ドル円続落し132円台前半に
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
◆ドル円は続落し、一時は132円30銭までドル安が進む。
信用不安が収まらず、安全資産の債券が大きく買われ、金利が
一段と低下したことでドル売りが加速。
◆ドル安の流れからユーロドルも上昇し、1.0748を記録。
◆株式市場はやや落ち着きを取り戻したが指数はまちまち。
ダウは90ドル下げ、5日続落。ナスダックは小幅に上昇。
◆債券は大幅に続伸。長期金利は連日で大幅に低下し3.57%
台で引ける。
◆金は大幅に続伸し、原油は大幅に反落し74ドル台に。
本日の注目イベント
◆豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
◆豪 豪2月NAB企業景況感指数
◆英 英ILO失業率(11-1月)
◆米 2月消費者物価指数
シリコンバレー銀行(SVB)に次いでシグネチャーバンクの破綻も決まり、
市場ではリーマン・ショックほどの大きな影響はないとしながらも、信用不安
は払しょくできず、この日も安全資産が大きく買われています。
米債券市場では10年債が大きく低下しただけではなく、政策金利の影響を受
けやすい2年債利回りも大きく低下しています。10年債利回りは連日の低下
で、3.57%台と、今年1月初旬の水準まで下げてきました。ドル円もこの
動きに連動するかのようにドル売りが進み、一時は132円30銭を記録して
います。
また、リスク回避の際に買われる「金」も連日で大きく上昇し、ここ2日間で
80ドルを超える上昇をみせています。
米金融当局は金融システムの不安防止のため、SVBとシグネチャーバンクの
2行について預金を全額保護すると発表し、信用不安の拡大防止に踏み切って
います。13日から支払に応じたSVBの支店では早朝から多くの預金者が預
金の引き出しに列を作ったと報道されています。
米国では預金保険で保護される上限は、1口座当たり最大25万ドル(約34
00万円)ですが、連邦預金保険公社(FDIC)は2行への預金について、
「預金保険の対象外も含めて、顧客は13日以降いかなる損出も納税者が負う
ことはない」と発表しました。
バイデン大統領も、2行の破綻を受けてホワイトハウスで演説を行い、「銀行
システムは安全で、必要な時に預金は口座にあると国民は安心して大丈夫だ」
とし、さらに、「これら顧客は全員、預金が保護され、今日現在において預金
にアクセスできる。安心して欲しい」と国民に訴えました。
同時に、「議会に対し銀行規制強化のほか、両行破綻を巡りしかるべき人の責
任を明確化させる」ことを指示しています。
今夜は2月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。2行の破綻でFRB
の政策余地にも制限がかかる可能性が出てきました。
先週まであった0.5ポイントの利上げ観測は、すっかり後退してしまい、市
場では「0.25ポイントの利上げ」、もしくは「利上げ見送り」を織り込み
つつあります。
2月のCPIは、前月比で「0.4%」、前年同月比で「6.4%」と予想さ
れています。予想を上回る強い数字になれば、インフレ阻止を目指し利上げを
しなければならない状況下でも、簡単に利上げをできない可能性もあり、パウ
エル議長は難しい判断を迫られます。
サマーズ元財務長官は2行の破綻を受けたなかでも、「インフレを抑制すると
いう目標に米金融当局が注力し続けないのは、重大な誤りだと私は判断してい
る」と述べ、「来週の会合で0.25ポイントの利上げが適切だとなお推測さ
れるが、状況はいつも変化する可能性がある」と説明しています。
また、次回会合で0.5ポイント利上げを検討対象から外すべきかとの質問に
対して、「今は何も外さない。ただ、13日の時点で決定が下されるならば、
0.5ポイントは理にかなっていない」と答えています。
2行の破綻で、足元では金融市場に混乱が広がっているが、長期化はしないと
考えていることが背景になっていると思われます。
今後、第3、第4のSVBが出ないとも言えませんが、米金融当局が素早く対
応策を発表したことや、2行ともローカルの銀行でグローバルな国際業務を行
っていないことなどを考えると、時間はかかるものの落ち着きを取り戻すと考
えています。
FRBの政策が一段と難しくなるとの観測もあり、米長期金利は急低下してい
ますが、足元のインフレ状況を考えると、このまま金利低下が続くとは予想で
きません。
本日のドル円は131円50銭~134円50銭程度を予想しますが、CPI
の結果次第では乱高下もありそうです。
- [2023/03/14 09:37]
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