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米1-3月期GDPは1.1% 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆欧州市場では上値が重く133円台前半まで売られた
ドル円はNYでは反発。株価が大きく上昇し、金利高も
あり134円20銭までドルが買われた。
◆ユーロドルは小幅に反落。ドル高の流れが強まり、
ユーロ売りが優勢となり1.1を割り込む。
◆株式市場は3指数が久しぶりに揃って大幅高に。ハイテク銘柄の
決算が好調だったことがセンチメントを一変。ダウは524ドル上げ、
ナスダックは287ポイント上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.52%台に上昇。
◆金と原油は小幅に買われる。


◆1-3月GDP(速報値)     →  1.1%
◆ 新規失業保険申請件数      →  23.0万件
◆3月中古住宅販売成約件数     →  -5.2%

本日の注目イベント

◆豪   豪第1四半期生産者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   植田日銀総裁記者会見
◆日   3月失業率
◆日  4月東京都区部消費者物価指数
◆日   3月鉱工業生産
◆独   独4月失業率
◆独   独1-3月期GDP(速報値)
◆独   独4月消費者物価指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏1-3月期GDP(速報値)
◆米   1-3月雇用コスト指数
◆米   3月個人所得
◆米   3月個人支出
◆米 3月PCEデフレータ(前月比)
◆米 3月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 3月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 3月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   4月シカゴ購買部協会景気指数
◆米   4月ミシガン大学消費者マインド(確報値)
◆米  企業決算 → エクソンモービル、シェブロン

米国の第一四半期GDP速報値は前期比年率「1.1%」増と、前期の「2.6%」
から伸びが大きく減速していました。ただGDPの7割を占めると言われる個人消費
は好調で、前期の「1.0%」から「3.7%」と伸びが増加しており、インフレに
対する強弱の結果が示されました。来週の会合で0.25ポイントの利上げを行うと
いう見方は動きませんが、パウエル議長にとっては「綱わたり」の状況が続き、難し
い判断が迫られます。ドル円は上値が重く、東京から欧州市場にかけてじり安が続き
ましたが、NYでは「リスクオン」が強まり流れが一変。133円台前半から134
円20銭までドルが買われ、約1円ドル高が進みました。
経済指標では利上げ継続と、据え置きといった結果が示されましたが、NY株の大幅
高が「リスクオン」のドライバーとなり円を売る動きが加速しました。
NY株式市場ではアマゾンなどのハイテク株の決算が好調だったことで、市場全体の
センチメントを好転させ、全面高で取引を終えています。
ドル円は結局上も下も抜け切れない形で、短期的なレンジ内の動きに収まり、本日の
日銀決定会合を迎えることになりました。

その決定会合ですが、イールドカーブ・コントロール(YCC)を含む現行の金融緩
和政策の継続が決定されると見込まれています。
議論の紛糾もないと思われるため、早ければ10時半過ぎに、遅くとも午前中には結
果が発表されると予想しています。
今回の「植田執行部」の初会合では政策の修正、変更は見込まれていませんが、多く
のエコノミストはそう遠くないタイミングで「何らかの動き」はあると予想していま
す。
ブルームバーグがエコノミスト45人に行った調査では、「政策金利のフォワードガ
イダンスの修正」が62%、「YCCの廃止」が53%、「長期金利の許容変動幅の
再拡大」が49%と上位を占め、「短期金利の引き上げ」は24%(複数回答可)と
、今後修正、変更があったとしても最も可能性が低い分野と予想されています。日本
のインフレ率もピークから下がったとはいえ、足元では「3.2%」です。
黒田前総裁は昨年、「インフレは夏場までに1.5%程度まで低下する」と明言して
いました。植田総裁も今週国会で、「輸入物価の前年比もプラス幅が着実に縮小して
おります。そのためこうしたコストプッシュ要因の影響が減衰していくというふうに
みております。こうしたもとで、消費者物価も前年比は今年度後半にかけて、2%を
下回る水準までプラス幅が縮小していくというふうに、現在見てございます」と述べ
ており、これが金融緩和を直ぐに止めない理由の一つになっています。
日本の実質金利はマイナス3%ほどと、国民の生活には「強力な逆風」が吹いている
のが現状です。今春闘では大幅な賃上げが予想されてはいますが、それも政府の要請
を受けた大企業止まりの印象があります。この調査結果を見る限り、預金金利が大き
く上がるのはまだまだ先のようです。

今朝8時半に発表された「4月東京都区部消費者物価指数」は「3.5%」と、市場
予想の「3.3%」を上回り、3月の「3.3%」をも上回っていました。
またコア指数も「3.5%」と、コアコアでも「3.8%」と、いずれも予想を上回
っていました。
全国のCPIは5月19日に発表されますが、ひょっとしたら3月の「3.2%」を
上回る上昇に向かい、植田日銀が「外堀を埋められる」可能性もないとは言えません。

本日のドル円は132円50銭~134円50銭程度を予想します。


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ユーロドル続伸し1.12に迫る 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • 米国株の下げに引っ張られる形でドル円は売られ、133円02銭前後まで下落。その後は耐久財受注が上振れ、米金利が上昇したことで133円台後半まで値を戻す。

  • ユーロドルは再び上昇し、2022年3月以来となる1.1096までユーロ高が進む。仏、独の消費者マインドが好転したことが材料に。

  • 株式市場はまちまち。マイクロソフトなど大型ハイテク株が買われ、ナスダックは55ポイント高。一方ダウとS&P500は下げる。

  • 債券は反落。長期金利は3.44%台に上昇。

  • 金は売られ、原油は大幅に続落。

本日の注目イベント

  • 豪   1-3月四半期輸入物価指数
  • 日  2月景気先行指数(CI)(改定値)
  • トルコ 中銀政策金利発表
  • 欧   ユーロ圏4月景況感指数
  • 欧   ユーロ圏4月消費者信頼感(確定値)
  • 米   1-3月GDP(速報値)
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   3月中古住宅販売成約件数
  • 米  企業決算 → キャタピラー、メルク、イーライリリー、インテル

NY株式市場ではファースト・リパブリック・バンク株が前日に続き売られ、米地銀に対する不安が依然続いていることから「リスクオフ」の流れが金融市場全体を覆っている状況です。同行の株は一時41%安となり、上場来安値を記録したようです。ドル円でもドル売りが強まり、133円割れを試す水準まで下げています。市場では来週のFOMC会合での「政策金利据え置き」観測も一部に出たようですが、大勢では「0.25ポイントの利上げ」観測は揺るがないといったところです。ただ、この状況が今後も続くようだと、FRBも再び「インフレ退治と信用不安の払拭」との板挟みになり、今後の政策の行方に影響を及ぼす可能性もあるかもしれません。パウエル議長の会見での発言がますます注目されることになります。

中国の習近平国家主席とウクライナのゼレンスキー大統領が電話会談を行いました。会談は昨年2月にロシアによる侵攻があって以来初めてです。会談は1時間余り続いたようで、中国外務省は「公平なやり方で平和協議を実現することに中国は全力を傾けている」との談話を発表し、ウクライナに特別代表団を送ることを決めています。ゼレンスキー大統領は会談後、「駐中国ウクライナ大使の任命とともに、この電話会談は二国間関係を発展させる強力な推進力になるだろう」とツイートしています。ウクライナは、欧米などから戦車など強力な兵器を提供されたこともあり、領土奪回を目指し大規模な攻撃に打って出るとの見方もあります。中国の仲介が早期の停戦につながることを期待したいところです。

2024年の大統領選への出馬を表明したバイデン大統領はホワイトハウスで韓国の尹大統領と首脳会談を行いました。会談後の共同記者会見では、「(核兵器による攻撃は)容認できず、そうした攻撃を行う体制は終わりを迎えるだろう」と語り、北朝鮮が米国や同盟国に核攻撃を行えば、金正恩朝鮮労働党総書記の下での体制は終わることを強調していました。米国はこの日、核兵器と通常戦力で韓国の防衛に関与する「拡大抑止」の強化を発表し、戦略原子力潜水艦を韓国に派遣することを発表しています。(ブルームバーグ)

本日から日銀は、「植田執行部」としては初となる金融政策決定会合を開催し、明日にはその結果を発表します。会合を控えている割りはドル円の動きは活発で、昨日のNYでも1円近い値幅で動いています。ユーロドルも1.12近くまで上昇し、1年1カ月ぶりの高値を付けています。ユーロドルでは明らか「ドル安・ユーロ高」が確認できますが、ドル円では円が売られ易い状況になっています。ただ、ユーロドルがさらに上昇するようだと、ドル売りの流れがドル円にも波及する可能性は十分ありそうです。ドル円は、日足チャートでは短期的な「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を描くことができます。3月8日の137円92銭を起点としたレジスタンスラインと、3月24日の129円64銭を起点としたサポートラインを2辺にすると、本日はレジスタンスが134円60銭前後となり、サポートは132円57銭前後になります。「三角保ち合い」は右端にある頂点に向って値幅を収斂させていき、どちらかに抜けたら、抜けた方向に大きく動くとされています。まだ上下とも値幅はありますが、GW中には抜ける可能性もあり、この点はしっかりと確認したいところです。

本日のドル円は132円60銭~134円程度を予想します。

ユーロ円146円台に反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は反落。金融不安が再燃し消費者マインドも低下した
ことで、金利が低下。ドル円は133円36銭まで下落。
◆ユ-ロドルも小幅に下落。ドイツ国債の金利低下もあり、
ユーロ円を利益確定する動きがユーロを押し下げた。
◆株式市場は3指数が大幅下落。金融セクターの下げが加速し、
全面安の展開に。S&P500は65ポイント下げ、ダウは344ドル安。
◆債券は続伸。長期金利は3.4%を割り込んだが同水準近辺で
引ける。
◆金は続伸し、原油は反落。

◆2月ケース・シラ-住宅価格指数        →  0.36%
◆2月FHFA住宅価格指数           →  0.5%
◆3月新築住宅販売件数             →  68.3万戸
◆4月リッチモンド連銀製造業景況指数      →  -10
◆4月コンファレンスボード消費者信頼感指数   →  101.3

本日の注目イベント

◆豪   豪3月消費者物価指数
◆豪   豪第1四半期消費者物価指数
◆独   独5月GFK消費者信頼調査
◆米   3月耐久財受注
◆米   米韓首脳会談(ワシントン)
◆米  企業決算 → ボーイング、メタ・プラットフォームズ


昨日の東京時間でも133円台に入ると直ぐに買われるなど、堅調に推移したドル円
でしたが、NYでは米金利が大きく低下したことで133円36銭辺りまで売られ、
10日ぶりに133円台前半の水準を付けています。
今週末には日銀の決定会合を控え、その後も重要イベントが続く中、動きは思った以
上に活発の様です。

