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ECBも0.25ポイントの利上げで追随 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は乱高下。米GDPの発表を受け朝方には141円30銭まで
急速にドル高が進んだが、「日銀がYCCの修正案を議論」との報道に
ドルが急落。138円77銭まで売られる。
◆ECBは予想通り0.25ポイントの利上げを決める。ラガルド総裁の
発言がややハト派的だったが、1.09台半ばまで下落した後1.11台
半ばまで反発。
◆株式市場は3指数が揃って下落。ダウは233ドル下げ、連騰記録の
更新はならず。
◆債券は大きく売られ、長期金利は一時4%の大台を回復。
◆金は大きく下げ、原油は反発し80ドル台に載せる。

◆新規失業保険申請件数       →  22.1万件
◆6月耐久財受注          →  4.7%
◆4-6月GDP(速報値)      →  2.4%
◆6月中古住宅販売成約件数     →  0.3%

本日の注目イベント

◆日  7月東京都区部消費者物価指数
◆日   日銀金融政策決定会合
◆日   植田日銀総裁記者会見
◆独   独7月消費者物価指数
◆欧   ユーロ圏7月景況感指数
◆欧   ユーロ圏7月消費者信頼感指数
◆米   4-6月雇用コスト指数
◆米   6月個人所得
◆米   6月個人支出
◆米 6月PCEデフレータ(前月比)
◆米 6月PCEデフレータ(前年比)    
◆米 6月PCEコアデフレータ(前月比)
◆米 6月PCEコアデフレータ(前年比)
◆米   7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
◆米  企業決算 → エクソンモービル、P&G,シェブロン

今日のコメントはECBの金融政策を中心に展開しようと思っていましたが、
今日の日銀決定会合を巡る報道にドル円が大きく動き、ひょっとしたら政策修
正もあり得るといった雰囲気がにわかに台頭してきたことで、やはりドル円が
中心になります。

米第2四半期GDP速報値がNYの朝方に発表され、「2.4%」と予想外の
強さにドル円は141円台に載せ、141円30銭まで買われました。前日の
パウエル議長の「ハト派寄り」の会見でドルの上値が重くなっていましたが、
「9月に利上げがあるかどうかはデータ次第だ」と言っていたこともあり、G
DPの上振れは追加利上げを想起させ、株式と債券が売られ、長期金利が大き
く上昇したことがドル円を押し上げました。
個人消費が思ったほど減速しなかったことと、堅調な設備投資が寄与したと分
析されています。
ところが、そのタイミングで日経新聞電子版が「日銀は28日に開く金融政策
決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正案を議論する」と
報じたことでセンチメントが一変しました。

報道を受けドル売りが加速し、一時は138円77銭前後までドルが急落しま
した。
もともと日銀が動けばかなりの円高に振れると予想していましたが、『修正案
を議論する』といった報道だけで、2円50銭を超える円高が進んだことにな
ります。
市場はそれほど今回の会合には過敏になっているということの証左であろうか
と思います。
ユーロ円にいたっては4円程の「ユーロ安円高」となり、6月15日以来とな
る円高水準を記録しています。
これまで何度も「日銀は動かないというのがコンセンサスになっており、サプ
ライズはないとは思いますが、念のため頭の片隅に」と、筆者は注意喚起をし
てきました。
日銀会合についてはすでに何度も政策変更観測が浮上しては消え、市場参加者
の思惑も加わり相場を乱高下させてきましたが、最後の最後にまた不透明さが
増すことになっています。本日の会合で修正や変更があればドル円は135円
を目指すことになりますが、現状維持だとすれば140円台に戻す可能性もあ
りそうです。発表の時間と内容には十分注意が必要です。

ECBは27日に開催した理事会で政策金利を0.25ポイント引き上げるこ
とを決めました。声明文で、「将来の決定はインフレ率が中銀目標の2%に速
やかに戻るよう、必要な限り政策金利が十分に景気抑制的な水準に設定されて
いることを確実にする」と説明し、「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期
間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」としています。
ラガルド総裁は会合後の会見で、「9月とその後の決定についてはオープンな
考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」と発言し、据
え置く場合は「必ずしも長期間続けるとは限らない」と述べました。
この発言は前日のパウエル議長の発言にも似ていますが、ラガルド氏はこれま
でに何度もタカ派寄りの発言を繰り返してきたこともあり、この日の発言はか
なり「ハト派寄り」
と受け止められたようで、一部には「歴史的な引き締めサイクルは終わりに近
づいている」と受け止めた向きもあったようです。

本日のドル円は決定会合の結果次第でどちらにも動くこととなり、レンジ予想
の意味もないと考えます。
『修正案を議論する』という報道だけで円高方向に大きく振れたことを考えれ
ば、仮に変更がなかった場合でもドルの上値リスクは限定的かと思います。

31日(月)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただき
ます。ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程お願い申
し上げます。



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FOMC0.25ポイントの利上げを決定 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆FOMCでは予想通り0.25ポイントの利上げを決めたが、パウエル議長の
発言がやや「ハト派寄り」だったと受け止められドル円は下落。一時は140円を
割り込み、139円94銭まで売られる。
◆ドルが売られたことでユーロドルは反発。1.11台を回復し、
1.1106近辺まで上昇。
◆株式市場はまちまちながらダウは82ドル上昇。1987年以来となる
「13連騰」を達成。他の主要2指数は小幅安
◆債券は小幅に買われ、長期金利は3.86%台に低下。
◆金は続伸し、原油は反落。

◆6月新築住宅販売件数         → 69.7万件

本日の注目イベント

◆欧   ECB政策金利発表
◆欧 ラガルド・ECB総裁記者会
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   6月耐久財受注
◆米   4-6月GDP(速報値)
◆米   6月中古住宅販売成約件数
◆米  企業決算 → コムキャスト、マクドナルド、フォード、インテル

注目のFOMC会合では、大方の予想通り政策金利を0.25ポイント引き上げ、
フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを5.25-5.5%にすること
を決定しました。FOMCが発表した声明文では、「最近の複数の指標は、経済活
動が緩やかに拡大してきていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月堅調で、
失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」とし、「委員会は引き
続き、インフレリスクに細心の注意を払っている。委員会はより長期にわたって最
大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支える
ため、委員会はFF金利誘導目標のレンジを5.25-5.5%に引き上げること
を決めた」としています。

FOMC会合終了後の会見でパウエル議長は、「この先、適切と考えられる追加政
策引き締めの程度を決定する上では、引き続きデータ重視のアプローチで臨む」と
述べ、また「データが正当化すれば、9月会合で再び利上げする可能性は当然ある
と言えよう。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく
」と述べ、これまでと同様に「データ・ディペンズ」の姿勢を見せています。
ただ、この点については想定よりも「ハト派寄り」であったと市場は受け止め、ド
ルは主要通貨に対して売られ、株高、債券高を支えた格好になりました。
また議長は米景気のリセッションについて、「スタッフは現在、成長の顕著な減速
が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靭性から、もはやリセ
ッションは見込んでいない」と語っています。
今回の会合は概ね想定通りだったことで為替も含めた金融市場では大きな動きはあ
りませんでしたが、上でも述べたようにパウエル議長の発言が「ハト派寄り」であ
ったことでドル円は140円を割り込む場面もありました。

FOMC会合を無事通過し、今度はいよいよ明日の日銀決定会合が焦点になります。
何度も触れているように、「政策変更はない」と予想されてはいますが、ブルーム
バーグの記事を読むと海外勢が思った以上に「政策変更あり」を予想していること
が分かりました。
またドル円の通貨オプションのプレミアム料を基にした1週間物「リスクリバーサ
ル」を見ると、今回の会合後には「-3.91」まで同指標は下げており、(今朝
は-4.22まで低下)前回6月会合の「-1.50」近辺まで下げたケースより
もマイナス幅が深くなっています。ドルを売る権利である「プットオプション」を
購入する市場関係者が多く、この先「円高を予想する向きが増えている」と考えら
れます。
明日の決定会合の結果は「終了次第発表」することになっています。早ければ午前
11時頃にも発表があるかもしれませんが、議論が紛糾すれば発表が遅れます。
「サプライズ」はないとは思いますが、一応念のため頭の片隅には入れておきたい
ところです。

NYでは一時140円を割り込んだドル円は、本稿執筆時には140円45銭辺り
まで値を戻しています。引き続き下がればドルを買いたいとする市場参加者が多い
ことの表れですが、いつものようにここから再びドルが上昇するのかどうか、明日
の会合を見極めたいと思いますが、本日は米GDPにも注目です。

本日のドル円は139円~141円程度を予想します。


FOMCを前にドル円反落 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円はFOMCを前に利益確定の売りに押され140円86銭
まで下落。消費者マインドが市場予想を上回り、ドルが買われる場面も
あったが続かず。
◆ユーロドルもやや軟調に推移。IFO景況感指数が下振れしたことも
あり、1.1021まで下落。
◆NYダウは26ドル上昇し、これで12連騰。FRBによる金融
引き締めは最終段階にあるとの見方が広がる。他の2指数も揃って上昇。
◆債券は続落。長期金利は3.88%台に上昇。
◆金は4日ぶりに反発。原油は続伸し79ドル台半ばに。

◆5月ケース・シラ-住宅価格指数         → -1.70%
◆5月FHFA住宅価格指数            → 0.7%
◆7月コンファレンスボード消費者信頼感指数    → 117.0
◆7月リッチモンド連銀製造業景況指数       → -9

本日の注目イベント

◆豪   豪第2四半期消費者物価指数
◆豪   豪6月消費者物価指数
◆日  5月景気先行指数(CI)(改定値)
◆日  5月景気一致指数(CI)(改定値)
◆米   6月新築住宅販売件数
◆米   FOMC 政策金利発表
◆米   パウエル議長記者会見
◆米  企業決算 → AT&T、ボーイング、コカ・コーラ


