けま
した。「円全面高」の流れから一転して「円全面安」へと変わっています。SVB
などの売却が上手く進み、UBSがクレディスイスを買収したことで銀行に対する
不安は急速に低下していますが、まだ「火だね」は残っているというのが、大方の
見方です。
今後FRBがさらに利上げを継続するようだと、中小の金融機関に再び経営危機が
広がるといった観測もあります。
ただ、FRBが今後も利上げを継続するのかどうかは、インフレ次第ですが、
予想されるターミナルレートから推測すれば、あと1回から最大でも2回といった
ところでしょうか。言えることは、今回の地銀2行の破綻がFRBの利上げムード
に一石を投じ、金融システムの安定化にも十分な目配りが必要となったことは、間
違いないと思われます。

FRBは今月の会合では0.25ポイントの利上げを決めましたが、パウエル議長
は会見で、「利上げの一時停止も検討した」と述べています。
多くのFOMCメンバーも同じような考えかと思われ、NY株式市場ではこれを先
取りしている面もありそうです。
米ナスダック指数は昨日「210ポイント」上昇し、株式市場からは「強気相場入
りした」といった声も出ています。
パウエル議長は29日、議員らと非公開に会合を持ち、「政策金利は今年、どこま
で引き上げられるのか」という質問に対し、「最新のFOMC予測を指摘すること
で回答した」と、会合に出席した共和党のケビン・ハーン下院議員が明らかにして
います。(ブルームバーグ)
現在のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.75~5.0%
です。先の会合で発表された参加者の金利予想は、2023年末時点で約5.1%
と予想されています。

ドル円は日足チャートで、3月8日に付けた137円92銭を起点とした右肩下が
りの「レジスタンス・ライン」を昨日上抜けしています。短期的にはドルの下落が
止まった可能性があります。
もっとも、「MACD」では、マックD、シグナルが依然としてマイナス圏で推移
していることから、「本格的な上昇」は現時点では見込めないとは思います。
明日発表される2月のPCE価格データが注目されます。

本日のドル円は131円50銭~133円程度を予想します。


3月の米消費者マインド改善 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は方向感のない展開。朝方は売られ130円42銭
まで下落したが、その後は131円台前半まで上昇。
◆ユーロドルは続伸。1.0848までユーロ高が進む。
対ユーロではドル安の流れが優勢の展開。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ハイテク株が売られ、
ナスダックは52ポイントの下げに。
◆債券は小幅ながら続落。長期金利は3.57%台に上昇。
◆金は3日ぶりに反発。原油も続伸。

◆1月FHFA住宅価格指数           →  0.2%
◆1月ケース・シラ-住宅価格指数        →  -0.43%
◆3月リッチモンド連銀製造業景況指数      →  -5
◆3月コンファレンスボード消費者信頼感指数   →  104.2

本日の注目イベント

◆豪   豪2月消費者物価指数
◆独   独4月GFK消費者信頼調査
◆英   英2月消費者信用残高
◆米   2月中古住宅販売成約件数

ドル円は131円台を回復したものの、方向感の出ない動きが続き、130円
台後半でNYでの取引を終えています。ユーロドルは1.08台半ばまで続伸
し、ここではドル安が継続されており、ドル円の上値を抑える格好になってい
るようです。米地銀の破綻処理は一応終わってはいますが、金融不安の「火だ
ね」は残っているようで、市場では株価の乱高下が続いているドイツ銀行の動
向に注目しているようです。

先週24日同行の株価が急落し、その影響が世界の銀行株の大幅な下げにつな
がった経緯があります。ブルームバーグが伝えるところによると、同日に同行
の劣後債に関わるCDSで、およそ500万ユーロ(約7億1000万円)の
取引があったようです。金額からしたら小粒な取引ですが、CDSの取引は流
動性に乏しく、この取引がドミノ効果を引き起こして銀行株を急落させ、国債
が上昇、金融機関が発行した社債のデフォルトに備える保証料が跳ね上がった
と説明しています。
ドイツ銀行では約16億ユーロ(約2250億円)、欧州銀行株指数では30
0億ユーロ余りの時価総額がそれぞれ失われています。
誰が、何のために行った取引かは分かっていませんが、当局はこの取引に注目
しているようです。

昨日発表された3月のコンファレンスボード消費者マインドは市場予想の「1
01」を上回る「104.2」でした。また2月分も「102.9」から「1
03.4」に上方修正され、ここでは消費者心理の改善が見られています。
同指数の担当者は、「期待指数の上昇で3月は若干改善したが、2022年の
平均をなお下回っている。上昇は55歳未満の消費者と年収5万ドル以上の家
計の見通し改善を反映している」と説明しています。
同調査はシリコンバレー銀行(SVB)の破綻から1週間余り経過した3月2
0日までの回答が基になっており、銀行不安は、今のところ消費者信頼感にほ
とんど影響していないことがうかがえます。
セントルイス連銀のブラード総裁は28日、同連銀のウェブサイトに掲載され
た論文で、「最近の一連の銀行破綻や混乱の影響で金融市場ではストレスが溜
まっている。こうした事象に対するマクロプルデンシャル政策(金融システム
全体を安定化する取り組み)の対応は迅速であり、適切だった。監督当局はマ
クロ経済へのダメージを抑えるため2007-2009年の金融危機時に開発
、もしくは初めて利用した手段の幾つかを今回適用した。当局は必要に応じて
さらに行動を取る用意がある」と述べています。

欧米各国によるウクライナへの武器供与が加速しています。
ドイツは27日までに、主力戦車「レオパルト2」18両をウクライナに引き
渡したとメディアが報じ、イギリスもすでに同国の主力戦車「チャレンジャー
2」14両の供与を終えている模様です。米国も装甲車「ストライカー」を供
与しています。
ウクライナへの武器の供与は隣国ポーランドがいち早く行動し、製造国ドイツ
の了承の下、14両の「レオパルト2」を引き渡しています。
またドイツは歩兵戦闘車「マルダー」40両なども引き渡し、「レオパルト2
」や「マルダー」を運用するウクライナ兵に対しドイツ国内で数週間の訓練を
実施したことを明らかにしています。
このような最新の武器を供与されたウクライナのレズニコフ国防相は「1年前
は、これほど強力な支援を得られるとは誰も思わなかった」と述べています。
これら最新の武器供与を得たウクライナは、ロシア軍への攻勢を強めるとみら
れています。

本日のドル円は130円~131円80銭程度を予想します。


WTI原油、大幅反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は堅調く推移。東京時間に131円台を回復し、NYでは
銀行株が買い戻され、米金利が上昇したことで131円75銭まで
ドルが反発。
◆ユーロドルは小幅に上昇し1.08近辺まで買われる。
独ifo期待指数が上振れしたことや、欧州の銀行株が上昇した
ことが背景。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は買われたが、
ハイテク株の多いナスダックは下げる。
◆債券は反落。長期金利は3.43%台へと大きく上昇。
◆金は大幅続落。原油は3ドルを超える上昇。

本日の注目イベント

◆豪   豪2月小売売上高
◆英   ベイリー・BOE総裁、シリコンバレー銀行(SVB)巡り証言
◆米   1月FHFA住宅価格指数
◆米   1月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   3月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   3月コンファレンスボード消費者信頼感指数


先週末の欧州市場で129円65銭までドル売りが進み、1カ月半ぶりの安値
を付けたドル円は大きく反発しました。東京時間でも底堅い動きを見せ、一時
は131円台を回復し、NYでは131円75銭まで反発しました。
ドルが売られ、円が買われた要因が「リスク回避」の流れにともなう「避難通
貨」として選好されたことが挙げられることを考えれば、昨日は「リスクオン
」の流れが優勢となり円が売られたのは当然と言えます。
破綻したシリコンバレー銀行(SVB)を、米地銀ファースト・シチズンズ・
バンクシェアーズが買収することで合意したことが、リスクオンにつながり、
この日は欧米の銀行株が大きく上昇しています
SVBを買収する同行の株価も50%を超える大幅高だったようです。
一方で、安全資産の米国債は大きく売られ、長期金利は先週末から15bpも
上昇したことが、ドルを押し上げた格好です。

FRBで銀行監督を担当するバー副議長は本日開催される上院銀行委員会での
証言で、「ここ数週間に発生した出来事は、進化するリスクと共に、特定の銀
行問題が健全な銀行の信頼を損なわせ、銀行システム全体の安定性を脅かすこ
とがないようにするには、何がさらに出来、何がなされるべきかという問題を
投げかけている」と証言し、「銀行システムの状況を注意深く監視し続けると
ともに、システムの安全性と健全性を維持するため、いかなる規模の機関に対
しても必要ならあらゆる手段を活用する用意がある」と続ける模様です。(ブ
ルームバーグ)
米金融当局の迅速な対応とUBSによるクレディスイス買収でやや落ち着きを
取り戻しつつある市場ですが、クレディスイスの発行した「AT1債」の価値
がスイス当局の措置によってゼロになった影響は残っているようです。
同債券は「永久債」として発行されることから、債券でありながら株式の側面
もあります。金利が高目に設定されているため、ピムコなど多くの資産運用会
社が同債券を組み入れていたことが判明しています。
雪だるま式に肥大化する投資資金の運用先として、同債券が無くなることはな
いと思われますが、2008年の「リーマンショック」の引き金となったと言
われる、「パリバショック」はリスクの高いサブプライムローンなどの混乱か
ら価格が付けられず、資金を凍結したことから発生したことを想い出します。
まだしばらくは「Cash is King」の運用方針は継続されそうです。

台湾の蔡英文総統が明日から中米グアテマラとベリーズを訪問し、その後マッ
カーシー米下院議長と会談する予定です。一方、馬英九前総統は27日に中国
を訪問し、要人との会談が予定されており、台湾の現総統、前総統が同じタイ
ミングで米中を訪問する異例の事態になっています。
蔡氏は親米派で馬氏は親中派ということのようですが、台湾を巡る米中の関係
にも影響を与えそうです。昨年8月のペロシ前下院議長の訪台もあり、このと
ころの台湾は急速に米国に接近しているようです。

上値の重いドル円ですが、それでも先週の金曜日から今週の月曜日の2日間だ
けでも2円以上も反発する荒っぽい動きを見せています。
動きは「米金利次第」というところでしょうが、その米金利が「リスクオン」
か「リスクオフ」かで、大きく乱高下しています。
まだドルの下げ余地があると考え、ドル売り水準を探るスタンスの方が有効か
と思いますが、大きく下げたら拾うことも必要です。
金融不安や信用不安から円買いと見る一方、地政学的リスクや貿易赤字・対外
投資の面では円売りということでしょうか。