昨日の本欄でも触れましたが、米ファースト・リパブリック・バンクの決算で想定を
超える資金流失があったことが明らかになり、同行の株価は昨日のマーケットで50
%の下落に見舞われています。
同行は保有する資産など500億ドル―1000億ドル(約6兆7000億円―13
兆4000億円)相当の資産売却を模索しているとブルームバーグは報じています。
ファースト・リパブリック・バンクの株価の急落が他の金融株の下落にもつながり、
下げは金融株だけにとどまらず、この日の市場は全面安の展開でした。マネーが株式
から債券に移り、金利が低下したことでドル円も大きく売られています。
昨日発表された4月のコンファレンスボードの消費者マインドでも市場予想を下回る
「101.3」と、昨年7月以来の低水準でした。

バイデン大統領は25日、2024年の大統領選への出馬を正式に表明しました。
バイデン氏はこれまでも出馬の意向を示唆する発言は行ってきましたが、この4月2
5日という、2年前に出馬宣言を行った同じ日を選んでの行動でした。
バイデン氏は、「われわれが直面している問題は、これから数年後にもっと自由にな
っているか、それとも自由でなくなっているかだ。私はどんな答えが望ましいか分か
っており、あなた方の場合もそうだと思う。今は自己満足の時ではない。それが再選
に向けて私が出馬する理由だ」とビデオで国民に訴えていました。メディアの調査に
よると、次期大統領選へのバイデン氏出馬に対して70%程の人が「反対」していま
す。理由は言うまでもなくバイデン氏の「年齢」です。
米国史上最高齢の大統領は、仮にもう一期務め上げれば「86歳」になり、これは米
国の男性平均寿命を10歳程上回ることになります。
米国大統領の激務は、日本の比ではないでしょう。それだけに体力的な懸念が常に付
きまといます。最近のバイデン氏の姿を見ても、就任当時に比べ明らかに「老けた」
と感じるのは筆者だけではないと思います。
トランプ政権発足以来、米国内の分断は深まったと言われています。今後米国をどの
ような方向に導いていくのか、リーダーシップが求められます。
また国外でも、ロシア、北朝鮮、台湾を巡る中国とどのように対峙していくのか。す
でに「米国は世界の警察ではない」と言われて久しいですが、やはり経済力、軍事力
では世界の頂点である米国の判断、行動、対応が大きく影響してきます。
「バイデン氏があと10歳若かったらなぁ」というのが率直な感想です。

基本的には「低調な経済指標の発表」は、米利上げ継続観測の後退につながり、ドル
円は下落し、株価は上昇するのがこれまでの動きです。
昨日はドル円は売られたものの、株価も大きく下げています。
上で述べたように、ファースト・リパブリック・バンクの決算発表が、信用不安を想
起させ、「まだ金融危機は終わっていない」との見方につながっています。
ただこの動きは、体力のない金融機関、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジ
メント)の構築されていない金融機関、あるいは盤石な経営基盤を持たない金融機関
が、FRBによる急激な金融引き締めにより「あぶり出された」結果であると考えて
います。
そのFRBによる引き締めも「終盤に近い」と見られ、この先余程のことがない限り
金融危機にはならないでしょう。
先ずは、日米欧の金融政策の結果を経て相場がどのように動くのかを確認したいと思
います。

本日のドル円は133円~134円50銭程度を予想します。


ユーロ円、2014年12月以来の148円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は引き続き堅調に推移。経済指標やFOMC
メンバーの発言もない中、朝方には134円72銭まで上昇
したがその後はじり安の流れに。
◆ユーロドルは1.10台を回復し、1.1050まで
ユーロ高が進む。ベルギー国立銀行総裁の利上げ継続発言や
独ifo景況感指数が好調だったことが背景。ユーロは対円でも
148円47銭まで買われ、およそ8年半ぶりの高値を記録。
◆株式市場は小動きの中まちまちの展開。ダウとS&P500は
小幅に上昇し、ナスダックは下落。
◆債券は反発。長期金利は3.49%台に上昇。
◆金と原油は上昇。

本日の注目イベント

◆米   2月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   2月FHFA住宅価格指数
◆米   3月新築住宅販売件数
◆米   4月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   4月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米  企業決算 → ペプシコ、UPS、GM、3M、アルファベット、ベライゾン、VISA、マイクロソフト


ドル円は134円台で推移し、欧州市場の流れを受けたNYでは134円72銭
まで買われています。日米欧の金融会合を控え、昨日は経済指標の発表もない上
に、ブラックアウト期間に入ったことで、FOMCメンバーによる講演もない中
、緩やかに上昇しましたが、その流れは続きませんでした。
ドル円で円安が進んだというより、クロス円の買いが円売りにつながったような
動きでした。ユーロ円は148円47銭近辺まで買われ、2014年12月以来
、実に8年半ぶりの高値を付けています。
「ドル弱気のモメンタムや1-3月期のユーロ圏の景気回復を踏まえれば、日銀
の現状維持で最も恩恵を受けるのはユーロ円のロングだ」といった、ソシエテ・
ジェネラルのリポートも効いたようです。
ドル円ではドル高が進むものの、ユーロドルでは明らかにドル安が進んでいるこ
とから、足元ではユーロが最も強く、円が最も弱い通貨になっています。

経営危機に陥り、UBSに買収されたクレディスイス・グループでは、1-3月
期に612億スイス・フラン(約9兆2000億円)の資金が流出したと報じら
れています。
特に多くのスイス系銀行が得意とし、富裕層に特化した「ウェルスマネジメント
部門」からの資金流出が多く、この部門では471億スイス・フランが同行を見
限ったようです。
UBSの買収後はやや落ち着きを取り戻し、資金流出は緩やかになったものの、
依然続いていると報告されています。
この動きは米国でも見られます。
米銀ファースト・リパブリック・バンクは24日、「前例のない資金流出」に対
応するため、人員削減やバランスシートの縮小を目指す、戦略的選択肢を検討し
ていることを発表しました。
同行については、複数の大手米銀が財務基盤を安定させるため3月半ばに約30
00億ドル(約4兆円)を同行に預け入れた経緯がありますが、資金流出に歯止
めがかかっていないようです。これを受け同行の株価は、通常時間終了後の時間
外取引で一時20%余り下げています。(ブルームバーグ)
先週来日した世界最大の資産運用会社である「ブラックストーン」のシュワルツ
マンCEOがインタビューで、「今後さらに米地銀がつぶれる可能性はある」と
述べていたことが思い出されます。
「一旦信用を無くすと、顧客から見向きもされなくなる」、金融機関にとっての
経営の根幹はやはり「信用」ということのようです。

今週末にかけて開催される「植田日銀」の新執行部は、YCCを含めた現状の金
融政策の継続を決定すると見られます。
米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発した海外の不確実性は、上述の
ように依然くすぶっているのが現状です。債券市場の機能を阻害させているとの
批判はあるものの、今会合では「現状維持」が見込まれています
焦点は会合後の植田総裁の発言と、日銀のインフレ見通しに絞られそうです。

本日のドル円は133円40銭~134円90銭程度を予想します。


米4月のPMIは予想を上回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆朝方には133円台半ばで推移していたドル円は上昇。
4月のPMIが全て市場予想を上回っていたことがドル買いに。
134円49銭までドルは反発したが、勢いはなく134円台前半で
取引を終える。
◆ユーロドルは1.1台手前から反落。1.0943前後まで
売られるが底堅く推移。
◆株式市場では3指数が小幅ながら揃って上昇。P&Gが上昇をけん引
する形でダウは22ドル高。
◆債券は反落。長期金利は3.57%台に上昇。
◆金は大きく売られ2000ドルの大台を割り込む。
原油は小幅高。

◆4月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)       →  50.4
◆4月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)     →  53.7
◆4月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)    →  53.5

本日の注目イベント

◆独   独4月ifo景況感指数
◆米  企業決算 → コカ・コーラ

ドル円もユーロドルも、一進一退の動きが続いています。
ドル円は132円台半ば~134円台で推移し、ユーロドルは1.09台でのもみ合
いです。日本がGWを前にしていることや,週末にはFRBとECBに先行する形で
日銀が金融政策決定会合を開きます。また、来週2-3日にはFOMCが開催され、
翌日4日はECB理事会が開催され、政策金利に動きが出ることもあり、市場はそれ
らを前に動けないといった状況です。

やはり注目はFOMCです。
今回の会合では0.25ポイントの利上げが見込まれており、その可能性が高いと考
えていますが、問題はそれ以降の会合で「利上げを一旦休止する」のかどうかといっ
た点です。
先週末に発表された4月のPMIもそうでしたが、ここに来て発表される経済指標が
予想から上振れる結果が多くなったのが気になります。
4月のPMIでは製造業、サービス業、さらに総合でも全て市場予想を上回る結果で
した。
先週はミシガン大学消費者マインド速報値が予想を上回り、NY連銀製造業景況感指
数に至っては、「マイナス18.0」の予想に対して「プラス10.8」と、大きく
上振れていました。
これらがFRBが利上げを継続するとの見方につながり、米金利を押し上げドル円を
支えている構図です。
一方で、労働市場にはやや弱い指標も表れており、強弱まちまちの中での今回のFO
MC会合です。
またFOMCメンバーの中にも、利上げを一旦休止すべきといったハト派寄りの委員
も出てきました。仮に0.25ポイントの利上げが決められたとしても、その後の会
見でパウエル議長がどのような言葉を発するのか注目されます。

ドル円を支えるもう一つの要因に、日銀のYCCを含む金融政策変更に対する期待の
後退が挙げられます。植田新総裁が、これまで政策の副作用を認めながらも、「大規
模な金融政策は適当だ」といった認識を示したことが、タカ派観測にブレイキをかけ
ています。
ただそれでも政策修正観測は根強く、夏ごろまでには何らかの修正が行われるとの意
見も多いようです。今週の会合で、「日銀は物価見通しを引き上げる検討に入った」
との報道もあり、これも早期の修正観測をサポートしています。
今朝配信された記事の中には、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは「日銀
が向こう数カ月で超緩和的な政策姿勢の調整を検討する」と見込んでおり、「やや根
比べではあるが、以外に早く、6月か7月に日銀は少し政策を調整するはずだと、当
社は考えている」との見解を発表しています。こういった見方は決してマイナーでは
なく、エコノミストやストラテジストの中には、
「だから円高に振れる可能性がある」、と予想している向きも少なくはありません。
筆者もこちらの立場を支持しています。
日銀の金融政策決定会合の今週以降の予定は、6月と7月に会合が開かれ、8月はな
くて、その次は9月になります。