ドル円は、日本時間明日の朝方に発表されるFOMCを前に利益確定のドル
売りに押された格好です。昨日のNYでは、コンファレンスボードが発表し
た「7月の消費者信頼感指数」が「117.0」と、2020年3月以来2
年ぶりの高水準でした。直後にドルが買われ141円59銭近辺まで上昇す
る場面もありましたが勢いは続かず、その後141円台を割り込んでいます
。コンファレンスボードのチーフエコノミストは、「信頼感の改善は全ての
年齢層で顕著で、年収5万ドル未満と10万ドルを超える所得層でも同様だ
」と指摘しています。消費者マインドの上振れで、米経済がリセッション入
りを避けられるとの見方が広がり、株式市場ではこれを好感し株価の上昇に
つながっています。注目されていたNYダウはこの日も26ドル上昇し、こ
れで「12連騰」です。これまでの記録である「13連騰」も視野に入り、
新記録達成もあるかもしれません。

一方で、やはり米経済はリセッション入りが避けられないとの見方も根強く
、ダブルライン・キャピタルのシャーマン副最高投資責任者(CIO)は、
「多くの経済指標が警告を発するか、リセッションのシグナルを点滅させて
いる。FOMCが利下げに踏み切る頃には、100bpの引き下げが必要に
なっているだろう」と述べ、「深刻な米リセッションに金融市場は備えるべ
きだ」と指摘しています。(ブルームバーグ)
ただ株式市場では、米経済はソフトランディングが可能との見方が徐々に増
えており、株価を支えています。今年後半のデータが注目されます。

IMFは世界経済の見通し発表し、4月時点の予測を上方修正しました。
2023年の世界経済成長率を、4月時点の「2.8%」から「3.0%
に引き上げました。米国がデフォルトを回避し、米欧の金融当局が銀行危機
を食い止めたことから、ここ数ケ月でリスクは和らいでいるとの見方を示
しています。
IMFは米国がソフトランディング出来るとの見方に同意しながらも、金利
上昇と中国の予想以上の景気回復の遅れ、新興国の債務問題、ロシアのウク
ライナ侵攻と米中関係緊張で加速している地理経済的分断による貿易への脅
威の中で、金融の安定性に対する継続的なリスクがあると指摘しています。
国別では、米国の今年の成長率を「1.8%」と予想し、4月の時点から0
.2ポイント引き上げており、日本については「1.4%」とし、4月時点
からは0.1ポイント上昇修正しています。
また中国については、今年は「5.2%」と前回予測を据え置いています。
不動産業界の軟調な投資が打撃を与えているほか、外需の低迷と若年層の失
業率の上昇などをその理由に挙げていました。

FOMCの結果発表は明日の朝3時で、3時半からパウエル議長の会見が始
まります。
ブルームバーグは、「FRBはインフレとの闘いにおいて極めて重要な局面
を迎えた。当局者らは1年余りの間、利上げが必要であるとの認識で一致団
結していたが、利上げをいつ止めるか、ピーク金利をいつまで維持するのか
について、意見の相違が深まり始めている」と指摘しています。
FOMCメンバーは大きく3つのグループに分かれており、「ハト派」のポ
スティック・アトランタ連銀総裁とグールズビー・シカゴ連銀総裁がそのメ
ンバーです。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁とコリンズ・ボストン連銀総裁を「中
間」で、他のメンバーは「タカ派」と見られます。これまでも書きましたが、
パウエル議長を始めFRBの幹部は概ね「タカ派」で、明日朝の会見でもパ
ウエル議長は「インフレ率がさらに持続的、安定的に鈍化することを示す確
かなデータが必要だ」といった意味合いの発言を行うと予想しています。

本日のドル円は139円80銭~142円程度を予想します。


WTI原油価格3カ月ぶりに79ドル台に上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆本日から開催されるFOMC会合を前に、ドル円は久しぶりに
小動き。141円台半ばで推移し、値幅は20銭程度に。
◆ユーロドルはやや下値を切り下げ、1.1060まで下落。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは183ドル上昇し、2017年
以来となる11連騰。
◆債券は反落。長期金利は3.87%台に上昇。
◆金は3日続落。原油は続伸し、一時は79ドル台前半まで
買われ、3カ月ぶりの高値に。

◆7月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)      → 49.0
◆7月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)    → 52.4
◆7月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)   → 52.0


本日の注目イベント

◆日   日銀、基調的なインフレ率を補足するための指標
◆独   独7月ifo景況感指数
◆米   5月ケース・シラ-住宅価格指数
◆米   5月FHFA住宅価格指数
◆米   7月コンファレンスボード消費者信頼感指数
◆米   7月リッチモンド連銀製造業景況指数
◆米   IMF、世界経済見通し
◆米  企業決算 → アルファベット、GM、GE、ベライゾン、3M、マイクロソフト


一日の値幅が20銭と、昨日のNY市場でのドル円は久しぶりに小動きでした。
本日からFOMC会合が開催されることから、ポジション調整も終わり、ようや
く「様子見」となったようです。
経済指標でも7月の製造業PMIはコンポジットとサービス業では市場予想を下
回り、製造業では予想を上回ったものの、依然として活動の拡大と縮小の境目で
ある「50」を下回っていました。この指標発表による市場への影響はほとんど
なく、景気抑制政策の表れと受け止め、株式市場では好感されたようです。
特に話題になっているのが「NYダウ工業株30種平均」でした。

ダウはこの日も183ドル上昇し、これで「11連騰」です。
これは2017年以来となる最長連続高となっています。因みに過去最長は「1
3連騰」というのがあるそうです。テスラ株が、米国と中国以外の売り上げが好
調だったことで上昇しています。
ブルームバーグによると、テスラの上期納車台数は約89万台となり、フォルク
スワーゲン(VW)、BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェといったドイツ勢
の合計EV納車台数を上回ったそうです。
今や世界のEV市場はテスラと中国BYDが2大勢力で、日本などは足元にも及
びません。筆者の理解では世界で最初に電気自動車の量産化に成功したのは確か
三菱自動車の「アイミーブ」で、その後日産の「リーフ」が続いたと記憶してい
ます。トヨタが世界初のハイブリッド車「プリウス」で成功したことが、皮肉に
も日本のEV開発を遅らせる一因になったようです。

FOMCに続いて27-28日には日銀金融政策決定会合が開催されます。ここ
では政策据え置きがコンセンサスになってきたようですが、今回は同時に「展望
レポート」も発表されます。
ここでは新たな消費者物価指数(コアCPI)の見通しについて、2023年度
を従来の前年比「1.8%の上昇」から「2.5%程度の上昇」へと大幅に上方
修正する公算が大きいと、ブルームバーグは事情に詳しい関係者の話として報じ
ています。ただ、それでも先行き不確実性が大きい状況に変化はなく、持続的、
安定的な2%の物価目標の実現を展望できる見通しにはならず、そのため今回も
大規模な金融緩和政策の維持を決める可能性が高いとしています。
昨日も触れたように、今回の会合に対する市場の予想は固まってきました。
それだけに「サプライズ」があった場合の市場の混乱は、想定よりも大きくなる
可能性があります。「サプライズ」はないとは思いますが、一応頭の片隅には置
いておきたいところです。

本日のドル円は140円50銭~142円30銭程度を予想します。


ドル円141円台後半まで上昇 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は続伸し141円台に。日本時間の夕方、ロイター通信が
「日銀が決定会合で政策を据え置く」と報じたことで円売りが加速し、
欧州市場では141円95銭近辺まで上昇。
◆ユーロドルは続落。1.1008まで売られたが円に比べ下げは緩やか。
今週の会合での利上げが支えに。
◆株式市場ではダウは小幅ながら上昇し、10連騰を達成。
ナスダックは30ポイント下げる。
◆債券は小幅に続伸。長期金利は3.83%台に低下。
◆金は続落し、原油は続伸。

本日の注目イベント

◆独   独7月サービス業PMI(速報値)
◆独   独7月総合PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏7月製造業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏7月サービス業PMI(速報値)
◆欧   ユーロ圏7月総合PMI(速報値)
◆英   英7月製造業PMI(速報値)
◆英   英7月サービス業PMI(速報値)
◆米   7月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
◆米   7月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
◆米   7月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値)

ドル円は先週金曜日の夕方、英ロイター通信が「27-28日の決定会合で日銀は
現状の政策を維持する公算が高い」と報じたことで円売りが強まり、ドル円は欧州
時間に141円95銭近辺まで大きく上昇。その後のNYでも141円台で推移し
ました。ドルが買い戻される中、低金利の円が最も大きく売られ、ユーロ円は15
8円台、ポンド円も一時は182円台半ばまで上昇し、円全面安の展開でした。
今週の日米欧3中銀の会合では、FRBもECBも0.25ポイントの利上げの可
能性が高く、日銀だけが超低金利政策を維持することで、金利差が再び拡大すると
の見立てが背景になっています。

ただ、日銀は現状維持が見込まれてはいますが、「動く」と予想する向きもないわ
けではありません。もし動けば、それはかなり大きな「サプライズ」として受け止
められ、市場への影響も大きく、円が大きく買い戻されることになるはずです。一
応注意は必要かと思います。一方、FRBとECBは0.25ポイントの追加利上
げを実施すると見ていますが、焦点はその後の政策スタンスです。6月会合では一
旦利上げを休止したFRBが再び追加利上げを実施することになりますが、だから
といってFRBが昨年来の「利上げ軌道」に戻るわけではないと見ています。
米国の6月の消費者物価指数(CPI)は総合で「3.0%」でした。先週末に発
表された日本の6月のCPIが「3.2%」だったことから、日米のインフレ率は
逆転しています。一方で、日本の短期の政策金利は「マイナス0.1%」で、米国
は間もなく「5.25%」になろうとしています。円の実質金利は大きくマイナス
で、これは円を持っていれば、その価値がどんどん低下することを意味します。資
金がドルに流れるのは「必然」です。