本日のドル円は130円~132円程度と予想します。


ドル円1カ月半ぶりに129円台半ばまで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆130円台維持を続けていたドル円は欧州時間にドル売りが
加速し、2月3日以来となる129円65銭まで下落。
NYではセントルイス連銀総裁の発言などもあり、ドル円は
反発。130円台後半まで上昇する。
◆ドル安の中、ユーロドルは上値が重く1.07台で推移。
◆株式市場は欧州で銀行株下落の影響を受け小安く始まったものの、
引けでは3指数が揃って上昇。
◆債券は続伸。長期金利は3.37%台へと低下。
◆金は3日ぶりに反落。原油も売られ、69ドル台前半に。

◆3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)        →  49.3
◆3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)      →  53.8
◆3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)     →  53.3
◆2月耐久財受注                      →  -0.1%

本日の注目イベント

◆日  1月景気先行指数(CI)(改定値)
◆中   馬英九・前台湾総統、中国訪問
◆独   独3月ifo景況感指数
◆欧   ユーロ圏2月マネーサプライ
◆英   ベイリー・BOE総裁講演



上値の重い展開が続いていた中でも130円台を維持していたドル円は、
ついに欧州時間に130円台を割り込み、129円65銭と、2月3日以
来のドル安水準を付けました。
米国発の金融システム不安が欧州にも伝播し、クレディスイスの経営危機
が一気に表面化。UBSによる買収もありましたが、依然として金融不安
はくすぶり続けています。
先週末の欧州では、各国主要銀行の株価が大きく売られ、「第二のクレデ
ィスイス探し」をする動きになっています。
ドイツではドイツ銀行、イギリスではバークレーズ銀行、さらにフランス
でもソシエテジェネラル銀行など、金融株が大きく下げています。

銀行株の大幅安を背景に「リスクオフ」が加速し円が買われ、ドル円は1
29円台半ば、ユーロ円も139円目前まで売られ、「円全面高」の様相
でした。
「安全通貨」としての円の存在が意識されるのは久しぶりの印象ですが、
今回の金融不安が「米国発」だったことと、3月のFOMC会合でも、イ
ンフレ阻止を優先し0.25ポイントの利上げを決めたことで、米経済の
リセッション入りの可能性が高まってきたとの観測もあり、結局、ドルも
ユーロも買えないということから、「消去法的に円が選好された」と考え
ています。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は26日、CBS番組でのインタビュ
ーで、銀行問題がリセッションをもたらすかどうかを問われ、「明らかに
近づいている」と答え、「銀行セクターのストレスが広範な信用逼迫にど
の程度つながるか不明だ。景気減速につながるかどうかを注意深く見守っ
ている」と語っています。
足下では、「安全通貨の円」「避難通貨の円」が戻ってきたようですが、
この傾向がこのまま続くかどうかは不明です。
欧州を除けば、日本は北朝鮮、中国、台湾、あるいはロシアなどと地理的
に近く、「地政学的リスク」はかなり高いと言えるでしょう。
一旦、130円を割り込んだドル円の次の焦点は、1月に記録した127
円22銭を割り込む円高が進むかどうかです。

FRBが24日に発表したデータでは、シリコンバレー銀行(SVB)な
どの破綻で、15日までの週に中小金融機関の預金は1200億ドル(約
15兆6000億円)減少し、リーマンショック時をも上回り、過去最大
の落ち込みとなっています。一方大手銀行25行の預金は670億ドル増
加したと報告されています。
さらに、引き出された預金は、MMF(マネー・マーケット・ファンド)
にも多く流れており、米国では「Flight to quality」(質への逃避)が高
まっています。
今朝の報道では、米国のバレー・ナショナル・バンコープとファースト・
シチズンズ・バンクシェアーズの2行が、破綻したSVBの買収を目指し
ているとあります。
また、クレディスイスに関しても、「スイス政府が介入して救済しなけれ
ば、クレディスイス・グループはあと1営業日を生き延びることができな
かった」と、同国のケラーズッター財務相が明らかにしています。(ブル
ームバーグ)スイス金融当局は早くからクレディスイスの経営リスクを察
知していたようです。

ベラルーシがロシアの同盟国であることはよく知られていますが、プーチ
ン氏は同国に「戦術核兵器」を配備することを明らかにしました。
米国はこれに対して、「米当局はロシアの発表について認識しており、そ
の影響を監視する」と、国家安全保障会議(NSC)の報道官は述べてい
ます。
ロシアのウクライナでの戦況はそれほど好転しておらず、加えて、日米の
トップがウクライナを電撃訪問するなど、プーチン氏としても劣勢を打開
したいといった焦りもありそうです。
欧米もウクライナへ約束した武器や弾薬の発送を早めており、雪解けとと
もに戦況はさらに激しくなる気配です。

本日のドル円は129円50銭~131円50銭程度を予想します。


ドル円、約6週間ぶりの円高水準に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上値を重くし、130円割れを試す展開が続く。
昨日の東京時間午後には130円42銭までドルが売られ、約
6週間ぶりの円高に。NYでも同水準を試したが跳ね返される。
◆ユーロドルも底堅く推移。1.09台に乗せる場面もあったが、
上値ではやや警戒感も。
◆前日大きく売られた株式は、イエレン長官の発言もあり、
3指数が揃って反発。S&P500は小幅高、ナスダックは
117ポイント上昇。
◆債券は続伸。長期金利は3.42%台に低下。
◆金は大幅に続伸し、引け値で2000ドルに迫る。原油は
4日ぶりに反落。

◆新規失業保険申請件数         →  19.1万件
◆経常収支(10-12月)       →  -206.8b
◆2月新築住宅販売件数         →  64.0万戸

本日の注目イベント

◆日  2月消費者物価指数
◆独   独2合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏3月総合PMI(速報値)
◆英   英3月製造業PMI(速報値)
◆英   英3月サービス業PMI(速報値)
◆英   英2月小売売上高
◆米   3月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米   3月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米   3月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米   2月耐久財受注
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演

前日のFOMC会合で、予想通りインフレ抑制を優先する形で0.25
ポイントの利上げを決めました。パウエル議長は会見で、「利上げの一
時停止も検討した」と述べましたが、シリコンバレー銀行(SVB)の
破綻については、「米銀行システムは健全かつ強靭で、金融システムに
十分な資本があり、流動性は潤沢だ」と語っていました。
また、FRBとして銀行システムの安全性と健全性、効率を維持するた
め、「われわれのツール全てを活用する」と説明しています。0.25
ポイントの利上げと、パウエル議長のこの様な発言を受けて前日の金融
市場では、株価が大きく売られ、同時に、売られると思っていた債券が
買われ、金利が大きく低下。ドル円は金利低下に反応し、132円台前
半から130円台後半まで売られ、その流れで昨日の東京時間でもドル
の上値が抑えられた格好でした。

もっとも、株価の大幅な下げは前日の上院での証言でイエレン財務長官
が、「米国の銀行システムを安定させるために、全面的な預金保険を提
供することを規制当局が検討していることはない」と発言したことが、
トリガーとなった側面もありました。
イエレン財務長官は昨日の下院での証言では、最近の政府の措置は「米
国民の預金の安全性を確実にするために講じられた」と繰り返し述べま
したが、その後に、「もちろん、正当化される場合は追加措置を講じる
用意があるだろう」と説明しています。
この発言から昨日のNY株式市場では、金融不安への懸念が依然として
くすぶりながらも株価の反発を誘っていました。

結局、先週のECBの0.5ポイントの利上げを皮切りに、前日のFR
B、昨日のBOEとスイス中銀、さらにはノルウェー中銀と台湾中銀も
利上げを決めています。
特にスイス中銀は、クレディスイスの経営危機問題がある中でも、0.
5ポイントの利上げを決定し、今後の追加利上げの可能性も示唆してい
ます。
UBSによるクレディスイス買収を完了させたことで、ひとまず同国の
信用不安は峠を越えたと判断した模様です。
ここでもインフレ対応を優先させた形になっています。

今後もFRBの金融政策の行方が大きな焦点であることは変わりません。
今回の利上げで、「9会合連続」で利上げを決めたことになり、これで
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.75~5.0
0%になりました。
パウエル議長は会見でさらなる追加利上げの可能性にも言及していまし
たが、これまでの大幅な累積的な利上げでも、今後銀行システムの安全
性には問題はなく、銀行危機をこれ以上深刻化させることはないといっ
た自信を示したのかもしれません。
一方で、今回も利上げに踏み切ったことで、米経済のリセッション入り
の可能性はさらに高まってきたと予想されます。
利上げを理由に買われてきたドル円が今後、利上げによる景気後退が本
格化し、
それを理由にドル売りが進むことも予想されます。
先ずは130円台が維持されるのかどうかといった点と、もしその水準
を割り込んだ場合、今年1月16日に記録した、今年のドルの最安値で
ある127円22銭を下回るのかどうかが焦点になります。
やや注目度が低下している「植田日銀」のYCC修正や金融政策の変更

春から夏場にかけては再びスポットライトを浴びることとなり、「円高
要因」になると思われます。

本日のドル円は129円50銭~131円50銭程度を予想します。


足元の金融不安ひとまず後退 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上昇。欧米の金融システムに対する不安が後退し、
米長期金利は大きく上昇。ドル円も引っ張られる形で買われ、
132円63銭までドル高が進む。
◆UBSによるクレディスイス買収が決まり、ユーロは上昇。
1.0789まで買われ、約1カ月ぶりの高値を付ける。
◆株式市場は3指数が揃って大幅に続伸。ダウは316ドル上げ、
S&P500も30ポイント上昇し、4000の大台を回復。
◆債券は大幅安。長期金利は3.60台へと上昇。
◆前日約1年ぶりに2000ドルの大台を記録した金は
大幅に反落。一方原油は大幅に続伸。

◆2月中古住宅販売件数    →  458万件

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏1月経常収支
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆英   英2月消費者物価指数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見
◆米   イエレン財務長官、上院小委で証言

欧米の金融システム不安が後退し、市場にはやや安堵感が広がったことで、
恐怖指数の「VIX指数」が急低下。今回の混乱では一時「30」を超えた
同指数は「21.38」で取り引きを終えています。

破綻したシリコンバレー銀行(SVB)と、シグネチャーバンクの預金は全
額保護されることが決まり、預金流失が続いているファーストリパブリック
バンク(FRC)を巡っては、米大手行が預金という形で資金供与すること
で合意し、さらに同行には政府支援が行われる可能性も報じられています。
また信用不安を払拭するため、イエレン財務長官は21日、中小規模の金融
機関が経営難に陥った場合、保険で保護される金額を超える部分についても
保障する意向を示したことも好感されています。
イエレン氏は米銀行協会の会議で講演し、「われわれの介入は米国の銀行シ
ステムを保護するために必要だった。中小規模の金融機関が取り付け騒ぎに
見舞われ、波及のリスクが生じるような場合は、同様な行動が正当化され得
る」と説明しています。
講演後の質疑応答では、「国民は銀行システムに信頼を置いて良い」と答え
ています。(ブルームバーグ)