本日のドル円は133円30銭~134円80銭程度を予想します。


WTI原油価格77ドルを割り込む 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は終始134円台で推移。東京時間には134円97銭まで
買われる場面もあったが続かず。NYでは低調な経済指標を手がかりに
長期金利が低下したことで、134円01銭まで売られる。
◆ユーロドルはECB議事要旨が利上げ継続を示唆していたことで上昇。
1.0990までユーロが買われる。
◆株式市場は3指数が下落。テスラが約10%売られ、全体の
センチメントを悪化させる。ダウは110ドル下げS&P500
も24ポイント下げる。
◆債券は反発。長期金利は3.53%台に低下。
◆金は反発し、原油は続落。

◆新規失業保険申請件数          →  24.5万件
◆4月フィラデルフィア連銀景況指数    →  -31.3
◆3月中古住宅販売件数          →  444万件
◆3月景気先行指標総合指数        →  -1.2%

本日の注目イベント

◆日  3月消費者物価指数
◆独   独4月サービス業PMI(速報値)
◆独   独4月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏4月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏4月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏4月総合PMI(速報値)
◆英   英3月小売売上高
◆英   英4月製造業PMI(速報値)
◆英   英4月サービス業PMI(速報値)
◆米   4月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米   4月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米   4月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)
◆米   クック・FRB理事講演
◆米  企業決算 → P&G
◆加   カナダ2月小売売上高

ドル円は引き続き底堅い動きを見せるものの、米景気の先行きに対する懸念
から株価が下げ、これが上値を抑える動きとなっています。
昨日も東京時間ではドル買いが優勢で135円手前まで上昇しましたが、1
35円には届かず。NYでは逆にドル売りが優勢な展開でした。
もっとも、東京時間でドルが買われたのは、2022年の貿易赤字が21兆
7284億円と、比較可能な1979年度以降で最大の赤字額を記録したこ
とが影響したものと思われます。
輸出は伸びているものの、円安が進んだわりには伸びが前年度比15.5%
で、輸入の方は資源価格の上昇をもろに反映して32.2%増でした。
これで2年連続の大幅赤字ですが、資源価格の低下が見込めない以上、今後
も赤字が続くと思われ、潜在的なドル需要につながると見られます。

原油価格は今月初めに「OPECプラス」が突然減産を発表したことで急騰
し、3日にはこの日だけで8%を超える上昇を見せ、81ドル台後半まで買
われました。その後は落ち着きを取り戻し、今週は再び下落基調に戻ってい
ます。
世界景気の減速観測で原油消費量が減るとの見方から昨日のWTI原油価格
は一時76ドル97セントまで売られ、減産発表前の水準に近づいています。
日本の貿易赤字が定着するようだと、その多くを原油が占めることから、今
後は原油価格の推移にもこれまで以上に視線が注がれる可能性もありそうで
す。

バイデン大統領は来月19日から開催されるG7を前に対中投資抑制策を公
表しました。
その中身は、半導体やAI、量子コンピューティングなど、米国企業が主導
的な役割を果たす分野の投資に的を絞り、ベンチャーキャピタルやプライベ
ートエクイティー(PE)、特定の技術移転や合弁企業も対象に含まれるよ
うで、バイデン氏は数週間以内に大統領令に署名する意向を示しています。
米国は対中経済措置を数年がかりで相次ぎ打ち出していましたが、ブルーム
バーグは「この大統領令で新たな局面に入る」と論評しています。
イエレン財務長官も20日の講演で、「米国は中国の発展を抑え込む取り組
みではなく、安全保障上の理由で抑制措置を課す方針だ」と主張しています。

連日多くのFOMCメンバーが講演を行っており、およそ2週間後に迫った
FOMC会合でどの様な決定がなされるのかを探る展開が続いています。
クリーブランド連銀のメスター総裁は20日オハイオ州での講演で、「フェ
デラルファンド(FF)金利を現行水準から厳密にどの程度引き上げる必要
があり、金融政策をどの程度長期にわたって景気抑制的に維持する必要があ
るかは、経済と金融の動向次第になる」と述べ、「われわれは引き締め過程
の始めより、終わりに近い。一段の引き締めがどの程度必要かどうかは、経
済と金融の動向、および米金融当局の金融政策目標に対する進展度合いによ
るだろう」と、中立的な発言をしましたがメスター総裁は先に、もう一度の
利上げを支持する発言を行っています。
ダラス連銀のローガン総裁も20日のイベントでの講演で、金融政策には言
及しなかったものの、「明らかなように、インフレはかなり高すぎる水準に
ある」と述べ、同じく同イベントに参加したボウマンFRB理事も「米金融
当局はこのところインフレ抑制に重点を置いている。これは経済成長と所得
増を支えようとするなら不可欠だ」と語っています。

本日のドル円は133円30銭~134円80銭程度を予想します。


ドル円、欧州市場で135円台を付ける 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆底堅く推移するドル円は東京時間に134円台後半まで
買われ、欧州時間には135円13銭までドル高が進む。
英3月のCPIが依然2桁の伸びだったことからFRBの
利上げ継続観測が台頭。ドルを押し上げたがNYでは反落。
◆ユーロドルは1.09台で推移。英CPIの高止まりから
ユーロも底堅く推移。
◆NY株式市場は3指数の明暗が前日と真逆となり、ダウと
S&P500は下げ、ナスダックが上昇。
◆債券は小幅に反落し、長期金利は3.59%台に。
◆金と原油は揃って下落。

本日の注目イベント

◆日   3月貿易統計
◆独   独3月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏4月消費者信頼感指数
◆欧   ECB議事要旨(3月会合分)
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   4月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   3月中古住宅販売件数
◆米   3月景気先行指標総合指数
◆米   ウォラーFRB理事講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   ボウマン・FRB理事、イベントで挨拶
◆米  企業決算 →アメックス、AT&T、ブラックストーン

前日のNYで133円台後半まで売られたドル円は、昨日の東京市場では底堅
く推移し134円台後半まで上昇。欧州市場では英国の3月の消費者物価指数
(CPI)が「10.1%」と、先月よりは鈍化していたものの、依然として
2桁の伸びを示したことで、「米国のインフレも今後順調には鈍化しない」と
の見方にもつながりドル買いを促しました。「英国のインフレの高止まりは、
世界的なインフレの根強さを示唆している」といった声も聞かれました。
英国の3月のCPIは市場予想の「9.8%」を超え、2桁台まで上昇してお
り、特に食品は40年ぶりの大幅な上昇でした。
イングランド銀行(BOE)が急ピッチで進めてきた利上げサイクルはまだ
続き、追加利上げを継続するとの見方が高まり、これが米国にも波及した格好
です。
ドル円は3月10日以来となる135円13銭まで上昇しました。
ただNYでは株価が下げたこともありドル売りが優勢となって、134円台前
半まで売られており、荒っぽい動きとなっています。

もう一つドル円を押し上げた理由として考えられるのが、植田新執行部が来週
27-28日に開催する政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(Y
CC)政策を修正することへの慎重な意見が行内で広がっているといった記事
をブルームバーグが配信したことも挙げられそうです。
植田総裁は4月10日の就任会見では、これまでの大規模な金融緩和の「副作
用」を認めつつも、「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策と、マイ
ナス金利政策は、いずれも継続が適当」との考えを示しました。しかし、それ
でも市場は「7月会合辺りまでには何らか修正が行われる」との観測が根強く
、これがドル円の上値を抑えることに一役かっていた可能性もあります。
ブルームバーグによると「足元では米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破
綻に端を発した米欧の金融不安を背景に海外経済の不確実性が増しており、副
作用への対応でもYCC政策を修正するリスクは大きいといった見方が日銀内
で多い」とその理由を挙げています。
ドル円は10日の植田総裁の「適当」発言でも、132円台前から133円台
後半までドル高が進んだ経緯があり、来週の会合で金融政策の修正がさらに後
ずれするような印象を残すようだと、もう一段ドル高が進む可能性もないとは
言えません。

地区連銀経済報告(ベージュブック)が公開されました。
今回のベージュブックは、SVBが破綻し金融セクター全体に悪影響が広がる
との懸念が強まって以来、初めての「ベージュブック」であったことからその
内容が注目されていました。
今回の報告では12地区連銀が4月10日までに集めた情報をリッチモンド連
銀がまとめたものだそうです。
報告では、「全体的な経済活動はここ数週間にほとんど変わらなかった。不確
実性の高まりと流動性を巡る懸念を背景に、銀行が融資基準を厳格化したと指
摘する地区連銀が数行あった」と記述されています。
さらに、「この期間に全体的な物価水準は緩やかに上昇したが、物価上昇率は
鈍化したようだ」と分析しています。
個人消費については「総じて横ばい、ないし若干減少」とし、労働市場につい
ては「逼迫緩和の兆候を示した」としています。

ドル円は135円13銭まで上昇したことで、日足では一旦は「雲」を上抜け
したものの、その後134円台前半まで戻されているため、抜けたかどうかの
判断は微妙な状況です。またこの先「雲」が右下方に移動することから、さら
にドル高が進まずとも、足元の水準が維持されるだけで「雲抜け」が完成しま
すが、形としては不完全といえるでしょう。
仮に再度ドルが上昇して135円台を固める動きになれば、次のターゲットは
137円17銭前後とみています。

本日のドル円は134円~135円50銭程度を予想します。


ドル円134円台後半から反落 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間に134円71銭近辺まで上昇したが、
NYでは売りに押され、133円台後半まで反落。
◆ユーロドルも東京時間から買われたが1.10台には
届かず。
◆株式市場は3指数ともほぼ横ばい。ナスダックは小幅に上昇
したが、他の2指数は小幅安。
◆債券は反発。長期金利はやや低下し3.57%台に。
◆金は3日ぶりに反発。原油はほぼ変わらず。

◆3月住宅着工件数    → 142.0万件
◆3月建設許可件数    → 141.3万件

本日の注目イベント

◆日   2月鉱工業生産(確定値)
◆英   英3月消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏2月経常収支
◆欧   ユーロ圏3月消費者物価指数(改定値)
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   グールズビー・シカゴ連銀総裁、インタビュー
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
◆米  企業決算 → モルガンスタンレー、IBM、アルコア、テスラ
◆加   カナダ3月住宅着工件数