FOMCでは会合後のパウエル議長の会見が注目されます。6月の議会証言では、
「年内あと2回程度の利上げが適切になるかもしれない」と述べていましたが、C
PIが順調に低下傾向を示していることが確認された今でも、同様な認識を維持し
ているのかがポイントになります。
また、ECBについてはラガルド総裁が、「まだやるべきことが残っている」とタ
カ派姿勢を崩してはいませんが、政策委員会のメンバーで、タカ派の一角であるク
ノット・オランダ中銀総裁が「7月は利上げが必要だろう。その後はせいぜい可能
性で、決して確実ではない」と述べていました。またその後もドイツ連銀のナーゲ
ル総裁も「7月より後の決定はデータ次第だ」と述べるなど、ドイツを中心とした
「タカ派陣営」の発言にやや変化も見られます。
パウエル議長にしてもラガルドECB総裁にしても、金融当局のトップは総じて慎
重な物言いをすることは理解できます。金融当局の強い意志を示すとともに、先走
る市場をけん制する意味合いもあります。両氏には、今回もタカ派発言の可能性が
あるのではないかと予想しています。いずれにしても今週は「中銀ウィーク」で、
決定内容次第では大きく値が動く可能性もありそうです。

ドル円は141円95銭まで反発したことで6月30日の高値からの下落分の「半
値戻し」を達成しました。この上は、「61.8%」が142円08銭になります
ので、次のメドはこの辺りかと思いますが、「半値戻しは全値戻し」という格言も
あります。「熱い夏」はまだ続くと見ておくべきでしょう。
それとともに「介入警戒感」も忘れることのないように・・・。

本日のドル円は140円70銭~142円50銭程度を予想します。


ドル円140円台を回復 

ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場


  • ドル円は東京時間では日経平均株価が大きく下げたことでジリ安となり、139円10銭近辺まで売られる。欧州ではやや反発し、NYでは失業保険申請件数が予想に反して減少していたことでドルがさらに反発。140円台を回復し、140円49銭までドル高に。

  • ユーロドルでもドル高が続き、ユーロは1.1119前後まで下落。

  • 株式市場はまちまち。ダウは163ドル上昇し、約6年ぶりの9連騰を記録。一方ナスダックはテスラやネットフィリックスの決算発表を受け大幅に売られる。

  • 債券は大きく売られ、長期金利は3.85%台に上昇。

  • 金は反落し、原油は小幅に反発。

本日の注目イベント

  • 日 6月消費者物価指数
  • 英 6月小売売上高
  • 米 企業決算 →アメックス
  • 加 5月小売売上高

前日のNYで140円手前まで上昇したドル円でしたが、やはり来週の日銀決定会合では「政策据え置き」観測が底流にあるのか、ドル円はNYでは140円台半ばまで上昇しました。東京時間では材料が無い中、唯一株価の動きが短期的なドル円の方向を左右する状況が続いていますが、昨日は日経平均株価が400円を超える下げを見せたことが「円買いドル売り」につながり、ドル円は昼前には139円10銭近辺まで押し戻されました。その後欧州市場にかけては反発しましたが、NYに入ると経済指標に反応して、およそ1週間ぶりに140円台を回復。140円49銭までドルが買い戻されています。「24万件」と予想されていた週間失業保険申請件数が「22.8万件」に減少していたことで、労働市場は依然好調との見方からFRBによる利上げ継続の連想が働き、金利上昇がドルを押し上げる結果になりました。失業保険申請件数の水準は約2カ月ぶりの低水準でした。

足元のドル円は来週行われる日銀決定会合を織り込む形で動いていますが、どうやら「変更なし」が市場のコンセンサスとして定着した模様です。筆者も予想の修正を迫られています。ここまで来ると、さすがに来週の発表では「サプライズ」はないと思われますが、今朝8時半に発表される日本の6月の消費者物価指数(CPI)の結果は非常に注目されます。本稿執筆時点ではまだ発表されていませんが、予想は総合で前年比「3.2%」と、5月から横ばいと見られています。

一方米国に目を向けると、25-26日のFOMC会合で0.25ポイントの利上げは確実ですが、市場の関心は年内にさらにもう一度追加利上げがあるのかどうかという点に移っています。いまのところ五分五分と見ていますが、バーナンキ元FRB議長はフィデリティ主催のウェビナーで「7月の利上げが最後となることはあり得る」と述べています。バーナンキ氏は、「インフレ率は向こう6カ月で3-3.5%へと、より持続的に低下すると見ている。家賃の上昇幅が縮小し、自動車価格が下落する」ことをその理由に挙げ、「FOMCはそこから時間をかけて2%目標に押し下げようとするだろう」と語っています。また「FRBがインフレとの闘いで勝利を宣言するには、その前に労働市場で需給バランスの改善を確認したいだろう」と指摘し、「依然としてかなりホットだ」と述べています。米景気のリセッションについても「向こう1年で深刻なリセッションになるとすれば、非常に驚く」と話していました。(ブルームバーグ)元FRB議長の目には、インフレはとうにピークを越え、米景気は総じて楽観的に推移しているように見えるということでしょうか。

ドル円は6月30日に145円07銭の直近高値まで買われた後下落に転じ、先週14日には137円25銭までドル高の修正が進みました。結局、日足の「一目均衡表」では、下落して雲入りはしたものの雲に支えられている状況です。上記下落幅を「フィボナッチ・リトリースメント」での38.2%戻しは、昨日のNYで超えています。目先は4時間足の雲の上限や重要な移動平均線が集まる140円70銭~141円辺りが次の抵抗帯かと思います。

本日のドル円は139円~141円程度を予想します。

英6月のCPIは7.9% 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆日銀のYCC修正観測が急速に後退し、ドル円は欧州と
NY時間朝方に139円99銭まで上昇。株価の上昇もあり、
リスクオンの流れから円売りが進む。
◆ユーロドルは反落。ドルが買い戻され、ユーロドルは1.1174
まで売られる。
◆ポンドドルも下落。英6月のCPIが予想を下回ったことで、英金利の
上昇も終盤との見方が浮上。
◆株式市場は3指数が続伸。ダウは109ドル上昇し8連騰。
アップルなどが買われ、株価の上昇に強気の見方が続く。
◆債券は続伸。長期金利は3.74%台に低下。
◆金は横ばい。原油は小幅安。

◆6月住宅着工件数    →  143.4万件
◆6月建設許可件数    →  144.0万件

本日の注目イベント

◆豪   豪6月雇用統計
◆日   6月貿易統計
◆トルコ トルコ中銀政策金利発表
◆独   独6月生産者物価指数
◆欧   ユーロ圏7月消費者信頼感指数(速報値)
◆欧   ユーロ圏5月経常収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   7月フィラデルフィア連銀景況指数
◆米   6月中古住宅販売成約件数
◆米   7月景気先行指標総合指数
◆米  企業決算 → J&J、ブラックストーン

今月の日銀金融政策決定会合で、YCC修正などの「動き」があるのかどうかを巡る
観測が定まらず、ドル円は連日上昇下落を繰り返し右往左往している状況です。
前日137円台半ばまで売られたドル円は、昨日のコメントでも触れたように、G2
0後の会見で植田日銀総裁が「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合でき
ちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」と述べ
たことが「今回の会合での修正はない」と受け止められ、昨日の東京時間でもドルを
買う動きが優勢でした。
NYでも株価の上昇もあり、債券も買われ金利が低下したにもかかわらずドル円が上
昇し、ほぼ140円の水準まで反発しています。もっとも、この日は英6月の消費者
物価指数(CPI)が市場予想を下回り、英金利の上昇も一服との見方からポンドド
ルでポンドが売られた影響もあったかと思われます。

筆者は個人的には日銀の政策据え置きには懐疑的ですが、周りを見渡すと、ほぼ「動
きなし」で外堀は埋められた格好です。
昨日たまたま、日経QUIK主催の「月次調査セミナー」に参加してきました。
「展望・世界の金融政策、植田日銀、次の一手は」と題して、著名なエコノミストや
元日銀審議委員の講演などがあり、来週の会合を控え極めて好タイミングのセミナー
でした。
そこでの見方は、全てのパネラーやエコノミストが「動かない」と予想しており、総
じて株式には強気で、ドル円についてもドル高をイメージしていました。
正直、やや驚いたというのが率直な感想です。
FRBとECBは今月の会合で0.25ポイントの利上げを行い、日銀は政策を据え
置く。
そして、米欧ではインフレがピークを過ぎ今後も緩やかに低下していくというのが、
足元のコンセンサスになっているようです。
さらに7月会合以降の見方については、FRBは不透明で、ECBは追加利上げの可
能性はあるものの、今後のデータ次第といったところです。
印象的だったのが、大和証券の木野内氏の見方でした。
木野内氏は植田総裁の過去の発言や書籍などを分析し、テーラー・ルール金利を基に
考えれば、金融緩和の解除は1年後以降であり、しかもその場合には一気に行うとい
った大胆な見方を披露していました。

英国の6月のCPIは総合で「7.9%」と、5月の「8.7%」から鈍化しただけ
ではなく、市場予想の「8.2%」からも下回っていました。
またコアCPIも「6.9%」と、前月から鈍化しており、市場予想の「7.1%」
よりも低下していました。
CPIの結果を受け、それまで政策金利のピークが6.5%に達すると見込まれてい
ましたが、急速に見通しが引き下げられ、ポンドが売られました。
ポンド円は181円台半ばから180円台前半まで下げる場面もありました。
英国のインフレ率は主要国の中で依然として高水準であることから、8月にも0.2
5ポイントの利上げが見込まれています。

本日のドル円は138円50銭~140円50銭程度を予想します。


ユーロドル上値を切り上げ1.1270に 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は東京時間からじり安が続きNYの朝方には
137円69銭まで下げる。その後日銀総裁の発言や株高
からリスクオンの流れが強まり139円台前半まで反発。
◆ユーロドルも底堅く、1.1270まで小幅に上値を
切り上げる。
◆株式市場は3指数が揃って大幅続伸。銀行決算が好調だったこと
に加え、経済指標も総じて軟調だったことで株式に資金が流入。
◆債券は小幅に続伸。長期金利は3.78%台に低下。
◆金は大幅に反発。原油も反発し、75ドル台を回復。

◆6月小売売上高         → 0.2%
◆6月鉱工業生産         → -0.5%
◆6月設備稼働率         → 78.9%
◆7月NAHB住宅市場指数    → 56

