イタリア国債などの下落でユーロ安継続。
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は77円を挟んで一進一退。依然上値は重く、クロス円の売りも
ドル円の頭を抑える流れに。77円台を割り込む場面があったものの、
介入警戒感からさらに円を買い進む動きには繋がらず。 - ユーロドルが大幅に続落。イタリア国債が再び危険水域の7%を越える
など、南欧諸国の国債の下落が止まらないことに加え、ユーロ圏の景気減速
を示す経済指標などに反応した。ユーロドルは一時1.34台後半まで
売られ、10月7日以来の水準を示現。 - クロス円も軒並み下落。ユーロ円は104円台を割り込む場面もあり、
リスク回避の「円買い、ドル買い」の流れが加速。 - 株式市場は小幅に反発。イタリア国債は下落したものの、モンティ次期首相
の組閣に対する楽観的な見方や、米小売売上高の好転からダウは17ドル高。 - 債券相場は小幅に反落し、10年債利回りはわずかに上昇。一時価格は上昇した
ものの、引けにかけては値を崩す。 - NYではデモ参加者の強制排除が行われ数十人が逮捕される。
- 金、原油はともに続伸。原油は100ドルの大台に迫る水準まで買われ
約3ヵ月半ぶりの高値で引ける。 - 10月生産者物価指数(CPI) → -0.3%
- 10月小売売上高 → +0.5%
- 11月NY連銀製造業景況指数 → 0.61
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 白川・日銀総裁記者会見
- 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(CPI)
- 独 メルケル・独首相講演
- 独 ショイブレ・独財務相講演
- 英 英10月失業率
- 米 10月消費者物価指数(CPI)
- 米 10月鉱工業生産
- 米 10月設備稼働率
- 米 11月NAHB住宅市場指数
- 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
- 米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演
前日に引き続きユ-ロの下落が目立つ展開でした。
ポイントは南欧諸国の国債価格と景気でした。
昨日はスペインとギリシャの国債の入札がありました。
発行額は目標上限を下回り、利回りは上昇しています。
前日のイタリア同様に、借り換えコストが上昇し、今後財政に悪影響を与えるとの観測から、
スペインの財政悪化懸念が拡大し、既発債は売られ利回りは上昇しました。
また、イタリア国債も3日ぶりに「危険水域」の7%を超え、
一時6%台半ばまで低下した同国国債に対する売り圧力が再び強まっています。
一方、ユーロ圏第3四半期のGDPは+0.2%で前期比と同水準でしたが、
年率換算では0.6%と、経済成長の鈍化が鮮明になっています。
独仏では個人消費を中心に比較的堅調に推移していますが、ここでもギリシャ、スペイン、
ポルトガルなどの低成長が全体の足を引っ張っている状況です。
ユーロ圏は低成長と、債務削減問題を同時に解決しなければならず、
今後はさらに難しい政策運営を余儀なくされそうです。
これらの材料からユーロは欧州市場に入ると1.35台に入り、
債券相場を睨みながらさらに下落が続き、NY時間では1.35台を割り込み、
10月7日以来の水準までユーロ安が進んでいます。
今後もユーロドルの動きは南欧諸国の債券相場に左右される展開が続きそうですが、
南欧諸国の債券の売り圧力は日増しに強まっています。
日本を代表する投資信託である「グローバル・ソブリン」(通称グロソブ)は
保有していたイタリア国債を全て売却し、オーストラリア国債などの比率を高めています。
また、ブルームバーグによれば、欧州債離れは世界的規模で加速しており、
2年に渡る債務危機で欧州各国の取り組みが十分ではないとの懸念が広がる中、
金融機関や投資家は欧州債の保有を減らしており、
仏BNPパリバと独コメルツ銀行は今月発表した決算で、
保有国債を損出覚悟で処分したようです。
これまでは、国が発行した債券は「安全資産」の代表でした。
それはたとえ格付けの多少低い国のものであっても、
発行体が国であることが「安全神話」を作り上げていました。
ギリシャ発の債務危機問題はこの神話を崩し、
現実のリスクを直視する機会を与えてはくれましたが、
その代償は極めて大きいものになっています。
今後、日本の大手生保もイタリア国債などを大量に抱えていることから
追随する動きが出れば、ユーロ売りに繋がりそうです。
ユーロドルは昨日の下落で「日足」の「雲の下限」を下抜けしています。
目先は「週足」の「雲の下限」である1.3400-10レベルで
下げ止まるかどうかを観たいと思います。
昨日も書きましたが、今回の下落で「日足」では遅行スパンがローソク足を下抜けるする
「逆転」が完成しており、今後の下落傾向を示唆しています。
ユーロ円ではユーロドルよりもやや下落傾向が遅れており、
「日足」では「雲の下限」で留まっており、
遅行スパンはちょうどローソク足に絡んでいる状態です。
この水準を明確に抜け「逆転」を完成すれば、
10月初めに記録した100円台が意識される展開になる可能性もあります。
円は対ドルでジリジリと円高傾向が続いていますが、
再び対ユーロでも円高傾向が加速するような状況になれば、
政府・日銀による市場介入も意識せざるを得ません。
ただドル円は77円前後に「8時間足」の100日、120日、200日の
重要な移動平均線が集まっており、抵抗しています。
またここは「日足」の雲の下限にもあたります。
この水準を完全に下抜けすると76円台半ばを試す展開になりそうですが、
個人的にはこのあたりまでは市場介入は実施されないのではないかと予想しています。
ただ、株価の急落など予想外の事態が発生すればこの限りではありません。
76円台半ばから下値では「介入警戒水域」と観ておくべきでしょう。
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- [2011/11/16 09:16]
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