偶然のことだったようですが、中国の習近平国家主席がロシアを訪れ、プー
チン氏と首脳会談を行うタイミングで、わが岸田首相は電撃的にウクライナ
を訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を行いました。岸田首相のウクライナ
訪問は、G7首脳としては唯一訪問していないことと、G7広島サミットも
控えていることで「対面上の問題を払拭する」ためのようにも思え、それほ
ど意味はないと思いますが、習近平氏のロシア訪問はそれなりに大きな意味
を持つのではないかと考えます。

もともと、このロシアとウクライナの停戦があるとすれば、それは中国がそ
のカギを握っているのではないかと思っていましたが、習近平氏はプーチン
氏と4時間にも及ぶ非公開の会談を行ったと伝えられています。
詳しい内容は分かっていませんが、その中で「和平協議」についても話合わ
れたようです。
仮に停戦についてロシアとウクライナが今後話し合うとしても、現時点では
双方の主張に大きな隔たりがあり簡単でありませせん。直ぐに停戦が実現す
る可能性は低いとみられます。
ただ、プーチン氏としては、いまさら「振り上げた刀はおろせない」状況で
あるのは明らかで、ここに、中国との「友好関係を維持するため」といった
大義名分があれば、その可能性もまったくないわけではありません。
一方で、トップ会談では中国のロシアへの武器供与について話し合いが行わ
れた可能性もあり、ブリンケン米国務長官は厳しく批判しています。
いずれにしても、中国が動いたことで、ウクライナ情勢は新たな段階に入る
とみています。

欧米の素早い対応が功を奏し、株価が上昇し、債券も買われ金利が低下。
131円前後まで売られたドル円もやや戻っています。
このまま金融不安が完全に消え去ることはないと思われますが、峠は越した
可能性が高いと思われます。
さて、明日朝のFOMC会合の結果ですが、祝日の前のコメントで筆者は、
0.25ポイントの利上げを予想していましたが、月曜、火曜の海外市場の
動きからすると、その可能性は高まってきたようです。
パウエル議長は仮に0.25ポイントの利上げを行ったとしても、「金融不
安に対しては断固とした対応で臨む」といった、市場の混乱を払拭する形の
コメントも同時に発するのではないかと予想しています。
もちろんまだ結果はわかりません。予断のないよう構える必要があります。

本日のドル円は131円~134円といったレンジを予想します。

明日の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。
ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願
い申し上げます。


UBS、クレディスイス買収で合意 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場では133円台で推移していたドル円はNYで
再び大きく下落。経営危機にある米ファーストリパブリックバンクの
株価が急落し、米長期金利も低下したことで、131円56銭まで
ドル売りが進む。
◆ユーロドルでもドル高が進む。水準を切り上げ、終始1.06台で
推移。
◆株式市場は3指数が揃って大幅安。金融不安は収まらず、銀行株を
中心に下落。ダウは384ドル、S&P500も43ポイント下げる。
◆債券は急騰。長期金利は3.42%台まで低下。
◆金は50ドルを超える大幅上昇。原油は続落し、2021年
12月以来となる65ドル台まで売られる。

◆2月鉱工業生産                →  0.0%
◆2月設備稼働率                →  78.0%
◆2月景気先行総合指数             →  -0.3%
◆3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)   →  63.4

本日の注目イベント

◆独   独2月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏1月貿易収支
◆欧   ラガルドECB総裁、議会証言

今朝の話題は、「UBSによるクレディスイス買収」一色です。
スイス最大手の銀行UBSが経営危機に揺れるクレディスイスを30億スイスフラン
(約4300億円)で買収することで合意しました。
当初、UBS側は10億ドル(約1300億円)で買収交渉を進めていましたが、ク
レディスイスの時価総額は1兆円を大幅に上回ることもあり、買収額が注目されてい
ましたが、結局30億スイスフランで決着したようです。
これには、スイス政府とスイス中銀の強い意向が働いたと思われます。
金融立国スイスとして、同国発の金融不安は何としても避けたいところで、
仮にクレディスイスが破綻したとなれば、同行一行の問題だけでは済まず、世界にお
けるスイスの金融機関全体の地位の低下にもつながるおそれがあるからです。
なにしろ、あの「ゴルゴ13」でさえも、受けた仕事は絶対に失敗しないということ
で、報酬は高額ですが、その全てを「スイス銀行」への振り込みを指定するほど、安
全性と匿名性が抜きん出ていたわけです。

同行は1856年に設立され、世界50カ国以上で国際業務を行っている、
世界でも有名なインターナショナル銀行でした。
筆者も、同行のジュネーブ支店を表敬訪問したことがありますが、その建物の重厚さ
と、営業室が日本のそれと大きく異なることに驚いた記憶があります。
時価総額を大幅に下回る金額でクレディスイスを手に入れたUBSは、結局、かつ
てのスイス3大銀行を「UBS1行」に仕立て上げたことになります。この買収が成
功するようだと、欧州ではドイツ銀行を始め、バークレーズ、HSBC、BNPパリ
バなど、競合する銀行から頭一つ抜けることになるかもしれません。
スイス政府はUBSに対し、クレディスイス買収に関連して発生し得る損失をカバー
するため90億スイスフランの保証を付与することを発表しています。

クレディスイスよりも先に経営危機に陥り、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)
を巡っては、受け皿銀行の入札期限は当初3月19日でしたが、適切な買い手が見つ
からず、期限が24日に延期されています。
ただ、連邦預金保険公社(FDIC)は現在、同行を少なくとも2つに分割して売却
することを模索している模様ですが、24日までに買い手が出て来ない場合には「解
体」の可能性もあるようです。
そんな中、「オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏」がバイデン政権高官と接触
していると、ブルームバーグは事情に詳しい関係者の話として伝えています。
話し合いでは、バフェット氏が米地銀セクターに何らかの方法で投資する可能性が議
論の中心となっているようで、また、同氏は現在の混乱全般についても勧告や助言を
行っていると報じています
バフェット氏はリーマン・ショックの影響から経営危機に瀕したゴールドマンを50
億ドル(当時の価値で約5000億円)を拠出し、同行を救済したことはあまりにも
有名ですが、同時のその救済は、「投資」としても極めて成功でした。
ゴールドマン株を格安で買うオプションをもらい、さらに投じた優先株の金額には1
0%という高金利が得られるという「破格の条件」でしたが、それでも当時はバフェ
ット氏以外に「火中の栗」を拾う投資家はいなかったということでしょう。バフェッ
ト氏の「慧眼」には驚くばかりです。

UBSによるクレディスイス買収で、金融不安もやや落ち着きを取り戻すかもしれま
せんが、明日からはFOMC会合が始まります。
パウエル議長の判断は依然として簡単ではなく、「利上げ見送りか、0.25ポイン
トの利上げか」で非常に悩ましいところです。どちらの可能性もありそうですが、こ
こはあえて「FRBはインフレ抑制を優先する」と予想したいと思います。先週のE
CBの例もあり、さらにUBSによる買収も、小幅利上げを後押しする材料かと思わ
れます。

本日のドル円は131円~133円程度を予想します。


ドル円131円台から133円台と乱高下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はNYの朝方に131円72銭前後まで売られたが、その後
米金利の上昇に133円台後半まで上昇するなど、荒っぽい動きが
続く。
◆ユーロドルはECBが0.5ポイントの利上げを決めたことで
底堅く推移。
◆株式市場は3指数が揃って大きく上昇。スイス中銀がクレディスイスに
最大7兆円の支援を決めたことなどが材料に。
◆債券は大きく売られ、長期金利は3.57%台に上昇。
◆金は反落し、原油は小幅に上昇。

◆新規失業保険申請件数          →  19.2万件
◆2月輸入物価指数            →  -0.1%
◆2月輸出物価指数            →  0.2%
◆2月住宅着工件数            →  145.0万件
◆2月建設許可件数            →  152.4万件
◆3月フィラデルフィア連銀景況指数    →  -23.2

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
◆欧   OECD経済見通し
◆米   2月鉱工業生産
◆米   2月設備稼働率
◆米   2月景気先行総合指数
◆米   3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)

ドル円は荒っぽい動きが続いています。
NYではこれまでサポートと見られていた132円20銭辺りが下抜けすると、
ドル円は131円70銭台まで売られましたが、その後は大きく反発し、何と、
133円82銭辺りまで上昇するなど、なかなか落ち着き所が見つけにくい動き
が続いています。

131円台後半まで売られたドル円が値を戻したのは、米長期金利が大きく上昇
したことが一因です。
今週に入っては「リスクオフ」の流れが加速し、金利が大きく低下しましたが、
その「リスクオフ」が少しでも和らぐと債券は売られ、金利は急上昇します。
連日10~20ベーシスポイントも上下するなど、通常の何倍もの値動きです。
投機的な取引が全体を支配していることの裏返しと見られますが、昨日はクレデ
ィスイスへの資金供給や、資金流出が続いていた米ファースト・リパブリックバ
ンクへの複数銀行による預金預け入れが決まったことなどが緊張緩和につながっ
ています。
また、ECBが理事会で政策金利を0.5ポイント引き上げることを決定したこ
とも、米債券売りにつながった面もありそうです。

ECBは0.25ポイントの利上げに収めると見込んでいましたが、0.5ポイ
ントの利上げ決定は「インフレ抑制」を優先した結果かと思われます。
クレディスイス問題が表面化し、「金融システムの安定かインフレ阻止か」との
選択でしたが、ECBは後者を採択し、銀行の混乱には触れていません。
ラガルド総裁は、政策発表後の記者会見で次の動きに関する質問に、「現時点で
決定することは不可能だ」と答え、「われわれが想定する基本シナリオが確認さ
れ、それが持続するならば、さらなる行動が必要だ」と述べるにとどめています
。金融機関の健全性についてラガルド氏は、「銀行セクターは2008年に比べ
てはるかに堅固な状態にある」と述べ、リーマン・ショック時に比べ、セーフテ
ィ・ネットなどの安全性がはるかに高まっていると説明しています。

金融機関の混乱が続くなか、ECBがインフレ抑制を優先し、0.5ポイントの
利上げを決めたことで、来週のFRBの政策決定にも影響を及ぼす可能性は
ありますが、現時点では会合での大幅利上げの可能性は低いようです。
多くの米金融機関が来週のFOMC会合での利上げ見送りを予想する中、JPモ
ルガンアセットも、同様に「見送り」を予想しています。
その理由として、「長期にわたって変動し、累積かつ遅れて表れる影響が市場に
さらに波及するだろう。これは氷山の一角だと思う」、「今後、さらに多くの整
理が行われ、もっと多くの痛みが生じる」(同社、マイケルCIO)とし、FR
Bは金融の安定を最優先課題にすべきだと語っています。

混乱が続いているクレディスイスを巡っては、スイス金融当局は同国最大手のU
BSとの統合を狙っているようですが、UBS側は「強制的な統合」には反対し
ているようです。
また資金流出が続いているファースト・リパブリックバンクについては、バンク
・オブ・アメリカやシティなど大手行が、財務の安定化を図る米政府の要請で、
300億ドル(約4兆円)を同行に預け、流動性を確保する見通しです。