本日の注目イベント

◆欧   ユーロ圏6月消費者物価指数(改定値)
◆英   英6月消費者物価指数
◆米   6月住宅着工件数
◆米   6月建設許可件数
◆米  企業決算 → ゴールドマン、ネットフリックス、IBM、テスラ、アルコア

東京時間ではやはりドルの上値は重く、欧州市場の午前中まではジリ安の展開
でした。NYでは朝方こそドル売りが進み137円69銭まで下げましたが、
その後は大きく反発しています。6月の「小売売上高」が市場予想を下回った
ことを材料にドル売りが進んだと思われますが、その後植田日銀総裁の発言が
伝えられドルを押し上げています。

インドで開かれていたG20財務相・中央銀行総裁会議終了後に植田総裁が会
見を行いました。
総裁は、「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブ・コントロ
ール(YCC)
政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」と説明し、その上で、「目標との
距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変
わらない限り、全体のストーリーは不変だ」と語っています。
27-28日の決定会合では、日銀が何らかの修正に踏み切るとの観測が急速
に高まり、これが先週の「ドル安・円高の一因」になっていました。
日本の債券市場でも、「日銀が動く」との見方を織り込む形で、長期金利の上
昇が続いており、日銀が設定した上限の0.5%に迫る、0.4%台後半まで
金利上昇が進んでいます。この発言はそれらの動きをけん制する意味合いもあ
ったかと思われますが、ドル円はこの発言をきっかけに139円台前半まで円
安が進みました。

この発言に対して、興味深い独自のコメントをブルームバーグは配信していま
す。記事は、「とはいえ、インフレ目標達成に関する日銀の見解が今月も変わ
らないという保証はない。植田総裁の発言は期待にある程度水を差すかもしれ
ないが、日銀は以前にもくせ球を投げて来たのは確かだ」として、2016年
にマイナス金利メカニズムに移行して市場に衝撃を与えた例を挙げています。
続けて、「日本のコアCPIを見ると、インフレ目標達成の可能性がここ数カ
月でプラスの方向に動いていると仮定するのは確かに合理的だ」と論じていま
す。また、日銀が動くとの想定の基に日本国債のショートに賭けているファン
ドも紹介しています。
8800億ドル(約122兆円)余りの資産を運用するインサイト・インベス
トメントのマネージャーであるブレンダン・マーフィー氏は、日銀が金融引き
締めに動くのは時間の問題だとして、日本の10年国債先物をショートしてい
ると報じています。
マーフィー氏は、「YCCが解除されるとわれわれは考えている。日銀の政策
は徐々に正常化に向っていくだろう」と述べ、日本国債のショートに賭けてい
ることを認めています。
筆者は先月までは日銀が動く可能性は五分五分とみていましたが、今月に入っ
て債券市場の動きを観察する過程で、「動く方向」に傾いています。

ドル円は来週のFOMC会合までは動きにくく、狭い値幅でもみ合うと予想し
ていましたが、連日荒っぽい動きが続いています。それでも会合までは137
円~140円のレンジ内で推移するとみていますが、どうでしょう。

本日のドル円は138円~139円80銭程度と予想します。


ドル円ほぼ138円台で推移 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆中国のGDPが予想に届かなかったことでドル円は欧州市場で
一時138円をわずかに割り込む。NYではNY連銀製造業景況感が
予想を上回ったことでドルが139円台半ばまで反発。
◆ユーロドルは1.12台で堅調に推移。利上げ観測がユーロを
支える流れが続き、1.1246まで上昇。
◆株式市場は3指数が揃って上昇。米景気のリセッション入りの可能性が
低下したとの見方が広がりダウは76ドル、ナスダックは131ポイント
上昇。
◆債券は反発。長期金利は3.807%台に低下。
◆金と原油は下落。

◆7月NY連銀製造業景況指数  → 1.1

本日の注目イベント

◆豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
◆米   6月小売売上高
◆米   6月鉱工業生産
◆米   6月設備稼働率
◆米   7月NAHB住宅市場指数
◆米  企業決算 → BofA、ロッキード、モルガンスタンレー
◆加   カナダ6月住宅着工件数
◆加   カナダ6月住宅着工件数

円高方向にトレンド転換を見せるのかどうか注目されるドル円は、引き続き
荒っぽい動きになっています。中国の4-6月期GDPが「6.3%」と前
期よりは伸びていたものの、市場予想の「7.1%」には届かなかったこと
で、ドル円は欧州時間に一時138円をわずかに割り込む場面がありました
。不動産市況の低迷などが一因となっており、同国の不動産開発会社、中国
恒大集団は2021-22年に合わせて810億ドル(約11兆2300億
円)余りの巨額な損出を計上しています。

ドル円はNYでは一転して買われています。
7月のNY連銀製造業景況指数が前月の「+6.6」から低下し、「+1.
1」と、わずかにプラスを維持していましたが、大きな低下でした。
ドル円は138円台半ばから139円台半ばまで上昇しましたが、同指標の
結果だけの反応としてやや大きすぎる印象です。
イエレン財務長官の発言もドルを押し上げた可能性がありそうです。
イエレン長官はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「多く
の国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジ
アの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能
性もある」と、中国景気の減速について述べています。さらにイエレン氏は
米国景気にも触れ、「米国の成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さ
を維持している。リセッションは予想していない。米国は労働市場の大幅な
軟化を伴わずにインフレ率を低下させる、『好ましい軌道』を進んでいると
考える」と語り、12日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)につ
いては、「かなり心強い内容だった」と述べています。イエレン財務長官が
米国のリセッション入りの可能性を否定したことに加え、この日はゴールド
マンやJPモルガンも米景気がソフトランディングする可能性を引き上げて
いましいた。

ロシアはほぼ1年続いたウクライナ産穀物の輸出合意を打ち切りました。
ペスコフ大統領府報道官は「この黒海輸出合意のロシアに関する部分はこれ
まで履行されていない。従って打ち切りとなる」と述べています。
ロシアが同合意を打ち切ったことで、世界の食糧供給を巡る不透明性が高ま
り、シカゴ先物市場の小麦価格は一時「4.2%」、トウモロコシも一時「
2.3%」上昇する場面がありました。
この他にも、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアとロシアを
つなぐ「クリミア橋」で17日未明複数の爆発があり、2人が死亡、車両・
鉄道が通行止めになっています。ロシアは、「ウクライナ特殊部隊が爆破を
実行し、橋の車道部分が損傷した」と発表しています。

ドル円は137円台前半まで売られた後、やや戻り基調にはなっています。
日足チャートでは「雲の中」に入ったものの、今朝はやや雲の上限から脱失
したように見えます。MACDでは「マックD」がゼロの軸を下抜けし「マ
イナス圏入り」している点が注目されます。ただ、「シグナル」は依然とし
て「プラス圏」にとどまっています。
仮に2つの線が「マイナス圏」に入れば4月中旬以来ということになり、ト
レンドの転換が確認される可能性が高いと考えられます。
来週のFOMCを控え、ブラックアウト期間に入っているため、FOMCメ
ンバーによる発言もありません。
137-140円のレンジの中で会合を迎えることになりそうですが、まだ
会合まで1週間あります。そのレンジに収まるのかどうか予断を許しません。

本日のドル円は137円50銭~139円50銭程度と予想します。


ドル円一時137円台に下落 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は上値の重さが払拭できず。失業保険申請件数が発表
になった直後ドル円は138円95銭まで値を戻したが、PPIの
発表に一気に138円を割り込む。
◆ユーロドルは続伸し、1.1228前後まで上昇。主要通貨に対して
ドルは全面安の展開。
◆株式市場は3指数が揃って4日続伸。タカ派のセントルイス連銀総裁の
辞任も支援材料に。
◆債券も続伸。長期金利は3.76%台に低下。
◆金と原油は3日続伸。

◆新規失業保険申請件数     →  23.7万件
◆6月生産者物価指数      →  0.1%
◆6月財政収支         →  -227.8b

本日の注目イベント

◆日   5月鉱工業生産(確定値)
◆印   G20財務相・中央銀行総裁会議(インド、ガンディーナガル、18日まで)
◆欧   ユーロ圏5月貿易収支
◆米 6月輸入物価指数
◆米 6月輸出物価指数
◆米   7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
◆米  企業決算 → ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン、シティーグループ、ブラックロック


米インフレの鈍化傾向を示す指標が相次いでいます。
昨日発表された米6月の生産者物価指数(PPI)は総合で前年同月比「0.1%」
と、市場予想を下回り、約3年ぶりの低い伸びとなりました。
コアPPIでも前年同月比「2.4%」と、市場予想の「2.6%」を下回っていま
す。前日のCPIに続き、PPIでも物価上昇圧力の緩和が浮き彫りになる内容で、
インフレ阻止に取り組む米金融当局にとって安心材料になりそうです。

ドル円は先に発表された「週間新規失業保険申請件数」が予想より減少していたこと
で、ドル買いが強まり、138円95銭までドルが反発しましたが139円には届か
ず。その後発表されたPPIがドルを押し下げ、一時は138円を割り込み、137
円93銭前後までドル売りが進みました。
7月のFOMC会合で0.25ポイントの利上げを行った後、年内にもう1回の利上
げがあるといった観測が急速に後退したようです。PPIの結果を受け株と債券が再
び買われ、長期金利は急低下しています。
1週間前には4.029%で引けた10年債利回りは3.76%台まで低下し、ドル
下落に拍車をかけている状況です。