ドル円は昨日の東京市場で134円71銭前後まで上昇したこともあり、
海外市場では「135円テスト」の期待も膨らみましたが、NYでは上値
が重く、米長期金利の低下に伴って133円台後半まで押し戻される展開
でした。
まだ「135円テスト」の可能性は消えてはいませんが、このままずるず
ると下げるようだと、結局足元のレンジを抜け切れずに元の鞘に戻ること
になります。今朝の日経新聞でも「円相場、強まる膠着感」といった見出
しで、「輸入企業のドル買い・円売り圧力が強いこともあり、円の理論値
は貿易赤字の定着などを背景に現時点での円相場に接近しており、緩やか
な円安は日本の競争力低下も映している」と論じています。

5月のFOMC会合まであと2週間となりましたが、現時点では「0.2
5ポイントの利上げ」は動かないものと思います。今後の指標や環境次第
では「利上げ見送り」の可能性はあるとしても、「0.5ポイントの利上
げ」の可能性はまずないと考えます。
タカ派の筆頭であるセントルイス連銀総裁のブラード総裁はロイター通信
とのインタビューで、「ウォール街では今後6カ月程度で景気がリセッシ
ョンに陥るとの見方が非常に強いが、そうした見方はこのような景気拡大
を読む上であまり適切ではない」と述べています。また、「市場は近い将
来利下げを予想しているかもしれないが、労働市場は力強い」と指摘して
います。
ブラード氏は今年のFOMCでの投票権は持っていませんが、「5.5-
5.75%までの利上げを支持」しており、3月のFOMC後に公表され
た2023年末の予想中央値である「5.1%」と比較すると、相当タカ
派寄りの見方を維持しています。

ブラード総裁とは異なり、ハト派寄りの見方を示したのがアトランタ連銀
のポスティック総裁でした。
同総裁はCNBCとのインタビューで、「政策金利をあと1回引き上げて
5%超とし、高すぎるインフレを抑えるためその水準でしばらく据え置く
ことを支持する」と語っています。
ポスティック氏も今年のFOMCでは投票権を有していませんが、上記ド
ットプロットが示した予想中央値とは一致しています。
このように、FOMCメンバーの中でもインフレに対する現状認識が異な
っており、次回会合後のパウエル議長の発言がより注目される一因にもな
っています。

ブルームバーグによると、数カ月中に中国を訪問する予定のイエレン財務
長官は20日午前にジョンズ・ホプキンス大学でスピーチを行うようです
。米中関係は最近急速に悪化しており、両国間の貿易額が過去最高を更新
しているにもかかわらず、双方が相手国を戦略的・経済的に最大の脅威と
位置付ける状況になっています。
こうした中、イエレン長官は「中国との二国間関係において、米国が自国
経済の持続的な根本的強さを確信して前進していることを強調する」と見
られています。

本日のドル円は133円~134円80銭程度を予想します。


ドル円およそ1カ月ぶりに134円台半ばに 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続伸し134円57銭まで上昇し、およそ1カ月ぶりの
高値を付ける。経済指標が大きく上振れし、米長期金利が上昇した
ことでドルが買われた。
◆ユーロドルでもドル買いが優勢となり1.10台を割り込む。
1.0909近辺まで利益確定のユーロ売りに押される。
◆株式市場は軟調な展開ながら、3指数は取引終盤にかけて上昇。
ダウは100ドル上げ、S&P500は13ポイントの上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.60%台へと上昇。
◆金は続落し、原油は反落。

◆4月NY連銀製造業景況指数     →  10.8
◆4月NAHB住宅市場指数      →  45

本日の注目イベント

◆豪   RBA議事録
◆中   1-3月GDP
◆中   中国3月小売売上高
◆中   中国3月鉱工業生産
◆独   独4月ZEW景気期待指数
◆欧   ユーロ圏2月貿易収支
◆英   英3月失業率
◆米   3月住宅着工件数
◆米   3月建設許可件数
◆米   ボウマン・FRB理事講演 
◆米  企業決算 → BofA、J&J、ロッキード、ゴールドマン、ネットフリックス

ここ2週間ほどの米経済指標は、強弱入り混じった結果が確認され、これが相場を
上にも下にも動かす原動力になっています。昨日のNYでは「4月のNY連銀製造
業景況感指数」が大きく予想を上回ったことで、米長期金利が上昇。ドル円は13
4円台に乗せ、一時は134円57銭まで買われ、3月15日以来となるドル高を
記録しました。筆者はこの先ドルが下落する展開を依然として維持していますが、
昨日のコメントでは「134円台半ばをしっかりと超えることが出来れば、もう一
段ドルが上昇する余地もありそうですが、まだそれで上昇トレンド入りしたとは判
断できないと考えます」とのコメントを残しましたが、経済指標の上振れでその可
能性が高まったようです。(参照:4月17日付け、今週のレンジ予想)

「4月のNY連銀製造業景況感指数」は「プラス10.8」と、先月の「-24.
6」から35ポイント余り上昇しました。市場予想も「-18」と経済活動の縮小
を見込んでいましたが、5カ月ぶりの拡大でした。
縮小か拡大かは「ゼロ」が境目で、今回はプラス圏に入り急拡大したことになりま
す。項目別では需要を示す指数が大きく改善しており、特に新規受注の指数は過去
最大の「46.8ポイント」の上昇となり、出荷の指数も「37ポイント余り」上
昇しています。ややサプライズであったと言えます。
また昨日発表された指標では、「住宅市場」にも変化が表れた可能性があります。
全米ホームビルダー協会(NAHB)が発表した「4月の住宅市場指数」は4カ月
連続の改善となる「45」でした。
活動の拡大を示す「50」には届いていませんが、同指数は1月の「35」から、
「42」、「44」と確実に改善傾向を示しています。FRBの連続利上げで住宅
ローン金利は依然として高水準ですが、住宅用不動産市場が緩やかに回復している
可能性があります。
NAHBのチーフエコノミストは、「現在のところ住宅在庫の3分の1が新築物件
だ。従来は10%を若干上回る程度が普通だったが、新築物件を求める人が増えて
いる」とし、「それが年初からの新築住宅販売を支えている」と分析しています。
(ブルームバーグ)今後の住宅関連指標にも注意したいと思います。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は17日の討論会で、「インフレがわれわれの目
標まで戻ることを示すさらなる証拠を私は見たい」と述べ、現行の政策金利水準が
米経済の一部を害する恐れがあるのではないかとの質問に「米経済は現行の金利水
準で問題なく機能する」と答えています。また落ち着きを取り戻した金融不安につ
いても、「現在の状況を見てかなり安心しているが、勝利宣言には時期尚早だ」と
述べています。

ドル円は134円台半ばまで続伸していますが、ここからが正念場です。
日足チャートでは「雲の上限」が134円75銭前後にあり、ここをしっかりと抜
ければ135円テストというシナリオも出てきそうです。
134円台半ばから135円にかけては実需筋のドル売り注文も集まり易いと思い
ますが、それらをこなして上昇できるかどうかです。

本日のドル円は133円50銭~135円50銭程度を予想します。


ドル円再び反発し133円台後半に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は上昇。ミシガン大学消費者マインドが市場予想を
上回ったほか、FOMCメンバーのタカ派的な発言が支えとなり、
133円84銭まで反発し、この日の値圏で越週。
◆ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。1.1074まで
上昇する場面もあり、やや高値を切り上げる。
◆株式市場は3指数が揃って反落。利上げ観測がやや高まり
リスク資産が売られた。
◆債券も売られ、長期金利は3.51%台に上昇。
◆金は4日ぶりに大幅反落。原油は小幅高。

◆3月小売売上高                  →  -1.0%
◆3月輸入物価指数                 →  -0.6%
◆3月輸出物価指数                 →  -0.3%
◆3月鉱工業生産                  →   0.4%
◆3月設備稼働率                  →   79.8%
◆4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)     →   63.5 

本日の注目イベント

◆米   4月NY連銀製造業景況指数
◆米   4月NAHB住宅市場指数
◆米  企業決算 → チャールズ・シュワブ


3月のCPIが予想を下回り、その後発表された3月のPPIも予想を下回
ったことを受け、ドル円は前日まで売られていましたが一転上昇に向かい、
先週末のNYでは133円84銭まで反発しています。
足元のドル円は明確な方向感を見せず、大きくは130-135円、もっと
狭めれば132-134円のレンジ内で推移しています。
5月のFOMCでは0.25ポイントの利上げが有力かとは思いますが、こ
の内容もやや影響力を失いつつあるようで、市場はその先の材料に目を向け
始めているようです。
「5月会合で利上げを行い、その後は一旦利上げを停止し、それまでの利上
げの効果を見極めるスタンスに移行するのかどうか」あるいは、「米景気が
本当にリセッションに入るのかどうか」といった点です。

4月のミシガン大学消費者マインド速報値は、市場予想を上回る「63.5
」と、1年先のインフレ期待はおよそ2年ぶりの大幅高となりました。
この結果を受けて、米金利が上昇しましたが、加えてFOMCメンバーのタ
カ派的な発言がドルを押し上げています。ウォラーFRB理事は14日テキ
サス州の講演で、「金融環境が著しく引き締まっていないため、労働市場は
引き続き力強くかなりタイトになっている。インフレ率は目標を大きく上回
っており、金融政策をさらに引き締める必要がある」
と述べ、「どこまで先に進むのかの判断は、インフレ、実体経済、信用状況
の引き締まりの程度に関する今後のデータに左右される」と指摘。ウォラー
理事はさらに、「需要が減速する兆候は歓迎するが、それが表れ、インフレ
率が目標の2%に向けて有意かつ持続的に低下するのを見るまで、やるべき
ことはまだあると考えている」と続け、3月のCPIでは、食品とエネルギ
ーを除いたコア指数が前月比ベースではほとんど鈍化しなかったことに触れ
、「安堵感はなかった」と語っています。(ブルームバーグ)

イエレン財務長官はCNNとのインタビューで、最近の銀行破綻を受け、「
銀行はこの環境下で幾分かより慎重になる公算が大きい。そうしたことは、
与信の制限が幾分強くなる状況をもたらす傾向が高く、金融当局が実施しな
ければならない追加利上げの代わりになり得る」との考えを示しました。イ
エレン氏はさらに「私の見解では、見通しを大きく変えるほど劇的あるいは
大きな要因は現時点では見当たらない」と述べています。
ブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は12日に行ったインタビュー
では、「銀行は与信を少し後退させる兆しを見せている」と述べており、イ
エレン長官とはやや認識を異にしています。
米景気の先行きについてはラガルドECB総裁も発言しています。
ラガルド総裁は米CBSの番組で、「米国には絶大な信頼を置いている。彼
らがそのような大惨事(リセッション)を引き起こすことは想像もできない
」と述べ、その上で、「もしそれが起きれば米国の信頼性が疑われ、極めて
ネガティブな影響がこの国だけではなく、世界中に広がるだろう」と語って
います。また、「私自身も政治の世界に身を置いたことがあり、政治のこと
は理解できる。しかし、より高い国家の利益を優先しなければならない時が
ある」と語っています。ECB総裁が米景気のリセッションの可能性につい
て言及することは異例で、ラガルド総裁は、米金融当局がそういった事態を
避ける政策を採るべきとの考えを示したものと思われます。