130-135円のレンジ内で推移しているドル円ですが、なかなか明確な方向
性を見いだせません。
この動きは為替に限らず、株、債券でも同様です。
来週のFOMCでは「据え置きか、0.25か」との選択かと思いますが、筆者
は0.25にやや分があると考えています。
米金利が急激に低下しており、利上げをし易いという環境になってきたことと、
米金融機関の混乱はそう長くは続かないと見ているからです。
インフレ抑制を後回しにし、その後インフレが再燃した際の経済的損出の方が、
足下の金融不安の拡大によるものよりも大きいと予想しています。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。


今度はクレディ・スイスか? 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はNY時間朝方、2月のPPIやNY連銀製造業景況指数
が下振れしたことを受け急落。132円21銭前後までドル売りが
進んだが、その後133円台後半まで戻る荒っぽい動きに。
◆クレディ・スイス(CS)の経営危機が表面化したことで、
ユーロドルは大きく下落。1.0517まで売られ、対円でも
139円台半ばまで下落。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は下げたものの、
ナスダックは小幅高。CS株の大幅安を受け、NYでも銀行株が
大きく売られる。
◆債券は急騰。長期金利は大きく低下し3.45%台に。
◆金は反発。原油は一段と下げ、前日比3ドル72セント安。
2021年12月以来、1年3カ月ぶりの安値を付ける。
世界景気の鈍化を織り込む動きが続き、一時は65ドル台まで下げる。

*******************(何もない時は空欄のままにします)

◆2月小売売上高             →  -0.4%
◆3月NY連銀製造業景況指数       →  -24.6
◆2月生産者物価指数           →  -0.1%
◆3月NAHB住宅市場指数屋       →  44

本日の注目イベント

◆豪   豪2月雇用統計
◆日   11月鉱工業生産(確定値)
◆日   2月貿易統計
◆日   尹韓国大統領が来日
◆欧   ECB政策金利発表
◆欧  ラガルド・ECB総裁記者会見
◆米   新規失業保険申請件数
◆米 2月輸入物価指数
◆米 2月輸出物価指数
◆米   2月住宅着工件数
◆米   2月建設許可件数
◆米   3月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   イエレン財務長官、上院財政委員会で証言

クレディ・スイスよ、お前もか・・・・。

スイス大手銀行のクレディ・スイス(CS)が経営危機に陥っています。
筆頭株主が追加出資の可能性を否定したことを受け、同行の株価は24%安と、
過去最大の下落率を記録し、上場来安値を更新しました。CSはスイス中銀に同
行に対する支援を公に示すことを要請し、スイス中銀も必要なら流動性を供給す
ると発表しています。
もっとも、CSの経営危機が表面化したのは今に始まったことではなく、これま
でにも何度もニュースに取り上げられています。
もともとスイスでは、UBS、SBC、CSの「3大銀行」の時代が長く続いて
いましたが、その上位2行が合併し、現在のUBSが誕生しました。そのためU
BSとCSとの差はさらに拡大し、スイス国内での地位も低下が歴然でした。
同行は日本でも不祥事を起こしています。CSのプライベートバンクの日本支店
に、当局の検査が入った際、証拠隠滅を図るため多くの書類を段ボール箱に入れ
て持ち出したことが発覚。結局、「銀行免許取り消し」という厳しい処分が下さ
れ、日本からの撤退を余儀なくされました。
この処分に、スイスと日本の金融当局の関係が悪化する事態もありました。
フランス最大の銀行BNPパリバは一部の顧客に対し、CSグループがカウンタ
ーパーティーのデリバティブ契約でBNPパリバに当事者交替を求める契約を今
後受け付けないと通知しました。CSに対するカウンターパーティーリスクを削
減する動きです。米財務省も、CSグループの状況を監視していると、同省報道
官が述べています。
エコノミストのルービニ氏は、「CSは、一部の基準からすると、大き過ぎてつ
ぶせないが、大き過ぎて救済できないかもしれないという問題もある」と述べて
います。

米国の2行が破綻したタイミングで今度はCSの危機が一気に表面化し、金融市
場では再び「リスク回避」の動きが強まってきました。
代表的な安全資産である米国債は大きく買われ、長期金利は前日比で20ベーシ
スポイント以上も低下しています。1週間前は4%近かった同金利は3.45%
まで一気に低下しており、この動きが続けばシリコンバレー銀行(SVB)も破
綻せずに済んだ可能性もあり、皮肉な事態になっています。もっとも、債券が上
昇した直接の原因は同行の破綻ですが・・・・。
乱高下したのは米国債だけではなく、ドル円もNYの朝方には132円21銭前
後まで売られ、その後133円台後半まで上昇し、前日144円台で推移してい
たユーロ円は139円台半ばまで急落しています。
また、前日小幅安だった「金」は再び上昇を加速させ、2000ドルを目指して
いるとの声も出ています。
WTI原油価格は連日大きく売られ、1年3カ月ぶりの安値を記録しています。
世界景気の鈍化で原油消費量が減るといった見通しに加え、昨日は米国の原油在
庫が拡大していたことや、国際エネルギー機関(IEA)が月報で、世界石油市
場が供給過剰に見舞われていると指摘したことが下落に拍車をかけています。

米銀2行の破綻とCSの経営危機がここ1週間で一気に表面化してきました。
「寝耳に水」といった印象でしたが、筆者はSVBの破綻の影響は限定的と見
ていましたが、FRBの金融政策に与える影響は別の問題を提起しています。
世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターを創設したダリオ氏は、「
SVBの破綻は 『Canary in the Coal Mine』(炭鉱のカナリア)だ」と表現
し、「もっと多くの問題が顕在化する可能性が高い。今はターニングポイント
に近づいている」と指摘しています。(ブルームバーグ)

ドル円は何とも予想しづらい局面ですが、下値では132円20銭辺りがサポ
ーとなっていると見られます。ここが抜けるかどうかが焦点です。日経平均は
大きく下げると思われますが、その際に、ドル円がどのように動くのか。

レンジは132円~135円といったところでしょうか。


NY市場の金融不安やや収まる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆前日132円30銭まで売られたドル円は反発。
米金利の上昇もあり、NYでは134円90銭まで上昇
◆ユーロは底堅く推移し、1.0750まで上昇。
◆株式市場は3指数が反発。信用不安の最悪期は過ぎたとの
見方もあり、ダウは6日ぶりに上昇。
◆債券も巻き戻しが入り反落。長期金利は3.68%台に上昇。
◆連日大きく買われていた金は小幅に反落。原油は大幅に続落し、
一時は70ドル台後半まで売られる。昨年12月以来の安値に。

◆2月消費者物価指数  → 0.4%(前月比)

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合、議事要旨(1月17日、18日分)
◆中   中国2月小売売上高
◆中   中国2月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏1月鉱工業生産
◆米   2月小売売上高
◆米   3月NY連銀製造業景況指数
◆米   2月生産者物価指数
◆米   3月NAHB住宅市場指数
◆加   カナダ2月住宅着工件数


シリコンバレー銀行(SVB)などの破綻にともなって急速に高まった金融不安から、
米国だけではなく日本でもその影響は大きく、昨日の日経平均株価は銀行株が下げをけ
ん引し、600円を超える下落でした。ドル円は前日のNYで132円30銭を付けた
後は、落ち着いた動きとなり緩やかなドル買い戻しが優勢の展開でした。NYでは今回
の混乱も「最悪期は過ぎた」といった声も聞かれ、前日までの巻き戻しの動きが優勢で
した。

ドル円は米長期金利が大きく上昇したことで134円90銭前後まで買われ、NY株式
市場でも3指数は揃って大幅に反発して取引を終えています。リスク回避の強まりから
大幅に買われた金も昨日は反落しましたが、下げ幅は小幅でした。一方、WTI原油価
格は前日比3ドル47セント(4.6%)下げ、71ドル台で引けています。
潤沢な供給と米経済の先行き不安の高まりで売られたようですが、一時は70ドル台ま
で売られ、昨年12月以来となる安値に沈んでいます。
原油価格についてはゴールドマンなど、多くのビッグ・プレイヤーは夏辺りまでに10
0ドル台を回復すると予想しています。

注目された米2月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数では前月比「0.4%」、
前年同月比「6.0%」と、今回は市場予想と一致していました。ただ、コア指数の前
月比では「0.5%」上昇しており、予想の「0.4%」を上回っています。
この結果に、おそらくパウエル議長もほっと胸をなでおろしたことでしょう。
インフレ率が予想を上回ったとすれば、利上げ圧力は続く一方、SVBの経営破綻を受
けて金融安定へのリスクが増大するなか、利上げと利下げとの板挟みとなり、FRBに
とっても難しい判断を迫られる状況になります。
このような背景もあり、来週行われるFOMC会合での金融政策を巡っては、市場の見
方も大きく振らされています。
パウエル議長の議会証言を境に、「0.5ポイントの利上げ」確率が一気に高まり、金
融市場も「0.5」を織り込む形で動きましたが、SVB破綻をきっかけにその見方が
大きく後退。欧米の大手金融機関数行は「3月会合では利上げ見送り」に見方を変え、
ノムラ・インターナショナルに至っては、「利下げ」まで予想していました。
そして、昨日のNYではやや落ち着きを取り戻したこともあり、「0.25ポイントの
利上げ」と、再び元の鞘に戻った状況です。
この後会合までには、輸入物価指数、ミシガン大学消費者マインド、景気先行指数など
の発表も控えており、再び予想が変るかもしれませんが、個人的には「0.25」の可
能性が高いと予想しています。

黒海上空で哨戒活動中の米空軍無人機が、ロシアの戦闘機に衝突されて墜落したと米欧
軍が明らかにしました。
それによると、米軍の「MQ-9」無人機はロシアの戦闘機「Su-27」2機から数
回にわたってインターセプト(進路妨害)を受け、そのうち1機はMQ-9のプロペラ
に接触したようです。(ブルームバーグ)
偶発事故とはいえ、やや不穏な雰囲気もあります。中国の習近平国家主席はプーチン氏
との会談を予定しており、その後ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談も予定
されています。中国が停戦への仲介を担う可能性もある中、事態が悪化しないか懸念さ
れます。

ドル円は132円台前半から反発したことで、日足ではローソク足が再び雲の上に顔を
出した格好です。日足チャートを軸に見る限り、ドル円のトレンドはまだ変わっていな
いと判断できます。
ただ来週にはFOMCを控えており、上記ロシアと懸念材料もあり、さらに米国発の金
融不安もまだ完全に払拭されたわけではありません。まだまだどちらに動くのか、手探
りの状況は続きます。