もっとも、この日の株高・債券高の一因にはブラード・セントルイス連銀総裁の「突
然の辞任」もあったようです。
ご承知のように、ブラード氏は「タカ派の急先鋒」で、2021年半ばから、数十年
来の急速なインフレを抑え込むには積極的な措置を取るべきだと再三主張してきまし
た。今回、FRBがインフレ抑制への政策変更が出遅れたことで、急激なインフレが
続いたとも言われてきましたが、その中でもブラード総裁は早くから大幅利上げを行
うべきだと主張しており、その慧眼には個人的にも敬意を払ってきました。
ブラード氏の在任期間は15年にもなります。ただ今回の任期は確か2024年3月
までだったと記憶していますが、13日付けで辞任すると唐突に同連銀が発表してい
ます。
ただ8月14日までは同連銀の顧問として残り、退任後はパデユー大学ビジネススク
ールの学部長に就く予定ですが、今月のFOMC会合を始めその他の関連職務からは
身を引き、講演なども全て中止したとセントルイス連銀は説明しています。(ブルー
ムバーグ)任期途中で、しかもFOMC会合まで2週間を切った中での「突然の辞任
」です。異例といえば異例で、この先様々な憶測を呼びそうです。
市場は現金なもので、 ブラード氏の辞任で今後利上げ圧力が低下するとの読みから
ドルを売り、債券と株を買う行動に出ています。

CPIに続きPPIも伸びが大きく鈍化していることから、米インフレが巡航速度に
戻る可能性が高まっています。ただ、まだそう判断するのは早計です。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、「インフレとの闘いで勝利宣言するのは実
に早すぎる」と、CNBCの番組で釘を刺しており、「インフレを2%に押し下げる
決意は変わらないため、これについては様子見モードだ」と慎重な姿勢を見せていま
した。

ドル円は137円台に突入したため「日足の雲」に入っています。
この雲は比較的厚みもあり、雲そのものが「抵抗帯」として機能します。雲の下限は
現在、135円96銭を示しており、やはり135円という値位置が重要になってき
ます。
ここは大きな節目でもあり、ここを抜けると雲を完全に下抜けし、トレンドの転換を
意味するからです。

本日のドル円は136円80銭~138円80銭程度を予想します。


米CPIを受けドル円138円17銭まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は大きく下落。米6月のCPIが予想を下回ったことで
米金利が急低下。ドル円は139円台前半から138円17銭近辺まで急落。
◆ドルが売られたことでユーロドルも急伸。一時は1.1141
までユーロ高が進み、2022年3月以来となる高水準を記録。
◆株式市場はCPIの低下を受け3指数が3日続伸。
◆債券は大幅高。長期金利は3.85%台まで低下。
◆金は大幅に続伸。原油も続伸し約5週間ぶりに75ドル台に。

◆6月消費者物価指数   → 3.0%(前年比)

本日の注目イベント

◆中   中国 6月貿易収支
◆欧   ユーロ圏5月鉱工業生産
◆欧   ECB議事要旨(6月会合分)
◆欧   日EU首脳協議(ブリュッセル)
◆中東  OPEC月報
◆英   英5月鉱工業生産
◆英   英5月貿易収支
◆米   新規失業保険申請件数
◆米   6月生産者物価指数
◆米 6月財政収支
◆米   ウォラー・FRB理事講演
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、CNBCのインタビュー


6月の米消費者物価指数(CPI)は事前に予想されていたように大きく低下
していました。CPIの下振れを受け139円台前半で推移していたドル円は
急落し、一時は138円17銭前後までドル安が進んでいます。
昨日の東京市場でも円安と株高の修正が大きく進み、これまでの流れが一変し
ています。
NYでもCPIの低下を受けリスク資産の株だけではなく、安全資産の債券も
大きく買われ、さらに金も買われています。
中国景気の減速懸念を背景に5月には63ドル台まで売られたWTI原油価格
も、昨日は75ドル台まで上昇しています。インフレ率の低下で景気抑制的な
政策は終焉を迎えるといった見立ての様です。

6月の総合CPIは市場予想の「3.1%」を若干下回る「3.0%」(前月
は4%)。コアCPIも市場予想の「5%」に対して「4.8%」(前月5.
3%)と、いずれも低下しています。
米インフレのピークは昨年6月の「9.1%」でした。FRBは昨年3月から
急激な引き締め政策に舵を切り直しインフレとの闘いを続けてきましたが、ち
ょうど1年で3分の1まで低下してきたことになります。FRBの目標である
2%まであと1%ということになりましたが、それでも今月25-26日のF
OMC会合での利上げは動かないところでしょう。

6月のCPIの結果を受け、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「インフレ
率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」と述べ、「手を引くのが早すぎれば
インフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」
と発言し、ここで手綱を緩めることはないとの認識を示しました。
またブレイナード米国家経済会議(NEC)委員長は12日、エコノミック・
クラブ・オブ・ニューヨークでの講演で、「リセッションがすぐそこまで来て
いるとの予想が繰り返されているが、米国の景気回復は堅調で、インフレ率は
低下している」と語り、その上で、「著しい雇用破壊が伴わなければインフレ
率は下がらないとの予測が覆されている」と発言しています。この講演はCP
I発表の数時間後に行われたもので、ブレイナード氏は、「これらの経済的利
益は偶然に生じたものではなく、熟慮された戦略がなければ維持することはで
きない」(ブルームバーグ)と述べており、FRB副議長だった時の発言より
もやや、政権寄りの発言になってきたという印象です。

ドル円は140円の節目を何の抵抗もなく下抜けし、昨日のこの欄で触れた1
38円33銭の重要なサポートも抜けていますが、この直ぐ下に日足の一目均
衡表の「雲の入口」が控えているため、138円17銭前後では一旦下げ止ま
っています。
これで6月30日の145円07銭からは6円90銭も急激に円高が進んだこ
とになります。昨日の結果に一番喜んでいるのはパウエル議長で、2番目に喜
んでいるのが神田財務官かもしれません。

さて、足元では一気に「ドル安・円高」局面に変わってきましたが、この先の
下値のメドですが、先ずは137円85銭近辺で、これは日足の120日移動
平均線(EMA)がある値位置になります。その下では137円30銭前後に
「週足の雲の入口」があることから、この辺りがサポートされそうです。
市場のセンチメントも大きく円高方向に傾いています。
今後の展開では以下の2つが重要なカギになります。
1つは25-26日のFOMC会合で0.25ポイントの利上げを行った後の
パウエル議長の発言です。
パウエル議長は先月22日に行われた議会証言で、「政策金利が適切に景気抑
制的な水準に既に引き上げられていたとしても、経済がほぼ予想通り推移する
ならば、政策当局は年内に再び、恐らく2回の利上げを行うことが適切になる
と感じている」と述べています。
また、前日の証言では利上げについては、「年末までに幾分(somewhat)」と
いった表現でしたが、22日には「Perhaps twice」(おそらく2回)といった
言葉を使い、より具体的な回数に言及していました。
CPIの低下を受け、議長が依然として同じような認識を維持しているのかど
うかが焦点になります。7月会合で利上げを行い、その後その効果を見守ると
いった姿勢を示すようだと、ドル円は135円方向を目指す可能性が高いと予
想されます。
もう一つは言うまでもなく27-28日の日銀金融政策決定会合で何らかの動
きがあるのかどうかです。
今回の急激な円高は、日銀が修正に動く可能性があるという観測が大きな理由
になっています。昨日の債券市場では10年債がさらに売られ、長期金利は0
.475%前後まで上昇し、日銀の動きを織り込む形となっています。
逆に言えば、「政策据え置き」が決定されればドルが大きく値を戻し、日経平
均も大きく上昇すると予想されます。結局は今後日米金利差が縮小するのかど
うかがカギになります。7月もまだまだ「暑い夏」は続きそうです。

本日のドル円は137円30銭~139円50銭程度を予想します。


ドル円欧州で140円前半まで下落 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆上値を重くしているドル円は欧州市場で140円17銭近辺まで
下げたが、その後はNY時間にかけて反発。NYでは一旦ドルが
買われたものの141円には届かず再び140円台前半まで下落。
◆ユーロドルは小幅に上値を切り上げ1.1009まで上昇。
◆株式市場は3指数が続伸。マイクロソフトの大型買収が前進した
ことで市場のセンチメントも好転。ダウは317ドル買われた。
◆債券は続伸。長期金利は3.97%台に低下。
◆金と原油は反発。

本日の注目イベント

◆英   BOE、金融安定化報告・BOE総裁会見
◆米   6月消費者物価指数
◆米   ベージュブック(地区連銀経済報告)
◆米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
◆米   ブレーナード米国家経済会議(NEC)委員長講演
◆米   カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会に参加
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆加   カナダ中銀政策金利発表


下値を徐々に切り下げているドル円は昨日の欧州市場で140円17銭前後
まで売られ、140円割れを試す動きが見られました。
その後のNYでは一旦反発したものの、141円には届かず再び140円台
前半まで押し戻される展開でした。これで直近のドルの高値から5円近く急
速に円高が進んだことになりますが、その背景に
ついて、昨日は当社のお客様からも何件か問い合わせがありました。

先週後半からドル円は上値を徐々に重くはしていましたが、金曜日の雇用統
計が市場予想を下回った辺りから下落基調を強めています。
今月のFOMC会合では0.25ポイントの利上げはほぼ確実と見られる上
に、パウエル議長も含め、多くのFOMCメンバーが年内にさらなる利上げ
が必要との「タカ派」発言を行うなど、外部環境はこれまでとほとんど変わ
っていません。最も変わったのは日銀に対する見方です。
少なくとも6月下旬辺りまでは「7月の決定会合では政策変更はない」との
見方が支配的でしたが、今週に入り「サプライズ」を予想する向きが一気に
増え、風向きが変わってきています。

「市場の移り気」は今に始まったことではありませんが、日本の債券市場で
は先月27日には一時「0.355%」まで低下した10年債利回りが、昨
日は「0.45%」まで上昇してきました。
市場参加者が今回の会合で「ひょっとしたらYCCの修正など、何らかの動
きがあるかもしれない」ことを織り込み始めたことの表れです。
好調だった日本株もこのところ下落基調が続いているのも、それが理由の一
つと見られます。筆者は「今週のレンジ予想」ではその可能性についてコメ
ントを書きました。またFOMCでも今後の追加利上げの可能性はあるとし
ても、米金融当局が金融引き締め政策の終盤にいることについても再三述べ
てきました。一方日銀はどこかの時点で政策修正を迫られることもほぼ確実
と見てきました。
ブルームバーグは記事で、「既に日銀の政策修正リスクをオプション市場が
織り込み済みと考えれば、ドル円のスポット市場のリスクは151円超えに
傾いており、当局による介入が現実味を帯びてきたと言える」といった記事
を配信しましたが、これは7月3日のことで、まだ先週月曜日の話です。
また、バンク・オブ・アメリカが顧客向けレポートでドル円は大幅に上昇す
ると予想したのも、この頃だったと思います。
市場は常に先を読み、その見方を確かなものにするため右往左往しながら材
料を探しています。発表されるデータ次第では翌日にも見方が変わる可能性
もあるため、今後も投資家は冷静かつ柔軟に向き合い、フットワークの軽さ
も必要です。

