パウエル講演で、株高、債券高進む
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
今後の緩やかな利上げを維持しながらも、利上げを急がない
姿勢を見せたことで、ドル円は若干売られ、111円10銭を付ける。
ドルの高値は111円45銭。
ユーロドルの上昇に伴い、ユーロ円も129円台半ばまで買われ、
2週間ぶりの高値を記録。
ダウは133ドル上昇し高値に迫り、S&P500は17ポイント
上昇し、今年1月以来となる最高値を更新。
債券価格は上昇。長期金利は2.81%台に低下。
本日の注目イベント
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演は、「ハト派的」と受け止められ、
ドル円は講演後やや売られましたが、それでも111円台はしっかり維持していま
す。講演で議長は「現在の緩やかな金利引き上げは双方のリスクに対応するものだ」
と述べ、「利上げを急げば景気後退のリスクを招き、利上げを遅らせれば物価の加熱
を招く」と指摘。さらに、物価上昇については「2%を超えて加速する明確な兆し
はみえず、加熱するリスクの高まりもない」と述べています。
この発言から一部には、FRBは2019年にも利上げ路線を停止するのではない
かとの見方が浮上しています。今回ジャクソンホールのシンポジュームに参加した
ダラス連銀のカプラン総裁も、「あと3、4回の追加利上げは適切だが、その後は
いったん離れて、さまざまな経済指標を点検すべきだ」と語っています。
(ブルームバーグ)
FRBの政策金利であるFF金利の誘導目標は現在、1.75%~2.00%で、
仮に、9月に利上げを断行しても2.00%~2.25%になります。
かつて、この政策金利は8%だったこともあり、カプラン総裁の予想に従えば、
2.75%~3.00%で、政策金利は一旦落ち着くことになり、ドルにとって
は買い材料の一つがなくなることにもなります。
見方によっては今回のパウエル議長の発言は、先週のトランプ大統領の圧力を考
慮した発言だったと捉える向きもあるようですが、「利上げは嬉しくない」と発
言する以前から市場には、FF金利の適正水準は過去の水準に比べて、かなり低
く留まるといった見方もありました。今回の発言の趣旨が、パウエル議長がトラ
ンプ氏を「忖度」した結果であるとは思えませんが、この講演を受けて、米国株
は急伸し、S&P500は史上最高値を更新し、ダウも再び最高値に迫ってくる
など、株価は堅調に推移しています。
債券市場でも、債券が買われ、長期金利も3%から緩やかな低下傾向を見せてい
ます。先週末の長期金利は2.81%台まで低下し、一方で政策金利の影響を受
けやすい2年もの金利は上昇し、2年と10年の金利差はさらに縮小して、20
bp程度にまでなって来ました。
イールドカーブの長短逆転が起これば、過去の事例では景気の後退を示しており、
今後そう遠くない時期に米景気がピークアウトすることも予想されます。
ドル円は111円台で堅調に推移しています。上記、「ハト派的」な発言もあり、
さらには今週予定されていたポンペオ国務長官の訪朝が突然中止されたことも、
円買い材料になりますが、今の所大きな影響はないようです。
今回の突然の中止は、「朝鮮半島の非核化が十分な進展が見られないと感じてい
る」ことを理由に、トランプ大統領がポンペオ氏に求めたものとされていますが、
一方で「金正恩委員長との再会を楽しみにしている」ともツイートしています。
ドル円は111円台をしっかりとキープしていますが、111円台半ば前後が
抜け切れない展開が続いています。テクニカルでも、一目均衡表の「雲の上限」
(日足)が111円60銭前後にあり、これが意識されている面もあろうかと思
います。やはり111円80銭辺りが抜けるかどうかが、今後の展開にとっても
重要だと思われます。
本日は、先ずは111円台が維持されるかどうかと、上値は上記111円50銭~
111円80銭辺りのレジスタンスゾーンを抜けるかどうかが焦点になります。
予想レンンジは110円80銭~111円70銭程度を見ています。

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- [2018/08/27 08:54]
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