ドル円は上でも述べたようにもみ合い状態が続いていることは、「一目均衡
表」の先行スパン1と先行スパン2で構成される「雲」の形状からも判断で
きます。「雲」は上下の幅がなく、横に流れる形になっています。
ここから上がるか下がるかは「五分五分」と見ていますが、やや長いスパン
で見たら、下値を試す可能性の方が高いと予想しています。

本日のドル円は133円~134円50銭程度を予想します。


米3月のPPIも鈍化傾向を示す 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆前日急落したドル円は133円台を回復し、NYの朝方には
133円39銭を付けたが、そこを天井に大きく下落。
インフレ鈍化の指標が相次いだこともあり、132円03銭まで
売られる。
◆ユーロドルは続伸。しっかりと1.1台に乗せ、およそ
1年ぶりとなる1.1066までユーロ高に振れる。
◆3月のPPIと失業保険申請件数がともにインフレの
鈍化を示したことを好感し、3指数は大幅に上昇。
ダウは383ドル上げ、3万4000ドルの大台を回復。
◆債券は売られ、長期金利は3.44%台へと上昇。
◆金は大幅に買われ、一時は2063ドル台に。1年
1カ月ぶりの高値を付ける。原油は反落。

◆新規失業保険申請件数      →  23.9万件
◆3月生産者物価指数       →  2.7%(前年同月比)

本日の注目イベント

◆米   3月小売売上高
◆米 3月輸入物価指数
◆米 3月輸出物価指数
◆米   3月鉱工業生産
◆米   3月設備稼働率
◆米   4月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米   ウォラーFRB理事講演
◆米  企業決算 → ウェルズファーゴ、JPモルガン、ブラックロック、シティグループ


前日の消費者物価指数(CPI)に続き、昨日発表された生産者物価指数
(PPI)も前月比、全年同月比ともに予想を下回り、ドル円は133円
台前半から1円以上も売られる展開でした。東京時間では底堅い動きを見
せていたドル円でしたが、インフレ率の鈍化傾向が確認されたことで、金
融当局の引き締め政策も最終段階に入るとの期待が高まってきたことで、
日米金利差の縮小が意識されています。

3月のPPIは、前月比で「―0.5%」、前年同月比では「2.7%」
と、過去2年余りで最も低い伸びとなりました。
最大の要因はやはりガソリン価格の低下で、総合PPIで財価格の低下の
80%をガソリン価格の低下が反映されています。
ただ、足元では「OPECプラス」が減産体制を取っていることで原油価
格は上昇傾向にあり、このままPPIが低下していくかどうかは不透明で
す。
この日は、「週間失業保険申請件数」も発表されましたが、こちらも増加
傾向が示され、
FRBは来月の会合で0.25ポイントの利上げを行うことで、昨年3月
から全ての会合で利上げを行った「金融引き締め政策」も、最終局面に来
ているとの観測が高まっています。NY株式市場では、「リセッション入
り」の可能性が指摘されている中でも主要3指数が大幅高を演じ、ダウは
約2カ月ぶりに3万4000ドルの大台に乗せています。
また、債券が買われ金利が低下したことでドル安が進み、ドルの代替とし
ての側面を持つ「金」は大幅に続伸し、2022年3月以来、1年1カ月
ぶりの高値を記録しました。

米国のインフレは昨年6月に「9.1%」まで上昇し、その後徐々に低下
しています。
「景気を犠牲にしてもインフレを止める」という強い意志のもと、FRB
は2022年3月以降全ての会合で利上げを決め、6月会合からは通常の
3倍に当たる0.75ポイントの利上げを4会合連続で決めています。パ
ウエル議長の並々ならぬ決意の表れでした。
インフレの高騰は米国だけではなく、日本を除く全ての主要国が大幅な利
上げを余儀なくされています。
そのインフレもようやく沈静化の兆しを見せてきました。
今月に入りオーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利の据え置きを決
めています。
RBAはFRBをも上回る「10会合連続利上げ」を行っていました。
12日にはカナダの中央銀行であるカナダ中銀(BOC)も据え置きを決
めました。
いずれも、これまでの大幅利上げの効果を見極めるというものです。
このような環境の中、FRBは5月会合では0.25ポイントの利上げを
行う可能性が高いと予想しますが、その後は様子見に転じる可能性も高い
とみています。
もちろん、今後のインフレ動向次第というところはありますが、5月会合
でのパウエル議長の会見は非常に重要で、「利上げ一旦停止」を示唆する
のかどうか注目されます。

米国では企業決算の発表が本日のブラックロックや、JPモルガンを皮切
りに始まります。
コロナの影響からM&AやIPOは低水準でした。加えて、シリコンバレ
ー銀行(SVB)などの破綻に端を発した信用不安もありました。市場の
ボラティリティーは高水準で推移しましたが、その波にうまく乗れたのか
どうか。
市場の見方は多くの企業決算に対してややネガティブです。
予想以上に収益が下振れすれば、株価が下げ、債券が買われ、金利が低下
することでドル安に振れるリスクもありそうです。
企業決算の下振れそのものが「米国売り」につながる可能性もあります。
まだ、ドルの上値は重いと見ておいた方がよさそうに思います。

本日のドル円は131円50銭~133円50銭程度を予想します。


米3月の総合CPIは5.0%に低下 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆3月の総合CPIが市場予想を下回ったことで、ドル円は
発表直後に132円74銭近辺まで下落。その後は133円台に
値を戻し一進一退の展開に。
◆ユーロドルはドル安の動きに、2月2日以来約2カ月ぶりに
一時1.1000を記録。
◆株式市場はCPIの結果を受け上昇して始まったが、FRBが
利上げを見送るには十分ではないとの見方が広がり3指数は下落。
◆債券価格は上昇。長期金利は3.39%台に低下。
◆金は続伸。原油も続伸し、年初来の高値を付ける。

◆3月消費者物価指数    →  5.0%(前年同月比)
◆3月財政収支       →  -378.1b

本日の注目イベント

◆豪   豪3月雇用統計
◆中   中国3月貿易収支
◆中東  OPEC月報
◆独   独3月消費者物価指数(改定値)
◆欧   ユーロ圏2月鉱工業生産
◆英   英2月鉱工業生産
◆英   英2月貿易収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   3月生産者物価指数


注目された「3月の消費者物価指数」が市場予想を下回ったことで、発表直後
は133円台後半からドルが売られ、一時は132円74銭前後までドル安が
進みました。ただ、その後はFOMC議事録の内容や、3月のCPIでは上昇率
が先月よりも鈍化していたものの、金融当局が利上げを見送るほどの内容では
ないとの見方から、133円台に値を戻して引けています。

3月の総合CPIは、前月比「0.1%」、前年同月比で「5.0%」と、い
ずれも市場予想を下回っていました。一方、食品とエネルギーを除くコアCP
Iでは前月比が「0.4%」、前年同月比では「5.6%」と、こちらは市場
予想と一致していました。
項目別では、総合CPIの3分の1を占める「居住費」が前月比「0.6%」
上昇しており、ホテル宿泊費も大幅な上昇を示しており、全体の指数を押し上
げています。
大きく低下したのがエネルギー価格で、ガソリン、天然ガス、電気代が下げに
反映していました。全体では、この程度ではFRBが利上げを見送ることには
ならないとの見方が強く、「最低でも、もう1回の利上げはある」との声が多
かったようです。3月21-22日に開催されたFOMC議事録もその内容が
注目されていました。シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャーバンクが
破綻し、欧州でもクレディスイス・グループの経営危機が表面化し、金融不安
が一気に広がったタイミングでの会合でした。そのため、FRBは利上げを見
送るとの見方が急速に浮上し、一部には「利下げもある」といった観測も出て
いました。結局会合ではインフレ抑制を優先し、0.25ポイントの利上げを
決めましたが、会合後の会見でパウエル議長は、「利上げの一時停止も検討し
た」と述べていました。
しかし、今回の議事録では「全員が利上げを支持していた」ことを示し、決定
は「幅広い当局者に支持された」ことが明らかになっています。

金融不安はその後、金融当局の素早い対応が功を奏し、かなり後退しています。
市場が徐々に平静を取り戻してきていることから、FOMCメンバーの中でも、
今後の利上げを巡っては見方が分かれてきたことも事実のようです。
前日のシカゴ連銀総裁とNY連銀総裁の見方もそうでしたが、昨日はサンフラ
ンシスコ連銀のデーリー総裁が、「この先、インフレ率を低下させるために政
策が一段と引き締められなければならないと考える十分な理由がある」とした
上で、「しかし、追加的な政策調整がなくても、景気の減速が続く可能性があ
ると考える十分な理由もある」と述べ、さらなる利上げには慎重な見方を示し
ています。
一方、リッチモンド連銀のバーキン総裁はCNBCのインタビューで、「確か
にインフレのピークは過ぎたと考えるが、まだ道のりは長い」と語り、「われ
われが望む水準にコアインフレを戻すには、さらにやるべきことがある」と指
摘しています。また5月に利上げすべきかどうかについては言及していません。
(ブルームバーグ)次回FOMC会合は、5月2-3日に開催されます。
従って、「4月の雇用統計」も、「4月のCPI」も会合前までには確認する
ことはできません。今後PCEデータなど、まだインフレの動向を確認する指
標はありますが、今回のCPIを受け総合的に俯瞰すれば、5月会合での0.
25ポイントの利上げは「妥当な線」と言っていいと思います。
はっきりしていることは、米国のインフレは峠を越えたものの、「まだ警戒態
勢を解く段階ではない」ということです。

前FRB副議長であったブレイナード氏は現在、米国家経済会議(NEC)の
委員長を務めています。
そのブレイナード氏は昨日、「ワールド・エコノミー・サミット2023」に
出席し、「より厳格な銀行ストレステスト要件があれば(SVBなどの)銀行
破綻を防ぐことが出来た可能性があった」と述べながらも、「私は監督業務を
担当していないため、個々の銀行の監督について話すことはできないが、一般
論として、預金の流出が安定し、あらゆる指標がこの数週間に明らかに改善し
ていると言うことはできる」と話しています。