今夜発表の6月の消費者物価指数(CPI)は、総合CPIが前年比「3.
1%」(前月は4%)、コアCPIは同「5%」(前月5.3%)と、前月
に比べインフレ率の伸びは鈍化していると予想されています。
ただ、それでも7月会合での追加利上げ見送りの材料にはならないと見てい
ますが、予想を下回るようだと、「7月会合以降で、年内もう1回の利上げ
」観測も一気に後退する可能性もあります。そうなると、ドル円は140円
割れを試すことになりますが、その際のメドは「138円33銭前後が極め
て重要」と見られています。
この水準はドル円が141円近くまで上昇しその後落とされた時と、さらに
その後何度か下値を試した際にもサポートされた重要な値位置です。
もちろん、CPIが予想を超えていれば、ドル円は142円を試す可能性
もありますが、米インフレが収まらないことを理由に、ドル円が再び145
円をテストするには時間を要すると思われます。

本日のドル円は138円80銭~141円30銭程度を予想します。


ドル円3週間ぶりに141円台前半に 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は続落。米長期金利が低下したこともあり、ドル売りが
優勢に。一時は141円28銭まで売られ、先週末から3円近くも
円高に。
◆ユーロドルでもドル安が進み、ユーロは6月22日以来となる
1.1を付ける。
◆株式市場は3指数が4日ぶりに上昇。明日発表のCPIが鈍化
するとの期待や米金利が低下したことが材料に。
◆債券は5日ぶりに反落。長期金利は4%を割り込む。
◆金と原油は反落。

◆5月消費者信用残高   → 7,240b

本日の注目イベント

◆日   5月国際収支・貿易収支
◆豪   豪7月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪   豪6月NAB企業景況感指数
◆独   独6月消費者物価指数(改定値)
◆独   独7月ZEW景気期待指数
◆欧   NATO首脳会議(リトアニア)、岸田首相も出席 
◆英   英ILO失業率(3-5月)
◆英   英6月失業率


ドル円は昨日の東京時間では緩やかにドルが反発し、143円をうかがう
水準まで買い戻しが進みましたが、NYではその流れが続かず大きく売ら
れています。
米金利が低下し、ドルが下げる過程では「ストップロスのドル売り」も巻
き込んだと思われ、一時は141円28銭まで売られました。
これで直近高値からは4円程度円高が進んだことになります。

今朝の日経新聞も報じていましたが、7月4日時点のシカゴ先物市場での
「円売り」枚数は、11万7920万枚と、2018年1月以来5年半ぶ
りの高水準になったようです。1枚が1250万円ですから、投機筋を中
心に合計で1兆4700億円の「円売りドル買い」を行ったことになりま
す。
言うまでもなく、これは今後「ドル高円安」がさらに進むとの予測の基に
円売りポジションを積み上げていることが背景ですが、ドル円は先週末か
ら急速に円高方向に振れてきました。
このままドルが続落し、140円割れをテストするのかどうかは不明です
が、仮にドルが一段と売られるようだと、上記ポジションの反対売買が行
われる可能性もあります。つまり「ストップロスのドル売り」です。投機
筋は個人投資家と異なり、決算期もあり、マイナスポジションをそう長く
は維持しません。
ポジションの偏りが、さらなる円高方向へのトリガーになることも考えて
おく必要があるかもしれません。

昨日は数人のFOMCメンバーが「タカ派寄り」の発言を繰り返しました
が、効果はなかったようです。
クリーブランド連銀のメスター総裁は、「インフレが持続的かつ時宜を得
た形で2%へと戻ることを確実にするためには、政策金利が現行の水準か
らさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経
済の進展状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく
据え置く必要がある」と述べています。またバーFRB副議長も、「イン
フレはまだかなり高すぎる。この1年余りにわたって、金融政策で多くの
進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが
、まだやるべき仕事がある」と語っています。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も同様に、「インフレ率を持続可能
な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必
要になる公算が大きい」と、具体的に「2回」という数字を挙げています。
一方アトランタ連銀のポスティック総裁はこれまでの主張を繰り返し、「
景気減速の兆しが見える中で政策当局者は今のところ忍耐強くいられる」
との見解を示し、多くの当局者とは一線を画していました。(ブルームバ
ーグ)
このように、今後のデータ次第という部分はもちろんありますが、現時点
での見方では7月会合に続き、年内残る3回の会合でも1回は追加利上げ
があると見ら
れており、これが「ドル円をサポートするはず」と読むことも出来そうで
す。先ずは明日発表される「米6月の消費者物価指数」が最大のヤマ場に
なります。

イングランド銀行のベイリー総裁も自国のインフレについて発言を行って
います。
ベイリー総裁は、「英国のインフレ率は年内に著しく低下する公算が大き
く、利上げの影響はまだ完全には経済に表れていない」との見方を示して
います。
英国のインフレは主要国の中でも根強いと見られており、総合インフレ率
は直近で「8.7%」と、中銀が目標とする「2%」の4倍を超えていま
す。
イングランド銀行は6月の会合では想定を超える「0.5%」の追加利上
げを決めており、政策金利は「5%」に達しています。ベイリー総裁はこ
の大幅な利上げの効果が年内に見込めるとして、インフレ率が「著しく」
低下すると述べているようです。

NATO首脳会議がリトアニアの首都ビルニュスで開催され、岸田首相も
参加するようです。バイデン大統領はウクライナへクラスター爆弾の供与
を決めましたが、ポルトガルなどが反対しており、議題の一つになりそう
です。NATOの結束にもややほころびが見えている中、ゼレンスキー大
統領も12日には同会議に参加するようですが、ウクライナのNATO加
盟についても話合われるかもしれません。

本日のドル円は140円70銭~142円70銭程度を予想します。


米6月の雇用統計予想には届かず 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は雇用統計発表前にも下値を試す動きだったが、
発表後にドル売りが一段と加速。142円07銭まで売られ
約2週間ぶりのドル安を付ける。
◆ドル安が進み、ユーロドルは1.0973まで反発。
◆株式市場では3指数が3日続落。ダウは187ドル売られ、
3万3700ドル台に。
◆債券は5日続落。長期金利は一時4.09%台まで上昇。
◆金は大幅に反発し、原油も大幅高。

◆6月失業率          →  3.6%
◆6月非農業部門雇用者数   →  20.9万人
◆6月平均時給 (前月比)   →  0.4%
◆6月平均時給 (前年比)   →  4.4%
◆6月労働参加率        →  62.6%

本日の注目イベント

◆日   5月国際収支・貿易収支
◆日  6月景気ウオッチャー調査
◆中   中国6月消費者物価指数
◆中   中国6月生産者物価指数
◆英   英6月消費者物価指数
◆英   ベイリー・BOE総裁講演
◆米   5月消費者信用残高
◆米   バー・FRB副議長、討論会に参加
◆米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
◆米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
◆米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
◆加   カナダ5月住宅建設許可件数

6月の雇用統計が市場予想に届かなかったことからドル円は売られ、
6月22日以来となる142円07銭までドル売りが進みました。
筆者は7日(金)の本稿で、「前日のADP雇用者数を受け2時間足
までの短期のチャートでは売りシグナルが出ましたが、急速に戻して
います。ただ、日足ではMACDが『デッドクロス』を示現している
点には注意していますが、それでもまだプラス圏でのクロスです。一
応念のために」というコメントを残しました。また、「ADPは民間
部門の雇用統計で、必ずしも今夜の雇用統計と
は一致しないケースが多く見られます」とも記述しましたが、結果は
ADPとは大きく異なっていました。

6月の失業率は「3.6%」と、5月よりも低下していました。AD
Pでは予想の2倍を超える結果の雇用者数でしたが、非農業部門雇用
者数(NFP)は市場予想の「23.0万人」に対して、「20.9
万人」でした。さらに5月分も速報値の「33.9万人」から「30
.6万人」に下方修正されています。
「今回の雇用統計は、高金利と数カ月にわたる消費低迷で景気見通し
に対する懸念が生じる中、労働市場が幾分か勢いを失いつつあること
を示唆している。ただ労働市場はなお十分健全で、賃金の伸びも底堅
く、FOMCは7月会合で利上げを再開する可能性が高そうだ」とブ
ルームバーグは伝えています。
筆者も同感で、6月のNFPが市場予想を下回り、前月分も下方修正
されたものの、これまでが異常なほど好調だったわけで、これで「巡
航速度」に戻ったとも言えます。
そのため、労働市場も含めて景気に急ブレイキがかかったとは判断で
きず、今月のFOMC会合での利上げは動かないと見ています。
市場は今後9月以降の会合で追加利上げがあるのかどうかを探ること
になります。
ただ、ブルームバーグの記事の中で「U6」と呼ばれる不完全雇用率
が昨年8月以来の高水準に上昇している点には注目しています。
これは、経済的な理由からパートタイムでの仕事を余儀なくされてい
る労働者の数を表しており、「U6」にはフルタイムでの雇用を望み
ながらもパートタイム職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは
考えているものの、積極的に職探しをしていない人が含まれていると
されています。
人手不足がピークを過ぎ、徐々に求人件数の鈍化につながってくるの
かどうかといった点が注目されます。