本日のドル円は133円~135円程度を予想します。


ドル円続落し132円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し、一時は132円30銭までドル安が進む。
信用不安が収まらず、安全資産の債券が大きく買われ、金利が
一段と低下したことでドル売りが加速。
◆ドル安の流れからユーロドルも上昇し、1.0748を記録。
◆株式市場はやや落ち着きを取り戻したが指数はまちまち。
ダウは90ドル下げ、5日続落。ナスダックは小幅に上昇。
◆債券は大幅に続伸。長期金利は連日で大幅に低下し3.57%
台で引ける。
◆金は大幅に続伸し、原油は大幅に反落し74ドル台に。

本日の注目イベント

◆豪   豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪   豪2月NAB企業景況感指数
◆英   英ILO失業率(11-1月)
◆米   2月消費者物価指数

シリコンバレー銀行(SVB)に次いでシグネチャーバンクの破綻も決まり、
市場ではリーマン・ショックほどの大きな影響はないとしながらも、信用不安
は払しょくできず、この日も安全資産が大きく買われています。
米債券市場では10年債が大きく低下しただけではなく、政策金利の影響を受
けやすい2年債利回りも大きく低下しています。10年債利回りは連日の低下
で、3.57%台と、今年1月初旬の水準まで下げてきました。ドル円もこの
動きに連動するかのようにドル売りが進み、一時は132円30銭を記録して
います。
また、リスク回避の際に買われる「金」も連日で大きく上昇し、ここ2日間で
80ドルを超える上昇をみせています。

米金融当局は金融システムの不安防止のため、SVBとシグネチャーバンクの
2行について預金を全額保護すると発表し、信用不安の拡大防止に踏み切って
います。13日から支払に応じたSVBの支店では早朝から多くの預金者が預
金の引き出しに列を作ったと報道されています。
米国では預金保険で保護される上限は、1口座当たり最大25万ドル(約34
00万円)ですが、連邦預金保険公社(FDIC)は2行への預金について、
「預金保険の対象外も含めて、顧客は13日以降いかなる損出も納税者が負う
ことはない」と発表しました。
バイデン大統領も、2行の破綻を受けてホワイトハウスで演説を行い、「銀行
システムは安全で、必要な時に預金は口座にあると国民は安心して大丈夫だ」
とし、さらに、「これら顧客は全員、預金が保護され、今日現在において預金
にアクセスできる。安心して欲しい」と国民に訴えました。
同時に、「議会に対し銀行規制強化のほか、両行破綻を巡りしかるべき人の責
任を明確化させる」ことを指示しています。

今夜は2月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。2行の破綻でFRB
の政策余地にも制限がかかる可能性が出てきました。
先週まであった0.5ポイントの利上げ観測は、すっかり後退してしまい、市
場では「0.25ポイントの利上げ」、もしくは「利上げ見送り」を織り込み
つつあります。
2月のCPIは、前月比で「0.4%」、前年同月比で「6.4%」と予想さ
れています。予想を上回る強い数字になれば、インフレ阻止を目指し利上げを
しなければならない状況下でも、簡単に利上げをできない可能性もあり、パウ
エル議長は難しい判断を迫られます。
サマーズ元財務長官は2行の破綻を受けたなかでも、「インフレを抑制すると
いう目標に米金融当局が注力し続けないのは、重大な誤りだと私は判断してい
る」と述べ、「来週の会合で0.25ポイントの利上げが適切だとなお推測さ
れるが、状況はいつも変化する可能性がある」と説明しています。
また、次回会合で0.5ポイント利上げを検討対象から外すべきかとの質問に
対して、「今は何も外さない。ただ、13日の時点で決定が下されるならば、
0.5ポイントは理にかなっていない」と答えています。
2行の破綻で、足元では金融市場に混乱が広がっているが、長期化はしないと
考えていることが背景になっていると思われます。

今後、第3、第4のSVBが出ないとも言えませんが、米金融当局が素早く対
応策を発表したことや、2行ともローカルの銀行でグローバルな国際業務を行
っていないことなどを考えると、時間はかかるものの落ち着きを取り戻すと考
えています。
FRBの政策が一段と難しくなるとの観測もあり、米長期金利は急低下してい
ますが、足元のインフレ状況を考えると、このまま金利低下が続くとは予想で
きません。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想しますが、CPI
の結果次第では乱高下もありそうです。


SVB破綻し、ドル円急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は急落し、一時は134円12銭前後まで売られる。
2月の雇用統計では非農業部門雇用者数は予想を上回ったが、
失業率の上振れと、シリコンバレー銀行の破綻から一気にリスク
回避の流れが加速。
◆ユーロドルも大きくユーロ高が進み、2月20日以来となる
1.07台まで上昇。
◆株式市場は3指数が大幅下落。ダウは4日続落し3万2000ドルの
大台を割り込む。
◆債券は急騰。SVBの破綻が決まり、安全資産の債券が
大きく買われる。長期金利は一気に3.7%台割り込む。
◆金は大幅に続伸。原油も買われた。

◆2月失業率          →  3.6%
◆2月非農業部門雇用者数   →  31.1万人
◆2月平均時給 (前月比)   →  0.2%
◆2月平均時給 (前年比)   →  4.6%
◆2月労働参加率        →  62.5%
◆2月財政収支         →  -262.4b

本日の注目イベント

◆韓  米韓年次軍事演習(23日まで)
◆米  米英豪首脳会談(カリフォルニア)

NYではドル円が大きく売られ、134円台まで円高が進みました。
「2月の雇用統計」では、非農業部門雇用者数が市場予想を回る「31.1万人」と、
相変らず「好調」で、本来ならこの時点で「株価と債券が売られ、ドル高が進む」のが
これまでのパターンでしたが、失業率が「3.6%」と、予想の「3.4%」を超えて
いたことで、ドル高にはつながらなかったようです。

さらにドルを大きく下押ししたのがシリコンバレー銀行(SVB)の破綻でした。
同行の経営悪化は前日までにも伝えられていましたが、正式に破綻が決まったことで一
気に「リスク回避」の流れが加速しました。株価は金融株を中心に大きく売られ、安全
資産の債券に買いが集まり、価格は急騰。長期金利は3.7%台を割り込みました。金
利低下もあり、ドル円は136円台後半から134円台前半まで売られ、いつものよう
に円高へ振れた際のスピードの速さに驚かされています。
さらに週明けのオセアニア市場ではドル売りが一段と進み、一時133円56銭前後ま
で円が急騰しています。

SVBは集めた資金を債券市場でかなり運用しており、米インフレの長期化にともない
債券が大きく売られたことから「含み損」を抱え、資金繰りが急速に悪化したと伝えら
れています。米財務省、FRB、連邦預金保険公社(FDIC)は、破綻したSVBの
預金を全て保護することを本格的に検討しているとワシントンポスト紙が報じています
。同行の総資産規模は昨年末時点で約2090億ドル(約28兆円)と、全米で16位
でした。また同行の資産を買い取る入札も進行中で、事情に詳しい関係者の話として、
「12日遅くにも、買い手が判明する可能性もある」とブルームバーグは伝えています
が、最終決定はまだされておらず、合意がまとまらない可能性もあるとしています。
米銀の破綻というと、どうしても2008年のリーマン・ブラザーズの破綻を連想して
しまいます。大きな荷物を抱えてNYのリーマン本社ビルから出て来た社員の姿はテレ
ビで放映され、大きな話題を呼びました。
その後、「リーマンショック」を教訓にFDICが中心となり、銀行破綻に対する「セ
ーフティネット」が十分拡充されているため、今回の破綻がリーマン級の「ショック」
になる可能性はないと思います。
ただ今朝の市場の動きを見ると、円を買う動きは活発で、テクニカルでもドル高傾向の
波形が崩れつつあります。念のため「注意」する必要はあります。

先週末、黒田総裁にとって最後の会合となる、政策決定会合が行われましたが、一部で
予想されていたYCCの修正といった、政策の変更はありませんでした。
会合後の黒田総裁の会見は「意外なほど」あっさり終わってしまいましたが、黒田氏は
「金融緩和は成功だった」と語っていました。
「2年で2%の物価上昇」という目標を達成すると、自信を持ってパネルを高々と掲げ
た就任直後の会見でしたが、達成はできませんでした。それでも、それまで長い間続い
てきた「デフレ」からの脱却や就職氷河期を解消したことで、女性や若年層に雇用の機
会が増えたことなどを成果として挙げていました。
会見では幹事社を皮切りに、限られた時間の中、あらかじめ決められたと思える各社が
質問を行いましたが、テレビ東京の大江氏だけが黒田総裁10年間の労をねぎらう発言
を行っていたことに、やや違和感を覚えた次第です。

今日も荒っぽい動きが続きそうです。
レンジ予想は133円~136円程度でしょうか。


日銀決定会合を前にドル円反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京市場で上値を重くしたドル円はNYでは136円を割り込む。
日銀の決定会合や長期金利の低下などから円を買う動きが
強まり、ドル円は135円95銭まで売られる。
◆ユーロドルは前日からやや水準を切り上げたものの、終始
1.05台で推移。
◆株式市場は大幅に下落。銀行株への売りが強まり、S&P500は
73ポイント下げる。ダウは500ドルを超える下げで3日続落。
◆債券は反発。長期金利は3.90%台へ低下。
◆金は反発。原油は3日続落。

◆新規失業保険申請件数 → 21.1万件

本日の注目イベント

◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   黒田日銀総裁記者会見
◆独   独2月消費者物価指数(改定値)
◆英   英1月鉱工業生産
◆英   英1月貿易収支
◆米   2月雇用統計
◆米 2月財政収支
◆米 フォンデアライエン欧州委員長、バイデン大統領を訪問
◆加   カナダ2月失業率

昨日の東京時間ではドルの上値が重くじり安の展開でしたが、その流れがNYへ
も引き継がれたのか、ドル円は135円95銭まで売られています。
パウエル議長の議会証言を境にドル円は上昇し、138円手前までドル高が進み
ましたが、上昇は一服。利益確定の売りや、日銀決定会合を控えて、ドル売りが
出易い状況だったようです。

本レポートでも何度も触れていますが、黒田氏の最後となる本日の決定会合では、
現状の金融緩和策の継続が決まる公算が大きいとは思いますが、今朝のブルーム
バーグは、「ゴールドマンとBNPパリバは、黒田総裁にとって最後となる会合
で、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策を修正ないし撤廃する可能性
もあるとみている」と報じています。
「その場合は景気刺激よりも債券市場の機能を優先する動きとなる。このほか、
政策金利のフォワードガイダンスや景気認識についても何らかの変化がないか注
意が必要だ」としています。
もし何らかの修正があれば「最後のサプライズ」になりますが、昨年12月の例
もあり、注意する必要があります。
会合での結果は、議論が紛糾しない限り午前11時から12時には発表されると
みていますが、かつては1時過ぎに発表されたケースもあり、FOMCのように
事前に決まっているわけではありません。
昨日のNYでのドル下落はその辺りを意識した売りだったのかもしれません。