ドル円は昨日の東京時間昼頃、上昇に勢いが出て134円05銭近辺までドル
が買われましたが、特段材料はなかったことから、日経平均株価の上昇に引っ
張られた動きだったと思われます。足元ではやはり、130-135円のレン
ジ内での動きが続いていると見られますが、上述のように、5月会合での0.
25ポイントの利上げ観測が変わらない以上、相場へのインパクトは乏しいと
予想しています。
「0.25」が「0.5」になることはないと思いますので、これが「利上げ
見送り」へと変化するかどうかがカギになります。

本日のドル円は132円30銭~133円80銭程度といったところでしょう
か。


ユーロ円146円に接近 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は小動きながら堅調に推移。今夜の米3月の
CPIを見極めたいとする雰囲気の中、133円81銭まで
ドルが買われる。
◆ユーロドルはやや水準を切り上げ、再び1.09を挟む展開に。
◆S&P500は横ばいとなり、ダウは4日続伸するなど
株式市場はまちまちの動き。
◆債券もほぼ横ばい。長期金利は3.42%台で推移。
◆金と原油は揃って上昇。

本日の注目イベント

◆英   米英首脳会議(ベルファスト)
◆米   3月消費者物価指数
◆米 3月財政収支
◆米   FOMC議事録(3月21-22日分)
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁、会議で挨拶
◆米   G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13日まで)
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会に参加(オンライン)
◆米   ベイリー・BOE総裁講演(ワシントン)
◆加   カナダ中銀政策金利発表

IMFは11日、世界経済見通し(WEO)を発表しました。
世界の成長率は今年「2.8%」、来年「3.0%」と見込み、1月時点の予測
からそれぞれ0.1ポイント引き下げました。
IMFのグランシャ・チーフエコノミストは「過去1カ月半の金融混乱の結果、
リスクは多くの部分で下方方向に傾いている。今は制御下にあるが、金融環境が
大幅に悪化するようならば、より急激で深い景気下降につながることを懸念して
いる」と説明し、「シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャーバンクの先月
の予想外の破綻および、クレディスイス・グループの救済は市場を揺るがし、金
融安定への懸念に火を付けた。経済成長と銀行システムの健全性を維持しながら
インフレを鎮静化させる中央銀行の取り組みが複雑さを増した」と指摘していま
す。
一方この日ワシントンで講演したイエレン財務長官は、IMFの見解とはやや異
なり、2月に自身が表現していた、世界経済は「昨秋に大方が予想していたより
も良好な状況だ」との見方を振り返り、「その基本的な状況は概ね変わっていな
い。インフレは高止まりしているが、インフレが鈍化したことを示す歓迎すべき
兆候が過去半年に見られた」と述べ、やや楽観的な見方を維持していました。
(ブルームバーグ)

今後のFRBによる金融政策の方向性についても、NY連銀のウイリアムズ総裁
はインタビューで、「インフレを確実に押し下げるために必要なことを行わなけ
ればならない」とし、「インフレは低下しつつあるものの、依然として米金融当
局が目指す2%を大きく上回っている。あと1回の利上げは妥当な出発点だ」と
の見解を示しています。
またシカゴ連銀のグールズビー総裁も講演で金融政策に触れ、「金融面での向い
風について不透明感が強いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要が
ある」と発言し、「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのか
が分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げは慎重であるべきだ」とハ
ト派寄りの見方を示しています。
グールズビー総裁は、今年のFOMCでの投票権を持っています。また、NY連
銀のウイリアムズ総裁については「別格」であるため、常に投票権は付与されて
います。

今夜発表の「3月の消費者物価指数(CPI)」を前に、昨日の金融市場は「様
子見」の雰囲気が強く、大きな動きは見られませんでした。
そのような中でも、ドル円は堅調に推移し、クロス円ではユーロ円が146円近
くまで
上昇するなど、前日の植田日銀総裁の会見が尾を引いているのか、円が売られる
展開は変っていません。
もっとも、今夜のCPI次第ではその勢いが加速する可能性もあるし、一変する
可能性もあります。CPIの市場予想については、10日付けの「今週のレンジ
予想」で記した通りです。蓋を開けてみなければ分かりませんが、インフレ率の
鈍化傾向が見られるのではないかと個人的には予想しています。
また、政策金利据え置きの予想が強まっていた中、0.25ポイントの利上げを
決めた「3月会合の議事要旨」にも注目しておきたいと思います。
同会合後の会見でパウエル議長は、「利上げの一時停止も検討した」と述べなが
らも、「これまでの大幅な累積的な利上げでも、今後銀行システムの安全性には
問題はなく、銀行危機をこれ以上深刻化させることはない」といった自信を示し
ていました。インフレ抑制を優先し、0.25ポイントの利上げに踏み切ったこ
とを考えると、タカ派的な議論が多かったのではないかと推測します。

本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想します。


ドル円植田総裁の会見を受け133円台後半まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間から底堅く推移し132円80銭まで
上昇。欧州では植田新総裁の会見を受け133円台に乗せ、
NYでは133円87銭までドル高が進む。
◆ユーロドルは小幅に反落。1.0832まで売られる。
◆米金利の上昇にナスダックは下げたものの、ダウと
S&P500は上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.41%台に上昇。
◆金と原油は続落。

本日の注目イベント

◆豪   豪4月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪   豪3月NAB企業景況感指数
◆中   中国3月消費者物価指数
◆中   中国3月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏2月小売売上高
◆米   グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
◆米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
◆米   バイデン大統領、英国とアイルランドを訪問(14日まで)

ドル円は東京時間から底堅い動きを見せ、植田氏の日銀総裁就任会見があることで、
その会見の内容を予見したかのような動きを見せていました。植田氏は会見で、これ
までの大規模な金融緩和の「副作用」を認めつつも、「イールドカーブ・コントロー
ル(YCC)政策と、マイナス金利政策は、いずれも継続が適当」との考えを示しま
した。ドル円は会見が始まった20時前後から上げ足を強め、NYでは一時133円
87銭まで大幅なドル高が進みました。
植田氏はまた、「副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みは何かという
ことを探っていく」と語る一方で、2%の物価目標の達成は「簡単ではない」と述べ
、(達成期限の)「強い見通しは言えない」と、達成期限については明言を避け、「
2年で2%の物価目標を達成する」と高々と述べた黒田前総裁とは対照的に慎重な物
言いでした。植田氏は国会での所信聴取の際にも同様の発言を行っていたため、この
種の発言は予想されてはいたものの、市場は想定以上に円売りで反応した印象です。
また就任会見に先立ち、岸田首相と官邸で初めて会談した植田氏は、政府と日銀の2
013年の共同声明について、「考え方は適切であって、直ちに見直す必要はないと
いう点で一致した」と述べています。

ドル円の上値は限定的との相場観は維持していますが、短期的なテクニカルではドル
の上昇を示唆しています。
日足チャートでは雲の上限を試す動きを見せており、134円42銭前後にある上限
を明確に抜ければ、135円を目指す可能性も出て来そうです。
個人的にはドルが下落するイメージを予想していますが、昨日の底堅いドル円の動き
を見て、「ドル円が今夜のNYで133円50銭を超えて上昇するようだと、短期的
には135円方向を目指す可能性も出くるかもしれません」と、警戒感は維持してい
ました。(参照:4月10日付け「今週の予想レンジ」)
昨日の金利スワップ市場では、次回5月のFOMC会合で0.25ポイントの利上げ
を行う確率を80%程度まで織り込んできましたが、現時点ではFRBによる金融引
き締め政策の終了は近いと思われます。そのような状況下でも、昨日は植田氏の会見
にドルショートが「あぶり出された」との見方もあります。今後は日米金利差の縮小
が見込まれると思われますが、思ったほど金利差が縮小せず、ドルが買われ137円
台半ばを抜ける上昇が見られるようだと、ドル高トレンドに回帰する可能性もありま
す。137円20銭辺りには、比較的長期のトレンドを示唆する「200日移動平均
線」があります。いずれにしても断定的な相場観は避ける必要があります。

その方向性を決める大きな材料となるのが、明日発表の「3月の消費者物価指数(C
PI)」です。予想では総合CPIは前月比、前年比ともに伸びが鈍化すると見込ま
れており、コアCPIでは前年比で若干伸びが前月を上まわると予想されています。
これらの結果と同時に、FOMCメンバーの発言にも注意したいところです。

IMFは最新の経済見通しで、景気の加速も減速も招かない「中立金利」と呼ばれる
インフレ調整後の短期金利について、向こう数十年に米国では1%を優に下回るとの
見解を発表しています。
人口の高齢化や緩慢な生産性の伸びを背景に、新型コロナウイルスのパンデミック前
に定着していた超低水準に戻るとの見方を示し、サマーズ元財務長官の見方とは異な
る見解を見せています。
サマーズ氏は、国防費の増加やグリーン経済への移行で政府が借り入れを増やすこと
を一因として、1.5~2.0%のレンジに入る可能性があると主張していました。

本日のドル円は132円50銭~134円程度を予想します。


米3月のNFPは23.6万人に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆「3月の雇用統計」発表を受け、ドル円は132円台を回復。
失業率が低下し、非農業部門雇用者数も予想を若干超えていた
ことから132円38銭までドル高が進む。
◆ユーロドルは引き続き1.09を挟む動きが続き、
方向感は出ず。
◆短縮取引となった債券は雇用統計を受け下落。
長期金利は一時3.4%台まで上昇。

◆3月失業率          →  3.5%
◆3月非農業部門雇用者数   →  23.6万人
◆3月平均時給 (前月比)   →  0.3%
◆3月平均時給 (前年比)   →  4.2%
◆3月労働参加率        →  62.6

本日の注目イベント

◆日   2月国際収支・貿易収支
◆日  3月景気ウオッチャー調査
◆米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演

3月の雇用統計についてはややネガティブな結果を想定していましたが、
結果はわずかでしたが、予想を超えるものでした。
「2月の求人動態調査(JOLTS)」の伸び率が鈍化し、「3月のADP雇
用者数」も事前予想を下回るなど、これまで好調だった雇用の「潮目」が
変わる可能性も意識していましたが、蓋を開けて見れば好調さは依然とし
て維持されており、現時点では労働市場には大きな変調が見られないとい
うことでした。