シカゴ連銀のグールズビー総裁はCNBCとのインタビューで、雇用
統計について「より持続可能なペースになりつつある。インフレにと
ってはこうした動きが必要だ」と述べ、「現時点における米金融当局
の最優先目標はインフレを押し下げることで、われわれはそれに成功
する。リセッションを起さずにそうすることが勝利となる。それは『
黄金の道』で、その道を進んでいる感触を私は持っている」との認識
を示しています。
言うまでもなく、今回の単月の雇用統計の結果だけで、米景気が十分
抑制されてきたと判断することはできません。
引き続き労働市場の動向と、消費者物価指数の推移を見極める必要が
あります。

ドル円は142円台前半まで売られたことで、「4時間足」までの短
いチャートでは下落傾向を示してきました。
「相場の基本」であると考える「日足」がそのような傾向を示すには
さらなる下落が必要ですが、目先は140円台を維持できるかどうか
がカギの一つでしょう。
「140―145円の水準ではいつ実弾による介入があってもおかし
くはない」とも筆者は書きましたが、145円台を一瞬付けてから下
落に転じてきた様相は、昨年10月にピークを付けその後ドルが急落
した動きを彷彿させます。

本日のドル円は141円50銭~143円30銭程度を予想します。


6月のADP雇用者数大きく上振れ 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆東京時間夕方には143円56銭近辺まで売られたドル円は
NYで急反発。ADP雇用者数が大きく上振れ、米金利が上昇
したことで144円65銭までドルが買われる。
◆ユーロドルは依然として上値を切り下げ、この日は1.09
前後を天井に1.08台前半まで売られる。
◆株式市場では3指数が揃って続落。6月のADP雇用者数が
予想の倍以上だったことでほぼ全面安の展開。
◆債券は続落。長期金利は4%台に載せ、一時は4.03%台
まで上昇。
◆金は続落し、原油は横ばい。

◆米6月ADP雇用者数                  →  49.7万人
◆ 新規失業保険申請件数                  →  24.8万件
◆5月貿易収支                      →  -69.0b
◆6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)     →  54.4
◆6月S&Pグローバル総合PMI(改定値)        →  53.2
◆6月ISM非製造業景況指数               →  53.9
◆5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数         →  982.4万件

本日の注目イベント

◆日  5月景気先行指数(CI)(速報値)
◆中   中国6月外貨準備高
◆独   独5月鉱工業生産
◆欧   ラガルド・ECB総裁、パネル討論に参加
◆米   6月雇用統計
◆加   カナダ6月新規雇用者数
◆加   カナダ6月失業率


昨日のドル円は上下に大きく動きました。

東京時間は日経平均株価の大幅下落に反応して144円台を割り込み、さらに
日経電子版が内田日銀副総裁とのインタビュー記事を配信したことで、143
円56銭前後までドル売りが進みました。副総裁はYCCについて、「金融仲
介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点か
らバランスを取って判断していきたい」と述べています。その上で当面は「Y
CCを続けていく」とも述べており、これまでの植田総裁の発言と大きく異な
る点はありませんでしたが、ヘッドラインに反応してドル売りが先行したもの
と思います。

およそ10日ぶりに143円台半ばまで売られ、上値を重くしたように見られ
たドル円でしたがNYでは大きく反発しました。
それもそのはず、米労働市場の好調さが再確認され、米金利が急騰するなど、
「ドル買い材料一色」といった状況でドルが上昇しました。
6月のADP雇用者数は市場予想の「22.5万人」に対して、「49.7万
人」と、倍以上の結果でした。雇用は建設、貿易、運輸、娯楽、ホスピタリテ
ィといった比較的広い範囲で増加しており、地域別でも南部を除いた全地域で
増加していました。特に従業員250人未満の企業で大幅に増えていました。
(ブルームバーグ)
ADPは民間部門の雇用統計で、必ずしも今夜の雇用統計とは一致しないケー
スが多く見られますが、この結果を受け、いやが上にも今夜の数字にも上振れ
期待が高まります。

また6月のISM非製造業景況指数も、4カ月ぶりの高水準となり、業況指数
や新規受注が拡大しています。さらに再就職あっせん会社「チャレンジャーG
&C」が発表したデータでは、米企業の人員削減数は6月が昨年10月以来と
なる低水準でした。
5月の求人件数も前月からは減少したものの、歴史的には高水準にとどまって
います。
これらドル買いのデータに加えて、FOMCメンバーからも相変わらず「タカ
派寄り」の発言も出ています。
ダラス連銀のローガン総裁は、「インフレ率が持続可能かつ適時な形で目標に
戻るかどうかについて、依然として非常に懸念している」と発言し、「物価安
定と最大雇用というFOMCのゴールに達成するためには、より景気抑制的な
金融政策が必要になると考える」との見解を示しています。

これらの材料に株式市場ではダウが一時500ドル下げるなど、ほぼ全面安の
展開でした。
債券も大きく売られ、2年債は5%の大台に載せ、10年債も3月2日以来、
約4カ月ぶりとなる4%台を記録しドル買いに拍車を掛ける結果になりました
。ドル円は結局、この日の底値から1円程戻したことになりますが、あらため
て米労働市場の好調さは人手不足に支えられているとはいえ「想定外の強さ」
です。
この結果、2時間足までの短期のチャートでは「売りシグナル」が点灯しまし
たが、急速に戻しています。
ただ、日足ではMACDが「デッドクロス」を示現している点には注意してい
ますが、それでもまだ「プラス圏」でのクロスです。一応念のために。
今夜の雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)は「23万人の増加」と予
想されています。
昨夜のADPのように大きく上振れすれば再び145円テストの可能性もある
かもしれませんが、今朝8時過ぎにはドル円は再び144円を割り込んできて
います。どちらかと言えば上値の方が重くなってきた印象ですが、どうでしょ
う。

本日のドル円は142円70銭~144円70銭程度を予想します。


FOMC議事録はややタカ派寄り 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は朝方144円08銭まで売られたが、FOMC議事録が公表
されるとドルは上昇。144円70銭まで買われ、この日の高値圏で
引ける。
◆ユーロドルは、ドルが買われユーロの上値を重くしたものの、
方向性が乏しくもみ合い。
◆株式市場はFOMC議事録の内容や中国景気への懸念から
3指数が揃って下落。
◆債券は続落し長期金利は一時3.94%台まで上昇。
◆金は反落し、原油は反発。

◆5月製造業受注  → 0.3%

本日の注目イベント

◆豪   豪5月貿易収支
◆独   独5月製造業新規受注
◆欧   ユーロ圏5月小売売上高
◆米   6月ADP雇用者数
◆米   新規失業保険申請件数
◆米 5月貿易収支
◆米   6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
◆米   6月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
◆米   6月ISM非製造業景況指数
◆米   5月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
◆米   イエレン財務長官、訪中(9日まで)
◆米   ローガン・ダラス連銀総裁、パネル討論に参加


6月のFOMC会合では11会合ぶりに政策金利を「全会一致」で据え置くこと
を決めましたが、昨日公表された同会合の議事録では「全会一致」という表向き
の決定が示唆するほど、メンバーの見解が揃っていなかったことが明らかになり
ました。一部の参加者からは0.25ポイントの利上げを支持する意見もありま
した。

議事要旨では、「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目
標レンジを5-5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断し
た」とありました。その上で要旨は、「一部の参加者は今会合で目標レンジを2
5ベーシスポイント(bp)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を
支持できたかもしれないと表明した」と記しています。
利上げを支持した当局者らは、タイトな労働市場のほか、インフレ率が当局の2
%目標に向って減速している兆しが比較的乏しいことを理由に挙げていました。
結局、6月会合では金利据え置きを決定したものの、政策当局者にとっては、い
かに厄介なものだったかを示している。(ブルームバーグ)としています。
議事録公表後は、株式と債券が売られ、長期金利は一時3.94%台まで上昇し
3月9日以来となる高水準を付け、ドル上昇を後押しする結果になっています。
米長期金利が4カ月ぶりに「4%の大台」に載せるのかどうかが注目されますが
、明日の雇用統計の結果次第では可能性がないとも言えません。

イエレン財務長官が本日6日から中国を訪問します。
政治的、外交的には非常に厳しい状況にある米中関係ですが、経済面では異なっ
ています。
財務長官就任後初めて中国を訪れるイエレン氏は、過去数カ月にわたり訪中の意
向を示していたと言われていますが、中国が自国の領土の一部と主張する台湾を
ペロシ下院議長(当時)が昨年訪問したことや、偵察活動が疑われる中国の気球
の米領空への侵入に伴い、実現が遅れていました。
今回の訪中でイエレン氏は、経済面で共通点を見つけるとともに、対話ルートを
開設することが目的とされています。
米国の重要閣僚が中国を訪問するのは、先月のブリンケン国務長官に続き2人目
となります。今回の訪中でイエレン氏は、中国高官との会談は予定されています
が、習近平国家主席との会談は現時点では予定されていないようです。

すでに市場介入がいつあってもおかしくはない水準に入っているドル円ですが、
先週1日の日経新聞に介入を巡るイエレン財務長官の言葉が掲載されていました
。イエレン氏は日本政府の市場介入を容認するのかどうかのコメントは避け、「
私たちのチームは介入の根拠をより理解しようとしており、日本の当局者とも連
絡を取り合っている」と述べ、為替介入の是非について日本政府と調整に入って
いることを明らかにしています。この件については、その後の新しいニュースを
探しても見つかりませんでしたが、4日に神田財務官がこの件について、「同盟
国米国を含め各国当局と日ごろからほぼ毎日、為替・金融に限らずさまざまな意
見交換、意思疎通を図っている」と財務省内で記者団に述べていました。
米国にとっては足元の「ドル高」は、インフレ阻止を掲げる金融当局にとっては
「大歓迎」であることから、ドルを押し下げる市場介入を巡り米財務省がどのよ
うな認識を持っているのか重要なポイントです。今後明らかになってくると思わ
れます。

今日のNYでは「6月ADP雇用者数」、「新規失業保険申請件数」、「5月雇
用動態調査(JOLTS)求人件数」といった、米労働市場の動向を示す指標が
多く発表されることから、ドル円も動きそうです。また「6月ISM非製造業景
況指数」といった比較的重要な指標も発表されます。
結果次第では、ドル円は再び145円台に載せるかもしれません。
ドル円は6月30日の東京市場で145円台に載せてからはやや上値が重くはな
っていますが、それでもここ1週間ではほぼ144円台を上回る水準で推移して
おり、底堅さは変わっていません。
介入警戒感に加え、先のECBフォーラムでの植田日銀総裁の発言でもやや変化
も見られており、やや長い目で見ればドル下落のリスクは依然残っていると考え
ます。