バイデン大統領は9日、歳出を6兆9000億ドル(約940兆円)規模とする
2024年度予算教書を公表しました。
その中で、バイデン大統領は超富裕層や法人への課税を強化する提案をしていま
す。
ホワイトハウス当局者によると、バイデン大統領は議会に対して、最低税率25
%の超富裕層への課税を求め、キャピタルゲイン課税の税率についても39.6
%への引き上げを提案するもようです。その結果、10年間で3兆ドルの財政赤
字の削減を目指すとしています。これに対して野党共和党は拒否する構えのよう
です。
大統領の提案する予算教書には、強制力はなく指針として捉えられ、実際には議
会で議論されて決められます。

今夜は「米2月の雇用統計」が発表されます。市場予想は「21.2万人」で、
1月の
「予想を大きく超えた51.7万人」からは半分以下になります。
ただ、仮に予想前後の結果であっても、0.5ポイントの利上げ観測が後退する
ことにはつながらないと思われます。パウエル議長は7日の議会証言でも、注目
する経済データとして同指標を挙げていました。予想からどちらに乖離しても相
場に与える影響は大きくなるでしょう。

本日のドル円は135円~137円50銭程度を予想します。


ドル円138円に迫るが、その後荒っぽい動きに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し、東京時間昼過ぎには137円92銭近辺まで
上昇。NYでは一転して136円台半ばまで下げる荒っぽい動きも。
テクニカル的には上昇の可能性は高まってきたものの、警戒感も
見られる。
◆ドル高が続いていることでユーロドルは1.0530まで売られる。
◆株式市場でパウエル議長の議会証言があったものの、まちまちの展開。
ダウは続落したが、ナスダックとS&P500は小幅に反発。
◆債券は続落。長期金利は3.98%台に上昇し、再び4%をうかがう。
◆金と原油は続落。

◆2月ADP雇用者数     →  24.2万人
◆1月貿易収支        →  -68.3b
◆1月求人件数        →  1082.4万件


本日の注目イベント

◆日   10-12月GDP(改定値)
◆中   中国2月消費者物価指数
◆中   中国2月生産者物価指数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   米大統領、予算教書
◆米   バー・FRB副議長講演

前日に続きパウエル議長の議会証言が下院金融委員会で行われました。
議長は前日述べたことを繰り返し、「必要なら利上げを加速させる用意がある」
と述べるとともに、「3月の会合に関しては何も決定していない」と述べ、今後
のデータ次第だと説明していました。データでは、この日発表された「1月の求
人件数」のほか、10日発表の「2月の雇用統計」と、14日発表の「2月の消
費者物価指数」を挙げていました。
議長はまた、「利上げペースを今年減速させることは、今後生じる効果をより多
く見る一つの方法だ」とも述べています。インフレ率については、「低下しつつ
あるが、非常に高い。この高インフレの一部は、極めてタイトな労働市場に関連
している可能性が非常に高い」と説明しています。
結局、議長は利上げ幅の加速はあり得るものの、今後発表される重要データを確
認したいとの考えを示した格好でした。議会証言初日の上院での発言は市場に大
きなインパクトを与えましたが、この日の発言はほとんど影響がなかったものと
思われます。

ドル円は堅調に推移し、昨日の東京時間昼過ぎには137台半ばを超え、一時は
137円92銭前後まで上昇しました。昨日のこの欄でも触れましたが、昨年1
0月の151円94銭から今年1月の127円22銭まで下落した値幅の「半値
戻し」が意識されたことと、日足チャートの「200日移動平均線」を超えたこ
とでドル買いが加速したようです。
この水準では「ストップロス」のドル買いも出ていた可能性もあります。
ただその後のNYでは一転してドルが売られる場面もあり、ドル円は136円4
8銭近辺まで下落するなど、荒っぽい動きとなっています。ドル円はすでに今年
の安値から10円以上も値を戻しており、円高を見越していた相場観の修正や、
依然として円高の可能性にかける向きの「せめぎあい」の水準にもなっているよ
うです。
筆者も円高を予想した一人ですが、想定していたよりも早い段階で、順調に低下
してきた
米インフレ率の鈍化が確認されたことが「要因」になっています。
目先はもうしばらくドルの上昇余地はあると思われますが、140円前後ではそ
ろそろ警戒感も強まる水準ではないかと考えます。パウエル議長が議会証言でも
述べたように、今後のデータを確認するしかありません。

雇用統計の前哨戦とも言われる「ADP雇用者数」では、市場予想の「20万人
」を上回る「24.2万人」と、依然として労働市場の底堅さを示しています。
ITと金融の分野で人員削減が何度も報道されていましたが、娯楽・ホスピタリ
ティ分野の伸びが全体を押し上げていました。
レイオフも今のところ、上記2分野で限定的といったところでしょうか。
ADPのチーフ・エコノミストは「採用の動きは力強く、経済と労働者にとって
はプラスだが、賃金の伸びは依然かなり高い状況だ。それだけに近い将来インフ
レが急速に鈍化する可能性は低い」と述べています。(ブルームバーグ)

本日から日銀の金融政策決定会合が開催されます。黒田総裁にとって最後の会合
になりますが、一部には依然として「政策修正観測」がくすぶっているようです。
債券市場の機能が損なわれていることは植田新総裁候補も認めているもので、植
田体制になる前の最後の会合でYCCなどの修正が行われるとの見方のようです
。また昨年12月のサプライズのインパクトが大きく、頭の片隅に残っているの
も事実です。「最後のサプライズ」はあるのか・・・・、可能性は極めて低いと
みられます。

ウクライナ東部の要衝バフムトではロシアの攻勢が続いており、ウクライナ側の
戦況は劣勢となっていますが、NATOのストルテンベルグ事務総長は、「ロシ
アは多大な損出を被ったが、バフムトが最終的に数日以内に陥落する可能性も排
除できない」と述べ、「従って、これが必ずしも戦況の転換点を反映するもので
はないと言明しておくことは重要だ。ロシアを過小評価せず、ウクライナ支援を
継続する必要があることもあらためて強調したい」と語っています。
ウクライナのレズニコフ国防相は、武器弾薬のさらなる支援を要求しています。

本日のドル円は136円~138円程度を予想します。


パウエル議長の議会証言を受けドル円上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円はパウエル議長の議会証言を受け、136円10銭台
から137円台前半まで100bpほど上昇。議長発言は予想通り
タカ派的で、市場の楽観論を一蹴。
◆ドル高が進んだことでユーロは売られ、1.05台半ばに。
◆株式市場は大幅下落。今後も利上げが加速する可能性がある
ことからダウは574ドル下げ、他の2指数も大幅安。
◆債券は続落。長期金利は上昇したものの、4%の大台には
届かず。
◆金と原油は大幅に下落。

*******************(何もない時は空欄のままにします)

◆1月消費者信用残高   → 14.799b

本日の注目イベント

◆日   1月貿易収支
◆日   1月国際収支
◆日  1月景気先行指数(CI)(速報値)
◆日  2月景気ウオッチャー調査
◆独   独1月小売売上高
◆独   独1月鉱工業生産
◆欧   ユーロ圏10-12月期GDP(確定値)
◆欧  ラガルド・ECB総裁講演
◆米   2月ADP雇用者数
◆米  1月貿易収支
◆米   1月求人件数
◆米   パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
◆加   カナダ1月貿易収支
◆加   カナダ中銀政策金利発表

米議会上院でパウエル議長の証言は「想定通り」タカ派の内容でした。

昨年6月に「9.1%」というインフレのピークを記録し、その後は大幅利上げを
断行したこともあり、インフレ率は1月には「6.4%」まで低下してきました。
このまま順調に低下傾向を見せるとみられていましたが、2月に入ってからは市場
予想を超える経済指標が相次ぎ発表され、米インフレ率は想定よりも「粘着性が強
く」再び上昇に向かうとの観測も台頭している中での、パウエル議長の証言でした
。それだけに、市場では非常に注目されていましたが、議長は「必要なら利上げを
加速させる用意がある」と述べ、市場は大きく反応しています。
「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準が従来想定を上回る可能
性が高いことを示唆している」とし、「経済データが全体として、より速い引き締
めを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意があるだろう」と発言
しました。
パウエル議長のタカ派寄りの発言を受け、株式と債券が売られドルが買われていま
す。先週から上げ足を強め、都合700ドルを超える上昇を記録していたダウは、
最も下げがきつく、前日比574ドル下落。他の主要指数も大幅安の展開でした。
利上げ加速が意識され債券も売られ、長期金利は上昇しましたが4%の大台には届
かず、上昇幅はわずか1bpで、小幅な上昇だったことにやや違和感が残ります。
株価程売られなかった債券が、今後何かの動きを暗示しているのではとしたら、考
えすぎでしょうか。
金利上昇を受けドル円は136円10銭台から100bp買われ、137円19銭
近辺まで上昇し、わずかですが先週記録した年初来高値であった137円10銭を
上回っています。
また、金と原油も大きく売られており、次回3月会合での「0.5ポイントの利上
げ確率」は「0.25ポイント」を上回る結果になっています。
2年債も利回りが大幅利上げを織り込む格好で上昇し、一時5%を記録しました。
その結果、「10年債との逆イールド」は拡大し、100bpに達しています。

これで、データ次第では次回FOMCで0.5ポイントの利上げの可能性が十分あ
ることが確認されました。10日は「2月の雇用統計」が発表されますが、ここで
市場予想を超えるデータが出るようなら「0.5ポイント利上げ」は「当確」とい
うことになりそうです。もっとも、そもそもブレやすい「雇用統計」ですから、市
場予想を下回る可能性にも注意が必要です。難しいのはその場合、市場の見方が再
び「0.25ポイントの利上げ」に戻るのかどうかという点です。
ユーロ圏でもインフレは長期化するとの観測が根強く、ECB政策メンバーのホル
ツマン・オーストリア中銀総裁は、「コアインフレ率は上期には大きく下がらず、
現在の水準付近にとどまると思う。その場合、0.5ポイントの利上げを今年あと
4回行うだろうと考えている」と述べ、3、5、6、7月の4会合連続で0.5ポ
イントの利上げを支持する考えを示しました。またオ―ストラリア準備銀行(RB
A)も昨日、10会合連続の利上げとなる、0.25ポイントの利上げ決め、イン
フレ抑制に対する強い姿勢を見せていました。
世界的にもインフレはピークを超えてはいますが、主要国は依然としてインフレ再
燃に対する警戒感を解いてはいません。