失業率は市場予想の「3.6%」を下回る「3.5%」と、相変らず歴史
的な低水準でした。非農業部門雇用者数(NFP)は予想の「23万人」
を若干上回る「23.6万人」でした。1月分は速報値の「50.4万人
」から「47.2万人」に下方修正されましたが、2月分が「31.1万
人」から「32.6万人」へと、こちらは上方修正されたことで、ほぼ「
チャラ」といったところです。
結局、失業率の低下が材料視されたようですが、雇用統計全般を見ると、
経済の他の分野が減速する中で、労働需要の底堅さが特に目立っているこ
とが見て取れます。年初からの雇用者の増加幅は合計で100万人を超え
ています。
市場からは、「データ自体はやや強弱が混在しているが、労働市場は十分
強く、インフレはなお高止まり、FOMCは5月に0.25ポイントの追
加利上げに動くだろう」との声も聞かれました。実際、市場が予想する5
月の利上げ確率は、雇用統計発表前は「ほぼ五分五分」でしたが、結果を
受け「0.25ポイントの利上げ確率」は70%程まで上昇しています。

懸念されるのは、上でも述べたように、米経済指標では雇用以外のデータ
はほぼ総崩れの様相を見せていることから、これで雇用が崩れたら一気に
「リセッション入り」というリスクが考えられる点です。
米シティグループが作成している「エコノミック・サプライズ指数」は、
昨年は「0.35」を超えていましたが、今年2月には「0.13」前後
まで低下し、直近では「-0.109」まで低下してきました。同指数は
日々発表される経済データが、事前予想に対して「上回ったのか、下回っ
たのか」を集計したもので、「ゼロ」から上では予想を上回ったものが多
いことを示し、マイナスでは下回ったものの方が多いことを示しています。
プラス圏で推移していれば景気は拡大しており、マイナス圏ではその逆だ
という判断につながります。
サマーズ元財務長官はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、「はっき
りしているのは、現在の引き締めサイクルがかなり終盤に入っているとい
うことだ」と述べ、一連の弱い経済指標を踏まえ、米国の利上げ局面が終
わりに近づいているとの認識を示しています。
サマーズ氏は、米国のインフレが加速していた昨年中は一貫して大幅利上
げを提唱しており、「タカ派」の印象がありましたが、ここへきてトーン
を変えています。
米インフレが峠を越え、これ以上の金融引き締めは必要ないと判断してい
るようです。
同氏は、IMFのチーフエコノミストを経て、クリントン政権では財務長
官を歴任し、その後はハーバード大学の学長を務めた後、ブルームバーグ
やワシントンポストのレギュラー・オピニオンコラムニストも兼務してい
ます。余談ですが、筆者が学生時代一世を風靡した「サミュエルソン・経
済学」の著者である、ポール・サミュエルソンは彼のおじさんに当たるこ
とを後で知って驚いた記憶があります。

雇用統計が終わり、焦点は12日(水)発表の「3月の消費者物価指数」
に移ります。

本日のドル円は131円~132円80銭程度を予想します。


ドル円131円割れから反発 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間朝方には131円を割り込み、130円
78銭近辺まで下落。NYでも131円を割り込む場面があったが、
その後ドルは急反発し、131円90銭を付ける。
◆ユーロドルは小動きの中、1.09を挟んでもみ合う。
◆株式市場は3指数が上昇したが、雇用統計前のポジション調整
との見方も。ダウはほぼ横ばい。S&P500は14ポイントの上昇。
◆債券はほぼ変わらず。長期金利は3.30%台で推移。
◆金は続落し、原油は小幅高。

◆新規失業保険申請件数     →  22.8万件

本日の注目イベント

◆日  2月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中   中国 3月外貨準備高
◆米   グッドフライデーのため株式市場は休み。債券市場は短縮取引
◆米   3月雇用統計

今夜の「雇用統計」を前にドル円は神経質な動きを見せています。
昨日の早朝には131円を割り込み、130円78銭近辺までドルが売り込まれ
ましたが、131円台への戻りも速かったようです。NYでは朝方、再度131
円割れをテストしましたが、その後買い戻しが入り131円90銭まで値を戻し
ています。ドル円との相関が強い米長期金利はほぼ横ばいだったことから、この
ドルの上昇は「雇用統計」を前にしたポジション調整ではないかと見られます。
セントルイス連銀のブラード総裁はイベントに出席後、記者団に「金融環境に見
られたストレスは、少なくとも差し当り和らいだようだ。従って、インフレとの
闘いを続け、ディスインフレの軌道に乗せる取り組みをするいい機会だ」と述べ
、高インフレと闘うための利上げは続けるべきだとの考えを示しました。

フランスのマクロン大統領とフォンデアライエン欧州委員長が中国を訪問し、習
近平主席と会談しています。
マクロン大統領は会談で、「習氏ならロシアに理性を取り戻させ、全ての当事者
を交渉の席に着かせることができると信頼している」と、習氏を持ち上げる発言
を行いましたが、これに対して習氏は、「中国は和平交渉と政治的解決の促進を
主張している」と述べるにとどめています。もっとも、今回の訪中ではフランス
側からは企業のトップ50人余りが同行しており、中国に和平交渉の仲介役を求
めるというよりも、ビジネスを優先した面も否めません。航空機メーカー大手の
エアバスは、中国航空器材集団から「航空機160機受注」という大型商談を成
功させています。

IMFは6日、向こう5年間の世界経済の見通しを発表し、見通しは「約30年
ぶりの弱さだ」と警告しています。「地政学的な緊張がもたらす経済的な分断を
回避し、生産性を向上させる措置を講じるよう」各国に促しています。
ゲオルギエワ専務理事はワシントンの講演で、「地政学的な緊張が高まりつつあ
り、インフレが依然として高い中、力強い景気回復は難しい状況が続いている。
これはあらゆる人の見通しに悪影響を与える。最も脆弱な人々や国々にとっては
特にそうだ」と指摘しています。IMFによると、先進国の約90%で今年の成
長が減速する見通しで、今後5年間の経済成長率を「約3%」と、1990年以
来の低さになると予想しています。

先週の失業保険申請件数は市場予想を上回る「22.8万件」で、その前の週も
「19.8万件」から「24.6万件」へと大きく上方修正されています。
米労働省は、同指数の季節調子の統計手法を変更したと発表しており、新しい手
法による統計では、今年発表された新規失業保険申請件数は、これまでに発表さ
れた数字よりも大きく上方修正されています。
本日は21時半に「3月の雇用統計」が発表されます。
新しい統計手法では失業保険申請件数の水準がかなり高かったことや、前日発表
された「ADP雇用者数」でも事前予想を大きく下回ったことで、「好調だった
労働市場もそろそろ息切れか・・・・」といった観測も出始めており、今夜の結
果が非常に注目されます。
結果次第では上へも下へも大きく動く可能性がありますが、本日の米国は「グッ
ドフライデー」のため株式市場は休みとなり、債券市場も短縮取引となります。
ドル円に大きな影響を及ぼす米金利の取引時間が半分になるということで、ドル
円の動きが抑制されると考えることも出来ますが、反対に、大きく乱高下する要
因になり得る点にも注意が必要です。
景気抑制の波が、いよいよ労働市場にも及んできたのかどうか、今夜の「雇用統
計」が「試金石」になります。

本日のドル円は130円~133円程度とワイドレンジ予想します。


米長期金利半年ぶりの低水準に 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は続落し、一時は130円64銭まで下落。米景気への
懸念が強まり、長期金利が低下したことでドル売りが加速。
◆ユーロドルは前日の水準と変わらず、ほぼ1.09台で推移。
◆株式市場では、ダウは80ドル反発したがナスダックと
S&P500は続落。米景気のリセッション入りが高まったとの観測が
背景。
◆債券は続伸し、長期金利は一時3.26%台まで低下。
◆金の上昇は一服。原油も小幅に下げる。

◆3月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)     →  52.6
◆3月S&Pグローバル総合PMI(改定値)      →  52.3
◆3月ADP雇用者数                 →  14.5万人
◆2月貿易収支                    →  -70.5b
◆3月ISM非製造業景況指数             →  51.2

本日の注目イベント

◆豪   豪2月貿易収支
◆中   3月財新サービス業PMI
◆中   3月財新コンポジットPMI
◆独   独2月鉱工業生産
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演
◆加   カナダ3月就業者数
◆加   カナダ3月失業率

ドル円は下値を切り下げ、1週間ぶりに130円台半ばまでドル安が
進みました。3月のADP雇用者数など、経済指標に予想を下回る結
果が多くみられ、米景気そのものへの悲観的な見方から「避難通貨と
しての円」が再び見直されているようです。
ドル円で円高が進んだことで、ユーロ円などクロス円もほぼ水準を切
り下げる展開でした。

3月のADP雇用者数は市場予想の「21万人」を大きく下回る「1
4.5万人」でした。業種別では、娯楽、ホスピタリティや、貿易、
運輸などで雇用が増えていたものの、製造業や金融などでは減少して
います。
また賃金の伸びも鈍化しており、ADPのチーフ・エコノミストは、
「この3月の雇用データは景気が減速しつつあることを示唆する複数
のシグナルのうちの一つだ。雇用主は1年に及んだ採用強化の動きを
後退させている。賃金の伸びは3カ月にわたって頭打ちとなった後で
減速している」と説明しています。(ブルームバーグ)
この日発表された3月のISM非製造業景況指数を見ても、総合指数
そのものは引き続き活動が拡大しているものの、前月からは低下し、
予想も大きく下回っており、新規受注の減速が目立っていました。
「労働市場のひっ迫は弱まりつつあり、米景気のリセッション入りリ
スクは高まっている」との声も出ていました。
クリーブランド連銀のメスター総裁はブルームバーグ・テレビジョン
の番組で、「政策金利は今の水準からもう少し高いところに引き上げ
る必要があるだろう」と話し、「とはいえ、インフレ目標を達成する
まで利上げを継続するということではない」とし、「今年は物価圧力
の抑制で、ある程度目に見える進展を予想している」と語っています。
またその水準を問われたメスター総裁は、「年末までに重要物価指数
が3.75%に下がるとみている。しかし、目標水準に低下するのは
2025年以降になるだろう」との見方を示していました。

台湾の蔡英文総統は5日、訪問中のカリフォルニア州南部でマッカー
シー下院議長と会談を行いました。
マッカーシー氏は、「私が生まれてこの方、米台の結びつきがこれほ
ど強まったことはなかったと思う」と話し、蔡氏は、「平和と民主主
義が前例のない難題に直面していることは周知の事実だ。台湾は孤立
していない。われわれは一人ではない」と米国との関係を強調してい
ました。
中国側はいつものようにこれに反対し、「断固たる措置を取る」と述
べています。
台湾国防部(国防省)によると、中国海軍の航空母艦「山東」が5日
台湾南方のバシー海峡を通過して台湾南東沖を航行、初の西太平洋航
行演習を始めたようです。