本日のドル円は143円50銭~145円50銭程度を予想します。


ISM製造業景況指数、3年ぶりの低水準 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆144円台後半で取引が始まったドル円は、6月ISM製造業景況指数が
予想を下回ったことで下落。一時は144円前後までドル売りが進んだが、
その後は反発。
◆ユーロドルは朝方買われ1.0934まで上昇したものの、その後
ドル高が進みじり安に。
◆株式市場は3指数が揃って続伸。テスラなどEV自動車メーカーの
株が大きく上昇。
◆債券は売られ、長期金利は3.88%台に。
◆金は横ばい。原油は反落。

◆6月ISM製造業景況指数             → 46.0
◆6月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)    → 46.3
◆米6月自動車販売台数               → 8:45現在未発表

本日の注目イベント

◆豪   RBA、キャッシュターゲット
◆独   独6月貿易収支
◆米 NY市場休場(独立記念日)

ドル円は底堅く、東京時間では日経平均株価が大きく上昇したこともあり、
144円台半ばを超えて推移。NYでは朝方に発表された6月ISM製造業
景況指数が「46.0」と、8カ月連続で活動の縮小を示す「50」を割込
みました。生産や雇用、仕入れ価格などの指数が下がり、総合指数では3年
ぶりの低水準でした。
また8カ月連続での縮小は2008-09年の連続記録以来の長さとなり、
この分野では大幅利上げによる景気抑制効果が出ていると言えます。
経済指標の下振れはFRBにとっては「追い風」で、追加利上げの必要性が
低下することからドルが売られる展開となり、ドル円は144円前後まで下
げています。
ただ、ここからさらに売られず反発するところが、このところのドル円の特
徴的な動きで
筆者はこれを「一歩後退・二歩前進」と表現しています。
ドル円はその後144円74銭辺りまで値を戻し、経済指標発表前の水準近
くまでドルが反発しています。

米10年債利回りがジワジワと上昇し、節目の「4%」にゆっくりと近づい
ています。
仮に4%の大台に載せるようだと、3月2日以来4カ月ぶりということにな
りますが、
因みに、4%を付けた3月2日のドル円は136円台後半と、足元の水準よ
りもかなり円高方向でした。米金利とドル円の強い相関関係がやや崩れてい
るということですが、円がドルだけではなく、ユーロなど主要通貨に対して
は一段と円安が進んでいることもその一因と見られます。
例えば、ユーロ円が一段と上昇すると見込み「ユーロ円」を買えば、ユーロ
ドルでは「ドル売り・ユーロ買い」を行い、ドル円では「ドル買い・円売り
」のオペレーションを基本的には行います。
ユーロドルでの「ドル売り」と、ドル円での「ドル買い」によってドルが相
殺され、その結果「ユーロ円」を買ったことになります。ユーロ円の買いが
活発になればなる程、ドル円の上昇圧力となり、上記米金利が上昇する以上
に円安が進んでしまうという結果になります。

米債券市場では、10年債以上に2年債の利回りは上昇しています。
ブルームバーグがまとめたデータによると、2年債利回りは昨日4.96%
に達し、10年債利回りを最大110.8ベーシスポイント(bp)上回り
ました。
この逆イールドの進行は、1980年代初期以来となる大きな開きで、今後
金融引き締めがさらに進むと予想されていることを反映しています。
2年債は10年債よりも政策変更の影響を受けやすく、債券トレーダーは政
策金利のさらなる引き上げを想定したオペレーションを行っていると見られ
ます。
足元の金利スワップ市場では9月までの0.25ポイントの利上げ確率をほ
ぼ100%、年内にもう一度利上げがある確率を50%織り込んだ動きにな
っています。

ブルームバーグはリラ安を止めるため、トルコ国営銀行(Turkish State B
ank )が外国為替市場で「ドル売りリラ買い」の市場介入を行った可能性が
高いと報じています。
ドルリラは26.06近辺の最安値を記録しており、国営銀行は26.07
を維持するため10億ドル規模の介入を行ったと、事情に詳しい関係者の話
として伝えています。
トルコ中銀は先月23日に政策金利をそれまでの「8.5%」から「15.
0%」に引き上げましたが、市場はさらに大幅な利上げを想定していたため
発表後リラは売られ、その後も反転の兆しは見られていません。
次回の政策会合で再び大幅利上げがあるのかどうかが注目されています。

ドル円は介入警戒感がありながらも底堅い動きが続いています。
本日はNY市場が休場のため、金利の動きもなく小動きの展開が予想されま
す。
レンジ予想は144円~145円20銭程度といったところかと思います。


5月PCEデータを受けドル円小幅に反落 

ひと目で分かる昨晩の動き  

NY市場

◆ドル円は東京市場午前中に145円台に載せ、145円07銭まで
上昇。NYではPCEデータが予想を下回ったことからドル売りが
強まり、144円20銭までドル安に。
◆ユーロドルは1.09台を挟み前日と同じレンジでもみ合う。
◆株式市場は3指数が揃って大幅高。インフレ懸念がやや和らぎ、
ハイテク株を中心に株価が上昇。
◆債券はほぼ横ばい。長期金利は3.83%台に。
◆金と原油は上昇。

◆5月個人所得                 →  0.4%
◆5月個人支出                 →  0.1%
◆5月PCEデフレータ(前月比)        →  0.1%
◆5月PCEデフレータ(前年比)         →  3.8%
◆5月PCEコアデフレータ(前月比)      →  0.3%
◆5月PCEコアデフレータ(前年比)      →  4.6%
◆6月シカゴ購買部協会景気指数         →  41.5
◆6月ミシガン大学消費者マインド(確定値)   →   64.4

本日の注目イベント

◆豪   豪5月住宅建設許可件数
◆日   4-6月期日銀短観
◆中   6月財新製造業PMI
◆中   中国6月消費者物価指数
◆中   中国6月生産者物価指数
◆独   独8月製造業PMI(改定値)
◆欧   ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
◆米   6月ISM製造業景況指数
◆米   8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
◆米   6月自動車販売台数
◆米   債券・株式市場、短縮取引


ドル円はついに145円台に載せました。先週末の東京時間午前10時40分
過ぎに145円台に載せ、一時は145円07銭までドル高円安が進みました
が、その勢いは金融当局の介入姿勢を試すかのように、じわじわとした緩やか
なもので、そこから昨年10月のように一気にドルが買われる展開ではあり
ませんでした。
NYではどのような展開になるか注目されましたが、発表された経済指標が概
ねインフレの鈍化を示すものだったことからドルが売られ、株式市場では株価
が大きく上昇しています。

5月の米個人消費支出(PCE)統計では、総合価格指数は前月比で「0.1
%」上昇と、前月の「0.4%」から大きく鈍化。前年比では「3.8%」と
、こちらも4月の「4.3%」から大きく鈍化しており、約2年ぶりの低水準
でした。
また、コア指数でも前月比では「0.3%」、前年比では「4.6%」と、い
ずれも伸びが鈍化しています。この結果を受け株式市場では株価が上昇し、ナ
スダックは196ポイント上昇。今年前半では30%を超える上昇率で取引を
終えています。時価総額世界一のアップルの株価も上昇し、再び3兆ドル(約
432兆円)の大台に載せています。ただ市場の見方には、当局は依然インフ
レに対する警戒感を解いてはおらず、「消費の伸び鈍化は米金融当局にとって
歓迎すべきことだろう。ただ、金融政策のごく短期の軌道がこれで変わる公算
は小さい。当局者は政策金利を一段と引き上げ、より景気抑制的なスタンスに
する必要があるとの見解にコミットしている」といった声もありました。(ブ
ルームバーグ)

先週はポスティック・アトランタ連銀総裁を除いては多くの「タカ派寄り」の
発言がありました。FOMCメンバーの多くがさらなる利上げが必要と考えて
いると見られますが、シカゴ連銀のグールズビー総裁は、「ハト派」の見解を
示しています。
同総裁は30日FOXビジネスとのインタビューで、「インフレの一部指標は
改善しているが、他のカテゴリーは予想されたほど急速に低下していない。当
面の間、誰もが注目すべきなのは財価格やインフレが一過性の理由で高すぎる
のか、それとも、もっと根強い何かがあるのかだ。それが重要だ」と説明し、
その上で、「7月25、26日の会合で当局者が何をすべきかについて、私自
身まだ決めていない。次回会合までの数週間で多くのデータが得られるだろう
。それをよく見て、よく考えなければならないと思う」と述べ、7月利上の是
非を判断するにはさらなるデータが必要との認識を示しました。
市場では7月会合での0.25ポイントの利上げは確実との見方が支配的で、
その先の9月会合での追加利上げを織り込む動きとなっています。
特に先週のECBフォーラムでのパウエル議長の発言が、大きく作用している
印象です。
筆者は7月会合での0.25ポイントの追加利上げには傾いていますが、米金
融当局が利上げステージの終盤にいるという見方は維持しています。

先週末に145円台まで買われたドル円でしたが、鈴木財務相は「行き過ぎた
動きには適切に対応する」と、繰り返しけん制していました。この発言で若干
円高方向に振れる場面はありましたが効果は限定的で、むしろ徐々に市場はそ
の種の発言に慣れてきている印象です。先週の日経新聞では、日米財務当局同
士が介入について緊密に連絡を取り合っているとの記事を載せていましたが、
介入警戒感はあるものの、足元の「一歩後退・二歩前進」の動きでは当局もな
かなか介入の「大義名分」が見つかりません。
個人的は145-150円のどこかで介入があるのではないかと考えています
が、日米金融当局の金融政策スタンスが変わらない以上、根本的にこの流れを
変えるのは難しいと思っています。

本日のドル円は143円30銭~145円程度を予想します。


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