ドル円は米利上げ長期化観測を支えに底堅い動きが続いています。
今朝の日経新聞も触れていましたが、ここからはドル円が日足の「200日移動平
均線」を越えられるかどうかが大きなポイントになります。現在、200日線は「
137円47銭」近辺にあります。
この水準に極めて近いところまでドル高が進んでいますが、この線は言うまでもな
く「レジスタンス・ライン」(抵抗線)です。ドルロングもこの水準を境に決済を
する向きも多く、実需のドル売りも集まり易い傾向があります。
一方で、この上には「ストップ・ロス」も設定されていると思われ、ここを明確に
抜けるかどうかは、今後140円を目指すのか、あるいは下落に転じるのかを占う
意味でも重要だと言えます。この後も日銀の決定会合、雇用統計と材料はあります。
注意深く、慎重に見極めたいと思います。

本日のドル円は136円50銭~138円50銭程度でしょうか。


パウエル議長の議会証言待ち 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆東京時間昼過ぎには135円台前半まで売られたドル円は
欧州市場では136円台を回復。NYでは売り買い交錯する中、
今夜のパウエル議長の議会証言を待つ展開に。
◆ユーロドルはECB政策メンバーのタカ派発言もあり上昇。
1.0694までユーロ高が進む。
◆株式市場はまちまちながらダウは小幅に上昇し、これで
5日続伸。ナスダックは小幅に反落。
◆債券は小幅に売られ、長期金利はやや上昇。
◆金は変わらず。原油は5日続伸し80ドルの大台に乗せる。



◆1月製造業受注   → -1.6% 

本日の注目イベント

◆豪   豪1月貿易収支
◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆中   中国 2月貿易収支
◆中   中国2月外貨準備高
◆独   独1月製造業新規受注
◆欧   ECB消費者予想調査
◆米   1月消費者信用残高
◆米   パウエル・FRB議長、上院委員会で証言


東京時間では徐々に上値を重くしたドル円は、昼過ぎには135円35銭
近辺まで売られましたが、その後の欧州市場では反発し、136円20銭
手前まで上昇しましたが、NYでは小動きでした。
今夜米上院で半年に一度のパウエル議長の証言があり、ここで議長がどの
ような発言を行うのかを見極めたいとする空気が優勢のようでした。
特に投資家は、3月利上げに関するヒントに渇望しており、「0.25か
0.5か」を判断する材料を求めています。
それまでは3月会合で0.25ポイントの利上げを行い、その後はこれま
で大幅な利上げを行った効果を見極めるのではといった見方が主流でした
が、2月に入るやいなや、市場予想を上回る経済指標が相次ぎ、「3月会
合では0.5ポイント利上げもあり得る」との見方が急速に台頭してきま
した。

現時点でもFOMCメンバーの中では意見が分かれており、議長の考えが
大きな鍵を握っているとも言える状況です。
市場予想では「五分五分」もしくは、やや25bpの可能性の方が有利の
ようにもみえますが、「25」ならドルが売られ「50」ならドルが買わ
れる可能性もあります。
さらに今週は10日に日銀の金融政策決定会合があり、こちらもいつにな
く注目度が高まっています。そして同じく10日には「2月の雇用統計」
が控えており、為替を動かす材料は目白押しです。大げさに言えば、この
一連のイベントで今後137円台を天井に下落に向かうのか、あるいは1
40円方向を目指す動きになるのかといった、「春先にかけての重要な方
向性が決まるかもしれない」そんな週になりそうです。
米金融政策の最高責任者であるパウエル議長としては、市場に楽観的な印
象を与えたくないのは当然で、その点からすれば「タカ派寄り」の発言が
予想されます。
米景気の想定を上回る底堅さを認識しながら、「当局目標である2%のイ
ンフレを達成するため、必要とあれば今後も利上げを継続する」といった
ニュアンスの発言をイメージしています。

ユーロ圏でもインフレに対する警戒感は収まっておらず、ECBも追加利
上げを実施すると見られ、これがユーロを支える構図が続いています。
ECB政策メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁はドイツ紙との
インタビューで、「コアインフレ率は上期には大きく下がらず、現在の水
準付近にとどまると思う。
その場合、0.5ポイントの利上げを今年あと4回行うだろうと考えてい
る」と述べ、3、5、6、7月の4会合連続で0.5ポイントの利上げを
支持する考えを示しました。(ブルームバーグ)また、ECBでチーフエ
コノミストを務めるレーン理事も6日の講演で、「基調的なインフレ圧力
に関する現在の情報は、3月会合の後もさらに利上げをするのが適切であ
ることを示唆している」と語り、ただ、「5月に実際に何をするかは大き
くデータに依存する」と述べ、「ECBは自動操縦モードになるべきでは
ない」と論じています。
これはホルツマン氏の発言とは対照的に、機械的に利上げをするのではな
く、これまで実施してきた累積的な金融引き締めの効果を見極めるべきだ
とする「ハト派」的な意見のようです。

中国の習近平国家主席は6日、米国を中心とした諸外国からの抑圧などの
経済的困難を乗り切る一助として、民間セクターの結束を呼び掛けました。
中国人民放送(CNR)によると、習氏は「米国率いる西側諸国による包
括的な封じ込めおよび抑圧を過去数年にわたって受けている。こうした動
きは中国の発展に前例のない深刻な試練をもたらした」と述べ、テクノロ
ジー分野などの結束を促しています。
米国のブリンケン国務長官は「中国がロシアへ武器を供与したら、制裁を
強める」と語っており、今後さらに中国企業への圧力が増すことも予想さ
れ、そうした動きに対応したもののようです。

本日はパウエル議長の議会証言もあり、レンジは135円~137円とワ
イドに予想します。


米長期金利の上昇一服 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は136円台半ばから小幅に反落。上昇傾向だった
米長期金利が低下したことでドル円は135円75銭まで
売られる。
◆ユーロドルは1.06を挟んでもみ合う。
◆長期金利の上昇が一服だったことで株式市場では3指数が
揃って続伸。ダウは387ドル上昇し、S&P500は
64ポイントの上昇。
◆債券は反発。長期金利は3.95%台に低下。
◆金は反発。原油価格も4日続伸し79ドル台に。

*******************(何もない時は空欄のままにします)

◆2月ISM非製造業景況指数           →  55.1
◆2月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) →  50.6
◆2月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)→  50.1

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏1月小売売上高
◆米   1月製造業受注
◆米   フィンランド大統領、訪米(10日まで)

前日137円10銭まで上昇したドル円は、米長期金利の上昇が一服したことで
135円75銭まで反落しています。この日発表された2月のISM非製造業景
況指数は「55.1」と、市場予想の「54.5」は上回ったものの、FOMC
の政策会合に大きな影響を与えるものでもなかったとの見方から、株式と債券が
大きく買われ、長期金利が低下。前日4.09%前後まで上昇した長期金利が3
.95%台まで低下したことでドル円は利益確定も伴い、売り優勢の展開になり
ました。

米企業の収益状況や今後のFOMCの利上げスタンスから、NY株はさらに下げ
るとの見方が多い中、ダウは2日連続で300ドルを超える上昇を見せました。
債券も売りが一服となり、長期金利の低下につながっており、ドル円も137円
台まで上昇したことで、「達成感」とは言えないまでも売りが優勢となった印象
でした。
この先、ドル円が「半値戻し」の139円台半ばから節目の140円を目指すの
かどうか、今週末の雇用統計が注目されます。
2月3日に発表された「1月の雇用統計」を契機に、米経済指標の上振れ発表が
相次ぎ、これらを受けて3月のFOMCでは「0.5ポイントの利上げの可能性
もある」といった見方が強まり130円前後で推移していたドル円を押し上げま
した。

SFシスコ連銀のデーリー総裁は4日プリンストン大学の講演で、「やるべきこ
とがまだあるのは明らかだ」とし、「この高インフレを過去のものとするために
、さらなる政策引き締めをより長めに維持することが必要になるだろう。私の判
断では、やるべきことを全てやったというのは間違いであり、これからも行われ
るだろう」と説明しています。ただ、この発言による市場への影響は見られませ
んでした。
またブルームバーグ・テレビジョンの寄稿者で、元財務長官のサマーズ氏は、「
米金融当局は3月の50ベーシスポイントの行動に門戸を大きく開いておくべき
だ」とし、「米金融当局の現状を適正に判断するとすれば、ここ約1年でこれほ
ど後手に回っていることはないと言えるだろう」と、今月の利上げペース再加速
があり得ることを強調すべきだと指摘しています。このような意見はFOMCメ
ンバーの中にも出て来ましたが、現時点ではまだ0.25の方に軍配が上がりそ
うです。ただし、これも今週末の雇用統計の結果やそれに次ぐCPIの数字如何
では、0.5ポイントに大きく近づく可能性があります。
その意味で、明日、明後日に(7日、8日)予定されているパウエル議長の議会
証言は非常に注目されそうです。「0.25」か「0.5」かは、まさに今後の
データ次第で、現時点では「白紙」と考えておいた方が良いのかもしれません。
「0.5ポイント」の利上げはまだ市場には完全に折り込まれてはおらず、仮に
「0.5」ということになれば、ドル円は上記水準を試しに行く可能性もあると
予想します。

本日のドル円は135円~137円程度を予想します。


ドル円米金利上昇に137円台に乗せる 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州市場で136円台後半で推移してたドル円はNYでは
137円10銭を付けた。米金利が上昇したことが材料と
なったが、その後は136円台半ばまで押し戻される。

◆株式市場は3指数が揃って上昇。アトランタ連銀総裁の
発言を好感し、ダウは341ドル高。
◆債券朝方には続落し、長期金利は4%台に乗せ、一時は
4.089%まで上昇。
◆金は反落し、原油は3日続伸。

◆新規失業保険申請件数  → 19.0万件 

本日の注目イベント

◆日  2月東京都区部消費者物価指数
◆日   1月失業率
◆中   2月財新サービス業PMI
◆独   独2月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏1月卸売物価指数
◆欧   ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月総合PMI(改定値)
◆英   英2月サービス業PMI(改定値)
◆米   2月ISM非製造業景況指数
◆米   2月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米   2月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、会議開会の挨拶
◆米   ローガン・ダラス連銀総裁、イベントの開会の挨拶
◆米   ボウマン・FRB理事、パネル討論に参加
◆米   米独首脳会談(ホワイトハウス)
◆加   カナダ1月住宅建設許可件数




東京時間午後から136円台半ばまで上昇し、欧州でも堅調に推移した
ドル円はNYで137円台に乗せ、137円10銭までドル高が進みま
した。
これで再び「38.2%戻し」を抜いただけではなく、今年の年初来高
値を更新しています。米債券の売り圧力が強く、長期金利は再び4%台
に乗せ、昨日は一時4.089%まで上昇しました。
この日は30年債も4%台に乗せ、これで全年限で4%を超える水準を
達成したことになります。
ドル円は金利高に反応し、137円台を示現しましたが、その後アトラ
ンタ連銀のポスティック総裁の発言が伝わりやや値を下げています。
ポスティック総裁は、「3月のFOMC会合では0.25ポイントの利
上げがなお望ましい」と述べたことが影響しました。
この発言を好感し株式市場でも株価が上昇しています。
ただ総裁は、「データ次第だ。いかなる可能性に対してもオープンであ
り続けるつもりだ。経済が想定以上に強いことをデータが示唆し続ける
ようであれば、私は政策軌道を調整する」とも述べています。
3月会合では0.5ポイントの利上げの可能性が徐々に高まる状況が続
いていることで、ポスティック総裁が明確に0.25ポイント支持に言
及したことが、比較的大きな反応につがったようです。