軟調な経済指標の発表を受け、景気減速懸念を理由に債券は買われて
います。
昨日はほぼ全ての年限で金利が低下し、10年債ではおよそ半年ぶり
となる3.26%台まで低下し、ドル円下落の要因になっています。
シリコンバレー銀行(SVB)の予想だしにしなかった破綻で、ドル
円は133円台から一気に130円割れまで売られました。その後は
米金融当局の素早い対応によりリスクオンが広がり133円台後半ま
で値を戻しましたが、足元では再び下落傾向を見せています。
今回の下落の背景は、これまで何度も言われてきた「米景気のリセッ
ション入り」の可能性が高まってきたことです。
岩盤の強さを誇った「米雇用」が変化の兆しを見せてきたことから、
このセクターでもいよいよ軟調な軌道を辿るのかどうかが焦点になり
ます。明日の雇用統計がその試金石になりそうな気もしますが、どう
でしょう。

本日のドル円は130円~131円50銭程度を予想します。


米2月のJOLTS1000万件を割り込む 

続きを読む

OPECプラスの減産報道を受け原油価格は大幅高 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は東京時間に133円75銭前後まで上昇したが、
NYでは長期金利の低下もあり、じり安の展開に。
132円21銭まで売られ、この日の安値圏で引ける。
◆ユーロドルは小幅に続伸。1.0916まで値を伸ばす。
◆株式市場はまちまち。ダウとS&P500は4日続伸するも
ナスダックは小幅に反落。
◆債券は続伸。長期金利は3.41%台に低下。
◆金は反発し、引け値で2000ドルの大台に。
原油は「OPECプラス」の唐突な減産報道に大幅高。

◆3月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)        → 49.2
◆3月ISM製造業景況指数                 → 46.3
◆3月自動車販売台数                    → 1482万台

本日の注目イベント

◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆独   独2月貿易収支
◆欧   ユーロ圏2月卸売物価指数
◆米   2月製造業受注
◆米   2月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆加   カナダ2月住宅建設許可件数

昨日の東京時間では朝方からドル円は上昇。株高に加え、前日「OPECプラス」
が減産を決定したことで、原油のほぼ全量を輸入に依存する日本の構造的な弱みが
意識され、円売りが加速。ドル円は133円75銭前後まで上昇しました。
しかしNYでは一転してドルがジリ安の展開となり、132円21銭まで売られて
います。3月のISM製造業景況指数が予想の「47.5」を下回る「46.3」
と、2020年5月以来となる低水準だったことで、FRBによる利上げ観測が後
退。債券は買われ金利が低下したことに沿う形で、ドル売りが優勢となりました。

金融不安や信用不安がある程度落ち着き、さらには経済データの下振れもあったこ
とから、FRBの利上げ継続が回避できる可能性が高まってはいましたが、事はそ
う簡単ではないようです。
FRBにとって、「OPECプラス」の追加減産の決定は「寝耳に水」だったこと
でしょう。
言うまでもなく、原油価格の高騰はインフレ加速要因の一つになります。
昨日のNY原油先物市場ではWTI原油価格が一時8%も上昇し、81ドル69セ
ントをを付ける場面もありました。
ようやく大幅利上げの効果が出始め景気減速が見込める状況になり、これであと1
回の利上げで金融引き締めの終焉を迎える可能性も浮上する中、再びインフレの芽
が大きくなる懸念が出てきました。
今回の「OPECプラス」の唐突な減産合意には幾つかの意図があるようです。
WTI原油価格は先月半ばには65ドル台まで低下していましたが、ここまで下が
ると産油国の「生産コスト」が大きく損なわれる可能性がありました。
IMFの推計によると、2023年の財政収支が均衡する原油価格は、サウジアラ
ビアが66.8ドル、UAEが65.8ドルで、今回追加減産に合意した8カ国の
うち、主な7カ国平均では84.8ドルとなる(日経新聞)ことから、歳入の多く
を原油に頼る「OPECプラス」にとっては、原油価格の低位安定は財政上からも
容認できないところだったようです。

今回の減産決定は、米国にとってはインフレの再燃懸念につながり、日本にとって
も円安の再燃懸念となる一方、ロシアにとっては「渡りに船」で、戦費の確保につ
ながります。
また続いていた原油価格の下落には、中国の景気減速やウクライナ情勢の混迷から
原油消費量が減少するとの観測の下、投機筋による投機的なショートもあったよう
です。この投機筋を「ぎゃふん」と言わせる意味もあったようです。サウジアラビ
アのアブドルアジズ石油相はかつて、「トレーディングフロアの連中を可能な限り
震え上がらせたい」と述べており、「この市場で儲ける者は誰もが痛
い目に遭うだろう」と話していました。

米エナジー・アスペクツのチーフ石油アナリストは、「世界経済に回復力がある限
り、年後半に100ドルを付けると予想していたが、石油価格は今四半期終盤まで
に100ドルに達する可能性がある」と述べています。
またセントルイス連銀のブラード総裁はブルームバーグ・テレビジョンとのインタ
ビューで、「OPECプラス」の決定について、「意外だった。この影響が長期的
に維持するのか不明だ。原油価格は変動するため、価格動向を正確に追うのは困難
だ。一部はインフレに影響し、われわれの仕事がもう少し難しくなる可能性はある
」と語っています。さらにイエレン財務長官もコネチカット州での講演後に、「O
PECプラスによる2日の減産決定は非建設的だ」と述べ、「原油価格の影響がど
うなるのかまだ分からない。はっきりしているのは、世界の成長にとってプラスで
はないということだ。インフレが既に高水準にある状況で、不確実性と重荷を与え
る」と記者団に語っています。(ブルームバーグ)

ドル円は引き続き130-135円のレンジ内で推移しています。
基本的に注目しなければならないのは米国のインフレの動向ですが、上でも述べた
ように、原油価格の動きが不透明でますます予想が難しくなっています。また日本
の貿易収支の赤字額にも再び注目する必要があるかもしれません。

本日のドル円は131円50銭~133円程度を予想します。


米2月のPCE価格指数予想を下回る 

ひと目で分かる昨晩の動き 

NY市場

◆ドル円は133円30銭まで上昇後、PCE価格指数が
予想を下回ったことを受け売られた。132円台半ばまで下げ、
132円70銭近辺で越週。
◆ユーロドルは朝方に1.09台に乗せたが、その後は
じり安の展開をたどり1.0837まで下げる。
◆株式市場は3指数が揃って大きく続伸。PCEデータが予想を下回り、
インフレ懸念がやや後退。ダウは415ドル買われ、3万3千ドルを回復。
◆債券も買われ、長期金利は3.46%台に低下。
◆金は反落し、原油は続伸。

◆2月個人所得                  →  0.3%
◆2月個人支出                  →  0.2%
◆2月PCEデフレータ(前月比)         →  0.3%
◆2月PCEデフレータ(前年比)          →  5.0%
◆2月PCEコアデフレータ(前月比)       →  0.3%
◆2月PCEコアデフレータ(前年比)       →  4.6%
◆3月シカゴ購買部協会景気指数          →  43.8
◆3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)    →  62.0

本日の注目イベント

◆豪   豪2月住宅建設許可件数
◆日   1-3月期日銀短観
◆中   3月財新製造業PMI
◆独   独3月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月サービス業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏3月総合PMI(改定値)
◆英   英3月サービス業PMI(改定値)
◆米   3月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米   3月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
◆米   3月ISM製造業景況指数
◆米   3月自動車販売台数 

金融不安が後退し、「リスクオン」の流れが強まったのか、円が売られ、
NY株式市場では連日の大幅高です。
加えて、発表された2月のPCE価格指数では、個人所得も個人支出も市
場予想を下回り、コアデフレータも「4.6%」(前年同月比)と予想を
下回ったことで、5月のFOMC会合では利上げが見送られるといった観
測も高まったようです。
5月会合での利上げ確率はそれまで「五分五分」と、ほぼきっこうしてい
ましたが、これで利上げ見送りの見方がやや優勢となったようです。
ただ、4月にはFOMCが開催されないことから、5月会合までにはまだ
重要経済指標は何度か発表されます。今回のデータだけで利上げ見送りと
判断するのは「時期尚早」でしょう。今週末には早速、「3月の雇用統計
」が発表されます。
経済データの結果次第では、再び利上げ観測が高まるリスクもあります。
利上げ観測の後退の割には、ドル円はそれほど売られていません。本来な
ら日米金利差の拡大に歯止めがかかるため、「ドル売り材料」ですが、N
Y株式市場で株価が大きく上昇していることで、「リスクオン」の高まり
から円が売られたとみることができそうです。
「金利差」よりも「リスクオン」にサヤ寄せされた格好です。
また今朝のドル円の上昇は「OPECプラス」の影響かと思います。

NY連銀のウイリアムズ総裁は講演で、「景気の先行きは不透明であり、
われわれの政策決定はデータと、最大限の雇用と物価の安定という責務の
達成度合いに左右される」と発言し、その上で、「われわれの行動が、イ
ンフレを長期目標の2%に押し下げることに確信を持っている」と述べて
います。
また、FRBのクック理事もクリーブランドで開かれた会議で、「最近の
情勢による潜在的な逆風に対し、経済に勢いが強まる状況の意味合いを照
らし合わせて考えている。賃金調達条件の引き締まりが景気を抑制する場
合、政策金利の妥当な軌道は、そうでない場合よりも低くなる可能性があ
る」と語っています。(ブルームバーグ)
FRBは先月の会合で0.25ポイントの利上げを決め、FOMC参加者
の予測によれば、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標金利は「
約5.1%」でした。この予測通りであれば、「あと1回0.25ポイン
トの利上げを実施」ということになり、市場はこの見方を織り込みつつあ
ります。

OPECと非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は2日、5
月から日量100万バレルを上回る減産を実施すると突然発表しました。
「市場の安定を維持するために供給を据え置く」と、これまで約束してい
たため、協調減産は意表を突く格好となり、市場関係者には驚きの声が上
がっています。
発表ではサウジアラビアとロシアが日量50万バレル減産し、イラクが2
1万バレル、UAEが14万バレル減産とするようです。
この発表を受け、先週末には「75ドル67セント」で取引を終えたNY
原油先物市場では早朝に一時8%上昇し、8時23分時点でも「5ドル4
セント」(6.6%)上昇しています。
原油価格の上昇は、ほぼ全量を輸入に頼っている日本にとっては「輸入額
の増加」につながり「ドル高材料」とみなされます。

本日のドル円は132円50銭~134円50銭程度を予想します。


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