ただ一方で、他のFOMCメンバーからはタカ派的な発言が相次いでい
ます。
ボストン連銀のコリンズ総裁は、「インフレ抑制のため今後も利上げを
継続する必要がある」と指摘し、「ただ具体的にどこまで金利を引き上
げる必要があるかは、今後入手するデータに左右される」と述べていま
す。またFRBのウォラー理事は、雇用とインフレ率のデータが1月の
過熱した数字から落ち着くなら、「フェデラルファンド(FF)金利誘
導目標レンジを5.1%から5.4%の間の予想されるターミナルレー
トにまでさらに数回引き上げることを支持するだろう」と述べた上で、
「一方で、それらのデータの過熱が続けば、1月分のデータ発表前にあ
った機運を失わないよう、今年は政策目標レンジをさらに引き上げる必
要があろう」との認識を示しました。(ブルームバーグ)イエレン財務
長官も、労働市場に触れ、「労働市場は逼迫している。米金融当局は恐
らく労働市場の熱を少し冷ます必要がある。だがそれは雇用喪失を余儀
なくされることを意味しない」と語っています。
この日発表された週間失業保険申請件数は19万件と、先週よりも減少
しており、市場予想よりも改善していました。

白川前日銀総裁の寄稿文が話題になっています。
白川氏はIMFの季刊誌で、黒田総裁が10年にわたり行った異次元の
金融緩和について、「壮大なる金融実験」と称し、「その効果は控えめ
であった」と評価しています。また長期の緩和が「生産性向上への悪影
響をもたらす」と指摘しています。一方で、「拙速な正常化は賃上げの
機運をつぶし、かえって緩和の長期化を招きかねない」とも指摘してい
ます。前総裁が、IMFの季刊誌ではあるものの、現行の金融政策につ
いて言及するのは異例なことと思われます。

本日のドル円は135円50銭~137円50銭程度と予想します。


米長期金利およそ4カ月ぶりに4%台に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州時間には135円台前半まで売られたドル円はNYで
再び136円34銭まで上昇。米長期金利が4%台に乗せた
ことが材料に。
◆ユーロドルは底堅く推移し、1.0691まで上昇。
ECBによる利上げ観測が支えとなり、対円でも145円台
前半まで買われる。
◆株式市場はまちまち。金利上昇を嫌気してナスダックは76ポイント
下げたが、ダウは小幅に上昇。
◆債券は続落し、長期金利はおよそ4カ月ぶりに4%の大台に。
◆金と原油は続伸。

◆2月ISM製造業景況指数            →  47.7
◆2月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)   →  47.3
◆2月自動車販売台数               →  1489万台(年換算)

本日の注目イベント

◆豪   豪1月住宅建設許可件数
◆欧   ユーロ圏1月失業率
◆欧   ECB議事要旨(2月24日会合分)
◆欧   ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
◆米   ウォラーFRB理事、オンラインイベントで講演


2月から続く米経済指標の上振れで、米金融当局の利上げが長期にわたって
継続されるとの観測が徐々に強まり、これがドル円を支える展開が続いてい
ます。昨日は東京時間の夕方にはドル円が上値を重くし、136円台を割り
込む
動きを見せました。NYがオープンする前には135円25銭近辺までドル
安が進みましたが、2月のISM製造業景況指数を材料に再びドルが上昇し
、136円34銭まで買われています。同総合指数は製造活動の拡大・縮小
の境目である「50」は下回ったものの、6カ月ぶりに上昇しています。
市場は特に仕入れ価格指数に注目したようです。同指数は「51.3」と、
昨年9月以来となる「50」を超えており、コスト上昇を示唆しています。
米インフレが再び上昇するとの懸念から、株と債券が売られ、長期金利はお
よそ4カ月ぶりに節目の4%台に乗せました。

加えて、この日は2人のFOMCメンバーがタカ派的な発言を行ったことも
債券売り、ドル買いにつながっています。
相次ぐ米経済指標の上振れが発表される中、FOMCメンバーがタカ派的な
発言を行う可能性が高いというのは想定内ですが、ミネアポリス連銀のカシ
ュカリ総裁はサウスダコタ州でのイベントで、「25ベーシスポイントか5
0bpかについて、現時点ではオープンマインドでいる。私にとっては、当
局の金利予想分布図(ドットプロット)で示唆する内容の方が、25bpか
50かどうかよりも重要だ」と述べ、「利上げがサービス部門の減速につな
がっている兆しがまだあまり見られず、それが気掛かりだ」と語っています
。また、アトランタ連銀のポスティック総裁も、「フェデラルファンド(F
F)金利を5-5.25%に引き上げ、2024年もしばらくその水準で維
持する必要がある」との認識を示しています。
このような発言が米長期金利を4%台に押し上げ、金利スワップ市場では政
策金利が9月に5.5%でピークに達するとの見方を織り込みつつあります
。次回FOMCは今月21-22日に開催されますが、それまでに発表され
る雇用統計やCPIの結果次第では50bpの利上げの可能性もありそうで
す。またそれまでに予想されるFOMCメンバーによるタカ派発言にも注意
が必要です。
利上げ幅が拡大され、利下げのタイミングが徐々に先に延びている印象です
が、現時点ではまだ0.25ポイントの利上げと、2024年第1四半期に
は利下げに向うとの見方は維持されていると考えます。


ドル円は今週に入り、日足チャートでは完全に「雲抜け」を完成させていま
す。
ドル円はもうしばらく上昇する余地はありそうですが、この「雲抜け」は形
としてはあまり良くありません。
相場が勢いよく上昇して雲を抜けたというよりも、雲そのものが右下に下が
ってきたことで、結果として「雲抜け」が完成した形になっています。
また、「38.2%戻し」の水準を一旦は抜けましたが、まだ抵抗されてい
る印象も残ります。再び上昇して139円50銭~140円の壁に挑むの
かどうか、もうしばらくは発表されるデータを確認する必要があります。

本日のドル円のレンジ予想は135円~137円と変わりません。


ドル円137円手前まで上昇後急落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は欧州時間朝方から上昇し136円台後半まで買われた。
NYでは136円92銭までドル高が進むが、その後消費者
マインドの発表を受け135円73銭まで売られる。
◆ユーロドルは小じっかり。フランスなどのCPIが予想を
上回ったことがユーロを下支え。
◆株式市場は下落。特にダウは下げがきつく232ドル安。
ナスダックとS&P500は下げ幅を縮小。
◆債券は一時売られ金利は上昇したが、その後持ち直す。
長期金利は3.92%台で取引を終える。
◆金と原油は揃って上昇。

◆12月ケース・シラ-住宅価格指数       →  4.65%
◆12月FHFA住宅価格指数          →  -1.1%
◆2月シカゴ購買部協会景気指数         →  43.6
◆2月リッチモンド連銀製造業景況指数      →  -16
◆2月コンファレンスボード消費者信頼感指数   →  102.9 


本日の注目イベント

◆豪   豪1月住宅建設許可件数
◆豪   豪10-12月期GDP
◆豪   1月消費者物価指数
◆中   2月中国製造業PMI
◆中   2月財新製造業PMI
◆独   独2月雇用統計
◆独   独2月消費者物価指数(速報値)
◆独   独2月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   2月ISM製造業景況指数
◆米   2月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米   2月自動車販売台数
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加


「波乱の2月を締めくくる」・・・ブルームバーグはそんな見出しを付け、2月最後
の取引となった昨日の金融市場を描写していました。ドル円は東京時間では極めて閑
散な取引でしたが、欧州市場が開くと、上昇を強め、昨日もこの欄で指摘した「38
.2%戻し」の水準をあっさり突破。
その流れからNYの朝方には136円92銭までドル高が進み、137円をうかがう
展開でしたが、その後にコンファレンス・ボード(CB)が発表した2月の消費者マ
インドで、センチメントが一変。ドルが下落に転じ135円73銭近辺まで押し戻さ
れています。
大きく下落したNY株もやや持ち直し、債券も買い戻され長期金利は前日比やや上昇
している状況です。

2月のCB消費者マインドは「102.9」と、前月の速報値「107.1」から大
きく低下していました。消費者信頼感の低下は、向こう6カ月の雇用や所得、ビジネ
ス環境に対する悲観の強まりを反映し、インフレは多くが予想していたよりも長期化
し、政策金利はさらに引き上げられるとの見通しを映し出しています。「悪いニュー
スは良いニュース」ということで、株式市場では買戻しが入り、一時3.98%台ま
で上昇した米長期金利は債券が買われたことで低下し、それにともなってドル円も高
値から1円を超える下落になりました。まさに「2月を締めくくる波乱の日」でした。

今年1月に就任したシカゴ連銀のグールズビー総裁は初めての公式なスピーチを行い
ました。総裁は「経済指標は遅行するため、ニュースへの投資家の即座の反応に頼り
たくなるものだ」と指摘し、ただ、「政策当局者が市場の反応に頼りすぎるのは危険
であり間違いだ」
と述べ、「われわれの仕事は結局のところ、実体経済の動向で判断される」と付け加
えています。(ブルームバーグ)
グールズビー氏は53歳で、イェール大学出身でその後MITで経済学博士号を取得
しており、次期日銀総裁に指名された植田氏と同じような経済学者です。同総裁は「
ハト派」とみられており、昨日の発言とも整合しているように思えます。

今日から3月です。東京地方は今日も4月を想わせる暖かい日になりそうですが、今
月は日米欧で金融政策会合があります。
2月に続いて「波乱の3月」になる可能性もありそうです。
今月9-10日にはFRB、ECBに先行する形で日銀の決定会合があります。
特に今会合は、黒田氏にとって「最後の会合」となり、その決定内容が注目されてい
ます。
一部には「YCCの変更を行い、植田体制へのビッグプレゼントを行う」との見方も
あるようですが、その可能性は低いとみています。
ただ、サプライズが好きだといわれている黒田氏です。「最後のサプライズ」にも一
応警戒する必要はありそうです。

ドル円は上昇後に売られましたが、「38.2%戻し」は達成しています。
次のターゲットは「半値戻し」ということになり、139円58銭辺りなります。
「139円台半ばから140円」という水準が、結局は大きな壁かと思いますが、こ
こを抜けるようだと、相場観の修正も必要と考えています。
ただ、昨日の動きにあったように、「米インフレは依然として低下傾向にある」こと
が確認されるようなデータが出ると、一気に円高に振れるリスクはこの先さらに高ま
りそうです。

本日のドル円は135円~137円と昨日と同様のレンジを予想します。


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